説明

組電池及びこれを装備する電動車両

【課題】電池セルを熱収縮チューブで被覆することなく、セパレータで理想的な状態で絶縁して積層状態に固定する。隣接する電池セルの結露水による短絡を有効に防止する。
【解決手段】組電池は、複数の電池セル1を絶縁材のセパレータ2を介して積層している。セパレータ2は、隣接する電池セル1の間に挟着されて隣接する電池セル1を絶縁状態に積層する絶縁プレート部21の外周部に、電池セル1の底面1Aと、両側側面1Bと、上面1Cの外側に配置される外周壁22を設けて、絶縁プレート部21と外周壁22の内側に、電池セル1を定位置にセットする箱形凹部23を設けている。さらに、電池セル1の底面1Aに配置している底外周壁22Aは、下方に突出する凸部24を有すると共に、電池セル1の厚さ(t)以上の幅(W)を有している。組電池は、電池セル1をセパレータ2の箱形凹部23に配置して、セパレータ2の定位置に連結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド自動車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用等に使用される大電流用の組電及びこれを装備する電動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
モータで走行する電気自動車、あるいはモータとエンジンの両方で走行するハイブリッド自動車等の電動車両は、多数の電池セルを備える組電池を電源として搭載している。この組電池は、モータで自動車を走行させるための出力を得るために、図18と図19に示すように、多数の電池セル81を積層して接続し、出力を大きくしている。多数の電池セル81を備える組電池は、角形の電池セル81を積層して、外形を小さくしながら出力を大きくできる。
【0003】
積層される電池セルとして使用されるリチウムイオン電池は、金属製の外装缶を正負の電極には接続しないが中間の電位となる。外装缶を電極に接続する電池セルは、外装缶の電位が接続している電極の電位となる。金属製の外装缶を特定の電位とする電池セルを積層して直列に接続すると、互いに隣接する電池セルの外装缶同士の間に電位差が発生する。電位差のある外装缶が電気的に接続されるとショート電流が流れるので、積層される電池セルは互いに絶縁状態で積層する必要がある。このことを実現するために、電池セル81は、図20に示すように、外装缶81Aを絶縁シートである熱収縮チューブ85で被覆すると共に、図19に示すように、電池セル81の間にセパレータ82を挟んで絶縁状態に積層している。
【0004】
電池セル81は、図20に示すように、上部に電極端子83を露出させているので、熱収縮チューブ85は、電池セル81の上部の電極端子83を露出させる状態で電池セル81を被覆する。熱収縮チューブ85は、図20に示すように、底を閉塞する袋状として電池セル81の天面81Bを残して被覆している。具体的には、熱収縮チューブ85は、上端を開口して、下端を閉塞する袋状として、ここに電池セル81を挿入して、電池セル81を被覆する。熱収縮チューブ85は、下端を所定の幅で重ね合わせて、ラップ部分を熱溶着して下端を閉塞している。この袋状の熱収縮チューブ85に、図21に示すように、開口端から電池セル81を挿入し、図22(a)、(b)に示すように熱収縮チューブ85を熱収縮させて、図20に示すように外装缶81Aの表面に密着させる。この構造の熱収縮チューブ85は、外装缶の上面を除く全表面を被覆して絶縁する。
【0005】
以上の構造は、熱収縮チューブ内に電池セルを挿入して熱溶着する作業が極めて煩雑で、製造に手間がかかる。さらに絶縁特性と熱収縮特性に優れた、特定な物性のプラスチックフィルムからなる熱収縮チューブを使用するので製造コストも高くなる。また一方で、この構造は、図20(c)の断面図に示すように電池セル81の底面81Cにおけるラップ溶着部85Xの信頼性が問題となる。例えば、溶着部分にピンホールなどが発生すると、ピンホールから熱収縮チューブの内部に空気が侵入して結露が発生し、さらに、ピンホール部分が水に接触すると、この部分から内部に侵入して、電池セルに腐食などを生じる可能性がある。とくに、組電池は、電池セルを冷却するために、電池セルを積層している電池ブロックに冷却空気を強制送風し、あるいは、電池セルの底面を強制冷却する冷却プレートに熱結合させることから、電池セルに結露が発生することがある。電池セルの結露水は、流れ落ちて底部に溜まり、また底部を熱結合している冷却プレートの表面に結露することから、電池セル底部を被覆する熱収縮チューブのピンホールは、ここから結露水を内部に侵入させる原因となる。
【0006】
さらにまた、電池セルの表面を熱収縮チューブで被覆して、電池セルの間にセパレータを配置する組電池は、隣接するセパレータでもって、熱収縮チューブを重ね合わせて溶着しているラップ溶着部を挟んで損傷させる原因ともなる。ラップ溶着部が損傷されると、ここから水や空気が侵入するのを防止できなくなる。ラップ溶着部の損傷を防止するために、図23に示すように、セパレータ82の底部に、ラップ溶着部85Xを案内する隙間86を設けると、電池セル81の底面をセパレータ82で好ましい絶縁状態に被覆できなくなる弊害がある。電池セルを積層している電池ブロックは、その底面に金属製の冷却プレートやケースの底板が配置されるので、電池セルの底面を充分な強度で絶縁し、また充分な絶縁距離を保持することが大切である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−48996号公報
【特許文献2】特開2008−166191号公報
【特許文献3】特開2009−187781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、電池セルを熱収縮チューブで被覆することなく、セパレータでもって電池セルを保護しながら理想的な状態に絶縁して積層状態に固定でき、かつ電池セルとセパレータとを定位置に連結しながら積層できる組電池とこれを装備する電動車両を提供することにある。
また、本発明の他の大切な目的は、電池セルを熱収縮チューブで被覆することなく、隣接する電池セルの結露水による短絡を有効に防止できる組電池とこれを装備する電動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の組電池は、外装缶11を金属ケースとする複数の電池セル1を絶縁材のセパレータ2、32、42、52を介して積層している。セパレータ2、32、42、52は、隣接する電池セル1の間に挟着されて隣接する電池セル1を絶縁状態に積層する絶縁プレート部21の外周部に、電池セル1の底面1Aと、両側側面1Bと、上面1Cの外側に配置される外周壁22を設けて、絶縁プレート部21と外周壁22の内側に、電池セル1を定位置にセットする箱形凹部23を設けている。さらに、電池セル1の底面1Aに配置している底外周壁22Aは、下方に突出する凸部24を有すると共に、電池セル1の厚さ(t)以上の幅(W)を有している。組電池は、電池セル1をセパレータ2、32、42、52の箱形凹部23に配置して、セパレータ2、32、42、52の定位置に連結している。
【0010】
以上の組電池は、絶縁プレート部の外周に外周壁を設けているセパレータの箱形凹部に電池セルを配置して、セパレータでもって電池セルを保護しながら絶縁して積層できる。したがって、従来のように電池セルを個別に熱収縮チューブ等で被覆して絶縁することなく、セパレータを介して理想的な状態に絶縁して積層状態に固定できる特徴がある。また、以上の組電池は、セパレータの箱形凹部に電池セルをセットして定位置に配置するので、電池セルとセパレータとを定位置に連結しながら積層できる特徴も実現する。さらにまた、セパレータの底外周壁に凸部を設けているので、電池セルを熱収縮チューブで被覆することなく、隣接する電池セルの結露水による短絡を防止できる特徴がある。それは、セパレータの底外周壁に設けている凸部が、箱形凹部に配置している電池セルの底面を浮かせる状態として絶縁するからである。
【0011】
本発明の組電池は、セパレータ2、42が、絶縁プレート部21の外側面1Bに複数の放熱リブ25を設けることができる。
以上の組電池は、放熱リブによって絶縁プレート部の放熱面積を大きくして電池セルを効率よく放熱できる特徴がある。
【0012】
本発明の組電池は、セパレータ2、32、42、52の底外周壁22Aが、電池セル1の底面1Aの全面をカバーすることができる。
以上の組電池は、電池セルの底面の全面を底外周壁でカバーするので、電池セルの底面をより確実に絶縁しながら保護できる特徴がある。
【0013】
本発明の組電池は、セパレータ2、32、42、52が、電池セル1の両側面1Bの外側に位置する両側外周壁22Bで、電池セル1の両側面1Bの全面をカバーすることができる。
以上の組電池は、電池セルの両側面の全面を両側外周壁でカバーするので、電池セルの両側面をより確実に絶縁しながら保護できる特徴がある。
【0014】
本発明の組電池は、電池セル1を、セパレータ2、32、42、52の箱形凹部23の内面に、接着剤17を介して密着させることができる。
以上の組電池は、電池セルとセパレータとを隙間なく密着できるので、電池セルとセパレータとの間の結露を有効に防止できる特徴がある。それは、電池セルとセパレータとの間への空気の侵入を阻止して、空気中の水分の結露を阻止できるからである。
【0015】
本発明の組電池は、セパレータ2、32、42、52の底外周壁22Aで電池セル1の底面1Aの全面をカバーし、かつセパレータ2、32、42、52の両側外周壁22Bで電池セル1の両側面1Bの全面をカバーし、さらに、底外周壁22Aと両側外周壁22Bとの開口部に被覆シート18を接着して、この被覆シート18を、電池セル1の表面に接着させることができる。
以上の組電池は、電池セルの表面を被覆シートで被覆することで、この面の結露を防止できる特徴がある。さらに、この被覆シートに絶縁シートを使用することで、積層する電池セルをより確実に絶縁状態で積層できる特徴も実現する。
【0016】
本発明の組電池は、セパレータ42が、絶縁プレート部21に放熱開口26を設けることができる。
以上の組電池は、絶縁プレート部に放熱開口を設けているので、この放熱開口から電池セルの発熱を放熱することで、電池セルをより効果的に放熱できる特徴がある。
【0017】
本発明の組電池は、セパレータ42の絶縁プレート部21の内面と電池セル1との間に絶縁シート19を接着することができる。
以上の組電池は、放熱開口を絶縁シートで閉塞するので、絶縁シートでもって電池セルを効果的に絶縁しながら、絶縁シートを介して電池セルを放熱させることで、電池セルの放熱もよくできる。
【0018】
本発明の組電池は、セパレータ42、52が、絶縁プレート部21の内面に複数の溝状凹部27を備えることができる。
以上の組電池は、絶縁プレート部の内面に設けた溝状凹部によって、絶縁プレート部の内側の表面積を広くして電池セルを効果的に放熱できる。
【0019】
本発明の組電池は、セパレータ2、32、42、52が、絶縁プレート部21の内面に沿って、絶縁プレート部21よりも優れた熱伝導率の放熱プレート57を備えることができる。
以上の組電池は、絶縁プレート部と電池セルとの間に設けている放熱プレートによって、電池セルをより効率よく放熱できる。とくに、溝状凹部のある絶縁プレート部の内面に沿って放熱プレートを固定することで、放熱プレートの面積を大きくして効率よく放熱できる。
【0020】
本発明の組電池は、セパレータ2、32、42、52が、絶縁プレート部21の内面と電池セル1との間に、絶縁プレート部21よりも優れた熱伝導率の熱伝導ペースト58を充填することができる。
以上の組電池は、熱伝導ペーストによって電池セルをより効率よく放熱できる。
【0021】
本発明の電動車両は、車両を走行させるモータに電力を供給する電源として、上記の組電池を装備することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例にかかる組電池の平面図である。
【図2】図1に示す組電池の側面図である。
【図3】図2に示す組電池の拡大断面図である。
【図4】本発明の他の実施例にかかる組電池の垂直縦断面図である。
【図5】図1に示す組電池のセパレータと電池セルを示す分解斜視図である。
【図6】図5に示すセパレータと電池セルを下側から見た背面斜視図である。
【図7】本発明の他の実施例にかかる組電池の拡大断面図である。
【図8】図7に示す組電池のセパレータと電池セルの斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例にかかる組電池の拡大断面図である。
【図10】図9に示す組電池のセパレータの斜視図である。
【図11】本発明の他の実施例にかかる組電池の拡大断面図である。
【図12】本発明の他の実施例にかかる組電池の拡大断面図である。
【図13】図12に示す組電池のセパレータの斜視図である。
【図14】本発明の他の実施例にかかる組電池の拡大断面図である。
【図15】本発明の他の実施例にかかる組電池の拡大断面図である。
【図16】本発明の一実施例にかかる電動車両であってエンジンとモータで走行するハイブリッドカーを示すブロック図である。
【図17】本発明の他の実施例にかかる電動車両であってモータのみで走行する電気
【図18】従来の組電池の平面図である。
【図19】図18に示す組電池の垂直縦断面図である。
【図20】電池セルを熱収縮チューブで被覆した状態を示す三面図である。
【図21】図20の電池セルを熱収縮チューブで被覆する様子を示す斜視図である。
【図22】図21の状態から熱収縮チューブを熱収縮させる様子を示す斜視図である。
【図23】図19に示す組電池のセパレータの底部に隙間を設けた状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための組電池とこれを装備する電動車両を例示するものであって、本発明は組電池と電動車両を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0024】
図1ないし図4に示す組電池は、主として、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーや、モータのみで走行する電気自動車などの電動車両の電源に最適である。ただし、ハイブリッドカーや電気自動車等の電動車両以外の用途であって、大出力が要求される用途にも使用される。
【0025】
図1ないし図4に示す組電池100、200は、外形を角形とする複数の電池セル1をセパレータ2、32を挟んで積層して電池ブロック10、30としている。電池ブロック10、30の両端面には、エンドプレート3を配置して、一対のエンドプレート3を連結固定具4で固定して、積層しているセパレータ2、32と電池セル1とを所定の圧力で押圧する状態に固定している。エンドプレート3は、電池セル1の外形とほぼ同じ形状と寸法の四角形として、電池ブロック10、30を両端面から挟着して固定している。
【0026】
組電池100は、図1ないし図3に示すように、電池セル1とセパレータ2との間に送風隙間16を設けて、この送風隙間16に冷却気体を強制送風して電池セル1を冷却し、あるいは、図4に示すように、電池セル1を冷却プレート33に熱結合して冷却する。送風隙間16に強制送風して冷却する組電池100は、図1に示すように、送風隙間16に連結する送風ダクト6を対向位置に設けている。この組電池100は、送風ダクト6を介して送風隙間16に冷却気体を強制送風して電池セル1を冷却する。さらに、組電池は、送風ダクト6から送風隙間16に加温気体を強制送風して電池セル1を加温することもできる。冷却プレート33で電池セル1を冷却する組電池200は、図4に示すように、冷却プレート33の内部に冷媒通路34を設け、この冷媒通路34に液化された冷媒を供給し、供給される冷媒を冷媒通路34で気化させて、冷媒の気化熱で強制的に冷却して、電池セル1を冷却する。
【0027】
(電池セル1)
電池セル1は、幅よりも厚さが薄い外形を四角形とする薄型の角形電池で、互いに平行な姿勢として絶縁材のセパレータ2を間に挟んでセパレータ2でもって絶縁状態に積層している。電池セル1は、図5に示すように、上面1Cの両端部に正負の電極端子13を突出させて固定している。電極端子13を突出させる位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、電池セル1を裏返して重ねて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子13を金属板のバスバー(図示せず)で接続し、あるいは直接に接続して、直列に接続できる。電池セル1を直列に接続している組電池100は、出力電圧を高くして出力を大きくできる。ただし、組電池は、電池セルを並列に接続して電流容量を大きくすることもできる。
【0028】
電池セル1はリチウムイオン二次電池である。ただし、電池セル1はリチウムイオン二次電池には特定されず、充電できる全ての電池、たとえばニッケル水素電池なども使用できる。電池セル1は、正負の電極板を積層している電極体を外装缶11に収納して電解液を充填して気密に密閉したものである。外装缶11は、図5と図6に示すように、底を閉塞する四角い筒状に金属板をプレス加工したもので、上方の開口部を金属板の封口板12で気密に閉塞している。外装缶11は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。金属板を深絞り加工している外装缶11は、開口部に向かって内形を大きくするテーパー状としている。深絞り加工の金型を型抜きするためである。したがって、外装缶11は、開口部となる上端の外形を底面の外形よりもわずかに大きくしている。封口板12は、外装缶11と同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。この封口板12は、正負の電極端子13を両端部に、端子ホルダ14を介して固定している。封口板12は、外装缶11の開口部に挿入され、封口板12の外周と外装缶11の内周との境界にレーザービームを照射して、封口板12は外装缶11にレーザー溶接して気密に固定されている。
【0029】
(端子ホルダ14)
端子ホルダ14は、傾斜面を有する三角形状に形成されており、電池セル1の上面1Cで電極端子13の突出部分を除く周囲を絶縁している。この端子ホルダ14は、プラスチックなどの絶縁性部材で構成される。端子ホルダ14の傾斜面には電極端子13を配置しており、電極端子13を傾斜姿勢で突出させた状態で、電池セル1の両端部の定位置に配置している。一方、正負の電極端子13は、内蔵する正負の電極板(図示せず)に接続されている。
【0030】
(セパレータ2)
セパレータ2は、互いに隣接する電池セル1の間に挟着されて、隣接する電池セル1を一定の間隔に保持して絶縁する。このため、セパレータ2は、絶縁材で構成され、隣接する電池セル1の外装缶11を絶縁しながら保護する。このセパレータ2は、プラスチック等の絶縁材を成形して製作される。
【0031】
セパレータ2は、全体を絶縁材のプラスチックで一体的に成形している。このセパレータ2は、隣接する電池セル1の間に挟着されて、隣接する電池セル1を絶縁状態に積層する絶縁プレート部21の外周部に、電池セル1の底面1Aと、両側側面1Bと、上面1Cの外側に配置される外周壁22を設けて、絶縁プレート部21と外周壁22の内側に、電池セル1を定位置にセットする箱形凹部23を設けている。セパレータ2は、箱形凹部23の内形を電池セル1の外形にほぼ等しくして、外周壁22の内側に電池セル1を入れて、電池セル1を定位置に配置している。
【0032】
外周壁22は、電池セル1の底面1Aの外側に配置している底外周壁22Aと、電池セル1の両側面1Bの外側に位置する両側外周壁22Bと、電池セル1の上面1Cの外側に位置する上外周壁22Cとからなる。外周壁22は、電池セル1を箱形凹部23の内部に収納できるように、電池セル1の厚さ(t)以上の幅(W)を有する。このセパレータ2は、外周壁22を接触させる状態で、箱形凹部23の内部に電池セル1を収納して保護できる特徴がある。ただし、外周壁は、必ずしも底外周壁と両側外周壁と上外周壁の全ての幅(W)を電池セルの厚さ(t)以上とする必要はなく、底外周壁のみの幅(W)を電池セルの厚さ(t)以上とし、あるいは底外周壁と両側外周壁を電池セルの厚さ(t)以上として上外周壁の幅(W)を電池セルの厚さ(t)よりも小さくし、あるいはまた、底外周壁と上外周壁の幅(W)を電池セルの厚さ(t)以上として両側外周壁の幅(W)を電池セルの厚さ(t)よりも小さくすることもできる。
【0033】
底外周壁22Aは、その幅(W)を電池セル1の厚さ(t)以上とすることに加えて、図3と図4の断面図に示すように、下方に突出する凸部24を設けている。凸部24は、組電池の下方に配設されるケースの底板8(図3参照)や冷却プレート33(図4参照)等のプレートから電池セル1を離して配置する。凸部24は、高くすることで、下方に配設されるプレートからの距離を大きくして、より好ましい絶縁状態を実現する。したがって、凸部24の高さ(H)は、好ましくは、3mmよりも高く、さらに好ましくは4mmよりも高く、最適には5mmよりも高くする。ただ、凸部が高すぎると組電池の全高が高くなるので、凸部24の高さ(H)は、好ましくは20mmよりも低く、さらに好ましくは15mmよりも低くする。凸部24のある底外周壁22Aは、凸部24でもって下面に配設されるプレートから持ち上げられて離された状態に配置される。このセパレータ2は、電池ブロック10の結露水がプレートに流れ落ちる状態となり、またプレートに結露水が付着し、あるいは他の原因でプレートに水が付着しても、この水から電池セル1を離して、絶縁状態に配置できる。
【0034】
図5と図6のセパレータ2は、底外周壁22Aの先端縁に沿って凸部24を設けているが、凸部は、底外周壁の中間に設けることも、あるいは、底外周壁の絶縁プレート部側の下面に設けることもできる。図のセパレータ2は、底外周壁22Aの長手方向に沿って、その全体に凸部24を設けている。この構造は、凸部24を長くできるので、底外周壁22Aの上に載せる電池セル1の耐荷重を大きくできる。ただ、凸部は、底外周壁を、下方に配設されるプレートから離すために設けるので、必ずしも底外周壁の全長に沿って設ける必要はなく、底外周壁に部分的に設けることもできる。
【0035】
さらに、図5のセパレータ2は、電池セル1の底面1Aの全面をカバーする長さ(L1)の底外周壁22Aを設けている。このセパレータ2は、電池セル1の底面1Aの全面をカバーすることで、熱収縮チューブで被覆されない電池セル1の底面1Aを、より確実に絶縁しながら保護できる特徴を実現する。
【0036】
さらに、図5に示すセパレータ2は、両側外周壁22Bを、電池セル1の両側面1Bの全面をカバーする長さ(L2)としている。このセパレータ2は、両側外周壁22Bで電池セル1の両側面1Bの全面をカバーすることで、電池セル1の両側面1Bをより確実に絶縁しながら保護できる特徴がある。また、セパレータ2は、底外周壁22A及び両側外周壁22Bの幅(W)を電池セル1の厚さ(t)に等しく、あるいはこれより大きくすることで、電池セル1を挟着する状態で、電池セル1の底面1Aの両側縁部の前面をカバーして、理想的な状態で電池セル1を保護し、かつ絶縁状態に配置できる。
【0037】
上外周壁22Cは、電池セル1の上面1Cの両端部をカバーする位置に設けられる。電池セル1は上面1Cに電極端子13や安全弁の吐出口15を設けているので、この領域を上外周壁22Cでカバーしない。図5のセパレータ2は、上外周壁22Cを両側外周壁22Bに連続する形状として、電池セル1の上面1Cの両端部のコーナー部を外周壁22でカバーしている。このセパレータ2は、両側外周壁22Bの上端を上外周壁22Cに直角に連結する形状とし、かつ両側外周壁22Bの下端を底外周壁22Aに直角に連結する形状としている。
【0038】
図3と図6のセパレータ2は、電池セル1の間に挟まれる絶縁プレート部21に、電池セル1を効率よく冷却するために、外側面に複数の放熱リブ25を設けている。図に示すセパレータ2は、絶縁プレート部21の外側面から突出して、電池セル1の幅方向に延びる複数列の放熱リブ25を互いに平行に設けている。このセパレータ2は、複数列の放熱リブ25を設けることで、互いに隣接する放熱リブ25の間に、冷却用の気体を強制送風する送風隙間16を設けている。放熱リブ25は、絶縁プレート部21の放熱面積を大きくして電池セル1を効率よく放熱し、さらに、放熱リブ25の間に冷却空気などの冷却気体を強制送風して、電池セル1をより効率よく放熱する。このように、放熱リブ25を備えるセパレータ2は、放熱リブ25の数を多くすることで、外側面の表面積を広くして放熱面積を大きくできる。また、隣接する放熱リブ25の間隔を広くすることで、冷却用の気体を強制送風する送風隙間16を広くして、効率よく冷却気体を送風できる。したがって、放熱リブ25を備えるセパレータ2は、以上のことを考慮して、外側面に設ける複数の放熱リブ25の個数と間隔を適宜変更する。
【0039】
図3のセパレータ2は、絶縁プレート部21に冷却空気を強制送風する送風隙間16を設けている。送風隙間16のあるセパレータ2は、ここに空気などの冷却用の気体を強制送風して電池セル1を強制冷却する。ただし、セパレータは、必ずしも放熱リブや送風隙間を設ける必要はない。それは、図4に示すように、組電池200の底面を、冷媒などで強制冷却される冷却プレート33に熱結合して強制的に冷却することができるからである。図4に示すセパレータ32は、絶縁プレート部21の外側面に複数の放熱リブを設けることなく、絶縁プレート部21の外側面を平面状として、隣接する電池セル1に対向して積層している。
【0040】
さらに、図3の組電池は、電池セル1をセパレータ2の箱形凹部23の内面に接着剤17を介して密着している。接着剤17は、絶縁プレート部21と電池セル1との間に、さらに、絶縁プレート部21と電池セル1との間に加えて、外周壁22と電池セル1との間にもあって、電池セル1を箱形凹部23の内面に隙間なく密着する。この組電池は、電池セル1とセパレータ2とを隙間なく密着して、この間に空気が侵入しない構造にできる。このため、電池セル1とセパレータ2との間の結露を有効に防止できる。
【0041】
さらに、図7の組電池は、図8に示すように、セパレータ2の底外周壁22Aで電池セル1の底面1Aの全面をカバーすると共に、セパレータ2の両側外周壁22Bで電池セル1の両側面1Bの全面をカバーし、底外周壁22Aと両側外周壁22Bとの開口部に被覆シート18を接着している。さらに、被覆シート18は、電池セル1の表面にも接着されて、電池セル1の表面を被覆シート18で被覆している。この組電池は、被覆シート18でもって、電池セル1の結露を有効に阻止できる。また、被覆シート18を絶縁シートとすることで、積層する電池セル1を、被覆シート18と、セパレータ2の絶縁プレート部21の両方で絶縁して、より確実に絶縁状態に積層する。
【0042】
さらに、図9の組電池は、セパレータ42の絶縁プレート部21に放熱開口26を設けている。図9と図10に示すセパレータ42は、絶縁プレート部21にスリット状の放熱開口26を複数列に開口している。複数列の放熱開口26は、絶縁プレート部21の外側面に突出する複数列の放熱リブ25の間に位置して、互いに平行に開口している。このように、絶縁プレート部21に放部熱開口26を備えるセパレータ42は、この放熱開口26から電池セル1の発熱を効率よく放熱できる。とくに、スリット状の放熱開口26を放熱リブ25の間に位置して開口する構造は、放熱リブ25の間に形成される送風隙間16を通過する冷却気体を細長い放熱開口26に沿って通過させて、電池セル1をより効果的に冷却できる。
【0043】
さらに、図11に示す組電池は、セパレータ42の絶縁プレート部21の内面と電池セル1との間に絶縁シート19を接着している。図のセパレータ42は、絶縁プレート部21の内面に絶縁シート19を接着して、絶縁プレート部21に開口された複数列の放熱開口26を閉塞している。このセパレータ42は、絶縁シート19で放熱開口26を閉塞するので、水や異物等が放熱開口26を通過して箱形凹部23の内部に侵入するのを確実に阻止できる。さらに、絶縁シート19で電池セル1を効果的に絶縁しながら、この絶縁シート19を介して電池セル1を放熱させることで、電池セル1を効率よく放熱できる。さらにまた、電池セル1の外装缶11が放熱開口26から外部に表出するのを防止して、電池セル1の結露を有効に阻止できる。
【0044】
さらに、図12の組電池は、セパレータ52の絶縁プレート部21の内面に溝状凹部27を設けている。図12と図13に示すセパレータ52は、電池セル1の幅方向に延びる複数列の溝状凹部27を互いに平行に設けている。さらに、図に示すセパレータ52は、絶縁プレート部21の内面に溝状凹部27を設けることで、絶縁プレート部21の外側面に、放熱凸部28を形成して設けている。いいかえると、このセパレータ52は、絶縁プレート部21の外側面に複数列の放熱凸部28を平行に設けて、これらの放熱凸部28の内部に溝状凹部27を設けている。このセパレータ52は、図12に示すように、放熱凸部28の内部に溝状凹部27を設けることで、絶縁プレート部21の断面形状を矩形波状としている。このセパレータ52は、放熱凸部28の先端面を隣接する電池セル1に対向させると共に、互いに隣接する放熱凸部28の間に、冷却用の気体を強制送風する送風隙間16を設けている。このセパレータ52は、絶縁プレート部21の内側面の表面積を広くして電池セル1の熱を効率よく絶縁プレート部21に伝導しながら、絶縁プレート部21の外側面に突出する放熱凸部28から外部に放熱して、送風隙間16を通過する冷却気体で効果的に冷却される。放熱凸部28を有するセパレータ52は、放熱凸部28の数を多くすることで、内部に設ける溝状凹部27を多くしながら、外側面の放熱面積を大きくできる。また、隣接する放熱凸部28の間隔を広くすることで、冷却用の気体を強制送風する送風隙間16を広くして、効率よく冷却気体を送風できる。したがって、放熱凸部28を備えるセパレータ52は、以上のことを考慮して、外側面に設ける放熱凸部28の個数と間隔を適宜変更する。
【0045】
さらに、図14の組電池は、絶縁プレート部21の内面に沿って、絶縁プレート部21よりも優れた熱伝導率の放熱プレート57を配設している。この放熱プレート57として、絶縁プレート部21よりも熱伝導に優れたラミネート板または金属板が使用できる。図に示すセパレータ52は、絶縁プレート部21の内面に複数の溝状凹部27を設けているので、放熱プレート57を絶縁プレート部21の内面に沿う形状に折曲加工している。放熱プレート57は、図14に示すように、溝状凹部27に嵌入される凸状折曲部57Aを折曲加工して設けており、全体の形状を矩形波状とすることで放熱プレート57全体の面積を大きくして放熱特性を向上している。放熱プレート57は、凸状折曲部57Aを溝状凹部27に挿入して、広い面積で絶縁プレート部21に面接触させながら、内側面を電池セル1の表面に密着させる状態で、絶縁プレート部21と電池セル1の間に挟着されている。この構造は、放熱プレート57を介して電池セル1の熱を効率よく絶縁プレート部21に伝導して、より効果的に放熱できる。ただ、放熱プレートは、図示しないが、溝状凹部を設けていない絶縁プレート部の内面に沿って配設することもできる。この構造も、絶縁プレート部よりも優れた熱伝導率の放熱プレートを介して、電池セルの熱を効率よく絶縁プレート部に伝導できる。
【0046】
さらに、図15に示す組電池は、セパレータ52の絶縁プレート部21の内面と電池セル1との間に、絶縁プレート部21よりも優れた熱伝導率の熱伝導ペースト58を充填している。図に示すセパレータ52は、絶縁プレート部21の内面に設けた溝状凹部27の内部に熱伝導ペースト58を充填している。この構造は、熱伝導ペースト58によって、電池セル1の熱を効率よく絶縁プレート部21に伝導して、電池セル1をより効率よく放熱できる。さらに、熱伝導ペーストは、溝状凹部の内部に加えて、絶縁プレート部の内面全体に充填して、電池セルの熱をより効率よく絶縁プレート部に伝導することもできる。以上のように、溝状凹部27に熱伝導ペースト58を充填する構造は、溝状凹部27の内部に空気が侵入するのを防止して、溝状凹部27の空気が冷却されることによる結露水の発生を確実に防止できる特徴もある。さらに、熱伝導ペーストは、図示しないが、溝状凹部を設けていない絶縁プレート部の内面と電池セルとの間に充填することもできる。この構造も、絶縁プレート部よりも優れた熱伝導率の熱伝導ペーストを介して、電池セルの熱を効率よく絶縁プレート部に伝導できる。
【0047】
(エンドプレート)
電池セル1をセパレータ2、32の箱形凹部23に収納し、電池セル1が定位置に配置されたセパレータ2、32を複数積層した電池ブロック10、30は、図1、図2、及び図4に示すように、両端にセパレータ2、32を配置する状態で、両端のエンドプレート3で押圧する状態に固定される。エンドプレート3は、アルミニウムやその合金などの金属で製作され、あるいは硬質のプラスチックで製作される。エンドプレート3は、広い面積で電池セル1を挟着するために、その外形を角形の電池セル1と同じ四角形としている。四角形のエンドプレート3は、角形の電池セル1と同じ大きさに、あるいは角形の電池セル1よりもわずかに大きくしている。プラスチック製のエンドプレート3は、直接に電池セル1に積層され、金属製のエンドプレートは、絶縁材を介して電池セルに積層される。
【0048】
エンドプレート3には、連結固定具4の端部が連結される。連結固定具4は、止ネジ5を介してエンドプレート3に連結している。図1、図2、及び図4の連結固定具4は、止ネジ5でエンドプレート3に固定しているが、連結固定具の端部を内側に折曲してエンドプレートに連結し、あるいはまた、端部をかしめてエンドプレートに連結することもできる。
【0049】
(送風ダクト6)
図1の組電池100は、左右の両側に一対の送風ダクト6を設けている。送風ダクト6は、流入ダクト6Aと排出ダクト6Bからなる。流入ダクト6Aと排出ダクト6Bは、互いに反対側に設けられて、冷却気体を流入ダクト6Aから送風隙間16に、送風隙間16から排出ダクト6Bに送風して、電池セル1を冷却する。流入ダクト6Aと排出ダクト6Bには複数の送風隙間16が並列に連結される。したがって、流入ダクト6Aに送風される冷却気体は、複数の送風隙間16に分岐して送風され、流入ダクト6Aから排出ダクト6Bに送風される。図の組電池100は、流入ダクト6Aと排出ダクト6Bを両側に設けているので、送風隙間16を水平方向に伸びるように設けている。冷却気体は、送風隙間16に水平方向に送風されて、電池セル1を冷却する。ただし、組電池は、送風隙間を上下方向に伸びるように設けて、一対の送風ダクトを組電池の上下の対向面に設けることもできる。
【0050】
以上の組電池100を備える電源装置は、図示しないが、電池セル1の温度を検出する複数の温度センサと、この温度センサで検出される電池セル1の温度で、送風ダクト6を介して各々の送風隙間16に分岐して冷却気体を送風する強制送風機7と、温度センサで検出される電池セル1の温度で電池の電流を制御する制御回路とを備える。
【0051】
(強制送風機7)
強制送風機7は、送風ダクト6に連結される。電源装置は、たとえば、流入ダクト6Aに強制送風機7を連結して、強制送風機7から流入ダクト6Aに冷却気体を強制送風する。この電源装置は、強制送風機7→流入ダクト6A→送風隙間16→排出ダクト6Bに冷却気体を送風して、電池セル1を冷却する。ただし、強制送風機は、排出ダクトに連結することもできる。この強制送風機は、排出ダクトから冷却気体を強制的に吸入して排気する。したがって、この電源装置は、冷却気体を、流入ダクト→送風隙間→排出ダクト→強制送風機に送風して、電池セル1を冷却する。送風される冷却気体は空気であるが、空気に代わって窒素や炭酸ガスなどの不活性ガスを送風することもできる。冷却気体を不活性ガスとする電源装置は、冷却気体を循環して、電池セルを冷却する。循環される不活性ガスは、流路の途中に配設している冷却用の熱交換器で冷却されて、流入ダクト→送風隙間→排出ダクト→強制送風機に循環されて、電池セルを冷却する。
【0052】
強制送風機7は、モータで回転されるファン7Aを備え、モータの運転は制御回路に制御される。制御回路は、温度センサの信号で強制送風機7のモータの運転を制御する。制御回路は、温度センサが検出する最高温度が設定温度よりも高くなると、強制送風機7のモータを運転して、送風隙間16に冷却気体を強制送風する。最高温度が設定温度よりも低くなると、モータの運転を停止する。さらに、制御回路は、温度センサの検出温度によって、モータに供給する電力をコントロールして、電池セル1を所定の温度範囲に制御することもできる。たとえば、温度センサの検出温度が高くなるとモータに供給する電力を次第に大きくして、強制送風機7が送風する風量を多くし、検出温度が低くなるとモータの供給電力を小さくして、設定された温度範囲に制御することもできる。
【0053】
(冷却プレート33)
さらに、図4に示す組電池200は、底面に冷却プレート33を設けている。この冷却プレート33は、図に示すように、内部に冷媒通路34を設け、この冷媒通路34に液化された冷媒を供給し、冷媒を冷媒通路34で気化させて、冷媒の気化熱で強制的に冷却して、セパレータ32を介して電池セル1を冷却する。図の組電池200は、セパレータ32の下方に突出する凸部24の下面を冷却プレートの上面に密着させると共に、セパレータ32の底外周壁22の下面と冷却プレート33との間には、熱伝導剤39を充填して、効率よく熱伝導できるようにしている。この熱伝導剤39には、熱伝導ペーストや熱伝導に優れた接着剤または樹脂等が使用できる。
【0054】
冷却プレート33の冷媒通路34には、冷媒を供給する冷却機構35を連結している。この冷却機構35は、気体の状態にある冷媒を加圧するコンプレッサ36と、このコンプレッサ36で加圧された気体を冷却して液化させる凝縮器37と、この凝縮器37で液化された冷媒を冷却プレート33の冷媒通路34に供給する膨張弁38とを備えている。この冷却機構35は、膨張弁38を介して液化された冷媒を冷却プレート33に供給し、供給された冷媒を冷却プレート33の内部で気化させて気化熱で冷却プレート33を冷媒する。気化された冷媒は、コンプレッサ36で加圧されて凝縮器37に供給され、凝縮器37で液化され、膨張弁38を介して冷却プレート33の冷媒通路34に循環されて、冷却プレート33を冷媒する。この組電池200を備える電源装置は、図示しないが、電池セル1の温度を検出する複数の温度センサと、この温度センサで検出される電池セル1の温度で電池の電流と冷却機構35を制御する制御回路とを備える。
【0055】
冷却プレートは、必ずしも冷媒の気化熱で冷却する必要はなく、たとえば、冷却された液体を内部に循環して冷却することができる。また、冷却プレートは、内部に冷却気体の通路を設けて、この通路に冷却された気体を強制送風して冷却することもできる。
【0056】
以上の組電池100、200は、車両に搭載されて車両を走行させるモータに電力を供給する電源装置として使用される。図16に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッドカーに電源装置90を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する組電池を備える電源装置90と、組電池100、200の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置90は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置90の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、たとえば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【0057】
また、図17に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置90を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する組電池100、200を備える電源装置90と、この電源装置90の電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【符号の説明】
【0058】
1…電池セル 1A…底面
1B…側面
1C…上面
2…セパレータ
3…エンドプレート
4…連結固定具
5…止ネジ
6…送風ダクト 6A…流入ダクト
6B…排出ダクト
7…強制送風機 7A…ファン
8…底板
10…電池ブロック
11…外装缶
12…封口板
13…電極端子
14…端子ホルダ
15…吐出口
16…送風隙間
17…接着剤
18…被覆シート
19…絶縁シート
21…絶縁プレート部
22…外周壁 22A…底外周壁
22B…両側外周壁
22C…上外周壁
23…箱形凹部
24…凸部
25…放熱リブ
26…放熱開口
27…溝状凹部
28…放熱凸部
30…電池ブロック
32…セパレータ
33…冷却プレート
34…冷媒通路
35…冷却機構
36…コンプレッサ
37…凝縮器
38…膨張弁
39…熱伝導剤
42…セパレータ
52…セパレータ
57…放熱プレート 57A…凸状折曲部
58…熱伝導ペースト
81…電池セル 81A…外装缶
81B…天面
81C…底面
82…セパレータ
83…電極端子
85…熱収縮チューブ 85X…ラップ溶着部
86…隙間
90…電源装置
93…モータ
94…発電機
95…インバータ
96…エンジン
100…組電池
200…組電池
HV…車両
EV…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装缶を金属ケースとする複数の電池セルを絶縁材のセパレータを介して積層してなる組電池であって、
前記セパレータが、隣接する電池セルの間に挟着されて隣接する電池セルを絶縁状態に積層する絶縁プレート部の外周部に、前記電池セルの底面と、両側側面と、上面の外側に配置される外周壁を設けて、絶縁プレート部と外周壁の内側に、電池セルを定位置にセットする箱形凹部を設けており、
さらに、前記電池セルの底面に配置している底外周壁は、下方に突出する凸部を有すると共に、前記電池セルの厚さ(t)以上の幅(W)を有し、
前記電池セルが、セパレータの箱形凹部に配置されて、セパレータの定位置に連結されてなる組電池。
【請求項2】
前記セパレータが、絶縁プレート部の外側面に複数の放熱リブを設けてなる請求項1に記載される組電池。
【請求項3】
前記セパレータの底外周壁が、前記電池セルの底面の全面をカバーする請求項1又は2に記載される組電池。
【請求項4】
前記セパレータが、前記電池セルの両側面の外側に位置する両側外周壁で、前記電池セルの両側面の全面をカバーする請求項1ないし3のいずれかに記載される組電池。
【請求項5】
前記電池セルが、セパレータの箱形凹部の内面に接着剤を介して密着されてなる請求項1ないし4のいずれかに記載される組電池。
【請求項6】
前記セパレータの底外周壁が前記電池セルの底面の全面をカバーし、
かつ前記セパレータの両側外周壁が、前記電池セルの両側面の全面をカバーし、
さらに、底外周壁と両側外周壁との開口部に被覆シートが接着されて、この被覆シートが、前記電池セルの表面に接着されてなる請求項1ないし5のいずれかに記載される組電池。
【請求項7】
前記セパレータが、絶縁プレート部に放熱開口を設けてなる請求項1ないし6のいずれかに記載される組電池。
【請求項8】
前記セパレータが、絶縁プレート部の内面と電池セルとの間に絶縁シートを接着してなる請求項7に記載される組電池。
【請求項9】
前記セパレータが、絶縁プレート部の内面に複数の溝状凹部を設けている請求項1ないし8のいずれかに記載される組電池。
【請求項10】
前記セパレータが、絶縁プレート部の内面に沿って、絶縁プレート部よりも優れた熱伝導率の放熱プレートを備える請求項1ないし9のいずれかに記載される組電池。
【請求項11】
前記セパレータが、絶縁プレート部の内面と電池セルとの間に、絶縁プレート部よりも優れた熱伝導率の熱伝導ペーストを充填してなる請求項1ないし10のいずれかに記載される組電池。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の組電池を装備する電動車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−119156(P2012−119156A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267741(P2010−267741)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】