粒子と混合したカーボンナノチューブからの増強した電界放出
本発明はカソード(100)と、カーボンナノチューブ(CNT)(105)および粒子(104)を含むカソード材料(106)とを目的とする。本発明はまた、本発明のカソード(100)を含む電界放出装置、ならびにこれらのカソード(100)を製造する方法も目的とする。いくつかの実施態様では、本発明のカソード(100)は電界放出ディスプレイ(200)中に用いられる。本発明はまた、基板(204)上にCNT(105)と粒子(104)との層を堆積させて本発明のカソード(100)を作製する方法、ならびにその結果得られる層の電界放出特性を電界放出ディスプレイ用途に最適化することを目的として、この混合層中に用いられるCNT(105)の密度を制御する方法を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2002年10月9日出願の米国特許仮出願第60/417,246号に対する優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、全体としては電界放出装置に関し、詳しくはカーボンナノチューブを含む電界放出装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
カーボンナノチューブ(CNT)は興味ある物理的および化学性質を有し、そのためCNTは現在進行中の多数の研究(アジャヤン(Ajayan)ら、トピックス・イン・アプライド・フィジックス(Top.Appl.Phys.)、第80巻、391頁、2001年、ダイ(Dai)、アカウンツ・フォア・ケミカル・リサーチ(Acc.Chem.Res.)、第35巻、1035頁、2002年)の対象となった。これらの研究のいくつかによる結果として、カーボンナノチューブは、高いアスペクト比および優れた化学的安定性を有するため、電界放出ディスプレイ用の優れたカソード材料であることが見いだされた(米国特許第5,773,921号明細書)。単層カーボンナノチューブ(SWNT)は直径5オングストロームから数ナノメートル(nm)、長さミクロン(μm)以上に及ぶ中空のカーボンフラーレンチューブである。多層カーボンナノチューブ(MWNT)は類似のものであるが、チューブを形成する二つ以上の同心炭素層を含む。整列したカーボンナノチューブはより高い幾何学的な電界増強効果を有するので、良好な電界放出特性を有し得ることが示唆された(ワング(Wang)ら、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)、第72巻、2912頁、1998年)。CNTは化学気相成長(CVD)法(ニコラエフ(Nikolaev)ら、ケミカル・フィジックス・レターズ(Chem.Phys.Lett.)、第313巻、91頁、1999年、ホワン(Huang)ら、アプライド・フィジックス(Appl.Phys.)A、第74巻、387頁、2002年)、アーク放電法(ジュルネ(Journet)ら、ネイチャー(Nature)、第388巻、756頁、1997年)、レーザアブレーション(テス(Thess)ら、サイエンス(Science)、第273巻、483頁、1997年)、およびその他の技法(例えばデレイケ(Derycke)ら、ナノ・レターズ(Nano Letters)、第2巻(10号)、1043頁、2002年)によって製造することができる。さらに、ナノスケール金属触媒を有する基板上に、約550℃から約1200℃の温度でCVD法を用いて垂直に配向したCNTを成長させることができる(ホアンら、2002年)。
【0004】
しかし、上述の技法はすべて成長均一性が芳しくなく、どの方法によっても大きな面積にわたってカーボンナノチューブを実用的に堆積させることはできない。さらに、これらの成長法の条件では比較的高い温度が必要であり、一般的に安価な基板材料を用いる低温での利用は難しい。
【0005】
電界放出ディスプレイ用のカソード材料を生成させる上述のCNT成長技法を用いる場合の別の問題は、製造されたCNTの密度が高過ぎることである。研究者たちは、引き出された電場を隣接するナノチューブが互いに遮蔽するため、高密度CNTカソードの電界放出特性は予想された特性より低くなるという証拠を、見い出した(ボナール(Bonard)ら、アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)、第13巻、184頁、2001年)。その結果、高解像度リソグラフィーを使用して、CNTを成長させる触媒のドットを創り出すことによってCNT密度を制御してきた(ホワン(Huang)ら、アプライド・フィジックス(Appl.Phys.)A、第74巻、387頁、2002年)。しかし、この方法は非常に費用がかかり、高温基板上での成長を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、作製したCNTを回収し、さまざまな基板材料上に低温で塗布または分配できるようにしたいという明らかな要求がある。電界放出特性を最適化することを目的として、CNTの密度を制御できるようにしたいという要求もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
本発明は、電界放出装置用の新しいカソード、そのようなカソードを作製する方法、および放出しきい電場を低下させ、放出電流を増大させることによってそのようなカソードの電界放出性能を最適化する方法を目的とする。そのようなカソードはカソード材料を含み、カソード材料自体はカーボンナノチューブ(CNT)および粒子を含む。微粒子マトリックス物質の中の電場放出物質(CNT)の密度を調節することによって、電界放出性能の最適化を実現する。カソード材料混合物(CNTおよび粒子)の中のCNT繊維の最適濃度は、放出のために最大数のCNTを利用可能にするが、加えられた電場の電気的遮蔽によってCNT繊維が互いの性能と干渉し合うほどには高くない濃度であると考えられる。さらに、本発明の処理は室温で実行することができ、CNT濃度の最適化は基板に依存しないので、そのような混合物は非常に広い範囲の材料に塗布することができる。この方法はまた、高解像度リソグラフィー加工工程をまったく必要としない点で非常に経済的でもある。電界放出物質としてのCNT物質の使用を含むどのような用途も、おそらく本発明から潜在的に利益を得ることができよう。
【0008】
以下に説明する本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、前述の説明では本発明の特徴および技術的な利点の概略をやや大まかに説明した。本発明の請求項の主題を形成する本発明の別の特徴および利点を以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明はカソードと、カーボンナノチューブ(CNT)および粒子を含むカソード材料とを目的とする。本発明はまた、本発明のカソードを含む電界放出装置、ならびにこれらのカソードを製造する方法も目的とする。いくつかの実施態様では、本発明のカソードは電界放出ディスプレイ中に用いられる。本発明はまた、基板上にCNTと粒子との層を堆積させて本発明のカソードを作製する方法、ならびにその結果得られる層の電界放出特性を電界放出ディスプレイ用に最適化することを目的として、この混合層中に用いられるCNTの密度を制御する方法を含む。
【0010】
本発明によれば、CNTは単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、二層カーボンナノチューブ、バッキーチューブ、カーボンフィブリルおよびそれらの組み合わせであってよい。そのようなCNTは任意の既知の技法によって作製し、オプションとして精製することができる。そのようなCNTは金属、半導体、半金属およびそれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施態様では、CNTは化学的に修飾され、および/または誘導体化される。いくつかの実施態様では、2003年4月4日に出願され、参照によって本明細書中に組み込まれる本出願人らの係属中の米国特許出願第10/406,928号明細書に記載されている技法によって、CNTはメタル化される。
【0011】
カーボンナノチューブと混合される粒子は、カソード中のCNT物質の密度を適当に低下させ、それによって電界放出装置中に組み込まれたとき、カソードの電界放出特性を効果的に改善するように機能する任意の物質であってよい。そのような粒子は球形粒子、円板形粒子、層状粒子、棒状粒子およびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。そのような粒子の物質は導電性、半導体性、絶縁性またはそれらの組み合わせであってよい。そのような物質は金属、合金、重合体、半導体、誘電体、粘土およびセラミックを含んでよい。用いることができる誘電体物質はAl2O3、CeO2、La2O3、TiO2、SiO2、TiC、WC、ガラスフリット、ダイヤモンドおよびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。用いることができる半導体物質はSi、GaAs、GaNおよびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。用いることができる金属はニッケル、鉄、クロム、合金およびそれらの組み合わせを含むがそれらに限定はされない。これらの粒子はCNT用のマトリックス材料として機能し、CNT間の相互作用を効果的に低下させ、その結果電界放出特性を改善させる。そのような粒子の大きさおよび形状は変化し得るが、一般には約1ナノメートル(nm)から数百マイクロメートル(μm)の範囲の直径を有する。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様では、粒子はまた基板上またはCNT‐粒子マトリックス中にCNTを閉じ込めまたは保持するために機能することがある。後で説明するように、粒子は多孔性であってよい。粘土などその他の粒子は層状体、すなわち層間にギャップを有してよい。これらのギャップは粘土の状態に依存し得る。例えば、粘土が十分に水和しているか、あるいは層間分子で飽和していると、ギャップは数ナノメートルの幅に及ぶことがある。CNTまたは官能化CNTは粒子中の細孔またはギャップに入り込むことができる。このことだけでCNTを保持または捕捉するには十分なことがある。その上、粒子中の層間の水和物または分子は加熱および/または乾燥などの一定のプロセスによって取り出すことができる。このプロセスによって粒子の層は崩壊し、CNTをさらに保持または捕捉することがある。
【0013】
一般的な実施態様として、図1にCNTおよび粒子を含むカソードを示す。図1を参照して、カソードは基板103を含み、基板103の上にカソード材料106が接触する。カソード材料はCNT105および粒子104を含む。いくつかの実施態様では、基板103は導電層102を支えるガラス基板101である。
【0014】
本発明のカソードを電界放出ディスプレイ装置中に組み込む実施態様を図2に示す。図2を参照して、上記で説明したカソードを電界放出ディスプレイ200中に組み込む。基材101の上に導電層102を堆積させ、その上にカソード材料106を堆積させる。アノードは基板204、導電層205および蛍光体層206を含む。基板204はガラス基板204であってよく、導電層205はITOであってよく、蛍光体層206はカソード材料層から放出される電子を受け取る。電子は、アノードとカソードとの間の適切な電場に応答して層106から放出される。
【0015】
図2は、非常に簡略化されたディスプレイの図を示す。アノードとカソードとの間でギャップを完全に囲い込む側壁は図2に示していない。アノードとカソードとの間のギャップを固定するスペーサも示していない。通常の動作では、アノードとカソードとの間のギャップは約10−6Torr以上の真空の範囲の圧力に排気される。多くのディスプレイは、アノード上に画素を創り出し、ひいては画像を形成させるために、カソードおよびアノードの両方の上に独立にアドレス可能な多数のラインを有する。図2は、ダイオードディスプレイ構造の例も示す。その他のディスプレイ構造は3つ以上の素子(アノード、カソードおよびグリッド)を有することがある。そのような場合には、カソードとグリッドとの上にアドレス行および列を設け、アノードを一定電位に保持する。本明細書で説明する発明は、電界放出ディスプレイ構造の特定の型(単一画素または複数画素、ダイオードまたはトライオード、カラーまたはモノクロなど)には依存しない。
【0016】
カソード材料中のナノチューブの密度は粒子の重量に対するCNTの重量に関連する。一般的に、CNTの重量パーセントは約0.1%から約99%、より詳しくは約40%から約60%の範囲で変化してよい。
【0017】
いくつかの実施態様では、本発明のカソード材料(CNT+粒子)は層の形状である。この層の面積および厚さは用途によって変化し得る。一般的に、この層は約10nmから約1ミリメートル(mm)、詳しくは約100nmから約100μm、より詳しくは約1μmから約20μmの範囲で変化する厚さを有する。
【0018】
本発明のいくつかの実施態様では、冷陰極はカソード材料を載せる基板を含む。そのような基板の大きさおよび形状は広い範囲で変化し得るが、一般には平らな表面を有する。基板は、本発明による基板を適切に提供する任意の物質または物質の組み合わせであってよい。基板材料は導電体、半導体、絶縁体およびそれらの組み合わせから選択してよい。いくつかの実施態様では、基板は一つ以上の積み重ねられた層を含む。いくつかの実施態様では、基板としてガラスを用いる。
【0019】
本発明のカソード材料は、電界放出装置で特定の値の電流密度を引き出すために必要な電場を低下させることによって、電界放出プロセスを改善することができる。
【0020】
一般に、本発明のカソードが作られる方法は、1)カーボンナノチューブと粒子との適切な組み合わせを選択する工程、2)カーボンナノチューブを粒子とともに混合する工程、および3)混合物を適切な基板に塗布する工程を含む。
【0021】
CNTおよび粒子の選択は、所望の用途および用いられる処理の方法によって変化し得る。コストを考慮することもまた重要な役割を果たす。
【0022】
いくつかの実施態様では、混合する前にCNTおよび/または粒子を粉砕する。いくつかの実施態様では、これは混合プロセスの必須部分である。そのような粉砕は、図3に示すボールミル装置によるなどさまざまな方法を用いて実行することができる。図3を参照して、ボールミル装置300はモーター301を備え、モーター301にはホイール302が連結され、ホイール302にはベルト303が取り付けられ、ベルト303は第二のホイール304を駆動する。第二のホイール304はタービン305、ギア306およびチェーン307のアセンブリを介して、粉砕チャンバ309を回転させるシャフト308を駆動する。CNTおよび/または粒子を入れるのはこの粉砕チャンバ309である。
【0023】
CNTと粒子とを混合することはさまざまな方法で実行できる。いくつかの実施態様では、CNTと粒子とを乾燥状態で混合する。いくつかの実施態様では、粒子および/またはCNTを別々に予備分散する。本発明によると、予備分散は溶媒中に懸濁させることおよび/または分散させることを含む。本発明によると、溶媒はCNTおよび/または粒子を十分に分散させる任意の溶媒または複数溶媒であってよい。そのような溶媒は水、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、CH2Cl2、シクロヘキサンおよびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。一般に、本発明のほとんどの実施態様では、溶媒を容易に除去(蒸発など)できると有利である。いくつかの実施態様では、超音波処理を用いて溶媒中へのCNTおよび/または粒子の懸濁および/または分散を容易にする。
【0024】
本発明によると、一般に微粒子マトリックス中のCNTの所望の比(例えば重量パーセント)を実現し、これによって電界放出のために最適な、あるいは所望のCNT密度を実現するような方法で混合を実行する。一般に、そのような比は用いられる物質、粒子サイズ、混合の均一さ、混合物層の厚さなどに依存する。
【0025】
いくつかの実施態様では、粒子は層状の形状を有し、剪断力を加えるとCNTと整列する。従って、混合物中のナノチューブを同じ方向に整列させ、これによってカソード上でCNT配向を実現して電界放出特性を改善することができる。より詳しくは、CNTを水性ソルまたはゲルを形成する粘土粒子と混合してよい。
【0026】
いくつかの実施態様では、CNTおよび粒子とともに別の物質を混合する。そのような別の物質はバインダー、界面活性剤、分散剤およびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。
【0027】
基板への混合物の塗布は、さまざまな方法で実現することができる。一般には、予め作製されたCNTと粒子とを含むコンポジット材料を、接触手段を用いて基板に接触させるか、あるいは堆積手段を用いてCNTと粒子との混合物を基板に塗布する。いくつかの実施態様では、まずCNTと粒子との混合物を溶媒中に分散させ、次に基板上に堆積させ、その後溶媒を除去する。いくつかの実施態様では、特定の配置またはパターンでCNTと粒子との混合物をある区域に堆積させる。いくつかの実施態様では、これはシャドウマスクを用いて実行される。そのような堆積手段はスプレー吹き付け、ブラッシング、電気泳動堆積、ディッピング、分配、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スピンコーティングおよびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。いくつかの実施態様では、堆積前、堆積中および/また堆積後に基板を加熱する。そのような加熱は溶剤除去を助ける働きをする。
【0028】
図4は、CNTと粒子との混合物が基板上にスプレー吹き付けされる実施態様の例を示す。凝縮気体401を用いて溶媒に懸濁させたCNTおよび粒子403の混合物を含むアトマイザー402を駆動する。混合物403は、オプションとしてヒーター405および/または赤外線(IR)加熱ランプ406と接触する基板404上にスプレー吹き付けされ、CNTと粒子とを含むカソード材料層407を形成する。
【0029】
図5A〜Cは、本発明のいくつかの実施態様によってCNTと粒子との混合物を基板上に堆積させることができるスクリーン印刷方法の例を示す。図5Aを参照して、基板501は基板ステージ/チャック502の上に置かれ、画像スクリーンステンシル503と接触させられる。次に、図5Bに示すように、画像スクリーンステンシル503の全面にわたってスキージ505でCNTと粒子とを含むペースト504を「塗り伸ばす」。すると、ペースト504は画像スクリーンステンシル503の開口部の真下にある領域でだけ基板501と接触する。次に、図5Cに示すように基板ステージ/チャック502を降ろし、基板501上のパターン化されたカソード材料506を露出する。次に、基板ステージ/チャックからパターン化された基板を取り外す。
【0030】
図6は、分配装置またはインクジェットプリンタを用いて基板上にCNTと粒子との混合物を堆積させる実施態様の例を示す。図6を参照して、印刷ヘッド601は所望の様式で基板604上を平行移動する。印刷ヘッド601は基板604上を平行移動しながら、溶媒中に分散されたCNTと粒子とを含む小滴602をスプレー吹き付けする。これらの小滴602が基板604に接触すると、CNTと粒子とを含む印刷されたカソード材料603が形成される。いくつかの実施態様では基板604を加熱し、これによって前記小滴内での迅速な溶剤蒸発を実現する。分配中に、印刷ヘッド601に熱および/または超音波エネルギーを加えることがある。
【0031】
いくつかの実施態様では、本発明のカソードは一度作製された後で、電界放出装置中に組み込む前に真空環境中で加熱される。
【0032】
いくつかの実施態様では、参照によって本明細書中に組み込まれる2002年10月11日出願の本出願人らの係属中の米国特許出願第10/269,577号に記載されているように、活性化プロセスを用いてCNTを含む層を活性化させる。いくつかの実施態様では、この活性化プロセスはテーププロセスを含む。このテーププロセスによって表面におけるCNTの整列が実現され、それによってカソードの電界放出特性が改善されると考えられる。図7を参照して、工程7001で基板702およびカソード材料701を含むカソードが提供される。カソード材料はCNTと粒子とを含む。工程7002で、カソード材料701の上に粘着剤の側をカソード材料701側に向けてテープ703を置く。工程7003でテープ703を剥がし、配向したCNT704を含む活性化層を形成させる。
【0033】
メタル化CNTを利用する実施態様では、参照によって本明細書中に組み込まれる本出願人らの係属中の米国特許出願第10/406,928号明細書に記載されている手順によるように、そのようなメタル化CNTを整列させる場に堆積させるか、あるいは堆積させた後で整列させる場で処理することができる。
【0034】
堆積した膜(例えばCNT+粒子層)の中のCNTの密度の制御は、粒子粉末に対するCNT物質の比を変化させることによって実現される。これを最適化すると、膜から電子放出を引き出すために必要な電場を低下させることによって、堆積した膜の電界放出特性を改善する結果となる。本発明は高温処理工程をまったく必要とせず、すべてのプロセスは室温または室温近くで実行することができる。
【0035】
本発明の実施態様のいくつかの例をさらに十分に示すために以下の実施例を提供する。実施例はCNTを粒子と混合し、その結果得られた組成物をカソード材料として電界放出装置中に組み込む方法の例を示す。当業者は、以下の実施例中に開示される技法が本発明者らによって発見された本発明の実行において十分に機能する技法を表し、従って本発明の実行のための例となる方法を構成するとみなせると理解するべきである。しかし当業者は、本開示に照らして開示される特定の実施態様中に多くの変化を施し、それでも本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果を得ることができることを理解するべきである。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
本実施例は、SWNTをアルミナ(Al2O3)ナノ粒子と混合して適切な密度を実現し、次に基板に塗布して電界放出ディスプレイ(図2および13参照)のカソードとして用いる本発明の実施態様の例を示す。本発明をより十分に説明するために、この実施態様の詳細な実施例を示す。
【0037】
SWNTは米国ケンタッキー州レキシントン(Lexington、KY、USA)のカーボレックス社(CarboLex,Inc.)から入手した。このSWNTは直径が約1〜2nm、長さが約5〜20μmであった。本実施例の場合、SWNTはCNTの部分集合であり、多くの場合にこれらの用語を無差別に用いてよいものとする。Al2O3ナノ粒子は米国マサチューセッツ州ウォード・ヒル(Ward Hill,MA,USA)のアルファ・イーザー(Alfa Aesar)から入手した。このナノ粒子は10〜20nmと非常に小さく、99.98%の純度を有する。
【0038】
単純なボールミルを用いてSWNT束を粉砕した。図3は、このボールミルの例を示す図である。この機械のミル速度は1分あたり約50〜60回転のオーダーである。この方法では、1gのSWNTを粉砕用に用いられる数十個のAl2O3球(直径5〜10mm)と一緒にイソプロピルアルコール(IPA)200〜300mlと混合した。カーボンナノチューブを分散させるためにこの材料を1〜14日間粉砕した。いくつかの実施態様では、カーボンナノチューブのより良好な分散を実現するために、界面活性剤または類似の物質を混合物に加えた(IPA100mlあたり約1滴)ことに注意する。
【0039】
Al2O3ナノ粒子は容易に塊を作るので、SWNTと混合する前にAl2O3ナノ粒子を分散させるとよい。従って、ホットプレート/磁気撹拌機によって作動する磁気攪拌子によって提供される撹拌を用いて、ビーカーの中の200〜300mlのIPAに1gのAl2O3ナノ粒子を混合した。ナノ粒子が互いに離れることができるように、この材料を1〜24時間撹拌した。
【0040】
粉砕したSWNTと分散したAl2O3ナノ粒子とを種々の重量比、すなわち10重量%SWNT+90重量%ナノ粒子、25重量%SWNT+75重量%ナノ粒子、50重量%SWNT+50重量%ナノ粒子、75重量%SWNT+25重量%ナノ粒子、および90重量%SWNT+10重量%ナノ粒子に従って混合した。絶えずかき混ぜていないと、SWNTとナノ粒子とはすぐに塊を形成するので、基板上にスプレー吹き付けする直前に超音波ホーンまたは超音波浴を用いてインクをIPA溶液の中に再分散した。この実験では、導電性ITO(酸化インジウムスズ)でコーティングしたガラス上に混合物をスプレー吹き付けした。2×2cm2の面積を有する基板の上に混合物をスプレー吹き付けした。基板上のより良好なコーティング均一性および分散を実現するために、スプレー吹き付け前に別のIPAを上記溶液に添加してもよい。この実験でスプレー吹き付けに用いられた溶液は、IPA100ml中約0.1gのナノチューブ/ナノ粒子混合物で構成されていた。IPAが基板の望ましくない領域に流れないよう、IPAを急速に蒸発させることを目的として、スプレー吹き付けプロセス中に基板の前面および背面を約70℃に加熱した。表面全体が混合物でコーティングされるまで、数回から数十回前後左右に基板にスプレー吹き付けした。結果として得られた混合物の厚さは約1〜20μmであった。次に基板を空気中で乾燥させた。図8には、a)90重量%SWNT+10重量%ナノ粒子とb)10重量%SWNT+90重量%ナノ粒子とを対比する走査電子顕微鏡写真を示す。図4は、スプレー吹き付けプロセスの例を示す。
【0041】
電界放出特性を比較するために、Al2O3ナノ粒子をまったく含まない100重量%SWNTもITOガラス基板上にスプレー吹き付けした。次に、図2に示したもののようにアノードとカソードとの間のギャップ約0.5mmを有するダイオード構成でカソードを蛍光面と一緒に取り付けることによって、すべてのカソードを試験した。テストアセンブリを真空チャンバの中に置き、10−7Torrに排気した。次に、カソードに負のパルス電圧(AC)を加え、アノードをアース電位に保持し、アノードで電流を測定する(試験のために直流電位を用いてもよい)ことによってカソードの電気的性質を測定した。いくつかの試料についての放出電流対電場のグラフを図9に示す。
【0042】
図10から、CNT物質の濃度が減少すると、6.25mA/cm2の電流密度を引き出すために必要な電場(アノードとカソードとの間の電圧をアノードとカソードとの間の間隔で除した値によって測定される)も小さくなることが分かる。ナノチューブ/ナノ粒子混合物中のSWNTの最善の濃度は20%と60%との間にある。従って、濃度を低くすることによってCNT物質の密度はCNTがもはや互いに遮蔽しない点まで低くなる。CNT濃度が20%未満まで低くなると、必要な電場が大きくなることも分かる。これはおそらくCNT濃度が低くなり過ぎ、電子を放出するために利用できるCNT繊維が少な過ぎる結果である。
【0043】
理論にこだわるものではないが、CNT濃度が高過ぎるとカーボンナノチューブ繊維は加えられた電場を互いに電気的に遮蔽すると考えられる。理想的には、すべてが完全に整列したら、チューブ間の距離はチューブの長さとほぼ同じ距離になるであろう。密度が低下し続けると、電気的な遮蔽の問題はあまり改善されないが、電子を放出するために利用できる繊維の数は密度とともに低下し続ける。従って、最善の放出パラメータを示すチューブの最適密度がある筈である。ここに示したデータは、CNT物質が約20%〜60%重量濃度の範囲にあるCNT物質とアルミナナノ粒子との混合物によって、この最適密度が実現されることを示している。
【0044】
(実施例2)
この実施例は、どのように活性化プロセスを用いて本発明のカソードの電界放出特性をさらに改善するかの例を示す。
【0045】
以前の開示(参照によって本明細書中に組み込まれる2002年10月11日出願の本出願人らの係属中の米国特許出願第10/269,577号)で、粘着テープ物質をCNT膜に貼り、次に粘着テープを剥がすことによってCNT膜を「活性化する」プロセスを記載した。これはCNT繊維の密度を低下させる効果も有する。上記で説明したCNT/アルミナ粉末混合物と組み合わせてこの活性化プロセスを試みた。結果は以前の場合と同じであった。
【0046】
SWNTとAl2O3との混合物を基板上にスプレー吹き付けした後、粘着テーププロセスを用いて表面上の物質の最上層を除去する。使用して類似の結果となる多くのブランドおよび多様な粘着テープがあると考えられるが、この方法では混合物を除去するために透明テープを用いた。貼り合わせプロセスを用いてテープをコーティングに接触させ、テープの粘着剤の側をカーボンナノチューブとアルミナ粒子との両方に接触させた。テープと、SWNTとAl2O3粒子コーティングとの間には確実に空気がない(泡が存在するとその区域の混合物は一様に剥がれない)ように注意する。テープと混合物コーティングとの間の接触面の空気を排除するために、ゴムローラを用いてさらにテープを押し付ける。最後に、混合物の50%未満が基板上に残るようにテープを剥がす。図7にこのテーププロセスの例を示す。
【0047】
非活性化試料を試験したと同じ方法で、活性化した試料の放出電流対電場(I/V)特性を試験した。図11はこの実験のI/V結果の一部を示す。図12では、CNT物質の重量の百分率としてのCNT濃度に対して、各試料が放出電流25mAに達したとき(図11参照)の電場をプロットしている。粘着テープで処理された試料の場合には、最適な性能を生じる濃度がCNT+Al2O3混合物中のCNTの40〜80重量%の範囲にシフトしたことに注意すると興味深い。前に説明したように、テープ活性化プロセスはCNT物質の濃度を低下させるので、図12で分かるように、これによって最適濃度範囲はAl2O3ナノ粒子粉末中のCNT繊維のより高い初濃度にシフトする結果となる。
【0048】
(実施例3)
本実施例は、粘土粒子を利用する本発明のいくつかの実施態様の例を示す。
【0049】
既に述べたように、粒子はナノ粒子であってよく、また多孔質シリコンあるいはゼオライト鉱物のいくつかの変化形の一つなど多孔質材料を含んでもよい。これらの粒子はまた粘土粒子などの層状物質を含むこともある。粘土の例はラポナイト、ベントナイトまたはヘクトライトを含むが、それらには限定されない。粘土は、層間に水分子または正負のイオン(カチオンまたはアニオン)を吸収し、これらのイオンと溶媒との交換相互作用を行なうことができる空間を有する層状物質である。粘土は非常に珍しい性質を有する。乾燥すると層間分子またはイオンが外に出て、層間ギャップは閉ざされ層スタックは著しく収縮することができる。これに対応して、図13で示すように粘土粒子が再水和すると粘土粒子層の間の空間1301は膨張する。
【0050】
水などの溶媒中に分散した粘土粒子によって溶液の粘度を著しく変化させることができる。水性溶液を増粘するその他の材料が存在するが、粘土粒子は粘度が剪断力に敏感である(剪断力によって粘度が何桁も低下する)という点で独特である。
【0051】
粘土粒子はCNT+ナノ粒子コンポジット中の他の粒子に対していくつかの利点を有することがある。チューブまたはパイプを通して押し出されると、粘土分子は押し出し機の壁との剪断相互作用によって互いに整列することもある。粘土粒子の溶液中にCNTが含まれていると、図14に例を示すように、粘土粒子の整列によってカーボンチューブを好ましい方向、または好ましい面あるいは層の中に整列させることが可能である。図14では層状粘土粒子1401およびCNT1402は領域1403から、領域1404を通って領域1405に流れる。層状粘土粒子1401およびCNT1402は領域1403ではランダム配向しているが、領域1405では配向している。
【0052】
粘土粒子はまた、脱水または層の収縮プロセス中に層間にCNTを閉じ込め、または捕捉することを助けることができる。層間のギャップは約2,3ナノメートルから数十ナノメートルの範囲にあり、CNTが層間に侵入できるように十分大きい。ギャップが収縮するとき、CNTは図15に示すように粘土粒子の層間に捕捉され、従って粒子に繋ぎ止められることがある。図15ではCNT1501は粘土粒子層1301の間に捕捉されている。これは、CNT+ナノ粒子コンポジットの安定性を大いに高めることがある。いくつかの実施態様では、CNT繊維の層間への侵入を助けるために、CNT繊維は官能化を必要とすることがある。粘土粒子は平らな、パンケーキの様な粒子なので、溶液を乾燥すると、CNTを粒子の間に閉じ込め、または捕捉するのは容易である。
【0053】
他の粒子またはナノ粒子に対して粘土粒子が有する別の利点は、粘土粒子が真空環境中で気体となって揮発する有機物または物質を添加することなく、スクリーン印刷用ペーストあるいは分配用またはインクジェット印刷用インクとして用いられる溶液の粘度を高められることである。水系材料として、それは他のスクリーン印刷用ペーストまたはインクより環境にやさしい。既に述べたように、粘土溶液はせん断力下では流れやすいが、静置されると沈殿してゲル粘稠度になる。これは、スキージを用いてスクリーン上に容易に塗り伸ばしまたは「ワイプ」できる(図5参照)が、印刷後はゲルに固化して流動しないので、理想的なスクリーン印刷ペーストとなる。これによって印刷パターンの解像度を大いに改善することができる。分配インク(図6参照)としてそれは類似の利点を有する。それは低粘度で分配管の中を流れ、このプロセスで粒子を整列させることができるが、一度基板上に分配されると、流れないゲル粘稠度になる。溶液は水性なので、印刷されたゲルを熱(約100℃程度)で容易に乾燥して粘土粒子とCNT繊維とにすることができる。ほとんどのスクリーン印刷ペーストとは異なり、この材料には高温での焼成は必要ない。
【0054】
CNTと混合した粘土粒子がスクリーン印刷できること、およびそのプロセスから高品質の電界放出が得られることを実証するために簡単な実験を実施した。5.6グラムの粘土ゲル(サザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products)製の水中0.05から3%のラポナイト)と0.1グラムのCNTとを乳鉢中で粉砕してCNTインクを作製した。既に説明した(図5)ように、スクリーン印刷機を用いてITOガラス基板上にこのインクを印刷した。試料をオーブン中100℃で30分間乾燥した。テープ層による活性化を用いて電界放出特性を改善してもよい(既に説明した)。図16にI‐V特性を示す。基板のサイズは3cm×3cmであった。
【0055】
粘土粒子+CNTコンポジットカソード材料から放出される電子の流れの結果としての蛍光スクリーン上の画像を図17に示す。図17を参照して、図の個々のサブピクセルは長さ6mmかける幅約1mmである。これによって、スクリーン印刷技法によって画素構造を印刷することができるが、電界放出装置またはディスプレイの動作のために硬化および調製するために、低温処理工程しか必要でないことを実証する。
【0056】
(実施例4)
数多くの他の用途が存在するが、本実施例は、どのようにして本発明のカソードを含む電界放出ディスプレイ装置をデータ処理システム中に集積化することができるかの例を示すためのものである。
【0057】
本発明を実行するための代表的なハードウェア環境を図18に示す。図18は、通常のマイクロプロセッサーなどの中央処理装置(CPU)1810およびシステムバス1812を通して相互接続された多数のその他の装置を有する本発明によるデータ処理システム1813の例となるハードウェア構成を示す。データ処理システム1813はランダムアクセスメモリ(RAM)1814、リードオンリーメモリ(ROM)1816およびディスク装置1820およびテープドライブ1840などの周辺装置をバス1812に接続する入出力(I/O)アダプタ1818、キーボード1824、マウス1826および/またはタッチスクリーン装置(図示していない)などのその他のユーザインタフェース装置をバス1812に接続するユーザインターフェースアダプタ1822、データ処理システム1813をデータ処理ネットワークに接続する通信アダプタ1834、およびバス1812をディスプレイデバイス200に接続するディスプレイアダプタ1836を含む。CPU1810はここには示していないが一般にマイクロプロセッサーの内部に見られる回路、例えば処理ユニット、バスインタフェースユニット、算術論理ユニットなどを含むその他の回路を含んでよい。CPU1810はまた単一の集積回路上にまとめられてもよい。
【0058】
本明細書中で説明した実施態様のすべては、システム1813の中のディスプレイを創り出すために用いられることに注意すべきである。
【0059】
本発明および本発明の利点を詳細に説明してきたが、添付の請求項によって定められる本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、本発明にさまざまな変化、置き換えおよび変更を施すことができるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明および本発明の利点のより完全な理解を目的として、次に添付の図面とともに以下の説明を参照する。図面の内容は以下のとおりである。
【図1】図1は、CNTおよび粒子を含むカソードの例を示す。
【図2】図2は、本発明を組み込む電界放出ディスプレイ装置の例を示す。
【図3】図3は、CNTを粉砕するために用いることができるボールミル装置の例を示す。
【図4】図4は、どのようにしてスプレー吹き付けを用いて基板上にCNTと粒子との混合物を堆積させることができるかの例を示す。
【図5】図5、CNTと粒子との混合物を基板上に堆積させることに用いることができるスクリーン印刷装置の例を示す。
【図6】図6は、どのようにして分配またはインクジェット印刷を用いて基板上にCNTと粒子との混合物を堆積させることができるかの例を示す。
【図7】図7は、本発明のカソードがテープ手順によって「活性化」されるプロセスの例を示す。
【図8】図8AおよびBは、A)90重量%SWNT+10重量%ナノ粒子の混合物と、B)10重量%SWNT+90重量%ナノ粒子の混合物とを対比する走査電子顕微鏡写真の例を示す。
【図9】図9は、CNTとアルミナナノ粒子とを含むカソードの電子電界放出I/V曲線の例を示す。
【図10】図10は、本発明のさまざまなカソードに関して放出電流25mAにおけるCNT濃度(残部はアルミナナノ粒子)の関数としての電場のプロットの例を示す。
【図11】図11は、アルミナナノ粉末と混合され、次にテーププロセスを用いて活性化されたCNTからの電子電界放出I/V曲線の例を示す。
【図12】図12は、テーププロセスによってカソードを活性化した場合に、本発明のさまざまなカソードに関して放出電流25mAにおけるCNT濃度(残部はアルミナナノ粒子)の関数としての電場のプロットの例を示す。
【図13】図13は、粘土粒子が再水和するときの粘土粒子の膨潤の例を示す。
【図14】図14は、どのようにして剪断力を用いてCNTと層状(粘土)粒子との混合物を整列させることができるかの例を示す。
【図15】図15は、どのようにして脱水の結果としてCNTを粘土粒子の層間に閉じ込めることができるかの例を示す。
【図16】図16は、CNTおよび粘土粒子を含むカソードのI‐V特性の例を示す。
【図17】図17は、CNTおよび粘土粒子を含むカソードによって発生した蛍光スクリーン上の画像の例を示す。
【図18】図18は、本発明によって構成されたデータ処理システムの例を示す。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2002年10月9日出願の米国特許仮出願第60/417,246号に対する優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、全体としては電界放出装置に関し、詳しくはカーボンナノチューブを含む電界放出装置に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
カーボンナノチューブ(CNT)は興味ある物理的および化学性質を有し、そのためCNTは現在進行中の多数の研究(アジャヤン(Ajayan)ら、トピックス・イン・アプライド・フィジックス(Top.Appl.Phys.)、第80巻、391頁、2001年、ダイ(Dai)、アカウンツ・フォア・ケミカル・リサーチ(Acc.Chem.Res.)、第35巻、1035頁、2002年)の対象となった。これらの研究のいくつかによる結果として、カーボンナノチューブは、高いアスペクト比および優れた化学的安定性を有するため、電界放出ディスプレイ用の優れたカソード材料であることが見いだされた(米国特許第5,773,921号明細書)。単層カーボンナノチューブ(SWNT)は直径5オングストロームから数ナノメートル(nm)、長さミクロン(μm)以上に及ぶ中空のカーボンフラーレンチューブである。多層カーボンナノチューブ(MWNT)は類似のものであるが、チューブを形成する二つ以上の同心炭素層を含む。整列したカーボンナノチューブはより高い幾何学的な電界増強効果を有するので、良好な電界放出特性を有し得ることが示唆された(ワング(Wang)ら、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)、第72巻、2912頁、1998年)。CNTは化学気相成長(CVD)法(ニコラエフ(Nikolaev)ら、ケミカル・フィジックス・レターズ(Chem.Phys.Lett.)、第313巻、91頁、1999年、ホワン(Huang)ら、アプライド・フィジックス(Appl.Phys.)A、第74巻、387頁、2002年)、アーク放電法(ジュルネ(Journet)ら、ネイチャー(Nature)、第388巻、756頁、1997年)、レーザアブレーション(テス(Thess)ら、サイエンス(Science)、第273巻、483頁、1997年)、およびその他の技法(例えばデレイケ(Derycke)ら、ナノ・レターズ(Nano Letters)、第2巻(10号)、1043頁、2002年)によって製造することができる。さらに、ナノスケール金属触媒を有する基板上に、約550℃から約1200℃の温度でCVD法を用いて垂直に配向したCNTを成長させることができる(ホアンら、2002年)。
【0004】
しかし、上述の技法はすべて成長均一性が芳しくなく、どの方法によっても大きな面積にわたってカーボンナノチューブを実用的に堆積させることはできない。さらに、これらの成長法の条件では比較的高い温度が必要であり、一般的に安価な基板材料を用いる低温での利用は難しい。
【0005】
電界放出ディスプレイ用のカソード材料を生成させる上述のCNT成長技法を用いる場合の別の問題は、製造されたCNTの密度が高過ぎることである。研究者たちは、引き出された電場を隣接するナノチューブが互いに遮蔽するため、高密度CNTカソードの電界放出特性は予想された特性より低くなるという証拠を、見い出した(ボナール(Bonard)ら、アドバンスト・マテリアルズ(Advanced Materials)、第13巻、184頁、2001年)。その結果、高解像度リソグラフィーを使用して、CNTを成長させる触媒のドットを創り出すことによってCNT密度を制御してきた(ホワン(Huang)ら、アプライド・フィジックス(Appl.Phys.)A、第74巻、387頁、2002年)。しかし、この方法は非常に費用がかかり、高温基板上での成長を必要とする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、作製したCNTを回収し、さまざまな基板材料上に低温で塗布または分配できるようにしたいという明らかな要求がある。電界放出特性を最適化することを目的として、CNTの密度を制御できるようにしたいという要求もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要約)
本発明は、電界放出装置用の新しいカソード、そのようなカソードを作製する方法、および放出しきい電場を低下させ、放出電流を増大させることによってそのようなカソードの電界放出性能を最適化する方法を目的とする。そのようなカソードはカソード材料を含み、カソード材料自体はカーボンナノチューブ(CNT)および粒子を含む。微粒子マトリックス物質の中の電場放出物質(CNT)の密度を調節することによって、電界放出性能の最適化を実現する。カソード材料混合物(CNTおよび粒子)の中のCNT繊維の最適濃度は、放出のために最大数のCNTを利用可能にするが、加えられた電場の電気的遮蔽によってCNT繊維が互いの性能と干渉し合うほどには高くない濃度であると考えられる。さらに、本発明の処理は室温で実行することができ、CNT濃度の最適化は基板に依存しないので、そのような混合物は非常に広い範囲の材料に塗布することができる。この方法はまた、高解像度リソグラフィー加工工程をまったく必要としない点で非常に経済的でもある。電界放出物質としてのCNT物質の使用を含むどのような用途も、おそらく本発明から潜在的に利益を得ることができよう。
【0008】
以下に説明する本発明の詳細な説明をより十分に理解できるように、前述の説明では本発明の特徴および技術的な利点の概略をやや大まかに説明した。本発明の請求項の主題を形成する本発明の別の特徴および利点を以下に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(発明の詳細な説明)
本発明はカソードと、カーボンナノチューブ(CNT)および粒子を含むカソード材料とを目的とする。本発明はまた、本発明のカソードを含む電界放出装置、ならびにこれらのカソードを製造する方法も目的とする。いくつかの実施態様では、本発明のカソードは電界放出ディスプレイ中に用いられる。本発明はまた、基板上にCNTと粒子との層を堆積させて本発明のカソードを作製する方法、ならびにその結果得られる層の電界放出特性を電界放出ディスプレイ用に最適化することを目的として、この混合層中に用いられるCNTの密度を制御する方法を含む。
【0010】
本発明によれば、CNTは単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、二層カーボンナノチューブ、バッキーチューブ、カーボンフィブリルおよびそれらの組み合わせであってよい。そのようなCNTは任意の既知の技法によって作製し、オプションとして精製することができる。そのようなCNTは金属、半導体、半金属およびそれらの組み合わせであってよい。いくつかの実施態様では、CNTは化学的に修飾され、および/または誘導体化される。いくつかの実施態様では、2003年4月4日に出願され、参照によって本明細書中に組み込まれる本出願人らの係属中の米国特許出願第10/406,928号明細書に記載されている技法によって、CNTはメタル化される。
【0011】
カーボンナノチューブと混合される粒子は、カソード中のCNT物質の密度を適当に低下させ、それによって電界放出装置中に組み込まれたとき、カソードの電界放出特性を効果的に改善するように機能する任意の物質であってよい。そのような粒子は球形粒子、円板形粒子、層状粒子、棒状粒子およびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。そのような粒子の物質は導電性、半導体性、絶縁性またはそれらの組み合わせであってよい。そのような物質は金属、合金、重合体、半導体、誘電体、粘土およびセラミックを含んでよい。用いることができる誘電体物質はAl2O3、CeO2、La2O3、TiO2、SiO2、TiC、WC、ガラスフリット、ダイヤモンドおよびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。用いることができる半導体物質はSi、GaAs、GaNおよびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。用いることができる金属はニッケル、鉄、クロム、合金およびそれらの組み合わせを含むがそれらに限定はされない。これらの粒子はCNT用のマトリックス材料として機能し、CNT間の相互作用を効果的に低下させ、その結果電界放出特性を改善させる。そのような粒子の大きさおよび形状は変化し得るが、一般には約1ナノメートル(nm)から数百マイクロメートル(μm)の範囲の直径を有する。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様では、粒子はまた基板上またはCNT‐粒子マトリックス中にCNTを閉じ込めまたは保持するために機能することがある。後で説明するように、粒子は多孔性であってよい。粘土などその他の粒子は層状体、すなわち層間にギャップを有してよい。これらのギャップは粘土の状態に依存し得る。例えば、粘土が十分に水和しているか、あるいは層間分子で飽和していると、ギャップは数ナノメートルの幅に及ぶことがある。CNTまたは官能化CNTは粒子中の細孔またはギャップに入り込むことができる。このことだけでCNTを保持または捕捉するには十分なことがある。その上、粒子中の層間の水和物または分子は加熱および/または乾燥などの一定のプロセスによって取り出すことができる。このプロセスによって粒子の層は崩壊し、CNTをさらに保持または捕捉することがある。
【0013】
一般的な実施態様として、図1にCNTおよび粒子を含むカソードを示す。図1を参照して、カソードは基板103を含み、基板103の上にカソード材料106が接触する。カソード材料はCNT105および粒子104を含む。いくつかの実施態様では、基板103は導電層102を支えるガラス基板101である。
【0014】
本発明のカソードを電界放出ディスプレイ装置中に組み込む実施態様を図2に示す。図2を参照して、上記で説明したカソードを電界放出ディスプレイ200中に組み込む。基材101の上に導電層102を堆積させ、その上にカソード材料106を堆積させる。アノードは基板204、導電層205および蛍光体層206を含む。基板204はガラス基板204であってよく、導電層205はITOであってよく、蛍光体層206はカソード材料層から放出される電子を受け取る。電子は、アノードとカソードとの間の適切な電場に応答して層106から放出される。
【0015】
図2は、非常に簡略化されたディスプレイの図を示す。アノードとカソードとの間でギャップを完全に囲い込む側壁は図2に示していない。アノードとカソードとの間のギャップを固定するスペーサも示していない。通常の動作では、アノードとカソードとの間のギャップは約10−6Torr以上の真空の範囲の圧力に排気される。多くのディスプレイは、アノード上に画素を創り出し、ひいては画像を形成させるために、カソードおよびアノードの両方の上に独立にアドレス可能な多数のラインを有する。図2は、ダイオードディスプレイ構造の例も示す。その他のディスプレイ構造は3つ以上の素子(アノード、カソードおよびグリッド)を有することがある。そのような場合には、カソードとグリッドとの上にアドレス行および列を設け、アノードを一定電位に保持する。本明細書で説明する発明は、電界放出ディスプレイ構造の特定の型(単一画素または複数画素、ダイオードまたはトライオード、カラーまたはモノクロなど)には依存しない。
【0016】
カソード材料中のナノチューブの密度は粒子の重量に対するCNTの重量に関連する。一般的に、CNTの重量パーセントは約0.1%から約99%、より詳しくは約40%から約60%の範囲で変化してよい。
【0017】
いくつかの実施態様では、本発明のカソード材料(CNT+粒子)は層の形状である。この層の面積および厚さは用途によって変化し得る。一般的に、この層は約10nmから約1ミリメートル(mm)、詳しくは約100nmから約100μm、より詳しくは約1μmから約20μmの範囲で変化する厚さを有する。
【0018】
本発明のいくつかの実施態様では、冷陰極はカソード材料を載せる基板を含む。そのような基板の大きさおよび形状は広い範囲で変化し得るが、一般には平らな表面を有する。基板は、本発明による基板を適切に提供する任意の物質または物質の組み合わせであってよい。基板材料は導電体、半導体、絶縁体およびそれらの組み合わせから選択してよい。いくつかの実施態様では、基板は一つ以上の積み重ねられた層を含む。いくつかの実施態様では、基板としてガラスを用いる。
【0019】
本発明のカソード材料は、電界放出装置で特定の値の電流密度を引き出すために必要な電場を低下させることによって、電界放出プロセスを改善することができる。
【0020】
一般に、本発明のカソードが作られる方法は、1)カーボンナノチューブと粒子との適切な組み合わせを選択する工程、2)カーボンナノチューブを粒子とともに混合する工程、および3)混合物を適切な基板に塗布する工程を含む。
【0021】
CNTおよび粒子の選択は、所望の用途および用いられる処理の方法によって変化し得る。コストを考慮することもまた重要な役割を果たす。
【0022】
いくつかの実施態様では、混合する前にCNTおよび/または粒子を粉砕する。いくつかの実施態様では、これは混合プロセスの必須部分である。そのような粉砕は、図3に示すボールミル装置によるなどさまざまな方法を用いて実行することができる。図3を参照して、ボールミル装置300はモーター301を備え、モーター301にはホイール302が連結され、ホイール302にはベルト303が取り付けられ、ベルト303は第二のホイール304を駆動する。第二のホイール304はタービン305、ギア306およびチェーン307のアセンブリを介して、粉砕チャンバ309を回転させるシャフト308を駆動する。CNTおよび/または粒子を入れるのはこの粉砕チャンバ309である。
【0023】
CNTと粒子とを混合することはさまざまな方法で実行できる。いくつかの実施態様では、CNTと粒子とを乾燥状態で混合する。いくつかの実施態様では、粒子および/またはCNTを別々に予備分散する。本発明によると、予備分散は溶媒中に懸濁させることおよび/または分散させることを含む。本発明によると、溶媒はCNTおよび/または粒子を十分に分散させる任意の溶媒または複数溶媒であってよい。そのような溶媒は水、イソプロピルアルコール(IPA)、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン(THF)、CH2Cl2、シクロヘキサンおよびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。一般に、本発明のほとんどの実施態様では、溶媒を容易に除去(蒸発など)できると有利である。いくつかの実施態様では、超音波処理を用いて溶媒中へのCNTおよび/または粒子の懸濁および/または分散を容易にする。
【0024】
本発明によると、一般に微粒子マトリックス中のCNTの所望の比(例えば重量パーセント)を実現し、これによって電界放出のために最適な、あるいは所望のCNT密度を実現するような方法で混合を実行する。一般に、そのような比は用いられる物質、粒子サイズ、混合の均一さ、混合物層の厚さなどに依存する。
【0025】
いくつかの実施態様では、粒子は層状の形状を有し、剪断力を加えるとCNTと整列する。従って、混合物中のナノチューブを同じ方向に整列させ、これによってカソード上でCNT配向を実現して電界放出特性を改善することができる。より詳しくは、CNTを水性ソルまたはゲルを形成する粘土粒子と混合してよい。
【0026】
いくつかの実施態様では、CNTおよび粒子とともに別の物質を混合する。そのような別の物質はバインダー、界面活性剤、分散剤およびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。
【0027】
基板への混合物の塗布は、さまざまな方法で実現することができる。一般には、予め作製されたCNTと粒子とを含むコンポジット材料を、接触手段を用いて基板に接触させるか、あるいは堆積手段を用いてCNTと粒子との混合物を基板に塗布する。いくつかの実施態様では、まずCNTと粒子との混合物を溶媒中に分散させ、次に基板上に堆積させ、その後溶媒を除去する。いくつかの実施態様では、特定の配置またはパターンでCNTと粒子との混合物をある区域に堆積させる。いくつかの実施態様では、これはシャドウマスクを用いて実行される。そのような堆積手段はスプレー吹き付け、ブラッシング、電気泳動堆積、ディッピング、分配、スクリーン印刷、インクジェット印刷、スピンコーティングおよびそれらの組み合わせを含むが、それらには限定されない。いくつかの実施態様では、堆積前、堆積中および/また堆積後に基板を加熱する。そのような加熱は溶剤除去を助ける働きをする。
【0028】
図4は、CNTと粒子との混合物が基板上にスプレー吹き付けされる実施態様の例を示す。凝縮気体401を用いて溶媒に懸濁させたCNTおよび粒子403の混合物を含むアトマイザー402を駆動する。混合物403は、オプションとしてヒーター405および/または赤外線(IR)加熱ランプ406と接触する基板404上にスプレー吹き付けされ、CNTと粒子とを含むカソード材料層407を形成する。
【0029】
図5A〜Cは、本発明のいくつかの実施態様によってCNTと粒子との混合物を基板上に堆積させることができるスクリーン印刷方法の例を示す。図5Aを参照して、基板501は基板ステージ/チャック502の上に置かれ、画像スクリーンステンシル503と接触させられる。次に、図5Bに示すように、画像スクリーンステンシル503の全面にわたってスキージ505でCNTと粒子とを含むペースト504を「塗り伸ばす」。すると、ペースト504は画像スクリーンステンシル503の開口部の真下にある領域でだけ基板501と接触する。次に、図5Cに示すように基板ステージ/チャック502を降ろし、基板501上のパターン化されたカソード材料506を露出する。次に、基板ステージ/チャックからパターン化された基板を取り外す。
【0030】
図6は、分配装置またはインクジェットプリンタを用いて基板上にCNTと粒子との混合物を堆積させる実施態様の例を示す。図6を参照して、印刷ヘッド601は所望の様式で基板604上を平行移動する。印刷ヘッド601は基板604上を平行移動しながら、溶媒中に分散されたCNTと粒子とを含む小滴602をスプレー吹き付けする。これらの小滴602が基板604に接触すると、CNTと粒子とを含む印刷されたカソード材料603が形成される。いくつかの実施態様では基板604を加熱し、これによって前記小滴内での迅速な溶剤蒸発を実現する。分配中に、印刷ヘッド601に熱および/または超音波エネルギーを加えることがある。
【0031】
いくつかの実施態様では、本発明のカソードは一度作製された後で、電界放出装置中に組み込む前に真空環境中で加熱される。
【0032】
いくつかの実施態様では、参照によって本明細書中に組み込まれる2002年10月11日出願の本出願人らの係属中の米国特許出願第10/269,577号に記載されているように、活性化プロセスを用いてCNTを含む層を活性化させる。いくつかの実施態様では、この活性化プロセスはテーププロセスを含む。このテーププロセスによって表面におけるCNTの整列が実現され、それによってカソードの電界放出特性が改善されると考えられる。図7を参照して、工程7001で基板702およびカソード材料701を含むカソードが提供される。カソード材料はCNTと粒子とを含む。工程7002で、カソード材料701の上に粘着剤の側をカソード材料701側に向けてテープ703を置く。工程7003でテープ703を剥がし、配向したCNT704を含む活性化層を形成させる。
【0033】
メタル化CNTを利用する実施態様では、参照によって本明細書中に組み込まれる本出願人らの係属中の米国特許出願第10/406,928号明細書に記載されている手順によるように、そのようなメタル化CNTを整列させる場に堆積させるか、あるいは堆積させた後で整列させる場で処理することができる。
【0034】
堆積した膜(例えばCNT+粒子層)の中のCNTの密度の制御は、粒子粉末に対するCNT物質の比を変化させることによって実現される。これを最適化すると、膜から電子放出を引き出すために必要な電場を低下させることによって、堆積した膜の電界放出特性を改善する結果となる。本発明は高温処理工程をまったく必要とせず、すべてのプロセスは室温または室温近くで実行することができる。
【0035】
本発明の実施態様のいくつかの例をさらに十分に示すために以下の実施例を提供する。実施例はCNTを粒子と混合し、その結果得られた組成物をカソード材料として電界放出装置中に組み込む方法の例を示す。当業者は、以下の実施例中に開示される技法が本発明者らによって発見された本発明の実行において十分に機能する技法を表し、従って本発明の実行のための例となる方法を構成するとみなせると理解するべきである。しかし当業者は、本開示に照らして開示される特定の実施態様中に多くの変化を施し、それでも本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく同様のまたは類似の結果を得ることができることを理解するべきである。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
本実施例は、SWNTをアルミナ(Al2O3)ナノ粒子と混合して適切な密度を実現し、次に基板に塗布して電界放出ディスプレイ(図2および13参照)のカソードとして用いる本発明の実施態様の例を示す。本発明をより十分に説明するために、この実施態様の詳細な実施例を示す。
【0037】
SWNTは米国ケンタッキー州レキシントン(Lexington、KY、USA)のカーボレックス社(CarboLex,Inc.)から入手した。このSWNTは直径が約1〜2nm、長さが約5〜20μmであった。本実施例の場合、SWNTはCNTの部分集合であり、多くの場合にこれらの用語を無差別に用いてよいものとする。Al2O3ナノ粒子は米国マサチューセッツ州ウォード・ヒル(Ward Hill,MA,USA)のアルファ・イーザー(Alfa Aesar)から入手した。このナノ粒子は10〜20nmと非常に小さく、99.98%の純度を有する。
【0038】
単純なボールミルを用いてSWNT束を粉砕した。図3は、このボールミルの例を示す図である。この機械のミル速度は1分あたり約50〜60回転のオーダーである。この方法では、1gのSWNTを粉砕用に用いられる数十個のAl2O3球(直径5〜10mm)と一緒にイソプロピルアルコール(IPA)200〜300mlと混合した。カーボンナノチューブを分散させるためにこの材料を1〜14日間粉砕した。いくつかの実施態様では、カーボンナノチューブのより良好な分散を実現するために、界面活性剤または類似の物質を混合物に加えた(IPA100mlあたり約1滴)ことに注意する。
【0039】
Al2O3ナノ粒子は容易に塊を作るので、SWNTと混合する前にAl2O3ナノ粒子を分散させるとよい。従って、ホットプレート/磁気撹拌機によって作動する磁気攪拌子によって提供される撹拌を用いて、ビーカーの中の200〜300mlのIPAに1gのAl2O3ナノ粒子を混合した。ナノ粒子が互いに離れることができるように、この材料を1〜24時間撹拌した。
【0040】
粉砕したSWNTと分散したAl2O3ナノ粒子とを種々の重量比、すなわち10重量%SWNT+90重量%ナノ粒子、25重量%SWNT+75重量%ナノ粒子、50重量%SWNT+50重量%ナノ粒子、75重量%SWNT+25重量%ナノ粒子、および90重量%SWNT+10重量%ナノ粒子に従って混合した。絶えずかき混ぜていないと、SWNTとナノ粒子とはすぐに塊を形成するので、基板上にスプレー吹き付けする直前に超音波ホーンまたは超音波浴を用いてインクをIPA溶液の中に再分散した。この実験では、導電性ITO(酸化インジウムスズ)でコーティングしたガラス上に混合物をスプレー吹き付けした。2×2cm2の面積を有する基板の上に混合物をスプレー吹き付けした。基板上のより良好なコーティング均一性および分散を実現するために、スプレー吹き付け前に別のIPAを上記溶液に添加してもよい。この実験でスプレー吹き付けに用いられた溶液は、IPA100ml中約0.1gのナノチューブ/ナノ粒子混合物で構成されていた。IPAが基板の望ましくない領域に流れないよう、IPAを急速に蒸発させることを目的として、スプレー吹き付けプロセス中に基板の前面および背面を約70℃に加熱した。表面全体が混合物でコーティングされるまで、数回から数十回前後左右に基板にスプレー吹き付けした。結果として得られた混合物の厚さは約1〜20μmであった。次に基板を空気中で乾燥させた。図8には、a)90重量%SWNT+10重量%ナノ粒子とb)10重量%SWNT+90重量%ナノ粒子とを対比する走査電子顕微鏡写真を示す。図4は、スプレー吹き付けプロセスの例を示す。
【0041】
電界放出特性を比較するために、Al2O3ナノ粒子をまったく含まない100重量%SWNTもITOガラス基板上にスプレー吹き付けした。次に、図2に示したもののようにアノードとカソードとの間のギャップ約0.5mmを有するダイオード構成でカソードを蛍光面と一緒に取り付けることによって、すべてのカソードを試験した。テストアセンブリを真空チャンバの中に置き、10−7Torrに排気した。次に、カソードに負のパルス電圧(AC)を加え、アノードをアース電位に保持し、アノードで電流を測定する(試験のために直流電位を用いてもよい)ことによってカソードの電気的性質を測定した。いくつかの試料についての放出電流対電場のグラフを図9に示す。
【0042】
図10から、CNT物質の濃度が減少すると、6.25mA/cm2の電流密度を引き出すために必要な電場(アノードとカソードとの間の電圧をアノードとカソードとの間の間隔で除した値によって測定される)も小さくなることが分かる。ナノチューブ/ナノ粒子混合物中のSWNTの最善の濃度は20%と60%との間にある。従って、濃度を低くすることによってCNT物質の密度はCNTがもはや互いに遮蔽しない点まで低くなる。CNT濃度が20%未満まで低くなると、必要な電場が大きくなることも分かる。これはおそらくCNT濃度が低くなり過ぎ、電子を放出するために利用できるCNT繊維が少な過ぎる結果である。
【0043】
理論にこだわるものではないが、CNT濃度が高過ぎるとカーボンナノチューブ繊維は加えられた電場を互いに電気的に遮蔽すると考えられる。理想的には、すべてが完全に整列したら、チューブ間の距離はチューブの長さとほぼ同じ距離になるであろう。密度が低下し続けると、電気的な遮蔽の問題はあまり改善されないが、電子を放出するために利用できる繊維の数は密度とともに低下し続ける。従って、最善の放出パラメータを示すチューブの最適密度がある筈である。ここに示したデータは、CNT物質が約20%〜60%重量濃度の範囲にあるCNT物質とアルミナナノ粒子との混合物によって、この最適密度が実現されることを示している。
【0044】
(実施例2)
この実施例は、どのように活性化プロセスを用いて本発明のカソードの電界放出特性をさらに改善するかの例を示す。
【0045】
以前の開示(参照によって本明細書中に組み込まれる2002年10月11日出願の本出願人らの係属中の米国特許出願第10/269,577号)で、粘着テープ物質をCNT膜に貼り、次に粘着テープを剥がすことによってCNT膜を「活性化する」プロセスを記載した。これはCNT繊維の密度を低下させる効果も有する。上記で説明したCNT/アルミナ粉末混合物と組み合わせてこの活性化プロセスを試みた。結果は以前の場合と同じであった。
【0046】
SWNTとAl2O3との混合物を基板上にスプレー吹き付けした後、粘着テーププロセスを用いて表面上の物質の最上層を除去する。使用して類似の結果となる多くのブランドおよび多様な粘着テープがあると考えられるが、この方法では混合物を除去するために透明テープを用いた。貼り合わせプロセスを用いてテープをコーティングに接触させ、テープの粘着剤の側をカーボンナノチューブとアルミナ粒子との両方に接触させた。テープと、SWNTとAl2O3粒子コーティングとの間には確実に空気がない(泡が存在するとその区域の混合物は一様に剥がれない)ように注意する。テープと混合物コーティングとの間の接触面の空気を排除するために、ゴムローラを用いてさらにテープを押し付ける。最後に、混合物の50%未満が基板上に残るようにテープを剥がす。図7にこのテーププロセスの例を示す。
【0047】
非活性化試料を試験したと同じ方法で、活性化した試料の放出電流対電場(I/V)特性を試験した。図11はこの実験のI/V結果の一部を示す。図12では、CNT物質の重量の百分率としてのCNT濃度に対して、各試料が放出電流25mAに達したとき(図11参照)の電場をプロットしている。粘着テープで処理された試料の場合には、最適な性能を生じる濃度がCNT+Al2O3混合物中のCNTの40〜80重量%の範囲にシフトしたことに注意すると興味深い。前に説明したように、テープ活性化プロセスはCNT物質の濃度を低下させるので、図12で分かるように、これによって最適濃度範囲はAl2O3ナノ粒子粉末中のCNT繊維のより高い初濃度にシフトする結果となる。
【0048】
(実施例3)
本実施例は、粘土粒子を利用する本発明のいくつかの実施態様の例を示す。
【0049】
既に述べたように、粒子はナノ粒子であってよく、また多孔質シリコンあるいはゼオライト鉱物のいくつかの変化形の一つなど多孔質材料を含んでもよい。これらの粒子はまた粘土粒子などの層状物質を含むこともある。粘土の例はラポナイト、ベントナイトまたはヘクトライトを含むが、それらには限定されない。粘土は、層間に水分子または正負のイオン(カチオンまたはアニオン)を吸収し、これらのイオンと溶媒との交換相互作用を行なうことができる空間を有する層状物質である。粘土は非常に珍しい性質を有する。乾燥すると層間分子またはイオンが外に出て、層間ギャップは閉ざされ層スタックは著しく収縮することができる。これに対応して、図13で示すように粘土粒子が再水和すると粘土粒子層の間の空間1301は膨張する。
【0050】
水などの溶媒中に分散した粘土粒子によって溶液の粘度を著しく変化させることができる。水性溶液を増粘するその他の材料が存在するが、粘土粒子は粘度が剪断力に敏感である(剪断力によって粘度が何桁も低下する)という点で独特である。
【0051】
粘土粒子はCNT+ナノ粒子コンポジット中の他の粒子に対していくつかの利点を有することがある。チューブまたはパイプを通して押し出されると、粘土分子は押し出し機の壁との剪断相互作用によって互いに整列することもある。粘土粒子の溶液中にCNTが含まれていると、図14に例を示すように、粘土粒子の整列によってカーボンチューブを好ましい方向、または好ましい面あるいは層の中に整列させることが可能である。図14では層状粘土粒子1401およびCNT1402は領域1403から、領域1404を通って領域1405に流れる。層状粘土粒子1401およびCNT1402は領域1403ではランダム配向しているが、領域1405では配向している。
【0052】
粘土粒子はまた、脱水または層の収縮プロセス中に層間にCNTを閉じ込め、または捕捉することを助けることができる。層間のギャップは約2,3ナノメートルから数十ナノメートルの範囲にあり、CNTが層間に侵入できるように十分大きい。ギャップが収縮するとき、CNTは図15に示すように粘土粒子の層間に捕捉され、従って粒子に繋ぎ止められることがある。図15ではCNT1501は粘土粒子層1301の間に捕捉されている。これは、CNT+ナノ粒子コンポジットの安定性を大いに高めることがある。いくつかの実施態様では、CNT繊維の層間への侵入を助けるために、CNT繊維は官能化を必要とすることがある。粘土粒子は平らな、パンケーキの様な粒子なので、溶液を乾燥すると、CNTを粒子の間に閉じ込め、または捕捉するのは容易である。
【0053】
他の粒子またはナノ粒子に対して粘土粒子が有する別の利点は、粘土粒子が真空環境中で気体となって揮発する有機物または物質を添加することなく、スクリーン印刷用ペーストあるいは分配用またはインクジェット印刷用インクとして用いられる溶液の粘度を高められることである。水系材料として、それは他のスクリーン印刷用ペーストまたはインクより環境にやさしい。既に述べたように、粘土溶液はせん断力下では流れやすいが、静置されると沈殿してゲル粘稠度になる。これは、スキージを用いてスクリーン上に容易に塗り伸ばしまたは「ワイプ」できる(図5参照)が、印刷後はゲルに固化して流動しないので、理想的なスクリーン印刷ペーストとなる。これによって印刷パターンの解像度を大いに改善することができる。分配インク(図6参照)としてそれは類似の利点を有する。それは低粘度で分配管の中を流れ、このプロセスで粒子を整列させることができるが、一度基板上に分配されると、流れないゲル粘稠度になる。溶液は水性なので、印刷されたゲルを熱(約100℃程度)で容易に乾燥して粘土粒子とCNT繊維とにすることができる。ほとんどのスクリーン印刷ペーストとは異なり、この材料には高温での焼成は必要ない。
【0054】
CNTと混合した粘土粒子がスクリーン印刷できること、およびそのプロセスから高品質の電界放出が得られることを実証するために簡単な実験を実施した。5.6グラムの粘土ゲル(サザン・クレイ・プロダクツ(Southern Clay Products)製の水中0.05から3%のラポナイト)と0.1グラムのCNTとを乳鉢中で粉砕してCNTインクを作製した。既に説明した(図5)ように、スクリーン印刷機を用いてITOガラス基板上にこのインクを印刷した。試料をオーブン中100℃で30分間乾燥した。テープ層による活性化を用いて電界放出特性を改善してもよい(既に説明した)。図16にI‐V特性を示す。基板のサイズは3cm×3cmであった。
【0055】
粘土粒子+CNTコンポジットカソード材料から放出される電子の流れの結果としての蛍光スクリーン上の画像を図17に示す。図17を参照して、図の個々のサブピクセルは長さ6mmかける幅約1mmである。これによって、スクリーン印刷技法によって画素構造を印刷することができるが、電界放出装置またはディスプレイの動作のために硬化および調製するために、低温処理工程しか必要でないことを実証する。
【0056】
(実施例4)
数多くの他の用途が存在するが、本実施例は、どのようにして本発明のカソードを含む電界放出ディスプレイ装置をデータ処理システム中に集積化することができるかの例を示すためのものである。
【0057】
本発明を実行するための代表的なハードウェア環境を図18に示す。図18は、通常のマイクロプロセッサーなどの中央処理装置(CPU)1810およびシステムバス1812を通して相互接続された多数のその他の装置を有する本発明によるデータ処理システム1813の例となるハードウェア構成を示す。データ処理システム1813はランダムアクセスメモリ(RAM)1814、リードオンリーメモリ(ROM)1816およびディスク装置1820およびテープドライブ1840などの周辺装置をバス1812に接続する入出力(I/O)アダプタ1818、キーボード1824、マウス1826および/またはタッチスクリーン装置(図示していない)などのその他のユーザインタフェース装置をバス1812に接続するユーザインターフェースアダプタ1822、データ処理システム1813をデータ処理ネットワークに接続する通信アダプタ1834、およびバス1812をディスプレイデバイス200に接続するディスプレイアダプタ1836を含む。CPU1810はここには示していないが一般にマイクロプロセッサーの内部に見られる回路、例えば処理ユニット、バスインタフェースユニット、算術論理ユニットなどを含むその他の回路を含んでよい。CPU1810はまた単一の集積回路上にまとめられてもよい。
【0058】
本明細書中で説明した実施態様のすべては、システム1813の中のディスプレイを創り出すために用いられることに注意すべきである。
【0059】
本発明および本発明の利点を詳細に説明してきたが、添付の請求項によって定められる本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく、本発明にさまざまな変化、置き換えおよび変更を施すことができるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0060】
本発明および本発明の利点のより完全な理解を目的として、次に添付の図面とともに以下の説明を参照する。図面の内容は以下のとおりである。
【図1】図1は、CNTおよび粒子を含むカソードの例を示す。
【図2】図2は、本発明を組み込む電界放出ディスプレイ装置の例を示す。
【図3】図3は、CNTを粉砕するために用いることができるボールミル装置の例を示す。
【図4】図4は、どのようにしてスプレー吹き付けを用いて基板上にCNTと粒子との混合物を堆積させることができるかの例を示す。
【図5】図5、CNTと粒子との混合物を基板上に堆積させることに用いることができるスクリーン印刷装置の例を示す。
【図6】図6は、どのようにして分配またはインクジェット印刷を用いて基板上にCNTと粒子との混合物を堆積させることができるかの例を示す。
【図7】図7は、本発明のカソードがテープ手順によって「活性化」されるプロセスの例を示す。
【図8】図8AおよびBは、A)90重量%SWNT+10重量%ナノ粒子の混合物と、B)10重量%SWNT+90重量%ナノ粒子の混合物とを対比する走査電子顕微鏡写真の例を示す。
【図9】図9は、CNTとアルミナナノ粒子とを含むカソードの電子電界放出I/V曲線の例を示す。
【図10】図10は、本発明のさまざまなカソードに関して放出電流25mAにおけるCNT濃度(残部はアルミナナノ粒子)の関数としての電場のプロットの例を示す。
【図11】図11は、アルミナナノ粉末と混合され、次にテーププロセスを用いて活性化されたCNTからの電子電界放出I/V曲線の例を示す。
【図12】図12は、テーププロセスによってカソードを活性化した場合に、本発明のさまざまなカソードに関して放出電流25mAにおけるCNT濃度(残部はアルミナナノ粒子)の関数としての電場のプロットの例を示す。
【図13】図13は、粘土粒子が再水和するときの粘土粒子の膨潤の例を示す。
【図14】図14は、どのようにして剪断力を用いてCNTと層状(粘土)粒子との混合物を整列させることができるかの例を示す。
【図15】図15は、どのようにして脱水の結果としてCNTを粘土粒子の層間に閉じ込めることができるかの例を示す。
【図16】図16は、CNTおよび粘土粒子を含むカソードのI‐V特性の例を示す。
【図17】図17は、CNTおよび粘土粒子を含むカソードによって発生した蛍光スクリーン上の画像の例を示す。
【図18】図18は、本発明によって構成されたデータ処理システムの例を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)基板、および
b)カーボンナノチューブと粒子との混合物を含む電界放出カソード材料
を含む電界放出カソード。
【請求項2】
カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、バッキーチューブ、カーボンフィブリル、化学修飾されたカーボンナノチューブ、誘導体化されたカーボンナノチューブ、金属性カーボンナノチューブ、半導体性カーボンナノチューブ、メタル化カーボンナノチューブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1に記載のカソード。
【請求項3】
粒子は、球状粒子、円板形粒子、層状粒子、棒状粒子、金属粒子、半導体粒子、重合体粒子、セラミック粒子、誘電体粒子、粘土粒子、繊維、ナノ粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1に記載のカソード。
【請求項4】
カソード材料は基板の表面上に層として存在する、請求項1に記載のカソード。
【請求項5】
カソード材料の層は約10nmから約1mmの範囲の厚さを有する、請求項4に記載のカソード。
【請求項6】
ナノチューブは約0.1重量パーセントから約99重量パーセントの範囲の量でカソード材料中に存在する、請求項1に記載のカソード。
【請求項7】
カーボンナノチューブは整列している、請求項1に記載のカソード。
【請求項8】
カーボンナノチューブの少なくとも一端は粒子の間に閉じ込められている、請求項1に記載のカソード。
【請求項9】
カーボンナノチューブは粒子中の細孔内に閉じ込められている、請求項1に記載のカソード。
【請求項10】
カーボンナノチューブは粒子間のギャップ内に閉じ込められている、請求項1に記載のカソード。
【請求項11】
粒子は層状である、請求項1に記載のカソード。
【請求項12】
CNTは粒子内の層の間に閉じ込められている、請求項11に記載のカソード。
【請求項13】
a)アノードアセンブリ、および
b)カソードアセンブリ
を含む電界放出ディスプレイ装置であって、該カソードアセンブリは、
1)基板、
2)基板上に堆積した導電層、および
3)導電層上に層として堆積したカーボンナノチューブと粒子とを含む電界放出カソード材料
を含む電界放出ディスプレイ装置。
【請求項14】
a)カーボンナノチューブと粒子との混合物を作製する工程、および
b)カーボンナノチューブと粒子との混合物の層を基板上に堆積させてカソードを作製する工程
を含む方法。
【請求項15】
ナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、バッキーチューブ、カーボンフィブリル、化学修飾されたカーボンナノチューブ、誘導体化されたカーボンナノチューブ、金属性カーボンナノチューブ、半導体性カーボンナノチューブ、メタル化カーボンナノチューブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
粒子は球状粒子、円板形粒子、層状粒子、棒状粒子、金属粒子、半導体粒子、重合体粒子、セラミック粒子、誘電体粒子、粘土粒子、繊維、ナノ粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
カーボンナノチューブと粒子との混合物を作製する工程は粉砕操作を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
カーボンナノチューブと粒子との混合物を作製する工程は溶媒分散を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
カーボンナノチューブと粒子との混合物は、スプレー吹き付け、ブラッシング、電気泳動堆積、ディッピング、分配、スクリーン印刷、インクジェット印刷およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた方法を用いて堆積させられる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
混合物を基板上に堆積させた後に溶媒を混合物から除去する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
カソードを活性化させるテーププロセスをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
カーボンナノチューブと粒子との層の中のカーボンナノチューブを整列させる方法をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
粒子は層状である、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
カーボンナノチューブと層状粒子との混合物に加えられた剪断力を用いてカーボンナノチューブを整列させる方法をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
層状粒子は粘土を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項1】
a)基板、および
b)カーボンナノチューブと粒子との混合物を含む電界放出カソード材料
を含む電界放出カソード。
【請求項2】
カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、バッキーチューブ、カーボンフィブリル、化学修飾されたカーボンナノチューブ、誘導体化されたカーボンナノチューブ、金属性カーボンナノチューブ、半導体性カーボンナノチューブ、メタル化カーボンナノチューブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1に記載のカソード。
【請求項3】
粒子は、球状粒子、円板形粒子、層状粒子、棒状粒子、金属粒子、半導体粒子、重合体粒子、セラミック粒子、誘電体粒子、粘土粒子、繊維、ナノ粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項1に記載のカソード。
【請求項4】
カソード材料は基板の表面上に層として存在する、請求項1に記載のカソード。
【請求項5】
カソード材料の層は約10nmから約1mmの範囲の厚さを有する、請求項4に記載のカソード。
【請求項6】
ナノチューブは約0.1重量パーセントから約99重量パーセントの範囲の量でカソード材料中に存在する、請求項1に記載のカソード。
【請求項7】
カーボンナノチューブは整列している、請求項1に記載のカソード。
【請求項8】
カーボンナノチューブの少なくとも一端は粒子の間に閉じ込められている、請求項1に記載のカソード。
【請求項9】
カーボンナノチューブは粒子中の細孔内に閉じ込められている、請求項1に記載のカソード。
【請求項10】
カーボンナノチューブは粒子間のギャップ内に閉じ込められている、請求項1に記載のカソード。
【請求項11】
粒子は層状である、請求項1に記載のカソード。
【請求項12】
CNTは粒子内の層の間に閉じ込められている、請求項11に記載のカソード。
【請求項13】
a)アノードアセンブリ、および
b)カソードアセンブリ
を含む電界放出ディスプレイ装置であって、該カソードアセンブリは、
1)基板、
2)基板上に堆積した導電層、および
3)導電層上に層として堆積したカーボンナノチューブと粒子とを含む電界放出カソード材料
を含む電界放出ディスプレイ装置。
【請求項14】
a)カーボンナノチューブと粒子との混合物を作製する工程、および
b)カーボンナノチューブと粒子との混合物の層を基板上に堆積させてカソードを作製する工程
を含む方法。
【請求項15】
ナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、バッキーチューブ、カーボンフィブリル、化学修飾されたカーボンナノチューブ、誘導体化されたカーボンナノチューブ、金属性カーボンナノチューブ、半導体性カーボンナノチューブ、メタル化カーボンナノチューブ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
粒子は球状粒子、円板形粒子、層状粒子、棒状粒子、金属粒子、半導体粒子、重合体粒子、セラミック粒子、誘電体粒子、粘土粒子、繊維、ナノ粒子、およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
カーボンナノチューブと粒子との混合物を作製する工程は粉砕操作を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
カーボンナノチューブと粒子との混合物を作製する工程は溶媒分散を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
カーボンナノチューブと粒子との混合物は、スプレー吹き付け、ブラッシング、電気泳動堆積、ディッピング、分配、スクリーン印刷、インクジェット印刷およびそれらの組み合わせからなる群から選ばれた方法を用いて堆積させられる、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
混合物を基板上に堆積させた後に溶媒を混合物から除去する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
カソードを活性化させるテーププロセスをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
カーボンナノチューブと粒子との層の中のカーボンナノチューブを整列させる方法をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
粒子は層状である、請求項14に記載の方法。
【請求項24】
カーボンナノチューブと層状粒子との混合物に加えられた剪断力を用いてカーボンナノチューブを整列させる方法をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
層状粒子は粘土を含む、請求項23に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公表番号】特表2006−502554(P2006−502554A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−543641(P2004−543641)
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/032104
【国際公開番号】WO2004/034417
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505131522)ナノ−プロプライエタリー, インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2003/032104
【国際公開番号】WO2004/034417
【国際公開日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【出願人】(505131522)ナノ−プロプライエタリー, インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】
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