説明

移動通信端末

【課題】着信音や画面表示に頼ることなく、ある程度離れた位置からでも、端末の状態を確認することが可能な移動通信端末を提供する。
【解決手段】本発明の移動通信端末は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部に接続されたデータ入出力部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナと、制御部に接続され、制御部からの指示に応じて少なくとも1つの発光態様で発光する発光部と、制御部に接続され、移動通信端末についての少なくとも1つの状態の各々と少なくとも1つの発光態様の各々との対応関係を記憶する記憶部とからなる。当該移動通信端末は、移動通信端末の状態に関する情報を受信した制御部が、記憶部に記憶された対応関係を参照して、その状態に対応する発光態様で発光するよう発光部に指示を送るように動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は移動通信端末に関し、より詳細には、端末の状態を第三者に通知する機能を有する移動通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
PHS(Personal Handyphone System)端末や携帯電話端末等、電話機能及び電子メール機能を有する移動通信端末は世の中に広く一般に普及している。このような移動通信端末は場所を選ばず電話をかけたり電子メールを送受信したりすることができる点で便利である。移動通信端末は無線通信を行う端末であるため、アンテナを介して基地局との間で所定の周波数の無線信号を送受信する。移動通信端末には着信音機能が搭載されており、着呼があった場合に所定の着信音を発するように予め設定することが可能である。また、発呼者ごとに異なる着信音を設定しておき、各発呼者からの着信があった場合に対応する着信音を鳴らすことも可能である。
【0003】
更には、登録されている電話番号と着信した電話番号とを比較し一致している場合、すなわち登録されている電話番号を着信した場合には第1のLEDを点滅又は点灯し、一致していない場合、すなわち登録されていない電話番号を着信した場合には、第2LEDを点滅または点灯するというものが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
そして、背面に表示画面を有する移動通信端末が従来から市販されている。これにより、着信音の使用が制限される状況においても、背面の表示画面に発呼者の電話番号等を表示できる上、折り畳み式の端末であっても、端末を開くことなしにそれらの情報を確認できる。
【0005】
このような従来の移動通信端末の機能は便利なものである。しかし、ユーザが移動通信端末を使用して通信を行っているときに、当該ユーザ以外の人間に対してその通信の状況を知らせることはできない。したがって、当該移動通信端末が会社からユーザに貸与されており、外線電話用の端末としてだけでなく社内の内線電話用の端末としても使用している場合を想定すると、ユーザが勤務時間中に会社の移動通信端末を用いて私用の外線電話をかけたり、あるいは多額の通話料の発生する通話モードで電話をかけてたりしていても、これらの好ましくない行為をすぐに発見することは困難である。また、医療機関においては、携帯電話端末の使用が制限されていることが多い。そのような状況においてユーザがPHS端末を使用していたとしても、周囲の人間にとって、その端末が使用の禁じられている携帯電話端末であるのか許可されているPHS端末であるのかを判断することは難しい。
【0006】
また、あるユーザの机に置かれた当該ユーザの移動通信端末に何らかの着呼があり、その近くに当該ユーザがいない場合、着呼に気付いた別の人間は、その着呼に関する情報を何ら得ることはできない。もちろん、その端末を手にとれば情報は得られるであろうが、一般的に言って、他人の移動通信端末に触れることはためらわれる。したがって、その端末が内線電話用に使用されており、社内の重要な部署からの緊急の着呼があった場合でも、当該移動通信端末のユーザが端末の傍にいなければ、すぐに対応することはできない。結果として、会社内での業務の円滑な遂行に支障が生じる。
【0007】
この問題は移動通信端末のユーザ自身にとっても同様に重要である。特に、医療機関等、着信音を鳴らすことが制限されているような特定の場所においては、着呼に関する情報を着信音から得ることもできないため、問題が大きい。
【0008】
移動通信端末が背面に表示画面を有していても、当該画面に表示できる文字や画像の大きさには限界がある。したがって、移動通信端末を机の上等に置いたままユーザが席から離れた位置にいる場合、ユーザは背面の表示画面に表示される文字や画像をはっきりと認識することができず、着呼についての十分な情報が得られない。すなわち、移動通信端末に誰から電話がかかってきたのか、もしくは誰から電子メールが送られてきたのかといったことが認識できない。結局、ユーザは自分の席まで戻って移動通信端末を手に取り、端末の表示画面に表示される情報を確認する必要がある。
【0009】
また、移動通信端末を外線電話用だけでなく内線電話用の端末としても使用している場合においても、着信音が鳴らせない状況では、その端末にかかってきている電話が内線と外線のいずれであるのかを認識するためには端末を手にとって確認する必要があり不便である。
【特許文献1】特開平11−103334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、着信音や画面表示に頼ることなく、ある程度離れた位置からでも、着呼に関する情報等、端末の状態を確認することが可能な移動通信端末を提供することである。さらに、移動通信端末を使用して現在行われている通信が内線電話と外線電話のいずれであるのか、どのような通信モードを利用して行われているのか等の情報をユーザ以外の周囲の人間に伝えることが可能な移動通信端末を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の移動通信端末は、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部に接続されたデータ入出力部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、無線通信回路に接続されたアンテナと、制御部に接続され、制御部からの指示に応じて少なくとも1つの発光態様で発光する発光部と、制御部に接続され、移動通信端末についての少なくとも1つの状態の各々と少なくとも1つの発光態様の各々との対応関係を記憶する記憶部とからなる。当該移動通信端末は、移動通信端末の状態に関する情報を受信した制御部が、記憶部に記憶された対応関係を参照して、その状態に対応する発光態様で発光するよう発光部に指示を送るように動作する。
【0012】
移動通信端末は、制御部及び音声符号化/復号化部に接続されたVoIPコーデックをさらに含むように構成してもよい。また、発光部は特定の通信事業者を表すマークの形状に形成されてもよい。
【0013】
本発明の移動通信端末は、本体装置と、当該本体装置に着脱可能に接続され、本体装置との間で信号の送受信を行う無線通信モジュールとからなる。本体装置は、第1の制御部と、音声入出力部と、第1の制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、第1の制御部に接続されたデータ入出力部と、第1の制御部及び音声符号化/復号化部に接続された第1のインターフェース部と、第1の制御部に接続され、第1の制御部からの指示に応じて少なくとも1つの発光態様で発光する発光部と、第1の制御部に接続され、移動通信端末についての少なくとも1つの状態の各々と少なくとも1つの発光態様の各々との対応関係を記憶する記憶部とからなる。一方、無線通信モジュールは、第1のインターフェース部と接続される第2のインターフェース部と、第1及び第2のインターフェース部を介して第1の制御部と接続された第2の制御部と、第2の制御部と接続され且つ第1及び第2のインターフェース部を介して音声符号化/復号化部と接続された無線通信回路と、前記無線通信回路に接続されたアンテナとからなる。当該移動通信端末は、前記移動通信端末の状態に関する情報を受信した第1の制御部が、記憶部に記憶された対応関係を参照して、その状態に対応する発光態様で発光するよう発光部に指示を送るように動作する。
【0014】
移動通信端末は、第1の制御部及び音声符号化/復号化部に接続されたVoIPコーデックをさらに含むように構成してもよい。また、発光部は特定の通信事業者を表すマークの形状に形成されてもよい。
【0015】
アンテナ及び無線通信回路を有する無線通信モジュールと着脱可能に接続され、当該無線通信モジュールとともに移動通信端末として動作する装置であり、制御部と、音声入出力部と、制御部及び音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、制御部に接続されたデータ入出力部と、制御部及び音声符号化/復号化部に接続され、無線通信モジュールとの間で符号化された音声信号及びデータ信号を送受信するための第1のインターフェース部と、制御部に接続され、制御部からの指示に応じて少なくとも1つの発光態様で発光する発光部と、制御部に接続され、移動通信端末についての少なくとも1つの状態の各々と少なくとも1つの発光態様の各々との対応関係を記憶する記憶部とからなる。制御部は、移動端通信端末の状態に関する情報を受信すると、記憶部に記憶された対応関係を参照して、その状態に対応する発光態様で発光するよう発光部に指示を送る。
【0016】
当該装置は、制御部及び音声符号化/復号化部に接続されたVoIPコーデックをさらに含むように構成してもよい。また、発光部は特定の通信事業者を表すマークの形状に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、着信音や画面表示に頼ることなく、着呼に関する情報等の端末の状態を第三者に通知することが可能な移動通信端末を提供することができる。具体的には、現在の通話が内線であるのか外線であるのか、発信呼なのか着信呼なのか、累積通話時間や累積通話回数が所定の値を超過していないかどうか、通信の相手方は誰なのか、どのような通話モードを利用して通話が行われているのか、どのような通信インフラを利用して通信が行われているのか、端末の電池残量や受信電界強度が所定値以下となっていないかどうか、あるいは、ハンドオーバ動作が行われているか等についての情報を、発光部からの種々の態様の発光という極めて認識しやすい手段によって、即座に通知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下において本発明の好ましい一実施例を説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。
【0019】
本発明の移動通信端末1の構成を図1に示す。移動通信端末1は、従来の移動通信端末内に組み込まれていた無線通信部分を別個の小型モジュールとして独立させた無線通信モジュール100と、無線通信モジュール100に対応したインターフェースを有する端末200(以下、「ジャケット」又は「本体装置」と呼ぶ)とからなる。無線通信モジュール100とジャケット200は、例えば、ジャケット200に設けられたスロットに着脱可能に挿入して使用される。この場合、無線通信モジュール100を当該スロットに挿入して、無線通信モジュール100のインターフェース部128をジャケット200のインターフェース部218に接続することにより、無線通信モジュール100とジャケット200とは全体として移動通信端末1として機能する。無線通信モジュール100は、アンテナ102、アンテナ・スイッチ104、送信部106及び受信部108、変調部110及び復調部112、時分割多元接続(TDMA)符号化部114及びTDMA復号化部116、ADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ118、モジュール制御部120、ROM122、RAM124、電源126、インターフェース部128からなる。無線通信モジュール100は、通常のPHS通信端末における無線通信部の各構成要素を含んでおり、また、例えばROM122に電話帳等のデータを格納することができるなど、汎用性のある多機能通信モジュールである。
【0020】
ジャケット200は、PCMコーデック202等の音声符号化/復号化部、マイク204及びスピーカ206等の音声入出力部、ジャケット制御部208、キーパッド210及びディスプレイ212等のデータ入出力部、電源213、発光部214、記憶部216及びインターフェース部218からなる。発光部214は、例えばジャケット200の背面等に配置される。発光部214は、例えば、赤色発光ダイオード、青色発光ダイオード及び緑色発光ダイオードを組み合わせて構成され、各発光ダイオードからの出力光を合成することにより、複数の種類の色の光を発光するが、必ずしもこの構成に限定されない。複数の種類の色の光を発光できるような種々の構成を採用することができる。
【0021】
無線通信モジュール100をジャケット200に接続して音声通信を行う場合の移動通信端末1の動作は以下のようになる。
【0022】
ユーザの音声はマイク204を介してPCMコーデック202へ入力されてパルス符号変調される。ここで、ジャケット200のインターフェース部218及び無線通信モジュール100のインターフェース部128は、音声信号の送受信用に使用されるピンとデータ信号の送受信用に使用されるピンとを有している。そして、PCMコーデック202により符号化された音声信号は当該音声用のピンを介して無線通信モジュール100内のADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ118へ入力される。音声用トランスコーダ118の出力信号は、TDMA符号化部114において時分割多元接続(TDMA)用ベースバンド信号に符号変換され、さらに変調部110、送信部106、アンテナ・スイッチ104及びアンテナ102を介して無線伝送される。
【0023】
一方、ユーザによりジャケット200のキーパッド210等の入力装置から入力されたデータはジャケット制御部208へと入力され、さらにインターフェース部218及び128のデータ信号用のピンを介して無線通信モジュール100のモジュール制御部120に入力される。当該データ信号はTDMA符号化部114に入力され、以降は音声信号と同様にして無線伝送される。
【0024】
一方、アンテナ102において受信された信号は、アンテナ・スイッチ104により受信部108へ入力される。この受信信号(例えば、1.9GHz帯)は、受信部108において増幅、周波数変換され、ついで復調部112でTDMAベースバンド信号に復調された後、TDMA復号化部116により復号化される。TDMA復号化部116から出力された音声信号は音声用トランスコーダ118へ入力されてPCM音声信号へ変換される。PCM音声信号は、さらにインターフェース部128及び218の音声信号用のピンを介してジャケット200側のPCMコーデック202に入力され、アナログ信号に変換されてスピーカ206を介して出力される。一方、TDMA復号化部116から出力されたデータ信号は、モジュール制御部120へと入力され、インターフェース部128及び218のデータ信号用のピンを介してジャケット制御部208へ入力され、キーパッド210等を通じてジャケット制御部に伝えられるユーザからの要求に応じてディスプレイ212を介して表示等される。
【0025】
ジャケット200の記憶部216には、移動通信端末1の状態と、各状態における発光部214の発光の態様(例えば、発光色及び点滅の態様)とが対応付けて記憶されている。一例を図2に示す。図2の表はあくまでも一例であり、発光部214を介して通知したい状態の数や発光部214が発行可能な色の数に応じて、これ以外にも様々な組み合わせを採用することが可能である。以下、図2に示す表がジャケット記憶部216に記憶されていると仮定して、本発明の移動通信端末1の特徴的な動作を説明する。しかし、図2の表が無線通信モジュール100のROM122に記憶されていても、本発明の実施は可能である。
【0026】
本実施例においては、移動通信端末1は病院の職員が使用する端末であるとし、病院内での内線電話用の端末としても、また、外線電話用の通常の端末としても使用できるものと仮定する。
【0027】
ユーザが移動通信端末1を使用して電話をかける場合、キーパッド210から入力されたり、あるいは記憶部216から読み出されたりした通信相手の電話番号はジャケット制御部208に送られる。ジャケット制御部208は移動通信端末1の状態を監視しており、読み出された当該電話番号に基づいて、ユーザが内線電話をかけているのか、あるいは外線電話をかけているのかを識別する。一例として、当該病院内から外線電話をかける場合に最初に「0」を入力することが予め取り決められており、記憶部216にその旨の情報が格納されている場合を考える。この場合、ジャケット制御部208は、最初に「0」が入力されたか否かを認識し、記憶部216内の当該情報を参照して、ユーザがかけている電話が外線電話であるのか、それとも内線電話であるのかを認識する。そして、ジャケット制御部208は、記憶部216に格納されている対応表(例えば図2)を参照し、内線電話の場合には、1Hzの点滅周期で青色に発光するよう発光部214に指示を送る。また、外線電話の場合には、点滅することなく青色に発光するよう発光部214に指示を送る。通話が終了すると、ジャケット制御部はこれを認識して、発光を止めるよう発光部214に指示を送る。したがって、通話中のユーザ以外の第三者から見ても、当該ユーザが内線電話をかけているのか外線電話をかけているのかが明確に区別できる。
【0028】
また、移動通信端末1に対して着信があった場合、相手方の電話番号はジャケット制御部208に伝えられ、ジャケット制御部208は、当該電話番号に基づいて、当該着信呼が内線であるのか外線であるのかを識別する。例えば、その電話番号が市外局番を含まない場合、ジャケット制御部208は着信呼が内線であると識別する。もしくは、記憶部216内に病院内の内線電話の番号が予め格納されている場合、ジャケット制御部208は、記憶部216内の当該情報を参照し、格納されている電話番号の中に相手方の電話番号に一致する番号があった場合に、着信呼が内線であると判断する。そして、ジャケット制御部208は、通話中1Hzの点滅周期で青色に発光するよう発光部214に指示を送る。一方、相手方の電話番号が市外局番を含む場合や、記憶部216内に格納されている内線番号リスト内に含まれない場合には、ジャケット制御部208は、着信呼が外線であると識別して、点滅することなく青色に発光するよう発光部214に指示を送る。相手方と移動通信端末1との間の通話接続が設定される前においても、設定された後においても、発光部214を発光させることが可能である。これにより、通話接続前においては、ユーザ及び第三者の双方に対して、移動通信端末1にかかってきた電話が内線であるのか外線であるのかを、発光部214の発光により、着信音によらずに通知することができる。また、通話接続後においては、ユーザ以外の第三者に対して、ユーザが行っている通話が内線と外線のいずれであるのかを通知できる。
【0029】
本発明の移動通信端末1は、通話中に、当該通話が発信呼であるのか着信呼であるのかを識別して発光部214によって外部に通知することもできる。例えば、ユーザがキーパッド210内の発着信キーを押下する等して発信を開始すると、移動通信端末1の状態を監視するジャケット制御部208はこれを認識し、その後の通話が発信呼であると判断する。そして、記憶部216に格納された図2の表を参照して、1Hzの点滅周期で緑色に発光するように発光部214に指示を送る。一方、移動通信端末1に着呼があった場合には、ジャケット制御部208はこれを認識し、その後の通話が着信呼であると判断する。そして、点滅することなく緑色に発光するよう発光部214に指示する。通話の終了を認識すると、ジャケット制御部208は発光を止めるよう発光部214に指示を送る。
【0030】
通話が内線電話であり且つ発信呼であるような場合に関しては、例えば図2に示すように、1Hzの点滅周期での青色の発光(2秒間)と1Hzの点滅周期での緑色の発光(2秒間)とを交互に行うことを予め取り決めておいてもよい。ジャケット制御部208は、現在の通話が内線電話であることと、移動通信端末1からの発信呼であることとを、上記の例のようにして認識することができるので、記憶部216の対応表を参照して、発光部214に発光の指示を送信することができる。これにより、2つの状態を同時に表現することができる。
【0031】
さらに、本発明の移動通信端末1は、予め定められた通話時間や通話回数を超過してユーザが当該端末を使用している場合に、発光部214によりその旨を外部に通知することができる。例えば、ジャケット制御部208は、タイマー219を内蔵し、通話が開始されてから終了するまでの時間をカウントすることができる。この場合、これまでの累積の通話時間と許容される最大限の通話時間とを記憶するように記憶部216を構成してもよい。ジャケット制御部208は、現在の通話に関して新たにカウントされた通話時間の情報を記憶部216に送り、記憶部216に記憶された累積通話時間に加算する。累積通話時間が上記最大限の通話時間を超過すると、ジャケット制御部208は、記憶部216に格納された図2の表を参照して、例えば、1Hzの点滅周期で赤色に発光するように発光部214に指示を送る。またこれと同様の構成、例えば、タイマー219の代わりに図示しないカウンターを備えることにより、累積通話回数が所定の回数を超過した場合に、発光部214を介してその旨を外部に通知することも可能である。ジャケット制御部208は、例えば、点滅することなく赤色で発光するように発光部214に指示を送る。
【0032】
また、本発明の移動通信端末1は、通話の相手方を識別して発光部214によりその情報を外部に通知することができる。例えば、ユーザが移動通信端末1から電話をかけたり、移動通信端末1への電話を受けたりすれば、移動通信端末1の状態を監視するジャケット制御部208は相手方の電話番号を認識して、それを図2の表の内容と照合する。当該電話番号が「相手方1」の電話番号と一致する場合、ジャケット制御部208は、1Hzの点滅周期で黄色で発光するよう発光部214に指示を送る。同様に、「相手方2」の場合は2Hz,「相手方3」の場合は3Hzの点滅周期で黄色で発光するように発行部214に指示を送る。一方、相手方1〜3のいずれにも該当しない場合には、点滅することなく黄色で発光するよう発光部214に指示を送る。相手方1〜3として病院内の重要部署を予め指定しておけば、電話をかけているユーザ以外の周囲の人間も、当該ユーザがそれらの部署に電話しているのか否かを判別することができる。
【0033】
また、記憶部216に格納された対応表において、特定の電子メールアドレスと発光の態様とを関連付けて記憶させておけば、電子メールを受信した際に、当該電子メールの発信者を識別して発光部214によりその情報を外部に通知することも可能である。
【0034】
本発明の移動通信端末1は、通話中に限らず、例えば通話開始前の着信時においても、当該着信に関する情報を発光部214を介して外部に通知することができる。例えば、ジャケット制御部208は、着信呼の相手方の電話番号を認識し、当該着信呼が内線であるか外線であるかを判断する。着信呼が内線である場合、ジャケット制御部208は図2の表を参照し、1Hzの点滅周期で青色に発光するよう発光部214に指示を送る。したがって、ユーザ以外の職員も、移動通信端末1に内線電話がかかってきていることを認識できる。ユーザが移動通信端末1を机の上などに置いたまま少し離れた場所にいる場合でも、他の職員が内線電話の着信に気付いてユーザを呼ぶことができる。外線電話の着信時においては、発光部214は点滅せずに青色で発光するので、第三者はそれが私用の電話であると判断して無視することができる。また、移動通信端末1が従来の移動通信端末と同様にバイブレータ機能を有しており、着信時に振動するように設定されていれば、当該振動と発光部214の発光とにより、着信があったこととその着信の種類とを周囲に明確に通知できるであろう。
【0035】
本発明の移動通信端末1は、発光部214を通じて、現在の通話に使用されている通信インフラに関する情報を外部に通知することができる。例えば、VoIPモードでは、発光部214を白色で1Hzの点滅で表示し、通常使用時では発光部214を白色で点灯し、PHS使用状態では、発光部214を橙色で1Hzの点滅で表示し、無線LAN使用状態では、発光部214を橙色で点灯表示する。これにより、各々の状態における通信インフラに関する情報を外部に通知することができる。
【0036】
また、本発明の移動通信端末1において、ジャケット制御部208は、ジャケット200内の電源213あるいはモジュール内の電源125の残量を随時チェックして、これが記憶部216に予め格納されている所定の値以下となる場合には、1Hzの点滅周期で紫色に発光するよう発光部214に指示を送るように構成することもできる。また、ジャケット制御部208は、アンテナ102において受信される信号の電界強度に関する情報をモジュール制御部120から得て、これが記憶部216に予め格納されている所定の値以下となる場合には、点滅することなく紫色に発光するように発光部214に指示を送るように構成することもできる。これらの機能により、移動通信端末1の充電の状態や電波の受信状態が、ユーザに対してのみならず、その周囲の第三者に対しても明確に通知される。
【0037】
また、移動通信端末1のハンドオーバの際には、発光部214を赤色、青色、黄色を交互に点灯表示する。
【0038】
図1の移動通信端末1の外観の斜視図を図3に示す。図3の左の図は移動通信端末1の正面側の斜視図であり、右の図は背面側の斜視図である。発光部214は背面に配置されている。無線通信モジュール100はスロット220内に挿入される。本発明において、発光部214の形状には特に制限はない。発光部214は、例えば、特定の通信事業者等の企業を表すマークの形状に構成されてもよい。図3において、発光部214は、PHS通信事業者である株式会社ウィルコムのロゴの形状を有している。当該形状を採用し、通話中に発光部214を株式会社ウィルコムのコーポレートカラーである青色に発光させることにより、既に述べた本発明の効果以外に、移動通信端末1がPHS端末であることを第三者に認識させることができるという効果を発揮することができる。医療機関等においては、端末が送受信する電波の電界強度の大きい携帯電話端末の使用が制限されていることが多い。したがって、本発明をPHS端末として実施する場合においては、図3のような構成を採用して、当該端末がPHS端末であることを外部から認識できるようにすることは有用であると考えられる。
【実施例1】
【0039】
本発明の他の実施例として、移動通信端末2の構成を図4に示す。移動通信端末2を構成するジャケット300は、図1のジャケット200に加えて、VoIPコーデック303を有している。移動通信端末2は、音声通信を通常のモードで行うのか、それともVoIPモードで行うのかを、例えばユーザがキーパッド310に設けられた所定のボタンを押すなどすることによって選択できるように構成されている。ユーザが通常のモードを選択して電話をかけると、ユーザの音声は、マイク304を介してPCMコーデック302へ入力されてパルス符号変調される。符号化された音声信号はインターフェース部318及び128の音声用のピンを介して無線通信モジュール100内の音声用トランスコーダ118へ入力される。音声用トランスコーダ118の出力信号は、TDMA符号化部114において時分割多元接続(TDMA)用ベースバンド信号に符号変換され、さらに変調部110、送信部106、アンテナ・スイッチ104及びアンテナ102を介して無線伝送される。
【0040】
一方、ユーザがVoIPモードを選択して電話をかけると、ユーザの音声は、マイク304を介してPCMコーデック302へ入力されてパルス符号変調される。符号化された音声信号は、さらにVoIPコーデック303に入力されてIPパケット化され、ジャケット制御部208に入力される。当該IPパケット化された音声信号は、インターフェース部318及び128のデータ信号用のピンを介して無線通信モジュール100のモジュール制御部120に入力される。当該データ信号はTDMA符号化部114に入力され、以降は通常モードの音声信号と同様にして無線伝送される。
【0041】
ユーザによる通信モード(VoIPモード又は通常モード)の選択に関する指示は、キーパッド310を介するなどしてジャケット制御部308に伝えられるので、ジャケット制御部308は、現在行われている通話の通信モードを把握できる。したがって、ジャケット制御部308は、記憶部316に格納されている対応表(例えば、図2の表)を参照して、VoIPモードの場合には1Hzの点滅周期で白色に発光するように発光部314に指示を送り、通常モードの場合には点滅することなく白色に発光するように発光部314に指示を送ることができる。したがって、移動通信端末2のユーザ以外の第三者も、当該ユーザがいずれの通信モードを利用しているかが容易に判断することができる。VoIPモードでの通話が義務付けられているような場合には、社員が規則に反していないかどうかを容易にチェックできる。
【実施例2】
【0042】
本発明は、図1及び図4に示すような構成の移動通信端末に限らず、一般的な構成の移動通信端末としても実施することができる。このような移動通信端末3の構成を図5に示す。移動通信端末3は、アンテナ402、無線通信回路404、ADPCMトランスコーダ等の音声用トランスコーダ406、PCMコーデック408等の音声符号化/復号化部、制御部410、マイク412及びスピーカ414等の音声入出力部、キーパッド416及びディスプレイ418等のデータ入出力部、電源420、発光部422及び記憶部424からなる。無線通信回路404は、図1のアンテナ・スイッチ104、送信部106及び受信部108、変調部110及び復調部112、及びTDMA符号化部114及びTDMA復号化部116に相当する。
【0043】
移動通信端末3の記憶部424には、移動通信端末3の状態と、各状態における発光部418の発光の態様(例えば、発光色及び点滅の態様)とが対応付けて記憶されている(一例としては図2を参照)。図2の表はあくまでも一例であり、これ以外にも様々な組み合わせを採用できる。
【0044】
移動通信端末3は病院の職員が使用する端末であるとし、病院内での内線電話用の端末、及び外線電話用の通常の端末として使用できるものと仮定する。ユーザが移動通信端末3を使用して電話をかける場合、キーパッド416から入力されたり、あるいは記憶部424から読み出されたりした通信相手の電話番号は制御部410に送られる。制御部410は、当該電話番号に基づいて、ユーザが内線電話をかけているのか、あるいは外線電話をかけているのかを識別する。一例として、当該病院内から外線電話をかける場合に最初に「0」を入力することが予め取り決められており、記憶部424にその旨の情報が格納されている場合を考える。この場合、制御部410は、最初に「0」が入力されたか否かを認識し、記憶部424内の当該情報を参照して、ユーザがかけている電話が外線電話であるのか、それとも内線電話であるのかを認識する。そして、制御部410は、記憶部424に格納されている対応表(例えば図2)を参照し、内線電話の場合には、1Hzの点滅周期で青色に発光するよう発光部422に指示を送る。また、外線電話の場合には、点滅することなく青色に発光するよう発光部422に指示を送る。通話が終了すると、ジャケット制御部はこれを認識して、発光を止めるよう発光部422に指示を送る。したがって、通話中のユーザ以外の第三者から見ても、当該ユーザが内線電話をかけているのか外線電話をかけているのかが明確に区別できる。
【0045】
以上は通話が内線電話であるか外線電話であるのかを外部に通知する機能の説明であるが、図5に示す本発明の移動通信端末3の構成により、上述の移動通信端末1の場合と同様の種々の顕著な効果が得られることは当業者に明らかである。
【実施例3】
【0046】
また、図5の移動通信端末3の構成を変更し、VoIPコーデック508を有するようにした移動通信端末4の構成を図6に示す。移動通信端末4は、音声通信を通常のモードで行うのか、それともVoIPモードで行うのかを、例えばユーザがキーパッド516に設けられた所定のボタンを押すなどすることによって選択できるように構成されている。図6に示す本発明の移動通信端末4の構成により、上述の移動通信端末2の場合と同様の種々の顕著な効果が得られることは当業者に明らかである。
【0047】
以上の各実施例においては、本発明の移動通信端末が、図2の表に記載した各状態を発光部による異なった発光態様によって通知できることを説明した。しかし、同様の構成により、本発明の移動通信端末が、図2に示されていないその他の端末状態についても同様に外部に通知できることは当業者にとって明らかである。また、本明細書においては、本発明をPHS端末として実施した例について詳細に説明した。しかしながら、本発明の技術的思想はPHS端末に限定されるものではない。本発明においては、移動通信端末が、複数の色で発光することが可能な発光部と、移動通信端末の様々な状態(内線/外線、発信/着信等)と発光部の発光態様とを対応付けた表を格納する記憶部とを有しており、移動通信端末の種々の状態に応じて、当該制御部が記憶部内の対応表を参照して発光部に指示を送るように構成されていることを主な特徴としている。したがって、本発明を携帯電話端末として実施した場合においても同様の効果が得られることは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の移動通信端末の一実施例の構成図である。
【図2】移動通信端末の状態と、各状態における発光部の発光の態様との対応表の一例である。
【図3】図1に示す本発明の移動通信端末の外観の斜視図である。
【図4】本発明の移動通信端末の一実施例の構成図である。
【図5】本発明の移動通信端末の一実施例の構成図である。
【図6】本発明の移動通信端末の一実施例の構成図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動通信端末であって、
制御部と、
音声入出力部と、
前記制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、
前記制御部に接続されたデータ入出力部と、
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続された無線通信回路と、
前記無線通信回路に接続されたアンテナと、
前記制御部に接続され、前記制御部からの指示に応じて少なくとも1つの発光態様で発光する発光部と、
前記制御部に接続され、前記移動通信端末についての少なくとも1つの状態の各々と前記少なくとも1つの発光態様の各々との対応関係を記憶する記憶部と
からなり、前記制御部は、前記移動通信端末の状態に関する情報を受信すると、前記記憶部に記憶された対応関係を参照して、該状態に対応する発光態様で発光するよう前記発光部に指示を送る、移動通信端末。
【請求項2】
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続されたVoIPコーデックをさらに含む請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項3】
前記発光部は、特定の通信事業者を表すマークの形状に形成されている請求項1に記載の移動通信端末。
【請求項4】
本体装置と、
前記本体装置に着脱可能に接続され、前記本体装置との間で信号の送受信を行う無線通信モジュールとからなる移動通信端末において、
前記本体装置は、第1の制御部と、音声入出力部と、前記第1の制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、前記第1の制御部に接続されたデータ入出力部と、前記第1の制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続された第1のインターフェース部と、前記第1の制御部に接続され、前記第1の制御部からの指示に応じて少なくとも1つの発光態様で発光する発光部と、前記第1の制御部に接続され、前記移動通信端末についての少なくとも1つの状態の各々と前記少なくとも1つの発光態様の各々との対応関係を記憶する記憶部とからなり、
前記無線通信モジュールは、前記第1のインターフェース部と接続される第2のインターフェース部と、前記第1及び第2のインターフェース部を介して前記第1の制御部と接続された第2の制御部と、前記第2の制御部と接続され且つ前記第1及び第2のインターフェース部を介して前記音声符号化/復号化部と接続された無線通信回路と、前記無線通信回路に接続されたアンテナとからなり、
前記第1の制御部は、前記移動通信端末の状態に関する情報を受信すると、前記記憶部に記憶された対応関係を参照して、該状態に対応する発光態様で発光するよう前記発光部に指示を送る、移動通信端末。
【請求項5】
前記第1の制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続されたVoIPコーデックをさらに含む請求項4に記載の移動通信端末。
【請求項6】
前記発光部は、特定の通信事業者を表すマークの形状に形成されている請求項4に記載の移動通信端末。
【請求項7】
アンテナ及び無線通信回路を有する無線通信モジュールと着脱可能に接続され、前記無線通信モジュールとともに移動通信端末として動作する装置であって、
制御部と、
音声入出力部と、
前記制御部及び前記音声入出力部に接続された音声符号化/復号化部と、
前記制御部に接続されたデータ入出力部と、
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続され、前記無線通信モジュールとの間で符号化された音声信号及びデータ信号を送受信するための第1のインターフェース部と、
前記制御部に接続され、前記制御部からの指示に応じて少なくとも1つの発光態様で発光する発光部と、
前記制御部に接続され、前記移動通信端末についての少なくとも1つの状態の各々と前記少なくとも1つの発光態様の各々との対応関係を記憶する記憶部とからなり、
前記制御部は、前記移動端通信端末の状態に関する情報を受信すると、前記記憶部に記憶された対応関係を参照して、該状態に対応する発光態様で発光するよう前記発光部に指示を送る、装置。
【請求項8】
前記制御部及び前記音声符号化/復号化部に接続されたVoIPコーデックをさらに含む請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記発光部は、特定の通信事業者を表すマークの形状に形成されている請求項7に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−166953(P2008−166953A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352056(P2006−352056)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(304058826)株式会社ウィルコム (56)
【Fターム(参考)】