説明

空間光測定用光ファイバ変換器、評価システムおよび測定システム

【課題】空間光を簡易な構成で効率的に光ファイバに入力可能な空間光測定用光ファイバ変換器を提供する。
【解決手段】本発明の空間光測定用光ファイバ変換器は、集光鏡と、集光鏡の焦点にその先端が配置され集光鏡で反射された光が入射される光ファイバプローブと、を備える。集光鏡は、例えば放物面鏡や楕円面鏡である。楕円面鏡の場合、光ファイバプローブは、楕円面鏡の一方の焦点にその先端が配置され、楕円面鏡の他方の焦点に配置された点光源からの光が、楕円面鏡で反射されて前記光ファイバプローブに入射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光計測に関し、特に点光源あるいは面光源の発する空間光を光ファイバに効率的に入力する空間光測定用光ファイバ変換器、並びにそれを用いた評価システムおよび測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
光源から自由空間に放射された空間光のスペクトル分析を行うに際しての多波長分析器への空間光の取り込みは、入射スリットによるのが一般的である。また、空間光を積分球に取り込み、その中に光ファイバの芯を配置して光ファイバ入力の分光分析装置(光スペクトラムアナライザ等)へ導く方法もある。
【0003】
また、光源から自由空間に放射された空間光の全光束の光パワーを測定するには、配光パターン測定装置を用いる方法がある。また、空間光を積分球に取り込み、その中に光ファイバの芯を配置して光ファイバ入力の光パワーメータへ導く方法もある。
【0004】
また、人の目で感じられる明るさを測定するには、光源の照明効率が全光束/消費電力(lm(ルーメン)/W)で示されるので、全光束を測定し評価する。全光束とは、全方向に放射される空間光の明るさを足し合わせたものである。光束Φvは、各波長の光が運ぶ単位時間当たりのエネルギー(光パワースペクトラム)Φλ(λ)と光の波長に対する人間の目の感度(分光視感効率)V(λ)との波長積分で表される。すなわち、Φv=Km∫Φλ(λ)・V(λ)dλで表される。なお、Kmは最大視感効果度で、Km=683[lm/W]であり、その他の単位は、Φv:lm、Φλ(λ):W/nmである。また、分光視感効率は実際のデータと同等な波長透過特性を持つフィルタを光受光素子の前に配置してもよい。
(なお、明るさを表す量のうち、"照度"は光束Φvを面積Sで割ったもので単位はlx(ルックス)であり、"光度"は光束Φvを光源からの立体角Ωで割ったもので単位はcd(カンデラ)である。光束Φvを測定できれば、照度や光度への変換は容易である。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
光パワースペクトラム測定に際し、多波長分析器に入射スリットにより空間光を取り込む場合、取り込むことができる光の量は著しく制約され、それに加え、空間光取り込みのための測定システムの光学的配置等にも制約がある。一方、空間光を積分球に取り込み、その中に光ファイバの芯を配置して光ファイバ入力の多波長分析器に導く場合、取り込める光の量は、光ファイバの断面積と積分球の内面積との比に比例するため、減衰が著しく、測定ダイナミックレンジが狭いという欠点がある。
【0006】
また、光パワー測定に際し、全光束の光パワーを測定する場合、大がかりな配光パターン測定装置が必要になる。一方、空間光を積分球に取り込み、その中に光ファイバの芯を配置して光ファイバ入力の光パワーメータに導く場合、取り込める光の量は、光ファイバの断面積と積分球の内面積との比に比例するため、減衰が著しく、測定ダイナミックレンジが狭いという欠点がある。
【0007】
また、人の目で感じられる明るさの測定に際し、全光束を測定するためには光源の全周方向に受光器を回転させる大がかりな仕組みが必要であり、とりわけLED光源などの配光特性が複雑かつ多様な光源の場合は全光束の測定が難しい。
【0008】
本発明の目的は、空間光を簡易な構成で効率的に集光して光ファイバに入力することが可能な空間光測定用光ファイバ変換器、およびそれを用いた評価システムおよび測定システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の空間光測定用光ファイバ変換器は、集光鏡と、集光鏡の焦点にその先端が配置され集光鏡で反射された光が入射される光ファイバプローブと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の空間光測定用光ファイバ変換器によれば、空間光を簡易な構成で効率的に集光して光ファイバに入力することができるため、光学的配置の自由度が大きい光ファイバ入力型の分光分析装置や光パワー装置を利用して測定を行うことができ、かつ、測定ダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】空間光測定用光ファイバ変換器100の原理を説明する図。
【図2】空間光測定用光ファイバ変換器100の構成例を示す図。
【図3】空間光測定用光ファイバ変換器200の原理を説明する図。
【図4】空間光測定用光ファイバ変換器200の構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の空間光測定用光ファイバ変換器100の原理を図1に、その具体的構成例を図2にそれぞれ示す。空間光測定用光ファイバ変換器100は楕円面鏡110を用いて集光する。楕円面鏡110は、図1に示すx2/a2+y2/b2=1(a>b>0)で表される楕円形の内面を備え、その内側に2つの焦点F1=(−f,0)、F=(+f,0)(f=√(a2−b2))を有する。このような楕円面鏡110は、一方の焦点F1からの全ての光は、楕円面で反射し、他方の焦点F2に集まるという性質がある。そこで、図2に示すように、楕円面鏡110の一方の焦点F1に点光源10を配置し、他方の焦点F2に光ファイバプローブ120の先端を配置することで、楕円面鏡110で反射されて焦点F2に集まった光を効率的に光ファイバに入射させることができる。このように光ファイバに集光・入力可能とすることで、光学的配置の自由度が大きい光ファイバ入力型の光特性解析装置30(分光分析装置(例えば、マイケルソン干渉計を用いたフーリエ分光方式の光スペクトラムアナライザ、多波長分光器(例えば、凹面グレーティングを採用したフラットフィールド分光方式、平面グレーティングを採用したツェルニターナー分光方式等))や光パワーメータ等)を利用して光特性の解析を行うことができ、かつ、測定ダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
【0014】
なお、楕円面鏡110に高反射率皮膜をコーティングすることで、集光効率を高めることができる。また、光ファイバプローブ120の先端を球状に加工して表面積を大きくすることで、より集光効率を高めることができる。それに加え、光ファイバプローブ120の球状に加工した先端の表面を無反射膜でコーティングすることで、更に集光効率を高めることができる。
【0015】
以上のように、本発明の空間光測定用光ファイバ変換器100によれば、空間光を簡易な構成で効率的に集光して光ファイバに入力することができるため、光学的配置の自由度が大きい光ファイバ入力型の分光分析装置や光パワーメータを利用して測定を行うことができ、かつ、測定ダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
【実施例2】
【0016】
本発明の空間光測定用光ファイバ変換器200の原理を図3に、その具体的構成例を図4にそれぞれ示す。空間光測定用光ファイバ変換器200は放物面鏡210を用いて集光する。放物面鏡210は、例えば、図3に示すy2=4px(p≠0)で表される放物線状の内面を備え、その内側に焦点F=(p,0)を有する。このような放物面鏡210は、面光源20などから入射された光を反射し、焦点Fに集めるという性質がある。そこで、図4に示すように、放物面鏡210に向けて光を入射する面光源20を任意の位置に配置し、焦点Fに光ファイバプローブ120の先端を配置することで、放物面鏡210で反射されて焦点Fに集まった光を効率的に光ファイバに入射させることができる。
【0017】
このように測定光を光ファイバに効率的に集光・入射可能とすることで、光学的配置の自由度が大きい光ファイバ入力型の光特性解析装置30(分光分析装置や光パワーメータ等)を利用して光特性の解析を行うことができ、かつ、測定ダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
【0018】
なお、放物面鏡210に高反射率皮膜をコーティングすることで、集光効率を高めることができる。また、光ファイバプローブ120の先端を球状に加工して表面積を大きくすることで、より集光効率を高めることができる。それに加え、光ファイバプローブ120の球状に加工した先端の表面を無反射膜でコーティングすることで、更に集光効率を高めることができる。
【0019】
以上のように、本発明の空間光測定用光ファイバ変換器200によれば、空間光を簡易な構成で効率的に集光して光ファイバに入力することができるため、光学的配置の自由度が大きい光ファイバ入力型の分光分析装置や光パワーメータを利用して測定を行うことができ、かつ、測定ダイナミックレンジの拡大を図ることができる。
【0020】
以上説明した、本発明の空間光測定用光ファイバ変換器の構成は、上記の実施例の内容に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0021】
10 点光源 20 面光源 30 光特性解析装置
100、200 空間光測定用光ファイバ変換器
110 楕円面鏡 210 放物面鏡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光鏡と、
前記集光鏡の焦点にその先端が配置され、前記集光鏡で反射された光が入射される光ファイバプローブと、
を備える空間光測定用光ファイバ変換器。
【請求項2】
請求項1に記載の空間光測定用光ファイバ変換器であって、
前記集光鏡は、楕円面鏡であり、
前記光ファイバプローブは、前記楕円面鏡の一方の焦点にその先端が配置され、
前記楕円面鏡の他方の焦点に配置された点光源からの光が、前記楕円面鏡で反射されて前記光ファイバプローブに入射される
ことを特徴とする空間光測定用光ファイバ変換器。
【請求項3】
請求項1に記載の空間光測定用光ファイバ変換器であって、
前記集光鏡は、放物面鏡である
ことを特徴とする空間光測定用光ファイバ変換器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の空間光測定用光ファイバ変換器であって、
前記集光鏡は高反射率皮膜がコーティングされている
ことを特徴とする空間光測定用光ファイバ変換器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の空間光測定用光ファイバ変換器であって、
前記光ファイバプローブの先端は球状に加工されている
ことを特徴とする空間光測定用光ファイバ変換器。
【請求項6】
請求項5に記載の空間光測定用光ファイバ変換器であって、
前記光ファイバプローブの球状に加工された先端は、無反射膜でコーティングされている
ことを特徴とする空間光測定用光ファイバ変換器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の空間光測定用光ファイバ変換器と、
前記空間光測定用光ファイバ変換器の光ファイバプローブに入射された光を分光分析する光ファイバ入力型の分光分析装置と、
を備える評価システム。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の空間光測定用光ファイバ変換器と、
前記空間光測定用光ファイバ変換器の光ファイバプローブに入射された光のパワーを測定する光ファイバ入力型の光パワーメータと、
を備える測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−53963(P2013−53963A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193211(P2011−193211)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(503467768)株式会社エーディーシー (5)
【Fターム(参考)】