説明

窓板の装着方法と該方法に用いるガラスラン製品及び装着補助具

【課題】車外側側壁部の巻き込みの発生を防止して効率よく窓板を窓枠に取り付けられたガラスランチャンネルの溝内に装着する方法を提供し、該方法に使用されるガラスランチャンネルを含むガラスラン製品ならびに装着補助具を提供すること。
【解決手段】本発明により提供される窓板装着方法では、窓開口部をなす窓枠3の車外側部分5aの内向き部分の一部に欠如部100が形成され、ガラスランチャンネル30の前記欠如部対応部分には装着補助具50が着脱可能に装着され、窓板7を装着する前に該補助具50を外向きに移動させてガラスランチャンネル30の前記欠如部対応部分に拡大開口部110を形成する。そして拡大開口部110を維持しつつガラスランチャンネル30の溝40内に窓板7を挿入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のドアパネルに装備される窓板の装着方法、該窓板の装着方法を行う際に用いられるガラスラン製品と装着補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
車体におけるスライドドア、フロントドア、リアドア等のドアパネル本体の上側に設けられる窓枠には、ガラスランチャンネル(ガラスラン、ランチャンネル、ランチャン、案内部材等とも呼称される。)が装備される。
ガラスランチャンネルは、ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性ポリマー材料を長尺に成形した横断面形状が略U字形の溝構成部材(長尺材)であり、窓枠の内部のガラスランチャンネル装着溝に装着され、窓板の昇降を案内する。窓板は、ドアパネル本体の上縁と窓枠とで包囲される窓開口部から窓枠に取り付けられたガラスランチャンネルの溝内に装着される。
【0003】
従来、窓枠が略四角形の枠形状(即ち、窓枠内の窓開口部に配置される窓板形状もまた略四角形状)である場合には、窓枠に装着されたガラスランチャンネルに窓板(窓ガラス)を装着する際のドアパネル(窓枠)に窓板を取り付ける作業を容易にすべく、ガラスランチャンネルの一部(特許文献1)或いは窓枠の一部(特許文献2)に切り欠きを形成したものが知られている。切り欠き部が窓枠における一方の側縁部の端部、例えば車体の左側面に配置される左リアドアパネルの窓枠の車外側からみて右下部に形成されている場合、窓板を後傾させてドアパネル本体の車外側から窓板を窓開口部に挿入し、当該窓板を反時計方向に回転させつつガラスランチャンネルの溝内に挿入していく。
【0004】
【特許文献1】特開2003−48431号公報
【特許文献2】特開平6−286465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の窓板挿入作業(ここでは上記と同様に左リアドアパネルの窓枠の車外側から見て右下部に切欠きが設けられている場合で説明する。)において、窓板をガラスランチャンネルの溝内に挿入しようとするときに、先ず窓板の左側縁の左下方の側縁を前側のガラスランチャンネルの溝内に挿入し、次いで右下方の側縁部をガラスランチャンネルに挿入する。このとき、窓板の右下方の側縁部がガラスランチャンネルに引っかかり、横断面形状が略U字形であるガラスランチャンネルの当該U字状の一辺を構成する車外側側壁部を車内側に巻き込む(本来、窓板の外側に位置すべき車外側側壁部が、窓板の装着作業の際に窓板に押されて変形し、窓板の内側に位置してしまう現象)虞があった。このような巻き込みが発生すると、巻き込まれた車外側側壁部を車外側の所定の位置(即ち対向する車内側側壁とともに窓板を車外側から挟持する位置)まで引き出す作業が必要になる。かかる巻き込み部分の引き出し作業は手間がかかるとともに窓板のドアパネル(詳しくはガラスランチャンネル)への装着作業の効率を低下させる要因となるため好ましくない。
【0006】
そこで本発明は、かかる窓板装着作業における従来の問題点を解決すべく創出されたものであり、上記巻き込みの発生を防止して効率よく窓板を窓枠に取り付けられたガラスランチャンネルの溝内に装着する方法を提供することを目的とする。また、該方法に使用されるガラスランチャンネルを含むガラスラン製品ならびに装着補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するべく本発明によって窓板を窓枠のガラスランチャンネルに装着する方法が提供される。
即ち、請求項1の発明は、車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓枠の内部に、長手方向に沿って弾性ポリマー材料から成る基底部と、該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されたガラスランチャンネルが取り付けられた車両ドアにおいて、前記窓開口部から略四角形の窓板を前記ガラスランチャンネルの前記溝内に装着する方法である。
本方法において前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部には、窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されている。また、本方法において前記ガラスランチャンネルの前記欠如部に対応する部分には、ガラスランチャンネルの車外側側壁部を内外両側から挟んで挟持する装着補助具が着脱可能に装着されている。
そして、本方法は、前記窓板を装着する前に、前記補助具を外向きに移動させてガラスランチャンネルの車外側側壁部の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させ、この変位に伴ってガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分に、通常時における前記溝形状よりも開口が拡大した拡大開口部を形成する工程と、前記変位させた状態で前記補助具の一部を窓枠及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止させることによって前記ガラスランチャンネルの前記対応部分に形成した拡大開口部を維持する工程と、前記窓枠における前記欠如部が形成されている側の縁と前記窓開口部を介して対向する側の縁部に位置するガラスランチャンネルの溝内に、前記窓板の一方の縁を挿入すると共に、該窓板の他方の縁の角部を前記拡大開口部を通してガラスランチャンネルの溝内に挿入する工程と、前記窓板挿入工程の後に、前記補助具の係止を解除する工程と、前記補助具を前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部から外す工程と、前記外向きに変位させておいたガラスランチャンネルの車外側側壁部を元の位置に復帰させる工程とを含むことを特徴とする。
【0008】
かかる構成の請求項1に記載の窓板装着方法では、前記窓枠の所定位置に形成されている前記欠如部において、ガラスランチャンネルの対応する部位に予め装着されている装着補助具を上述したように操作することによって、ガラスランチャンネルの車外側側壁部における前記欠如部対応部分に前記拡大開口部を形成し、且つ、当該開口部を維持することができる。これにより、上述のように窓枠が略四角形の枠形状であっても、当該拡大開口部を介して容易に窓板をガラスランチャンネルの溝内に挿入することができる。
即ち、請求項1の窓板装着方法によると、ガラスランチャンネルの車外側側壁部の一部を装着補助具により強制的に変位させて拡大開口部を形成した後に窓板を装着することにより、窓板装着作業中に当該窓板がガラスランチャンネルの車外側側壁部を車内側に巻き込むことを防止することができる。そして、ガラスランチャンネルの車外側側壁部に邪魔されることなく窓板装着作業を効率よく行うことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の窓板装着方法において、前記ガラスランチャンネルには、前記車内側側壁部の更に車内側において長手方向に沿って該車内側側壁部から折り返し状に保持リップが形成されており、前記車内側側壁部と前記保持リップとの間に前記窓枠の車内側の一部を挟んで支持することを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項2の窓板装着方法では、ガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分の車外側側壁部を変位させる際、ガラスランチャンネル全体が変位するのを防止することができる。
このため、請求項2の窓板装着方法によると、請求項1の窓板装着方法の奏する効果に加えて、窓板装着作業をより安定して行えるという効果が得られる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の窓板装着方法において、前記拡大開口部形成工程において、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の少なくとも先端が基底部を越える位置まで、回転状に外向きに該車外側側壁部を変位させることを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項3の窓板装着方法では、ガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分の車外側側壁部を比較的大きく変位させるため、窓板装着作業中に窓板とガラスランチャンネルの車外側側壁部との干渉を防止することができる。
このため、請求項3の窓板装着方法によると、請求項1又は2の窓板装着方法の奏する効果に加えて、窓板装着作業を更に容易に行えるという効果が得られる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの窓板装着方法において、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の先端には、該車外側側壁部の突出方向と交差する方向に突出する突出リップが一体に形成されており、前記補助具を前記車外側側壁部に着脱可能に装着する際に、前記補助具の一部を前記突出リップに係止することを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項4の窓板装着方法では、前記係止によってガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分の車外側側壁部を変位させる際、装着補助具がガラスランチャンネルから外れ難い(抜け難い)。従って、請求項4の窓板装着方法によると、請求項1〜3のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、安定して車外側側壁部の変位作業を行えるという効果が得られる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかの窓板装着方法において、前記拡大開口部維持工程において、前記補助具の一部を前記欠如部の縁に係止させることを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項5の窓板装着方法では、装着補助具を窓枠側の欠如部の縁に係止させることによって、窓板を装着する作業者が車外側側壁部を手で支え続けることなく拡大開口部を容易に且つ確実に維持できる。従って、請求項5の窓板装着方法によると、請求項1〜4のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、より容易に窓板装着作業が行えるという効果が得られる。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1〜4のいずれかの窓板装着方法において、前記拡大開口部維持工程において、前記補助具の一部を前記窓枠の外周縁に係止させることを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項6の窓板装着方法では、装着補助具を窓枠の外周縁に係止させることによって、窓板を装着する作業者が車外側側壁部を手で支え続けることなく拡大開口部を容易に且つ確実に維持できるとともに、窓枠の欠如部形成範囲を最小限(即ち拡大開口部の形成に必要な分だけ)に止めることができる。従って、請求項6の窓板装着方法によると、請求項1〜4のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、より容易に窓板装着作業が行えるとともに窓枠の強度低下を抑えることができるという効果が得られる。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1〜4のいずれかの窓板装着方法において、前記拡大開口部維持工程において、前記補助具の一部を前記窓枠の外表面に設けた孔に係止させることを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項7の窓板装着方法では、装着補助具を窓枠の外表面に設けた孔に係止させることによって、窓板を装着する作業者が車外側側壁部を手で支え続けることなく拡大開口部を容易に且つ確実に維持できるとともに、窓枠の欠如部形成範囲を最小限(即ち拡大開口部の形成及び補助具の一部を係止させる孔に必要な分だけ)に止めることができる。従って、請求項7の窓板装着方法によると、請求項1〜4のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、より容易に窓板装着作業が行えるとともに窓枠の強度低下を抑えることができるという効果が得られる。
【0015】
また、請求項8の発明は、請求項1〜7のいずれかの窓板装着方法において、前記補助具は、対向する車外側保持片及び車内側保持片を有し、両保持片間に前記車外側側壁部を挟んだ際に少なくともいずれか一方の保持片の該車外側側壁部と接触する部分には、先端が尖った突起が形成されており、前記補助具を前記車外側側壁部に着脱可能に装着する際には、前記突起を該車外側側壁部に食い込ませることを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項8の窓板装着方法では、ガラスランチャンネルの車外側側壁部の所定位置に装着された装着補助具のガラスランチャンネルの長手方向への位置ずれを防止し、装着補助具を所定位置に固定させておくことができる。従って、請求項8の窓板装着方法によると、請求項1〜7のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、装着補助具のガラスランチャンネルの長手方向への位置ずれを防止して、正確な位置で車外側側壁部を変位させて窓板装着作業が行えるという効果が得られる。
【0016】
また、請求項9の発明は、請求項1〜8のいずれかの窓板装着方法において、前記補助具は、対向する車外側保持片及び車内側保持片を有し、前記補助具を前記車外側側壁部に着脱可能に装着する際には、前記外側保持片と前記内側保持片との間を拡開させ、該拡開された二つの保持片間に前記車外側側壁部を挿入して挟持することを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項9の窓板装着方法では、装着補助具の車外側保持片及び車内側保持片によってガラスランチャンネルの車外側側壁部の所定位置を挟持して容易に当該補助具を固定することができる。従って、請求項9の窓板装着方法によると、請求項1〜8のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、車外側側壁部に装着補助具を容易に装着することができる。
【0017】
請求項10の発明は、請求項1〜9のいずれかの窓板装着方法において、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部における前記欠如部に配置される部分を車外側から支持して該部分の車外側への変位を防止する支持部材を、該欠如部の車外側に取り付ける工程を更に含むことを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項10の窓板装着方法では、支持部材の取り付けによってガラスランチャンネルの車外側側壁が車外側に変位するのを防止する。従って、請求項10の窓板装着方法によると、請求項1〜9のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、ガラスランチャンネル本来の良好なシール性および良好な窓板ガイド性を保つことができるという効果が得られる。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1〜10のいずれかの窓板装着方法において、前記欠如部を車外側から覆う遮蔽部材を窓枠に取り付ける工程を更に含むことを特徴とする方法である。
かかる構成の請求項11の窓板装着方法では、遮蔽部材(前記支持部材と同一部材であり得る。)の取り付けによって欠如部が遮蔽され、外部から欠如部が目視されない。従って、請求項11の窓板装着方法によると、請求項1〜10のいずれかの窓板装着方法の奏する効果に加えて、欠如部の露出によって美観が損なわれることを防止するという効果が得られる。
【0019】
また、本発明によって上述の窓板装着方法に用いるガラスラン製品が提供される。
即ち、請求項12の発明は、車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部に窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されている車両ドアの該窓枠の内部に装着されるガラスラン製品である。
本ガラスラン製品は、前記窓枠の内部に長手方向に沿って取り付けられる弾性ポリマー材料から成る基底部と、該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されたガラスランチャンネルを備える。また、本ガラスラン製品は、前記窓枠に取り付けられた前記ガラスランチャンネルの前記溝内に窓板を装着する際に用いられ、前記ガラスランチャンネルの前記欠如部に対応する部分に着脱可能に装着され、ガラスランチャンネルの車外側側壁部を内外両側から挟んで挟持する装着補助具を備える。
そして、本ガラスラン製品において、前記補助具は、該補助具を外向きに移動させることにより前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させ、この変位に伴ってガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分に、通常時における前記溝形状よりも開口が拡大した拡大開口部を形成させ得るように構成されており、さらに前記補助具の一部に、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を変位させた際に窓枠及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止される係止部を有することを特徴とする。
【0020】
かかる構成の請求項12に記載のガラスラン製品では、前記窓枠の所定位置に形成されている前記欠如部において、ガラスランチャンネルの対応する部位に予め装着されている装着補助具を上述したように操作することによって、ガラスランチャンネルの車外側側壁部における前記欠如部対応部分に前記拡大開口部を強制的に形成することができる。また、前記係止部により当該開口部を維持することができる。従って、請求項12のガラスラン製品によると、ガラスランチャンネルの車外側側壁部の一部を装着補助具により強制的に変位させて拡大開口部を形成した後に窓板を装着することができるため、窓板装着作業中に当該窓板がガラスランチャンネルの車外側側壁部を車内側に巻き込むことを防止し、ガラスランチャンネルの車外側側壁部に邪魔されることなく窓板装着作業を効率よく行うことができる。
【0021】
請求項13の発明は、請求項12のガラスラン製品において、前記ガラスランチャンネルの前記車内側側壁部及び車外側側壁部は、熱可塑性エラストマー又はEPDMを主体とする加硫済みゴムにより形成されていることを特徴とするガラスラン製品である。
かかる材料によってガラスランチャンネルの少なくとも車内側側壁部及び車外側側壁部が形成されているため、請求項13のガラスラン製品では請求項12のガラスラン製品の奏する効果に加えて、拡大開口部を形成するにあたり良好に変位し、且つ、良好に元の形状に復帰することができるという効果が得られる。
【0022】
また、本発明によって上述の窓板装着方法に用いられ、上述のガラスラン製品の一構成部品でもある補助具が提供される。
即ち、請求項14の発明は、車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部に窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されている車両ドアの前記窓枠の内部に取り付けられたガラスランチャンネルであって、長手方向に沿って取り付けられた弾性ポリマー材料から成る基底部と該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されたガラスランチャンネルの前記溝内に前記窓開口部から略四角形の窓板を装着する際に用いられる装着補助具である。
本補助具は、前記ガラスランチャンネルの前記欠如部に対応する部分に着脱可能に装着される補助具であり、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を内外両側から挟んで挟持する車外側保持片及び車内側保持片と、それら両保持片を根元側で連結する連結部と、前記車外側保持片及び車内側保持片の少なくともいずれかに連結され、且つ、装着補助具がガラスランチャンネルに装着されたとき、車外側側壁部の外側に突出して前記窓枠及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止される係止部と、前記車外側保持片と前記車内側保持片と前記連結部のうちの少なくともいずれかに成形された把持部とを備えている。
そして、前記車外側保持片と前記車内側保持片と前記連結部とは、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を内外両側から挟んで前記把持部を把持して外向きに移動させてガラスランチャンネルの車外側側壁部の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させることができる剛性を有することを特徴とする。
【0023】
かかる構成の請求項14に記載の装着補助具を上述したように操作することによって、ガラスランチャンネルの車外側側壁部における前記欠如部対応部分に前記拡大開口部を強制的に形成することができる。また、前記係止部により当該開口部を維持することができる。従って、請求項14の装着補助具によると、ガラスランチャンネルの車外側側壁部の一部を強制的に変位させて拡大開口部を形成した後に窓板を装着することができるため、窓板装着作業中に当該窓板がガラスランチャンネルの車外側側壁部を車内側に巻き込むことを防止し、ガラスランチャンネルの車外側側壁部に邪魔されることなく窓板装着作業を効率よく行うことができる。
【0024】
請求項15の発明は、請求項14の装着補助具において、前記ガラスランチャンネルの弾性ポリマー材料よりも硬質で剛性を有する弾性変形可能な金属又は合成樹脂材料から成形されていることを特徴とする装着補助具である。
かかる材料によって成形された補助具は取り扱い性に優れる。従って、請求項15の装着補助具によると、請求項14の装着補助具の奏する効果に加えて、より容易に拡大開口部を形成し得、延いては窓板装着作業をより効率よく行うことができるという効果が得られる。
【0025】
請求項16の発明は、請求項14又は15の装着補助具において、前記車外側保持片及び車内側保持片の少なくとも一方には、両保持片間に前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を挟んだ際に該車外側側壁部と接触する部分において先端が尖った突起が形成されており、前記補助具を前記車外側側壁部に着脱可能に装着した際に前記突起が該車外側側壁部に食い込むことを特徴とする装着補助具である。
かかる構成の請求項16の装着補助具は、ガラスランチャンネルの車外側側壁部の所定位置に装着された際に、後の作業工程(ガラスランチャンネルの窓枠への装着作業、変位作業等)中にガラスランチャンネルの長手方向への位置ずれが生じない。つまり、装着補助具を所定位置に固定させておくことができる。従って、請求項16の装着補助具によると、請求項14又は請求項15の装着補助具の奏する効果に加えて、正確な位置で変位させることができ、効率よく窓板装着作業が行えるという効果が得られる。
【0026】
請求項17の発明は、請求項14〜16のいずれかの装着補助具において、前記把持部は、前記補助具が前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の所定の位置に装着されたときに、該車外側側壁部の突出方向のほぼ延長方向に突出するように形成されていることを特徴とする装着補助具である。
かかる構成の請求項17の装着補助具では、把持部を持ってガラスランチャンネルの車外側側壁部を容易に変位させることができる。従って、請求項17の装着補助具によると、請求項14〜16のいずれかの装着補助具の奏する効果に加えて、より効率よく窓板装着作業が行えるという効果が得られる。
【0027】
また、請求項18の発明は、請求項14〜17のいずれかの装着補助具において、前記把持部は、前記車外側保持片と前記車内側保持片のそれぞれに形成されており、両把持部間の間隔が狭まる方向に外力を加えて両把持部を変位させたときに前記車外側保持片と前記車内側保持片との間が弾性を伴って拡開し、該拡開によって前記車外側保持片と前記車内側保持片との間に前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部が挿入可能となり、両把持部を変位させた外力を除くと前記弾性により前記車外側保持片と前記車内側保持片との間に前記車外側側壁部が挟持されることを特徴とする装着補助具である。
かかる構成の請求項18の装着補助具では、車外側保持片と前記車内側保持片のそれぞれに形成されている把持部を操作して容易にガラスランチャンネルの車外側側壁部の所定位置を挟持したり或いは外すことができる。従って、請求項18の装着補助具によると、請求項14〜17のいずれかの装着補助具の奏する効果に加えて、当該補助具のガラスランチャンネルとの脱着が容易に行えるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば押出成形等によるガラスランチャンネルの製造に関する一般的な事項)は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている事項と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
【0029】
車体に取り付けられるドアパネルの一例として、いわゆるミニバンタイプの車両のリアドアとして取り付けられる左側面スライドドアを構成するドアパネル1を図1に示す。このスライドドア用ドアパネル1は、ドアの下部を構成する矩形状の金属製パネル本体2と、パネル本体2の上側において略門形状を構成する金属製の窓枠3とから構成されている。窓枠3は車体に装着された状態で前方垂直部分となる前枠部4と、後方垂直部分となる後枠部5と、それらの間で略水平に延びる天井水平部分となる上枠部6の3辺から構成される。そして、図示されるように、窓枠3(前枠部4、後枠部5、上枠部6)とパネル本体2の上縁部2aに囲まれて、略四角形の窓開口部8が形成されている。
【0030】
この窓枠3の内部には、本実施形態に係るガラスラン製品20が取り付けられている。このガラスラン製品20は、3つの長尺状ガラスランチャンネル22,26,30と2つのコーナージョイント部材24,28(射出成形品)とを備える。
すなわち、窓枠3の前枠部4に配置される前方ガラスランチャンネル22と、上枠部6に配置される上側ガラスランチャンネル26と、後枠部5に配置される後方ガラスランチャンネル30とを有する。各ガラスランチャンネル22,26,30は、窓枠3の前後2箇所のコーナー部分に装着されるコーナージョイント部材24,28によって連結され、これらが一体となったガラスランチャンネル組立体を構成している。かかるガラスランチャンネル組立体は、押出成形した各ガラスランチャンネル22,26,30の端部に所定のコーナージョイント部材24,28を連結することによって構築することができる。窓板(窓ガラス)7は、窓開口部8から窓枠3の内部に取り付けられたガラスランチャンネル組立体のガイド溝40に装着される。このことは後述する。
【0031】
次に、本実施形態に係るガラスランチャンネル22,26,30自体の構造(横断面形状)とガラスランチャンネルが装着されるドアパネル側の構造について説明する。
図2は図1におけるII−II線断面図であり、後枠部5に配置される後方ガラスランチャンネル30の横断面図である。なお、以下は後方ガラスランチャンネル30についての説明であるが、前枠部4及び上枠部6に配置される各ガラスランチャンネル22,26も同じ横断面形状を有しており、重複した記載は省略する。
【0032】
図2に示すように、窓枠3(後窓枠5)は、車外側に配置されるアウターパネル5aと、車内側に配置されるインナーパネル5bと、それらの隙間に配置され、スポット溶接等の手段によって両パネル5a,5bに固定されているサッシュ部材10とから構成されている。サッシュ部材10は底壁部11と該底壁部11の両端から立ち上がる車外側フランジ12及び車内側フランジ18とからなる横断面U字状に成形された部材であり、ガラスランチャンネル30を挿入・装着する溝9(以下「ガラスラン装着溝9」という。)を構成する。なお、サッシュ部材10の両フランジ12,18の内面側には長手方向に凸条12a,18aが形成されている。
【0033】
図2に示すように、ガラスランチャンネル30は、長手方向に沿って弾性ポリマー材料から成る基底部31と、該基底部31の幅方向両側から起立する車外側側壁部32及び車内側側壁部38とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状に成形された長尺材である。両側壁部32,38に挟まれた凹みが窓板7の端部が挿入される溝40を構成する。
車外側側壁部32及び車内側側壁部38の先端部(自由末端部)には、それぞれ、窓板7の端部が溝40に挿入された際に当該窓板7に密接して車内への水の浸入を防止するための車外側シールリップ34及び車内側シールリップ35が車外側側壁部32及び車内側側壁部38の突出方向と交差する方向(ここではリップ先端が溝40内を向く方向)に形成されている。
また、車外側側壁部32の先端には、該車外側側壁部の突出方向と交差する方向(ここでは車外方向)に突出する突出リップ33が一体に形成されている。
また、車内側側壁部38の更に車内側において長手方向に沿って車内側側壁部38の先端から折り返し状に保持リップ36が形成されている。
【0034】
図示されるように、上記構成(横断面形状)のガラスランチャンネル30をサッシュ部材10の凹み、即ちガラスラン装着溝9に取り付ける。具体的には、基底部31がサッシュ部材10の底壁部11に当接するようにガラスランチャンネル30をガラスラン装着溝9内に押し込むようにして挿入する。
このとき、車外側側壁部32及び車内側側壁部38の外面に形成された係合用リップ(抜け止めリップ)32a,38aが凸条12a,18aをのり越えて挿入され、係合用リップ32a,38aが凸条12a,18aに係合する。これにより、ガラスラン装着溝9(サッシュ部材10)からのガラスランチャンネル30の脱落(抜け)や溝9内におけるガラスランチャンネル30の装着ずれの発生を防止することができる。
【0035】
また、本ガラスランチャンネル30は、ガラスラン装着溝9に取り付けられた際、図示されるように保持リップ36と車内側側壁部38とによって窓枠3の車内側の一部、即ちインナーパネル5bの端部及びサッシュ部材の車内側フランジ18を挟んで支持することができる。これにより、より強固にガラスランチャンネル30を所定位置に保持することができる。また、図示されるように、突出リップ33によってアウターパネル5aの内周側の先端を遮蔽することができるため、アウターパネル5aの内周側の先端の露出によって窓枠3とその周囲の美観が損なわれることを防止することができる。
【0036】
かかるガラスランチャンネル30の基底部31は、弾性ポリマー材料(EPDM等のゴム、熱可塑性エラストマー、合成樹脂材料等)から構成されている。好ましい弾性ポリマー材料としては、例えば、EPDMを主体とする加硫済みの非発泡の軟質ゴム(ソリッドゴム)又は非発泡の熱可塑性エラストマー(例えばオレフィン系、スチレン系、ビニル系)が挙げられる。前記ソリッドゴムは特に好ましく用いられる。
また、車内側側壁部38及び車外側側壁部32は、良好に変位し、また良好に元の形状に復帰する弾性ポリマー材料から形成されることが好ましい。例えば、前記基底部31と同一のEPDMを主体とする加硫済みゴムや熱可塑性エラストマーにより形成されていることが特に好ましい。EPDM加硫済みゴムは、耐久性や耐候性に優れるため特に好ましい弾性ポリマー材料である。本実施形態はEPDM加硫済みゴムによって成形されている。
なお、ガラスランチャンネル30は、全体を同一の成形材料(弾性ポリマー材料)から形成してもよいし、部位毎に異なるポリマー材料を用いてもよい。2種以上の成形材料を用いる場合は、いわゆる共押出成形法によって所望のガラスランチャンネルを形成することができる。なお、押出成形法(共押出成形法)自体は本発明を特徴付けるものではないので、詳細な説明は省略する。
【0037】
次に本発明を特徴付ける欠如部100について説明する。図1に示すように、窓枠3(後枠部5)の下部(即ちパネル本体上縁部2aに隣接する部分)において、車外側部分の内向き部分の一部に窓開口部8を外向き(ここではドアの後ろ方向)に広げる欠如部100が窓枠3の長手方向に所定の長さ(この実施形態では後枠部5の鉛直方向の約3分の1の長さ)だけ形成されている。具体的には、欠如部100においてアウターパネル5aは、当該部位においてサッシュ部材10の底壁部11が露出するように、底壁部11よりも後方まで外向きに切り欠かれている(後述する図10参照)。
また、図3に示すように、かかる欠如部100に対応するサッシュ部材10の車外側フランジ12も、同様に外向きに切り欠かれている。具体的には、車外側フランジ12の欠如部100における切欠き領域は、図示されるように、パネル本体2の上縁部2aに沿って水平に切り欠かれた下端切欠き縁104と、該下端切欠き縁104から上方に向けて車外側フランジ12のほぼ全体を除去するように底壁部11の車外側の端に沿って鉛直方向に直線状に切り欠いて成る直線状切欠き縁103と、該直線状切欠き縁103の上方端から徐々に車外側フランジ12の底壁部11からの高さ方向の残存部分が漸増し且つ弧を描くように切り欠かれている弧状切欠き縁102とによって画定される。
【0038】
上述の通り、欠如部100において、窓枠(後枠部5)のアウターパネル5aとサッシュ部材10の車外側フランジ12とがともに切り欠かれている結果、当該欠如部100においてガラスラン装着溝9に装着された状態でのガラスランチャンネル30(特に車外側側壁部32)を露出させることができる。これにより、後述する装着補助具を適切に用いることによって、車外側側壁部32の先端を元の位置(図10において、二点鎖線で示す位置)を越えて回転状に外向きに変位させ、この変位に伴ってガラスランチャンネル30の欠如部対応部分(即ち露出部分)において通常時のU字形状を保持した状態の溝40形状よりも開口が拡大した拡大開口部110を形成することができる。
【0039】
また、図3に示すように、本実施形態に係る切欠き縁は、上述の弧状切欠き縁102、直線状切欠き部103及び下端切欠き縁104によって構成されており、鋭い突起状の角部(典型的には鋭角となる角部)が生じていない。欠如部の外周縁(切欠き縁)の全周(特に欠如部100の上端である弧状切欠き縁102と車外側フランジ12の上縁との境界)に、かかる角部が存在しないことにより、後述のようにして車外側側壁部32の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させた際に鋭い角部が当たって当該車外側壁部32が破損する(例えば穴があく)ことを未然に防止することができる。
【0040】
本実施形態に係るガラスラン製品20は、後方ガラスランチャンネル30の欠如部対応部分(即ち露出部分)に装着補助具を備える。図4は本実施形態に係る装着補助具50を模式的に示す平面図であり、図5は図4のV−V線断面図(即ち中心線での縦断面図)である。
なお、以下の構成の装着補助具50は、ガラスランチャンネル30を構成する弾性ポリマー材料よりも硬質で剛性を有する弾性変形可能な金属又は合成樹脂材料等の材料から成形されていることが好ましい。好適な成形材料としてバネや鋼板材等の金属材料、あるいはPOM(ポリオキシメチレン)、PC(ポリカーボネート)、PP(ポリプロピレン)等の合成樹脂材料が挙げられる。金属プレス成形やPOM等を用いたインジェクション成形により上記のような構造の装着補助具50を好適に製造することができる。なお、装着補助具の成形方法自体は本発明を特徴付けるものではないので、詳細な説明は省略する。
【0041】
図4及び図5に示すように、この装着補助具50は、欠如部100において露出するガラスランチャンネル30の車外側側壁部32を内外両側から挟み、着脱可能に挟持することができるクリップ状に形成された補助具50である。図示されるように、この補助具50は、クリップとしての基本的形状を備え、大まかにいって操作部51と挟持部60とから構成されている。
【0042】
操作部51は、作業者が手で掴んで操作する部分であり、後述する連結部61から突出する把持部(取っ手部)52と該把持部から両横方向(ガラスランチャンネルに装着されたとき、その長手方向)に張り出した張出部54とから構成されている。把持部52の中央には作業者の指1本が差し込める程度の貫通孔(指さし孔)53が形成されている。また、張出部54の挟持部側の縁部には指掛け用の凹部54aが形成されている。このような形状に操作部51が形成されている結果、作業者は把持部52の指さし孔53に中指を通しつつ、張出部54を握りしめるようにして当該補助具を把持することができる。この際、握りしめた手の人差し指と薬指がそれぞれ張出部54の指掛け用凹部54aに収まることにより、指さし孔53に挿入された中指とともに装着用補助具50のずれを防止し、確実に当該補助具50を把持して所定の操作を行うことができる。
【0043】
装着補助具の挟持部60は、図示されるように、取っ手部52の根元において把持部延伸方向と直交する方向(以下、単に「横方向」という。)に延伸する連結部61をベースとし、相互に対向する保持片(即ち、挟むべき対象物を両側から保持する部分をいう。)が連結部61から把持部52とは反対の方向に延伸して形成されている。
具体的には、図4及び図5に示すように、連結部61の中央部分に幅広の中央保持片65(以下、ガラスランチャンネルに装着されたとき車外側側壁部32の外側に位置する「外側保持片65」という。)が形成され、該外側保持片65に対向するようにしてその両サイド(両横方向)に対向する内側保持片(以下「左内側保持片62」及び「右内側保持片63」という。)がそれぞれ形成されている。
【0044】
図5に示すように、左内側保持片62及び右内側保持片63は、該保持片62,63と対向する外側保持片65との間の空間68(ガラスランチャンネル挟持空間68)が広くなり、突出リップ33、シールリップ34に塑性変形を生じさせないように、半球形(ドーム)状に弧をなすように成形されている。一方、外側保持片65の根元付近の左右内側保持片対向面側には、左右内側保持片62,63との距離が大きくなるように凹部69が形成されている。
上述のような左内側保持片62及び右内側保持片63と外側保持片65との形状によって、ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32を挟持するのに適切で前記塑性変形を生じさせない挟持空間68が画定される。そして、かかる構造の保持片62,63,65が上記のような硬質で剛性を有する弾性変形可能な金属又は合成樹脂材料(例えばPOM)から形成された結果、対向する左右内側保持片62,63と外側保持片65との間は、弾性的に開閉可能となっている。
【0045】
図示するように左右内側保持片62,63の先端部62b,63bは、外方(即ち対向する外側保持片から離れる外方向)に反り返るように形成されている。同様に、外側保持片65の先端部65bについても、外方(即ち対向する内側保持片から離れる外方向)に反り返るように形成されている。
また、外側保持片65の左右内側保持片62,63と対向する面には、幾つかの(本実施形態では2箇所)先端が尖った突起65aが形成されている。同様に、左右内側保持片62,63の外側保持片65と対向する面には、幾つかの(本実施形態では1箇所ずつ)先端が尖った突起62a,63aが形成されている。
【0046】
外側保持片65の左右内側保持片対向面とは反対の面において、先端部65bの近傍から把持部52方向に曲がった状態で係止片66が形成されている。
また、外側保持片65の中央部分には開口部67が設けてあり、本補助具50の軽量化ならびに成形(例えばインジェクション成形による)時の型開き容易性に寄与している。
【0047】
次に、上記構造の装着補助具50を用いて窓板7をガラスランチャンネル(組立体)に装着する方法について詳細に説明する。
先ず、装着補助具50を欠如部100において露出するガラスランチャンネル30の車外側側壁部32に装着する。具体的には、図6に示すように、左右内側保持片62,63の先端部62b,63bと外側保持片65の先端部65bとの間に、車外側側壁部32をその先端から挿入していく。このとき、挟持空間68の形状と車外側側壁部32の外形とが一致するように、左右内側保持片62,63が車外側シールリップ34側となり且つ外側保持片65が車外側突出リップ33側となる向きで装着作業を行う。
ここで、上記のとおり、左右内側保持片62,63と外側保持片65との間は弾性的に拡開し得る。さらに、外方に反り返った左右内側保持片62,63の先端部62b,63bと外側保持片65の先端部65bとを設けてある。これにより車外側側壁部32を装着補助具50に差し込んで挟持させる際にガイド部として働き、車外側側壁部32を左右内側保持片62,63と外側保持片65の中央に容易に位置決めさせ得る。更に装着補助具に差し込めば、内側保持片62,63と外側保持片65が弾性変形して両片の間が拡開して差し込みが行われる。このため、本装着補助具50によると、車外側側壁部32を挟持空間68へ容易に挿入することができる。
【0048】
上記挿入により、装着補助具50の車外側側壁部32への装着が完了する。このときの状態を図7〜図9に模式的に示している。
即ち、図7に示すように、上記挿入の結果、装着具50は、ガラスランチャンネル30の欠如部100に対応する部分において、車外側側壁部32を内外両側から挟んで挟持することができる。このとき、図8に示すように、左右内側保持片62,63寄りの挟持空間68には、車外側シールリップ34が弧状に成形された左右内側保持片62,63の壁面に沿って配置されており、車外側シールリップ34の先端は内側保持片62,63の一部に当接し、係止されている。また、図9に示すように、外側保持片65寄りの凹部69には、突出リップ33が配置されており、突出リップ33の先端は外側保持片65の一部(凹部69の側壁)に当接し、係止されている。
このような挟持空間68(凹部69を含む)内での車外側側壁部32の配置構成の結果、作業者が所定の操作(即ち保持片62,63,65間の拡開操作)を行わない限り、装着補助具50が所定の装着位置(図7の状態)から不測に外れることはない。
また、図7〜図9に示す挟持状態では、弾性力によって左右内側保持片62,63と外側保持片65はそれぞれ車外側側壁部32に圧接されており、さらにこの状態では上記鋭利な突起62a,63a,65aが車外側側壁部32の接触部分に食い込むこととなる(図8、図9)。このような構成の結果、装着補助具50は、所定の装着位置(図7の状態)から不測に外れることを防止するだけでなく、ガラスランチャンネルの長手方向への位置ずれも防止することができる。従って、後述する変位操作を安定して効率よく行うことができる。
次に、図10を参照しつつ、拡大開口部の形成方法とその維持方法について説明する。
【0049】
作業者は、欠如部100に対応するガラスランチャンネル30の車外側側壁部32に装着した装着補助具50(図7〜図9)の把持部52を上述のようにして掴み、補助具とともに車外側側壁部32をアウターパネル5a側に捲るように開いていく。具体的には、図10に示すように、装着当初は内向き(即ち窓開口部8方向)に配置される把持部52を持って当該補助具50を外向きに移動させて車外側側壁部32の先端を元の位置を越えて回転状に外向き(図10の矢印のOP方向)に変位させる。このとき、本装着補助具50では、車外側側壁部32の所定位置に装着されたときに、該車外側側壁部32の突出方向のほぼ延長方向に把持部52が突出するように形成されているため、当該把持部52を持って車外側側壁部32を容易に移動させることができる。
【0050】
図示されるように、この変位に伴ってガラスランチャンネル30の欠如部対応部分に、通常時におけるU字状の溝形状(図2参照)よりも開口が拡大した拡大開口部110が形成される。本実施形態では、車外側側壁部32の少なくとも先端が基底部31を越える位置(図10の二点鎖線で示す位置)まで、回転状に外向きに車外側側壁部32を変位させている。
そして、図10に示すように、装着補助具50の係止片66の先端をアウターパネル5aの欠如部100における内周縁(以下「切欠き縁」という)115に係合させる。具体的には、係止片66のテーパー状先端部66aがアウターパネル5aの切欠き縁115に当たってもなお回転変位を続ける(即ち作業者からの応力が加えられ続ける)ことにより、係止片66が撓み、それに伴ってテーパー状先端部66aが切欠き縁115を摺動しつつ切欠き内部側にまで移動し、そこで弾性力によって撓みが解消されて係止片66が元の形状に復帰する。このことにより、図示されるようにもはや自然にはテーパー状先端部66aが切欠き内部(欠如部100)から離れないように係合が実現される。これにより、作業者が何も力を加えない状態(典型的には装着補助具50から手を離した状態)としても、図10に示す拡大開口部110の形成状態を維持することができる。
なお、かかる拡大開口部110が形成・維持された状態であっても、図示されるようにインナーパネル5b及びサッシュ部材10の車内側フランジ18を車内側側壁部38と保持リップ36との間に挟んで支持しているため、ガラスランチャンネル30全体が変位するのを防止でき、ガラスランチャンネル30の装着状態には影響を与えない。
【0051】
そうして拡大開口部110を維持した状態としておき、窓板7(ここではほぼ四角形状の窓枠に対応する四角形状の窓ガラス)を窓開口部8を通して窓枠3に装着されたガラスランチャンネル(ガラスランチャンネル組立体)の溝内に装着する。詳述すれば以下の通りである。
図1に示すように、窓枠に装着したガラスランチャンネル30が上記拡開されずに通常の状態(フリー状態)であるとき、図1に示す前方ガラスランチャンネル22の基底部(図示せず)と後方ガラスランチャンネル30の基底部31との間の長さ:LCと、窓板7の横幅の長さ:LWと、前方ガラスランチャンネル22の車外側側壁部(図示せず)の先端部(自由末端部)と後方ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32の先端部(自由末端部)との間の長さ:LSとは、「LS<LW≒LC」の関係にある。さらに図10に示すように、LCは、LC=LS+2×H(ここでHは基底部から車外側シールリップまでの長さ)の関係にある。従って、拡大開口部110を設けない場合には、LS<LWの関係によって、窓板7をガラスランチャンネルの溝40内に挿入(装着)することはできない。
【0052】
しかし、一方の窓枠側面(ここでは後枠部5)において拡大開口部110が形成されることにより、上記長さの関係に縛られずに窓板7を車外側から拡大開口部110を利用して所望する方向に傾けながら窓開口部8に導入し、窓枠3に取り付けられているガラスランチャンネル22,30の溝40に装着することができる。具体的には、欠如部100が形成されている後枠部5の縁と窓開口部8を介して対向する前枠部4の縁に位置する前方ガラスランチャンネル22の溝内に窓板7の一方の縁を挿入すると共に、窓板7の他方の縁の角部を拡大開口部110を通して後方ガラスランチャンネル30の溝40内に挿入する。このとき、拡大開口部110が形成されている結果、窓板7装着時に欠如部100における車外側側壁部32の車内側への巻き込みを防止し、効率よく容易に窓板を挿入することができる。次いで、窓板7をガラスランチャンネル22,30の溝40内に沿わせて徐々に下方に移動させ、ドアパネル1内に備えられている図示しないウインドウレギュレーターの窓板保持部に係合させて固着する。以上で窓板の装着が完了する。
【0053】
窓板7の装着が完了した後、作業者は装着補助具50の把持部52を握って係止を解除する。即ち、作業者は、図10の矢印のCL方向に当該補助具50を内向きに移動させることによって係止片66を撓ませ、更に当該補助具50を内向きに移動させることによって係止片66のテーパー状先端部66aとアウターパネル5aの切欠き縁115との係止を解除することができる。
そして、左右内側保持片62,63と外側保持片65との間を拡開することによって、装着補助具50を車外側側壁部32から取り外す。これにより、EPDMを主体とする加硫済みゴムから成る車外側側壁部32は、良好に元の形状(図10に実線で示す位置)に復帰することができる。
【0054】
以上、本実施形態に係る窓板装着方法について詳細に説明したが、この形態に限られない。
例えば、窓板装着の後工程として、ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32における欠如部100に配置される部分(即ち露出部分)を車外側から支持して該部分の車外側への変位を防止する支持部材を欠如部100の車外側に取り付けてもよい。
或いは、窓板装着の後工程として、欠如部100を車外側から覆う遮蔽部材を窓枠3に取り付けてもよい。
例えば、図1に示す別体のカバー部材120を後枠部5のアウターパネル5aの表面に取り付けてもよい。具体的には、欠如部100におけるアウターパネル5aの切欠き縁115にカバー部材120の係止片124を係止させると共に、後枠部5のアウターパネル5a表面に設けられた取付孔116にカバー部材120の裏面から突出する位置決めボス兼止め具122を挿入して固定することにより、カバー部材120をアウターパネル5a表面に取り付ける。カバー部材120は、後枠部5と同じ材質から成形されており、後枠部5と同じかそれよりも小さい幅の平板部材であり、少なくとも欠如部100におけるパネル切欠き部分を全て被覆し得るサイズに成形されている。従って、このようなカバー部材120は上記遮蔽部材として好適である。また、カバー部材120の装着によって車外側側壁部32の車外側への変位が防止されるため、かかる構造のカバー部材120は上記支持部材としても好適である。
【0055】
また、本発明によって提供される装着補助具の形態も上記実施形態のものに限定されず、本発明の目的に反しない限りにおいて種々の変更があり得る。以下、幾つかの好適な変更例を図面を参照しつつ説明する。
なお、以下の各実施形態に関し、図示されている部材や部分であって本明細書に説明がない部材、部分については、何れも第1実施形態と同様であるため重複した説明の必要がないものである。
【0056】
第2の実施形態として、操作部151(把持部)の構成が上述の第1の実施形態と異なる補助具150について説明する。
図11及び図12に示すように、本実施形態に係る装着補助具150は、クリップとしての基本的形状を備え、大まかにいって操作部151と挟持部160とから構成されている。操作部151は、把持部152a,152b,152c(以下「右上側把持部152a」、「下側把持部152b」、「左上側把持部152c」という。)を備える。
具体的には、本実施形態では、図示されるように、挟持部160を構成する中央保持片(外側保持片)165が操作部151方向に延伸されており、当該延伸部分は下側把持部152bを構成する。つまり、中央保持片(外側保持片)165と下側把持部152bとは一体に連続して形成されている。
【0057】
一方、当該外側保持片165の左右側方には表面側に立ち上がるようにして右内側保持片163及び左内側保持片162が形成されている。
そして、図12に示されているように、上記外側保持片165の左右側方で表面側に立ち上がる右内側保持片163及び左内側保持片162のそれぞれから、下側把持部152bの延伸方向とほぼ平行して右上側把持部152a及び左上側把持部152cが形成されている。
即ち、換言すれば、本実施形態に係る補助具150では、把持部152a,152b,152cは、外側保持片165と内側保持片162,163からそれぞれ延伸して形成されており、図12に二点鎖線で示すように、対向関係にある両把持部間(即ち左右上側把持部152a,152cと下側把持部152bとの間)の間隔が狭まる方向に外力を加えて両把持部を変位させたときに外側保持片165と内側保持片162,163との間が弾性を伴って拡開する。そして、該拡開によって外側保持片165と内側保持片162,163との間にガラスランチャンネル30の車外側側壁部32を挿入させることができるようになる。そして挿入完了後、両把持部間(左右上側把持部152a,152cと下側把持部152bとの間)を変位させた外力を除き、外側保持片165と左右内側保持片162,163との間隔を自然状態に戻すことにより、弾性復元力によって外側保持片165と内側保持片162,163との間に車外側側壁部32を容易に挟持することができる。
従って、図示する第2の実施形態の補助具150によると、対向する把持部(左右上側把持部152a,152cと下側把持部152b)を操作して容易にガラスランチャンネルの車外側側壁部の所定位置を挟持したり或いは外すことができるので、ガラスランチャンネル脱着操作をより容易に行うことができる。
【0058】
上記第2の実施形態において装着補助具の把持部形状の好適な一変更例を説明したが、窓枠側への係止機構も上述した第1の実施形態に限られない。例えば、第3の実施形態として、装着補助具と窓枠との係止機構に関する好適な一例を図13に示す。
この実施形態に係る装着補助具170では、挟持部180に上記係止片66が設けられておらず、代わりに操作部171における把持部172の先端部分がフック状に成形されている。かかるフック状先端部が本実施形態に係る係止部173を構成する。
即ち、本実施形態に係る装着補助具170では、上記第1の実施形態と同様に車外側側壁部32の所定位置に装着された当該補助具170を外向きに移動させて車外側側壁部32の先端を元の位置を越えて回転状に外向き(図10の矢印のOP方向)に変位させ、拡大開口部110aを形成することができる。このとき、本装着補助具170では、把持部172先端の係止部173であるフックを窓枠3(後枠部5)の外周縁5cに引っ掛ける。これにより、作業者が何もしない状態(装着補助具170から手を離した状態)で図13に示す拡大開口部110aを維持することができる。なお、この場合も拡大開口部110aが形成・維持された状態であっても、図示されるようにインナーパネル5b及びサッシュ部材10の車内側フランジ18を車内側側壁部38と保持リップ36との間に挟んで支持しているため、ガラスランチャンネル30全体が変位するのを防止でき、ガラスランチャンネル30の装着状態には影響を与えない。
【0059】
更に本実施形態に係る係止構造によると、図示されるように、装着補助具170を窓枠(後窓枠5)のアウターパネル5aに沿う位置まで外側に変位を行うことができる。従って、拡開の程度のより大きい拡大開口部110aを形成することができる。これにより、窓板装着作業時におけるガラスランチャンネル30の車外側側壁部32と窓板7との干渉をより確実に防止することができる。
また、本実施形態では欠如部100の縁(切欠き縁115)を装着補助具170の係止に利用しない。従って、図示されるように、欠如部100は拡大開口部110aの形成に必要な程度であればよく、アウターパネル5aの切欠き部分をサッシュ部材10の底壁部11を越える後方まで形成する必要がない。換言すれば、ガラスランチャンネル30の車外側側壁部32が露出すればよく、サッシュ部材10の底壁部11とアウターパネル5aとの間に上記係止片66が入り込む隙間ができるほどアウターパネル5aを大きく切り欠く必要がない(図13)。
従って、本実施形態に係る係止機構(即ち補助具170)を採用すると、より容易に窓板7の装着作業が行えるとともに窓枠3の強度低下を抑えることができる
【0060】
第4の実施形態として装着補助具と窓枠との係止機構に関する好適な他の一例を図14に示す。
この実施形態に係る装着補助具190では、第1実施形態の上記係止片66に代えて、挟持部200の外側保持片205の外面(変位操作時にアウターパネル5aと対向する表面)に係止用突起206が設けられている。かかる係止用突起206が本実施形態に係る係止部を構成する。
即ち、本実施形態に係る装着補助具190では、上記第1の実施形態と同様に車外側側壁部32の所定位置に装着された当該補助具190を外向きに移動させて車外側側壁部32の先端を元の位置を越えて回転状に外向き(図10の矢印のOP方向)に変位させ、拡大開口部110bを形成することができる。このとき、本装着補助具190では、係止用突起206を窓枠3(後枠部5)のアウターパネル5aに予め設けられている係止用孔5dに弾性的に挿入する。即ち、弾性ポリマー材料から成る係止用突起206の先端部は係止用孔5dの直径よりも若干大きい径に成形されており、弾性変形しつつ孔5d内に押し込まれた係止用突起206の先端部は、孔通過後に弾性力により所定の径に復帰し、装着補助具190のアウターパネル5aとの係止が実現する。これにより、作業者が何もしない状態(装着補助具190から手を離した状態)で図14に示す拡大開口部110bを維持することができる。なお、この場合も拡大開口部110bが形成・維持された状態であっても、図示されるようにインナーパネル5b及びサッシュ部材10の車内側フランジ18を車内側側壁部38と保持リップ36との間に挟んで支持しているため、ガラスランチャンネル30全体が変位するのを防止でき、ガラスランチャンネル30の装着状態には影響を与えない。
【0061】
更に本実施形態に係る係止構造によると、欠如部100の縁(切欠き縁115)を装着補助具190の係止に利用しない。従って、図示されるように、欠如部100は拡大開口部110bの形成に必要な程度であればよく、アウターパネル5aの切欠き部分をサッシュ部材10の底壁部11を越える後方まで形成する必要がなく、小さな係止用の孔5dをアウターパネル5aに設けるだけでよい。
従って、本実施形態に係る係止機構(即ち補助具190)を採用すると、第3の実施形態と同様、容易に窓板7の装着作業が行えるとともに窓枠3の強度低下を抑えることができる。
【0062】
以上、本発明の具体例を図面を参照しつつ詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上述の各実施形態では、リアドアとして取り付けられる左側面スライドドア用パネルの後枠部に欠如部を設けた例で説明したが、車体の他の部分に取り付けられるドアパネル(フロントドアや右側面のリアドア)に適用可能なことはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係るガラスラン製品が取り付けられた状態の車体ドアパネルと窓枠を示す車外側側面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】欠如部におけるサッシュ部材の状態を示す斜視図である。
【図4】一実施形態に係る装着補助具の構成を示す平面図である。
【図5】図4中のV−V線断面図である。
【図6】一実施形態に係る装着補助具の使用態様を模式的に示す説明図である。
【図7】一実施形態に係る装着補助具のガラスランチャンネルへの装着状態を模式的に示す説明図である。
【図8】図7中のVIII−VIII線断面図である。
【図9】図7中のIX−IX線断面図である。
【図10】図1中のX−X線断面図であり、一実施形態に係る装着補助具の使用態様を模式的に示す説明図である。
【図11】他の一実施形態に係る装着補助具の構成を示す平面図である。
【図12】図11中のXII−XII線断面図である。
【図13】他の一実施形態に係る装着補助具の使用態様を模式的に示す説明図である。
【図14】他の一実施形態に係る装着補助具の使用態様を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0064】
1 ドアパネル
2 パネル本体
2a 上縁部
3 窓枠
4 前枠部
5 後枠部
5a アウターパネル
5b インナーパネル
7 窓板
8 窓開口部
9 ガラスラン装着溝
10 サッシュ部材
11 底壁部
12 車外側フランジ
18 車内側フランジ
20 ガラスラン製品
22 前方ガラスランチャンネル
26 上側ガラスランチャンネル
30 後方ガラスランチャンネル
31 基底部
32 車外側側壁部
38 車内側側壁部
40 溝
50,150,170,190 装着補助具
52 把持部
60 挟持部
61 連結部
62 左内側保持片
63 右内側保持片
65,165 中央保持片(外側保持片)
100 欠如部
110,110a,110b 拡大開口部
120 カバー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓枠の内部に、長手方向に沿って弾性ポリマー材料から成る基底部と、該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されたガラスランチャンネルが取り付けられた車両ドアにおいて、前記窓開口部から略四角形の窓板を前記ガラスランチャンネルの前記溝内に装着する方法であって、
前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部には、窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されており、
前記ガラスランチャンネルの前記欠如部に対応する部分には、ガラスランチャンネルの車外側側壁部を内外両側から挟んで挟持する装着補助具が着脱可能に装着されており、
前記窓板を装着する前に、前記補助具を外向きに移動させてガラスランチャンネルの車外側側壁部の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させ、この変位に伴ってガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分に、通常時における前記溝形状よりも開口が拡大した拡大開口部を形成する工程と、
前記変位させた状態で前記補助具の一部を窓枠及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止させることによって前記ガラスランチャンネルの前記対応部分に形成した拡大開口部を維持する工程と、
前記窓枠における前記欠如部が形成されている側の縁と前記窓開口部を介して対向する側の縁部に位置するガラスランチャンネルの溝内に、前記窓板の一方の縁を挿入すると共に、該窓板の他方の縁の角部を前記拡大開口部を通してガラスランチャンネルの溝内に挿入する工程と、
前記窓板挿入工程の後に、前記補助具の係止を解除する工程と、
前記補助具を前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部から外す工程と、
前記外向きに変位させておいたガラスランチャンネルの車外側側壁部を元の位置に復帰させる工程と、
を含むことを特徴とする、窓板装着方法。
【請求項2】
前記ガラスランチャンネルには、前記車内側側壁部の更に車内側において長手方向に沿って該車内側側壁部から折り返し状に保持リップが形成されており、
前記車内側側壁部と前記保持リップとの間に前記窓枠の車内側の一部を挟んで支持することを特徴とする、請求項1に記載の窓板装着方法。
【請求項3】
前記拡大開口部形成工程において、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の少なくとも先端が基底部を越える位置まで、回転状に外向きに該車外側側壁部を変位させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の窓板装着方法。
【請求項4】
前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の先端には、該車外側側壁部の突出方向と交差する方向に突出する突出リップが一体に形成されており、
前記補助具を前記車外側側壁部に着脱可能に装着する際に、前記補助具の一部を前記突出リップに係止することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項5】
前記拡大開口部維持工程において、前記補助具の一部を前記欠如部の縁に係止させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項6】
前記拡大開口部維持工程において、前記補助具の一部を前記窓枠の外周縁に係止させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項7】
前記拡大開口部維持工程において、前記補助具の一部を前記窓枠の外表面に設けた孔に係止させることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項8】
前記補助具は、対向する車外側保持片及び車内側保持片を有し、両保持片間に前記車外側側壁部を挟んだ際に少なくともいずれか一方の保持片の該車外側側壁部と接触する部分には、先端が尖った突起が形成されており、
前記補助具を前記車外側側壁部に着脱可能に装着する際には、前記突起を該車外側側壁部に食い込ませることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項9】
前記補助具は、対向する車外側保持片及び車内側保持片を有し、
前記補助具を前記車外側側壁部に着脱可能に装着する際には、前記外側保持片と前記内側保持片との間を拡開させ、該拡開された二つの保持片間に前記車外側側壁部を挿入して挟持することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項10】
前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部における前記欠如部に配置される部分を車外側から支持して該部分の車外側への変位を防止する支持部材を、該欠如部の車外側に取り付ける工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項11】
前記欠如部を車外側から覆う遮蔽部材を窓枠に取り付ける工程を更に含むことを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の窓板装着方法。
【請求項12】
車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部に窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されている車両ドアの該窓枠の内部に装着されるガラスラン製品であって、
前記窓枠の内部に長手方向に沿って取り付けられる弾性ポリマー材料から成る基底部と、該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されたガラスランチャンネルと、
前記窓枠に取り付けられた前記ガラスランチャンネルの前記溝内に窓板を装着する際に用いられ、前記ガラスランチャンネルの前記欠如部に対応する部分に着脱可能に装着され、ガラスランチャンネルの車外側側壁部を内外両側から挟んで挟持する装着補助具とを備え、
前記補助具は、該補助具を外向きに移動させることにより前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させ、この変位に伴ってガラスランチャンネルの前記欠如部対応部分に、通常時における前記溝形状よりも開口が拡大した拡大開口部を形成させ得るように構成されており、
さらに前記補助具の一部に、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を変位させた際に窓枠及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止される係止部を有することを特徴とする、ガラスラン製品。
【請求項13】
前記ガラスランチャンネルの前記車内側側壁部及び車外側側壁部は、熱可塑性エラストマー又はEPDMを主体とする加硫済みゴムにより形成されていることを特徴とする請求項12に記載のガラスラン製品。
【請求項14】
車体のドアパネル本体と、該ドアパネル本体の上側に略門形をなして一体化されている窓枠とを備え、前記ドアパネル本体の上縁と前記窓枠とで略四角形の窓開口部が形成された車両ドアであって、前記窓開口部をなす窓枠の車外側部分の内向き部分の一部に窓開口を外向きに広げる欠如部が窓枠の長手方向に所定の長さだけ形成されている車両ドアの前記窓枠の内部に取り付けられたガラスランチャンネルであって、長手方向に沿って取り付けられた弾性ポリマー材料から成る基底部と該基底部の幅方向両側から起立する車内側側壁部及び車外側側壁部とを有する横断面形状が略U字形をなす溝形状の長尺材に成形されたガラスランチャンネルの前記溝内に前記窓開口部から略四角形の窓板を装着する際に用いられる装着補助具であって、
前記ガラスランチャンネルの前記欠如部に対応する部分に着脱可能に装着され、
前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を内外両側から挟んで挟持する車外側保持片及び車内側保持片と、
それら両保持片を根元側で連結する連結部と、
前記車外側保持片及び車内側保持片の少なくともいずれかに連結され、且つ、装着補助具がガラスランチャンネルに装着されたとき、車外側側壁部の外側に突出して前記窓枠及び/又は窓枠構成部材に着脱可能に係止される係止部と、
前記車外側保持片と前記車内側保持片と前記連結部のうちの少なくともいずれかに成形された把持部と、
を備えており、
ここで前記車外側保持片と前記車内側保持片と前記連結部とは、前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を内外両側から挟んで前記把持部を把持して外向きに移動させてガラスランチャンネルの車外側側壁部の先端を元の位置を越えて回転状に外向きに変位させることができる剛性を有することを特徴とする装着補助具。
【請求項15】
前記ガラスランチャンネルの弾性ポリマー材料よりも硬質で剛性を有する弾性変形可能な金属又は合成樹脂材料から成形されていることを特徴とする、請求項14に記載の装着補助具。
【請求項16】
前記車外側保持片及び車内側保持片の少なくとも一方には、両保持片間に前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部を挟んだ際に該車外側側壁部と接触する部分において先端が尖った突起が形成されており、
前記補助具を前記車外側側壁部に着脱可能に装着した際に前記突起が該車外側側壁部に食い込むことを特徴とする、請求項14又は15に記載の装着補助具。
【請求項17】
前記把持部は、前記補助具が前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部の所定の位置に装着されたときに、該車外側側壁部の突出方向のほぼ延長方向に突出するように形成されていることを特徴とする、請求項14〜16のいずれかに記載の装着補助具。
【請求項18】
前記把持部は、前記車外側保持片と前記車内側保持片のそれぞれに形成されており、
両把持部間の間隔が狭まる方向に外力を加えて両把持部を変位させたときに前記車外側保持片と前記車内側保持片との間が弾性を伴って拡開し、
該拡開によって前記車外側保持片と前記車内側保持片との間に前記ガラスランチャンネルの車外側側壁部が挿入可能となり、両把持部を変位させた外力を除くと前記弾性により前記車外側保持片と前記車内側保持片との間に前記車外側側壁部が挟持されることを特徴とする、請求項14〜17のいずれかに記載の装着補助具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−6767(P2009−6767A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−168038(P2007−168038)
【出願日】平成19年6月26日(2007.6.26)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】