説明

粘着フィルム

【課題】ダイシングフィルムとして適度の柔軟性を有し、且つ支持基材フィルムにコロナ処理時のブロッキング現象を回避した粘着フィルムを提供する。
【解決手段】粘着フィルムは、ポリオレフィンを主とする支持基材1とその片面に形成された粘着剤層2からなる。支持基材1は、ポリオレフィンの1種又は2種以上のブレンド物からなる第一の層1aと、酢酸ビニル濃度が10重量%以上35重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンからなり、且つポリエチレンの重量割合が5重量%以上40重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のポリエチレンのブレンド物からなる第二の層1bからなる。粘着剤層2は、第二の層1b側に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイシングテープ、表面保護フィルム、工業用テープとして用いる粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェーハを個々のダイに分割するために、ウェーハに賽の目状の切り溝を生成するダイシング工程で用いる粘着フィルムとして、紫外線又は電子線に対し透過性を有する基材上に紫外線又は電子線により重合硬化する粘着剤層を有する粘着フィルムを用い、ダイシング後に、紫外線又は電子線を粘着剤層に照射し、粘着剤層を重合硬化反応させ、粘着力を低下させて半導体チップをピックアップする方法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
これまでダイシングテープに代表される粘着フィルムの代表例として塩化ビニル樹脂フィルムからなる基材を含む粘着フィルムが使用されていた。しかし、塩化ビニル樹脂フィルムは、柔軟性に優れていて使い勝手が良い反面、塩素イオンによる汚染が懸念される等の問題点があった。
それに対し、ポリプロピレン、ポリプロピレン、さらにはポリエチレンテレフタレートを基材とする粘着フィルムも用いられているが、それらは柔軟性に乏しいという問題があった。
そこで幾つかの企業はこの問題を解決するために支持基材を多層化し、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリオレフィン系樹脂を積層することを提案している。例えば特許文献2には、支持基材としてポリプロピレン樹脂層の両側にエチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量15重量%)層を積層した三層からなるものを使用し、片面にコロナ処理を施すことが記載されている(特許文献2、段落0036参照)。
【0004】
しかし、このような表面層にエチレン−酢酸ビニル共重合体を配した粘着フィルムは、柔軟性の観点及び粘着剤層への密着の観点から有利であるが、反面、コロナ処理を行なった後の支持基材フィルム自体の巻き取り安定性に欠けるという問題がある。
特に支持基材に粘着剤を塗工する前の段階では、支持基材に420mN/m以上の表面張力を与える必要がある。この時に、支持基材にエチレン−酢酸ビニル共重合体層が存在すると、500mN/m以上の表面張力が容易にかかり、エチレン−酢酸ビニル共重合体に高い粘着層の発現と共に支持基材フィルムの巻取り状態が不安定になるブロッキング現象が発生し、このブロッキング現象により、支持基材フィルムには多くの皺や歪が発生し、これらが製品として製品の品質低下の原因となってしまう。
【特許文献1】特開2002−121511号
【特許文献2】特開2004−338285号、段落0036参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、ダイシングフィルムとして適度の柔軟性を有し、且つ支持基材フィルムにコロナ処理時のブロッキング現象を回避した粘着フィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、上記の課題を解決するもので、ポリオレフィンを主とする支持基材の片面に粘着剤層が形成された粘着フィルムであって、前記支持基材がポリオレフィンの1種又は2種以上のブレンド物からなる第一の層と、酢酸ビニル濃度が10重量%以上35重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンからなり、且つポリエチレンの重量割合が5重量%以上40重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のポリエチレンのブレンド物からなる第二の層からなり、前記第二の層側に粘着剤層が形成されていることを特徴とする粘着フィルムを要旨とする。
【0007】
本発明の粘着フィルムにおいては、支持基材が、ポリオレフィンの1種又は2種以上のブレンド物からなる第一の層と、酢酸ビニル濃度が10重量%以上35重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンからなり、且つポリエチレンの重量割合が5重量%以上40重量%以下の、エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンのブレンド物からなる第二の層で構成されているので、第二の層の表面にコロナ処理を施しても、エチレン−酢酸ビニル共重合体を含む第二の層の表面のブロッキング現象が海島の島状に配置されたポリエチレンにより回避され、且つ柔軟性と500mN/m以上の表面張力を有する支持基材を有する粘着フィルムが提供される。
【0008】
本発明において、エチレン−酢酸ビニル共重合体の必要物性(エチレン−酢酸ビニル共重合体自体の極性及び柔軟性)を確保するために、酢酸ビニル濃度は10重量%以上35重量%以下であることが望ましい。酢酸ビニル濃度が10重量%より低いときは、 エチレン−酢酸ビニル共重合体自体の極性及び柔軟性が低下するので望ましくなく、又、酢酸ビニル濃度が35重量%を超えると、支持基材との接着性が低下するので望ましくない。
本発明においては、エチレン−酢酸ビニル共重合体に耐ブロッキング性樹脂としてポリエチレンを添加し、且つエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンの樹脂の流れ適性の違いを利用して第二の層の表面の荒れ(凹凸)を形成することにより、極度の粘着性に起因するブロッキング不良を回避している。
ポリエチレンの重量割合は、5重量%以上40重量%以下が望ましく、5重量%よりも低いとき及び40重量%を超えるときは第二の層に適切な海島構造が形成されないので好ましくない。
【0009】
又、本発明において、インフレーション製膜法を意識し、支持基材の第二の層に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレイトを1g/10分以上10g/10分以下とし、ポリエチレンのメルトフローレイトが2g/10分以上20g/10分以下とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレイトをポリエチレンのフローレイトより小さくし、これによりミクロ的な海島構造を形成し、それによって第二の層の表面の荒れ(凹凸)を形成している。
【0010】
支持基材の全体の厚みは40μm以上200μm以下であることが望ましく、又、第一の層の厚みは20μm以上150μm以下が望ましく、第二の層の厚みは10μm以上100μm以下であることが望ましい。
【0011】
粘着剤層の厚みは1μm以上30μm以下であることが望ましい。
【0012】
本発明の粘着フィルムは、特にダイシングテープとして有効に活用することができる。その他、表面保護フィルム、工業用テープとしても活用することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粘着フィルムは、ポリオレフィンからなる支持基材と粘着剤層からなり、支持基材は、ポリオレフィンの1種又は2種以上のブレンド物からなる第一の層と、酢酸ビニル濃度が10重量%以上35重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、ポリエチレンからなり、且つポリエチレンの重量割合が5重量%以上40重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のポリエチレンのブレンド物からなる第二の層からなり、第二の層の表面にコロナ処理を施しても、第二の層のエチレン−酢酸ビニル共重合体に耐ブロッキング性樹脂としてポリエチレンが添加され、第二の層の表面に海島構造が形成され、第二の層の表面に荒れ(凹凸)が形成されていることにより、コロナ処理時のブロッキング現象を回避して、皺や歪の発生を防止して、柔軟性と500mN/m以上の表面張力を有する支持基材を有する粘着フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の粘着フィルムを示す。
【0015】
本発明の粘着フィルムは、ポリオレフィンを主とする支持基材1の片面に粘着剤層2が形成された粘着フィルムである。支持基材1は、ポリオレフィンの1種又は2種以上のブレンド物からなる第一の層1aと、酢酸ビニル濃度が10重量%以上35重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンからなり、且つポリエチレンの重量割合が5重量%以上40重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のポリエチレンのブレンド物からなる第二の層1bからなり、第二の層1b側に粘着剤層2が形成されている。
【0016】
第一の層1aは、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等の単体、或いはポリプロピレンと低密度ポリエチレンのブレンド物、ポリプロピレンと高密度ポリエチレンのブレンド物等のポリオレフィンからなる。
【0017】
第一の層1aの厚みは20μm以上150μm以下が望ましい。第一の層1aの厚みが20μmよりも少ないとき、粘着フィルムとして支持強度を達成できず、又第一の層1aの厚みが150μmを超えるときは、粘着フィルムの廃棄時に環境に負荷がかかってしまい、又コストもかかってしまいも望ましくない。
【0018】
第二の層1bに含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体の必要物性(エチレン−酢酸ビニル共重合体自体の極性及び柔軟性)を確保するために、酢酸ビニル濃度は10重量%以上35重量%以下であることが望ましい。酢酸ビニル濃度が10重量%より低いときは、 エチレン−酢酸ビニル共重合体自体の極性及び柔軟性が低下するので望ましくなく、又、酢酸ビニル濃度が35重量%を超えると、支持基材との接着性が低下するので望ましくない。
又、エチレン−酢酸ビニル共重合体に耐ブロッキング性樹脂としてポリエチレンを添加し、且つエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンの樹脂の流れ適性の違いを利用して第二の層の表面の荒れ(凹凸)を形成することにより、極度の粘着性に起因するブロッキング不良を回避している。
ポリエチレンの重量割合は、5重量%以上40重量%以下が望ましく、5重量%よりも低いとき及び40重量%を超えるときは第二の層に適切な海島構造が形成されないので好ましくない。
【0019】
又、本発明において、インフレーション製膜法を意識し、支持基材1の第二の層1bに含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレイトを1g/10分以上10g/10分以下とし、ポリエチレンのメルトフローレイトを2g/10分以上20g/10分以下とし、エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレイトがポリエチレンのフローレイトより小さくし、これによりミクロ的な海島構造を形成し、それによって第二の層の表面の荒れ(凹凸)を形成している。
【0020】
支持基材1の全体の厚みは40μm以上200μm以下であることが望ましく、又、第一の層1aの厚みは20μm以上150μm以下が望ましく、第二の層1bの厚みは10μm以上100μm以下であることが望ましい。
【0021】
粘着剤層2の厚みは1μm以上30μm以下であることが望ましい。
【0022】
粘着剤層2は、ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーと放射線硬化成分を含む放射線硬化型粘着剤からなる。
【0023】
アクリル系ポリマーとして、通常、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体又は他の共重合性モノマーとの共重合体が用いられる。
【0024】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルのアルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、ブチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、オクチルエステル、イソノニルエステル等が挙げられる。又、前記他の共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸のヒドロキシヘキシルエステル(例えば、ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシブチルエステル、ヒドロキシヘキシルエステル等)、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N−ヒドロキシメチルアミド、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルメタクリレート等)、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0025】
放射線硬化成分は、分子中に炭素−炭素ニ重結合を有する反応性ポリマーを適用することができる。放射線硬化成分としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物、エステルアクリレートオリゴマー、2−プロペニルジ−3−ブテニルシアヌレート、2−ヒドロキシエチルビス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレート又はイソシアヌレート化合物等挙げられる。
【0026】
又、放射線硬化型粘着剤のベースポリマーとして、ポリマー側鎖に炭素−炭素二重結合を有する放射線硬化型ポリマーを使用することができる。この場合、放射線硬化成分は加えられても加えられなくてもどちらでも良い。
【0027】
放射線硬化型粘着剤には光重合開始剤を添加することができる。光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾフェノン、α−ヒドロキシクロへキシルフェニルケトン等の芳香族ケトン類、ベンジルジメチルケタール等の芳香族ケタール類、ポリビニルベンゾフェノン、クロロオキサントン、ドデシルチオキサントン、ジメチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン類等が挙げられる。
【0028】
放射線硬化型粘着剤には、更に必要に応じて、架橋剤、粘着剤、老化防止剤等を含有させることができる。
【0029】
第一の層1aと第二の層1bからなる支持基材1は、第一の層1aと第二の層1bをインフレーション製膜法、Tダイ法に共押し出し製膜することができるが、好ましくはインフレーション製膜法を用いる。又、第二の層1bへの粘着剤の塗工は、コンマコーター、ダイコーター、リバースグラビアコーター等により行なうことができる。
【実施例1】
【0030】
(1)支持基材の第一の層の材料として低密度ポリエチレン(密度=0.924g/cm3、MFR=3.8g/10分、融点=110℃、引張弾性率=115MPa)110重量部を調製した。
(2)支持基材の第二の層の材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックスEV460:酢酸ビニル含有率=19%、密度=0.940g/cm3、MFR=2.5g/10分)75重量部と、低密度ポリエチレン(密度=0.924g/cm3、MFR=3.5g/10分、融点=114℃、引張弾性率=115MPa)25重量部を十分に混練した樹脂組成物を調製した。
【0031】
三層インフレーション共押出製膜機を用いて、上記の二層の材料を共押出して、第一の層50μm及び第二の層20μmからなる総厚70μmの積層フィルムを製膜した。
【0032】
製膜と同時に積層フィルムの第二層側にコロナ処理を施し、積層フィルムが520mN/mの表面張力を有することを確認した。
【0033】
又、製膜された積層フィルムを巻き取る工程でブロッキングによる皺等の異常は認められなかった。
【0034】
次に、放射線硬化型アクリル系粘着剤:綜研化学(株)製「SKダイン2094」(I)と、硬化剤:綜研化学(株)製「E−5XM」(II)と、反応性モノマー:日本化薬(株)製「KAYARAD−DPHA」(III)と、光重合開始剤:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE184」(IV)を(I):(II):(III):(IV)=100:0.27:10:2の割合で混合攪拌し、溶剤で固形分15重量%に希釈した粘着剤溶液を作製し、この粘着剤溶液を前記積層フィルムの第二の層側に塗工厚み=10μmとなるようにコンマコーターを用いて塗工した。
【0035】
積層フィルムへの粘着剤溶液の塗工後、23℃の温度下に7日間遮光室内でエージングして粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムについて、SUS304鏡面板(#280研摩)に対する粘着強度を測定の結果、6.5N/25mmの粘着力を有することがわかった。又、SUS304鏡面板(#280研摩)に貼着後に、500mJの紫外線(254nm中心)を照射したところ、粘着強度は0.6N/25mmに低下することがわかった。尚、粘着強度の測定は、JISZ−0237に準じた方法で行なった。
【実施例2】
【0036】
(1)支持基材の第一の層の材料として、低密度ポリエチレン(密度=0.922g/cm3、MFR=1.5g/10分、融点=109℃、引張弾性率=140MPa)50重量部とポリプロピレン(ランダムポリプロピレン:密度=0.900g/cm3、MFR=1.2g/10分、引張弾性率=1120MPa)50重量部を混練して樹脂組成物を調製した。
(2)支持基材の第二の層の材料として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックスEV460:酢酸ビニル含有率=19%、密度=0.950g/cm3、MFR=2g/10分)70重量部と、低密度ポリエチレン(密度=0.924g/cm3、MFR=3.5g/10分、融点=114℃、引張弾性率=115MPa)30重量部を十分に混練して樹脂組成物を調製した。
【0037】
三層インフレーション共押出製膜機を用いて、上記の二層の材料を共押出して、第一の層50μm及び第二の層20μmからなる総厚70μmの積層フィルムを製膜した。
【0038】
製膜と同時に積層フィルムの第二層側にコロナ処理を施し、積層フィルムが520mN/mの表面張力を有することを確認した。
【0039】
又、製膜された積層フィルムを巻き取る工程でブロッキングによる皺等の異常は認められなかった。
【0040】
次に、放射線硬化型アクリル系粘着剤:綜研化学(株)製「SKダイン2094」(I)と、硬化剤:綜研化学(株)製「E−5XM」(II)と、反応性モノマー:日本化薬(株)製「KAYARAD−DPHA」(III)と、光重合開始剤:チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製「IRGACURE184」(IV)を(I):(II):(III):(IV)=100:0.27:10:2の割合で混合攪拌し、溶剤で固形分15重量%に希釈した粘着剤溶液を作製し、この粘着剤溶液を前記積層フィルムの第二の層側に塗工厚み=10μmとなるようにコンマコーターを用いて塗工した。
【0041】
積層フィルムへの粘着剤溶液の塗工後、23℃の温度下に7日間遮光室内でエージングして粘着フィルムを作製した。この粘着フィルムについて、SUS304鏡面板(#280研摩)に対する粘着強度を測定の結果、6.5N/25mmの粘着力を有することがわかった。又、SUS304鏡面板(#280研摩)に貼着後に、500mJの紫外線(254nm中心)を照射したところ、粘着強度は0.6N/25mmに低下することがわかった。尚、粘着強度の測定は、JISZ−0237に準じた方法で行なった。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の粘着フィルムは、特にダイシングテープとして有効に活用することができる。又、表面保護フィルム、工業用テープとしても活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の粘着フィルムの断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 支持基材
1a 支持基材の第一の層
1b 支持基材の第二の層


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィンを主とする支持基材の片面に粘着剤層が形成された粘着フィルムであって、前記支持基材がポリオレフィンの1種又は2種以上のブレンド物からなる第一の層と、酢酸ビニル濃度が10重量%以上35重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体とポリエチレンからなり、且つポリエチレンの重量割合が5重量%以上40重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のポリエチレンのブレンド物からなる第二の層からなり、前記第二の層の表面に粘着剤層が形成されていることを特徴とする粘着フィルム。
【請求項2】
支持基材の第二の層に含まれるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレイトが1〜10g/10分であり、且つポリエチレンのメルトフローレイトが2〜20g/10分であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体のメルトフローレイトがポリエチレンのフローレイトより小さいことを特徴とする請求項1に記載の粘着フィルム。
【請求項3】
支持基材の全体の厚みが40〜200μmであり、第一の層の厚みが20〜150μmであり、粘着剤層の厚みが10〜100μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の粘着フィルム。
【請求項4】
粘着剤層の厚みが1〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の粘着フィルム。
【請求項5】
粘着剤層が放射線硬化型の粘着剤層であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の粘着フィルム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の粘着フィルムからなるダイシングテープ。


【図1】
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【公開番号】特開2009−242519(P2009−242519A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−89354(P2008−89354)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】