説明

移動体用測位装置

【課題】測位結果と他のセンサの検出結果とを精度良く同期させることができる移動体用測位装置の提供。
【解決手段】基準時刻における移動体の位置及び速度を測位する測位手段と、移動体の状態を検出する状態検出センサと、状態検出センサの検出結果をクロック周期で伝送する伝送路と、同期手段とを備え、同期手段は、複数のクロック周期に亘った状態検出センサの各検出結果のうちから、同期させるべき検出結果を特定する第1同期手段と、基準時刻を推定する推定手段と、第1同期手段により特定された検出結果が検出された検出時刻と、基準時刻との時間差を算出する時間差算出手段と、算出した時間差と、基準時刻における移動体の位置及び速度の測位結果とを用いて、検出時刻における移動体の位置を補間により算出し、該移動体の位置の算出結果と、第1同期手段により特定された検出結果とを対応付ける第2同期手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位結果と他のセンサの検出結果とを同期させる手段を備える移動体用測位装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS受信機による測位計算に要した時間に基づいて内部に有するシステム時間を設定すると共に、設定された当該システム時間を用いて、移動体の状態を検出するセンサからの検出結果と、GPS受信機による測位計算結果とを同期させるナビゲーション装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−324560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、センサの検出結果は、CAN(controller area network)などのバス中を所定のクロック周期で伝送されている。従って、上記特許文献1のように、GPS受信機における測位演算時間のみを考慮して同期を行う構成では、クロック周期以下の時間誤差を取り除くことができないという問題がある。また、上記特許文献1では、GPS受信機における測位演算後の測位結果の転送による遅延が考慮されておらず、同期の精度に不十分な側面がある。
【0004】
そこで、本発明は、測位結果と他のセンサの検出結果とを精度良く同期させることができる移動体用測位装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る移動体用測位装置は、衛星からの電波の受信結果に基づいて、基準時刻における移動体の位置及び速度を測位する測位手段と、
移動体の状態を検出する状態検出センサと、
前記状態検出センサの検出結果を所定のクロック周期で伝送する伝送路と、
前記状態検出センサの検出結果と前記測位手段の測位結果とを同期させる同期手段とを備え、
前記同期手段は、
連続した複数のクロック周期に亘って前記伝送路を介して受信した前記状態検出センサの各検出結果のうちから、同期させるべき検出結果を特定する第1同期手段と、
前記基準時刻を推定する推定手段と、
前記第1同期手段により特定された検出結果が検出された検出時刻と、前記推定手段により推定された基準時刻との時間差を算出する時間差算出手段と、
前記時間差算出手段により算出された時間差と、前記基準時刻における移動体の位置及び速度の測位結果とを用いて、前記検出時刻における移動体の位置を補間により算出し、該移動体の位置の算出結果と、前記第1同期手段により特定された検出結果とを対応付ける第2同期手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、第1の発明に係る移動体用測位装置において、
前記第1同期手段は、前記推定手段の推定結果を用いて、前記基準時刻に対応するクロック周期における検出結果、前記基準時刻に対応するクロック周期の直後のクロック周期における検出結果、又は、前記基準時刻に最も近い検出時刻の検出結果を、前記同期させるべき検出結果として特定することを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第1の発明に係る移動体用測位装置において、
前記第2同期手段は、前記基準時刻における移動体の速度の測位結果に基づいて、前記時間差算出手段により算出された時間差の間における前記移動体の移動量を算出し、該算出した移動量と、前記基準時刻における移動体の位置の測位結果とに基づいて、前記検出時刻における移動体の位置を算出することを特徴とする。
【0008】
第4の発明は、第1の発明に係る移動体用測位装置において、
前記移動体の速度の測位結果は、衛星からの電波のドップラ周波数の観測結果を用いて導出されることを特徴とする。
【0009】
第5の発明は、第1の発明に係る移動体用測位装置において、
前記推定手段は、前記測位手段の測位演算に要する測位演算時間と、前記同期手段に前記測位手段からの測位結果が伝送されるときに要する伝送時間とを考慮して、前記基準時刻を推定することを特徴とする。
【0010】
第6の発明は、第5の発明に係る移動体用測位装置において、
前記測位手段は、GPS受信機により実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機に第2伝送路を介して接続されたコンピューターにより実現され、
前記伝送時間は、前記第2伝送路における伝送時間であることを特徴とする。
【0011】
第7の発明は、第1の発明に係る移動体用測位装置において、
前記時間差算出手段は、連続した複数のクロック周期に亘って前記伝送路を介して受信した前記状態検出センサの各検出結果のうちの所定番目のクロック周期における検出結果が受信された時刻と、前記所定番目のクロック周期と前記第1同期手段により特定された検出結果のクロック周期との周期数の差とに基づいて、前記第1同期手段により特定された検出結果が検出された検出時刻を推定することを特徴とする。
【0012】
第8の発明に係る移動体用測位装置は、衛星からの電波の受信結果に基づいて、基準時刻における移動体の位置又は速度を測位する測位手段と、
移動体の状態を検出する状態検出センサと、
前記状態検出センサの検出結果を所定のクロック周期で伝送する伝送路と、
連続した複数のクロック周期に亘って前記伝送路を介して受信した前記状態検出センサの各検出結果のうちから、同期させるべき検出結果を特定して、該特定した検出結果を、前記基準時刻における移動体の位置又は速度の測位結果に対応付ける同期手段とを備え、
前記同期手段は、前記測位手段の測位演算に要する測位演算時間と、該同期手段に前記測位手段からの測位結果が伝送されるときに要する伝送時間とを考慮して、前記基準時刻を推定する推定手段を備え、前記推定手段により推定された基準時刻に対応する又は近接するクロック周期における検出結果を、前記同期させるべき検出結果として特定することを特徴とする。
【0013】
第9の発明は、第8の発明に係る移動体用測位装置において、
前記測位手段は、GPS受信機により実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機に第2伝送路を介して接続されたコンピューターにより実現され、
前記伝送時間は、前記第2伝送路における伝送時間であることを特徴とする。
【0014】
第10の発明に係る移動体用測位装置は、衛星からの電波の受信結果に基づいて、基準時刻における移動体の位置及び速度を測位する測位手段と、
移動体の状態を検出する状態検出センサと、
前記状態検出センサの検出結果を所定のクロック周期で伝送する伝送路と、
連続した複数のクロック周期に亘って前記伝送路を介して受信した前記状態検出センサの各検出結果のうちから、同期させるべき検出結果を特定して、該特定した検出結果を、前記基準時刻における移動体の位置の測位結果に対応付ける同期手段とを備え、
前記状態検出センサにより検出される移動体の状態は、移動体の速度を含むと共に、更に、移動体の速度以外の状態を含み、
前記同期手段は、連続した複数のクロック周期に亘って前記状態検出センサから伝送された移動体の速度の各検出結果のうちから、前記基準時刻における移動体の速度の測位結果に最も近似する検出結果を、探索し、該最も近似する検出結果に係るクロック周期における検出結果を、前記同期させるべき検出結果として特定することを特徴とする。
【0015】
第11の発明は、第1〜10のうちのいずれかの発明に係る移動体用測位装置において、
前記測位手段は、GPS受信機により実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機に接続されたコンピューターにより実現され、
前記GPS受信機から前記コンピューターへは、前記基準時刻を表すPPS信号が伝送されないことを特徴とする。
【0016】
第12の発明は、第1〜10のうちのいずれかの発明に係る移動体用測位装置において、
前記測位手段は、GPS受信機により実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機に接続されたコンピューターにより実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機から前記コンピューターにPPS信号が供給されない場合に機能することを特徴とする。
【0017】
第13の発明は、第1〜9のうちのいずれかの発明に係る移動体用測位装置において、
前記状態検出センサにより検出される移動体の状態は、移動体の速度、加速度、角速度及び舵角のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0018】
第14の発明は、第1〜13のうちのいずれかの発明に係る移動体用測位装置において、
前記移動体は車両であることを特徴とする。
【0019】
第15の発明は、第1〜14のうちのいずれかの発明に係る移動体用測位装置における前記同期手段を実現するコンピューターに関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、測位結果と他のセンサの検出結果とを精度良く同期させることができる移動体用測位装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明に係る移動体用測位装置1が適用されるGPS(Global Positioning System)の全体的な構成を示すシステム構成図である。図1に示すように、GPSは、地球周りを周回するGPS衛星10と、地球上に位置し地球上を移動しうる車両90とから構成される。尚、車両90は、あくまで移動体の一例であり、その他の移動体としては、自動二輪車、鉄道、船舶、航空機、ホークリフト、ロボットや、人の移動に伴い移動する携帯電話等の情報端末等がありうる。
【0023】
GPS衛星10は、航法メッセージ(衛星信号)を地球に向けて常時放送する。航法メッセージには、対応するGPS衛星10に関する衛星軌道情報(エフェメリスやアルマナク)、時計の補正値、電離層の補正係数が含まれている。航法メッセージは、C/Aコードにより拡散されL1波(周波数:1575.42MHz)に乗せられて、地球に向けて常時放送されている。尚、L1波は、C/Aコードで変調されたSin波とPコード(Precision Code)で変調されたCos波の合成波であり、直交変調されている。C/Aコード及びPコードは、擬似雑音(Pseudo Noise)符号であり、−1と1が不規則に周期的に並ぶ符号列である。
【0024】
尚、現在、24個のGPS衛星10が高度約20,000kmの上空で地球を一周しており、各4個のGPS衛星10が55度ずつ傾いた6つの地球周回軌道面に均等に配置されている。従って、天空が開けている場所であれば、地球上のどの場所にいても、常時、少なくとも5個以上のGPS衛星10が観測可能である。
【0025】
車両90には、移動体用測位装置1が搭載される。
【0026】
図2は、移動体用測位装置1の一実施例の主要構成を示す図である。
【0027】
移動体用測位装置1は、図2に示すように、マイクロコンピューター11と、マイクロコンピューター11に伝送路18を介して接続されるGPS受信機12と、マイクロコンピューター11に伝送路16を介して接続される車両センサ14とを備える。マイクロコンピューター11は、GPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果の双方を用いるシステム内のECUであってよい。
【0028】
GPS受信機12は、GPSアンテナを介してGPS衛星10から受信した電波を中間周波数に変換後、GPS受信機内で発生させたC/Aコードを用いてC/Aコード同期を行い、航法メッセージを取り出す。また、GPS受信機12は、GPS衛星10から受信した電波に基づいて、車両90の位置及び速度を測位する。尚、位置の測位方法は、任意であり、単独測位や干渉測位が用いられてもよい。また、速度の測位方法は、搬送波のドップラ周波数を用いて実現されてもよい。
【0029】
GPS受信機12の測位結果(以下、「GPS測位結果」ともいう)は、所定のクロック周期ΔT1で伝送路16を介してマイクロコンピューター11に伝送される。所定のクロック周期ΔT1は、例えば1秒のような比較的長い周期であり、例えばPPS信号の周期と同一であってよい。尚、クロック周期ΔT1は、必ずしも発振器(クロック)の発振周期と同一である必要はなく、その整数倍の周期を含む。
【0030】
車両センサ14は、車速センサ(車輪速センサ)、加速度センサ、ジャイロセンサ(ヨーレートセンサ)、舵角センサ、圧力センサ、温度センサ、荷重センサ、地磁気センサ等のような、車両の状態を検出する任意のセンサであってよい。
【0031】
車両センサ14の検出結果は、所定のクロック周期ΔT2(各センサで異なるクロック周期であってもよい)で伝送路18に伝送される。クロック周期ΔT2は、センサ出力の用途等に依存するが、一般的に、測位結果の伝送用のクロック周期ΔT1よりも十分小さい。尚、クロック周期ΔT2は、必ずしも発振器(クロック)の発振周期と同一である必要はなく、その整数倍の周期を含む。伝送路18は、CAN(controller area network)、BEAN(双方向多重通信ネットワークの一種)、LIN等の任意のバスであってよい。
【0032】
ところで、GPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果は、車両の状態を検出する情報として共通するので、これらを組み合わせることにより、車両の状態を精度良く多面的に検出することが可能となる。しかしながら、GPS受信機12の測位結果は、車両センサ14の検出結果と異なり、演算負荷の高い処理を必要とするので、GPS受信機12の演算処理に要する時間等に起因して、GPS受信機12の測位結果に時間的遅れが生じる。このため、従来構成では、図3に示すように、GPS受信機からPPS信号を取り出して同期回路に入力し、PPS信号に基づいてGPS受信機の測位結果と車両センサの検出結果との同期を取ることで、GPS受信機12の測位結果の時間的遅れに起因した同期誤差を防止していた。
【0033】
しかしながら、このような従来構成では、GPS受信機からPPS信号を取り出す端子及び伝送路を必要とし、汎用性が低いという問題がある。即ち、例えばナビゲーション装置はユーザの好み等により多種多様なメーカーの製品が利用・交換されうるので、PPS信号を取り出すことが不能又は困難なGPS受信機を備えるナビゲーション装置に対しても、同期が可能な汎用性を持たせることが有用である。
【0034】
そこで、移動体用測位装置1には、以下で詳説する如く、PPS信号を取り出すことが不能又は困難なGPS受信機12を備えるナビゲーション装置に対しても、GPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果とを適切に同期させることができる構成が付与される。
【0035】
図4は、本実施例1における同期処理の説明図であり、(A)はGPS受信機12における主要処理の時系列を示し、(B)は車両センサ14から伝送されるデータの時系列(データストリーム)を示し、(C)はマイクロコンピューター11における主要処理の時系列を示す。
【0036】
図4に示す例では、図4(A)に示すように、GPS受信機12は、PPS信号に同期して、測位演算を実行し、その結果得られるGPS測位結果(GPSデータA)をマイクロコンピューター11に伝送路18を介して転送する。このとき、測位演算に要した時間はt1であり、データAの転送に要した時間t2である。尚、このとき得られるGPSデータAは、PPS信号のタイミングに同期したデータである。
【0037】
また、図4(B)に示すように、車両センサ14からのデータは、上述の如く所定のクロック周期ΔT2(この例では、ΔT2=a)でマイクロコンピューター11に伝送路16を介して伝送されている。本例では、車両センサ14からのデータは、10周期分のデータ(data0〜data9)毎に、マイクロコンピューター11の所定のメモリに格納される。尚、各周期のデータ(data*)は、上述の如く複数の車両センサ14の検出データ(例えば速度、加速度、舵角等の検出データ)を含んでよく、この場合、これらのデータ間での同期は取られているものとする。尚、記号の定義として、“data*”等で用いられる“*”は0〜9のいずれかを表す。
【0038】
また、図4(C)に示すように、マイクロコンピューター11は、data0が入力される毎に、その時刻(即ちdata0の入力時刻)Tiを所定のメモリに記憶すると共に、当該data0直前のdata9以前の10周期分のデータ(data0〜data9)を格納する。また、マイクロコンピューター11は、GPS測位結果(GPSデータA)が入力される毎に、その時刻(即ちGPSデータAの入力時刻)Tgを記憶すると共に、データAを所定のメモリに格納する。次いで、マイクロコンピューター11は、GPSデータAを所定のメモリに格納すると、図5に示す同期処理を実行する。
【0039】
図5は、本実施例1においてマイクロコンピューター11により実行される同期処理の一例を示すフローチャートである。
【0040】
ステップ100では、GPSデータAの転送時間t2(図4参照)が算出される。転送時間t2は、予め試験等により導出しておき、既知情報としてマイクロコンピューター11がアクセス可能なメモリに予め記憶されてもよい。
【0041】
ステップ102では、測位演算時間t1(図4参照)が見積もられる。測位演算時間t1は、転送時間t2と同様、予め試験等により導出しておき、既知情報としてマイクロコンピューター11がアクセス可能なメモリに予め記憶されてもよい。
【0042】
ステップ104では、PPS信号発生時刻Tpが推定される。具体的には、上述の如くGPSデータAの入力時刻Tgを用いて、PPS信号発生時刻Tp=Tg−t1−t2として算出される。
【0043】
ステップ106では、data0の入力時刻Tiと、車両センサ14の周期ΔT2(=a)を用いて、10周期分のデータ(data0〜data9)に対して、検出時刻Ti0〜Ti9を割り当てる。具体的には、data9には、検出時刻Ti9=Ti−aが割り当てられ、data8には、検出時刻Ti8=Ti−2×aが割り当てられ、以下同様で、data0には、検出時刻Ti0=Ti−10×aが割り当てられる。尚、検出時刻Ti0〜Ti9は、各data0〜data9が検出された時刻に対応し、ここでは、車両センサ14における処理時間及び伝送時間の遅れは微小であるとして無視される。但し、これらの処理時間及び/又は伝送時間を差し引いて検出時刻Ti0〜Ti9を導出してもよい。
【0044】
ステップ108では、上記ステップ104で推定したPPS信号発生時刻Tpと、上記ステップ106で割り当てた検出時刻Ti0〜Ti9とを比較し、検出時刻Ti0〜Ti9のうち、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期に係るdata*を特定し、当該特定したdata*を、今回入力されたGPSデータAに対応付ける(同期させる)。尚、図4に示した例では、PPS信号発生時刻Tpは、Ti7〜Ti8間のクロック周期に対応し、従って、Ti7〜Ti8間のクロック周期に係るdata7が、今回入力されたGPSデータAに対応付けられることになる。或いは、代替例として、PPS信号発生時刻Tpに最も近い検出時刻Ti*に係るdata*が今回入力されたGPSデータAに対応付けられてもよい。この場合、図4に示した例では、PPS信号発生時刻Tpは、検出時刻Ti7よりも検出時刻Ti8に近く、従って、PPS信号発生時刻Tpに最も近い検出時刻Ti8に係るdata8が、今回入力されたGPSデータAに対応付けられることになる。また、その他の代替例として、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期の直後のクロック周期のdata*を、今回入力されたGPSデータAに対応付けてもよい。この場合、図4に示した例では、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期の直後のクロック周期に係るdata8が今回入力されたGPSデータAに対応付けられることになる。
【0045】
尚、このようにして同期されたGPSデータA及び車両センサ14のdata*は、多種多様なシステムで利用可能である。例えば、同期されたGPSデータA及び車両センサ14のdata*は、慣性航法による測位システムで利用されてもよいし、GPSデータAの位置情報を利用する各種の車両走行制御システムや情報出力システムに利用されてもよいし、マップマッチング等に利用されてもよい。
【0046】
このように本実施例1によれば、PPS信号を取り出すことが不能又は困難なGPS受信機12を備えるナビゲーション装置に対しても、GPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果とをソフトウェア的に同期させることができる。また、特に強調すべきこととして、本実施例1によれば、測位演算時間t1のみならず、GPSデータAの転送時間t2をも考慮して、PPS信号発生時刻Tpを推定するので、その推定精度が高く、それ故に、同期誤差を効果的に低減することができる。
【実施例2】
【0047】
実施例2は、上述の実施例1に対して、マイクロコンピューター11により実行される同期処理の詳細のみが異なる。従って、以下では、実施例2に特有の構成のみを説明し、その他の構成については上述の実施例1と同様であってよい。
【0048】
図6は、本実施例2における同期処理の説明図である。ここで、図4で示した内容を参照しつつ、本実施例2における同期処理を説明する。上述の実施例1では、上述の如く所定のクロック周期のdata*が、GPSデータAに対応付けられる。しかしながら、この場合、クロック周期以下の同期誤差が残る。例えば、図4で示した例において、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期に係るdata7がGPSデータAに対応付けられる場合、依然として、PPS信号発生時刻Tpと検出時刻Ti7との時間差分(=a−β)だけ同期誤差が残存する。
【0049】
そこで、本実施例2では、マイクロコンピューター11は、このようなクロック周期以下の同期誤差を取り除くために、PPS信号発生時刻Tpと、同期させるべきdata*に係る検出時刻Ti*との時間差ΔTpを算出し、GPS測位結果(GPSデータA)を、時間差ΔTp分だけ外挿補間して補正してから、同期させるべきdata*に対応付ける。尚、本実施例2では、GPS測位結果のうち車両90の位置の測位結果が車両センサ14の検出結果と対応付けられる(同期される)。
【0050】
ここでは、一例として、PPS信号発生時刻Tpに最も近い検出時刻Ti8に係るdata8がGPSデータAに対応付けられる場合を考える。この場合、図6に示すように、PPS信号発生時刻Tpと、同期させるべきdata8に係る検出時刻Ti8との時間差ΔTpは、ΔTp=Ti8−Tp(=β)となる。従って、マイクロコンピューター11は、GPS測位結果(GPSデータA)を、時間差ΔTp(=β)分だけ外挿補間することで、PPS信号発生時刻Tpから時間ΔTp経過したときのGPS測位結果を算出し、当該算出したGPS測位結果を、data8に対応付ける。外挿補間は、車両90の速度情報に基づいて、時間差ΔTp間における車両90の移動量を算出し、当該移動量を、PPS信号発生時刻Tpに係る車両90の位置の測位結果に積算することで実現される。車両90の速度情報としては、好ましくは、PPS信号発生時刻Tpに係る車両90の速度の測位結果(例えばドップラ周波数の観測結果を用いて算出される速度)が用いられる。
【0051】
尚、ドップラ周波数の観測結果を用いて車両90の速度の測位方法は任意の方法が用いられてもよいが、例えば以下の方法が用いられてよい。先ず、レプリカキャリアの周波数frと既知の搬送波周波数fL1(1575.42MHz)に基づいて、PPS信号発生時刻Tpに対応した周期(i)におけるドップラ周波数Δf(i)(=fr−fL1)が測定される。次いで、ドップラ周波数Δf(i)を用いて、PPS信号発生時刻Tpに対応した周期(i)における車両90の速度ベクトルv=(v(i),v(i),v(i))が測位される。この測位は、例えば以下のような関係式に基づいて、最小二乗法等を用いて実行されてよい。尚、文字の上についた記号黒丸は、ドット(時間微分)を表し、例えばドップラレンジdρは、ρドット(擬似距離ρの時間微分)である。
【0052】
【数1】

尚、Iドット及びTドットは、電離層誤差の変動量及び対流圏誤差の変動量を表すが、非常に小さいので、ここでは、白色ノイズεとして扱う。また、bドットは、時計誤差の微分値である。また、(V−v)・lのV・lの部分は、単位ベクトルl(i)と衛星移動速度ベクトルV(i)との内積であり、衛星移動速度ベクトルV(i)は、上述の如く航法メッセージの衛星軌道情報に基づいて算出され、単位ベクトルl(i)は、周期(i)において測位された車両90の位置(X(i),Y(i),Z(i))、及び、周期(i)において算出されるGPS衛星10の衛星位置(X(i),Y(i),Z(i))を用いて、以下のように、算出されてよい。
【0053】
【数2】

また、ドップラレンジdρ(i)は、搬送波の波長λ(既知)と、周期(i)で得られるGPS衛星10に関するドップラ周波数Δf(i)を用いて、例えばdρ(i)=λ・Δf(i)により、算出される。尚、この場合、外挿補間は、得られた速度ベクトルv=(v(i),v(i),v(i))に、時間差ΔTpを乗算し、当該乗算して得られた変位ベクトルを、周期(i)において測位された車両90の位置(X(i),Y(i),Z(i))に積算することで実現される。即ち、補正後の車両90の位置(X’(i),Y’(i),Z’(i))=ΔTp・(v(i),v(i),v(i))+(X(i),Y(i),Z(i))として算出される。
【0054】
図7は、本実施例2においてマイクロコンピューター11により実行される同期処理の一例を示すフローチャートである。
【0055】
ステップ200では、GPSデータAの転送時間t2(図4参照)が算出される。転送時間t2は、予め試験等により導出しておき、既知情報としてマイクロコンピューター11がアクセス可能なメモリに予め記憶されてもよい。
【0056】
ステップ202では、測位演算時間t1(図4参照)が見積もられる。測位演算時間t1は、転送時間t2と同様、予め試験等により導出しておき、既知情報としてマイクロコンピューター11がアクセス可能なメモリに予め記憶されてもよい。
【0057】
ステップ204では、PPS信号発生時刻Tpが推定される。具体的には、上述の如くGPSデータAの入力時刻Tgを用いて、PPS信号発生時刻Tp=Tg−t1−t2として算出される。
【0058】
ステップ206では、data0の入力時刻Tiと、車両センサ14の周期ΔT2(=a)を用いて、10周期分のデータ(data0〜data9)に対して、検出時刻Ti0〜Ti9を割り当てる。具体的には、data9には、検出時刻Ti9=Ti−aが割り当てられ、data8には、検出時刻Ti8=Ti−2×aが割り当てられ、以下同様で、data0には、検出時刻Ti0=Ti−10×aが割り当てられる。尚、検出時刻Ti0〜Ti9は、各data0〜data9が検出された時刻に対応し、ここでは、車両センサ14における処理時間及び伝送時間の遅れは微小であるとして無視される。但し、これらの処理時間及び/又は伝送時間を差し引いて検出時刻Ti0〜Ti9を導出してもよい。
【0059】
ステップ208では、上記ステップ204で推定したPPS信号発生時刻Tpと、上記ステップ206で割り当てた検出時刻Ti0〜Ti9とを比較し、検出時刻Ti0〜Ti9のうち、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期に係るdata*を、今回入力されたGPSデータAに対応付けるべき(同期させるべき)data*として特定する。尚、図4に示した例では、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期に係るdata7が特定されることになる。或いは、代替例として、PPS信号発生時刻Tpに最も近い検出時刻Ti*に係るdata*が特定されてもよい。この場合、図4に示した例では、PPS信号発生時刻Tpに最も近い検出時刻Ti8に係るdata8が特定されることになる。また、その他の代替例として、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期の直後のクロック周期のdata*が特定されてもよい。この場合、図4に示した例では、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期の直後のクロック周期に係るdata8が特定されることになる。但し、本実施例2では、上述の如く後のステップ214にて外挿補間を行うので、好ましくは、このその他の実施例のように、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期の直後のクロック周期のdata*が特定される。以下では、PPS信号発生時刻Tpに対応したクロック周期の直後のクロック周期のdata*が特定されるものとして説明を続ける。
【0060】
ステップ210では、PPS信号発生時刻Tpと、上記ステップ208で特定されたdata*に係る検出時刻Ti*との時間差ΔTp(=Ti*−Tp)が算出される。
【0061】
ステップ212では、上記ステップ210で算出された時間差ΔTpにより、PPS信号発生時刻Tpに係る車両90の位置の測位結果が外挿補間される。外挿補間の方法は上述した方法が用いられてよい。
【0062】
ステップ214では、外挿補間により補正された車両90の位置の測位結果が、上記ステップ208で特定されたdata*に対応付けられる(同期される)。尚、このようにして同期されたGPSデータA及び車両センサ14のdata*は、多種多様なシステムで利用可能である。例えば、同期されたGPSデータA及び車両センサ14のdata*は、慣性航法による測位システムで利用されてもよいし、GPSデータAの位置情報を利用する各種の車両走行制御システムや情報出力システムに利用されてもよいし、マップマッチング等に利用されてもよい。
【0063】
このように本実施例2によれば、PPS信号を取り出すことが不能又は困難なGPS受信機12を備えるナビゲーション装置に対しても、GPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果とをソフトウェア的に同期させることができる。また、特に強調すべきこととして、本実施例2によれば、上述の如く、車両90の位置の測位結果を、クロック周期以下の時間差ΔTpを用いて補間による補正を行った上で、車両センサ14の検出結果に同期させるので、クロック周期以下の同期誤差を無くすことができる。また、本実施例2によれば、測位演算時間t1のみならず、GPSデータAの転送時間t2をも考慮して、PPS信号発生時刻Tpを推定するので、推定精度が高く、それ故に、同期誤差を効果的に低減することができる。
【実施例3】
【0064】
実施例3は、上述の実施例1に対して、マイクロコンピューター11により実行される同期処理の詳細のみが異なる。従って、以下では、実施例3に特有の構成のみを説明し、その他の構成については上述の実施例1と同様であってよい。
【0065】
図8は、本実施例3においてマイクロコンピューター11により実行される同期処理の一例を示すフローチャートである。
【0066】
ステップ300では、GPSデータAから速度情報(車両90の速度の測位結果)が抽出される。
【0067】
ステップ302では、抽出したGPSデータAの速度情報と、車両センサ14の10周期分のデータ(data0〜data9)とを比較する。この際、車両センサ14の各data*における速度情報(例えば車輪速センサからの速度情報)が、GPSデータAの速度情報と比較される。この目的のため、車両センサ14の各data*は、好ましくは、車輪速センサからの速度情報のような速度情報を直接的に含むが、車輪速センサからの速度情報に代えて、加速度情報のような速度情報を導出可能なデータを含んでもよい。また、車両センサ14の各data*は、好ましくは、車輪速センサからの速度情報以外の情報(例えば加速度情報や舵角情報等)を含む。これは、車両センサ14の各data*が速度情報しか含まない場合には、本実施例3による同期させる意義が実質的に無くなるからである。
【0068】
ステップ304では、上記ステップ302の比較の結果、車両センサ14の10周期分のデータ(data0〜data9)のうちから、GPSデータAの速度情報に最も近似する車両情報を含む車両センサ14のdata*を特定し、当該特定したdata*を、今回入力されたGPSデータAに対応付ける(同期させる)。例えば、図4に示した例で、検出時刻Ti8に係るdata8に係る速度情報が、GPSデータAの速度情報に最も近似する場合には、検出時刻Ti8に係るdata8が今回入力されたGPSデータAに対応付けられることになる。即ち、この場合、検出時刻Ti8がPPS信号発生時刻Tpであると推定され、検出時刻Ti8に係るdata8が今回入力されたGPSデータAに対応付けられることになる。
【0069】
尚、このようにして同期されたGPSデータA及び車両センサ14のdata*は、多種多様なシステムで利用可能である。例えば、同期されたGPSデータA及び車両センサ14のdata*は、慣性航法による測位システムで利用されてもよいし、GPSデータAの位置情報を利用する各種の車両走行制御システムや情報出力システムに利用されてもよいし、マップマッチング等に利用されてもよい。
【0070】
このように本実施例3によれば、PPS信号を取り出すことが不能又は困難なGPS受信機12を備えるナビゲーション装置に対しても、GPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果とをソフトウェア的に同期させることができる。また、特に強調すべきこととして、本実施例3によれば、上述の如く、測位演算時間t1やGPSデータAの転送時間t2を導出不能又は困難な場合でも、PPS信号発生時刻Tpを精度良く推定して、GPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果とを同期させることができる。
【0071】
図9(A)は、GPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果との同期ができていない場合のINSを用いた慣性航法による測位結果を示し、図9(B)は、上述の実施例によりGPS受信機12の測位結果と車両センサ14の検出結果との同期ができている場合の同測位結果を示す。測位結果はカルマンフィルタを通した結果であるが、同期ができている場合は滑らかな軌跡を描くことが分かる。
【0072】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0073】
例えば、上述した実施例では、PPS信号発生時刻TpがGPS測位で通常的に同期に利用されていることを考慮して、PPS信号発生時刻Tpを基準時刻として推定しているが、その他の時刻を基準時刻として設定し、推定してもよい。例えば、等価的に、測位に用いるGPS電波の受信時刻や、測位に用いるGPS電波の送信時刻(GPS衛星10の電波発信時刻)を基準時刻として設定し、推定してもよい。
【0074】
また、上述した実施例2では、衛星からの電波のドップラ周波数から測位されて得られる速度情報を用いて外挿補間を実行しているが、その他の方法で測位されて得られる速度情報を用いてもよい。例えば、PPS信号発生時刻Tpに対応する周期(i)において測位された車両90の位置(X(i),Y(i),Z(i))と、前回周期(i−1)において測位された車両90の位置(X(i−1),Y(i−1),Z(i−1))との差分ベクトルを導出し、当該差分ベクトルを周期時間で除算することで、速度情報を導出し、当該速度情報を用いて外挿補間を実行してもよい。
【0075】
また、上述した実施例2では、好ましい実施例として、測位演算時間t1のみならず、GPSデータAの転送時間t2をも考慮して、PPS信号発生時刻Tpを推定しているが、いずれか一方(例えば測位演算時間t1)のみを考慮して、PPS信号発生時刻Tpを推定してもよい。
【0076】
また、上述した実施例において、マイクロコンピューター11は、GPS受信機からPPS信号が入力されない場合に限り、上述の同期処理を実行することとしてもよい。即ち、GPS受信機からPPS信号が入力される場合には、マイクロコンピューター11は、従来と同様の態様でPPS信号に基づいて同期を取るようにしてもよい。
【0077】
また、上述した実施例では、車両センサ14の検出結果は、10周期分のデータ(data0〜data9)単位で格納されているが、10周期という数字は一例であり、任意の周期数のデータ単位で格納されてもよい。例えば、1周期毎にデータが格納されてもよく、この場合、例えば図5に示したようなステップ106の処理は不要となる。
【0078】
また、上述の実施例では、GPSに本発明が適用された例を示したが、本発明は、GPS以外の衛星システム、例えばガリレオ等の他のGNSS (Global Navigation Satellite System)にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明に係る移動体用測位装置1が適用されるGPSの全体的な構成を示すシステム構成図である。
【図2】移動体用測位装置1の一実施例の主要構成を示す図である。
【図3】対照例として従来技術を示す図である。
【図4】実施例1における同期処理の説明図である。
【図5】実施例1においてマイクロコンピューター11により実行される同期処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】実施例2における同期処理の説明図である。
【図7】実施例2においてマイクロコンピューター11により実行される同期処理の一例を示すフローチャートである。
【図8】実施例3においてマイクロコンピューター11により実行される同期処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】INS測位例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1 移動体用測位装置
10 GPS衛星
11 マイクロコンピューター
12 GPS受信機
14 車両センサ
16 伝送路
18 伝送路
90 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星からの電波の受信結果に基づいて、基準時刻における移動体の位置及び速度を測位する測位手段と、
移動体の状態を検出する状態検出センサと、
前記状態検出センサの検出結果を所定のクロック周期で伝送する伝送路と、
前記状態検出センサの検出結果と前記測位手段の測位結果とを同期させる同期手段とを備え、
前記同期手段は、
連続した複数のクロック周期に亘って前記伝送路を介して受信した前記状態検出センサの各検出結果のうちから、同期させるべき検出結果を特定する第1同期手段と、
前記基準時刻を推定する推定手段と、
前記第1同期手段により特定された検出結果が検出された検出時刻と、前記推定手段により推定された基準時刻との時間差を算出する時間差算出手段と、
前記時間差算出手段により算出された時間差と、前記基準時刻における移動体の位置及び速度の測位結果とを用いて、前記検出時刻における移動体の位置を補間により算出し、該移動体の位置の算出結果と、前記第1同期手段により特定された検出結果とを対応付ける第2同期手段とを備えることを特徴とする、移動体用測位装置。
【請求項2】
前記第1同期手段は、前記推定手段の推定結果を用いて、前記基準時刻に対応するクロック周期における検出結果、前記基準時刻に対応するクロック周期の直後のクロック周期における検出結果、又は、前記基準時刻に最も近い検出時刻の検出結果を、前記同期させるべき検出結果として特定する、請求項1に記載の移動体用測位装置。
【請求項3】
前記第2同期手段は、前記基準時刻における移動体の速度の測位結果に基づいて、前記時間差算出手段により算出された時間差の間における前記移動体の移動量を算出し、該算出した移動量と、前記基準時刻における移動体の位置の測位結果とに基づいて、前記検出時刻における移動体の位置を算出する、請求項1に記載の移動体用測位装置。
【請求項4】
前記移動体の速度の測位結果は、衛星からの電波のドップラ周波数の観測結果を用いて導出される、請求項1に記載の移動体用測位装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記測位手段の測位演算に要する測位演算時間と、前記同期手段に前記測位手段からの測位結果が伝送されるときに要する伝送時間とを考慮して、前記基準時刻を推定する、請求項1に記載の移動体用測位装置。
【請求項6】
前記測位手段は、GPS受信機により実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機に第2伝送路を介して接続されたコンピューターにより実現され、
前記伝送時間は、前記第2伝送路における伝送時間である、請求項5に記載の移動体用測位装置。
【請求項7】
前記時間差算出手段は、連続した複数のクロック周期に亘って前記伝送路を介して受信した前記状態検出センサの各検出結果のうちの所定番目のクロック周期における検出結果が受信された時刻と、前記所定番目のクロック周期と前記第1同期手段により特定された検出結果のクロック周期との周期数の差とに基づいて、前記第1同期手段により特定された検出結果が検出された検出時刻を推定する、請求項1に記載の移動体用測位装置。
【請求項8】
衛星からの電波の受信結果に基づいて、基準時刻における移動体の位置又は速度を測位する測位手段と、
移動体の状態を検出する状態検出センサと、
前記状態検出センサの検出結果を所定のクロック周期で伝送する伝送路と、
連続した複数のクロック周期に亘って前記伝送路を介して受信した前記状態検出センサの各検出結果のうちから、同期させるべき検出結果を特定して、該特定した検出結果を、前記基準時刻における移動体の位置又は速度の測位結果に対応付ける同期手段とを備え、
前記同期手段は、前記測位手段の測位演算に要する測位演算時間と、該同期手段に前記測位手段からの測位結果が伝送されるときに要する伝送時間とを考慮して、前記基準時刻を推定する推定手段を備え、前記推定手段により推定された基準時刻に対応する又は近接するクロック周期における検出結果を、前記同期させるべき検出結果として特定することを特徴とする、移動体用測位装置。
【請求項9】
前記測位手段は、GPS受信機により実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機に第2伝送路を介して接続されたコンピューターにより実現され、
前記伝送時間は、前記第2伝送路における伝送時間である、請求項8に記載の移動体用測位装置。
【請求項10】
衛星からの電波の受信結果に基づいて、基準時刻における移動体の位置及び速度を測位する測位手段と、
移動体の状態を検出する状態検出センサと、
前記状態検出センサの検出結果を所定のクロック周期で伝送する伝送路と、
連続した複数のクロック周期に亘って前記伝送路を介して受信した前記状態検出センサの各検出結果のうちから、同期させるべき検出結果を特定して、該特定した検出結果を、前記基準時刻における移動体の位置の測位結果に対応付ける同期手段とを備え、
前記状態検出センサにより検出される移動体の状態は、移動体の速度を含むと共に、更に、移動体の速度以外の状態を含み、
前記同期手段は、連続した複数のクロック周期に亘って前記状態検出センサから伝送された移動体の速度の各検出結果のうちから、前記基準時刻における移動体の速度の測位結果に最も近似する検出結果を、探索し、該最も近似する検出結果に係るクロック周期における検出結果を、前記同期させるべき検出結果として特定することを特徴とする、移動体用測位装置。
【請求項11】
前記測位手段は、GPS受信機により実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機に接続されたコンピューターにより実現され、
前記GPS受信機から前記コンピューターへは、前記基準時刻を表すPPS信号が伝送されない、請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の移動体用測位装置。
【請求項12】
前記測位手段は、GPS受信機により実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機に接続されたコンピューターにより実現され、
前記同期手段は、前記GPS受信機から前記コンピューターにPPS信号が供給されない場合に機能する、請求項1〜10のうちのいずれか1項に記載の移動体用測位装置。
【請求項13】
前記状態検出センサにより検出される移動体の状態は、移動体の速度、加速度、角速度及び舵角のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載の移動体用測位装置。
【請求項14】
前記移動体は車両である、請求項1〜13のうちのいずれか1項に記載の移動体用測位装置。
【請求項15】
請求項1〜14のうちのいずれか1項に記載の移動体用測位装置における前記同期手段を実現するコンピューター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−222438(P2009−222438A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64815(P2008−64815)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】