説明

移動プラットフォームの衛星ベースの相対測位のための方法および装置

本発明は、衛星ベースのナビゲーション技法および移動するプラットフォームに設置された設備を用いた、移動するプラットフォーム間の相対的位置の決定を対象とする。本発明は、観測スペースおよびナビゲーションスペースのディファレンシャルシステムのコンセプトを組み合わせ、データリンクローディングおよび付加的プロセッサの計算負荷を最小化する際に特定のGNSS受信機のビルトインディファレンシャル測位およびナビゲーション能力に依拠するために、DGNSS基準局を時変モードで動作させる。本発明は、参照局モードで動作中にそれは静止していると仮定するDGNSS設備を用いて、移動している基準局に関して正確な相対測位およびナビゲーションを達成する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「METHOD AND APPARATUS FOR SATELLITE−BASED RELATIVE POSITIONING OF MOVING PLATFORMS」と題する2003年10月6日出願の米国仮出願第60/508,937号の利益を主張し、参照により本明細書に組み込む。
【0002】
説明される技術は、衛星ベースのナビゲーション技法およびプラットフォームに設置された設備を用いて、移動プラットフォーム間の相対的位置を決定することを対象とする。
【背景技術】
【0003】
Navstar/全地球測位システム(「GPS」)は、衛星群、制御局、およびユーザ局(受信機)を備え、ユーザナビゲーションおよび時刻配信を世界規模でサポートすることを目的とする。個別の衛星のそれぞれは、空間におけるそれ自身の軌道を時間の関数として記述するエフェメリス(ephemeris)データに加えて、精密に時刻合わせされた測距信号を送信する。ユーザ局は、複数の衛星からの信号を追跡すること、これらの衛星へのいわゆる「擬似距離」を決定すること、これらの衛星により送信されたデータを復調すること、および擬似距離および衛星エフェメリスデータを考慮に入れてそれ自身の場所およびクロックオフセットについて解くことによって、それ自身の場所およびGPSシステム時刻についてのクロックオフセットを決定することができる。世界協定時(Universal Coordinated Time)についてのクロックオフセットは、衛星により送信される追加のオフセットパラメータを用いることにより決定することができる。ユーザ局の速度は、一定時間にわたる位置の見積もりを微分することによって、または衛星ダウンリンク信号のドップラー測定からの直接の計算によって決定することができる。ドップラー測定は、搬送波信号で送信される擬似ランダムシーケンスとして送信される測距コードに基づくことができる。GPSは、アメリカ合衆国により維持され、運用されている。ロシア連邦により維持され運用されているGLONASSシステムは、多くの点でGPSに類似している。
【0004】
衛星航法(GNSS)は、ナビゲーションおよび時刻配信をサポートすることを目的としたシステムのゆるやかに定義された上位集合であり、GPS、GLONASS、および他の既存のおよび予定されているシステムを含む。
【0005】
GPS、GLONASS、およびGNSSシステムは、一般にユーザナビゲーションの精度を制限する障害の組み合わせを被りやすい。これらは、衛星エフェメリス、衛星クロックドリフト、および大気の伝搬要因の誤差を報告することなどのゆっくり変化する障害、および受信機測定ノイズなどのすみやかに変化する障害を含む。ゆっくり変化する障害は、ローカルエリア(数十または数百マイルの範囲)で動作する局のグループに一般的である傾向にある。これらのゆっくり変化する障害は、測量された場所(surveyed location)の「基準局」により見積もられ、測量されていない場所(non−surveyed location)の(または移動中の)ユーザ局に送信されることができ、ユーザ局により経験される関連する誤差を減らすことを可能にする。そのような協調的システムは一般に「ディファレンシャルシステム」と呼ばれ、DGPSやDGNSSなどの様々な名前により言及することができる。様々な技法を組み入れる多様なディファレンシャルシステムが存在する。
【0006】
ディファレンシャルシステムのあるタイプで、基準局が、それの測量された場所および各衛星についてのエフェメリスデータに基づいて各衛星までの(ある瞬間において)期待される距離を計算する。基準局は、同じ瞬間に、この期待される距離を(衛星により送られる測距コードに基づいて)測定された距離と比較する。その差は、すみやかに変化する障害に加えてゆっくり変化する障害を含む。その差は、(おそらくは他の情報を伴って)データリンクを通じてユーザ局に報告される。次に、その差は、位置およびクロックオフセットを計算する前にユーザ局で用いられ、ユーザ局自身による衛星の擬似距離の観測が補正される。このタイプのディファレンシャルシステムは、様々な局でなされた距離または擬似距離の観測と関連付けられた補正情報(correction)を転送するため、時々と「補正されたディファレンシャル」、「距離領域(range−domain)」、または「観測領域(observation−domain)」と呼ばれる。データリンクの求められるデータレートは、一般に、特定の1つのレートまたはレートのセットで、いくつかの衛星のそれぞれについての別個の観測結果(observation)または観測結果のセットを転送することの必要により大部分が決められる。衛星の数は一般に、(将来において追加の衛星群が配備され、GNSSに統合されるときにより多くの衛星が報告されうるが)4から12の間で変わる。観測結果は一般に、例として、複数の衛星から基準局のために送信される複数の測距コードのそれぞれについての到着時刻の差(すなわち、期待される時刻を引いた観測された時刻)または距離オフセットにおける等価物を含む。加えて、観測結果は、測距コードが変調されている搬送波信号の統合された搬送波位相、または搬送波位相の測定および観測に関連する他の情報を含むことができる。ユーザ局の測位およびナビゲーション性能をリアルタイムで向上させるために搬送波位相の測定に基づく情報を送信し利用するDGNSSシステムは、一般にリアルタイムキネマティック(RTK)システムと言及される。RTKシステムは、高周波数のために、非RTKシステムよりも大いにより良いナビゲーション性能(少ないナビゲーションおよび測位誤差)を提供するが、高周波数のために、大いにより高いデータレート、より長い初期化時間、(GNSS受信機内または外部プロセッサ内のいずれかにおける)ユーザ局に対するより大きな計算負荷、および基準局とローバ(rover)との間のより小さな最大達成可能距離を伴う。
【0007】
様々なタイプのディファレンシャルシステムについていくつかの国際的に認められた標準がある(例えば、RTCM SC−104、RTCA DO−217、RTCA DO−229など)。これらの標準では、他の事柄の中でも、情報を転送するのに用いられるデータリンクメッセージフォーマットが説明される。GNSS設備のいくつかの製造者は、ディファレンシャルGNSSシステムの実施についてのかれら独自の標準を開発してきた。これらの標準は一般に、観測領域技法を用いる。
【0008】
ディファレンシャルシステムの別のタイプで、基準局は、それがなすことのできる観測(およびエフェメリスデータ)に基づいてそれの位置を決定し、この位置をそれの測量された位置(surveyed position)と比較する。計算された位置と測量された位置との間の差は、データリンクを通じて(おそらくはディファレンシャルシステムに特徴を追加することを意図された他の情報を伴って)ユーザ局に報告される。ユーザ局は、それ自身の位置をそれがなすことのできる観測(およびエフェメリスデータ)に基づいて計算し、基準局により報告された差でこの位置を補正する。このタイプのディファレンシャルシステムは、一般的なGNSS受信機により生成された3Dナビゲーションソリューションに関連付けられた補正情報を転送するため、「ディファレンスド−ディファレンシャル(differenced−differential)」、「位置領域」、「ナビゲーション領域」、または「ソリューション領域」システムと時々呼ばれる。データリンクの求められるデータレートは、特定のレートで基準局(参照局)の3D位置を転送することの必要により大部分が一般に決められる。高いレートで転送される値は3つしかないため(例えば、地球を中心とした、地球を固定した座標系における、測量された位置からの基準局の計算されたオフセットなど)、このタイプのディファレンシャルシステムが必要なデータレートは、一般に「観測領域」システムよりも低い。しかしながら、基準局およびユーザ局が同一のセットの衛星に依存してそれらそれぞれの位置を計算する場合にのみ、一般には良い性能が得られる。異なるセットの衛星に依存する場合、基準局により計算された差は、ユーザ局が依存しない衛星による重大な寄与を反映している可能性があり、またはユーザ局のみが依存する衛星による重大な寄与を反映することに失敗している可能性がある。したがって、基準局により計算された差がユーザ局の実際の差を正確に反映していない可能性がある。上手く設計されたナビゲーション領域ディファレンシャルシステムは、非RTK観測領域システムとほぼ同一水準の性能を達成することができる。しかしながら、(個別の局が搬送波位相追跡技法を用いてそれらのナビゲーションソリューションを滑らかにすることはできるが)ナビゲーション領域ディファレンシャルシステムにはRTK性能の等価物が存在しない。RTKディファレンシャルシステムの2つのユーザ局の間の正確な相対的ベースラインを明らかにするために、それらは、それらのナビゲーション領域位置または軌道に関しての情報を交換することができる。しかしながら、これはナビゲーション領域ディファレンシャルシステムではなく、単なる位置データの交換である。
【0009】
多くの市販のGNSS受信機は、(一定の動作制限、および測量された位置などの所与の一定のデータのもとでの)ディファレンシャル補正データおよび観測結果の生成、または相対的位置もしくはディファレンシャル補正された絶対位置を決定するためのディファレンシャル補正データの利用のいずれか、または両方を行う能力を有する。しかしながら、ディファレンシャル補正データおよび観測結果を生成し用いることのできる多くの市販のGNSS受信機は、異なる別個の動作モードを有する。特定の位置に固定されたまたは移動していない動力(dynamic)を仮定する1つのモード(例えば、「参照局」モードなど)では、それらは、ディファレンシャル補正データおよび観測結果を生成することができる。(例えば、移動を許可する「ローバモード」などの)別のモードでは、それらは、ディファレンシャル補正情報および観測データを利用し、相対的ベースラインおよび/またはディファレンシャル補正された絶対位置を生成することができる。
【0010】
大多数のDGNSSシステムは、固定された基準局に依存する。市販のGNSSシステムの一部は、測量された位置を明らかにすることなく、移動中に、ディファレンシャル基準局の構成要素として動作することができる。しかしながら、多くの市販のGNSS受信機は、ディファレンシャル基準局の構成要素として動作するように構成されるとき、受信機が地球に関して固定された位置にあると仮定する。そのような受信機は、それが基準局として振る舞う前に測量された位置が特定されることを要し、ついでたとえそれが移動中であっても(地球に関して)速度ゼロを報告することがある。またそのような受信機は、移動中であると正確に動作することに失敗し、測量された位置からの位置オフセットまたはそれの速度が一定の制限を超えた場合に、インテグリティアラームまたは(ユーザ局で誤差を導入する)不正確なデータを生成することがある。
【0011】
いくつかのケースで、移動中の(または移動中でありうる)、またはいずれの局にも測量された位置が1つも利用可能でない、2つの局の相対的位置を決定することが必要である。2つの局の相対的位置は時々、それらの間の「ベースライン」と呼ばれる。そのようなケースで、2つの局でなされた観測(またはそのような観測から計算された位置)を比較し、相対的位置またはベースラインを決定することができる。このデータは、より大きなシステムにおける受信機の動作上の役割に関わらず、「ローバモード」で動作する一般的なGNSS受信機から引き出すことができる。そのようなケースでは、動作上の理由に基づいて区別することは可能でありうるが、基準局とローバ局との間の差異は明確ではない。
【0012】
いくつかのケースで、プラットフォームに取り付けられているGNSS受信機を用いて、地球に対して移動している可能性のある2つのプラットフォームの間の相対的位置(ベースライン)を決定することが望ましく、用いられるGNSS受信機は、移動中である場合に基準局モード(例えば、「参照局」として)で有効に動作することができない。これは、両方のGNSS受信機をローバとして動作させ、2つの受信機から観測データおよび衛星軌道データなどの他のデータを収集し、観測データおよび他のデータを共通の場所(例えば、2つの受信機のうちの1つをサポートしているプラットフォームのうちの1つ)に持ってきて、独立したコンピュータで相対的位置またはベースラインを計算することにより達成できる。しかしながら、これは、適切なデータリンクプロトコルおよびアルゴリズムの開発、ならびに必要な計算を求められるタイムフレームで実行するのに十分な計算能力を有する独立したコンピュータの利用可能性を要求する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
参照局モードで動作しているときにはそれは静止していると仮定し、また関連するコンピュータリソースの計算負荷を最小化する、GNSS設備を用いて、地球に対して移動している2つのプラットフォームの間の相対的ベースラインを決定することが望ましい。
【0014】
「観測領域」および「ナビゲーション領域」ディファレンシャルシステムのコンセプトを組み合わせることで、計算された相対的位置またはベースラインに関連する所与の性能水準(ナビゲーションまたは位置誤差)に対するデータリンクローディングを最小化することがさらに望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0015】
観測領域およびナビゲーション領域の両方に基づいた、移動している基準局とローバ局との間のベースラインを計算するための方法およびシステムが提供される。ある実施形態で、基準局は、位置および速度などのナビゲーション領域データを高レート(例えば、10Hz)で生成し、各衛星についての擬似距離および搬送波の観測結果などの観測領域データを低レート(例えば、1Hz)で生成する。基準局は、ナビゲーション領域情報を高レートで、観測領域情報を低レートでローバ局に送信する。各ナビゲーション領域更新は、各観測領域更新よりも必要なデータ転送(データビット)が一般に少ない。ローバ局は、観測領域データを用いて高精度で(例えば、RTK技法を用いて)基準局に対する相対的位置を計算する。ローバ局は、高レートで基準局により送られるナビゲーション領域情報(例えば、速度およびおそらくは位置のより高次の微分など)およびそれ自身で計算した位置の変化に基づいて、相対的ベースラインを更新することができる。更新は短期間の間は正確でありうるが、ナビゲーション領域データに基づく更新は時間とともに大きくなる積分誤差を伴う。この誤差は、観測領域データに基づいて相対的ベースラインが再計算される度にかなりの部分が除かれる。したがって、システムはベースラインを確立するために高精度の技法を低レートで用い、短期間に適した異なる技法を確立されたベースラインを更新するために高レートで用いる。このようにして、システムは比較的低帯域幅で、高精度のベースラインを提供する。
【0016】
説明される技術は、観測スペースおよびナビゲーションスペースディファレンシャルシステムのコンセプトを組み合わせ、データリンクローディングおよび付加的プロセッサの計算負荷を最小化する際に特定のGNSS受信機のビルトインディファレンシャル測位およびナビゲーション能力に依拠するために、DGNSS基準局を時変(time−varying)モードで動作させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、ディファレンシャルGNSS(「DGNSS」)システムにおいて参照局として動作する基準局100、および同一のDGNSSシステムにおいて動作するGNSSローバ局またはユーザ局110を示している。GNSS基準局100は、GNSS信号を受信するように設計されたアンテナ101、ディファレンシャルGNSSシステムにおいて参照局として振る舞うように構成されたGNSS受信機102、データインターフェイス103、データリンクトランスミッタ104、およびデータリンク信号の送信をサポートするように設計されたアンテナ105を備える。アンテナ101は、GNSS受信機102に接続され、GNSS受信機102は、受信したGNSS信号を処理し、データインターフェイス103を通じてデータリンクトランスミッタ104に渡されるDGNSSデータを生成する。基準局からローバ局に渡されたDGNSSデータは、補正情報もしくは観測結果または両方を含むことができ、基準局(参照局)の位置および健康(health)などの他のデータを含むことができる。データリンクトランスミッタは、ディファレンシャル補正データおよび観測結果により変調されたRF信号を生成し、RF信号はアンテナ105により放射される。RF信号は、空間を通じて伝搬し、データリンクアンテナ106、データリンク受信機107、データインターフェイス108、GNSS受信機109、および関連付けられたアンテナ111を備えるGNSSローバ局110により受信される。特に、RF信号は、データ受信機107に関連付けられたアンテナ106により受信される。RF信号は、データリンク受信機により復調され、DGNSSシステムにおいてローバとして振る舞うように構成されたGNSS受信機109にデータインターフェイス108を通じて渡される。GNSS受信機109は、それの関連付けられたアンテナ111を介してGNSS信号も受信し、データリンクから受信した情報を用いて入ってくるGNSS信号についてそれのなす測定を補正する。補正された測定はついで、GNSS受信機により利用され、外部ユーザシステムまたはディスプレイ(図示せず)へ配信されることができる高精度のナビゲーションおよび位置予測が形成される。当業者は、この基本システムに対する多くの変形形態が可能であることを理解するだろう。
【0018】
図2は、移動プラットフォーム200上のGNSS基準局100、およびユーザプラットフォーム210に関連付けられたGNSSローバ局またはユーザ局110を示している。この図において、基準局は船の上にあり、ローバ局は航空機の上にある。説明される技術の可能な応用の1つは、船(実際には、船の上のGNSS参照局に関連付けられたGNSSアンテナ)と航空機(実際には、航空機の上のGNSSローバ局に関連付けられたGNSSアンテナ)との間の正確な相対的ナビゲーションを可能にすることである。
【0019】
図3は、一実施形態によるGNSS基準局300およびGNSSローバ局320を示している。GNSS基準局は、GNSS信号を受信するように設計されたアンテナ301、ディファレンシャルGNSSシステムにおいて参照局として振る舞うように構成されることができるGNSS受信機302、一方向データインターフェイス304および双方向データインターフェイス305を介してGNSS受信機302と通信するシステムコントロールユニット303、一方向インターフェイス306を介してシステムコントロールユニット303からデータを受信するデータリンクトランスミッタ307、およびデータリンクトランスミッタ307に接続されデータリンク信号の送信をサポートするように設計されたアンテナ308を備える。GNSSローバ局320は、データリンク受信機322に接続されたデータリンク受信アンテナ321、データインターフェイス323を介してデータリンク受信機からデータを受信する付加的ナビゲーションユニット324、DGNSSシステムにおいてローバとして動作することができ、一方向インターフェイス327および双方向インターフェイス328を介して付加的ナビゲーションユニットと通信するGNSS受信機325、およびGNSS信号を提供する目的のためにGNSS受信機に接続されたGNSSアンテナ326を備える。
【0020】
一実施形態で、基準局GNSS受信機302は、観測領域DGNSSデータを比較的低レート(例えば、1Hzまたはより低い)で生成し、ナビゲーション領域データを比較的高レート(例えば、10Hz)で生成する。好ましくは、GNSS受信機は、(GNSS技術における将来の起こりうる改善により搬送波位相測定を用いることなく十分な速度の精度が可能になりうるが)搬送波位相観測に基づく速度測定を含むこれらの観測タイプをサポートするように選択または設計されるべきである。
【0021】
観測領域DGNSSデータは、データインターフェイス304を介してシステムコントロールユニット303に転送され、システムコントロールユニットは、データインターフェイス306を通じてデータリンクトランスミッタ307にデータを渡し、したがってデータは、ローバ局で計算される高精度の相対的ベースラインを伴うRTK動作をサポートするために、ローバによりアクセス可能なデータリンクで送信されることができる。システムコントロールユニットは、このデータをデータリンクトランスミッタに渡す前にリフォーマットするか、または単にGNSS受信機によりフォーマットされた状態でデータを渡すことができる。データを転送するための多くの技法が当技術分野において既知であり、説明される技術とともに用いることができる。図3に示されたものとは異なるインターフェイスのセットが必要になるが、システムコントロールユニットをバイパスして、例えばバスを介してGNSS受信機からデータリンクトランスミッタにデータを渡すことができる。
【0022】
ナビゲーション領域データは、点位置(point position)ソリューションおよび速度を備え、より高次の微分(加速度)を備えることができる。ナビゲーション領域データもデータリンクで送信され、少なくとも速度データは比較的高レートで送信される。
【0023】
一般的なGNSS受信機は、観測領域DGNSSデータを生成するために特定の動作モード(例えば、「基準局」または「参照受信機」モード)に置かれる必要がある場合があり、それが移動中であるときは、前記特定の動作モードにある間に正確なナビゲーション領域データを生成することが不可能であることがある。さらに、大きな位置の変位は、GNSS受信機が誤った観測領域データを生成し、または他の方法で全体のシステムの性能を悪化させるということを引き起こす可能性がある。この場合、参照受信機モードおよびローバモードなどの2つの適した動作モードの間をサイクルするようにGNSS受信機を指示することができ、この指示は、双方向インターフェイス305を介して伝えられる。例示的動作体制は、各整数GPS(またはUTC)秒の最初のほぼ900ミリ秒をローバ受信機として動作し、各秒の最後のほぼ100ミリ秒を参照受信機として動作するようにGNSS受信機に指示することであり、指示のタイミングは、受信機が各整数秒の最初に観測領域DGNSSデータを生成することができるように調整される。整数秒の最初に観測領域データを生成することは、多くの現在利用可能なGNSS受信機の一般的動作挙動を考慮に入れると好都合である。この制限は、使用されている特定のGNSS受信機の能力次第で緩和することができる。受信機がローバとして振る舞っている各秒のほぼ900ミリ秒の間、受信機は、正確なナビゲーション領域位置および例えば速度データを生成することができる。そのような各時間間隔の最後で、システムコントロールユニット303により受信された最新のナビゲーション領域位置データは、GNSS受信機302を参照受信機モードに置く1つまたは複数の適切な指示を考案するために用いられ、ナビゲーション領域位置データと等しい測量された位置は、システムコントロールユニット303により受信される。図2による船で運ばれる基準局などの一般的な応用において、GNSS受信機が参照局として動作する個々の100ミリ秒の間隔にわたる位置オフセットは、GNSS受信機の参照局としての有効な動作を可能にするために十分に小さい。一実施形態で、システムコントロールユニット303は、データインターフェイス306を介してデータリンクトランスミッタ307に複数のメッセージの融合されたストリームを提供し、メッセージの融合されたストリームは、最小限として観測領域DGNSSデータならびにナビゲーション領域位置および速度データを含む。GNSS受信機が参照局モードで動作しているときにGNSS受信機により生成されたナビゲーション領域データが不正確な場合、システムコントロールユニットはアップリンクにこれらのデータを送信しないことを選択できる。しかしながら、たとえこのデータが送信されたとしても、アップリンクメッセージフォーマットでのデータの適切な注釈、およびローバ局の付加的ナビゲーションユニットのプログラミングを適用し、望まれないまたは不正確なデータを拒否することができる。
【0024】
GNSS受信機325および適切なアンテナ326によっても観測を行っているローバ局320は、データリンクアンテナ321およびデータリンク受信機322により基準局により送信されたアップリンクデータを受信する。アップリンクデータを含むメッセージは、一方向データインターフェイス323を通じて付加的ナビゲーションユニット324に伝えられ、付加的ナビゲーションユニット324は、観測領域DGNSSデータをGNSS受信機325に(おそらくはGNSS受信機により期待される入力フォーマットに適合するために要求されるようにメッセージをリフォーマットして)一方向データ327を通じて渡す。付加的ナビゲーションユニットをバイパスして、バスなどを介してデータをデータリンク受信機からGNSS受信機に渡すこともできるが、これは図3に示したのとは異なるセットのインターフェイスを要する可能性がある。一般的なシステムでは、これらのメッセージは(他のメッセージも送信されることができるが)搬送波位相観測結果および最も最近に特定された、参照局の測量された位置を含むことができる。このデータおよびそれ自身のGNSS観測結果を考慮に入れて、GNSS受信機325は、参照局への相対的ベースラインに対するソリューションを形成し、双方向データインターフェイス328を通じて付加的ナビゲーションユニットにこの相対的ベースラインを報告する。付加的ナビゲーションユニットは、アップリンクメッセージまたはローカルGNSS受信機それ自体のいずれかから参照局の測量された位置を学習することができ、報告された参照局の測量された位置をGNSS受信機から受信した絶対的ポジションフィックス(position fix)から差し引くことによって相対的ベースラインを導く。このソリューションは、低レート(例えば、新しいアップリンクDGNSSデータがローバに提供されるレートと等しい1Hzなど)で更新されることができる。
【0025】
一実施形態で、このソリューションはローバプラットフォーム上のGNSS受信機で計算され、それによって付加的ナビゲーションユニットなどの付加的プロセッサでRTK処理を実行する必要が回避される。別の実施形態で、このソリューションは、アップリンクDGNSSデータおよびGNSS受信機325のローカル観測結果が与えられたときに付加的プロセッサで計算される。
【0026】
GNSS受信機325は、双方向データインターフェイス328を介して付加的ナビゲーションユニット324に時間の経過とともに速度も報告する。付加的ナビゲーションユニット324は、このデータストリームを開始し維持するために、あるコマンドをDGNSS受信機325に発行する必要がある可能性がある。したがって、データインターフェイス328は一実施形態で双方向である。付加的ナビゲーションユニットは、データリンクアンテナ321、データリンク受信機322、および一方向インターフェイス323を介して時間の経過とともに基準局の速度に関するデータを受信する。付加的ナビゲーションユニットは、これらのナビゲーション領域データを用いて相対的ベースラインを順方向に伝播(forward−propagate)する。これは、基準局のダイナミクスについて仮定を置くことなく高レートで新しいRTKソリューションを形成するのに求められるように、フルセットの搬送波位相観測結果を高レートでアップリンクする場合よりも、かなり小さいデータリンクローディングで達成することができる。位置誤差は積分された計測ノイズおよび他の要因に起因して時間の経過とともにゆっくり蓄積されるが、観測スペース搬送波位相測定から新しい相対的ベースラインが計算される毎に(例えば、上の説明を考慮に入れ、すべてのアップリンクメッセージは誤差なく配信されていると仮定した場合に1Hzで、など)かなりの部分が除かれる。
【0027】
付加的ナビゲーションユニットは、基準局の現在の位置および速度(およびおそらくは過去のデータ)を含む、基準局の絶対位置の形跡(track)を維持することができる。例えば、アップリンクから受信した現在の速度データは、付加的ナビゲーションユニットが、短期間にわたる基準局の報告された点位置予測を順方向に伝播することを可能にする。付加的ナビゲーションユニットにより受信された各点位置予測は、前記付加的ナビゲーションユニットが基準局の絶対位置の予測を更新し、測定ノイズおよび他の要因の積分に関連した蓄積した位置誤差を除くことを可能にする。
【0028】
ナビゲーション領域データを備えるアップリンクメッセージストリームは、(一様な間隔が望ましい動作条件と考えられるが)一様な時間間隔をあける必要がない。例えば、基準局のモード遷移および通信経路におけるメッセージロスに起因して、アップリンクメッセージストリームにギャップが生じる場合がある。
【0029】
求められるなら、付加的ナビゲーションユニットは、受信した速度データ(最後に受信したデータまたは最後に受信したデータおよび以前のデータ)を考慮に入れて基準局の位置を順方向に伝播することができる。
【0030】
基準局から新しいナビゲーション領域データを伴う新しいメッセージを受信した後、付加的ナビゲーションユニットは、当業者に良く知られた様々なアルゴリズムを用いて基準局の絶対位置の現在の予測を決定することができる。例えばアルゴリズムは、先のメッセージが受信されてからの時間間隔に適用される、報告された速度に基づく新しい位置オフセットの計算、またはより精巧な技法を含むことができる。
【0031】
ローバの絶対位置は、現在の基準局の絶対位置の予測に現在の相対的ベースラインの予測を加えることにより(付加的ナビゲーションユニットによって)予測することができる。
【0032】
基準局の絶対位置は、好ましい実施形態を用いていくつかの方法でローバ内の付加的ナビゲーションユニットに伝えることができる。第一に、(例えば、基準局GNSS受信機がローバモードで動作しているときに900ミリ秒間隔の最後で決定された)基準局の絶対位置は、双方向インターフェイス305を通じてGNSS受信機302によりシステムコントロールユニット303に報告され、適切なメッセージにフォーマットされ、そしてデータインターフェイス306を通じてデータリンクトランスミッタ307に伝えられることができ、データリンクトランスミッタ307は、情報をアンテナ308により放射されるRF信号の上に変調する。次に、ローバはアンテナ321およびデータリンク受信機322によりRF信号を受信し、情報を付加的ナビゲーションユニット324に伝える。あるいは、参照局モードで動作しているGNSS受信機302に知られている基準局の絶対位置は、アップリンクDGNSSデータの一部としてGNSS受信機によりフォーマットされ、それによって一方向インターフェイス304を介してシステムコントロールユニットに伝えられ、データインターフェイス306を通じてデータリンクトランスミッタ307に伝えられることができ、データリンクトランスミッタ307は、アンテナ308により放射されるRF信号の上に情報を変調する。次に、ローバ局はアンテナ321およびデータリンク受信機322によりRF信号を受信し、情報を付加的ナビゲーションユニット324に伝え、付加的ナビゲーションユニット324は情報をGNSS受信機325に渡す。付加的ナビゲーションユニットは、GNSS受信機に配信することに加えてメッセージを直接読むか、またはこの情報を引き出すようにGNSS受信機をポーリングする(poll)かのいずれかをすることができる(この選択は、GNSS受信機の能力およびシステムインプリメンタまたはシステムオペレータの望み次第である)。
【0033】
システムオペレータは、アップリンクメッセージの送信レートを合わせて、様々な位置予測において誤差の増大が受け入れられる程度に低いこと、絶対位置の更新において長い隔たりが受け入れられる程度に低確率であること、および任意のローバがロックを失い、それのRTKソリューションの再開始を強制される確率が受け入れられる程度に低いことを保証することができる。メッセージ生成体制の一候補を、下の表1に示す。特定のシステムのレートは、データリンクメッセージ伝達確率、プラットフォームダイナミクス、ソリューション利用可能性および信頼性(継続性)に関するユーザ要件、およびGNSS受信機の詳細に依存する。メッセージを結合させることができるが、別々のメッセージを維持することはデータリンク動作の点においてより大きな柔軟性をもたらす場合があり、より小さい総データリンクローディングにつながる可能性がある。
【0034】
【表1】

【0035】
当業者は、図3に示した装置の多くの適した変形が存在することを理解するだろう。例えば、図示された一方向インターフェイスの代わりに双方向インターフェイスを用いることができ、または図示された双方向データインターフェイスの代わりにデュアル一方向インターフェイスを用いることができる。例えばGNSS受信機302とシステムコントロールユニット303との間、またはGNSS受信機325と付加的ナビゲーションユニット324との間のすべてのデータ交換は、双方向および一方向インターフェイスの混合ではなくて、単一の双方向インターフェイス、またはイーサネット(登録商標)などのデータバスを介してサポートされることができる。人間のオペレータによるモニタリングおよびナビゲーションデータの表示を可能にするためにシステムモニタまたはディスプレイを加えることができる。システムオペレーティングパラメータの改変および測量されたデータの入力を許可するために追加の入力デバイスを加えることができる。図示された単一のデータリンクの代わりに複数のデータリンクを用いることができる。データリンクは、ローバから基準局へのデータフローを許可するように(例えば、ローバで生成されたナビゲーションデータなど)双方向であることができ、RFデータリンクおよび他のインターフェイス接続(interfacing)がローバから基準局へのデータフローを許可する場合、好ましい実施形態において付加的ナビゲーションユニットによりサポートされているナビゲーション処理は、代わりに基準局でサポートされることができる。
【0036】
図4は、説明される技術の実施形態であって、基準局の絶対位置、速度データ、または両方が、双方向インターフェイス401を介してシステムコントロールユニット303と通信する付加的ナビゲーションセンサ402により生成されるものを示している。付加的ナビゲーションセンサは、第2のGNSS受信機、慣性ナビゲーションシステム、慣性測定ユニット、などとすることができる。付加的ナビゲーションセンサが位置データを提供する場合、システムコントロールユニットは、これらのデータを用いてGNSS受信機302の測量された位置データをリセットすることができる。付加的ナビゲーションセンサが速度データを提供する場合、システムコントロールユニットはこれらのデータについてGNSS受信機302の代わりに付加的ナビゲーションセンサに依拠することができる(データリンクトランスミッタを通じて、GNSS受信機302からの速度情報の代わりに付加的ナビゲーションセンサ402からの速度情報をアップリンクする)。付加的ナビゲーションセンサが位置および速度データの両方を提供する場合、参照局モードである間は正確な速度データを提供することができないGNSS受信機302を、(GNSS受信機の特定の特徴によっては、測量された位置を定期的に位置データでリセットされるようにする必要があるが)参照局モードのままにすることができる。
【0037】
例えば慣性ナビゲーションシステムまたは慣性測定ユニットをトレーニングする(train)のに用いた情報をGNSS受信機302が提供する場合、GNSS受信機302と付加的ナビゲーションセンサ402とが協調して動作することが可能である。この場合、トレーニングデータは、システムコントロールユニットを通じて、またはGNSS受信機から付加的ナビゲーションセンサへ直接流れることができる(このインターフェイスの可能性は図4に示されていない)。
【0038】
基準局それ自身が、ディファレンシャルGNSSシステムを用いてその位置および/または速度予測を改良することができる。例えば、GNSS受信機302はWAAS対応であり、航空機品質のDGNSSシステムにより生成されGPSのナビゲーション信号と同一の帯域で受信された衛星ダウンリンク信号に依拠していることができる。あるいは、図5aおよび5bに示すように、異なるDGNSSシステムが本発明のデータリンクシステムを共有することができる。図5aの実施形態で、適したアンテナ308を通じて動作しているデータリンクトランシーバ507は、所望の機能を満たすために必要なときに、DGNSSデータ(図示していないRF信号)の受信および基準局のアップリンクデータの送信の両方を行う。入ってくるDGNSSデータは双方向インターフェイス506を通じてシステムコントロールユニット303に転送され、それは、
a)双方向インターフェイス305または専用インターフェイス(図示せず)(多くの現在利用可能なGNSS受信機は、参照局としても振る舞いながら、そのようなDGNSS入力データを処理し正確な位置および速度のソリューションを形成することができない。しかしながら、原理的には同時にDGNSSデータの受信と生成の両方を行うことのできるGNSS受信機を作ることは実現可能である)を通じてGNSS受信機302に転送される、または
b)システムコントロールユニット303で用いられ、双方向インターフェイス305を介してGNSS受信機302によりシステムコントロールユニットに報告されたGNSS観測結果を用いてディファレンシャル補正された位置および速度予測を形成する
ことのいずれかがなされるができる。
【0039】
あるいは、入ってくるDGNSSデータは、図5bに示すように一方向インターフェイス508を介してGNSS受信機302に直接に転送されることができる。
【0040】
DGNSSデータを受信しGNSS受信機に直接に伝えるために、専用のデータリンク受信機が用いられることもできる。
【0041】
システムコントロールユニット303は、単一ボードコンピュータ、ラップトップ、または他のデータ処理およびルーティングデバイスとすることができる。先に図3に示した全体的システム設計に合うように適合させた実施形態を示す図6aに、主な特徴を示す(他の実施形態では、当業者はおそらく理解するように重要でない変更を伴うだろう)。図6aを参照すると、システムコントロールユニット303は、CPU604に接続された3つのCOMポート601、602、および603を備え、CPU604は読み取り専用メモリ605およびランダムアクセスメモリ606とともに動作する。他の補助的回路は当業者に既知であり、図6aに示していない。COM1ポート601は、データインターフェイス304を通じてGNSS受信機302から受信され、本発明による基準局とともに動作するローバ局へのアップリンク送信を意図されたDGNSSデータに対する入力インターフェイスを提供する。COM2ポート602は、一般にはGNSS受信機制御、GNSS受信機ステータスモニタリング、およびGNSS受信機からの位置および速度予測の受信のための、データインターフェイス305を通じたシステムコントロールユニットとGNSS受信機302との間の双方向通信を提供する。GNSS受信機の一部について、COM1およびCOM2の機能を単一の双方向インターフェイスに融合させることができる。COM3ポート603は、データインターフェイス306を通じてデータトランスミッタ307へのデータ転送をサポートする。ROM605は、ストアドプログラム制御を提供し、RAM606はリアルタイムデータストレージを提供する。
【0042】
CPU604は、図7に示した処理フローに従ったGNSS受信機のサイクリック制御を可能にする。基準局について3つの主な動作状態があり(モード制御はCPUにより遂行される)、それらは初期化状態、ローバ動作状態、および参照局動作状態である。(図示していないフォールト(fault)状態もありうる。)パワーアップ(power up)すると、CPUは初期化状態701に入り、その状態で初期ポジションフィックスを示すGNSS受信機からの有効なメッセージを待つ。これは、GNSS受信機が自らの意志によって有効なポジションフィックスを生成することを仮定している。GNSS受信機が第1のポジションフィックスを生成するのにCPUにより構成/指示される必要がある場合、図7の処理フローを当業者はおそらく理解するように必要に応じて改変することができる。このメッセージ710を受信した後、CPUはGNSS受信機に必要なコマンド711を発行し、(ローバモードで動作しているときは)所望のレートで位置、速度、および時間出力を生成するために、参照局モードで動作しているときはDGNSSデータメッセージを生成するためにGNSS受信機を構成する。次に、基準局(CPU)はローバ動作状態702に遷移する(基準局(CPU)が初期化状態からローバ動作状態702ではなく参照局動作状態703に遷移することは可能である)。例えば、NovAtel OEM4−G2L受信機の場合において、NovAtel受信機のCOM1ポートがデータインターフェイス305に接続されCOM2ポートが一方向データインターフェイス304に接続されている状態で、CPUは、データインターフェイス305を通じて
INTERFACEMODE COM2 NONE RTCA
LOG COM2 RTCAOBS ONTIME 1
LOG COM2 RTCAREF ONTIME 1
LOG BESTXYZ ONTIME 0.1
などのコマンドを発行するだろう。
【0043】
これらのコマンドは、各秒の最初にRTCAプロトコルを用い、またGNSS受信機のCOM1ポートで比較的高レートでXYZ位置および速度のロギングをコマンドして、リモートローバへの伝達のためにGNSS受信機のCOM2ポートで発行されるDGNSSデータのためのインターフェイスモードをセットアップする。東向き、北向きおよび上向き速度に加えて、緯度、経度、高度を、BESTXYZログに報告された、またはBESTPOSおよびBESTVELログをコマンドすることで別々にログされたXYZ位置および速度から計算することができる。これらのコマンドにより生成されたDGNSSデータとのディファレンシャルプロセッシングを可能にするために、互換性のあるセットのコマンドがローバのGNSS受信機に発行される必要がある。
【0044】
ローバ動作状態702で、CPUはGNSS受信機からの位置/速度/時間(「PVT」)レポート720を待つ。PVTレポートを受信すると、必要な情報を格納し、基準局プラットフォーム位置および速度の形跡を更新する(721)。また、CPUはアップリンク送信のためのPVTレポート722を生成する(これは、GNSS受信機から受信したPVTレポートと同一のフォーマットまたは異なるフォーマットであることができる)。位置および/または速度メッセージのアップリンク送信について望まれるのと同一のレートでPVTレポートを生成するようにGNSS受信機を構成することが好都合である。この場合、システムコントロールユニットにより受信されたPVTレポートのそれぞれはアップリンクメッセージを考案するのに用いられ、処理フローは図7に示すように本質的にイベントにより動かされる(event−driven)。しかしながら、当業者に既知である変更により、レートは異なることができ、システムコントロールユニットは、必要に応じて大幅に減少させ、または推定する。CPUは、受信したPVTレポート内の時間タグに基づいて参照局モードにシフトする時刻かどうかを判定する(723)。切り換える時刻である場合、CPUはCOM2に必要なコマンド724を発行し、参照局モード703に切り換える。NovAtel OEM4−G2L受信機では、CPUはコマンド FIX POSITION LAT LON HEIGHT を発行するだろう。ここでLAT、LON、HEIGHTは、ちょうど受信したPVTメッセージに含まれている緯度、経度、高度である。そうでなければ、それはローバ動作モード702のままで、次のPVTメッセージを待つ。
【0045】
参照局動作モード703で、CPUはまず、ローバ局のディファレンシャル動作のために必要なDGNSSアップリンクデータが送信されたことを判定する。これは様々な方法で判定することができ、例えば、COM1でGNSS受信機により生成されているメッセージの直接的な観測、またはメッセージは直接的には観測されていないがメッセージが生成され送信されたことについて高い信頼のあるようなタイマである。DGNSSアップリンクデータが送信されると、CPUはGNSS受信機をローバモードに戻し、ついでそれ自身がローバ動作状態702に復帰する。NovAtel OEM4−G2L受信機では、CPUはコマンド FIX NONE を発行し、GNSS受信機がローバモードに入ることを強制するだろう。
【0046】
一実施形態で、GNSS受信機を動作させ、必要なDGNSSデータおよびナビゲーション領域データを外部のインターフェイスを通じてデータリンクトランスミッタに伝えるための組み込みファームウェアとともに、システムコントロールユニット303の機能がGNSS受信機302に融合される。別の実施形態で、システムコントロールユニット303の機能がGNSS受信機302に融合され、適切なデータ転送、動作モード、および動作サイクルをセットアップするために外部コマンドが要求される。
【0047】
付加的ナビゲーションユニット324は、単一ボードコンピュータ、ラップトップ、または他のデータ処理およびルーティングデバイスとすることができる。先に図3に示した全体的システム設計に合うように適合させた実施形態を示す図6Bに特徴を示す。図6Bを参照すると、付加的ナビゲーションユニット324はCPU654に接続された3つのCOMポート651、652、および653を備え、CPU654は読み取り専用メモリ655およびランダムアクセスメモリ656とともに動作する。他の補助的回路は当業者に既知であり、図6Bに示していない。COM1ポート651は、データインターフェイス323を通じてデータリンク受信機322から受信したデータに対する入力インターフェイスを提供する。COM2ポート652は、一般にはDGNSSデータのための、付加的ナビゲーションユニットとGNSS受信機325との間の一方向通信をデータインターフェイス327を通じて提供する。COM3ポート653は、一般にGNSS受信機制御、GNSS受信機ステータスモニタリング、GNSS観測結果の報告、およびGNSS受信機からの位置および速度予測の受け取り(ディファレンシャル補正されたものおよびディファレンシャル補正されていないものの両方)のための、GNSS受信機325との双方向データ転送をデータインターフェイス328を通じてサポートする。GNSS受信機の一部について、COM2およびCOM3の機能を単一の双方向インターフェイスに融合させることができる。ROM655は、ストアドプログラム制御を提供し、RAM656はリアルタイムデータストレージを提供する。
【0048】
CPU654は、DGNSS動作、GNSS受信機の制御、外部システムへのインターフェイス(例えば、他のコンピュータまたはディスプレイ)、および観測領域DGNSSプロセスのナビゲーション領域DGNSSプロセスとの融合をサポートするデータのルーティングを可能にする。図8に示すようにローバ局について2つの主な動作状態があり(モード制御はCPUにより遂行される)、それらは初期化状態およびローバ動作状態である。(図示していないフォールト(fault)状態もありうる。)パワーアップ(power up)すると、CPUは初期化状態801に入り、その状態で初期ポジションフィックスを示すGNSS受信機からの有効なメッセージを待つ。これは、GNSS受信機が自らの意志で有効なポジションフィックスを生成することを仮定している。第1のポジションフィックスを生成するのにGNSS受信機がCPUにより構成/指示されなければならない場合、図8の処理フローを当業者はおそらく理解するように必要に応じて改変することができる。このメッセージ810を受信した後、CPUはGNSS受信機に必要なコマンド811を発行し、所望のレートで位置、速度、および時間出力を生成するためにGNSS受信機を構成する。次に、ローバ局(CPU)はローバ動作状態802に遷移する。例えばNovAtel OEM4−G2L受信機の場合、CPUは
INTERFACEMODE COM2 RTCA NONE
LOG PSRXYZ ONTIME 0.1
LOG MATCHEDXYZ ONCHANGED
LOG REFSTATION ONCHANGED
などのコマンドを発行することができる。
【0049】
上に説明したようにコマンドされ、DGNSSデータを配信する基準局とともに、これらのコマンドは、受信機をセットアップし、高レートで位置および速度、ならびに、適切なアップリンクDGNSSデータを受信するときはいつでも、マッチした絶対位置および参照局位置データ(MATCHEDXYZは報告された参照局位置を参照して計算された絶対位置を含み、MATCHEDXYZ−REFSTATIONは相対的ベースラインをもたらす)を出力させる。他の代替策もある。例えば、LOG RTKDATA ONCHANGEDは相対的ベースラインを直接的にもたらす。
【0050】
ローバ動作状態802で、CPU654は入力COMポートへの様々なメッセージを待ち、これらのメッセージに応答して処理を実行する。COM1ポート651で、もとは基準局により生成されたアップリンクDGNSS補正データを受信すると、必要に応じてメッセージをリフォーマットし(リフォーマットは必要でないことがある)、データインターフェイス327に接続されているCOM2 652を介してデータをGNSS受信機に転送する。これらのデータは一般に、(GNSS受信機は、基準局のGNSS受信機が参照局として振る舞っている状態で、ディファレンシャルモードで動作していることを仮定すると)その後にGNSS受信機に正確な相対的ベースラインレポートまたはディファレンシャル位置/速度/時間(PVT)レポートを生成させる。
【0051】
COM3 653でGNSS受信機からディファレンシャルPVTレポートを受信すると、CPUは、基準局とローバとの間の相対的ベースラインを格納、または適切な場合は生成および格納のいずれかを行う。GNSS受信機の設計および生成されたメッセージにより、それは相対的ベースラインを直接的に報告することができ、または基準局の知る限り最新の絶対位置を考慮して相対的ベースラインを決定するために用いることのできる絶対位置を報告することができる。CPUは、位置および速度レポートも生成し、付加的処理(図示せず)のためにメモリにこれらのデータをロードするか、外部ユニット(通信インターフェイスは図示せず)への配信のためのメッセージを形成するかのいずれかを行う。位置および速度レポートは、1つもしくは複数のデータ構造またはメッセージを備えることができ、多くの代替的フォーマットを有するが、説明の簡略さのために、表2に示すデータタイプを有する、外部処理に配信される単一のメッセージと考えることができる。
【0052】
付加的ナビゲーションユニットにより生成される位置/速度メッセージの一般的なデータ内容
・ 基準局により報告された絶対位置、決定の基礎(basis for determination)、およびタイムスタンプ
・ 基準局により報告された絶対位置、決定の基礎、およびタイムスタンプ
・ 最後の高精度ポジションフィックスで報告された相対的ベースライン(ローバ引くベース)(例えば、NovAtel OEM4について、これは同時点にとられた測定から決定されたMATCHEDPOS引くREFSTATION位置だろう)
・ ローバの速度、決定の基礎、およびタイムスタンプ
・ ローバの相対的位置、決定の基礎
・ ローバの絶対位置、決定の基礎
【0053】
位置は、特定のデータにおいて緯度/経度/高度(LLA)とすることができ、またはECEF座標系において(x,y,z)とすることができる。速度は、東向き/北向き/上向き速度成分、または(x,y,z)速度成分とすることができる。タイムスタンプは、適用性の時間とすることができる。決定の基礎のための有効なエントリは記述されるデータに依存するが、SINGLE_POSITION、WAAS_CORRECTED、CODE、DOPPLER、CODE_DIFFERENTIAL、L1_CARRIER、L1_L2、MATCHED、EXTRAPOLATEDなどのオプションを含むことができる。一般的な位置/速度メッセージフォーマットは832、843、852によるレポーティングをサポートする。
【0054】
基準局の絶対位置および速度データは、データ840がアップリンクメッセージで受信されるか、またはローカルGNSS受信機により報告されるか(すなわち、ディファレンシャルモードで動作している場合にローカルGNSS受信機は基準局の位置を報告することができる)のいずれかがなされたときはいつでも更新される841。このデータは、いくつかのメッセージのうちの任意の1つにおいて受信されることができる。ローバの絶対位置は、基準局の絶対位置が受信されたときはいつでも更新されることができる842。
【0055】
ローバ局の絶対位置および速度データは、速度レポート850がローカルGNSS受信機から受信されたときはいつでも更新される851。
【0056】
一実施形態において、本発明によりGNSS受信機を動作させ、相対的ベースラインおよび望まれれば他のデータを基準局から受信したGNSS観測およびデータに基づいて計算するための組み込みファームウェアとともに、付加的ナビゲーションユニット324の機能はGNSS受信機325に融合される。別の実施形態で、付加的ナビゲーションユニット324の機能がGNSS受信機325に融合され、適切なデータ転送、動作モード、および動作サイクルをセットアップするために外部コマンドが要求される。
【0057】
NovAtel受信機または等価物を用いる一実施形態で、相対的ベースライン高精度ポジションフィックスは、搬送波位相測定を用いて、マッチした出力ログを表すことを意図されている。
【0058】
一実施形態で、ローバの速度は、ローカルに観測されたGNSSドップラーまたは搬送波位相測定に基づき、基準局に関連するデータのいずれも含まない。しかしながら、速度は、コード位相測定または付加的センサ(IMU)を介して決定されることもできる。速度測定は、高精度を達成するために、例えば地上車またはゆっくり加速している航空機について10 Hzまたはそれ以上などの比較的高レートでなされるべきである。
【0059】
基準局に関するローバの相対的位置は、マッチした位置のレポートを受信したときおよび基準局またはローカルGNSS受信機のいずれかから速度レポートを受信したときはいつでも更新される。マッチした位置のレポートは、オーバーライトを生じさせ、速度レポートは、先の速度レポートからの時間間隔の間の速度レポートを積分することにより位置オフセットの蓄積を生じさせる(それぞれについて、基準局またはローバから)。
【0060】
ローバの絶対位置は、付加的ナビゲーションユニットが、SINGLE_POSITIONレポート(または非ディファレンシャル動作を示す等価物)、またはMATCHEDPOSレポート、またはローカル速度レポートを受信したときはいつでも更新することができる(相対的位置レポートに関しては位置オフセットの蓄積により更新される)。
【0061】
位置および速度レポートの形成に加えて、過去のデータを格納するデータ構造を維持することができる。
【0062】
前述の内容から、本発明の特定の実施形態が例解を目的として本明細書に説明されてきたが、様々な変更を本発明の精神および範囲から逸脱することなく加えることができることが理解されるだろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による制限を除いて制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】DGNSS基準局およびDGNSSローバ局を示す図である。
【図2】移動しているDGNSS基準局および移動しているDGNSSローバ局を示す図である。
【図3】DGNSS基準局およびDGNSSローバ局を示す図である。
【図4】別のタイプのDGNSS基準局およびDGNSSローバ局を示す図である。
【図5】2つの他のタイプのDGNSS基準局を示す図である。
【図6】DGNSS基準局に関連するシステムコントロールユニットの簡略化された図式を示す図である。
【図7】DGNSS基準局に関連する動作モードおよび動作のシーケンスを示す図である。
【図8】DGNSSローバ局に関連する動作モードおよび動作のシーケンスを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動している基準局と移動しているローバ局との間のベースラインを計算するための情報を提供する方法であって、
ナビゲーション領域時に前記基準局の現在の位置を示すナビゲーション領域情報を収集することと、
観測領域時に前記基準局の現在の位置を示す観測領域情報を収集することと
を含み、前記観測領域時は、前記ナビゲーション領域時よりも回数が少ないことを特徴とする方法。
【請求項2】
情報を収集した後に、前記収集した情報から導いた情報を前記ローバ局に送信することを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記時は、固定間隔であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ナビゲーション領域情報を収集することは、測位受信機をローバモードで動作するようにセッティングすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ナビゲーション領域情報を収集することは、測位受信機がナビゲーション領域情報を提供するようにセッティングすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記観測領域情報を収集することは、測位受信機を参照局モードで動作するようにセッティングすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記観測領域情報を収集することは、測位受信機が観測領域情報を提供するようにセッティングすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ナビゲーション領域情報を収集することは、測位受信機がナビゲーション領域情報を提供するようにセッティングすることを含み、前記観測領域情報を収集することは、測位受信機を参照局モードで動作するようにセッティングすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記測位受信機は、GPSベースの受信機であることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
移動している基準局と移動しているローバ局との間の相対的ベースラインを計算するための情報を提供する方法であって、
ナビゲーション領域時に前記基準局の現在の位置を示すナビゲーション領域情報を受信することと、
観測領域時に前記基準局の現在の位置を示す観測領域情報を受信することと、
観測領域情報を受信したときに、前記受信した観測領域情報に基づいて相対的位置を計算することと、
ナビゲーション領域情報を受信したときに、先に計算した相対的位置および前記受信したナビゲーション領域情報に基づいて相対的位置を計算することと
を含み、前記観測領域時は、前記ナビゲーション領域時よりも回数が少ないことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記ナビゲーション領域情報および観測領域情報は、前記基準局から前記ローバ局で受信されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記時は、固定間隔であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ナビゲーション領域情報は、測位受信機をローバ局で動作するようにセッティングすることにより収集されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記ナビゲーション領域情報は、測位受信機がナビゲーション領域情報を提供するようにセッティングすることにより収集されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記観測領域情報は、測位受信機を参照局モードで動作するようにセッティングすることにより収集されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記観測領域情報は、測位受信機が観測領域情報を提供するようにセッティングすることにより収集されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記ナビゲーション領域情報は、測位受信機がナビゲーション領域情報を提供するようにセッティングすることにより収集され、前記観測領域情報は、測位受信機を参照局モードで動作するようにセッティングすることにより収集されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記測位受信機は、GPSベースであることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−508550(P2007−508550A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534373(P2006−534373)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/033218
【国際公開番号】WO2005/081013
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506117046)ジ インサイチュー グループ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】