説明

糸弛み取り装置及びそれを備える紡績機

【課題】糸に掛かる張力を紡績機の稼動時において制御可能な糸弛み取り装置を提供する。
【解決手段】糸弛み取り装置12は、電動モータ25と、弛み取りローラ21と、糸掛け部材22と、電磁石36と、制御部と、を備える。弛み取りローラ21は、電動モータ25によって回転駆動される。糸掛け部材22は、弛み取りローラ21に対して同心で相対回転自在に取り付けられる。電磁石36は、糸掛け部材22に作用させる磁界を生成する。前記制御部は、前記糸掛け部材22の前記弛み取りローラ21に対する相対回転に抗する抵抗トルクを前記磁界によって発生させるとともに、前記電磁石36への入力制御によって前記抵抗トルクを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡績機において、糸が紡出されてからパッケージとして巻き取られるまでの間において生じる糸の弛みを取るための糸弛み取り装置に関する。また、本発明は、前記糸弛み取り装置を備える紡績機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、紡績した糸を巻き取ってパッケージを形成する空気式紡績機等の高速紡績機にあっては、糸欠陥を検出すると、その糸欠陥箇所をカッタで切断し除去しつつ、紡績装置から次々に送られてくる糸の先端とパッケージ側の糸端とを糸継装置で糸継ぎするように構成されている。上記の糸継作業は糸の巻取りを停止した状態で行うため、糸の弛みを取り除く必要がある。
【0003】
この点に鑑み、特許文献1は、回転駆動される弛み取りローラと、回転式の糸掛け部材とを備えた糸弛み取り装置を開示する。この糸弛み取り装置では、糸掛け部材は弛み取りローラに対して同心で相対回転に取り付けられており、その相対回転に対しては、永久磁石とヒステリシス材との組合せにより、適宜の大きさの抵抗を付与できるようになっている。
【特許文献1】特開2006−306588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この構成においては、糸掛け部材に加えられる相対回転抵抗力(抵抗トルク)は、糸の巻取張力を決定する要素の1つである。巻取中の糸に対して適正な張力を付加できなければ、糸切れ及びパッケージ不良の発生や、後工程における糸の解舒性への悪影響の原因となる。そのため、糸掛け部材に加えられる抵抗トルクの制御は極めて重要である。
【0005】
一方、適正な張力は糸種や糸太さによって異なる。また糸の巻取中においても、巻径の変化やトラバース位置によって張力は刻々と変化し、例えば糸継時等においては、瞬間的に大きな張力が掛かることもある。このような場合において、糸掛け部材に加えられる抵抗トルクが適切に設定されていなければ、上記と同様に糸切れ等の問題が生じる。
【0006】
この点、上記特許文献1の構成は、ヒステリシス材と永久磁石との重なり面積を変化させることで無段階に抵抗トルクを変化させることが可能であり、様々な糸種や糸太さに対応することができる。しかし、この構成では、仕掛け替え時などに一斉に多数の錘の抵抗トルクを変えたいときに、1つの錘ごとに調整する必要があり、非常に手間である。また、特許文献1の構成は、糸の巻取中に抵抗トルクを微調整したり積極的に変化させることは不可能であった。
【0007】
本発明は以上の観点に鑑みてされたものであって、その主要な目的は、糸に加わる張力を紡績機の稼動時に制御可能な糸弛み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の、紡績機に備えられる糸弛み取り装置が提供される。即ち、この糸弛み取り装置は、駆動源と、弛み取りローラと、糸掛け部材と、電磁石と、制御部と、を備える。弛み取りローラは、前記駆動源によって回転駆動される。糸掛け部材は、前記弛み取りローラに対して同心で相対回転自在に取り付けられる。電磁石は、前記糸掛け部材に作用させる磁界を生成する。制御部は、前記糸掛け部材の前記弛み取りローラに対する相対回転に抗する抵抗トルクを前記磁界によって発生させ、前記電磁石への入力制御によって前記抵抗トルクを制御する。前記制御部は、前記抵抗トルクを紡績機の稼動時に制御可能である。
【0010】
これにより、紡績機の紡績時においても抵抗トルクの変更が可能となる。そのため、適切な張力を糸に加えるように制御することができる。
【0011】
前記糸弛み取り装置においては、前記制御部は、前記抵抗トルクを糸の巻径に応じて制御することが好ましい。
【0012】
これにより、好適な品質のパッケージを形成できる。
【0013】
前記糸弛み取り装置においては、前記制御部は、前記糸の巻径が小さいときは前記糸の巻径が大きいときよりも前記抵抗トルクを大きくするように制御することが好ましい。
【0014】
これにより、パッケージの品質を更に向上させることができる。
【0015】
前記糸弛み取り装置においては、前記制御部は、前記紡績機の紡績開始時において、前記糸掛け部材に糸が掛かる前に前記抵抗トルクを小さくするように制御することが好ましい。
【0016】
これにより、瞬間的に過大な張力が糸に掛かって糸が切れてしまうことを防ぐことができる。
【0017】
前記糸弛み取り装置においては、前記制御部は、前記紡績開始時から所定時間経過後、前記抵抗トルクを大きくするように制御することが好ましい。
【0018】
これにより、時間の経過を判断する簡単な制御で、弛み取りローラに糸が巻き取られたと判断し、抵抗トルクを適切に調節することができる。
【0019】
前記糸弛み取り装置においては、前記制御部は、糸継の時の紡績開始時に、前記糸掛け部材に糸が掛かる前に前記抵抗トルクを小さくするように制御することが好ましい。
【0020】
これにより、糸切れが発生し易い糸継時に過度な張力が掛からないよう、抵抗トルクを適切に制御することができる。
【0021】
前記糸弛み取り装置においては、前記制御部は、糸のトラバースに連動して前記抵抗トルクを制御することが好ましい。
【0022】
これにより、トラバース位置に応じた適切な張力を糸に加えることができ、好適な形状のパッケージを形成できる。
【0023】
前記糸弛み取り装置においては、前記制御部は、コーン巻のパッケージを形成する場合に、糸がパッケージの大径側に巻かれる時は前記抵抗トルクを弱くし、糸がパッケージの小径側に巻かれる時は前記抵抗トルクを強くするように制御することが好ましい。
【0024】
これにより、適切な張力を糸に加えることができるので、高品質のコーン巻パッケージを形成することができる。
【0025】
本発明の第2の観点によれば、前記糸弛み取り装置を備えた紡績機が提供される。
【0026】
これにより、品質の優れたパッケージを生成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明の一実施形態に係る精紡機(紡績機)について、図面を参照して説明する。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、紡績時での糸の走行方向における上流及び下流を意味するものとする。図1は本発明の糸弛み取り装置を適用した紡績機の全体的な構成を示した正面図、図2は紡績機の縦断側面図である。
【0028】
図1に示す紡績機としての精紡機1は、並設された多数の錘(紡績ユニット2)を備えている。この精紡機1は、糸継台車3と、ブロアボックス4と、原動機ボックス5と、を備えている。前記糸継台車3は、紡績ユニット2が並べられる方向に走行可能な構成となっている。
【0029】
図1に示すように、各紡績ユニット2は、上流から下流へ向かって順に、ドラフト装置7と、紡績装置9と、糸送り装置11と、糸弛み取り装置12と、巻取装置13と、を主要な構成として備えている。ドラフト装置7は精紡機1の筐体6の上端近傍に設けられており、このドラフト装置7から送られてくる繊維束8を紡績装置9で紡績するように構成している。紡績装置9から排出された紡績糸10は糸送り装置11で送られ、後述のヤーンクリアラ52を通過した後、巻取装置13によって巻き取られ、これによりパッケージ45が形成される。
【0030】
ドラフト装置7は、スライバ15を延伸して繊維束8にするためのものである。このドラフト装置7は図2に示すように、バックローラ16、サードローラ17、エプロンベルト18を装架したミドルローラ19、及びフロントローラ20の4つのローラを備えている。
【0031】
紡績装置9の詳細な構成は図示しないが、本実施形態では、旋回気流を利用して繊維束8から紡績糸10を生成する空気式のものを採用している。
【0032】
前記糸送り装置11は、精紡機1の筐体6に支持されたデリベリローラ39と、デリベリローラ39に接触して設けられたニップローラ40と、を備える。この構成で、紡績装置9から排出された紡績糸10をデリベリローラ39とニップローラ40との間に挟んだ状態で、前記デリベリローラ39を図示しない電動モータで回転駆動することにより、紡績糸10を巻取装置13側へ送るようになっている。
【0033】
巻取装置13は、支軸70まわりに揺動可能に支持されたクレードルアーム71を備え、このクレードルアーム71は、紡績糸10を巻回するボビンを回転可能に支持できるようになっている。また巻取装置13は、巻取ドラム72と、トラバース装置75と、を備えている。前記巻取ドラム72は、前記ボビンやそれに紡績糸10を巻回して形成されるパッケージ45の外周面に接触して駆動できるように構成されている。トラバース装置75は、紡績糸10に係合可能なトラバースガイド76を備えている。このトラバースガイド76は、複数の紡績ユニット2に跨って水平に配置されるトラバースロッド77に固定されている。この構成で、トラバースロッド77を図略の駆動手段によって往復動させながら巻取ドラム72を図略の電動モータによって駆動することで、巻取ドラム72に接触するパッケージ45を回転させ、紡績糸10を綾振りしつつ巻き取るようになっている。
【0034】
精紡機1の筐体6の前面側であって前記糸送り装置11よりも若干下流側の位置には、ヤーンクリアラ52が設けられている。そして、紡績装置9で紡出された紡績糸10は、巻取装置13で巻き取られる前に前記ヤーンクリアラ52を通過するようになっている。ヤーンクリアラ52は走行する紡績糸10の太さ及び速度を監視し、紡績糸10の糸欠点を検出した場合に、糸欠点検出信号をユニットコントローラ73へ送信するようになっている。
【0035】
前記ユニットコントローラ73は、上記糸欠点検出信号を受信すると、直ちにカッタ57で糸を切断し、更にドラフト装置7や紡績装置9等を停止し、糸継台車3に当該紡績ユニット2の前まで走行させる。その後、紡績装置9等を再び駆動し、上記糸継台車3に糸継ぎを行わせて紡績及び巻取りを再開させるようになっている。
【0036】
糸継台車3は、図1及び図2に示すように、スプライサ(糸継装置)43と、サクションパイプ44と、サクションマウス46と、を備えている。糸継台車3は、精紡機1の筐体6に設けられたレール41上を走行するように設けられている。この構成で、ある紡績ユニット2で糸切れや糸切断が発生すると、糸継台車3は当該紡績ユニット2まで走行し、停止するように構成されている。サクションパイプ44は、軸を中心に上下方向に回動しながら、紡績装置9から排出される糸端を吸い込みつつ捕捉してスプライサ43へ案内する。サクションマウス46は、軸を中心に上下方向に回動しながら、前記巻取装置13に回転自在に支持されたパッケージ45から糸端を吸引しつつ捕捉してスプライサ43へ案内する。スプライサ43は、案内された糸端同士の糸継ぎを行う。
【0037】
複数の紡績ユニット2のそれぞれに設けられる糸弛み取り装置12は、紡績装置9と巻取装置13との間(紡績装置9とスプライサ43との間)の紡績糸10の弛みを除去し、適切な張力を付与できるように構成されている。
【0038】
具体的には、前記糸弛み取り装置12は、弛み取りローラ21と、糸掛け部材22と、上流側ガイド23と、エアシリンダ24と、電動モータ(駆動源)25と、下流側ガイド26と、励磁コイル35と、を備えている。弛み取りローラ21は電動モータ25により回転駆動されて、紡績糸10をその外周に巻き付けることにより貯溜できるように構成されている。糸掛け部材22は前記弛み取りローラ21と同心して配置されるとともに、条件に応じて当該弛み取りローラ21と一体的に又は独立して回転するように構成されている。上流側ガイド23は弛み取りローラ21のやや上流側に配置されるとともに、前記エアシリンダ24によって進出位置及び退避位置との間で移動可能に構成されている。下流側ガイド26は、前記弛み取りローラ21の下流側に設けられている。
【0039】
また、前記糸弛み取り装置12は糸弛み取り装置制御部(以下、単に制御部)74を備えており、この制御部74によって、励磁コイル35に印加される電圧、前記エアシリンダ24の伸縮、及び電動モータ25の回転等を制御している。
【0040】
そして、前記上流側ガイド23が進出位置にあるときは、紡績糸10が糸掛け部材22と係合することのないように、その糸道が上流側ガイド23によって保持される。一方、上流側ガイド23が退避位置にあるときは、紡績糸10が糸掛け部材22と係合して弛み取りローラ21に巻き取られる位置まで、糸道を移動させるように構成されている。
【0041】
なお、上記弛み取りローラ21、上流側ガイド23、エアシリンダ24、電動モータ25、下流側ガイド26、励磁コイル35等は、ブラケット27等の固定部材を介して紡績ユニット2に支持されている。
【0042】
図3に前記糸弛み取り装置12の部分断面斜視図を示す。また、図4は当該糸弛み取り装置12の部分縦断面図であり、図5は、図4におけるA−A線断面を矢視方向に見た概略的な部分横断面図である。
【0043】
図3及び図4に示すように、前記弛み取りローラ21は回転系構造体90によって構成されており、この回転系構造体90は、内側磁極部材29と、外側磁極部材32と、弛み取りローラ本体42と、を備えている。内側磁極部材29は、前記電動モータ25の回転軸25aに連結部材を介して連結されている。この内側磁極部材29には非磁性部材31が取付ネジ30により取り付けられ、前記外側磁極部材32は、当該内側磁極部材29に対し前記非磁性部材31を介して連結されている。弛み取りローラ本体42は前記外側磁極部材32に固定されている。これら内側磁極部材29、外側磁極部材32、及び弛み取りローラ本体42は、互いに一体的な状態を維持しながら前記電動モータ25によって回転可能に構成されている。
【0044】
前記弛み取りローラ本体42の外周面42aは、図4に示すように、前記糸掛け部材22を有する側を先端、前記電動モータ25に接続される側を基端とすると、基端から先端に向かって順に、基端側テーパ部42bと、円筒部42cと、先端側テーパ部42dと、を備えている。基端側テーパ部42b及び先端側テーパ部42dは、それぞれ端面側を大径側とする緩やかなテーパ状に構成されている。円筒部42cは、先端側が僅かに細まる形状に構成されるとともに、両側のテーパ部42b,42dに対して段差なく連続する形状になっている。
【0045】
そして糸弛み取り装置12は、前記糸継台車3による糸継作業時に、紡績装置9側からの紡績糸10を、弛み取りローラ本体42の外周面42aに糸掛け部材22によって巻き付けるように構成されている。そして、糸継作業の終了後は、外周面42aに巻き付けられて貯溜していた紡績糸10を、糸掛け部材22によって巻取装置13へ向けて解舒するように構成されている。なお、紡績糸10の貯溜時においては、糸は弛み取りローラ本体42の基端側から巻き付けられる一方、紡績糸10の解舒時においては、糸は弛み取りローラ本体42の先端側から解舒されていく。
【0046】
弛み取りローラ本体42の外周面42aにおいて、基端側テーパ部42bは、供給された紡績糸10を大径部分から小径部分に向かって円滑に移動させて中間の円筒部42cへ到達させることにより、紡績糸10を円筒部42cの表面に整然と巻き付かせるように構成されている。また、先端側テーパ部42dは、解舒の際に、巻き付いている紡績糸10が一度に抜けてしまう輪抜け現象を防止すると同時に、紡績糸10を小径部分から端面側の大径部分へ順送りに巻き戻して、紡績糸10の円滑な引出しを確保する機能を有している。
【0047】
一方、磁界形成手段としての電磁石36は、前記ブラケット27等に対して固定された環状の励磁コイル35を備えている。前記励磁コイル35の内側には内側磁極部材29が配置され、励磁コイル35の外側には外側磁極部材32が配置されている。
【0048】
前記内側磁極部材29は、前記励磁コイル35の内側に対向する対向部分29aと、この対向部分29aから軸方向に延びる内側磁極29bとを備えている。また、前記外側磁極部材32は、前記励磁コイル35の外側に対向する対向部分32aと、この対向部分32aから軸方向に延びる外側磁極32bとを備えている。
【0049】
図4のA−A断面矢視図としての図5に示すように、前記内側磁極29bは、径方向外側に向けて突出された外向き凸条50を備えている。また、前記外側磁極32bは、径方向内側に向けて突出された内向き凸条51を備えている。これら外向き凸条50及び内向き凸条51は、それぞれ複数(本実施形態では8本)形成され、互いに等しい角度間隔をあけて周方向に並べて配置されている。そして、前記外向き凸条50と前記内向き凸条51との間に、磁界形成空間53が形成されている。
【0050】
一方、前記糸掛け部材22は、フライヤー軸33と、フライヤー38と、環状部材37と、を備えている。また、この糸掛け部材22は、前記弛み取りローラ21の回転系構造体90とは独立して回転可能に構成されている。具体的に説明すると、前記フライヤー軸33は、前記内側磁極部材29と同心で配置されるとともに、ベアリング手段34を介して相対的に回転可能に支持されている。フライヤー軸33には磁気ヒステリシス材からなる前記環状部材37が固定されており、この環状部材37は前記磁界形成空間53内に差し込まれている。
【0051】
また、フライヤー軸33の先端部33aには前記フライヤー38が固定されている。このフライヤー38は、前記弛み取りローラ本体42の外周面42aに向かって適宜湾曲する形状に構成されている。これにより、フライヤー38は、前記紡績糸10と係合して(紡績糸10を引っ掛けて)、当該紡績糸10を弛み取りローラ本体42の外周面へ案内することができる。
【0052】
上記の構成において、前記糸弛み取り装置12は以下のように作動する。即ち、前記電磁石36における励磁コイル35が通電されると、内側磁極部材29及び外側磁極部材32が励磁される。これにより前記磁界形成空間53に磁界が発生し、当該磁界に交差するように配置されている環状部材37には、弛み取りローラ21に対する相対位相を保持しようとする力(ヒステリシス損失に基づく抵抗力)が作用する。このように、弛み取りローラ21に備えられた電磁石36と、糸掛け部材22に備えられたヒステリシス材による環状部材37とにより、当該弛み取りローラ21と糸掛け部材22との間に抵抗トルクを発生させることができる。
【0053】
本実施形態では図3及び図4に示すように、回転不能な励磁コイル35に対して内側磁極部材29及び外側磁極部材32を配置し、これらを弛み取りローラ21とともに一体的に回転させる。この状態で励磁コイル35に通電すると、磁界が弛み取りローラ21とともに回転することになる。この磁界の内部に前記環状部材37が配置されているので、糸掛け部材22の弛み取りローラ21に対する相対回転に抗するトルク(抵抗トルク)が得られる。
【0054】
前記抵抗トルクは磁界の大きさによって変化するので、励磁コイル35に与える電圧や電流を調整することで、任意の抵抗トルクを得ることができる。また、紡績中(糸巻取中)であっても、励磁コイル35に印加する電圧等を変化させることで抵抗トルクを適宜変更することができる。
【0055】
次に、上記の構成の精紡機1の運転について以下に説明する。精紡機1の各紡績ユニット2は、繊維束8をドラフト装置7で紡績装置9へ送り込む。そして、紡績装置9において紡績され生成された紡績糸10は、糸送り装置11で下流側へ送給され、カッタ57、ヤーンクリアラ52を通過し、糸弛み取り装置12を経由して、最終的には巻取装置13に送られてパッケージ45として巻き取られる。
【0056】
そして、何れかの紡績ユニット2のヤーンクリアラ52が紡績糸10の欠陥(糸欠点)を検出すると、当該紡績ユニット2のユニットコントローラ73は、カッタ57で紡績糸10を切断し、それとほぼ同時に、ドラフト装置7のバックローラ16とサードローラ17の回転を停止させる。繊維束8は、停止したサードローラ17と回転を継続中のミドルローラ19との間で引きちぎられるように切断され、切断箇所より下流の部分の紡績糸10は図示しないサクション手段によって吸引除去される。
【0057】
そして、紡績ユニット2のユニットコントローラ73は、糸継要求信号を糸継台車3に送信し、糸継台車3は当該紡績ユニット2に対面する位置まで移動して停止する。するとユニットコントローラ73は、適宜のタイミングで制御部74に信号を送り、糸弛み取り装置12の弛み取りローラ21の回転を開始させる。また、これと同時に、糸弛み取り装置12の上流側ガイド23をエアシリンダ24によって進出させ、次に紡績される紡績糸10が必要時以外に糸弛み取り装置12の糸掛け部材22と係合することのないように糸道を保持する。
【0058】
このとき、前記制御部74は、糸弛み取り装置12の励磁コイル35に与える電圧を所定の値に変更し、糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクが十分小さくなるように制御する。即ち、前記糸弛み取り装置12のフライヤー38が紡績糸10をキャッチして係合する瞬間は通常よりも大きな張力が掛かり、糸切れの原因となり易い。この点、本実施形態では、フライヤー38と紡績糸10が係合する前に予め前記糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクを小さくするように制御する。従って、糸切れを効果的に防止でき、稼動効率を向上させることができる。
【0059】
続いて、糸継台車3のサクションパイプ44が上方へ回動されると、それとほぼ同期してドラフト装置7及び紡績装置9の駆動を開始し、紡績装置9から紡出される紡績糸10が上記サクションパイプ44で吸引捕捉されるようにする。また同時に巻取装置13側では、糸継台車3のサクションマウス46が下方へ回動し、パッケージ45に巻き付いている糸端を吸引して捕捉する。そして、サクションパイプ44とサクションマウス46は、吸引されたそれぞれの糸端をスプライサ43へ案内して糸継ぎを行う。
【0060】
そして、このスプライサ43での糸継作業が開始される直前に、糸弛み取り装置12においてエアシリンダ24が縮退し、上流側ガイド23を退避位置に移動させる。すると、紡績糸10の糸道が、フライヤー38の回転軌跡に重なるように変更される。この結果、紡績糸10はフライヤー38に係合し、当該フライヤー38の回転によって弛み取りローラ21の外周面42aに巻き付けられる。
【0061】
即ち、スプライサ43での糸継作業の間も紡績装置9からの紡績糸10の紡出は継続しているのであり、このままではスプライサ43の上流側で紡績糸10が大量に滞留してしまう。しかしながら、本実施形態の精紡機1では、糸弛み取り装置12が、スプライサ43での糸継作業の間に弛み取りローラ21に紡績糸10を巻き付かせることで、紡績糸10の弛みや滞留を防止する。この結果、円滑な糸継作業及び紡績再開作業を実現することができる。
【0062】
また、このときに糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクは、前述したように、糸切れを起こさないよう十分に小さく設定されている。このため、フライヤー38が紡績糸10と係合する瞬間に過大な張力が掛かることが無いため、糸切れを引き起こさずに糸を弛み取りローラ21に巻き取ることができる。
【0063】
次に、前述の紡績装置9の駆動再開時から所定時間経過後、制御部74は、糸弛み取り装置12の励磁コイル35に与える電圧を所定の値に変更し、糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクが適切な大きさになるように制御する。
【0064】
即ち、紡績装置9の駆動再開時に糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクを小さくしたのはフライヤー38が紡績糸10に係合する瞬間の衝撃を和らげるためであり、弛み取りローラ21に糸が巻き付き始めた後は、適切な糸張力を加えるために抵抗トルクを復帰させる必要がある。本実施形態においては糸の巻付きを検知する手段は備えていないが、紡績開始時から所定の時間経過した場合に弛み取りローラ21へ糸が巻き付き始めたと判断して、糸に適切な張力を加える。この一連の抵抗トルク制御により、糸切れを起こしにくい糸弛み取り装置12を実現できる。
【0065】
次に、図6を参照して以上の動作タイミングについて説明する。図6は紡績開始時における糸弛み取り装置の動作タイミングチャートである。
【0066】
図6に示すt1のタイミングにおいて、ある紡績ユニット2のヤーンクリアラ52が糸欠陥を検出し、この結果、紡績糸10がカッタ57により切断されたとする。すると、ユニットコントローラ73は、当該紡績装置9における紡出をいったん停止させる。なお、図示しないが、ユニットコントローラ73は巻取装置13にも制御信号を送り、パッケージ45の回転駆動を直ちに停止させる。
【0067】
更に、ユニットコントローラ73は直ちに制御部74へ信号を送り、糸弛み取り装置12の電動モータ25を停止させる。この結果、弛み取りローラ21及びフライヤー38の回転は停止される。またこれと同時に、制御部74は、糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクがゼロになるように電磁石36を制御する。これにより省エネルギーを実現することができる。
【0068】
次に、ユニットコントローラ73は糸継台車3に所定の信号を送信し、糸切断が発生した紡績ユニット2まで糸継台車3を走行させ、その後、スプライサ43による糸継作業を開始させる。今回の説明では、t2のタイミングでスプライサ43による糸継作業が開始されたとする。ユニットコントローラ73は、糸継作業の開始とほぼ同時のタイミング(t2)で糸弛み取り装置制御部74へ信号を送る。制御部74は、糸が切れないよう糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクを小さくするように前記電磁石36を制御しながら、弛み取りローラ21の回転を開始する。
【0069】
ユニットコントローラ73は、スプライサ43が糸継動作を始めて間もないタイミング(t3のタイミング)で、紡績装置9からの紡績糸10の紡出を再開するように制御する。糸継台車3は紡出された紡績糸10をサクションパイプ44によって補捉し、t4のタイミングで紡績糸10をスプライサ43に案内する。
【0070】
紡績糸10がサクションパイプ44からスプライサ43に受け渡されるのとほぼ同時のタイミング(t5のタイミング)で、エアシリンダ24が縮退される。この結果、フライヤー38と紡績糸10が係合し、弛み取りローラ21への糸の巻取りが開始される。そして、ユニットコントローラ73は制御部74に信号を送り、前述の紡績開始タイミング(t3)から所定時間が経過したt6のタイミングで、フライヤー38の抵抗トルクを通常の値に戻すように制御する。フライヤー38が糸をキャッチしてから抵抗トルクが回復するまでの時間(図6に示す時間TM1)は短い方が好ましい。
【0071】
また、前述したようにフライヤー38及びフライヤー軸33は、弛み取りローラ21とは独立に回転可能であるが、前述の電磁石36及び環状部材37からなる機構により、所定の大きさ以上の負荷が作用しない限り、フライヤー38は弛み取りローラ21と一体的に回転する。前述の糸継作業時は、紡績糸10は下流側が止まっており、フライヤー38に加わる負荷は小さいので、フライヤー38は弛み取りローラ21と一体回転して、弛み取りローラ21の外周面42aに紡績糸10を巻き付けることになる。
【0072】
続いて、スプライサ43による糸継作業が終了した後は、巻取装置13においてパッケージ45を巻取ドラム72によって回転させ、紡績糸10の巻取りを再開する。
【0073】
上述したように、紡績装置9から紡出された紡績糸10は、スプライサ43による糸継作業の開始時から巻取りの再開までの間は、回転を継続している弛み取りローラ21の外周面42aに巻き取られる。しかし、巻取装置13による巻取作業が再開されると、紡績糸10に適宜の張力を付与するように糸送り装置11の送出速度と巻取装置13での巻取速度の比が設定されているので、弛み取りローラ21に巻き付く糸速度よりも、弛み取りローラ21から引き出される糸速度の方が大きい。従って、糸弛み取り装置12のフライヤー38は、巻取方向に回転を継続する弛み取りローラ21とは独立して回転するようになり、弛み取りローラ21に貯溜されている紡績糸10が次第に解舒されてゆく。
【0074】
この弛み取りローラ21の解舒の際、前記フライヤー38は、紡績糸10の輪抜けを防止して、弛み取りローラ21から紡績糸10が平均的に巻き出されるように案内するとともに、紡績糸10と接触することにより適度の抵抗を付与して糸張力を適正化し、パッケージ45に糸が好適に巻き取られるようにしている。
【0075】
即ち、本実施形態のフライヤー38は、スプライサ43によるスプライシングの直前に紡績糸10を弛み取りローラ21へ導入する糸掛け機能と、弛み取りローラ21に巻き付いた紡績糸10を解舒するにあたって所定の解舒張力を付与する機能を有している。
【0076】
以上のように、本実施形態の糸弛み取り装置12は糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクを適宜制御して、糸切れを起こすことなく弛み取りローラ21に糸を巻き付けることが可能である。ただし本実施形態では、前記糸弛み取り装置12を、より積極的に、糸に掛かる張力を制御する装置としても活用している。言い換えれば、糸継時以外においても糸張力を刻々と変化させる制御を行うことで、パッケージ品質の一層の向上を実現している。以下において、本実施形態における糸弛み取り装置による糸張力の制御について説明する。
【0077】
即ち、本実施形態では、制御部74は、パッケージ45の糸の巻径に応じて糸弛み取り装置12の励磁コイル35に与える電圧を適宜変更し、糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクが最適になるように制御している。
【0078】
即ち、糸の巻径によって最適な糸張力は異なり、最適なパッケージを形成するためには常にこれを制御することが好ましいのである。例えば、糸テンションの制御を行なわずに巻き続けると、内径側は緩く外径側はキツく巻かれてしまう結果、内径側の糸が外径側の糸に圧迫されるようにしてパッケージ端面からはみ出してしまう(バルジ巻)。
【0079】
これを防ぐため、本実施形態では以下のように構成されている。まず、前記制御部74は、紡績作業中にヤーンクリアラ52からの糸速度信号を監視するとともに、糸巻取経過時間を測定し、パッケージ45に巻き取られた糸長を前記糸速度と前記経過時間から概算する。そして、得られた糸長からパッケージ45の巻径を計算し、巻径に応じた所定の抵抗トルクを糸掛け部材22に付加するように制御する。具体的には、糸の巻始めにおける前記抵抗トルクを、糸巻径が大きくなったときよりも小さくするように制御を行う。
【0080】
これによりバルジ巻を防止でき、最適な形状のパッケージを形成できる。
【0081】
また本実施形態では、前記制御部74は、糸のトラバース位置に連動して糸弛み取り装置12の励磁コイル35に与える電圧を適宜変更し、糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクが最適になるように制御することもできる。
【0082】
即ち、例えばパッケージ形状がコーン巻きの場合、トラバース位置による糸のテンション制御を行わないと、小径側は緩く大径側はキツく巻かれてしまうため、適切なパッケージを形成することができない。
【0083】
これを解決するために、以下のように構成することが考えられる。即ち、前記制御部74は、図示しないトラバース位置検出手段からの信号に基づいて、所定の抵抗トルクを糸掛け部材22に付加するように制御する。このトラバース位置検出手段としては、例えば、前記トラバースロッド77の往復動ストロークの両端に配置されたセンサを使用することができる。制御部74はこのセンサからの信号に基づいてトラバース位置を判断し、トラバース位置に応じた所定の抵抗トルクを糸掛け部材22に付加するように制御する。具体的には、例えばコーン巻きの場合、小径側にトラバースした時は抵抗トルクを大きくし、大径側にトラバースした時は抵抗トルクを小さくするように制御を行う。
【0084】
これにより、トラバースによる糸張力の変動を糸弛み取り装置で吸収できるため、品質の高いパッケージを形成できる。
【0085】
以上に示したように、本実施形態の糸弛み取り装置12は、電動モータ25と、弛み取りローラ21と、糸掛け部材22と、電磁石36と、制御部74と、を備える。弛み取りローラ21は、前記電動モータ25によって回転駆動される。糸掛け部材22は、前記弛み取りローラ21に対して同心で相対回転自在に取り付けられる。電磁石36は、前記糸掛け部材22に作用させる磁界を生成する。制御部74は、前記糸掛け部材22の前記弛み取りローラ21に対する抵抗トルクを前記磁界によって発生させ、前記電磁石36への入力制御によって前記抵抗トルクを制御する。前記制御部74は、前記抵抗トルクを、精紡機1の稼動時に制御している。
【0086】
これにより、精紡機1の紡績時においても前記抵抗トルクを変更できるので、適切な張力を糸に加えるように制御することができる。また、抵抗トルクをリアルタイムに制御できるため、紡績の状態に応じて最適な糸張力を加えるように制御することができる。
【0087】
また、本実施形態の前記制御部74は、前記抵抗トルクを糸の巻径に応じて制御している。
【0088】
これにより、糸巻径に応じて適切に糸張力を変更することができ、パッケージ45の品質を高めることができる。
【0089】
また、本実施形態の前記制御部74は、前記糸の巻径が小さいときは巻径が大きいときよりも前記抵抗トルクを大きくするように制御している。
【0090】
これにより、バルジ巻などの不良パッケージの発生を防ぐことができ、パッケージ45の品質を更に向上させることができる。
【0091】
また、本実施形態の前記制御部74は、精紡機1の紡績開始時において、前記糸掛け部材22に糸が掛かる前に前記抵抗トルクを小さくするように制御している。
【0092】
これにより、フライヤー38が紡績糸10と係合する瞬間に過大な張力が糸に加わって糸切れの原因となることを防ぐことができる。
【0093】
また、本実施形態の前記制御部74は、前記紡績開始時(t3)から所定時間経過後のタイミング(t6)で、前記抵抗トルクを大きくするように制御している。
【0094】
これにより、糸が弛み取りローラ21に巻き取られたことを簡単な制御により判断して、抵抗トルクを適切な値に復帰させることができる。
【0095】
また、本実施形態において、前記制御部74は、糸継の時の紡績開始時に、前記糸掛け部材22に糸が掛かる前に前記抵抗トルクを小さくするように制御している。
【0096】
これにより、糸切れが発生し易い糸継時に過度な張力が掛からないよう、抵抗トルクを適切に制御することができる。
【0097】
また、本実施形態の前記制御部74は、糸のトラバースに連動して前記抵抗トルクを制御することも可能に構成されている。
【0098】
これにより、糸のトラバースによるテンション変動を糸弛み取り装置12によって吸収し、トラバース位置に応じた適切な張力を糸に加えることができる。従って、好適な品質のパッケージ45を形成できる。
【0099】
また、本実施形態において、前記制御部74は、コーン巻のパッケージを形成する場合に、糸がパッケージの大径側に巻かれる時は前記抵抗トルクを弱くし、糸がパッケージの小径側に巻かれる時は前記抵抗トルクを強くするように制御することができる。
【0100】
これにより、適切な張力を糸に加えることができ、好適な品質のコーン巻パッケージを形成できる。
【0101】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0102】
上記実施形態では、糸継時において、図6のt1のタイミングで糸掛け部材22に掛かる抵抗トルクをゼロになるように制御している。ただし、糸継時の糸切れを防止するためにはt2のタイミングで所定の抵抗トルクに変更すれば十分であり、t1のタイミングでは、抵抗トルクをどのような値としても良い。例えば、図6に二点鎖線で示すように、t2のタイミングまでは抵抗トルクの変更を行わない構成とすることもできる。この場合、抵抗トルクの制御が簡単になる。
【0103】
制御部74は、糸弛み取り装置12に内蔵されても良いし、または紡績ユニット2側に設けても良い。後者の場合は、制御部74をユニットコントローラ73の機能の一部として構成しても良い。
【0104】
糸巻径の検出は、糸速度と経過時間から計算する構成に代えて、紡績ユニット2に備えられた専用の巻径センサにより検出する構成に変更することができる。
【0105】
抵抗トルクを復帰させるタイミングは、紡績開始の時点から所定時間経過後であっても良いし、前記上流側ガイド23が退避位置に移動して、紡績糸10がフライヤー38に係合可能になった時点から所定時間経過後であっても良い。
【0106】
コーン巻以外の場合であっても、トラバース位置に応じた抵抗トルク制御によってパッケージ品質を向上させることができる。例えばチーズ巻のパッケージの場合は、ストローク端部に向けてトラバースされるときは、中央にトラバースされるときよりも糸張力が増大する。そのため、トラバース位置が両端のときは抵抗トルクを小さくし、中央のときは大きくするような制御を行うことにより、巻取テンションが均一なパッケージを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の糸弛み取り装置を適用した精紡機の全体的な構成を示した正面図。
【図2】精紡機の縦断面図。
【図3】本発明の一実施形態に係る糸弛み取り装置の部分断面斜視図。
【図4】糸弛み取り装置の部分縦断面図。
【図5】図4におけるA−A断面矢視図。
【図6】糸継動作と糸弛み取り装置の動作の関係を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
【0108】
1 精紡機(紡績機、繊維機械)
2 紡績ユニット
12 糸弛み取り装置
21 弛み取りローラ
22 糸掛け部材
25 電動モータ(駆動源)
29 内側磁極部材
32 外側磁極部材
35 励磁コイル
36 電磁石
37 ヒステリシス材(環状部材)
38 フライヤー
74 糸弛み取り装置制御部(制御部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績機に備えられる糸弛み取り装置において、
駆動源と、
前記駆動源によって回転駆動される弛み取りローラと、
前記弛み取りローラに対して同心で相対回転自在に取り付けられる糸掛け部材と、
前記糸掛け部材に作用させる磁界を生成する電磁石と、
前記糸掛け部材の前記弛み取りローラに対する相対回転に抗する抵抗トルクを前記磁界によって発生させ、前記電磁石への入力制御によって前記抵抗トルクを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記抵抗トルクを紡績機の稼動時に制御可能であることを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載の糸弛み取り装置であって、
前記制御部は、前記抵抗トルクを糸の巻径に応じて制御することを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項3】
請求項2に記載の糸弛み取り装置であって、
前記制御部は、前記糸の巻径が小さいときは前記糸の巻径が大きいときよりも前記抵抗トルクを大きくするように制御することを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の糸弛み取り装置であって、
前記制御部は、前記紡績機の紡績開始時において、前記糸掛け部材に糸が掛かる前に前記抵抗トルクを小さくするように制御することを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項5】
請求項4に記載の糸弛み取り装置であって、
前記制御部は、前記紡績開始時から所定時間経過後、前記抵抗トルクを大きくするように制御することを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の糸弛み取り装置であって、
前記制御部は、糸継の時の紡績開始時に、前記糸掛け部材に糸が掛かる前に前記抵抗トルクを小さくするように制御することを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の糸弛み取り装置であって、
前記制御部は、糸のトラバースに連動して前記抵抗トルクを制御することを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項8】
請求項7に記載の糸弛み取り装置であって、
前記制御部は、コーン巻のパッケージを形成する場合に、
糸がパッケージの大径側に巻かれる時は前記抵抗トルクを弱くし、
糸がパッケージの小径側に巻かれる時は前記抵抗トルクを強くするように制御することを特徴とする糸弛み取り装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の糸弛み取り装置を備える紡績機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−155779(P2009−155779A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337974(P2007−337974)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】