説明

移動端末およびサーバー

【課題】テレビ受信機(受像機)の移動端末では、一般にその受信状態が刻々と変化する。しかしながら、テレビのその用途を考えると、放送内容が災害情報や有料情報の場合に受信状態が悪いと利用者の不利益に繋がる場合がある。
【解決手段】移動端末にてコンテンツの種類を判断し、特定の種類のコンテンツを受信したときに、受信した放送の受信品質等の情報を報告する。報告を受けたサーバーは、報告内容に応じて、コンテンツを再放送したり、コンテンツの利用料を割り引くよう放送局に指示をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放送を受信する機能を持つ移動端末、およびその携帯端末とともに用いられるサーバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有料のテレビ放送番組を受信するテレビ受信機が知られており、そのような受信機について様々な技術が提案されてきている。例えば、特許文献1には、放送の受信環境が悪い場合には、有料放送を視聴できなくても料金を徴収されてしまうという問題に着目した技術が開示されている。特許文献1に開示されている技術では、有料放送番組のデータを受信端末側の蓄積部へ蓄積し、蓄積データに対して誤り検出を行ない、誤りが検出された時はデータを再度蓄積し直し、誤りが完全になくなって初めて視聴者へ番組の案内を行なう。
【0003】
また、近年では、テレビ放送番組を据え置き型のテレビ受信機のみならず、携帯電話などの移動端末でも視聴可能となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−119680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移動端末でテレビ放送を視聴する場合には、据え置き型のテレビ受信機とは異なる課題が発生する。すなわち、テレビ受信機(受像機)を内蔵した移動端末は、移動端末自身の移動等によって一般にその受信状態が刻々と変化する。そのため、テレビの受信状態にも変動が起こりやすく、常に良好な状態でテレビを受信することは難しい。しかしながら、テレビ等の放送の用途を考えると、受信状態が悪いことが利用者の大きな不利益に繋がる場合がある。例えば、放送内容が、
1.災害情報や天気予報など現在いる地域向けの放送(どんな状況であれ多くの情報が欲しい)
2.有料放送(移動中の電波状態で視聴出来るのかどうか分からないのに料金は払いたくない)
などの場合である。
【0006】
ここで、特許文献1に記載の技術では、誤りがなくなるまでデータを蓄積しなおしてから視聴者への番組案内を行う。しかし、特許文献1に記載の技術は、受信機側での受信環境の良し悪しを考慮せずに送信されてくる放送を受信機側で蓄積するのみであるため、受信機が通信環境の悪い場所にいる場合などには、放送を受信することができるようになるまで時間がかかるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような場合であっても利用者の利益がなるべく損なわれないようにする移動端末、および、システムの構築を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決するため、本発明による移動端末は、放送局から放送を受信する放送受信手段と、前記受信した放送のコンテンツの種類を判別する判別手段と、前記受信した放送の受信品質を記録する記録手段と、前記コンテンツが所定の種類のコンテンツである場合には、前記コンテンツの種類を示すコンテンツ情報と前記受信品質を示す品質情報とを放送局側へ通知する報告手段とを備える。
【発明の効果】
【0009】
この構成によれば、移動端末は、特定の種類のコンテンツ(特定の地域向けの放送や有料放送など)の場合に、その受信品質を放送局側へ通知する。これにより、放送局側にて、どのコンテンツの受信状況が悪かったのかを確認することができるので、利用者の利益が損なわれないような制御(例えば、再送や利用料の割引きなど)を行うことが可能となる。なお、本発明および以下で示す他の態様では、「受信品質を示す品質情報」とは、受信品質そのものを示す情報、および、「受信品質が悪い」旨を示す情報を含むものとする。
【0010】
また、本発明の他の態様に係る移動端末の報告手段は、更に、前記コンテンツが有料放送である場合に、前記コンテンツの種類を示すコンテンツ情報と前記受信品質を示す品質情報とを放送局側へ通知する。
【0011】
また、本発明の他の態様に係るサーバーは、移動端末から、放送されたコンテンツの種類を示すコンテンツ情報と、前記コンテンツの受信品質を示す品質情報とを受信する受信手段と、前記コンテンツ情報が有料放送を示す場合、前記コンテンツの受信品質に応じて、前記コンテンツの利用料の割引を行うよう、前記コンテンツを放送した放送局に対して指示を行う指示手段とを備える。
【0012】
これらの構成によれば、視聴者は有料放送の受信状況によっては有料放送の利用料金の割引きを受けることが出来る。
【0013】
また、本発明の他の態様に係る移動端末の報告手段は、前記コンテンツが災害情報である場合に、前記コンテンツの種類を示すコンテンツ情報と前記受信品質を示す品質情報とを放送局側へ通知する。
【0014】
また、本発明の他の態様に係るサーバーは、移動端末から、放送されたコンテンツの種類を示すコンテンツ情報と、前記コンテンツの受信品質を示す品質情報とを受信する受信手段と、前記コンテンツ情報が災害情報を示し、前記コンテンツの受信品質が所定の品質よりも悪ければ、前記コンテンツを再送するよう、前記コンテンツを放送する放送局に対して指示を行う指示手段とを備える。
【0015】
これらの構成によれば、視聴者は災害情報をより確実に受信することができる。なお、本態様及び以下で示す他の態様では、「受信品質が所定の品質より悪い」とは、受信品質の報告自体を受け取った場合に無条件に悪いと判断する場合、および、報告された受信品質をサーバー自身が評価して所定の品質より悪いと判断する場合の両方を含むものとする。
【0016】
また、本発明の他の態様に係る移動端末は、更に、前記移動端末の現在の位置を示す位置情報を取得する位置検出手段を備え、前記報告手段は、前記コンテンツの種類と前記受信品質とに加えて、前記位置情報を通知する。
【0017】
また、本発明の他の態様に係るサーバーは、移動端末から、放送されたコンテンツの種類を示すコンテンツ情報と、前記コンテンツの受信品質を示す品質情報と、前記コンテンツが受信された位置を示す位置情報とを受信する受信手段と、前記コンテンツ情報が特定の種類を示し、前記コンテンツの受信品質が所定の品質よりも悪ければ、前記位置情報が示す位置に対して前記コンテンツの再放送を行うよう、前記コンテンツを放送する放送局に対して指示を行う指示手段とを備える。
【0018】
これらの構成によれば、移動端末は、自身の位置も含めて報告を行う。そのため、放送局側にてその地域に対してコンテンツの再放送を行うなど、利用者がより確実に情報を受信することができるよう放送内容を制御することができる。
【0019】
また、本発明の他の態様に係る移動端末は、前記報告手段は、前記コンテンツが特定の地域向けのコンテンツであり、前記位置情報が示す位置が前記特定の地域内である場合に、前記コンテンツの種類と前記受信品質と前記位置情報とを前記放送局側へ通知する。
【0020】
この構成によれば、移動端末は自分のいる地域向けのコンテンツの受信状況が悪い場合に、その受信品質および自身の所在地を放送局側に連絡することができる。したがって、これらの情報を受信した放送局側にて、その地域に対してコンテンツの再放送を行うなど、利用者がより確実に情報を受信することができるよう放送内容を制御することができる。
【0021】
また、本発明の他の態様に係る移動端末は、前記移動端末は、更に、利用者から地域の指定を受け付ける指定手段を備え、前記報告手段は、前記コンテンツが特定の地域向けのコンテンツであり、指定された地域が前記特定の地域内である場合に、前記コンテンツの種類と前記受信品質とを前記放送局側へ通知する。
【0022】
この構成によれば、移動端末は利用者の指定した地域向けのコンテンツの受信状況が悪い場合に、その受信品質を放送局側に連絡することができる。したがって、これらの情報を受信した放送局側にて、親戚の所在地における災害情報など、利用者にとって重要な地域についてのコンテンツを利用者がより確実に情報を受信することができるよう放送内容を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1におけるテレビ機能付き携帯電話機の概念図
【図2】本発明の実施の形態1における報告情報生成機能部の詳細を示す図
【図3】本発明の実施の形態1におけるシステムの全体像を示す図
【図4】本発明の実施の形態1におけるシステムの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
(実施の形態1)
まず、本実施の形態による移動端末の概要を説明する。なお、以下では移動端末の具体例としてテレビ機能付きの携帯電話機を例として説明する。
【0026】
本実施の形態の携帯電話機は、その内部にてテレビ放送波の受信品質、すなわち受信信号強度やエラーレート、エラーの総数などを記録する。また、本実施の形態による携帯電話機は、制御情報等を含むTMCC信号や、データ放送に付随されるBML情報などを参照してコンテンツの種類を判別する。判別の結果、特定のコンテンツ(例えば災害情報、地域向け放送、有料番組など)が受信されたことが分かった場合には、記録した受信品質情報と、携帯電話機の現在位置の情報とを放送局側に報告する。ここで、現在位置の情報は、セルラー基地局情報あるいは端末の持つGPS機能により取得する。また、放送局への報告には、携帯電話機の備えているセルラー(携帯電話)機能を用いる。放送局側は、携帯電話から報告されたデータを集め、受信状況が悪い地域向けのテレビ番組、データ放送(災害情報、天気予報など)を繰り返し送出する。これにより、受信状況が悪い地域に対して、特定のコンテンツを重点的に送信することができるので、受診環境の悪いの携帯電話機でもより確実に情報を入手出来る。
【0027】
続いて、本実施の形態による携帯電話機の構成を説明する。
【0028】
図1は本発明の実施の形態1におけるテレビ機能付き携帯電話機11の構成を示す機能ブロック図である。携帯電話機11は、アンテナ12、テレビ放送受信機能部13、表示機能部15、スピーカー17、端末情報処理機能部20、現在位置検出機能部25、セルラー通信機能部22を備える。なお、実際の携帯電話機には、更に他の機能も備えられていることが一般的であるが、本実施の形態の説明とは直接的な関係が薄いため、説明を省略している。
【0029】
アンテナ12は、テレビ放送を受信する。アンテナ12で受信されたテレビ放送波は、テレビ放送受信機能部13に出力される。
【0030】
テレビ放送受信機能部13は、受信した放送波を処理して画像信号14と音声信号16を得る。そして、画像信号14を表示機能部15へ、音声信号16をスピーカー17へ出力する。さらに、テレビ放送受信機能部13は、放送の受信品質を示す受信品質情報18、および、コンテンツの種類を示すコンテンツ情報19を出力する。受信品質情報18は、具体的には受信信号強度やC/N、エラーレート(BER、FER)、エラーの総数などである。また、コンテンツ情報19は、BML情報などを参照することで得られる。BML情報は、データ放送向けのページ記述言語BML(Broadcast Markup Language)で記述された情報であり、コンテンツの種類などの情報が記述されている。
【0031】
表示機能部15は、テレビ放送受信機能部13から出力された画像信号14を出力する。表示機能部15は、具体的には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどにより実現される。
【0032】
スピーカー17は、テレビ放送受信機能部13から出力された音声信号16を、端末利用者に聞こえるように出力する。
【0033】
端末情報処理機能部20は、得られた受信品質情報18、コンテンツ情報19を含む報告情報21を作成し、セルラー通信機能部22へ出力する。なお、報告情報21は、受信品質情報18およびコンテンツ情報19そのものを含むのではなく、これらを加工した情報であったり、他の情報を含んだ情報であったりしてもよい。例えば、GPS受信機あるいはセルラー基地局情報などの現在位置検出機能部24を用いて得られる現在位置情報25も含めても良い。なお、端末情報処理機能部20は、報告情報21の生成および送信をすべきか否かの判断も行う。例えば、コンテンツの種類が報告の対象外である場合などには報告情報21は生成しない。これらの処理の詳細については、後述する。
【0034】
セルラー通信機能部22は、携帯電話機11の備えるデータ送信の機能を実現し、具体的には、セルラー網を介した通信を行う。本実施の形態のセルラー通信機能部22は、セルラー網を介した一般的な通信に加え、報告情報21を放送局へ送出する。なお、セルラー通信機能部22は、セルラー網を介した通信を行うものには限られない。本実施の形態による携帯電話機11の目的を達成するためには、セルラー通信機能22は、テレビ機能付き携帯電話機11からの情報を放送局側へ送出する機能を有していれば十分である。すなわち、いわゆるブルートゥース通信機能や、無線LAN機能などのセルラー通信以外の通信機能を実現するものであってもかまわない。また、セルラー網を介した通信を行う場合には、SMSや携帯電話のメール機能を用いて報告を行っても良い。この場合、放送局側での情報収集のためのシステムを容易に構成することができる。
【0035】
アンテナ23は、セルラー網へ情報を送出するアンテナである。なお、セルラー通信機能部22がブルートゥースや無線LANなどの通信を行う機能部である場合には、アンテナ23はその通信方式に対応したアンテナである。
【0036】
続いて、ここで図2を用いて端末情報処理部20の機能を詳細に説明する。端末情報処理部20は、コンテンツ情報19を解析するコンテンツ情報判別機能部と、受信品質情報18を解析する受信品質情報判別機能部と、現在位置情報25を解析する位置情報判別機能部と、これらの各機能部による解析の結果を受けて報告情報21を生成する報告情報生成機能部とを含む。
【0037】
コンテンツ情報判別機能部は、コンテンツ情報19(BML等)を解析し、受信したコンテンツが、放送局側へ受信品質等を報告すべき種類のコンテンツかどうかを判別する。本実施の形態では、特定の地域向けの情報(例えば、災害情報や天気予報)および有料放送を報告すべき種類のコンテンツであると判別する。
【0038】
受信品質情報判別機能部は、受信品質情報18を解析し、放送局側へ報告すべき受信品質であるかどうかを判別する。本実施の形態では、受信品質情報判別機能部は、受信品質が悪い場合に、受信品質情報18を報告すべきであると判別する。なお、本実施の形態において受信品質が悪い場合とは、受信品質が正常よりも明らかに劣る場合、あるいはある一定の時間の中でのエラーの総数や受信品質の劣る時間が長かった場合を指す。これらの評価は、例えば、受信品質の判断基準となる閾値を設けて、その閾値と現在または一定時間の受信品質との大小比較を行うなどの方法で実現される。
【0039】
位置情報判別機能部は、現在位置情報25から得られた位置情報を解析し、現在位置が放送局側へ報告すべきかどうかを判別する。本実施の形態では、受信コンテンツが特定の地域向けの地域情報、災害情報などであり、現在地がその特定の地域に合致している場合に、報告すべきであると判別する。
【0040】
報告情報生成機能部は、報告情報21を生成する。報告情報生成機能部は、定期的に報告情報21を生成するとしても良いし、受信状態が悪い時のみ報告情報21を生成するとしても良い。また、報告情報21に含ませる受信品質の情報としては、現時点での受信品質のみを報告するとしても良いし、特定の時間帯のうち受信状態の悪かった時間(長さ)やエラーの総数を報告するとしてもよい。特定の時間帯のうち受信状態の悪かった時間(長さ)やエラーの総数を報告するとした場合には、コンテンツのどの区間で、どの程度、受信品質が悪かったのかを特定しやすくなる。したがって、有料放送の受信品質が悪かった場合に、そのコンテンツの利用料金を割り引くなどの制御を行うことが容易になる。
【0041】
なお、報告情報生成機能部は、コンテンツ情報判別機能部と受信品質情報判別機能部と位置情報判別機能部とのいずれかが、報告する必要がないと判別した場合には、報告情報21を生成しなくともよい。これらの機能部のいずれかが報告する必要がないと判別した場合には、コンテンツが報告対象外であるか、受信品質が十分良好である場合なので、放送局側に対してコンテンツの再送や課金制御等を求める必要がないためである。ここで、コンテンツが報告対象外である場合とは、コンテンツの種類自体が報告対象外である場合と、コンテンツの種類自体は報告対象ではあるもののコンテンツが特定の地域向けのものであり現在地がその地域に合致していない場合がある。これにより、受信状況の報告頻度を抑えることができるので、携帯電話機11の電池使用量およびセルラー通信網に対するトラフィックを抑えることができる。
【0042】
ただし、いずれかの機能部が報告する必要がないと判別した場合であっても報告情報21を生成するとしてもよい。これの場合、基地局側はより詳細な受信状況についての情報を得ることができるので、コンテンツの再送や課金制御を行う際に、より細かな制御ができる。また、この場合、報告が不要と判別された情報を報告情報21から抜いた形で報告情報21を生成しても良い。常に全情報を送信する場合より送信すべき情報量を減らすことができるので、通信リソースを効率的に利用することができる。
【0043】
図3は、本実施の形態における携帯電話機、セルラー基地局、テレビ放送局、サーバー機能の関係を示したものである。なお、サーバー機能は、セルラー基地局に含まれるとしてもよいし、独立したサーバーであるとしてもよいし、テレビ放送局に含まれるとしてもよい。なお、本実施の形態では、携帯電話機はセルラー網を介して報告情報を送信するとしているので、報告情報を受信するのはセルラー基地局である。そのため、サーバー機能がセルラー基地局と異なる装置として設けられている場合には、セルラー基地局は報告情報をサーバー機能に向けて転送する。なお、無線LAN等のセルラー網以外の通信方式を使って報告情報を送信する場合は、サーバー機能が、携帯電話機11の近隣のアクセスポイントなどを介して報告情報を受け取る。
【0044】
以下、図3を用いて、本実施の形態に係るシステム全体の動作について説明する。上述したとおり、テレビ放送局から送信されたテレビ放送波を受信した携帯電話機は、テレビ放送波に含まれるデータ放送部分の情報(BML等)により番組(コンテンツ)の種類を判別して記録する。また、受信したテレビ放送波の信号強度、エラー率(またはエラー数)、C/N等により受信品質を数値化して記録する。テレビ機能付き携帯電話機は、記録した受信品質が悪く(例えば受信品質が正常よりも明らかに劣る場合、あるいはある一定の時間の中でのエラーの総数や受信品質の劣る時間が長かった場合等)、コンテンツの種類が報告すべき種類のコンテンツである場合に、コンテンツの種類を示す情報と受信品質を示す情報とを含む報告情報をセルラー通信機能により(必要であればセルラー基地局を介して)サーバー機能に報告する。このとき、テレビ機能付き携帯電話の持つGPS機能やセルラー基地局より得られた位置情報も一緒に送ることも出来る。また、サーバー機能への報告には、テレビ機能付き携帯電話機がセルラー通信機能とは別に持つブルートゥース通信機能や無線LAN機能などの他の通信機能を使うことも出来る。
【0045】
サーバー機能は、複数のテレビ端末(本発明によるテレビ機能付き携帯電話機を含む)から、報告情報を収集し、収集した結果を分析・解析により整理して、テレビ放送局に対して解析結果に応じた指示を行う。
【0046】
指示の内容としては、例えば、以下のものがあげられる。
【0047】
(1)特定の地域で受信状況が悪ければ、その地域向けの情報(気象情報、災害情報など)を繰り返し放送するよう指示を行う。
【0048】
(2)有料放送の受信状況が悪ければ、有料放送の課金に反映する(有料放送料金の割引きなど)よう指示を行う。
【0049】
続いて、本実施の形態に係るシステムの動作を図4に示すフローチャートを用いて説明する。図4に示すフローチャートのうち、ステップS401〜S404は携帯電話機による処理、ステップS405以降は放送局側(図3に示すセルラー基地局、サーバー機能、放送局)による処理である。
【0050】
本実施の形態に係る携帯電話機は、テレビ放送を受信(ステップS401)すると、受信したテレビ放送のBML情報を参照する等によりコンテンツの種類(番組ジャンル)を検出(判別)する(ステップS402)。その番組が、あらかじめ定められた特定のコンテンツ(災害情報や天気情報等の特定の地域向けの情報、もしくは有料放送)である場合(ステップS403のYES)、特定コンテンツの種類の情報、受信品質情報(C/N、BER、信号強度(RSSI))、端末の位置情報を取りまとめ、放送局側(より具体的にはサーバー機能)へ報告する(ステップS404)。
【0051】
このとき、携帯電話機は、定期的に受信状況(受信品質情報)を報告することでも良いし、受信状態が悪い時のみ報告することでも良い。また、携帯電話機は、現時点での受信品質のみを報告するとしても良いし、特定の時間帯のうち受信状態の悪かった時間(長さ)やエラーの総数を報告するとしてもよい。放送局側へ報告する手段としては、例えば、セルラー網を用いたデータ通信やショートメールを用いる。なお、セルラー網を用いた通信等の代わりに、Bluetoothや無線LAN等の非セルラー系の通信手段を利用してもよい。
【0052】
また、受信した番組が特定のコンテンツではない場合(ステップS403のNO)には、報告の必要はないと判断し、ステップS401へ戻って、番組の受信を継続する。
【0053】
放送局側(セルラー基地局、サーバー機能、放送局)は、携帯電話機からの報告を受信するとその報告の対象となっている番組の種類を確認する(ステップS405)。報告を受けた番組が、特定の地域向けのコンテンツである場合には、受信状況の悪かった地域向けのコンテンツを繰り返し放送する(あるいは繰り返しの頻度を増やして放送回数を増やす)。これにより、受信状況の悪かった地域の端末でもより確実に情報を提供することが出来る(ステップS406)。
【0054】
また、報告を受けた番組が有料放送である場合には、受信状況の悪かった端末への有料放送の料金を受信品質により割り引きする。これにより、移動中の視聴者が抵抗なく有料放送を視聴申し込み出来るようになる。
【0055】
以上で、本発明の実施の形態1の説明を終了する。
【0056】
なお、上述した実施の形態1では、携帯電話機が受信する放送をテレビ放送としていたが、これに限るものではない。携帯電話機にて放送の種類を判別できるのであれば、他の放送であってもよい。
【0057】
また、上述した実施の形態1では、携帯電話機を例として説明したが、これに限られるものではない。例えば、PDA、携帯型のPC、ゲーム機など他の端末であってもよい。なお、これらの装置では報告情報21の送信に用いるセルラー網を介した通信機能が備えられていない場合があるが、上述したとおり、無線LANなどの他の通信機能を用いて報告情報21を送信すればよい。
【0058】
また、上述した実施の形態1では、コンテンツの種類はBML情報を用いて判断していたが、これに限られるものではない。放送局から送信される他の情報を用いて判断してもよい。例えば、インターネット経由で入手した番組表の情報を現在時刻と視聴チャネルを用いて検索および解析するなどとしても、同様の情報を得ることができる。
【0059】
また、上述した実施の形態1では、災害情報は特定の地域向けの情報の一種であるものとし、現在いる地点向けの情報として説明したが、これに限られるものではない。例えば、特に大きな災害などが発生した場合や、親戚の所在地など、遠隔地の災害情報であっても緊急に通知を受けたい場合がある。そのため、災害情報については、現在地と違う地域向けのコンテンツや、利用者から指定があった地域向けのコンテンツである場合にも、コンテンツの種類および受信品質を報告するとしても良い。
【0060】
また、上述した実施の形態1では、移動端末は受信品質そのものを報告していたが、これに限るものではない。例えば、「受信品質が悪い」旨を示す情報を送信するとしても良い。
【0061】
また、上述した実施の形態1では、放送局側は、受信品質の報告があればコンテンツの再送または料金の割引を行っていたが、これに限られるものではない。報告された品質を放送局側で改めて評価し、報告された品質が所定の品質より悪い場合にのみ再送または料金の割引を行わないとしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、移動端末によって放送を受信するようなシステムを対象としている。特に、移動端末に対して確実に送信したいコンテンツや、受信品質が悪いと利用者に大きな不利益が発生するコンテンツの送受信を行う場合に有益である。
【符号の説明】
【0063】
11 携帯電話機
12、23 アンテナ
13 テレビ放送受信機能部
15 表示機能部
17 スピーカー
20 端末情報処理機能部
22 セルラー通信機能部
25 現在位置検出機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送局から放送を受信する放送受信手段と、
前記受信した放送のコンテンツの種類を判別する判別手段と、
前記受信した放送の受信品質を記録する記録手段と、
前記コンテンツが所定の種類のコンテンツである場合には、前記コンテンツの種類を示すコンテンツ情報と前記受信品質を示す品質情報とを放送局側へ通知する報告手段と
を備えることを特徴とする移動端末。
【請求項2】
前記報告手段は、前記コンテンツが有料放送である場合に、前記コンテンツの種類を示すコンテンツ情報と前記受信品質を示す品質情報とを放送局側へ通知する
ことを特徴とする請求項1記載の移動端末。
【請求項3】
前記報告手段は、前記コンテンツが災害情報である場合に、前記コンテンツの種類を示すコンテンツ情報と前記受信品質を示す品質情報とを放送局側へ通知する
ことを特徴とする請求項1記載の移動端末。
【請求項4】
前記移動端末は、更に、前記移動端末の現在の位置を示す位置情報を取得する位置検出手段を備え、
前記報告手段は、前記コンテンツの種類と前記受信品質とに加えて、前記位置情報を通知する
請求項1記載の移動端末。
【請求項5】
前記報告手段は、前記コンテンツが特定の地域向けのコンテンツであり、前記位置情報が示す位置が前記特定の地域内である場合に、前記コンテンツの種類と前記受信品質と前記位置情報とを前記放送局側へ通知する
ことを特徴とする請求項4記載の移動端末。
【請求項6】
前記移動端末は、更に、利用者から地域の指定を受け付ける指定手段を備え、
前記報告手段は、前記コンテンツが特定の地域向けのコンテンツであり、指定された地域が前記特定の地域内である場合に、前記コンテンツの種類と前記受信品質とを前記放送局側へ通知する
ことを特徴とする請求項1記載の移動端末。
【請求項7】
移動端末から、放送されたコンテンツの種類を示すコンテンツ情報と、前記コンテンツの受信品質を示す品質情報とを受信する受信手段と、
前記コンテンツ情報が有料放送を示す場合、前記コンテンツの受信品質に応じて、前記コンテンツの利用料の割引を行うよう、前記コンテンツを放送する放送局に対して指示を行う指示手段と
を備えることを特徴とするサーバー。
【請求項8】
移動端末から、放送されたコンテンツの種類を示すコンテンツ情報と、前記コンテンツの受信品質を示す品質情報とを受信する受信手段と、
前記コンテンツ情報が災害情報を示し、前記コンテンツの受信品質が所定の品質よりも悪ければ、前記コンテンツを再送するよう、前記コンテンツを放送する放送局に対して指示を行う指示手段と
を備えることを特徴とするサーバー。
【請求項9】
移動端末から、放送されたコンテンツの種類を示すコンテンツ情報と、前記コンテンツの受信品質を示す品質情報と、前記コンテンツが受信された位置を示す位置情報とを受信する受信手段と、
前記コンテンツ情報が特定の種類を示し、前記コンテンツの受信品質が所定の品質よりも悪ければ、前記位置情報が示す位置に対して前記コンテンツの再放送を行うよう、前記コンテンツを放送する放送局に対して指示を行う指示手段と
を備えることを特徴とするサーバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−259118(P2011−259118A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130710(P2010−130710)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】