説明

経路情報提供装置、経路情報提供方法、経路情報提供プログラムおよび記録媒体

【課題】同一の目的地点に向かって走行する車両群において、すべての車両が目的地点に到達できるようにすること。
【解決手段】経路情報提供装置110は、同一の目的地点に移動する複数の車両120(以下、「車両群130」という)に対して経路情報を提供する。検出部111は、車両群130内の車両120の位置をそれぞれ検出する。検知部112は、車両120が所定時間以上継続して停止していることを検知する。探索部113は、車両群130内の少なくとも1つの車両120が所定時間以上継続して停止していることが検知された場合、車両群130内の車両120をそれぞれ所定の地点に誘導する経路を探索する。送信部114は、探索された経路の情報を車両群130内の車両120にそれぞれ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、同一の目的地点に移動する複数の車両(以下、「車両群」という)に対して経路情報を提供する経路情報提供装置、経路情報提供方法、経路情報提供プログラムおよび記録媒体に関する。ただし、本発明の利用は、上述した経路情報提供装置、経路情報提供方法、経路情報提供プログラムおよび記録媒体に限られない。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車両(グループ)で同一の目的地点に向かう際に、グループ内の車両で目的地点までの経路を共有する技術が知られている(たとえば、下記特許文献1参照)。下記特許文献1では、グループで向かう目的地点が変更された場合、新しい目的地点の情報を携帯電話などの通信手段によってサーバに送信する。サーバは、新しい目的地点への経路を探索し、グループ内の車両に搭載された車載器間に対して新しい目的地点への経路情報を送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−257554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術にあっては、グループ内の車両が何らかの理由で停止している場合であっても、他の車両は気づかずに走行を継続してしまい、停止した車両は他の車両から取り残されてしまうという問題点が一例として挙げられる。また、停止した車両に搭載された車載器に電源が入っていない場合、サーバから送信された経路情報を受信することができないという問題点が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる経路情報提供装置は、同一の目的地点に移動する複数の車両(以下、「車両群」という)に対して経路情報を提供する経路情報提供装置であって、前記車両群内の前記車両の位置をそれぞれ検出する検出手段と、前記車両が所定時間以上継続して停止していることを検知する検知手段と、前記検知手段によって前記車両群内の少なくとも1つの前記車両が所定時間以上継続して停止していることが検知された場合、前記車両群内の前記車両をそれぞれ所定の地点に誘導する経路を探索する探索手段と、前記探索手段によって探索された経路の情報を前記車両群内の前記車両にそれぞれ送信する送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項10の発明にかかる経路情報提供方法は、同一の目的地点に移動する複数の車両(以下、「車両群」という)に対して経路情報を提供する経路情報提供方法であって、前記車両群内のそれぞれの前記車両の位置を検出する検出工程と、前記車両が所定時間以上継続して停止していることを検知する検知工程と、前記検知工程で前記車両群内の少なくとも1つの前記車両が所定時間以上継続して停止していることが検知された場合、前記車両群内のそれぞれの前記車両を所定の地点に誘導する経路を探索する探索工程と、前記探索工程で探索された経路の情報を前記車両群内の前記車両に送信する送信工程と、を含んだことを特徴とする。
【0007】
また、請求項11の発明にかかる経路情報提供プログラムは、請求項10に記載の経路情報提供方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項12の発明にかかる記録媒体は、請求項11に記載の経路情報提供プログラムをコンピュータに読み取り可能な状態で記録したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施の形態にかかる経路情報提供装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図2】経路情報提供装置による経路情報提供方法の手順を示すフローチャートである。
【図3】実施例にかかる経路情報提供システムのシステム構成を示す説明図である。
【図4】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】サーバによる経路情報提供処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る経路情報提供装置、経路情報提供方法、経路情報提供プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる経路情報提供装置の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態にかかる経路情報提供装置110は、検出部111、検知部112、探索部113、送信部114によって構成される。経路情報提供装置110は、同一の目的地点に移動する複数の車両120(以下、「車両群130」という)に対して経路情報を提供する。より詳細には、経路情報提供装置110は、車両群130内の車両120にそれぞれ搭載された経路誘導装置121に対して経路情報を送信する。また、以下の説明において、車両群130は同一の目的地点に向かう同一の経路を走行しているものとする。
【0012】
検出部111は、車両群130内の車両120の位置をそれぞれ検出する。検出部111は、たとえば、それぞれの車両120に搭載された経路誘導装置121によって計測された位置情報を、経路情報提供装置110に送信させることによって、車両120の位置をそれぞれ検出する。
【0013】
検知部112は、車両120が所定時間以上継続して停止していることを検知する。所定時間とは、信号待ちや渋滞などで停止している場合と区別しうる程度に長い時間である。検知部112は、たとえば、検出部111によって検出された車両120の位置が所定時間以上変化しない場合に、車両120が所定時間以上継続して停止しているとして検知する。また、検知部112は、たとえば、車両120に搭載された経路誘導装置110の電源がオフにされ、位置情報が検出できない状態が所定時間以上継続した場合に、車両120が所定時間以上継続して停止しているとして検知する。また、検知部112は、停止車両が走行を再開したことを検知する。検知部112は、たとえば、検出部111によって検出された車両120の位置が変化した場合に、停止車両が走行を再開したことを検知する。
【0014】
探索部113は、検知部112によって車両群130内の少なくとも1つの車両120が所定時間以上継続して停止していることが検知された場合、車両群130内の車両120をそれぞれ所定の地点に誘導する経路を探索する。また、送信部114は、探索部113によって探索された経路の情報を車両群130内の車両120にそれぞれ送信する。
【0015】
探索部113が探索する経路は、それぞれの車両120が車両群130内においてどのような位置にいるかによって異なる。たとえば、探索部113は、車両群130内の車両120のうち停止した車両120(以下、「停止車両」という)より目的地点から遠い車両120(以下、「後続車両」という)については、停止車両の位置に誘導する経路を探索する。これは、停止車両が停止した地点は、車両120が停止可能であり、後続車両は目的地点へ近づけるので、後続車両については停止車両の位置で集合するのが効率的なためである。
【0016】
また、探索部113は、停止車両より目的地点に近い車両120(以下、「前方車両」という)については、前方車両のなかで最も目的地点に近い車両120の近傍において車両群130が停止可能な地点、または、前方車両のそれぞれの近傍において当該車両120が停止可能な地点に誘導する経路を探索する。これは、停止車両より前を走行する前方車両については、停止車両の位置に戻ると目的地点から遠ざかり効率が悪いので、前方車両のなかで最も目的地点に近い車両120、またはそれぞれの前方車両の周辺で停止可能な位置で後続車両が来るまで待機するのが効率的なためである。
【0017】
また、探索部113は、停止車両より目的地点に遠い車両120(以下、「後続車両」という)については、停止車両の位置、または、前方車両のなかで最も目的地点に近い車両120の近傍において車両群130が停止可能な地点や、前方車両のそれぞれの近傍において当該車両120が停止可能な地点に誘導する経路を探索する。
【0018】
さらに、探索部113は、停止車両が目的地点から最も遠い車両120である場合、すなわち最後尾車両である場合、停止車両の近傍に位置する少なくとも1つの車両120(以下、「近傍車両」という)を停止車両の位置に誘導する経路を探索するようにしてもよい。停止車両が最後尾車両ではない場合は、後続車両によって停止車両の様子を伺うことが可能である。しかし、停止車両が最後尾車両の場合は、後続車両がいないため、停止車両の様子を伺うことができない。近傍車両を停止車両の位置に移動させるようにすれば、停止した原因が非常事態でないかを確認することができる。
【0019】
また、探索部113は、停止車両が走行を再開したことが検知された場合、停止車両を車両群130内の他の車両120の位置に誘導する経路を探索する。これにより、停止車両は、車両群の他の車両120と容易に合流して、目的地点への走行を再開することができる。
【0020】
図2は、経路情報提供装置による経路情報提供方法の手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、経路情報提供装置110は、まず、車両群130内のそれぞれの車両120の位置を検出する(ステップS201)。所定時間以上継続して停止している車両120がない場合は(ステップS202:No)、ステップS201に戻り、車両120の位置の検出を継続する。
【0021】
所定時間以上継続して停止している車両120がある場合(ステップS202:Yes)、経路情報提供装置110は、車両群130内のそれぞれの車両120を所定の位置に誘導する経路を探索する(ステップS203)。そして、経路情報提供装置110は、それぞれの車両120に対して、ステップS203で探索した経路の情報を送信して(ステップS204)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0022】
以上説明したように、実施の形態にかかる経路情報提供装置110は、同一の目的地点に移動する車両群130内に、所定時間以上継続して停止している車両120がある場合、それぞれの車両120を所定の位置に誘導する経路を探索し、経路情報をそれぞれの車両120に送信する。これにより、停止車両が走行を再開するまで他の車両120を待機させることができ、停止車両が車両群130から取り残されるのを防止することができる。
【0023】
また、経路情報提供装置110は、停止車両よりも目的地点から遠い位置にいる車両120(後続車両)には、停止車両、または停止車両よりも目的地点に近い位置にいる車両120の位置に誘導する経路を探索し、停止車両よりも目的地点から近い位置にいる車両(前方車両)には、先頭車両、またはそれぞれの前方車両の近傍において停止可能な地点に誘導する経路を探索する。これにより、車両群130の車両120は目的地点から遠ざかることなく、効率的に停止車両が走行を再開するまで待機することができる。
【0024】
また、経路情報提供装置110は、停止車両が最後尾車両の場合は、近傍車両を停止車両の位置に誘導する経路を探索する。これにより、停止車両が停止した原因が、事故や故障などの非常事態でないかを確認することができる。また、経路情報提供装置110は、停止車両が走行を再開した場合は、停止車両を他の車両120の位置に誘導する経路を探索する。これにより、停止車両は、車両群の他の車両120と容易に合流して、目的地点への走行を再開することができる。
【実施例】
【0025】
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、サーバ310を経路情報提供装置110、車両330に搭載されたナビゲーション装置320を経路誘導装置120とする経路情報提供システム300において、本発明を適用した場合の一例について説明する。
【0026】
図3は、実施例にかかる経路情報提供システムのシステム構成を示す説明図である。経路情報提供システム300は、サーバ310、車両330に搭載されたナビゲーション装置320、ネットワーク340によって構成される。サーバ310は、同一の目的地点に移動する複数の車両330(以下、「グループ」という)に対して経路情報を提供する。より詳細には、サーバ310とそれぞれのナビゲーション装置320とはネットワーク340を介して接続されており、サーバ310は、それぞれの車両330に搭載されたナビゲーション装置320に対して、経路情報を送信する。それぞれのナビゲーション装置320は、サーバ310から送信された経路情報を元に、ユーザに対して経路を誘導する誘導情報を出力する。
【0027】
一般に、グループ内の車両330の出発地点はそれぞれが異なるが、サーバ310は、適当な地点においてグループ内の車両330を合流させて、同一の経路を走行して目的地点に向かうように経路を探索する。車両330が経路を走行している間、サーバ310は、ナビゲーション装置320からその位置情報を受信する。そして、たとえば、グループ内の車両330のうち、経路からはずれた車両330がある場合には、サーバ310はリルートをおこなって経路からはずれた車両330に新しい経路情報を送信する。
【0028】
また、後述するように、グループ内の車両330のうち、所定時間以上停止している車両330(以下、「停止車両」という)がある場合、サーバ310は、グループ内の他の車両330を所定の位置に誘導する経路を送信して、停止車両が合流するまで待機させる。これにより、グループ内の車両330がはぐれることなく、同一の工程で目的地点まで到達することができる。
【0029】
(サーバ310およびナビゲーション装置320のハードウェア構成)
つぎに、サーバ310およびナビゲーション装置320のハードウェア構成について説明する。サーバ310のハードウェア構成は、ナビゲーション装置320のハードウェア構成の一部と重複するため、はじめにナビゲーション装置320のハードウェア構成について説明する。
【0030】
図4は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図4において、ナビゲーション装置320は、CPU401と、ROM402と、RAM403と、磁気ディスクドライブ404と、磁気ディスク405と、光ディスクドライブ406と、光ディスク407と、音声I/F(インターフェース)408と、マイク409と、スピーカ410と、入力デバイス411と、映像I/F412と、ディスプレイ413と、通信I/F414と、GPSユニット415と、各種センサ416と、カメラ417と、を備えている。各構成部401〜417は、バス420によってそれぞれ接続されている。
【0031】
まず、CPU401は、ナビゲーション装置320の全体の制御を司る。ROM402は、ブートプログラム、データ更新プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM403は、CPU401のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU401は、RAM403をワークエリアとして使用しながら、ROM402に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置320の全体の制御を司る。
【0032】
磁気ディスクドライブ404は、CPU401の制御にしたがって磁気ディスク405に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク405は、磁気ディスクドライブ404の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク405としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
【0033】
また、光ディスクドライブ406は、CPU401の制御にしたがって光ディスク407に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク407は、光ディスクドライブ406の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク407は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク407のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
【0034】
磁気ディスク405および光ディスク407に記録される情報の一例としては、コンテンツデータや地図データが挙げられる。コンテンツデータは、たとえばカーAVシステムにおいて再生される楽曲データや静止画データ、動画データなどである。また、地図データは、カーナビゲーションシステムにおいて用いられ、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データ、道路の形状をあらわす道路形状データなどを含んでいる。
【0035】
音声I/F408は、音声入力用のマイク409および音声出力用のスピーカ410に接続される。マイク409に受音された音声は、音声I/F408内でA/D変換される。マイク409は、たとえば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ410からは、所定の音声信号を音声I/F408内でD/A変換した音声が出力される。
【0036】
また、音声I/F408には、疑似エンジン音を生成するエンジン音生成ICおよびアンプが組み込まれている。疑似エンジン音の出力が指示されると、エンジン音生成ICで疑似エンジン音が生成され、アンプで増幅された上でスピーカ410から出力される。
【0037】
入力デバイス411は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス411は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
【0038】
映像I/F412は、ディスプレイ413に接続される。映像I/F412は、具体的には、たとえば、ディスプレイ413全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ413を制御する制御ICなどによって構成される。
【0039】
ディスプレイ413には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ413としては、たとえば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
【0040】
通信I/F414は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置320およびCPU401のインターフェースとして機能する。通信I/F414は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とCPU401とのインターフェースとしても機能する。
【0041】
通信網には、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。具体的には、通信I/F414は、たとえば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)ユニット、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバなどである。
【0042】
GPSユニット415は、GPS衛星からの電波を受信し、車両330の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット415の出力情報は、後述する各種センサ416の出力値とともに、CPU401による車両330の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
【0043】
各種センサ416は、車速センサ、加速度センサ、角速度センサなどの、車両330の位置や挙動を判断するための情報を出力する。各種センサ416の出力値は、CPU401による車両330の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出に用いられる。
【0044】
カメラ417は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ417によって車両外部を撮影し、撮影した画像をCPU401において画像解析したり、映像I/F412を介して磁気ディスク405や光ディスク407などの記録媒体に出力したりする。
【0045】
サーバ310は、上述したナビゲーション装置320のハードウェア構成のうち、少なくともCPU401、ROM402、RAM403、磁気ディスクドライブ404、磁気ディスク405(または光ディスクドライブ406および光ディスク407)、通信I/F414があればよい。
【0046】
図1に示した経路情報提供装置110の検出部111、検知部112、探索部113、送信部114は、上述したサーバ310におけるROM402、RAM403、磁気ディスク405、光ディスク407などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU401が所定のプログラムを実行し、サーバ310における各部を制御することによってその機能を実現する。
【0047】
(サーバ310による経路情報提供処理)
つづいて、サーバ310による経路情報提供処理の詳細について説明する。上述のように、サーバ310は、同一の目的地点に向かうグループ内のナビゲーション装置320に対して、目的地点への経路情報を提供する。また、サーバ310は、グループが目的地点に向かう間も、それぞれの車両330の位置情報を取得して、すべての車両330が目的地点に到達できるように経路情報の提供を継続する。
【0048】
たとえば、グループ内で所定時間以上停止している車両330がある場合、サーバ310は、グループ内の他の車両330を所定の位置に誘導する経路を送信して、停止車両が合流するまで待機させる。これにより、グループ内の車両330がはぐれることなく、同一の工程で目的地点まで到達することができる。
【0049】
図5は、サーバによる経路情報提供処理の手順を示すフローチャートである。以下の説明において、グループのうち目的地点に最も近い位置にいる車両330を「先頭車両」、目的地点から最も遠い位置にいる車両330を「最後尾車両」、停止車両より目的地点に近い位置にいる車両330を「前方車両」、停止車両より目的地点から遠い位置にいる車両330を「後続車両」という。
【0050】
図5のフローチャートにおいて、サーバ310は、グループ内の各車両330の位置情報を受信する(ステップS501)。車両330の位置情報は、それぞれの車両330に搭載されたナビゲーション装置320からネットワーク340を介して送信される。つぎに、サーバ310は、グループ内の車両330に、所定時間以上継続して停止している車両330(停止車両)があるか否か判断する(ステップS502)。サーバ310は、たとえば、車両330の位置が所定時間以上変化しない場合や、ナビゲーション装置320の電源がオフにされ、車両330の位置情報が受信できない場合に、車両330が所定時間以上継続して停止していると判断する。停止車両がない場合(ステップS502:No)、サーバ310はステップS501に戻り、位置情報の受信を継続する。
【0051】
一方、停止車両がある場合(ステップS502:Yes)、サーバ310は、停止車両が先頭車両か否かを判断する(ステップS503)。停止車両が先頭車両の場合は(ステップS503:Yes)、サーバ310は、先頭車両である停止車両の位置にグループ内の他の車両330を誘導する経路を探索して(ステップS504)、ステップS512に移行する。停止車両が先頭車両の場合、停止車両の位置は車両が停止可能な場所であるとともに、他の車両330にとっては目的地点により近い位置となる。このため、グループ内のすべての車両330を停止車両の位置に誘導するのが効率的である。
【0052】
停止車両が先頭車両ではない場合(ステップS503:No)、サーバ310は、停止車両が最後尾車両か否かを判断する(ステップS505)。停止車両が最後尾車両である場合(ステップS505:Yes)、サーバ310は、停止車両の近傍に位置する車両330(以下、「近傍車両」という)を停止車両の位置に誘導する経路を探索する(ステップS506)。これは、停止車両が最後尾車両ではない場合は、後続車両によって停止車両の様子を伺うことが可能であるが、停止車両が最後尾車両の場合は、後続車両がいないため、停止車両の様子を伺うことができないためである。近傍車両を停止車両の位置に移動させるようにすれば、停止した原因が非常事態でないかを確認することができる。
【0053】
つぎに、サーバ310は、近傍車両以外の車両330が待機する場所を決定するため、先頭車両の近傍で車両が停止可能な地点(停止可能地点)を検索する(ステップS507)。そして、近傍車両以外の車両を停止可能地点に誘導する経路を探索して(ステップS508)、ステップS512に移行する。なお、ステップS507において、先頭車両の近傍ではなく、近傍車両以外の各車両330について、それぞれの近傍で車両が停止可能な地点を検索し、その地点に誘導する経路を探索するようにしてもよい。たとえば、先頭車両の近傍にグループ内の車両330がすべて停止できるような場所がない場合は、各車両330がそれぞれの近傍で停止するようにしてもよい。
【0054】
また、ステップS505において、停止車両が最後尾車両でない場合(ステップS505:No)、サーバ310は、まず前方車両が待機する場所を決定するため、先頭車両の近傍で車両が停止可能な地点(停止可能地点)を検索して(ステップS509)、前方車両を停止可能地点に誘導する経路を探索する(ステップS510)。この場合も、ステップS507と同様に、先頭車両の近傍ではなく、それぞれの前方車両の近傍で車両が停止可能な地点を検索し、その地点に誘導する経路を探索するようにしてもよい。
【0055】
つづいて、サーバ310は、後続車両を停止車両の位置に誘導する経路を探索する(ステップS511)。これは、停止車両の位置は車両が停止可能な場所であるとともに、後続車両にとっては目的地点により近い位置となるため、停止車両の位置に誘導するのが効率的であると考えられるためである。なお、停止車両の位置ではなく、ステップS509で検索した停止可能地点(前方車両が待機している地点)に後続車両を誘導する経路を探索するようにしてもよい。
【0056】
サーバ310は、探索した経路の情報(経路情報)をグループ内の各車両330に送信する(ステップS512)。より詳細には、各車両330に搭載されたナビゲーション装置320に対して経路情報を送信する。経路情報を受信したナビゲーション装置320は、ディスプレイ413やスピーカ410などから経路に沿った誘導情報を出力する。
【0057】
サーバ310は、停止車両が走行を再開するまで待機して(ステップS513:Noのループ)、停止車両が走行を再開すると(ステップS513:Yes)、停止車両を他の車両330が待機している地点に誘導する経路を探索する(ステップS514)。そして、探索した経路の情報を停止車両に送信して(ステップS515)、本フローチャートによる処理を終了する。
【0058】
以上説明したように、実施例にかかる経路情報提供システム300によれば、同一の目的地点に移動するグループ内に、所定時間以上継続して停止している車両330がある場合、グループ内のそれぞれの車両330を所定の位置に誘導する経路を探索し、経路情報をそれぞれの車両330に送信する。これにより、停止車両が走行を再開するまで他の車両330を待機させることができ、停止車両がグループから取り残されるのを防止することができる。
【0059】
また、経路情報提供システム300では、停止車両よりも目的地点から遠い位置にいる車両(後続車両)には、停止車両、または停止車両よりも目的地点に近い位置にいる車両330の位置に誘導する経路を探索し、停止車両よりも目的地点から近い位置にいる車両330(前方車両)には、先頭車両、またはそれぞれの前方車両の近傍において停止可能な地点に誘導する経路を探索する。これにより、グループのそれぞれの車両330は目的地点から遠ざかることなく、効率的に停止車両が走行を再開するまで待機することができる。
【0060】
また、経路情報提供システム300は、停止車両が最後尾車両の場合は、近傍車両を停止車両の位置に誘導する経路を探索する。これにより、停止車両が停止した原因が、事故や故障などの非常事態でないかを確認することができる。また、経路情報提供システム300は、停止車両が走行を再開した場合は、停止車両を他の車両330の位置に誘導する経路を探索する。これにより、停止車両は、グループ内の他の車両330と容易に合流して、目的地点への走行を再開することができる。
【0061】
なお、本実施例では、経路情報の提供はサーバ310でおこなうものとしたが、たとえば、グループ内のナビゲーション装置320間で通信をおこなえるようにして、グループ内の1つのナビゲーション装置320が、他のナビゲーション装置320に対して経路情報を提供するようにしてもよい。
【0062】
また、本実施の形態で説明した経路情報提供方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
110 経路情報提供装置
111 検出部
112 検知部
113 探索部
114 送信部
120 車両
130 車両群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の目的地点に移動する複数の車両(以下、「車両群」という)に対して経路情報を提供する経路情報提供装置であって、
前記車両群内の前記車両の位置をそれぞれ検出する検出手段と、
前記車両が所定時間以上継続して停止していることを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記車両群内の少なくとも1つの前記車両が所定時間以上継続して停止していることが検知された場合、前記車両群内の前記車両をそれぞれ所定の地点に誘導する経路を探索する探索手段と、
前記探索手段によって探索された経路の情報を前記車両群内の前記車両にそれぞれ送信する送信手段と、
を備えたことを特徴とする経路情報提供装置。
【請求項2】
前記車両群は同一の経路を走行しており、
前記探索手段は、前記車両群のうちの1つの車両が所定時間以上継続して停止している場合、前記車両群内の他の車両のうち前記停止した車両(以下、「停止車両」という)より前記目的地点から遠い車両(以下、「後続車両」という)を前記停止車両の位置に誘導する経路を探索し、
前記送信手段は、前記後続車両に対して前記停止車両の位置に誘導する経路の情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の経路情報提供装置。
【請求項3】
前記車両群は同一の経路を走行しており、
前記探索手段は、前記車両群のうちの1つの車両が所定時間以上継続して停止している場合、前記車両群内の他の車両のうち前記停止した車両(以下、「停止車両」という)より前記目的地点に近い車両(以下、「前方車両」という)のなかで最も前記目的地点に近い車両の近傍において前記車両群が停止可能な地点(以下、「停止可能地点」という)に誘導する経路を探索し、
前記送信手段は、前記前方車両に対して前記停止可能地点に誘導する経路の情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の経路情報提供装置。
【請求項4】
前記車両群は同一の経路を走行しており、
前記探索手段は、前記車両群のうちの1つの車両が所定時間以上継続して停止している場合、前記車両群内の他の車両のうち前記停止した車両(以下、「停止車両」という)より前記目的地点に近い車両(以下、「前方車両」という)のそれぞれの近傍において当該車両が停止可能な地点(以下、「停止可能地点」という)に誘導する経路を探索し、
前記送信手段は、前記前方車両に対して前記停止可能地点に誘導する経路の情報を送信することを特徴とする請求項1に記載の経路情報提供装置。
【請求項5】
前記探索手段は、前記停止車両より前記目的地点から遠い車両(以下、「後続車両」という)を前記停止車両の位置に誘導する経路を探索し、
前記送信手段は、前記後続車両に対して前記停止車両の位置に誘導する経路の情報を送信することを特徴とする請求項3または4に記載の経路情報提供装置。
【請求項6】
前記探索手段は、前記停止車両より前記目的地点から遠い車両(以下、「後続車両」という)を前記停止可能地点に誘導する経路を探索し、
前記送信手段は、前記後続車両に対して前記停止可能地点に誘導する経路の情報を送信することを特徴とする請求項3または4に記載の経路情報提供装置。
【請求項7】
前記車両群は同一の経路を走行しており、
前記探索手段は、前記検知手段によって停止が検知された車両が前記目的地点から最も遠い車両である場合、前記停止した車両(以下、「停止車両」という)の近傍に位置する少なくとも1つの車両(以下、「近傍車両」という)を前記停止車両の位置に誘導する経路を探索し、
前記送信手段は、前記近傍車両に対して前記停止車両の位置に誘導する経路の情報を送信することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の経路情報提供装置。
【請求項8】
前記検知手段は、前記停止車両が走行を再開したことを検知し、
前記探索手段は、前記検知手段によって前記停止車両が走行を再開したことを検知した場合、前記停止車両を前記車両群内の他の車両の位置に誘導する経路を探索し、
前記送信手段は、前記停止車両に対して前記他の車両の位置に誘導する経路の情報を送信することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の経路情報提供装置。
【請求項9】
前記車両群内の前記車両にはそれぞれ経路誘導装置が搭載されており、
前記送信手段は、前記探索手段によって探索された経路の情報を前記経路誘導装置に対して送信することを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の経路情報提供装置。
【請求項10】
同一の目的地点に移動する複数の車両(以下、「車両群」という)に対して経路情報を提供する経路情報提供方法であって、
前記車両群内のそれぞれの前記車両の位置を検出する検出工程と、
前記車両が所定時間以上継続して停止していることを検知する検知工程と、
前記検知工程で前記車両群内の少なくとも1つの前記車両が所定時間以上継続して停止していることが検知された場合、前記車両群内のそれぞれの前記車両を所定の地点に誘導する経路を探索する探索工程と、
前記探索工程で探索された経路の情報を前記車両群内の前記車両に送信する送信工程と、
を含んだことを特徴とする経路情報提供方法。
【請求項11】
請求項10に記載の経路情報提供方法をコンピュータに実行させることを特徴とする経路情報提供プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の経路情報提供プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータに読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−271189(P2010−271189A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−123396(P2009−123396)
【出願日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】