説明

積層フィルム、並びに該フィルムを用いた延伸フィルム、熱収縮性フィルム、成形品、熱収縮性ラベル、及び該ラベルを装着した容器

【課題】優れた仕上がり性と再生添加後に優れた透明性を有し、かつ層間接着性にも優れた、包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した積層フィルムの提供。
【解決手段】下記(I)層と(II)層との間に(III)層を有する少なくとも3層からなり、 (I)層を主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含有する樹脂組成物、(II)層をポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物、(III)層をポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、前記ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異種材料を積層させた積層フィルムに関し、より詳しくは、透明性及び仕上がり性に優れ、かつ層間で剥離し難い、包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した積層フィルム、並びに該フィルムを用いた延伸フィルム、熱収縮性フィルム、成形品、熱収縮性ラベル、及び該ラベルを装着した容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装材として使用されるフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステルやポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンやナイロンなどのフィルムが広く使用されている。
【0003】
しかし、従来から使用されているこのようなフィルムは、自然環境下で分解しないか、または分解速度が極めて低いため、使用後放置されたり、土中に埋没処理されたりした場合、半永久的に地上や地中に残存することになるという問題があった。また、海洋投棄された場合は、景観を損なったり、海洋生物の生活環境を破壊したりする。さらに、焼却処理した場合、その高い燃焼熱によって、焼却炉の劣化を促進するなど、消費の拡大と共に廃棄物処理が社会問題となっている。
【0004】
一方、ポリ乳酸は自然環境に廃棄された際に分解され、COガス削減効果が期待できるため、フィルムの材料としてポリ乳酸を主成分とするフィルムも開発されている。例えば、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂とを組み合わせた積層フィルムが報告されているが(特許文献1参照)、このフィルムは充填材を35質量%以上80質量%以下の範囲で含有させた外層を有するため、延伸後のフィルムが透明性、機械強度に劣ってしまうという問題点があった。さらに特許文献3に記載のフィルムは、フィルムの表面に多数の微細孔が存在していたため、印刷性、滑り性などに劣り、印刷を施すラベル用途としては不向きであった。
【0005】
他方、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層とポリ乳酸系樹脂を主成分とする層を有する収縮シートも報告されている(特許文献2参照)。しかし、この収縮シートはコンビニエンスストアなどで販売される弁当、惣菜などの収縮包装用フィルムを目的として、インフレーション法により作製されたものであり、低温高収縮性が要求される熱収縮性ラベル用途として用いた場合、十分な低温収縮性を得ることはできないという問題があった。さらに、この収縮シートはポリ乳酸系樹脂層を芯材とし、ポリオレフィン系樹脂層を両外層に有する積層シートであるため、筒状シール製袋を行う場合、シール性や耐溶剤性に劣り、熱収縮性ラベル用途には不向きであるという問題があった。さらに、この収縮シートの耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル可能な樹脂を添加(以下、「再生添加」ともいう。)した場合、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂との界面で光散乱が起こるため、フィルムの透明性が低下し、良好な透明性が得られないという課題もあった。さらに、このフィルムからなるシュリンクラベルを容器に装着すると、高収縮時(例えば、30%以上)において、接着層がフィルムの収縮に追従ないことがあり、中間層と表裏層とが剥離する場合があるといった問題点があった。
【0006】
上記に挙げられる課題を克服するため、異種材料を組み合わせた材料設計においては、両者を相溶させる相溶化剤を用いられることが多い。例えば、特許文献3には、ポリ乳酸と変性オレフィン化合物からなるポリ乳酸樹脂組成物が報告されており、また、特許文献4においても、ポリ乳酸とポリ乳酸以外の脂肪族ポリエステルと変性ポリオレフィン化合物からなるポリ乳酸系樹脂組成物が報告されている。これらは、いずれも、強度、耐衝撃性に優れ、かつ微生物による分解速度を制御することができるものの、相溶化剤として、グリシジル基や無水マレイン酸といった、反応性の極性基を含有する変性オレフィン化合物、並びに、変性ポリオレフィン化合物を用いているため、生産、試作時におけるブツの発生、外観不良、または、生産ラインにおけるろ過装置の目詰まり等の不具合が生じるという課題が残る。さらに、収縮性のあるフィルムとして用いた場合に、接着層がフィルムの収縮に追従ないことがあり、中間層と表裏層とが剥離する場合があるといった課題も未解決であった。
【特許文献1】特開2002−347184号公報
【特許文献2】特開2002−019053号公報
【特許文献3】特開平9−316310号公報
【特許文献4】特開2001−123055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、優れた仕上がり性と再生添加後に優れた透明性とを有し、かつ層間接着性にも優れた、包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した積層フィルムを提供することにある。
【0008】
本発明のもう一つの課題は、包装、収縮結束包装、収縮ラベル等の用途に適した前記フィルムを用いた延伸フィルム、熱収縮性フィルム、成形品、熱収縮ラベル、及び該ラベルを装着した容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、積層フィルムを形成する各層における組成を鋭意検討した結果、上記従来技術の課題を解決し得るフィルムを得ることに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の課題は、下記(I)層と(II)層との間に(III)層を有する少なくとも3層からなる積層フィルム(以下「本発明の積層フィルム」ともいう。)によって解決される。
(I)層:主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含有する樹脂組成物
(II)層: ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物
(III)層:ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、前記ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物
【0010】
本発明の積層フィルムは、前記(II)層、前記(III)層、又は前記(II)層及び(III)層にポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)の相溶化を促進する相溶性樹脂(C)を含有させることができ、その場合、相溶性樹脂(C)は、下記樹脂(c−1)、樹脂(c−2)、及び樹脂(c−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種類であり、かつその含有量を前記(II)層又は前記(III)層を構成する樹脂組成物100質量部に対して1質量部以上30質量部以下である。
樹脂(c−1):エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、及びスチレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれるセグメント(a)と、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるセグメント(b)とを有する共重合体
樹脂(c−2):酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、エチレンとの共重合体
樹脂(c−3):芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加物、又はこれらに極性基を導入した共重合体
【0011】
本発明の積層フィルムは、JIS K7105に準拠したヘーズ値が12%以下であることが好ましい。また、本発明の積層フィルムは、ポリオレフィン系樹脂(B)が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物であることが好ましい。また、本発明の積層フィルムは、(II)層又は(III)層に炭化水素樹脂類を含有させることができる。
【0012】
本発明のもう一つの課題は、本発明の積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してなる延伸フィルム;本発明の積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してなり、80℃の温水中に10秒間浸漬したときのフィルム主収縮方向の熱収縮率が20%以上である熱収縮性フィルム;前記積層フィルム、延伸フィルム、又は熱収縮性フィルムを基材として用いた成形品;熱収縮性ラベル;及び該ラベルを装着した容器によって解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、優れた仕上がり性を有し、再生添加後も優れた透明性が得られ、かつ、層間接着性に優れた、包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した積層フィルムを提供することができる。
【0014】
さらに、本発明によれば、優れた仕上がり性を有し、再生添加後も優れた透明性を有し、かつ層間接着性に優れた延伸フィルム、熱収縮性フィルム、成形品、熱収縮性ラベル、及び該ラベルを装着した容器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、発明の積層フィルム、延伸フィルム、熱収縮性フィルム、成形品、熱収縮性ラベル、及び該ラベルを装着した容器について詳細に説明する。
【0016】
なお、本明細書において、「主成分とする」とは、各層を構成する樹脂の作用−効果を妨げない範囲で、他の成分を含むことを許容とする趣旨である。さらに、この用語は、具体的ない含有量を制限するものではないが、各層の構成成分全体の60質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上であって100質量%以下の含有量を占める成分である。
【0017】
また、本明細書において「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で提供されるものを称し(日本工業規格JISK6900)、「シート」とは、日本工業規格(JIS)における定義上、薄く、通常はその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品を称する。しかし、シートとフィルムの境界は定かではなく、本発明においても文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合、「シート」も含まれるものとする。
【0018】
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、下記(I)層と(II)層との間に(III)層を有する少なくとも3層からなることを特徴とする積層フィルムである。
(I)層:主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含有する樹脂組成物
(II)層:ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物
(III)層:ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、前記ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物
【0019】
<(I)層>
本発明において、(I)層は少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂(A)からなる。ポリ乳酸系樹脂(A)は、D−乳酸若しくはL−乳酸の単独重合体、又はそれらの共重合体であり、これらの混合物も含まれる。より具体的には、構造単位がD−乳酸であるポリ(D−乳酸)、構造単位がL−乳酸であるポリ(L−乳酸)、L−乳酸とD−乳酸との共重合体であるポリ(DL−乳酸)、又はこれらの混合物である。
【0020】
ポリ乳酸系樹脂(A)がD−乳酸とL−乳酸との共重合体である場合、D−乳酸とL−乳酸との共重合比はD−乳酸/L−乳酸=99.8〜75/0.2〜25であるか、又はD−乳酸/L−乳酸=0.2〜25/99.8〜75であることが好ましく、D−乳酸/L−乳酸=99.5〜80/0.5〜20又はD−乳酸/L−乳酸=0.5〜20/99.5〜80であることがさらに好ましい。D−乳酸単独又はL−乳酸単独からなるポリ乳酸は、非常に高い結晶性を示し、融点が高く、耐熱性及び機械的物性に優れる傾向がある。しかしながら、熱収縮性フィルムとして使用する場合は、通常、印刷工程及び溶剤を用いた製袋工程が伴うため、印刷適性及び溶剤シール性を向上させるために構成材料自体の結晶性を適度に下げることが必要となる。また、結晶性が過度に高い場合、延伸時に配向結晶化が進行し、収縮特性が低下する傾向がある。このような観点からは、本発明に用いられるポリ乳酸系樹脂はD−乳酸/L−乳酸=99〜85/1〜15、又はD−乳酸/L−乳酸=1〜15/99〜85の混合物であることが好ましい。
【0021】
ポリ乳酸系樹脂(A)は、異なる共重合比を有するD−乳酸とL−乳酸との共重合体を混合使用することもできる。その場合には、複数の乳酸系重合体のD−乳酸とL−乳酸との共重合比の平均値が上記範囲内に入るようにすればよい。使用用途に合わせて、D−乳酸とL−乳酸との共重合体比の異なるポリ乳酸系樹脂を二種以上混合し、結晶性を調整することにより、耐熱性と熱収縮特性のバランスをとることができる。
【0022】
また、ポリ乳酸系樹脂(A)は、乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸や脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸との共重合体であってもよい。ここで、乳酸系樹脂に共重合される「α−ヒドロキシカルボン酸」としては、乳酸の光学異性体(L−乳酸に対してはD−乳酸、D−乳酸に対してはL−乳酸をそれぞれ指す)、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒロドキシ3−メチル酪酸、2−メチル酪酸、2−ヒドロキシカプロラクトン酸などの2官能脂肪族ヒドロキシ−カルボン酸、及びカプロラクトン、ブチルラクトン、バレロラクトンなどのラクトン類が挙げられる。また、乳酸系樹脂に共重合される「脂肪族ジオール」としては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。また共重合される「脂肪族ジカルボン酸」としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸及びドデカン二酸などが挙げられる。乳酸と、α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、又は脂肪族ジカルボン酸との共重合体の共重合比は乳酸/α−ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、又は脂肪族ジカルボン酸=90/10〜10/90の範囲であることが好ましく、より好ましくは80/20〜20/80であり、さらに好ましくは30/70〜70/30である。共重合比が上記範囲内であれば、剛性、透明性、耐衝撃性などの物性バランスの良好なフィルムを得ることができる。
【0023】
ポリ乳酸系樹脂(A)は、縮合重合法、開環重合法などの公知の重合法により作製することができる。例えば、縮合重合法であれば、D−乳酸、L−乳酸、又はこれらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体であるラクチドを、必要に応じて重合調整剤などを用いながら、所定の触媒の存在下で開環重合することにより任意の組成を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。上記ラクチドには、L−乳酸の二量体であるDL−ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合することにより、任意の組成、結晶性を有するポリ乳酸系樹脂を得ることができる。さらには、分子量増大を目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート化合物、ジエポキシ化合物、酸無水物、酸クロライドなどを使用しても構わない。
【0024】
ポリ乳酸系樹脂(A)の重量(質量)平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、上限が400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。ポリ乳酸系樹脂(A)の重量(質量)平均分子量が20,000以上であれば、適度な樹脂凝集力が得られ、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、ポリ乳酸系樹脂(A)の重量(質量)平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点からは好ましい。
【0025】
ポリ乳酸系樹脂(A)の市販品としては、例えば、商品名「NatureWorks」(NatureWorks社製)、商品名「LACEA」(三井化学社製)、「U’zシリーズ」(トヨタ自動車社製)などが挙げられる。
【0026】
(I)層には耐衝撃性を向上させるために、透明性と柔軟性を損なわない範囲内で、ポリ乳酸系樹脂(A)以外のゴム成分を添加できる。このゴム成分は特に限定されるものではないが、ポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステル、芳香族−脂肪族ポリエステル、ジオールとジカルボン酸と乳酸系樹脂との共重合体やコアシェル構造ゴム、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン− アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(EMA)、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体(EMMA)などを好適に使用できる。
【0027】
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸とを縮合して得られる脂肪族ポリエステルとしては、次に説明する脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸の中からそれぞれ1種類又は2種類以上を選んで縮合するか、あるいは必要に応じてイソシアネート化合物などで分子量をジャンプアップして所望の高分子として得られる重合体を挙げることができる。ここで、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどを挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などを挙げることができる。
【0028】
また、環状ラクトン類を開環縮合した脂肪族ポリエステルとしては、環状モノマーであるε−カプロラクトン、σ−バレロラクトン、β−メチル−σ−バレロラクトンなどの開環重合体を挙げることができる。これらの環状モノマーは一種だけでなく、複数種を選択して共重合することもできる。
【0029】
また、合成系脂肪族ポリエステルとしては、環状酸無水物とオキシラン類との共重合体、例えば、無水コハク酸とエチレンオキサイドとの共重合体、プロピオンオキサイドなどとの共重合体などを挙げることができる。
【0030】
これらポリ乳酸系樹脂(A)以外の脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、コハク酸と1,4−ブタンジオールとアジピン酸とを重合して得られる「ビオノーレ」(昭和高分子社製)を商業的に入手することができる。また、ε−カプロラクトンを開環縮合して得られるものとしては、「セルグリーン」(ダイセル化学工業社製)が挙げられる。
【0031】
次に、芳香族−脂肪族ポリエステルとしては、脂肪族鎖の間に芳香環を導入することによって結晶性を低下させたものを用いることができる。芳香族−脂肪族ポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸と、脂肪族ジカルボン酸と、脂肪族ジオールとを縮合して得られる。
【0032】
ここで、上記芳香族ジカルボン酸としては、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、テレフタル酸が最も好適に用いられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられ、アジピン酸が最も好適に用いられる。なお、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸あるいは脂肪族ジオールは、それぞれ二種類以上を用いてもよい。
【0033】
芳香族脂肪族ポリエステルの代表的なものとしては、テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体、ポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体などが挙げられる。テトラメチレンアジペートとテレフタレートの共重合体としてEasterBio(EastmanChemicals社製)、またポリブチレンアジペートとテレフタレートの共重合体として、Ecoflex(BASF社製)を商業的に入手することができる。
【0034】
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体の構造としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体が挙げられ、いずれの構造でもよい。但し、フィルムの耐衝撃性及び透明性の観点から、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましい。ランダム共重合体の具体例としては「GS−Pla」(三菱化学社製)が挙げられ、ブロック共重合体又はグラフト共重合体の具体例としては「プラメート」(DIC社製)が挙げられる。
【0035】
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体の製造方法は、特に限定されないがジオールとジカルボン酸とを脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールを、ラクチドと開環重合あるいはエステル交換反応させて得る方法が挙げられる。また、ジオールとジカルボン酸とを脱水縮合した構造を持つポリエステルまたはポリエーテルポリオールを、ポリ乳酸系樹脂と脱水−脱グリコール縮合あるいはエステル交換反応させて得る方法がある。
【0036】
ポリ乳酸系樹脂とジオールとジカルボン酸の共重合体は、イソシアネート化合物やカルボン酸無水物を用いて所定の分子量に調整することが可能である。但し、加工性、機械的特性の観点から、重量(質量)平均分子量は50,000以上、好ましくは100,000以上であり、かつ300,000以下、好ましくは250,000以下のものが望ましい。
【0037】
次に、コアシェル構造ゴムとは、(メタ)アクリル酸−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体などのジエン系コアシェル型重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン−アクリロニトリル共重合体などのアクリル系コアシェル型重合体、シリコーン−(メタ)アクリル酸−メチル(メタ)アクリル酸共重合体、シリコーン−(メタ)アクリル酸−アクリロニトリル−スチレン共重合体などのシリコーン系コアシェル型共重合体が挙げられる。この中でもポリ乳酸系樹脂との相溶性が良好であり、フィルムの耐衝撃性、透明性のバランスのとれるシリコーン−(メタ)アクリル酸−メチル(メタ)アクリル酸共重合体がより好適に用いられる。
【0038】
具体的には、「メタブレン」(三菱レイヨン社製)、「カネエース」(カネカ社製)などが商業的に入手できる。
【0039】
上記ゴム成分の添加量は、ポリ乳酸系樹脂(A)100質量部に対し、100質量部以下、好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下であることが望ましい。ゴム成分の添加量を100質量部以下とすることにより、フィルムの剛性と透明性を損なわずに維持することができる。また、ゴム成分の添加量を10質量部以上とすることにより、フィルムに良好な耐衝撃性を付与することができる。
【0040】
さらに(I)層にはフィルムの透明性を向上させる目的で(メタ)アクリル系樹脂を含有させることもできる。ここにいう(メタ)アクリル系樹脂とは、メタクリル酸メチル単独重合体、又はメタクリル酸メチルと他のビニル単量体との共重合体のことをいう。該ビニル単量体としては、例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸、アクリル酸などの不飽和酸類;スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、無水マレイン酸、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、メタクリル酸メチルと他のビニル単量体との共重合体には、ポリブタジエン又はブタジエン/アクリル酸ブチル共重合体、ポリアクリル酸ブチル共重合体などのエラストマー成分や無水グルタル酸単位、グルタルイミド単位をさらに含んでいてもよい。中でも、剛性、成形性の観点から、メタクリル酸メチルの単独重合体であるポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、及びメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸、メタクリル酸から選ばれる2種以上からなる共重合体が好適に用いられる。なお、本明細書ではアクリルとメタクリルを(メタ)アクリルと総称する。
【0041】
上記(メタ)アクリル系樹脂の重量(質量)平均分子量は、20,000以上、好ましくは40,000以上、さらに好ましくは60,000以上であり、上限が400,000以下、好ましくは350,000以下、さらに好ましくは300,000以下である。重量(質量)平均分子量が20,000以上であれば、フィルムの強伸度が不足したり、脆化したりすることを抑えることができる。一方、重量(質量)平均分子量が400,000以下であれば、溶融粘度を下げることができ、製造、生産性向上の観点から好ましい。
【0042】
上記(メタ)アクリル系樹脂の市販品としては、例えば、「スミペックス」(住友化学社製)、「アクリペット」(三菱レイヨン社製)、「パラペット」(クラレ社製)、「アルテュグラス」(アトフィナ−ジャパン社製)、「デルペット」(旭化成社製)などが挙げられる。
【0043】
上記(メタ)アクリル系樹脂のポリ乳酸系樹脂(A)に対する含有量は、質量比でポリ乳酸系樹脂(A)/(メタ)アクリル系樹脂=95/5〜50/50の範囲内とすることが好ましい。(I)層における(メタ)アクリル系樹脂の含有量がポリ乳酸系樹脂(A)と(メタ)アクリル系樹脂の合計の質量に対して5質量%以上であれば、フィルムの収縮特性、収縮仕上がり性、透明性を向上させる効果を十分得ることができる。一方、(メタ)アクリル系樹脂の含有量が両樹脂の合計質量に対して50質量%以下であれば、フィルムの耐衝撃性が顕著に低下せず、低温での延伸性を維持することができ、実用温度域(70〜90℃程度)の熱収縮率を充分に得られる。これらのことから、表裏層における混合樹脂は、前記したポリ乳酸系樹脂(A)と(メタ)アクリル系樹脂とを質量比でポリ乳酸系樹脂(A)/(メタ)アクリル系樹脂=90/10〜60/40の範囲内で混合することがより好ましい。
【0044】
<(II)層>
本発明の積層フィルムの(II)層は、(I)層で記載されているポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有する樹脂組成物であり、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない。(II)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量を(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少なくすること、すなわち、(II)層の主成分をポリオレフィン系樹脂(B)とすることにより、積層フィルムに柔軟性と成形性を付与することができる。
【0045】
オレフィン系樹脂(B)は特に限定されないが、仕上がり、機械的物性及び成形性の観点からは、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物であることが好ましい。ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂は、重合方法や共重合成分などにより多様な種類が存在するため、好ましい種類を以下に示すが、その範囲に限定されるものではない。
【0046】
ポリオレフィン系樹脂(B)がポリエチレン系樹脂である場合、ポリエチレン系樹脂としては、通常、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、及び直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)などが挙げられる。延伸性、フィルムの耐衝撃性、透明性等の観点からは、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)が特に好適に用いられる。
【0047】
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)としては、エチレンと炭素数3から20、好ましくは炭素数4から12のα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等が例示される。中でも1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても構わない。
【0048】
ポリエチレン系樹脂の密度は0.80g/cm3以上、より好ましくは0.85g/cm3以上、さらに好ましくは0.90g/cm3以上であり、かつ0.945g/cm3以下、好ましくは0.935g/cm3以下、さらに好ましくは0.925g/cm3以下の範囲である。密度が0.80g/cm3以上であればフィルム全体の腰(常温での剛性)や耐熱性を著しく低下させないため、実用上好ましい。一方、密度が0.945g/cm3以下であれば、低温での延伸性が維持され、実用温度域(70℃以上90℃以下程度)の熱収縮率が充分得ることができる点で好ましい。
【0049】
また、ポリエチレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:190℃、荷重:21.18N)が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10分以上であり、15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であることが望ましい。ここで、ポリエチレン系樹脂のMFRは均一な厚みのフィルムを得るために(I)層及び(III)層の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
【0050】
ポリオレフィン系樹脂(B)がポリプロピレン系樹脂である場合、ポリプロピレン系樹脂としては、ホモプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチレンジエンゴム等が挙げられる。中でも延伸性、透明性、剛性などの観点からランダムポリプロピレン樹脂が特に好適に使用される。
【0051】
ランダムポリプロピレン樹脂において、プロピレンと共重合させるα−オレフィンとしては、好ましくは炭素数2から20、より好ましくは炭素数4から12のものが挙げられ、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−へキセン、1−へプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンなどを例示できる。本発明においては、延伸性、熱収縮特性、フィルムの耐衝撃性や透明性、剛性等の観点から、α−オレフィンとしてエチレン単位の含有量が2質量%以上10質量%以下のランダムポリプロピレンが特に好適に用いられる。また、共重合するα−オレフィンは1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いても構わない。
【0052】
また、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、特に制限されるものではないが、通常、MFR(JIS K7210、温度:230℃、荷重:21.18N)が、0.5g/10分以上、好ましくは1.0g/10g以上であり、15g/10分以下、好ましくは10g/10分以下であるものが用いられる。ここで、MFRは、均一な厚みのフィルムを得るために(I)層及び(III)層の溶融時の粘度に類似したものを選択することが好ましい。
【0053】
ポリオレフィン系樹脂(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー−ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法等、また、ラジカル開始剤を用いた塊状重合法等が挙げられる。
【0054】
具体的には、ポリエチレン系樹脂として商品名「ノバテックHD、LD、LL」「カーネル」「タフマーA,P」(日本ポリエチ社製)、「サンテックHD,LD」(旭化成ケミカルズ社製)、「HIZEX」「ULTZEX」「EVOLUE」(三井化学社製)、「モアテック」(出光興産社製)、「UBEポリエチレン」「UMERIT」(宇部興産社製)、「NUCポリエチレン」「ナックフレックス」(日本ユニカー社製)、「Engage」(ダウ・ケミカル社製)などが市販されている。またポリプロピレン系樹脂としては、商品名「ノバテックPP」「WINTEC」「タフマーXR」(日本ポリプロ社製)、「三井ポリプロ」(三井化学社製)、「住友ノーブレン」「タフセレン」「エクセレンEPX」(住友化学社製)、「IDEMITSU PP」「IDEMITSUTポリオレフィン」(出光興産社製)、「Adflex」「Adsyl」(サンアロマー社製)、「VERSIFY」(ダウ−ケミカル社製)などが市販されている。これらの共重合体は、各々単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。
【0055】
また、ポリオレフィン系樹脂(B)としては、透明性の観点より結晶化熱量ΔHcが40J/g以下であるポリオレフィン系樹脂も好適に用いることができる。このようなポリオレフィン系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂(A)混合した場合、両樹脂の屈折率差を減少させ、優れた透明性を維持することができる。透明性をより向上させる観点からはポリオレフィン系樹脂(B)の結晶化熱量は30J/g以下であることが好ましく、25J/g以下であることがより好ましく、20J/g以下であることがさらに好ましい。また結晶化熱量が発現しない非結晶性のポリオレフィン系樹脂も好適に用いることができる。
なお、上記結晶化熱量ΔHcは、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することができ、具体的には、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、冷却速度10℃/分で室温まで降温したときの熱量として表わすことができる。
【0056】
結晶化熱量ΔHcが40J/g以下であるポリオレフィン系樹脂(B)としては、柔軟性と透明性の機械的物性や成形性の観点より、前記結晶化熱量ΔHcを有するポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0057】
このようなポリオレフィン系樹脂(B)としては、例えば、ダウ・ケミカル社製の軟質ポリプロピレン(商品名「バーシファイ」)などを挙げることができる。
【0058】
また、本発明において(II)層には、必要に応じて、炭化水素樹脂類を添加してもよい。炭化水素樹脂類をポリオレフィン系樹脂(B)に添加することにより、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂)などの結晶化を抑制し、フィルムの透明性を向上させるほか、低温での延伸性が維持でき、熱収縮特性の向上が期待できる。
【0059】
上記炭化水素樹脂類のうち、石油樹脂としては、シクロペンタジエン又はその二量体からの脂環式石油樹脂やC9成分からの芳香族石油樹脂があり、テルペン樹脂としてはβ−ピネンからのテルペン樹脂やテルペン−フェノール樹脂が、また、ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等が例示できる。該炭化水素樹脂類は、ポリオレフィン系樹脂等に混合した場合に比較的良好な相溶性を示すことが知られているが、色調、熱安定性、及び、相溶性から水素添加誘導体を用いることが好ましい。
【0060】
具体的には、三井化学(株)の商品名「ハイレッツ」、「ペトロジン」、荒川化学工業(株)の商品名「アルコン」、ヤスハラケミカル(株)の商品名「クリアロン」、出光石油化学(株)の商品名「アイマーブ」、トーネックス(株)の商品名「エスコレッツ」等の市販品を用いることができる。
【0061】
上記炭化水素樹脂類は、主に分子量に応じて種々の軟化温度を有するものがあるが、本発明においては、軟化温度が100℃以上150℃以下、好ましくは110℃以上140℃以下のものが好適に用いられる。ここで、軟化温度が100℃以上であれば、ポリオレフィン系樹脂に混合した際に、シート表面にブリードし、ブロッキングを招いたり、シート全体の機械的強度が低下して破れやすくなったりすることがなく、実用的好ましい。一方、150℃以下であれば、ポリオレフィン系樹脂との相溶性が良好に維持され、経時的にフィルム表面にブリードし、ブロッキングや透明性の低下を招いたりすることがなく、好ましい。
【0062】
(II)層に添加する炭化水素樹脂類の混合量は、(II)層を構成する樹脂100質量部に対し、5質量部以上80質量部以下であることが好ましい。ここで、炭化水素樹脂類の混合量が5質量部以上であれば、フィルム表面の光沢度や仕上がり性を向上させる効果が顕著である。一方、前記樹脂の混合量が80質量部以下であれば、経時的に表面にブリードし、フィルム同士がブロッキングしやすくなったり、耐衝撃性が低下したりするなどの問題が発生し難く好ましい。これらのことから(II)層に添加する炭化水素樹脂類の混合量は、(II)層を構成する樹脂100質量部に対し、10質量部以上60質量部以下であることがより好ましい。
【0063】
本発明において、(II)層は(I)層又は(III)層で使用可能なポリ乳酸系樹脂(A)を(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)より少ない含有量で含むことができる。すなわち、(II)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、(II)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)以外の樹脂100質量部に対して、100質量部以下、好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは60質量部以下であり、かつ(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)よりも少ない含有量である。また、下限は特に限定されないが、3質量部以上であることが好ましい。3質量部以上混合すれば、熱収縮フィルムに加工した際に低温収縮率を向上させることができる。一方、混合するポリ乳酸系樹脂(A)を100質量部以下にすることにより、得られる積層フィルムの透明性を維持できる。
【0064】
<(III)層>
本発明の積層フィルムの(III)層は、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物で構成される。それにより、(I)層と(III)層とを接着させると同時に、(III)層と(II)層も接着させることができる。これにより(I)層、(II)層、(III)層を有する積層フィルムを延伸処理し、その後、熱収縮させた場合でも(I)層と(II)層との間での発生し得る層間剥離を抑制することができる。
【0065】
(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少なく、さらに(II)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量よりも多い。すなわち、(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量は、(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)以外の樹脂100質量部に対し、25質量部以上、好ましくは30質量部以上、さらに好ましくは40質量部以上であって、400質量部以下、好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは250質量部以下である。(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量を上記の範囲とすることにより(I)層と(III)層との境界面に、(III)層に含有されるポリ乳酸系樹脂(A)が析出し、(I)層と(III)層の接着を可能すると同時に、(III)層と(II)層との境界面に、(III)層に含有されるポリオレフィン系樹脂(B)が析出し、(III)層と(II)層の接着を可能とすることができ、(I)層、(II)層、(III)層を有する積層フィルムを延伸処理し、その後、熱収縮させた場合でも(I)層と(II)層との間での発生し得る層間剥離を抑制することができるという効果が得られる。
【0066】
(III)層で用いられるポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)の種類は特に限定されないが、(I)層又は(II)層で記載されている少なくとも1種のポリ乳酸系樹脂やポリオレフィン系樹脂を好適に使用できる。
【0067】
<相溶性樹脂(C)>
本発明において、前記(II)層、前記(III)層、又は前記(II)層及び(III)層は、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)との相溶化を促進させる相溶性樹脂(C)を含有することができる。相溶性樹脂(C)としては、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを相溶化させる樹脂であれば特に限定はされないが、下記樹脂(c−1)、樹脂(c−2)、及び樹脂(c−3)からなる群より選ばれる少なくとも1種の共重合体又は樹脂を用いることが好ましい。
樹脂(c−1):エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、及びスチレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれるセグメント(a)と、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるセグメント(b)とを有する共重合体
樹脂(c−2):酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、エチレンとの共重合体
樹脂(c−3):芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加物、又はこれらに極性基を導入した共重合体
【0068】
まず樹脂(c−1)について説明する。樹脂(c−1)は、熱可塑性樹脂セグメント(a)と、ビニル系重合体セグメント(b)とからなるグラフト共重合体である。
【0069】
樹脂(c−1)のセグメント(a)としては、エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれる熱可塑性樹脂セグメントである。これらは単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0070】
エチレン系単独重合体のセグメントとしては、例えば低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等のセグメントが挙げられる。
【0071】
エチレン系共重合体のセグメントとしては、例えばエチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のセグメントが挙げられる。
【0072】
エチレン−α−オレフィン共重合体、及びエチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体におけるエチレン以外のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。これらのα−オレフィンは単独又は2種以上が混合されていてもよい。また非共役ポリエンとしては、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、ジシクロペンタジエン(DCP)、5−ビニル−2−ノルボルネン、ノルボルナジエン、メチルテトラヒドロインデン(以上、環状ジエン)、1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン(以上、鎖状ジエン)、及び、8−メチル−4−エチリデン−1,7−ノナジエン、4−エチリデン−1,7−ウンデカジエン(以上、鎖状トリエン)等が挙げられる。
【0073】
エチレン−α−オレフィン共重合体のセグメントの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体等のセグメントが挙げられる。
【0074】
また、エチレン−α−オレフィン−非共役ポリエン共重合体のセグメントの具体例としては、エチレン−ブテン−非共役ポリエン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体のセグメントが挙げられる。さらに詳しくはエチレン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体、エチレン−プロピレン−ジシクロペンタジエン共重合体のセグメントが挙げられる。
【0075】
エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体のセグメントの具体例としては、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸n−ブチル共重合体、エチレン−アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のセグメントが挙げられる。
【0076】
酸変性オレフィン系共重合体のセグメントの具体例としては、エチレン−ブテン共重合体の酸変性物(無水マレイン酸とマレイン酸による。以下同じ。)、エチレン−プロピレン共重合体の酸変性物、エチレン−ヘキセン共重合体の酸変性物、エチレン−オクテン共重合体の酸変性物、エチレン−ブテン−非共役ポリエン共重合体の酸変性物、エチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体の酸変性物、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合等のセグメントが挙げられる。
【0077】
オレフィン系熱可塑性エラストマーのセグメントの具体例としては、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン共重合体との混合物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン−プロピレン共重合体との混合物又はその架橋物、ポリプロピレンとエチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体の混合物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン−プロピレン−非共役ポリエン共重合体の混合物又はその架橋物、ポリプロピレンとスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加品(SEBS)との混合物又はその架橋物、ポリプロピレンとエチレン−1−オクテン共重合体との混合物又はその架橋物、ポリエチレンとエチレン−1−オクテン共重合体との混合物又はその架橋物等のセグメントが挙げられる。架橋は公知の方法により行われ、その中でも有機過酸化物による架橋が好ましい。
【0078】
スチレン系熱可塑性エラストマーのセグメントの具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)又はその水素添加物(H−SBR)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SBS)又はその水素添加物(SEBS)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SIS)又はその水素添加物(SEPS、HV−SIS)、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)ブロック共重合体、スチレン−(ブタジエン/イソプレン)ランダム共重合体等のセグメントが挙げられる。
【0079】
これらのセグメント(a)の中で、エチレン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマーのセグメントが、機械特性などに優れており、好適に用いられる。さらに樹脂(c−1)と混合した際に、その質量比や溶融粘度等の調整により比較的容易に共連続構造を得ることができ、また機械特性も良好であることから、本発明で用いられる樹脂(c−1)のセグメント(a)としてはエチレン系共重合体のセグメントが好適に用いられ、特には、エチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体やエチレン−酢酸ビニル共重合体のセグメントが最も好適に用いられる。
【0080】
樹脂(c−1)のセグメント(b)としては、少なくとも1種のビニル系重合体からなるセグメントである。ここで、ビニル系重合体からなるセグメントを形成するビニル単量体は、アルキル鎖長の炭素数が1から20の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酸基を有するビニル単量体、ヒドロキシル基を有するビニル単量体、エポキシ基を有するビニル単量体、シアノ基を有するビニル単量体、スチレンより選択される少なくとも1種の単量体である。なお、本明細書ではアクリルとメタクリルを(メタ)アクリルと総称する。
【0081】
さらに具体的にこのビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ) アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ) アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらの中でも、ポリ乳酸系樹脂(B)との相溶性が比較的良好であることから、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリシジルが好ましい。さらに、ポリ乳酸系樹脂(A)と混合した際にその混合比や溶融粘度等の調整により比較的容易に共連続構造を得ることができることから、本発明の樹脂(c−1)のセグメント(b)としては(メタ)アクリル酸メチルが最も好適に用いられる。
【0082】
樹脂(c−1)の共重合体構造は、ブロック共重合体、交互共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体の各種が挙げられるが、構成するセグメント(a)、セグメント(b)が分子鎖末端で結び付けられたブロック共重合体、ランダム共重合体は、セグメント(a)とセグメント(b)が共有結合で結合した状態で、互いに別々の空間に凝集しようとするため、互いに非相溶であるポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)との相界面に局在化し、ポリ乳酸系樹脂(A)相とポリオレフィン系樹脂(B)相との界面活性剤として働き、界面の自由エネルギーを減少させ、界面の厚みを増大させることにより、大きな凝集体の形成を抑えることができるため好ましい。また、中でもグラフト共重合体は、セグメント(a)を幹成分、セグメント(b)を枝成分として有する櫛形構造を持つため、ブロック共重合体と比較し、ポリ乳酸系樹脂(A)相とポリオレフィン系樹脂(B)相との相界面に侵入後も抜けにくく、相界面に固着しやすいため、分散相を安定化する効果が高く好ましい。
【0083】
樹脂(c−1)がグラフト共重合体である場合、セグメント(b)を形成するビニル系重合体の質量平均分子量〔テトラヒドロフラン(THF)中、スチレン換算によるゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)による測定値〕は、通常1,000〜2,000,000、好ましくは5,000〜1,200,000の範囲である。この質量平均分子量が1,000未満であると、グラフト共重合体の耐熱性が低下する傾向があり、質量平均分子量が2,000,000を超えると、グラフト共重合体の溶融粘度が高くなり、成形性が低下する傾向にある。
【0084】
また、樹脂(c−1)のメルトフローレート(MFR)又はメルトインデクス(MI)は、好ましくは0.01〜500g/10分、さらに好ましくは0.1〜300g/10分、最も好ましくは1〜200g/10分である。このMFRはJIS7210に規定された方法に準拠して、樹脂温度230℃、測定荷重21N(2.16kg−f)の条件で測定したものである。MFRが0.01g/10分未満又は500g/10分を超えると、グラフト共重合体とポリ乳酸樹脂との親和性が低下するため好ましくない。
【0085】
樹脂(c−1)は、熱可塑性樹脂セグメント(a)が通常5〜99質量%、好ましくは20〜95質量%からなり、ビニル系重合体セグメント(b)は通常1〜95質量%、好ましくは5〜80質量%である。熱可塑性樹脂セグメント(a)が5質量%未満、又はビニル系重合体セグメント(b)が95質量%を超える場合、ポリ乳酸系樹脂(A)への樹脂(c−1)の分散性が低下し、得られる成形体の外観が低下する傾向にある。逆に、熱可塑性樹脂セグメント(a)が99質量%を超える場合又はビニル系重合体セグメント(b)が1質量%未満の場合、ポリ乳酸系樹脂(A)に対する改良効果が不十分となる傾向にある。このような傾向などに基づいて、熱可塑性樹脂セグメント(a)とビニル系重合体セグメント(b)の割合を調整して、樹脂(c−1)の極性を変更することにより、ポリ乳酸樹脂とグラフト共重合体との相互作用を調整することができる。
【0086】
樹脂(c−1)の製造方法としては、一般に知られている連鎖移動法、電離性放射線照射法等いずれの方法でも良いが、セグメント(a)を構成する重合体中に、セグメント(b)を構成するモノマー(単量体)、特定のラジカル(共)重合性有機過酸化物、特定のラジカル重合開始剤を加え、セグメント(b)単量体をセグメント(a)重合体中で、混練することによりグラフト化反応させる製造方法が簡便で、グラフト効率が高く、熱によるセグメント(b)の二次的凝集が起こらず、樹脂(c−1)をポリ乳酸樹脂(A)と混合しやすくなり、両者の相互作用に優れているため好ましい。
【0087】
樹脂(c−1)の市販品としては、例えば、商品名「モディパー」(日本油脂社製)、「レゼダ」(東亜合成社製)等が挙げられる。
【0088】
次に樹脂(c−2)について説明する。樹脂(c−2)とは、酢酸ビニル、アクリル酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エチル、メチル(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、及び(メタ)アクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種以上とエチレンとの共重合体を指す。樹脂(c−2)を例示すれば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体が挙げられる。中でも、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体などが挙げられ、中でもエチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体を好適に使用できる。
【0089】
樹脂(c−2)は、エチレン単位の含有量が50質量%以上95質量%以下、好ましくは60質量%以上85質量%以下であることが望ましい。エチレン単位の含有量が50質量%以上であれば、フィルム全体の剛性を良好に維持できる。一方、エチレン単位の含有量が95質量%以下であれば、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の相溶化作用を十分に発揮し、透明性、機械的強度の優れたフィルムを得ることができる。
【0090】
樹脂(c−2)の市販品としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体として、商品名「エバフレックス EV40LX」(三井−デュポンポリケミカル社製)、エチレン−アクリル酸共重合体として、商品名「NUCコポリマー」(日本ユニカー社製)、「エバフレックス−EEA」(三井−デュポンポリケミカル社製)、「レクスパールEAA」(日本ポリエチレン社製)、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体として、商品名「エルバロイ」(三井−デュポンポリケミカル社製)、「レクスパールEMA」(日本ポリエチレン社製)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体として、商品名「レクスパールEEA」(日本ポリエチレン社製)、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸共重合体として、商品名「アクリフト」、(住友化学社製)、エチレン−酢酸ビニル−無水マレイン酸三元共重合体として、商品名「ボンダイン」(住友化学社製)、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体、エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸グリシジル三元共重合体として、商品名「ボンドファースト」(住友化学社製)などが挙げられる。
【0091】
次に、樹脂(c−3)について説明する。まず、樹脂(c−3)とは、芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加物、又はこれらに極性基を導入した共重合体である。
【0092】
芳香族系炭化水素としては、スチレンが好適に用いられ、α−メチルスチレン等のスチレン系同族体等も用いることができる。また、共役ジエン系炭化水素としては、1,3−ブタジエン、1,4−ブタジエン、1,2−イソプレン、1,4−イソプレン、1,3−ペンタジエン等が用いられ、これらは水素添加誘導体であってもよい。これらは単独で、又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0093】
上記芳香族系炭化水素と共役ジエン炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体において、芳香族炭化水素の含有量は、共重合体全体の質量を基準(100質量%)として、好ましくは5質量%以上、より好ましくは7質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上であり、かつ、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下である。
【0094】
芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加誘導体としては、スチレン−共役ジエン系共重合体の水素添加誘導体を好ましく用いることができる。スチレン−共役ジエン系共重合体の水素添加誘導体の詳細な内容及びその製造方法については、特開平2−158643号、特開平2−305814号及び、特開平3−72512号の各公報に開示されている。
【0095】
芳香族系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体は、上記例示した各々の共重合体を単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。2種以上を混合して使用する場合には、混合樹脂全体として芳香族炭化水素の含有量が上記の範囲になるように配合比が調整される。
【0096】
芳香族系炭化水素−共役ジエン系炭化水素共重合体の市販品としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体として、商品名「タフプレン」(旭化成ケミカル社製)、商品名「アサフレックス」(旭化成ケミカル社製)、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導体として、商品名「タフテックH」(旭化成ケミカルズ社製)、商品名「クレイトンG」(クレイトンジャパン社製)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加誘導体として、商品名「ダイナロン」(JSR社製)、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加誘導体として、商品名「セプトン」(クラレ社製)、スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体エラストマーとして、商品名「ハイブラー」(クラレ社製)、等が挙げられる。
【0097】
また、上記芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体に極性基を導入したものとしては、無水マレイン酸変性SEBS、無水マレイン酸変性SEPS、エポキシ変性SEBS、エポキシ変性SEPS等が代表的に挙げられる。これらの共重合体は、各々単独に、又は2種以上を混合して使用することができる。無水マレイン酸で酸変性を行う場合には、無水マレイン酸変性量は0.5質量%以上、好ましくは1.0質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、5.0質量%以下、好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下であることが望ましい。無水マレイン酸変性量が上記範囲であれば、ポリオレフィン系樹脂とポリ乳酸系樹脂の相溶化作用を十分に発揮し、透明性、機械的強度の優れたフィルムを得ることができる。
【0098】
具体的には、商品名「タフテックM」(旭化成ケミカルズ社製)、「エポフレンド」(ダイセル化学社製)等が市販されている。
【0099】
(II)層に含有する相溶性樹脂(C)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(B)を主成分する混合樹脂組成物100質量部に対し、1質量部以上、好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、かつ30質量部以下、好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下であることが望ましい。相溶性樹脂(C)の含有量が前記混合樹脂100質量部に対し1質量部以上含まれれば、フィルムに優れた透明性と耐衝撃性を付与できる。一方、相溶性樹脂(C)の含有量を30質量部以下とすることで、フィルムの剛性を維持できる。
【0100】
また(III)層に含有する相溶性樹脂(C)の含有量は、ポリオレフィン系樹脂(B)を主成分する混合樹脂組成物100質量部に対し、1質量部以上、好ましくは2質量部以上、さらに好ましくは3質量部以上であり、かつ50質量部以下、好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは30質量部以下であることが望ましい。相溶性樹脂(C)の含有量が前記混合樹脂100質量部に対し1質量部以上含まれれば、フィルムに優れた透明性と耐衝撃性を付与できる。
【0101】
本発明の積層フィルムは、前記各層のいずれか一層又は二層以上に対して、上述した成分のほか、本発明の効果を著しく阻害しない範囲内で、すなわち添加量として各層を構成する樹脂の総量100質量部に対して0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上であり、かつ10質量部以下、好ましくは5部以下、さらに好ましくは1質量部以下の範囲で、成形加工性、生産性及び熱収縮性フィルムの諸物性を改良・調整する目的で、フィルムの耳などのトリミングロス等から発生するリサイクル樹脂やシリカ、タルク、カオリン、炭酸カルシウム等の無機粒子、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料、難燃剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、溶融粘度改良剤、架橋剤、滑剤、核剤、可塑剤、老化防止剤などの添加剤を適宜添加できる。
【0102】
<フィルムの層構成>
本発明のフィルムは、(I)層と(II)層の間に(III)層を有する少なくとも3層構成のものであれば、層構成は特に限定されるものではない。例として、(I)層/(III)層/(II)層、(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(II)層、(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層、(II)層/(III)層/(I)層/(III)層/(II)層などの構成が挙げられる。中でもより効果的な積層構成としては、(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層である。この層構成を採用することにより、発明の目的である優れた仕上がり性を有し、再生添加後も優れた透明性を有し、かつ、ラベル装着時に剥離することのない、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムを生産性、経済性よく得ることができる。
【0103】
次に、本発明の好適な実施形態の一つである(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層の5層構成のフィルムについて説明する。
【0104】
各層の厚み比は、上述した作用効果を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではない。(I)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は10%以上、好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%であり、前記厚み比の上限は70%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下である。また(II)層のフィルム全体の厚みに対する厚み比は、20%以上、好ましくは25%以上、さらに好ましくは30%以上であり、上限は90%以下、好ましくは85%以下、さらに好ましくは80%以下である。さらに(II)層はその機能から、0.5μm以上、好ましくは0.75μm以上、さらに好ましくは1μm以上であり、上限は6μm以下、好ましくは5μm以下の範囲であることが望ましい。
【0105】
各層の厚み比が上記範囲内であれば、フィルムの腰(常温での剛性)、収縮仕上がり性、再生添加時の透明性に優れ、かつフィルムの層間剥離が抑制された、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムがバランスよく得ることができる。
【0106】
本発明の積層フィルムの総厚みは特に限定されるものではないが、延伸フィルムの場合、透明性、収縮加工性、原料コスト等の観点からは薄い方が好ましい。具体的には延伸後のフィルムの総厚みが90μm以下であり、好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは60μm以下である。また、フィルムの総厚みの下限は特に限定されないが、フィルムのハンドリング性を考慮すると、20μm以上であることが好ましい。
【0107】
本発明の積層フィルムの透明性は、例えば、厚み50μmのフィルムをJIS K7105に準拠して測定した場合、フィルムのヘーズ値は12%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、7%以下であることがさらに好ましい。フィルムのヘーズ値が12%以下であれば、フィルムの透明性が得られ、ディスプレー効果を奏することができる。
【0108】
また、本発明の積層フィルムは、少なくとも1層の印刷層を有しても構わない。印刷層は、前記積層フィルムのどちらか片方の表面に設けられることが好ましい。積層フィルムの場合、加工時の印刷層の追従性や耐溶剤性を向上する観点から、(I)層表面に設けられることが好ましい。印刷層は、特に限定されないが、後述する熱収縮性ラベルの場合などには、容器等に装着する場合に内側(すなわち被着体側)になる側の面に施すと、市場で流通する際の印刷層のはがれや汚れなどがなく好ましい。また、積層フィルムの透明が劣る場合では、装飾性の観点から、外側(すなわち被着体側と反対側)に設けられることが好ましい。さらには、熱収縮性フィルムの両面に設けられていてもよい。
【0109】
前記印刷層は、商品名やイラスト、取扱注意事項等を表示した層であり、グラビア印刷やフレキソ印刷等の慣用の印刷方法により形成することができる。印刷層の形成に用いられる印刷インキは、例えば顔料、バインダー樹脂、溶剤、その他の添加剤等からなる。上記バインダー樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系、ウレタン系、ポリアミド系、塩化ビニル− 酢酸ビニル共重合系、セルロース系、ニトロセルロース系などの樹脂を単独あるいは併用して使用できる。上記顔料としては、酸化チタン(二酸化チタン)等の白顔料、銅フタロシアニンブルー等の藍顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、雲母(マイカ)、その他の着色顔料等が用途に合わせて選択、使用できる。また、顔料として、その他にも、光沢調製などの目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。上記溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒や水などのグラビア、フレキソ印刷インキ等で塗工性やコーティング剤中の各成分の相溶性や分散性を改良する目的で通常用いられるものを使用できる。
【0110】
前記印刷層は、用途などによっても異なり、特に限定されないが、可視光、紫外線、電子線などの活性エネルギー線硬化性の樹脂層であってもよい。活性エネルギー線硬化性の印刷層である場合には、印刷インキには、上記の他に、光ラジカル重合開始剤及び光カチオン重合開始剤などの光重合開始剤や増感剤等を添加することが好ましい。
【0111】
本発明の積層フィルムには、前記(I)層、(II)層、(III)層、及び印刷層の他に、例えば、コーティング層、アンカーコート層、プライマーコート層、接着剤層などを設けることができ、不織布、紙、金属薄膜等の層を必要に応じて設けてもよい。
【0112】
<用途>
本発明の積層フィルムは、延伸することで引張強度、衝撃強度も上昇するので、延伸フィルムとして好適に使用することができる。また、延伸後、熱固定温度を調整することで熱収縮性フィルムとして使用することもできる。その他、各種の成形品にも好適に使用することができる。
【0113】
<熱収縮性フィルム>
本発明の積層フィルムを熱収縮性フィルムとして用いた場合、80℃温水中10秒浸漬したときの熱収縮率が少なくとも一方向において20%以上であることが重要である。
【0114】
これは、ペットボトルの収縮ラベル用途等の比較的短時間(数秒〜十数秒程度)での収縮加工工程への適応性を判断する指標となる。例えば、ペットボトルの収縮ラベル用途に適用される熱収縮性フィルムに要求される必要収縮率はその形状によって様々であるが一般に20%から70%程度迄の範囲である。
【0115】
また、現在ペットボトルのラベル装着用途に工業的に最も多く用いられている収縮加工機としては、収縮加工を行う加熱媒体として水蒸気を用いる蒸気シュリンカーと一般に呼ばれているものである。熱収縮性フィルムは被覆対象物への熱の影響などの点からできるだけ低い温度で十分熱収縮することが必要である。さらに、近年のラベリング工程の高速化に伴い、より低温で素早く収縮する要求が高くなってきた。このような工業生産性も考慮して、前記条件における熱収縮率が20%以上のフィルムであれば、収縮加工時間内に十分に被覆対象物に密着することができるため好ましい。これらのことから、80℃の温水中に10秒浸漬したときの熱収縮率は、少なくとも一方向、通常主収縮方向に20%以上、好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上であり、上限は85%以下、好ましくは80%以下、さらに好ましくは75%以下であることが望ましい。
【0116】
熱収縮性フィルムにおいて、80℃の温水中に10秒浸漬したときの熱収縮率を上記範囲に調整するためには、樹脂の組成を本発明で記載するように調整するとともに、延伸温度を後述する範囲に調整することが好ましい。例えば、熱収縮率をより増加させたい場合には、フィルムを構成するポリオレフィン系樹脂(B)の組成比率を上げる、延伸倍率を高くする、延伸温度を低くする、ポリオレフィン系樹脂(B)を主成分とする(II)層を設ける等の手段を用いるとよい。
【0117】
また、熱収縮性フィルムは、リサイクルされた本発明の積層フィルムを含む場合においても、厚み50μmのフィルムをJIS K7105に準拠して測定した場合におけるフィルムのヘーズ値が12%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは7%以下であることができる。リサイクルされた本発明の積層フィルムを再生添加した後のフィルムのヘーズ値が12%以下であれば、再利用時においても良好な透明性を維持することができる。これにより、本発明のフィルムは、フィルムの製造工程において発生したフィルム両端部(耳)等を原料として再利用でき、かつ得られたフィルムにおける透明性を良好に維持することができる。
【0118】
<積層フィルムの製造方法>
本発明の積層フィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
【0119】
延伸倍率はオーバーラップ用等、二方向に収縮させる用途では、縦方向が2倍以上、好ましくは3倍以上であり、かつ10倍以下、好ましくは6倍以下であり、また横方向が2倍以上、好ましくは3倍以上であり、かつ10倍以下、好ましくは6倍以下である。一方、熱収縮性ラベル用等、主として一方向に収縮させる用途では、主収縮方向に相当する方向が2倍以上10倍以下、好ましくは4倍以上8倍以下、それと直交する方向が1倍以上2倍以下(1倍とは延伸していな場合を指す)、好ましくは1.1倍以上1.5倍以下の、実質的には一軸延伸の範疇にある倍率比を選定することが望ましい。前記範囲内の延伸倍率で延伸した二軸延伸フィルムは、主収縮方向と直交する方向の熱収縮率が大きくなりすぎることはなく、例えば、収縮ラベルとして用いる場合、容器に装着するとき容器の高さ方向にもフィルムが熱収縮する、いわゆる縦引け現象を抑えることができるため好ましい。
【0120】
延伸温度は、用いる樹脂のガラス転移温度や熱収縮性フィルムに要求される特性によって変える必要があるが、本発明のフィルムの場合、概ね50℃以上、好ましくは60℃以上であり、上限が130℃以下、好ましくは110℃以下の範囲で制御することができる。次いで、延伸したフィルムは、必要に応じて、自然収縮率の低減や熱収縮特性の改良等を目的として、50℃以上100℃以下程度の温度で熱処理や弛緩処理を行った後、分子配向が緩和しない時間内に速やかに冷却され、熱収縮性フィルムとなる。
【0121】
また本発明の積層フィルムは、必要に応じてコロナ処理、印刷、コーティング、蒸着等の表面処理や表面加工、さらには、各種溶剤やヒートシールによる製袋加工やミシン目加工などを施すことができる。
【0122】
本発明の積層フィルムは、被包装物によってフラット状から円筒状等に加工して包装に供される。ペットボトル等の円筒状の容器で印刷を要するものの場合、まずロールに巻き取られた広幅のフラットフィルムの一面に必要な画像を印刷し、そしてこれを必要な幅にカットしつつ印刷面が内側になるように折り畳んでセンターシール(シール部の形状はいわゆる封筒貼り)して円筒状とすれば良い。センターシール方法としては、有機溶剤による接着方法、ヒートシールによる方法、接着剤による方法、インパルスシーラーによる方法が考えられる。この中でも、生産性、見栄えの観点から有機溶剤による接着方法が好適に使用される。
【0123】
[成形品、熱収縮性ラベル及び容器]
本発明の積層フィルムや延伸フィルムは、フィルムの仕上がり性、透明性等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用または食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品及び容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
【0124】
本発明の積層フィルムや延伸フィルムは、優れた収縮特性、収縮仕上がり性を有するため、高温に加熱すると変形を生じるようなプラスチック成形品の熱収縮性ラベル素材のほか、熱膨張率や吸水性等が本発明の熱収縮性フィルムとは極めて異なる材質、例えば金属、磁器、ガラス、紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリメタクリル酸エステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を構成素材として用いた包装体(容器)の熱収縮性ラベル素材として好適に利用できる。
【0125】
本発明の積層フィルムや延伸フィルムが利用できるプラスチック包装体を構成する材質としては、前記の樹脂の他、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、スチレン−ブチルアクリレート共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、(メタ)アクリル酸−ブタジエン−スチレン共重合体(MBS)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等を挙げることができる。これらのプラスチック包装体は2種以上の樹脂類の混合物でも、積層体であってもよい。
【実施例】
【0126】
以下に本発明について実施例を用いてさらに詳細に説明する。
なお、実施例に示す測定値及び評価は次のように行った。実施例では、積層フィルムの引き取り(流れ)方向をMD(Machine Direction)または縦方向、その直角方向をTD(Transverse Direction)または横方向と記載する。
【0127】
(1)熱収縮率
得られたフィルムをMD100mm、TD100mmの大きさに切り取り、80℃の温水浴に10秒間それぞれ浸漬させ、その後30秒間23℃の冷水に浸漬させた後の標線間隔(A)を測定し、下式(1)により収縮率を算出した。
収縮率(%)=100×(100−A)/100・・・式(1)
【0128】
(2)ヘーズ値
JIS K7105に準拠してフィルム厚み50μmでフィルムのヘーズ値を測定し、12%超を×、8%超12%以下を○、8%以下を◎として評価した。
【0129】
(3)収縮時の層間接着強度
得られたフィルムをMD165mm×TD235mmの大きさに切り取り、横方向のフィルムの両端を10mm重ねてアセトンとエタノールを体積量で半々混合した溶剤で接着し、円筒状フィルムを作製した。この円筒状フィルムを、容量500ミリリットルの円筒型ペットボトルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3.2m(3ゾーン)の収縮トンネル中を回転させずに、約5秒間で通過させた。各ゾーンでのトンネル内雰囲気温度は、蒸気量を蒸気バルブで調整し、70℃以上90℃以下の範囲とした。ボトル装着時のフィルムの様子を目視により確認し、以下の基準で評価した。
◎:ボトル装着後も層間剥離がない。
○:ボトル装着時、シール部分にわずかに層間剥離が生じる。
×:ボトル装着時、シール部分の全面に層間剥離が生じる。
【0130】
(4)層間剥離強度
得られたフィルムをMD15mm×TD150mmの大きさに切り取り、TD端面の片側の表裏層のみを一部剥離し、剥離した表裏層と被剥離層を引張試験機のチャックにそれぞれ挟み、TD方向に対して、試験速度50mm/minにて180度剥離試験を行った。剥離試験にて得られる荷重がある程度一定となったところの平均値を層間剥離強度として評価した。
【0131】
(5)総合評価
熱収縮率が20%以上であり、ヘーズ値及びシール部の剥離状態がいずれも◎であるものを◎、いずれかに○が含まれているものを○、いずれも○又は◎が含まれていないものを×として総合評価した。
【0132】
(実施例1)
表1に示すように、(I)層を構成する樹脂として、NatureWorks社製ポリ乳酸、商品名「NatureWorks NW4060D」(L体/D体=88/12)(以下、「PLA1」と略称する。)60質量%と、三井化学社製ポリ乳酸、商品名「レイシアH440」(L体/D体=95.75/4.25)(以下、「PLA2」と略称する。)30質量%、DIC社製軟質ポリ乳酸系樹脂、商品名「プラメートPD−150」(以下、「PLA3」と略称する。)10質量%混合した樹脂を用い、(II)層を構成する樹脂として、宇部興産社製直鎖状低密度ポリエチレン、商品名「ユメリット0540F」(以下、「PO1」と略称する。)50質量%、住友化学社製ポリプロピレン、商品名「ノーブレンFH3315」(以下、「PO2」と略称する。)35質量%、及び荒川化学社製水添石油樹脂、商品名「アルコンP125」(以下、「A1」と略称する。)15質量%からなる混合樹脂組成物100質量部に対して、PLA1を6質量部、PLA2を3質量部、PLA3を1質量部、住友化学社製エチレン−アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、商品名「ボンドファースト7M」(以下、「B1」と略称する。)1質量部、JSR社製変性スチレン系樹脂、商品名「ダイナロン8630P」(以下、「B2」と略称する。)1質量部配合し、二軸押出機で混練りし、ペレット化したものを用い、(III)層を構成する樹脂として、PLA1を50質量%、ダウ−ケミカル社製軟質ポリプロピレン、商品名「バーシファイ2400」(以下、「PO3」と略称する。)40質量%、日本油脂社製エチレン−アクリル酸エチル−メタクリル酸メチルグラフト共重合体、商品名「モディパーA5200」(以下、「B3」と略称する。)10質量%混合し、二軸押出機で混練りし、ペレット化したものを用いて、3台の三菱重工業株式会社製単軸押出機から各樹脂を設定温度210℃で溶融混合後、各層の厚みが(I)層/(III)層/(II)層/(III)層/(I)層=30μm/5μm/180μm/5μm/30μmとなるよう3種5層ダイスより共押出し、50℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅300mm、厚さ250μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度75℃で横一軸方向に5.0倍延伸後、84℃にて熱処理を行い、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0133】
(実施例2)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA1を55質量%、PO3を35質量%、B3を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0134】
(実施例3)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA1を60質量%、PO3を30質量%、B3を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0135】
(実施例4)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA1を50質量%、PO3を30質量%、B3を20質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0136】
(実施例5)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、NatureWorks社製ポリ乳酸、商品名「NatureWorks NW4032D」(L体/D体=98.5/1.5)(以下、「PLA4」と略称する。)を50質量%、PO3を40質量%、B3を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0137】
(実施例6)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA4を55質量%、PO3を35質量%、B3を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0138】
(実施例7)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA4を60質量%、PO3を30質量%、B3を10質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0139】
(実施例8)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA1を60質量%、PO3を40質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0140】
(実施例9)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA1を60質量%、PO1を23質量%、PO2を15質量%、B1を1質量%、及びB2を1質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度78℃で横一軸方向に5.0倍延伸後、90℃にて熱処理を行い、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表1に示す。
【0141】
(比較例1)
実施例1における(III)層の構成を取り除き、各層の厚みが(I)層/(II)層/(I)層=30μm/190μm/30μmとなるよう2種3層ダイスより共押出した以外に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度78℃で横一軸方向に5.0倍延伸後、90℃にて熱処理を行い、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
【0142】
(比較例2)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体エラストマー「ハイブラー7125」(クラレ社製、SIS水素添加物;以下「B4」と略称する。)100質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンターにて、予熱温度80℃、延伸温度78℃で横一軸方向に5.0倍延伸後、90℃にて熱処理を行い、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
【0143】
(比較例3)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、B1を100質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
【0144】
(比較例4)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、B2を100質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
【0145】
(参考例1)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA1を50質量%、B3を50質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
【0146】
(参考例2)
実施例1における(III)層で使用される樹脂組成物の構成として、PLA1を50質量%、B1を50質量%に変更した以外は、実施例1と同様の手法により未延伸積層シートを得た。さらにこの未延伸シートを実施例1と同様の手法により延伸し、熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
【0147】
【表1】

【0148】
【表2】

【0149】
表1より実施例1〜9のフィルムは、ヘーズ値、シール部剥離状態、及び層間剥離強度がいずれも良好なフィルムであった。これに対し、比較例1〜4のフィルムは、ヘーズ値、シール部剥離状態、及び層間剥離強度のいずれかが劣っていた(表2参照)。
これより本発明の積層フィルムは、透明性と接着性を両立し得る良好なフィルムであることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(I)層と(II)層との間に(III)層を有する少なくとも3層からなることを特徴とする積層フィルム。
(I)層:主成分としてポリ乳酸系樹脂(A)を含有する樹脂組成物
(II)層:ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(III)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物
(III)層:ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)とを含有し、ポリ乳酸系樹脂(A)の含有量が(I)層に含まれるポリ乳酸系樹脂(A)の含有量より少ない樹脂組成物
【請求項2】
前記(II)層、前記(III)層、又は前記(II)層及び(III)層が、ポリ乳酸系樹脂(A)とポリオレフィン系樹脂(B)の相溶化を促進する相溶性樹脂(C)を含有し、相溶性樹脂(C)が下記樹脂(c−1)、樹脂(c−2)、及び樹脂(c−3)からなる群から選ばれる少なくとも1種類であり、かつその含有量が、前記(II)層又は前記(III)層を構成する樹脂組成物100質量部に対して1質量部以上30質量部以下である請求項1に記載の積層フィルム。
樹脂(c−1):エチレン系単独重合体、エチレン系共重合体、酸変性オレフィン系共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、及びスチレン系熱可塑性エラストマーからなる群から選ばれるセグメント(a)と、少なくとも1種のビニル系単量体から形成されるセグメント(b)とを有する共重合体
樹脂(c−2):酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる少なくとも1種と、エチレンとの共重合体
樹脂(c−3):芳香族系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、芳香族ビニル系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体の水素添加物、又はこれらに極性基を導入した共重合体
【請求項3】
JIS K7105に準拠したヘーズ値が12%以下である請求項2に記載の積層フィルム。
【請求項4】
ポリオレフィン系樹脂(B)が、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、又はこれらの混合物である請求項1から3のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項5】
前記(II)層又は(III)層が炭化水素樹脂類をさらに含有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層フィルム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してなることを特徴とする延伸フィルム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれかに記載の積層フィルムを少なくとも一方向に延伸してなり、80℃の温水中に10秒間浸漬したときのフィルム主収縮方向の熱収縮率が20%以上であることを特徴とする熱収縮性フィルム。
【請求項8】
請求項1から5のいずれかに記載の積層フィルム、請求項6に記載の延伸フィルム、又は請求項7に記載の熱収縮性フィルムを基材として用いた成形品。
【請求項9】
請求項7に記載の熱収縮性フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
【請求項10】
請求項8に記載の成形品、又は請求項9に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。

【公開番号】特開2009−12465(P2009−12465A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−149987(P2008−149987)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】