説明

神経変性障害の治療のためのチアゾール・スルホンアミド化合物

本発明は、式(I)の化合物(式中、R1,R2,R3,R4,m,n及びpは定義されたものである。)に関する。式(I)の化合物はAβペプチドの生産を阻害する活性を有する。本発明は、式(I)の化合物を含む、哺乳動物における、疾患、例えば、神経変性疾患、例えば、アルツハイマー病の治療用組成物又は治療方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における神経変性及び/又は神経学的障害、例えば、アルツハイマー病の治療に関する。本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、アミロイド蛋白の神経学的沈着の形成に寄与しうるAβペプチドの生産を阻害することにも関する。より特に、本発明は、例えば、Aβペプチド生産に関係する、神経変性及び/又は神経学的障害、例えば、アルツハイマー病の治療に有用なチアゾール・スルホンアミド化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
痴呆は、多種多様な別個の病理学的プロセスから生じる。痴呆を引き起こす最も一般的な病理学的プロセスは、アルツハイマー病(AD)、脳アミロイド脈管障害(CAA)、及びプリオン仲介疾患である(例えば、Haan et al. Clin. Neurol Neurosurg. 1990, 92(4): 305-310; Glenner et al. J Neurol. Sci. 1989, 94: 1-28を参照のこと)。ADは、米国集団の最も急速に増加する部分である85歳を過ぎた全人口の約半数に罹患している。このように、米国におけるAD患者の数は、来世紀の中ごろまでには、約400万から約1400万人に増加すると見込まれる。ADの治療は、典型的には、付添い家族により提供されるサポートである。規則的な刺激記憶訓練は、記憶損失を停止はしないが、遅らせることが示されている。ほんの僅かな医薬、例えば、アリセプト(登録商標)は、ADの治療を提供する。
【0003】
ADの顕著な特徴は、アミロイド斑といわれる細胞外不溶性沈着物の脳内の蓄積と、神経原繊維錯綜といわれる神経細胞内の異常な病変である。増加したプラーク形成は、ADの高まったリスクに関連する。実際、神経原繊維錯綜とともにある、アミロイド斑の存在は、ADの決定的な病理学的診断の基礎である。
【0004】
アミロイド斑の主要成分は、Aβ1-40,Aβ1-42、及びAβ1-43ペプチドと命名された、それぞれ、40,42又は43個のアミノ酸をもつ3つのタンパク質から成る、AβペプチドともいわれるアミロイドAβペプチドである。Aβペプチドは、それらが、インビトロ及びインビボにおいてニューロンに対して毒性であるということを、部分的な原因として、神経細胞の破壊を引き起こすと考えられている。
【0005】
Aβペプチドは、APP695,APP714,APP751、及びAPP771とそれぞれ命名された695,714,751又は771個のアミノ酸を含む4つのタンパク質から成る、より大きなアミロイド前駆体タンパク質(APPタンパク質)から誘導される。プロテアーゼが、各種APPタンパク質内の特異的アミノ酸配列を開裂させることにより、Aβペプチドを生産すると信じられている。上記プロテアーゼは、「セクレターゼ(Secretases)」と命名される。なぜなら、それらが生産するAβペプチドは、細胞により細胞外環境に分泌されるからである。これらのセクレターゼは、各々、Aβペプチドを生産するためにそれらが作り出す開裂に従って命名される。Aβペプチドのカルボキシル末端を形成するセクレターゼはガンマ−セクレターゼといわれる(Haass, C. and Salkoe, D.J. 1993 Cell 75: 1039-1042)。
【0006】
本発明は、Aβペプチド生産を阻害する新規チアゾール・スルホンアミド化合物に、当該化合物を含む医薬組成物に、そして神経変性及び/又は神経学的障害を治療するための当該化合物の使用方法に関する。
【発明の開示】
【0007】
本発明の要約
本発明は、以下の式(I):
【化1】

{式中、
1)R1は、(C6−C4)アリール、又は−(5−14員)ヘテロアリールであり、ここで、当該アリールとヘテロアリールは、各々場合により、1以上の(C0−C4アルキレン)−R13で置換され;
【0008】
2)R2とR3は、独立に、−H、直鎖又は分枝C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C8シクロアルキル、C6−C14アリール、及び(5−14員)ヘテロアリールから成る群から選択され、ここで、当該アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、各々場合により、−F,−Cl,−Br,−OH、C1−C4アルコキシ、及び−S−(C1−C4)アルキルから成る群から選択される置換基で置換され、そしてここで、当該アリールとヘテロアリールは、各々場合により、1以上の(C0−C4アルキレン)−R13で置換され;又はR2とR3は一緒になってC3−C8シクロアルキルを形成し;
【0009】
3)R4は、C6−C14アリール又は1以上の(C0−C4アルキレン)−R13で置換された(5−14員)ヘテロアリールであり;
4)R5とR6は、独立に、−H,−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−NO2,−C(=O)NR910,−C(=O)OR10,−NR910,−NR9C(=O)R10,−NR9C(=O)OR10、及びNR9C(=O)NR910から成る群から選択され;又はR5とR6は、独立に、直鎖又は分枝C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、(C0−C6アルキレン)−(C3−C12シクロアルキル)、又は(C0−C6アルキレン)−(C3−C12ヘテロシクロアルキル)であり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロアルキルは、各々、場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R7で置換され;又はR5とR6は、独立に、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)又は(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)であり、ここで、当該アリールとヘテロアリールは、各々、独立に、1以上のR7で置換され、そして当該アルキレンは、場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R8で置換され;又はR5とR6は、上記チアゾール環の隣接炭素原子に結合するとき、一緒になって、(4−8員)シクロアルキル、(4−8員)−ヘテロシクロアルキル、又はC6−C10アリールを形成し、ここで、上記シクロアルキルとヘテロアルキルは、各々、1以上の(C0−C6アルキレン)−R8、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)、及び(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)で置換され、ここで、当該アリール又はヘテロアリールは、各々、場合により、1以上のR7で置換され;
【0010】
5)Zは、単結合又は直鎖又は分枝C1−C6アルキルであり、ここで、当該アルキルの各水素原子は、場合により、独立に、フッ素で置換され;
6)R7は、−F,−Cl,−Br,−OH,−CN,−CHO,−NO2,−NR910,−NR9C(=O)R10,−NR9C(=O)NR910,−NR9C(=O)OR10,−OC(=O)−R9,−OC(=O)NR910,−C(=O)NR910,−C(=O)OR10,−SO2NR910、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C3−C8シクロアルキル、−C3−C8ヘテロシクロアルキル、−C1−C6アルコキシ、−(C6−C14)アリールオキシ、−(5−14員)ヘテロアリールオキシ、−(C0−C4アルキレン)−(C6−C14)アリール、又は−(C0−C4アルキレン)−(5−14員)ヘテロアリールであり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルは、各々、場合により、1以上のR8で置換され、そしてここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びアルコキシの各水素原子は、場合により、独立に、フッ素で置換され;
【0011】
7)R8は、−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−OR9,−OC(=O)−R9,−OC(=O)NR910,−NO2,−NR910,−NR9C(=O)R10,−NR9C(=O)NR910,−NR9C(=O)OR10,−C(=O)NR910,−SO2NR910,−C(=O)R10、又は、−C(=O)OR10であり;
8)R9とR10は、−H、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C1−C6アルキニル、−(C0−C4アルキレン)−(C3−C8シクロアルキル)、−(C0−C4アルキレン)−(C6−C14アリール)、−(C0−C4アルキレン)−(3−8員ヘテロシクロアルキル)、又は−(C0−C4アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)であり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールは、各々、場合により、独立に、−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−OH,−NO2,−NR1112,−C(=O)NR1112,−C(=O)R11,−C(=O)OR12,−SO2NR1112、−C1−C6アルキル、−C1−C6アルコキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−(C0−C4)−(C6−C14)アリール)、及び−(C0−C4)−(5−14員ヘテロアリール)から成る群から独立に選択される1以上の置換基で置換され;又はR9とR10は、窒素原子とともに、4〜8員のヘテロシクロアルキル残基を形成し、ここで、当該ヘテロシクロアルキルは、場合により、−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−OH,−NO2,−NR1112,−C(=O)OR1112,−C(=O)R11,−C(=O)OR12,−SO2NR1112、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C1−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C3−C8シクロアルキル、C3−C8ヘテロシクロアルキル、C4−C10アリール、及び5−14員ヘテロアリールから成る群から選ばれる1以上の置換基で置換され、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールは、各々、場合により、F,−Cl,−Br,−CN,−OR11,−OC(=O)−R11,−OC(=O)NR1112,−NO2,−NR1112,−NR11C(=O)R12,−NR11C(=O)NR1112,−NR11C(=O)OR12,−C(=O)NR1112,−SO2NR1112,−C(=O)R11又は−C(=O)OR11で置換され;
【0012】
9)R11とR12は、水素、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C8シクロアルキル、4−8員ヘテロシクロアルキル、C6−C14アリール又は5−14員ヘテロアリールであり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールは、各々、場合により、独立に、−OH、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F,−Cl,−Br,−I,−CN,−NO2,−CF3,−NH2、−NH(C1−C6アルキル)、−N(C1−C6アルキル)2、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(C1−C6アルキル)、−C(=O)N(C1−C6アルキル)2、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C6アルキル)、−SO2N(C1−C6アルキル)2、−C(=O)H、−C(=O)OH、及び−C(=O)O(C1−C6アルキル)から成る群から独立に選ばれる1〜3個の置換基で置換され、ここで、当該アルキル、アルケニル、及びアルキニル置換基は、各々、場合により、独立に、1〜6個のフッ素原子でさらに置換され;又はR11とR12は、一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、当該へテロシクロアルキルは、場合により、独立に、−OH、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキルオキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F,−Cl,−Br,−I,−CN,−NO2,−CF3,−NH2、−NH(C1−C6アルキル)、−N(C1−C6アルキル)2、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(C1−C6アルキル)、−C(=O)N(C1−C6アルキル)2、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C6アルキル)、−SO2N(C1−C6アルキル)2、−C(=O)H、−C(=O)OH、及び−C(=O)O(C1−C6アルキル)から成る群から独立に選ばれる1〜3個の置換基で置換され、ここで、当該アルキル、アルケニル、及びアルキニル置換基は、各々、場合により、独立に、さらに1〜6個のフッ素原子で置換され;そして
【0013】
10)R13は、−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−OH,−NO2,−NR1112,−C(=O)NR1112,−C(=O)R11,−C(=O)OR12,−SO2NR1112、−C1−C6アルキル、−C1−C6アルコキシ、−C3−C8シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、C8−C10アリール、又は5−14員ヘテロアリールであり、ここで、当該アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルの各水素原子は、場合により、独立に、フッ素で置換される。}で表される化合物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の詳細な説明
本発明は、基が以下の意味をもつところの上記構造式(I)を有する化合物に関する。
本明細書中、用語「ハロゲン」は、別段の定めなき限り、F,Cl,Br、及びIを含む。
【0015】
本明細書中、用語「アルキル」は、別段の定めなき限り、直鎖又は分枝成分をもつ飽和1価炭化水素基を含む。アルキル基の例は、非制限的に、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、及びt−ブチルを含む。
【0016】
本明細書中、用語「アルケニル」は、別段の定めなき限り、アルキルが先に定義したものである場合に、少なくとも1つの炭素−炭素2重結合をもつアルキル成分を含む。アルケニルの例は、非制限的に、エテニル、及びプロペニルを含む。
【0017】
本明細書中、用語「アルキニル」は、別段の定めなき限り、アルキルが先に定義したものである場合に、少なくとも1つの炭素−炭素3重結合をもつアルキル成分を含む。アルキニル基の例は、非制限的に、エチニル又は2−プロピニルを含む。
【0018】
本明細書中、用語「シクロアルキル」は、別段の定めなき限り、アルキルが先に定義したものである場合に、1以上の環から成る非芳香族飽和環状アルキル成分であって、当該環は(2以上である場合)少なくとも1つの炭素原子を共有するものを含む。シクロアルキルの例は、非制限的に、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ−〔3.1.0〕−ヘキシル、ビシクロ−〔2.2.1〕−へプチ−1−ル、ノルボルニル、スピロ〔4.5〕デシル、スピロ〔4.4〕ノニル、スピロ〔4.3〕オクチル、スピロ〔4.2〕ヘプチル、及びアダマンタニルを含む。
【0019】
本明細書中、用語「アリール」は、別段の定めなき限り、1つの水素の除去により芳香族炭化水素から誘導される有機基、例えば、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、及びフルオレニルを含む。「アリール」は、少なくとも1つの環が芳香族であるところの縮合環基を包含する。
【0020】
本明細書中、用語「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクロアルキル」等は、1以上の環から成る非芳香族環状基であって、当該環は(2以上である場合に)1つ又は2つの原子を共有し、そして各環は4個までの複素原子(すなわち、0から4までの複素原子、但し少なくとも1の環は少なくとも1つの複素原子を含む)を含むものをいう。本発明のヘテロシクリル基は、複素原子として、1以上のO,S(O)0-2、及び/又はN−R9(ここで、R9は先に定義したものである)で置換された環系をも含み、ここで、S(O)0-2の添字「0−2」は、0,1、及び2から成る整数群を表す。従って、S(O)0-2は、S,S(=O)、及びS(O)2から成る基を表す。非芳香族複素環式基の例は、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピロリニル、インドーリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ〔3.1.0〕ヘキサニル、3−アザビシクロ〔4.1.0〕ヘプタニル、キノリジニル、キヌクリジニル、1,4−ジオキサスピロ〔4.5〕デシル、1,4−ジオキサスピロ〔4.4〕ノニル、1,4−ジオキサスピロ〔4.3〕オクチル、及び1,4−ジオキサスピロ〔4.2〕ヘプチルである。
【0021】
本明細書中、用語「ヘテロアリール」とは、1以上の複素原子(O,S又はN)、好ましくは0から4までの複素原子を含む芳香族基をいう。基の内の少なくとも1つの環が「ヘテロアリール」基であるところの1以上の複素原子を含む多環基。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、ピリダジニル、イミダゾールイル、ピリミジニル、ピラゾールイル、トリアゾールイル、ピラジニル、キノールイル、イソキリールイル、1,2,3,4−テトラヒドロキノールイル、テトラゾールイル、フリール、チエニル、イソキサゾールイル、チアゾールイル、オキサゾールイル、イソチアゾールイル、ピロールイル、インドールイル、ベンズイミダゾールイル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾールイル、インドリジニル、フタラジニル、トリアジニル、1,2,4−トリアジニル、1,3,5−トリアジニル、イソインドールイル、1−オキソイソインドールイル、プリニル、オキサジアゾールイル、チアジアゾールイル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾトリアゾールイル、ベンゾチアゾールイル、ベンゾキサゾールイル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロキノールイル、テトラヒドロキノールイル、ジヒドロイソキノールイル、テトラヒドロイソキノールイル、ベンゾフリール、フロピリジニル、ピロロピリミジニル、及びアザインドールイルである。
【0022】
式(I)の化合物は、光学中心を有し、そしてそれゆえ、異なるエナンチオマー、ジアステレオマー、及びメソ立体配置で存在しうる。本発明は、式(I)の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、その他の立体異性体、並びにそれらのラセミ体その他の混合物の全てを含む。本発明は、式(I)の互変異性体の全ても含む。
【0023】
式(I)の化合物の塩は、式(I)の化合物上に存在する酸性又は塩基性基と塩を形成することにより得られうる。本発明は、式(I)の化合物の医薬として許容される塩の全てを含む。
【0024】
式(I)の化合物は、光学中心をもつことができ、そしてそれゆえ異なるエナンチオマー、及びジアステレオマーで存在しうる。本発明は、式(I)の化合物のエナンチオマー、ジアステレオマー、その他の立体異性体、並びにそれらのラセミ体その他の混合物の全てを含む。
【0025】
本発明の式(I)の化合物が塩基性基を含む限り、それらは、さまざまな無機及び有機酸と酸付加塩を形成しうる。本発明は、式(I)の化合物の医薬として許容される酸付加塩にも関する。本発明の上記塩基性化合物の医薬として許容される酸付加塩を製造するために使用される酸は、非毒性酸付加塩、すなわち、医薬として許容されるアニオンを含む塩、例えば、塩酸塩、臭化水素塩、ヨウ化水素塩、硝酸塩、硫酸塩、又は2硫酸塩、リン酸塩又は酸リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩又は酸クエン酸塩、酒石酸塩又は2酒石酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、糖酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、パモ酸(すなわち、1,1′−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩を形成するものである。本発明の化合物の医薬として許容される塩の他の例は、サリチル酸、シュウ酸、ジ−p−トルオイル酒石酸、マンデル酸とナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びリチウムとの塩である。
【0026】
本発明は、式(I)に記載するものと同一であるが1以上の原子が天然に通常存在する原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数をもつ原子で置換されている同位体標識化合物をも含む。本発明の化合物内に取り込まれることができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素、及びヨウ素の同位体、例えば、それぞれ、2H,3H,13C,11C,14C,15N,18O,17O,18F,123I、及び125Iを含む。本発明の式(I)の化合物、そのプロドラッグ、当該化合物又はプロドラッグの医薬として許容される塩、並びに上記同位体及び/又は他の同位体を含む上記化合物及び当該化合物の誘導体も、本発明の範囲内にある。このような化合物は、代謝薬物動態試験及び結合アッセイにおけるリサーチツール及び診断ツールとして有用でありうる。本発明の式(I)の特定の同位体標識された化合物、例えば、その内に放射性同位体、例えば、3H及び14Cが取り込まれているものは、医薬及び/又は基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化、すなわち、3H、及び炭素−14、すなわち14C同位体は、それらの調製及び検出性を容易にするために特に好ましい。さらに、より重い同位体、例えば、重水素、すなわち、2Hによる置換は、より高い代謝安定性、例えば、高められたインビボにおける半減期又は低下した投与量要求から生じる特定の治療的利点を与えることができ、そしてそれゆえ、いくつかの状況において好ましいものでありうる。本発明の式(I)の同位体標識化合物並びにそのプロドラッグ及び誘導体は、一般に、当該化合物の製造における非同位体標識試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識試薬を使用することにより、本明細書中に記載するスキーム、及び当該スキームの討議、及び/又は実施例及び調製において開示された手順を実施することにより製造されうる。
【0027】
当業者により理解されるように、式(I)の使用は便利なものであり、そして本発明は、本明細書中に個々に同定され、かつ、言及されるように、式(I)下にある個々の種を認識し、かつ、包含すると理解されるべきである。したがって、本発明は、式(I)内にある種の各々を別々に、そして当該種のいずれかの及び全ての組合せ及び変種を企図する。
【0028】
上記基は、先に列記した化合物から誘導されるとき、それが可能である場合には、C付着又はN付着でありうる。例えば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(N付着)又はピロール−3−イル(C付着)でありうる。当該基を引用する用語も、全ての可能性のある互変異性体を包含する。
【0029】
本発明は、式(I)の化合物のプロドラッグの全てをも含む。プロドラッグは、それ自体所望の薬理学的活性を有することができないが、哺乳動物に例えば、非経口的又は経口的に投与され、当該哺乳動物の体内で代謝されて、所望の薬理学的活性を有する化合物を形成することができる化合物である。例えば、式(I)の化合物のプロドラッグは、哺乳動物に投与された後に、式(I)の化合物に代謝される。さらに、最終的な脱保護段階の前に行われることができる式(I)の化合物の特定の保護された誘導体は、ある場合には、哺乳動物に投与されて、そしてその後、当該哺乳動物の体内で代謝されて、薬理学的に活性な本発明の化合物を形成することができる。それゆえ、このような誘導体も、式(I)の化合物の「プロドラッグ」であり、そして本発明の一部である。
【0030】
1の局面においては、Zは単結合である。
【0031】
他の局面においては、Zはメチレンである。
【0032】
他の局面においては、R2は水素であり、そしてR3は、独立に、−H、直鎖又は分枝C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C6−C14アリール、及び(5−14員)ヘテロアリールから成る群から選ばれる。
【0033】
他の局面においては、A=
【化2】

である。
【0034】
他の局面においては、A=
【化3】

である。
【0035】
他の局面においては、R6は、−H,−F,−Cl,−CN,−CHO、直鎖又は分枝C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、(C0−C6アルキレン)−(C3−C12シクロアルキル)、(C0−C6アルキレン)−(C3−C12ヘテロシクロアルキル)、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)又は(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)であり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロアルキルは、各々場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R7で置換され;そしてここで、当該アリールとヘテロアリールは、各々場合により、1以上のR7で置換される。
【0036】
他の局面においては、R5は、独立に、−H,−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−NO2,−C(=O)NR910,−C(=O)OR10,−NR910,−NR9C(=O)R10,−NR9C(=O)OR10、及びNR9C(=O)NR910から成る群から選ばれ;又はR5は、直鎖又は分枝C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、(C0−C6アルキレン)−(C3−C12シクロアルキル)、又は(C0−C6アルキレン)−(C3−C12ヘテロシクロアルキル)であり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロアルキルは、各々場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R7で置換され;又はR5は、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)又は(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)であり、ここで、当該アリール及びヘテロアリールは、各々場合により1以上のR7で置換され、そしてここで当該アルキレンは場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R8で置換される。
【0037】
他の局面においては、R5とR6は一緒になって、(4−8員)シクロアルキル、(4−8員)ヘテロシクロアルキル、又はC6−C10アリールを形成し、ここで、当該シクロアルキル及びヘテロアルキルは、各々1以上の(C0−C6アルキレン)−R8、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)、及び(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)で置換され、ここで、当該アリール及びヘテロアリールは、各々1以上のR7で置換される:
【0038】
本発明の特定の態様は、以下の式(I)の化合物、その医薬として許容される塩、その錯体、並びにその誘導体であって、投与の間に医薬として活性な化合物に変換される全てのものを含む。
【0039】
3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオン酸メチル・エステル;
3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオン酸;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−モルホリン−4−イル−3−オキソ−プロピル)−チアゾール−2−イル−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−{5−[3−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−3−オキソ−プロピル]−チアゾール−2−イル}−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
【0040】
1−[3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオニル]−ピペリジン−3−カルボン酸ジエチルアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−{5−[3−オキソ−3−(4−フェネチル−ピペラジン−1−イル)−プロピル]−チアゾール−2−イル}−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
【0041】
N−tert−ブチル−3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−オキソ−3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−{5−[3−(3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−3−オキソ−プロピル]−チアゾール−2−イル}−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−プロピル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−3−メチル−ブチル}−ベンゼンスルホンアミド;
【0042】
N−(1−ベンゾチアゾール−2−イル−エチル)−4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(1−ベンゾチアゾール−2−イル−エチル)−4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{[5−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−フェニル−メチル}−ベンゼンスルホンアミド;
(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−プロピル}−4−メチル−チアゾール−5−イル)−酢酸;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−チアゾール−2−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[1−(5−ヒドロキシメチル−チアゾール−2−イル)−エチル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
【0043】
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[1−(5−トリフルオロメチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−エチル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[1−(5−フェニル−チアゾール−2−イル)−エチル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−チアゾール−5−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[1−(2−ヒドロキシメチル−チアゾール−5−イル)−エチル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−チアゾール−5−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
【0044】
1−(5−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−2−イルメチル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド;
N−[1−(2−ブロモ−チアゾール−5−イル)−エチル]−4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−ヒドロキシ−プロピル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−ヒドロキシ−3−メチル−ブチル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド。
【0045】
本発明の式(I)の化合物、及びそれらの医薬として許容される塩は、有用な製薬及び医薬特性を有する。式(I)の化合物、及びそれらの医薬として許容される塩は、ヒトを含む哺乳動物におけるAβペプチドの生産(したがって、ガンマ−セクレターゼ活性)を阻害する。それゆえ、式(I)の化合物、及びそれらの医薬として許容される塩は、ヒトを含む罹患哺乳動物における、神経変性及び/又は神経学的障害及び患者であって、代表的には以下に列挙するもの、例えば、アルツハイマー病の治療における治療薬として機能しうる。
【0046】
本発明は、Aβペプチド生産の阻害に有効な量の式(I)の化合物、又は医薬として許容されるその塩、及び医薬として許容される担体を含む、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病、アミロイド−シスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びDown’s症候群から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療用医薬組成物にも関する。
【0047】
本発明は、Aβペプチド生産の阻害に有効な量の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩、及び医薬として許容される担体を含む、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病及びDown’s症候群(ダウン症)から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療用医薬組成物にも関する。
【0048】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病、アミロイド−シスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びダウン症から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療用医薬組成物であって、当該疾患又は症状の治療に有効な量の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩、及び医薬として許容される担体を含む前記医薬組成物。
【0049】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物におけるアルツハイマー病及びダウン症から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療用医薬組成物であって、当該疾患又は症状の治療に有効な量の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩、及び医薬として許容される担体を含む前記医薬組成物にも関する。
【0050】
本発明は、Aβペプチド生産の阻害に有効な量の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩を哺乳動物に投与することを含む、ヒトを含む当該哺乳動物における、アルツハイマー病、アミロイド−シスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びダウン症から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療方法にも関する。
【0051】
本発明は、Aβペプチド生産の阻害に有効な量の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩を哺乳動物に投与することを含む、ヒトを含む当該哺乳動物における、アルツハイマー病及びダウン症から選ばれる疾患又は症状の治療方法にも関する。
【0052】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病、アミロイド−シスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びダウン症から選ばれる疾患又は症状の治療方法であって、当該哺乳動物に、当該症状の治療に有効な量の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩を投与することを含む前記治療方法にも関する。
【0053】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病及びダウン症から選ばれる疾患又は症状の治療方法であって、当該哺乳動物に、当該症状の治療に有効な量の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩を投与することを含む前記治療方法にも関する。
【0054】
式(I)の化合物は、単独で、又は非制限的に、記憶増強剤、例えばアリセプト(Aricept)(登録商標)、及び/又はナメンダ(Namenda)(登録商標)、抗うつ薬、例えば、ゾロフト(Zoloft)(登録商標)、抗不安薬、抗精神病薬、例えば、ゲオドン(Geodon)(登録商標)、睡眠障害薬、抗炎症薬、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ベクストラ(Bextra)(登録商標)等、抗酸化剤、コレステロール調節剤(例えば、LDLを低下させるか又はHDLを上昇させる剤)、例えば、リピトール(Lipitor)(登録商標)、及び抗高血圧剤を含む他の医薬とともに使用されうる。したがって、本発明は、他の医薬、例えば、上記のタイプのものとともに式(I)の化合物を含む以下の医薬組成物及び治療方法にも関する。
【0055】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物におけるAβペプチド生産に関連する疾患又は症状の治療用医薬組成物であって、(a)式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩;(b)記憶増強剤、例えばアリセプト(Aricept)(登録商標)、及び/又はナメンダ(Namenda)(登録商標)、抗うつ薬、例えば、ゾロフト(Zoloft)(登録商標)、抗不安薬、抗精神病薬、例えば、ゲオドン(Geodon)(登録商標)、睡眠障害薬、抗炎症薬、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ベクストラ(Bextra)(登録商標)等、抗酸化剤、コレステロール調節剤(例えば、LDLを低下させるか又はHDLを上昇させる剤)、例えば、リピトール(Lipitor)(登録商標)、及び抗高血圧剤;(c)医薬として許容される担体;を含み、ここで、上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する前記医薬組成物にも関する。
【0056】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病、アミロイド−シスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びダウン症から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療用医薬組成物であって、(a)式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩;(b)記憶増強剤、例えばアリセプト(Aricept)(登録商標)、及び/又はナメンダ(Namenda)(登録商標)、抗うつ薬、例えば、ゾロフト(Zoloft)(登録商標)、抗不安薬、抗精神病薬、例えば、ゲオドン(Geodon)(登録商標)、睡眠障害薬、抗炎症薬、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ベクストラ(Bextra)(登録商標)等、抗酸化剤、コレステロール調節剤(例えば、LDLを低下させるか又はHDLを上昇させる剤)、例えば、リピトール(Lipitor)(登録商標)、及び抗高血圧剤;(c)医薬として許容される担体;を含み、ここで、上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する前記医薬組成物にも関する。
【0057】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病及びダウン症から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療用医薬組成物であって、(a)式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩;(b)記憶増強剤、例えばアリセプト(Aricept)(登録商標)、及び/又はナメンダ(Namenda)(登録商標)、抗うつ薬、例えば、ゾロフト(Zoloft)(登録商標)、抗不安薬、抗精神病薬、例えば、ゲオドン(Geodon)(登録商標)、睡眠障害薬、抗炎症薬、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ベクストラ(Bextra)(登録商標)等、抗酸化剤、コレステロール調節剤(例えば、LDLを低下させるか又はHDLを上昇させる剤)、例えば、リピトール(Lipitor)(登録商標)、及び抗高血圧剤;及び(c)医薬として許容される担体;を含み、ここで、上記剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する前記医薬組成物にも関する。
【0058】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物におけるAβペプチド生産に関連する疾患又は症状の治療方法であって、当該哺乳動物に、(a)式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩;及び(b)記憶増強剤、例えばアリセプト(Aricept)(登録商標)、及び/又はナメンダ(Namenda)(登録商標)、抗うつ薬、例えば、ゾロフト(Zoloft)(登録商標)、抗不安薬、抗精神病薬、例えば、ゲオドン(Geodon)(登録商標)、睡眠障害薬、抗炎症薬、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ベクストラ(Bextra)(登録商標)等、抗酸化剤、コレステロール調節剤(例えば、LDLを低下させるか又はHDLを上昇させる剤)、例えば、リピトール(Lipitor)(登録商標)、及び抗高血圧剤を投与することを含み、ここで、上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する、前記方法にも関する。
【0059】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病、アミロイド−シスを伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びダウン症から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療方法であって、当該哺乳動物に、(a)式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩;及び(b)記憶増強剤、例えばアリセプト(Aricept)(登録商標)、及び/又はナメンダ(Namenda)(登録商標)、抗うつ薬、例えば、ゾロフト(Zoloft)(登録商標)、抗不安薬、抗精神病薬、例えば、ゲオドン(Geodon)(登録商標)、睡眠障害薬、抗炎症薬、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ベクストラ(Bextra)(登録商標)等、抗酸化剤、コレステロール調節剤(例えば、LDLを低下させるか又はHDLを上昇させる剤)、例えば、リピトール(Lipitor)(登録商標)、及び抗高血圧剤を投与することを含み、ここで、上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する、前記方法にも関する。
【0060】
本発明は、ヒトを含む哺乳動物における、アルツハイマー病及びダウン症から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療方法であって、当該哺乳動物に、(a)式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩;及び(b)記憶増強剤、例えばアリセプト(Aricept)(登録商標)、及び/又はナメンダ(Namenda)(登録商標)、抗うつ薬、例えば、ゾロフト(Zoloft)(登録商標)、抗不安薬、抗精神病薬、例えば、ゲオドン(Geodon)(登録商標)、睡眠障害薬、抗炎症薬、例えば、セレブレックス(Celebrex)(登録商標)、ベクストラ(Bextra)(登録商標)等、抗酸化剤、コレステロール調節剤(例えば、LDLを低下させるか又はHDLを上昇させる剤)、例えば、リピトール(Lipitor)(登録商標)、及び抗高血圧剤を投与することを含み、ここで、上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する前記方法にも関する。
【0061】
式(I)の化合物、又は先の段落に記載した組合せの内のいずれも、場合により、知られたP−糖タンパク阻害剤、例えば、ベラペミル(verapamil)とともに使用されうる。
【0062】
「Aβペプチド生産に関連した」疾患及び症状に関する本明細書中での言及は、少なくとも部分的に、Aβペプチド及び/又はその生産により引き起こされる疾患又は症状に関する。したがって、Aβペプチドは、「Aβペプチド生産に関連する疾患又は症状」に対する、寄与因子であるが、必ずしも唯一の寄与因子ではない。
【0063】
本明細書中、用語「治療する」とは、その用語が適用される、疾患、障害又は症状、又は当該疾患、障害又は症状の1以上の兆候の進行を逆転させ、軽減し又は阻害することをいう。本明細書中、「治療する」とは、非処置対照群に比較して、又は処置前の同一哺乳動物に比較して、哺乳動物における疾患、障害又は症状の発生の可能性又は開始を低下させることをもいう。例えば、本明細書中、「治療する」とは、疾患、障害又は症状を予防することをいい、そして疾患、障害又は症状の開始を遅らせ又は予防すること、又は疾患、障害又は症状に関連する兆候を遅らせ又は予防することを含みうる。本明細書中、「治療する」とは、疾患、障害又は症状、又は当該疾患、障害又は症状に哺乳動物が罹患する前の当該疾患、障害又は症状に関連する兆候の重度を低下させることをもいう。上記罹患前の疾患、障害又は症状の重度の予防又は低減は、当該疾患、障害又は症状に罹患した投与時ではない、患者への、本明細書に記載する、本発明に係る組成物の投与に関する。本明細書中、「治療する」とは、疾患、障害又は症状、又は上記疾患、障害又は症状に関連する1以上の兆候の再発の予防をもいう。本明細書中、用語「治療」及び「治療的に」とは、先に定義した「治療する」における治療の行為をいう。
【0064】
式(I)の化合物、及び医薬として許容されるそれらの塩は、以下の反応スキーム及び討議に記載するように調製されうる。以下の反応スキーム及び討議に記載するように、別段の定めなき限り、R1,R1a,R1b,R2,R3,R4,R5,R6,R7,A,m,n、及びpは、先に定義したものと同じである。
【0065】
式(I)の化合物は、不斉炭素原子をもつことができ、そしてそれゆえ、ラセミ体混合物、ジアステレオマーとして、又は個々の光学異性体として存在しうる。式(I)の化合物の異性体混合物から単一異性体への分割は、本分野に知られた慣用法にしたがって達成されうる。式(I)の化合物は、有機化学の分野において知られた合成法、又は当業者に馴染みのある修飾及び誘導体化を伴って、以下に記載する方法により調製されうる。好ましい方法は、非制限的に、以下に記載するものを含む。
【0066】
以下に記載する反応は、使用される試薬及び材料に適当であり、かつ、記載する反応における使用に好適である溶媒中で実行される。以下の合成法の説明においては、溶媒の選択、反応温度、反応継続時間、反応圧力、その他の反応条件(例えば、無水条件、アルゴン下、窒素下、等)を含む。全ての反応条件、調製手順は、実際上のものであるか提案されたものであるかを問わず、当業者により直ちに理解されるような当該反応にとって標準的な条件である。別法も使用されうる。
【0067】
【化4】

【0068】
式(I)の化合物(式中、R2又はR3は水素である。)を、反応スキームIに示すように調製しうる。式(IV)のスルホンアミドを、商業的に入手可能か又は容易に調製されるアミン(II)を、適当なスルホニル化剤、例えば、塩化スルホニル(III)と、非プロトン溶媒、例えば、塩化メチレン中、塩基の存在下で、処理することにより、調製しうる。このような塩基は、トリエチルアミン・ピリジンを含み、そして好ましくは、触媒量の4・ジメチルアミノ・ピリジン(DMAP)とともに含む。スルホンアミド(IV)は、次に、アルファ−ヒドロキシ・チアゾール(V)と(V′)とのMitsunobu縮合に供されて、式(I)の化合物を得る。代表的なMitsunobu縮合は、適当な溶媒、例えば、THF又はトルエン中でのトリフェニルホスフィン、DEAD又はDIADの使用を含む。
【0069】
【化5】

【0070】
スキーム2に示すように、アルファ−ヒドロキシル・チアゾール(V)と(V′)は、便利には、チアゾール(VI)と(VI′)を、強塩基、例えば、ブチル・リチウム、sec−ブチル・リチウム、及びtert−ブチル・リチウムと、好適な温度で、適当な溶媒、例えば、THF中で脱プロトン化し、その後、得られたアニオンをアルデヒド(VII)でトラップすることにより調製されうる(文献中の類似の手順については、Breslow; McNeils J. Am. Chem. Soc. 1959, 81, 3080; Berauld, J.; Metzger, J. Bull. Soc. Chim. Fr. 1962, 2072-2074; Noyce, D.S.; Fike, S.A.J. Org. Chem. 1973, 38, 3318を参照のこと)。あるいは、上記トラッピングは、非プロトン溶媒、例えば、THF又は塩化メチレン中、フッ素化源、例えば、TBAF又はフッ化セシウムを用いて、トリメチルシリル置換チアゾール(VIII)と(VIII′)により実施されうる(文献中の類似の手順については、Tourwe, D.; Piron. J.; Defreyn, P.; Binst, G.V. Tetrahedron Lett. 1993, 34. 5499を参照のこと)。
【0071】
【化6】

【0072】
アルファ−ヒドロキシル・チアゾール(V)の他の合成を、スキーム3に示す。好適なヒドロキシル保護基をもつ商業的に入手可能か又は容易に調製されるアルファ−ヒドロキシル・カルボン酸(例えば、Protecting Groups in Organic Synthesis by Greene, T.W. and Wuts, P.G.W., 1999, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc.を参照のこと)を、n−メチル・モルホリンの存在下、ジイソプロピル・エチル・アミン又はイソブチルクロロホルメートの存在下、本分野において周知のアミド・カップリング手順、例えば、EDCl,HOBtを介して置換アルファ・アミノ・ケトン又はアルデヒド(IX)とカップリングさせる。得られたアミド(X)を、次いで、トルエン又はベンゼン中、高温でLawesson’s試薬で処理して、チアゾール環を形成した(Scheibys, S.; Kristensen, J.; Lawesson, S.O. Tetrahedron, 1979, 35, 1339)。本分野において十分に確立された手順を使用して保護基をその後に除去することにより(Protecting Groups in Organic Synthesis by Greene, T.W. and Wuts, P.G.W., 1999, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc.を参照のこと)、アルファ−ヒドロキシル・チアゾール(V)を得る。
【0073】
【化7】

【0074】
式(I)の別の合成をスキーム4に示す。十分に確立された手順に従って便利には入手しうるアルファ−アミノ・チアゾール(XI)と(XI′)を、塩基の存在下、非プロトン溶媒、塩化メチレン中、適当なスルホニル化試薬、例えば、塩化スルホニル(III)と縮合した。このような塩基は、トリエチルアミン、ピリジンを含み、そして好ましくは、触媒量の4−ジメチルアミノ・ピリジン(DMAP)を含み、スルホンアミド(XII)と(XII′)を与える。スルホンアミド(XII)と(XII′)から、式(I)の化合物への変換のための1の方法において、式(XII)又は(XII′)の化合物は、加熱を伴って又は伴わずに非プロトン溶媒中、好適な塩基とアルキル化剤で処理された。式(XII)又は(XII′)から式(I)への変換の別法は、Mitsunobu条件を要求する。代表的なMitsunobu条件は、適当な溶媒、例えば、THF又はトルエン中での、トリフェニルホスフィン、DEAD又はDIADの使用を含む。
【0075】
先のスキームの手順において使用される出発材料であってその合成については先に記載していないものは、商業的に入手可能であるか、本分野において知られているか、又は当業者に自明な方法を用いて知られた化合物から容易に取得可能なもののいずれかである。
【0076】
式(I)の化合物、及び先の反応スキームに示した中間体は、慣用の手順により、例えば、再結晶化又はクロマトグラフィー分離により、例えば、シリカ・ゲル上で、酢酸エチル/ヘキサン溶離液グラジエント、塩化メチレン/メタノール溶離液グラジエント、又はクロロホルム/メタノール溶離液グラジエントのいずれかを用いて、単離及び精製されうる。
【0077】
先に討議し又は説明した反応の各々において、別段の定めなき限り、圧力は決定的なものではない。約0.5〜約5大気圧の圧力が一般に許容され、そして周囲圧力、すなわち、約1気圧は便利なものとして、好ましい。
【0078】
式(I)の化合物の医薬として許容される塩は、対応の遊離塩基又は酸の溶液又は懸濁液を、医薬として許容される酸又は塩基の1化学的当量で処理することにより、慣用のやり方で調製されうる。慣用の濃縮又は結晶化技術を、上記塩を単離するために使用しうる。好適な酸は、非制限的に、酢酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、安息香酸、珪皮酸、フマル酸、硫酸、リン酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、スルファミン酸、スルホン酸、例えば、メタン、スルホン酸、ベンゼン・スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及び関連の酸を含む。好適な塩基は、非制限的に、ナトリウム、カリウム、及びカルシウムを含む。
【0079】
本発明の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩は、哺乳動物に、経口、非経口(皮下、静脈中、筋肉内、胸骨内、及び輸注技術)、直腸、鼻内、表在局所又は経皮(例えば、パッチの使用を通じたもの)のいずれかの経路を介して、投与されうる。一般に、上記化合物は、単一投与又は分割投与(すなわち、1日当り1〜4回の投与)において、1日当り約0.1mg〜約1000mgの範囲の投与で、最も望ましくは投与される。但し、処置される患者の種、体重、年齢、及び状態、並びに選択された特別の投与経路に依存して、変更は必ず生じるであろう。しかしながら、1日当り約0.1mg/kg〜約5mg/kg体重、好ましくは1日当り約0.1mg/kg〜約100mg/kg体重の範囲内にある投与レベルが最も望ましく使用される。しかしながら、処置される動物種及び上記医薬に対するその個体の応答、並びに選択された医薬製剤のタイプ及び投与が実施されるところの時間期間及び間隔に依存して、変更は生じる。ある場合には、上述の範囲の下限未満の投与レベルが適当なものよりもよいものであることができ、一方、他の場合には、さらに高い投与量が有害な副作用を生じさせずに使用されうる。但し、このようなより高い投与量レベルは、1日の全体にわたる投与について数回の低い投与量にまず分割される。上述の投与レンジに基づく変更は、通常の技術をもつ内科医により実施されうる。
【0080】
本発明の式(I)の化合物は、先に示した経路のいずれかにより、単独で、又は医薬として許容される担体又は希釈剤とともに投与されることができ、そしてこのような投与は、単一又は多回投与において実施されうる。好適な医薬担体は、固形希釈剤又は増量剤、滅菌水性媒質及び各種非毒性有機溶媒等を含む。式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩と、医薬として許容される不活性担体との混合により形成される医薬組成物は、次いで、さまざまな投与形態(剤形)、例えば、錠剤、カプセル、ロゼンジ、トローチ、ハード・キャンディー、粉末、スプレー、クリーム、膏薬(salves)、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、水性懸濁液、注射溶液、エリキシル、シロップ、その他で容易に投与されうる。さらに、経口医薬製剤は、好適には、甘味料及び/又は香味料を添加されうる。
【0081】
経口投与のためには、各種賦形剤、例えば、微晶質セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸2カルシウム、及びグリシンを含む錠剤が、各種崩壊剤、例えば、デンプン(好ましくは、コーン、ポテト、又はタピオカ・デンプン)、メチルセルロース、アルギン酸、及び特定の複合ケイ酸と一緒に、顆粒化バインダー、例えば、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン、及びアカシアとともに、使用されうる。さらに、潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びタルクが、しばしば、錠剤化目的のために使用である。類似のタイプの固形組成物も、ゼラチン・カプセル内の増量剤として使用されうる。この点で好ましい材料は、ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレン・グリコールを含む。水性懸濁液及び/又はエリキシルが経口投与のために望まれるとき、上記活性成分は、各種甘味料又は香味料、着色料又は染料と、そして所望により、乳化剤及び/又は懸濁剤と、水、エタノール、プロピレン・グリコール、グリセリン、及びそれらの各種組合せの如き希釈剤と一緒に、混合されうる。
【0082】
非経口投与のためには、ゴマ油又はピーナッツ油中、水性プロピレン・クリコール中、又は滅菌水性溶液中に、本発明の式(I)の化合物又は医薬として許容されるその塩を含有する溶液が使用されうる。上記水性溶液は、必要により、好適には緩衝液化され(好ましくはpH8超)、そして液体希釈剤は、まず、十分な生理食塩水又はグルコースを用いて等張性にされる。これらの水性溶液は、静脈内注射目的に好適である。油状溶液は、関節内、筋肉内、及び皮下注射目的のために好適である。滅菌条件下での上記溶液の全ての調製は、当業者に周知の標準的な医薬技術により容易に達成される。
【0083】
本発明の式(I)の化合物は、哺乳動物におけるAβペプチド生産(それゆえ、ガンマ−セクレターゼ活性)の阻害に有用であり、そしてそれゆえ、それらは、罹患哺乳動物における上述の障害及び疾患の治療における治療剤として機能しうる。
【0084】
式(I)の特定の化合物は、当業者に知られた生物学的アッセイ、例えば、以下に記載するアッセイを用いてAβペプチド生産を阻害するために決定されうる。
【0085】
ガンマ−セクレターゼ活性の阻害における本発明の式(I)の化合物の活性は、McLendon et al. Cell-free assays for γ-secretase activity; The FASEB Journal (Vol.14, December 2000, pp.2383-2386) に提供される説明に一般に従う可溶化膜調製において決定された。このようなアッセイを用いて、本発明の化合物は、約XXマイクロモル未満のガンマ−セクレターゼ活性を阻害するためのIC50活性をもつと測定された。
【0086】
以下の実施例は、本発明を説明する。しかしながら、本明細書中に十分に記載され、かつ、特許請求の範囲において言及される、本発明は、以下の実施例の詳細な記載により限定されることを意図されない。
【実施例】
【0087】
【化8】

【0088】
中間体1:2−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−プロピオン酸メチル・エステル
0℃ N2下無水DMF(500mL)中のNaH(4.6g、鉱油中60%、115mmol)の撹拌懸濁液に、乳酸メチル(10g、96.1mmol)を滴下した。添加が完了した後、反応混合物を1時間撹拌し、次いで、PMBCl(15.6mL、115mmol)をゆっくりと添加し、その後TBAI(7.1g、19.2mmol)を添加した。次いで、反応混合物を16時間室温で撹拌した。次いで、混合物を、EtOAc(1000mL)と水(1000mL)の間で分配させた。水層をさらにEtOAc(500mL)で抽出した。有機層を、併合し、そして水(500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をヘキサン/EtOAc(6:1)で精製して、生成物として黄色っぽい色の油12.3g(57%)を得た。
【化9】

【0089】
【化10】

【0090】
中間体2:2−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−プロピオン酸
室温におけるTHF(100mL)、MeOH(50mL)、及び水(50mL)中のメチル・エステル1の溶液(12.3g、55mmol)に、LiOH(6.6g、275mmol)を添加した。反応混合物を38時間撹拌した。反応混合物を、1N HCl水性溶液でpH=1に調整し、そしてEtOAcで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。混合物を濾過し、そして溶媒を真空下で除去して生成物として黄色の油6.3g(55%)を得た。
【化11】

【0091】
中間体3:5−〔2−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−プロピオニルアミノ〕−4−オキソ−ペンタン酸メチル・エステル
0℃ N2下THF(100mL)中2の撹拌溶液(6.1g、29mmol)に、トリエチルアミン(4.25mL、30.5mmol)を添加し、その後、イソブチル・クロロホルメート(3.8mL、29mmol)を滴下して添加した。添加が完了した後、得られた懸濁液を0℃で30分間撹拌した。追加のトリエチルアミン(4.25mL、30.5mmol)を添加し、その後5−アミノ−4−オキソ−ペンタン酸メチル・エステルHCl塩(5.3g、29mmol)を添加した。次いで、反応混合物を室温まで温め、そして一夜撹拌した。反応混合物をEtOAc(600mL)で希釈し、水(50mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、そしてヘキサン/EtOAc(1:1)で精製して、生成物として黄色っぽい色の油3.5g(36%)を得た。LC−MS(ES+):338(保持時間1.8);
【化12】

【0092】
中間体4:3−{2−〔1−(4−メトキシ−ベンジルオキシ)−エチル〕−チアゾール−5−イル}−プロピオン酸メチル・エステル
室温N2下トルエン(35mL)中の3の撹拌溶液(3.5g、10.4mmol)に、一部で、Lawesson’s試薬(4.2g、10.4mmol)を添加した。次いで、反応混合物を1時間還流まで加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、そしてEtOAcで希釈した。混合物を水(500mL)、ブライン(500mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をヘキサン/EtOAc(5:1)で精製して、生成物として無色油1.1g(32%)を得た。
【化13】

【0093】
中間体5:3−〔2−(1−ヒドロキシ−エチル)−チアゾール−5−イル〕−プロピオン酸メチル・エステル
室温N2下20:1のCH2Cl2:H2O(21ml)中の4の撹拌溶液(1.0g、3.0mmol)に、1部で、DDQ(680mg、3.0mmol)を添加した。反応混合物を5時間撹拌した。少量の出発材料は未だ存在した。追加のDDQ(200mg、0.88mmol)を添加し、そして反応混合物をさらに2時間撹拌した。次いで反応混合物をCH2Cl2で希釈し、そして飽和NaHCO3水性溶液で洗浄した。水層をCH2Cl2でさらに抽出した。有機層を併合し、そして水(500mL)、ブライン(500mL)、で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をヘキサン/EtOAc(1:1)で精製して、生成物として茶色っぽい色の油330mg(51%)を得た。
【化14】

【0094】
中間体6:4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド
室温N2下ピリジン(50mL)中2,5−ジフルオロアニリンの撹拌溶液(0.95mL、9.5mmol)に、1部で、4−クロロベンゼン・スルホニル・クロリド(2.0g、9.5mmol)を添加した。反応混合物を真空下で濃縮し、そして残渣をCH2Cl2(80mL)中に溶解した。溶液をブライン(500mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして残渣を、ヘキサン/EtOAc(6:1)で精製して、生成物として白色固体2.4g(83%)を得た。
【化15】

【0095】
実施例1:3−(2−{1−〔(4−クロロベンゼン・スルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ〕−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオン酸メチル・エステル
室温N2下トルエン(5mL)中トリフェニルホスフィンの撹拌溶液(330mg、1.26mmol)に、中間体6(304mg、1.0mmol)を添加し、その後、DEAD(198μL、1.26mmol)をゆっくりと添加した。添加が完了した後、トルエン(5mL)中のアルファー・ヒドロキシ・チアゾール5(180mg、0.84mmol)の溶液を滴下して添加した。反応混合物を16時間撹拌し、そして次いで、EtOAcで希釈した。溶液を水、ブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をヘキサン/EtOAc(3:1)で精製して、生成物として無色の油235mg(56%)を得た。
【化16】

【0096】
実施例2:3−(2−{1−〔(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)・アミノ〕−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオン酸
室温THF(1mL)及び水(1mL)中の実施例1の撹拌溶液(20mg、0.04mmol)に、LiOH(4.8mg、0.2mmol)を添加した。反応混合物を4時間撹拌した。出発材料は残存していなかった。反応混合物を1N HCl水性溶液でpH=1に調整し、そしてEtOAcで抽出した。次いで、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして溶媒を、真空下で除去して、生成物として無色の油15mg(77%)を得た。LC−MS(ES+):484、保持時間2.5。
【化17】

【0097】
実施例3:4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−モルホリン−4−イル−3−オキソ−プロピル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド
室温N2下DMF(1mL)中実施例2の撹拌溶液(15mg、0.03mmol)に、iPr2NEt(10μL、0.07mmol)、EDCl(7.0mg、0.037mmol)、及びHOBt(5.0mg、0.037mmol)を添加した。混合物を撹拌して、均質溶液を形成し、そしてモルホリン(3.2mg、0.037mmol)を添加した。反応混合物を16時間室温で撹拌し、そして次いで、EtOAcで希釈した。溶液を水、ブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をヘキサン/EtOAc(1:3)で精製して、2.4mgの9を得た。LC−MS(ES+):556、保持時間2.5。
【化18】

【0098】
以下の実施例を、一般スキームにおいて説明した手順を用いて調製した:
【0099】
【表1】

【0100】
【表2】

【0101】
【表3】

【0102】
【表4】

【0103】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I):
【化1】

{式中、
1)R1は、(C6−C4)アリール、又は−(5−14員)ヘテロアリールであり、ここで、当該アリールとヘテロアリールは、各々場合により、1以上の(C0−C4アルキレン)−R13で置換され;
2)R2とR3は、独立に、−H、直鎖又は分枝C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C8シクロアルキル、C6−C14アリール、及び(5−14員)ヘテロアリールから成る群から選択され、ここで、当該アルキル、アルケニル、及びアルキニルは、各々場合により、−F,−Cl,−Br,−OH、C1−C4アルコキシ、及び−S−(C1−C4)アルキルから成る群から選択される置換基で置換され、そしてここで、当該アリールとヘテロアリールは、各々場合により、1以上の(C0−C4アルキレン)−R13で置換され;又はR2とR3は一緒になってC3−C8シクロアルキルを形成し;
3)R4は、C6−C14アリール又は1以上の(C0−C4アルキレン)−R13で置換された(5−14員)ヘテロアリールであり;
4)R5とR6は、独立に、−H,−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−NO2,−C(=O)NR910,−C(=O)OR10,−NR910,−NR9C(=O)R10,−NR9C(=O)OR10、及びNR9C(=O)NR910から成る群から選択され;又はR5とR6は、独立に、直鎖又は分枝C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、(C0−C6アルキレン)−(C3−C12シクロアルキル)、又は(C0−C6アルキレン)−(C3−C12ヘテロシクロアルキル)であり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロアルキルは、各々、場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R7で置換され;又はR5とR6は、独立に、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)又は(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)であり、ここで、当該アリールとヘテロアリールは、各々、独立に、1以上のR7で置換され、そして当該アルキレンは、場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R8で置換され;又はR5とR6は、上記チアゾール環の隣接炭素原子に結合するとき、一緒になって、(4−8員)シクロアルキル、(4−8員)−ヘテロシクロアルキル、又はC6−C10アリールを形成し、ここで、上記シクロアルキルとヘテロアルキルは、各々、1以上の(C0−C6アルキレン)−R8、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)、及び(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)で置換され、ここで、当該アリール又はヘテロアリールは、各々、場合により、1以上のR7で置換され;
5)Zは、単結合又は直鎖又は分枝C1−C6アルキルであり、ここで、当該アルキルの各水素原子は、場合により、独立に、フッ素で置換され;
6)R7は、−F,−Cl,−Br,−OH,−CN,−CHO,−NO2,−NR910,−NR9C(=O)R10,−NR9C(=O)NR910,−NR9C(=O)OR10,−OC(=O)−R9,−OC(=O)NR910,−C(=O)NR910,−C(=O)OR10,−SO2NR910、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C3−C8シクロアルキル、−C3−C8ヘテロシクロアルキル、−C1−C6アルコキシ、−(C6−C14)アリールオキシ、−(5−14員)ヘテロアリールオキシ、−(C0−C4アルキレン)−(C6−C14)アリール、又は−(C0−C4アルキレン)−(5−14員)ヘテロアリールであり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルは、各々、場合により、1以上のR8で置換され、そしてここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、及びアルコキシの各水素原子は、場合により、独立に、フッ素で置換され;
7)R8は、−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−OR9,−OC(=O)−R9,−OC(=O)NR910,−NO2,−NR910,−NR9C(=O)R10,−NR9C(=O)NR910,−NR9C(=O)OR10,−C(=O)NR910,−SO2NR910,−C(=O)R10、又は、−C(=O)OR10であり;
8)R9とR10は、−H、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C1−C6アルキニル、−(C0−C4アルキレン)−(C3−C8シクロアルキル)、−(C0−C4アルキレン)−(C6−C14アリール)、−(C0−C4アルキレン)−(3−8員ヘテロシクロアルキル)、又は−(C0−C4アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)であり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、及びヘテロアリールは、各々、場合により、独立に、−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−OH,−NO2,−NR1112,−C(=O)NR1112,−C(=O)R11,−C(=O)OR12,−SO2NR1112、−C1−C6アルキル、−C1−C6アルコキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−(C0−C4)−(C6−C14)アリール)、及び−(C0−C4)−(5−14員ヘテロアリール)から成る群から独立に選択される1以上の置換基で置換され;又はR9とR10は、窒素原子とともに、4〜8員のヘテロシクロアルキル残基を形成し、ここで、当該ヘテロシクロアルキルは、場合により、−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−OH,−NO2,−NR1112,−C(=O)OR1112,−C(=O)R11,−C(=O)OR12,−SO2NR1112、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C1−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C3−C8シクロアルキル、C3−C8ヘテロシクロアルキル、C4−C10アリール、及び5−14員ヘテロアリールから成る群から選ばれる1以上の置換基で置換され、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールは、各々、場合により、F,−Cl,−Br,−CN,−OR11,−OC(=O)−R11,−OC(=O)NR1112,−NO2,−NR1112,−NR11C(=O)R12,−NR11C(=O)NR1112,−NR11C(=O)OR12,−C(=O)NR1112,−SO2NR1112,−C(=O)R11又は−C(=O)OR11で置換され;
9)R11とR12は、水素、C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C3−C8シクロアルキル、4−8員ヘテロシクロアルキル、C6−C14アリール又は5−14員ヘテロアリールであり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、及びヘテロアリールは、各々、場合により、独立に、−OH、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキノキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F,−Cl,−Br,−I,−CN,−NO2,−CF3,−NH2、−NH(C1−C6アルキル)、−N(C1−C6アルキル)2、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(C1−C6アルキル)、−C(=O)N(C1−C6アルキル)2、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C6アルキル)、−SO2N(C1−C6アルキル)2、−C(=O)H、−C(=O)OH、及び−C(=O)O(C1−C6アルキル)から成る群から独立に選ばれる1〜3個の置換基で置換され、ここで、当該アルキル、アルケニル、及びアルキニル置換基は、各々、場合により、独立に、1〜6個のフッ素原子でさらに置換され;又はR11とR12は、一緒になって、4〜8員ヘテロシクロアルキルを形成し、ここで、当該へテロシクロアルキルは、場合により、独立に、−OH、−C1−C6アルキル、−C2−C6アルケニル、−C2−C6アルキニル、−C1−C6アルコキシ、−C2−C6アルケノキシ、−C2−C6アルキルオキシ、−C1−C6ヒドロキシアルキル、−F,−Cl,−Br,−I,−CN,−NO2,−CF3,−NH2、−NH(C1−C6アルキル)、−N(C1−C6アルキル)2、−C(=O)NH2、−C(=O)NH(C1−C6アルキル)、−C(=O)N(C1−C6アルキル)2、−SO2NH2、−SO2NH(C1−C6アルキル)、−SO2N(C1−C6アルキル)2、−C(=O)H、−C(=O)OH、及び−C(=O)O(C1−C6アルキル)から成る群から独立に選ばれる1〜3個の置換基で置換され、ここで、当該アルキル、アルケニル、及びアルキニル置換基は、各々、場合により、独立に、さらに1〜6個のフッ素原子で置換され;そして
10)R13は、−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−OH,−NO2,−NR1112,−C(=O)NR1112,−C(=O)R11,−C(=O)OR12,−SO2NR1112、−C1−C6アルキル、−C1−C6アルコキシ、−C3−C8シクロアルキル、4〜8員ヘテロシクロアルキル、C8−C10アリール、又は5−14員ヘテロアリールであり、ここで、当該アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、及びヘテロシクロアルキルの各水素原子は、場合により、独立に、フッ素で置換される。}で表される化合物。
【請求項2】
式中、Zは単結合である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
式中、Zはメチレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
式中、R2は水素であり、そしてR3は、独立に、−H、直鎖又は分枝C1−C6アルキル、C2−C6アルケニル、C2−C6アルキニル、C6−C14アリール、及び(5−14員)ヘテロアリールから成る群から選ばれる、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式中、
【化2】

である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
式中、
【化3】

である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
式中、R6は、−H,−F,−Cl,−CN,−CHO、直鎖又は分枝C1−C10アルキル、C2−C10アルケニル、C2−C10アルキニル、(C0−C6アルキレン)−(C3−C12シクロアルキル)、(C0−C6アルキレン)−(C3−C12ヘテロシクロアルキル)、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)又は(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)であり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロアルキルは、各々場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R7で置換され;そしてここで、当該アリールとヘテロアリールは、各々場合により、1以上のR7で置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
式中、R5は、独立に、−H,−F,−Cl,−Br,−CN,−CHO,−NO2,−C(=O)NR910,−C(=O)OR10,−NR910,−NR9C(=O)R10,−NR9C(=O)OR10、及びNR9C(=O)NR910から成る群から選ばれ;又はR5は、直鎖又は分枝C1−C20アルキル、C2−C20アルケニル、C2−C20アルキニル、(C0−C6アルキレン)−(C3−C12シクロアルキル)、又は(C0−C6アルキレン)−(C3−C12ヘテロシクロアルキル)であり、ここで、当該アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキレン、シクロアルキル、及びヘテロアルキルは、各々場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R7で置換され;又はR5は、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)又は(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)であり、ここで、当該アリール及びヘテロアリールは、各々場合により1以上のR7で置換され、そしてここで当該アルキレンは場合により、1以上の(C0−C6アルキレン)−R8で置換される、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式中、R5とR6は一緒になって、(4−8員)シクロアルキル、(4−8員)ヘテロシクロアルキル、又はC6−C10アリールを形成し、ここで、当該シクロアルキル及びヘテロアルキルは、各々1以上の(C0−C6アルキレン)−R8、(C0−C6アルキレン)−(C6−C14アリール)、及び(C0−C6アルキレン)−(5−14員ヘテロアリール)で置換され、ここで、当該アリール及びヘテロアリールは、各々1以上のR7で置換される、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
以下の:
3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオン酸メチル・エステル;
3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオン酸;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−モルホリン−4−イル−3−オキソ−プロピル)−チアゾール−2−イル−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−{5−[3−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−3−オキソ−プロピル]−チアゾール−2−イル}−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
1−[3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオニル]−ピペリジン−3−カルボン酸ジエチルアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−{5−[3−オキソ−3−(4−フェネチル−ピペラジン−1−イル)−プロピル]−チアゾール−2−イル}−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−tert−ブチル−3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−オキソ−3−ピロリジン−1−イル−プロピル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−{5−[3−(3−ヒドロキシメチル−ピペリジン−1−イル)−3−オキソ−プロピル]−チアゾール−2−イル}−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−プロピル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−3−メチル−ブチル}−ベンゼンスルホンアミド;
N−(1−ベンゾチアゾール−2−イル−エチル)−4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
N−(1−ベンゾチアゾール−2−イル−エチル)−4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{[5−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−フェニル−メチル}−ベンゼンスルホンアミド;
(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−プロピル}−4−メチル−チアゾール−5−イル)−酢酸;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−チアゾール−2−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[1−(5−ヒドロキシメチル−チアゾール−2−イル)−エチル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(4−メチル−ピペラジン−1−イルメチル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[1−(5−トリフルオロメチル−ベンゾチアゾール−2−イル)−エチル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[1−(5−フェニル−チアゾール−2−イル)−エチル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−(1−チアゾール−5−イル−エチル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−[1−(2−ヒドロキシメチル−チアゾール−5−イル)−エチル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イルメチル)−チアゾール−5−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
1−(5−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−2−イルメチル)−ピペリジン−3−カルボン酸アミド;
N−[1−(2−ブロモ−チアゾール−5−イル)−エチル]−4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−ヒドロキシ−プロピル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(2−ヒドロキシ−エチル)−4−メチル−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド;
3−(2−{1−[(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アミノ]−エチル}−チアゾール−5−イル)−プロピオンアミド;
4−クロロ−N−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−N−{1−[5−(3−ヒドロキシ−3−メチル−ブチル)−チアゾール−2−イル]−エチル}−ベンゼンスルホンアミド
、及び医薬として許容されるそれらの塩から成る群から選ばれる請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Aβペプチド生産の阻害に有効な量の請求項1に記載の化合物、及び医薬として許容される担体を含む、アルツハイマー病、アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びDown’s症候群から成る群から選ばれる哺乳動物における疾患又は症状の治療用医薬組成物。
【請求項12】
アルツハイマー病、アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びDown’s症候群から成る群から選ばれる哺乳動物における疾患又は症状の治療用医薬組成物であって、当該疾患又は症状の治療に有効な量の請求項1に記載の化合物、及び医薬として許容される担体を含む前記医薬組成物。
【請求項13】
Aβペプチド生産の阻害に有効な量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、アルツハイマー病、アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びDown’s症候群から成る群から選ばれる哺乳動物における疾患又は症状の治療方法。
【請求項14】
アルツハイマー病、アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びDown’s症候群から成る群から選ばれる哺乳動物における疾患又は症状の治療方法であって、当該症状の治療に有効な量の請求項1に記載の化合物を当該哺乳動物に投与することを含む前記方法。
【請求項15】
(a)請求項1に記載の化合物;(b)記憶増強剤、抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬、抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節剤、又は抗高血圧剤;及び(c)医薬として許容される担体;を含む、Aβペプチド生産に関連する哺乳動物における疾患又は症状の治療用医薬組成物であって、ここで、上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する、前記医薬組成物。
【請求項16】
(a)請求項1に記載の化合物;(b)記憶増強剤、抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬、抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節剤、又は抗高血圧剤;及び(c)医薬として許容される担体を含む、アルツハイマー病、アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びDown’s症候群から成る群から選ばれる哺乳動物における疾患又は症状の治療用医薬組成物であって、
ここで上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する前記医薬組成物。
【請求項17】
(a)請求項1に記載の化合物;(b)記憶増強剤、抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬、抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節剤、又は抗高血圧剤;及び(c)医薬として許容される担体;を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるAβペプチド生産に関連する疾患又は症状の治療方法であって、ここで、上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する、前記治療方法。
【請求項18】
(a)請求項1に記載の化合物;(b)記憶増強剤、抗うつ剤、抗不安薬、抗精神病薬、睡眠障害薬、抗炎症薬、抗酸化剤、コレステロール調節剤、又は抗高血圧剤;及び(c)医薬として許容される担体を哺乳動物に投与することを含む、当該哺乳動物におけるアルツハイマー病、アミロイド症を伴う遺伝性脳出血、脳アミロイド脈管障害、プリオン仲介疾患、封入体筋炎、発作、多発性硬化症、及びDown’s症候群から成る群から選ばれる疾患又は症状の治療方法であって、ここで、上記活性剤(a)と(b)は、上記疾患又は症状の治療に有効な組成を与える量で存在する前記治療方法。

【公表番号】特表2007−530699(P2007−530699A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506415(P2007−506415)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/010264
【国際公開番号】WO2005/097114
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】