説明

管の評価方法及び管の評価プログラム

【課題】 複数の地点の肉厚データを総合的に評価して管が正常であるか否かを自動的に判定できるようにする。
【解決手段】 内部超音波探傷法で管の各地点の肉厚を測定して、それを記憶装置に記録する。その記録データをコンピュータに読み込んで評価を開始する。所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する。また、同様の肉厚データに関して、周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する。さらに、最小肉厚部の応力を評価して、正常であるか再評価が必要であるかを決定する。再評価が必要であるとされた肉厚データについては、孔食評価を実施して、最終的に、管が正常であるか異常であるかを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の肉厚に基づいて管の状態を評価する方法及びその方法を実現するプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
給水加熱器等の伝熱管の肉厚評価方法について述べると、そのような肉厚の測定手法のひとつとして、伝熱管の内部から超音波探傷法で肉厚を測定する技術が知られている(例えば、特許文献1)。通常の評価手法においては、超音波探傷法で管の各部分の肉厚を測定して、いずれかの地点の肉厚が、管の強度を考慮した所定のしきい値を下回っていれば、異常である(例えば、管の腐食が進行している)と判断することができる。異常であると判定されると、その伝熱管は修理されるか、交換される。
【特許文献1】特公平5−8780号公報
【0003】
しかしながら、いずれかの地点の肉厚が所定のしきい値を下回っていても、その周囲の肉厚データを考慮すれば、その付近において伝熱管の強度が充分に保たれている場合も多い。上述のような通常の判断手法を採用すると、まだ充分な強度を保っている伝熱管までも異常判定をしてしまい、余計な修理作業や交換作業をすることになる。
【0004】
ところで、管の超音波探傷法の技術分野において、単一の地点の肉厚だけで評価をせずに、肉厚欠陥の平面的な広がり(面積)を求めて、それに基づいて欠陥を評価することが知られている(例えば、特許文献2及び特許文献3)。
【特許文献2】特開平2−208554号公報
【特許文献3】特開2002−350407号公報
【0005】
これらの特許文献2と特許文献3は肉厚欠陥の広がり(平面的な面積)を求めることはできるが、そのような広がりを持つ肉厚欠陥が正常であるか異常であるかをどのように判定するのか、その判定手法が開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の地点の肉厚データを総合的に評価して管が正常であるか否かを自動的に判定できるような管の評価方法を提供することにある。また、本発明の別の目的は、そのような評価方法を実行するためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る管の評価方法の第1の形態は、軸方向の評価と周方向の評価と最小肉厚部の応力評価と孔食評価の各段階を備えているものであって、次の(ア)乃至(カ)の段階を備えている。(ア)管の軸方向と周方向のそれぞれについて所定の測定ピッチで管の肉厚を測定して、その肉厚データを記録する記録段階。(イ)記録された前記肉厚データを読み込む読込段階。(ウ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する軸方向評価段階。(エ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する周方向評価段階。(オ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、最小肉厚部の応力に基づいて評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する最小肉厚部応力評価段階。(カ)前記軸方向評価段階、前記周方向評価段階及び最小肉厚部応力評価段階の少なくともいずれかの段階で再評価が必要であるとされた肉厚データについて、孔食評価をすることで、管が正常であるか異常であるかを判断する孔食評価段階。
【0008】
本発明は、肉厚測定が可能などのような管にも適用可能であり、例えば、「パイプ」と称されている管、あるいは「チューブ」と称されている管のいずれにも適用可能である。
【0009】
本発明の評価方法は、基本的には、管が破壊しない強度を保つという観点から、充分な肉厚を備えているかどうかを判定している。したがって、微小な貫通孔の存在によってリークが生じるかどうか、という観点については、考慮の対象外としている。
【0010】
本発明に係る管の評価方法の第2の形態は、軸方向の評価と周方向の評価と最小肉厚部の応力評価の各段階を備えているものであって、次の(ア)乃至(オ)の段階を備えている。(ア)管の軸方向と周方向のそれぞれについて所定の測定ピッチで管の肉厚を測定して、その肉厚データを記録する記録段階。(イ)記録された前記肉厚データを読み込む読込段階。(ウ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか異常であるかを決定する軸方向評価段階。(エ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか異常であるかを決定する周方向評価段階。(オ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、最小肉厚部の応力に基づいて評価をして、正常であるか異常であるかを決定する最小肉厚部応力評価段階。
【0011】
上述のいずれの発明形態においても、前記軸方向評価段階は、管の軸線を含む平面で切断した断面において前記肉厚しきい値を割り込んだ部分の軸方向の長さに基づいて正常であるか否かを判定する段階を含むことができる。
【0012】
上述のいずれの発明形態においても、前記軸方向評価段階は、管の軸線を含む平面で切断した断面において前記肉厚しきい値を割り込んだ部分の断面積に基づいて正常であるか否かを判定する段階を含むことができる。
【0013】
上述の第1の形態においては、前記肉厚しきい値を割り込んだ肉厚データが連続している領域を割込領域と定義して、その割込領域についての穴の補強に有効な範囲に基づいて、前記孔食評価をすることができる。
【0014】
上述の第1の形態においては、管の軸線を含む平面で切断した断面において前記肉厚しきい値を割り込んだ部分の断面積についての等価孔の孔径を求めて、その孔径が管の内径の所定割合以下(例えば、4分の1以下)であるか否かに基づいて前記孔食評価をすることができる。
【0015】
上述のいずれの発明形態においても、前記肉厚データは超音波探傷法によって管の内部から測定することができる。
【0016】
本発明の第3の形態は、管の評価プログラムの発明であって、コンピュータに次の(ア)乃至(オ)の機能を実現させるものである。(ア)管の軸方向と周方向のそれぞれについて所定の測定ピッチで管の肉厚を測定して記録された肉厚データを読み込む読込機能。(イ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する軸方向評価機能。(ウ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する周方向評価機能。(エ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、最小肉厚部の応力に基づいて評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する最小肉厚部応力評価機能。(オ)前記軸方向評価機能、前記周方向評価機能及び最小肉厚部応力評価機能の少なくともいずれかの機能において再評価が必要であるとされた肉厚データについて、孔食評価をすることで、管が正常であるか異常であるかを判断する孔食評価機能。
【0017】
本発明の第4の形態は、管の評価プログラムの発明であって、コンピュータに次の(ア)乃至(エ)の機能を実現させるものである。(ア)管の軸方向と周方向のそれぞれについて所定の測定ピッチで管の肉厚を測定して記録された肉厚データを読み込む読込機能。(イ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか異常であるかを決定する軸方向評価機能。(ウ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか異常であるかを決定する周方向評価機能。(エ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、最小肉厚部の応力に基づいて評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する最小肉厚部応力評価機能。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の地点の肉厚データを総合的に評価して管が正常であるか否かを自動的に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳しく説明する。図1(A)は本発明の評価方法を「内部超音波探傷法による伝熱管の評価」に適用した実施例における測定装置の一部断面図である。伝熱管10の内部には水が満たされていて、その中に超音波探傷装置12が挿入される。超音波探触子14から発射された超音波16は、伝熱管10の中心に沿って進行し、超音波反射ミラー18で直角に反射して、伝熱管10の内面20に当たる。伝熱管10の内面20または外面22で反射した超音波は同じ経路を戻って、超音波探触子14で検出される。発射時間と検出時間の時間差を測定することで、伝熱管の肉厚を測定することができる。
【0020】
超音波反射ミラー18は高速の回転速度(例えば、12000rpm)で回転し、それによって、超音波が伝熱管10の内面20において周方向に走査される。超音波探触子14は所定の繰り返し周波数(例えば、10000Hz)で超音波16を発射する。したがって、超音波反射ミラー18の回転と超音波16の繰り返し周波数の組み合わせにより、周方向の測定ピッチが定まり、例えば1周当たり50地点で肉厚を測定することができる。また、超音波探傷装置12は所定の並進速度(例えば、毎秒150mm)で伝熱管10の軸方向に移動する。この並進速度と超音波反射ミラー18の回転速度との組み合わせにより、伝熱管10の軸方向の測定ピッチが定まり、例えば、0.75mmの測定ピッチで肉厚を測定することができる。
【0021】
図1(B)はひとつの地点を超音波で測定したときのエコーデータを模式的に示すグラフである。横軸は超音波の発射時刻からエコーを検出する時刻までの経過時間であり、縦軸はエコー高さである。エコーTは超音波反射ミラー18で反射したエコーであり、エコーSは伝熱管10の内面20で反射したエコーであり、エコーBは伝熱管10の外面22で反射したエコーである。図1(A)では、これらのエコーT,S,Bの様子を模式的に示している。図1(B)において、エコーSとエコーBの時間差が肉厚に相当する。この測定した時間差を伝熱管の肉厚に換算することができる。
【0022】
図2は肉厚の記録データの配列図の一部である。超音波探傷法によって測定された伝熱管の各地点の肉厚データは記憶装置に記憶される。肉厚のデータ数は大量であり、例えば、伝熱管の内周の周方向において、1周当たり50地点を測定し、かつ、軸方向において0.75mmのピッチで測定すると仮定すると、10mの長さの伝熱管の場合、全体で50×(10000/0.75)=66.7万個の肉厚データを記録装置に記憶することになる。その記録データを周方向と軸方向に2次元的に配列して模式的に示したのが図2である。この図は、伝熱管の内面を平面に展開したときの肉厚データの分布に相当する。ひとつの区画24がひとつの測定地点に相当し、各地点に肉厚データが付属する。ハッチングで示した地点は後述する割込地点であり、黒色で塗りつぶした地点は後述する再評価地点である。上述の例の場合、周方向においては地点1番から地点50番までが存在し、軸方向においては地点1番から始まり13000番以上に達する。
【0023】
次に、図3〜図6のフローチャートと図7〜図9の説明図を参照して、伝熱管の評価手順を詳しく説明する。図3は本発明の評価方法の一実施例の全体の流れを示すフローチャートである。図4は図3のフローチャートの中に示された「減肉総合評価」のサブルーチンのフローチャートである。図5は図3のフローチャートの中に示された「最小肉厚部の応力評価」のサブルーチンのフローチャートである。図6は図3のフローチャートの中に示された「孔食評価」のサブルーチンのフローチャートである。
【0024】
図3において、評価を開始し、まず、条件を入力する(ステップS1)。ユーザが入力する条件としては、例えば、次の項目がある。
(1)伝熱管の外径(D)。この実施例では15.88mmと仮定する。
(2)伝熱管の初期肉厚(ta)。この実施例では2.2mmと仮定する。したがって、内径(d)は11.48mmである。
(3)管の内側にかかる最高使用圧力(P)。
(4)肉厚のしきい値(tsr)。このtsrは、伝熱管の使用条件(温度や圧力など)に対して、伝熱管の強度を保つために必要とされる肉厚であり、初期肉厚よりも小さい値である。この肉厚を割り込んだときは、従来技術では肉厚異常と判定されるものである。この実施例ではtsr=1.6mmである。tsrは、例えば、図3に記載した(1)式で求めることができる。(1)式において、Pは管の内側にかかる最高使用圧力(MPa)、Dは管の外径(mm)、σaは材料の許容引張応力(N/mm)、ηは長手継手の効率(長手継手が無い場合はη=1.0)である。
(5)超音波探傷装置の並進速度。この実施例では毎秒150mmと仮定する。
(6)超音波反射ミラーの回転速度。この実施例では12000rpmと仮定する。
(7)超音波の繰り返し周波数。この実施例では10000Hzと仮定する。
【0025】
以上の条件を入力すると、測定ピッチが自動的に定まる。すなわち、軸方向の測定ピッチ(p1)は0.75mmである。周方向の測定ピッチ(p2)は管の内面において0.72mmであり、1周当たり50地点の測定になる。
【0026】
上述の条件に基づいて、図1に示すように伝熱管の肉厚を測定する。そして、その測定データ(時間差のデータである)を記憶装置に記録する。大量の測定データは記憶装置に記録されるので、肉厚の測定とその後のデータ解析は別個に実施できる。以下に説明する動作は、すべてコンピュータの内部で実行されるので、特に断らない限り、コンピュータでの動作についての記述である。記録データは記憶装置から読み込む。これが図3のフローチャート中の「データ読込」に相当する。このデータは、図1(B)に示すように時間差のデータである。これを肉厚データに変換する。そして、図2に示すような配列となるように肉厚データを並べる。ここまでが、図3のフローチャート中の「データ処理」に相当する。データ読込とデータ処理がステップS2である。
【0027】
次に、ステップS3で割込地点の有無を判定する。「割込地点」とは、測定された肉厚データ(以下、残肉厚と称することがある)が上述の肉厚しきい値tsrを割り込んだ(すなわち、下回った)測定地点のことである。すべての測定地点で残肉厚が肉厚しきい値を上回っているときは、ステップS3の判定が「NO」になり、このときは全く問題が無く、評価手順は「正常で終了」となる。「正常で終了」とは、正常であることを出力して評価手順を終了する、を意味する。ひとつでも割込地点が存在すると、ステップS4以降の手順に移行する。この発明は、割込地点が存在してもすぐに異常とはせずに、さらに評価手順を続行することによって、本当に伝熱管の強度が保たれていない状況だけを抽出することに特徴がある。
【0028】
ステップS3の判定において、ひとつでも割込地点が存在すると、ステップS4に移って、すべての割込地点について肉厚(残肉厚)が0mmかどうかを判定する。ひとつでも肉厚が0mmの地点があると「異常で終了」となる。この「異常で終了」の意味も、異常であることを出力して評価手順を終了する、である。肉厚が0mmであるということは、伝熱管の内面と外面をつなぐような貫通孔が存在することを意味する。
【0029】
ステップS4の判定で「NO」になると、ステップS5に移り、すべての割込地点を画面に表示する。図2に割込地点の表示例を示す。ハッチングを施した地点が割込地点である。この例では、ユーザが割込地点を画面で見ることができるように「表示」しているが、伝熱管を自動的に評価する観点からは、必ずしも「表示」する必要はなく、コンピュータ内で割込地点が特定されれば足りる。
【0030】
次に、最初の割込地点を選択する(ステップS6)。「最初」とは、図2において、割込地点の中で、軸方向の地点番号が一番小さくて、かつ、その中でも、周方向の地点番号が一番小さいものを指す。そして、その割込地点について「減肉総合評価」のサブルーチン(ステップS7)と「最小肉厚部の応力評価」のサブルーチン(ステップS8)を実行する。これらのサブルーチンでは、当該割込地点について、その周囲の肉厚データも考慮して、その割込地点が強度上問題のあるものなのかを判定する(この点の詳細は後述する)。問題のある割込地点については、それを再評価が必要な地点(再評価地点)として記憶する。ひとつの割込地点についてそのような作業が終了すると、次の割込地点があるか否かを判定し(ステップS9)、次の割込地点が存在する場合は、次の割込地点を選択して(ステップS10)、「減肉総合評価」と「最小肉厚部の応力評価」のサブルーチンを繰り返す。そのようにして、すべての割込地点について減肉総合評価と最小肉厚部の応力評価のサブルーチンが終了すると、それらのサブルーチンの途中で再評価地点が記憶されたかどうかを判定する(ステップS11)。再評価地点が記憶されていなければ、割込地点の中で強度上問題のあるものは存在しないことになるので、そのまま「正常で終了」となる。もし再評価地点が存在すれば、「孔食評価」のサブルーチンに移る(ステップS12)。そして、再評価地点を含む割込領域について孔食評価を実行し、本当に異常なものなのかどうかを判定する。異常なものであれば、「孔食評価」のサブルーチンの中で「異常で終了」となって、評価手順が終了する。孔食評価のサブルーチンを無事に抜けると、「正常で終了」となる。
【0031】
図4は減肉総合評価のサブルーチンのフローチャートである。減肉総合評価のサブルーチンに入る時点で、上述のように、いずれかひとつの割込地点が選択された状態にある。この減肉総合評価は軸方向の評価と周方向の評価に分かれている。そして、軸方向の評価は、さらに、割込地点が連続する領域についての「軸方向長さ」に基づく評価と、管の軸線を含む平面で切断した断面(縦断面)における「割込領域の面積」に基づく評価(面積補償法による評価)を含む。
【0032】
図4のステップS13において、当該割込地点について、その割込地点から軸方向に割込地点が連続している領域を特定する。ここで、割込地点が連続している領域を割込領域と定義する。そして、当該割込地点を含む割込領域について、当該割込地点を中心として割込領域の軸方向範囲が伝熱管の外径D以内に収まっているかどうかを判定する。このことを図7(A)のグラフを用いて説明する。図7(A)は肉厚データの軸方向の分布の一部を示すグラフである。横軸が軸方向の位置であり、縦軸が肉厚である。軸方向の測定ピッチはp1である。当該割込地点(減肉総合評価のサブルーチンに入ったときに選択されている割込地点)の肉厚データを黒丸で示している。taは伝熱管の初期肉厚であり、tsrは肉厚しきい値である。黒丸のデータは、当然、tsrを割り込んでいる(それゆえに、減肉総合評価のサブルーチンに移っている)。黒丸データから連続して割込地点が続いている領域26が割込領域である。この割込領域26が、黒丸の割込地点を中心として、外径D以内に収まっているか、言い換えれば、軸方向の両側の(1/2)D以内に収まっているかどうか、を上述のステップ13で判定している。「NO」であれば、安全上の指標を割り込んでいるので、この黒丸の割込地点は、再評価が必要な割込地点となり、この割込地点を「再評価地点」として記憶する(図4のフローチャートのステップS14)。そして、そのまま減肉総合評価を終了する。すなわち、面積補償法の判定も周方向の評価も実施しない。それらの判定や評価をするまでもなく、当該割込地点が「再評価地点」として記憶されるからである。ステップS13で「YES」となれば、次の面積補償法での判定(ステップS15)に移る。
【0033】
割込領域の軸方向範囲が伝熱管の「外径D以内」であることを上述のように判定基準とした根拠は次のとおりである。断面が円筒の通常の管(外径が1520mm以下)の場合、最大外径の1/2の大きさ(ただし、508mm以下)の穴を設けることができて、そのとき、穴の補強に有効な範囲は穴中心から軸方向にそれぞれ穴径(外径の1/2)の範囲までとされている(ASME規格Sec.I PG−32.3.2の規定、または、これに対応する日本機械学会規格JSME S TA1のPG−32.3.2(穴の径)の規定に基づく)。これを根拠にして、割込領域の軸方向範囲が、許容可能な最大の穴(外径の1/2)の補強に有効な範囲内(外径D以内)に収まっているかどうかを問題にしている。
【0034】
ステップS15は、割込地点を中心として縦断面における割込領域の断面積に基づいて伝熱管を評価するものである。このことを図7(B)のグラフを用いて説明する。図7(B)は、図7(A)と同様に、肉厚データの軸方向の分布を示している。このグラフでは、縦断面における割込領域の断面積を問題にしている。tsrを割り込んでいる領域の面積はA1である。一方、黒丸の割込地点を中心とした外径Dの範囲内において、tsrを割り込んでいない地点の断面積の合計はA21+A22=A2である。A1がA2より小さいかどうかを図4のフローチャートのステップS15で判定している。「NO」であれば、安全上の指標を割り込んでいるので、この黒丸の割込地点は、再評価が必要な割込地点となり、この割込地点を「再評価地点」として記憶する(図4のフローチャートのステップS14)。そして、そのまま減肉総合評価を終了する。すなわち、周方向の評価は実施しない。その評価をするまでもなく、当該割込地点が「再評価地点」として記憶されるからである。ステップS15で「YES」となれば、次の周方向の評価に移る。
【0035】
ステップS16とS17は周方向の評価である。まず、当該割込地点について、その割込地点を含む横断面(伝熱管の軸方向に垂直な断面)において、周方向のどこかの地点で残肉厚が(1/2)tsrを下回っているかどうかを判定する(ステップS16)。このことを図7(C)のグラフを用いて説明する。図7(C)は肉厚データの周方向の分布の一部を示している。横軸が周方向の位置であり、縦軸が肉厚である。周方向の測定ピッチはp2である。黒丸の地点が当該割込地点である。黒丸のデータは、当然、tsrを割り込んでいる。この実施例は、周方向に50個の測定地点が存在するが、そのうちの、周方向を8等分した8地点についてだけ、残肉厚が(1/2)tsrを下回っているかどうかを判定する。周方向の全地点(50地点)について判定をしても構わないが、この実施例では、処理速度を優先して8地点に限定している。いずれの測定地点も下回っていなければ、図4のフローチャートのステップS16の判定は「NO」となり、減肉総合評価を終了する。この場合、当該割込地点は、安全性が確保されているため、再評価地点として記憶されることなく、減肉総合評価を終了することになる。
【0036】
ステップS16において「YES」となったら、さらに次のステップS17の判定を実行する。その理由は、たとえいずれかの周方向の地点で残肉厚が(1/2)tsrを下回っていたとしても、周方向の平均の残肉厚が所定値以上あれば、強度不足の心配がないからである。すなわち、ステップS17において、周方向の平均の残肉厚が(1/2)tsr以上であるか否かを判定する。この場合、上述の8地点の平均を周方向の平均の残肉厚としている。もちろん、50個の地点の平均を採用することもできる。ステップS17が「NO」であれば、安全上の指標を割り込んでいるので、当該割込地点は、再評価が必要な割込地点となり、この割込地点を「再評価地点」として記憶する(ステップS14)。そして、減肉総合評価を終了する。ステップS17が「YES」であれば、当該割込地点は、安全性が確保されているため、再評価地点として記憶されることなく、減肉総合評価を終了することになる。
【0037】
図5は最小肉厚部の応力評価のサブルーチンのフローチャートである。このサブルーチンでは、最小肉厚部での応力が材料の許容引張応力を下回っているかどうかを判定する。
【0038】
図7(A)で説明したように、すでに、割込領域26が特定されているので、その割込領域26の中で最小の肉厚データを有する地点が最小肉厚部である。まず、管の軸方向において、最小肉厚部を中心とした外径Dの範囲内を複数の評価領域に分割する(ステップS18)。このことを図8(A)のグラフを用いて説明する。図8(A)は肉厚データの軸方向の分布の一部を示すグラフである。横軸が軸方向の位置であり、縦軸が肉厚である。最小肉厚部の肉厚データを黒丸で示している。この最小肉厚部を中心として外径Dの範囲内の領域を特定する。そして、肉厚データの軸方向分布が肉厚しきい値tsrを横切る地点を境界点として、外径Dの範囲内を複数の領域に分割する。図8(A)では、a領域とb領域とc領域に分割される。b領域は肉厚がtsrを下回る領域であり、その両側のa領域とc領域は肉厚がtsrを上回る領域である。
【0039】
次に、図5のフローチャートのステップS19で、各評価領域の応力(σn)を算出する。このことを図8(B)のグラフを用いて説明する。a領域において、肉厚の平均値をtnとする。a領域での応力σnは、図5のフローチャート内に記載した(2)式で計算できる。(2)式において、Pは管の内側にかかる最高使用圧力、Dは管の外径、tnは肉厚の平均値である。c領域についても同様にして応力σnを計算できる。tsrを下回っているb領域については、(2)式におけるtnとして最小肉厚tminを用いて応力σnを求める。
【0040】
次に、ステップS20で各評価領域の荷重Fnを算出する。荷重Fnは、図5のフローチャート内の(3)式で計算できる。(3)式において、σnはステップS19で求めた応力であり、Anは各評価領域の断面積である。図8(B)に示すように、a領域の断面積Anは、肉厚の平均値tnと、a領域の軸方向の長さとを掛け算して求めることができる。c領域も同様である。b領域については、最小肉厚tminとb領域の軸方向の長さとを掛け算して、断面積Anとする。
【0041】
次に、図5のフローチャートにおいて、ステップS21で、各評価領域について、最小肉厚tminを基準にした修正荷重Fnmを算出する。修正荷重Fnmは(4)式で計算できる。(4)式において、FnはステップS20で求めた荷重、tminは最小肉厚、tnは各領域での肉厚の平均値tnである。tsrを下回っているb領域については、tn=tminを代入して、FnmはFnに等しくなる。この修正荷重はFnm、図8(C)のa領域とc領域において、破線のハッチングで示した断面積領域38,40の荷重をFnから差し引いた荷重に相当する。
【0042】
次に、図5のフローチャートにおいて、ステップS22で、最小肉厚tminでの作用応力σ1を算出する。作用応力σ1は(5)式で計算できる。(5)式において、右辺の分子は、各領域の修正荷重Fnmを合計したものである。右辺の分母は、a領域からc領域にまたがるtminの厚さの部材の断面積である。
【0043】
次に、ステップS23で、作用応力σ1が管の材料の許容引張応力σaを下回っているかどうかを判定する。ステップS23の判定が「NO」であれば、安全上の指標を割り込んでいるので、この最小肉厚部を「再評価地点」として記憶する(ステップS24)。そして、最小肉厚部の応力評価を終了する。ステップS23の判定が「YES」であれば、この最小肉厚部は、強度上の安全性が確保されているため、再評価地点として記憶されることなく、最小肉厚部の応力評価が終了する。
【0044】
図6は孔食評価のサブルーチンのフローチャートである。孔食評価のサブルーチンに入る時点で、上述のように、少なくともひとつの再評価地点が存在している。まず、「少なくともひとつの再評価地点」を含む割込領域(これを、再評価領域と定義する)を作成する(ステップS25)。記憶したすべての再評価地点について、この再評価領域を作成することになる。図2では、再評価地点を含む割込領域28を示してあり、これが再評価領域28である。図2に示されているその他の割込領域30,32は、再評価地点を含んでいないので、再評価領域ではない。
【0045】
図6において、最初の再評価領域を選択する(ステップS26)。次に、ステップS27で、当該再評価領域について、穴の補強に有効な範囲Lを算出する。また、当該再評価領域の隣の割込領域についても、穴の補強に有効な範囲Lを算出する。このことを図9(A)を参照して説明する。図9(A)は伝熱管の縦断面図であり、この図面において、伝熱管の内面に穴34が存在する。この穴34は肉厚データの軸方向の分布によって認識されるものである。この穴34の断面形状のうち、tsrを割り込んでいる部分の断面積A3を求める。次に、図9(A)に記載された(6)式に基づいて範囲Lを算出する。範囲Lの意味は次のとおりである。tsrを割り込んでいる部分の断面積A3を、その周囲の「tsrを割り込んでいない部分」で補強すると仮定した場合に、その補強部分の合計の断面積がA3となるように補強部分の範囲Lを定めている。すなわち、tsrを割り込んで弱くなっている穴部分に対して、それを穴の周囲の「tsrを割り込んでない部分」で補強しようとする考え方である。穴の周囲に「tsrを割り込んでない部分」が充分に広がって入れば、この穴は強度上問題ない、と判断する。したがって、この穴の近くに隣の穴が存在した場合には、この穴の補強範囲Lと隣の穴の補強範囲が重ならないことが重要になる。そのようなことを判定しているのが図6のフローチャートのステップS28であり、そのための補強範囲Lを算出するのがステップS27である。ステップ28による判定は、穴が「単独の穴」であるかどうかを判定することに相当する。
【0046】
図2において、再評価領域28の下方に、この再評価領域28の補強に有効な範囲L1を示している。また、再評価領域28の隣の割込領域30について、その上方に、この割込領域30の補強に有効な範囲L2を示している。範囲L1とL2が重なっていれば、図6のフローチャートのステップS28が「YES」となり、この場合は「異常で終了」となる。その時点で評価手順が終了する。ステップS28で「NO」となれば、次の等価孔径の判定ステップS29に移る。
【0047】
なお、範囲L1とL2の重なりの有無について、上述の説明では、管の軸方向での重なりの有無だけを説明したが、実際には、管の周方向と、斜め方向(軸方向及び周方向に対して45度の角度をなす方向)についても、範囲L1とL2の重なりの有無を判定する。
【0048】
ステップS29は、当該再評価領域について、その等価孔径が(1/4)d以下であるか否かを判定している。このことを図9(B)を参照して説明する。伝熱管の縦断面図において、穴34の断面形状のうち、tsrを割り込んでいる部分の断面積A3を求める。このA3は、ステップS27において、すでに求めてあるものである。次に、tsr以下の部分の断面積がA3となるような直線状の貫通孔36を想定する。この貫通孔36が穴34の等価孔である。この等価孔36の孔径をd3とする。このd3は図9(B)の(7)式で求めることができる。すなわち、A3をtsrで割り算する。この等価孔径d3が、伝熱管の内径dの4分の1以下かどうかを、図6のフローチャートのステップS29で判定する。ステップ29が「NO」であれば、「異常で終了」となる。その時点で評価手順が終了する。「YES」であれば、次の再評価領域があるかどうかを判定する(ステップS30)。次の再評価領域があれば、次の再評価領域を選択して(ステップS31)、ステップS27に戻る。次の再評価領域がなければ、孔食評価を終了する。この場合、図3のフローチャートに戻って、「正常で終了」になる。
【0049】
本発明は上述の実施例に限定されず、次のような変更が可能である。
(1)上述の実施例は超音波探傷法で測定した肉厚に適用したものであるが、その他の測定法で得られた肉厚に対しても本発明を適用できる。例えば、電位差法によって得られた肉厚にも適用できる。電位差法を用いて管の肉厚を測定することについては、例えば次の特許文献4に開示されている。
【特許文献4】特開2005−308544号公報(2)図4のフローチャートのステップS13において、「外径D以内」という判定条件を、もっときつくする(安全側にする)ことができる。例えば、「外径の0.8D以内」のような条件にすることができる。(3)図4のフローチャートのステップS16において、「残肉厚<(1/2)tsr」という判定条件をもっときつくする(安全側にする)ことができる。例えば、「残肉厚<(2/3)tsr」のような条件にすることができる。(4)図6のフローチャートのステップS29において、「等価孔径が(1/4)d以下」という判定条件をもっときつくする(安全側にする)ことができる。例えば、「等価孔径が0.2d以下」のような条件にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】(A)は本発明の評価方法を内部超音波探傷法による伝熱管の評価に適用した実施例における測定装置の一部断面図である。(B)はひとつの地点を超音波で測定したときのエコーデータを模式的に示すグラフである。
【図2】肉厚の記録データの配列図の一部である。
【図3】本発明の評価方法の一実施例の全体の流れを示すフローチャートである。
【図4】減肉総合評価のサブルーチンのフローチャートである。
【図5】最小肉厚部の応力評価のサブルーチンのフローチャートである。
【図6】孔食評価のサブルーチンのフローチャートである。
【図7】肉厚データの軸方向または周方向の分布を示すグラフである。
【図8】肉厚データの軸方向の分布を示すグラフであって、最小肉厚部の応力評価を説明するためのグラフである。
【図9】孔食評価の手法を説明する伝熱管の縦断面図である。
【符号の説明】
【0051】
10 伝熱管
12 超音波探傷装置
14 超音波探触子
16 超音波
18 超音波反射ミラー
20 内面
22 外面
28 再評価領域
30,32 割込領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(ア)乃至(カ)の段階を備える、管の評価方法。
(ア)管の軸方向と周方向のそれぞれについて所定の測定ピッチで管の肉厚を測定して、その肉厚データを記録する記録段階。
(イ)記録された前記肉厚データを読み込む読込段階。
(ウ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する軸方向評価段階。
(エ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する周方向評価段階。
(オ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、最小肉厚部の応力に基づいて評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する最小肉厚部応力評価段階。
(カ)前記軸方向評価段階、前記周方向評価段階及び最小肉厚部応力評価段階の少なくともいずれかの段階で再評価が必要であるとされた肉厚データについて、孔食評価をすることで、管が正常であるか異常であるかを判断する孔食評価段階。
【請求項2】
次の(ア)乃至(オ)の段階を備える、管の評価方法。
(ア)管の軸方向と周方向のそれぞれについて所定の測定ピッチで管の肉厚を測定して、その肉厚データを記録する記録段階。
(イ)記録された前記肉厚データを読み込む読込段階。
(ウ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか異常であるかを決定する軸方向評価段階。
(エ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか異常であるかを決定する周方向評価段階。
(オ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、最小肉厚部の応力に基づいて評価をして、正常であるか異常であるかを決定する最小肉厚部応力評価段階。
【請求項3】
請求項1または2に記載の評価方法において、前記軸方向評価段階は、管の軸線を含む平面で切断した断面において前記肉厚しきい値を割り込んだ部分の軸方向の長さに基づいて正常であるか否かを判定する段階を含むことを特徴とする評価方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の評価方法において、前記軸方向評価段階は、管の軸線を含む平面で切断した断面において前記肉厚しきい値を割り込んだ部分の断面積に基づいて正常であるか否かを判定する段階を含むことを特徴とする評価方法。
【請求項5】
請求項1に記載の評価方法において、前記肉厚しきい値を割り込んだ肉厚データが連続している領域を割込領域と定義して、その割込領域についての穴の補強に有効な範囲に基づいて、前記孔食評価をすることを特徴とする評価方法。
【請求項6】
請求項1に記載の評価方法において、管の軸線を含む平面で切断した断面において前記肉厚しきい値を割り込んだ部分の断面積についての等価孔の孔径を求めて、その孔径が管の内径の所定割合以下であるか否かに基づいて前記孔食評価をすることを特徴とする評価方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の評価方法において、前記肉厚データは超音波探傷法によって管の内部から測定されることを特徴とする評価方法。
【請求項8】
コンピュータに次の(ア)乃至(オ)の機能を実現させるための管の評価プログラム。
(ア)管の軸方向と周方向のそれぞれについて所定の測定ピッチで管の肉厚を測定して記録された肉厚データを読み込む読込機能。
(イ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する軸方向評価機能。
(ウ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する周方向評価機能。
(エ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、最小肉厚部の応力に基づいて評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する最小肉厚部応力評価機能。
(オ)前記軸方向評価機能、前記周方向評価機能及び最小肉厚部応力評価機能の少なくともいずれかの機能において再評価が必要であるとされた肉厚データについて、孔食評価をすることで、管が正常であるか異常であるかを判断する孔食評価機能。
【請求項9】
コンピュータに次の(ア)乃至(エ)の機能を実現させるための管の評価プログラム。
(ア)管の軸方向と周方向のそれぞれについて所定の測定ピッチで管の肉厚を測定して記録された肉厚データを読み込む読込機能。
(イ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記軸方向の複数の肉厚データに基づいて軸方向の評価をして、正常であるか異常であるかを決定する軸方向評価機能。
(ウ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、前記周方向の複数の肉厚データに基づいて周方向の評価をして、正常であるか異常であるかを決定する周方向評価機能。
(エ)所定の肉厚しきい値を割り込んでいる肉厚データに関して、最小肉厚部の応力に基づいて評価をして、正常であるか再評価が必要であるかを決定する最小肉厚部応力評価機能。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−8587(P2009−8587A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171720(P2007−171720)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(000003687)東京電力株式会社 (2,580)
【Fターム(参考)】