説明

移動体端末装置及び文書編集方法

【課題】操作者に煩雑な編集操作を要求することなく、簡単且つ直感的に文書の編集操作を行うこと。
【解決手段】操作入力画面を表示するタッチパネル部15と、上記操作入力画面を介して入力された入力情報を表示するディスプレイ部14とを用いて文書の作成及び編集を行う移動体端末装置(携帯電話装置)10において、上記操作入力画面上における操作者による特定の手書き入力操作を検出し、当該特定の手書き入力操作に応じて上記文書の編集処理を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体端末装置及び文書編集方法に関し、特に、ユーザインターフェイスとしてタッチパネルを有する移動体端末装置及び文書編集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話などの携帯通信装置の使用環境は益々拡大しており、据え置き型のパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)などのように、長い文書の作成や編集、並びに、ワープロや表計算などのビジネスソフトの操作などが要求されるようになっている。このような携帯通信装置に対する操作要求に対応すべく、従来、文字又は画像を表示するための第1表示部と、タッチパネルを兼ねており、文字又は画像を表示する第2表示部とを備える携帯通信装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、上記携帯通信装置においては、第1表示部にメール本文を表示する一方、第2表示部に文字入力キー又は編集情報を表示し、或いは、双方の表示部を1つの大画面として使用することによって、表示部の大型化及び装置本体の小型化を同時に実現すると共に、キー操作の使い勝手を向上させている。
【特許文献1】特開2003−224632号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の携帯通信装置においては、双方の表示部に異なる情報を表示し、表示される情報量を増やすことで操作性を高めるものの、携帯通信装置において作成される文書の編集操作においては、何ら配慮されておらず、操作者は、煩雑な編集操作を行わなければならないという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、操作者に煩雑な編集操作を要求することなく、簡単且つ直感的に文書の編集操作を行うことができる移動体端末装置及び文書編集方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移動体端末装置は、操作入力画面を表示するタッチパネルと、前記操作入力画面を介して入力された入力情報を表示するディスプレイとを用いて文書の作成及び編集を行う移動体端末装置であって、前記操作入力画面上における操作者による特定の手書き入力操作を検出する手書き入力検出手段と、前記特定の手書き入力操作に応じて前記文書の編集処理を行う文書編集手段と、を具備することを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、操作入力画面上における操作者による特定の手書き入力操作に応じて文書の編集処理が行われることから、手書き入力操作によって文書の編集操作を指示することができるので、操作者に煩雑な編集処理を要求することなく、簡単且つ直感的に文書の編集操作を行うことが可能となる。このため、従来の携帯電話装置における文書の編集操作などに慣れていない操作者においても、容易に文書の編集作業を行うことが可能となる。
【0008】
上記移動体端末装置において、前記特定の手書き入力操作の開始指示を受け付ける操作ボタンを具備し、前記手書き入力検出手段は、前記操作ボタンで前記開始指示を受け付けた場合に前記特定の手書き入力操作を検出することが好ましい。この場合には、特定の手書き入力操作に先立って当該特定の手書き入力操作の開始指示を受け付けることができるので、操作入力画面における通常の入力操作と区別して特定の手書き入力操作を確実に検出することが可能となる。
【0009】
また、上記移動体端末装置において、前記手書き入力検出手段は、前記文書の編集処理に対応付けられた情報の入力操作に応じて前記特定の手書き入力操作を検出することが好ましい。この場合には、予め文書の編集処理に何らかの情報を対応付けておき、操作者が操作入力画面から所望の文書の編集処理に応じた情報を入力することにより、当該情報に応じて文書の編集処理を特定することが可能となる。
【0010】
例えば、上記移動体端末装置において、前記手書き入力検出手段は、前記文書の編集処理に対応付けられた文字情報の入力操作に応じて前記特定の手書き入力操作を検出することが考えられる。この場合には、予め文書の編集処理に文字情報を対応付けておき、操作者が操作入力画面から所望の文書の編集処理に応じた文字情報を入力することにより、当該文字情報に応じて文書の編集処理を特定することが可能となる。
【0011】
特に、上記移動体端末装置において、前記文書の編集処理に対応付けられた文字情報は、当該文書の編集処理を予期させる文字情報であることが好ましい。この場合には、特定の文書の編集処理に、当該文書の編集処理を予期させる文字情報が対応付けられるため、操作者において、所望の文書の編集処理に応じた特定の手書き入力操作を容易に行うことが可能となる。
【0012】
例えば、上記移動体端末装置において、前記文書の編集処理には、少なくとも文書の複写、切り取り又は貼り付けが含まれる。この場合には、特定の手書き入力操作を行うことにより、文書の複写、切り取り又は貼り付けを容易に実行することが可能となる。
【0013】
なお、上記移動体端末装置において、前記特定の手書き入力操作を、任意の情報の入力操作に設定できるようにしても良い。この場合には、特定の手書き入力操作が、任意の情報の入力操作に設定することができるので、操作者の所望の手書き入力操作によって特定の文書の編集処理を指示することが可能となる。
【0014】
また、上記移動体端末装置において、前記操作入力画面における通常の入力操作に用いられるタッチキーと、前記操作ボタンとを用いて前記文書の編集指示を受け付けるようにしても良い。この場合には、上述した手書き入力操作に加えて、他の方法により文書の編集処理を指示することができるので、より操作性に優れた移動体端末装置を提供することが可能となる
【0015】
本発明の文書編集方法は、操作入力画面を表示するタッチパネルと、前記操作入力画面を介して入力された入力情報を表示するディスプレイとを用いた移動体端末装置における文書編集方法であって、前記操作入力画面上における操作者による特定の手書き入力操作を検出し、当該特定の手書き入力操作に応じて前記移動体端末装置で作成される文書の編集を行うことを特徴とする。
【0016】
この方法によれば、操作入力画面上における操作者による特定の手書き入力操作に応じて文書の編集が行われることから、手書き入力操作によって文書の編集処理を指示することができるので、操作者に煩雑な編集操作を要求することなく、簡単且つ直感的に文書の編集操作を行うことが可能となる。このため、従来の携帯電話装置における文書の編集操作などに慣れていない操作者においても、容易に文書の編集作業を行うことが可能となる。
【0017】
上記文書編集方法において、前記移動体端末装置に、前記特定の手書き入力操作の開始指示を受け付ける操作ボタンを具備し、前記操作ボタンで前記開始指示を受け付けると、前記特定の手書き入力操作を検出することが好ましい。この場合には、特定の手書き入力操作に先立って当該特定の手書き入力操作の開始指示を受け付けることができるので、操作入力画面における通常の入力操作と区別して特定の手書き入力操作を確実に検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る移動体端末装置及び文書編集方法によれば、タッチパネルに表示される操作入力画面上における操作者による特定の手書き入力操作に応じて文書の編集が行われるので、操作者に煩雑な編集操作を要求することなく、簡単且つ直感的に文書の編集操作を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下においては、本発明を移動体端末装置に具現化する場合について説明するが、当該移動体端末装置における文書編集方法としても成立するものである。
【0020】
図1は、本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置としての携帯電話装置(以下、単に「携帯電話」という)の斜視図である。なお、本実施の形態においては、移動体端末装置が携帯電話である場合について説明するが、これに限定されるものではない。後述するように、ユーザインターフェイスとしてタッチパネルを備えていれば、いかなる移動体端末装置にも適用することが可能である。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る携帯電話10は、ヒンジ部11を介して折り畳み可能に構成される上側本体12及び下側本体13を備えている。上側本体12及び下側本体13には、それぞれ携帯電話10を折り畳んだ際にその内側に配置される面にディスプレイ部14及びタッチパネル部15が配設されている。また、上側本体12におけるディスプレイ部14の上方側には、操作者の画像を撮影する撮像装置16が組み込まれている。さらに、下側本体13におけるタッチパネル部15の下方側には、操作者の指示入力を受け付ける3つの操作ボタン17が配設されている。
【0022】
なお、図1に示すように、本実施の形態に係る携帯電話10においては、下側本体13にのみタッチパネル部15を配設する場合について示しているが、これに限定されず、上側本体12にも、ディスプレイ部14の代わりにタッチパネル部を配設するようにしても良い。
【0023】
図2は、本実施の形態に係る携帯電話10が備えるタッチパネル部15の構造を説明するための模式図である。
【0024】
図2に示すように、タッチパネル部15は、検出パネル21と、液晶表示パネル22と、下側本体13に設けられた感圧センサ23とを備えて構成されている。なお、図2においては、検出パネル21及び液晶表示パネル22を下側本体13から取り外した状態について示しているが、実際には、下側本体13の所定位置(図2に示す破線位置)に重ね合わせた状態で使用される。
【0025】
検出パネル21は、操作面への接触の検出信号として、また、操作面への接触の検出座標値を検出座標信号として平面座標値(X軸24、Y軸25)を出力するように構成されている。なお、検出パネル21の検出機構は、抵抗膜式、超音波式、光電式、静電容量式などの一般的なタッチパネルの既存技術によるものであるため、その詳細な説明は省略する。ここでは、検出パネル21は、下部に配置される液晶表示パネル22に重ねて配置されるため、透明(又は半透明)の材料で構成されている。
【0026】
液晶表示パネル22は、既存技術のバックライト付きのLCD装置(液晶ディスプレイ装置)で構成されている。タッチパネル部15のディスプレイ手段としては、他に、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイや、CRT(カソードレイチューブ)ディスプレイ等の既存技術を適用することも可能である。
【0027】
感圧センサ23は、操作者による押圧操作を検出する。本実施の形態においては、4つの感圧センサ23によりタッチパネル部15を支持するように構成されている。そして、4つの感圧センサ23により検出される圧力を合計して、タッチパネル部15全体への圧力として算出する。なお、感圧センサ23は、操作者が操作面を強く押圧する強押圧操作を、検出パネル21をなぞる弱押圧操作と区別して検出できるように構成されている。例えば、検出パネル21が検出を開始する圧力の閾値よりも大きい圧力の操作で感圧センサ23が強押圧操作を検出するように、感圧センサ23の閾値を所定の圧力に設定することで、強押圧操作と弱押圧操作とが区別される。
【0028】
図3は、本実施の形態に係る携帯電話10の機能ブロック図である。なお、図3に示す機能ブロックについては、本発明を説明するために簡略化したものであり、携帯電話10は、通常の携帯電話に必要な処理機能を備えるものとする。
【0029】
図3に示すように、携帯電話10は、装置全体の制御を行う主制御部31と、ディスプレイ部14及びタッチパネル部15が有する液晶表示パネル22における表示を制御する表示制御部32と、感圧センサ23の出力信号から操作者の接触位置を検出する位置検出部33と、音声通話等に必要となる制御を行う通信制御部34と、電子メール等の送受信に必要となる制御を行うメール制御部35と、内蔵するカメラの駆動に必要となる制御を行うカメラ制御部36とを備えて構成されている。
【0030】
なお、主制御部31は、位置検出部33と協働して、後述するように、タッチパネル部15に表示される操作入力画面上における操作者による手書き指示入力を検出する手書き入力検出手段として機能する。また、主制御部31は、上記手書き指示入力に応じて携帯電話10で作成された文書の編集処理を行う文書編集手段として機能する。
【0031】
本実施の形態に係る携帯電話10において、表示制御部32は、ディスプレイ部14に、例えば、操作者からの入力情報などを表示する表示画面を表示させる。一方、タッチパネル部15に、例えば、携帯電話10に対する操作入力や、メール作成時における文字情報などの入力を受け付ける操作入力画面を表示させる。
【0032】
以下、タッチパネル部15に表示される操作入力画面の構成例について説明する。図4は、本実施の形態に係る携帯電話10のタッチパネル部15に表示される操作入力画面の構成例について説明するための図である。なお、図4においては、携帯電話10において、メール作成時における操作入力画面の構成例について示すものとする。
【0033】
図4に示すように、タッチパネル部15に表示される操作入力画面においては、タッチパネル部15が上下方向に5分割されると共に、左右方向に3分割されており、合計15個のタッチキーが配列されている。各タッチキーには、入力対象となる文字情報や、指示対象となる操作キーが対応付けられている。なお、操作入力画面におけるタッチキーの配列については、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0034】
図4に示す操作入力画面においては、右側の最上段のタッチキーに、「あ行:あ、い、う、え、お」の文字情報が対応付けられており、その下方側のタッチキーに、「か行:か、き、く、け、こ」、「さ行:さ、し、す、せ、そ」、「た行:た、ち、つ、て、と」及び「な行:な、に、ぬ、ね、の」の文字情報が対応付けられている。同様に、左側の最上段のタッチキーには、「は行:は、ひ、ふ、へ、ほ」の文字情報が対応付けられており、その下方側のタッチキーには、「ま行:ま、み、む、め、も」、「や行:や、ゆ、よ」、「ら行:ら、り、る、れ、ろ」及び「わ、ん」の文字情報が対応付けられている。これらのタッチキーは、所謂、5タッチ方式で各文字情報を入力可能に構成されている。
【0035】
また、図4に示す操作入力画面においては、中央の最上段のタッチキーに、入力対象となる文字情報を切り替える「切替キー」が対応付けられており、その下方側のタッチキーに、入力した文字情報をクリアする「クリアキー」、入力した文字情報を決定する「決定キー」、入力した文字情報を変換する「変換キー」、並びに、他の操作入力画面を表示させる「補助キー」が対応付けられている。「切替キー」は、例えば、文字情報から数字情報に切り替える際に選択される。「変換キー」は、例えば、ひらがなにより入力した文字情報を漢字に変換する際に選択される。「補助キー」は、例えば、後述する矢印キーや決定キーなどを含む補助画面を表示させる際に選択される。
【0036】
特に、図4に示す操作入力画面においては、これらのような分割された各タッチキーを用いた文字情報の入力(以下、適宜「通常入力」という)に加え、タッチパネル部15に文字情報を手書き入力することで携帯電話10に対する操作指示を入力する手書き指示入力を受け付けることができるようになっている。
【0037】
本実施の形態に係る携帯電話10においては、例えば、文字情報の「コピー」や「ペースト」などを手書き指示入力により受け付けることが可能となっている。また、この他、文字情報の「切り取り」、文字情報の書体を太字にする「ボールド」、文字情報に下線を付与する「下線」、直前に操作者が行った操作を取り消して元に戻す「アンドゥ」、表示情報の一部又は全部を拡大する「拡大」、並びに、携帯電話10内に保存した写真を添付する「写真添付」などを手書き指示入力により受け付けることも可能である。
【0038】
なお、操作者が手書き指示入力を行う際には、各操作に対応して予め定められた文字情報をタッチパネル部15に手書きで入力する。例えば、上述の「コピー」においては、文字情報として「C」が入力され、上述の「ペースト」においては、文字情報として「V」が入力される。また、上述の「切り取り」、「ボールド」、「下線」、「アンドゥ」、「拡大」及び「写真添付」においては、それぞれ文字情報として「Z」、「A」、「B」、「U」、「D」及び「P」が入力される。
【0039】
本実施の形態に係る携帯電話10において、手書き指示入力を行う場合、操作者によってその直前に左方側の操作ボタン17aが選択される。また、手書き指示入力から通常入力に戻す場合、操作者によって中央の操作ボタン17bが選択される。すなわち、操作ボタン17aは、手書き指示入力の開始を指示するものであり、操作ボタン17bは、手書き指示入力の終了を指示するものである。例えば、操作者が、手書き指示入力により上述の「コピー」を指示する場合には操作ボタン17aを選択した後、タッチパネル部15に文字情報「C」が入力され、その後、この手書き指示入力を終了する場合には操作ボタン17bが選択されることとなる。
【0040】
以下、本実施の形態に係る携帯電話10において、手書き指示入力を行う場合の動作について、従来の携帯電話における対応する動作と比較しながら説明する。ここでは、手書き指示入力を用いてコピー動作を行う場合、並びに、手書き指示入力を用いてペースト動作を行う場合について説明するものとする。
【0041】
図5は、本実施の形態に係る携帯電話10において、手書き指示入力を用いてコピー動作を行う場合の処理について示すものである。図6及び図7は、従来の携帯電話において、コピー動作を行う場合の処理について示すものである。なお、説明の便宜上、図6及び図7に示す従来の携帯電話においても、本実施の形態に係る携帯電話10と同一の符号を用いるものとする。後述する図9においても同様とする。
【0042】
本実施の形態に係る携帯電話10において、図5(a)に示すように、ディスプレイ部14に表示される表示画面に、「あけましておめでとうございます。」という文章が表示され、タッチパネル部15に、図4に示した操作入力画面が表示されている状態から、操作者が手書き指示入力を用いてコピー動作を行う場合、図5(b)に示すように、まず、手書き指示入力の開始を指示するべく、操作ボタン17aが押下され、タッチパネル部15に文字情報「C」が手書き入力される。
【0043】
操作ボタン17aが押下された後に文字情報「C」が手書き入力されると、図5(c)に示すように、タッチパネル部15に、ディスプレイ部14上の表示画面に表示されている文章と同一の文章が表示される。すなわち、タッチパネル部15に「あけましておめでとうございます。」という文章が表示される。
【0044】
ディスプレイ部14上の表示画面に表示されている文章と同一の文章がタッチパネル部15に表示されると、図5(d)に示すように、操作者によって所望のコピーの範囲が指定される。ここでは、「あけましておめでとうございます。」という文章全体がコピーの範囲として指定されるものとする。そして、コピーの範囲を指定し終わったならば、操作者により手書き指示入力の終了を指示するべく、操作ボタン17bが押下される。このようにして、本実施の形態に係る携帯電話10における手書き指示入力を用いたコピー動作が完了する。
【0045】
一方、従来の携帯電話において、図6(a)に示すように、ディスプレイ部14に表示される表示画面に、「あけましておめでとうございます。」という文章が表示され、タッチパネル部15に、図4に示した操作入力画面が表示された状態から、操作者がコピー動作を行う場合には、図6(b)に示すように、まず、タッチパネル部15から補助キーが選択され、コピーキー、切り取りキー及びペーストキーと、矢印キー及び決定キーとを含む補助画面が表示される(図6(c)参照)。
【0046】
そして、図6(c)に示すように、操作者によって補助画面からコピーキーが選択された後、図6(d)に示すように、コピーの開始点まで矢印キーを用いてカーソルの移動が指示される。ここでは、図5に示した場合と同様に、「あけましておめでとうございます。」という文章全体がコピーの対象として指定されるものとする。この場合、一般にカーソルは、文章の末尾に位置するため、カーソルの左側方向への移動を指示する矢印キーが所定回数だけ選択される。
【0047】
カーソルの位置が文頭まで移動すると、図7(a)に示すように、操作者によって決定キーが選択される。これにより、コピーの開始点が特定されることとなる。続いて、図7(b)に示すように、コピーの終了点まで矢印キーを用いてカーソルの移動が指示される。これにより、カーソルの位置が文末まで移動すると、図7(c)に示すように、操作者によって決定キーが選択される。この決定キーの選択まで行われると、図7(d)に示すように、タッチパネル部15に図4に示した操作入力画面が再び表示される。このようにして、従来の携帯電話におけるコピー動作が完了する。
【0048】
このように、本実施の形態に係る携帯電話10で手書き指示入力を用いてコピー動作を行う場合には、従来の携帯電話でコピー動作を行う際に必要となるボタン操作や、十字キー等によるカーソル操作と比べ、画面遷移回数、ボタン押下回数を削減することができ、文書の編集操作を簡素化することが可能となる。
【0049】
図8は、本実施の形態に係る携帯電話10において、手書き指示入力を用いてペースト動作を行う場合の処理について示すものである。図9は、従来の携帯電話において、ペースト動作を行う場合の処理について示すものである。なお、図8においては図5に示すコピー動作により、並びに、図9においては図6及び図7に示すコピー動作によりペースト動作の対象となる情報が特定されているものする。
【0050】
また、本実施の形態に係る携帯電話10において、図8(a)に示すように、ディスプレイ部14に表示される表示画面に、「あけましておめでとうございます。ほんとうに」という文章が表示され、タッチパネル部15に、図4に示した操作入力画面が表示されている状態から、操作者が手書き指示入力を用いてペースト動作を行う場合、図8(b)に示すように、まず、手書き指示入力の開始を指示するべく、操作ボタン17aが押下され、タッチパネル部15に文字情報「V」が手書き入力される。
【0051】
操作ボタン17aが押下された後に文字情報「V」が手書き入力されると、図8(c)に示すように、タッチパネル部15に、ディスプレイ部14上の表示画面に表示されている文章と同一の文章が表示される。すなわち、タッチパネル部15に「あけましておめでとうございます。ほんとうに」という文章が表示される。このように表示画面と同一の文章を表示させた状態から、図8(c)に示すように、操作者によって操作ボタン17aが押下された後、ペーストする位置が指定される。ここでは、「あけましておめでとうございます。ほんとうに」という文章の後にペースト位置が指定されるものとする。
【0052】
ペーストする位置が指定されると、図8(d)に示すように、ディスプレイ部14に、ペースト対象の文章「あけましておめでとうございます。」が追加された文章が表示される。すなわち、ディスプレイ部14に「あけましておめでとうございます。ほんとうにあけましておめでとうございます。」という文章が表示される。このように、ペースト対象となる文章のペーストを確認したならば、操作者により手書き指示入力の終了を指示するべく、操作ボタン17bが押下される。このようにして、本実施の形態に係る携帯電話10における手書き指示入力を用いたペースト動作が完了する。
【0053】
一方、従来の携帯電話において、図9(a)に示すように、ディスプレイ部14に表示される表示画面に、「あけましておめでとうございます。ほんとうに」という文章が表示され、タッチパネル部15に、図4に示した操作入力画面が表示された状態から、操作者がペースト動作を行う場合には、図9(b)に示すように、まず、タッチパネル部15から補助キーが選択され、補助画面が表示される(図9(c)参照)。
【0054】
そして、図9(c)に示すように、操作者によって補助画面からペースト位置まで矢印キーを用いてカーソルの移動が指示される。ここでは、図8に示した場合と同様に、「あけましておめでとうございます。ほんとうに」という文章の後にペースト位置が指定されるものとする。
【0055】
カーソルの位置が文末まで移動すると、図9(d)に示すように、操作者によってペーストキーが選択される。これにより、ペースト動作が行われることとなる。これにより、図9(e)に示すように、ディスプレイ部14に、ペースト対象の文章「あけましておめでとうございます。」が追加された文章が表示される。すなわち、ディスプレイ部14に「あけましておめでとうございます。ほんとうにあけましておめでとうございます。」という文章が表示される。このペースト対象の文章が追加されると同時に、図9(e)に示すように、タッチパネル部15に、図4に示した操作入力画面が再び表示される。このようにして、従来の携帯電話におけるペースト動作が完了する。
【0056】
このように、本実施の形態に係る携帯電話10で手書き指示入力を用いてペースト動作を行う場合には、従来の携帯電話でペースト動作を行う際に必要となるボタン操作や、十字キー等によるカーソル操作と比べ、画面遷移回数、ボタン押下回数を削減することができ、文書の編集操作を簡素化することが可能となる。
【0057】
このように本実施の形態に係る携帯電話10によれば、タッチパネル部15に表示される操作入力画面上における操作者による特定の手書き指示入力に応じて文書の編集処理を行うようにしたことから、手書き指示入力によって文書の編集操作を指示することができるので、操作者に煩雑な編集処理を要求することなく、簡単且つ直感的に文書の編集操作を行うことが可能となる。このため、従来の携帯電話装置における文書の編集操作などに慣れていない操作者においても、容易に文書の編集作業を行うことが可能となる。
【0058】
また、本実施の形態に係る携帯電話10においては、手書き指示入力の開始指示を受け付ける操作ボタン17aを具備し、この操作ボタン17aで手書き指示入力の開始指示を受け付けた場合に手書き指示入力を受け付けるようにしている。これにより、手書き指示入力に先立って当該手書き指示入力の開始指示を受け付けることができるので、操作入力画面における通常の入力操作と当該手書き指示入力を確実に識別することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態に係る携帯電話10において、文書の編集処理に対応付けられた情報(具体的には、文字情報)の入力操作に応じて手書き指示入力を受け付けるようにしている。これにより、予め文書の編集処理に特定の文字情報を対応付けておき、操作者が操作入力画面から所望の文書の編集処理に応じた情報(文字情報)を入力することにより、当該文字情報に応じて文書の編集処理を特定することが可能となる。
【0060】
特に、本実施の形態に係る携帯電話10においては、特定の文書の編集処理に、当該文書の編集処理を予期させる文字情報(例えば、文書のコピー動作に対して、文字情報「C」)が対応付けられるため、操作者において、文書の編集処理に応じた特定の手書き指示入力を容易に行うことが可能となる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内において種々変更して実施することが可能である。また、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0062】
例えば、上記実施の形態においては、手書き指示入力を行う場合、操作者が、コピーやペーストなどの特定の操作に対応して予め定められた文字情報を手書き入力する場合について説明しているが、これに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、操作者による任意の操作に対応付けて手書き入力する文字情報を設定するようにしても良い。なお、この場合においては、設定される文字情報も任意に設定することが可能である。
【0063】
また、上記実施の形態においては、手書き指示入力を行う場合、操作ボタン17aを選択した後、文字情報「C」などを手書き入力する場合について説明している。しかし、操作性の向上を考慮して、このような操作に他の指示入力方法を付加することは実施の形態として好ましい。例えば、文字情報のコピーを行う場合においては、操作ボタン17aを選択した後、文字情報「C」を手書き入力する代わりに、操作入力画面上の「か行」が割り当てられたタッチキーを選択することでこれを指示するようにしても良い。同様に、文字情報のペーストを行う場合においては、操作ボタン17aを選択した後、文字情報「V」を手書き入力する代わりに、操作入力画面上の「は行」が割り当てられたタッチキーを選択することでこれを指示するようにしても良い。このように、手書き指示入力に他の指示入力方法を付加することにより、より操作性に優れた携帯電話10を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施の形態に係る移動体端末装置としての携帯電話の斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係る携帯電話が備えるタッチパネル部の構造を説明するための模式図である。
【図3】上記実施の形態に係る携帯電話の機能ブロック図である。
【図4】上記実施の形態に係る携帯電話のタッチパネル部に表示される操作入力画面の構成例について説明するための図である。
【図5】上記実施の形態に係る携帯電話において、手書き指示入力を用いてコピー動作を行う場合の処理について説明するための図である。
【図6】従来の携帯電話においてコピー動作を行う場合の処理について説明するための図である。
【図7】従来の携帯電話においてコピー動作を行う場合の処理について説明するための図である。
【図8】実施の形態に係る携帯電話において、手書き指示入力を用いてペースト動作を行う場合の処理について説明するための図である。
【図9】従来の携帯電話においてペースト動作を行う場合の処理について説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
10 移動体端末装置(携帯電話)
11 ヒンジ部
12 上側本体
13 下側本体
14 ディスプレイ部
15 タッチパネル部
16 撮像装置
17 操作ボタン
21 検出パネル
22 液晶表示パネル
23 感圧センサ
31 主制御部
32 表示制御部
33 位置検出部
34 通信制御部
35 メール制御部
36 カメラ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力画面を表示するタッチパネルと、前記操作入力画面を介して入力された入力情報を表示するディスプレイとを用いて文書の作成及び編集を行う移動体端末装置であって、
前記操作入力画面上における操作者による特定の手書き入力操作を検出する手書き入力検出手段と、前記特定の手書き入力操作に応じて前記文書の編集処理を行う文書編集手段と、を具備することを特徴とする移動体端末装置。
【請求項2】
前記特定の手書き入力操作の開始指示を受け付ける操作ボタンを具備し、前記手書き入力検出手段は、前記操作ボタンで前記開始指示を受け付けた場合に前記特定の手書き入力操作を検出することを特徴とする請求項1記載の移動体端末装置。
【請求項3】
前記手書き入力検出手段は、前記文書の編集処理に対応付けられた情報の入力操作に応じて前記特定の手書き入力操作を検出することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移動体端末装置。
【請求項4】
前記手書き入力検出手段は、前記文書の編集処理に対応付けられた文字情報の入力操作に応じて前記特定の手書き入力操作を検出することを特徴とする請求項3記載の移動体端末装置。
【請求項5】
前記文書の編集処理に対応付けられた文字情報は、当該文書の編集処理を予期させる文字情報であることを特徴とする請求項4記載の移動体端末装置。
【請求項6】
前記文書の編集処理は、少なくとも文書の複写、切り取り又は貼り付けを含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の移動体端末装置。
【請求項7】
前記特定の手書き入力操作を、任意の情報の入力操作に設定可能としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の移動体端末装置。
【請求項8】
前記操作入力画面における通常の入力操作に用いられるタッチキーと、前記操作ボタンとを用いて前記文書の編集指示を受け付けることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれかに記載の移動体端末装置。
【請求項9】
操作入力画面を表示するタッチパネルと、前記操作入力画面を介して入力された入力情報を表示するディスプレイとを用いた移動体端末装置における文書編集方法であって、
前記操作入力画面上における操作者による特定の手書き入力操作を検出し、当該特定の手書き入力操作に応じて前記移動体端末装置で作成される文書の編集を行うことを特徴とする文書編集方法。
【請求項10】
前記移動体端末装置に、前記特定の手書き入力操作の開始指示を受け付ける操作ボタンを具備し、前記操作ボタンで前記開始指示を受け付けると、前記特定の手書き入力操作を検出することを特徴とする請求項9記載の文書編集方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−71300(P2008−71300A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251742(P2006−251742)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】