説明

積層体

【課題】透明性、耐貫通性及び耐衝撃性に優れた合わせガラス用中間膜を簡便に製造する方法を提供すること。
【解決手段】エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレット及び有機過酸化物を含む樹脂組成物を溶融混練後、シート状に成形する工程を含む合わせガラス用中間膜を製造する方法であって、エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレットが、酢酸ビニル含有率が20〜32質量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる顆粒体と、該顆粒体の表面に付着した、酢酸ビニル含有率が20質量%未満10質量以上の範囲にあるエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる微粒子とからなり、且つ微粒子全体の質量が、ペレットに対して10〜200ppmの範囲にあることを特徴とする合わせガラス用中間膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、鉄道車両、ビル、ショーケース等に使用される耐衝撃性、耐貫通性、防犯性等に優れたフィルム強化ガラス等を含む合わせガラスに使用される合わせガラス用中間膜を製造する方法、その方法により得られる合わせガラス用中間膜及び合わせガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車に用いるガラス、特にフロントガラスには、ガラス板の間に透明接着剤層(合わせガラス用中間膜)を挟持させた構造の合わせガラスが使用されている。この中間膜は、例えばPVB膜、EVA膜等から形成され、この透明接着剤層の存在により、合わせガラスの耐貫通性等が向上している。また外部からの衝撃に対し、破損したガラスの破片は中間膜に貼着したままとなるので、その飛散を防止している。このため、例えば自動車の合わせガラスが、盗難や侵入等を目的として破壊されても窓の開放を自由にすることができないため、防犯用ガラスとしても有用である。このような合わせガラスは、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
一方、例えば自動車のドアガラス及び嵌め込みガラスは、一般に事故で破壊されることが少なく、従って上記フロントガラス程の耐貫通性等は必要としないので、僅かに強化された強度の低い1枚のガラス板が使用されている。ところが、このような1枚のガラス板のみを使用した場合、以下のような欠点がある。即ち、(1)耐衝撃性、耐貫通性等の点で合わせガラスに劣る、(2)盗難や侵入等を目的として破壊されると、割れて多数の破片となり、窓の開放を自由に行うことができる、等である。このため、ドアガラス及び嵌め込みガラス等にも、合わせガラスのような特性のガラスを使用することも検討されている。このような用途に適したガラスとして、ガラス板とプラスチックフィルムとを、中間膜を介して接着したフィルム強化ガラスが、例えば特許文献2及び3に記載されている。
【0004】
このような合わせガラスの2枚ガラス板、或いはフィルム強化ガラスのガラス板とプラスチックフィルムとを接着する透明接着剤層は、上述のように、優れた接着性と、耐貫通性が求められている。
【0005】
例えば、透明接着剤層(中間膜)としてEVA膜を用いた合わせガラスは、優れた耐水性、接着性と耐貫通性を得ることができ、広く使用されている。
【0006】
合わせガラスは、特許文献1及び3に記載されているように、例えば、2枚のガラス板に、EVAの中間膜を挟み、これをPET製の袋に入れて真空脱気し、約80℃にて予備圧着し、その後加熱して得られる。またガラス板を用いない場合は、EVAの中間膜とPET樹脂フィルムを積層し、これをゴム袋に入れて真空脱気し、110℃の温度で予備圧着して製造される。
【0007】
上記合わせガラスに使用されるEVA中間膜(透明接着剤層)は、一般的なシートの製造方法に従い製造される。例えば、EVA中間膜は、EVAペレットと有機化酸化物等の混合物を、ミキシングロールに投入し、次いで押出機からシート状に押し出すことにより、或いは複数のロールを有するカレンダロールに上記中間膜形成用組成物を投入し、混練とシート化を連続的に行うことにより、作製される。
【0008】
【特許文献1】特開2002−187746号公報
【特許文献2】特開2002−046217号公報
【特許文献3】特開2002−068785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
透明性の高いEVA中間膜(透明接着剤層)を得るためには、EVAペレットとして、平均酢酸ビニル含有量が高い(一般に30質量%前後)のものを用いることが好ましく、このため酢酸ビニル含有量の高いEVAペレットが主として使用されている。しかしながら、本発明者の検討によると、このような高い平均酢酸ビニル含有量を有するEVAペレットは、長期保管等行った場合は、ペレット同士が接着して塊になりやすい、即ち、ブロッキングを起こしやすいことが判明した。
【0010】
本発明は、透明性、耐貫通性及び耐衝撃性に優れた合わせガラス用中間膜を簡便に製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
また本発明は、容易に製造することができる、透明性、耐貫通性、耐衝撃性に優れた合わせガラスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
高い酢酸ビニル含有量を有するEVAペレットは、上記のようにブロッキングを起こす場合があるため、EVAペレットを原材料として保管中にブロッキングを起こしてホッパーへの投入が困難となることがある。本発明者が検討を重ねたところ、高い酢酸ビニル含有量を有するEVAペレットであっても上記ブロッキングが起こしがたいものを見いだし、本発明に到達した。
【0013】
上記目的は、
エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレット及び有機過酸化物を含む樹脂組成物を溶融混練後、シート状に成形する工程を含む合わせガラス用中間膜を製造する方法であって、
エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレットが、酢酸ビニル含有率が20〜32質量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる顆粒体と、該顆粒体の表面に付着した、酢酸ビニル含有率が20質量%未満10質量以上の範囲にあるエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる微粒子とからなり、且つ微粒子全体の質量が、ペレットに対して10〜200ppmの範囲にあることを特徴とする合わせガラス用中間膜の製造方法;
により達成することができる。
【0014】
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法の好適態様は以下の通りである。
(1)酢酸ビニル含有率が20質量%未満10質量以上の範囲にあるエチレン/酢酸ビニル共重合体の微粒子の平均粒径が、1.0〜50μmの範囲にある。透明性を維持しながら、ブロッキングを有効に防止することができる。
(2)エチレン/酢酸ビニル共重合体の微粒子のエチレン/酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率が10〜18質量%(特に12〜18質量%)である。透明性を維持しながら、ブロッキングを有効に防止することができる。
(3)エチレン/酢酸ビニル共重合体の微粒子全体の質量が、ペレットに対して10〜100ppmの範囲の範囲にある。透明性を維持しながら、ブロッキングを有効に防止することができる。
(4)エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレットの平均粒径が、2.0〜10mmの範囲(特に、3.0〜6.0mmの範囲)にある。ブロッキングを有効に防止することができる。
(5)エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレットが、酢酸ビニル含有率が23〜32質量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる。透明性を維持することができる。
(6)有機過酸化物を、エチレン/酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.05〜5.0質量部(特に0.5〜3.0質量部)使用する。透明性を維持しながら、硬化性を保持することができる。
【0015】
さらに本発明は、
上記の製造方法により得られた合わせガラス用中間膜にもある。
【0016】
また本発明は、エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレット及び有機過酸化物を含む樹脂組成物から得られるガラス用中間膜であって、
エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレットが、酢酸ビニル含有率が20〜32質量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる顆粒体と、該顆粒体の表面に付着した、酢酸ビニル含有率が20質量%未満10質量以上の範囲にあるエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる微粒子とからなり、且つ微粒子全体の質量が、ペレットに対して10〜200ppmの範囲にあることを特徴とする合わせガラス用中間膜にもある。
【0017】
上記中間膜には、前記の製造方法の好適態様を適用することができる。
【0018】
さらにまた本発明は、
前記の製造方法により得られた合わせガラス用中間膜又は上記合わせガラス用中間膜を、2枚の透明基板の間に狭持して、架橋一体化されてなる合わせガラス
にもある。
【0019】
本発明の合わせガラスの好適態様は以下の通りである。
(1)2枚の透明基板が共にガラス板である。これにより、一般の合わせガラスを構成する。
(2)2枚の透明基板の一方がガラス板で、他方がプラスチックフィルムである。一般にフィルム強化(合わせ)ガラスを構成する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法によれば、透明性、耐貫通性及び耐衝撃性に優れた合わせガラス用中間膜を簡便に製造することができる。即ち、本発明では、中間膜の原材料であるEVAペレットとして、表面に酢酸ビニル含有量の低いEVAの微粒子がごくわずか付着したペレットを用いており、これによりペレット間のブロッキングを防止すると共に、得られる中間膜の透明性の低下も防止している。従って、本発明の製造方法により、透明性の高いEVA中間膜を簡便に製造することが可能である。
【0021】
従って、上記製造方法により得られる中間膜を用いた合わせガラスも透明性等の特性が高いものであるということができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は、基本的に、エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレット及び有機過酸化物を含む中間膜形成用の樹脂組成物を溶融混練した後、シート状に成形することによって実施される。
【0023】
本発明では、上記エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)ペレットとして、酢酸ビニル含有率が20〜32質量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる顆粒体と、該顆粒体の表面に付着した、酢酸ビニル含有率が20質量%未満10質量以上の範囲にあるエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる微粒子とからなり、且つ微粒子全体の質量が、ペレットに対して10〜200ppmの範囲にあるペレットを使用している。
【0024】
上記EVAペレットの1例の概略断面図を図1に示す。EVAペレット10は、ペレットのコア部である顆粒体11及びその表面に付着した微粒子12から構成されている。図では、微粒子は数えられる程度描かれているが、実際は粒径が極めて小さいため、厚さ方向及び平面方向に無数に存在している。微粒子12はEVAペレットの表面を極めて少ない量ではあるが、相互に接触して膜状に覆っている。即ち、顆粒体11と微粒子12全体とから構成されるEVAペレットに対する微粒子全体の質量割合は、10〜200ppmの範囲にあり、従って微粒子の膜は極めて薄いものである。そして、微粒子12を構成するEVAは、酢酸ビニル含有率が20質量%未満10質量以上であり、EVAペレットの大部分である顆粒体11を構成するEVAは、酢酸ビニル含有率が20〜32質量%である。
【0025】
この微粒子12は平均酢酸ビニル含有率の低いEVAを主成分としているが、このような酢酸ビニル含有率の低いEVAは、粘着性がほとんどなく、本発明のEVAペレットはこのような微粒子を極めて薄い層状で有しているので、ペレット同士のブロッキングがほとんど起こらなくなっていると考えられる。そして、本発明の方法で使用されるペレットは、透明性を維持するために、微粒子全体をEVAペレットに対して10〜200ppm(特に10〜100ppm)の量でしか有していない。この範囲より大きい場合は、得られる中間膜の透明性が低下しやすく、この範囲より小さい場合は、ブロッキング防止効果が得られない。このような微粒子12は、酢酸ビニル含有率の低いEVAの連続層であっても良い。また前記エチレン/酢酸ビニル共重合体の微粒子のエチレン/酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率は、20質量%未満10質量以上の範囲であり、10〜18質量%(特に12〜18質量%)であることが好ましい。20質量%以上になるとブロッキング防止効果が十分でなく、10質量%未満では透明性の維持が十分得られなくなる。
上記本発明のEVAペレットは、例えば、顆粒状のEVAを微粒子状のEVAと混合し、顆粒状のEVAに付着しなかった微粒子状のEVAを除去することにより得られる。
【0026】
尚、上記酢酸ビニル含有率、例えばそれが20質量%未満10質量以上であるとは、酢酸ビニルの各分子は、20質量%未満10質量以上のものも、この範囲以外のものも存在するが、その平均の値が、20質量%未満10質量以上の範囲であることを意味している。「酢酸ビニル含有率が20〜32質量%」も同様である。このような酢酸ビニル含有率の測定はJIS−K−6924−2(1997年)に準拠して行われる。
【0027】
本発明の製造方法は、まず本発明のエチレン/酢酸ビニル共重合体ペレット及び有機過酸化物を含む中間膜形成用の樹脂組成物を溶融混練し、その後シート状に成形することにより行われる。例えば、ホッパー等の原料供給部から樹脂組成物を、ミキシングロールに投入して溶融混練し、次いで押出機からシート状に押し出すことにより、又はプレス加工することにより、シート状に成形して中間膜を得ることができる。或いは複数のロールを有するカレンダロールに上記樹脂組成物を投入し、溶融混練とシート化を連続的に行うことにより、シート状に成形して、中間膜を得ることができる。他の方法として、ホッパー等の原料供給部から樹脂組成物を、混練押出機(例、2軸スクリュー押出機)に投入して溶融混練し、その後シート状に押し出すことにより得ることができる。溶融温度は、酢酸ビニル含有量にもよるが、一般に60〜100℃、特に70〜90℃が好ましく、成形又は押出温度は一般に70〜110℃、特に80〜100℃が好ましい。
【0028】
本発明では、原料供給部に投入されるエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)ペレットは、上記に規定された表面に酢酸ビニル含有率の低いEVA微粒子を有するものである。このようなEVAペレットを用いることにより、原料供給部において、EVAペレットのブロッキングの発生がほとんどないため、EVAペレットの供給を円滑に行うことができ、従ってEVAシートも円滑に製造することができる。また、本発明のEVAペレットは、倉庫等に保管中においてもブロックングをほとんど起こさないため、EVAペレットを原料供給部に移すときも円滑に行うことができるとの利点を有する。そしてEVAペレットとしては、比較的高い酢酸ビニル含有率を有することから、得られる中間膜は高い透明性を示す。
【0029】
本発明の製造方法に用いられる中間膜形成用の樹脂組成物は、エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレット、有機過酸化物、必要により架橋助剤、紫外線吸収剤、接着向上剤、可塑剤等の種々の添加剤、を含んでいる。
【0030】
エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)ペレットが、酢酸ビニル含有率が20〜32質量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる顆粒体と、該顆粒体の表面に付着した、酢酸ビニル含有率が20質量%未満10質量以上の範囲にあるエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる微粒子とからなり、且つ微粒子全体が、ペレットに対して10〜200ppmの量で存在しているペレットである。
【0031】
EVAペレットの顆粒体を構成するEVAの酢酸ビニル含有率は20〜32質量%であり、23〜32質量%が好ましい。この酢酸ビニル含有率が、20質量%未満であると、高温で架橋硬化させる場合に得られる樹脂の透明度が充分でなく、逆に32質量%を超えると防犯用ガラスにした場合の耐衝撃性、耐貫通性が不足する傾向となる。またEVAのメルト・フロー・インデックス(MFR)が、1.5〜30.0g/10分、特に8.0〜18.0g/10分であることが好ましい。圧着が容易になる。
【0032】
また上記EVAペレットにおける微粒子を構成するエチレン/酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有率は、10〜18質量%、特に12〜18質量%であることが好ましい。この範囲未満の場合、透明性が低下しやすく、この範囲超の場合、ブロッキングを有効に防止することが困難となる。
【0033】
さらに本発明のEVAペレットは、上記微粒子全体を、質量で10〜200ppmの範囲で含み、特に10〜100ppmの範囲で含むことが好ましい。この範囲超の場合、透明性が低下しやすく、この範囲未満の場合、ブロッキングを有効に防止することが困難となり易い。
【0034】
本発明のEVAペレット(顆粒体にほぼ等しい)の平均粒径が、2.0〜10.0mmの範囲(特に、3.0〜6.0mmの範囲)にあることが好ましい。この範囲未満の場合、ブロッキングを有効に防止することが困難となる場合があり、この範囲超の場合、取扱いが困難となり易い。EVAペレットの形状は、一般に球状、円筒状、半球状等である。
【0035】
本発明のEVAペレットの微粒子の平均粒径が、1〜50μmの範囲(特に、1〜15μmの範囲)にあることが好ましい。この範囲未満の場合、ブロッキングを有効に防止することが困難となる場合があり、この範囲超の場合もブロッキング防止が低下し易い。
【0036】
本発明の中間膜樹脂組成物は、上記のように、EVAに、有機過酸化物、必要に応じて架橋助剤、紫外線吸収剤、接着向上剤、可塑剤等の種々の添加剤を含有することができる。
【0037】
本発明では、有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも併用することもできる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
【0038】
この有機過酸化物の例としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロロヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、コハク酸パーオキサイド、アセチルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレーオ、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びt−ブチル−パーオキソイソプロピルモノカーボネートを挙げることができる。
【0039】
EVA層は、膜の種々の物性(機械的強度、接着性、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整、特に機械的強度の改良のため、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物を含んでいることが好ましい。
【0040】
使用するアクリロキシ基含有化合物及びメタクリロキシ基含有化合物としては、一般にアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体であり、例えばアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルやアミドを挙げることができる。エステル残基の例としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリル等の直鎖状のアルキル基、シクロヘキシル基、テトラヒドルフルフリル基、アミノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−クロロ−2−ヒドロキシプオピル基を挙げることができる。また、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールとアクリル酸あるいはメタクリル酸のエステルも挙げることができる。
【0041】
アミドの例としては、ジアセトンアクリルアミドを挙げることができる。
【0042】
多官能化合物(架橋助剤)としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等に複数のアクリル酸あるいはメタクリル酸をエステル化したエステル、さらにトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のアリル化合物を挙げることができる。
【0043】
エポキシ含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノール(エチレンオキシ)5グリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテルを挙げることができる。
【0044】
本発明では、上記EVA層とガラス板又はプラスチックフィルムとの接着力をさらに高めるために、接着向上剤として、シランカップリング剤を添加することができる。
【0045】
このシランカップリング剤の例として、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。また上記化合物の含有量は、EVA100質量部に対して5質量部以下であることが好ましい。
【0046】
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物及び、ヒンダードアミン系化合物を挙げることができる。黄変を抑制する観点から、ベンゾフェノン系化合物が好ましい。上記ベンゾフェノン系化合物の好ましい例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン、2,2’、4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンを挙げることができ、特に2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンが好ましい。
【0047】
上記紫外線吸収剤を、EVA100質量部に対して0.05〜5.0質量部(特に0.5〜3.0質量部)使用することが好ましい。
【0048】
前記可塑剤としては、特に限定されるものではないが、一般に多塩基酸のエステル、多価アルコールのエステルが使用される。その例としては、ジオクチルフタレート、ジヘキシルアジペート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート、ブチルセバケート、テトラエチレングリコールジヘプタノエート、トリエチレングリコールジペラルゴネートを挙げることができる。可塑剤は一種用いてもよく、二種以上組み合わせて使用しても良い。可塑剤の含有量は、EVA100質量部に対して5質量部以下の範囲が好ましい。
【0049】
本発明の中間膜は、上記EVA層のみでも良いが、EVA 層と下記のPVB層と複合膜であっても良い。またEVA層が下記のPVB等の他の樹脂成分を副次的(一般に、EVAに対して100質量%未満)に含んでいても良い。
【0050】
上記EVA 層に含まれる、或いはPVB層を構成する、PVB樹脂組成物は、一般に、PVB樹脂、可塑剤、紫外線吸収剤等を含んでいる。PVB樹脂として、ポリビニルアセタール単位が70〜95重量%、ポリ酢酸ビニル単位が1〜15重量%で、平均重合度が200〜3000、特に300〜2500であるものが好ましい。
【0051】
PVB樹脂組成物の可塑剤としては、一塩基酸エステル、多塩基酸エステル等の有機系可塑剤や燐酸系可塑剤を挙げることができる。
【0052】
一塩基酸エステルとしては、酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプタン酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の有機酸とトリエチレングリコールとの反応によって得られるエステルが好ましく、特に、トリエチレン−ジ−2−エチルブチレート、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキソエート、トリエチレングリコール−ジ−カプロネート、トリエチレングリコール−ジ−n−オクトエートが好ましい。なお、上記有機酸とテトラエチレングリコール又はトリプロピレングリコールとのエステルも使用することができる。
【0053】
多塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸等の有機酸と炭素原子数4〜8個の直鎖状又は分岐状アルコールとのエステルが好ましく、特に、ジブチルセバケート、ジオクチルアゼレート、ジブチルカルビトールアジペートが好ましい。
【0054】
燐酸系可塑剤としては、トリブトキシエチルフォスフェート、イソデシルフェニルフォスフェート、トリイソプロピルフォスフェート等が好ましい。
【0055】
PVB樹脂組成物において、可塑剤の量が少ないと成膜性が低下し、多すぎると耐熱時の耐久性等が損なわれるため、ポリビニルブチラール樹脂100質量部に対して可塑剤を一般に5〜50質量部、特に10〜40質量部含むことが好ましい。
【0056】
本発明のPVB樹脂組成物は、紫外線吸収剤(UV吸収剤)として、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物及び、ヒンダードアミン系化合物等を使用することができる。ベンゾフェノン系化合物が、黄変性が抑制され好ましい。
【0057】
上記ベンゾフェノン系化合物の好ましい例としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン、2,2’、4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンを挙げることができ、特に2−ヒドロキシ−4−n−オクチルベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンが好ましい。
【0058】
PVB層においては、上記紫外線吸収剤を、PVB100質量部に対して0.01〜3.0質量部(特に0.1〜2.0質量部)使用することが好ましい。
【0059】
さらにPVB樹脂組成物は、脂肪酸のアルカリ又はアルカリ土類金属塩(一般に接着力調整剤として使用)を含んでも良い。
【0060】
上記脂肪酸のアルカリ土類金属塩の例としては、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、オクチル酸マグネシウム、ギ酸カルシウム、酢酸カルシウム、乳酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、オクチル酸カルシウム、ギ酸バリウム、酢酸バリウム、乳酸バリウム、ステアリン酸バリウム、オクチル酸バリウム等;また脂肪酸のアルカリ金属塩の例としては、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、乳酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オクチル酸カリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オクチル酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0061】
PVB樹脂組成物には、更に劣化防止のために、安定剤、酸化防止剤等の添加剤が添加されていても良い。
【0062】
本発明のEVA層は、例えば、上記EVA、有機過酸化物、紫外線吸収剤等を含む組成物を、前記のように、押出成形、カレンダ成形(カレンダリング)等により成形して層状物を得る方法により製造することができる。またPVB層も、上記と同様に、例えば、上記PVB、紫外線吸収剤等を含む組成物を、通常の押出成形、カレンダ成形(カレンダリング)等により成形して層状物を得る方法により製造することができる。
【0063】
本発明の積層体として、合わせガラスを製造するには、例えば、まず、EVA樹脂フィルムを成膜し、ガラス板の間に介在させ、この積層体を脱気した後、加熱下に押圧して接着一体化すれば良い。このような積層体は、例えば、真空袋方式、ニップロール方式で得ることができる。このような積層は、EVA層が軟質であるためニップロール方式で圧着することにより行うことができ、積層体の製造が容易となる。ニップロールの温度が70〜130℃であることが好ましい。
【0064】
或いは、加熱下の押圧で、上記積層体(合わせガラス)を製造する際、EVA層を一般に100〜150℃(特に130℃付近)で、10分〜1時間架橋させることが好ましい。このような架橋は、積層体を製造する際、ガラス板の間に挟持された状態で、脱気したのち、例えば80〜120℃の温度で予備圧着し、100〜150℃(特に130℃付近)で、10分〜1時間加熱処理することにより行われる。架橋後の冷却は一般に室温で行われるが、特に、冷却は速いほど好ましい。
【0065】
上記のようにして得られる本発明の合わせガラスの実施の形態の1例の断面図を図2に示す。
【0066】
図2の合わせガラス20は、2枚のガラス板21A,21Bを中間膜であるEVA層22で接着一体化されたものである。EVA層22は、本発明の中間膜を用いて製造されるEVA層である。このEVA層は、EVA層とPVB層の2層積層膜、EVA層/PVB層/EVA層の3層積層膜、PVB層/EVA層/PVB層の3層積層膜等、さらにEVA層とPVB層とが交互に所望回数積層された層、であっても良い。
【0067】
上記図2において、ガラス板の一方は、透明プラスチックフィルムでも良い。その場合、フィルム強化ガラスと呼ばれる場合もある。或いはガラス板の両方とも、透明プラスチックフィルムでも良い。
【0068】
本発明の合わせガラスは、ガラス板の1方がプラスチックフルムの場合(フィルム強化ガラス)、耐衝撃性、耐貫通性、透明性等において適度な性能を有するように設計することもでき、このため、例えば各種車体、ビル等に装備される窓ガラス等のガラス、又はショーケース、ショーウィンドー等のガラスに使用することができる。共にガラス板の場合は、特に優れた耐衝撃性、向上した耐貫通性を示すように設計することができ、合わせガラスを含む種々な用途に使用することができる。
【0069】
本発明で使用されるガラス板は、通常珪酸塩ガラスである。ガラス板厚は、フィルム強化ガラスの場合、それを設置する場所等により異なる。例えば、自動車のサイドガラス及び嵌め込みガラスに使用する場合、フロントガラスのように厚くする必要はなく、0.1〜10mmが一般的であり、0.3〜5mmが好ましい。前記1枚のガラス板1は、化学的に、或いは熱的に強化させたものである。
【0070】
自動車のフロントガラス等に適当な両方がガラス板である合わせガラスの場合は、ガラス板の厚さは、0.5〜10mmが一般的であり、1〜8mmが好ましい。
【0071】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記のようにEVA層とPVB層を、それぞれ少なくとも1層有する膜である。
【0072】
前述のように、本発明の合わせガラスの一方のガラス板をプラスチックフィルムとしてフィルム強化ガラスとしても良く、その際使用されるプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンアフタレート(PEN)フィルム、ポリエチレンブチレートフィルムを挙げることができ、PETフィルムが好ましい。
【0073】
プラスチックフィルムの表面にハードコート層を形成する場合、そのために使用される樹脂としては、紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂が使用される。ハードコート層の層厚は、一般に1〜50μm、好ましくは3〜20μmの範囲である。
【0074】
紫外線硬化性樹脂としては、公知の紫外線硬化性樹脂を使用することができ、その他ハードコート処理に適した低分子量且つ多官能な樹脂であれば、特に限定されるものではない。この紫外線硬化性樹脂は、例えばエチレン性二重結合を複数有するウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー又はエポキシオリゴマー等のオリゴマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETA)、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPEHA)等の一官能又は多官能オリゴマー、樹脂は、反応性稀釈剤、光重合開始剤から一般に構成される。さらに種々の添加剤を含有させることができる。反応性稀釈剤としては、前記透明接着剤層で使用されたアクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物及び/又はエポキシ基含有化合物を用いることができ、光重合開始剤としても、前記透明接着剤層で使用された化合物を使用することができる。
【0075】
オリゴマー、反応性稀釈剤及び開始剤は、それぞれ一種用いても良く、二種以上組み合わせて用いてもよい。反応性稀釈剤の含有量は、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部が一般的であり、0.5〜5質量部が好ましい。光重合開始剤の含有量は、紫外線硬化性樹脂100質量部に対して5質量部以下が好ましい。
【0076】
熱硬化性樹脂としては、反応性アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等を利用することができ。前記紫外線硬化性樹脂も使用することもできる。
【0077】
紫外線硬化性樹脂を用いてハードコート層を形成する場合、紫外線硬化性樹脂をそのまま、又は有機溶剤で適当な濃度に稀釈して、得られた溶液を適当な塗布機(コーター)で適当なフィルム上に塗布し、必要により乾燥した後、直接又は剥離シートを介して(真空脱気後)UVランプにて紫外線を数秒〜数分間照射し、ハードコート層を形成することができる。UVランプとしては、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ等使用することができる。
【0078】
熱硬化性樹脂を用いてハードコート層を形成する場合、熱硬化性樹脂の有機溶剤溶液を、適当な塗布機(コーター)で適当なフィルム上に塗布し、必要により剥離シートを設け、ラミネータ等にて脱気後、熱硬化、熱圧着を行う。剥離シートを用いない場合は、加熱、圧着前に、60秒程度乾燥して塗布層の溶剤を蒸発させ表面が粘着しない程度に乾燥させることが好ましい。剥離シートを使用する場合も、少し乾燥して剥離シートを設けることが好ましい。
【0079】
本発明で得られる合わせガラスのガラス板の表面には、金属及び/又は金属酸化物からなる透明の導電層を設けても良い。
【0080】
上記のようにして得られた積層体の側面には、バリヤ層を形成しても良い。バリヤ層の層厚は、一般に0.1〜20μm、1〜10μmが好ましい。
【0081】
こうして得られた合わせガラス(ガラス積層体)は、以下のような用途に使用することができる。即ち、自動車の嵌め込みガラス、サイドガラス及びリヤガラス、鉄道車両、例えば普通車両、急行車両、特急車両及び寝台車両等の乗客出入り用開閉ドアの扉ガラス、窓ガラス及び室内ドアガラス、ビル等の建物における窓ガラス及び室内ドアガラス等、室内展示用ショーケース及びショーウィンドー等である。好ましくは自動車のサイド又はリヤガラス、鉄道車両の窓ガラス、特に自動車のドアガラスに有用である。
【0082】
以下に実施例を示し、本発明ついてさらに詳述する。
【実施例】
【0083】
[実施例1]
4個のロールからなるカレンダロールの最初のロールに、EVA中間膜形成用配合の材料を投入し、溶融混練しながら、シート状に成形した。4個のロールの温度は、80℃、加工速度は5m/分であった。
(EVA中間膜形成用樹脂組成物配合(質量部))
EVA樹脂ペレット: 100
(商品名:ウルトラセン710、東ソー(株)製;
ペレットの形状円筒形、平均粒径4.0mm;
顆粒体部分の酢酸ビニル含有量28重量%;
微粒子(平均粒径:3.0μm)の酢酸ビニル含有量16重量%、
微粒子全体のペレットの対する割合50ppm)
架橋剤: 2.0
(t−ブチル−パーオキソイソプロピルモノカーボネート;
商品名:パーブチルE、日本油脂(株)製)
シランカップリング剤: 0.5
(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;
商品名:SZ6030、東レ・ダウコーティング社製)
架橋助剤: 2.0
(トリアリルイソシアヌレート
商品名:TAIC、日本化成(株)製)
紫外線吸着剤: 0.15
(2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン;
商品名:ユビナール3049、BASF社製)
ガラス板として、予め洗浄乾燥した厚さ5mmの珪酸塩ガラス板を2枚用意した。
【0084】
2枚のガラス板を、上記で得られたEVAシートを介して積層し、これをニップロールを用いて110℃の温度で予備圧着した。次に、この予備圧着ガラスをオーブン中に入れ、温度130℃の条件下で30分間加熱処理し、次いで雰囲気温度が20℃/分で低下するよう冷却して、合わせガラス(図2参照)を製造した。
【0085】
[比較例1]
実施例1において、EVA樹脂ペレットとして微粒子のないものを使用した以外同様にして合わせガラスを製造した。
【0086】
[参考例1]
実施例1において、EVA樹脂ペレットとして下記のものを使用した以外同様にして合わせガラスを製造した。
【0087】
EVA樹脂ペレット
(ペレットの形状円筒形、平均粒径4.0mm;
顆粒体部分の酢酸ビニル含有量28重量%;
微粒子(平均粒径:3.0μm)の酢酸ビニル含有量16重量%、
微粒子全体のペレットの対する割合2000ppm)
【0088】
[合わせガラスの評価]
(ブロッキング)
各例で使用したEVAペレットを、φ100mm×高さ150mmの容器に充填し、60℃、24時間保管し、EVAペレットのブロッキングの状態を調査し、下記のように評価した。
○:ほとんどブロッキングが見られない。
△:一部にブロッキングが見られる。
×:ほとんどブロッキングしている。
【0089】
(ヘイズ)
各合わせガラス中央部周辺より50×50mmの小片を各3個ずつ切りとり、スガ試験機製カラーコンピューターSM−3型を用いてヘイズ値を測定し、その各平均値を表1に示した。測定は、JIS−K−7105(1981年)に従って行った。
【0090】
(平均粒径)
前記ペレットの平均粒径は定規を用いて、微粒子の平均粒径はマイクロスコープ顕微鏡を用いて測定した。
【0091】
測定結果を下記に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
上記結果から明らかなように、本発明に従う実施例1で得られた合わせガラスは、優れた透明性を有し、製造時のブロッキングの心配もない。従来の比較例1のEVAペレットを使用した場合は、ブロッキングの心配があり、微粒子全体の質量割合が多い場合(参考例1)は、ヘイズが上昇することが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明で使用されるEVAペレットの一例の概略断面図を示す。
【図2】本発明の合わせガラスの好ましい実施形態の一例を示す。
【符号の説明】
【0095】
10 EVAペレット
11 顆粒体
12 微粒子
20 合わせガラス
11A、11B ガラス板
12 EVA層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレット及び有機過酸化物を含む樹脂組成物を溶融混練後、シート状に成形する工程を含む合わせガラス用中間膜を製造する方法であって、
エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレットが、酢酸ビニル含有率が20〜32質量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる顆粒体と、該顆粒体の表面に付着した、酢酸ビニル含有率が20質量%未満10質量以上の範囲にあるエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる微粒子とからなり、且つ微粒子全体の質量が、ペレットに対して10〜200ppmの範囲にあることを特徴とする合わせガラス用中間膜の製造方法。
【請求項2】
エチレン/酢酸ビニル共重合体の微粒子の平均粒径が、1〜50μmの範囲にある請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
エチレン/酢酸ビニル共重合体の微粒子のエチレン/酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル含有率が10〜18質量%である請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
エチレン/酢酸ビニル共重合体の微粒子全体の質量が、ペレットに対して10〜100ppmの範囲にある請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレットの平均粒径が、2.0〜10mmの範囲にある請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
エチレン/酢酸ビニル共重合体ペレットが、酢酸ビニル含有率が23〜32質量%のエチレン/酢酸ビニル共重合体からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
有機過酸化物を、エチレン/酢酸ビニル共重合体100質量部に対して0.05〜1.0質量部使用する請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られた合わせガラス用中間膜。
【請求項9】
請求項8に記載の合わせガラス用中間膜を、2枚の透明基板の間に狭持して、架橋一体化されてなる合わせガラス。
【請求項10】
2枚の透明基板が共にガラス板である請求項9に記載の合わせガラス。
【請求項11】
2枚の透明基板の一方がガラス板で、他方がプラスチックフィルムである請求項9に記載の合わせガラス。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−326758(P2007−326758A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161251(P2006−161251)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】