説明

移動経路判定装置、及び、移動経路判定方法

【課題】移動端末の移動先についての好適な情報を提供できるようにすること。
【解決手段】移動経路判定装置1は、移動端末の新規移動経路が、記憶装置1hに格納されている過去の移動経路のうち所定の移動回数以上の(頻繁に利用される)移動経路に対応しているか否かを判定する(S2)。所定の移動回数以上の(頻繁に利用される)過去の移動経路に新規移動経路が対応していると判定された場合には、このような頻繁に利用される移動経路の移動先に応じた情報サービスが提供できる。また、所定の移動回数以上の(頻繁に利用される)過去の移動経路に新規移動経路が対応していると判定されなかった場合、このような殆んど利用されない移動経路の移動先に応じた情報サービスが提供できる(S3)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動経路判定装置と、移動経路判定方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、移動端末の現在位置等に応じた情報提供サービス等を行うシステムが開発されている。特許文献1には、携帯移動情報端末の登録ユーザに対し情報配信サービスの提供される特定エリアの情報と、情報提供業者の提供する配信情報及びその配信条件と、各登録ユーザ及びその配信情報の受信条件とを記憶するデータベースを有し、携帯移動情報端末の位置情報を受信して携帯移動情報端末が特定エリア内にあるか否かを判定し、エリア内と判定すると配信条件と受信条件とを両方満たす情報を携帯移動情報端末に配信するサーバシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−216021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術によれば、移動端末が特定エリア内にあり、配信条件及び受信条件が満たされれば、この移動端末に情報が配信される。しかし、情報提供される特定エリアが、頻繁に訪れるエリアであるか、又は、全く初めてであるか若しくは殆ど訪れないエリア等であるかに応じて、必要となる情報が異なる場合がある。そこで本発明の目的は、移動先についての好適な情報を移動端末に提供できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、出発エリア及び到着エリアを含む複数のエリアから成る移動端末の過去の移動経路と前記移動経路の移動回数とを表す移動経路情報を記憶する記憶装置と、前記移動端末の存在するエリアを所定の周期で検出するエリア検出手段と、前記エリア検出手段による検出結果に基づいて前記移動端末の新規移動経路を検出する移動経路検出手段と、前記移動回数が所定基準値以上となっている前記過去の移動経路に、前記移動経路検出手段によって検出された前記新規移動経路が対応しているか否かを、前記移動経路情報に基づいて判定する第1の判定手段とを備える、ことを特徴とする。
【0006】
本発明において、前記第1の判定手段は、前記エリア検出手段によって検出され前記移動端末が前記新規移動経路を移動中に通過した通過エリアを含む最小の矩形領域と、当該通過エリアから距離的に最も近い位置にあり前記過去の移動経路に含まれている所定数のエリアを含む最小の矩形領域とが重なる共通領域の有無を、前記通過エリア毎に判定する第2の判定手段と、所定数以上の前記通過エリアにおいて前記共通領域がないと前記第2の判定手段によって判定された場合を除き、前記新規移動経路が前記過去の移動経路に対応していると判定する第3の判定手段とを有するのが好ましい。
【0007】
本発明において、前記第1の判定手段によって前記過去の移動経路に対応していると判定された前記新規移動経路の出発エリアは、前記過去の移動経路の出発エリア又は到着エリアに対応しているのが好ましい。
【0008】
本発明において、前記新規移動経路と前記過去の移動経路とが対応していると前記第1の判定手段によって判定された場合には、前記新規移動経路を構成するエリアを示すエリア情報を前記過去の移動経路を示す前記移動経路情報に追加すると共に前記過去の移動経路の前記移動回数を更新し、前記新規移動経路と前記過去の移動経路とが対応していないと前記第1の判定手段によって判定された場合には、当該新規移動経路を構成するエリアを示すエリア情報を新規の移動経路情報として前記記憶装置に記憶する経路情報更新手段を更に備えるのが好ましい。
【0009】
本発明において、前記記憶装置は、予め設定された複数の頻出エリアをそれぞれ示す複数の頻出エリア情報を記憶しており、前記経路情報更新手段は、前記新規移動経路の出発エリア及び到着エリアが前記複数の頻出エリアの何れかに対応している場合には、前記新規移動経路と前記過去の移動経路とが対応していると前記第1の判定手段によって判定されても前記過去の移動経路の前記移動回数を更新しないのが好ましい。
【0010】
また、本発明は、出発エリア及び到着エリアを含む複数のエリアから成る移動端末の過去の移動経路と前記移動経路の移動回数とを表す移動情報を記憶しており、前記移動端末の存在するエリアを所定の周期で検出する装置を用いた移動経路判定方法であって、前記装置によって検出された前記移動端末の存在するエリアに基づいて前記移動端末の新規移動経路を前記装置が検出する移動経路検出ステップと、前記移動回数が所定基準値以上となっている前記過去の移動経路と、前記移動経路検出ステップにおいて検出された前記新規移動経路とが対応しているか否かを、前記移動経路情報に基づいて前記装置が判定する判定ステップとを備える、ことを特徴とする。
【0011】
上記本発明によれば、移動経路判定装置は、移動端末の新規移動経路が、記憶装置に予め格納されている過去の移動経路のうち移動回数が所定基準値以上の(頻繁に利用される)移動経路に対応しているか否かを判定する。移動回数が所定基準値以上の(頻繁に利用される)過去の移動経路に新規移動経路が対応していると判定された場合には、このような頻繁に利用される移動経路の移動先に応じた情報サービスが提供できる。また、移動回数が所定基準値以上の(頻繁に利用される)過去の移動経路に新規移動経路が対応していると判定されなかった場合、このような殆んど利用されない移動経路の移動先に応じた情報サービスが提供できる。従って、移動先に至る移動経路が頻繁に利用されたものであるか否かに応じて、移動先についての好適な情報を移動端末に提供できる。
【0012】
また、本発明は、前記エリア検出手段によって前記エリアが検出された検出日時を移動経路情報としてさらに記憶し、前記第1の判定手段は、前記移動回数が所定基準値以上となっている前記過去の移動経路に対応しているか否かを、前記検出日時を含む前記移動経路情報に基づいて判定することが望ましい。
【0013】
上記本発明によれば、移動経路判定装置は、頻出移動経路であっても、普段通らない日時に当該経路を通過していることを検知することが可能となる。
【0014】
また、本発明における前記経路情報更新手段は、前記新規移動経路と前記過去の移動経路とが対応していると前記第1の判定手段によって判定された場合には、前記新規移動経路を構成するエリアを示すエリア情報と当該エリアの前記検出日時とを前記過去の移動経路を示す前記移動経路情報に追加し、前記過去の移動経路の前記移動回数を更新することが望ましい。
【0015】
上記本発明によれば、過去の検出日時を蓄積することで、検出日時を蓄積しない場合に比べ、新規移動経路と過去の移動経路とが対応しているか否かをより正確に検知することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動先についての好適な情報を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る移動経路判定装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る移動経路判定装置の構成を示す図である。
【図3】実施形態に係るサービス属性情報の一例を示す図である。
【図4】実施形態に係るエリア属性情報の一例を示す図である。
【図5】実施形態に係る移動経路情報の一例を示す図である。
【図6】実施形態に係る移動経路判定装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】実施形態に係る移動経路判定装置を説明するための図である。
【図8】実施形態に係る移動経路判定装置の他の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】実施形態に係る移動経路情報の他の例を示すための図である。
【図10】実施形態に係る経路情報更新部の他の例を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明に係る好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、可能な場合には、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。まず、図1及び図2を参照して、移動経路判定装置1の構成を説明する。移動経路判定装置1は、携帯電話等の移動端末(不図示)に実装されるものとする。移動経路判定装置1は、図1に示すように、物理的には、CPU1a、ROM1b、RAM1c、通信装置1d、操作装置1e、測位装置1f、表示装置1g及び記憶装置1hを有しており、これらはバス1iに接続されている。CPU1aは、ROM1bや記憶装置1h等の内蔵メモリに格納された所定のコンピュータプログラム(例えば、図3に示すフローチャートの処理を実行するためのコンピュータプログラム)をRAM1cにロードして実行することによって、移動経路判定装置1を統括的に制御する。
【0019】
通信装置1dは、通信ネットワークに接続するためのインターフェースを有する。操作装置1eは、データ入力を行うための複数の入力ボタン等を有し、この入力ボタンの押下によって入力されたデータをCPU1aに出力する。測位装置1fは、GPS受信機を含み、移動端末の現在の位置を示す位置信号(緯度及び経度を示すGPS信号等)をGPS受信機によって検出する。なお、測位装置1fは、近距離通信を行うためのBluetooth(登録商標)通信機やWLAN通信機、携帯電話の通信を行うためのW−CDMA通信機等を含んでいてもよく、これらの通信機を用いた近距離通信によって移動端末の位置を検出してもよい。
【0020】
表示装置1gは、LCD等を有し、CPU1aから出力される各種表示データ(ナビゲーション情報、ニュース情報、観光地情報及び地元民情報等を表すデータ)を表示する。記憶装置1hは、書き込み/読み出しが自在なメモリであり、複数のデータベース(サービス属性情報格納部1k、エリア属性情報格納部1m、移動経路情報格納部1n)を有する。サービス属性情報格納部1kは図3に例示するサービス属性情報2を格納し、エリア属性情報格納部1mは図4に例示するエリア属性情報3を格納し、移動経路情報格納部1nは図5に例示する移動経路情報4を格納する。
【0021】
ここで、図3〜図5を参照して、サービス属性情報2、エリア属性情報3及び移動経路情報4について説明する。サービス属性情報2及びエリア属性情報3は、操作装置1eを介して入力されたデータに基づいて作成され、移動経路情報4は、移動経路判定装置1によって自動的に作成される。図3に示すように、サービス属性情報2は、移動端末の移動経路に含まれる到着エリアが、“頻繁に訪れるエリア”であるか(すなわち、移動経路が頻繁に利用されるものであるか)、又は、“殆んど訪れないエリア”であるか(すなわち、移動経路が殆んど利用されていないものであるか)、に応じて、移動経路判定装置1を介してユーザに提供する情報サービスの種類(ナビゲーション情報、ニュース情報、観光地情報及び地元民情報等であるが、これに限らない)が設定されている。図3に示すサービス属性情報2は、“頻繁に訪れるエリア”の場合に提供される情報サービスに“ニュース情報”及び“地元民情報”が設定されており、“殆んど訪れないエリア”の場合に提供される情報サービスに“ナビゲーション情報”、“ニュース情報”及び“観光地情報”が設定されている。ここで“エリア”は、測位装置1fによって検出された位置信号(緯度及び経度)に基づいて後述のエリア検出部1pによって所定の周期毎に検出される地理的範囲(緯度、経度及び測定誤差によって特定される範囲)であり、具体的には、緯度・経度を中心地点とし、測定誤差を半径とする円領域である。
【0022】
また、図4に示すように、エリア属性情報3には、移動端末のユーザが頻繁に訪れるエリア(すなわち、移動端末が頻繁に通過又は滞在するエリア)についての情報(ID31、範囲32、名称33及び属性34)が設定されている。ID31に設定されているデータは、ユーザが頻繁に訪れるエリアを特定するための識別情報(“E1”、“E2”等であり、以下、エリアE1、エリアE2等と称する)を示すデータである。範囲32に設定されているデータは、ID31に設定されている各エリアの範囲(緯度、経度及び測定誤差を含むエリア情報)を示すデータである。名称33に設定されているデータは、ID31に設定されている各エリアの一般的な名称(“○△株式会社”や“自宅”等)を示すデータである。属性34に設定されているデータは、ID31に設定されている各エリアの名称(“自宅”や“会社”等、ユーザによって指定される名称)を示すデータである。エリアE1の名称33には“○△株式会社”が設定され、エリアE1の属性34には“会社”が設定されている。エリアE2の名称33には“自宅”が設定され、エリアE2の属性34にも“自宅”が設定されている。
【0023】
また、図5に示すように、移動経路情報4には、過去に移動端末の移動した移動経路についての情報(ID41、出発エリア42、到着エリア43、通過エリア44、移動回数45)が移動経路毎に登録されている。ID41に登録されているデータは、過去に移動端末の移動した移動経路を特定するための識別情報(“R1”、“R2”等であり、以下、移動経路R1、移動経路R2等と称する)を表すデータである。出発エリア42に登録されているデータは、ID41に登録されている各移動経路の出発エリア(移動経路の始端(出発地点)を含むエリア)を示すエリア情報(緯度、経度及び測定誤差を含む。以下同様)である。到着エリア43に登録されているデータは、ID41に登録されている各移動経路の到着エリア(移動経路の終端(到着地点)を含むエリア)を示すエリア情報である。
【0024】
通過エリア44に登録されているデータは、ID41に登録されている各移動経路を移動中に移動端末の通過した通過エリア(出発エリア及び到着エリアを除く)を示すエリア情報である。移動回数45に登録されているデータは、ID41に登録されている各移動経路を移動端末が移動した回数を示すデータである。なお、移動経路情報4に登録されている移動経路であっても、出発エリア及び到着エリアが、エリア属性情報3に設定されているエリアに対応している移動経路の場合(移動経路R1)、移動回数45の登録は行われない(移動経路R1の移動回数45に設定されているデータ“−”は、移動回数の登録が行われていない旨を示している)。
【0025】
移動経路判定装置1の構成の説明に戻る。移動経路判定装置1は、図2に示すように、機能的には、エリア検出部1p(エリア検出手段)、移動経路検出部1q(移動経路検出手段)、判定部1r(第1〜第3の判定手段)、経路情報更新部1s(経路情報更新手段)及びサービス提供部1tを含む。図2に示すエリア検出部1p〜サービス提供部1tは、CPU1aがROM1bや記憶装置1h等の内蔵メモリに格納された上記コンピュータプログラムを実行し、図1に示す移動経路判定装置1の各構成部を動作させることによって実現される機能である。CPU1aは、上記コンピュータプログラムを実行することによって(特に、図2に示すエリア検出部1p〜サービス提供部1tを用いて)、図6のフローチャートに示す通信制御装置1の行う処理を実行する。
【0026】
エリア検出部1pは、測位装置1fによって検出された位置信号(移動端末の現在の緯度及び経度を示すGPS信号等)に基づいて、移動端末が存在するエリア(緯度、経度及び測定誤差によって特定される円領域)を所定の周期毎(例えば、5分毎や10分毎等)に検出する。図7を参照してエリア検出部1pについて具体的に説明すると、エリア検出部1pは、例えば、新規にエリアE21,E3,E4,E11(移動端末が存在するエリア)を順次検出する。図7に示すエリアE5,E6,E7は、過去に検出されたエリアであって移動経路情報4に既に登録されており、図7に示すエリアE21,E11は、過去に検出されたエリアE2,E1のそれぞれに対応している。
【0027】
移動経路検出部1qは、エリア検出部1pによって検出されたエリア(移動端末の存在するエリア)に基づいて、移動端末が移動している移動経路を検出する。図7を参照して移動経路検出部1qについて具体的に説明すると、移動経路検出部1qは、エリア検出部1pによって新規に検出されたエリアE21,E3,E4,E11に基づいて、移動端末が移動している新規移動経路R11を検出する。ここで、移動経路検出部1qは、次のようにして移動端末が滞在中であるか移動中であるかを検出する。エリア検出部1pが第1のエリア、第2のエリアを順次検出した場合、第1のエリアの中心地点(緯度・経度によって特定される地点)と第2のエリアの中心地点との間の距離が、第1のエリアの半径(測定誤差)と第2のエリアの半径との和より小さく(すなわち、第1及び第2のエリアが重なっており、第1及び第2のエリアによって共有される共通領域があり)、以降、エリア検出部1pが順次検出した第1・・第nのエリア(nは所定の自然数)に対し、上記のように共通領域がある場合に、エリア検出部1pは、移動端末が滞在中であることを検出し、そうでない場合に、移動端末が移動中であることを検出する。
【0028】
判定部1rは、移動経路情報4に登録されている過去の移動経路に、移動経路検出部1qによって検出された新規の(現在の)移動経路が対応しているか否かを、移動経路情報4に基づいて判定する。図5及び図7を参照して具体的に説明すると、判定部1rは、移動経路検出部1qによって検出された新規移動経路R11が、図5に示す移動経路情報4に登録されている過去の移動経路に対応しているか否かを判定する。
【0029】
ここで、判定部1rについて詳細に説明する。判定部1rは、エリア検出部1pによって検出され移動端末が新規移動経路を移動中に通過した通過エリアを含む最小の矩形領域と、この通過エリアから距離的に最も近い位置にあり移動経路情報4に登録されている過去の一の移動経路に含まれている所定数N2(例えば2とする)の通過エリアを含む最小の矩形領域とが重なる共通領域の有無を、新規移動経路の通過エリア毎に通過順に判定する。そして、判定部1rは、新規移動経路の複数の通過エリアのうち所定数N3(例えば2とする)以上の通過エリアにおいて上記のような共通領域がないと連続して判定した場合を除き、移動経路情報4に登録されているこの過去の一の移動経路に新規移動経路が対応していると判定する。
【0030】
図5及び図7を参照して具体的に説明する。判定部1rは、エリア検出部1pによって検出され移動端末が新規移動経路R11を移動中に通過した通過エリア(エリアE3)を含む最小の矩形領域であるMBR1と、エリアE3から距離的に最も近い位置にあり図5に示す移動経路情報4に登録されている過去の一の移動経路R1に含まれている所定数N2(=2)の通過エリア(エリアE5,E6がエリアE3から距離的に最も近い位置にある)を含む(詳細には、エリアE5を含む最小の矩形領域MBR5と、エリアE6を含む最小の矩形領域MBR6とを含む)最小の矩形領域MBR2とが重なる共通領域の有無、及び、エリア検出部1pによって検出され移動端末が新規移動経路R11を移動中に通過した通過エリア(エリアE4)を含む最小の矩形領域であるMBR3と、エリアE4から距離的に最も近い位置にあり図5に示す移動経路情報4に登録されている過去の一の移動経路R1に含まれている所定数N2(=2)の通過エリア(エリアE6,E7がエリアE4から距離的に最も近い位置にある)を含む(詳細には、エリアE6を含む最小の矩形領域MBR6と、エリアE7を含む最小の矩形領域MBR7とを含む)最小の矩形領域MBR4とが重なる共通領域の有無を、MBR1,3のそれぞれに対して(すなわち、エリアE3,E4のそれぞれに対して)判定する。MBR1はMBR2に含まれており、MBR3はMBR4に重なる共通領域を有しているので、判定部1rは、MBR1,3の全てが共通領域を有すると判定する。よって、判定部1rは、新規移動経路R11が、エリアE5,E6,E7を含む過去の一の移動経路R1に対応していると判定する。
【0031】
なお、移動経路情報4に登録されている過去の移動経路に対応していると判定部1rによって判定された新規移動経路の出発エリアは、この過去の移動経路の出発エリア又は到着エリアに対応している。以下、二つのエリアが対応しているとは、二つのエリアの中心地点(緯度・経度によって特定される地点)間の距離が、二つのエリアの半径(測定誤差)の和より小さい場合(すなわち、二つのエリアが重なっており、二つのエリアによって共有される共通領域がある場合)を意味する。図7を参照して具体的に説明すると、新規移動経路R11の出発エリア(エリアE21)は、過去の移動経路R1の出発エリア(エリアE2“自宅”(図4))に対応しているので、判定部1rは、移動経路情報4に登録されている過去の複数の移動経路のうち、新規移動経路R11の出発エリア(エリアE21)に対応している出発エリア(エリアE2“自宅”(図4))を含む過去の移動経路R1を特定する。そして、判定部1rは、最初に通過したエリアE3を含むMBR1と、移動経路R1の通過エリア(エリアE5,E6のそれぞれの最小の矩形領域MBR5,6)を含むMBR2とが重なっている共通領域があると判定し、よって、この過去の移動経路R1上を移動端末が移動中であると判定する。次に、判定部1rは、エリアE3を通過した後に最初に通過したエリアE4を含むMBR3と、移動経路R1の通過エリア(エリアE6,7のそれぞれの最小の矩形領域MBR6,7)を含むMBR4とが重なっている共通領域があると判定し、よって、エリアE4を通過する直前に通過したエリアE3において移動端末が移動中であると判定された移動経路R1上を、エリアE4の通過時においても移動中であると判定する。
【0032】
経路情報更新部1sは、移動端末が移動中から滞在中になったと判定部1rによって判定されると、新規移動経路と移動経路情報4に登録されている過去の移動経路とが対応していると判定部1rによって判定された場合には、この新規移動経路を表す移動経路情報(新規移動経路の出発エリア、到着エリア及び通過エリアを示す各エリア情報を含む)を、この移動経路情報4に登録されている過去の移動経路を示す移動経路情報に追加すると共に、この移動経路情報に含まれている移動回数を、1だけ増加して更新する。経路情報更新部1sは、新規移動経路と移動経路情報4に登録されている過去の移動経路とが対応していないと判定部1rによって判定された場合には、この新規移動経路を表す移動経路情報(新規移動経路の出発エリア、到着エリア及び通過エリアを示す各エリア情報を含む)を新規の移動経路情報として移動経路情報4に登録する。更に、経路情報更新部1sは、新規移動経路の出発エリア及び到着エリアが、エリア属性情報3に設定されている複数の頻出エリアの何れかに対応している場合には、この新規移動経路と移動経路情報4に登録されている過去の移動経路とが対応していると判定部1rによって判定されても、この対応する過去の移動経路の移動回数45の更新を行わない。
【0033】
図7を参照して、経路情報更新部1sについて具体的に説明する。経路情報更新部1sは、新規移動経路R11と過去の移動経路R1とが対応していると判定部1rによって判定された後、移動端末が移動中から滞在中になったと判定部1rによって判定されると、この新規移動経路R11を表す移動経路情報(新規移動経路R11の出発エリア、通過エリア及び通過エリアを示す各エリア情報を含む)を、移動経路情報4のうち移動経路R1を示す移動経路情報に追加する。しかし、新規移動経路R11の出発エリア及び到着エリアのそれぞれが、エリア属性情報3に設定されているエリアE2及びエリアE1のそれぞれに対応しているので、経路情報更新部1sは、移動経路R1における移動回数45の更新を行わない。
【0034】
なお、経路情報更新部1sは、エリア検出部1pによって検出されたエリアE8,E9に基づいて移動経路検出部1qが新規移動経路R12を検出した場合、新規移動経路R12と移動経路情報4に登録されている過去の移動経路とが対応していないと判定部1rによって判定された場合、この新規移動経路R12を表す情報(新規移動経路R12の出発エリア、到着エリア及び通過エリアを示す各エリア情報を含む)を新規の移動経路情報として移動経路情報4に登録する。例えば、判定部1rは、新規移動経路R12上のエリアE8を含む最小の矩形領域であるMBR8と、エリアE8から距離的に最も近い位置にある移動経路R1の所定数N2(=2)の通過エリアを含む最小の矩形領域(例えばMBR2)とが重なる共通領域が無く、更に、新規移動経路R12上のエリアE9を含む最小の矩形領域であるMBR9と、エリア9から距離的に最も近い位置にある移動経路R1の所定数N2の通過エリアを含む最小の矩形領域(例えばMBR2)とが重なる共通領域が無く、よって、新規移動経路R12の複数の通過エリア(エリアE8,E9)のうち所定数N3(=2)以上の通過エリアにおいて、共通領域が無いと判定するので、新規移動経路R12と移動経路情報4に登録されている過去の移動経路R1とが対応していないと判定する。
【0035】
次に、図6を参照して、移動経路判定装置1の動作を説明する。まず、予め、サービス属性情報2がサービス属性情報格納部1kに格納され、エリア属性情報3がエリア属性情報格納部1mに格納される。そして、ステップS1において、移動経路検出部1qは、移動端末の新規移動経路を検出する。まず、移動経路検出部1qは、エリア検出部1pによって所定の周期で検出される移動端末の存在するエリアのエリア情報に基づいて、移動端末が移動中であるか、滞在中であるかを判定する。例えば、エリア検出部1pが、第1の新規エリアを検出し、そして、次の検出タイミングにおいて第2の新規エリアを検出した場合を考える。移動経路検出部1qは、第1の新規エリアと第2の新規エリアとが重なっている共通領域を検出し、以降、エリア検出部1pが順次検出した第1〜第nの新規エリア(Nms回)に対し上記の共通領域を検出した場合、移動端末を滞在中と判定し、そうでない場合(共通領域を検出しなかった時点において)に、移動端末を移動中と判定する。移動経路検出部1qは、以上のようにして、移動端末の新規移動経路を検出する(ステップS1)。
【0036】
ステップS1の後、ステップS2において、判定部1rは、移動経路情報格納部1nに格納されている移動経路情報4を参照し、ステップS1において検出された新規移動経路が過去の移動経路に対応しているか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2の後、ステップS3において、サービス提供部1tは、サービス属性情報格納部1kに格納されているサービス属性情報2を参照し、ステップS1において検出された新規移動経路が基準値N1以上の移動回数(移動回数45の値)の過去の移動経路に対応していると判定部1rによって判定されたか否かに応じて、情報サービス(例えば、図3に示すように、ナビゲーション情報、ニュース情報、観光地情報及び地元民情報等)を提供する(ステップS3)。
【0037】
ここで、ステップS3の処理内容を、図3に示すサービス属性情報2を用いて具体的に説明する。ステップS1において検出された新規移動経路が基準値N1以上の移動回数の過去の移動経路に対応していると判定部1rによって判定されると、サービス提供部1tは、この新規移動経路が“頻繁に訪れるエリア”に該当すると判定する。そして、サービス提供部1tは、サービス属性情報格納部1kに格納されているサービス属性情報2を参照し、“頻繁に訪れるエリア”の場合に設定されている“ニュース情報”及び地元民情報“を所定の方法(ダウンロード等)によって取得して表示装置1gに表示する。また、ステップS1において検出された新規移動経路が基準値N1以上の移動回数の過去の移動経路に対応していない(換言すれば、新規移動経路が基準値N1未満の移動回数の過去の移動経路に対応するか、又は、過去の移動経路に対応していない)と判定部1rによって判定されると、サービス提供部1tは、この新規移動経路が“殆んど訪れないエリア”に該当すると判定する。そして、サービス提供部1tは、サービス属性情報格納部1kに格納されているサービス属性情報2を参照し、“殆んど訪れないエリア”の場合に設定されている“ナビゲーション情報”、“ニュース情報”及び“観光地情報”を所定の方法(ダウンロード等)によって取得して表示装置1gに表示する。
【0038】
以上説明したように、移動経路判定装置1は、移動端末の新規移動経路が、記憶装置1hに格納されている移動経路情報4の過去の移動経路のうち移動回数45の値(回数)が所定の基準値N1以上の(頻繁に利用される)移動経路に対応しているか否かを判定する。移動回数が所定の基準値N1以上の(頻繁に利用される)過去の移動経路に新規移動経路が対応していると判定された場合には、このような頻繁に利用される移動経路の移動先に応じた情報サービスが移動端末に提供される。また、移動回数が所定の基準値N1以上の(頻繁に利用される)過去の移動経路に新規移動経路が対応していると判定されなかった場合、このような殆んど利用されない移動経路の移動先に応じた情報サービスが移動端末に提供される。従って、移動経路が頻繁に利用されたものであるか否かに応じて、この移動経路の移動先についての好適な情報を提供できる。
【0039】
なお、移動経路判定装置1が携帯電話等の移動端末に搭載されている場合について説明したが、これに限らない。例えば、移動経路判定装置1が移動端末とは異なるサーバ等に搭載されていてもよい。この場合、移動経路判定装置1は、エリア属性情報3を移動端末から通信網を介して取得し、移動端末の位置情報(例えば、GPS信号等、緯度・経度を示す情報)を移動端末から通信網を介して取得し、更に、移動端末に提供する情報サービスを通信網を介して移動端末に送信する。また、サービス属性情報2には、“頻繁に訪れるエリア”及び“殆んど訪れないエリア”のそれぞれに応じた(すなわち、エリアを訪れた回数に応じた)情報サービスが設定されているが、これに限らず、“頻繁に利用される経路”及び“殆んど利用されない経路”のそれぞれに応じた(すなわち、経路を利用した回数に応じた)情報サービスが設定されていてもよい。
【0040】
また、経路情報更新部1sは、エリア検出部1pによって新規に検出されたエリアのエリア情報を、移動経路に沿って通過する順に(換言すれば、移動経路に沿って出発エリアに距離的に近い順に)順序付けして移動経路情報4に登録してもよい。以下、経路情報更新部1sがエリア情報を順序付けて移動経路情報4に登録する場合の処理内容を、図8に示すフローチャートを参照して説明する。まず、移動経路検出部1qが新規移動経路を取得した後に、当該新規移動経路が移動経路情報4に登録されている過去の一の移動経路(以下、過去移動経路という)に対応していると判定部1rによって判定された場合について説明する。経路情報更新部1sは、エリア検出部1pによって検出された新規エリアに距離的に最も近い位置にあり過去移動経路に含まれている第1の通過エリアを特定すると共に、この第1の通過エリアの直前に位置する(出発エリア側において隣り合う)第2の通過エリアと、直後に位置する(到着エリア側において隣り合う)第3の通過エリアとを特定する(ステップS11)。なお、過去移動経路に対応する移動経路情報4の通過エリア44には、予め、第2の通過エリア、第1の通過エリア、第3の通過エリアの順に各エリア情報が登録されている。ここで、新規移動経路、過去移動経路、新規エリア、第1の通過エリア、第2の通過エリア、第3の通過エリアのそれぞれは、図7に示す移動経路R11、移動経路R1、エリアE3、エリアE6、エリアE5、エリアE7のそれぞれに対応している。
【0041】
ステップS11の後、ステップS12において、経路情報更新部1sは、新規エリアが第1の通過エリアと重なるか否かを判定する(ステップS12)。経路情報更新部1sは、新規エリアが第1の通過エリアと重なると判定した場合(ステップS12;Yes)、新規エリアの半径(測定誤差)より、第1の通過エリアの半径(測定誤差)の方が大きいか否かを判定する(ステップS13)。ステップS13において、経路情報更新部1sは、新規エリアの半径より第1の通過エリアの半径の方が大きいと判定した場合(ステップS13;Yes)、移動経路情報4の通過エリア44に登録されている過去移動経路の第1の通過エリアのエリア情報に替えて、この新規エリアのエリア情報を移動経路情報4の通過エリア44に登録し(差し替え)、ステップS15に移行する(ステップS14)。ステップS13において、経路情報更新部1sは、新規エリアの半径が第1の通過エリアの半径以上であると判定した場合(ステップS13;No)、この新規エリアのエリア情報を移動経路情報4の通過エリア44に登録しない。
【0042】
ステップS12に戻って説明する。ステップS12において、経路情報更新部1sは、新規エリアと第1の通過エリアとが重ならないと判定した場合(ステップS12;No)、第2の通過エリアと新規エリアとの間の距離D2nから第2の通過エリアと第1の通過エリアとの間の距離D21を差し引いた第1の値V1(V1=D2n−D21)と、第3の通過エリアと新規エリアとの間の距離D3nから第3の通過エリアと第1の通過エリアとの間の距離D31を差し引いた第2の値V2(V2=D3n−D31)との大小を比較する(ステップS16)。そして、ステップS16の後、ステップS17において、経路情報更新部1sは、第1の値V1の方が第2の値V2より小さいか否かを判定する(ステップS17)。
【0043】
ステップS17において、経路情報更新部1sは、第1の値V1の方が第2の値V2より小さいと判定した場合(ステップS17;Yes)、過去移動経路に対応する移動経路情報4の通過エリア44には、第2の通過エリア、新規エリア、第1の通過エリア、第3の通過エリアの順に各エリア情報を登録し、ステップS15に移行する(ステップS18)。また、ステップS17において、経路情報更新部1sは、第1の値V1が第2の値V2以上であると判定した場合(ステップS17;No)、過去移動経路に対応する移動経路情報4の通過エリア44には、第2の通過エリア、第1の通過エリア、新規エリア、第3の通過エリアの順に各エリア情報を登録し、ステップS15に移行する(ステップS19)。
【0044】
経路情報更新部1sは、上記のようにして新規移動経路の全ての新規エリアの登録を行った後に、ステップS15において、過去移動経路に対応する移動経路情報4の通過エリア44に登録されている全てのエリアのそれぞれについて最小の矩形領域(1エリアMBRと称する)を算出する。更に、経路情報更新部1sは、新規移動経路の全ての1エリアMBRを算出した後に、この算出した全ての1エリアMBRにおいて互いに隣り合う二つの1エリアMBRを含む最小の矩形領域(2エリアMBRと称する)を、隣り合う二つの1エリアMBRの全ての組み合わせに対して算出し、この算出した全ての2エリアMBRを移動経路情報4に登録する。
【0045】
次に、移動経路検出部1qによって新規移動経路が検出された後に、当該新規移動経路が移動経路情報4に登録されている過去のいずれの移動経路(以下、過去移動経路という)にも対応していないと判定部1rによって判定された場合について説明する。この場合、経路情報更新部1sは、新規移動経路の全ての新規エリアの各エリア情報を、この新規移動経路に対応する移動経路情報4の通過エリア44に、移動端末の通過した順に登録する。
【0046】
そして、図8のフローチャートに基づく上述の更新処理が経路情報更新部1sによって行われると、判定部1rの行う判定処理は以下のようになる。まず、エリア検出部1pによって第1の新規エリアが検出された時点で、移動端末が移動経路検出部1qによって移動中と最初に判定されると(この時の第1の新規エリアは、例えば、図7に示すエリアE3であり、以下、図7を参照して説明する)、判定部1rは、移動経路情報4を参照して、直前までに滞在中であったエリアエリアE21に対応する出発エリア又は到着エリアを含む過去の移動経路R1を特定する。判定部1rは、移動経路R1の通過エリア(移動経路R1に対応する移動経路情報4の通過エリア44に登録されている通過エリア)から、エリアE3に距離的に最も近い位置にあるエリアE6を特定する。そして、判定部1rは、エリアE6を含む二つの2エリアMBR(MBR2,4)を移動経路情報4から取得し、この取得した二つの2エリアMBRの少なくとも一方(MBR2)とエリアE3を含むMBR1とが重なっている共通領域を検出し、以降、少なくとも連続するN3個(N3=2)の新規エリア(すなわち、エリア検出部1pによって順次検出された第1〜第N3の新規エリア)に対し、上記のような共通領域を連続して検出した場合に、移動端末が移動経路R1を移動中と判定し、そうでない場合、移動端末が移動経路R1から外れて移動していると判定する。
【0047】
なお、上記実施形態においては、エリア検出部1pによって特定されるエリアE1等の"エリア"を、緯度・経度を中心地点とし、測定誤差を半径とする円領域であるとしたが、これに限らない。例えば、エリア検出部1pは、緯度・経度を中心地点とし、測定誤差を1辺とする正方形領域として、エリアを特定してもよい。また、例えば、エリア検出部1pは、緯度・経度を中心地点とし、測定誤差の2倍を1辺とする正方形領域として、エリアを特定してもよい。エリアが円領域によって特定される場合には、まずエリアを表す円領域が特定され、更に、この円領域を含むMBRが特定されていたが、エリアが円領域ではなく正方形領域として特定されれば、この正方形領域をMBRとして用いることが可能となり、エリア検出部1pによるMBRの特定が容易となる。
【0048】
(変形例1)
また、上記実施形態においては、判定部1rは、新規移動経路を移動中に通過した通過エリアが過去の移動経路と空間的に重複する場合に、新規移動経路と過去の移動経路が同一経路であると判定したが、これに加えて、過去の移動経路を構成する通過エリアが新規移動経路と空間的に重複する場合に、新規移動経路と過去の移動経路が同一経路であると判定しても良い。これにより、過去の移動経路のうち、新規移動経路と同一の経路を高精度に取得することができる。
【0049】
(変形例2)
また、上記実施形態においては、移動経路情報格納部1nには、通過エリアの緯度、経度、測定誤差を含むエリア情報のみ管理するが、これに限らずこのエリア情報に、エリア検出部1pによって検出されたこの通過エリアの検出日時を加えた、位置日時情報Qを管理しても良い。この位置日時情報Qは、Q=(p,t)と表現する(p:緯度、経度、測定誤差、t:検出日時)。図9に、移動経路情報格納部1nに格納した位置日時情報Qを含む移動経路情報5の一例を示す。図9に例示する移動経路情報5には、過去に移動端末の移動した移動経路についての情報(ID51、出発エリア52、到着エリア53、通過エリア54、移動回数55)が移動経路毎に登録されている。ID51は移動経路情報4のID41の内容と同じであり、移動回数55は移動経路情報4の移動回数45の内容と同じである。出発エリア52に登録されている位置日時情報Qは、ID51に登録されている各移動経路の出発エリアを示すエリア情報と、エリア検出部1pによって検出されたこの出発エリアの検出日時とを含んでいる。到着エリア53に登録されている位置日時情報Qは、ID51に登録されている各移動経路の到着エリアを示すエリア情報と、エリア検出部1pによって検出されたこの到着エリアの検出日時とを含んでいる。通過エリア54に登録されている位置日時情報Qは、ID51に登録されている各移動経路を移動中に移動端末の通過した通過エリア(出発エリア及び到着エリアを除く)を示すエリア情報と、エリア検出部1pによって検出されたこの通過エリアの検出日時とを含んでいる。
【0050】
判定部1rは、移動回数が所定基準値以上となっている過去の移動経路に対応しているか否かを、位置日時情報Qを含む移動経路情報5に基づいて判定してもよい。これにより、検出日時帯を考慮して、新規移動経路が過去の移動経路のいずれかの移動経路と同一であるか否かを判定することができる。例えば移動経路が通勤路であった場合、通勤路が午前中に通過する過去の移動経路と同一であると判定すれば、出勤時の電車の時刻表情報(図3に示す情報サービス属性情報2の「情報サービスの種類」に含まれる)を提供し、通勤路が午後に通過する過去の移動経路と同一であると判定すれば、帰宅時の電車の時刻表情報を提供する、といった、移動先のみならず移動時間帯に応じた好適な情報を提供できる。
【0051】
また、経路情報更新部1sは、新規移動経路と過去の移動経路とが対応していると判定部1rによって判定された場合、位置日時情報Qを移動経路情報5の出発エリア52又は到着エリア53又は通過エリア54に追加し、移動回数55を更新してもよい。この際、移動経路を構成する位置日時情報Qの中に、空間的に重複する位置日時情報Qが存在する場合には、経路情報更新部1sは、測定誤差の大きい位置日時情報Qを削除しても良い。この際、経路情報更新部1sは、削除する位置日時情報Qの検出日時を、測定誤差の小さい方の位置日時情報Qに追加する。例えば、測定誤差の小さい方の位置日時情報(ここではQとする)が(p,t)、測定誤差の大きい方の位置日時情報(ここではQとする)が(p,t)であった場合、経路情報更新部1sは、測定誤差の大きい方のQを削除した後、測定誤差の小さい方のQを(p,t,t)に更新する。
【0052】
以下、経路情報更新部1sが位置日時情報Qを、移動経路に沿って通過する順に(例えば、検出日時の順に)順序付けて移動経路情報5に登録する場合の処理内容を説明する。
【0053】
経路情報更新部1sは、新規移動経路を移動中に取得した位置日時情報(以降Qとする)が、過去の移動経路に含まれる位置日時情報のいずれとも空間的に重複しない場合、Qを過去の移動経路の出発エリア52又は到着エリア53又は通過エリア54に順序付けて追加する。この際、追加する前の移動経路の全体の距離と、追加した後の移動経路の全体の距離との差が最小になるように、Qを追加する。Qの追加に伴い、追加対象の過去の移動経路の出発エリア52又は到着エリア53又は通過エリア54に含まれる位置日時情報の順序付けが変更される。次にこの順序付けについて説明する。出発エリア52又は到着エリア53又は通過エリア54に含まれる複数の位置日時情報の内、Qから距離的に近い順のN個の位置日時情報の集合{,...,}を抽出する。次に、この集合の一要素であるnに着目する。過去の移動経路に含まれる位置日時情報の内、Qから距離的に近いエリアの位置日時情報をQとする。nとQとの距離をdis(n,Q)と表現すると、式(1)が最小となる(n,Q)を特定し、その間にQを追加する。式(1)はdis−variation(Qn,Q)=dis(Qn)+dis(Q,Q)−dis(n,Q)である。すなわち、QnとQとの間に追加される。
【0054】
これについて、図10を用いて説明する。図10のMBR71、MBR72、MBR73は、過去の移動経路に含まれる通過エリアの矩形領域を示している。移動端末は、位置日時情報Q=(p,t)で表され、出発エリアに対応する矩形領域のMBR71を出発し、続いて位置日時情報Q=(p,t)のMBR72を通過し、最後に位置日時情報がQ=(p,t)で表され、到着エリアに対応する矩形領域のMBR73に到着している。図10のMBR74、MBR75、MBR76、MBR77、MBR78は、移動端末の新規の移動経路に含まれる通過エリアの矩形領域を示している。移動端末は、位置日時情報Q=(p,t)で表され、出発エリアに対応する矩形領域のMBR74を出発し、順番に、位置日時情報Q=(p,t)のMBR75、位置日時情報Q=(p,t)のMBR76、位置日時情報Q=(p,t)のMBR77を通過し、最後に位置日時情報Q=(p,t)で表され、到着エリアに対応する矩形領域のMBR78に到着している。
【0055】
図10の新規の移動経路が、過去の移動経路に対応していると判定部1rによって判定されたとする。その際、MBR74とMBR73とは空間的に重複しているので、経路情報更新部1sは、MBR74とMBR73との測定誤差を比べて、測定誤差の大きいMBR74を削除すると共にその検出日時tをMBR73の位置日時情報に追加してQ=(p,t,t)とする。MBR76とMBR72とは空間的に重複しているので、経路情報更新部1sは、MBR76とMBR72との測定誤差を比べて、測定誤差の大きいMBR72を削除すると共にその検出日時tをMBR76の位置日時情報に追加してQ=(p,t,t)とする。MBR78とMBR71とは空間的に重複しているので、経路情報更新部1sは、MBR78とMBR71との測定誤差を比べて、測定誤差の大きいMBR71を削除すると共にその検出日時tをMBR78の位置日時情報に追加してQ=(p,t,t)とする。このように、経路情報更新部1sは、測定誤差の大きい位置日時情報を除去することによって、過去の移動経路の出発エリア又は到着エリア又は通過エリアを更新する。
【0056】
次に、経路情報更新部1sがMBR77を過去の移動経路の移動経路情報5に登録する方法について説明する。ここでは、MBR75はすでに経路情報更新部1sによって移動経路情報5に登録されているとする。N=2とすると、Qから距離的に近い順の2個の位置日時情報の集合{Q,Q}となる。この集合の一要素であるnがQの場合、QがQに対応し、nがQの場合、QがQに対応する。nがQの場合のdis−variation(Q,Q,Q)と、nがQの場合のdis−variation(Q,Q,Q)とを比較した際に、dis−variation(Q,Q,Q)が最小となっているとすると、経路情報更新部1sはQ、Q、Qの順に順序付けするようにQを追加する。このように、経路情報更新部1sは、新たに取得した位置日時情報Qを過去の移動経路の出発エリア52又は到着エリア53又は通過エリア54に追加することによって、移動経路情報5を更新する。
【符号の説明】
【0057】
移動経路判定装置…1、CPU…1a、ROM…1b、RAM…1c、通信装置…1d、操作装置…1e、測位装置…1f、表示装置…1g、記憶装置…1h、バス…1i、サービス属性情報格納部…1k、エリア属性情報格納部…1m、移動経路情報格納部…1n、エリア検出部…1p、移動経路検出部…1q、判定部…1r、経路情報更新部…1s、サービス提供部…1t、サービス属性情報…2、エリア属性情報…3、移動経路情報…4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出発エリア及び到着エリアを含む複数のエリアから成る移動端末の過去の移動経路と前記移動経路の移動回数とを表す移動経路情報を記憶する記憶装置と、
前記移動端末の存在するエリアを所定の周期で検出するエリア検出手段と、
前記エリア検出手段による検出結果に基づいて前記移動端末の新規移動経路を検出する移動経路検出手段と、
前記移動回数が所定基準値以上となっている前記過去の移動経路に、前記移動経路検出手段によって検出された前記新規移動経路が対応しているか否かを、前記移動経路情報に基づいて判定する第1の判定手段と
を備える、ことを特徴とする移動経路判定装置。
【請求項2】
前記第1の判定手段は、
前記エリア検出手段によって検出され前記移動端末が前記新規移動経路を移動中に通過した通過エリアを含む最小の矩形領域と、当該通過エリアから距離的に最も近い位置にあり前記過去の移動経路に含まれている所定数のエリアを含む最小の矩形領域とが重なる共通領域の有無を、前記通過エリア毎に判定する第2の判定手段と、
所定数以上の前記通過エリアにおいて前記共通領域がないと前記第2の判定手段によって判定された場合を除き、前記新規移動経路が前記過去の移動経路に対応していると判定する第3の判定手段と
を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の移動経路判定装置。
【請求項3】
前記第1の判定手段によって前記過去の移動経路に対応していると判定された前記新規移動経路の出発エリアは、前記過去の移動経路の出発エリア又は到着エリアに対応している、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移動経路判定装置。
【請求項4】
前記新規移動経路と前記過去の移動経路とが対応していると前記第1の判定手段によって判定された場合には、前記新規移動経路を構成するエリアを示すエリア情報を前記過去の移動経路を示す前記移動経路情報に追加すると共に前記過去の移動経路の前記移動回数を更新し、前記新規移動経路と前記過去の移動経路とが対応していないと前記第1の判定手段によって判定された場合には、当該新規移動経路を構成するエリアを示すエリア情報を新規の移動経路情報として前記記憶装置に記憶する経路情報更新手段を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか一項に記載の移動経路判定装置。
【請求項5】
前記記憶装置は、予め設定された複数の頻出エリアを表す頻出エリア情報を記憶しており、
前記経路情報更新手段は、前記新規移動経路の出発エリア及び到着エリアが前記複数の頻出エリアの何れかに対応している場合には、前記新規移動経路と前記過去の移動経路とが対応していると前記第1の判定手段によって判定されても前記過去の移動経路の前記移動回数を更新しない、ことを特徴とする請求項1〜請求項4の何れか一項に記載の移動経路判定装置。
【請求項6】
出発エリア及び到着エリアを含む複数のエリアから成る移動端末の過去の移動経路と前記移動経路の移動回数とを表す移動情報を記憶しており、前記移動端末の存在するエリアを所定の周期で検出する装置を用いた移動経路判定方法であって、
前記装置によって検出された前記移動端末の存在するエリアに基づいて前記移動端末の新規移動経路を前記装置が検出する移動経路検出ステップと、
前記移動回数が所定基準値以上となっている前記過去の移動経路と、前記移動経路検出ステップにおいて検出された前記新規移動経路とが対応しているか否かを、前記移動経路情報に基づいて前記装置が判定する判定ステップと
を備える、ことを特徴とする移動経路判定方法。
【請求項7】
前記記憶装置は、前記エリア検出手段によって前記エリアが検出された検出日時を移動経路情報としてさらに記憶し、
前記第1の判定手段は、前記移動回数が所定基準値以上となっている前記過去の移動経路に対応しているか否かを、前記検出日時を含む前記移動経路情報に基づいて判定することを特徴とする請求項1に記載の移動経路判定装置。
【請求項8】
前記経路情報更新手段は、前記新規移動経路と前記過去の移動経路とが対応していると前記第1の判定手段によって判定された場合には、前記新規移動経路を構成するエリアを示すエリア情報と当該エリアの前記検出日時とを前記過去の移動経路を示す前記移動経路情報に追加し、前記過去の移動経路の前記移動回数を更新することを特徴とする請求項4に記載の移動経路判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−160779(P2010−160779A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183807(P2009−183807)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】