説明

立体画像生成装置

【課題】立体画像に対してより立体感を出せ、水系を容易にたどれる視覚化立体地図を得る。
【解決手段】DEMデータ作成部6と、DEM読込間隔設定部7と、パラメータ計算部8と、立体赤色マップ作成部20と、傾斜画像階調補正部22と、地上開度画像階調補正部23と、地下開度画像階調補正部21と、Lチャンネル化部26と、bチャンネル化部25と、aチャンネル化部27と、Lカラー式画像化部と、階調補正部29と、XYZ表色系変換部と、RGB表色系変換部31と、合成部32と、微調補正部33、傾斜スペクトラム算出部52と、地下開度スペクトラム算出部51と、地上開度スペクトラム算出部53等を備えて、画像を地下開度が高い谷や窪地をシアン色に、地上開度の大きい尾根や頂上を赤色に調整し、この地上開度−地下開度調整画像を、赤色立体地図と重ねあわせ合成することによって画像(KLi)を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元座標で表された大量のデジタル画像データに基づく凹凸の高低及び傾斜を、色調で表現することにより視覚的に立体感を付与可能な立体画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤色立体地図(特許文献1:特許第4272146号)は、大地形も表現可能な地上開度と地下開度から「尾根谷度」を求め、これを明度に比例させた画像に、微地形である斜面の傾斜を赤の彩度に割り当てて合成する方法である。図50の斜度図と図51の尾根谷度図を合成し赤色立体地図を作成した(図52)。
【0003】
赤色立体地図には、北西南東方向に併走する断層崖や水蒸気爆発の火口がわかりやすく立体的に表現されている。特に破壊された国道230号線を横断する地溝もわかりやすい。A地点付近にあるクレーターも明瞭である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4272146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、火口の底が深いほど暗く表現されているために、場所によっては火口底の地形がほとんど判読できないことがある。
【0006】
この画像を作成するために使用した、赤色立体地図の色を決定するためのダイヤグラムを図14に示す。傾斜の最大値と尾根谷度の最大値と最小値は、作成する地域の特性に合わせて変化させるのだが、尾根地形が多ければ明るく、谷地形が多い場合は暗くなるという点は避けられない。
【0007】
つまり、急斜面が多い山に適用してみると、急斜面が多いために赤黒くなりすぎる問題があった。
【0008】
以下に赤色立体地図の問題点を列挙する。
【0009】
(1)谷が暗くなりすぎる。尾根谷度を明度に直接割り当てているので、深い谷は非常に暗く表現されてしまい、結果として立体感が膨張されすぎ、境界が不明瞭である。
【0010】
(2)水系が追跡しにくい。谷筋が暗いためか、たどりにくいことがある。
【0011】
本発明は以上の課題を鑑みてなされたもので、より立体感を出せ、水系を容易にたどれる視覚化立体地図を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、所定範囲の標高値が付与された三次元のデジタルデータ(X、Y、Z)から生成したDEMデータに着目点を順次定義して、該着目点毎の地上開度及び地下開度並びに斜度を一定範囲にわたって求めた地上開度データ群、地下開度データ群、斜度データ群を得る手段と、
前記地上開度の値の大きさほどに明るい色を割りあてた地上開度画像(Dp)、前記地下開度の値の大きさほどに暗い色を割りあてた地下開度画像(Dq)、前記斜度データ毎に、その傾斜度の値が大きいほどに赤が強調された色を割り付けた傾斜強調画像(Dr)を得る手段と、
地上開度画像(Dp)と地下開度画像(Dq)と傾斜強調画像(Dr)とを重ね合わせた第1の合成画像(Ki)を得る手段と、
前記地上開度画像(Dp)の画像データを読み出し、該読み出し毎にaチャンネルに割りあてたaデータを得る手段と、
前記地下開度画像(Dq)の画像データを読み出し、該読み出し毎にbチャンネルに割りあてたbデータを得る手段と、
前記傾斜強調画像(Dr)の画像データを読み出し、該読み出し毎にLチャンネルに割りあてLデータを得る手段と、
前記aデータと、bデータ及び前記Lデータとが得られる毎に、これらのデータをL空間に定義していくことで前記地上開度画像(Dp)と地下開度画像(Dq)と傾斜強調画像(Dr)のLab画像データ(Li)を得る手段と
前記Lab画像(Li)と前記第1の合成画像(Ki)とを合成した第2の合成画像(KLi)を生成する手段と
を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、より違和感無く立体感を出せると共に水系を容易にたどれるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る立体画像生成装置の概略構成図である。
【図2】本発明に係わるレーザ計測の説明図である。
【図3】本発明で得られる画像の特徴を説明する説明図である。
【図4】立体赤色マップ生成の過程の説明図である。
【図5】地上開度及び地下開度の原理説明図である。
【図6】地上開度及び地下開度の主要パターン説明図である。
【図7】地上開度及び地下開度の立体的説明図である。
【図8】地上開度及び地下開度の標本地点及び距離の説明図である。
【図9】パラメータ計算部及び立体赤色マップ作成部の概略構成図である。
【図10】凸部強調画像生成部、凹部強調画像生成部、及び第1の合成部の概略構成図である。
【図11】斜度強調画像作成部及び第2の合成部の概略構成図である。
【図12】グレイスケースの割当て説明図である。
【図13】傾斜赤色化立体画像の生成過程説明図である。
【図14】地上開度画像、地下開度画像、傾斜強調画像の周波数分布の説明図である。
【図15】本実施の形態のLabカラー式画像の生成過程の説明図である。
【図16】本実施の形態の階調補正部によって得られる各画像のスペクトラムの説明図である。
【図17】本実施の形態の地下開度画像、地上開度画像及び傾斜画像の色の散布図である。
【図18】Lab画像の説明図である。
【図19】Lab画像の色調調整結果の画像の説明図である。
【図20】Lab画像の完成図である。
【図21】実施の形態2の立体画像生成装置の概略構成図である。
【図22】水系抽出の画像を説明する説明図である。
【図23】水系抽出の画像と適用前の比較図である。
【図24】DEM間隔の変更を説明する説明図である。
【図25】1mDEMと4mDEMとの比較図である。
【図26】グリーンに提供した場合の説明図である(Depth map)。
【図27】グリーンに提供した場合の説明図である(Zebra map)。
【図28】グリーンに提供した場合の説明図である(Color Level slice)。
【図29】グリーンに提供した場合の説明図である(Retardation map)。
【図30】グリーンに提供した場合の説明図である(shadow)。
【図31】グリーンに提供した場合の説明図である(Vatical shadow)。
【図32】グリーンに提供した場合の説明図である(shadow+CLS)。
【図33】グリーンに提供した場合の説明図である(dip)。
【図34】グリーンに提供した場合の説明図である(colored dip)。
【図35】グリーンに提供した場合の説明図である(dip+CLS)。
【図36】グリーンに提供した場合の説明図である(Red Relif Image Map)。
【図37】グリーンに提供した場合の説明図である(Red Relif Image Map)。
【図38】グリーンに提供した場合の説明図である(赤色立体地図による詳細表示)。
【図39】グリーンに提供した場合の説明図である(PRIMCLS)。
【図40】グリーンに提供した場合の説明図である(PRIM+CLS)。
【図41】グリーンに提供した場合の説明図である(La color method)。
【図42】グリーンに提供した場合の説明図である(PRIM+La)。
【図43】グリーンに提供した場合の説明図である(Positive Openess)。
【図44】グリーンに提供した場合の説明図である(Negative Openess)。
【図45】グリーンに提供した場合の説明図である(Ridge valley value)。
【図46】グリーンに提供した場合の説明図である(by Spyglass Transform)。
【図47】グリーンに提供した場合の説明図である(PRIM+Zebra)。
【図48】グリーンに提供した場合の説明図である(Retardation+dip)。
【図49】グリーンに提供した場合の説明図である(Retardation+shade)。
【図50】背景技術を説明する説明図である。
【図51】背景技術を説明する説明図である。
【図52】背景技術を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に具体例を説明する。
【0016】
図1に、本実施形態に係る立体画像作成装置4の概略構成を示す。図1に示すように、本実施形態の立体画像作成装置4は、以下に説明するコンピュータ機能を備えている。また、この立体画像作成装置4には、各種データベースが接続される。
【0017】
データベース1には、レーザデータRiが保存される。このレーザデータ(Rx、Ry、Rz:レーザデータによる座標であることを示すためにRを付加)は、図2に示すように対象地域上空(デジタルカメラ撮影範囲が好ましい)を水平飛行する航空機により、下方にレーザ光を発射し、往復に要した時間と、航空機の位置、姿勢、発射角度から計算(コンピュータ)によって、地表面のx、y、zを求めて保存している。前述の飛行位置の把握にはGPS(図示せず)、姿勢の把握にはIMUを用いる。
【0018】
レーザ発射器(図示せずZ)は、例えば毎秒33000回発射することが可能であり、80c
mに1点の密度で標高点(Rx、Ry、Rz)の取得が可能である。
【0019】
1回のレーザ発射について複数の反射パルスが測定された場合には、最終反射のデータを採用して保存する。
【0020】
また、受信したレーザデータの分布傾向を検討し、周辺よりもスパイク状が高い点は、通過できなかった樹木のレーザデータと認定して取り除き、さらに樹木以外に家屋や、自動車、橋等のレーザデータも取り除く。従ってデータベース1には、地表面のレーザデータRiのみが保存される。
【0021】
データベース2には、少なくともデジタルカメラ撮影範囲の等高線地図Hi(2万5000分の1:等高線に番号を付している)を格納する。また、この等高線図の特徴点の座標(Hx、Hy、Hz:等高線図データ)を付加している。
【0022】
また、データベース3にはステレオマッチングデータMiを保存している。このステレオマッチングデータMiは、同じエリアを撮影した2枚の航空写真から立体画像を生成する。例えば、2枚の写真の内で既知の建物の面を抽出し、この建物の面にZ値を与えて立体化(Mx、My、Mz)し、これを基準として他の地物にZ値を与えて行く。
【0023】
(各部の説明)
また、図1に示すように、立体画像作成装置は、DEMデータ作成部6と、DEM読込間隔設定部7と、パラメータ計算部8と、立体赤色マップ作成部20と、傾斜画像階調補正部22と、地上開度画像階調補正部23と、地下開度画像階調補正部21と、Lチャンネル化部26と、bチャンネル化部25と、aチャンネル化部27と、Lカラー式画像化部28と、階調補正部29と、XYZ表色系変換部35と、RGB表色系変換部31と、合成部32と、微調補正部33、傾斜スペクトラム算出部52と、地下開度スペクトラム算出部51と、地上開度スペクトラム算出部53等を備えて、図3の(a)に示すように、画像を地下開度が高い谷や窪地をシアン色に、地上開度の大きい尾根や頂上を赤色に調整する。地上開度も小さい谷斜面等は緑色を呈している。
【0024】
この地上開度−地下開度調整画像を、従来の赤色立体地図である図3(b)と重ねあわせ合成することによって、暗くなりすぎた谷の表現をシアンがかった色に調整改善して、谷が暗くて見にくいという問題点を改善した図3(c)の画像(KLi)を得る。暗いシアン色は、深いという感覚をもたらすようである。
【0025】
DEMデータ作成部6は、データベース1のレーザデータRiを読み込み(1m又は4m)、それぞれの同じ標高値を結んだ等高線図を生成し、この等高線図に対してTINを作成して地面を復元する。そして、TINと各格子点の交わる点の高さを求めDEMデータ(DEM:Di
gital Elavation Model)を作成する。
【0026】
また、DEMデータ作成部6は、データベース2に保存されている等高線地図Hiを読み、等高線同士を結んだTINを生成し、これを前述のDEMデータにコンバートしてもよい。
【0027】
次に、本実施形態で用いるDEMデータについて説明する。例えば、「数値地図50mメッシュ(標高)」は1/25,000地形図の縦・横を各々200等分したメッシュ(メッシュ間隔は緯線方向が2.25秒、経線方向が1.50秒となっている)の中心の標高を1m又は4m刻みで読み出して2次元配列とする。
【0028】
DEM読込間隔設定部7は、DEMデータ作成部6に対しての読み込み間隔(1m又は4m)を設定する。
【0029】
次に、パラメータ計算部8及び立体赤色マップ作成部20について説明する。
【0030】
パラメータ計算部8及び立体赤色マップ作成部20は、地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することにより、尾根や山頂部分を白っぽく、また谷や窪地を黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像(以下立体赤色化マップともいう)を生成する。
【0031】
つまり、等高線の間をメッシュ化し、それぞれの隣のメッシュとの差すなわち傾斜は赤の色調で表現し、周辺に比べて高いか低いかはグレイスケールで表現する。これは浮沈度Ψmに相当し、本実施形態では、尾根谷度と呼ばれ、より明るいほうが周辺に比べて高く(尾根的)、より暗いほうが周辺に比べて低い(谷的)ことを示唆し、その明暗を乗算合成することにより立体感が生じようにしている。
【0032】
図4を用いて説明を補充する。
【0033】
処理対象となるベクトル場70(DEM)を格納する。このベクトル場70は、実質的に3種以上の情報を抽出可能な1つ以上の成分を有する情報ベクトルの有限集合(総数N個)であればよく、本実施形態の各ベクトルは、富士山地表面の微小な有限分割領域を代表する着目点に関し、その経度情報及び緯度情報を参照テーブルで確認可能な識別(Id)番号と、隣接する着目点又は三角基準点に対する高度差とを含む2成分ベクトルである。
【0034】
次に、n番目(n=1〜N)に処理した2成分ベクトルVnの識別番号Idnと高度差とから、その経度xn、緯度yn、及び海抜高度znを算出し、その値を仮想的な三次元(3D)のX−Y−Z直交座標空間80内の対応する座標点Qn={Xn=xn、Yn=yn、Zn=zn}に対応付けることにより、つまり、座標点Qnに対応した記憶領域にベクトルVnの識別番号Idnを格納することにより、ベクトルVnを座標空間80に写像し、これを総数N個のベクトルについて行うことにより、ベクトル場70を座標空間80に写像する(図4の処理P1)。
【0035】
更に、座標空間80内の総数N個又はそれ未満の適宜な個数のId付き座標点の列{Qn:n≦N}を必要な滑らかさで連結する曲面Sを最小二乗法等で求めて、これを総数M個{M≦N}の微小な面領域{Sm:m≦M}に分割し、それぞれ着目点Qmを定め、関連情報を格納する。
【0036】
各面領域Smに関し、その着目点Qmから所定半径内に位置する曲面Sの表側(Z+側)の局所領域Lm+を確認し、それにより画成される着目点Qm周りの開放度(即ち、天側に対する見通し立体角又はそれと等価な二回微分値)Ψm+を求め(図4の処理P2)、面領域Smの浮上度として記憶する。この浮上度Ψm+を曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Aとする。この画像Aは、地形の尾根側、つまり(曲面Sの)凸部をいかにも凸部らしく明瞭に示す。
【0037】
上記面領域Smに関し、その着目点Qmから上記所定半径内に位置する曲面Sの裏側(Z-側)の局所領域Lm-を確認し、それにより画成される着目点Qm周りの開放度(即ち、地側に対する見通し立体角又はそれと等価な二回微分値)Ψm-を求め(図4の処理P3)、面領域Smの沈下度として記憶する。この沈下度Ψm-を曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Cとする。この画像Cは、地形の谷側、つまり(曲面Sの)凹部をいかにも凹部らしく明瞭に示す。この画像Cが前記画像Aの単純な反転にならない点に留意する必要がある。
【0038】
次に、上記面領域Smに関し、その浮上度Ψm+と沈下度Ψm-とを合目的的に(つまり、尾根と谷のどちらを重視するかに従い)定めた配分割合w+:w−(w++w−=0)で重み付け合成(w+Ψm++w−Ψm-)することにより、前記所定半径内に位置する曲面Sの表裏の局所領域Lm(Lm+,Lm-)が着目点Qm周りにもたらす立体的効果を求め(図4の処理P4)、面領域Smの浮沈度Ψmとして記憶する。この浮沈度Ψmを曲面S全体に渡り諧調表示した画像を処理結果Bとする。この画像Bは、(曲面Sの)の凸部を凸部らしくまた凹部を凹部らしく明瞭に示すことにより、地形の尾根と谷とを際立たせ、視覚的立体感を増強する。なお、画像Bは、上記合成の重み付けがw+=−w−=1になっている。
【0039】
ここで、上記面領域Smに関し、その最大傾斜度(又はそれと等価な一回微分値)Gmを、直接的に又は最小二乗法を介し間接的に求め(図4の処理P6)、上記面領域Smの斜度Gmとして記憶する。この斜度Gmを曲面S全体に渡り赤系統の色Rで色調表示した画像(の無彩色表示画像)を処理結果Dとする。この画像Dも、地形(つまり曲面S)の立体感を視覚的に醸成する効果を持つ。
【0040】
次に、三次元座標空間80をその関連情報(Ψm、Gm,R)と共に、二次元面90に写像(図4の処理P5)することにより、前記座標点Qmの列を連結する面Sの分割領域Smに対応する二次元面90上の領域90mに、前記斜度GmのR色調表示を行うとともに、そのR色調の明度について、前記浮沈度Ψmに対応する諧調表示を行う。この画像(の無彩色表示画像)を処理結果Fとする。この画像Fは、地形(つまり曲面S)に視覚的立体感が付与されている。
【0041】
画像Eは、前記画像Dの情報(つまり斜度Gmを示すR色調)と画像Aに対応する浮沈度(つまり浮上度Ψm+)の情報とを処理ファイル65で二次元面90に写像(処理P5)した結果を示し、尾根部が強調されている。
【0042】
画像Gは、前記画像Dの情報(斜度Gmを示すR色調)と画像Cに対応する浮沈度(つまり沈下度Ψm-)の情報とを処理ファイル65で二次元面90に写像(処理P5)した結果を示し、谷部が強調されている。
【0043】
さらに、前記座標点Qnの列のうち、前記ベクトル70場のベクトルVnの成分から抽出される属性(本実施形態では海抜高度zn)が等値な座標点Qnを連結した属性等値線(本実施形態では地形の等高線及び外形線)Eaを求めて、これを記憶し、必要に応じ、出力ないしは表示する(図4の処理P7)。図4にその表示処理結果Iを示す。この結果Iも、地形(つまり曲面S)の立体形状の把握に寄与する。
【0044】
また、前記二次元面90上に、前記三次元座標空間80をその関連情報(Ψm、Gm,R)と共に写像ないしは出力表示するとともに、上記属性等値線Eaを写像ないしは出力表示する(図4の処理P8)。その表示画像(の無彩色表示画像)を処理結果Hとする。この画像Hも、地形(つまり曲面S)に視覚的立体感が付与されている。
【0045】
つまり、ベクトル場70を三次元の座標空間80に写像して対応する座標点列Qmを得る第1の手段と、
前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lm+での浮上度Ψm+を求める第2の手段と、
前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lm-での沈下度Ψm-を求める第3の手段と、
前記浮上度と前記沈下度とを重み付け合成して前記座標点列を連結する面Sの局所領域Lmでの浮沈度Ψmを求める第4の手段と、
前記座標空間80を二次元面90に写像し、前記座標点列を連結する面Sの分割領域Smに対応する二次元面90上の領域90mに前記浮沈度に対応する諧調表示を行う第5の手段と、を備えている。
【0046】
さらに、前記座標点列を連結する面Sの斜度Gm分布を求める第6の手段を備え、
前記第5の手段は、前記二次元面90上に前記斜度分布を赤色系の色Rで色調表示し、その明度に関し、前記諧調表示を行う。
【0047】
さらに、前記座標点列のうち前記ベクトル70場での属性が等値な座標点を連結して属性等値線Eaを得る第7の手段と、
前記諧調表示がなされた二次元面90上に前記属性等値線Eaを写像する第8の手段とを備える。
【0048】
次に、より具体的に説明する。
【0049】
パラメータ計算部8及び立体赤色マップ作成部20は、開度という概念を用いている。開度は当該地点が周囲に比べて地上に突き出ている程度及び地下に食い込んでいる程度を数量化したものである。つまり、地上開度は、図5に示すように、着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している。
【0050】
開度は距離Lと周辺地形に依存している。図6は9種の基本地形についての地上開度及び地下開度を、方位毎の地上角及び地下角の8角形グラフで示したものである。一般に地上開度は周囲から高く突き出ている地点ほど大きくなり、山頂や尾根では大きな値をとり窪地や谷底では小さい。逆に地下開度は地下に低く食い込んでいる地点ほど大きくなり、窪地や谷底では大きな値をとり山頂や尾根では小さい。実際には、距離Lの範囲内でも種々の基本地形が混在しているために、地上角及び地下角の8角形グラフは変形され開度も種々の値をとることが多い。
【0051】
前述のように DφL 及び DψL がLに対して非増加特性をもっていることから、ΦL 及びΨL もまたLに対して非増加特性を持っている。
【0052】
また、開度図は計算距離の指定によって、地形規模に適合した情報抽出が可能であり、方向性及び局所ノイズに依存しない表示が可能である。
【0053】
つまり、尾根線及び谷線の抽出に優れており、豊富な地形・地質情報が判読できるものであり、図7に示すように、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体:図7の(a))において、設定した当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点Bを結ぶ直線L1と、水平線とがなす角度ベクトルθiを求める。
【0054】
この角度ベクトルの求め方を8方向に渡って実施し、これらを平均化したものを地上開度θiと称し、一定範囲のDEMデータ上(地表面:立体)に空気層を押し当てた立体(図7の(b))を裏返した反転DEMデータ(図7の(c))の当該地点Aから8方向のいずれか一方を見たときに最大頂点となる点C(一番深い所に相当する)を結ぶ直線L2と、水平線とがなす角度を求める。この角度を8方向に渡って求めて平均化したのを地下開度ψiと称している。
【0055】
すなわち、地上開度データ作成部(図示せず)は、着目点から一定距離までの範囲に含まれるDEMデータ上において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線(
図7の(a)のL1)の傾斜の最大値(鉛直方向から見たとき)を求める。このような処理を8方向に対して行う。傾斜の角度は天頂からの角度(平坦なら90度、尾根や山頂では90度以上、谷底や窪地では90度以下) また、地下開度データ作成部10は、反転DEMデータの着目点から一定距離までの範囲において、8方向毎に地形断面を生成し、それぞれの地点と着目点を結ぶ線の傾斜の最大値(図7の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときには最小値)を求める。このような処理を8方向に対して行う。
【0056】
図7の(a)の地表面の立体図において鉛直方向からL2を見たときの角度ψiは、平坦なら90度、尾根や山頂では90度以下、谷底や窪地では90度以上である。
【0057】
つまり、地上開度と地下開度は、図8に示すように、2つの基本地点A(iA,jA,HA)とB(iB,jB,HB)を考える。標本間隔が1mであることからAとBの距離は
P = {(iA − iB)2 + (jA − jB)2}1/2 …(1)
となる。
【0058】
図8(a)は標高0mを基準として、標本地点のAとBの関係を示したものである。標本地点Aの標本地点Bに対する仰角θは
θ=tan-1{(HB −HA )/P
で与えられる。θの符号は(1)HA<HB の場合には正となり、(2)HA>HB の場合には負となる。
【0059】
着目する標本地点から方位D距離Lの範囲内にある標本地点の集合を DSL と記述して
、これを「着目する標本地点のD−L集合」を呼ぶことにする。ここで、
DβL :着目する標本地点の DSL の各要素に対する仰角のうちの最大値
DδL :着目する標本地点の DSL の各要素に対する仰角のうちの最小値
として(図7の(b)参照)、次の定義をおこなう。
【0060】
定義1:着目する標本地点のD−L集合の地上角及び地下角とは、各々
DφL =90− DβL
及び
DψL =90+ DδL
を意味するものとする。
【0061】
DφL は着目する標本地点から距離L以内で方位Dの空を見ることができる天頂角の最大値を意味している。一般に言われる地平線角とはLを無限大にした場合の地上角に相当している。また、DψL は着目する標本地点から距離L以内で方位Dの地中を見ることができる天底角の最大値を意味している。Lを増大させると、 DSL に属する標本地点の数は増加することから、DβL に対して非減少特性を持ち、逆に DδL は非増加特性を持つ。したがって DφL 及び Dψ1 .は共にLに対して非増加特性を持つことになる。
【0062】
測量学における高角度とは、着目する標本地点を通過する水平面を基準にして定義される概念であり、θとは厳密には一致しない。また地上角及び地下角を厳密に議論しようとすれば、地球の曲率も考慮しなければならず、定義1は必ずしも正確な記述ではない。定義1はあくまでもDEMを用いて地形解析をおこなうことを前提として定義された概念である。
【0063】
地上角及び地下角は指定された方位Dについての概念であったが、これを拡張したものとして、次の定義を導入する。
【0064】
定義II:着目する標本地点の距離Lの地上開度及び地下開度とは、各々
ΦL=(0φL+45φL+90φL+135φL+180φL+225φL+270φL+315φL)/8
及び
ΨL=(0ψL+45ψL+90ψL+135ψL+180ψL+225ψL+270ψL+315ψL)/8
を意味するものとする。
【0065】
地上開度は着目する標本地点から距離Lの範囲内で見える空の広さを表しており、また地下開度は逆立ちをして地中を見渡す時、距離Lの範囲における地下の広さを表している(図5参照)。
【0066】
また、パラメータ計算部8及び立体赤色マップ作成部20は、具体的には図9に示すように構成されている。パラメータ計算部8(メモリは省略して説明する)は、傾斜算出部9と、地上開度データ作成部10と、地下開度データ作成部11を備えている。
【0067】
立体赤色マップ作成部20は、凸部強調画像作成部20aと、凹部強調画像作成部20cと、斜度強調部20aと、第1の合成部20dと、第2の合成部20e等を備えている。
【0068】
凸部強調画像作成部20a及び凹部強調画像作成部20c並びに第1の合成部20dの詳細接続構成図を図10に示す。また、斜度強調画像作成部20aと第1の合成部20dと第2の合成部20eとの詳細接続構成図を図11に示す。
【0069】
傾斜算出部9はDEMデータを正方形にメッシュ化し、このメッシュ上の着目点と隣接する正方形の面の平均傾斜を求める。隣接する正方形は4通り存在しており、いずれか一つを着目正方形とする。そして、この着目正方形の4隅の高度と平均傾斜とを求める。平均傾斜は最小二乗法を用いて4点から近似した面の傾きである。
【0070】
また、凸部強調画像作成部20bは、図12(a)に示すように、尾根、谷底を明るさで表現するための第1のグレイスケールを備え、地上開度(着目点からLの範囲を8方向見たときの、平均角度:高いところにいるかを判定するための指標)が求められる毎に、この地上開度θiの値に対応する明るさ(明度)を算出する。
【0071】
例えば、地上開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第1のグレイスケールに対応させ、255諧調(0〜255)に割り当てる。つまり、尾根の部分(凸部)の部分ほど地上開度の値が大きいので、色が白くなる。
【0072】
そして、図10に示すように、凸部強調画像作成部20bの凸部強調用色割当処理20baが地上開度画像データDaを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第1のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを地上開度ファイル20bcに保存(地上開度画像データDpa)する。次に、諧調補部20baがこの地上開度画像データDpaの色諧調を反転させた地上開度レイヤーDpをファイルbfに保存する(このとき、RGB表色系に変換(RGB変換部20be)して保存するのが好ましい)。つまり、尾根が白くなるように調整した地上開度レイヤーDpを得ている。
【0073】
凹部強調画像作成部20cは、図12(b)に示すように、谷底、尾根を明るさで表現するための第2のグレイスケールを備え、地下開度データ作成部10が地下開度ψi(着目点から8方向の平均)を求める毎に、この地上開度ψiの値に対応する明るさを算出する。
【0074】
例えば、地下開度の値が40度から120度程度の範囲に収まる場合は、50度から110度を第2のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。
【0075】
つまり、谷底の部分(凹部)の部分ほど地下開度の値が大きいので、色が黒くなることに
なる。
【0076】
そして、図10に示すように、凹部強調画像作成部20eの凹部強調用色割当処理20eaは、地下開度画像データDbを読み、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第2のグレイスケールに基づく色データを割り付け、これを地下開度ファイル20ccに保存する。次に、色反転化処理20ecが地下開度画像データDbを反転化してRGB表色系に変換(RGB変換部20cf)して、これを地下開度レイヤーDqと称してファイル20cgに保存する。
【0077】
色が黒くなり過ぎた場合は、トーンカーブを補正した度合いの色にする。
【0078】
斜度強調部9は、図12(c)に示すように、傾斜の度合いを明るさで表現するに応じたで表現するための第3のグレイスケールを備え、傾斜算出部9が傾斜度(着目点から4方向の平均)を求める毎に、この傾斜度の値に対応する第3のグレイスケールの明るさ(明度)を算出する。
【0079】
例えば、斜度αiの値が0度から70度程度の範囲に収まる場合は、0度から50度を第3のグレイスケールに対応させ、255諧調に割り当てる。つまり、0度が白、50度以上が黒。傾斜αiの大きい地点ほど色が黒くなる。
【0080】
そして、図10に示すように、斜度強調画像作成部20aの斜度強調用色割当処理20aaは、地下開度画像データDbと地上開度画像データDaとの差画像を斜度画像Draとしてファイル20abに保存する。
【0081】
このとき、着目点(座標)を有するメッシュ領域(DEMデータの同じZ値を繋いだ等高線を正方形でメッシュ化し(例えば1m)、このメッシュの4隅のいずれかの点を着目点としている場合)に、第3のグレイスケールに基づく色データを割り付ける。次に、赤色処理がRGBカラーモード機能でRを強調する。つまり、傾斜が大きいほど赤が強調された傾斜強調画像Dr(slope画像とも称する)をファイル20aeに得る。
【0082】
第1の合成部20dは、地上開度レイヤーDp(OpenU画像とも称する)と地下開度レイヤーDq(Openl画像とも称する)とを乗算して合成した合成画像Dh(Dh=Dp+D1 )を得る。このとき、谷の部分が潰れないように両方のバランスを調整する。
【0083】
前述の「乗算」というのは、フォトショップ(photoshop)上のレイヤーモードの用語で、数値処理上はOR演算となる。
【表1】

【0084】
このバランス調整は、地上開度と地下開度の値の配分は、ある地点を地点を中心として一定の半径(L/2)の地表面を切り取る。
【0085】
空全体が一様な明るさの場合に地表面から見上げる空の広さが地面の明るさを与える。
【0086】
つまり、地上開度が明るさとなる。しかし、光が回り込むことまで考えると、地下開度の値も考慮するべきである。
【0087】
この両者の比をどのようにするべきかで、地形の尾根の部分を強調したり、任意に変化させることができる。谷の中の地形を強調したいときはbの値を大きくする。
【0088】
明るさの指標=a×地上開度−b×地下開度
但し、a+b=1
すなわち、図13に示すように、地上開度レイヤーDp(尾根を白強調)と地下開度レイヤーDq(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像を得る(Dh=D
p+D1 )。
【0089】
一方、第2の合成部は図13に示すように、ファイルの傾斜強調画像Drと第1の合成部で合成して得た合成画像Dhと合成した尾根が赤色で強調された立体赤色化画像Kiを得る。
【0090】
すなわち、図13に示すように、地上開度レイヤーDp(尾根を白強調)と地下開度レイヤーDq(底を黒く強調)と乗算合成した灰色の諧調表現の合成画像Dhを得ると共に、斜度画像Draに対して傾斜が多きほど赤が強調された傾斜強調画像Drを得る。そして、この傾斜強調画像Drと合成画像Dhとを合成してKiを得る。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、DEM(Digital Elavation Model)データをもとに、傾斜、地上開度、地下開度の3つのパラメータを求め、平面分布をグレイスケール画像として保存。地上開度と地下開度の差分画像をグレイに、傾斜を赤のチャンネルにいれて、擬似カラー画像を作成することによって、尾根や山頂部分が白っぽく、谷や窪地が黒っぽく表現し、傾斜が急な部分ほど赤く表現する。
【0092】
このような表現の組み合わせにより、1枚でも立体感のある画像が生成できる。このため、一目で凹凸の高低の度合い及び傾斜の度合いを把握させることができる。
【0093】
(スペクトラム算出部の説明)
図14は斜度、地上開度、地下開度の各スペクトラムの説明図である。
【0094】
傾斜スペクトラム算出部52は、パラメータ計算部8の傾斜算出部9によってメモリ9aに記憶された傾斜強調画像Drのスペクトラム分布(斜度スペクトラムともいう)を算出して、これをメモリ52に記憶する。
【0095】
傾斜強調画像Drの斜度スペクトラムは、斜度(0°〜90°)を横軸、画素の頻度(n)を縦軸にとったヒストグラムで示すと図14(a)に示すようになる。図14(a)に示すように、斜度αiは、実質的には0°〜50°で分布している。
【0096】
地上開度算出部53は、パラメータ計算部8の地上開度算出部11によってメモリ10aに記憶された地上開度強調画像Dpのスペクトラム分布(地上開度スペクトラムともいう)を算出して、これをメモリ54に記憶する。
【0097】
地上開度スペクトラムは、開度(0°〜180°)を横軸、画素の頻度(n)を縦軸にとった地上開度ヒストグラムで示すと図14(b)に示すようになる。図14(b)に示すように、地下開度θiは、実質的には0°〜90°で分布(中央が90°:90°〜130°側が急激)している。
【0098】
地下開度算出部51は、パラメータ計算部8の地下開度算出部11によってメモリ11aに記憶された地下開度強調画像Dqのスペクトラム分布(地下開度スペクトラムともいう)を算出して、これをメモリ53に記憶する。
【0099】
地下開度スペクトラムは、地下開度(0°〜180°)を横軸、画素の頻度(n)を縦軸にとった地上開度ヒストグラムで示すと図14(c)に示すようになる。図14(c)に示すように、地下開度φiは、実質的には50°〜130°で分布(中央が90°:50°〜90°側が急激)している。
【0100】
(画像階調部の説明)
傾斜画像階調補正部22は、急斜面ほど暗くなるように階調補正する。つまり、入力側(横軸)を斜度0°〜斜度50°とし、出力側を0(黒)〜255(白)とし、斜度αiが50°であるときは「0」を斜度αiが0°の場合は、最大値255に変換する直線的な変換を行う(図15参照)。具体的にはルックアップテーブルによって行う。
【0101】
これによって、得られる斜度のヒストグラムを図16(a)に示す。
【0102】
地上開度画像階調補正部21は、尾根すじが明るくなるように階調を補正する。つまり、入力側(横軸)を地上開度50°〜地上開度130°とし、出力側を0(黒)〜255(白)とし、地上開度θiが50°であるときは「0」を、地上開度θiが130°の場合は、最大値255に変換する直線的な変換を行う(図15参照)。但し、地上開度θiが90°の場合は、「120」となるようにする。具体的にはルックアップテーブルで行う。すなわち、図15に示すように、変換直線の中心が(90°、120)を通るようにしている。これによって、得られる地上のヒストグラムを図16(b)に示す。
【0103】
地下開度画像階調補正部23は、谷すじが暗くなるように階調を補正する。つまり、入力側(横軸)を地下開度50°〜地下開度130°とし、出力側を0(黒)〜255(白)とし、地下開度αiが50°であるときは「255」を、地下開度αiが130°の場合は、「0」に変換する直線的な変換を行う(図15参照)。但し、地下開度αiが90°の場合は、出力側を「120」となるようにする。具体的にはルックアップテーブルで行う。これによって、得られる地下開度のヒストグラムを図16(c)に示す。
【0104】
すなわち、階調変換部によって地上開度と、地下開度との関係を散布図で示すと図17に示すようになる。図17は横軸に地上開度(50°〜130°)を、縦軸に地下開°(50°〜130°)をプロットしたものである。この散布図は、(90°、90°)を中心にしている。散布図は直線に近くなるほと青が多く、離れるにしたがって黄色が多くなり、さらに離れるに従って赤が多い。
【0105】
そして、プロット点の色は、同一着目点の傾斜量に対応した色を示している。図17から地上開度と、地下開度との間には反比例関係があることが分る。この関係は、距離が短くなるほど強くなる。尾根部では地上開度が大きく、地下開度が小さく、谷部では地上開度が小さく地下開度が大きい。
【0106】
プロット点の色から地上開度と地下開度との合計値と傾斜との間に、弱い比例関係があることが分る。
【0107】
(チャンネル化部)
チャンネル化部17は、傾斜画像階調補正部22で斜度(0°→50°)が色値(255→0)に変換される毎に、これをL*チャンネルに割りあてる。
【0108】
チャンネル化部27は、地上開度画像階調補正部21で地上開度θi(50°→130°)が色値(0→255)に変換される毎に、これをa*チャンネルに割りあてる。
【0109】
チャンネル化部19は、地下開度φi(50°→130°)が色値(255→0)に変換される毎に、これをb*チャンネルに割りあてる。
【0110】
カラー式画像作成部20は、Lチャンネル化部17のLデータと、aチャンネル化部27のaデータと、bチャンネル化部19のbデータとをL空間に定義して(図15参照)、Lカラー式画像Liをファイル41に得る(図18参照)。
【0111】
(その他)
補正部29は、Lカラー式画像LiはRGB空間に定義して立体赤色マップKiと合成して用いるが、Lカラー式画像Liは、RGB空間よりも色空間が広いので、レベル補正でおおよその色調整を行った後で、トーカーブを使用して細部を調整する。
【0112】
例えば、0°〜50°の斜度を0°〜30°又は0°〜70°に変更して再度色値を割りあてる。また、地上開度(50°〜130°)、地下開度(50°〜130°)を60°〜120°又は70°〜110°に変更して、再度色値を割りあてる。この補正部29によって得られた画像(Lab調整後画像)を図19に示す。
【0113】
XYZ表色系変換部35は、Lab調整後画像をXYZ表色系に変換する(XYZ表色系の色空間メモリに定義)する(XYZ表色系のLab画像)。
【0114】
RGB表色系変換部23は、XYZ表色系のLab画像をRGB表色系に変換する(RGB空間メモリに定義)する(RGBレイヤーのlab画像)。このRGBレイヤーのLab画像はファイル42に記憶される。
【0115】
合成部24は、RGBレイヤーのLab画像をファイル40に記憶されている立体赤色マップKiに重ねる。この画像を赤色・Lab合成画像KLiと称し、ファイル43に記憶する。
【0116】
微調補正部25は、赤色・Lab合成画像KLiのコントラスト等を調整する。この画像を図20に示す。
【0117】
すなわち、図20に示すように、赤色立体地図と重ねあわせ合成することによって、暗くなりすぎた谷の表現をシアンがかった色に調整改善している。このため、谷が暗くて見にくいということはない。
【0118】
<実施の形態2>
実施の形態2は水系を強調する方法である。
【0119】
図21は実施の形態2の概略構成図である。図21に示すように、水系調整部45を備えている。この水系調整部45は、地下開度のヒストグラムの明るい側を飛ばして、暗い側だけの画像となるように調整する。これにより、地下開度の高い部分(谷部分や周囲に対し相対的に低い部分)が抽出される。この画像を図22に示す。
【0120】
そして、実施の形態1と同様にLabカラー画像を生成して、これを立体赤色マップと重ねる。この画像を図23に示す。
【0121】
<その他の実施形態)
なお、赤色立体地図は、等高線図等と異なり、高さの概念がなく、あくまで凹凸を表現している。このため、対象範囲内の標高差が大きい場合には全体的な起状感がたりなくなる場合がある。赤色立体地図を大地形を表現した場合、開度の考慮範囲を表現した地形のスケールに応じて大きくすることで実現できる(つまり、1km程度の範囲の地形起伏を見たければ開度の範囲を1000mにする)。
【0122】
しかし、実際には開度の計算では、着目個所の周囲に存在する微地形に規制され、1km先まで計算されることはあまりない。
【0123】
例えば、1mDEMに対し、1kmといった開度の範囲を設定すると、谷や尾根部分で開度の値が飽和してしまい、谷が暗くなりすぎたり、尾根が明るくなりすぎたりしてしまう。
【0124】
これを、解決するには、計算対象のDEMの解像度を下げ(地形の解像度を下げ)、計算を行う。
【0125】
これによって、大地系を考慮した計算が可能となる(図24参照)。
【0126】
図25に1mDEMと、4mDEMの比較を示す。4mDEMの方がより全体的ない起伏感が強い。
【0127】
なお、上記実施の形態では、地形の立体画像を生成することを説明したが、図26〜図49に示すようにゴルフ場のグリーンの凹凸を表現させてもよい。
【0128】
また、上記実施の形態の手法は、金星の地形や火星の地形に適用できる。さらに、電子顕微鏡で測定された凹凸の可視化にも適用できる。また、ゲーム機器に適用すれば、めがねをかけなくとも立体感が得られる。
【符号の説明】
【0129】
6 DEMデータ作成部
7 DEM読込間隔設定部
8 パラメータ計算部
20 立体赤色マップ作成部
22 傾斜画像階調補正部
23 地上開度画像階調補正部
21 地下開度画像階調補正部
26 Lチャンネル化部26
25 bチャンネル化部25
27 aチャンネル化部
28 Lカラー式画像化部
35 XYZ表色系変換部
52 傾斜スペクトラム算出部
51 地下開度スペクトラム算出部
53 地上開度スペクトラム算出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定範囲の標高値が付与された三次元のデジタルデータ(X、Y、Z)から生成したDEMデータに着目点を順次定義して、該着目点毎の地上開度及び地下開度並びに斜度を一定範囲にわたって求めた地上開度データ群、地下開度データ群、斜度データ群を得る手段と、
前記地上開度の値の大きさほどに明るい色を割りあてた地上開度画像(Dp)、前記地下開度の値の大きさほどに暗い色を割りあてた地下開度画像(Dq)、前記斜度データ毎に、その傾斜度の値が大きいほどに赤が強調された色を割り付けた傾斜強調画像(Dr)を得る手段と、
地上開度画像(Dp)と地下開度画像(Dq)と傾斜強調画像(Dr)とを重ね合わせた第1の合成画像(Ki)を得る手段と、
前記地上開度画像(Dp)の画像データを読み出し、該読み出し毎にaチャンネルに割りあてたaデータを得る手段と、
前記地下開度画像(Dq)の画像データを読み出し、該読み出し毎にbチャンネルに割りあてたbデータを得る手段と、
前記傾斜強調画像(Dr)の画像データを読み出し、該読み出し毎にLチャンネルに割りあてLデータを得る手段と、
前記aデータと、bデータ及び前記Lデータとが得られる毎に、これらのデータをL空間に定義していくことで前記地上開度画像(Dp)と地下開度画像(Dq)と傾斜強調画像(Dr)のLab画像データ(Li)を得る手段と
前記Lab画像(Li)と前記第1の合成画像(Ki)とを合成した第2の合成画像(KLi)を生成する手段と
を有することを特徴とする立体画像生成装置。
【請求項2】
前記地上開度画像(Dp)の各画像データと地上開度との第1の分布情報、前記地下開度画像(Dq)の各画像データと地下開度との第2の分布情報、前記傾斜強調画像(Dr)の各画像データと斜度との第3の分布情報とを求める手段と、
前記第1の分布情報に基づいて実際に画像データが分布している地上開度の範囲と色値とを割りあてた第1の変換テーブルを生成し、前記第2の分布情報に基づいて実際に画像データが分布している地下開度の範囲と色値とを割りあてた第2の変換テーブルを生成し、前記第3の分布情報に基づいて、実際に画像データが分布している斜度の範囲と色値とを割りあてた第3の変換テーブルを生成する手段と、
前記地上開度画像(Dp)の画像データとこの画像データの地上開度とを読み出す毎に、前記第1の変換テーブルに基づいて地上開度の値が小さいほど暗い色を大きいほど明るい色を割りあてた画像データを、前記地上開度画像(Dp)の画像データとして前記読み出せる手段と、
前記地下開度画像(Dq)の画像データとこの画像データの地下開度とを読み出す毎に、前記第2の変換テーブルに基づいて地下開度の値が大きいほど暗い色を小さいほど明るい色を割りあてた画像データを、前記地下開度画像(Dq)の画像データとして前記読み出せる手段と、
前記傾斜強調画像(Dr)の画像データとこの画像データの斜度とを読み出す毎に、前記第3の変換テーブルに基づいて斜度の値が大きいほど暗い色を小さいほど明るい色を割りあてた画像データを、前記傾斜強調画像(Dr)の画像データとして前記読み出せる手段と
を有することを特徴とする請求項1記載の立体画像生成装置。
【請求項3】
前記Labが像データ(Li)をXYZ表色系に変換し、これをRGB表色系の色空間に定義して前記第1の合成画像と合成させる手段と
を有することを特徴とする請求項1又は2記載の立体画像生成装置。
【請求項4】
前記第2の合成画像の階調を補正する補正手段と
を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の立体画像生成装置。
【請求項5】
所定範囲の地表の標高値が付与された三次元のデジタルデータ(X、Y、Z)を記憶した第1の記憶手段と、
前記デジタルデータを読み込み、地表面を復元して各格子の高さと座標とを第1のDEMデータとして生成するDEMデ-タ作成部と、
前記第1のDEMデータを連結する地表面の着目点の第1のDEMデ-タから複数方向毎に、一定範囲内までの最大頂点となる第2のDEMデータと水平線とがなす角度ベクトルをそれぞれ求めて平均化した地上開度を求め、この地上開度の値の大きさほどに明るい色を割りあてた地上開度画像(Dp)を得る地上開度画像作成部と、
前記一定範囲の前記第1のDEMデータ上に空気層を押し当てた立体を裏返した反転DEMデータの前記着目点の第1のDEMデータから複数方向毎に、一定範囲内までの最大頂点となる第3のDEMデータと水平線とがなす第2の角度ベクトルをそれぞれ求めて平均化して地下開度を求め、この地下開度の値の大きさほどに暗い色を割りあてた地下開度画像(Dq)を得る地下開度画像作成部と
を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の立体画像生成装置。
【請求項6】
前記第1の合成部は、
前記地上開度画像(Dp)と地下開度画像(Dq)とを重み付け合成し、この値に応じて階調表現した第1の合成画像(Dh)を得ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の立体画像生成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公開番号】特開2011−48495(P2011−48495A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194721(P2009−194721)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(591074161)アジア航測株式会社 (48)
【Fターム(参考)】