粒子材料アプリケータ及びポンプ
【課題】材料塗布システムの洗浄性を高め、且つ色変更時間を短縮する装置及び方法を提供する。
【解決手段】材料塗布装置のノズルアセンブリ900は、濃厚相ポンプからノズル902に給送される粉体の速度を低下させるための膨脹室906を含む。ノズルアセンブリは、膨脹室を形成するとともに空気補助機能を提供するノズルインサート904を含む。ノズルは、一体型の偏向器910を含み、帯電電極922用の通路920をさらに含むため、電極先端922aをノズルから出る粉体スプレーパターンの中心に位置付けながら、粉体路から電気経路が通される。ノズルは、電極用の空気洗浄も含む。ノズルの出口オリフィス914は、入口の断面積以上の大きさの断面積を有するため、低速で移動する濃厚相粉体雲がノズルにより生成される。
【解決手段】材料塗布装置のノズルアセンブリ900は、濃厚相ポンプからノズル902に給送される粉体の速度を低下させるための膨脹室906を含む。ノズルアセンブリは、膨脹室を形成するとともに空気補助機能を提供するノズルインサート904を含む。ノズルは、一体型の偏向器910を含み、帯電電極922用の通路920をさらに含むため、電極先端922aをノズルから出る粉体スプレーパターンの中心に位置付けながら、粉体路から電気経路が通される。ノズルは、電極用の空気洗浄も含む。ノズルの出口オリフィス914は、入口の断面積以上の大きさの断面積を有するため、低速で移動する濃厚相粉体雲がノズルにより生成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、包括的には、材料塗布システム、例えば限定はされないが粉体コーティング材料塗布システムに関する。より詳細には、本発明は、洗浄時間及び色交換時間を短縮し、使いやすさを改善するアプリケータ及びポンプに関する。
【0002】
[関連出願]
本願は、「Improved Particulate Material Application System」として2004年9月17日に出願された係属中の米国特許出願第10/711,434号、「Spray Applicator for Particulate Matter」として2004年11月19日に出願された係属中の米国特許出願第10/515,400号、及び「Spray Applicator For Particulate Matter」として2004年8月18日に出願された国際出願第PCT/US04/26887号の一部継続出願であり、さらにこれらの継続出願により、「Powder Applicator with Pattern Adjustment」として2003年8月18日に出願された米国仮特許出願第60/481,250号、「Powder Spray Applicator」として2003年11月18日に出願された米国仮特許出願第60/523,012号、「Powder Coating Material Spray Gun」として2004年3月19日に出願された米国仮特許出願第60/554,655号、及び「Pinch Pump with Vacuum Tube」として2003年11月24日に出願された係属中の米国仮特許出願第60/524,459号の利益を主張し、この引用によって、上記出願の開示内容のすべてを本明細書に完全に援用する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
材料塗布システムは、1つ又は複数の材料を1つ又は複数の層で物体に塗布するために用いられる。一般的な例は、粉体コーティングシステム、並びに、食品加工産業及び化学産業に用いることができるような他の粒子材料塗布システムである。これらは、粒子材料を物体に塗布するのに用いられる様々な多くのシステムのほんの数例にすぎないが、それによって本発明の実現性を見出すことができる。
【0004】
乾燥粒子材料の塗布は、いくつかの異なる点で特に困難である。一例は、粉体スプレーガンを用いた粉体コーティング材料の物体への塗布であるが、これは決して本発明の使用及び用途を限定するものではない。スプレーされた粉体は雲状又は拡散したスプレーパターンに広がる傾向があるため、既知の粉体塗布システムは、閉じ込め用のスプレーブースを用いる。目標物体に付着しない粉体粒子は、一般に粉体オーバースプレーと呼ばれ、これらの粒子はブース内で不規則に落下する傾向があり、スプレーブース内のほぼ全ての露出表面に降りかかる。したがって、洗浄時間及び色交換時間は、粉体オーバースプレーに曝される表面積の大きさに大きく関係する。
【0005】
色交換時間及び洗浄時間は、粉体オーバースプレーに曝される外表面積に加えて、塗布プロセス中に粉体流に曝される内表面積の大きさに大きく関係する。このような内表面積の例には、粉体の供給源から粉体スプレーガンに至るまでの粉体流路を形成する全表面積が含まれる。粉体流路は通常、粉体供給源から1つ又は複数のスプレーガンに粉体を移送するのに用いられるポンプを含む。供給源、ポンプ、及びガンを相互接続するには、ホースが一般に用いられる。
【0006】
粉体流路の内表面積は通常、粉体流路の各部分に加圧空気等のパージガスを吹き込むことにより洗浄される。材料が衝突する表面を有する磨耗部品、例えば通常の粉体スプレーガンのスプレーノズルは、磨耗面への粉体の融着により洗浄が困難な場合がある。
【0007】
大半の粉体スプレー塗布システムは、内部で物体がスプレーされる粉体閉じ込め用ブース又はスプレーブースを用いる。粉体オーバースプレーは粉体回収システムにより回収され、粉体回収システムは通常、スプレーブースから、普通は壁又は床の開口を通して大量の空気を引き出すことに基づいて動作する。この大きな空気量は、粉体オーバースプレーがスプレーブース外に出るのを防止するための閉じ込め用空気としての役割を果たす。この閉じ込め用空気は粉体オーバースプレーを乗せて運び、粉体オーバースプレーは、一次フィルタ又はサイクロン等の適当な装置によって閉じ込め用空気から分離される。一次フィルタ又はサイクロンは通常、空気に乗せられた粉体オーバースプレーを100%抽出しないため、次ぎのフィルタを用いて大気への放出前に残留粉体が空気から濾過除去される。
【0008】
既知の粉体コーティング材料供給システムは概して、新しいすなわち「バージン」粉体の新鮮な供給物を入れる箱又はホッパ等の容器を伴う。この粉体は通常、ホッパ内で流動化され、これは、空気を粉体中に圧送してほぼ液状の粉体床を形成することを意味する。流動粉体は通常、材料と空気との濃混合気である。多くの場合、回収された粉体オーバースプレーは、篩機構を介して供給源に戻される。ベンチュリポンプを用いて、吸引ラインすなわち管を通して供給源から給送ホースへ粉体が引き込まれ、続いて正圧下でホースを通してスプレーガンまで粉体が押し出される。ベンチュリポンプは逆方向パージすることができないため、このようなシステムを色交換作業のために洗浄するのは困難であり、吸引管及び関連する支持フレームに粉体が残り、ホッパの交換は時間がかかり得る。篩もまた、多くの場合、粉体回収システムの一部として別個のハウジング構造内にあるか、又はその他の理由で容易にアクセス可能ではないため、洗浄に問題があり時間がかかる。これらの部品の大部分は、粉体残渣をサイクロン又は他の粉体回収ユニットに吹き戻すために作業者が手動で用いる高圧エアワンドを用いて、洗浄する必要がある。作業者が色交換のためにシステムの洗浄及びパージに費やさなければならない時間全てが、システムの不稼働時間及び非効率を意味する。
【0009】
一般に既知の2つのタイプの乾燥粒子材料移送プロセスがあり、本明細書ではこれらを希薄相及び濃厚相と呼ぶ。希薄相システムは、大量の空気を利用して、1つ又は複数のホースを通して供給源からスプレーアプリケータに材料を押し出す。粉体コーティングシステムで用いられる一般的なポンプ設計は、高速で大量の空気を粉体流に導入するベンチュリポンプである。(例えば、ポンド/分又はポンド/時で)十分な粉体流量を得るために、流路を構成する部品は、材料に対する空気の比が非常に大きい流れ(換言すれば希薄な流れ)に対応するほど十分に大きくなければならず、そうでなければ大きな背圧及び他の悪影響が起こる可能性がある。
【0010】
他方、濃厚相システムは、空気に対する材料の比が大きいこと(換言すれば濃厚な流れ)を特徴とする。濃厚相ポンプは、「Process and Equipment for the Conveyance of Powdered Material」として2004年7月16日に出願された係属中の米国特許出願第10/501,693号に記載されており、この米国特許出願の開示内容をすべて個の引用により本明細書に完全に援用する。当該米国特許出願は本明細書の出願人に所有されている。このポンプは概して、ガス透過性部材により一部が画定されるポンプ室を特徴とする。一例として粉体コーティング材料等の材料が、重力及び/又は負圧によりポンプ室の一端に引き込まれ、正空気圧によりポンプ室の反対端から押し出される。このポンプ設計は材料を移送するのに非常に効果的であるが、その理由の1つは、ガス透過性材料がポンプ室の一部を形成するという新規構成である。しかしながら、場合によっては、ポンプ全体を見ると、パージ、洗浄、色交換、保守、及び材料流量制御に関して完全に最適であるとはいえない。
【0011】
既知の材料塗布システムの多くは、粒子材料の静電帯電を利用して塗着効率を高める。粉体コーティング材料とともに一般的に用いられる静電帯電の1つの形態は、粉体が通過するイオン化電場の生成を伴うコロナ帯電である。静電場は、静電スプレーガンに設置される帯電電極に接続される高圧源により生成される。通常は、これらの電極は粉体路内に直接配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[発明の概要]
本発明は、材料塗布システムの洗浄性を高め、且つ色変更時間を短縮する装置及び方法を提供する。洗浄性は、特に、アプリケータの外面及びスプレーブースの内面から除去する必要がある粉体オーバースプレーの量を減らすことを指し、したがって塗着効率にも関連する。洗浄性は、供給源からスプレーアプリケータ出口までの粉体路を画定する内面からパージ又は他の方法で除去する必要がある粉体の量を減らすことも指し得る。洗浄性は、パージ又は他の方法での粉体流路の洗浄の行いやすさも指し得る。洗浄性を高めることで、汚染の危険性が低減し、第2の色の粉体を導入する前に粉体流路から第1の色の粉体を除去するのに要する時間の長さが短縮されることにより、色交換時間の迅速化につながる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、洗浄性は、塗着効率を高めることにより高められる。塗着効率とは、スプレーされる全粉体に対する、目標物体にスプレーされて付着する粉体の割合すなわち比を意味する。一実施の形態では、塗着効率は、低速で移動する濃厚相の粉体雲を生成するノズル設計により高められる。一実施の形態では、ノズルから出る粉体流の速度を低下させるための膨脹室を含むノズルが提供される。より具体的な実施の形態では、出口オリフィスの断面積が、ノズルに接続される送出ホースの断面積よりも大きい。霧化のため及び/又は通過性の高い速度(penetrating velocity)を生み出すために、ノズル内の空気補助を任意に提供してもよい。静電アプリケータの場合、軸上の粉体雲を帯電させる電極が設けられるが、この場合、電極及び電極ホルダは粉体流路には配置されない。他の実施の形態の他のオプションの特徴には、電極の空気洗浄、及びノズル内の空気補助に用いられる空気通路への粉体の逆流を防止するためのフィルタ機構が含まれる。さらなるオプションの特徴には、ノズル体の一部としての一体型偏向器が含まれる。
【0014】
本発明は、色交換順序及びポンプ動作の改善も意図している。
【0015】
本発明は、濃厚相ポンプに負圧すなわち吸引を与える代替的な技法も意図している。一実施の形態では、負圧槽又は負圧アキュムレータを用いて、負圧源及び負圧タイミングをポンプ室及び関連するタイミングから分離する。
【0016】
さらに本発明のこの態様によれば、内表面積は、高密度低体積の材料給送で動作するようにスプレーアプリケータを設計することにより縮小される。これに関して、高密度とは、スプレーアプリケータに供給される粉体がその中に有する搬送空気すなわち流動空気の量が、従来の粉体流システムと比較して大幅に少ないことを意味する。低体積とは、単に、従来の粉体スプレーガンと比較して密度が高いため、粉体を給送するのに必要な流動空気の使用量が少なくなることを指す。粉体流中の相当量の空気を除去することにより、粉体給送ホース及び粉体給送管等の関連する導管の直径を実質的に縮小することができ、これにより、内表面積を実質的に縮小することができる。これは、スプレーアプリケータの全体寸法の大幅な低減、したがって粉体オーバースプレーに曝される外表面積の大きさのさらなる縮小にもつながる。手動操作式のスプレーアプリケータの場合、本発明は、容易に交換可能又は取り外し可能な粉体路を提供する。いずれの場合も、任意に1つの部品しか備えない粉体流路が実現される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、ノズルではなく空気キャップを用い、且つポンプ出口からアプリケータ出口まで単一内径である粉体流路を有する、ポンプ・アプリケータ機構が意図されている。
【0018】
本発明の別の態様によれば、材料流量の調整を伴うスプレーパターン調整が実施される。一実施の形態では、粉体流に向けられる空気を変えることによりスプレーパターンが調整されると、材料流量はそれに従って調整される。パターン形状及び流量の制御は、処理されている種々の物体に関する材料塗布の仕方(レシピ)に個別に又は一緒に含まれることができる付加的なパラメータである。
【0019】
本発明のこれら及び他の態様及び利点は、添付図面を参照して以下の好ましい実施の形態の説明から、当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[発明及びその例示的な実施形態の詳細な説明]
本発明は、粒子材料塗布システムの様々な新規態様を意図している。概して、本発明は、3つの主なシステム機能、すなわち、材料の供給源、材料を物体に塗布するのに用いられるアプリケータ、及び供給源からアプリケータへ、又は回収システムから供給源へ粉体を移送する移送装置又はポンプに関する。3つの主なシステム機能は、互いに、また通常の材料塗布システムの他の機能と動作的に連係し、こうした他の機能には、通常はスプレーブースの形態のオーバースプレー閉じ込め機能、及び通常はフィルタベース又はサイクロンベースの材料回収装置の形態のオーバースプレー回収機能が含まれる。
【0021】
システムの観点から、本発明は特に、色交換作業に必要な総時間を大幅に短縮するようにシステムの洗浄性を高めることに関する。さらに、本発明は、システム又はサブシステムを少ない労働力及び時間で使用しやすくする種々の態様に関する。本発明の例示的な実施形態では、材料は濃厚相で扱われるが、本発明の全態様が濃厚相システムのみで実施される必要はない。
【0022】
「濃厚相」とは、粒子流中に存在する空気が給送ホッパ等の供給源における材料を流動化するのに用いられる空気の量とほぼ同じであることを意味する。本明細書で用いる場合、「濃厚相」及び「高密度」は、空気搬送システム内の低空気体積モードの材料流という同じ概念を伝えるために用いられ、この場合、材料粒子の全てが懸濁状態で搬送されるわけではない。このような濃厚相システムでは、材料は、従来の希薄相システムと比較して著しく少ない空気体積で流路に沿って押し進められ、材料は、どちらかというと流路に沿って互いに押し固まる栓の性質を帯びて、或る意味では流路内でピストンとして栓を押すようにして流れる。流路の断面が小さいほど、より低い圧力でこの移動を行わせることができる。
【0023】
これに対して、従来の流れシステムは、空気搬送システムにおける材料流の一つのモードである希薄相を用いる傾向があり、この場合、粒子は全て懸濁状態で搬送される。従来の流れシステムは、供給源から材料を圧送して正圧下でスプレー塗布装置を通して材料を押すために、かなりの量の空気を流れに導入する。例えば、従来の粉体コーティングスプレーシステムの大半が、ベンチュリポンプを用いて供給源からポンプへ流動化した粉体を引き込む。ベンチュリポンプは、意図的にかなりの量の空気を粉体流に加える。通常は、流動空気及び霧化空気が粉体に加えられて、正圧下で給送ホース及びアプリケータ装置を通して粉体を押す。したがって、従来の粉体コーティングスプレーシステムでは、粉体が高速で高体積の空気に乗せられて搬送されるため、使用可能な粉体流量を得るために大きな直径の粉体通路が必要となる。
【0024】
濃厚相流は、多くの場合、高圧下で密閉容器に材料を移送することに関連して用いられる。本発明は、単なる材料の輸送又は移送というよりむしろ材料塗布に関するため、高圧下での密閉容器への濃厚相の移送と比較して、大幅に低い圧力及び流量での流れを意図している。
【0025】
約3〜約6cfmの空気体積流量を有する従来の希薄相システム(例えば、ベンチュリポンプ機構を用いるもの等)と比較して、本発明は、例えば約0.8〜約1.6cfmで動作することができる。したがって、本発明では、粉体送出量は約150〜約300グラム/分程度であり得る。
【0026】
濃厚相流対希薄相流は、空気流中の材料の濃い濃度対薄い濃度と考えることもできるため、空気に対する材料の比率は濃厚相システムの方がはるかに高い。換言すれば、濃厚相システムにおいて、単位時間当たり同量の材料が通過する(例えば管の)断面は、希薄相流よりも小さい。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、粉体給送管の断面積は、従来のベンチュリタイプシステムの給送管の面積の約1/4である。この場合、単位時間当たりの同等の材料流に関しては、材料は空気流中で、従来の希薄相システムの約4倍も濃い。
【0027】
本発明は、スプレーアプリケータを含む材料塗布システム及びそれに含まれる種々の改良点に関し、それら改良点には低圧濃厚相アプリケータに特有のものもあるが、濃厚相か、低圧濃厚相か、又は他のものであるかに関係なく、多くのタイプの材料流システムに有用なものもある。したがって、アプリケータの場合、本発明は、特に濃厚相材料流が生成されてアプリケータに給送される方法に関するわけではない。概して、濃厚相の送出は、上述のように低空気体積で、負圧下で材料を室内に引き込み正圧下で材料を排出するように動作するポンプにより行われる。既知の濃厚相ポンプ及び移送システムがいくつかあり、これには、限定はされないが以下の開示、欧州特許出願第03/014,661.7号、国際公開第03/024,613号パンフレット、及び国際公開第03/024,612号パンフレットが含まれ、これらの開示内容のすべてをこの引用により本明細書に完全に援用する。
【0028】
本発明は、粒子材料用の濃厚相ポンプのいくつかの新規態様も意図している。ポンプは、任意の数又はタイプのスプレーアプリケータ装置又はスプレーガン及び材料供給源と組み合わせて用いることができる。本発明はさらに、色交換プロセスの改善を意図している。
【0029】
図1を参照すると、例示的な実施形態では、本発明は、例えば通常の粉体コーティングスプレー装置10等の材料塗布システムとともに用いられて示される。このような機構は、一般に、内部で物体又は部品Pに粉体コーティング材料がスプレーされる粉体スプレーブース12を含む。部品Pへの粉体の塗布は、概して、本明細書では粉体スプレー、コーティング又は塗布動作或いはプロセスと呼ばれるが、粉体が実際に部品に塗布される前、塗布されている間、又は塗布された後に制御及び実行される、任意数の制御関数、ステップ、及びパラメータがあってもよい。
【0030】
既知のように、部品Pは、ハンガー16又は任意の他の便宜上適当な機構を用いて、オーバーヘッドコンベヤ14から吊り下げられる。ブース12は、1つ又は複数の開口18を含み、開口18を通して1つ又は複数のアプリケータ20を用いて、部品Pをブース12内で移動させながら部品Pにコーティング材料を塗布することができる。アプリケータ20は、システム10全体の特定の設計に応じていかなる数であってもよい。各アプリケータは、装置20aにおけるような手動操作式装置であってもよく、又は本明細書では自動アプリケータ20bと呼ぶシステム制御式装置であってもよい。この場合、「自動」という用語は、単に、自動アプリケータが手動支持及び手動トリガされるのではなく、支持体に取り付けられて制御システムによりトリガオン及びトリガオフされることを指す。
【0031】
粉体コーティング材料塗布業界では、粉体アプリケータを粉体スプレーガンと呼ぶのが一般的であり、本明細書の例示的な実施形態に関して、アプリケータ及びガンという用語は交換可能に用いられる。しかしながら、本発明は、粉体スプレーガン以外の材料塗布装置にも適用可能であることが意図されるため、本発明を粉体コーティング材料塗布システムに加えて多くの材料塗布システムで用いることができるという概念を伝えるために、アプリケータというより一般的な用語を用いる。本発明のいくつかの態様は、静電スプレーガンと非静電スプレーガンとに同様に適用可能である。本発明はまた、「スプレー」という語に機能的に関連することに限定されない。本発明は、粉体スプレー塗布に特に適しているが、本明細書に開示されるポンプの概念及び方法は、スプレーだけでなく他の材料塗布技法とともに用いることができ、こうした技法が分配、放出、塗布、又は特定のタイプの材料塗布装置を説明するために用いられ得る他の用語のいずれを指すかは関係ない。
【0032】
スプレーガン20は、給送センター又は供給源22から関連する粉体給送又は供給ホース24を通して粉体を受け取る。「給送センター」及び「供給源」という用語は、本明細書では、本発明による任意の粒子材料源を指すために交換可能に用いられる。供給源22が粉体用の容器という意味で給送ホッパに似ている限り、供給源22はホッパであると考え、ホッパと呼ぶことができる。
【0033】
自動ガン20bは通常、支持体26に取り付けられる。支持体26は、単純な固定構造であってもよく、又は、スプレー動作中にガンを昇降移動させることができる揺動器、又はスプレーブースからガンを出入り移動させることができるガン移動器若しくは往復動器等の可動構造であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0034】
スプレーブース12は、通常はブース内への大量の搬送空気流によって、ブース内に粉体オーバースプレーを収容するように設計される。ブース内へのこの空気流は通常、粉体オーバースプレー再利用又は回収システム28により行われる。回収システム28は、空気と、空気に乗せられている粉体オーバースプレーをブースから、例えば導管30等を通して引き出す。一部のシステムでは、粉体オーバースプレーは、戻りライン32で表されるように給送センター22へ戻される。システムによっては、粉体オーバースプレーは、廃棄されるか又は別個の容器に回収される。
【0035】
本明細書の例示的な実施形態では、粉体は、第1の移送ポンプ400により回収システム28から給送センター22へ移送し戻される。各ガンポンプ402を用いて、給送センター22から1つ又は複数の関連するスプレーアプリケータ又はガン20へ粉体が供給される。例えば、第1のガンポンプ402aを用いて濃厚相粉体流が手動ガン20aに供給され、第2のガンポンプ402bを用いて濃厚相粉体流が自動ガン20bに供給される。ガンポンプ及び移送ポンプの設計は、任意の便利に利用可能な又は適当な設計であり得る。例えば本明細書で上記した特許出願に記載の又は本明細書でさらに後述するポンプ等、濃厚相ポンプを用いてもよく、或いは希薄相ポンプを用いてもよい。
【0036】
各ガンポンプ402は、空気圧供給マニホルド404によりガンに供給される通常の空気等の加圧ガスで動作する。各マニホルド及びポンプアセンブリは、直接接合されているように図1では概略的に示されているが、実際には、マニホルド404は、キャビネット又は他の筐体内に配置されて、キャビネットの壁にある開口を通してポンプ402に直接取り付けられることが意図される。このように、マニホルド404は、ソレノイド弁等の電力を含むことができ、スプレー環境から隔離される。
【0037】
マニホルド404は、本明細書で後述する目的のために、その関連するポンプ402に加圧空気を供給する。さらに、各マニホルド404は、空気ホース又は空気ライン406を介してスプレーガン20に供給される加圧パターン空気供給源405を含む。主要空気408が、システム10のエンドユーザの製造設備内の任意の適当な源から、マニホルド404に供給される。
【0038】
この実施形態では、第2の移送ポンプ410を用いて、バージン(すなわち未使用)粉体の供給源412から給送センター22へ粉体が移送される。当業者には、必要な移送ポンプ410及びガンポンプ402の数がシステム10全体の要件及びシステム10を用いて行われるスプレー動作の要件により決まることが理解されるであろう。
【0039】
ガン20及びポンプ400、402、410を除いて、供給源22、スプレーブース12、ガン移動器26、コンベヤ14、及び回収システム28含む材料塗布システム10の選択された設計及び動作は
、本発明の必須部分を形成するものではなく、特定のコーティング塗布の要件に基づいて選択することができる。制御システム39も同様に、プログラマブルプロセッサベースのシステム又は他の適当な制御回路等、従来の制御システム構成であってもよい。制御システム39は、通常はプログラマブルロジック及びプログラムルーチンを用いて、給送センター制御36(例えば、供給制御及びポンプ動作制御)、ガン動作制御38、ガン位置制御40(例えば、用いられる場合は往復動器/ガン移動器26の制御関数等)、粉体回収システム制御42(例えば、フィルタブロワの後のサイクロンセパレータの制御関数等)、コンベヤ制御44、及び材料塗布パラメータ制御46(例えば、粉体流量、塗布膜厚、静電又は非静電塗布等)を含むがこれらに必ずしも限定されない、概して図1に示す多様な制御関数及びアルゴリズムを実行する。従来の制御システムの理論、設計、及びプログラミングを利用することができる。
【0040】
ガン動作38の制御関数としては、ガントリガオン/オフ時間、電圧及び電流の設定及び監視等の静電パラメータ、並びにガンへの粉体流量及び空気流量が挙げられるが、これらに限定されない。これらの関数及びパラメータは、部品レシピとして一般に知られているものを構成し、部品レシピは、塗布される各色又はタイプの粉体に関するパラメータ及び制御関数のセットを各部品が独自に有し得ることを意味する。これらの制御関数及びパラメータは、既知のように従来のものであってもよい。しかしながら、さらに、本発明は、特にスプレーパターン調整及び粉体霧化空気に関する本発明のスプレーアプリケータ及びポンプの新たな制御関数を意図しており、これについては本明細書で後述する。このさらなるガン制御関数は、一実施形態では、ノズルが一般的に用いられ濃厚相粉体流が用いられない従来のシステムとは対照的に、ノズル装置をもはや用いないという特徴とともに濃厚相粉体流に用いられる空気補助機能を用いて、本発明により利用可能となる。さらにまた、本発明は、スプレーパターンの変化に応じて材料流量が調整される、ポンプ制御のオプションの特徴を意図している。これらの新規特徴は、部品レシピ全体に組み込むことができる。
【0041】
しかしながら、本発明はさらに、濃厚相用途のためのスプレーアプリケータのノズルも提供し、これについては本明細書でさらに後述する。
【0042】
本明細書で説明される実施形態は、粉体コーティング材料塗布システムにおいて用いられる濃厚相輸送システムに関して示されるが、本発明を、タイヤ上のタルク、おむつ等の超吸収体、小麦粉、砂糖、塩等の食品関連材料、乾燥剤、離型剤、及び医薬品を含むがこれらに決して限定されない、多くの異なる乾燥粒子材料塗布システムにおいて用いることができることは、当業者には容易に理解されるであろう。これらの例は限定ではないが、粒子材料の物体への濃厚相塗布についての本発明の広範な用途を示すよう意図される。選択される材料塗布システムの特定の設計及び動作は、本明細書で特に明記されない限り、本発明に制限を加えるものではない。
【0043】
本発明の種々の態様は、例示的な実施形態と組み合わせて具現されるように本明細書では説明及び図示されるが、これら種々の態様は、個別に、又は種々の組み合わせ及びそれら組み合わせのさらなる組み合わせ(sub-combinations thereof)で、多くの代替的な実施形態で実現することができる。本明細書で明確に除外しない限り、このような組み合わせ及びさらなる組み合わせは本発明の範囲内にあるよう意図される。さらにまた、代替的な材料、構造、構成、方法、装置、ソフトウェア、ハードウェア、制御ロジック等、本発明の種々の態様及び特徴に関する種々の代替的な実施形態が本明細書で説明され得るが、このような説明は、現在既知であるか将来開発されるものであるかに関係なく、利用可能な代替的な実施形態の完全な又は網羅的なリストであることを意図するものではない。当業者であれば、本発明の範囲内で、本発明の態様、概念、又は特徴の1つ又は複数をさらなる実施形態に取り入れることができ、このような実施形態が本明細書で明確に開示されていないとしてもそれを行うことができる。さらに、本発明のいくつかの特徴、概念、又は態様が好ましい構成又は方法として本明細書で説明されている場合があっても、このような説明は、そのように明記されない限り、このような特徴が要求されるか又は必要であることを提案するよう意図するものではない。さらにまた、本発明の理解に役立つように、例示的又は代表的な値及び範囲が含まれている場合があるが、このような値及び範囲は、限定を意味するものと解釈すべきではなく、そのように明記されている場合は臨界値又は範囲であることのみが意図される。
【0044】
図1の全体的な概略図からも、このような複雑なシステムは、洗浄及び色交換の準備を行うのが非常に困難であり時間がかかる可能性があることが理解できる。通常の粉体コーティング材料は非常に細かく、スプレーされている物体に向けて細かい雲状又はスプレーパターンで塗布される傾向がある。静電技術を用いても、かなりの量の粉体オーバースプレーは避けられない。色交換中の交差汚染は、多くの産業で重要な問題であるため、材料塗布システムを色交換ごとに徹底的に洗浄することができることが重要である。しかしながら、色交換は材料塗布システムをオフラインにする必要があるため、コスト推進要因である。本発明は容易且つ迅速に洗浄できるスプレーアプリケータを提供することを目的とする。本発明のさらなる特徴及び態様は、洗浄性及び色交換に関する事項とは切り離して適用可能である。
【0045】
図2A及び図2Bを参照すると、本発明による自動スプレーアプリケータ20bの例示的な実施形態が示されている。同じ実施形態が、図3A及び図3Bの分解斜視図に示されている。
【0046】
スプレーアプリケータ20bは、アプリケータ構成部品の大半を囲む主ハウジング100を含む。ハウジング100は、粉体入口端102及び出口端104を有する。粉体管106がハウジング100のほぼ全長に延びる。粉体管106は、その入口端106aからその出口端106bまで直線状の一続きの粉体路を形成する。粉体管は、粉体が溜まる可能性がある継手の数を最小にするために、シングルピースの管路であることが好ましい。これにより、アプリケータ20bの内部の洗浄及びパージが容易になる。ガンハウジング100内の粉体路にある唯一の継手は、粉体ホース(図示せず)がガンの入口端102に接続される場所であり、これについては本明細書で後述する。
【0047】
本発明の一態様によれば、ガン20の設計は、入口から出口に至るまで延びる一直線の粉体管106で十分に動作可能であることにより、洗浄及び色交換に特に有利である。管の直径は、ポンプ402から濃厚相粉体流が出ることから縮小されているため、洗浄する内表面積が小さくなる。さらに、ガンの粉体入口とポンプの出口との間に接続される粉体ホースは、粉体管の直径と同じ直径とすることができる。したがって、ポンプからガン出口まで単一径の粉体流路の形態での、一続きの均一な幾何形状となる。この特徴により、粉体が溜まる領域ができる可能性が減り、流れに対する抵抗が最小になる。さらに、粉体流路を色交換のためにパージすることがはるかに容易且つ効果的になる。本明細書で後述するように、本発明の他の態様によれば、ポンプ402は、粉体ホース及び粉体管を前方に進む方向を含む、2つの方向でパージすることができる。このパージは、連携して機能し、ポンプとガンとの間の粉体流路の幾何形状が均一であることによって容易になる。
【0048】
この実施形態のハウジング100は前方セクション100a、細長い中間セクション100b、及び後方セクション100cを含む3セクションハウジングである。前方セクション100aは、その後端に、中間セクション100bの前端内に好ましくはぴったりとした摩擦嵌めにより嵌まるボス108を含む。後方セクション100cは、その前端に、中間セクション100bの後端内に好ましくはぴったりとした摩擦嵌めにより嵌まるボス110を含む。粉体管106は、前方セクション100aの雌ねじ部分と螺合可能に噛み合う前方ねじ部112を含む。粉体管106は、ロックナット116と螺合可能に噛み合う後方ねじ部分114(図2Cを参照)も含む。ロックナット116は、ヒートシンク120の座ぐり118に部分的に延びる。ロックナット116は、ガンの組み立て中に座ぐりに当接する。粉体管106をハウジング100の前方セクション100aと螺合可能に結合して締めたら、次にロックナット116を締めることで、粉体管106が後方に引っ張られるようにする。この作用により、3つのハウジングセクション100a、100b、及び100cが圧縮状態で軸方向にともに引っ張られ、粉体管106がタイロッドのような役割を果たしてハウジングセクションを合わせてしっかりと保持するようになる。ロックナット116は、ロックナット116とヒートシンク120との間に摩擦嵌めを提供する、例えばOリング等のシール122を含む。
【0049】
ロックナット116には、粉体管ロックノブ124が螺合可能に結合される。粉体給送ホース125の前端が、ロックノブの穴126に挿入され、粉体管106内に形成される内部肩部128に突き当たる。ロックノブ124の前端と粉体管106の後縁との間には、ロックリング130が挟まれる。ロックリングは、粉体給送管125をガン20bの入口端に挿入することを容易にする。しかしながら、ロックリング130は、給送管の外壁を把持して、給送管が後退して外れるのを防止する。ロックリング130は、ロックノブ124がロックナット116に対して締められると、給送管125と密着係合する。粉体管125は、ロックノブ124を単に緩めることにより業務及び、オプションで色交換のために容易に取り外すことができる。粉体の損失を防止するために、シール132が設けられる。シール132もまた、粉体管125がガンから取り外されるときにロックノブ124が粉体管の長さに沿って滑らないように、摩擦嵌めを提供する。
【0050】
したがって、スプレーアプリケータ20bの粉体路が粉体管106により画定されることが、図2A及び図2Cから明らかとなるであろう。唯一の継手は、粉体給送ホース125が粉体管106の肩部128に当接する場所134である。この1つの継手を除いて、粉体は出口端104までスプレーガン内の一続きの通路に沿って流れることができる。したがって、ガンは色交換のためにパージしやすく、粉体路内に著しく粉体が溜まりやすい領域がない。濃厚相粒子材料とともに用いる場合、粉体管の直径は、従来の粉体スプレーガンの粉体管と比較して実質的に小さい。例えば、本発明の一実施形態では、粉体管の内径は約6ミリメートルであり得るが、従来の希薄相システムでは11〜12ミリメートル程度であり得る。
【0051】
粉体管106はハウジング100内に延び、前端106bは、ねじ付き止めナット140により前方セクション100aで保持される空気キャップ138の中央穴136に受け入れられる。粉体管106がガン内の全長に延びるため、通常の従来技術の粉体スプレーガンで用いられているようなノズル装置はない。むしろ、粉体は粉体管の前端106bからガンを出る。粉体管の出口端106bは空気キャップ138の中央穴136の前端とほぼぴったり並んでもよいが、そのように並ばなくてもよい。
【0052】
ここで、スプレーアプリケータ20bは通常、アプリケータのほぼ全長が中間セクション100bにより画定される、比較的長い装置であることに留意されたい。ガンの全長は、数フィート、例えば5フィートである場合がある。
【0053】
空気キャップ138は、図4及び図5に最も詳しく示される。空気キャップ138は、本発明の一態様により、空気を主に霧化空気又は拡散空気として、粉体管の出口端106bから出る粉体流に加えるために設けられる。本発明は、濃厚相微粒子システムで空気を粉体流に加えることを意図している。空気が加えられないと、濃厚相システム内の粉体流はほぼ流体状であり、管内で粉体流が水のように流れる。
【0054】
空気キャップ138は、粉体管106の前端を受け入れる中央通路136を含む。通路136は、粉体管の端を緩く受け入れるような寸法にされる。これは、空気ジェット150に対して粉体流を適切な向きにするように粉体流の中心を合わせるのに役立つ。これにより、空気を管の端の外側周囲に巡らせて、粉体がガンハウジングに戻ることを防止することもできる。中央通路136は、雄ねじ付き内側管状部分142により画定される。本明細書で間もなく説明するように、雄ねじ144は導電性の拡散リングを受け入れる。空気キャップの外壁146も、148で示すように雄ねじが切られ、ねじ付き止めナット140と噛み合う。したがって、止めナット140は、空気キャップ138と前方ハウジングセクション100aのねじ端とに螺合可能に結合されて(図2B)、ハウジング上で空気キャップをしっかりと保持する。
【0055】
図5に最も分かりやすく示すように、空気キャップは、2つの空気ジェット突起部148a及び148bを含む。各突起部148a及び148bは、1つ又は複数の空気ジェット150を含む。空気ジェット150は、粉体管の出口端106bを出てすぐの場所にある霧化又は拡散領域152につながるように開いている。空気ジェットの数及び空気ジェットが空気を粉体流に向ける角度は、粉体の霧化を最適にしてスプレーパターンを所望の形状にするための設計上の選択事項である。通常、粉体流に向けられる空気流が多いほど、流れが霧化される量が多くなり、スプレーパターンが大きくなる傾向がある。
【0056】
空気ジェット150は、環状空気通路154につながるように開いている。環状空気通路154はさらに、環状空洞156と連通する。環状空洞156は、雌ねじ付き空気拡散リング158(図6)を受け入れる。リング158は、空気キャップ138の雄ねじ144と螺合する。図3Aに最も分かりやすく示すように、リング158は、空気キャップ138内に均一な空気流を供給する複数の空気穴161を含む。リング158もまた、導電性材料で形成される。例えば、リング158は、カーボン入りのテフロン(登録商標)から形成されてもよい。リング158は導電性にされるが、これは、リング158が空気キャップ138内に拡散空気流を供給することに加えて、高電圧増倍器162への電極アセンブリ160の電気接続も行うからである。
【0057】
図7A〜図7C及び図6を参照すると、本発明の別の態様によれば、粉体が粉体給送管の出口端106bを出る場所のすぐ下流に外部電極が設けられる。電極は、ガンハウジング100の外部に配置することにより、粉体流にも粉体管の洗浄性にも干渉しない。これは、濃厚相材料流の場合に特に有用である。
【0058】
一実施形態では、電極導体164及び電極ホルダ166を含む電極アセンブリ160が設けられる。ホルダ166は導体164を覆って成形されることが好ましいが、必須ではない。導体の短い部分164aがホルダ166の外に延び、長い部分164bがホルダ166の反対端から延びる。ホルダ166には、U字形ボスの形態の位置合わせキー168が形成され、これは空気キャップ138に形成される適合凹部170に受け入れられる(図4及び図6を参照)。このように、電極ホルダ166を1つの向きでのみ設置することができるため、電極の先端164aが粉体管の出口端106bの下流に最適に位置決めされる。ホルダは、空気キャップ138の穴172に挿入される延長部分166bを有する。ホルダ166の前方部分166aが、電極の先端を位置決めし、延長部分166bに対してほぼ直角に形成される。
【0059】
図4及び図6に最も分かりやすく示すように、電極の内側部分164bは、下方に曲がり、空気キャップの導電性リング158と肩部174との間に挟まれる。このようにして、電極導体164と導電性リング158との間にしっかりした電気接続が形成される。
【0060】
図2A及び図2Bを参照すると、導電性リング158の裏面と密着するように、コンタクトピン180が前方セクション100aに位置決めされる。コンタクトピン180は、中間ハウジングセクション100bの前方部分内に後方に延びる抵抗ケーブル182とも接触する。抵抗ケーブル182は、抵抗性の炭素繊維を用いるとともに静電ガンに電流制限保護を与える、任意の従来の抵抗アセンブリであってもよい。この保護は、電極の近くに抵抗を置くことにより高められる。抵抗ケーブル182は、ハウジング内でガイド部材184により支持されることができ、ガイド部材184の後端で付勢ばね186により支持される。ばね186は、ピン180と電気ケーブル188との間に良好な電気接点を維持する。ばね186の後端は、電気ケーブル188の接点と電気接触する。電気ケーブルは、例えば、本発明の譲受人に発行された米国特許第4,576,827号及び第4,739,935号によるものとすることができ、上記特許の開示内容のすべてをこの引用により本明細書に完全に援用する。
【0061】
電気ケーブル188は、ハウジングの長い中間セクション100b内に後方に延びる。電気ケーブル188の後端は、増倍器162の出力接点190と電気接触する。ナット192を用いて、電気ケーブル188を増倍器の出力接点190に固定することができる。
【0062】
したがって、本発明の別の態様によれば、高電圧増倍器162は、ガンハウジングの後方セクションの、好ましくはガンが取り付けられる場所付近に位置決めされる。このように、ガンの重量の大部分が後端で支持されることで、ガンの前方部分の振動及び移動が大幅に減る。従来の粉体ガンのように、増倍器がガンの前部の近くに位置決めされた場合、片持ち式の取り付けにより大きな曲げモーメントが生じる可能性がある。したがって、本発明は、増倍器がガンの後方部分にあり抵抗がガンの前部付近に位置決めされる、抵抗及び電極に接続される電気ケーブルと一致した増倍器の配置を意図している。
【0063】
増倍器162は、ボルト196によりブラケット部材194に取り付けられる。ブラケット部材は、アルミニウム製等の熱伝導性であり、一対のねじ198によりヒートシンク120に取り付けられる。このように、増倍器はヒートシンク120により冷却することができる。既知のように、従来の電気入力コネクタ121を用いて、入力駆動電圧、通常は低DC電圧が増倍器の入力に供給される。
【0064】
空気管200が、前方ハウジングセクション100aに形成されるニップル202上に載せられる。ニップル202は、導電性リング158の直後にある環状空洞156につながるように開いている主空気通路204に通じる空気通路を形成する。したがって、本明細書で上述したように、空気管200を流れる空気は、リング158の穴161を通過した後で、空気キャップ138の空気ジェット150から出る。
【0065】
空気管200は、雄型コネクタ206までガンハウジング100内を後方に延びる。雄型コネクタ206は、ヒートシンク120の前面210に形成される第1の穴208と噛み合う(図2Cを参照)。第1の穴208は、ヒートシンク120の裏面214に形成される第2の穴212につながるように開いている。図2Cから、第1の穴208と第2の穴212とは流体連通しているが、第1の穴208の中心線軸は第2の穴212の中心線からずれていることに留意されたい。これにより、乱流が起こるため、ヒートシンク120がより良好に冷却される。第2の接続具216が第2の穴212に接続され、主空気ホース(図示せず)用の接続部の役割を果たす。この構成により、空気はこのようにしてガンの前部にある空気キャップに供給され、増倍器は、空気キャップへ移動する同じ空気流を受けるヒートシンクにより冷却される。
【0066】
図3A及び図3Bの分解図は、本明細書で上述したアセンブリをより分かりやすく示すように提供される。
【0067】
本発明の別の態様によれば、図3A及び図3Bに最も分かりやすく示すように、ハウジング100の各セクションには、小半径の頂部224でつながる2つの比較的急勾配の壁222により形成される、テーパ状の上側部分が形成されることが好ましい。好ましくは、ガンがスプレー材料に用いられているときに頂部がガンハウジングの最上部となることにより、ガンハウジング100の外形がガンに降りかかり得る粉体オーバースプレーの量を減らし、急勾配の側面が粉体を流すのを助けることができる。
【0068】
図8A及び図8Bを参照すると、本発明は、特に濃厚相材料塗布に適しているがこれに限定されない、手動スプレーアプリケータ250も意図している。手動バージョンの多くの特徴は、本明細書で上述した自動スプレーアプリケータと同じである。
【0069】
手動ガン250は、この実施形態では、後方又は増倍器セクション254及び前方又は粉体管セクション256を含むツーピースハウジングである、バレルの形態のハウジング252を含む。これらのセクションは、例えば止めねじ等の任意の適当な機構により互いに着脱可能に固定することができる。止めナット260により前部ハウジング256の出口端に保持される空気キャップ258がある。空気キャップは、電極アセンブリ262と、同様に導電性の拡散リング263とを保持する(図8Bに示す)。空気キャップは空気ジェット259を含む。空気キャップ258、留めナット260、電極アセンブリ262(電極導体及びオーバーモールドされた電極ホルダを含む)、及び導電性の拡散リング263は、本明細書で上述した自動ガンバージョンの対応部品と同じ設計及び動作であり得る。
【0070】
手動ガン250はさらに、エアライン(図示せず)に接続可能な接続具264等の空気入口を含む。内部の高電圧増倍器268(図8に点線で示す)を動作させるための外部の低圧電源と接続するように、電気コネクタ266が設けられる。増倍器268は、作業者の疲労を減らすように、グリップハンドル270の上の後方ハウジングセクション254に配置される。粉体管ハウジングは、必要に応じていかなる長さで設けてもよく、又は代替的に、スプレーアプリケータ250の長さをさらに延ばすために望まれる場合には、延長ハウジングに接続可能であり得る。
【0071】
手動ガン250の動作は、手動ガンが作業者により手動でトリガされることを除いて、自動バージョンと同様である。したがって、手動ガンは制御トリガ装置271を含む。このトリガ271が押されると、静電動作が用いられる場合には電力が増倍器に送られる。制御トリガ271の作動により、ハンドル270及びハウジング252内に延びる通路を介して空気を空気キャップ258に流すこともできる。空気は、自動バージョンのようにヒートシンクを介して増倍器を冷却するためにも用いることができる。また、制御トリガ271の作動により、粉体が粉体給送ホース273からガンに流れてガンの前端から出る。
【0072】
空気は、空気接続具264を介してハンドル270の通路272からアプリケータ250に入る。この空気を用いて、増倍器268の冷却を助けることができる。通路272は、前方ハウジングセクション256の空気通路274と流体連通する。通路274は、前方ハウジングセクション内に延びて、拡散リング263を受け入れる空気キャップ258の凹部276につながるように開いている。
【0073】
電極262は、本明細書で前述したように拡散リング263と電気接触する。リング263と接触するコンタクトピン278もある。コンタクトピン278は、ばね電極280及び抵抗アセンブリ282、並びに増倍器268の出力に電気結合される導電性の電極スペーサ282aを含む、電気回路の一部である。電極スペーサ282aは、例えば導電性のテフロン(登録商標)材料でできていてもよい。この電気回路は、自動ガンの実施形態で本明細書で上述したのと同様であり得る。
【0074】
粉体給送ホース273は、前方ハウジングセクション256の管状延長部284に挿入される。雌ねじ付き管ロックノブ286及びロックリング288を用いて、管状延長部284で給送ホース273を保持することができる。ロックリング及びロックノブは、本明細書で前述した自動ガンの対応部品と同様に機能するように設計することができる。
【0075】
給送ホース273の前端273aは、粉体管292に形成されるホース通路290に挿入される。ホース通路290は、アプリケータ250の中心長手方向軸に沿っていることが好ましい粉体通路294につながるように開いている。粉体通路294の遠位端294aは、粉体管292の管状部分296(図8Cも参照)により形成される。粉体管292は、ホース通路290を管状延長部284と位置合わせして前方ハウジングセクション256に滑り嵌め又は他の方法で摺動可能に差し込まれるため、粉体給送ホース273を粉体管292に容易に挿入することができる。遠位端294aは、本明細書で上述した自動ガンの実施形態での給送管106及び空気キャップ138と同様に空気キャップ258に受け入れられることを留意されたい。したがって、粉体管292は、ガンの前方への粉体流のために小径の通路を形成するため、手動ガン250は例えば濃厚相粉体流に非常に適している。
【0076】
したがって、粉体管292は、スプレーガン250の粉体流路全体を形成する容易に取り外し可能なユニットを提供する。これにより、手動ガンの洗浄及び色交換が容易になる。
【0077】
本発明の別の態様によれば、第2のトリガ装置298の形態の調整部材又は制御装置が設けられる。このトリガ298は、単独で、又は制御トリガ271と組み合わせて作動させることができる。第2のトリガ298は作業者が空気キャップ258への空気流を調整するのに用いることができるパターン調整トリガである。空気流を増やすことによりスプレーパターンは大きくなり、空気流を減らすことによりスプレーパターンは小さくなる。図1に示すように、制御システム34は、パターン調整トリガ298からの信号(例えば、接点が閉じたときのインピーダンスの変化等)を受け取り、それに応じてガン空気制御信号299を発する。空気制御信号299を用いて、ガン250の内部又は好ましくは粉体塗布システム10全体の空気制御セクションに配置される空気弁(図示せず)を制御することで、必要に応じて空気ジェット259への空気流を増減させることができる。
【0078】
図9を参照すると、パターン調整論理ルーチン又はアルゴリズムの例示的なフローチャートが示されている。ステップ300において、ロジックが、ガンパターン調整トリガ298を起動させるかを判定する(トリガが最短期間の間起動されていない限り空気調整を防止するように、デバウンスサブルーチンを任意に含んでもよい)。起動させない場合、プログラムは有効なトリガ信号を受け取るまで待つ。トリガ298が起動されると、ステップ302において、空気流が漸増する。漸増量は設計上の選択事項であり、作業者には、微調整、粗調整、又はこれら両方の選択肢を与えることができる。ステップ304において、プログラムは、最大空気流がスプレーアプリケータ250に供給されているかを判定する。供給されていない場合、ステップ306において、プログラムは、トリガ298がオンのままかを確認する。オンのままである場合、ロジックは302に戻り、再び空気流を漸増させる。このように、作業者はトリガ298を押して、空気流の増加に伴うパターン変化を観察し、トリガ298を解除することにより停止させることができる。
【0079】
ステップ306において、トリガ298がもうオンになっていない場合、プログラムは、ステップ308においてその空気流量を維持し、ステップ300に戻って次のトリガ作動を待つ。
【0080】
ステップ304において、最大空気流が供給されているとシステムが判定した場合、ステップ310において、ロジックは、トリガ298が起動されたままかを確認する。起動されたままではない場合、プログラムはステップ308に分岐し、その空気流量(したがって選択されたパターン)を維持する。ステップ310において、トリガがオンのままである場合、プログラムは、312において空気流を最小流量にリセットし、ステップ300に戻る。代替的に、ステップ312において、最小流量にリセットして別のトリガを待つ代わりに、プログラムはステップ302に分岐して、再び漸増を開始してもよい。この代替的な方法により、作業者は、トリガを押したままにして、空気流を最大空気流量まで調整した後で再び最小空気流量から漸増させながらスプレーパターンを観察することができる。さらに代替的に、作業者がパターン調整トリガ298を作動させたままにするのではなく、システムが、最初の作業を確認した後、次のトリガの作動に応じて調整を停止するようにプログラムされることができる。
【0081】
パターン整形空気に関して前述した「ランプ」機能の別の代替例として、制御関数を「hi(高)/lo(低)」機能を組み込むようにプログラムしてもよい。この「hi/lo」機能は、トリガ298の離散的な作動を用いて、「高」と「低」との間でパターン整形空気流設定を切り替える。通常のスプレー中、例えば作業者は、手動ガンコントローラから制御する高設定を用いて、大きな扇形パターンを形成する。次に、作業者は、部品をよりうまくコーティングするために狭い扇形パターンが必要な領域に達する。作業者がトリガ298を1回作動させると、コントローラがパターン整形空気流を、作業者が手動ガンコントローラによって事前設定していた特定の値より低い設定に変更する。トリガ298の2回目の作動では、パターン整形空気流が「高」設定に戻る。
【0082】
空気流の調整によりスプレーパターンを変えることは、調整が本質的にソフトウェア論理制御関数であるため、本明細書で上述した自動スプレーアプリケータにおいても実施することができることに留意されたい。自動ガンバージョンでは、制御システムに、作業者がガンへの空気流量を漸増させるために起動するスイッチを設けてもよい。
【0083】
本発明の別の態様によれば、スプレーパターンの調整性は、ポンプ402からの材料流量の任意の調整とともに実施することができる。本明細書で後述するように、本発明によるポンプは、比較的低流量でも制御可能な材料流量で動作することができる。この制御は、ポンプ内の種々のタイミング機能に一部基づいている。スプレーガンと組み合わせて用いられる場合、制御システム39は、スプレーパターンの変化に応じて材料流量も調整されるようにプログラムされ得る。例えば、作業者が大きなパターンからより小さなパターンにスプレーパターンを変更する場合、材料流量を少なくすることが望ましいであろう。逆に、作業者がスプレーパターンの寸法を大きくする場合、材料流量を増やすことが望ましいであろう。これらの相補的な調整は、制御システム39の制御ロジック内の部品レシピに組み込むことができる。別の代替例として、制御システム39は、パターン寸法の変化のパーセンテージとして材料流量を調整するようにプログラムしてもよい。小さなパターンが用いられる特別な拾い塗り又は他のスプレー動作には、粉体を少なくして用いることができるため、流量の調整は粉体の節約になり得る。本発明により行うことができるような関連の調整は数多くあることが、当業者には容易に理解されるであろう。本発明は、1つの方法として、流量を測量可能であるポンプ(本明細書で後述する)及び空気キャップへの空気流を測量可能であるか又は少なくとも調整可能であるスプレーガンを提供することにより、このような融通性を提供する。
【0084】
さらに別の代替的な実施形態では、制御システム39にセットアップモードをプログラムすることができる。セットアップモード中は、作業者がパターン調整トリガを起動することができ、ランピングモード又はステップモードでは、作業者はスプレーパターンが物体に塗布される様子を監視することができる。続いて、作業者は、物体に最適なスプレーパターンを評価することができる。続いて、この最適なスプレーパターンでの空気設定及び流量設定を、同じ部品に再びスプレーするときの将来の基準として記録することができる。この情報は、部品レシピデータベースにも入力され得るため、次回に制御システム39を用いてその部品に同様のコーティング材料をスプレーするときに、システムがパターン及び材料流量を自動的に選択することができる。
【0085】
図22A〜図22E及び図23を参照すると、代替的な実施形態では、図2Bの空気キャップ138がノズルアセンブリ900に置き換えられる。ノズルアセンブリ900は、場合によっては作製しやすく、以下の説明から明らかとなるように空気キャップ138に勝るいくつかの動作上の利点をもたらすことができるが、本明細書で前述したように多くの用途で空気キャップ138を用いることができる。ノズルの概念は、手動スプレーガンのバージョンで用いても自動スプレーガンのバージョンで用いてもよい。
【0086】
ノズルアセンブリ900は、ノズル902及びノズルインサート904を含む。ノズルインサート904は、オプションで用いることができ、全用途に必要なわけではない。しかしながら、ノズルインサートは、ノズルの設計を製造しやすくすることができ、いかなる場合でも、粉体が粉体給送管106(自動ガンの場合)又は粉体管292(手動バージョンの場合)からノズルへ流入するときの粉体用の膨脹室906を提供するために用いることができる。
【0087】
ノズル902はノズル体903を含み、ノズル体903には、止めナット140(図2B)等によりノズルアセンブリ900をスプレーガンの出口端に設置することができるようにする雄ねじ908を設けることができる。ノズル902は、成形又は加工された部品であってもよく、通常は、例えばPTFE、TIVAR(商標)、又はナイロン等の低融着材料からできていてもよい。
【0088】
この実施形態では、ノズル902は、ドーム状の前端902aを有するほぼ弾丸状の形状を有する。一体型のワンピースノズルを形成するための加工若しくは成形ステップ又は他のプロセスを用いて、偏向器及び出口オリフィスを形成することができる。ノズル902は、一体形成された偏向器910を有し得る。図22A〜図22E及び図23の例では、ノズルを用いて円錐状のスプレーパターンが生成されるため、偏向器910は、粉体を円錐状パターンに広がるように方向付けるためにほぼ円錐状の外形を含む。偏向器910は、1つ又は複数のリブ912によりノズル902上で支持される。図22A〜図22Eの例示的な実施形態では、本明細書でさらに説明するように電極を収容するために、1つのリブが他のリブよりも幾分大きい。
【0089】
円錐状の偏向器910は、この場合は約70°の開先角度θを形成するが、所望のスプレーパターンのタイプに基づいて選択角度を選ぶことができる。例えば約100°というより大きな開先角度では、ノズルから生成されるスプレーパターンがより広くなる。
【0090】
偏向器910及びノズルの前端902aは、粉体がノズル902から出る際に通る出口オリフィス914を形成する。オリフィス914の幾何形状は、所望のスプレーパターンを形成するように必要に応じて選択できる。オリフィス914は、その長さ(図22Dにおけるような断面で見た場合)に沿ってほぼ均一な幅916を有していてもよく、又は必要に応じて先細の幅又は他の幾何形状を有していてもよい。ノズル902を作製する1つの方法は、偏向器910がノズルと一体的に加工されるようにノズルを加工することである。
【0091】
図22Bに最もよく示すように、ノズル902には、マーク、溝、又は他の表示若しくは物理的特徴918が設けられてもよい。これらの特徴918は、例えばオリフィス914のスプレー角度又はオリフィスの他の寸法基準、材料等を表すことができ、表示コードに望まれる複雑さ及び作業者又は組立工に伝えられる情報量によってのみ制限される。
【0092】
図22E及び図23に最もよく示すように、ノズル902は、電極922を保持する電極通路920も含む。電極通路は、偏向器910を支持するリブ912の1つの中に延びる前方部分920aを含む。電極通路920は、ノズル910の前部にある電極開口924で終端するように形成される。電極の放電部分922aは、電極開口924を通って延びる。電極通路920及び電極の長さは、必ずしも全ての場合ではないが好ましくは、電極先端がノズル910により生成されるスプレーパターンの中心にあるように選択される。これには、塗着効率を高めるための粉体粒子のより優れた帯電を含め、いくつかの利点があり、また粉体雲がEMF(電磁場)ラップから遮蔽する機能を果たすため、衝撃の危険が減る。しかしながら、適切な場合、図23に破線920bで示すように例えばノズル902の外面のより近くに沿った場所等、異なる場所に電極通路を延ばしてもよい。
【0093】
電極通路920は、ポケット926の内部で終端する。この実施形態では、電極922は、ポケット926内に位置付けられるばね端922bを含む。このばね端922bは、上記の実施形態で要素158(図2B)として説明したような導電性の拡散リング928と接触し、この拡散リング928は、空気を通すための1つ又は複数の貫通孔を有する。本明細書で上述した先の実施形態のように、拡散リング928は、ガンと組み立てられると増倍器の出力と電気的に導通する。ノズル902は、パターン空気室930も含む。拡散リング928は、インサート904のねじ端932とのネジ接続932aによりパターン空気室930に挿入される。リング928は、電極のばね端922bと電気的に接触するほど十分に深く挿入される。
【0094】
ノズルアセンブリ900がガンに設置されると、パターン空気室930は、上述の実施形態の空気通路204及びパターン空気管200等を介して加圧空気源と連通する。
【0095】
ノズル902はさらに、内部にインサート904が摺動可能に配置されるインサート室934を含む。例えばOリング等のシール936をインサート904の外周で用いて、粉体がガン内部に逆流するのを防止することができる。
【0096】
インサート904は、粉体管又は給送ホース通路938を含む。ノズルが手動ガンで用いられるか自動ガンで用いられるかに応じて、粉体管又は給送ホースは、その端がインサート904の肩部940に当接するように挿入される。この肩部は、ノズルアセンブリ900につながる粉体入口又は出口開口を画定し、所定の断面積を有する。インサート904はさらに膨脹室906を含み、給送ホース又は粉体管を流れる粉体が肩部940を通って膨脹室906に入るようになっている。膨脹室906は、任意の適当な幾何形状とすることができ、例示的な実施形態では、ノズル902の前部に向かって直径が拡大するほぼ円錐の形状である。膨脹室906は、出口オリフィス914に通じる。必須ではないが好ましくは、偏向器910は中心軸Xに沿って膨脹室の中心を中心とする。
【0097】
図23の実施形態では、膨脹室906は、中心長手方向軸Xに対してβの開先角度で延びる。角度βは、搬送ガス(本明細書の例示的な実施形態では圧縮空気)の膨脹特性により規定され、粉体が溜まり得るポケットを形成しないように搬送ガスの広がり角度の約半分以下に等しくなるようになっている。これにより、膨脹室の壁がパージ作業中に圧縮空気により「洗浄される」ことも確実にすることができる。
【0098】
膨脹室906は、粉体が給送ホース又は粉体管から出るときに速度を低下させる機能を果たす。偏向器910は、粉体の速度をさらに低下させることができる。この効果を得るために、出口オリフィス914の断面積は、肩部940の断面積よりも大きくされる。出口面積が大きいほど、ベンチュリタイプの低密度高空気体積のスプレーノズルで一般に見られるように、粉体がノズルを出るときの加速が防止される。ノズルを出る粉体雲の速度を大幅に低下させることにより、低速で移動する濃厚な粉体雲が生成され、これはより十分に帯電され(静電帯電が用いられる場合)、スプレーされている目標物へのより優れた付着を示す(塗着効率が高い)。したがって、出口断面積対入口断面積の比は少なくとも1以上であることが好ましい。
【0099】
インサート904は、パターン空気室930と流体連通する空気ジェット又は空気通路942を任意に含むことができる。例示的な実施形態では、6つの空気ジェット942があるが、必要に応じていかなる数を用いてもよい。空気ジェットを用いて、粉体流が膨脹室906を通過するときに粉体流に空気を噴射する。この加えられる空気は任意であり、例えば粉体流をいくらか加速させるために用いることができるため、より通過性の高い粉体雲がノズル出口で生成される。これは例えば、粉体雲を物体内に入れる必要があるが、電極によるアーク放電を防止するためにノズルを近づけすぎることができない場合に望まれ得る。空気は、濃厚粉体を霧化するのを補助するために加えてもよい。フィルタ要素944がジェット入口942aとパターン空気室930との間に設けられて、ガンのパターン空気通路に粉体が逆流するのが低減又は防止される。フィルタ要素944は、例えば焼結ポリエチレン等、空気は通すが粉体は濾過する任意の適当な材料でできていてもよい。
【0100】
軸方向に延びる凹部946を、拡散リング928の前端とフィルタ要素944との間に設けてもよい。この凹部946は、ばねポケット926と流体連通し、空気を電極通路920に進ませることで、電極922を洗浄させるとともに、ガンの特に高電圧の領域に粉体が逆流するのを防止させる。
【0101】
給送ホース又は粉体管をシールするためにOリング等のシール948を設けて、粉体の逆流を防止するとともに、ノズルインサート904内に粉体管又は給送ホースを整然と保持するのに役立てることができる。
【0102】
膨脹室906、偏向器910、及び1以上の出口オリフィス対入口断面積の比を、個別に、又は互いに組み合わせて、またそれら組み合わせをさらに組み合わせて用いることで、低速で移動する濃厚相粉体を生成するノズルができ、このような濃厚相粉体は、優れた塗着効率を有するとともにより帯電しやすくすることができる。塗着効率が高いほど、作業者が塗装又はコーティングを行う時間が短くオーバースプレーが少ないことにより、色交換時間を改善するのに役立つことを意味する。濃厚相及び低速で移動する雲を用いると、希薄相の高速スプレーパターンよりも塗着効率を高めることもできる。希薄相スプレーパターンは、粉体を輸送する高体積且つ高流量の空気の使用を伴う。この高体積空気の移動は、塗着効率を低下させる空力学的効果を必然的にもたらす。濃厚相の低速で移動する粉体雲は、通常はスプレーされている部品の比較的近くで保持される手動ガンの場合に最も顕著な利益の一部をもたらすため、作業者は、粉体がガンからスプレーされると生じる自然な速度低下に任せるだけではいけない。濃厚相粉体のより通過性の高い粉体雲を生成するための空気補助オプションもまた、手動ガンの場合に有利である。それは、このオプションを用いなければ、スプレーされている部品に対する電極の位置が近すぎる場合に密閉体積部はファラデーケージ効果をもたらす傾向があるが、このオプションを用いることで濃厚相粉体雲がこのような密閉体積部に入ることが可能になるからである。
【0103】
図24A〜図24E及び図25は、例えば平坦状スプレーパターンを生成するために用いることができるような代替的なノズル設計950を示す。図23と図25とを比較すると、同じインサート904を両方のノズル設計で用いることができることが分かるため、基本的な動作は同じであり、同様の要素及び構造的特徴は同じ符号で示され、その説明を繰り返す必要はない。これらの設計間の違いは、図24Aに最もよく示されているように、出口オリフィス及び偏向器の形状である。
【0104】
平坦状パターンノズル950は、リブ954等と一体にされたノズル950の一部分であるほぼ平坦な板状偏向器952を含む。ノズル950は、必須ではないが好ましくは、偏向器952がリブ954を介してノズル950の一体部分となっているワンピースノズルである。ノズル950は、幾分円錐状で先細の前方部分950aを有する。偏向器952は、加工等の任意の適当なプロセスにより形成することができる。偏向器952の側面958と偏向器の側面958に対向するノズルの側面960との間に形成される空間956は、この例では2つのスロットの形態の出口オリフィスを形成する。良好な平坦状スプレーパターンを生成するために、出口オリフィス956の幅を狭く維持することが必要ではないが好ましい。濃厚相粉体を用いることにより、出口オリフィスを希薄相システムで用いられる従来のオリフィス寸法よりも実質的に小さくすることができる。例えば、4mm幅のスロットが1つである従来のオリフィスとは対照的に、このノズルは1mm幅のスロットを2つとすることができる。しかしながら、本明細書の他のノズル実施形態のように、出口オリフィス956の断面積対入口の断面積の比は、ほぼ等しいか又は1よりも大きいように維持することが望ましい。図24A、図24E、及び図25から、平坦状スプレーノズルが、ノズル950により形成される粉体雲内の中心に電極先端を位置付ける一体的な電極通路も含むことが明らかである。
【0105】
いずれのノズル設計でも、リブ912、954は、電気的経路を粉体路の、特に膨脹室の外側に通し、但し電極先端は粉体雲の中心に位置付けることを可能にする。これにより、電気的経路及び高圧要素を粉体流路内に配置する必要がなくなる。
【0106】
平坦状パターンノズル950の場合、角度θは約0°であり、これは、オリフィス956が中心軸Xを中心としてほぼ平行であることを意味する。場合によっては、角度θが負となるようにスロットに粉体を吹き付けさせることが望ましいかもしれない。
【0107】
図10A、図10B、及び図10Cを参照すると、本発明による濃厚相ポンプ402の例示的な実施形態が示されている。ポンプ402は移送ポンプとしても用いることができるが、材料をスプレーアプリケータ20に供給するためのガンポンプとして特に設計される。ガンポンプ402と移送ポンプ400及び410とは、本明細書中の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう多くの共通の設計特徴を共有する。
【0108】
ポンプ402は、モジュール式の設計である必要はないが、そうであることが好ましい。ポンプ402のモジュール構造は、ポンプマニホルド体414及び弁体416で実現される。マニホルド体414は、本明細書でさらに説明するように、複数の空気通路とともに一対のポンプ室を収容する。弁体416は、同様に本明細書で説明するように複数の弁を収容する。弁は、マニホルド体414から弁体416に伝達される空気圧信号に応答する。本明細書の例示的な実施形態は、空気圧ピンチ弁の使用を示しているが、空気圧ピンチ弁以外の他の制御弁設計を用いて本発明の種々の態様及び利点を実現できることが、当業者には容易に理解されるであろう。
【0109】
ポンプの上側部分402aは、パージ空気機構418a及び418bに対応しており、ポンプの下側部分402bは、粉体入口ホースコネクタ420及び粉体出口ホースコネクタ422に対応している。粉体給送ホース24(図1)が入口コネクタ420に接続されて、給送ホッパ22等の供給源から粉体流が供給される。スプレーアプリケータがスプレーブース12に配置された手動スプレーガンであるか自動スプレーガンであるかに関係なく、粉体供給ホース406(図1)を用いて、出口422がスプレーアプリケータに接続される。ポンプ402に供給された粉体は、流動化されてもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0110】
したがって、ポンプ402に出入りする粉体流は、ポンプの1つの端402bで生じる。これにより、本明細書でさらに説明するように、パージ機構418をポンプの反対端402aに設けてより容易なパージ動作を行うことが可能になる。
【0111】
ポンプ室(本発明の使用可能な実施形態である)が1つしかない場合、ポンプ内に2つの粉体路しか必要なくなるため、弁体416がマニホルドに直接接続される可能性がある。しかしながら、安定し一貫した調整可能な粉体流をポンプから生成するために、2つ以上のポンプ室が設けられる。2つのポンプ室が用いられる場合、これらは、一方のポンプ室が入口から粉体を受け取り、他方が粉体を出口へ供給するように、位相をずらして動作することが好ましい。このように、粉体はポンプからほぼ連続的に流れる。最初にポンプ室に粉体を充填する必要があることにより各ポンプ室からの粉体流が途切れるため、ポンプ室が1つの場合はこれは当てはまらない。3つ以上のポンプ室が用いられる場合、それらのタイミングは必要に応じて調整することができる。いずれの場合も、全てのポンプ室が1つの入口及び1つの出口と連通していることが、必須ではないが好ましい。
【0112】
本発明の一態様によれば、材料流は、ポンプ室それぞれの一端から出入りする。これにより、一直線パージ機能をポンプ室の反対端で用いることができる機構が得られる。この例示的な実施形態では、各ポンプ室が同じポンプ入口及び出口と連通しているため、付加的なモジュールユニットを用いてYブロックの形態の分岐状粉体流路が設けられる。
【0113】
第1のYブロック424が、マニホルド体414と弁体416との間で相互接続される。第2のYブロック426がポンプの入口/出口端を形成し、第1のYブロック424の反対側の弁体416に接続される。第1の組のボルト428を用いて、マニホルド体414、第1のYブロック424、及び弁体416が互いに接合される。第2の組のボルト430を用いて、第2のYブロック426が弁体416に接合される。したがって、図10Aのポンプは、完全に組み立てられると非常に小型且つ堅牢であるが、下側Yブロック426は、ポンプを完全に分解しなくても流路磨耗部品を交換するために容易に個別に取り外すことができる。第1のYブロック424は、各粉体室から出る2つの分岐状粉体流路を提供する。各粉体室からの一方の分岐は、弁体416を通してポンプ入口420と連通し、各粉体室からの他方の分岐は、弁体416を通してポンプ出口422と連通する。第2のYブロック426は、弁体416からポンプの入口420及び出口422への共通の粉体流路を結合するために用いられる。このように、各ポンプ室は、1つの制御弁を通してポンプ入口と連通し、別の制御弁を通してポンプ出口と連通する。したがって、例示的な実施形態では、弁体にはポンプ室に出入りする粉体流を制御する制御弁が4つある。
【0114】
マニホルド体414は、図10B、図10E、図10G、図11A、及び図11Bに詳細に示されている。マニホルド体414は、第1の穴434及び第2の穴436それぞれが貫通している本体432を含む。穴はそれぞれ、ほぼ円筒形のガス透過性フィルタ部材(多孔管)438及び440それぞれを受け入れる。ガス透過性フィルタ部材438、440は、外径が縮小した下端438a及び440aを含み、これらが第1のYブロック424(図12B)内の座ぐり穴に挿入されることで、部材438、440の整列及び安定を維持するのに役立つ。フィルタ部材の上端は、必要に応じて適当なシールを伴ってパージ空気接続具504の下端に当接する。フィルタ部材438、440はそれぞれ、粉体ポンプ室としての役割を果たす内部体積(438c、440c)を画定するため、この実施形態では2つのポンプ粉体室がある。穴434、436の一部は、本明細書で後述するようにパージ空気機構418a及び418bを受け入れるようになっている。
【0115】
フィルタ部材438、440は、同一であってもよく、通常の空気等のガスは部材の円筒壁を通過させるが粉体は通過させないものとすることができる。フィルタ部材438、440は、例えば多孔質ポリエチレンでできていてもよい。この材料は、粉体給送ホッパの流動板に一般的に用いられる。例示的な材料は、約40ミクロンの気孔径及び約40〜50%の気孔率を有する。このような材料は、ジェンポア(Genpore)又はポロン(Poron)から市販されている。必要に応じて他の多孔質材料を用いてもよい。フィルタ部材438、440はそれぞれ、その関連する穴434、436の直径よりも小さな直径を有するため、穴の壁とフィルタ部材の壁との間にはわずかな環状空間ができる(図10E、図10Gを参照)。この環状空間は、空気圧室としての役割を果たす。圧力室に負圧が加えられると、粉体ポンプ室に粉体が引き込まれ、圧力室に正圧が加えられると、粉体ポンプ室内の粉体が押し出される。
【0116】
本体432は、一連の6つの入口オリフィス442を含む。これらのオリフィス442を用いて、空気圧エネルギー又は空気圧信号がポンプに入力される。オリフィス442a、442c、442d、及び442fの4つは、各空気通路444a、444c、444d、及び444fを介して弁体416の各圧力室446と流体連通しているため、本明細書で後述するように弁作動空気を供給するために用いられる。なお、空気通路444は、マニホルド表面448からマニホルド体内に水平方向に延び、続いてマニホルド体の底面に向かって鉛直下方に延びて、上側Yブロック424及び弁体416を通る鉛直空気通路それぞれと連通し、弁体416の水平空気通路それぞれとつながって、各弁の圧力室に通じる。空気フィルタ(図示せず)がこれらの空気通路に含まれることで、弁又は他のシールの機能が損なわれた場合にポンプマニホルド体414及び供給マニホルド404に粉体が逆流するのを防止することができる。残りの2つのオリフィス442b及び442eはそれぞれ、空気通路444b及び444eを介して穴434、436と流体連通する。したがって、これらのオリフィス442b及び442eを用いて、正圧及び負圧がマニホルド体のポンプ圧力室に供給される。
【0117】
オリフィス442は、マニホルド体の1つの平面448に形成されることが好ましいが、そうである必要はない。空気供給マニホルド404は、供給マニホルド404がポンプマニホルド体414に取り付けられるとポンプオリフィス442と整列して流体連通する対応するオリフィス組を含む。このように、供給マニホルド404は、弁及びポンプ室に必要なポンプ空気全てを1つの平面境界面を通して供給することができる。ポンプマニホルド体414の面と供給マニホルド404の面との間にはシールガスケット450が圧縮されて、オリフィス間に流体密封シールを提供する。パージ空気に望まれる体積、圧力、及び速度を理由として、好ましくは別個のパージ空気接続部が供給マニホルドとポンプマニホルドとの間で用いられる。2つのマニホルド間は平面境界面であることが好ましいが、これは必須ではなく、供給マニホルド404からポンプへの空気圧入力ごとに個々の接続部を必要に応じて用いることができる。平面境界面は、一部の実施形態では電気ソレノイドを含む供給マニホルド404を、外側にポンプのある(キャビネット壁の開口を通して供給マニホルドに取り付けられている)キャビネット内に配置することを可能にするため、システム10全体から電気エネルギーを絶縁するのに役立つ。ちなみに、ポンプ402は使用中にいかなる特定の向きに取り付けられる必要もないことに留意されたい。
【0118】
図12A及び図12Bを参照すると、第1のYブロック424は、それぞれのポンプ室434、436と整列する第1の穴452及び第2の穴454を含む。穴452、454はそれぞれ、2つの分岐452a、452b及び454a、454bそれぞれと連通している(図12Bは穴452の分岐のみを示す)。したがって、穴452は分岐452a及び452bと連通している。したがって、第1のYブロック424には全部で4つの分岐があり、分岐のうち2つは一方の圧力室と連通し、他の2つは他方の圧力室と連通する。分岐452a、452b及び454a、454bは、2つのポンプ室に対してポンプを通る粉体路の一部を形成する。4つの分岐それぞれを通る粉体流は、本明細書で説明するように弁体416にある別個のピンチ弁により制御される。なお、Yブロック424は、4つの貫通空気通路456a、456c、456d、456fも含み、これらはマニホルド体414の空気通路444a、444c、444d、444fそれぞれと流体連通している。ガスケット459を用いて、マニホルド体414と第1のYブロック424との間に流体密封接続を提供してもよい。
【0119】
穴452及び454は、従来のOリング等のシール462、464(図10C)を受け入れる座ぐり穴458、460を含む。これらのシールは、フィルタ部材438、440の下端とYブロックの穴452、454との間に流体密封シールを提供する。これらはわずかな公差変動も可能にするため、フィルタ部材が所定位置にしっかりと保持される。
【0120】
図13A及び図13Bをさらに参照すると、弁体416は、対応する数のピンチ弁に対する圧力室として機能する4つの貫通穴446a、446b、446c、及び446dを含む。弁体の上面466は、2つの凹状領域468及び470を含み、これらはそれぞれ、各穴446の一端によりそれぞれが形成される2つの穴を含む。この実施形態では、第1の凹状領域468は、それぞれの穴446b及び446aそれぞれにより形成されるオリフィス472及び474を含む。同様に、第2の凹状領域470は、それぞれの穴446d及び446cそれぞれにより形成されるオリフィス476及び478を含む。対応するオリフィスが、弁体416の反対側面479に形成される。
【0121】
圧力室446a〜446dはそれぞれ、入口ピンチ弁480又は出口ピンチ弁481を保持する。各ピンチ弁480、481は、例えば、天然ゴム、ラテックス、又はシリコーン等の適当な材料でできている極めて軟質の可撓性部材である。各弁480、481は、ほぼ円筒形の中央体482及び中央体482よりも直径が大きな2つのフランジ端484を含む。フランジ端は、シールとして機能し、弁体416が第1のYブロック424と第2のYブロック426との間に挟まれると穴446a〜446dの周りで圧縮される。このように、各ピンチ弁は、弁体416を通して第1のYブロック424の分岐452、454のそれぞれまで粉体が流れる流路を画定する。したがって、一方の対のピンチ弁(吸引弁及び送出弁)はマニホルド体のポンプ室の一方と連通し、他方の対のピンチ弁は他方のポンプ室と連通する。一方のピンチ弁がポンプ室への粉体流を制御し(吸引)、他方のピンチ弁がポンプ室から出る粉体流を制御する(送出)ため、1つのポンプ室につき2つのピンチ弁がある。各ピンチ弁の中央体部分482の外径は、それに関連する圧力室446の穴径よりも小さい。これにより、各ピンチ弁に対する圧力室として機能する環状空間がその弁の周りに残る。
【0122】
図13Bに示すように、弁体416は、4つの圧力室穴446a〜446dとそれぞれが連通する空気通路486a〜486dを含む。これらの空気通路486a〜486dは、鉛直延長部(図13Bで見られる)488a〜488dを含む。これら4つの空気通路の延長部488a、488b、488c、488dはそれぞれ、マニホルド体414の4つの空気通路444d、444f、444a、444cの鉛直部分及び上側Yブロック424の鉛直通路456d、456f、456a、456cと流体連通している。シール490が空気密封接続部として設けられる。
【0123】
このように、弁体416の圧力室446はそれぞれ、マニホルド体、第1のYブロック、及び弁体を通る内部通路を通り抜けてマニホルド体414の空気オリフィス442のそれぞれと流体連通する。正空気圧が供給マニホルド404(図1)からポンプマニホルド体414に受け取られると、空気圧の力が可撓性の弁体の可撓性の外面に対して作用することにより、対応する弁480、481が閉じる。弁は、圧力室の外部の空気圧が除去されると、自らの弾発性及び弾性により開く。この正確な空気圧作動により、ピンチ弁の開閉にいかなる機械的作動又は他の制御部材も用いなくてよくなり、これは従来の設計を超える著しい改良である。4つのピンチ弁480、481はそれぞれ、ガンポンプ402に関して個別制御されることが好ましい。
【0124】
本発明の別の態様によれば、弁体416は、作業者が内部のピンチ弁の開閉を視認できるように十分に透明な材料でできていることが好ましい。適した材料はアクリルであるが、他の透明材料を用いてもよい。ピンチ弁を見ることができれば、粉体を見ることができるため、ピンチ弁の故障に関する優れた視覚的指示も得られる。
【0125】
図14A及び図14Bをさらに参照すると、ポンプの残りの部分は、第2のYブロックの端体492により形成される入口端402bである。端体492は、それぞれがYブロック498a及び498bを受け入れるようになっている第1の凹部494及び第2の凹部496を含む。Yブロックの一方は粉体入口に用いられ、他方は粉体出口に用いられる。各Yブロック498は、内面が粉体流に曝されるため、磨耗部品である。端体492は、単に弁体416にボルト締めされるため、単に端体492を取り外すことにより磨耗部品を交換するだけでよく、したがってポンプの残りの部分を分解する必要がなくなる。
【0126】
各Yブロック498は、接続具又は他の適当なホースコネクタ420、422(図10A)を受け入れるようになっている下側穴500を含み、一方の接続具は、粉体供給源につながるホース24と、スプレーガン20等のスプレーアプリケータにつながる別のホース406とに接続される(図1)。各Yブロックは、穴500から延びる2つの粉体路分岐502a、502b、502c、及び502dを含む。第2のYブロック498の各粉体路は、ピンチ弁体416のピンチ弁480、481のそれぞれと流体連通している。したがって、入口420からポンプに入る粉体は、2つの下側Yブロック498のうち第1のYブロックを通ってピンチ弁の2つに分岐し、そこからポンプ室に至る。同様に、2つのポンプ室からの粉体は、他方の下側Yブロック498によって、他の2つのピンチ弁から1つの出口422に再合流する。
【0127】
粉体流路は以下の通りである。粉体は、共通の入口420から入り、下側Yブロック498bの経路502a又は502bを介して2つの入口又は吸引ピンチ弁480に分岐する。入口ピンチ弁480はそれぞれ、第1の又は上側Yブロック424内の各経路の一方の分岐452、454それぞれを介して粉体ポンプ室434、436のそれぞれに接続される。上側Yブロック424の他方の分岐452、454はそれぞれ、各ポンプ室から粉体を受け取り、粉体は第1のYブロック424を通って2つの出口又は送出ピンチ弁481に流れる。出口ピンチ弁481それぞれは、下側Yブロック498aの分岐502のそれぞれにも接続され、両ポンプ室からの粉体は1つの出口422で再合流する。
【0128】
空気圧流路は以下の通りである。ピンチ弁のいずれかが閉じると、供給マニホルド404がマニホルド体414の各オリフィス442において圧力を上昇させる。上昇した空気圧は、マニホルド体414の各空気通路442、444を通って第1のYブロック424の各空気通路456を進み、弁体416の各空気通路486に入って適当な圧力室446に流れる。
【0129】
本発明によるポンプは、粉体ポンプ室の充填割合に基づいて測量可能な流量をもたらし、これは、粉体をポンプ室に給送するピンチ弁の開放時間を制御することによりポンプからの粉体の流量を正確に制御できることを意味することに留意されたい。これにより、ポンプサイクル(すなわち、ポンプ室を充填する持続時間及び空にする持続時間)を、流量に関係なく粉体の滑らかな流れが得られるのに十分なまでに短くすることができ、流量はピンチ弁の動作により個別制御される。したがって、流量は、ポンプにいかなる物理的変更を加える必要もなく、ピンチ弁の制御により完全に調整することができる。
【0130】
パージ機能は、本発明の別の態様により大幅に単純化される。本発明は、粉体がポンプ室の一端から出入りする方法を提供するため、ポンプ室の反対端はパージ空気用に用いることができる。図10A、図10C、図10E、及び図10Gを参照すると、パージ空気接続具504がそれぞれのフィルタ部材438、440の上端に挿入される。接続具504は、フィルタ部材438、440への流入のみを許すように配置される各逆止め弁506を受け入れる。逆止め弁506は、パージ空気ホースを接続することができる各パージ空気ホース接続具508を受け入れる。本明細書で後述するように、パージ空気は供給マニホルド404からポンプに供給される。したがって、パージ空気は粉体ポンプ室を通りポンプ内の粉体路の残りの部分を通って一直線に流れることで、色交換作業のためにポンプを非常に効果的にパージすることができる。このパージ作業を行うために作業者が特別な接続又は変更を行う必要は全くないため、洗浄時間が短縮される。システム10が設置されると、パージ機能は常に接続されていて利用可能であるため、色交換時間が大幅に短縮される。作業者がポンプとのいかなる粉体又は空気圧接続も形成又は切断する必要なく、制御システム39によりパージ機能を行うことができるからである。
【0131】
なお、図1及び図10Aから、4つのピンチ弁480、481の全てが開放状態である場合、パージ空気はポンプ室を通り第1のYブロック424の粉体路、ピンチ弁480、481自体、第2のYブロック498を通って一直線に流れ、入口420及び出口422の両方から出る。このようにして、パージ空気はポンプ内全体に供給されてからスプレーアプリケータに供給されて、その装置をパージするとともに給送ホースを粉体供給源22までパージすることができる。したがって、本発明によれば、順方向及び逆方向のパージを可能にする濃厚相ポンプの概念が提供される。
【0132】
図15を参照すると、図示の供給マニホルド404は、実質的にはポンプ402の空気流を制御する一連のソレノイド弁及び空気源である。図15に示す特定の構成は例示であり、限定を意図するものではない。ポンプ402を操作するための空気の供給は、マニホルド機構なしで多種多様な方法で行うことができる。図15の実施形態は、ポンプを有する平面境界面構成に特に有用であるものとして提供されているが、他のマニホルド設計を用いることもできる。
【0133】
本明細書で上述したように、供給マニホルド404は、ポンプマニホルド体414(図11A)の表面448に対して取り付けられる第1の平面512を有する供給マニホルド体510を含む。したがって、平面512は、ポンプマニホルド体414のそれぞれのオリフィス442と整列する6つのオリフィス514を含む。供給マニホルド体510は、適当な数及び場所の空気通路を内部に有するように加工されることにより、適切な空気信号が正しい時点でオリフィス514に送られる。このように、マニホルドはさらに、オリフィス514への空気流を制御するとともにパージ空気流を制御するために用いられる一連の弁を含む。従来のベンチュリポンプ518を用いることにより、マニホルド404内で負圧が生成される。システム空気すなわち工場空気が、適当な接続具520を介してマニホルド404に供給される。マニホルドは、単にポンプを操作する空気源用の空気通路を提供するように動作し、多種多様な方法で実施することができるため、物理的なマニホルド構成の詳細は本発明の理解及び実施に必要ではない。むしろ、注目すべき詳細は空気圧流の概略図に関して説明される。しかしながら、この時点で、本発明の別の態様によれば、本明細書で後述する目的で弁体416のピンチ弁それぞれに対して個別の制御弁が設けられることに留意されたい。
【0134】
図16を参照すると、本発明の第1の実施形態に関する空気圧図が提供されている。主要空気408が供給マニホルド404に入り、第1のレギュレータ532に進んで、ポンプ圧力源534がフィルタ部材438、440に供給されるとともにパターン整形空気源405が空気ホース406を介してスプレーアプリケータ20に供給される。主要空気は、パージ空気ソレノイド弁538の制御下でパージ空気源536としても用いられる。主要空気は、第2のレギュレータ540にも進み、(フィルタ部材438、440に対する負圧を生成するための)ベンチュリポンプを操作するために用いられるベンチュリ空気圧源542が生成され、且つピンチ弁480、481を操作するためのピンチ空気源544が生成される。
【0135】
本発明の別の態様によれば、ソレノイド制御弁538又は他の適当なパージ空気の制御装置を用いることで、複数のパージ機能が得られる。第1の態様は、2つ以上の異なるパージ空気圧及びパージ空気流を選択できることにより、ソフト及びハードのパージ機能が可能になることである。ソレノイド弁に加えて他の制御機構を用いて、2つ以上のパージ空気流特性を提供してもよい。制御システム39がソフトパージ又はハードパージを選択するか、又は手動入力をこの選択に用いることができる。ソフトパージ機能では、供給マニホルド404を通して、多孔質フィルタ部材438、440とそれぞれの穴434、436との間の環状空間であるポンプ圧力室に、少ないパージ空気流が供給される。制御システム39はさらに、一組のピンチ弁(吸引又は送出)を開き、他方を閉じたままにするよう選択する。パージ空気は多孔質フィルタ部材438、440を通過して開いた弁から出て、スプレーガン20に向けて順方向に、又は供給源22に向けて逆方向に(後方に)システムをパージする。次に、制御システム39は開くピンチ弁と閉じるピンチ弁とを逆にする。ソフトパージは、4つのピンチ弁全てを開くことにより同時に両方向で行うこともできる。同様に、空気圧を上昇させて、ホース及びガンからさらに粉体を除去することができる。高いパージ空気圧及びパージ空気流は、順方向、逆方向、又は両方向同時の、ハードパージ機能に用いることができる。多孔質フィルタ部材438、440に空気を通すことにより行われるパージ機能は、多孔質部材に詰まっている粉体を除去するのにも役立つため、交換が必要となる前の多孔質部材の耐用寿命が延びる。
【0136】
ソフトパージ機能に続いて、第2のソフトパージ動作が行われ、ここで、粉体供給ホース406a、406bがガンから外されてホースの自由端がスプレーブース内部に位置付けられるか又は向けられる。続いて、ソフトパージ動作が低圧で行われ、ホースからスプレーブースに粉体を吹き込むために中圧まで上昇させることもできる。
【0137】
ハード又はシステムパージは、2つのパージ機構418a及び418bを用いて行うこともできる。システムパージは、ソフトパージサイクルの終了後にガンを供給ホースに再接続して行うことができる。システムパージ中、多孔質要素を通るソフトパージ空気流を持続させることができ、実際には色交換作業中完全に持続させることができる。高圧流空気をパージ空気接続具508から入力することができ(パージ空気は供給マニホルド404から供給できる)、この空気は、多孔質フィルタ部材438、440により一部が画定される粉体ポンプ室を一直線に流れてポンプから出る。この場合も、ピンチ弁480、481を所望に応じて選択的に動作させて、順方向、逆方向、又は両方向同時にパージを行うことができる。ガンのハードパージの終了後、ホースからブース内へのハードパージのためにガンを再び取り外すことができる。図23及び図25のノズル実施形態を用いる場合、パージ動作及び色交換作業の間中、ハードパージ機能を持続させることもできる。
【0138】
パージを両方向に行うことができるだけであれば、パージ空気が最も低抵抗な経路を流れるため粉体路領域の一部を十分にパージすることができないので、順方向又は逆方向のみに任意にパージできることでより優れたパージ機能が得られることに留意されたい。例えば、スプレーアプリケータ及び供給ホッパのパージを試みる場合、アプリケータが完全に空気流を受け入れるように開いていれば、パージ空気はアプリケータから流出する傾向があり、ホッパ又は供給源が十分にパージされないかもしれない。
【0139】
したがって、本発明は、供給源からスプレーガン内に至るまでの粉体路全体を、作業者による行為を事実上必要とせずに個別又は同時にパージすることができるポンプ設計を提供する。オプションのソフトパージは、粉体路にハードパージ空気を入れる前に残留粉体を流路から軽く吹き飛ばすことにより、ハードパージによる融着又は他の悪影響が先に起こるのを防止するのに有用であり得る。
【0140】
ベンチュリ用の正空気圧542は、制御ソレノイド弁546に入り、そこからベンチュリポンプ518に進む。ベンチュリポンプの出力518aは、2つのポンプソレノイド弁548、550の入口に接続される負圧又は部分真空である。ポンプ弁548、550は、フィルタ部材438、440に正圧を加えるか負圧を加えるかを制御するために用いられる。弁548、550のさらなる入力部が、ポンプ圧空気534を受け入れる第1のサーボ弁552から正圧空気を受け入れる。ポンプ弁548、550の出口は、本明細書で上述した空気通路方式でポンプ室のそれぞれに接続される。なお、パージ空気536が多孔質フィルタ部材438、440を通過することが概略的に示されている。
【0141】
したがって、ポンプ弁550及び552を用いて、一方のポンプ室が加圧されているときに他方が負圧下にあり、またその逆の状態になるように通常は180°位相をずらしてポンプ室に正圧及び負圧を交互に加えることにより、ポンプ402の動作が制御される。このように、一方のポンプ室に粉体が充填されている一方で他方のポンプ室は空になっていく。ポンプ室には、粉体を完全に「充填」してもしなくてもよいことに留意されたい。本明細書で説明するように、ピンチ弁ごとに独立した制御弁を用いることにより、本発明を用いて非常に少ない粉体流量を正確に制御することができる。すなわち、ピンチ弁は、各ポンプサイクル中にポンプ室に多量又は少量の粉体を供給するように、ポンプ室のサイクル速度とは無関係に制御することができる。
【0142】
ピンチ弁空気544は、4つのピンチ弁制御ソレノイド554、556、558、及び560に入力される。4つの弁は、4つのピンチ弁480、481それぞれの動作を好ましくは独立してタイミング制御するように用いられる。図16では、「送出ピンチ弁」は、粉体がポンプ室から出る際に通る2つのピンチ弁481を指し、「吸引ピンチ弁」は、粉体がポンプ室に給送される際に通る2つのピンチ弁480を指す。同じ参照符号を用いているが、各吸引ピンチ弁及び各送出ピンチ弁は個別制御される。
【0143】
第1の送出ソレノイド弁554が第1の送出ピンチ弁481への空気圧を制御し、第2の送出ソレノイド弁558が第2の送出ピンチ弁481への空気圧を制御し、第1の吸引ソレノイド弁556が第1の吸引ピンチ弁480への空気圧を制御し、第2の吸引ソレノイド弁560が第2の吸引ピンチ弁480への空気圧を制御する。
【0144】
このように、図16の空気圧図は、制御システム39(図1)からの種々の制御信号に応答してマニホルド404が生成する機能空気流を示している。
【0145】
図17A及び図17Bを参照すると、本発明の別の態様によれば、移送ポンプ400も意図される。移送ポンプの多くの態様は、スプレーアプリケータポンプ402と同じ又は同様であるため、詳細に繰り返す必要はない。
【0146】
ガンポンプ402を移送ポンプとして用いることもできるが、移送ポンプは、必要に応じた速さで容器間で大量の粉体を移動させるのに主に用いられる。さらに、本明細書で説明される移送ポンプは、同じ四方独立ピンチ弁の動作を有さないが、切替弁をガンポンプと同じ制御プロセスで動作させることができる。例えば、一部の用途では、大量の材料を大きな表面に塗布しつつ仕上げの制御を維持することが必要である。移送ポンプは、本明細書に記載された4つの独立したピンチ弁の制御プロセスも組み込むことにより、アプリケータのポンプとして用いることができる。
【0147】
図1のシステムでは、移送ポンプ400を用いて、回収システム28(サイクロン等)から給送センター22に粉体が戻される。移送ポンプ410もまた、箱等の供給源から給送センター22にバージン粉体を移送するために用いられる。このような例及び他の例では、粉体流がスプレーアプリケータに送られていないため、流れ特性は移送ポンプにおけるほど重要ではない。そこで、本発明の一態様によれば、ガンポンプは移送ポンプの性能期待値に対応するように変更される。
【0148】
移送ポンプ400では、粉体流量を増加させるためにより大きなポンプ室が必要である。図17A及び図17Bの実施形態では、この場合、ポンプマニホルドが2つの延長管状ハウジング564及び566に置き換えられ、これらは長い多孔管568及び570を囲んでいる。長い多孔管568、570は、各ポンプサイクル中により大量の粉体を収容することができる。多孔管568、570は、ハウジング564、566よりもわずかに小さな直径を有するため、正圧及び負圧両方のための圧力室としての役割を果たす環状空間が互いの間に設けられる。空気ホース接続具572及び574が空気ホースを接続するために設けられ、空気ホースは、本明細書で後述される移送ポンプ空気供給システムの正圧及び負圧源にも接続される。ポンプマニホルドが用いられていないため、空気圧エネルギーはポンプ400に個別に配給される。
【0149】
空気ホース接続具572及び574は、各ハウジング564及び566内の圧力室と流体連通している。このように、多孔管568及び570に対する粉体の引き込み及び押し出しは、ガンポンプ設計におけるように負圧及び正圧により行われる。また同様に、チェック弁580、582を含むパージ穴機構576及び578が設けられ、ガンポンプ設計と同じ方法で機能する。
【0150】
ガンポンプ設計におけるように、多孔管568及び570に出入りする粉体流を制御する4つのピンチ弁585を収容する弁体584が設けられる。ガンポンプにおけるように、ピンチ弁は、弁体584の各圧力室内に配置され、正空気圧を用いて弁を閉じ、正圧が除去されると弁が自らの弾発力で開くようにする。しかしながら、間もなく説明するように、異なるピンチ弁作動方式が用いられる。上側Yブロック586及び下側Yブロック588もまた、ガンポンプ設計におけるように分岐粉体流路を提供するために設けられる。したがって、下側Yブロック588は、粉体入口接続具590及び粉体出口接続具592とも連通している。したがって、1つの入口から入った粉体は、各ピンチ弁及び上側Yブロック586を通って両方の多孔管568、570に流れ、多孔管568、570から出た粉体は、各ピンチ弁を通って1つの出口592へ流れる。分岐粉体流路は、ガンポンプの実施形態と同様にして実現されるため、本明細書で繰り返す必要はない。移送ポンプは、ガンポンプにおけるように下側Yブロック588に交換可能な磨耗部品又はインサートを組み込んでもよい。
【0151】
この場合も、ポンプマニホルドが移送ポンプで用いられていないため、ガンポンプ設計におけるように圧力室に配置されるピンチ弁の操作のために別個の空気入口594及び596が設けられる。以下に記載の理由から4つのピンチ弁があるが、空気入口は2つしか必要ない。エンドキャップ598を用いて、ハウジングを整列させたまま保持するとともに、空気接続具及びパージ接続具用の構造を提供することができる。
【0152】
移送ポンプにおいて粉体流の流量は品質よりも極めて重要であるため、4つのピンチ弁全ての個別制御は、代替的に行うこともできるが必要ない。したがって、ピンチ弁の対は同時に、ポンプのサイクル速度と一致して作動させることができる。換言すれば、一方のポンプ室に粉体が充填されているときには他方のポンプ室は粉体を放出しており、したがってピンチ弁の各対が開閉する。ピンチ弁は、ポンプ室への正圧及び負圧の作動と同期して作動させることができる。さらに、ピンチ弁圧力室への1つの空気入口は、一緒に動作するピンチ弁対の圧力室の各対を内部接続することにより用いることができる。したがって、2つのピンチ弁は粉体をポンプから出す送出弁として用いられ、2つのピンチ弁は粉体をポンプに引き込む吸引弁として用いられる。しかしながら、ポンプ室は送出及び吸引を交互に行うため、半サイクルごとに1つの吸引ピンチ弁の開放及び1つの送出ピンチ弁の開放が起こり、それぞれがポンプ室の異なる1つに接続される。したがって、弁体584内では、1つの吸引ピンチ弁の圧力室及び1つの送出ピンチ弁の圧力室が互いに接続され、他の2つのピンチ弁の圧力室も接続される。これは各ピンチ弁が異なるポンプ室に接続されるピンチ弁対で行われる。相互接続は、単に弁体内の圧力室の対間に交差通路を設けることにより達成することができる。
【0153】
図18を参照すると、移送ポンプ400の空気圧図は、スプレーアプリケータとともに用いられるポンプに関してよりも幾分簡略化されている。移送ポンプ室に対して負圧を生成するために用いられるベンチュリポンプ600に、主要空気408が入力される。主要空気はレギュレータ602にも入力され、送出空気が第1の室ソレノイド弁604及び第2の室ソレノイド弁606への各入力部に供給される。室弁は、入力としてベンチュリポンプ600からの負圧も受け取る。ソレノイド弁604、606は、移送ポンプの各圧力室と流体連通している各出力部608、610を有する。
【0154】
この実施形態のソレノイド弁は、電気的に作動されるのではなく空気作動される。したがって、空気圧タイマ又はシャトル弁616からの空気信号612及び614を用いて、ポンプの圧力室への正圧出力と負圧出力との間で弁604、606が切り替えられる。適した空気圧タイマ又はシャトル弁の一例は、ホエルビガー・オリガ(Hoerbiger-Origa)から入手可能なモデルS9 568/68−1/4−SOである。ガンポンプにおけるように、ポンプ室は、一方が充填されているときに他方が放出しているように切り替わる。シャトルタイマ信号612は、四方弁618を作動させるためにも用いられる。主要空気は、移送ポンプのピンチ弁用のピンチ空気622を生成するためにレギュレータ620により低圧に低下される。ピンチ空気622は、四方弁618に送出される。ピンチ空気は、一方のポンプ室のピンチ弁624及び他方のポンプ室のピンチ弁626に結合され、関連する対がポンプ室と同じサイクル時間で一緒に開閉する。例えば、送出ピンチ弁624aが一方のポンプ室に対して開くと、他方の送出ピンチ弁626aが閉じ、吸引ピンチ弁624bが閉じると吸引ピンチ弁626bが開く。弁は各ポンプサイクルの後半中に逆になるため、ガンポンプと同様にポンプ室も切り替わる。ピンチ弁はポンプ室と同じタイミングサイクルで動作するため、連続的な粉体流が得られる。
【0155】
図19は、移送ポンプの空気圧回路の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、ポンプの基本的な動作は同じであるが、ここでは、1つの弁628を用いてポンプ室への正圧及び負圧を切り替える。この場合、空気圧周波数発生器630が用いられる。適した装置は、クロウゼット(Crouzet)から入手可能なモデル81 506 490である。発生器630は、ポンプ室の四方弁628及びピンチ空気四方弁618を作動させる様々な空気信号を生成する。したがって、ポンプ室及び関連するピンチ弁の交互サイクルが達成される。
【0156】
図20は、ピンチ弁480、481の独立制御により可能となる本発明の流量制御の態様を示す。この図は、説明を目的としたものであり、実際の測定データを示すものではないが、本発明による通常のポンプは同様の性能を示すであろう。グラフは、ポンプからのポンプ/時での総流量対ポンプサイクル時間を表している。400ミリ秒という通常のポンプサイクル時間は、多孔質部材を囲む圧力室に負圧及び正圧が加えられる結果として400ミリ秒の時間窓内で各ポンプ室が充填又は放出を行っていることを意味する。したがって、各ポンプ室は、合計800ミリ秒の時間で充填及び放出を行う。グラフAは、ピンチ弁がポンプ室と同じ時間間隔で動作する場合の通常の応答を示す。これにより、所与のサイクル時間で最大の粉体流が得られる。したがって、サイクル時間が長くなると、ポンプの動作が遅くなっているため粉体流の量が減少する。したがって、ポンプ室を充填するのに要する実際の時間はポンプサイクル時間よりもはるかに短いため、サイクル時間が短くなると流量は増加する。したがって、ポンプの運転の速さ又は遅さ(ポンプ圧力室に負圧及び正圧を加える持続時間に基づいたポンプサイクル時間)と粉体流量との間には直接の関係がある。
【0157】
グラフBは、ポンプサイクル時間に対するピンチ弁サイクル時間を変えることにより粉体流量、特に低流量を制御及び選択できることを示しているため、注目に値する。例えば、吸引ピンチ弁が開いたままである時間を短縮することにより、ポンプ室が吸引モードである時間がどんなに長くてもポンプ室に入る粉体が少なくなる。図20において、例えば、グラフAは点Xで、400ミリ秒のポンプサイクル時間では約39ポンド/時の流量が得られることを示している。しかしながら、ピンチ弁が閉じている時間が400ミリ秒未満である場合、ポンプサイクル時間が400ミリ秒のままであっても流量は点Yすなわち約11ポンド/時まで減少する。これにより保証されるのは、低流量でも滑らかで一貫した粉体流である。滑らかな粉体流は、ポンプサイクル速度を高めることにより生じるが、上記のように、これにより粉体流量も多くなるであろう。したがって、粉体流量は少ないが滑らかな粉体流を得るために、本発明は、吸引ピンチ弁の動作、場合によっては同様に送出ピンチ弁の動作も独立制御できることにより、ポンプサイクル速度が速くなっても粉体流量を制御できるようにする。作業者は、単に所望の速度を入力することにより流量を容易に変えることができる。制御システム39は、ピンチ弁の開放時間を適宜調整することにより所望の流量が得られるようにプログラムされる。流量制御は十分に正確であるため、実際の流量を測定するためにセンサを用いる閉ループ式ではなく事実上開ループの流量制御方式である。経験的データを所与のシステム設計全体について収集して、種々のポンプサイクル時間及びピンチ弁サイクル時間での流量を測定することができる。この経験的データは、続いて材料流量のレシピとして記憶される。これは、特定の流量が要求された場合に、その流量が得られるピンチ弁サイクル時間を制御システムが知っていることを意味する。特に低流量での流量制御は、より正確であり、従来のシステムで行わなければならなかったようにポンプサイクル時間を長くするのではなくピンチ弁の開放すなわち吸引時間を調整することにより、より良好で均一な流れが生成される。したがって、本発明は、所望であればポンプサイクル速度を変えずにポンプからの材料の流速を制御することができる測量可能ポンプを提供する。
【0158】
図21は、本発明のポンプ制御の概念をさらに示す。グラフAは、500ミリ秒のポンプサイクル速度での流量対ピンチ弁開放時間を示し、グラフBは、800ミリ秒のポンプサイクル速度に関するデータを示している。グラフはいずれも、本明細書で説明するように二室ポンプに関するものである。まず、両方のグラフで、ピンチ弁開放時間が長くなるとともに流量が増加することに留意されたい。しかしながら、グラフBは、確定可能なピンチ弁開放時間を超えてから流量が最大に達することを示している。これは、ピンチ弁が開いている時間の長さに関係なく、限られた量の粉体しかポンプ室に充填できないからである。グラフAは、同じピンチ弁持続時間に関して表した場合に同様のパターンを示すであろう。両方のグラフは、ポンプから粉体流を得るための確定可能な最短ピンチ弁開放時間があることも示している。これは、粉体が実際にポンプ室に吸い込まれポンプ室から押し出されるのに十分なほど長い時間、ピンチ弁が開いていなければならないからである。なお、概して、所与のピンチ弁持続時間では、グラフAのポンプ速度が速いほど流量が多くなる。
【0159】
本明細書に示されているデータ、値、及びグラフは、実際のポンプ設計によって大きく変わるため、例示的であり非限定的であることが意図される。制御システム39は、単に制御システム39にピンチ弁の弁開放時間及びポンプ室の吸引/圧力時間を調整させることにより可変流量を提供するように、容易にプログラムされる。これらの機能は、材料流量制御プロセスにより操作される。
【0160】
代替的な実施形態では、ポンプからの材料流量は、粉体ポンプ室に粉体を吸い込むためにポンプ圧力室の吸引が行われる持続時間を調整することにより制御することができる。ポンプサイクル全体は一定に、例えば800ミリ秒に保つことができるが、400ミリ秒の充填時間の間に吸引が実際に行われる時間の量は、粉体ポンプ室に引き込まれる粉体の量を制御するために調整することができる。真空が長く加えられるほど、粉体ポンプ室に引き込まれる粉体は多くなる。これにより、吸引ピンチ弁及び送出ピンチ弁の制御を用いることとは別に、材料流量の制御及び調整が可能になる。
【0161】
しかしながら、別個のピンチ弁制御を用いることで、この代替的な実施形態の材料流制御が強化される。例えば、上記のように、サイクルごとに粉体室に吸い込まれる粉体の量を制御するために吸引時間を調整することができる。ピンチ弁の動作も制御することにより、この吸引が行われるタイミングを制御することもできる。吸引は、負圧が圧力室に加えられている間のみ、しかも吸引ピンチ弁が開いている間のみ行われる。したがって、吸引時間が終了した時点で、吸引ピンチ弁を閉じることができ、圧力室への負圧を止めることができる。これにはいくつかの利点がある。1つの利点は、圧力室から吸引力を除去することにより、負圧を形成するベンチュリポンプに必要な加圧空気の消費が少なくなることである。別の利点は、吸引期間を送出期間(送出期間は正圧が圧力室に加えられる期間である)から完全に分離できるため、吸引と送出とが重ならないことである。これにより、粉体ポンプ室における粉体の吸引から送出への遷移時間の間に逆流が生じるのが防止される。したがって、吸引時間の制御を用いるとともに独立したピンチ弁制御を用いることにより、吸引が行われるタイミングを、例えばポンプサイクルの吸引部分の途中になるように制御して、正圧が加えられる送出サイクルと重なるのを防止することができる。材料流量の制御にピンチ弁を用いる本明細書の実施形態のように、この代替的な実施形態は、経験的データ又は他の適当な分析を利用して、所望の流量を得るために制御するのに適した吸引持続時間及びオプションのピンチ弁動作時間を決定することができる。
【0162】
したがって、本発明は、作業者が所望の流量の入力以外にシステムにいかなる変更も加えずにポンプの出力流量を選択できることを意味する、測量可能な材料流量ポンプ出力を意図している。これは、キーボード又は他の適当な機構等の任意の適当なインタフェース装置を介して行ってもよく、又は物体に材料を塗布するための仕方の一部として流量を制御システム39にプログラムしてもよい。このような仕方は、一般に、流量、電圧、空気流量制御、パターン整形、トリガ時間等を含む。
【0163】
図26を参照して、ガン及び移送ポンプに負圧を供給する代替的な実施形態を示す。図26は、2つのポンプ室1及び2を有する1つのポンプのみを示しているが、この概念は複数のポンプに拡張可能であり、本明細書におけるガンポンプの概念及び移送ポンプの概念の両方に適用可能でもある。
【0164】
本発明は、多数のガン及びポンプを利用する用途で用いることができることが意図されている。システムが大型になると、粉体ポンプの吸引サイクルを操作するのに必要な負圧を生成するために、複数のベンチュリポンプが必要となる。負圧が要求される場合、図16、図19、及び図20の実施形態では固有の遅延が生じるが、これは、負圧を発生させるためにこれらのベンチュリポンプが動作していなければならないからである。また、ベンチュリポンプは、負圧が必要なくなって停止させられない限り、加圧空気を消費する。
【0165】
システムの効率を高めるために、負圧アキュムレータすなわち負圧槽1000をシステムに加えて負圧を蓄えることができるため、ポンプ室に要求される場合は常に負圧が供給され、負圧ポンプを圧送室からの負圧の要求とは無関係に操作することができる。図26では、逆止め弁1004を介して負圧ポンプ1002の出口を槽1000への入口に接続することができる。逆止め弁1004を用いて、システムシャットダウン後でも槽に負圧を蓄えさせることができる。弁1006等の別の制御装置が、槽1000の出口をポンプ室への正圧及び負圧の供給を制御する制御ソレノイド1008及び1010に接続する。例えば、図16の実施形態では、弁1008及び1010は弁548、550に対応し、図18の実施形態では、弁1008及び1010は弁604、606に対応し、図19の実施形態では、弁1008及び1010は弁628に対応する。
【0166】
槽1000の使用により、補充を必要とする点まで槽内の圧力が低下するまで圧縮空気を消費しないように、ベンチュリポンプをアンロード又は停止させることが可能になる。センサ(図示せず)を用いて、ベンチュリポンプを作動させる必要があるかを判定することができる。
【0167】
適した負圧ポンプは、上述の実施形態で説明したようなベンチュリポンプである。これらの実施形態では、ベンチュリポンプは、マニホルド404(図1及び図15)に配置することができる。槽の概念は、代替的な形態で実現してもよい。複数の負圧ポンプ1002を、槽1000とともに制御キャビネット又は他の場所に配置してもよい。その場合、個々の供給ラインを槽の出口からポンプ室の種々の制御ソレノイドまで延ばすことができ、ポンプ室はマニホルド404に配置することができる。マニホルド404は、ポンプ及び槽とともに位置付けられてもよく、又は必要に応じて異なる場所に位置付けられてもよい。
【0168】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明してきた。本明細書及び図面を読んで理解すれば、本発明者ら以外でも変更及び変形を思いつくであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその等価物内にある限り、このような変更及び変形全てを含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明を利用する粉体コーティング材料塗布システムの簡易外略図である。
【図2A】本発明によるスプレーアプリケータの長手方向断面図である。
【図2B】図2Aの丸で囲んだ前方部分の拡大図である。
【図2C】図2Aの丸で囲んだ後方部分の拡大図である。
【図3A】図2Aのスプレーアプリケータの分解斜視図である。
【図3B】図2Aのスプレーアプリケータの分解斜視図である。
【図4】空気キャップの正面斜視図である。
【図5】図4の空気キャップの長手方向断面図である。
【図6】電極を保持して示す、図4の空気キャップの長手方向断面図である。
【図7A】電極及びホルダアセンブリの図である。
【図7B】電極及びホルダアセンブリの図である。
【図7C】電極及びホルダアセンブリの図である。
【図8A】本発明による手動スプレーアプリケータの立面図である。
【図8B】図8Aのアプリケータの長手方向断面図である。
【図8C】図8A及び図8Bのアプリケータで用いられる粉体管の斜視図である。
【図9】本発明によるパターン調整アルゴリズムの論理流れ図である。
【図10A】本発明によるポンプの組み立て等角図である。
【図10B】本発明によるポンプの分解等角図である。
【図10C】本発明によるポンプの分解等角図である。
【図10D】図10の組み立てられたポンプの立面図である。
【図10E】図10の組み立てられたポンプの断面図である。
【図10F】図10の組み立てられたポンプの立面図である。
【図10G】図10の組み立てられたポンプの断面図である。
【図11A】ポンプマニホルドの等角図である。
【図11B】ポンプマニホルドの上面図である。
【図12A】第1のYブロックを示す。
【図12B】第1のYブロックを示す。
【図13A】弁体の斜視図である。
【図13B】弁体の断面図である。
【図14A】別のYブロック機構の斜視図である。
【図14B】別のYブロック機構の斜視図である。
【図15】供給マニホルドの分解斜視図である。
【図16】図10Aのポンプの空気圧流機構の例示的な実施形態である。
【図17A】本発明による移送ポンプの等角図である。
【図17B】本発明による移送ポンプの分解等角図である。
【図18】移送ポンプの空気圧流機構の例示的な実施形態である。
【図19】移送ポンプの空気圧回路の代替的な実施形態である。
【図20】本発明に従って動作しているポンプの材料流量曲線の図である。
【図21】2つの異なるポンプサイクル速度に関する、粉体流量対ピンチ弁開放時間を示すグラフである。
【図22A】スプレーアプリケータの円錐状パターンノズルの等角図である。
【図22B】スプレーアプリケータの円錐状パターンノズルの立面図である。
【図22C】スプレーアプリケータの円錐状パターンノズルの前端図である。
【図22D】図22Cの線22D−22Dに沿った断面図である。
【図22E】図22Cの線22E−22Eに沿った断面図である。
【図23】本発明の代替的な実施形態によるノズルアセンブリの第1の実施形態の縦断面図である。
【図24A】スプレーアプリケータの平坦状パターンノズルの等角図である。
【図24B】スプレーアプリケータの平坦状パターンノズルの立面図である。
【図24C】スプレーアプリケータの平坦状パターンノズルの前端図である。
【図24D】図24Cの線24D−24Dに沿った断面図である。
【図24E】図24Cの線24E−24Eに沿った断面図である。
【図25】本発明の代替的な実施形態によるノズルアセンブリの第1の実施形態の縦断面図である。
【図26】濃厚相ポンプにより用いられる負圧源の代替的な実施形態の機能概略図である。
【技術分野】
【0001】
[発明の技術分野]
本発明は、包括的には、材料塗布システム、例えば限定はされないが粉体コーティング材料塗布システムに関する。より詳細には、本発明は、洗浄時間及び色交換時間を短縮し、使いやすさを改善するアプリケータ及びポンプに関する。
【0002】
[関連出願]
本願は、「Improved Particulate Material Application System」として2004年9月17日に出願された係属中の米国特許出願第10/711,434号、「Spray Applicator for Particulate Matter」として2004年11月19日に出願された係属中の米国特許出願第10/515,400号、及び「Spray Applicator For Particulate Matter」として2004年8月18日に出願された国際出願第PCT/US04/26887号の一部継続出願であり、さらにこれらの継続出願により、「Powder Applicator with Pattern Adjustment」として2003年8月18日に出願された米国仮特許出願第60/481,250号、「Powder Spray Applicator」として2003年11月18日に出願された米国仮特許出願第60/523,012号、「Powder Coating Material Spray Gun」として2004年3月19日に出願された米国仮特許出願第60/554,655号、及び「Pinch Pump with Vacuum Tube」として2003年11月24日に出願された係属中の米国仮特許出願第60/524,459号の利益を主張し、この引用によって、上記出願の開示内容のすべてを本明細書に完全に援用する。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
材料塗布システムは、1つ又は複数の材料を1つ又は複数の層で物体に塗布するために用いられる。一般的な例は、粉体コーティングシステム、並びに、食品加工産業及び化学産業に用いることができるような他の粒子材料塗布システムである。これらは、粒子材料を物体に塗布するのに用いられる様々な多くのシステムのほんの数例にすぎないが、それによって本発明の実現性を見出すことができる。
【0004】
乾燥粒子材料の塗布は、いくつかの異なる点で特に困難である。一例は、粉体スプレーガンを用いた粉体コーティング材料の物体への塗布であるが、これは決して本発明の使用及び用途を限定するものではない。スプレーされた粉体は雲状又は拡散したスプレーパターンに広がる傾向があるため、既知の粉体塗布システムは、閉じ込め用のスプレーブースを用いる。目標物体に付着しない粉体粒子は、一般に粉体オーバースプレーと呼ばれ、これらの粒子はブース内で不規則に落下する傾向があり、スプレーブース内のほぼ全ての露出表面に降りかかる。したがって、洗浄時間及び色交換時間は、粉体オーバースプレーに曝される表面積の大きさに大きく関係する。
【0005】
色交換時間及び洗浄時間は、粉体オーバースプレーに曝される外表面積に加えて、塗布プロセス中に粉体流に曝される内表面積の大きさに大きく関係する。このような内表面積の例には、粉体の供給源から粉体スプレーガンに至るまでの粉体流路を形成する全表面積が含まれる。粉体流路は通常、粉体供給源から1つ又は複数のスプレーガンに粉体を移送するのに用いられるポンプを含む。供給源、ポンプ、及びガンを相互接続するには、ホースが一般に用いられる。
【0006】
粉体流路の内表面積は通常、粉体流路の各部分に加圧空気等のパージガスを吹き込むことにより洗浄される。材料が衝突する表面を有する磨耗部品、例えば通常の粉体スプレーガンのスプレーノズルは、磨耗面への粉体の融着により洗浄が困難な場合がある。
【0007】
大半の粉体スプレー塗布システムは、内部で物体がスプレーされる粉体閉じ込め用ブース又はスプレーブースを用いる。粉体オーバースプレーは粉体回収システムにより回収され、粉体回収システムは通常、スプレーブースから、普通は壁又は床の開口を通して大量の空気を引き出すことに基づいて動作する。この大きな空気量は、粉体オーバースプレーがスプレーブース外に出るのを防止するための閉じ込め用空気としての役割を果たす。この閉じ込め用空気は粉体オーバースプレーを乗せて運び、粉体オーバースプレーは、一次フィルタ又はサイクロン等の適当な装置によって閉じ込め用空気から分離される。一次フィルタ又はサイクロンは通常、空気に乗せられた粉体オーバースプレーを100%抽出しないため、次ぎのフィルタを用いて大気への放出前に残留粉体が空気から濾過除去される。
【0008】
既知の粉体コーティング材料供給システムは概して、新しいすなわち「バージン」粉体の新鮮な供給物を入れる箱又はホッパ等の容器を伴う。この粉体は通常、ホッパ内で流動化され、これは、空気を粉体中に圧送してほぼ液状の粉体床を形成することを意味する。流動粉体は通常、材料と空気との濃混合気である。多くの場合、回収された粉体オーバースプレーは、篩機構を介して供給源に戻される。ベンチュリポンプを用いて、吸引ラインすなわち管を通して供給源から給送ホースへ粉体が引き込まれ、続いて正圧下でホースを通してスプレーガンまで粉体が押し出される。ベンチュリポンプは逆方向パージすることができないため、このようなシステムを色交換作業のために洗浄するのは困難であり、吸引管及び関連する支持フレームに粉体が残り、ホッパの交換は時間がかかり得る。篩もまた、多くの場合、粉体回収システムの一部として別個のハウジング構造内にあるか、又はその他の理由で容易にアクセス可能ではないため、洗浄に問題があり時間がかかる。これらの部品の大部分は、粉体残渣をサイクロン又は他の粉体回収ユニットに吹き戻すために作業者が手動で用いる高圧エアワンドを用いて、洗浄する必要がある。作業者が色交換のためにシステムの洗浄及びパージに費やさなければならない時間全てが、システムの不稼働時間及び非効率を意味する。
【0009】
一般に既知の2つのタイプの乾燥粒子材料移送プロセスがあり、本明細書ではこれらを希薄相及び濃厚相と呼ぶ。希薄相システムは、大量の空気を利用して、1つ又は複数のホースを通して供給源からスプレーアプリケータに材料を押し出す。粉体コーティングシステムで用いられる一般的なポンプ設計は、高速で大量の空気を粉体流に導入するベンチュリポンプである。(例えば、ポンド/分又はポンド/時で)十分な粉体流量を得るために、流路を構成する部品は、材料に対する空気の比が非常に大きい流れ(換言すれば希薄な流れ)に対応するほど十分に大きくなければならず、そうでなければ大きな背圧及び他の悪影響が起こる可能性がある。
【0010】
他方、濃厚相システムは、空気に対する材料の比が大きいこと(換言すれば濃厚な流れ)を特徴とする。濃厚相ポンプは、「Process and Equipment for the Conveyance of Powdered Material」として2004年7月16日に出願された係属中の米国特許出願第10/501,693号に記載されており、この米国特許出願の開示内容をすべて個の引用により本明細書に完全に援用する。当該米国特許出願は本明細書の出願人に所有されている。このポンプは概して、ガス透過性部材により一部が画定されるポンプ室を特徴とする。一例として粉体コーティング材料等の材料が、重力及び/又は負圧によりポンプ室の一端に引き込まれ、正空気圧によりポンプ室の反対端から押し出される。このポンプ設計は材料を移送するのに非常に効果的であるが、その理由の1つは、ガス透過性材料がポンプ室の一部を形成するという新規構成である。しかしながら、場合によっては、ポンプ全体を見ると、パージ、洗浄、色交換、保守、及び材料流量制御に関して完全に最適であるとはいえない。
【0011】
既知の材料塗布システムの多くは、粒子材料の静電帯電を利用して塗着効率を高める。粉体コーティング材料とともに一般的に用いられる静電帯電の1つの形態は、粉体が通過するイオン化電場の生成を伴うコロナ帯電である。静電場は、静電スプレーガンに設置される帯電電極に接続される高圧源により生成される。通常は、これらの電極は粉体路内に直接配置される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
[発明の概要]
本発明は、材料塗布システムの洗浄性を高め、且つ色変更時間を短縮する装置及び方法を提供する。洗浄性は、特に、アプリケータの外面及びスプレーブースの内面から除去する必要がある粉体オーバースプレーの量を減らすことを指し、したがって塗着効率にも関連する。洗浄性は、供給源からスプレーアプリケータ出口までの粉体路を画定する内面からパージ又は他の方法で除去する必要がある粉体の量を減らすことも指し得る。洗浄性は、パージ又は他の方法での粉体流路の洗浄の行いやすさも指し得る。洗浄性を高めることで、汚染の危険性が低減し、第2の色の粉体を導入する前に粉体流路から第1の色の粉体を除去するのに要する時間の長さが短縮されることにより、色交換時間の迅速化につながる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、洗浄性は、塗着効率を高めることにより高められる。塗着効率とは、スプレーされる全粉体に対する、目標物体にスプレーされて付着する粉体の割合すなわち比を意味する。一実施の形態では、塗着効率は、低速で移動する濃厚相の粉体雲を生成するノズル設計により高められる。一実施の形態では、ノズルから出る粉体流の速度を低下させるための膨脹室を含むノズルが提供される。より具体的な実施の形態では、出口オリフィスの断面積が、ノズルに接続される送出ホースの断面積よりも大きい。霧化のため及び/又は通過性の高い速度(penetrating velocity)を生み出すために、ノズル内の空気補助を任意に提供してもよい。静電アプリケータの場合、軸上の粉体雲を帯電させる電極が設けられるが、この場合、電極及び電極ホルダは粉体流路には配置されない。他の実施の形態の他のオプションの特徴には、電極の空気洗浄、及びノズル内の空気補助に用いられる空気通路への粉体の逆流を防止するためのフィルタ機構が含まれる。さらなるオプションの特徴には、ノズル体の一部としての一体型偏向器が含まれる。
【0014】
本発明は、色交換順序及びポンプ動作の改善も意図している。
【0015】
本発明は、濃厚相ポンプに負圧すなわち吸引を与える代替的な技法も意図している。一実施の形態では、負圧槽又は負圧アキュムレータを用いて、負圧源及び負圧タイミングをポンプ室及び関連するタイミングから分離する。
【0016】
さらに本発明のこの態様によれば、内表面積は、高密度低体積の材料給送で動作するようにスプレーアプリケータを設計することにより縮小される。これに関して、高密度とは、スプレーアプリケータに供給される粉体がその中に有する搬送空気すなわち流動空気の量が、従来の粉体流システムと比較して大幅に少ないことを意味する。低体積とは、単に、従来の粉体スプレーガンと比較して密度が高いため、粉体を給送するのに必要な流動空気の使用量が少なくなることを指す。粉体流中の相当量の空気を除去することにより、粉体給送ホース及び粉体給送管等の関連する導管の直径を実質的に縮小することができ、これにより、内表面積を実質的に縮小することができる。これは、スプレーアプリケータの全体寸法の大幅な低減、したがって粉体オーバースプレーに曝される外表面積の大きさのさらなる縮小にもつながる。手動操作式のスプレーアプリケータの場合、本発明は、容易に交換可能又は取り外し可能な粉体路を提供する。いずれの場合も、任意に1つの部品しか備えない粉体流路が実現される。
【0017】
本発明の別の態様によれば、ノズルではなく空気キャップを用い、且つポンプ出口からアプリケータ出口まで単一内径である粉体流路を有する、ポンプ・アプリケータ機構が意図されている。
【0018】
本発明の別の態様によれば、材料流量の調整を伴うスプレーパターン調整が実施される。一実施の形態では、粉体流に向けられる空気を変えることによりスプレーパターンが調整されると、材料流量はそれに従って調整される。パターン形状及び流量の制御は、処理されている種々の物体に関する材料塗布の仕方(レシピ)に個別に又は一緒に含まれることができる付加的なパラメータである。
【0019】
本発明のこれら及び他の態様及び利点は、添付図面を参照して以下の好ましい実施の形態の説明から、当業者には明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[発明及びその例示的な実施形態の詳細な説明]
本発明は、粒子材料塗布システムの様々な新規態様を意図している。概して、本発明は、3つの主なシステム機能、すなわち、材料の供給源、材料を物体に塗布するのに用いられるアプリケータ、及び供給源からアプリケータへ、又は回収システムから供給源へ粉体を移送する移送装置又はポンプに関する。3つの主なシステム機能は、互いに、また通常の材料塗布システムの他の機能と動作的に連係し、こうした他の機能には、通常はスプレーブースの形態のオーバースプレー閉じ込め機能、及び通常はフィルタベース又はサイクロンベースの材料回収装置の形態のオーバースプレー回収機能が含まれる。
【0021】
システムの観点から、本発明は特に、色交換作業に必要な総時間を大幅に短縮するようにシステムの洗浄性を高めることに関する。さらに、本発明は、システム又はサブシステムを少ない労働力及び時間で使用しやすくする種々の態様に関する。本発明の例示的な実施形態では、材料は濃厚相で扱われるが、本発明の全態様が濃厚相システムのみで実施される必要はない。
【0022】
「濃厚相」とは、粒子流中に存在する空気が給送ホッパ等の供給源における材料を流動化するのに用いられる空気の量とほぼ同じであることを意味する。本明細書で用いる場合、「濃厚相」及び「高密度」は、空気搬送システム内の低空気体積モードの材料流という同じ概念を伝えるために用いられ、この場合、材料粒子の全てが懸濁状態で搬送されるわけではない。このような濃厚相システムでは、材料は、従来の希薄相システムと比較して著しく少ない空気体積で流路に沿って押し進められ、材料は、どちらかというと流路に沿って互いに押し固まる栓の性質を帯びて、或る意味では流路内でピストンとして栓を押すようにして流れる。流路の断面が小さいほど、より低い圧力でこの移動を行わせることができる。
【0023】
これに対して、従来の流れシステムは、空気搬送システムにおける材料流の一つのモードである希薄相を用いる傾向があり、この場合、粒子は全て懸濁状態で搬送される。従来の流れシステムは、供給源から材料を圧送して正圧下でスプレー塗布装置を通して材料を押すために、かなりの量の空気を流れに導入する。例えば、従来の粉体コーティングスプレーシステムの大半が、ベンチュリポンプを用いて供給源からポンプへ流動化した粉体を引き込む。ベンチュリポンプは、意図的にかなりの量の空気を粉体流に加える。通常は、流動空気及び霧化空気が粉体に加えられて、正圧下で給送ホース及びアプリケータ装置を通して粉体を押す。したがって、従来の粉体コーティングスプレーシステムでは、粉体が高速で高体積の空気に乗せられて搬送されるため、使用可能な粉体流量を得るために大きな直径の粉体通路が必要となる。
【0024】
濃厚相流は、多くの場合、高圧下で密閉容器に材料を移送することに関連して用いられる。本発明は、単なる材料の輸送又は移送というよりむしろ材料塗布に関するため、高圧下での密閉容器への濃厚相の移送と比較して、大幅に低い圧力及び流量での流れを意図している。
【0025】
約3〜約6cfmの空気体積流量を有する従来の希薄相システム(例えば、ベンチュリポンプ機構を用いるもの等)と比較して、本発明は、例えば約0.8〜約1.6cfmで動作することができる。したがって、本発明では、粉体送出量は約150〜約300グラム/分程度であり得る。
【0026】
濃厚相流対希薄相流は、空気流中の材料の濃い濃度対薄い濃度と考えることもできるため、空気に対する材料の比率は濃厚相システムの方がはるかに高い。換言すれば、濃厚相システムにおいて、単位時間当たり同量の材料が通過する(例えば管の)断面は、希薄相流よりも小さい。例えば、本発明のいくつかの実施形態では、粉体給送管の断面積は、従来のベンチュリタイプシステムの給送管の面積の約1/4である。この場合、単位時間当たりの同等の材料流に関しては、材料は空気流中で、従来の希薄相システムの約4倍も濃い。
【0027】
本発明は、スプレーアプリケータを含む材料塗布システム及びそれに含まれる種々の改良点に関し、それら改良点には低圧濃厚相アプリケータに特有のものもあるが、濃厚相か、低圧濃厚相か、又は他のものであるかに関係なく、多くのタイプの材料流システムに有用なものもある。したがって、アプリケータの場合、本発明は、特に濃厚相材料流が生成されてアプリケータに給送される方法に関するわけではない。概して、濃厚相の送出は、上述のように低空気体積で、負圧下で材料を室内に引き込み正圧下で材料を排出するように動作するポンプにより行われる。既知の濃厚相ポンプ及び移送システムがいくつかあり、これには、限定はされないが以下の開示、欧州特許出願第03/014,661.7号、国際公開第03/024,613号パンフレット、及び国際公開第03/024,612号パンフレットが含まれ、これらの開示内容のすべてをこの引用により本明細書に完全に援用する。
【0028】
本発明は、粒子材料用の濃厚相ポンプのいくつかの新規態様も意図している。ポンプは、任意の数又はタイプのスプレーアプリケータ装置又はスプレーガン及び材料供給源と組み合わせて用いることができる。本発明はさらに、色交換プロセスの改善を意図している。
【0029】
図1を参照すると、例示的な実施形態では、本発明は、例えば通常の粉体コーティングスプレー装置10等の材料塗布システムとともに用いられて示される。このような機構は、一般に、内部で物体又は部品Pに粉体コーティング材料がスプレーされる粉体スプレーブース12を含む。部品Pへの粉体の塗布は、概して、本明細書では粉体スプレー、コーティング又は塗布動作或いはプロセスと呼ばれるが、粉体が実際に部品に塗布される前、塗布されている間、又は塗布された後に制御及び実行される、任意数の制御関数、ステップ、及びパラメータがあってもよい。
【0030】
既知のように、部品Pは、ハンガー16又は任意の他の便宜上適当な機構を用いて、オーバーヘッドコンベヤ14から吊り下げられる。ブース12は、1つ又は複数の開口18を含み、開口18を通して1つ又は複数のアプリケータ20を用いて、部品Pをブース12内で移動させながら部品Pにコーティング材料を塗布することができる。アプリケータ20は、システム10全体の特定の設計に応じていかなる数であってもよい。各アプリケータは、装置20aにおけるような手動操作式装置であってもよく、又は本明細書では自動アプリケータ20bと呼ぶシステム制御式装置であってもよい。この場合、「自動」という用語は、単に、自動アプリケータが手動支持及び手動トリガされるのではなく、支持体に取り付けられて制御システムによりトリガオン及びトリガオフされることを指す。
【0031】
粉体コーティング材料塗布業界では、粉体アプリケータを粉体スプレーガンと呼ぶのが一般的であり、本明細書の例示的な実施形態に関して、アプリケータ及びガンという用語は交換可能に用いられる。しかしながら、本発明は、粉体スプレーガン以外の材料塗布装置にも適用可能であることが意図されるため、本発明を粉体コーティング材料塗布システムに加えて多くの材料塗布システムで用いることができるという概念を伝えるために、アプリケータというより一般的な用語を用いる。本発明のいくつかの態様は、静電スプレーガンと非静電スプレーガンとに同様に適用可能である。本発明はまた、「スプレー」という語に機能的に関連することに限定されない。本発明は、粉体スプレー塗布に特に適しているが、本明細書に開示されるポンプの概念及び方法は、スプレーだけでなく他の材料塗布技法とともに用いることができ、こうした技法が分配、放出、塗布、又は特定のタイプの材料塗布装置を説明するために用いられ得る他の用語のいずれを指すかは関係ない。
【0032】
スプレーガン20は、給送センター又は供給源22から関連する粉体給送又は供給ホース24を通して粉体を受け取る。「給送センター」及び「供給源」という用語は、本明細書では、本発明による任意の粒子材料源を指すために交換可能に用いられる。供給源22が粉体用の容器という意味で給送ホッパに似ている限り、供給源22はホッパであると考え、ホッパと呼ぶことができる。
【0033】
自動ガン20bは通常、支持体26に取り付けられる。支持体26は、単純な固定構造であってもよく、又は、スプレー動作中にガンを昇降移動させることができる揺動器、又はスプレーブースからガンを出入り移動させることができるガン移動器若しくは往復動器等の可動構造であってもよく、又はそれらの組み合わせであってもよい。
【0034】
スプレーブース12は、通常はブース内への大量の搬送空気流によって、ブース内に粉体オーバースプレーを収容するように設計される。ブース内へのこの空気流は通常、粉体オーバースプレー再利用又は回収システム28により行われる。回収システム28は、空気と、空気に乗せられている粉体オーバースプレーをブースから、例えば導管30等を通して引き出す。一部のシステムでは、粉体オーバースプレーは、戻りライン32で表されるように給送センター22へ戻される。システムによっては、粉体オーバースプレーは、廃棄されるか又は別個の容器に回収される。
【0035】
本明細書の例示的な実施形態では、粉体は、第1の移送ポンプ400により回収システム28から給送センター22へ移送し戻される。各ガンポンプ402を用いて、給送センター22から1つ又は複数の関連するスプレーアプリケータ又はガン20へ粉体が供給される。例えば、第1のガンポンプ402aを用いて濃厚相粉体流が手動ガン20aに供給され、第2のガンポンプ402bを用いて濃厚相粉体流が自動ガン20bに供給される。ガンポンプ及び移送ポンプの設計は、任意の便利に利用可能な又は適当な設計であり得る。例えば本明細書で上記した特許出願に記載の又は本明細書でさらに後述するポンプ等、濃厚相ポンプを用いてもよく、或いは希薄相ポンプを用いてもよい。
【0036】
各ガンポンプ402は、空気圧供給マニホルド404によりガンに供給される通常の空気等の加圧ガスで動作する。各マニホルド及びポンプアセンブリは、直接接合されているように図1では概略的に示されているが、実際には、マニホルド404は、キャビネット又は他の筐体内に配置されて、キャビネットの壁にある開口を通してポンプ402に直接取り付けられることが意図される。このように、マニホルド404は、ソレノイド弁等の電力を含むことができ、スプレー環境から隔離される。
【0037】
マニホルド404は、本明細書で後述する目的のために、その関連するポンプ402に加圧空気を供給する。さらに、各マニホルド404は、空気ホース又は空気ライン406を介してスプレーガン20に供給される加圧パターン空気供給源405を含む。主要空気408が、システム10のエンドユーザの製造設備内の任意の適当な源から、マニホルド404に供給される。
【0038】
この実施形態では、第2の移送ポンプ410を用いて、バージン(すなわち未使用)粉体の供給源412から給送センター22へ粉体が移送される。当業者には、必要な移送ポンプ410及びガンポンプ402の数がシステム10全体の要件及びシステム10を用いて行われるスプレー動作の要件により決まることが理解されるであろう。
【0039】
ガン20及びポンプ400、402、410を除いて、供給源22、スプレーブース12、ガン移動器26、コンベヤ14、及び回収システム28含む材料塗布システム10の選択された設計及び動作は
、本発明の必須部分を形成するものではなく、特定のコーティング塗布の要件に基づいて選択することができる。制御システム39も同様に、プログラマブルプロセッサベースのシステム又は他の適当な制御回路等、従来の制御システム構成であってもよい。制御システム39は、通常はプログラマブルロジック及びプログラムルーチンを用いて、給送センター制御36(例えば、供給制御及びポンプ動作制御)、ガン動作制御38、ガン位置制御40(例えば、用いられる場合は往復動器/ガン移動器26の制御関数等)、粉体回収システム制御42(例えば、フィルタブロワの後のサイクロンセパレータの制御関数等)、コンベヤ制御44、及び材料塗布パラメータ制御46(例えば、粉体流量、塗布膜厚、静電又は非静電塗布等)を含むがこれらに必ずしも限定されない、概して図1に示す多様な制御関数及びアルゴリズムを実行する。従来の制御システムの理論、設計、及びプログラミングを利用することができる。
【0040】
ガン動作38の制御関数としては、ガントリガオン/オフ時間、電圧及び電流の設定及び監視等の静電パラメータ、並びにガンへの粉体流量及び空気流量が挙げられるが、これらに限定されない。これらの関数及びパラメータは、部品レシピとして一般に知られているものを構成し、部品レシピは、塗布される各色又はタイプの粉体に関するパラメータ及び制御関数のセットを各部品が独自に有し得ることを意味する。これらの制御関数及びパラメータは、既知のように従来のものであってもよい。しかしながら、さらに、本発明は、特にスプレーパターン調整及び粉体霧化空気に関する本発明のスプレーアプリケータ及びポンプの新たな制御関数を意図しており、これについては本明細書で後述する。このさらなるガン制御関数は、一実施形態では、ノズルが一般的に用いられ濃厚相粉体流が用いられない従来のシステムとは対照的に、ノズル装置をもはや用いないという特徴とともに濃厚相粉体流に用いられる空気補助機能を用いて、本発明により利用可能となる。さらにまた、本発明は、スプレーパターンの変化に応じて材料流量が調整される、ポンプ制御のオプションの特徴を意図している。これらの新規特徴は、部品レシピ全体に組み込むことができる。
【0041】
しかしながら、本発明はさらに、濃厚相用途のためのスプレーアプリケータのノズルも提供し、これについては本明細書でさらに後述する。
【0042】
本明細書で説明される実施形態は、粉体コーティング材料塗布システムにおいて用いられる濃厚相輸送システムに関して示されるが、本発明を、タイヤ上のタルク、おむつ等の超吸収体、小麦粉、砂糖、塩等の食品関連材料、乾燥剤、離型剤、及び医薬品を含むがこれらに決して限定されない、多くの異なる乾燥粒子材料塗布システムにおいて用いることができることは、当業者には容易に理解されるであろう。これらの例は限定ではないが、粒子材料の物体への濃厚相塗布についての本発明の広範な用途を示すよう意図される。選択される材料塗布システムの特定の設計及び動作は、本明細書で特に明記されない限り、本発明に制限を加えるものではない。
【0043】
本発明の種々の態様は、例示的な実施形態と組み合わせて具現されるように本明細書では説明及び図示されるが、これら種々の態様は、個別に、又は種々の組み合わせ及びそれら組み合わせのさらなる組み合わせ(sub-combinations thereof)で、多くの代替的な実施形態で実現することができる。本明細書で明確に除外しない限り、このような組み合わせ及びさらなる組み合わせは本発明の範囲内にあるよう意図される。さらにまた、代替的な材料、構造、構成、方法、装置、ソフトウェア、ハードウェア、制御ロジック等、本発明の種々の態様及び特徴に関する種々の代替的な実施形態が本明細書で説明され得るが、このような説明は、現在既知であるか将来開発されるものであるかに関係なく、利用可能な代替的な実施形態の完全な又は網羅的なリストであることを意図するものではない。当業者であれば、本発明の範囲内で、本発明の態様、概念、又は特徴の1つ又は複数をさらなる実施形態に取り入れることができ、このような実施形態が本明細書で明確に開示されていないとしてもそれを行うことができる。さらに、本発明のいくつかの特徴、概念、又は態様が好ましい構成又は方法として本明細書で説明されている場合があっても、このような説明は、そのように明記されない限り、このような特徴が要求されるか又は必要であることを提案するよう意図するものではない。さらにまた、本発明の理解に役立つように、例示的又は代表的な値及び範囲が含まれている場合があるが、このような値及び範囲は、限定を意味するものと解釈すべきではなく、そのように明記されている場合は臨界値又は範囲であることのみが意図される。
【0044】
図1の全体的な概略図からも、このような複雑なシステムは、洗浄及び色交換の準備を行うのが非常に困難であり時間がかかる可能性があることが理解できる。通常の粉体コーティング材料は非常に細かく、スプレーされている物体に向けて細かい雲状又はスプレーパターンで塗布される傾向がある。静電技術を用いても、かなりの量の粉体オーバースプレーは避けられない。色交換中の交差汚染は、多くの産業で重要な問題であるため、材料塗布システムを色交換ごとに徹底的に洗浄することができることが重要である。しかしながら、色交換は材料塗布システムをオフラインにする必要があるため、コスト推進要因である。本発明は容易且つ迅速に洗浄できるスプレーアプリケータを提供することを目的とする。本発明のさらなる特徴及び態様は、洗浄性及び色交換に関する事項とは切り離して適用可能である。
【0045】
図2A及び図2Bを参照すると、本発明による自動スプレーアプリケータ20bの例示的な実施形態が示されている。同じ実施形態が、図3A及び図3Bの分解斜視図に示されている。
【0046】
スプレーアプリケータ20bは、アプリケータ構成部品の大半を囲む主ハウジング100を含む。ハウジング100は、粉体入口端102及び出口端104を有する。粉体管106がハウジング100のほぼ全長に延びる。粉体管106は、その入口端106aからその出口端106bまで直線状の一続きの粉体路を形成する。粉体管は、粉体が溜まる可能性がある継手の数を最小にするために、シングルピースの管路であることが好ましい。これにより、アプリケータ20bの内部の洗浄及びパージが容易になる。ガンハウジング100内の粉体路にある唯一の継手は、粉体ホース(図示せず)がガンの入口端102に接続される場所であり、これについては本明細書で後述する。
【0047】
本発明の一態様によれば、ガン20の設計は、入口から出口に至るまで延びる一直線の粉体管106で十分に動作可能であることにより、洗浄及び色交換に特に有利である。管の直径は、ポンプ402から濃厚相粉体流が出ることから縮小されているため、洗浄する内表面積が小さくなる。さらに、ガンの粉体入口とポンプの出口との間に接続される粉体ホースは、粉体管の直径と同じ直径とすることができる。したがって、ポンプからガン出口まで単一径の粉体流路の形態での、一続きの均一な幾何形状となる。この特徴により、粉体が溜まる領域ができる可能性が減り、流れに対する抵抗が最小になる。さらに、粉体流路を色交換のためにパージすることがはるかに容易且つ効果的になる。本明細書で後述するように、本発明の他の態様によれば、ポンプ402は、粉体ホース及び粉体管を前方に進む方向を含む、2つの方向でパージすることができる。このパージは、連携して機能し、ポンプとガンとの間の粉体流路の幾何形状が均一であることによって容易になる。
【0048】
この実施形態のハウジング100は前方セクション100a、細長い中間セクション100b、及び後方セクション100cを含む3セクションハウジングである。前方セクション100aは、その後端に、中間セクション100bの前端内に好ましくはぴったりとした摩擦嵌めにより嵌まるボス108を含む。後方セクション100cは、その前端に、中間セクション100bの後端内に好ましくはぴったりとした摩擦嵌めにより嵌まるボス110を含む。粉体管106は、前方セクション100aの雌ねじ部分と螺合可能に噛み合う前方ねじ部112を含む。粉体管106は、ロックナット116と螺合可能に噛み合う後方ねじ部分114(図2Cを参照)も含む。ロックナット116は、ヒートシンク120の座ぐり118に部分的に延びる。ロックナット116は、ガンの組み立て中に座ぐりに当接する。粉体管106をハウジング100の前方セクション100aと螺合可能に結合して締めたら、次にロックナット116を締めることで、粉体管106が後方に引っ張られるようにする。この作用により、3つのハウジングセクション100a、100b、及び100cが圧縮状態で軸方向にともに引っ張られ、粉体管106がタイロッドのような役割を果たしてハウジングセクションを合わせてしっかりと保持するようになる。ロックナット116は、ロックナット116とヒートシンク120との間に摩擦嵌めを提供する、例えばOリング等のシール122を含む。
【0049】
ロックナット116には、粉体管ロックノブ124が螺合可能に結合される。粉体給送ホース125の前端が、ロックノブの穴126に挿入され、粉体管106内に形成される内部肩部128に突き当たる。ロックノブ124の前端と粉体管106の後縁との間には、ロックリング130が挟まれる。ロックリングは、粉体給送管125をガン20bの入口端に挿入することを容易にする。しかしながら、ロックリング130は、給送管の外壁を把持して、給送管が後退して外れるのを防止する。ロックリング130は、ロックノブ124がロックナット116に対して締められると、給送管125と密着係合する。粉体管125は、ロックノブ124を単に緩めることにより業務及び、オプションで色交換のために容易に取り外すことができる。粉体の損失を防止するために、シール132が設けられる。シール132もまた、粉体管125がガンから取り外されるときにロックノブ124が粉体管の長さに沿って滑らないように、摩擦嵌めを提供する。
【0050】
したがって、スプレーアプリケータ20bの粉体路が粉体管106により画定されることが、図2A及び図2Cから明らかとなるであろう。唯一の継手は、粉体給送ホース125が粉体管106の肩部128に当接する場所134である。この1つの継手を除いて、粉体は出口端104までスプレーガン内の一続きの通路に沿って流れることができる。したがって、ガンは色交換のためにパージしやすく、粉体路内に著しく粉体が溜まりやすい領域がない。濃厚相粒子材料とともに用いる場合、粉体管の直径は、従来の粉体スプレーガンの粉体管と比較して実質的に小さい。例えば、本発明の一実施形態では、粉体管の内径は約6ミリメートルであり得るが、従来の希薄相システムでは11〜12ミリメートル程度であり得る。
【0051】
粉体管106はハウジング100内に延び、前端106bは、ねじ付き止めナット140により前方セクション100aで保持される空気キャップ138の中央穴136に受け入れられる。粉体管106がガン内の全長に延びるため、通常の従来技術の粉体スプレーガンで用いられているようなノズル装置はない。むしろ、粉体は粉体管の前端106bからガンを出る。粉体管の出口端106bは空気キャップ138の中央穴136の前端とほぼぴったり並んでもよいが、そのように並ばなくてもよい。
【0052】
ここで、スプレーアプリケータ20bは通常、アプリケータのほぼ全長が中間セクション100bにより画定される、比較的長い装置であることに留意されたい。ガンの全長は、数フィート、例えば5フィートである場合がある。
【0053】
空気キャップ138は、図4及び図5に最も詳しく示される。空気キャップ138は、本発明の一態様により、空気を主に霧化空気又は拡散空気として、粉体管の出口端106bから出る粉体流に加えるために設けられる。本発明は、濃厚相微粒子システムで空気を粉体流に加えることを意図している。空気が加えられないと、濃厚相システム内の粉体流はほぼ流体状であり、管内で粉体流が水のように流れる。
【0054】
空気キャップ138は、粉体管106の前端を受け入れる中央通路136を含む。通路136は、粉体管の端を緩く受け入れるような寸法にされる。これは、空気ジェット150に対して粉体流を適切な向きにするように粉体流の中心を合わせるのに役立つ。これにより、空気を管の端の外側周囲に巡らせて、粉体がガンハウジングに戻ることを防止することもできる。中央通路136は、雄ねじ付き内側管状部分142により画定される。本明細書で間もなく説明するように、雄ねじ144は導電性の拡散リングを受け入れる。空気キャップの外壁146も、148で示すように雄ねじが切られ、ねじ付き止めナット140と噛み合う。したがって、止めナット140は、空気キャップ138と前方ハウジングセクション100aのねじ端とに螺合可能に結合されて(図2B)、ハウジング上で空気キャップをしっかりと保持する。
【0055】
図5に最も分かりやすく示すように、空気キャップは、2つの空気ジェット突起部148a及び148bを含む。各突起部148a及び148bは、1つ又は複数の空気ジェット150を含む。空気ジェット150は、粉体管の出口端106bを出てすぐの場所にある霧化又は拡散領域152につながるように開いている。空気ジェットの数及び空気ジェットが空気を粉体流に向ける角度は、粉体の霧化を最適にしてスプレーパターンを所望の形状にするための設計上の選択事項である。通常、粉体流に向けられる空気流が多いほど、流れが霧化される量が多くなり、スプレーパターンが大きくなる傾向がある。
【0056】
空気ジェット150は、環状空気通路154につながるように開いている。環状空気通路154はさらに、環状空洞156と連通する。環状空洞156は、雌ねじ付き空気拡散リング158(図6)を受け入れる。リング158は、空気キャップ138の雄ねじ144と螺合する。図3Aに最も分かりやすく示すように、リング158は、空気キャップ138内に均一な空気流を供給する複数の空気穴161を含む。リング158もまた、導電性材料で形成される。例えば、リング158は、カーボン入りのテフロン(登録商標)から形成されてもよい。リング158は導電性にされるが、これは、リング158が空気キャップ138内に拡散空気流を供給することに加えて、高電圧増倍器162への電極アセンブリ160の電気接続も行うからである。
【0057】
図7A〜図7C及び図6を参照すると、本発明の別の態様によれば、粉体が粉体給送管の出口端106bを出る場所のすぐ下流に外部電極が設けられる。電極は、ガンハウジング100の外部に配置することにより、粉体流にも粉体管の洗浄性にも干渉しない。これは、濃厚相材料流の場合に特に有用である。
【0058】
一実施形態では、電極導体164及び電極ホルダ166を含む電極アセンブリ160が設けられる。ホルダ166は導体164を覆って成形されることが好ましいが、必須ではない。導体の短い部分164aがホルダ166の外に延び、長い部分164bがホルダ166の反対端から延びる。ホルダ166には、U字形ボスの形態の位置合わせキー168が形成され、これは空気キャップ138に形成される適合凹部170に受け入れられる(図4及び図6を参照)。このように、電極ホルダ166を1つの向きでのみ設置することができるため、電極の先端164aが粉体管の出口端106bの下流に最適に位置決めされる。ホルダは、空気キャップ138の穴172に挿入される延長部分166bを有する。ホルダ166の前方部分166aが、電極の先端を位置決めし、延長部分166bに対してほぼ直角に形成される。
【0059】
図4及び図6に最も分かりやすく示すように、電極の内側部分164bは、下方に曲がり、空気キャップの導電性リング158と肩部174との間に挟まれる。このようにして、電極導体164と導電性リング158との間にしっかりした電気接続が形成される。
【0060】
図2A及び図2Bを参照すると、導電性リング158の裏面と密着するように、コンタクトピン180が前方セクション100aに位置決めされる。コンタクトピン180は、中間ハウジングセクション100bの前方部分内に後方に延びる抵抗ケーブル182とも接触する。抵抗ケーブル182は、抵抗性の炭素繊維を用いるとともに静電ガンに電流制限保護を与える、任意の従来の抵抗アセンブリであってもよい。この保護は、電極の近くに抵抗を置くことにより高められる。抵抗ケーブル182は、ハウジング内でガイド部材184により支持されることができ、ガイド部材184の後端で付勢ばね186により支持される。ばね186は、ピン180と電気ケーブル188との間に良好な電気接点を維持する。ばね186の後端は、電気ケーブル188の接点と電気接触する。電気ケーブルは、例えば、本発明の譲受人に発行された米国特許第4,576,827号及び第4,739,935号によるものとすることができ、上記特許の開示内容のすべてをこの引用により本明細書に完全に援用する。
【0061】
電気ケーブル188は、ハウジングの長い中間セクション100b内に後方に延びる。電気ケーブル188の後端は、増倍器162の出力接点190と電気接触する。ナット192を用いて、電気ケーブル188を増倍器の出力接点190に固定することができる。
【0062】
したがって、本発明の別の態様によれば、高電圧増倍器162は、ガンハウジングの後方セクションの、好ましくはガンが取り付けられる場所付近に位置決めされる。このように、ガンの重量の大部分が後端で支持されることで、ガンの前方部分の振動及び移動が大幅に減る。従来の粉体ガンのように、増倍器がガンの前部の近くに位置決めされた場合、片持ち式の取り付けにより大きな曲げモーメントが生じる可能性がある。したがって、本発明は、増倍器がガンの後方部分にあり抵抗がガンの前部付近に位置決めされる、抵抗及び電極に接続される電気ケーブルと一致した増倍器の配置を意図している。
【0063】
増倍器162は、ボルト196によりブラケット部材194に取り付けられる。ブラケット部材は、アルミニウム製等の熱伝導性であり、一対のねじ198によりヒートシンク120に取り付けられる。このように、増倍器はヒートシンク120により冷却することができる。既知のように、従来の電気入力コネクタ121を用いて、入力駆動電圧、通常は低DC電圧が増倍器の入力に供給される。
【0064】
空気管200が、前方ハウジングセクション100aに形成されるニップル202上に載せられる。ニップル202は、導電性リング158の直後にある環状空洞156につながるように開いている主空気通路204に通じる空気通路を形成する。したがって、本明細書で上述したように、空気管200を流れる空気は、リング158の穴161を通過した後で、空気キャップ138の空気ジェット150から出る。
【0065】
空気管200は、雄型コネクタ206までガンハウジング100内を後方に延びる。雄型コネクタ206は、ヒートシンク120の前面210に形成される第1の穴208と噛み合う(図2Cを参照)。第1の穴208は、ヒートシンク120の裏面214に形成される第2の穴212につながるように開いている。図2Cから、第1の穴208と第2の穴212とは流体連通しているが、第1の穴208の中心線軸は第2の穴212の中心線からずれていることに留意されたい。これにより、乱流が起こるため、ヒートシンク120がより良好に冷却される。第2の接続具216が第2の穴212に接続され、主空気ホース(図示せず)用の接続部の役割を果たす。この構成により、空気はこのようにしてガンの前部にある空気キャップに供給され、増倍器は、空気キャップへ移動する同じ空気流を受けるヒートシンクにより冷却される。
【0066】
図3A及び図3Bの分解図は、本明細書で上述したアセンブリをより分かりやすく示すように提供される。
【0067】
本発明の別の態様によれば、図3A及び図3Bに最も分かりやすく示すように、ハウジング100の各セクションには、小半径の頂部224でつながる2つの比較的急勾配の壁222により形成される、テーパ状の上側部分が形成されることが好ましい。好ましくは、ガンがスプレー材料に用いられているときに頂部がガンハウジングの最上部となることにより、ガンハウジング100の外形がガンに降りかかり得る粉体オーバースプレーの量を減らし、急勾配の側面が粉体を流すのを助けることができる。
【0068】
図8A及び図8Bを参照すると、本発明は、特に濃厚相材料塗布に適しているがこれに限定されない、手動スプレーアプリケータ250も意図している。手動バージョンの多くの特徴は、本明細書で上述した自動スプレーアプリケータと同じである。
【0069】
手動ガン250は、この実施形態では、後方又は増倍器セクション254及び前方又は粉体管セクション256を含むツーピースハウジングである、バレルの形態のハウジング252を含む。これらのセクションは、例えば止めねじ等の任意の適当な機構により互いに着脱可能に固定することができる。止めナット260により前部ハウジング256の出口端に保持される空気キャップ258がある。空気キャップは、電極アセンブリ262と、同様に導電性の拡散リング263とを保持する(図8Bに示す)。空気キャップは空気ジェット259を含む。空気キャップ258、留めナット260、電極アセンブリ262(電極導体及びオーバーモールドされた電極ホルダを含む)、及び導電性の拡散リング263は、本明細書で上述した自動ガンバージョンの対応部品と同じ設計及び動作であり得る。
【0070】
手動ガン250はさらに、エアライン(図示せず)に接続可能な接続具264等の空気入口を含む。内部の高電圧増倍器268(図8に点線で示す)を動作させるための外部の低圧電源と接続するように、電気コネクタ266が設けられる。増倍器268は、作業者の疲労を減らすように、グリップハンドル270の上の後方ハウジングセクション254に配置される。粉体管ハウジングは、必要に応じていかなる長さで設けてもよく、又は代替的に、スプレーアプリケータ250の長さをさらに延ばすために望まれる場合には、延長ハウジングに接続可能であり得る。
【0071】
手動ガン250の動作は、手動ガンが作業者により手動でトリガされることを除いて、自動バージョンと同様である。したがって、手動ガンは制御トリガ装置271を含む。このトリガ271が押されると、静電動作が用いられる場合には電力が増倍器に送られる。制御トリガ271の作動により、ハンドル270及びハウジング252内に延びる通路を介して空気を空気キャップ258に流すこともできる。空気は、自動バージョンのようにヒートシンクを介して増倍器を冷却するためにも用いることができる。また、制御トリガ271の作動により、粉体が粉体給送ホース273からガンに流れてガンの前端から出る。
【0072】
空気は、空気接続具264を介してハンドル270の通路272からアプリケータ250に入る。この空気を用いて、増倍器268の冷却を助けることができる。通路272は、前方ハウジングセクション256の空気通路274と流体連通する。通路274は、前方ハウジングセクション内に延びて、拡散リング263を受け入れる空気キャップ258の凹部276につながるように開いている。
【0073】
電極262は、本明細書で前述したように拡散リング263と電気接触する。リング263と接触するコンタクトピン278もある。コンタクトピン278は、ばね電極280及び抵抗アセンブリ282、並びに増倍器268の出力に電気結合される導電性の電極スペーサ282aを含む、電気回路の一部である。電極スペーサ282aは、例えば導電性のテフロン(登録商標)材料でできていてもよい。この電気回路は、自動ガンの実施形態で本明細書で上述したのと同様であり得る。
【0074】
粉体給送ホース273は、前方ハウジングセクション256の管状延長部284に挿入される。雌ねじ付き管ロックノブ286及びロックリング288を用いて、管状延長部284で給送ホース273を保持することができる。ロックリング及びロックノブは、本明細書で前述した自動ガンの対応部品と同様に機能するように設計することができる。
【0075】
給送ホース273の前端273aは、粉体管292に形成されるホース通路290に挿入される。ホース通路290は、アプリケータ250の中心長手方向軸に沿っていることが好ましい粉体通路294につながるように開いている。粉体通路294の遠位端294aは、粉体管292の管状部分296(図8Cも参照)により形成される。粉体管292は、ホース通路290を管状延長部284と位置合わせして前方ハウジングセクション256に滑り嵌め又は他の方法で摺動可能に差し込まれるため、粉体給送ホース273を粉体管292に容易に挿入することができる。遠位端294aは、本明細書で上述した自動ガンの実施形態での給送管106及び空気キャップ138と同様に空気キャップ258に受け入れられることを留意されたい。したがって、粉体管292は、ガンの前方への粉体流のために小径の通路を形成するため、手動ガン250は例えば濃厚相粉体流に非常に適している。
【0076】
したがって、粉体管292は、スプレーガン250の粉体流路全体を形成する容易に取り外し可能なユニットを提供する。これにより、手動ガンの洗浄及び色交換が容易になる。
【0077】
本発明の別の態様によれば、第2のトリガ装置298の形態の調整部材又は制御装置が設けられる。このトリガ298は、単独で、又は制御トリガ271と組み合わせて作動させることができる。第2のトリガ298は作業者が空気キャップ258への空気流を調整するのに用いることができるパターン調整トリガである。空気流を増やすことによりスプレーパターンは大きくなり、空気流を減らすことによりスプレーパターンは小さくなる。図1に示すように、制御システム34は、パターン調整トリガ298からの信号(例えば、接点が閉じたときのインピーダンスの変化等)を受け取り、それに応じてガン空気制御信号299を発する。空気制御信号299を用いて、ガン250の内部又は好ましくは粉体塗布システム10全体の空気制御セクションに配置される空気弁(図示せず)を制御することで、必要に応じて空気ジェット259への空気流を増減させることができる。
【0078】
図9を参照すると、パターン調整論理ルーチン又はアルゴリズムの例示的なフローチャートが示されている。ステップ300において、ロジックが、ガンパターン調整トリガ298を起動させるかを判定する(トリガが最短期間の間起動されていない限り空気調整を防止するように、デバウンスサブルーチンを任意に含んでもよい)。起動させない場合、プログラムは有効なトリガ信号を受け取るまで待つ。トリガ298が起動されると、ステップ302において、空気流が漸増する。漸増量は設計上の選択事項であり、作業者には、微調整、粗調整、又はこれら両方の選択肢を与えることができる。ステップ304において、プログラムは、最大空気流がスプレーアプリケータ250に供給されているかを判定する。供給されていない場合、ステップ306において、プログラムは、トリガ298がオンのままかを確認する。オンのままである場合、ロジックは302に戻り、再び空気流を漸増させる。このように、作業者はトリガ298を押して、空気流の増加に伴うパターン変化を観察し、トリガ298を解除することにより停止させることができる。
【0079】
ステップ306において、トリガ298がもうオンになっていない場合、プログラムは、ステップ308においてその空気流量を維持し、ステップ300に戻って次のトリガ作動を待つ。
【0080】
ステップ304において、最大空気流が供給されているとシステムが判定した場合、ステップ310において、ロジックは、トリガ298が起動されたままかを確認する。起動されたままではない場合、プログラムはステップ308に分岐し、その空気流量(したがって選択されたパターン)を維持する。ステップ310において、トリガがオンのままである場合、プログラムは、312において空気流を最小流量にリセットし、ステップ300に戻る。代替的に、ステップ312において、最小流量にリセットして別のトリガを待つ代わりに、プログラムはステップ302に分岐して、再び漸増を開始してもよい。この代替的な方法により、作業者は、トリガを押したままにして、空気流を最大空気流量まで調整した後で再び最小空気流量から漸増させながらスプレーパターンを観察することができる。さらに代替的に、作業者がパターン調整トリガ298を作動させたままにするのではなく、システムが、最初の作業を確認した後、次のトリガの作動に応じて調整を停止するようにプログラムされることができる。
【0081】
パターン整形空気に関して前述した「ランプ」機能の別の代替例として、制御関数を「hi(高)/lo(低)」機能を組み込むようにプログラムしてもよい。この「hi/lo」機能は、トリガ298の離散的な作動を用いて、「高」と「低」との間でパターン整形空気流設定を切り替える。通常のスプレー中、例えば作業者は、手動ガンコントローラから制御する高設定を用いて、大きな扇形パターンを形成する。次に、作業者は、部品をよりうまくコーティングするために狭い扇形パターンが必要な領域に達する。作業者がトリガ298を1回作動させると、コントローラがパターン整形空気流を、作業者が手動ガンコントローラによって事前設定していた特定の値より低い設定に変更する。トリガ298の2回目の作動では、パターン整形空気流が「高」設定に戻る。
【0082】
空気流の調整によりスプレーパターンを変えることは、調整が本質的にソフトウェア論理制御関数であるため、本明細書で上述した自動スプレーアプリケータにおいても実施することができることに留意されたい。自動ガンバージョンでは、制御システムに、作業者がガンへの空気流量を漸増させるために起動するスイッチを設けてもよい。
【0083】
本発明の別の態様によれば、スプレーパターンの調整性は、ポンプ402からの材料流量の任意の調整とともに実施することができる。本明細書で後述するように、本発明によるポンプは、比較的低流量でも制御可能な材料流量で動作することができる。この制御は、ポンプ内の種々のタイミング機能に一部基づいている。スプレーガンと組み合わせて用いられる場合、制御システム39は、スプレーパターンの変化に応じて材料流量も調整されるようにプログラムされ得る。例えば、作業者が大きなパターンからより小さなパターンにスプレーパターンを変更する場合、材料流量を少なくすることが望ましいであろう。逆に、作業者がスプレーパターンの寸法を大きくする場合、材料流量を増やすことが望ましいであろう。これらの相補的な調整は、制御システム39の制御ロジック内の部品レシピに組み込むことができる。別の代替例として、制御システム39は、パターン寸法の変化のパーセンテージとして材料流量を調整するようにプログラムしてもよい。小さなパターンが用いられる特別な拾い塗り又は他のスプレー動作には、粉体を少なくして用いることができるため、流量の調整は粉体の節約になり得る。本発明により行うことができるような関連の調整は数多くあることが、当業者には容易に理解されるであろう。本発明は、1つの方法として、流量を測量可能であるポンプ(本明細書で後述する)及び空気キャップへの空気流を測量可能であるか又は少なくとも調整可能であるスプレーガンを提供することにより、このような融通性を提供する。
【0084】
さらに別の代替的な実施形態では、制御システム39にセットアップモードをプログラムすることができる。セットアップモード中は、作業者がパターン調整トリガを起動することができ、ランピングモード又はステップモードでは、作業者はスプレーパターンが物体に塗布される様子を監視することができる。続いて、作業者は、物体に最適なスプレーパターンを評価することができる。続いて、この最適なスプレーパターンでの空気設定及び流量設定を、同じ部品に再びスプレーするときの将来の基準として記録することができる。この情報は、部品レシピデータベースにも入力され得るため、次回に制御システム39を用いてその部品に同様のコーティング材料をスプレーするときに、システムがパターン及び材料流量を自動的に選択することができる。
【0085】
図22A〜図22E及び図23を参照すると、代替的な実施形態では、図2Bの空気キャップ138がノズルアセンブリ900に置き換えられる。ノズルアセンブリ900は、場合によっては作製しやすく、以下の説明から明らかとなるように空気キャップ138に勝るいくつかの動作上の利点をもたらすことができるが、本明細書で前述したように多くの用途で空気キャップ138を用いることができる。ノズルの概念は、手動スプレーガンのバージョンで用いても自動スプレーガンのバージョンで用いてもよい。
【0086】
ノズルアセンブリ900は、ノズル902及びノズルインサート904を含む。ノズルインサート904は、オプションで用いることができ、全用途に必要なわけではない。しかしながら、ノズルインサートは、ノズルの設計を製造しやすくすることができ、いかなる場合でも、粉体が粉体給送管106(自動ガンの場合)又は粉体管292(手動バージョンの場合)からノズルへ流入するときの粉体用の膨脹室906を提供するために用いることができる。
【0087】
ノズル902はノズル体903を含み、ノズル体903には、止めナット140(図2B)等によりノズルアセンブリ900をスプレーガンの出口端に設置することができるようにする雄ねじ908を設けることができる。ノズル902は、成形又は加工された部品であってもよく、通常は、例えばPTFE、TIVAR(商標)、又はナイロン等の低融着材料からできていてもよい。
【0088】
この実施形態では、ノズル902は、ドーム状の前端902aを有するほぼ弾丸状の形状を有する。一体型のワンピースノズルを形成するための加工若しくは成形ステップ又は他のプロセスを用いて、偏向器及び出口オリフィスを形成することができる。ノズル902は、一体形成された偏向器910を有し得る。図22A〜図22E及び図23の例では、ノズルを用いて円錐状のスプレーパターンが生成されるため、偏向器910は、粉体を円錐状パターンに広がるように方向付けるためにほぼ円錐状の外形を含む。偏向器910は、1つ又は複数のリブ912によりノズル902上で支持される。図22A〜図22Eの例示的な実施形態では、本明細書でさらに説明するように電極を収容するために、1つのリブが他のリブよりも幾分大きい。
【0089】
円錐状の偏向器910は、この場合は約70°の開先角度θを形成するが、所望のスプレーパターンのタイプに基づいて選択角度を選ぶことができる。例えば約100°というより大きな開先角度では、ノズルから生成されるスプレーパターンがより広くなる。
【0090】
偏向器910及びノズルの前端902aは、粉体がノズル902から出る際に通る出口オリフィス914を形成する。オリフィス914の幾何形状は、所望のスプレーパターンを形成するように必要に応じて選択できる。オリフィス914は、その長さ(図22Dにおけるような断面で見た場合)に沿ってほぼ均一な幅916を有していてもよく、又は必要に応じて先細の幅又は他の幾何形状を有していてもよい。ノズル902を作製する1つの方法は、偏向器910がノズルと一体的に加工されるようにノズルを加工することである。
【0091】
図22Bに最もよく示すように、ノズル902には、マーク、溝、又は他の表示若しくは物理的特徴918が設けられてもよい。これらの特徴918は、例えばオリフィス914のスプレー角度又はオリフィスの他の寸法基準、材料等を表すことができ、表示コードに望まれる複雑さ及び作業者又は組立工に伝えられる情報量によってのみ制限される。
【0092】
図22E及び図23に最もよく示すように、ノズル902は、電極922を保持する電極通路920も含む。電極通路は、偏向器910を支持するリブ912の1つの中に延びる前方部分920aを含む。電極通路920は、ノズル910の前部にある電極開口924で終端するように形成される。電極の放電部分922aは、電極開口924を通って延びる。電極通路920及び電極の長さは、必ずしも全ての場合ではないが好ましくは、電極先端がノズル910により生成されるスプレーパターンの中心にあるように選択される。これには、塗着効率を高めるための粉体粒子のより優れた帯電を含め、いくつかの利点があり、また粉体雲がEMF(電磁場)ラップから遮蔽する機能を果たすため、衝撃の危険が減る。しかしながら、適切な場合、図23に破線920bで示すように例えばノズル902の外面のより近くに沿った場所等、異なる場所に電極通路を延ばしてもよい。
【0093】
電極通路920は、ポケット926の内部で終端する。この実施形態では、電極922は、ポケット926内に位置付けられるばね端922bを含む。このばね端922bは、上記の実施形態で要素158(図2B)として説明したような導電性の拡散リング928と接触し、この拡散リング928は、空気を通すための1つ又は複数の貫通孔を有する。本明細書で上述した先の実施形態のように、拡散リング928は、ガンと組み立てられると増倍器の出力と電気的に導通する。ノズル902は、パターン空気室930も含む。拡散リング928は、インサート904のねじ端932とのネジ接続932aによりパターン空気室930に挿入される。リング928は、電極のばね端922bと電気的に接触するほど十分に深く挿入される。
【0094】
ノズルアセンブリ900がガンに設置されると、パターン空気室930は、上述の実施形態の空気通路204及びパターン空気管200等を介して加圧空気源と連通する。
【0095】
ノズル902はさらに、内部にインサート904が摺動可能に配置されるインサート室934を含む。例えばOリング等のシール936をインサート904の外周で用いて、粉体がガン内部に逆流するのを防止することができる。
【0096】
インサート904は、粉体管又は給送ホース通路938を含む。ノズルが手動ガンで用いられるか自動ガンで用いられるかに応じて、粉体管又は給送ホースは、その端がインサート904の肩部940に当接するように挿入される。この肩部は、ノズルアセンブリ900につながる粉体入口又は出口開口を画定し、所定の断面積を有する。インサート904はさらに膨脹室906を含み、給送ホース又は粉体管を流れる粉体が肩部940を通って膨脹室906に入るようになっている。膨脹室906は、任意の適当な幾何形状とすることができ、例示的な実施形態では、ノズル902の前部に向かって直径が拡大するほぼ円錐の形状である。膨脹室906は、出口オリフィス914に通じる。必須ではないが好ましくは、偏向器910は中心軸Xに沿って膨脹室の中心を中心とする。
【0097】
図23の実施形態では、膨脹室906は、中心長手方向軸Xに対してβの開先角度で延びる。角度βは、搬送ガス(本明細書の例示的な実施形態では圧縮空気)の膨脹特性により規定され、粉体が溜まり得るポケットを形成しないように搬送ガスの広がり角度の約半分以下に等しくなるようになっている。これにより、膨脹室の壁がパージ作業中に圧縮空気により「洗浄される」ことも確実にすることができる。
【0098】
膨脹室906は、粉体が給送ホース又は粉体管から出るときに速度を低下させる機能を果たす。偏向器910は、粉体の速度をさらに低下させることができる。この効果を得るために、出口オリフィス914の断面積は、肩部940の断面積よりも大きくされる。出口面積が大きいほど、ベンチュリタイプの低密度高空気体積のスプレーノズルで一般に見られるように、粉体がノズルを出るときの加速が防止される。ノズルを出る粉体雲の速度を大幅に低下させることにより、低速で移動する濃厚な粉体雲が生成され、これはより十分に帯電され(静電帯電が用いられる場合)、スプレーされている目標物へのより優れた付着を示す(塗着効率が高い)。したがって、出口断面積対入口断面積の比は少なくとも1以上であることが好ましい。
【0099】
インサート904は、パターン空気室930と流体連通する空気ジェット又は空気通路942を任意に含むことができる。例示的な実施形態では、6つの空気ジェット942があるが、必要に応じていかなる数を用いてもよい。空気ジェットを用いて、粉体流が膨脹室906を通過するときに粉体流に空気を噴射する。この加えられる空気は任意であり、例えば粉体流をいくらか加速させるために用いることができるため、より通過性の高い粉体雲がノズル出口で生成される。これは例えば、粉体雲を物体内に入れる必要があるが、電極によるアーク放電を防止するためにノズルを近づけすぎることができない場合に望まれ得る。空気は、濃厚粉体を霧化するのを補助するために加えてもよい。フィルタ要素944がジェット入口942aとパターン空気室930との間に設けられて、ガンのパターン空気通路に粉体が逆流するのが低減又は防止される。フィルタ要素944は、例えば焼結ポリエチレン等、空気は通すが粉体は濾過する任意の適当な材料でできていてもよい。
【0100】
軸方向に延びる凹部946を、拡散リング928の前端とフィルタ要素944との間に設けてもよい。この凹部946は、ばねポケット926と流体連通し、空気を電極通路920に進ませることで、電極922を洗浄させるとともに、ガンの特に高電圧の領域に粉体が逆流するのを防止させる。
【0101】
給送ホース又は粉体管をシールするためにOリング等のシール948を設けて、粉体の逆流を防止するとともに、ノズルインサート904内に粉体管又は給送ホースを整然と保持するのに役立てることができる。
【0102】
膨脹室906、偏向器910、及び1以上の出口オリフィス対入口断面積の比を、個別に、又は互いに組み合わせて、またそれら組み合わせをさらに組み合わせて用いることで、低速で移動する濃厚相粉体を生成するノズルができ、このような濃厚相粉体は、優れた塗着効率を有するとともにより帯電しやすくすることができる。塗着効率が高いほど、作業者が塗装又はコーティングを行う時間が短くオーバースプレーが少ないことにより、色交換時間を改善するのに役立つことを意味する。濃厚相及び低速で移動する雲を用いると、希薄相の高速スプレーパターンよりも塗着効率を高めることもできる。希薄相スプレーパターンは、粉体を輸送する高体積且つ高流量の空気の使用を伴う。この高体積空気の移動は、塗着効率を低下させる空力学的効果を必然的にもたらす。濃厚相の低速で移動する粉体雲は、通常はスプレーされている部品の比較的近くで保持される手動ガンの場合に最も顕著な利益の一部をもたらすため、作業者は、粉体がガンからスプレーされると生じる自然な速度低下に任せるだけではいけない。濃厚相粉体のより通過性の高い粉体雲を生成するための空気補助オプションもまた、手動ガンの場合に有利である。それは、このオプションを用いなければ、スプレーされている部品に対する電極の位置が近すぎる場合に密閉体積部はファラデーケージ効果をもたらす傾向があるが、このオプションを用いることで濃厚相粉体雲がこのような密閉体積部に入ることが可能になるからである。
【0103】
図24A〜図24E及び図25は、例えば平坦状スプレーパターンを生成するために用いることができるような代替的なノズル設計950を示す。図23と図25とを比較すると、同じインサート904を両方のノズル設計で用いることができることが分かるため、基本的な動作は同じであり、同様の要素及び構造的特徴は同じ符号で示され、その説明を繰り返す必要はない。これらの設計間の違いは、図24Aに最もよく示されているように、出口オリフィス及び偏向器の形状である。
【0104】
平坦状パターンノズル950は、リブ954等と一体にされたノズル950の一部分であるほぼ平坦な板状偏向器952を含む。ノズル950は、必須ではないが好ましくは、偏向器952がリブ954を介してノズル950の一体部分となっているワンピースノズルである。ノズル950は、幾分円錐状で先細の前方部分950aを有する。偏向器952は、加工等の任意の適当なプロセスにより形成することができる。偏向器952の側面958と偏向器の側面958に対向するノズルの側面960との間に形成される空間956は、この例では2つのスロットの形態の出口オリフィスを形成する。良好な平坦状スプレーパターンを生成するために、出口オリフィス956の幅を狭く維持することが必要ではないが好ましい。濃厚相粉体を用いることにより、出口オリフィスを希薄相システムで用いられる従来のオリフィス寸法よりも実質的に小さくすることができる。例えば、4mm幅のスロットが1つである従来のオリフィスとは対照的に、このノズルは1mm幅のスロットを2つとすることができる。しかしながら、本明細書の他のノズル実施形態のように、出口オリフィス956の断面積対入口の断面積の比は、ほぼ等しいか又は1よりも大きいように維持することが望ましい。図24A、図24E、及び図25から、平坦状スプレーノズルが、ノズル950により形成される粉体雲内の中心に電極先端を位置付ける一体的な電極通路も含むことが明らかである。
【0105】
いずれのノズル設計でも、リブ912、954は、電気的経路を粉体路の、特に膨脹室の外側に通し、但し電極先端は粉体雲の中心に位置付けることを可能にする。これにより、電気的経路及び高圧要素を粉体流路内に配置する必要がなくなる。
【0106】
平坦状パターンノズル950の場合、角度θは約0°であり、これは、オリフィス956が中心軸Xを中心としてほぼ平行であることを意味する。場合によっては、角度θが負となるようにスロットに粉体を吹き付けさせることが望ましいかもしれない。
【0107】
図10A、図10B、及び図10Cを参照すると、本発明による濃厚相ポンプ402の例示的な実施形態が示されている。ポンプ402は移送ポンプとしても用いることができるが、材料をスプレーアプリケータ20に供給するためのガンポンプとして特に設計される。ガンポンプ402と移送ポンプ400及び410とは、本明細書中の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう多くの共通の設計特徴を共有する。
【0108】
ポンプ402は、モジュール式の設計である必要はないが、そうであることが好ましい。ポンプ402のモジュール構造は、ポンプマニホルド体414及び弁体416で実現される。マニホルド体414は、本明細書でさらに説明するように、複数の空気通路とともに一対のポンプ室を収容する。弁体416は、同様に本明細書で説明するように複数の弁を収容する。弁は、マニホルド体414から弁体416に伝達される空気圧信号に応答する。本明細書の例示的な実施形態は、空気圧ピンチ弁の使用を示しているが、空気圧ピンチ弁以外の他の制御弁設計を用いて本発明の種々の態様及び利点を実現できることが、当業者には容易に理解されるであろう。
【0109】
ポンプの上側部分402aは、パージ空気機構418a及び418bに対応しており、ポンプの下側部分402bは、粉体入口ホースコネクタ420及び粉体出口ホースコネクタ422に対応している。粉体給送ホース24(図1)が入口コネクタ420に接続されて、給送ホッパ22等の供給源から粉体流が供給される。スプレーアプリケータがスプレーブース12に配置された手動スプレーガンであるか自動スプレーガンであるかに関係なく、粉体供給ホース406(図1)を用いて、出口422がスプレーアプリケータに接続される。ポンプ402に供給された粉体は、流動化されてもよいが、必ずしもそうである必要はない。
【0110】
したがって、ポンプ402に出入りする粉体流は、ポンプの1つの端402bで生じる。これにより、本明細書でさらに説明するように、パージ機構418をポンプの反対端402aに設けてより容易なパージ動作を行うことが可能になる。
【0111】
ポンプ室(本発明の使用可能な実施形態である)が1つしかない場合、ポンプ内に2つの粉体路しか必要なくなるため、弁体416がマニホルドに直接接続される可能性がある。しかしながら、安定し一貫した調整可能な粉体流をポンプから生成するために、2つ以上のポンプ室が設けられる。2つのポンプ室が用いられる場合、これらは、一方のポンプ室が入口から粉体を受け取り、他方が粉体を出口へ供給するように、位相をずらして動作することが好ましい。このように、粉体はポンプからほぼ連続的に流れる。最初にポンプ室に粉体を充填する必要があることにより各ポンプ室からの粉体流が途切れるため、ポンプ室が1つの場合はこれは当てはまらない。3つ以上のポンプ室が用いられる場合、それらのタイミングは必要に応じて調整することができる。いずれの場合も、全てのポンプ室が1つの入口及び1つの出口と連通していることが、必須ではないが好ましい。
【0112】
本発明の一態様によれば、材料流は、ポンプ室それぞれの一端から出入りする。これにより、一直線パージ機能をポンプ室の反対端で用いることができる機構が得られる。この例示的な実施形態では、各ポンプ室が同じポンプ入口及び出口と連通しているため、付加的なモジュールユニットを用いてYブロックの形態の分岐状粉体流路が設けられる。
【0113】
第1のYブロック424が、マニホルド体414と弁体416との間で相互接続される。第2のYブロック426がポンプの入口/出口端を形成し、第1のYブロック424の反対側の弁体416に接続される。第1の組のボルト428を用いて、マニホルド体414、第1のYブロック424、及び弁体416が互いに接合される。第2の組のボルト430を用いて、第2のYブロック426が弁体416に接合される。したがって、図10Aのポンプは、完全に組み立てられると非常に小型且つ堅牢であるが、下側Yブロック426は、ポンプを完全に分解しなくても流路磨耗部品を交換するために容易に個別に取り外すことができる。第1のYブロック424は、各粉体室から出る2つの分岐状粉体流路を提供する。各粉体室からの一方の分岐は、弁体416を通してポンプ入口420と連通し、各粉体室からの他方の分岐は、弁体416を通してポンプ出口422と連通する。第2のYブロック426は、弁体416からポンプの入口420及び出口422への共通の粉体流路を結合するために用いられる。このように、各ポンプ室は、1つの制御弁を通してポンプ入口と連通し、別の制御弁を通してポンプ出口と連通する。したがって、例示的な実施形態では、弁体にはポンプ室に出入りする粉体流を制御する制御弁が4つある。
【0114】
マニホルド体414は、図10B、図10E、図10G、図11A、及び図11Bに詳細に示されている。マニホルド体414は、第1の穴434及び第2の穴436それぞれが貫通している本体432を含む。穴はそれぞれ、ほぼ円筒形のガス透過性フィルタ部材(多孔管)438及び440それぞれを受け入れる。ガス透過性フィルタ部材438、440は、外径が縮小した下端438a及び440aを含み、これらが第1のYブロック424(図12B)内の座ぐり穴に挿入されることで、部材438、440の整列及び安定を維持するのに役立つ。フィルタ部材の上端は、必要に応じて適当なシールを伴ってパージ空気接続具504の下端に当接する。フィルタ部材438、440はそれぞれ、粉体ポンプ室としての役割を果たす内部体積(438c、440c)を画定するため、この実施形態では2つのポンプ粉体室がある。穴434、436の一部は、本明細書で後述するようにパージ空気機構418a及び418bを受け入れるようになっている。
【0115】
フィルタ部材438、440は、同一であってもよく、通常の空気等のガスは部材の円筒壁を通過させるが粉体は通過させないものとすることができる。フィルタ部材438、440は、例えば多孔質ポリエチレンでできていてもよい。この材料は、粉体給送ホッパの流動板に一般的に用いられる。例示的な材料は、約40ミクロンの気孔径及び約40〜50%の気孔率を有する。このような材料は、ジェンポア(Genpore)又はポロン(Poron)から市販されている。必要に応じて他の多孔質材料を用いてもよい。フィルタ部材438、440はそれぞれ、その関連する穴434、436の直径よりも小さな直径を有するため、穴の壁とフィルタ部材の壁との間にはわずかな環状空間ができる(図10E、図10Gを参照)。この環状空間は、空気圧室としての役割を果たす。圧力室に負圧が加えられると、粉体ポンプ室に粉体が引き込まれ、圧力室に正圧が加えられると、粉体ポンプ室内の粉体が押し出される。
【0116】
本体432は、一連の6つの入口オリフィス442を含む。これらのオリフィス442を用いて、空気圧エネルギー又は空気圧信号がポンプに入力される。オリフィス442a、442c、442d、及び442fの4つは、各空気通路444a、444c、444d、及び444fを介して弁体416の各圧力室446と流体連通しているため、本明細書で後述するように弁作動空気を供給するために用いられる。なお、空気通路444は、マニホルド表面448からマニホルド体内に水平方向に延び、続いてマニホルド体の底面に向かって鉛直下方に延びて、上側Yブロック424及び弁体416を通る鉛直空気通路それぞれと連通し、弁体416の水平空気通路それぞれとつながって、各弁の圧力室に通じる。空気フィルタ(図示せず)がこれらの空気通路に含まれることで、弁又は他のシールの機能が損なわれた場合にポンプマニホルド体414及び供給マニホルド404に粉体が逆流するのを防止することができる。残りの2つのオリフィス442b及び442eはそれぞれ、空気通路444b及び444eを介して穴434、436と流体連通する。したがって、これらのオリフィス442b及び442eを用いて、正圧及び負圧がマニホルド体のポンプ圧力室に供給される。
【0117】
オリフィス442は、マニホルド体の1つの平面448に形成されることが好ましいが、そうである必要はない。空気供給マニホルド404は、供給マニホルド404がポンプマニホルド体414に取り付けられるとポンプオリフィス442と整列して流体連通する対応するオリフィス組を含む。このように、供給マニホルド404は、弁及びポンプ室に必要なポンプ空気全てを1つの平面境界面を通して供給することができる。ポンプマニホルド体414の面と供給マニホルド404の面との間にはシールガスケット450が圧縮されて、オリフィス間に流体密封シールを提供する。パージ空気に望まれる体積、圧力、及び速度を理由として、好ましくは別個のパージ空気接続部が供給マニホルドとポンプマニホルドとの間で用いられる。2つのマニホルド間は平面境界面であることが好ましいが、これは必須ではなく、供給マニホルド404からポンプへの空気圧入力ごとに個々の接続部を必要に応じて用いることができる。平面境界面は、一部の実施形態では電気ソレノイドを含む供給マニホルド404を、外側にポンプのある(キャビネット壁の開口を通して供給マニホルドに取り付けられている)キャビネット内に配置することを可能にするため、システム10全体から電気エネルギーを絶縁するのに役立つ。ちなみに、ポンプ402は使用中にいかなる特定の向きに取り付けられる必要もないことに留意されたい。
【0118】
図12A及び図12Bを参照すると、第1のYブロック424は、それぞれのポンプ室434、436と整列する第1の穴452及び第2の穴454を含む。穴452、454はそれぞれ、2つの分岐452a、452b及び454a、454bそれぞれと連通している(図12Bは穴452の分岐のみを示す)。したがって、穴452は分岐452a及び452bと連通している。したがって、第1のYブロック424には全部で4つの分岐があり、分岐のうち2つは一方の圧力室と連通し、他の2つは他方の圧力室と連通する。分岐452a、452b及び454a、454bは、2つのポンプ室に対してポンプを通る粉体路の一部を形成する。4つの分岐それぞれを通る粉体流は、本明細書で説明するように弁体416にある別個のピンチ弁により制御される。なお、Yブロック424は、4つの貫通空気通路456a、456c、456d、456fも含み、これらはマニホルド体414の空気通路444a、444c、444d、444fそれぞれと流体連通している。ガスケット459を用いて、マニホルド体414と第1のYブロック424との間に流体密封接続を提供してもよい。
【0119】
穴452及び454は、従来のOリング等のシール462、464(図10C)を受け入れる座ぐり穴458、460を含む。これらのシールは、フィルタ部材438、440の下端とYブロックの穴452、454との間に流体密封シールを提供する。これらはわずかな公差変動も可能にするため、フィルタ部材が所定位置にしっかりと保持される。
【0120】
図13A及び図13Bをさらに参照すると、弁体416は、対応する数のピンチ弁に対する圧力室として機能する4つの貫通穴446a、446b、446c、及び446dを含む。弁体の上面466は、2つの凹状領域468及び470を含み、これらはそれぞれ、各穴446の一端によりそれぞれが形成される2つの穴を含む。この実施形態では、第1の凹状領域468は、それぞれの穴446b及び446aそれぞれにより形成されるオリフィス472及び474を含む。同様に、第2の凹状領域470は、それぞれの穴446d及び446cそれぞれにより形成されるオリフィス476及び478を含む。対応するオリフィスが、弁体416の反対側面479に形成される。
【0121】
圧力室446a〜446dはそれぞれ、入口ピンチ弁480又は出口ピンチ弁481を保持する。各ピンチ弁480、481は、例えば、天然ゴム、ラテックス、又はシリコーン等の適当な材料でできている極めて軟質の可撓性部材である。各弁480、481は、ほぼ円筒形の中央体482及び中央体482よりも直径が大きな2つのフランジ端484を含む。フランジ端は、シールとして機能し、弁体416が第1のYブロック424と第2のYブロック426との間に挟まれると穴446a〜446dの周りで圧縮される。このように、各ピンチ弁は、弁体416を通して第1のYブロック424の分岐452、454のそれぞれまで粉体が流れる流路を画定する。したがって、一方の対のピンチ弁(吸引弁及び送出弁)はマニホルド体のポンプ室の一方と連通し、他方の対のピンチ弁は他方のポンプ室と連通する。一方のピンチ弁がポンプ室への粉体流を制御し(吸引)、他方のピンチ弁がポンプ室から出る粉体流を制御する(送出)ため、1つのポンプ室につき2つのピンチ弁がある。各ピンチ弁の中央体部分482の外径は、それに関連する圧力室446の穴径よりも小さい。これにより、各ピンチ弁に対する圧力室として機能する環状空間がその弁の周りに残る。
【0122】
図13Bに示すように、弁体416は、4つの圧力室穴446a〜446dとそれぞれが連通する空気通路486a〜486dを含む。これらの空気通路486a〜486dは、鉛直延長部(図13Bで見られる)488a〜488dを含む。これら4つの空気通路の延長部488a、488b、488c、488dはそれぞれ、マニホルド体414の4つの空気通路444d、444f、444a、444cの鉛直部分及び上側Yブロック424の鉛直通路456d、456f、456a、456cと流体連通している。シール490が空気密封接続部として設けられる。
【0123】
このように、弁体416の圧力室446はそれぞれ、マニホルド体、第1のYブロック、及び弁体を通る内部通路を通り抜けてマニホルド体414の空気オリフィス442のそれぞれと流体連通する。正空気圧が供給マニホルド404(図1)からポンプマニホルド体414に受け取られると、空気圧の力が可撓性の弁体の可撓性の外面に対して作用することにより、対応する弁480、481が閉じる。弁は、圧力室の外部の空気圧が除去されると、自らの弾発性及び弾性により開く。この正確な空気圧作動により、ピンチ弁の開閉にいかなる機械的作動又は他の制御部材も用いなくてよくなり、これは従来の設計を超える著しい改良である。4つのピンチ弁480、481はそれぞれ、ガンポンプ402に関して個別制御されることが好ましい。
【0124】
本発明の別の態様によれば、弁体416は、作業者が内部のピンチ弁の開閉を視認できるように十分に透明な材料でできていることが好ましい。適した材料はアクリルであるが、他の透明材料を用いてもよい。ピンチ弁を見ることができれば、粉体を見ることができるため、ピンチ弁の故障に関する優れた視覚的指示も得られる。
【0125】
図14A及び図14Bをさらに参照すると、ポンプの残りの部分は、第2のYブロックの端体492により形成される入口端402bである。端体492は、それぞれがYブロック498a及び498bを受け入れるようになっている第1の凹部494及び第2の凹部496を含む。Yブロックの一方は粉体入口に用いられ、他方は粉体出口に用いられる。各Yブロック498は、内面が粉体流に曝されるため、磨耗部品である。端体492は、単に弁体416にボルト締めされるため、単に端体492を取り外すことにより磨耗部品を交換するだけでよく、したがってポンプの残りの部分を分解する必要がなくなる。
【0126】
各Yブロック498は、接続具又は他の適当なホースコネクタ420、422(図10A)を受け入れるようになっている下側穴500を含み、一方の接続具は、粉体供給源につながるホース24と、スプレーガン20等のスプレーアプリケータにつながる別のホース406とに接続される(図1)。各Yブロックは、穴500から延びる2つの粉体路分岐502a、502b、502c、及び502dを含む。第2のYブロック498の各粉体路は、ピンチ弁体416のピンチ弁480、481のそれぞれと流体連通している。したがって、入口420からポンプに入る粉体は、2つの下側Yブロック498のうち第1のYブロックを通ってピンチ弁の2つに分岐し、そこからポンプ室に至る。同様に、2つのポンプ室からの粉体は、他方の下側Yブロック498によって、他の2つのピンチ弁から1つの出口422に再合流する。
【0127】
粉体流路は以下の通りである。粉体は、共通の入口420から入り、下側Yブロック498bの経路502a又は502bを介して2つの入口又は吸引ピンチ弁480に分岐する。入口ピンチ弁480はそれぞれ、第1の又は上側Yブロック424内の各経路の一方の分岐452、454それぞれを介して粉体ポンプ室434、436のそれぞれに接続される。上側Yブロック424の他方の分岐452、454はそれぞれ、各ポンプ室から粉体を受け取り、粉体は第1のYブロック424を通って2つの出口又は送出ピンチ弁481に流れる。出口ピンチ弁481それぞれは、下側Yブロック498aの分岐502のそれぞれにも接続され、両ポンプ室からの粉体は1つの出口422で再合流する。
【0128】
空気圧流路は以下の通りである。ピンチ弁のいずれかが閉じると、供給マニホルド404がマニホルド体414の各オリフィス442において圧力を上昇させる。上昇した空気圧は、マニホルド体414の各空気通路442、444を通って第1のYブロック424の各空気通路456を進み、弁体416の各空気通路486に入って適当な圧力室446に流れる。
【0129】
本発明によるポンプは、粉体ポンプ室の充填割合に基づいて測量可能な流量をもたらし、これは、粉体をポンプ室に給送するピンチ弁の開放時間を制御することによりポンプからの粉体の流量を正確に制御できることを意味することに留意されたい。これにより、ポンプサイクル(すなわち、ポンプ室を充填する持続時間及び空にする持続時間)を、流量に関係なく粉体の滑らかな流れが得られるのに十分なまでに短くすることができ、流量はピンチ弁の動作により個別制御される。したがって、流量は、ポンプにいかなる物理的変更を加える必要もなく、ピンチ弁の制御により完全に調整することができる。
【0130】
パージ機能は、本発明の別の態様により大幅に単純化される。本発明は、粉体がポンプ室の一端から出入りする方法を提供するため、ポンプ室の反対端はパージ空気用に用いることができる。図10A、図10C、図10E、及び図10Gを参照すると、パージ空気接続具504がそれぞれのフィルタ部材438、440の上端に挿入される。接続具504は、フィルタ部材438、440への流入のみを許すように配置される各逆止め弁506を受け入れる。逆止め弁506は、パージ空気ホースを接続することができる各パージ空気ホース接続具508を受け入れる。本明細書で後述するように、パージ空気は供給マニホルド404からポンプに供給される。したがって、パージ空気は粉体ポンプ室を通りポンプ内の粉体路の残りの部分を通って一直線に流れることで、色交換作業のためにポンプを非常に効果的にパージすることができる。このパージ作業を行うために作業者が特別な接続又は変更を行う必要は全くないため、洗浄時間が短縮される。システム10が設置されると、パージ機能は常に接続されていて利用可能であるため、色交換時間が大幅に短縮される。作業者がポンプとのいかなる粉体又は空気圧接続も形成又は切断する必要なく、制御システム39によりパージ機能を行うことができるからである。
【0131】
なお、図1及び図10Aから、4つのピンチ弁480、481の全てが開放状態である場合、パージ空気はポンプ室を通り第1のYブロック424の粉体路、ピンチ弁480、481自体、第2のYブロック498を通って一直線に流れ、入口420及び出口422の両方から出る。このようにして、パージ空気はポンプ内全体に供給されてからスプレーアプリケータに供給されて、その装置をパージするとともに給送ホースを粉体供給源22までパージすることができる。したがって、本発明によれば、順方向及び逆方向のパージを可能にする濃厚相ポンプの概念が提供される。
【0132】
図15を参照すると、図示の供給マニホルド404は、実質的にはポンプ402の空気流を制御する一連のソレノイド弁及び空気源である。図15に示す特定の構成は例示であり、限定を意図するものではない。ポンプ402を操作するための空気の供給は、マニホルド機構なしで多種多様な方法で行うことができる。図15の実施形態は、ポンプを有する平面境界面構成に特に有用であるものとして提供されているが、他のマニホルド設計を用いることもできる。
【0133】
本明細書で上述したように、供給マニホルド404は、ポンプマニホルド体414(図11A)の表面448に対して取り付けられる第1の平面512を有する供給マニホルド体510を含む。したがって、平面512は、ポンプマニホルド体414のそれぞれのオリフィス442と整列する6つのオリフィス514を含む。供給マニホルド体510は、適当な数及び場所の空気通路を内部に有するように加工されることにより、適切な空気信号が正しい時点でオリフィス514に送られる。このように、マニホルドはさらに、オリフィス514への空気流を制御するとともにパージ空気流を制御するために用いられる一連の弁を含む。従来のベンチュリポンプ518を用いることにより、マニホルド404内で負圧が生成される。システム空気すなわち工場空気が、適当な接続具520を介してマニホルド404に供給される。マニホルドは、単にポンプを操作する空気源用の空気通路を提供するように動作し、多種多様な方法で実施することができるため、物理的なマニホルド構成の詳細は本発明の理解及び実施に必要ではない。むしろ、注目すべき詳細は空気圧流の概略図に関して説明される。しかしながら、この時点で、本発明の別の態様によれば、本明細書で後述する目的で弁体416のピンチ弁それぞれに対して個別の制御弁が設けられることに留意されたい。
【0134】
図16を参照すると、本発明の第1の実施形態に関する空気圧図が提供されている。主要空気408が供給マニホルド404に入り、第1のレギュレータ532に進んで、ポンプ圧力源534がフィルタ部材438、440に供給されるとともにパターン整形空気源405が空気ホース406を介してスプレーアプリケータ20に供給される。主要空気は、パージ空気ソレノイド弁538の制御下でパージ空気源536としても用いられる。主要空気は、第2のレギュレータ540にも進み、(フィルタ部材438、440に対する負圧を生成するための)ベンチュリポンプを操作するために用いられるベンチュリ空気圧源542が生成され、且つピンチ弁480、481を操作するためのピンチ空気源544が生成される。
【0135】
本発明の別の態様によれば、ソレノイド制御弁538又は他の適当なパージ空気の制御装置を用いることで、複数のパージ機能が得られる。第1の態様は、2つ以上の異なるパージ空気圧及びパージ空気流を選択できることにより、ソフト及びハードのパージ機能が可能になることである。ソレノイド弁に加えて他の制御機構を用いて、2つ以上のパージ空気流特性を提供してもよい。制御システム39がソフトパージ又はハードパージを選択するか、又は手動入力をこの選択に用いることができる。ソフトパージ機能では、供給マニホルド404を通して、多孔質フィルタ部材438、440とそれぞれの穴434、436との間の環状空間であるポンプ圧力室に、少ないパージ空気流が供給される。制御システム39はさらに、一組のピンチ弁(吸引又は送出)を開き、他方を閉じたままにするよう選択する。パージ空気は多孔質フィルタ部材438、440を通過して開いた弁から出て、スプレーガン20に向けて順方向に、又は供給源22に向けて逆方向に(後方に)システムをパージする。次に、制御システム39は開くピンチ弁と閉じるピンチ弁とを逆にする。ソフトパージは、4つのピンチ弁全てを開くことにより同時に両方向で行うこともできる。同様に、空気圧を上昇させて、ホース及びガンからさらに粉体を除去することができる。高いパージ空気圧及びパージ空気流は、順方向、逆方向、又は両方向同時の、ハードパージ機能に用いることができる。多孔質フィルタ部材438、440に空気を通すことにより行われるパージ機能は、多孔質部材に詰まっている粉体を除去するのにも役立つため、交換が必要となる前の多孔質部材の耐用寿命が延びる。
【0136】
ソフトパージ機能に続いて、第2のソフトパージ動作が行われ、ここで、粉体供給ホース406a、406bがガンから外されてホースの自由端がスプレーブース内部に位置付けられるか又は向けられる。続いて、ソフトパージ動作が低圧で行われ、ホースからスプレーブースに粉体を吹き込むために中圧まで上昇させることもできる。
【0137】
ハード又はシステムパージは、2つのパージ機構418a及び418bを用いて行うこともできる。システムパージは、ソフトパージサイクルの終了後にガンを供給ホースに再接続して行うことができる。システムパージ中、多孔質要素を通るソフトパージ空気流を持続させることができ、実際には色交換作業中完全に持続させることができる。高圧流空気をパージ空気接続具508から入力することができ(パージ空気は供給マニホルド404から供給できる)、この空気は、多孔質フィルタ部材438、440により一部が画定される粉体ポンプ室を一直線に流れてポンプから出る。この場合も、ピンチ弁480、481を所望に応じて選択的に動作させて、順方向、逆方向、又は両方向同時にパージを行うことができる。ガンのハードパージの終了後、ホースからブース内へのハードパージのためにガンを再び取り外すことができる。図23及び図25のノズル実施形態を用いる場合、パージ動作及び色交換作業の間中、ハードパージ機能を持続させることもできる。
【0138】
パージを両方向に行うことができるだけであれば、パージ空気が最も低抵抗な経路を流れるため粉体路領域の一部を十分にパージすることができないので、順方向又は逆方向のみに任意にパージできることでより優れたパージ機能が得られることに留意されたい。例えば、スプレーアプリケータ及び供給ホッパのパージを試みる場合、アプリケータが完全に空気流を受け入れるように開いていれば、パージ空気はアプリケータから流出する傾向があり、ホッパ又は供給源が十分にパージされないかもしれない。
【0139】
したがって、本発明は、供給源からスプレーガン内に至るまでの粉体路全体を、作業者による行為を事実上必要とせずに個別又は同時にパージすることができるポンプ設計を提供する。オプションのソフトパージは、粉体路にハードパージ空気を入れる前に残留粉体を流路から軽く吹き飛ばすことにより、ハードパージによる融着又は他の悪影響が先に起こるのを防止するのに有用であり得る。
【0140】
ベンチュリ用の正空気圧542は、制御ソレノイド弁546に入り、そこからベンチュリポンプ518に進む。ベンチュリポンプの出力518aは、2つのポンプソレノイド弁548、550の入口に接続される負圧又は部分真空である。ポンプ弁548、550は、フィルタ部材438、440に正圧を加えるか負圧を加えるかを制御するために用いられる。弁548、550のさらなる入力部が、ポンプ圧空気534を受け入れる第1のサーボ弁552から正圧空気を受け入れる。ポンプ弁548、550の出口は、本明細書で上述した空気通路方式でポンプ室のそれぞれに接続される。なお、パージ空気536が多孔質フィルタ部材438、440を通過することが概略的に示されている。
【0141】
したがって、ポンプ弁550及び552を用いて、一方のポンプ室が加圧されているときに他方が負圧下にあり、またその逆の状態になるように通常は180°位相をずらしてポンプ室に正圧及び負圧を交互に加えることにより、ポンプ402の動作が制御される。このように、一方のポンプ室に粉体が充填されている一方で他方のポンプ室は空になっていく。ポンプ室には、粉体を完全に「充填」してもしなくてもよいことに留意されたい。本明細書で説明するように、ピンチ弁ごとに独立した制御弁を用いることにより、本発明を用いて非常に少ない粉体流量を正確に制御することができる。すなわち、ピンチ弁は、各ポンプサイクル中にポンプ室に多量又は少量の粉体を供給するように、ポンプ室のサイクル速度とは無関係に制御することができる。
【0142】
ピンチ弁空気544は、4つのピンチ弁制御ソレノイド554、556、558、及び560に入力される。4つの弁は、4つのピンチ弁480、481それぞれの動作を好ましくは独立してタイミング制御するように用いられる。図16では、「送出ピンチ弁」は、粉体がポンプ室から出る際に通る2つのピンチ弁481を指し、「吸引ピンチ弁」は、粉体がポンプ室に給送される際に通る2つのピンチ弁480を指す。同じ参照符号を用いているが、各吸引ピンチ弁及び各送出ピンチ弁は個別制御される。
【0143】
第1の送出ソレノイド弁554が第1の送出ピンチ弁481への空気圧を制御し、第2の送出ソレノイド弁558が第2の送出ピンチ弁481への空気圧を制御し、第1の吸引ソレノイド弁556が第1の吸引ピンチ弁480への空気圧を制御し、第2の吸引ソレノイド弁560が第2の吸引ピンチ弁480への空気圧を制御する。
【0144】
このように、図16の空気圧図は、制御システム39(図1)からの種々の制御信号に応答してマニホルド404が生成する機能空気流を示している。
【0145】
図17A及び図17Bを参照すると、本発明の別の態様によれば、移送ポンプ400も意図される。移送ポンプの多くの態様は、スプレーアプリケータポンプ402と同じ又は同様であるため、詳細に繰り返す必要はない。
【0146】
ガンポンプ402を移送ポンプとして用いることもできるが、移送ポンプは、必要に応じた速さで容器間で大量の粉体を移動させるのに主に用いられる。さらに、本明細書で説明される移送ポンプは、同じ四方独立ピンチ弁の動作を有さないが、切替弁をガンポンプと同じ制御プロセスで動作させることができる。例えば、一部の用途では、大量の材料を大きな表面に塗布しつつ仕上げの制御を維持することが必要である。移送ポンプは、本明細書に記載された4つの独立したピンチ弁の制御プロセスも組み込むことにより、アプリケータのポンプとして用いることができる。
【0147】
図1のシステムでは、移送ポンプ400を用いて、回収システム28(サイクロン等)から給送センター22に粉体が戻される。移送ポンプ410もまた、箱等の供給源から給送センター22にバージン粉体を移送するために用いられる。このような例及び他の例では、粉体流がスプレーアプリケータに送られていないため、流れ特性は移送ポンプにおけるほど重要ではない。そこで、本発明の一態様によれば、ガンポンプは移送ポンプの性能期待値に対応するように変更される。
【0148】
移送ポンプ400では、粉体流量を増加させるためにより大きなポンプ室が必要である。図17A及び図17Bの実施形態では、この場合、ポンプマニホルドが2つの延長管状ハウジング564及び566に置き換えられ、これらは長い多孔管568及び570を囲んでいる。長い多孔管568、570は、各ポンプサイクル中により大量の粉体を収容することができる。多孔管568、570は、ハウジング564、566よりもわずかに小さな直径を有するため、正圧及び負圧両方のための圧力室としての役割を果たす環状空間が互いの間に設けられる。空気ホース接続具572及び574が空気ホースを接続するために設けられ、空気ホースは、本明細書で後述される移送ポンプ空気供給システムの正圧及び負圧源にも接続される。ポンプマニホルドが用いられていないため、空気圧エネルギーはポンプ400に個別に配給される。
【0149】
空気ホース接続具572及び574は、各ハウジング564及び566内の圧力室と流体連通している。このように、多孔管568及び570に対する粉体の引き込み及び押し出しは、ガンポンプ設計におけるように負圧及び正圧により行われる。また同様に、チェック弁580、582を含むパージ穴機構576及び578が設けられ、ガンポンプ設計と同じ方法で機能する。
【0150】
ガンポンプ設計におけるように、多孔管568及び570に出入りする粉体流を制御する4つのピンチ弁585を収容する弁体584が設けられる。ガンポンプにおけるように、ピンチ弁は、弁体584の各圧力室内に配置され、正空気圧を用いて弁を閉じ、正圧が除去されると弁が自らの弾発力で開くようにする。しかしながら、間もなく説明するように、異なるピンチ弁作動方式が用いられる。上側Yブロック586及び下側Yブロック588もまた、ガンポンプ設計におけるように分岐粉体流路を提供するために設けられる。したがって、下側Yブロック588は、粉体入口接続具590及び粉体出口接続具592とも連通している。したがって、1つの入口から入った粉体は、各ピンチ弁及び上側Yブロック586を通って両方の多孔管568、570に流れ、多孔管568、570から出た粉体は、各ピンチ弁を通って1つの出口592へ流れる。分岐粉体流路は、ガンポンプの実施形態と同様にして実現されるため、本明細書で繰り返す必要はない。移送ポンプは、ガンポンプにおけるように下側Yブロック588に交換可能な磨耗部品又はインサートを組み込んでもよい。
【0151】
この場合も、ポンプマニホルドが移送ポンプで用いられていないため、ガンポンプ設計におけるように圧力室に配置されるピンチ弁の操作のために別個の空気入口594及び596が設けられる。以下に記載の理由から4つのピンチ弁があるが、空気入口は2つしか必要ない。エンドキャップ598を用いて、ハウジングを整列させたまま保持するとともに、空気接続具及びパージ接続具用の構造を提供することができる。
【0152】
移送ポンプにおいて粉体流の流量は品質よりも極めて重要であるため、4つのピンチ弁全ての個別制御は、代替的に行うこともできるが必要ない。したがって、ピンチ弁の対は同時に、ポンプのサイクル速度と一致して作動させることができる。換言すれば、一方のポンプ室に粉体が充填されているときには他方のポンプ室は粉体を放出しており、したがってピンチ弁の各対が開閉する。ピンチ弁は、ポンプ室への正圧及び負圧の作動と同期して作動させることができる。さらに、ピンチ弁圧力室への1つの空気入口は、一緒に動作するピンチ弁対の圧力室の各対を内部接続することにより用いることができる。したがって、2つのピンチ弁は粉体をポンプから出す送出弁として用いられ、2つのピンチ弁は粉体をポンプに引き込む吸引弁として用いられる。しかしながら、ポンプ室は送出及び吸引を交互に行うため、半サイクルごとに1つの吸引ピンチ弁の開放及び1つの送出ピンチ弁の開放が起こり、それぞれがポンプ室の異なる1つに接続される。したがって、弁体584内では、1つの吸引ピンチ弁の圧力室及び1つの送出ピンチ弁の圧力室が互いに接続され、他の2つのピンチ弁の圧力室も接続される。これは各ピンチ弁が異なるポンプ室に接続されるピンチ弁対で行われる。相互接続は、単に弁体内の圧力室の対間に交差通路を設けることにより達成することができる。
【0153】
図18を参照すると、移送ポンプ400の空気圧図は、スプレーアプリケータとともに用いられるポンプに関してよりも幾分簡略化されている。移送ポンプ室に対して負圧を生成するために用いられるベンチュリポンプ600に、主要空気408が入力される。主要空気はレギュレータ602にも入力され、送出空気が第1の室ソレノイド弁604及び第2の室ソレノイド弁606への各入力部に供給される。室弁は、入力としてベンチュリポンプ600からの負圧も受け取る。ソレノイド弁604、606は、移送ポンプの各圧力室と流体連通している各出力部608、610を有する。
【0154】
この実施形態のソレノイド弁は、電気的に作動されるのではなく空気作動される。したがって、空気圧タイマ又はシャトル弁616からの空気信号612及び614を用いて、ポンプの圧力室への正圧出力と負圧出力との間で弁604、606が切り替えられる。適した空気圧タイマ又はシャトル弁の一例は、ホエルビガー・オリガ(Hoerbiger-Origa)から入手可能なモデルS9 568/68−1/4−SOである。ガンポンプにおけるように、ポンプ室は、一方が充填されているときに他方が放出しているように切り替わる。シャトルタイマ信号612は、四方弁618を作動させるためにも用いられる。主要空気は、移送ポンプのピンチ弁用のピンチ空気622を生成するためにレギュレータ620により低圧に低下される。ピンチ空気622は、四方弁618に送出される。ピンチ空気は、一方のポンプ室のピンチ弁624及び他方のポンプ室のピンチ弁626に結合され、関連する対がポンプ室と同じサイクル時間で一緒に開閉する。例えば、送出ピンチ弁624aが一方のポンプ室に対して開くと、他方の送出ピンチ弁626aが閉じ、吸引ピンチ弁624bが閉じると吸引ピンチ弁626bが開く。弁は各ポンプサイクルの後半中に逆になるため、ガンポンプと同様にポンプ室も切り替わる。ピンチ弁はポンプ室と同じタイミングサイクルで動作するため、連続的な粉体流が得られる。
【0155】
図19は、移送ポンプの空気圧回路の代替的な実施形態を示す。この実施形態では、ポンプの基本的な動作は同じであるが、ここでは、1つの弁628を用いてポンプ室への正圧及び負圧を切り替える。この場合、空気圧周波数発生器630が用いられる。適した装置は、クロウゼット(Crouzet)から入手可能なモデル81 506 490である。発生器630は、ポンプ室の四方弁628及びピンチ空気四方弁618を作動させる様々な空気信号を生成する。したがって、ポンプ室及び関連するピンチ弁の交互サイクルが達成される。
【0156】
図20は、ピンチ弁480、481の独立制御により可能となる本発明の流量制御の態様を示す。この図は、説明を目的としたものであり、実際の測定データを示すものではないが、本発明による通常のポンプは同様の性能を示すであろう。グラフは、ポンプからのポンプ/時での総流量対ポンプサイクル時間を表している。400ミリ秒という通常のポンプサイクル時間は、多孔質部材を囲む圧力室に負圧及び正圧が加えられる結果として400ミリ秒の時間窓内で各ポンプ室が充填又は放出を行っていることを意味する。したがって、各ポンプ室は、合計800ミリ秒の時間で充填及び放出を行う。グラフAは、ピンチ弁がポンプ室と同じ時間間隔で動作する場合の通常の応答を示す。これにより、所与のサイクル時間で最大の粉体流が得られる。したがって、サイクル時間が長くなると、ポンプの動作が遅くなっているため粉体流の量が減少する。したがって、ポンプ室を充填するのに要する実際の時間はポンプサイクル時間よりもはるかに短いため、サイクル時間が短くなると流量は増加する。したがって、ポンプの運転の速さ又は遅さ(ポンプ圧力室に負圧及び正圧を加える持続時間に基づいたポンプサイクル時間)と粉体流量との間には直接の関係がある。
【0157】
グラフBは、ポンプサイクル時間に対するピンチ弁サイクル時間を変えることにより粉体流量、特に低流量を制御及び選択できることを示しているため、注目に値する。例えば、吸引ピンチ弁が開いたままである時間を短縮することにより、ポンプ室が吸引モードである時間がどんなに長くてもポンプ室に入る粉体が少なくなる。図20において、例えば、グラフAは点Xで、400ミリ秒のポンプサイクル時間では約39ポンド/時の流量が得られることを示している。しかしながら、ピンチ弁が閉じている時間が400ミリ秒未満である場合、ポンプサイクル時間が400ミリ秒のままであっても流量は点Yすなわち約11ポンド/時まで減少する。これにより保証されるのは、低流量でも滑らかで一貫した粉体流である。滑らかな粉体流は、ポンプサイクル速度を高めることにより生じるが、上記のように、これにより粉体流量も多くなるであろう。したがって、粉体流量は少ないが滑らかな粉体流を得るために、本発明は、吸引ピンチ弁の動作、場合によっては同様に送出ピンチ弁の動作も独立制御できることにより、ポンプサイクル速度が速くなっても粉体流量を制御できるようにする。作業者は、単に所望の速度を入力することにより流量を容易に変えることができる。制御システム39は、ピンチ弁の開放時間を適宜調整することにより所望の流量が得られるようにプログラムされる。流量制御は十分に正確であるため、実際の流量を測定するためにセンサを用いる閉ループ式ではなく事実上開ループの流量制御方式である。経験的データを所与のシステム設計全体について収集して、種々のポンプサイクル時間及びピンチ弁サイクル時間での流量を測定することができる。この経験的データは、続いて材料流量のレシピとして記憶される。これは、特定の流量が要求された場合に、その流量が得られるピンチ弁サイクル時間を制御システムが知っていることを意味する。特に低流量での流量制御は、より正確であり、従来のシステムで行わなければならなかったようにポンプサイクル時間を長くするのではなくピンチ弁の開放すなわち吸引時間を調整することにより、より良好で均一な流れが生成される。したがって、本発明は、所望であればポンプサイクル速度を変えずにポンプからの材料の流速を制御することができる測量可能ポンプを提供する。
【0158】
図21は、本発明のポンプ制御の概念をさらに示す。グラフAは、500ミリ秒のポンプサイクル速度での流量対ピンチ弁開放時間を示し、グラフBは、800ミリ秒のポンプサイクル速度に関するデータを示している。グラフはいずれも、本明細書で説明するように二室ポンプに関するものである。まず、両方のグラフで、ピンチ弁開放時間が長くなるとともに流量が増加することに留意されたい。しかしながら、グラフBは、確定可能なピンチ弁開放時間を超えてから流量が最大に達することを示している。これは、ピンチ弁が開いている時間の長さに関係なく、限られた量の粉体しかポンプ室に充填できないからである。グラフAは、同じピンチ弁持続時間に関して表した場合に同様のパターンを示すであろう。両方のグラフは、ポンプから粉体流を得るための確定可能な最短ピンチ弁開放時間があることも示している。これは、粉体が実際にポンプ室に吸い込まれポンプ室から押し出されるのに十分なほど長い時間、ピンチ弁が開いていなければならないからである。なお、概して、所与のピンチ弁持続時間では、グラフAのポンプ速度が速いほど流量が多くなる。
【0159】
本明細書に示されているデータ、値、及びグラフは、実際のポンプ設計によって大きく変わるため、例示的であり非限定的であることが意図される。制御システム39は、単に制御システム39にピンチ弁の弁開放時間及びポンプ室の吸引/圧力時間を調整させることにより可変流量を提供するように、容易にプログラムされる。これらの機能は、材料流量制御プロセスにより操作される。
【0160】
代替的な実施形態では、ポンプからの材料流量は、粉体ポンプ室に粉体を吸い込むためにポンプ圧力室の吸引が行われる持続時間を調整することにより制御することができる。ポンプサイクル全体は一定に、例えば800ミリ秒に保つことができるが、400ミリ秒の充填時間の間に吸引が実際に行われる時間の量は、粉体ポンプ室に引き込まれる粉体の量を制御するために調整することができる。真空が長く加えられるほど、粉体ポンプ室に引き込まれる粉体は多くなる。これにより、吸引ピンチ弁及び送出ピンチ弁の制御を用いることとは別に、材料流量の制御及び調整が可能になる。
【0161】
しかしながら、別個のピンチ弁制御を用いることで、この代替的な実施形態の材料流制御が強化される。例えば、上記のように、サイクルごとに粉体室に吸い込まれる粉体の量を制御するために吸引時間を調整することができる。ピンチ弁の動作も制御することにより、この吸引が行われるタイミングを制御することもできる。吸引は、負圧が圧力室に加えられている間のみ、しかも吸引ピンチ弁が開いている間のみ行われる。したがって、吸引時間が終了した時点で、吸引ピンチ弁を閉じることができ、圧力室への負圧を止めることができる。これにはいくつかの利点がある。1つの利点は、圧力室から吸引力を除去することにより、負圧を形成するベンチュリポンプに必要な加圧空気の消費が少なくなることである。別の利点は、吸引期間を送出期間(送出期間は正圧が圧力室に加えられる期間である)から完全に分離できるため、吸引と送出とが重ならないことである。これにより、粉体ポンプ室における粉体の吸引から送出への遷移時間の間に逆流が生じるのが防止される。したがって、吸引時間の制御を用いるとともに独立したピンチ弁制御を用いることにより、吸引が行われるタイミングを、例えばポンプサイクルの吸引部分の途中になるように制御して、正圧が加えられる送出サイクルと重なるのを防止することができる。材料流量の制御にピンチ弁を用いる本明細書の実施形態のように、この代替的な実施形態は、経験的データ又は他の適当な分析を利用して、所望の流量を得るために制御するのに適した吸引持続時間及びオプションのピンチ弁動作時間を決定することができる。
【0162】
したがって、本発明は、作業者が所望の流量の入力以外にシステムにいかなる変更も加えずにポンプの出力流量を選択できることを意味する、測量可能な材料流量ポンプ出力を意図している。これは、キーボード又は他の適当な機構等の任意の適当なインタフェース装置を介して行ってもよく、又は物体に材料を塗布するための仕方の一部として流量を制御システム39にプログラムしてもよい。このような仕方は、一般に、流量、電圧、空気流量制御、パターン整形、トリガ時間等を含む。
【0163】
図26を参照して、ガン及び移送ポンプに負圧を供給する代替的な実施形態を示す。図26は、2つのポンプ室1及び2を有する1つのポンプのみを示しているが、この概念は複数のポンプに拡張可能であり、本明細書におけるガンポンプの概念及び移送ポンプの概念の両方に適用可能でもある。
【0164】
本発明は、多数のガン及びポンプを利用する用途で用いることができることが意図されている。システムが大型になると、粉体ポンプの吸引サイクルを操作するのに必要な負圧を生成するために、複数のベンチュリポンプが必要となる。負圧が要求される場合、図16、図19、及び図20の実施形態では固有の遅延が生じるが、これは、負圧を発生させるためにこれらのベンチュリポンプが動作していなければならないからである。また、ベンチュリポンプは、負圧が必要なくなって停止させられない限り、加圧空気を消費する。
【0165】
システムの効率を高めるために、負圧アキュムレータすなわち負圧槽1000をシステムに加えて負圧を蓄えることができるため、ポンプ室に要求される場合は常に負圧が供給され、負圧ポンプを圧送室からの負圧の要求とは無関係に操作することができる。図26では、逆止め弁1004を介して負圧ポンプ1002の出口を槽1000への入口に接続することができる。逆止め弁1004を用いて、システムシャットダウン後でも槽に負圧を蓄えさせることができる。弁1006等の別の制御装置が、槽1000の出口をポンプ室への正圧及び負圧の供給を制御する制御ソレノイド1008及び1010に接続する。例えば、図16の実施形態では、弁1008及び1010は弁548、550に対応し、図18の実施形態では、弁1008及び1010は弁604、606に対応し、図19の実施形態では、弁1008及び1010は弁628に対応する。
【0166】
槽1000の使用により、補充を必要とする点まで槽内の圧力が低下するまで圧縮空気を消費しないように、ベンチュリポンプをアンロード又は停止させることが可能になる。センサ(図示せず)を用いて、ベンチュリポンプを作動させる必要があるかを判定することができる。
【0167】
適した負圧ポンプは、上述の実施形態で説明したようなベンチュリポンプである。これらの実施形態では、ベンチュリポンプは、マニホルド404(図1及び図15)に配置することができる。槽の概念は、代替的な形態で実現してもよい。複数の負圧ポンプ1002を、槽1000とともに制御キャビネット又は他の場所に配置してもよい。その場合、個々の供給ラインを槽の出口からポンプ室の種々の制御ソレノイドまで延ばすことができ、ポンプ室はマニホルド404に配置することができる。マニホルド404は、ポンプ及び槽とともに位置付けられてもよく、又は必要に応じて異なる場所に位置付けられてもよい。
【0168】
本発明は、好ましい実施形態を参照して説明してきた。本明細書及び図面を読んで理解すれば、本発明者ら以外でも変更及び変形を思いつくであろう。本発明は、添付の特許請求の範囲又はその等価物内にある限り、このような変更及び変形全てを含むことが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0169】
【図1】本発明を利用する粉体コーティング材料塗布システムの簡易外略図である。
【図2A】本発明によるスプレーアプリケータの長手方向断面図である。
【図2B】図2Aの丸で囲んだ前方部分の拡大図である。
【図2C】図2Aの丸で囲んだ後方部分の拡大図である。
【図3A】図2Aのスプレーアプリケータの分解斜視図である。
【図3B】図2Aのスプレーアプリケータの分解斜視図である。
【図4】空気キャップの正面斜視図である。
【図5】図4の空気キャップの長手方向断面図である。
【図6】電極を保持して示す、図4の空気キャップの長手方向断面図である。
【図7A】電極及びホルダアセンブリの図である。
【図7B】電極及びホルダアセンブリの図である。
【図7C】電極及びホルダアセンブリの図である。
【図8A】本発明による手動スプレーアプリケータの立面図である。
【図8B】図8Aのアプリケータの長手方向断面図である。
【図8C】図8A及び図8Bのアプリケータで用いられる粉体管の斜視図である。
【図9】本発明によるパターン調整アルゴリズムの論理流れ図である。
【図10A】本発明によるポンプの組み立て等角図である。
【図10B】本発明によるポンプの分解等角図である。
【図10C】本発明によるポンプの分解等角図である。
【図10D】図10の組み立てられたポンプの立面図である。
【図10E】図10の組み立てられたポンプの断面図である。
【図10F】図10の組み立てられたポンプの立面図である。
【図10G】図10の組み立てられたポンプの断面図である。
【図11A】ポンプマニホルドの等角図である。
【図11B】ポンプマニホルドの上面図である。
【図12A】第1のYブロックを示す。
【図12B】第1のYブロックを示す。
【図13A】弁体の斜視図である。
【図13B】弁体の断面図である。
【図14A】別のYブロック機構の斜視図である。
【図14B】別のYブロック機構の斜視図である。
【図15】供給マニホルドの分解斜視図である。
【図16】図10Aのポンプの空気圧流機構の例示的な実施形態である。
【図17A】本発明による移送ポンプの等角図である。
【図17B】本発明による移送ポンプの分解等角図である。
【図18】移送ポンプの空気圧流機構の例示的な実施形態である。
【図19】移送ポンプの空気圧回路の代替的な実施形態である。
【図20】本発明に従って動作しているポンプの材料流量曲線の図である。
【図21】2つの異なるポンプサイクル速度に関する、粉体流量対ピンチ弁開放時間を示すグラフである。
【図22A】スプレーアプリケータの円錐状パターンノズルの等角図である。
【図22B】スプレーアプリケータの円錐状パターンノズルの立面図である。
【図22C】スプレーアプリケータの円錐状パターンノズルの前端図である。
【図22D】図22Cの線22D−22Dに沿った断面図である。
【図22E】図22Cの線22E−22Eに沿った断面図である。
【図23】本発明の代替的な実施形態によるノズルアセンブリの第1の実施形態の縦断面図である。
【図24A】スプレーアプリケータの平坦状パターンノズルの等角図である。
【図24B】スプレーアプリケータの平坦状パターンノズルの立面図である。
【図24C】スプレーアプリケータの平坦状パターンノズルの前端図である。
【図24D】図24Cの線24D−24Dに沿った断面図である。
【図24E】図24Cの線24E−24Eに沿った断面図である。
【図25】本発明の代替的な実施形態によるノズルアセンブリの第1の実施形態の縦断面図である。
【図26】濃厚相ポンプにより用いられる負圧源の代替的な実施形態の機能概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体スプレーガンのノズルであって、
一体型の偏向器及び粉体流路とを有するノズル体を備えており、
前記偏向器は、前記ノズル体の出口端に設けられ、前記ノズルから出る粉体が通る出口を形成しており、
前記粉体流路は、前記ノズル体の内部を通り、且つ入口を有しており、
前記出口は、前記入口の断面積以上の大きさの断面積を有することを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記出口の断面積は、前記入口の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記ノズル体に受け入れられ、且つ前記入口を画定するノズルインサートを備え、前記入口は、粉体供給ホースの端を受け入れるようになっており、前記インサートは、前記入口から前記出口まで通じる膨脹室を内部に有し、該膨脹室は、前記入口から前記出口まで拡大する体積を有することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記膨脹室は円錐形であることを特徴とする請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記ノズルインサートは、空気を圧力下で前記膨脹室に入れるための1つ又は複数の空気ジェットを備えていることを特徴とする請求項3に記載のノズル。
【請求項6】
前記空気ジェットは、前記ノズル体の空気通路と流体連通し、前記空気通路は、前記ノズルがスプレーガンに設置されると加圧空気源と連通し、前記ノズル体内の前記空気通路にある空気フィルタが、粉体が前記空気通路に逆流するのを防止することを特徴とする請求項5に記載のノズル。
【請求項7】
前記ノズル体内を少なくとも部分的に延在する通路と、該通路内に配置されて前記ノズルの前端を通って延在しており、スプレー動作中に前記ノズルから出る粉体を帯電させる帯電電極とを備えることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項8】
前記通路は、前記帯電電極を空気洗浄する加圧空気を受け入れることを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項9】
前記帯電電極は、前記ノズルから出る粉体雲内に位置付けられる電極先端を有することを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項10】
前記偏向器及び前記出口は、ほぼ円錐状のスプレーパターンを生成することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項11】
前記偏向器及び前記出口は、ほぼ平坦状のスプレーパターンを生成することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項12】
前記偏向器は、1つ又は複数の部材により前記ノズル体と接合され、通路が、前記部材内を少なくとも部分的に延在して帯電電極を受け入れ、該帯電電極は、前記粉体流路から前記ノズル体の内部に部分的に延在していることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項13】
前記帯電電極は、前記ノズル体の前方部分から延出する先端を有することを特徴とする請求項12に記載のノズル。
【請求項14】
粉体スプレーガンのノズルであって、
出口端及び入口端を有するノズル体を備え、
前記ノズル体は、前記ノズル体を通って前記入口端と前記出口端とをつなぐ粉体流路と、前記入口端と前記出口端との間にある膨脹室とを有しており、前記出口端は、前記入口端の断面積以上の大きさの断面積を有することを特徴とするノズル。
【請求項15】
加圧空気を前記膨脹室に入れるための1つ又は複数の空気ジェットを備えていることを特徴とする請求項14に記載のノズル。
【請求項16】
前記ノズル体内に配置され、粉体が前記膨脹室から前記空気ジェットを通って逆流することを防止する空気フィルタを備えていることを特徴とする請求項15に記載のノズル。
【請求項17】
前記ノズル体に形成される通路と、
前記粉体流路から前記通路内に配置される電極とを備え、
前記電極は、前記ノズル体を通って前記ノズル体の前端に延在する自由端を有することを特徴とする請求項14に記載のノズル。
【請求項18】
粉体コーティングシステムであって、
粉体ポンプと粉体スプレーガンとを備え、
前記粉体ポンプは、粉体供給源及び粉体スプレーガンと流体連通する少なくとも1つのポンプ室を有し、前記ポンプ室は、前記粉体スプレーガン及び前記粉体供給源と連通しないように選択的にシールされ、
前記粉体スプレーガンに設けられ入口及び出口を有するスプレーノズルをさらに備え、
前記出口は、前記入口の断面積以上の大きさの断面積を有することを特徴とする粉体コーティングシステム。
【請求項19】
前記粉体ポンプは、濃厚相粉体流を生成することを特徴とする請求項18に記載の粉体コーティングシステム。
【請求項20】
粉体コーティング材料を塗布する方法であって、
粉体流をスプレーノズルの入口から入れて該スプレーノズルの出口から出すこと、及び前記出口を前記入口の断面積以上の大きさの断面積を有するように形成すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記スプレーノズル内の前記入口と前記出口との間にある膨脹室に前記粉体流を通過させることを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
乾燥粒子材料用のポンプであって、
材料源に接続可能であり、且つ関連する圧力室を有するポンプ室と、前記ポンプ室に材料を吸い込み前記ポンプ室から前記材料を押し出すように前記圧力室に交互に加えられる負圧源及び正圧源と、前記ポンプにより使用される前記負圧源からの負圧を蓄える槽とを備えていることを特徴とするポンプ。
【請求項23】
前記負圧源は、ベンチュリポンプであることを特徴とする請求項22に記載のポンプ。
【請求項24】
前記負圧源と前記槽との間に逆止め弁を備えていることを特徴とする請求項22に記載のポンプ。
【請求項25】
前記槽は、前記槽が圧力不足になるまで、前記負圧源を操作する必要とは無関係に前記ポンプに利用可能な負圧を供給することを特徴とする請求項22に記載のポンプ。
【請求項1】
粉体スプレーガンのノズルであって、
一体型の偏向器及び粉体流路とを有するノズル体を備えており、
前記偏向器は、前記ノズル体の出口端に設けられ、前記ノズルから出る粉体が通る出口を形成しており、
前記粉体流路は、前記ノズル体の内部を通り、且つ入口を有しており、
前記出口は、前記入口の断面積以上の大きさの断面積を有することを特徴とするノズル。
【請求項2】
前記出口の断面積は、前記入口の断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記ノズル体に受け入れられ、且つ前記入口を画定するノズルインサートを備え、前記入口は、粉体供給ホースの端を受け入れるようになっており、前記インサートは、前記入口から前記出口まで通じる膨脹室を内部に有し、該膨脹室は、前記入口から前記出口まで拡大する体積を有することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項4】
前記膨脹室は円錐形であることを特徴とする請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記ノズルインサートは、空気を圧力下で前記膨脹室に入れるための1つ又は複数の空気ジェットを備えていることを特徴とする請求項3に記載のノズル。
【請求項6】
前記空気ジェットは、前記ノズル体の空気通路と流体連通し、前記空気通路は、前記ノズルがスプレーガンに設置されると加圧空気源と連通し、前記ノズル体内の前記空気通路にある空気フィルタが、粉体が前記空気通路に逆流するのを防止することを特徴とする請求項5に記載のノズル。
【請求項7】
前記ノズル体内を少なくとも部分的に延在する通路と、該通路内に配置されて前記ノズルの前端を通って延在しており、スプレー動作中に前記ノズルから出る粉体を帯電させる帯電電極とを備えることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項8】
前記通路は、前記帯電電極を空気洗浄する加圧空気を受け入れることを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項9】
前記帯電電極は、前記ノズルから出る粉体雲内に位置付けられる電極先端を有することを特徴とする請求項7に記載のノズル。
【請求項10】
前記偏向器及び前記出口は、ほぼ円錐状のスプレーパターンを生成することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項11】
前記偏向器及び前記出口は、ほぼ平坦状のスプレーパターンを生成することを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項12】
前記偏向器は、1つ又は複数の部材により前記ノズル体と接合され、通路が、前記部材内を少なくとも部分的に延在して帯電電極を受け入れ、該帯電電極は、前記粉体流路から前記ノズル体の内部に部分的に延在していることを特徴とする請求項1に記載のノズル。
【請求項13】
前記帯電電極は、前記ノズル体の前方部分から延出する先端を有することを特徴とする請求項12に記載のノズル。
【請求項14】
粉体スプレーガンのノズルであって、
出口端及び入口端を有するノズル体を備え、
前記ノズル体は、前記ノズル体を通って前記入口端と前記出口端とをつなぐ粉体流路と、前記入口端と前記出口端との間にある膨脹室とを有しており、前記出口端は、前記入口端の断面積以上の大きさの断面積を有することを特徴とするノズル。
【請求項15】
加圧空気を前記膨脹室に入れるための1つ又は複数の空気ジェットを備えていることを特徴とする請求項14に記載のノズル。
【請求項16】
前記ノズル体内に配置され、粉体が前記膨脹室から前記空気ジェットを通って逆流することを防止する空気フィルタを備えていることを特徴とする請求項15に記載のノズル。
【請求項17】
前記ノズル体に形成される通路と、
前記粉体流路から前記通路内に配置される電極とを備え、
前記電極は、前記ノズル体を通って前記ノズル体の前端に延在する自由端を有することを特徴とする請求項14に記載のノズル。
【請求項18】
粉体コーティングシステムであって、
粉体ポンプと粉体スプレーガンとを備え、
前記粉体ポンプは、粉体供給源及び粉体スプレーガンと流体連通する少なくとも1つのポンプ室を有し、前記ポンプ室は、前記粉体スプレーガン及び前記粉体供給源と連通しないように選択的にシールされ、
前記粉体スプレーガンに設けられ入口及び出口を有するスプレーノズルをさらに備え、
前記出口は、前記入口の断面積以上の大きさの断面積を有することを特徴とする粉体コーティングシステム。
【請求項19】
前記粉体ポンプは、濃厚相粉体流を生成することを特徴とする請求項18に記載の粉体コーティングシステム。
【請求項20】
粉体コーティング材料を塗布する方法であって、
粉体流をスプレーノズルの入口から入れて該スプレーノズルの出口から出すこと、及び前記出口を前記入口の断面積以上の大きさの断面積を有するように形成すること
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記スプレーノズル内の前記入口と前記出口との間にある膨脹室に前記粉体流を通過させることを含むことを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
乾燥粒子材料用のポンプであって、
材料源に接続可能であり、且つ関連する圧力室を有するポンプ室と、前記ポンプ室に材料を吸い込み前記ポンプ室から前記材料を押し出すように前記圧力室に交互に加えられる負圧源及び正圧源と、前記ポンプにより使用される前記負圧源からの負圧を蓄える槽とを備えていることを特徴とするポンプ。
【請求項23】
前記負圧源は、ベンチュリポンプであることを特徴とする請求項22に記載のポンプ。
【請求項24】
前記負圧源と前記槽との間に逆止め弁を備えていることを特徴とする請求項22に記載のポンプ。
【請求項25】
前記槽は、前記槽が圧力不足になるまで、前記負圧源を操作する必要とは無関係に前記ポンプに利用可能な負圧を供給することを特徴とする請求項22に記載のポンプ。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図22E】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図25】
【図26】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10G】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図22C】
【図22D】
【図22E】
【図23】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−334589(P2006−334589A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151174(P2006−151174)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
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