説明

筒状フィルムの製造装置

【課題】 フィルム内面や外面に擦り傷などが発生せず、さらに重ね部に気泡が挟まることを防止できる筒状フィルムの製造装置を提供すること。
【解決手段】 長尺状フィルム11の内面に折り返しローラ14を当てて折り返し幅を規制することで、固定状態の作業プレートの場合のような擦り傷の発生を防止し、この折り返しローラ14の送り方向下流両側にV溝ローラ16を設けて長尺状フィルムの両縁折り返し部を両側からそれぞれ押えるとともに、折り返し幅を維持することで、フィルム表面上で接触する搬送方向と交差するローラを用いる場合のような擦り傷の発生を防止するとともに、高精度に筒状フィルム12を製造する。
さらに、塗布ノズル18の送り方向下流側に隣接してプレ貼り合せローラ19を設けることで、貼り合せ剤の塗布直後に押えて溶剤アタックなどの発生を防止して気泡の介在をなくすとともに、これによる白化も防止するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は筒状フィルムの製造装置に関し、ペットボトルなどの容器に加熱収縮させて装着される印刷などが施された熱収縮性ラベルをフィルムから筒状に製造する場合の折径精度の向上、擦り傷の防止および重ね部の白化を防止できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来から清涼飲料水などが充填されたペットボトルなどの容器には、長尺状の熱収縮性のフィルムの内面に印刷などを施したのち、このフィルムの両縁部を折り返し、重ねた部分を貼り合せて筒状にした筒状フィルムを作り、これを切断した熱収縮性ラベル(シュリンクラベル)を加熱収縮させて装着することが一般に行われている。
【0003】
このような長尺状のフィルムから筒状のフィルムを製造する装置として、例えば図3に示す特許文献1に開示された折畳み接着装置1では、搬送機構2として長尺状のフィルム3を案内する上下一対のガイドローラ2aと、接着後の筒状フィルム3を引っ張りながら搬送する上下一対のニップローラ2bとを設けて搬送するようにし、これら搬送機構2a,2bの途中に作業プレート4を配置し、その下側から長尺状のフィルム3を巻き掛け、折畳み機構5を構成する左右一対の搬送方向に傾けた2組のローラ5a、5bを設けてフィルム表面に接触させて両縁部を引き寄せるようにし、折り返した重ね部3aに接着剤をノズル6で塗布したのち押さえ板7で押えて接着するようにしている。
また、同様な筒状フィルムの製造装置が種々提案されており、例えば特許文献2、3などを挙げることができる。
【特許文献1】実開昭58−121802号公報
【特許文献2】特開平8−2512号公報
【特許文献3】特開平8−337219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような筒状フィルムの製造装置では、長尺状のフィルム3を作業プレート4の下側に供給し、搬送方向に対して傾けたローラ5a,5bを接触させて両縁部を引き寄せるようにして筒状に折り重ねるため、フィルム3の内面と作業プレート4とが擦れるため、フィルム3の内面に傷が付き易く、通常、フィルム内面に印刷を施すことから印刷面に傷が付くという問題がある。
【0005】
また、フィルム3の両縁部を重ねて筒状にする必要から搬送方向に対して傾けたローラ5a,5bを接触させて引き寄せるようにしているため、フィルム3の搬送方向と交差する方向に転動するこれらのローラ5a,5bによってもフィルム3の外面に擦り跡が入るという問題がある。
【0006】
さらに、筒状のフィルム3に重ねられた重ね部3aを貼り合せる場合に、重ね部3aの一方に接着用の溶剤を塗布するとフィルム表面に溶剤アタックにより凹凸状の縮みができ、他方のフィルムを重ねて接着すると、この部分に無数の気泡が挟まって白化する場合があり、使用できる溶剤の配合範囲が狭くなるなどの問題もある。
【0007】
この発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、フィルム内面や外面に擦り傷などが発生せず、さらに重ね部に気泡が挟まることを防止できる筒状フィルムの製造装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来技術の有する課題を解決するためこの発明の請求項1記載の筒状フィルムの製造装置は、長尺状フィルムの両縁部を重ねるように折り返し、重ね部を貼り合せて筒状フィルムを製造する装置であって、長尺状フィルムの内面に当てられて折り返し幅を規制する折り返しローラと、この折り返しローラの送り方向下流両側に設けられ前記長尺状フィルムの両縁折り返し部をそれぞれ押えるとともに、折り返し幅を維持するV溝ローラと、前記重ね部に貼り合せ剤を塗布する塗布ノズルと、この貼り合せ剤が塗布された前記重ね部を押圧して貼り合せる貼り合せローラとを備えることを特徴とするものである。
【0009】
この筒状フィルムの製造装置によれば、長尺状フィルムの内面に折り返しローラを当てて折り返し幅を規制することで、固定状態の作業プレートの場合のような擦り傷の発生を防止し、この折り返しローラの送り方向下流両側にV溝ローラを設けて長尺状フィルムの両縁折り返し部を両側からそれぞれ押えるとともに、折り返し幅を維持することで、フィルム表面上で接触する搬送方向と交差するローラを用いる場合のような擦り傷の発生を防止しながら筒状フィルムを製造できるようにしている。
【0010】
また、この発明の請求項2記載の筒状フィルムの製造装置は、請求項1記載の構成に加え、前記折り返しローラの前記長尺状フィルムを挟む外側にフィルムのバタツキを押えるガイドローラを設けたことを特徴とするものである。
【0011】
この筒状フィルムの製造装置によれば、折り返しローラの長尺状フィルムを挟む外側にフィルムのバタツキを押えるガイドローラを設けるようにしており、フィルムを平坦状から両縁部を折り返す場合のバタツキをガイドローラで押えてスムーズに折り返すことができるようにしている。
【0012】
さらに、この発明の請求項3記載の筒状フィルムの製造装置は、請求項1または2記載の構成に加え、前記V溝ローラを複数対設けて構成したことを特徴とするものである。
【0013】
この筒状フィルムの製造装置によれば、V溝ローラを複数対設けて構成しており、貼り合せるまでの間、一層容易に所定の折り返し幅を維持できるようになる。
【0014】
また、この発明の請求項4記載の筒状フィルムの製造装置は、請求項1〜3のいずれかに記載の構成に加え、前記V溝ローラの送り方向下流両側に、両縁折り返し部の表裏を押える折癖ローラを設けたことを特徴とするものである。
【0015】
この筒状フィルムの製造装置によれば、V溝ローラの送り方向下流両側に、両縁折り返し部の表裏を押える折癖ローラを設けるようにしており、表裏を折癖ローラで押えることで、一層確実に折り返し幅を一定に保持できるようになる。
【0016】
さらに、この発明の請求項5記載の筒状フィルムの製造装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の構成に加え、前記塗布ノズルの送り方向下流側に隣接して前記貼り合せ剤塗布直後の前記重ね部を押えるプレ貼り合せローラを設けたことを特徴とするものである。
【0017】
この筒状フィルムの製造装置によれば、塗布ノズルの送り方向下流側に隣接して前記貼り合せ剤塗布直後の前記重ね部を押えるプレ貼り合せローラを設けるようにしており、貼り合せ剤の塗布直後に貼り合せローラで押えることで、溶剤アタックの発生を防止して気泡の介在をなくし、白化も防止するようにしている。
【0018】
また、この発明の請求項6記載の筒状フィルムの製造装置は、請求項1〜5のいずれかに記載の構成に加え、前記プレ貼り合せローラを、前記重ね部に対応した狭幅のローラで構成したことを特徴とするものである。
【0019】
この筒状フィルムの製造装置によれば、プレ貼り合せローラを、重ね部に対応した狭幅のローラで構成するようにしており、必要最小限の幅のローラとすることで、押圧力の付与も容易とし、一層確実に気泡の介在を防止して白化を防止できるようになる。
【発明の効果】
【0020】
この発明の請求項1記載の筒状フィルムの製造装置によれば、長尺状フィルムの両縁部を重ねるように折り返し、重ね部を貼り合せて筒状フィルムを製造する装置で、長尺状フィルムの内面に当てられて折り返し幅を規制する折り返しローラと、この折り返しローラの送り方向下流両側に設けられ前記長尺状フィルムの両縁折り返し部をそれぞれ押えるとともに、折り返し幅を維持するV溝ローラと、前記重ね部に貼り合せ剤を塗布する塗布ノズルと、この貼り合せ剤が塗布された前記重ね部を押圧して貼り合せる貼り合せローラとを備えるようにしたので、長尺状フィルムの内面に折り返しローラを当てて折り返し幅を規制することで、固定状態の作業プレートの場合のような擦り傷の発生を防止することができ、この折り返しローラの送り方向下流両側にV溝ローラを設けて長尺状フィルムの両縁折り返し部を両側からそれぞれ押えるとともに、折り返し幅を維持することで、フィルム表面上で接触する搬送方向と交差するローラを用いる場合のような擦り傷の発生を防止することができ、高精度に筒状フィルムを製造することができる。
【0021】
また、この発明の請求項2記載の筒状フィルムの製造装置によれば、折り返しローラの長尺状フィルムを挟む外側にフィルムのバタツキを押えるガイドローラを設けるようにしたので、フィルムを平坦状から両縁部を折り返す場合のバタツキをガイドローラで押えてスムーズに折り返すことができる。
【0022】
さらに、この発明の請求項3記載の筒状フィルムの製造装置によれば、V溝ローラを複数対設けて構成したので、貼り合せるまでの間、一層容易に所定の折り返し幅を維持することができる。
【0023】
また、この発明の請求項4記載の筒状フィルムの製造装置によれば、V溝ローラの送り方向下流両側に、両縁折り返し部の表裏を押える折癖ローラを設けるようにしたので、表裏を折癖ローラで押えることで、一層確実に折り返し幅を一定に保持することができる。
【0024】
さらに、この発明の請求項5記載の筒状フィルムの製造装置によれば、塗布ノズルの送り方向下流側に隣接して前記貼り合せ剤塗布直後の前記重ね部を押えるプレ貼り合せローラを設けるようにしたので、貼り合せ剤の塗布直後に貼り合せローラで押えることで、溶剤アタックなどの発生を防止して気泡の介在をなくすことができるとともに、これによる白化も防止することができる。
【0025】
また、この発明の請求項6記載の筒状フィルムの製造装置によれば、プレ貼り合せローラを、重ね部に対応した狭幅のローラで構成するようにしたので、必要最小限の幅のローラとすることで、押圧力の付与も容易となるとともに、一層確実に気泡の介在を防止して白化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、この発明の一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1および図2はこの発明の筒状フィルムの製造装置の一実施の形態にかかり、図1は全体の概略斜視図、図2はV溝ローラ部分、折癖ローラ部分、およびプレ貼り合わせローラ部分の断面図である。
【0027】
この筒状フィルムの製造装置10は、例えばペットボトルなどの容器に加熱収縮させて装着される印刷などが施された熱収縮性ラベルを平板状のフィルムから筒状のフィルムに製造するための装置として使用されるものであり、平板状の長尺フィルムには、その内面に予め印刷などが施される。
【0028】
この筒状フィルムの製造装置10では、長尺状のフィルム11を搬送する図示しない上流側の搬送ローラおよび貼り合せた後の筒状フィルム12を引っ張るようにして搬送する下流側搬送ローラとしてニップローラ13を備えており、ロール状のフィルム11を順次繰り出した後、両縁部11a,11bを重ねるように折り返し、重ね部11cを貼り合わせて筒状フィルム12として送り出し、図示しない巻き取り装置で巻き取るようになっている。
【0029】
こうして搬送される長尺状のフィルム11を折り返して筒状のフィルム12にするため、折り返し幅を規制する折り返しローラ14が上流側に設けられ、水平ローラで構成されるとともに、そのロール長がフィルム11の折り返し幅Bに対応して定められ、フィルム11の内面に接触させて筒状フィルム12の折り径Dを規制する。なお、搬送される長尺状のフィルム11は折返しローラ14への挿入角度が水平面に対して5〜80度、好ましくは40〜60度となるように設定されている。
【0030】
この折り返しローラ14の両側には、折り返されるフィルム11の両縁部11a,11bがバタツカないようにガイドする1対のガイドローラ15が設けられ、垂直ローラで構成されて一対のガイドローラ15の間をフィルム11が接触しながら搬送されるようになっている。
【0031】
また、この折り返しローラ14の下流側には、図2(a)に示すように、折り返された折り返し部11dの上下を押えるV溝が設けられたV溝ローラ16が配置され、このV溝ローラ16をフィルム11の幅方向両側に1対配置してフィルム11を両側から挟むことでフィルム11の折り返し幅B(筒状フィルム12の折り径D)を維持するようにしてある。
【0032】
そして、このようなV溝ローラ16が搬送方向に3対設けられ、フィルム11の折り返し形状および折り返し幅B(筒状フィルム12の折り径D)を維持できるようにしてある。
【0033】
また、この筒状フィルムの製造装置10では、最上流のV溝ローラ16の下流に、図2(b)に示すように、上下1対の水平ロールで構成した折癖ローラ17が設けられ、フィルム11に完全な折り目がつくまでは折り重ねることなく、折り返された状態を維持できる程度に押えるようにロールギャップを調整してある。
【0034】
また、最下流のV溝ローラ16の下流側にも折癖ローラ17が設けてある。
そして、これら折り癖ローラ17は、例えば図2(b)に示すように、フィルム11の幅方向に分割した短いローラの分割ローラとして構成したり、図2(c)に示すように、上側を分割ローラとし、下側を1本の長い連続ローラで構成してある。
【0035】
なお、折癖ローラ17は、図示例のもののほか、上下とも長い連続ローラで構成するようにしても良く、フィルム11に折り癖をつけることができるものであれば良い。
【0036】
この最下流のV溝ローラ16とその下流の折癖ローラ17との間に、張り合わせ剤を塗布する塗布ノズル18が設けられ、ここでは、フィルム11の重ね部11cの上側の縁部11aの内面に接着溶剤を塗布するようにしてある。
【0037】
なお、貼り合わせ剤としては、フィルム11の溶剤のほか、接着剤を用いるようにしても良く、重ね部11cを貼り合わせて筒状にできるものであれば良い。
【0038】
この塗布ノズル18のすぐ下流側に貼り合わせ用のプレ貼り合せローラとしてのプレニップローラ19が設けられ、下流側の折癖ローラ17の上側のローラの間に配置され、下側の折癖ローラ17をプレ貼り合せローラとしてのプレニップローラ19の下側のローラと兼用してフィルム11の重ね部11cを押えて接着できるようにしてある。
【0039】
このプレ貼り合せローラとしてのプレニップローラ19で、貼り合わせ剤を塗布した直後にフィルム11の重ね部11cを押えることで、接着溶剤によるフィルム11の溶剤アタックによる凹凸の発生を防止でき、凹凸内に気泡が挟まって白化することも防止する。
【0040】
さらに、このプレ貼り合せローラとしてのプレニップローラ19の下流側に位置するニップローラ13によって筒状フィルム12の幅方向全体が押えられるとともに、筒状フィルム12が引き出されるように搬送される。
【0041】
このように構成した筒状フィルムの製造装置10では、次のようにして長尺状のフィルム11から筒状フィルム12が製造される。
【0042】
ロール状の長尺状フィルム11が図示しない上流側の搬送ローラおよび下流側のニップローラ13で搬送され、折り返しローラ14の下側に送られると、折り返しローラ14の幅でフィルム11の両縁部11a、11bが折り返されるとともに、その両側のガイドローラ15でバタツキを防止するようにガイドされて折り返しが開始される。
【0043】
そして、折り返された状態のフィルム11が搬送されながら3対のV溝ローラ16および折癖ローラ17によって折り返し幅Bが維持されるとともに、折り返し部11dが押えられて確実に折り返し状態が保持され、貼り合わせ剤の塗布ノズル18で重ね部11cの一方に接着溶剤が塗布される。
【0044】
すると、この塗布ノズル18の直後に設けたプレ貼り合せローラとしてのプレニップローラ19で重ね部11cが押えられて貼り合わせられ、筒状フィルム12になる。
【0045】
そして、さらに下流のニップローラ13で筒状フィルム12が全幅にわたって押えられて送り出され、巻き取られて筒状フィルム12が完成する。
【0046】
このような筒状フィルムの製造装置10によれば、長尺状フィルム11の内面に回転する折り返しローラ14を当てて折り返し幅Bを規制することで、固定状態の作業プレートの場合のような擦り傷の発生を防止することができる。
【0047】
また、この折り返しローラ14の送り方向下流両側にV溝ローラ16を設けて長尺状フィルム11の両縁折り返し部11dを両側からそれぞれ押えるとともに、折り返し幅Bを維持することで、フィルム11の表面上で接触する搬送方向と交差するローラを用いる場合のような擦り傷の発生を防止することができ、高精度に筒状フィルムを製造することができる。
【0048】
さらに、折り返しローラ14の外側にフィルム11のバタツキを押えるガイドローラ15を設けるようにしたので、フィルム11を平坦状から両縁部11a,11bを折り返す場合のバタツキを押えてスムーズに折り返すことができる。
【0049】
また、この筒状フィルムの製造装置10によれば、V溝ローラ16の送り方向下流両側に、両縁折り返し部11dの表裏を押える折癖ローラ17を設けるようにしたので、一層確実に折り返し幅B(筒状フィルム12の折り径D)を一定に保持することができる。
【0050】
さらに、塗布ノズル18の送り方向下流側に隣接してプレ貼り合せローラとしてのプレニップローラ19を設けるようにしたので、貼り合せ剤の塗布直後に押えることで、溶剤アタックなどの発生を防止して気泡の介在をなくすことができるとともに、これによる白化も防止することができる。
【0051】
また、このプレ貼り合せローラとしてのプレニップローラ19を、重ね部11cに対応した狭幅のローラで構成したので、必要最小限のローラ幅とすることで、押圧力の付与も容易となるとともに、一層確実に気泡の介在を防止して白化を防止することができる。
【実施例】
【0052】
次に、この発明の筒状フィルムの製造装置10により製造した筒状フィルム12の実施例について、その折り径Dの測定結果を比較例とともに説明する。
この実施例では、2.0L(リットル)のPETボトル用の筒状フィルム(目標折り径:174.3mm)を搬送速度を変えて(100,200m/min)製造し、それぞれの折り径D(mm)を測定した。
【0053】
また、使用したフィルム(材料:OPS、厚さ:60μm)は、A社製I、II、B社製Iの3種類とした。
【0054】
なお、筒状フィルムの製造装置としては、3対のV溝ローラおよび2対の折癖ローラを設置した。
【0055】
また、比較例として、従来の作業プレートと2組の傾斜ローラを備えた装置を使用した。
【0056】
このような実施例および比較例の測定結果は、表1に示すようになり、いずれの場合についても、実施例の折り径Dの方が目標折り径との誤差が小さく、高精度に製造できることが確認できた。
【0057】
また、実施例において得られた筒状フィルムには、内面側の傷や外面側の擦り傷の発生は見られず、貼り合わせ部分の白化もなかった。
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】この発明の筒状フィルムの製造装置の一実施の形態にかかる全体の概略斜視図である。
【図2】この発明の筒状フィルムの製造装置の一実施の形態にかかるV溝ローラ部分、折癖ローラ部分、およびプレ貼り合わせローラ部分の断面図である。
【図3】従来の筒状フィルムの製造装置の概略平面図である。
【符号の説明】
【0059】
10 筒状フィルムの製造装置
11 長尺状のフィルム
11a 縁部
11b 縁部
11c 重ね部
11d 折り返し部
12 筒状フィルム
13 ニップローラ
14 折り返しローラ
15 ガイドローラ
16 V溝ローラ
17 折癖ローラ
18 塗布ノズル
19 プレニップローラ(プレ貼り合せローラ)
B フィルムの折り返し幅
D 筒状フィルムの折り径


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状フィルムの両縁部を重ねるように折り返し、重ね部を貼り合せて筒状フィルムを製造する装置であって、
長尺状フィルムの内面に当てられて折り返し幅を規制する折り返しローラと、
この折り返しローラの送り方向下流両側に設けられ前記長尺状フィルムの両縁折り返し部をそれぞれ押えるとともに、折り返し幅を維持するV溝ローラと、
前記重ね部に貼り合せ剤を塗布する塗布ノズルと、
この貼り合せ剤が塗布された前記重ね部を押圧して貼り合せる貼り合せローラとを備えることを特徴とする筒状フィルムの製造装置。
【請求項2】
前記折り返しローラの前記長尺状フィルムを挟む外側にフィルムのバタツキを押えるガイドローラを設けたことを特徴とする請求項1記載の筒状フィルムの製造装置。
【請求項3】
前記V溝ローラを複数対設けて構成したことを特徴とする請求項1または2記載の筒状フィルムの製造装置。
【請求項4】
前記V溝ローラの送り方向下流両側に、両縁折り返し部の表裏を押える折癖ローラを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の筒状フィルムの製造装置。
【請求項5】
前記塗布ノズルの送り方向下流側に隣接して前記貼り合せ剤塗布直後の前記重ね部を押えるプレ貼り合せローラを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の筒状フィルムの製造装置。
【請求項6】
前記プレ貼り合せローラを、前記重ね部に対応した狭幅のローラで構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の筒状フィルムの製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−82388(P2006−82388A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269436(P2004−269436)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】