説明

磁気抵抗効果を利用した相変化メモリ素子とその動作及び製造方法

【課題】磁気抵抗効果を利用した相変化メモリ素子とその動作及び製造方法を提供する。
【解決手段】基板に備えられたスイッチング素子及びスイッチング素子に連結されたストレージノードを備え、ストレージノードは、スイッチング素子に連結された下部電極、下部電極上に形成された第1相変化層、第1相変化層上に形成された磁気抵抗層、磁気抵抗層上に形成された第2相変化層、及び第2相変化層上に形成された上部電極を備えることを特徴とする相変化メモリ素子である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリ素子とその動作及び製造方法に係り、さらに詳細には、磁気抵抗効果を利用した相変化メモリ素子とその動作及び製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化メモリ素子(PRAM)は、フラッシュメモリ、強誘電体RAM(FeRAM)及び磁気RAM(MRAM)のような不揮発性メモリ素子の一つである。PRAMと他の不揮発性メモリ素子との構造的な差異点はストレージノードにある。
【0003】
PRAMのストレージノードは、図1に示すように下部電極10、下部電極コンタクト層12、相変化層14、及び上部電極16から構成される。このようなストレージノードに所定のリセット電流パルスIresetを短時間印加すれば、下部電極コンタクト層12と接触した相変化層14の一部領域は、非晶質領域18となる。
【0004】
このように相変化層14に非晶質領域18が存在する時の相変化層14の抵抗を第1抵抗とし、相変化層14の相が全部結晶状態である時の相変化層14の抵抗を第2抵抗とすれば、非晶質領域18の存在によって前記第1抵抗は、前記第2抵抗より大きい。
【0005】
PRAMは、このように相変化層の相によって相変化層の抵抗が変わる相変化層の抵抗特性を利用して、ビットデータを記録し、読み取るメモリ素子である。
【0006】
図1に示すような構成のストレージノードを有する従来技術によるPRAMで問題となる点は、相変化層14に非晶質領域を作るためにPRAMに印加する書き込み電流、すなわちリセット電流の大きさがPRAMのトランジスタが受容できる電流の限界値より大きいということである。
【0007】
PRAMの集積度は、PRAMを構成するトランジスタ及びストレージノードのいずれのサイズを減らすことによっても可能である。ところが、トランジスタのサイズを縮小すれば、トランジスタが受容できる最大電流も小さくなる。したがって、PRAMに書き込み動作で印加されるリセット電流をトランジスタが受容できる最大電流より小さくしなければ、今後PRAMの集積度をさらに高めることは困難である。
【0008】
これによって、従来のPRAMでリセット電流を減らすためのいろいろな方法が提示されたが、例えば、図1の構成を有するストレージノードで下部電極コンタクト層12の幅を狭める方法、下部電極コンタクト層12を酸化させる方法、または下部電極コンタクト層12に高低抗のTiAlN層を使用する方法などが提示された。
【0009】
このような方法は、下部電極コンタクト層12で電流密度を上昇させて、より多くのジュール熱を発生させることがあるので、リセット電流を減らせる方法となる。しかしながら、かかる方法は、セット抵抗も増大させるため、PRAMの収率及び信頼性を低下させうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が達成しようとする技術的課題は、前記従来技術の問題点を改善するためのものであって、セット抵抗の増大なしにリセット電流を減らすことができる相変化メモリ素子を提供するところにある。
【0011】
本発明が達成しようとする他の技術的課題は、このような相変化メモリ素子の動作方法を提供するところにある。
【0012】
本発明が達成しようとするさらに他の技術的課題は、このような相変化メモリ素子の製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記技術的課題を達成するために、本発明は、基板に備えられたスイッチング素子及び前記スイッチング素子に連結されたストレージノードを備え、前記ストレージノードは、前記スイッチング素子に連結された下部電極、前記下部電極上に形成された第1相変化層、前記第1相変化層上に形成された磁気抵抗層、前記磁気抵抗層上に形成された第2相変化層、及び前記第2相変化層上に形成された上部電極を備えることを特徴とする相変化メモリ素子を提供する。
【0014】
前記メモリ素子において、前記下部電極と前記第1相変化層との間に下部電極コンタクト層がさらに備えられうる。
【0015】
また、前記磁気抵抗層の厚さは、前記第1相変化層から前記第2相変化層までの厚さの5%〜50%程度でありうる。
【0016】
また、前記磁気抵抗層は、前記第1相変化層上に備えられた第1磁性膜、前記第1磁性膜上に備えられた非磁性膜、及び前記非磁性膜上に備えられ、前記第1磁性膜より保磁力の大きい第2磁性膜を備えることができる。
【0017】
また、前記下部電極コンタクト層は、前記第1相変化層の中央からずれた位置に接触できる。
【0018】
また、本発明の実施形態によれば、前記第1相変化層、前記磁気抵抗層、及び前記第2相変化層は、前記下部電極の上面の一部領域上に順次に積層されており、前記下部電極の上面の残りは、絶縁層で覆われている。この時、前記上部電極は、前記第2相変化層を覆うように前記絶縁層上に備えられうる。
【0019】
前記第1磁性膜は、強磁性膜であり、Co膜、Fe膜、NiFe膜、及びCoFe膜からなる群から選択されたいずれか一つであり、前記非磁性膜は、相変化物質膜、銅膜(Cu)及びクロム膜(Cr)からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。また、前記第2磁性膜は、強磁性膜であり、SmCo膜、SmFe膜、NdFeB膜、及びNdFe膜からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。
【0020】
前記磁気抵抗層は、巨大磁気抵抗(GMR)層、トンネル磁気抵抗(TMR)層、及び超巨大磁気抵抗(CMR)層からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。
【0021】
前記他の技術的課題を達成するために、本発明は、前述した構成を有する相変化メモリ素子の動作方法において、前記トランジスタをオン状態に維持する段階及び前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加する段階を含むことを特徴とする相変化メモリ素子の動作方法を提供する。
【0022】
このような動作方法において、前記電圧は、前記上部及び下部電極間にリセット電流を流すための書き込み電圧でありうる。
【0023】
また、前記電圧は、上部及び下部電極間にセット電流を流すための消去電圧でありうる。
【0024】
また、前記電圧は、前記ストレージノードの抵抗を測定して、前記ストレージノードに記録されたデータを読むために印加する読み出し電圧でありうる。この時、前記読み出し電圧を印加して前記ストレージノードの抵抗を測定する段階、前記測定された抵抗を基準抵抗と比較する段階、及び前記比較結果によって、前記ストレージノードに記録されたデータを1または0と判読する段階をさらに含みうる。
【0025】
前記さらに他の技術的課題を達成するために、本発明は、基板にスイッチング素子を形成する段階、前記基板上に前記スイッチング素子を覆う第1層間絶縁層を形成する段階、前記第1層間絶縁層に前記スイッチング素子が露出されるコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに導電性プラグを満たす段階、前記第1層間絶縁層上に前記導電性プラグを覆う下部電極を形成する段階、前記第1層間絶縁層上に前記下部電極を覆う第2層間絶縁層を形成する段階、前記第2層間絶縁層に前記下部電極が露出されるビアホ―ルを形成し、前記ビアホ―ルを下部電極コンタクト層で満たす段階、及び前記第2層間絶縁層上に下部電極コンタクト層を覆う第1相変化層、磁気抵抗層、第2相変化層、及び上部電極を順次に積層する段階を含むことを特徴とする相変化メモリ素子の製造方法を提供する。
【0026】
この製造方法において、前記第1相変化層は、前記下部電極コンタクト層が前記第1相変化層の中央からずれた位置で前記第1相変化層と接触するように形成できる。
【0027】
前記さらに他の技術的課題を達成するために、本発明は、また、基板にスイッチング素子を形成する段階、前記基板上に前記スイッチング素子を覆う第1層間絶縁層を形成する段階、前記第1層間絶縁層に前記スイッチング素子が露出されるコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに導電性プラグを満たす段階、前記第1層間絶縁層上に前記導電性プラグを覆う下部電極を形成する段階、前記下部電極の上面の一部領域上に第1相変化層、磁気抵抗層、及び第2相変化層を順次に積層する段階、前記第1層間絶縁層上に前記下部電極を覆い、前記第1相変化層、磁気抵抗層、及び第2相変化層を覆う絶縁層を形成する段階、前記絶縁層の上面を前記第2相変化層が露出されるまで研磨する段階、及び前記研磨された絶縁層上に前記第2相変化層を覆う上部電極を形成する段階を含むことを特徴とする相変化メモリ素子の製造方法を提供する。
【0028】
このような製造方法において、前記第1相変化層は、前記下部電極が前記第1相変化層の中央からずれた位置で前記第1相変化層と接触するように形成できる。そして前記磁気抵抗層は、前記第1相変化層上に第1磁性膜、非磁性膜、及び第2磁性膜を順次に積層して形成できる。ここで、前記第1磁性膜は、強磁性膜であり、Co膜、Fe膜、NiFe膜、及びCoFe膜からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。そして、前記非磁性膜は、相変化物質膜、銅膜(Cu)及びクロム膜(Cr)からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。また、前記第2磁性膜は、強磁性膜であり、SmCo膜、SmFe膜、NdFeB膜、及びNdFe膜からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。
【0029】
前記磁気抵抗層は、前記第1相変化層から前記第2相変化層までの厚さの5%〜50%程度の厚さに形成できる。そして、前記磁気抵抗層は、巨大磁気抵抗(GMR)層、トンネル磁気抵抗(TMR)層、及び超巨大磁気抵抗(CMR)層からなる群から選択されたいずれか一つから形成できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の相変化メモリ素子は、ストレージノードの第1及び第2相変化層の間にリセット電流が印加されると同時に抵抗が増大する磁気抵抗層を備える。したがって、本発明のメモリ素子は、従来より小さなリセット電流でも磁気抵抗層で多くの熱が発生しうるので、従来より小さなリセット電流を印加してもデータを記録できる。
【0031】
このように、本発明のメモリ素子を利用すれば、リセット電流を減らすことができるので、トランジスタが耐えられなければならない最大電流も低くなる。したがって、トランジスタのサイズを現在よりさらに小さくすることができるが、これは、PRAMの集積度を高める結果となる。
【0032】
また、本発明のメモリ素子のリセット電流の減少は、下部電極コンタクト層のサイズの縮小によるものではないので、セット抵抗には影響を及ぼさない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態による磁気抵抗効果を利用した相変化メモリ素子とその動作及び製造方法を添付した図面を参照して詳細に説明する。この過程で図面に図示された層や領域の厚さは、明細書の明確性のために誇張して示されている。
【0034】
まず、本発明の実施形態による相変化メモリ素子(以下、本発明のメモリ素子)について説明する。
【0035】
図2を参照すれば、本発明のメモリ素子の基板40に導電性不純物、例えばn型不純物がドーピングされた第1及び第2不純物領域S1、D1が所定の間隔で存在する。基板40は、第1及び第2不純物領域S1、D1にドーピングされた導電性不純物と逆の極性の導電性不純物が注入された基板であって、例えば、p型シリコン基板である。第1及び第2不純物領域S1、D1は、多様な形態を有することができる。第1及び第2不純物領域S1、D1のうちいずれか一つ、例えば、第1不純物領域S1はソース領域であり、他の領域はドレイン領域でありうる。第1及び第2不純物領域S1、D1の間の基板40上にゲート酸化膜42及びゲート電極44が順次に積層されている。基板40、第1不純物領域S1、第2不純物領域S1、D1、及びゲート電極44は、電界効果トランジスタ(以下、トランジスタ)を構成する。
【0036】
前記のようにトランジスタが形成された基板40上に前記トランジスタを覆う第1層間絶縁層46が存在する。第1層間絶縁層46に第1不純物領域S1が露出されるコンタクトホール48が形成されている。コンタクトホール48は、第1不純物領域S1の代わりに、第2不純物領域D1が露出される位置に形成されても良い。コンタクトホール48は、導電性プラグ50で満たされている。第1層間絶縁層46上に導電性プラグ50の露出された上面を覆う下部電極60が存在する。下部電極60は、パッド層の役割も兼ねる。下部電極60は、例えば、TiN電極あるいはTiAlN電極でありうる。しかし、下部電極60は、これと異なる物質からなる電極でありうる。第1層間絶縁層46上に下部電極60を覆う第2層間絶縁層61が存在する。第2層間絶縁層61は、第1層間絶縁層46と同じ物質で形成することができる。第2層間絶縁層61に下部電極60の上面が露出されるコンタクトホールh2が形成されている。コンタクトホールh2は、下部電極コンタクト層64で満たされている。第2層間絶縁層61上に下部電極コンタクト層64の露出された上面を覆う第1相変化層56が存在する。第1相変化層56はGST層でありうるが、他の相変化物質層であっても良い。
第1相変化層56は、カルコゲナイド合金、例えば、As−Sb−Te、Sn−Sb−Te、Sn−In−Sb−TeまたはAs−Ge−Sb−Teを含みうる。
また、第1相変化層56は、VA族元素とSbとTeとを含みうるが、例えば、Ta−Sb−Te、Nb−Sb−TeまたはV−Sb−Teを含みうる。
また、第1相変化層56は、VA族元素とSbとSeとを含みうるが、例えば、Ta−Sb−Se、Nb−Sb−SeまたはV−Sb−Seを含みうる。
また、第1相変化層56は、VIA族元素とSbとTeとを含みうるが、例えば、W−Sb−Te、Mo−Sb−TeまたはCr−Sb−Teを含みうる。
また、第1相変化層56は、VIA族元素とSbとSeとを含みうるが、例えば、W−Sb−Se、Mo−Sb−SeまたはCr−Sb−Seを含みうる。
また、第1相変化層56は、2元系相変化カルコゲナイド合金(binary phase change chalcogenide alloys)であるが、例えば、Ga−Sb、In−Sb、In−Se、Sb−Te、またはGe−Te合金でありうる。
また、第1相変化層56は、4元系(quaternary)相変化カルコゲナイド合金であるが、例えば、Ge−In−Sb−Te、Ag−In−Sb−Te、(Ge−Sn)−Sb−Te、Ge−Sb−(Se−Te)またはTe81−Ge15−Sb−S合金でありうる。
また、第1相変化層56は、多抵抗状態(multiple resistance states)を有する遷移金属酸化物からなりうるが、例えば、NiO、TiO、HfO、Nb、ZnO、WO及びCoOのうち、いずれか1つまたはGST(GeSbTe)またはPCMO(PrCa1-xMnO)からなりうる。
また、第1相変化層56は、S、Se、Te、As、Sb、Ge、Sn、In、Ag、N、Si、及びCのうち、選択されたいずれか1つ以上を含む化合物であり得る。
第1相変化層56上に磁気抵抗層GM1が存在する。磁気抵抗層GM1は、巨大磁気抵抗(GMR)層でありうる。磁気抵抗層GM1は、第1相変化層56上に形成された第1磁性膜58、第1磁性膜58上に順次に積層された非磁性膜59、及び第2磁性膜62を備える。第1磁性膜58は、所定の外部磁場、例えば、リセット電流から発生する磁場に対して磁気分極の反転が自由であり、前記外部磁場が消えれば、磁気分極が元の方向へ戻る強磁性膜であることが望ましく、例えば、Co膜、Fe膜、NiFe膜、及びCoFe膜からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。非磁性膜59は、第1及び第2磁性膜58、62の磁気結合を防止するためのものであって、例えば、相変化物質膜、銅膜(Cu)及びクロム膜(Cr)からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。第2磁性膜62は、第1磁性膜58より保磁力がはるかに大きい強磁性膜であって、例えば、SmCo膜、SmFe膜、NdFeB膜、及びNdFe膜からなる群から選択されたいずれか一つでありうる。第2磁性膜62は、ピン磁性膜(pinned magnetic layer)であって、磁気分極は、所定の方向に固定されている。このような第2磁性膜62の磁気分極は、リセット電流やセット電流のような相変化メモリ素子の動作と関連して、第1相変化層56を通過する電流によって発生する磁場あるいはストレージノード100外部から発生する磁場によって反転されない。したがって、磁気抵抗層GM1の抵抗は、結局第1磁性膜58の磁気分極方向によって増大するか低下する。
【0037】
このような磁気抵抗層GM1は、前記巨大磁気抵抗層(GMR)以外に、トンネル磁気抵抗(TMR)層及び超巨大磁気抵抗(CMR)層のうちいずれか一つでありうる。
【0038】
さらに、図2を参照すれば、磁気抵抗層GM1上に第2相変化層66が存在する。第2相変化層66は、第1相変化層56より厚く形成されるか、第1相変化層56と同じ相変化物質層から形成されうる。このような第2相変化層66上に上部電極68が存在する。
【0039】
図3Aは、前述した図2の相変化メモリ素子のストレージノード100をなす下部電極60、下部電極コンタクト層64、第1及び第2相変化層56、66、第1及び第2磁性膜58、62、非磁性膜59、及び上部電極68のうち下部電極60を除外した部分を拡大して示す。
【0040】
図3Aを参照すれば、磁気抵抗層GM1の第1及び第2磁性膜58、62の磁気分極方向A1、A2は、同一である。本発明のメモリ素子は、第1磁性膜58の磁気分極方向A1が第2磁性膜62の磁気分極方向A2と逆の状態(以下、第1状態)を初期状態として有しうる。しかし、本発明のメモリ素子の初期状態を前記第1状態に設定する場合、その設定過程が第1及び第2磁性膜58、62の磁気分極方向A1、A2をいずれも同じ状態(以下、第2状態)を初期状態として設定する時より不便である。
【0041】
具体的に、本発明のメモリ素子が前記第1状態のような初期状態を有するためには、まず、ストレージノード100に第1電流を流すか、または外部磁場に露出させて、第1及び2磁性膜62の磁気分極方向A1、A2を所定の方向(図3Aを基準にして右側)に設定し、次いで、ストレージノード100に前記第1電流と反対方向に第2電流(<第1電流)を流して、第1磁性膜58の磁気分極方向A1を第2磁性膜62の磁気分極方向A2と反対に(図3Aを基準にして左側)設定しなければならない。
【0042】
しかし、本発明のメモリ素子が、図3Aに示すように前記第2状態を初期状態として有するためには、ストレージノード100に単に前記第1電流のみを流すか、または外部磁場に露出させればよい。
【0043】
このように本発明のメモリ素子の初期状態の設定は、本発明のメモリ素子の初期状態が前記第1状態である時より前記第2状態である時の方がもっと簡単なため、本発明のメモリ素子は、初期状態として前記第2状態を有することが望ましく、次善の策で前記第1状態を有しうる。
【0044】
一方、図3Aを参照すれば、磁気抵抗層GM1の厚さHは、第1相変化層56から第2相変化層66までの厚さの5%〜50%程度であり、例えば10nm(100Å)程度でありうる。したがって、第1磁性膜58、非磁性膜59、及び第2磁性膜62は、磁気抵抗層GM1の全体厚さがこのような条件を満足する範囲の厚さを有することができる。例えば、第1及び第2磁性膜58、62は、それぞれ30Å〜50Åの厚さを有することができる。そして、非磁性膜59は、40Å程度の厚さを有することができる。
【0045】
図3Bは、図3Aに示したストレージノード100に対する平面図であるが、これを参照すれば、下部電極コンタクト層64が、上部電極68の中央に位置したことを見ることができる。第1相変化層56、磁気抵抗層GM1、第2相変化層66、及び上部電極68は、順次に積層されたので、図3Bから分かる下部電極コンタクト層64が上部電極68の中央に位置するという事実は、下部電極コンタクト層64が第1相変化層56の中央に接触したということを意味する。
【0046】
一方、下部電極コンタクト層64と第1相変化層56との接触位置は、本発明のメモリ素子の動作に大きく影響を与えない。したがって、下部電極コンタクト層64は、図3Bに示すように、第1相変化層56の中央に接触しなくても良く、図4は、これについての一実施形態を示す。
【0047】
図4Aと図4Bとを合わせて参照すれば、下部電極コンタクト層64は、第1相変化層56の一隅に接触したということが分かる。
【0048】
図5Aは、本発明のメモリ素子のストレージノード100に含まれた第1及び第2磁性膜58、62の磁気履歴特性を示し、図5Bは、軟磁性膜である第1磁性膜58の履歴特性による第1磁性膜58の磁気分極方向の変化を示す。
【0049】
図5Aにおいて、第1グラフG1は、軟磁性膜である第1磁性膜58の磁気履歴特性を示し、第2グラフG2は、硬磁性膜である第2磁性膜62の磁気履歴特性を示す。
【0050】
図5Aで第1及び第2グラフG1、G2を比較すれば、第1グラフG1の保磁力H1cが第2グラフG2の保磁力H2cよりはるかに小さいことが分かる。また、第1グラフG1は、第2グラフG2内に位置し、右側に斜めに傾斜したことが分かる。このような事実は、第2磁性膜62が第1磁性膜58の磁気分極を完全に反転させうる程度の磁場下にあるとしても、第2磁性膜62の磁気分極は反転されないということを意味する。また、第1グラフG1の第1地点1で第1磁性膜58の磁気分極方向は、第2磁性膜62の磁気分極方向と同一である。そして、第1グラフG1の第2地点2で第1磁性膜58の磁気分極方向は、第2磁性膜62の磁気分極方向と反対である。第1グラフG1の第2地点2での第1磁性膜58の状態は、本発明のメモリ素子のストレージノード100にリセット電流を印加した場合と同じである。この際、前記リセット電流によって発生する磁場の強度は、第1磁性膜58の磁気分極を完全に反転させうる飽和磁場の強度より小さい。
【0051】
第1磁性膜58が前記飽和磁場下にある場合、第1磁性膜58の磁気分極状態は、第1グラフG1の下の頂点P1に対応する状態にあるようになる。第1磁性膜58の磁気分極状態が第1グラフG1の下の頂点P1に対応する状態にある時、第1磁性膜58の磁気分極状態は、第1グラフG1の第1地点1に対応する状態、すなわち第2磁性膜62と磁気分極方向と同じ状態に戻らず、第2磁性膜62の磁気分極方向と逆の状態を維持するようになる。
【0052】
しかし、前記のように本発明のメモリ素子のストレージノード100に印加されるリセット電流によって発生する磁場の強度は、前記飽和磁場の強度より小さいので、ストレージノード100に前記リセット電流が印加される間、第1磁性膜58の磁気分極状態は、第1グラフG1の下の頂点P1より上側に位置した第2地点2に対応する状態にある。したがって、前記リセット電流の印加が中断されることで、第1磁性膜58の磁気分極状態は、第1グラフG1の第2地点2から第1地点1に対応する状態に戻る。すなわち、本発明のストレージノード100に印加されるリセット電流が中止すれば、第1磁性膜58の磁気分極方向は、前記リセット電流が印加される前の初期状態に戻って、第1磁性膜58の磁気分極方向は、図5Bのように第2磁性膜62の磁気分極方向と同一になる。図5Cは、第1磁性膜58の磁気分極状態が第1グラフG1の第2地点に対応する状態にある場合、第2磁性膜62の磁気分極方向に対する第1磁性膜58の磁気分極方向を示す。
【0053】
次に、前述した本発明のメモリ素子の動作方法について説明する。
【0054】
図6Aの(a)に示した本発明のメモリ素子のストレージノード100にパルス形態のリセット電流Iresetを所定の時間印加する。リセット電流Iresetが印加される前にストレージノード100は、初期状態にあるとする。すなわち、リセット電流Iresetの印加前に第1及び第2磁性膜58、62の磁気分極方向A1、A2は、同じであるとする。
【0055】
ストレージノード100にリセット電流Iresetが印加されながら第1磁性膜58の磁気分極方向A1は、リセット電流Iresetから発生する磁場の影響で、図6Aの(b)に示すように、第2磁性膜62の磁気分極方向A2と反対となる。
【0056】
リセット電流Iresetから発生する磁場に対する第1磁性膜58のこのような反応は、リセット電流Iresetの印加とほぼ同時に生じるので、前記反応の時間は、リセット電流Iresetの印加時間(数十ナノ秒)よりはるかに短い。これにより、リセット電流の印加によって下部電極コンタクト層64と接触した第1相変化層56の所定領域70がジュール加熱される前に、第1及び第2磁性膜58、62の磁気分極方向A1、A2は、既に反対となる。したがって、第1相変化層56の下部電極コンタクト層64と接触した前記所定領域は第1及び第2磁性膜58、62の磁気分極方向A1、A2が逆の状態でジュール加熱される。
【0057】
このように、第1及び第2磁性膜58、62の磁気分極方向A1、A2が互いに逆の状態で、磁気抵抗層GM1を通過するリセット電流Iresetは、第1磁性膜58で電気抵抗を受け、第2抵抗膜58でも電気抵抗を受ける。
【0058】
具体的に、リセット電流Iresetは、スピン分極が上向きの電子とスピン分極が下向きの電子とを同じ割合で含む。スピン分極が下向きのほとんどの電子は第1磁性膜58を容易に通過するが、スピン分極が上向きの電子のほとんどは、第1磁性膜58の磁気分極状態によって第1磁性膜58を通過できず、反対方向に反射される。
【0059】
一方、第1磁性膜58を通過したスピン分極がダウンである電子のほとんどは、第1磁性膜58と磁気分極方向が反対である第2磁性膜62を通過できず、反対方向に反射される。
【0060】
これにより、磁気抵抗層GM1の電気抵抗は、第1及び第2磁性膜58、62の磁気分極方向A1、A2が同一な場合よりはるかに大きくなる。したがって、リセット電流Iresetの印加によって磁気抵抗層GM1から発生するジュール熱は、磁気抵抗層GM1の位置に相変化層が存在する時より増大する。したがって、本発明のメモリ素子に印加するリセット電流を従来のリセット電流より減らすことができる。
【0061】
このようにリセット電流の印加によって、磁気抵抗層GM1及び第1相変化層56から発生する熱によって、図6Aの(b)に示すように、第1相変化層56の下部電極コンタクト層64と接触した部分は、非晶質領域70となる。
【0062】
リセット電流Iresetによって発生する磁場の強度は、第1磁性膜58の飽和磁場の強度より弱いので、リセット電流Iresetが印加された後、第1磁性膜58の磁気分極方向A1は、図5で説明したように、元の位置に戻って第2磁性膜62の磁気分極方向A2と同一になる。図6Bは、このような結果を示す。
【0063】
前記のように、リセット電流Iresetの印加によって、第1相変化層56の下部電極コンタクト層64と接触した部分に非晶質領域70が存在するようになれば、リセット電流Iresetの印加が完了した後、第1磁性膜58の磁気分極方向A1が第2磁性膜62の磁気分極方向A2と一致しても、ストレージノードの抵抗は、リセット電流Iresetが印加される前と比較して高い状態となる。リセット電流Iresetの印加後にストレージノードの抵抗がこのように高い状態である場合、本発明のメモリ素子にビットデータ「1」が記録されたとみなす。そして、第1及び第2磁性膜58、62の磁気分極方向A1、A2が同一であり、第1相変化層56に非晶質領域70が存在しない場合、本発明のメモリ素子にビットデータ「0」が記録されたとみなす。このようなビットデータ記録に関する内容で、ビットデータ「1」が記録された状態をビットデータ「0」が記録されたとみなすことができ、その反対の場合も可能である。
【0064】
前記のように記録されたビットデータは、次のとおりに読むことが可能である。
【0065】
具体的に、トランジスタをまずオン状態に維持する。次いで、下部電極60と上部電極68との間に所定の読み出し電圧を印加して、ストレージノード100の抵抗を測定する。測定された抵抗を基準抵抗と比較する。比較結果、前記測定された抵抗が前記基準抵抗より大きい時、ビットデータ「1」を読んだとみなす。そして、前記比較結果、前記測定された抵抗が前記基準抵抗より小さい時、ビットデータ「0」を読んだとみなす。
【0066】
消去は、トランジスタをオン状態に維持した状態でストレージノード100にセット電流を印加することによって達成できる。この時、前記セット電流は、リセット電流より小さい。しかし、前記セット電流の印加時間は、リセット電流Iresetの印加時間より長い。ストレージノード100に非晶質領域70が存在する場合、前記セット電流が印加されて発生する熱によって、非晶質領域70は元の結晶質領域となる。
【0067】
このように消去過程でセット電流が印加されることによって、第1磁性膜56の磁気分極方向が反転して第1相変化層56と共に磁気抵抗層GM1に熱が発生するので、前記リセット電流Iresetの印加時と類似した原理でセット電流を減らすことができる。
【0068】
次に、本発明者は、前述した本発明のメモリ素子でリセット電流の減少を確認するためのシミュレーションを実施した。
【0069】
前記シミュレーションにおいて、本発明者は、本発明のメモリ素子のストレージノードの下部電極コンタクト層64が第1相変化層56の中央でなく、図4に示すように、第1相変化層56のある一隅に位置するように設定した。また、前記シミュレーションにおいて、図4に示したストレージノードの第1及び第2相変化層56、66と磁気抵抗層GM1とを、GST層と所定の巨大磁気抵抗効率を有する10nmのストリップとに代替した。また、本発明者は、このように設定された本発明のストレージノードの比較対象として、従来のストレージノードは、上部及び下部電極の間にGST層のみを備えるように設定した。
【0070】
本発明者は、前記のように設定された本発明のストレージノードと従来のストレージノードとを利用したシミュレーションを実施するに当って、巨大磁気抵抗効率の変化によるリセット電流の変化を観察するために、前記シミュレーションを第1及び第2シミュレーションに分けて実施した。
【0071】
前記第1シミュレーションで、本発明のストレージノードの巨大磁気抵抗効率を30%程度に設定し、他の条件は、前記第2シミュレーションと同一にした状態でリセット電流を測定した。そして、前記第2シミュレーションでは、巨大磁気抵抗効率を50%程度に設定し、他の条件は、前記第1シミュレーションと同一にした状態でリセット電流を測定した。
【0072】
下記の表1は、前記第1及び第2シミュレーションの結果を示す。
【0073】
【表1】

【0074】
表1で分かるように、前記第1及び第2シミュレーションの何れも従来のストレージノードより本発明のストレージノードのリセット電流が小さかった。また、本発明のストレージノードのみ考慮する時、前記第1シミュレーションより前記第2シミュレーションでリセット電流が小さかった。
【0075】
このような結果から、従来の相変化メモリ素子のリセット電流より本発明の相変化メモリ素子のリセット電流が小さいということが分かる。また、本発明の相変化メモリ素子のみ考慮すれば、ストレージノードの巨大磁気抵抗効率が高いときにリセット電流が小さくなるということが分かる。
【0076】
次に、前述した本発明のメモリ素子の製造方法について説明する。
【0077】
図7を参照すれば、基板40に素子が形成される活性領域と素子が形成されていないフィールド領域とを設定する。基板40は、例えば、p型導電性不純物が注入されたシリコン基板で形成できる。前記フィールド領域に素子分離のためのフィールド酸化膜(図示せず)を形成する。基板40の前記活性領域の所定領域上に、ゲート酸化膜42とゲート電極44とを順次に形成する。次いで、ゲート電極44をマスクとして、前記活性領域に基板40にドーピングされた不純物と逆の極性の導電性不純物、例えばn型不純物をドーピングする。このようにして、ゲート電極44を挟んで第1及び第2不純物領域S1、D1が形成される。第1及び第2不純物領域S1、D1は、LDD(Lightly Doped Drain)形態で形成しても良い。第1及び第2不純物領域S1、D1のうち一つはソース領域であり、残りの一つはドレイン領域でありうる。これにより、基板40に電界効果トランジスタが形成される。このような電界効果トランジスタは、スイッチング素子の一つであり、他のスイッチング素子、例えばダイオードなどに代替されても良い。
【0078】
次に、基板40上に前記トランジスタを覆う第1層間絶縁層46を形成した後、第1層間絶縁層46に第1不純物領域S1が露出されるコンタクトホール48を形成する。コンタクトホール48は、第1不純物領域S1の代わりに、第2不純物領域D1が露出される位置に形成しても良い。第1層間絶縁層46上にコンタクトホール48を満たす導電性物質(図示せず)を積層した後、前記導電性物質の上面を第1層間絶縁層46が露出されるまで平坦化する。これにより、コンタクトホール48に導電性プラグ50が充填される。
【0079】
次に、図8を参照すれば、第1層間絶縁層46上に導電性プラグ50の露出された上面を覆う下部電極60を形成する。次いで、第1層間絶縁層46上に下部電極60を覆う第2層間絶縁層61を形成する。第2層間絶縁層61は、第1層間絶縁層46と同じ物質で形成できる。
【0080】
次に、図9に示すように、第2層間絶縁層61に下部電極60が露出されるビアホ―ルh2を形成した後、ビアホ―ルh2を下部電極コンタクト層64で満たす。下部電極コンタクト層64は、例えばTiN層あるいはTiAlN層で形成でき、他の導電層で形成しても良い。下部電極コンタクト層64を形成する過程で、下部電極コンタクト層64の上面は、必要に応じて凹型または平坦に形成できる。
【0081】
次に、図10を参照すれば、第2層間絶縁層61の上面に下部電極コンタクト層64の露出された面を覆う第1相変化層56を形成する。第1相変化層56は、例えばGST層から形成できる。第1相変化層56上に第1磁性膜58、非磁性膜59、及び第2磁性膜62を順次に形成する。第1及び第2磁性膜58、62は、強磁性膜であって、本発明のメモリ素子の説明で記載したように磁性物質膜から形成できる。非磁性膜59も本発明のメモリ素子の説明で記載した通りである。第1磁性膜58、非磁性膜59、及び第2磁性膜62は、磁気抵抗層を形成する。前記磁気抵抗層は、第1相変化層56から後述する第2相変化層66までの厚さの5%〜50%程度の厚さに形成できるが、例えば10nm程度の厚さに形成することができる。したがって、第1及び第2磁性膜58、62と非磁性膜59との厚さは、このような条件を勘案して決定できる。また、前記磁気抵抗層は、前記のように巨大磁気抵抗層で形成しても良いが、トンネル磁気抵抗(TMR)層及び超巨大磁気抵抗(CMR)層のうちいずれか一つで形成しても良い。
【0082】
第2磁性膜62を形成した後、第2磁性膜62の上面に第2相変化層66を形成する。第2相変化層66は、第1相変化層56と同じ物質層で形成できる。第2相変化層66は、第1相変化層56より厚く形成できる。第2相変化層66の上面には、上部電極68を形成する。そして、上部電極68の所定領域上に感光膜パターンMを形成する。感光膜パターンMは、ストレージノードが形成される領域を限定する。次いで、感光膜パターンMをエッチングマスクとして上部電極68の露出された部分をエッチングする。前記エッチングは、第2層間絶縁層61が露出されるまで実施する。この結果、図11に示すように、感光膜パターンMの回りで第1及び第2相変化層56、66、第1及び第2磁性膜58、62、非磁性膜59、上部電極68が除去され、これらの物質層(膜)は、感光膜パターンMの下方にのみ残る。前記エッチング後には、感光膜パターンMを除去する。これにより、第2層間絶縁層61上に下部電極コンタクト層64を覆い、磁気抵抗層GM1を含むストレージノード100が形成される。
【0083】
一方、前記ストレージノード100は、図12に示したストレージノード200に代替することができる。
【0084】
図12を参照すれば、ストレージノード200は、下部電極60の所定領域上に第1相変化層56、第1磁性膜58、非磁性膜59、第2磁性膜62、及び第2相変化層66が順次に積層されて形成された積層物SS1があり、この積層物SS1の回りの下部電極60上に絶縁層80が存在し、絶縁層80上には、積層物SS1を覆う上部電極68が存在する。
【0085】
このような構成を有するストレージノード200は、次のような過程によって形成することができる。
【0086】
具体的に、第1層間絶縁層46上に下部電極60を覆う第1相変化層56、第1磁性膜58、非磁性膜59、第2磁性膜62、及び第2相変化層66を順次に積層する。第2相変化層66上に感光膜パターン(図示せず)を形成する。この時、前記感光膜パターンは、下部電極60上に形成された第2相変化層66の一部領域を限定するように形成する。このような感光膜パターンをエッチングマスクとして使用して第2相変化層66の露出された部分をエッチングし、続いて層別にエッチング条件を変更して第2磁性膜62、非磁性膜59、第1磁性膜58、及び第1相変化層56の順にエッチングする。このように、前記エッチングは、下部電極60が露出され、前記感光膜パターンの回りで第1相変化層56、第1磁性膜58、非磁性膜59、第2磁性膜62、及び第2相変化層66が除去されるまで実施する。前記エッチングが完了した後、前記感光膜パターンを除去する。
【0087】
これにより、下部電極60上に、図12に示すような積層物SS1が形成される。
【0088】
前記のように積層物SS1を形成した後、第1層間絶縁層46上に下部電極60と積層物SS1とを覆う絶縁層80を積層物SS1より厚く形成する。次いで絶縁層80の上面を積層物SS1が露出されるまで研磨する。前記研磨によって積層物SS1が露出されれば、研磨された絶縁層80上に積層物SS1の露出された部分を覆う上部電極68を形成する。その後、上部電極68上に積層物SS1を覆う感光膜パターン(図示せず)を形成し、これをエッチングマスクとして上部電極68の露出された部分をエッチングする。このエッチングは、下部電極60が露出されるまで実施する。このようなエッチング後に前記感光膜パターンを除去する。
【0089】
これにより、図12に示すようなストレージノード200が完成する。図12のストレージノード200で、第1磁性膜58、非磁性膜59、及び第2磁性膜62は、磁気抵抗層を形成するが、この磁気抵抗層は、図10を参照して説明したような厚さ条件を満足し、巨大磁気抵抗層、トンネル磁気抵抗層、及び超巨大磁気抵抗層のうちいずれか一つでありうる。
【0090】
前記の説明で多くの事項が具体的に記載されているが、これらは発明の範囲を限定するものというより、望ましい実施形態の例示として解釈されなければならない。例えば、当業者ならば、ストレージノードを前述したところと異なって構成することができる。また、第1及び第2磁性膜58、62として、前述した磁性物質以外に他の物質を使用することができる。また、第1磁性膜58を第1相変化層56の上面全体に形成せず、上面の一部領域上にのみ形成し、上面の残りは、絶縁層で覆うことも可能である。第2磁性膜62も非磁性膜59の上面の一部領域上にのみ形成することができる。したがって、本発明の範囲は、説明された実施形態によって定められるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的思想によって定められなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、半導体メモリ素子関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】従来技術による相変化メモリ素子のストレージノードとリセット電流が印加される時の変化とを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による磁気抵抗効果を利用した相変化メモリ素子の断面図である。
【図3A】図2の相変化メモリ素子におけるストレージノードを拡大した図面である。
【図3B】図2の相変化メモリ素子におけるストレージノードを拡大した図面である。
【図4A】図2の相変化メモリ素子におけるスイッチング素子に対するストレージノードの連結位置が異なる場合を示す図面である。
【図4B】図2の相変化メモリ素子におけるスイッチング素子に対するストレージノードの連結位置が異なる場合を示す図面である。
【図5A】図2の相変化メモリ素子のストレージノードに含まれた磁気抵抗層の履歴特性を示すグラフである。
【図5B】前記履歴特性と関連して磁気抵抗層中の下部磁性膜の磁気分極の変化を示す断面図である。
【図5C】前記履歴特性と関連して磁気抵抗層中の下部磁性膜の磁気分極の変化を示す断面図である。
【図6A】図2の相変化メモリ素子の動作方法を示す断面図である。
【図6B】図2の相変化メモリ素子の動作方法を示す断面図である。
【図7】図2の相変化メモリ素子の製造方法を段階別に示す断面図である。
【図8】図2の相変化メモリ素子の製造方法を段階別に示す断面図である。
【図9】図2の相変化メモリ素子の製造方法を段階別に示す断面図である。
【図10】図2の相変化メモリ素子の製造方法を段階別に示す断面図である。
【図11】図2の相変化メモリ素子の製造方法を段階別に示す断面図である。
【図12】図2の相変化メモリ素子で、ストレージノードの変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0093】
40 基板
42 ゲート酸化膜
44 ゲート電極
46 第1層間絶縁層
48 コンタクトホール
50 導電性プラグ
56 第1相変化層
58 第1磁性膜
59 非磁性膜
60 下部電極
61 第2層間絶縁層
62 第2磁性膜
64 下部電極コンタクト層
66 第2相変化層
68 上部電極
70 非晶質領域
80 絶縁層
100、200 ストレージノード
G1、G2 第1及び第2グラフ
GM1 磁気抵抗層
h2 ビアホ―ル
H1c、H2c 保磁力
Ireset リセット電流パルス
S1、D1 第1及び第2不純物領域
SS1 積層物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に備えられたスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に連結されたストレージノードと、を備え、
前記ストレージノードは、
前記スイッチング素子に連結された下部電極と、
前記下部電極上に形成された第1相変化層と、
前記第1相変化層上に形成された磁気抵抗層と、
前記磁気抵抗層上に形成された第2相変化層と、
前記第2相変化層上に形成された上部電極と、を備えることを特徴とする相変化メモリ素子。
【請求項2】
前記下部電極と前記第1相変化層との間に下部電極コンタクト層がさらに備えられたことを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ素子。
【請求項3】
前記磁気抵抗層の厚さは、前記第1相変化層から前記第2相変化層までの厚さの5%〜50%であることを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ素子。
【請求項4】
前記磁気抵抗層は、
前記第1相変化層上に備えられた第1磁性膜と、
前記第1磁性膜上に備えられた非磁性膜と、
前記非磁性膜上に備えられ、前記第1磁性膜より保磁力の大きい第2磁性膜と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ素子。
【請求項5】
前記第1相変化層、前記磁気抵抗層、及び前記第2相変化層は、前記下部電極の上面の一部領域上に順次に積層されており、前記下部電極の上面の残りは、絶縁層で覆われたことを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ素子。
【請求項6】
前記上部電極は、前記第2相変化層を覆うように前記絶縁層上に備えられたことを特徴とする請求項5に記載の相変化メモリ素子。
【請求項7】
前記下部電極コンタクト層は、前記第1相変化層の中央からずれた位置に接触したことを特徴とする請求項2に記載の相変化メモリ素子。
【請求項8】
前記第1磁性膜は、強磁性膜であり、Co膜、Fe膜、NiFe膜、及びCoFe膜からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ素子。
【請求項9】
前記非磁性膜は、相変化物質膜、銅膜(Cu)及びクロム膜(Cr)からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ素子。
【請求項10】
前記第2磁性膜は、強磁性膜であり、SmCo膜、SmFe膜、NdFeB膜、及びNdFe膜からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ素子。
【請求項11】
前記磁気抵抗層は、巨大磁気抵抗(GMR)層、トンネル磁気抵抗(TMR)層、及び超巨大磁気抵抗(CMR)層からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の相変化メモリ素子。
【請求項12】
請求項1に記載の相変化メモリ素子の動作方法において、
前記トランジスタをオン状態に維持する段階と、
前記下部電極と前記上部電極との間に電圧を印加する段階と、を含むことを特徴とする相変化メモリ素子の動作方法。
【請求項13】
前記電圧は、前記上部及び下部電極間にリセット電流を流すための書き込み電圧であることを特徴とする請求項12に記載の相変化メモリ素子の動作方法。
【請求項14】
前記電圧は、前記上部及び下部電極間にセット電流を流すための消去電圧であることを特徴とする請求項12に記載の相変化メモリ素子の動作方法。
【請求項15】
前記電圧は、前記ストレージノードの抵抗を測定して、前記ストレージノードに記録されたデータを読むために印加する読み出し電圧であることを特徴とする請求項12に記載の相変化メモリ素子の動作方法。
【請求項16】
前記読み出し電圧を印加して前記ストレージノードの抵抗を測定する段階と、
前記測定された抵抗を基準抵抗と比較する段階と、
前記比較結果によって、前記ストレージノードに記録されたデータを1または0と判読する段階と、をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の相変化メモリ素子の動作方法。
【請求項17】
基板にスイッチング素子を形成する段階と、
前記基板上に前記スイッチング素子を覆う第1層間絶縁層を形成する段階と、
前記第1層間絶縁層に前記スイッチング素子が露出されるコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに導電性プラグを満たす段階と、
前記第1層間絶縁層上に前記導電性プラグを覆う下部電極を形成する段階と、
前記第1層間絶縁層上に前記下部電極を覆う第2層間絶縁層を形成する段階と、
前記第2層間絶縁層に前記下部電極が露出されるビアホ―ルを形成し、前記ビアホ―ルを下部電極コンタクト層で満たす段階と、
前記第2層間絶縁層上に下部電極コンタクト層を覆う第1相変化層、磁気抵抗層、第2相変化層、及び上部電極を順次に積層する段階と、を含むことを特徴とする相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項18】
前記第1相変化層は、前記下部電極コンタクト層が前記第1相変化層の中央からずれた位置で前記第1相変化層と接触するように形成することを特徴とする請求項17に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項19】
前記磁気抵抗層は、前記第1相変化層上に第1磁性膜、非磁性膜、及び第2磁性膜を順次に積層して形成することを特徴とする請求項17に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項20】
前記第1磁性膜は、強磁性膜であり、Co膜、Fe膜、NiFe膜、及びCoFe膜からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項19に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項21】
前記非磁性膜は、相変化物質膜、銅膜(Cu)及びクロム膜(Cr)からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項19に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項22】
前記第2磁性膜は、強磁性膜であり、SmCo膜、SmFe膜、NdFeB膜、及びNdFe膜からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項19に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項23】
前記磁気抵抗層は、前記第1相変化層から前記第2相変化層までの厚さの5%〜50%程度の厚さに形成することを特徴とする請求項19に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項24】
前記磁気抵抗層は、巨大磁気抵抗(GMR)層、トンネル磁気抵抗(TMR)層、及び超巨大磁気抵抗(CMR)層からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項17に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項25】
基板にスイッチング素子を形成する段階と、
前記基板上に前記スイッチング素子を覆う第1層間絶縁層を形成する段階と、
前記第1層間絶縁層に前記スイッチング素子が露出されるコンタクトホールを形成し、前記コンタクトホールに導電性プラグを満たす段階と、
前記第1層間絶縁層上に前記導電性プラグを覆う下部電極を形成する段階と、
前記下部電極の上面の一部領域上に第1相変化層、磁気抵抗層、及び第2相変化層を順次に積層する段階と、
前記第1層間絶縁層上に前記下部電極を覆い、前記第1相変化層、磁気抵抗層、及び第2相変化層を覆う絶縁層を形成する段階と、
前記絶縁層の上面を前記第2相変化層が露出されるまで研磨する段階と、
前記研磨された絶縁層上に前記第2相変化層を覆う上部電極を形成する段階と、を含むことを特徴とする相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項26】
前記第1相変化層は、前記下部電極が前記第1相変化層の中央からずれた位置で前記第1相変化層と接触するように形成することを特徴とする請求項25に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項27】
前記磁気抵抗層は、前記第1相変化層上に第1磁性膜、非磁性膜、及び第2磁性膜を順次に積層して形成することを特徴とする請求項25に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項28】
前記第1磁性膜は強磁性膜であり、Co膜、Fe膜、NiFe膜、及びCoFe膜からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項27に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項29】
前記非磁性膜は、相変化物質膜、銅膜(Cu)及びクロム膜(Cr)からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項27に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項30】
前記第2磁性膜は、強磁性膜であり、SmCo膜、SmFe膜、NdFeB膜、及びNdFe膜からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項27に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項31】
前記磁気抵抗層は、第1相変化層から前記第2相変化層までの厚さの5%〜50%程度の厚さに形成することを特徴とする請求項25に記載の相変化メモリ素子の製造方法。
【請求項32】
前記磁気抵抗層は、巨大磁気抵抗(GMR)層、トンネル磁気抵抗(TMR)層、及び超巨大磁気抵抗(CMR)層からなる群から選択されたいずれか一つであることを特徴とする請求項25に記載の相変化メモリ素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−103945(P2007−103945A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272134(P2006−272134)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】