説明

粉体搬送装置及び画像形成装置

【課題】トナーの流動性の差異、搬送経路の差異でトナー搬送量の調整を可能とし、多様な条件に対応可能な粉体搬送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】把持部45を回転させて粉体通過規制部材73Yを回転移動させ、この粉体通過規制部材73Yの回転移動によって、補給口43Yaと対向する粉体通過規制部材73Yの外周部と第3の搬送部43Ybの内周部43Yb1との間に形成される空隙の断面積量Sを変更可能として、トナー色ごと、搬送経路ごと、或いは改良機製作毎に微調整可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー等の粉体を、粉体収容部から粉体搬送管に通して、その粉体収容部よりも下方にある搬送先に向けて搬送する粉体搬送装置、及びその粉体搬送装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置においては、粉体であるトナーをトナー収容器から現像装置に搬送するトナー搬送装置を用いるものが知られている。このトナー搬送装置は、トナー収容器からトナーを排出するトナー排出手段や、感光体等の像担持体に担持された静電潜像をトナー像に現像する現像装置内と上記トナー収容器とを接続する搬送管などを備えている。上記トナー排出手段を必要に応じて作動させ、トナー収容器に収容されているトナーを上記搬送管内に排出し、この搬送管を介して上記現像装置内にトナーを搬送する。
かかるトナー搬送装置を用いる画像形成装置において、トナー収容器を現像装置よりも低い位置に配設したとする。そうすると、トナー収容器から搬送管内に通した粉体たるトナーを、現像装置に向けて重力に逆らって持ち上げるように搬送する必要が生ずるため、搬送効率が悪くなったり、搬送管内にトナーを詰まらせ易くなったりする。そこで、トナー収容器については、現像装置よりも高い位置に配設して、トナーを重力方向に搬送させるようにするのが一般的である。
このような重力方向の搬送を行うトナー搬送装置としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。このトナー搬送装置は、トナー排出手段によってトナー収容器たるトナーボックスから搬送管内に排出したトナーを、自重で落下させて現像装置内に送り込んでいる。
【0003】
しかしながら、このトナー搬送装置では、トナーボックスから搬送管内に排出されたトナーが管内壁に堆積した後、ある程度まとまった量になった時点で現像装置内に一気に流れ込むおそれがあった。このようにトナーを一気に流れ込ませると、例えばトナーと磁性キャリアとを含有する2成分現像剤を用いる2成分現像方式では、2成分現像剤のトナー濃度を正確に制御することが困難になる。また、例えば磁性キャリアを用いずにトナーだけを用いる1成分現像方式では、現像装置内で十分に摩擦帯電していないトナーの割合を一気に増やして、像担持体の非画像部にトナーを付着させるいわゆる地汚れを引き起こし易くなる。トナーボックスと現像装置とを近接配設して搬送管の長さをできるだけ短くしてトナーを堆積させないようにすれば、搬送管内から現像装置へのトナーの急激な流れ込みを抑えることはできる。しかし、近接配設という制約によって画像形成装置内のレイアウト自由度を悪化させてしまう。
そこで、他の装置のレイアウトに悪影響を及ぼすことなく、粉体の補給の安定化をはかるために、搬送管内にトナーに対して搬送力を与える回転するコイルを配設し、さらに、当該搬送管内に棒状部材の管内粉体通過規制部材を配設することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
ところが、例えばカラー画像形成装置において、各色のトナーの流動性(凝集度)が異なる場合や、装置レイアウト等の都合で各色のトナー搬送経路(搬送管)形状や長さが異なる場合等には、上記トナー通過規制部材としての棒状部材の影響で、トナー色、経路差によって現像装置へのトナー搬送量がばらついたり、搬送量自体が不足する問題が発生する。
また、現存の画像形成装置を、例えば「高画質化」等の改良機として開発するに当たり、トナーの変更を実施すると、現存機とのトナーの流動性(凝集度)の差異により、同様の問題を発生することがあり、トナー色ごと、搬送経路ごと、或いは改良機製作毎にトナー通過規制部材としての棒状部材を個別、新規に作成する必要があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、トナー(粉体)の流動性(凝集度)の差異、搬送経路の差異でトナー搬送量の調整を可能とし、多様な条件に対応可能な粉体搬送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、粉体を収容する粉体収容部と、粉体を当該粉体収容部からこれよりも下方にある搬送先に導く粉体搬送管と、当該該粉体搬送管内に収容され粉体を搬送先に向かって搬送する粉体搬送部材とを備え、前記粉体搬送管が、前記粉体収容部と連通して当該粉体収容部から粉体が供給される供給口を有する第1の搬送部と、当該第1の搬送部よりも粉体搬送方向下流側で当該第1の搬送部よりも水平からの傾斜角を大きくするように屈曲した第1の屈曲部を介して該第1の搬送部と連なる、上記粉体収容部側から前記搬送先側に向けて下方に延びた第2の搬送部と、当該第2の搬送部よりも粉体搬送方向下流側で当該第2の搬送部よりも水平からの傾斜角を小さくするように屈曲した第2の屈曲部を介して該第2の搬送部と連なる、当該第2の搬送部と連通して前記搬送先に粉体を補給する補給口を有する第3の搬送部とを有する粉体搬送装置において、少なくとも前記第3の搬送部内に、前記補給口から排出される粉体の通過を規制する粉体通過規制部材を移動可能に配設し、前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を、前記粉体通過規制部材の移動によって変更可能としたこと特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1記載の粉体搬送装置において、前記粉体通過規制部材と連結して、当該粉体通過規制部材の移動を行なわせる移動手段を、前記第3の搬送部の外周部に取り付け、当該移動手段を作動させて前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を変更可能としたことを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2記載の粉体搬送装置において、前記粉体通過規制部材は、前記第3の搬送部の管中心軸に対し回転可能に支持されて、前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を、前記粉体通過規制部材の回転移動によって変更可能としたことを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3記載の粉体搬送装置において、前記粉体通過規制部材を回転移動させる回転軸を前記第3の搬送部の外周部から突出させ、当該回転軸を回転させる移動手段を配設したことを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれか1項記載の粉体搬送装置において、前記移動手段は、前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を、前記粉体通過規制部材の移動量に応じて表示する表示手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項6の発明は、請求項5記載の粉体搬送装置において、前記移動手段は、前記粉体通過規制部材を回転移動させる回転軸を前記第3の搬送部の外周部から突出させ、当該回転軸を回転させる移動手段であり、当該移動手段の外形を前記粉体通過規制部材の形状に対応させた形状として前記粉体通過規制部材の移動量を表示する前記表示手段とすることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項記載の粉体搬送装置において、前記粉体搬送部材は、前記粉体搬送管内を内接しながら回転して粉体を搬送するコイル部材であり、前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積の変化量が、前記コイル部材のコイルの太さの3倍以下の範囲で変化させるように、前記粉体通過規制部材の移動によって変更する粉体通過規制部材の外周部の形状とされていることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項記載の粉体搬送装置において、前記粉体は、電子写真方式の画像形成装置で使用されるトナーであることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、静電潜像を担持する像担持体と、当該像担持体に担持された静電潜像をトナーによって現像する現像手装置と、当該現像装置にトナー容器からトナーを搬送するトナー搬送装置とを備えた画像形成装置において、前記トナー搬送装置は、請求項8記載の粉体搬送装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少なくとも第3の搬送部内に、補給口から排出される粉体の通過を規制する粉体通過規制部材を移動可能に配設し、前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を、前記粉体通過規制部材の移動によって変更可能としたことによって、トナー(粉体)の流動性(凝集度)の差異、搬送経路の差異でトナー搬送量の調整を可能とし、多様な条件に対応可能な粉体搬送装置及びこれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による一実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】図1で示すプリンタのイエローのプロセスカートリッジの概略構成を示す図である。
【図3】図1で示すプリンタで使用されるトナーボトルの斜視図である。
【図4】図1で示すプリンタで使用されるトナーボトルを搭載したボトル収容器の斜視図である。
【図5】図1で示すプリンタで使用されるトナーボトルにトナー搬送装置を連結した状態を示す斜視図である。
【図6】図5で示すトナー搬送装置を他の方向から見た場合の斜視図である。
【図7】本発明による一実施形態に係るトナー搬送装置を示す拡大構成図である。
【図8】本発明による第1実施形態に係るトナー搬送装置の断面構造を示す摸式図である。
【図9】本発明による第1実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの第3の搬送部の概略構成を示す図で、(a)は、断面長方形状の粉体通過規制部材の短辺部をトナー補給口に対して垂直状に設置した場合の断面図、(b)は、上記(a)図のA−A線上で切断した断面図、(c)は、(a)のE方向からみた平面図、(d)は、断面長方形状の粉体通過規制部材の短辺部をトナー補給口に対して水平状に設置した場合の断面図、(e)は、上記(d)図のB−B線上で切断した断面図、(f)は、(d)のE方向からみた平面図である。
【図10】本発明による第1実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの第3の搬送部の他の変形例を示す断面図で、(a)は、空隙の断面積量を最大にした際の断面図、(b)は、空隙の断面積量を最小とした際の断面図である。
【図11】本発明による第1実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの第3の搬送部の他の変形例を示す断面図で、(a)は、空隙の断面積量を最大にした際の断面図、(b)は、空隙の断面積量を最小とした際の断面図、(c)はE方向から見た平面図である。
【図12】本発明による第1実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの第3の搬送部の他の変形例を示す断面図である。
【図13】本発明による第2実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの第3の搬送部の一部を切り欠いた断面図で、(a)は、空隙の断面積量を最大にした際の断面図、(b)は、粉体通過規制部材を回転移動して他の位置に設定した状態を示す一部を切り欠いた断面図である。
【図14】本発明による第2実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの第3の搬送部の変形例を示す断面図である。
【図15】本発明による第3実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの断面図である。
【図16】本発明による第3実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの変形例を示す断面図である。
【図17】本発明による第4実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプ中のトナーの移動状態を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明による実施形態について説明する。
始めに、本発明を適用した画像形成装置の実施形態の一例として、電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本発明による一実施形態に係るプリンタの概略構成図である。図1において、このプリンタ100は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kを備えている。これらは、画像形成物質として互いに異なる色のY、M、C、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスカートリッジ6Yを例にすると、図2に示すように、ドラム状の感光体1Yの周囲に、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像装置5Y等が感光体1Yと一体に組み付けられている。
このプロセスカートリッジ6Yは、プリンタ100本体に脱着可能であり、プロセスカートリッジ6Yをプリンタ100から抜き出して一度に消耗部品を交換できるようになっている。なお、このプロセスカートリッジ6Yは、上記実施形態で示すように、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電装置4Y、現像装置5Yの全てを感光体1Yと一体に構成する必要はなく、感光体1Yと現像装置5Yあるいは、感光体1Yと現像装置5Yと帯電装置4Y等の他の装置と一体構成したものであっても良い。
【0012】
本プリンタ100においては、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kと、トナーボトル32Y、32M、32C、32Kとを、それぞれプリンタ100本体に対して別々に着脱可能に構成することで、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kとトナーボトル32Y、32M、32C、32Kとを別個独立に交換可能としてトナーボトル32Y、32M、32C、32Kの交換を容易に行うことが可能となっている。
上記帯電装置4Yは、図2に示すように、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転せしめられる感光体1Yの表面を一様帯電させる。一様帯電された感光体1Yの表面に、露光装置7(図1参照)から放射されるレーザ光LYによって露光走査されてY用の静電潜像が形成、担持される。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5Yによって、後述するように、Yトナー像に現像される。そして、Yトナー像は、矢印A方向に移送される無端状の中間転写ベルト8上に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留したトナーを除去する。また、除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他のプロセスカートリッジ6M、6C、6Kにおいても、同様にして感光体1M、1C、1K上にM、C、Kトナー像が形成され、中間転写ベルト8上に中間転写される。
【0013】
先に示した図1において、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの図中下方には、露光装置7が配設されている。潜像形成手段たる露光装置7は、画像情報に基づいて発したそれぞれの色画像に対応するレーザ光LY、LM、LC、LKを、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kにおけるそれぞれの感光体1Y、1M、1C、1Kに照射してそれぞれの色画像に対応する静電潜像を形成する。なお、露光装置7は、光源から発したレーザ光LY、LM、LC、LKを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
露光装置7の図中下側には、紙収容カセット26、これらに組み込まれた給紙ローラ27、レジストローラ対28などを有する給紙手段が配設されている。紙収容カセット26は、記録体たる転写紙Pが複数枚重ねて収納しており、それぞれの一番上の転写紙Pには給紙ローラ27が当接している。給紙ローラ27が図示しない駆動手段によって図中反時計回りに回転せしめられると、一番上の転写紙Pがレジストローラ対28のローラ間に向けて給紙される。レジストローラ対28は、転写紙Pを挟み込むべく両ローラを回転駆動するが、挟み込んですぐに回転を一旦停止させる。そして、転写紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。かかる構成の給紙手段においては、給紙ローラ27と、タイミングローラ対たるレジストローラ対28との組合せによって搬送手段が構成されている。この搬送手段は、転写紙Pを収容手段たる紙収容カセット26から後述の2次転写ニップまで搬送するものである。
【0014】
プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの図中上方には、中間転写体たる無端状の中間転写ベルト8を張架しながら無端移動せしめる中間転写ユニット15が配設されている。この中間転写ユニット15は、中間転写ベルト8の他、4つの1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9K、クリーニング装置10などを備えている。また、2次転写バックアップローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ14なども備えている。中間転写ベルト8は、これら3つのローラに張架されながら、少なくとも何れか1つのローラの回転駆動によって図中反時計回り(矢印A方向)に無端移動せしめられる。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kは、このように無端移動せしめられる中間転写ベルト8を感光体1Y、1M、1C、1Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。
これらは中間転写ベルト8の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する方式のものである。1次転写バイアスローラ9Y、9M、9C、9Kを除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト8は、その無端移動に伴ってY、M、C、K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y、1M、1C、1K上のY、M、C、Kトナー像が重ね合わせて1次転写される。これにより、中間転写ベルト8上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0015】
上記2次転写バックアップローラ12は、2次転写ローラ19との間に中間転写ベルト8を挟み込んで2次転写ニップを形成している。中間転写ベルト8上に形成された4色トナー像は、この2次転写ニップで転写紙Pに転写される。2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト8には、転写紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、クリーニング装置10によってクリーニングされる。
上記2次転写ニップにおいては、転写紙Pが互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト8と2次転写ローラ19との間に挟まれて、上記レジストローラ対28側とは反対方向に搬送される。2次転写ニップから送り出された転写紙Pは、定着装置20のローラ間を通過する際に熱と圧力とにより、表面に転写された4色トナー像が定着される。
その後、転写紙Pは、排紙ローラ対29のローラ間を経て機外へと排出される。プリンタ本体の上面には、スタック部30が形成されており、上記排紙ローラ対29によって機外に排出された転写紙Pは、このスタック部30に順次スタックされる。
上記プロセスカートリッジ6Y内の現像装置5Yの構成について図2に基づいて説明する。現像装置5Yは、内部に磁界発生手段を備え、磁性キャリア粒子とトナーを含む2成分系現像剤を表面に担持して搬送する現像剤担持体としての現像スリーブ51Yと、現像スリーブ51Y上に担持されて搬送される現像剤の層厚を規制する現像剤規制部材としてのドクター52Yとを備えている。ドクター52Yの現像剤搬送方向上流側には、感光体1Yと対向した現像領域に搬送されずにドクター52Yで規制された現像剤を収容する現像剤収容部53Yが形成されている。また、現像剤収容部53Yに隣接し、トナーを収容するトナー収容部54Yと、トナーを撹拌搬送するためのトナー搬送スクリュー55YA、55YBとを備えている。
【0016】
次に、この現像装置5Yの動作について説明する。上記現像装置5Yにおいては、現像スリーブ51Y上に現像剤層を形成する。また、現像スリーブ51Yの回転により搬送される現像剤層の動きにより現像剤収容部53Yからトナーを現像剤内に取り込む。このトナーの取り込みは、現像剤が所定のトナー濃度範囲内になるように行う。現像剤中に取り込まれたトナーは、キャリアとの摩擦帯電により帯電する。帯電したトナーを含む現像剤は、内部に磁極を有する現像スリーブ51Yの表面に供給され、磁力により担持される。
現像スリーブ51Yに担持された現像剤層は、現像スリーブ51Yの回転に伴い矢印B方向に搬送される。途中、ドクター52Yで現像剤層の層厚を規制されたのち、感光体1Yと対向する現像領域まで搬送される。現像領域では、感光体1Y上に形成された静電潜像にして現像剤からトナーを供給して静電潜像をトナー像化して現像が行われる。現像スリーブ51Y上に残った現像剤層は現像スリーブ51Yの回転に伴い現像剤収容部53Yの現像剤搬送方向上流部分に搬送される。なお、本実施形態においては、磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を使用しているが、トナーのみを使用する1成分現像剤を使用しても良い。
【0017】
先に示した図1において、中間転写ユニット15と、これよりも上方にあるスタック部30との間には、ボトル収容器31が配設されている。このボトル収容器31は、Y、M、C、Kトナーを内包するトナーボトル32Y、32M、32C、32Kを収容している。トナーボトル32Y、32M、32C、32Kは、ボトル収容器31上にトナー各色毎に上から置くようにして設置する。トナーボトル32Y、32M、32C、32K内のY、M、C、Kトナーは、それぞれ後述するトナー搬送装置により、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kの現像装置5Y、5M、5C、5Kに適宜補給される。これらのトナーボトル32Y、32M、32C、32Kは、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kとは独立してプリンタ100本体に脱着可能である。なお、本実施形態においては、補給トナーとしてトナーのみを収納したトナーボトル32Y、32M、32C、32Kが使用されているが、キャリアとトナーを混合した現像剤を収納したトナーボトル32Y、32M、32C、32Kであっても良い。
【0018】
図3はトナーボトル32Yの斜視図である。また、図4はボトル収容器31にトナーボトル32Kを載置する状態の斜視図である。図3に示すように、トナーボトル32Yは、ボトル本体33Yの先端部に樹脂ケース34Yが設けられている。また、この樹脂ケース34Yには把手35Yが一体で形成されている。また、ボトル本体33の樹脂ケース34Y側には、ボトル本体33と一体で回転するギヤ37Yが設けられている。トナーボトル32Yをプリンタ100本体に取り付ける場合は、先ずスタック部30を上方に開放してボトル収容器31を露出させる。
そして、図4に示すように、トナーボトル32Yをボトル収容器31上に載置した後、上記把手35Yを回転させる。すると把手35Yと一体に構成された樹脂ケース34Yが回転して、シャッタ36Yが樹脂ケース34Yの周方向に移動して開いてトナー排出口(不図示)が開放されると同時に、樹脂ケース34Yとボトル収容器31とが連結し固定される。
【0019】
一方、トナーボトル32Yをプリンタ100本体から取り外すには、把手35Yを逆方向に回転させることで、樹脂ケース34Yとボトル収容器31との連結が解除され、同時にシャッタ36Yが閉じてトナー排出口が閉鎖される。そして、そのまま把手35Yを掴んだ状態でトナーボトル32Yをプリンタ100本体から取り出すことができる。このように、トナーボトル32Yをプリンタ100本体の上側から載置して脱着できるので、トナーボトル32Yの交換作業が判り易く、しかも簡単に行うことができる。
また、樹脂ケース34Yには把手35Yが形成されているので、樹脂ケース34Yを回転してボトル収容器31への固定が容易に行える。なお、トナーボトル32Yをプリンタ100本体から取り外した状態では、樹脂ケース34Yの把手35Yを回転させても、シャッタ36Yは開かないようになっている。これにより、トナーボトル32Yの交換作業の際に誤ってシャッタ36Yが開いてしまい、内部のトナーがこぼれるのを防止することができる。
【0020】
次に、トナー搬送手段について説明する。図5はトナーボトル32Y、32M、32C、32Kとトナー搬送装置40Y、40M、40C、40Kとの斜視図である。また、図6は別の角度から見たトナーボトル32Y、32M、32C、32Kと、中間転写ユニット15と、トナー搬送装置40Y、40M、40C、40Kとの斜視図である。図7は、本発明による一実施形態に係るトナー搬送装置を示す拡大構成図である。
このトナー搬送装置40Y、40M、40C、40Kは、図6に示すように、中間転写ユニット15の側方であって、プリンタ100本体に設けられている。このため、プロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kもしくはトナーボトル32Y、32M、32C、32Kにトナー搬送手段を設けなくてよいため、従来に比べてプロセスカートリッジ6Y、6M、6C、6Kもしくはトナーボトル32Y、32M、32C、32Kの小型化を図れる。また、従来、プロセスカートリッジとトナーボトルとを近接して配置していたので、設計上の制限があったが、本実施形態ではプロセスカートリッジとトナーボトルとを離れて配置することができる。よって、設計上の自由度が向上し、プリンタの小型化を図ることができる。
【0021】
また、トナーボトル32Y、32M、32C、32Kの排出口と、トナー搬送装置40Y、40M、40C、40Kと、現像装置5Y、5M、5C、5Kのトナー収容部54Y、54M、54C、54Kのトナー補給口とを、図6に示すように、中間転写ユニット15の一端側の側方に配置している。よって、トナー搬送装置40Y、40M、40C、40Kのトナー搬送経路を最短にすることができ、プリンタの小型化やトナー搬送中の詰まり防止を図ることができる。
上記トナー搬送装置40Y、40M、40C、40Kの構成は同一なので、Yトナー搬送用のトナー搬送装置40Yについて説明する。図5において、このトナー搬送装置40Yは駆動モータ41Yと、駆動ギヤ群42Yと、粉体輸送管であるトナー搬送パイプ43Yとから主に構成されている。トナー搬送パイプ43Yの内部には、図7に示すように、トナーを下流の現像装置5Yに搬送する樹脂製の搬送コイル70Yが内設されている。上記駆動ギヤ群42Yの1個はトナーボトル32Yのギヤ37Yと噛合っており、駆動モータ41Yを回転させると、トナーボトル32Yのギヤ37Yと一体で回転するボトル本体33Yが回転する。そして、図2に示す現像装置5Yの濃度検知センサ56Yがトナー収容部54Yでトナー濃度の不足を検知すると、制御部57Yからの補給信号により、駆動モータ41Yが回転する。
【0022】
図5において、ボトル本体33Yの内壁内面には螺旋状の現像剤案内溝38Yが形成されているため、回転により内部のトナーがボトル本体33Y奥側から先端の樹脂ケース34Y側に搬送される。そして、ボトル本体33Y内のトナーは樹脂ケース34Yの排出口44Ya(図8参照)からトナー搬送装置40Yの粉体収容部である後述するトナー受け部44Y(図8参照)に落下する。
トナー受け部44Yは、トナー搬送パイプ43Yにつながっており(図8参照)、駆動モータ41Yを回転させると、ボトル本体33Yが回転すると同時に、後述する駆動ギヤ群42Yの1個と噛合されたギヤ72Yを有する回転軸71(図8参照)に連結されたトナー搬送パイプ43Y内の搬送コイル70Y(図8参照)が同時に回転する。この搬送コイル70Yの回転により、トナー受け部44Yに落下したトナーTは、トナー搬送パイプ43Y内を搬送されて、現像装置5Yのトナー収容部54Yのトナー補給口56(図2参照)に補給される。このようにして、現像装置5Y内のトナー濃度を調整する。なお、上記濃度検知センサ56Yに替えて、感光体1Y上に基準画像を形成し、この基準画像の画素数を計測するための光センサもしくはCCDカメラ等を設け、この計測結果に基づいてトナー補給を行ってもよい。
【0023】
次に、本発明による第1実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送について説明する。図8は、本発明による第1実施形態に係るトナー搬送装置の断面構造を示す摸式図である。図9は、本発明による第1実施形態に係るトナー搬送装置のトナー搬送パイプの第3の搬送部の概略構成を示す図で、(a)は、断面長方形状の粉体通過規制部材の短辺部をトナー補給口に対して垂直状に設置した場合の断面図、(b)は、上記(a)図のA−A線上で切断した断面図、(c)は、(a)のE方向からみた平面図、(d)は、断面長方形状の粉体通過規制部材の短辺部をトナー補給口に対して水平状に設置した場合の断面図、(e)は、上記(d)図のB−B線上で切断した断面図、(f)は、(d)のE方向からみた平面図である。
本実施形態においては、図8に示すように、粉体搬送用部材たる搬送コイル70Yがその始端に回転軸71Yに連結され、さらに、搬送コイル70Yは、粉体搬送管たるトナー搬送パイプ43Yの内壁に接するように設置されている。なお、トナー搬送パイプ43Yと搬送コイル70Yとの間隙は、0.1〜0.2mm程度とされている。そして、回転軸71Yが駆動手段である駆動モータ41Y(図5参照)の回転によって、回転軸71Yに取り付けられたギヤ72に噛合する駆動ギヤ群42Y(図5参照)の回転駆動によって回転される。この場合に、駆動ギヤ群42Yの1個と噛合するギヤ72Yを介して回転軸71Yを回させて搬送コイル70Yを内接させて回転させることが可能となっている。
【0024】
トナー受け部44Yの開口44Yaを通じてボトル本体33Yから矢印Dで示すように供給されたトナーTを、下方の現像装置5Y(不図示)にトナー搬送パイプ43Yの開口43Yaを通じて搬送する場合には、駆動モータ41Yを駆動して、トナーTが矢印Eで示す方向にトナー搬送パイプ43Y内を移動する力を付与する。
更に、搬送コイル70Yのコイル形状は曲げに対する応力が小さいため、トナー搬送パイプ43Yが屈曲していても、搬送コイル70Yは回転することが可能である。トナー搬送パイプ43Yを直線形状にする必要がなくなるためレイアウトの自由度を大きくすることができ、現像装置全体の小型化を図ることができる。
なお、搬送コイル70Yの代わりに、スクリューのような軸を有する搬送手段を使用しても、直線ではない搬送経路内でトナーを搬送することは可能な場合もある。しかし、軸のある搬送手段と搬送用コイルを比べると、搬送用コイルのほうが曲げやすい。そのため、搬送用コイルを使用したほうがトナー搬送パイプ43Y内の曲線部内で回転する時の変形に反発する力が小さくなる。よって、搬送コイル70Yを使用したほうが、軸のある搬送手段を使用する場合と比較して、トナー搬送パイプ43Yとの摺動負荷を低減することができる。
【0025】
この第1実施形態に係るトナー搬送装置においては、図8に示すように、トナー搬送パイプ43Yは、粉体収容部であるトナー受け部44Yと連通してトナーTが供給される供給口43Ycを有する第1の搬送部43Yeと、第1の搬送部43Yeよりもトナー搬送方向Eの下流側で、第1の搬送部43Yeよりも水平からの傾斜角を大きくするように屈曲した第1の屈曲部43Yfを介して第1の搬送部43Yeと連なる、トナー受け部44Yから現像装置5Yに向けて下方に延びた第2の搬送部43Ydとを備えている。
さらに、トナー搬送パイプ43Yは、第2の搬送部43Ydよりもトナー搬送方向Eの下流側で第2の搬送部43Ydよりも水平からの傾斜角を小さくするように屈曲した第2の屈曲部43Ygを介して第2の搬送部43Ydと連なる、第2の搬送部43Ydと連通して搬送先である現像装置5YトナーTを補給する補給口43Yaを有する第3の搬送部43Ybとを有している。そして、現像装置5Yに、トナー搬送パイプ43Y内に堆積したYトナーを一気に流れ込ませることによる不具合を防止するために、トナー搬送パイプ43Yの第3の搬送部43Yb内の内部空間に可撓性樹脂からなる棒状の粉体通過規制部材73Yが装填されてトナー搬送パイプ43Yの内部空間体積を減少させている。
この粉体通過規制部材73Yを第3の搬送部43Ybのトナー搬送パイプ43Y内の内部空間に装填することによって、現像装置5Yに搬送されるトナーTの搬送量を適当に制御して一気に現像装置5Y内に送給されることを抑制可能としている。
【0026】
この場合、例えば、カラー画像形成装置において、各色のトナーの流動性(凝集度)が異なる場合や、装置レイアウト等の都合で各色のトナー搬送経路(搬送管)形状や長さが異なる場合等には、上記トナー通過規制部材としての棒状の粉体通過規制部材の影響で、トナー色、経路差によって現像装置へのトナー搬送量がばらついたり、搬送量自体が不足する問題が発生する。
また、現存の画像形成装置を、例えば「高画質化」等の改良機として開発するに当たり、トナーの変更を実施すると、現存機とのトナーの流動性(凝集度)の差異により、同様の問題を発生することがあり、トナー色ごと、搬送経路ごと、或いは改良機製作毎にトナー通過規制部材としての棒状部材を個別、新規に作成する必要があった。
このような問題に対応するために、本実施形態においては、補給口43Yaにおける粉体通過規制部材73を移動(本実施形態においては、後述するように回転移動)させることによって、補給口43Yaに対抗する粉体通過規制部材73Yの断面形状を変化させて、補給口43Yaに供給するトナー量を調整可能となっている。
即ち、図9(a)、(b)及び(d)、(e)に示すように、粉体通過規制部材73Yは、断面形状が長方形(小判状)に形成されている。そして、その短辺部73Yaが図9(a)及び(b)で示すように、補給口43Yaに対して垂直方向になるように粉体通過規制部材73Yをトナー搬送パイプ43Y内に配設すると、補給口43Ya上に形成される空隙の断面積量S1が最小となって、補給口43Yaから供給されるトナー量を最小とすることができる。
【0027】
一方、短辺部73Yaが図9(d)及び(e)で示すように、補給口43Yaに対して水平方向になるように粉体通過規制部材73Yを回転移動させてトナー搬送パイプ43Yに配設対向すると、補給口43Ya上に形成される空隙の断面積量S2が最大となって、補給口43Yaから供給されるトナー量を最大とすることができる。このように、把持部45を回転させて粉体通過規制部材73Yを回転移動させ、この粉体通過規制部材73Yの回転移動によって、補給口43Yaと対向する粉体通過規制部材73Yの外周部と第3の搬送部43Ybの内周部43Yb1との間に形成される空隙の断面積量Sを変更可能として、トナー色ごと、搬送経路ごと、或いは改良機製作毎に微調整可能としている。
この場合、図9(a)、(d)に示すように、粉体通過規制部材73Yの回転軸73Ybを、トナー搬送パイプ43Yの第3の搬送部43Ybの外周部43Yb2から突出させ、この回転軸73Ybの端部に粉体通過規制部材73Yを回転移動させる移動手段となる把持部45に連結されている。従って、この把持部45を回転させることによって、粉体通過規制部材73Yの補給口43Yaと対向する断面形状を変化させて、空隙の断面積量Sを変化させることが可能となる。それ故、1個の粉体通過規制部材73Yでトナー色ごと、搬送経路ごと等の種々の状況に対応することが可能となり、安価かつ、容易、確実に種々の状況に対応することが可能となる。
【0028】
そして、この把持部45は、図9(c)及び(f)に示すように、粉体通過規制部材73Yの断面形状に対応させた形状となっており、把持部45の回転位置に応じて粉体通過規制部材73Yの短辺部73Yaの回転位置を外部から容易に確認することが可能となっている。従って、把持部45の回転位置をその外形形状から視認することによって、粉体通過規制部材73Yの回転角度を調整しながらトナー色ごと、搬送経路ごとに微調整して、適切なトナー供給量に制御することが可能となる。
なお、図9(a)及び(d)中、符号46は、トナー搬送パイプ43Yと、粉体通過規制部材73Yの回転軸73Ybからトナーの漏れを防止する、例えば発泡ポリウレタンや軟弾性ゴム等からなるシール部材であり、所定の圧縮力を受けた状態で支持されている。
また、粉体通過規制部材73Yの断面形状としては、種々の形状のものを採用することが可能であり、例えば、図10(a)及び(b)に示すように、粉体通過規制部材73Yの断面中心から半径方向の距離の異なる二平面を有する形状とされている。この場合、粉体通過規制部材73Yを、例えば90度ずつ回転させることで、空隙の断面積量Sを3水準に変化させることが可能となり、3水準のトナー搬送量調整が可能となる。
【0029】
また、図11(a)、(b)で示すように、粉体通過規制部材73Yの断面形状を、回転軸73Ybに対し偏心したカム状の円筒形状とすることができる。このようなカム状の円筒形状とすることによって、無段階でのトナー搬送量の調整が可能となる。この場合、粉体通過規制部材73Yを回転させる把持部45には、長軸長のカム面73Ycと対応する位置を表示するマーク(表示部)45cを形成することによって、容易、確実にトナー搬送量を確認することができる。また、図12に示すように、粉体通過規制部材73Yの断面形状として、ひょうたん状とすることによって、前述の図9で示す小判状の断面形状よりも空隙の断面積量を多くすることが可能となる。
なお、上記実施形態においては、粉体通過規制部材73Yは、全長に亘って、同一断面形状、例えば、小判状に形成することができるが、補給口43Yaに対向する部分だけを所定の断面形状としても良い。
【0030】
次に、本発明による第2実施形態に係るトナー搬送装置について、図13及び図14に基づいて説明する。図13は、本発明による第2実施形態に係るトナー搬送装置の第3の搬送部の拡大平面図で(a)は、前述の図9(a)の状態を示す図、(b)は、図9の(d)の状態を示す図である。図14は、図13において、シール部を弾性リングに変更した変形例を示す図である。
この第2実施形態においては、粉体通過規制部材73Yを回転移動させた際に、その回転移動位置に、粉体通過規制部材73Yを確実に支持して粉体通過規制部材73Yの回転移動を規制するようにしたものである。
本発明による粉体通過規制部材73Yは、搬送コイル70Yとは独立しており、搬送コイル70Yの回転によって、直接、粉体通過規制部材73Yが回転される力の影響は弱い。しかしながら、粉体通過規制部材73Yの回転角度を、折角、設定しても上記搬送コイル70Yの回転によって粉体通過規制部材73Yが回転する恐れがある。従って、この第2実施形態においては、粉体通過規制部材73Yが搬送コイル70Yの回転によって、ずれ移動しないようにしたものである。
【0031】
即ち、図13に示すように、トナー搬送パイプ43Yの第3の搬送部43Ybの外周部の端面43Yb2に突起43Yhを形成し、この突起43Yhに対応する把持部45の裏面に突起43Yhが嵌合する第1の凹部45b1を形成している。この突起43Yhの位置は、前述の図9(c)で示す把持部45の短辺部45aに対応する位置に設定されており、把持部45の第1の凹部45b1が前記突起43Yhに嵌合することによって、粉体通過規制部材73Yの回転位置が図9(b)に示す位置に固定され、搬送コイル70Yの回転によっても粉体通過規制部材73Yの回転を阻止して、適切な位置に保持することが可能となる。
一方、このような把持部45の第1の凹部45b1と突起43Yhの嵌合を解除するには、図13(b)に示すように、シール部材46の弾性力に抗して回転軸73Ybの軸方向(矢印F方向)に把持部45を引っ張れば、容易に嵌合を解除することができる。また、図9(f)で示す把持部45の短辺部45aを90度回転させた把持部45の裏面に第2の凹部45b2が形成されている。そして、図13(b)に示すように、把持部45を矢印G方向に回転して、シール部材46の弾性力によって粉体通過規制部材73Yを矢印F方向に移動させて、この第2の凹部45b2に前述の突起43Yhを嵌合させるようにすれば、粉体通過規制部材73Yは、この位置で固定され、搬送コイル70Yの回転によっても粉体通過規制部材73Yの回転を阻止して、適切な位置に保持することが可能となる。
【0032】
このように、この第2実施形態においては、粉体通過規制部材73Yの回転角度に応じた位置で固定可能なように、第3の搬送部43Ybの外周部の端面43Yb2に形成された突起43Yhと把持部45の裏面に形成された凹部45b1、45b2とが嵌合して位置決めするようになっている。この場合に、図14に示すように、シール部材46に代えて、例えばOリング(オーリング)のような弾性ゴム等からなる弾性リング部品47で、粉体通過規制部材73Yをきつめに保持設定することで、突起43Yhと凹部45b1、45b2を使用することなく、粉体通過規制部材73Yは任意の位置で姿勢を保つことが可能となるだけでなく、トナーのシールも同時に行える利点を有する。この実施形態は、特に、前述の図11で示す粉体通過規制部材73Yの断面形状を、回転軸73Ybに対し偏心したカム状の円筒形状として無段階でのトナー搬送量の調整する場合に有効である。
なお、上記本発明による第1及び第2実施形態においては、粉体通過規制部材73Yを回転移動させることによって、補給口43Yaに対向する空隙の断面積量を変化させたが、粉体通過規制部材73Yの断面形状を軸方向で変化させ、粉体通過規制部材73Yをトナー搬送パイプ43Y内をスライド移動させて、補給口43Yaに対向する空隙の断面積量を変化させても良い。この場合、前述の把持部45を前述のF方向に移動させ、この把持部45の移動量に応じて、補給口43Yaに対向する空隙の断面積量を変化させるようにすればよい。
【0033】
次に本発明による第3実施形態について、図15及び図16に基づいて説明する。図15は、本発明による第3実施形態に係るトナー搬送装置の概略構成を示す断面図である。
図16は、図15に係る実施形態の変形例を示すトナー搬送装置の概略構成を示す断面図である。
この第3実施形態に係るトナー搬送装置においては、流動性の高いトナーを使用する場合に、トナーの補給口43Yaからの流れ込みを抑制することの可能なトナー搬送装置としたものである。
即ち、図15に示すように、第2の粉体通過規制部材74Yを搬送コイル70Yの中間部分で接着等によるよって連結し、搬送コイル70Yの回転ともに、第2の粉体通過規制部材74Yを一体回転するようにしてある。そのため、トナー搬送パイプ43Yの第1の搬送部43Yeからトナー搬送パイプ43Yの第2の搬送部43Ydの空間をできるだけ少なくすることでトナー流れ込みを防止できるようにしている。このような第2の粉体通過規制部材74Yをトナー搬送パイプ43Y内に配設することによって、より適切にトナーの搬送量を制御可能としている。
また、例えば、図16に示すように、トナー搬送パイプ43Yの傾斜部である第2の搬送部43Yd及び第2の屈曲部43Ygの形状に合わせた第2の粉体通過規制部材75Yを、搬送コイル70Yとは独立に設置することでトナー搬送パイプ43Yの管内空間の空気を低減させてトナーの流動性が過度に上昇するのを抑制することが可能である。
【0034】
次に、本発明による第4実施形態について、図17に基づいて説明する。図17は、本発明による第4実施形態に係るトナー搬送装置の第3の搬送部におけるトナーの移動状態を示す模式図である。
本発明者は、トナー搬送装置の第3の搬送部43Ybにおけるトナーの移動状態について検討の結果、図17に示したように、トナー搬送部材としてコイル状部材を用いる装置においては、直接コイル70Yaにより搬送力を与えられ、コイル70Yaの動作により直接移動するトナー層TAと、このトナー層TAの内側にあり、トナー層TAの移動に伴って、トナー層TAの動きに略追従して移動可能な層TBがあることを知った。さらに、トナー層TBの内側には、トナー層TAの動きに遅れた動きを示したり、逆に、トナー層TAの動きが停止しても、その慣性力や前後のトナーの動きの影響で動き続けるトナー層TCがあり、このトナー層TCが、上述の「流れ込み」に多大な影響を受ける部位となることが判明した。
【0035】
従って、本発明においては、この知見に基づき検討の結果、上述の粉体通過規制部材73Yは、前記トナー層TBのトナーの移動を規制するようにすれば、上述のトナーの「流れ込み」を適切に抑制できることを究明した。特に、上述のトナーの「流れ込み」を抑制するには、概ね、搬送コイル70Yのコイルの太さdの3倍以下の範囲で変化させることで、粉体(トナー)搬送量の調整と同時に、粉体の流れ込みを防止できることを究明した。従って、補給口43Yaと対向する粉体通過規制部材73Yの断面形状を、粉体通過規制部材73Yによって形成される空隙の断面積量が搬送コイル70Yのコイルの太さdの3倍以下の範囲で変化するような形状とすれば、上述のトナーの「流れ込み」を適切に抑制することが可能となる。
なお、本発明による上記各実施形態においては、粉体としてトナーを使用した例で説明したが、薬や他の粉体の粉体搬送装置として適用することが可能である。
【符号の説明】
【0036】
1Y、1M、1C、1K 感光体、2Y ドラムクリーニング装置、4Y 帯電装置、5Y 現像装置、6Y、6M、6C、6K プロセスカートリッジ、7 露光装置、8 中間転写ベルト、9Y、9M、9C、9K 一次転写バイアスローラ、10 クリーニング装置、12 二次転写バックアップローラ、13 クリーニングバックアップローラ、14 テンションローラ、19 二次転写ローラ、20 定着装置、31 ボトル収容器、32Y、32M、32C、32K トナーボトル、33 ボトル本体、34Y 樹脂ケース、35Y 把手、36Y シャッタ、37Y ギヤ、40Y、40M、40C、40K トナー搬送装置、41 駆動モータ、42 駆動ギヤ群、43Y トナー搬送パイプ、43Ya 補給口、43Yb 第3の搬送部、43Yb1 外周部、43Yb2 端面部、43Yc 供給口、43Yd 第2の搬送部、43Ye 第1の搬送部、43Yf 第1の屈曲部、43Yg 第2の屈曲部、44Y トナー受け部、45Y 把持部、45Ya 短辺部、45b1 第1の凹部、45b2 第2の凹部、45c マーク、46 シール部材、47 弾性リング、51Y 現像スリーブ、52Y ドクター、53Y 現像剤収容部、54Y トナー収容部、55YA、55YB トナー搬送スクリュー、56Y トナー補給口、70Y トナー搬送コイル、70Ya コイル、71Y 回転軸、72Y ギヤ、73Y 粉体通過規制部材、73Ya 短辺部、73Yb 回転軸、73Yc 長軸長部、74Y、75Y 第2の粉体通過規制部材
【先行技術文献】
【特許文献】
【0037】
【特許文献1】特開平8−30097号公報
【特許文献2】特開2005−24665公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を収容する粉体収容部と、粉体を当該粉体収容部から、当該粉体収容部よりも下方にある搬送先に導く粉体搬送管と、当該該粉体搬送管内に収容され粉体を搬送先に向かって搬送する粉体搬送部材とを備え、前記粉体搬送管は、
前記粉体収容部と連通して当該粉体収容部から粉体が供給される供給口を有する第1の搬送部と、
当該第1の搬送部よりも粉体搬送方向下流側で当該第1の搬送部よりも水平からの傾斜角を大きくするように屈曲した第1の屈曲部を介して該第1の搬送部と連なる、上記粉体収容部側から前記搬送先側に向けて下方に延びた第2の搬送部と、
当該第2の搬送部よりも粉体搬送方向下流側で当該第2の搬送部よりも水平からの傾斜角を小さくするように屈曲した第2の屈曲部を介して該第2の搬送部と連なる、当該第2の搬送部と連通して前記搬送先に粉体を補給する補給口を有する第3の搬送部と、を有する粉体搬送装置において、
少なくとも前記第3の搬送部内に、前記補給口から排出される粉体の通過を規制する粉体通過規制部材を移動可能に配設し、
前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を、前記粉体通過規制部材の移動によって変更可能としたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉体搬送装置において、
前記粉体通過規制部材と連結して、当該粉体通過規制部材の移動を行なわせる移動手段を、前記第3の搬送部の外周部に取り付け、当該移動手段を作動させて前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を変更可能としたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の粉体搬送装置において、
前記粉体通過規制部材は、前記第3の搬送部の管中心軸に対し回転可能に支持されて、前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を、前記粉体通過規制部材の回転移動によって変更可能としたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項4】
請求項3記載の粉体搬送装置において、
前記粉体通過規制部材を回転移動させる回転軸を前記第3の搬送部の外周部から突出させ、当該回転軸を回転させる移動手段を配設したことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項記載の粉体搬送装置において、
前記移動手段は、前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積量を、前記粉体通過規制部材の移動量に応じて表示する表示手段を備えたことを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項6】
請求項5記載の粉体搬送装置において、
前記移動手段は、前記粉体通過規制部材を回転移動させる回転軸を前記第3の搬送部の外周部から突出させ、当該回転軸を回転させる移動手段であり、
当該移動手段の外形を前記粉体通過規制部材の形状に対応させた形状として前記粉体通過規制部材の移動量を表示する前記表示手段とすることを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項記載の粉体搬送装置において、
前記粉体搬送部材は、前記粉体搬送管内を内接しながら回転して粉体を搬送するコイル部材であり、
前記補給口と対向する粉体通過規制部材の外周部と前記第3の搬送部の内周部との間に形成される空隙の断面積の変化量が、前記コイル部材のコイルの太さの3倍以下の範囲で変化させるように、前記粉体通過規制部材の移動によって変更する粉体通過規制部材の外周部の形状とされていることを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載の粉体搬送装置において、
前記粉体は、電子写真方式の画像形成装置で使用されるトナーであることを特徴とする粉体搬送装置。
【請求項9】
静電潜像を担持する像担持体と、当該像担持体に担持された静電潜像をトナーによって現像する現像手装置と、当該現像装置にトナー容器からトナーを搬送するトナー搬送装置とを備えた画像形成装置において、
前記トナー搬送装置は、請求項8記載の粉体搬送装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−95713(P2011−95713A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117168(P2010−117168)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】