空調用霧発生装置
【課題】加湿装置としての機能も期待できる程度に水滴発生量を多くすることができ、かつ、眼鏡等を曇らせる粗大な水滴の残留量も大幅に低減できる空調用霧発生装置を提供する。
【解決手段】空調用霧発生装置1は、霧発生源となる水を収容する水収容部21と、水収容部21内の水と接触するように配置され、該水に超音波振動を付加する超音波振動子51と、水収容部21内の水面WLの上方空間を周囲から区画するとともに、気流導入口43と、該気流導入口43よりも上方に位置する霧放出口7とが形成された霧チャンバー29と、超音波振動の付加により水収容部21内の水面WLから霧チャンバー29の内部空間に立ち上る霧に対し、水面WLと交差する軸線周りの旋回気流TNDを、霧チャンバー29の気流導入口43より導入することにより、遠心力と重力とによる下降渦流軌跡に沿って一定粒子径以上の霧粒子を水面WLに戻す旋回流発生部39とを有する。
【解決手段】空調用霧発生装置1は、霧発生源となる水を収容する水収容部21と、水収容部21内の水と接触するように配置され、該水に超音波振動を付加する超音波振動子51と、水収容部21内の水面WLの上方空間を周囲から区画するとともに、気流導入口43と、該気流導入口43よりも上方に位置する霧放出口7とが形成された霧チャンバー29と、超音波振動の付加により水収容部21内の水面WLから霧チャンバー29の内部空間に立ち上る霧に対し、水面WLと交差する軸線周りの旋回気流TNDを、霧チャンバー29の気流導入口43より導入することにより、遠心力と重力とによる下降渦流軌跡に沿って一定粒子径以上の霧粒子を水面WLに戻す旋回流発生部39とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特公平5−587555号公報
【特許文献2】実開平4−126717号公報
【特許文献3】特表2001−510731号公報
【特許文献4】特開2001−304638号公報
【0003】
特許文献1〜特許文献4には、超音波振動子により水分子を霧化するようにした噴霧装置が開示されている。噴霧や超音波摩擦により霧化された水粒子は、いわゆるレナード効果により正帯電し、空気中には電荷バランスにより同量の負イオンを生ずる。これを空気中に放出することで、室内(あるいは車内)の消臭効果、室内空気の浄化、室内インテリアの帯電防止などの効果を発揮できるので、空気浄化装置として既に種々の提案がなされている(特許文献1,2)。また、水滴放出による加湿効果も期待できる。
【0004】
噴霧や超音波振動摩擦により発生した霧粒子には粗大な水滴も含まれるため、そのまま放出すると、周囲の物品に水滴が付着して濡らしてしまう問題がある。そこで、特許文献3,4には、噴霧もしくは超音波により発生した霧を、送風機により一旦管路に導き、その管路の途中に設けられたサイクロンにより粗大な水滴を捕集して、微細な水滴のみを放出する提案がなされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献4の噴霧装置は、文献中では目視し難くガラス板も濡らさないほどの微粒子が得られたと謳われているが、図3や図4の粒子径ヒストグラムを見る限り、10μmを超える大粒子径の水滴が数%程度も存在し、平均粒径も5.7〜12μmと大きい。このような粒径分布は、水滴の発生量が多ければ明らかに視認可能であり、噴霧口の近くに立てば眼鏡等が曇ってしまう問題がある。考えられる問題点は、噴霧部からサイクロン捕集部までの管路長が長いため、微細な水滴同士が衝突を繰り返して凝集し、粒径が増大してしまうことが考えられる。結局、サイクロン捕集部に到達する頃には、超微粒子の水滴は凝集によりかなりの数が損なわれ、結果として、サイクロンで取りこぼされやすい中位粒径(例えば5〜20μm)の混入率が高まるのが原因ではないかと考えられる。
【0006】
本発明の課題は、加湿装置としての機能も期待できる程度に水滴発生量を多くすることができ、かつ、眼鏡等を曇らせる粗大な水滴の残留量も大幅に低減できる空調用霧発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するための、本発明の空調用霧発生装置は、
霧発生源となる水を収容する水収容部と、
水収容部内の水と接触するように配置され、該水に超音波振動を付加する超音波振動子と、
水収容部内の水面の上方空間を周囲から区画するとともに、気流導入口と、該気流導入口よりも上方に位置する霧放出口とが形成された霧チャンバーと、
超音波振動の付加により水収容部内の水面から霧チャンバーの内部空間に立ち上る霧に対し、水面と交差する軸線周りの旋回気流を、霧チャンバーの気流導入口より導入することにより、一定粒子径以上の霧粒子を旋回流とともに水面に戻す旋回流発生部と、を有し、
旋回流に打ち勝って上昇離脱する霧粒子を、空調されるべき周囲雰囲気に向けて霧放出口より放出することを特徴とする。
【0008】
上記本発明の空調用霧発生装置の第一によると、超音波振動により霧発生させることで、放出される水滴の帯電効果が増加し、イオン発生効果を高めることができるので、単なる加湿効果に留まらず、室内空気の浄化や、室内インテリアの帯電防止などの効果を挙げることができる。そして、超音波振動が加えられる水面の上方空間を霧チャンバーで覆い、そのチャンバー内でサイクロン効果を生ずる旋回流を発生させ、その旋回流に打ち勝って上昇離脱する霧粒子を、空調されるべき周囲雰囲気に向けて霧放出口より放出するようにしたので、発生した霧粒子が長い管路を搬送されることなく、粗大な粒子は速やかに振動付加される水面に戻り、微粒子は霧放出口から放出される。その結果、加湿装置としての機能も期待できる程度に水滴発生量を多くすることができ、かつ、眼鏡等を曇らせる粗大な水滴の残留量も大幅に低減できる。
【0009】
上記方式によると、放出される霧の気水体積比は40以上1400以下(望ましくは400以上1300以下)に高めることも可能である。気水体積比が40未満では水分含有比率が高くなりすぎて、大粒の水滴の存在比率も上昇し、空調されるべき室内に放出された際に、室内に置かれているものを濡らしたり、霧放出口に近づいた人の眼鏡などを曇らせる惧れがある。他方、気水体積比が1400を超えると加湿性能やイオン発生能力が不十分となり、空調用としての機能が損なわれる。上記本発明の利点は、このように気水体積比を高めても粗大な水滴の残留量を十分に低減できる点にある。
【0010】
霧発生源となる水は水温が1℃以上30℃以下(望ましくは4℃以上20℃以下)のものを使用するのがよい。この水温は、特に加熱を行なわない常温の水の温度範囲であり、加熱方式の加湿器と異なり、微粒子の霧を低温で発生できることを意味する。特に冬季において、温度の高い水蒸気を発生しつづけると、冷えた家具類やガラスに水滴が凝結して濡らしてしまう不具合を生じやすくなるが、上記のように超音波で常温の水を直接霧化することで、上記のような凝結が生じにくくなり、また、本発明の採用により、室内の湿度調整にも十分使用できる上記放出量も確保できる。他方、ミストサウナなど、人体に霧滴を接触させる形で使用する場合は、霧滴の温度が体温になるべく接近していることが望ましく、この場合は使用する水温を30℃を超え、45℃以下に設定することが望ましい。水温が30℃以下では霧滴を冷たく感じすぎ、45℃を超えると逆に熱く感じすぎる場合がある。
【0011】
上記本発明によると、旋回流を霧発生源となる水面の直上で、分級のための旋回流を発生させることにより、粒径が10μm以上(望ましくは5μm以上)の霧粒子を主体に水面に戻すことができる。特に、上記のように比較的高密度の霧粒子を発生させる場合、10μm以上の霧粒子を旋回流により分級・カットすることは、周囲を水滴で濡らしたり、ガラスや眼鏡を曇らせたりする不具合(以下、水付着の不具合という)を防止する上で特に重要である。
【0012】
以下の説明に使用する各種粒径パラメータの定義を数1にまとめて示す。
【数1】
【0013】
水付着の不具合防止の観点からは、具体的には、放出される霧粒子は、粒径が10μm以上のものの相対数頻度が1%以下(0%を含む)となっていること、より望ましくは、粒径が4μm以上のものの相対数頻度が1%以下(0%を含む)となっているのがよい。また、体積平均粒径においては10μm以下(下限値については、技術的には3μm程度まで縮小することが十分に可能である)となっていること、さらには、粒径が10μm以下のものの相対体積頻度が70%以上(望ましくは80%以上、より望ましくは90%以上:上限値は99.5%程度までは十分可能である)となっていることが望ましい。
【0014】
また、イオン発生効果と、上記水付着の不具合を防止する効果は、放出される霧粒子の数平均粒径を3μm以下(望ましくは1.5μm以下、さらに望ましくは1μm以下:か現地は。0.5μm程度までは十分可能である)とした場合に特に著しい。また、イオン発生効果は、放出される霧粒子において、粒径が1μm以下のものの数比率が60%以上となっている場合に特に著しくなり、このように粒度調整された霧を発生させることにより、例えば、ホテルのルームやホールあるいはバスの車内などでのタバコの煙の付着臭や、セレモニーホールでの線香の煙の付着臭を、短時間の内に消し去ることができるなど、極めて優れた消臭効果を達成することができる。この観点では、放出される霧粒子において、粒径が1μm以下のものの数比率が、望ましくは70%以上、さらに望ましくは80%以上(上限値は、90%程度までは十分可能である)となっているのがよい。また、イオン発生効果は、霧化される水粒子を単位体積だけ集めたときの、粒子の合計表面積が大きいほど高くなる。後者の合計表面積は、ザウター平均粒径により相対的に評価が可能である。本発明の霧化装置によると、このザウター平均粒径を6μm以下、望ましくは3.5μm以下、より望ましくは3μm以下(下限値が2μm程度まで可能である)とすることができ、上述の消臭効果を飛躍的に高めることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態をなす空調用霧発生装置1の外観を示す三面図であり、図4はその内部構造を示す正面図、図5は、図1の空調用霧発生装置1の要部を取り出して示す斜視図である。図5に示すように、該要部は、霧発生源となる水を収容する水収容部21と、水収容部21内の水と接触するように配置され、該水に超音波振動を付加する超音波振動子51と、水収容部21内の水面WLの上方空間を周囲から区画するとともに、気流導入口43と、該気流導入口43よりも上方に位置する霧放出口7とが形成された霧チャンバー29と、超音波振動の付加により水収容部21内の水面WLから霧チャンバー29の内部空間に立ち上る霧に対し、水面WLと交差する軸線周りの旋回気流TNDを、霧チャンバー29の気流導入口43より導入することにより、遠心力と重力とによる下降渦流軌跡に沿って一定粒子径以上の霧粒子を水面WLに戻す旋回流発生部39とを有する。他方、旋回流TNDに打ち勝って上昇離脱する小粒径の霧粒子は、空調されるべき周囲雰囲気に向けて霧放出口7から放出される。
【0016】
上記構成によると、超音波振動により霧発生させることで、放出される水滴の帯電効果が増加し、イオン発生効果を高めることができ、ひいては室内空気の浄化や、室内インテリアの帯電防止などの効果を挙げることができる。また、超音波振動が加えられる水面WLの直上空間を霧チャンバー29で覆い、そのチャンバー29内でサイクロン効果を生ずる旋回流TNDを発生させ、その旋回流TNDに打ち勝って上昇離脱する霧粒子を、空調されるべき周囲雰囲気に向けて霧放出口7より放出するようにした。発生した霧粒子が長い管路を搬送されることなく、粗大な粒子は速やかに振動付加される水面に戻り、微粒子は霧放出口7から放出される。その結果、加湿装置としての機能も期待できる程度に水滴発生量を多くすることができ、かつ、眼鏡等を曇らせる粗大な水滴の残留量も大幅に低減できる。
【0017】
図5に示すように、超音波振動子51は、霧チャンバー29の内部空間に対応する位置にて、水収容部21の底部21Bに配置されている。超音波振動子51の振動方向は水面WLの法線方向とほぼ一致(厳密には、後述のごとく1〜10°程度傾けてある)しており、水面WLに対して霧発生のための振動を効率良く付加できる。
【0018】
図6は空調用霧発生装置1の要部を三面図にて示したもので、旋回流発生部39は、霧チャンバー29の外側に設けられ気流導入口43にて該霧チャンバー29の内部空間と連通する気流導入通路49と、該気流導入通路49に外気を吹き込む送風ファン41とを有する。霧チャンバー29の外部から旋回流発生のための気流を吹き込むことで、旋回流による霧粒子の分級を効率良く行なうことができる。また、霧チャンバー29の内部には、気流導入口43からの気流の導入方向において該気流導入口43と対向する位置に、導入された気流を、形成すべき旋回流の旋回方向に迂回させる整流板44が配置されている。整流板44に送風ファン41からの気流を衝突させることにより乱流が発生し、旋回流を効率的に生ずることができるほか、気流の速度が適度に減速し、大粒の霧粒子をより確実に除去することができる。
【0019】
具体的には、気流導入口43は霧チャンバー29の側壁部30Sに形成されている。また、整流板44は、気流導入口43から霧チャンバー29の内側に一定距離離間した位置にて、旋回流の軸線に板面が沿うように、その幅方向の一端縁が霧チャンバー29の内壁面に固定され、該整流板44により霧チャンバー29の内側空間が、気流導入口43に面した第一空間29Aと、これと反対側の第二空間29Bとに仕切られている。それら第一空間29Aと第二空間29Bとは、整流板44の他端縁と霧チャンバー29の側壁部30Sとの間に形成された隙間を介して連通している。気流導入口43から第一空間29Aに導入された気流は整流板44に衝突した後、隙間に向けて迂回し、該隙間を経て第二空間29B内に旋回しつつ導入される。霧チャンバー29の内部空間を仕切る形で整流板44を設けることで、送風ファン41からの気流は空間的な広がりの大きい霧チャンバー29に導入されることで一旦減圧するので、微細な霧粒子をより効率的に分離・放出するころができ、また、整流板44による減速効果も一層高められるので、大粒の霧粒子をより確実に除去できる。また、旋回流発生部39側への負圧が減じられるので、送風ファン41の回転負荷を減少することができる。
【0020】
図5に示すように、霧チャンバー29は、水面WLの上方に配置される縦長のダクト形態を有し、整流板44もこれに対応した縦長に形成することができる。これにより、旋回流TNDの軸線方向の形成長が増大するので、微細な霧粒子を上昇・分離する効果がより高められる。この場合、気流導入口43は、整流板44と長手方向が一致した縦長の形状に、霧チャンバー29の側壁部30Sに開口形成することで、上記の効果は一層高められる(ただし、より小寸法の開口を上記長手方向に所定の間隔で複数個形成することも可能である)。本実施形態において、霧チャンバー29は、水平断面が四辺形状の外形を有し、整流板44は縦長長方形状に形成されるとともに、霧チャンバー29の水平断面の一辺をなす側壁部30Sに、その長辺をなす一縁部が接合されてなる。このような形状の霧チャンバー29(及びこれを含む装置要部)は、ステンレス鋼板などの板金素材の曲げ加工により製造が極めて容易である。
【0021】
また、図5及び図6に示すように、本実施形態においては、気流導入口43の形成位置にて霧チャンバー29の側壁部30Sから側方に延出する扁平形状のファン収容ケース40が設けられ、該ファン収容ケース40の一方の主表面に気流吸い込み口42が形成されるとともに、該ファン収容ケース40内において当該気流吸い込み口42に対応する位置に、主表面法線に沿って回転軸線が位置するように送風ファン41が収容されてなる。縦長の気流吸い込み口42の幅方向に送風ファン41の厚み方向が一致する形となるので、ファン収容ケース40の厚みを減ずることができ、霧チャンバー29を含めた装置要部をよりコンパクトに構成できる。
【0022】
この場合、図7に示すように、送風ファン41の回転軸線方向において、ファン収容ケース40の気流吸い込み口42が形成されている側を前方側として、ファン収容ケース40内において送風ファン41の後方空間を気流導入通路49とし、送風ファン41により流吸い込み口から気流導入通路49内に吸い込まれた気流が、ファン収容ケース40の後方壁部に衝突することより、霧チャンバー29への気流導入口43に向けて方向転換される構成を採用することができる。これにより、ファン収容ケース40の厚み方向寸法をより縮小できるとともに、縦長の気流導入口43の幅方向寸法よりも径大の送風ファン41を使用できるから、細長い気流導入口43に十分な量の気流を送り込むことができる。
【0023】
また、整流板44の長手方向における下端縁は、水面WLよりも下方であって、水収容部21の底面よりも上方に位置するように配置されている。このようにすることで、水面WLより立ち上る霧粒子のうち、分級された小粒径の霧粒子を効率的に放出することができ、ひいては、粗大粒子が十分に除去されているにも拘わらず水滴発生量を多くする効果が一層高められる。図8左に示すように、整流板44の長手方向における下端縁を水面よりも上方に配置すると、第一空間29A側から、整流板44の下縁と水面WLとの間を通って第一空間29B側にバイパスする気流が発生し、そのバイパス流の風圧で水面WLが押さえ込まれ、水面WLからの微細な霧粒子の離脱が阻害される惧れがある。しかし、同図左に示すように、整流板44の長手方向における下端部を水没させることで水面WLを押さえ込むバイパス流を解消することができ、小粒径の霧粒子も効率的に放出できる。
【0024】
本実施形態では、図6に示すように、整流板44の上端縁が、霧チャンバー29の側壁部30S内面との間に形成する第一空間29Aの開口が天板46により塞がれており、第一空間29A内に導入された気流が上方に逃げてロスする不具合が防止されている。
【0025】
図5及び図6に示すように、水収容部21は、霧チャンバー29の直下領域に位置する第一収容室21Aと、その側方に延出した第二収容室21Bとを有するものとして構成されている。超音波振動子51は第一収容室21Aの底面に配置される一方、それら第一収容室21Aと第二収容室21Bとが互いに連通し、第二収容室21Bから給水されるように構成されている。このようにしておくと、霧チャンバー29をいちいち取り外さなくとも、該霧チャンバー29の直下領域から外に延出した第二収容室21Bから給水可能となり、給水作業が容易である。この場合、第一収容室21Aと第二収容室21Bとの境界に対応した霧チャンバー29の側壁部30の下端縁を、水面WLよりも下方であって、水収容部21の底面よりも上方に位置させることができる。霧チャンバー29の側壁部30が水面下に没することで、霧チャンバー29の側壁部30の下縁と水面WLとの間に隙間が生じず、霧チャンバー29内の気流をスムーズに霧放出口7に導くことができ、ひいては小粒径の霧粒子も効率的に放出できる効果が高められる。また、超音波振動子51は、霧チャンバー29の直下において第一収容室21Aの底面に配置されるから、水面WLから発生した霧を霧チャンバー29内に漏れなく導くことができる。
【0026】
ところで、超音波振動子51は、霧発生中は水面下に没した状態が継続するので、長期に渡って使用を続けると、超音波振動子51の表面に水垢等の汚れが付着し、振動が阻害される不具合につながる。従って、超音波振動子51の表面は定期的にクリーニングする必要が生ずる。しかし、上記のように霧チャンバー29の側壁部30が水面下に没する隔壁として機能している場合、そのままでは、霧チャンバー直下の第二収容室21B内に手を入れて超音波振動子51の表面を拭ったりするのは難しい。そこで、本実施形態では、図5に示すごとく、給水側となる第二収容室21Bは上面が上面側開口部21Uにより開放形態とされてなり、図4に示すごとく、第一収容室21Aと第二収容室21Bとの境界に対応した霧チャンバー29の側壁部30が、上下方向にスライド可能なスライド壁部とされている。このように構成しておくと、側壁部30を上方にスライドさせることで、上部が開放した第一収容室21Aから第二収容室21B内に楽に手を入れることができ、超音波振動子51の表面を容易にクリーニングすすることができる。
【0027】
本実施形態では、図4に示すように、側壁部30の昇降に伴い、これと一体に設けられた雄ねじ部付きのスライドピン30pを、後述の本体ケース2の上部に形成された縦方向の長穴2s内にて移動させるようにするとともに、上限位置と下限位置とのそれぞれにおいて側壁部30を、スライドピン30p側の雄ねじ部に螺合する締め付けナット31により固定保持できるようにしている。
【0028】
図4に示すように、第二収容室21Bの上方には水タンク20が着脱可能に配置されている。図3は、第二収容室21Bから水タンク20を取り外した状態を示しており、取り付け時には給排水口20Kが給排水口20K内に位置するように、上下反転した形でセットされる。そして、該水タンク20の水は、該水タンク20の底部に形成された給排水口20Kから第二収容室21Bに給水される。水収容部21とは別に水タンク20を設けることで、霧発生源となる水を多量に蓄えることができ、霧放出継続時間を延ばすことができる。
【0029】
図3に示すように、水タンク20は、給排水口20K以外が密閉構造とされ、かつ該給排水口20Kからは給水管23が延出している。図4に示すように、予め定められた基準水位WLまで満たされた第二収容室21Bに対し水タンク20は、給水管23の下端に形成された水排出開口23Kが基準水位WLよりも下方に位置するようにセットされ、霧化に伴う水位の低下を、サイフォンの原理に基づく水タンク20からの給水にて補うことにより、基準水位WLを維持するようにしてある。これにより霧発生中において水収容部21内の水位WLを常に一定に保つことができ、より安定的な霧発生状態を得ることができる。なお、図3において符号23pはバルブピンであり、水タンク20を上限反転したときは、給水管23内の図示しないフロートバルブが落ち込んで水の流出を阻止する。そして、バルブピン23pが第二収容室21の底に当たってフロートバルブが押し上げられると、タンク20内の水が給水管23から第二収容室21内に流れ出し、給水される。
【0030】
図3に示すように、本実施形態においては、ファン収容ケース40と霧チャンバー29とが霧分級ユニット60を構成し、これが装置基体2B上に配置されている。そして、該装置基体2B上にて水収容部21の第二収容室21Bは、ファン収容ケース40の前面側に延出する形態に配置されている。そして、該第二収容室21Bに隣接してファン収容ケース40の下側前方に水タンク20の底面を支持する水タンク支持台23が配設されている。図4に示すように、水タンク20は該水タンク支持台23上に、給排水口20Kが側方の第二収容室21B上方に位置するように、上下反転した形で配置されている。なお、タンク支持面となる水タンク支持台23の上面前端縁には、水タンク20の載置をガイドするとともに前後方向のタンクのがたつきを防止するガイド板22が立設されている。
【0031】
そして、ファン収容ケース40の前方側に位置する側面が開放する形態で、霧分級ユニット60を覆う本体ケース2が装置基体2Bに固定的に取り付けられる一方、該霧分級ユニット60の前方側に配置された水タンク20を覆うタンクカバー3が、本体ケース2に対して着脱可能に設けられている。図2はタンクカバー3を取り外した状態を、図1はタンクカバー3を装着した状態をそれぞれ示すものである。この構造により、装置から取り外した状態で水タンク20に給水でき、給水の便宜が図られている。また、水タンク20とともにタンクカバー3も取り外すことができ、第二収容室21B側から第一収容室21A内の超音波振動51をクリーニングする作業がより容易となる。装置基体2Bの底面にはキャスター10が設けられている。また、本体ケース2の上面には霧放出口7が開口するとともに、運搬用のハンドル6と取手5,5も取り付けられている。タンクカバー3は本体ケース2に対し、複数のターンオーバフック4にて着脱される。図4に示すように、霧放出口7には蛇腹式の霧放出管121が装着可能である。なお、タンクカバー3の側面には、水タンク20の水位を確認するための水位確認窓8(水位目盛9を有する)が形成されている。なお、図6に示すように、水収容部21の底面にはフロートスイッチ等からなる水位センサ66が設けられている。また、水収容部21内の水Wは排水口350(図4に示すドレンコック35により開閉される)から排出可能である。
【0032】
基準水位WLは、給水管23の下端開口位置とほぼ一致しているときに、霧発生効率が最も良好となる。給水管23から収容部21内に水を最初に供給する際には、多くの場合は水がオーバーフローして、水位がこの下端開口位置よりも高くなってしまう。そこで、排水口350の先に調整水排出容器120を設けておき、ドレンコック(バルブ)35を開いて水収容部21内の水Wを流出させ、基準水位WLは、給水管23の下端開口位置と一致したところでドレンコック35を閉じて水Wの排出を止めるようにする。水位が給水管23の下端開口位置と一致したかどうかは、水面が下端開口位置に差し掛かったとき、空気が該開口から給水管23内に逆流してゴボリと音を立てるのを確認すればよい。なお、ドレンコック(バルブ)35を電磁弁で置き換え、給水管23の下端開口位置に水位があるかどうかをフロートセンサ等のレベルセンサで検出し、電磁弁を随時開閉して水位を自動調整することも可能である(また、ポンプを用いて排出した水をタンクに戻すように構成してもよい)。
【0033】
図9に示すように、超音波振動子51は、圧電振動体51Pの上面が水収容部21の底面に露出するとともに、該圧電振動体51Pの振動軸線OLが鉛直方向VLに対して一定角度傾くように、水収容部21の底面に取り付けられている。振動軸線OLが鉛直方向VLに一致していると、図10の左に示すように、振動により真上に放出された霧粒子FPが、次に放出される霧粒子FPと衝突して凝集し、霧化効率が悪化する惧れがある。そこで、図10の右に示すように、振動軸線OLが鉛直方向VLに対して一定角度θ(例えば1〜10°が適当である)だけ傾けておくと、放出された霧粒子FPは放物線を描きながら水平方向に逃げ、次の霧粒子FPと衝突する確率が減ずるので、霧化効率を向上することができる。
【0034】
図9において圧電振動体51Pは、振動面となる上面を露出させた形でゴム製のシールケース51Sに埋め込まれ、該シールケース51Sがさらに、金属製の鍔状のケーシング51Bに取り付けられている。水収容部21の底部21Bには、圧電振動体51Pの振動面を露出させるための開口21Cが形成されており、その開口21Cの周囲において底部21Bの下面からは、圧電振動体51Pを固定するためのねじ部材(ここでは、底部21Bに溶接されたスタッドボルト)52,52が延出している。ケーシング51Bはスペーサ54を介して、自身に形成された貫通孔51h,51hに上記ねじ部材52,52が通され、反対側に突出したねじ部材52,52の脚部末端にナット53を締め付けて固定される。シールケース51Sはケーシング51Bと水収容部21の底部21Bとの間で圧縮されて、開口21Cの周囲をシールする。スペーサ54は、シールケース51Sのクラッシュハイト(例えば約2mm)を規定する役割を果たす。
【0035】
図11及び図12に示すように、装置の霧化効率を高めるには、複数個の超音波振動子51を水収容部21の底部21Bに対し取り付けることが望ましい。この場合、各超音波振動子51の振動軸線OLが上方に向うほど互いに離間する形態で取り付けておくと、各超音波振動子51からの水滴が互いに遠ざかる向きに放出され、互いに異なる超音波振動子51が発生する水滴同士が衝突・凝集する不具合を効果的に防止することができる。図11に示すように、2個の超音波振動子51,51を配設する場合は、各振動軸線OL,OLが、上側ほど遠ざかるように配置すれば効果的である(この場合、鉛直方向の同一面内にて、各振動軸線OL,OLが下側で交差する配置(実線矢印)と、交差しない配置(一点鎖線矢印:振動軸線OL,OLがいわゆるねじれの位置にある配置である)。また、互いに異なる超音波振動子51が発生する水滴同士が衝突・凝集する不具合を防止するには、各振動軸線OL,OLが上方に向うほど接近する形態になっていなければ一定の効果をあげることができ、例えば振動軸線OL,OLを互いに平行に配置することも可能である。
【0036】
図12は、水収容部21の底部21Bに4個の超音波振動子51を配置する例である。4個の超音波振動子51は、鉛直軸線VLの周りに一定の角度間隔で配置され、各振動軸線OLは、実線矢印で示すように、上方に向うほど鉛直軸線VLに関する半径方向に互いに遠ざかるように配置されている。なお、一点鎖線矢印は、4つの超音波振動子51を、2個を1対として、各対の中で振動軸線OL,OLを図1と同様に配置した別例を示すものである。
【0037】
図1に示すように、本体ケース2の表面には操作ユニット11が取り付けられている。操作ユニット11には、切替えスイッチ12、水位インジケータ15及び動作インジケータ13,14(各インジケータはいずれもLEDからなる)が設けられている。図4に示すように、本体ケース2の内部には、該操作ユニット11に対応する制御基板34が取り付けられている。図13は、制御基板34の電気的構成を示すブロック図であり、制御の主体はCPU62、ROM62、RAM63、入出力部64を有したマイコン60である。
【0038】
入出力部64には、切替えスイッチ12、水位センサ66、各インジケータ13,14,15をなすLEDが接続されている。また、超音波振動子51はドライバ65を介して入出力部64に接続されている。切替えスイッチ12は超音波振動子51の双方をOFFとした状態(OFFモード)、一方のみをONとした状態(第一ONモード)及び双方をONとした状態(第二ONモード)の3つのモードを切替えるためのものであり、OFFモードではどのLEDも点灯せず、第一ONモードでは動作インジケータ13,14の一方をなすLEDだけが点灯し、第二ONモードでは動作インジケータ13,14の双方をなすLEDが点灯する。また、水位センサ66が一定レベル以下への水位低下を検出した場合は水位インジケータ15をなすLEDを点灯させ、かつ、切替えスイッチ12が第一ONモードないし第二ONモードとなっていても、超音波振動子51は動作遮断される。これらの動作シーケンスを実現する制御プログラムはROM62の中に書き込まれ、RAM63にロードされてCPU61により実行される。なお、図示はしていないが、空調用霧発生装置1の動作継続時間を制限したり、設定時刻に動作開始ないし停止させるためのタイマーを設けることも可能である。
【0039】
本実施形態の空調用霧発生装置1は、その要部の寸法及び仕様が以下のごとく定められている。
・送風ファン41:直径100〜150mm、奥行(図7:b)30〜40mm、回転数1500〜5000rpm
・気流導入通路49:奥行(図7:a)20〜30mm、高さ(図6:g)80〜130mm
・霧チャンバ29:高さ250〜450mm、幅及び奥行(図7:h)70〜110mm、第一空間29Aの幅(図7:c)17〜30mm、第二空間29Bの幅(図7:e)55〜70mm
・整流板44:高さ(図6:h)250〜300mm、気流導入口43の後方縁からの突出高さ(図7:d)17〜30mm、粒径が10μm以上の霧粒子を主体に水面に戻す。
・水位WL(図6:i):20〜30mm
・水温:1℃以上30℃以下(望ましくは4℃以上20℃以下)
・放出される霧粒子:気水体積比:40以上1400以下、粒径が10μm以上のものの相対数頻度が1%以下(望ましくは、粒径が4μm以上のものの相対数頻度が1%以下)、数平均粒径0.5μm以上3μm以下、体積平均粒径3μm以上10μm以下、粒径が10μm以下のものの相対体積頻度が70%以上、粒径が1μm以下のものの数比率が60%以上(望ましくは70%以上)。
・超音波振動子51:振動駆動周波数1MHz以上3MHz以下
【0040】
また、本実施形態では、水Wとして高圧交流電界を印加処理したものを使用する。これにより、霧粒子を微細化する効果が一層高められ、かつ、放出される霧粒子の粒径分布をシャープにすることができる。その結果、高圧交流電界が印加処理されない水を使用した場合と比較して、霧放出に伴う水の消費速度が減少し、霧発生の連続継続時間を延ばすことができる。さらに、高圧交流電界を印加処理したものは、粒子の微細化がさらに進みやすくなり、粒径1μm以下の粒子の比率が高められ、消臭効果等により優れた霧を発生することが可能となる。
【0041】
図14は、高圧交流電界を印加処理するための水処理装置の一例を示すものであり、これで処理した水Wを上記の霧発生装置1に使用するのである。水処理装置101は、水Wを収容する処理容器102と、該水W中に配置される放電電極103とを備える。放電電極103は、処理容器2内の水W中に配置される絶縁体(ガラス又はセラミック製である)からなる電極ケース106と、電極ケース106により水系被処理液体から隔離された状態で、該電極ケース106内に配置され、一端が電気的に開放となり、他端が交流高電圧電源107に接続される主電極104と、電界集中を生じさせるための尖鋭部を主電極104の周囲に分散形成するために、主電極104の周囲にこれと接して配置される副電極105とを備える。放電電極103は、交流高電圧電源107に接続することにより高圧交流電界AEFを発生し、電極ケース102の絶縁性壁部を介して水Wにこれを印加する。交流高電圧電源107は商用交流電源109とトランス108とを有し、電源電圧を一定の昇圧比で昇圧して放電電極103に印加する。なお、商用交流電源109とトランス108との間に周波数変換用のインバータを設けてもよい。
【0042】
図15に示すように、放電電極103は、主電極104を例えばCu製の金属棒にて形成する一方、副電極105は、Cu線などの金属線材5Wを束ねた集積体を、主電極104の外周面上に設定された一定の巻き付け経路(本実施形態ではらせん状の経路である)に沿って、断続的に主電極104との接点が生ずるように巻き付ける形で形成している。また、電極ケース106は、主電極104を、これに巻き付けられた副電極105とともに覆うチューブ状(筒状)に形成されている。該構造は、複数の細い金属線材105W(線径0.01mm以上0.5mm以下)をねじり等により束ね、接点が断続的に生ずるように、不定形無作為に線材を折れ変形させながら主電極104の外周面に緩く巻きつけることにより形成でき、線材の折れ変形を主電極104の長手方向と周方向にランダムに多数生じさせることができる。これにより、主電極104の周囲には、折れ変形部や、ささくれだった線材端部などにより先鋭部105tが多数一様に分散形成される。放電電極103に極端な高圧・高周波を印加しなくとも、副電極5が形成する多数の尖鋭部105tでは電界集中して電界強度が高められ、水分子やイオンの凝集ないし会合の解消や運動活性化を、水W中にて局所的かつ分散形態で促進することができる。その結果、装置を大型化することなく、交流高電圧印加特有の処理を水Wに対し効率的に行なうことができる。本実施形態では、処理容器102は例えば金属製タンクである。このような高電圧印加により凝集した水イオンのクラスターが解消されるので、超音波印加により、より微細な霧粒子に分裂しやすくなるものと推測される。
【0043】
交流高電圧電源107にて放電電極103に印加する交流高電圧は、例えば1000V以上10000V以下の範囲で調整される。1000V未満では電圧印加による上記効果が乏しく、10000Vを超えると装置が大型化し、また、有用成分の分解などの好ましくない現象も起こりうる。また、交流高電圧の周波数は、同様の理由により、10Hz以上1kHz以下に設定するのがよい。本実施形態で採用している条件は、電圧が1800V、周波数は60Hz(つまり、商用交流の周波数)である。この処理をした水Wを図1〜図7に開示した霧発生装置1の霧発生源として使用し、霧発生動作を連続的に継続したところ、処理しない水Wを使用した場合と比較して、水の消費速度が約半分に減少した。
【0044】
本実施形態では、処理容器2内に透液性壁部(例えば網やパンチングメタルで構成されている)を有する容器110が設けられており、容器110内には、トルマリンなど電界発生能を有する補助媒体111が収容されている。水Wは補助媒体111と接触することで、クラスター解消効果がさらに高められる。ただし、容器110及び補助媒体111は省略してもよい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実験結果について説明する。
図1〜図7に開示した空調用霧発生装置1を用い、種々の条件で霧を発生させた。装置要部の寸法及び仕様は以下のように設定した。
・送風ファン41:直径120mm、奥行(図7:b)35mm、回転数3000rpm。
・気流導入通路49:奥行(図7:a)25mm、高さ(図6:g)100mm
・霧チャンバ29:高さ370mm、幅及び奥行(図7:h)85mm、第一空間29Aの幅(図7:c)21mm、第二空間29Bの幅(図7:e)65mm
・整流板44:高さ(図6:h)275mm、気流導入口43の後方縁からの突出高さ(図7:d)0〜30mmの範囲内で種々に変更。この値により、放出される霧粒子の粒度分が種々に調整される。後述の表1において、番号8は、整流板44を取り除いた場合の比較例である。
・水位WL(図6:i):25mm
・水温:15℃、通常の水道水と、図15の装置により、電圧1800V、周波数は60Hzの交流高電圧を約2時間印加したものとの2種を使用した。後述の表1において、番号1が、交流高電圧処理した水を使用したもの、番号2〜8は、通常の水道水を使用したものに相当する。
・超音波振動子51:振動駆動周波数約2MHz
【0046】
発生させた霧の粒径分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS Particle Size Analysis:(株)日本レーザー製)により測定し、数平均粒径、体積平均粒径、ザウター平均粒径、粒度区間別の相対数頻度、相対体積頻度を求めた。以上の結果を表1に示す。
【0047】
また、室温10℃と20℃の2条件で、霧放出口7の上方10cm位置に眼鏡を10秒間かざし、水滴の付着があるかどうかを確認した。評価は、以下の基準で行なった。
◎:霧にかざしている間も全く眼鏡が曇らず、水滴付着しなかったもの。
○:曇りはほとんど生じないが、ごく小さな水滴付着のみ見られたもの。
△:霧にかざしている間は曇りを生ずるが、眼鏡を霧から外すと数秒以内に曇りがなくなるもの。
×:霧から眼鏡を外しても曇りが消えず、凝集した水滴が眼鏡の上を流れるもの。
【0048】
次に、この霧発生装置を、次のような条件で使用し、以下のような評価を行なった。
(1)広さ100m2、高さ3mの畳敷きの大広間にて、室温10℃にて種々の時間連続運転。
(2)広さ100m2、高さ3mの畳敷きの大広間にて、室温20℃にて種々の時間連続運転。
(3)広さ100m2、高さ3mの畳敷きの大広間にて、室温20℃にて種々の時間連続運転した後、装置を停止。その後、空調を切って5時間で室温を10℃まで下げた。
(4)広さ30m2、高さ10mの吹き上げ型ホールにて、室温20℃にて種々の時間連続運転。
いずれも、霧発生装置の使用に先立って、1日あたり約8時間、延べ40人に喫煙してもらう匂い付着処理を。3日間連続で行なった。運転開始後は、種々の運転時間毎に、非喫煙者10人を室内に入れ、臭いの残留を確認してもらった。また、部屋の4隅に研摩大理石製の石像(重さ10kg、高さ70cm)を置き、水滴の付着があるかどうかを確認した。また、24時間連続運転後の使用水量も調べた。
【0049】
評価基準は以下の通り((臭い評価結果/水滴付着評価結果)にて表示)。
(臭い評価)
◎:10人とも、臭い残留なしと回答。
○:1人のみ臭い残留ありと回答。
△:2人以上5人以下が臭い残留ありと回答。
×:5人以上が臭い残留ありと回答。
(水滴付着評価)
◎:乾いた手触りで、水滴付着なし。
○:少し湿った手触りを感ずる程度で、明確な水滴付着なし。
△:曇りは出ていないが、水滴の凝結が認められたもの。
×:像全面にべとついた曇りが生じ、水滴の凝結が多量に認められたもの。
以上の結果をまとめて表1に示す
【0050】
【表1】
【0051】
本発明の霧発生装置の採用により、放出される霧粒子は、粒径が10μm以上のものが効果的に取り除かれ、その相対数比率が低減されていることがわかる。整流板44の、気流導入口43の後方縁からの突出高さ(図7:d)が21mmのとき、発生する霧の粒度は最も小さくなった(番号1〜3)。これらについては、大広間の消臭効果はいずれも10分程度の短時間で明確に認められ、24時間の連続運転を行なっても、水滴の凝結はほとんど見られず、良好な結果が得られた。このうち、特に、交流高電圧印加処理した水を使用した番号1についは、普通の水道水を使用した番号2,3と比較して、24時間後の水の消費量が約半分になっており、かつ、1μm以下の粒子の体積頻度も高いため、天井の高い吹き上げ型ホールでも霧がよく立ち上り、良好な消臭効果が得られている。
【0052】
図16は番号1の霧の数頻度による粒度分布を、図17は番号2の霧の数頻度による粒度分布を、図3は番号1の霧の体積頻度による粒度分布をそれぞれ示すグラフであり、表2〜4は、これらグラフにそれぞれ対応する各粒径範囲ごとの相対頻度値を示すものである。図19は、番号1の霧と番号2の霧との体積頻度による粒度分布グラフを重ねて表示したものである。交流高電印加処理した水を用いた番号1の霧は、交流高電印加処理しない水を用いた番号2よりも、1μm以下の粒径域の体積頻度が明らかに上昇していることがわかる。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の空調用霧発生装置の一実施形態の外観を示す三面図。
【図2】図1の空調用霧発生装置から本体カバーを取り外した状態を示す斜視図。
【図3】図2の状態から水タンクをさらに取り外した状態を示す斜視図。
【図4】図1の空調用霧発生装置の要部を示す正面図。
【図5】図1の空調用霧発生装置の要部を示す斜視図。
【図6】図1の空調用霧発生装置の要部を示す三面図。
【図7】図5の平面図を拡大して示す図。
【図8】整流板の位置による効果の差を示す説明図。
【図9】超音波振動子の取り付け形態を示す断面図。
【図10】超音波振動子の振動軸線の傾斜による効果を説明する図。
【図11】複数の超音波振動子の配置形態を、振動軸線の傾斜方向と合せて例示する第一の図。
【図12】同じく第二の図。
【図13】図1の空調用霧発生装置の電気的構成を示すブロック図。
【図14】図1の空調用霧発生装置に使用する水に高圧交流電界を印加処理する装置の一例を示す模式図。
【図15】図14の装置に使用する電極の説明図。
【図16】実施例の番号1の霧の数頻度による粒度分布測定結果を示すグラフ。
【図17】実施例の番号2の霧の数頻度による粒度分布測定結果を示すグラフ。
【図18】実施例の番号1の霧の体積頻度による粒度分布測定結果を示すグラフ。
【図19】実施例の番号1及び番号2の霧の、体積頻度による各粒度分布測定結果を重ねて示すグラフ。
【符号の説明】
【0057】
1 空調用霧発生装置
7 霧放出口
21 水収容部
29 霧チャンバー
39 旋回流発生部
TND 旋回流
41 送風ファン
43 気流導入口
44 整流板
49 気流導入通路
51 超音波振動子
【技術分野】
【0001】
この発明は水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特公平5−587555号公報
【特許文献2】実開平4−126717号公報
【特許文献3】特表2001−510731号公報
【特許文献4】特開2001−304638号公報
【0003】
特許文献1〜特許文献4には、超音波振動子により水分子を霧化するようにした噴霧装置が開示されている。噴霧や超音波摩擦により霧化された水粒子は、いわゆるレナード効果により正帯電し、空気中には電荷バランスにより同量の負イオンを生ずる。これを空気中に放出することで、室内(あるいは車内)の消臭効果、室内空気の浄化、室内インテリアの帯電防止などの効果を発揮できるので、空気浄化装置として既に種々の提案がなされている(特許文献1,2)。また、水滴放出による加湿効果も期待できる。
【0004】
噴霧や超音波振動摩擦により発生した霧粒子には粗大な水滴も含まれるため、そのまま放出すると、周囲の物品に水滴が付着して濡らしてしまう問題がある。そこで、特許文献3,4には、噴霧もしくは超音波により発生した霧を、送風機により一旦管路に導き、その管路の途中に設けられたサイクロンにより粗大な水滴を捕集して、微細な水滴のみを放出する提案がなされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献4の噴霧装置は、文献中では目視し難くガラス板も濡らさないほどの微粒子が得られたと謳われているが、図3や図4の粒子径ヒストグラムを見る限り、10μmを超える大粒子径の水滴が数%程度も存在し、平均粒径も5.7〜12μmと大きい。このような粒径分布は、水滴の発生量が多ければ明らかに視認可能であり、噴霧口の近くに立てば眼鏡等が曇ってしまう問題がある。考えられる問題点は、噴霧部からサイクロン捕集部までの管路長が長いため、微細な水滴同士が衝突を繰り返して凝集し、粒径が増大してしまうことが考えられる。結局、サイクロン捕集部に到達する頃には、超微粒子の水滴は凝集によりかなりの数が損なわれ、結果として、サイクロンで取りこぼされやすい中位粒径(例えば5〜20μm)の混入率が高まるのが原因ではないかと考えられる。
【0006】
本発明の課題は、加湿装置としての機能も期待できる程度に水滴発生量を多くすることができ、かつ、眼鏡等を曇らせる粗大な水滴の残留量も大幅に低減できる空調用霧発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記課題を解決するための、本発明の空調用霧発生装置は、
霧発生源となる水を収容する水収容部と、
水収容部内の水と接触するように配置され、該水に超音波振動を付加する超音波振動子と、
水収容部内の水面の上方空間を周囲から区画するとともに、気流導入口と、該気流導入口よりも上方に位置する霧放出口とが形成された霧チャンバーと、
超音波振動の付加により水収容部内の水面から霧チャンバーの内部空間に立ち上る霧に対し、水面と交差する軸線周りの旋回気流を、霧チャンバーの気流導入口より導入することにより、一定粒子径以上の霧粒子を旋回流とともに水面に戻す旋回流発生部と、を有し、
旋回流に打ち勝って上昇離脱する霧粒子を、空調されるべき周囲雰囲気に向けて霧放出口より放出することを特徴とする。
【0008】
上記本発明の空調用霧発生装置の第一によると、超音波振動により霧発生させることで、放出される水滴の帯電効果が増加し、イオン発生効果を高めることができるので、単なる加湿効果に留まらず、室内空気の浄化や、室内インテリアの帯電防止などの効果を挙げることができる。そして、超音波振動が加えられる水面の上方空間を霧チャンバーで覆い、そのチャンバー内でサイクロン効果を生ずる旋回流を発生させ、その旋回流に打ち勝って上昇離脱する霧粒子を、空調されるべき周囲雰囲気に向けて霧放出口より放出するようにしたので、発生した霧粒子が長い管路を搬送されることなく、粗大な粒子は速やかに振動付加される水面に戻り、微粒子は霧放出口から放出される。その結果、加湿装置としての機能も期待できる程度に水滴発生量を多くすることができ、かつ、眼鏡等を曇らせる粗大な水滴の残留量も大幅に低減できる。
【0009】
上記方式によると、放出される霧の気水体積比は40以上1400以下(望ましくは400以上1300以下)に高めることも可能である。気水体積比が40未満では水分含有比率が高くなりすぎて、大粒の水滴の存在比率も上昇し、空調されるべき室内に放出された際に、室内に置かれているものを濡らしたり、霧放出口に近づいた人の眼鏡などを曇らせる惧れがある。他方、気水体積比が1400を超えると加湿性能やイオン発生能力が不十分となり、空調用としての機能が損なわれる。上記本発明の利点は、このように気水体積比を高めても粗大な水滴の残留量を十分に低減できる点にある。
【0010】
霧発生源となる水は水温が1℃以上30℃以下(望ましくは4℃以上20℃以下)のものを使用するのがよい。この水温は、特に加熱を行なわない常温の水の温度範囲であり、加熱方式の加湿器と異なり、微粒子の霧を低温で発生できることを意味する。特に冬季において、温度の高い水蒸気を発生しつづけると、冷えた家具類やガラスに水滴が凝結して濡らしてしまう不具合を生じやすくなるが、上記のように超音波で常温の水を直接霧化することで、上記のような凝結が生じにくくなり、また、本発明の採用により、室内の湿度調整にも十分使用できる上記放出量も確保できる。他方、ミストサウナなど、人体に霧滴を接触させる形で使用する場合は、霧滴の温度が体温になるべく接近していることが望ましく、この場合は使用する水温を30℃を超え、45℃以下に設定することが望ましい。水温が30℃以下では霧滴を冷たく感じすぎ、45℃を超えると逆に熱く感じすぎる場合がある。
【0011】
上記本発明によると、旋回流を霧発生源となる水面の直上で、分級のための旋回流を発生させることにより、粒径が10μm以上(望ましくは5μm以上)の霧粒子を主体に水面に戻すことができる。特に、上記のように比較的高密度の霧粒子を発生させる場合、10μm以上の霧粒子を旋回流により分級・カットすることは、周囲を水滴で濡らしたり、ガラスや眼鏡を曇らせたりする不具合(以下、水付着の不具合という)を防止する上で特に重要である。
【0012】
以下の説明に使用する各種粒径パラメータの定義を数1にまとめて示す。
【数1】
【0013】
水付着の不具合防止の観点からは、具体的には、放出される霧粒子は、粒径が10μm以上のものの相対数頻度が1%以下(0%を含む)となっていること、より望ましくは、粒径が4μm以上のものの相対数頻度が1%以下(0%を含む)となっているのがよい。また、体積平均粒径においては10μm以下(下限値については、技術的には3μm程度まで縮小することが十分に可能である)となっていること、さらには、粒径が10μm以下のものの相対体積頻度が70%以上(望ましくは80%以上、より望ましくは90%以上:上限値は99.5%程度までは十分可能である)となっていることが望ましい。
【0014】
また、イオン発生効果と、上記水付着の不具合を防止する効果は、放出される霧粒子の数平均粒径を3μm以下(望ましくは1.5μm以下、さらに望ましくは1μm以下:か現地は。0.5μm程度までは十分可能である)とした場合に特に著しい。また、イオン発生効果は、放出される霧粒子において、粒径が1μm以下のものの数比率が60%以上となっている場合に特に著しくなり、このように粒度調整された霧を発生させることにより、例えば、ホテルのルームやホールあるいはバスの車内などでのタバコの煙の付着臭や、セレモニーホールでの線香の煙の付着臭を、短時間の内に消し去ることができるなど、極めて優れた消臭効果を達成することができる。この観点では、放出される霧粒子において、粒径が1μm以下のものの数比率が、望ましくは70%以上、さらに望ましくは80%以上(上限値は、90%程度までは十分可能である)となっているのがよい。また、イオン発生効果は、霧化される水粒子を単位体積だけ集めたときの、粒子の合計表面積が大きいほど高くなる。後者の合計表面積は、ザウター平均粒径により相対的に評価が可能である。本発明の霧化装置によると、このザウター平均粒径を6μm以下、望ましくは3.5μm以下、より望ましくは3μm以下(下限値が2μm程度まで可能である)とすることができ、上述の消臭効果を飛躍的に高めることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態をなす空調用霧発生装置1の外観を示す三面図であり、図4はその内部構造を示す正面図、図5は、図1の空調用霧発生装置1の要部を取り出して示す斜視図である。図5に示すように、該要部は、霧発生源となる水を収容する水収容部21と、水収容部21内の水と接触するように配置され、該水に超音波振動を付加する超音波振動子51と、水収容部21内の水面WLの上方空間を周囲から区画するとともに、気流導入口43と、該気流導入口43よりも上方に位置する霧放出口7とが形成された霧チャンバー29と、超音波振動の付加により水収容部21内の水面WLから霧チャンバー29の内部空間に立ち上る霧に対し、水面WLと交差する軸線周りの旋回気流TNDを、霧チャンバー29の気流導入口43より導入することにより、遠心力と重力とによる下降渦流軌跡に沿って一定粒子径以上の霧粒子を水面WLに戻す旋回流発生部39とを有する。他方、旋回流TNDに打ち勝って上昇離脱する小粒径の霧粒子は、空調されるべき周囲雰囲気に向けて霧放出口7から放出される。
【0016】
上記構成によると、超音波振動により霧発生させることで、放出される水滴の帯電効果が増加し、イオン発生効果を高めることができ、ひいては室内空気の浄化や、室内インテリアの帯電防止などの効果を挙げることができる。また、超音波振動が加えられる水面WLの直上空間を霧チャンバー29で覆い、そのチャンバー29内でサイクロン効果を生ずる旋回流TNDを発生させ、その旋回流TNDに打ち勝って上昇離脱する霧粒子を、空調されるべき周囲雰囲気に向けて霧放出口7より放出するようにした。発生した霧粒子が長い管路を搬送されることなく、粗大な粒子は速やかに振動付加される水面に戻り、微粒子は霧放出口7から放出される。その結果、加湿装置としての機能も期待できる程度に水滴発生量を多くすることができ、かつ、眼鏡等を曇らせる粗大な水滴の残留量も大幅に低減できる。
【0017】
図5に示すように、超音波振動子51は、霧チャンバー29の内部空間に対応する位置にて、水収容部21の底部21Bに配置されている。超音波振動子51の振動方向は水面WLの法線方向とほぼ一致(厳密には、後述のごとく1〜10°程度傾けてある)しており、水面WLに対して霧発生のための振動を効率良く付加できる。
【0018】
図6は空調用霧発生装置1の要部を三面図にて示したもので、旋回流発生部39は、霧チャンバー29の外側に設けられ気流導入口43にて該霧チャンバー29の内部空間と連通する気流導入通路49と、該気流導入通路49に外気を吹き込む送風ファン41とを有する。霧チャンバー29の外部から旋回流発生のための気流を吹き込むことで、旋回流による霧粒子の分級を効率良く行なうことができる。また、霧チャンバー29の内部には、気流導入口43からの気流の導入方向において該気流導入口43と対向する位置に、導入された気流を、形成すべき旋回流の旋回方向に迂回させる整流板44が配置されている。整流板44に送風ファン41からの気流を衝突させることにより乱流が発生し、旋回流を効率的に生ずることができるほか、気流の速度が適度に減速し、大粒の霧粒子をより確実に除去することができる。
【0019】
具体的には、気流導入口43は霧チャンバー29の側壁部30Sに形成されている。また、整流板44は、気流導入口43から霧チャンバー29の内側に一定距離離間した位置にて、旋回流の軸線に板面が沿うように、その幅方向の一端縁が霧チャンバー29の内壁面に固定され、該整流板44により霧チャンバー29の内側空間が、気流導入口43に面した第一空間29Aと、これと反対側の第二空間29Bとに仕切られている。それら第一空間29Aと第二空間29Bとは、整流板44の他端縁と霧チャンバー29の側壁部30Sとの間に形成された隙間を介して連通している。気流導入口43から第一空間29Aに導入された気流は整流板44に衝突した後、隙間に向けて迂回し、該隙間を経て第二空間29B内に旋回しつつ導入される。霧チャンバー29の内部空間を仕切る形で整流板44を設けることで、送風ファン41からの気流は空間的な広がりの大きい霧チャンバー29に導入されることで一旦減圧するので、微細な霧粒子をより効率的に分離・放出するころができ、また、整流板44による減速効果も一層高められるので、大粒の霧粒子をより確実に除去できる。また、旋回流発生部39側への負圧が減じられるので、送風ファン41の回転負荷を減少することができる。
【0020】
図5に示すように、霧チャンバー29は、水面WLの上方に配置される縦長のダクト形態を有し、整流板44もこれに対応した縦長に形成することができる。これにより、旋回流TNDの軸線方向の形成長が増大するので、微細な霧粒子を上昇・分離する効果がより高められる。この場合、気流導入口43は、整流板44と長手方向が一致した縦長の形状に、霧チャンバー29の側壁部30Sに開口形成することで、上記の効果は一層高められる(ただし、より小寸法の開口を上記長手方向に所定の間隔で複数個形成することも可能である)。本実施形態において、霧チャンバー29は、水平断面が四辺形状の外形を有し、整流板44は縦長長方形状に形成されるとともに、霧チャンバー29の水平断面の一辺をなす側壁部30Sに、その長辺をなす一縁部が接合されてなる。このような形状の霧チャンバー29(及びこれを含む装置要部)は、ステンレス鋼板などの板金素材の曲げ加工により製造が極めて容易である。
【0021】
また、図5及び図6に示すように、本実施形態においては、気流導入口43の形成位置にて霧チャンバー29の側壁部30Sから側方に延出する扁平形状のファン収容ケース40が設けられ、該ファン収容ケース40の一方の主表面に気流吸い込み口42が形成されるとともに、該ファン収容ケース40内において当該気流吸い込み口42に対応する位置に、主表面法線に沿って回転軸線が位置するように送風ファン41が収容されてなる。縦長の気流吸い込み口42の幅方向に送風ファン41の厚み方向が一致する形となるので、ファン収容ケース40の厚みを減ずることができ、霧チャンバー29を含めた装置要部をよりコンパクトに構成できる。
【0022】
この場合、図7に示すように、送風ファン41の回転軸線方向において、ファン収容ケース40の気流吸い込み口42が形成されている側を前方側として、ファン収容ケース40内において送風ファン41の後方空間を気流導入通路49とし、送風ファン41により流吸い込み口から気流導入通路49内に吸い込まれた気流が、ファン収容ケース40の後方壁部に衝突することより、霧チャンバー29への気流導入口43に向けて方向転換される構成を採用することができる。これにより、ファン収容ケース40の厚み方向寸法をより縮小できるとともに、縦長の気流導入口43の幅方向寸法よりも径大の送風ファン41を使用できるから、細長い気流導入口43に十分な量の気流を送り込むことができる。
【0023】
また、整流板44の長手方向における下端縁は、水面WLよりも下方であって、水収容部21の底面よりも上方に位置するように配置されている。このようにすることで、水面WLより立ち上る霧粒子のうち、分級された小粒径の霧粒子を効率的に放出することができ、ひいては、粗大粒子が十分に除去されているにも拘わらず水滴発生量を多くする効果が一層高められる。図8左に示すように、整流板44の長手方向における下端縁を水面よりも上方に配置すると、第一空間29A側から、整流板44の下縁と水面WLとの間を通って第一空間29B側にバイパスする気流が発生し、そのバイパス流の風圧で水面WLが押さえ込まれ、水面WLからの微細な霧粒子の離脱が阻害される惧れがある。しかし、同図左に示すように、整流板44の長手方向における下端部を水没させることで水面WLを押さえ込むバイパス流を解消することができ、小粒径の霧粒子も効率的に放出できる。
【0024】
本実施形態では、図6に示すように、整流板44の上端縁が、霧チャンバー29の側壁部30S内面との間に形成する第一空間29Aの開口が天板46により塞がれており、第一空間29A内に導入された気流が上方に逃げてロスする不具合が防止されている。
【0025】
図5及び図6に示すように、水収容部21は、霧チャンバー29の直下領域に位置する第一収容室21Aと、その側方に延出した第二収容室21Bとを有するものとして構成されている。超音波振動子51は第一収容室21Aの底面に配置される一方、それら第一収容室21Aと第二収容室21Bとが互いに連通し、第二収容室21Bから給水されるように構成されている。このようにしておくと、霧チャンバー29をいちいち取り外さなくとも、該霧チャンバー29の直下領域から外に延出した第二収容室21Bから給水可能となり、給水作業が容易である。この場合、第一収容室21Aと第二収容室21Bとの境界に対応した霧チャンバー29の側壁部30の下端縁を、水面WLよりも下方であって、水収容部21の底面よりも上方に位置させることができる。霧チャンバー29の側壁部30が水面下に没することで、霧チャンバー29の側壁部30の下縁と水面WLとの間に隙間が生じず、霧チャンバー29内の気流をスムーズに霧放出口7に導くことができ、ひいては小粒径の霧粒子も効率的に放出できる効果が高められる。また、超音波振動子51は、霧チャンバー29の直下において第一収容室21Aの底面に配置されるから、水面WLから発生した霧を霧チャンバー29内に漏れなく導くことができる。
【0026】
ところで、超音波振動子51は、霧発生中は水面下に没した状態が継続するので、長期に渡って使用を続けると、超音波振動子51の表面に水垢等の汚れが付着し、振動が阻害される不具合につながる。従って、超音波振動子51の表面は定期的にクリーニングする必要が生ずる。しかし、上記のように霧チャンバー29の側壁部30が水面下に没する隔壁として機能している場合、そのままでは、霧チャンバー直下の第二収容室21B内に手を入れて超音波振動子51の表面を拭ったりするのは難しい。そこで、本実施形態では、図5に示すごとく、給水側となる第二収容室21Bは上面が上面側開口部21Uにより開放形態とされてなり、図4に示すごとく、第一収容室21Aと第二収容室21Bとの境界に対応した霧チャンバー29の側壁部30が、上下方向にスライド可能なスライド壁部とされている。このように構成しておくと、側壁部30を上方にスライドさせることで、上部が開放した第一収容室21Aから第二収容室21B内に楽に手を入れることができ、超音波振動子51の表面を容易にクリーニングすすることができる。
【0027】
本実施形態では、図4に示すように、側壁部30の昇降に伴い、これと一体に設けられた雄ねじ部付きのスライドピン30pを、後述の本体ケース2の上部に形成された縦方向の長穴2s内にて移動させるようにするとともに、上限位置と下限位置とのそれぞれにおいて側壁部30を、スライドピン30p側の雄ねじ部に螺合する締め付けナット31により固定保持できるようにしている。
【0028】
図4に示すように、第二収容室21Bの上方には水タンク20が着脱可能に配置されている。図3は、第二収容室21Bから水タンク20を取り外した状態を示しており、取り付け時には給排水口20Kが給排水口20K内に位置するように、上下反転した形でセットされる。そして、該水タンク20の水は、該水タンク20の底部に形成された給排水口20Kから第二収容室21Bに給水される。水収容部21とは別に水タンク20を設けることで、霧発生源となる水を多量に蓄えることができ、霧放出継続時間を延ばすことができる。
【0029】
図3に示すように、水タンク20は、給排水口20K以外が密閉構造とされ、かつ該給排水口20Kからは給水管23が延出している。図4に示すように、予め定められた基準水位WLまで満たされた第二収容室21Bに対し水タンク20は、給水管23の下端に形成された水排出開口23Kが基準水位WLよりも下方に位置するようにセットされ、霧化に伴う水位の低下を、サイフォンの原理に基づく水タンク20からの給水にて補うことにより、基準水位WLを維持するようにしてある。これにより霧発生中において水収容部21内の水位WLを常に一定に保つことができ、より安定的な霧発生状態を得ることができる。なお、図3において符号23pはバルブピンであり、水タンク20を上限反転したときは、給水管23内の図示しないフロートバルブが落ち込んで水の流出を阻止する。そして、バルブピン23pが第二収容室21の底に当たってフロートバルブが押し上げられると、タンク20内の水が給水管23から第二収容室21内に流れ出し、給水される。
【0030】
図3に示すように、本実施形態においては、ファン収容ケース40と霧チャンバー29とが霧分級ユニット60を構成し、これが装置基体2B上に配置されている。そして、該装置基体2B上にて水収容部21の第二収容室21Bは、ファン収容ケース40の前面側に延出する形態に配置されている。そして、該第二収容室21Bに隣接してファン収容ケース40の下側前方に水タンク20の底面を支持する水タンク支持台23が配設されている。図4に示すように、水タンク20は該水タンク支持台23上に、給排水口20Kが側方の第二収容室21B上方に位置するように、上下反転した形で配置されている。なお、タンク支持面となる水タンク支持台23の上面前端縁には、水タンク20の載置をガイドするとともに前後方向のタンクのがたつきを防止するガイド板22が立設されている。
【0031】
そして、ファン収容ケース40の前方側に位置する側面が開放する形態で、霧分級ユニット60を覆う本体ケース2が装置基体2Bに固定的に取り付けられる一方、該霧分級ユニット60の前方側に配置された水タンク20を覆うタンクカバー3が、本体ケース2に対して着脱可能に設けられている。図2はタンクカバー3を取り外した状態を、図1はタンクカバー3を装着した状態をそれぞれ示すものである。この構造により、装置から取り外した状態で水タンク20に給水でき、給水の便宜が図られている。また、水タンク20とともにタンクカバー3も取り外すことができ、第二収容室21B側から第一収容室21A内の超音波振動51をクリーニングする作業がより容易となる。装置基体2Bの底面にはキャスター10が設けられている。また、本体ケース2の上面には霧放出口7が開口するとともに、運搬用のハンドル6と取手5,5も取り付けられている。タンクカバー3は本体ケース2に対し、複数のターンオーバフック4にて着脱される。図4に示すように、霧放出口7には蛇腹式の霧放出管121が装着可能である。なお、タンクカバー3の側面には、水タンク20の水位を確認するための水位確認窓8(水位目盛9を有する)が形成されている。なお、図6に示すように、水収容部21の底面にはフロートスイッチ等からなる水位センサ66が設けられている。また、水収容部21内の水Wは排水口350(図4に示すドレンコック35により開閉される)から排出可能である。
【0032】
基準水位WLは、給水管23の下端開口位置とほぼ一致しているときに、霧発生効率が最も良好となる。給水管23から収容部21内に水を最初に供給する際には、多くの場合は水がオーバーフローして、水位がこの下端開口位置よりも高くなってしまう。そこで、排水口350の先に調整水排出容器120を設けておき、ドレンコック(バルブ)35を開いて水収容部21内の水Wを流出させ、基準水位WLは、給水管23の下端開口位置と一致したところでドレンコック35を閉じて水Wの排出を止めるようにする。水位が給水管23の下端開口位置と一致したかどうかは、水面が下端開口位置に差し掛かったとき、空気が該開口から給水管23内に逆流してゴボリと音を立てるのを確認すればよい。なお、ドレンコック(バルブ)35を電磁弁で置き換え、給水管23の下端開口位置に水位があるかどうかをフロートセンサ等のレベルセンサで検出し、電磁弁を随時開閉して水位を自動調整することも可能である(また、ポンプを用いて排出した水をタンクに戻すように構成してもよい)。
【0033】
図9に示すように、超音波振動子51は、圧電振動体51Pの上面が水収容部21の底面に露出するとともに、該圧電振動体51Pの振動軸線OLが鉛直方向VLに対して一定角度傾くように、水収容部21の底面に取り付けられている。振動軸線OLが鉛直方向VLに一致していると、図10の左に示すように、振動により真上に放出された霧粒子FPが、次に放出される霧粒子FPと衝突して凝集し、霧化効率が悪化する惧れがある。そこで、図10の右に示すように、振動軸線OLが鉛直方向VLに対して一定角度θ(例えば1〜10°が適当である)だけ傾けておくと、放出された霧粒子FPは放物線を描きながら水平方向に逃げ、次の霧粒子FPと衝突する確率が減ずるので、霧化効率を向上することができる。
【0034】
図9において圧電振動体51Pは、振動面となる上面を露出させた形でゴム製のシールケース51Sに埋め込まれ、該シールケース51Sがさらに、金属製の鍔状のケーシング51Bに取り付けられている。水収容部21の底部21Bには、圧電振動体51Pの振動面を露出させるための開口21Cが形成されており、その開口21Cの周囲において底部21Bの下面からは、圧電振動体51Pを固定するためのねじ部材(ここでは、底部21Bに溶接されたスタッドボルト)52,52が延出している。ケーシング51Bはスペーサ54を介して、自身に形成された貫通孔51h,51hに上記ねじ部材52,52が通され、反対側に突出したねじ部材52,52の脚部末端にナット53を締め付けて固定される。シールケース51Sはケーシング51Bと水収容部21の底部21Bとの間で圧縮されて、開口21Cの周囲をシールする。スペーサ54は、シールケース51Sのクラッシュハイト(例えば約2mm)を規定する役割を果たす。
【0035】
図11及び図12に示すように、装置の霧化効率を高めるには、複数個の超音波振動子51を水収容部21の底部21Bに対し取り付けることが望ましい。この場合、各超音波振動子51の振動軸線OLが上方に向うほど互いに離間する形態で取り付けておくと、各超音波振動子51からの水滴が互いに遠ざかる向きに放出され、互いに異なる超音波振動子51が発生する水滴同士が衝突・凝集する不具合を効果的に防止することができる。図11に示すように、2個の超音波振動子51,51を配設する場合は、各振動軸線OL,OLが、上側ほど遠ざかるように配置すれば効果的である(この場合、鉛直方向の同一面内にて、各振動軸線OL,OLが下側で交差する配置(実線矢印)と、交差しない配置(一点鎖線矢印:振動軸線OL,OLがいわゆるねじれの位置にある配置である)。また、互いに異なる超音波振動子51が発生する水滴同士が衝突・凝集する不具合を防止するには、各振動軸線OL,OLが上方に向うほど接近する形態になっていなければ一定の効果をあげることができ、例えば振動軸線OL,OLを互いに平行に配置することも可能である。
【0036】
図12は、水収容部21の底部21Bに4個の超音波振動子51を配置する例である。4個の超音波振動子51は、鉛直軸線VLの周りに一定の角度間隔で配置され、各振動軸線OLは、実線矢印で示すように、上方に向うほど鉛直軸線VLに関する半径方向に互いに遠ざかるように配置されている。なお、一点鎖線矢印は、4つの超音波振動子51を、2個を1対として、各対の中で振動軸線OL,OLを図1と同様に配置した別例を示すものである。
【0037】
図1に示すように、本体ケース2の表面には操作ユニット11が取り付けられている。操作ユニット11には、切替えスイッチ12、水位インジケータ15及び動作インジケータ13,14(各インジケータはいずれもLEDからなる)が設けられている。図4に示すように、本体ケース2の内部には、該操作ユニット11に対応する制御基板34が取り付けられている。図13は、制御基板34の電気的構成を示すブロック図であり、制御の主体はCPU62、ROM62、RAM63、入出力部64を有したマイコン60である。
【0038】
入出力部64には、切替えスイッチ12、水位センサ66、各インジケータ13,14,15をなすLEDが接続されている。また、超音波振動子51はドライバ65を介して入出力部64に接続されている。切替えスイッチ12は超音波振動子51の双方をOFFとした状態(OFFモード)、一方のみをONとした状態(第一ONモード)及び双方をONとした状態(第二ONモード)の3つのモードを切替えるためのものであり、OFFモードではどのLEDも点灯せず、第一ONモードでは動作インジケータ13,14の一方をなすLEDだけが点灯し、第二ONモードでは動作インジケータ13,14の双方をなすLEDが点灯する。また、水位センサ66が一定レベル以下への水位低下を検出した場合は水位インジケータ15をなすLEDを点灯させ、かつ、切替えスイッチ12が第一ONモードないし第二ONモードとなっていても、超音波振動子51は動作遮断される。これらの動作シーケンスを実現する制御プログラムはROM62の中に書き込まれ、RAM63にロードされてCPU61により実行される。なお、図示はしていないが、空調用霧発生装置1の動作継続時間を制限したり、設定時刻に動作開始ないし停止させるためのタイマーを設けることも可能である。
【0039】
本実施形態の空調用霧発生装置1は、その要部の寸法及び仕様が以下のごとく定められている。
・送風ファン41:直径100〜150mm、奥行(図7:b)30〜40mm、回転数1500〜5000rpm
・気流導入通路49:奥行(図7:a)20〜30mm、高さ(図6:g)80〜130mm
・霧チャンバ29:高さ250〜450mm、幅及び奥行(図7:h)70〜110mm、第一空間29Aの幅(図7:c)17〜30mm、第二空間29Bの幅(図7:e)55〜70mm
・整流板44:高さ(図6:h)250〜300mm、気流導入口43の後方縁からの突出高さ(図7:d)17〜30mm、粒径が10μm以上の霧粒子を主体に水面に戻す。
・水位WL(図6:i):20〜30mm
・水温:1℃以上30℃以下(望ましくは4℃以上20℃以下)
・放出される霧粒子:気水体積比:40以上1400以下、粒径が10μm以上のものの相対数頻度が1%以下(望ましくは、粒径が4μm以上のものの相対数頻度が1%以下)、数平均粒径0.5μm以上3μm以下、体積平均粒径3μm以上10μm以下、粒径が10μm以下のものの相対体積頻度が70%以上、粒径が1μm以下のものの数比率が60%以上(望ましくは70%以上)。
・超音波振動子51:振動駆動周波数1MHz以上3MHz以下
【0040】
また、本実施形態では、水Wとして高圧交流電界を印加処理したものを使用する。これにより、霧粒子を微細化する効果が一層高められ、かつ、放出される霧粒子の粒径分布をシャープにすることができる。その結果、高圧交流電界が印加処理されない水を使用した場合と比較して、霧放出に伴う水の消費速度が減少し、霧発生の連続継続時間を延ばすことができる。さらに、高圧交流電界を印加処理したものは、粒子の微細化がさらに進みやすくなり、粒径1μm以下の粒子の比率が高められ、消臭効果等により優れた霧を発生することが可能となる。
【0041】
図14は、高圧交流電界を印加処理するための水処理装置の一例を示すものであり、これで処理した水Wを上記の霧発生装置1に使用するのである。水処理装置101は、水Wを収容する処理容器102と、該水W中に配置される放電電極103とを備える。放電電極103は、処理容器2内の水W中に配置される絶縁体(ガラス又はセラミック製である)からなる電極ケース106と、電極ケース106により水系被処理液体から隔離された状態で、該電極ケース106内に配置され、一端が電気的に開放となり、他端が交流高電圧電源107に接続される主電極104と、電界集中を生じさせるための尖鋭部を主電極104の周囲に分散形成するために、主電極104の周囲にこれと接して配置される副電極105とを備える。放電電極103は、交流高電圧電源107に接続することにより高圧交流電界AEFを発生し、電極ケース102の絶縁性壁部を介して水Wにこれを印加する。交流高電圧電源107は商用交流電源109とトランス108とを有し、電源電圧を一定の昇圧比で昇圧して放電電極103に印加する。なお、商用交流電源109とトランス108との間に周波数変換用のインバータを設けてもよい。
【0042】
図15に示すように、放電電極103は、主電極104を例えばCu製の金属棒にて形成する一方、副電極105は、Cu線などの金属線材5Wを束ねた集積体を、主電極104の外周面上に設定された一定の巻き付け経路(本実施形態ではらせん状の経路である)に沿って、断続的に主電極104との接点が生ずるように巻き付ける形で形成している。また、電極ケース106は、主電極104を、これに巻き付けられた副電極105とともに覆うチューブ状(筒状)に形成されている。該構造は、複数の細い金属線材105W(線径0.01mm以上0.5mm以下)をねじり等により束ね、接点が断続的に生ずるように、不定形無作為に線材を折れ変形させながら主電極104の外周面に緩く巻きつけることにより形成でき、線材の折れ変形を主電極104の長手方向と周方向にランダムに多数生じさせることができる。これにより、主電極104の周囲には、折れ変形部や、ささくれだった線材端部などにより先鋭部105tが多数一様に分散形成される。放電電極103に極端な高圧・高周波を印加しなくとも、副電極5が形成する多数の尖鋭部105tでは電界集中して電界強度が高められ、水分子やイオンの凝集ないし会合の解消や運動活性化を、水W中にて局所的かつ分散形態で促進することができる。その結果、装置を大型化することなく、交流高電圧印加特有の処理を水Wに対し効率的に行なうことができる。本実施形態では、処理容器102は例えば金属製タンクである。このような高電圧印加により凝集した水イオンのクラスターが解消されるので、超音波印加により、より微細な霧粒子に分裂しやすくなるものと推測される。
【0043】
交流高電圧電源107にて放電電極103に印加する交流高電圧は、例えば1000V以上10000V以下の範囲で調整される。1000V未満では電圧印加による上記効果が乏しく、10000Vを超えると装置が大型化し、また、有用成分の分解などの好ましくない現象も起こりうる。また、交流高電圧の周波数は、同様の理由により、10Hz以上1kHz以下に設定するのがよい。本実施形態で採用している条件は、電圧が1800V、周波数は60Hz(つまり、商用交流の周波数)である。この処理をした水Wを図1〜図7に開示した霧発生装置1の霧発生源として使用し、霧発生動作を連続的に継続したところ、処理しない水Wを使用した場合と比較して、水の消費速度が約半分に減少した。
【0044】
本実施形態では、処理容器2内に透液性壁部(例えば網やパンチングメタルで構成されている)を有する容器110が設けられており、容器110内には、トルマリンなど電界発生能を有する補助媒体111が収容されている。水Wは補助媒体111と接触することで、クラスター解消効果がさらに高められる。ただし、容器110及び補助媒体111は省略してもよい。
【実施例】
【0045】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実験結果について説明する。
図1〜図7に開示した空調用霧発生装置1を用い、種々の条件で霧を発生させた。装置要部の寸法及び仕様は以下のように設定した。
・送風ファン41:直径120mm、奥行(図7:b)35mm、回転数3000rpm。
・気流導入通路49:奥行(図7:a)25mm、高さ(図6:g)100mm
・霧チャンバ29:高さ370mm、幅及び奥行(図7:h)85mm、第一空間29Aの幅(図7:c)21mm、第二空間29Bの幅(図7:e)65mm
・整流板44:高さ(図6:h)275mm、気流導入口43の後方縁からの突出高さ(図7:d)0〜30mmの範囲内で種々に変更。この値により、放出される霧粒子の粒度分が種々に調整される。後述の表1において、番号8は、整流板44を取り除いた場合の比較例である。
・水位WL(図6:i):25mm
・水温:15℃、通常の水道水と、図15の装置により、電圧1800V、周波数は60Hzの交流高電圧を約2時間印加したものとの2種を使用した。後述の表1において、番号1が、交流高電圧処理した水を使用したもの、番号2〜8は、通常の水道水を使用したものに相当する。
・超音波振動子51:振動駆動周波数約2MHz
【0046】
発生させた霧の粒径分布を、レーザー回折式粒度分布測定装置(HELOS Particle Size Analysis:(株)日本レーザー製)により測定し、数平均粒径、体積平均粒径、ザウター平均粒径、粒度区間別の相対数頻度、相対体積頻度を求めた。以上の結果を表1に示す。
【0047】
また、室温10℃と20℃の2条件で、霧放出口7の上方10cm位置に眼鏡を10秒間かざし、水滴の付着があるかどうかを確認した。評価は、以下の基準で行なった。
◎:霧にかざしている間も全く眼鏡が曇らず、水滴付着しなかったもの。
○:曇りはほとんど生じないが、ごく小さな水滴付着のみ見られたもの。
△:霧にかざしている間は曇りを生ずるが、眼鏡を霧から外すと数秒以内に曇りがなくなるもの。
×:霧から眼鏡を外しても曇りが消えず、凝集した水滴が眼鏡の上を流れるもの。
【0048】
次に、この霧発生装置を、次のような条件で使用し、以下のような評価を行なった。
(1)広さ100m2、高さ3mの畳敷きの大広間にて、室温10℃にて種々の時間連続運転。
(2)広さ100m2、高さ3mの畳敷きの大広間にて、室温20℃にて種々の時間連続運転。
(3)広さ100m2、高さ3mの畳敷きの大広間にて、室温20℃にて種々の時間連続運転した後、装置を停止。その後、空調を切って5時間で室温を10℃まで下げた。
(4)広さ30m2、高さ10mの吹き上げ型ホールにて、室温20℃にて種々の時間連続運転。
いずれも、霧発生装置の使用に先立って、1日あたり約8時間、延べ40人に喫煙してもらう匂い付着処理を。3日間連続で行なった。運転開始後は、種々の運転時間毎に、非喫煙者10人を室内に入れ、臭いの残留を確認してもらった。また、部屋の4隅に研摩大理石製の石像(重さ10kg、高さ70cm)を置き、水滴の付着があるかどうかを確認した。また、24時間連続運転後の使用水量も調べた。
【0049】
評価基準は以下の通り((臭い評価結果/水滴付着評価結果)にて表示)。
(臭い評価)
◎:10人とも、臭い残留なしと回答。
○:1人のみ臭い残留ありと回答。
△:2人以上5人以下が臭い残留ありと回答。
×:5人以上が臭い残留ありと回答。
(水滴付着評価)
◎:乾いた手触りで、水滴付着なし。
○:少し湿った手触りを感ずる程度で、明確な水滴付着なし。
△:曇りは出ていないが、水滴の凝結が認められたもの。
×:像全面にべとついた曇りが生じ、水滴の凝結が多量に認められたもの。
以上の結果をまとめて表1に示す
【0050】
【表1】
【0051】
本発明の霧発生装置の採用により、放出される霧粒子は、粒径が10μm以上のものが効果的に取り除かれ、その相対数比率が低減されていることがわかる。整流板44の、気流導入口43の後方縁からの突出高さ(図7:d)が21mmのとき、発生する霧の粒度は最も小さくなった(番号1〜3)。これらについては、大広間の消臭効果はいずれも10分程度の短時間で明確に認められ、24時間の連続運転を行なっても、水滴の凝結はほとんど見られず、良好な結果が得られた。このうち、特に、交流高電圧印加処理した水を使用した番号1についは、普通の水道水を使用した番号2,3と比較して、24時間後の水の消費量が約半分になっており、かつ、1μm以下の粒子の体積頻度も高いため、天井の高い吹き上げ型ホールでも霧がよく立ち上り、良好な消臭効果が得られている。
【0052】
図16は番号1の霧の数頻度による粒度分布を、図17は番号2の霧の数頻度による粒度分布を、図3は番号1の霧の体積頻度による粒度分布をそれぞれ示すグラフであり、表2〜4は、これらグラフにそれぞれ対応する各粒径範囲ごとの相対頻度値を示すものである。図19は、番号1の霧と番号2の霧との体積頻度による粒度分布グラフを重ねて表示したものである。交流高電印加処理した水を用いた番号1の霧は、交流高電印加処理しない水を用いた番号2よりも、1μm以下の粒径域の体積頻度が明らかに上昇していることがわかる。
【0053】
【表2】
【0054】
【表3】
【0055】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の空調用霧発生装置の一実施形態の外観を示す三面図。
【図2】図1の空調用霧発生装置から本体カバーを取り外した状態を示す斜視図。
【図3】図2の状態から水タンクをさらに取り外した状態を示す斜視図。
【図4】図1の空調用霧発生装置の要部を示す正面図。
【図5】図1の空調用霧発生装置の要部を示す斜視図。
【図6】図1の空調用霧発生装置の要部を示す三面図。
【図7】図5の平面図を拡大して示す図。
【図8】整流板の位置による効果の差を示す説明図。
【図9】超音波振動子の取り付け形態を示す断面図。
【図10】超音波振動子の振動軸線の傾斜による効果を説明する図。
【図11】複数の超音波振動子の配置形態を、振動軸線の傾斜方向と合せて例示する第一の図。
【図12】同じく第二の図。
【図13】図1の空調用霧発生装置の電気的構成を示すブロック図。
【図14】図1の空調用霧発生装置に使用する水に高圧交流電界を印加処理する装置の一例を示す模式図。
【図15】図14の装置に使用する電極の説明図。
【図16】実施例の番号1の霧の数頻度による粒度分布測定結果を示すグラフ。
【図17】実施例の番号2の霧の数頻度による粒度分布測定結果を示すグラフ。
【図18】実施例の番号1の霧の体積頻度による粒度分布測定結果を示すグラフ。
【図19】実施例の番号1及び番号2の霧の、体積頻度による各粒度分布測定結果を重ねて示すグラフ。
【符号の説明】
【0057】
1 空調用霧発生装置
7 霧放出口
21 水収容部
29 霧チャンバー
39 旋回流発生部
TND 旋回流
41 送風ファン
43 気流導入口
44 整流板
49 気流導入通路
51 超音波振動子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧発生源となる水を収容する水収容部と、
前記水収容部内の前記水と接触するように配置され、該水に超音波振動を付加する超音波振動子と、
前記水収容部内の水面の上方空間を周囲から区画するとともに、気流導入口と、該気流導入口よりも上方に位置する霧放出口とが形成された霧チャンバーと、
前記超音波振動の付加により前記水収容部内の水面から前記霧チャンバーの内部空間に立ち上る霧に対し、前記水面と交差する軸線周りの旋回気流を、前記霧チャンバーの前記気流導入口より導入することにより、一定粒子径以上の霧粒子を前記旋回流とともに前記水面に戻す旋回流発生部と、を有し、
前記旋回流に打ち勝って上昇離脱する霧粒子を、空調されるべき周囲雰囲気に向けて前記霧放出口より放出することを特徴とする空調用霧発生装置。
【請求項2】
前記霧発生源となる水は水温が1℃以上30℃以下のものが使用される請求項1記載の空調用霧発生装置。
【請求項3】
前記霧発生源となる水は水温が30℃超45℃以下のものが使用される請求項1記載の空調用霧発生装置。
【請求項4】
前記旋回流により前記水面に戻される霧粒子は、主に粒径が10μm以上のものである請求項2又は請求項3に記載の空調用霧発生装置。
【請求項5】
放出される前記霧粒子は、粒径が10μm以上のものの相対数頻度が1%以下である請求項4記載の空調用霧発生装置。
【請求項6】
放出される前記霧粒子は、数平均粒径が3μm以下である請求項3又は請求項5に記載の空調用霧発生装置。
【請求項7】
放出される前記霧粒子は、粒径が1μm以下のものの数比率が60%以上である請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項8】
放出される霧粒子は、粒径が4μm以上のものの相対数頻度が10%以下である請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項9】
放出される霧粒子は、体積平均粒径が10μm以下である請求項4ないし請求項8のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項10】
放出される霧粒子は、粒径が10μm以下のものの相対体積頻度が70%以上であ請求項4ないし請求項9のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項11】
前記霧チャンバーの内部には、前記気流導入口からの気流の導入方向において該気流導入口と対向する位置に、導入された前記気流を、形成すべき旋回流の旋回方向に迂回させる整流板が配置されている請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項12】
前記気流導入口は前記霧チャンバーの側壁部に形成され、
前記整流板は、前記気流導入口から前記霧チャンバーの内側に一定距離離間した位置にて、前記旋回流の軸線に板面が沿うように、その幅方向の一端縁が前記内壁部に固定され、該整流板により前記霧チャンバーの内側空間が、前記気流導入口に面した第一空間と、これと反対側の第二空間とに仕切られるとともに、それら第一空間と第二空間とが前記整流板の他端縁と前記霧チャンバーの側壁部との間に形成された隙間を介して連通してなり、
前記気流導入口から前記第一空間に導入された気流は前記整流板に衝突した後、前記隙間に向けて迂回し、該隙間を経て前記第二空間内に旋回しつつ導入される請求項11に記載の空調用霧発生装置。
【請求項13】
前記霧チャンバーは、前記水面の上方に配置される縦長のダクト形態を有し、前記整流板もこれに対応した縦長に形成されてなる請求項11又は請求項12に記載の空調用霧発生装置。
【請求項14】
前記整流板の長手方向における下端縁が、前記水面よりも下方であって、前記水収容部の底面よりも上方に位置してなる請求項13記載の空調用霧発生装置。
【請求項15】
前記超音波振動子は、圧電振動体の上面が前記水収容部の底面に露出するとともに、該圧電振動体の振動軸線が鉛直方向に対して一定角度傾くように、前記水収容部の底面に取り付けられている請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項16】
複数個の前記超音波振動子が前記水収容部の底面に対し、各超音波振動子の振動軸線が上方に向うほど互いに離間する形態で取り付けられている請求項15記載の空調用霧発生装置。
【請求項17】
前記水として、高圧交流電界を印加処理したものを使用する請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項1】
霧発生源となる水を収容する水収容部と、
前記水収容部内の前記水と接触するように配置され、該水に超音波振動を付加する超音波振動子と、
前記水収容部内の水面の上方空間を周囲から区画するとともに、気流導入口と、該気流導入口よりも上方に位置する霧放出口とが形成された霧チャンバーと、
前記超音波振動の付加により前記水収容部内の水面から前記霧チャンバーの内部空間に立ち上る霧に対し、前記水面と交差する軸線周りの旋回気流を、前記霧チャンバーの前記気流導入口より導入することにより、一定粒子径以上の霧粒子を前記旋回流とともに前記水面に戻す旋回流発生部と、を有し、
前記旋回流に打ち勝って上昇離脱する霧粒子を、空調されるべき周囲雰囲気に向けて前記霧放出口より放出することを特徴とする空調用霧発生装置。
【請求項2】
前記霧発生源となる水は水温が1℃以上30℃以下のものが使用される請求項1記載の空調用霧発生装置。
【請求項3】
前記霧発生源となる水は水温が30℃超45℃以下のものが使用される請求項1記載の空調用霧発生装置。
【請求項4】
前記旋回流により前記水面に戻される霧粒子は、主に粒径が10μm以上のものである請求項2又は請求項3に記載の空調用霧発生装置。
【請求項5】
放出される前記霧粒子は、粒径が10μm以上のものの相対数頻度が1%以下である請求項4記載の空調用霧発生装置。
【請求項6】
放出される前記霧粒子は、数平均粒径が3μm以下である請求項3又は請求項5に記載の空調用霧発生装置。
【請求項7】
放出される前記霧粒子は、粒径が1μm以下のものの数比率が60%以上である請求項4ないし請求項6のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項8】
放出される霧粒子は、粒径が4μm以上のものの相対数頻度が10%以下である請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項9】
放出される霧粒子は、体積平均粒径が10μm以下である請求項4ないし請求項8のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項10】
放出される霧粒子は、粒径が10μm以下のものの相対体積頻度が70%以上であ請求項4ないし請求項9のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項11】
前記霧チャンバーの内部には、前記気流導入口からの気流の導入方向において該気流導入口と対向する位置に、導入された前記気流を、形成すべき旋回流の旋回方向に迂回させる整流板が配置されている請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項12】
前記気流導入口は前記霧チャンバーの側壁部に形成され、
前記整流板は、前記気流導入口から前記霧チャンバーの内側に一定距離離間した位置にて、前記旋回流の軸線に板面が沿うように、その幅方向の一端縁が前記内壁部に固定され、該整流板により前記霧チャンバーの内側空間が、前記気流導入口に面した第一空間と、これと反対側の第二空間とに仕切られるとともに、それら第一空間と第二空間とが前記整流板の他端縁と前記霧チャンバーの側壁部との間に形成された隙間を介して連通してなり、
前記気流導入口から前記第一空間に導入された気流は前記整流板に衝突した後、前記隙間に向けて迂回し、該隙間を経て前記第二空間内に旋回しつつ導入される請求項11に記載の空調用霧発生装置。
【請求項13】
前記霧チャンバーは、前記水面の上方に配置される縦長のダクト形態を有し、前記整流板もこれに対応した縦長に形成されてなる請求項11又は請求項12に記載の空調用霧発生装置。
【請求項14】
前記整流板の長手方向における下端縁が、前記水面よりも下方であって、前記水収容部の底面よりも上方に位置してなる請求項13記載の空調用霧発生装置。
【請求項15】
前記超音波振動子は、圧電振動体の上面が前記水収容部の底面に露出するとともに、該圧電振動体の振動軸線が鉛直方向に対して一定角度傾くように、前記水収容部の底面に取り付けられている請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【請求項16】
複数個の前記超音波振動子が前記水収容部の底面に対し、各超音波振動子の振動軸線が上方に向うほど互いに離間する形態で取り付けられている請求項15記載の空調用霧発生装置。
【請求項17】
前記水として、高圧交流電界を印加処理したものを使用する請求項1ないし請求項16のいずれか1項に記載の空調用霧発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−136873(P2006−136873A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299319(P2005−299319)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(394013943)福助工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(394013943)福助工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】
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