説明

端面研削方法および両面研削装置

【課題】より高い精度で安定的にワークを加工する。
【解決手段】両面研削装置は、上部砥石16及び下部砥石26と、下部砥石26に対して上部砥石16を送り駆動するモータ駆動の送り機構と、この送り機構を制御するコントローラ50とを有する。各砥石16,26は回転中心がオフセットされており、これによって各砥石面16a,26aにそれぞれ非対向部分が設けられている。そして、これら非対向部分において各砥石面16a,26aに対向するように、当該砥石面16a,26aとの距離を検出する距離センサ40,41が設けられ、ワークWの加工中は、設定切込み送り量が得られるように、両センサ40,41の検出結果に基づき送り機構の動作がコントローラ50によりフィードバック制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク端面を研削する端面研削方法および両面研削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からシリコンウエハ等の薄型ワークの両面を研削する装置として両面研削装置が知られている。この装置は、平坦な砥石面をもつ一対の砥石車の間に薄型ワークを配置し、各砥石車を回転駆動しながらその軸方向に砥石車を切込み送りすることにより薄型ワークの両面を同時に研削するように構成されている。一般的な装置は、目標とする切込み送り量をオペレータが予め設定することにより砥石車の切込み送りが自動制御される。
【0003】
近年では、特許文献1に開示されるように、砥石面を検出可能なセンサを両砥石車の間に出し入れ可能に設け、ワーク交換時に、各センサの検出に基づき各砥石面の位置を検出し、その検出位置を基準として切込み送り量を制御することによって、砥石車の摩耗による影響を排除して切込み送りの精度を高めるようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開2004−58175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
両面研削装置では、砥石車の駆動に伴い発生する駆動熱により駆動軸等が熱変形(熱伸縮)する。そのため、寸法精度の安定化を図るために、装置起動後、駆動軸等の熱変形がある程度安定化すると想定される所定時間だけ砥石車を駆動(空転)させてから加工を開始し、あるいは所定数のワークをまとめて加工した後、その中から製品化が可能な寸法精度を有するものだけを抽出する、所謂バッチ処理が行われていた。
【0005】
しかし、上記のように装置起動後、所定時間だけ砥石車を空転させる方法では、作業の待ち時間が必要となるため効率が悪い。他方、バッチ処理では、歩留まりが低下するという問題もある。従って、この点を解決することが望まれる。
【0006】
なお、特許文献1の手法を適用することも考えられるが、熱変形はワーク加工中にも生じるため、加工開始前の特定時点に検出した各砥石面の位置に基づいて切込み送り量を制御する特許文献1の方法では信頼性が高いものとは言えない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、より高い精度で安定的にワークを加工できる端面研削方法および両面研削装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明に係る端面研削方法は、互いに対向する対向面を有し、少なくとも一方側が砥石車である一対の加工用部材の前記対向面の間にワークを配置し、前記砥石車とワークとを前記対向面に直交する直交軸回りに相対回転させた状態で、前記砥石車とワークとを前記直交軸に沿った送り方向に相対的に切込み送りすることにより前記ワークの端面を研削する端面研削装置における前記ワークの端面研削方法であって、ワークの研削中に、前記送り方向における砥石車の前記対向面の位置を検出し、その検出結果に基づいて前記切込み送りの動作を制御するようにしたものである。
【0009】
この方法によれば、ワーク加工中に生じる駆動系の熱変形や砥石面の摩耗等に起因した砥石面の具体的な位置変動に拘わらず、所定の切込み送り量だけ精度よくワークを加工することが可能となる。
【0010】
なお、砥石車の前記対向面の位置を検出するには、例えば前記砥石車の対向面に他方側の加工用部材の対向面と非対向となる部分が生じるように各加工用部材を予め設けておき、当該非対向部分の前記送り方向における変位を検出し、この変位に基づき砥石車の前記対向面の位置を検出するようにすればよい。
【0011】
この方法によれば、ワークの加工中に難なく前記砥石車の対向面の位置を検出することが可能となる。
【0012】
上記の研削方法は、例えば以下のような本発明の両面研削装置により具現化することができる。すなわち、本発明に係る両面研削装置は、被研削面を両端にもつワークの当該両端面を同時に研削する両面研削装置において、互いに対向する砥石面をもち、かつ当該砥石面と直交する直交軸回りに回転駆動される一対の砥石車と、これら砥石車のうち少なくとも一方を前記直交軸に沿った送り方向に切込み送りする送り手段と、この送り手段を制御する制御手段と、を備え、前記各砥石車は、各砥石面のうち少なくとも一方側に砥石面同士が非対向となる部分が生じるように設けられ、当該非対向部分に対向するように、前記送り方向における前記砥石面の変位を検出可能な検出手段が設けられ、前記制御手段は、前記検出手段による検出結果に基づき前記送り方向における砥石面の位置を求め、当該砥石面の位置に基づいて前記送り手段を制御するように構成されているものである。例えば、前記検出手段は、前記砥石面と前記送り方向における特定位置との距離を検出する距離センサとされる。
【0013】
この装置によれば、少なくとも一方側の砥石面に非対向となる部分が生じるように各砥石車が設けられ、当該非対向部分に対向するように検出手段が設けられているので、ワークの加工中も支障なく砥石面(非対向部分を有する砥石車の当該砥石面)の位置を検出することが可能となる。そして、ワークの加工中は、前記検出手段による検出結果に基づき、制御手段により砥石面の位置が求められて前記送り手段が制御されるので、加工中に生じる駆動系の熱変形や砥石面の摩耗等に起因する砥石面(非対向部分を有する砥石車の当該砥石面)の具体的な位置変動に応じた信頼性の高い切込み送り動作を実行させることが可能となる。
【0014】
この構成において、前記各砥石車は、各砥石面の一部が互いに径方向外側にはみ出すことにより各砥石面に前記非対向部分が生じるように配置され、これら非対向部分にそれぞれ対向するように前記検出手段が設けられ、前記制御手段は、各検出手段による検出結果に基づき前記送り方向における各砥石面の位置を求め、これら砥石面の位置に基づいて前記送り手段を制御するように構成されているのが好適である。
【0015】
この構成によれば、両方の砥石車の砥石面の具体的な位置変動に応じて前記送り手段を制御するので、より信頼性の高い切込み送り動作を実行させることが可能となる。
【0016】
この場合、前記各砥石車は同一径寸法を有するものであり、互いに中心軸をずらして配置されることにより各砥石面に前記非対向部分が設けられているのが好適である。
【0017】
この構成によれば、各砥石車として同一の砥石車を用いながら簡単な構成で各砥石車に非対向部分を設けることができる。
【0018】
なお、より具体的な構成として、上記両面研削装置は、前記砥石車の切込み送り量を設定する設定手段を有し、前記制御手段は、ワークの研削中、前記設定手段により設定された設定切込み送り量だけワークに対して前記砥石車が切込み送りされるように、前記検出手段による検出結果に基づき前記送り手段による前記砥石車の送り動作をフィードバック制御するように構成されている。
【0019】
この構成によると、ワークの加工中の前記検出手段による検出結果に基づき砥石車の送り動作がフィードバック制御されることにより、設定切込み送り量だけ精度良くワークを加工することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の端面研削方法および両面研削装置によれば、加工中に生じる駆動系の熱変形や砥石面の摩耗等に起因した砥石面の具体的な位置変動に応じて切込み送り動作を制御することができるので、加工前の特定時点の研削面の位置に基づいて切込み送り動作を制御する従来の方法(装置)に比べ、より高い精度で安定的にワークを加工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の好ましい実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
図1〜図3は、本発明に係る両面研削装置(本発明に係る端面研削方法を実施可能な両面研削装置)の要部を概略的に示している。これらの図に示すように、両面研削装置は、上部主軸ヘッド10、下部主軸ヘッド20およびワーク保持機構30等を有している。
【0023】
上部主軸ヘッド10は、図外のコラムに上下動可能に支持されている。上部主軸ヘッド10の中心には鉛直方向に延びる上部主軸12が回転可能に支持されており、この上部主軸12の下端部に上部砥石16が取り付けられている。
【0024】
上部砥石16は、円環状の砥石面16aをもつカップ型の砥石車からなり、砥石ホルダ14を介して上部主軸12の先端(下端)に固定されている。そして、上部主軸ヘッド10に内蔵される図外のモータにより前記上部主軸12が回転駆動されることにより、当該主軸12と一体に上部砥石16が回転するようになっている。
【0025】
上部主軸ヘッド10は、送り機構(本発明に係る送り手段に相当する)に連結されている。この送り機構は、上部主軸ヘッド10を上下方向に案内する図外のガイドと、このガイドに沿って延び、上部主軸ヘッド10のナット部分10aに螺合挿入されるねじ軸17と、このねじ軸17を駆動する送りモータ18等とを含む直動機構からなり、前記ねじ軸17の回転に伴い上部主軸ヘッド10を上下方向(送り方向)に移動させるように構成されている。
【0026】
一方、下部主軸ヘッド20は、上部主軸ヘッド10の下方に配置され、前記コラムに固定的に組み付けられている。下部主軸ヘッド20の基本構成は、上部主軸ヘッド10と同一である。すなわち、下部主軸ヘッド20の中心には、鉛直方向に延びる下部主軸22が回転可能に支持され、この下部主軸22の先端(上端)に、上部砥石16と同一寸法および同一形状の下部砥石26が砥石ホルダ24を介して固定されている。そして、図外のモータにより下部主軸22が駆動されることにより、これと一体に下部砥石26が回転するように構成されている。
【0027】
ここで、下部主軸ヘッド20と前記上部主軸ヘッド10とは、図2及び図3に示すように、前後方向(図2では上下方向)に所定寸法だけオフセットされている。すなわち、砥石面16a,26aの一部が互いに径方向外側にはみ出して各砥石16,26に非対向となる部分が生じるように各主軸ヘッド10,20が配置されている。
【0028】
そして、これら各砥石16,26の非対向部分において各砥石面16a,26aに対向するように、当該砥石面16a,26aと上下方向(送り方向)における特定位置との間の距離を検出する距離センサ40,41がそれぞれ設けられている。これらの距離センサ40,41は、レーザ変位センサ等の非接触の距離センサからなり、それぞれ砥石面16a,24aと特定位置(センサ40,41の位置)との距離を検出し、その距離に応じた電気信号を後記コントローラ50に出力するように構成されている。なお、各距離センサ40,41は、ブラケット44を介して前記コラムに固定されている。
【0029】
ワーク保持機構30は、図1及び図2に示すように、下部主軸ヘッド20を挟んでその左右両側にそれぞれ設けられている。同図に示すように、ワーク保持機構30は、案内プレート32と、このプレート上に配置されるキャリアアーム33と、このキャリアアーム33を駆動する駆動機構等とから構成とされ、シリコンウエハ等の薄板状のワークWを前記キャリアアーム33により両砥石16、26の間で保持するように構成されている。
【0030】
詳しく説明すると、前記案内プレート32は、略円環状に形成され、その上部に下部砥石26の砥石面26aとほぼ面一(等しい高さ位置)の平坦な案内面を有している。図2に示すように、案内プレート32の外周には、下部砥石26の輪郭に対応した円弧状の切欠き形成されており、この切欠き部分に前記下部砥石26が嵌り込んで近接するように、前記案内プレート32が当該下部砥石26に対して配置されている。
【0031】
キャリアアーム33は、平面視略長方形のプレート状の部材である。キャリアアーム33の長手方向両端部にはワーク保持部34がそれぞれ設けられている。これらワーク保持部34には、上下方向に貫通する開口部35aを有する円盤状のキャリア35が装着されており、ワークWが、開口部35aに遊嵌(挿入)された状態で当該キャリア35により保持されるようになっている。図示の例では、キャリア35は1枚のワークWを保持するように構成されているが、このキャリア35は交換可能に構成されており、キャリア35の交換により各ワーク保持部34により保持するワークWのサイズや数が変更可能となっている。
【0032】
詳細図を省略するが、キャリア35はその中心軸回り回転可能に支持され、キャリアアーム33に搭載される図外のモータにより回転駆動されるように構成されている。
【0033】
前記キャリアアーム33は、前記案内プレート32の中心部に配置される駆動軸36の上端部に固定されており、図外の旋回モータの作動により当該駆動軸36と一体に回転駆動されるようになっている。そしてこのキャリアアーム33の旋回に伴い、各ワーク保持部34を、上部砥石16と下部砥石26との間の作業位置とこの位置から180°旋回した案内プレート32上のワーク交換位置とに交互に配置できるようになっている。すなわち、一方側のワーク保持部34のワークWの研削中に、他方側のワーク保持部34に対してワークWの入れ替えを行えるように構成されている。
【0034】
なお、各ワーク保持機構30は下部主軸ヘッド20を挟んで左右対称に構成されており、図2に示すように、この装置では、各ワーク保持機構30のキャリアアーム33により保持したワークWを、両砥石16,26のうちその回転中心を挟んだ互いに反対側の位置で同時に加工するようになっている。
【0035】
この両面研削装置には、さらにワークWの研削動作を制御するコントローラ50(本発明に係る制御手段に相当する)が搭載されており、各砥石16,26の駆動、上部主軸ヘッド10の駆動(切込み送り)および各ワーク保持機構30の駆動等がこのコントローラにより統括的に制御されるようになっている。コントローラ50には、各種データの入力装置52が設けられており、砥石16,26の回転速度や上部砥石16の切込み送り量等の加工条件や加工寸法等のデータが、この入力装置52を介して入力、設定されるようになっている。
【0036】
そして、ワークWの加工時には、設定された加工条件や加工寸法に基づいて砥石16,26等の駆動が前記コントローラ50により制御されるようになっている。例えば上部主軸ヘッド10の送り動作に関しては、コントローラ50は、設定切込み送り量だけ前記ワークWに対して上部砥石16が切込み送りされるように、前記距離センサ40,41の検出値(距離データ)に基づいて上部主軸ヘッド10(上部砥石16)の送り動作をフィードバック制御する。すなわち、コントローラ50は、ワークWの加工中、前記距離データと各センサ40,41の位置等の既知のデータ(設計値)とに基づいて上下方向(送り方向)における各砥石面16a,26aの位置を求め、この実測位置と設定切込み送り量に対応する各砥石面16a,26aの位置(目標位置)との偏差に応じた補正量を演算し、この補正量に基づき前記送りモータ18を駆動制御するように構成されている。
【0037】
次に、上記コントローラによる制御に基づく上記両面研削装置の研削動作について説明する。
【0038】
この装置では、上部主軸ヘッド10が所定の待機位置(上昇位置)に退避した状態で、上記ワーク交換位置においてワーク保持部34のキャリア35(開口部35a)にワークWが挿入される。このようにワークWが開口部35aに挿入されると、ワークWは、案内プレート32により支持され、その上面(被研削面)がキャリア35の上方に突出した状態となる。なお、この時点で、各砥石16,26は停止している。
【0039】
ワークWがセットされると、キャリアアーム33が旋回駆動され、これにより案内プレート32に沿ってワークWが案内されながら当該プレート32から下部主軸ヘッド20上にワークWが移されて前記作業位置に配置される。
【0040】
ワークWが作業位置にセットされると、各砥石16,26が回転駆動され、前記送りモータ18の作動により上部主軸ヘッド10が送り駆動される。この際、所定の切込み開始位置に到達するまでは送りモータ18が高速で駆動され、これにより上部主軸ヘッド10が早送りされる。そして、上部砥石16が切込み開始位置に到達すると、予め設定された送り速度まで上部主軸ヘッド10の送り速度が減速され、上部砥石16がワークWに押し付けられる。これにより切込み送りが開始され、砥石16,26によりワークWが上下両側から同時に研削される。なお、ワークWの加工中は、各砥石16,26の砥石面16a,26aまでの距離が距離センサ40,41により検出され、その距離データに基づき上部主軸ヘッド10(上部砥石16)の送り動作が前記コントローラ50により制御される。
【0041】
こうして予め設定された送り量だけワークWに対して上部砥石16が切込み送りされると、送りモータ18が反転駆動されて上部主軸ヘッド10が逆送りされ、前記待機位置にリセットされるとともに当該リセット後、各砥石16,26が停止される。そして、キャリアアーム33が駆動され、ワークWが下部主軸ヘッド20上(作業位置)から案内プレート32上の前記ワーク交換位置に移され、これによって一連の研削動作が終了することとなる。
【0042】
以上のような両面研削装置によれば、ワークWの加工中、距離センサ40,41による距離検出に基づいて各砥石面16a,26aの送り方向における位置を求め、設定切込み送り量が得られるように、これら各砥石面16a,26aの位置に基づき上部主軸ヘッド10(上部砥石16)の切込み送り動作をフィードバック制御するように構成されているので、ワークW加工中に生じる駆動系の熱変形(熱伸縮)や砥石面16a,26aの摩耗等に起因する砥石面16a,26aの具体的な位置変動に応じた正確な切込み送り動作が実行される。従って、加工開始前に検出した砥石面の位置に基づいて砥石車の切込み送り動作を制御する従来のこの種の装置に比べると、より精度よくワークWを加工することができるようになる。
【0043】
また、上記のようにワークW加工中に生じる駆動系の熱変形(熱伸縮)に起因する砥石面16a,26aの具体的な位置変動に応じて砥石車の切込み送り動作を制御できるので、従来のように、装置の起動後、駆動系の熱変形が安定化するまで砥石車を空転させるといった準備動作を行う必要がなく、装置の起動直後からワークWを精度良く加工することができる。従って、その分、効率的にワークWの加工を行うことができるという利点もある。
【0044】
また、この両面研削装置では、距離センサ40,41による砥石面16a,26aの検出に基づき、切込み送り方向における当該砥石面16a,26aの位置を求めるが、この装置では、上記の通り砥石面16a,26aの一部が径方向外側にはみ出すように各主軸ヘッド10,20を配置し、これにより生じる各砥石16,26(砥石面16a,26a)の非対向部分に対向するように距離センサ40,41を配置するようにしているので、ワークWの加工中に各砥石面16a,26aを検出しながらも、距離センサ40,41を支障なく配置できるという利点もある。
【0045】
なお、上記実施形態の装置は両面研削装置であるため、ワークWの加工中に、上下各砥石16,26の砥石面16a,26aを各距離センサ40,41により検出するようにしているが、例えば、ワークWの片面だけを研削する片面研削装置の場合、具体的には、上記実施形態の両面研削装置において、下部主軸ヘッド20の代わりにワークWを支持する定盤が設けられているような装置については、定盤に距離センサを埋設し、この距離センサにより砥石面との距離を検出し、その検出結果に基づき主軸ヘッド(砥石)の切込み送り動作を制御するようにすればよい。
【0046】
また、上記実施形態では、各砥石16,26は同一径寸法を有するものであり、互いに中心軸をずらして配置されることにより各砥石面16a,26aに非対向部分が設けられているが、異なる径寸法を有する各砥石16,26を設けた上で、互いに中心軸をずらして各砥石16,26を配置することにより非対向部分を設けるようにしてもよい。
【0047】
また、このように各砥石16,26の双方の砥石面16a,26aに非対向部分を設ける以外に、一方側(例えば砥石16の砥石面16a)にだけ非対向部分を設け、当該一方側の砥石面16aとの距離だけを距離センサ40で検出し、当該検出結果に基づき切込み送り動作を制御するように構成してもよい。この場合には、一方側(上部)の砥石16の砥石面16aの位置のみに基づいて切込み動作を制御することになるが、下部砥石26は送り駆動するものではなく、熱変位量が小さいと考えられため、当該構成の場合にも、上記実施形態のものとさほど遜色ないレベルで精度良く切込み送り動作を制御することができる。なお、このように一方側の砥石16の砥石面16aにだけ非対向部分を設けるには、上部砥石16として下部砥石26よりも径寸法の大きい砥石車を適用すればよい。この場合、各砥石16,26の回転中心は同軸上に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明に係る両面研削装置(本発明に係る端面研削方法を実施可能な装置)の要部を示す縦断面略図である。
【図2】両面研削装置を示す平断面略図(図1のA−A線断面図)である。
【図3】主軸ヘッドと距離センサの位置関係を示す図2のB−B線断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 上部主軸ヘッド
20 下部主軸ヘッド
16 上部砥石
16a 砥石面
18 送りモータ
26 下部砥石
26a 砥石面
40,41 距離センサ
50 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する対向面を有し、少なくとも一方側が砥石車である一対の加工用部材の前記対向面の間にワークを配置し、前記砥石車とワークとを前記対向面に直交する直交軸回りに相対回転させた状態で、前記砥石車とワークとを前記直交軸に沿った送り方向に相対的に切込み送りすることにより前記ワークの端面を研削する端面研削装置における前記ワークの端面研削方法であって、ワークの研削中に、前記送り方向における砥石車の前記対向面の位置を検出し、その検出結果に基づいて前記切込み送りの動作を制御することを特徴とする端面研削方法。
【請求項2】
請求項1に記載の端面研削方法において、
前記砥石車の対向面に他方側の加工用部材の対向面と非対向となる部分が生じるように各加工用部材を予め設けておき、当該非対向部分の前記送り方向における変位を検出し、この変位に基づき砥石車の前記対向面の位置を検出することを特徴とする端面研削方法。
【請求項3】
被研削面を両端にもつワークの当該両端面を同時に研削する両面研削装置において、
互いに対向する砥石面をもち、かつ当該砥石面と直交する直交軸回りに回転駆動される一対の砥石車と、
これら砥石車のうち少なくとも一方を前記直交軸に沿った送り方向に切込み送りする送り手段と、
この送り手段を制御する制御手段と、を備え、
前記各砥石車は、各砥石面のうち少なくとも一方側に砥石面同士が非対向となる部分が生じるように設けられ、当該非対向部分に対向するように、前記送り方向における前記砥石面の変位を検出可能な検出手段が設けられ、
前記制御手段は、前記検出手段による検出結果に基づき前記送り方向における砥石面の位置を求め、当該砥石面の位置に基づいて前記送り手段を制御することを特徴とする両面研削装置。
【請求項4】
請求項3に記載の両面研削装置において、
前記各砥石車は、各砥石面の一部が互いに径方向外側にはみ出すことにより各砥石面に前記非対向部分が生じるように配置され、これら非対向部分にそれぞれ対向するように前記検出手段が設けられ、
前記制御手段は、各検出手段による検出結果に基づき前記送り方向における各砥石面の位置を求め、これら砥石面の位置に基づいて前記送り手段を制御することを特徴とする両面研削装置。
【請求項5】
請求項4に記載の両面研削装置において、
前記各砥石車は同一径寸法を有するものであり、互いに中心軸をずらして配置されることにより各砥石面に前記非対向部分が設けられていることを特徴とする両面研削装置。
【請求項6】
請求項3乃至5の何れか一項に記載の両面研削装置において、
前記検出手段は、前記砥石面と前記送り方向における特定位置との距離を検出する距離センサであることを特徴とする両面研削装置。
【請求項7】
請求項3乃至6の何れか一項に記載の両面研削装置において、
前記砥石車の切込み送り量を設定する設定手段を有し、
前記制御手段は、ワークの研削中、前記設定手段により設定された設定切込み送り量だけワークに対して前記砥石車が切込み送りされるように、前記検出手段による検出結果に基づき前記送り手段による前記砥石車の送り動作をフィードバック制御することを特徴とする両面研削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−72879(P2009−72879A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245757(P2007−245757)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(391003668)トーヨーエイテック株式会社 (145)
【Fターム(参考)】