説明

給紙装置及び画像形成装置

【課題】装置コストを抑えつつ重送を防止可能な給紙装置を提供する。
【解決手段】給紙部32は、用紙100を蓄積可能であるとともに、用紙100を給紙する。温湿度センサ19は、温度及び湿度を測定する。除電部20は、給紙部32から給紙される用紙100に電圧を印加することにより、前記用紙100の除電を行う。制御部34は、給紙部32によって用紙100を給紙させる際に、除電部20の印加電圧を、温湿度センサ19の測定結果に基づいて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された用紙から一枚の用紙を取り出して下流側へと給紙する給紙装置において、用紙に発生する静電気を除電して重送を防止するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機、ファクシミリ機、コピーファクシミリ複合機などの画像形成装置は、給紙カセット内に積層してセットされた記録紙から一枚の記録紙を分離して給紙し、当該記録紙に画像を形成するように構成されている。
【0003】
しかし、給紙動作の際には、給紙カセット内の記録紙が引きずり出されることにより、給紙された記録紙と、給紙カセット内に残存する記録紙と、の間で摩擦により静電気が発生し、帯電することがある。このように記録紙が摩擦帯電していると、最上層の記録紙に下層の記録紙が貼り付いて適切に分離できなくなる結果、複数枚の記録紙を同時に給紙してしまう「重送」という問題が発生する事がある。
【0004】
従来の装置では、給紙カセット周辺の金属部材をアースするなどして静電気対策を施していたが、記録紙は絶縁体であるため、アースしただけでは記録紙の静電気を完全に取り除くことができない。
【0005】
この点、特許文献1には、用紙の帯電量を測定するとともに、測定帯電量と0Vとの差から用紙に逆帯電すべき電荷を算出し、この電荷を供給するように電圧を印加された逆帯電ローラによって用紙を逆帯電する旨が開示されている。特許文献1は、このように測定された帯電量に対して逆の電荷をかけることにより、用紙重送を防止することができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−71035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、帯電量を測定する測定器は一般的に高価であるため、上記特許文献1の構成では装置全体のコストが上昇してしまうという問題がある。
【0008】
本発明は上記の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、装置コストを抑えつつ重送を適切に防止可能な給紙装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の観点によれば、以下の構成の給紙装置が提供される。即ち、この給紙装置は、給紙部と、測定部と、除電部と、制御部と、を備える。前記給紙部は、用紙を蓄積可能であるとともに、当該用紙を給紙する。前記測定部は、温度及び湿度の少なくとも何れか一方を測定する。前記除電部は、前記給紙部から給紙される用紙に電圧を印加することにより、前記用紙の除電を行う。前記制御部は、前記給紙部によって用紙を給紙させる際に、前記除電部の印加電圧及び印加時間の少なくとも何れか一方を、前記測定部の測定結果に基づいて決定する。
【0011】
即ち、用紙の帯電量は、周囲の温度及び湿度によって異なる。そこで上記のように、用紙を除電する際の印加電圧又は印加時間を、温度又は湿度に基づいて決定することにより、摩擦帯電した用紙を最適な条件で除電でき、用紙の重送を効果的に防止できる。また、温度又は湿度を測定する測定器は、用紙の帯電量を直接測定する測定器に比べて安価なため、コストの上昇を抑えることができる。
【0012】
上記の給紙装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記制御部は、前記測定部の測定結果に対応する補正値を記録した補正値テーブルを有している。そして当該制御部は、前記測定部の測定結果に応じた補正値を前記補正値テーブルから取得するとともに、取得した前記補正値によって、前記印加電圧及び前記印加時間の少なくとも何れか一方の初期値を補正する。
【0013】
このように、適切な補正値テーブルを予め設けておけば、そのときの温度又は湿度に応じて適切に除電を行うことが可能である。
【0014】
上記の給紙装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記制御部は、連続給紙枚数に対応する補正値を記録した連続給紙補正値テーブルを有している。そして当該制御部は、前記連続給紙枚数に応じた補正値を前記連続給紙補正値テーブルから取得するとともに、取得した前記補正値によって、前記印加電圧及び前記印加時間の少なくとも何れか一方の初期値を補正する。
【0015】
このように、連続給紙枚数によって変動する摩擦帯電量を考慮に入れて、印加電圧又は印加時間を決定することにより、より高精度な除電が可能である。
【0016】
上記の給紙装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記制御部は、用紙の種類に対応する補正値を記録した用紙種類補正値テーブルを有している。そして当該制御部は、ユーザから受けた給紙指示に係る給紙設定から用紙の種類を取得し、前記用紙の種類に応じた補正値を前記用紙種類補正値テーブルから取得するとともに、取得した前記補正値によって、前記印加電圧及び前記印加時間の少なくとも何れか一方の初期値を補正する。
【0017】
このように、用紙の種類によって変動する摩擦帯電量を考慮にいれて、印加電圧又は印加時間を決定することにより、より高精度な除電が可能である。
【0018】
上記の給紙装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記給紙部は、用紙を繰り出すための給紙ローラを備える。また前記制御部は、前記給紙ローラの回転速度に対応する補正値を記録したローラ回転速度補正値テーブルを有している。そして当該制御部は、給紙実行時における前記給紙ローラの回転速度に応じた補正値を前記ローラ回転速度補正値テーブルから取得するとともに、取得した前記補正値によって、前記印加電圧及び前記印加時間の少なくとも何れか一方の初期値を補正する。
【0019】
このように、給紙ローラの回転速度によって変動する摩擦帯電量を考慮にいれて、印加電圧又は印加時間を決定することにより、より高精度な除電が可能である。
【0020】
上記の給紙装置において、前記給紙部は、積層された用紙を最上層から取り出して給紙するように構成され、前記除電部は、前記給紙部から給紙された用紙の下面を除電することが好ましい。
【0021】
即ち、最上層の用紙が給紙される際には、当該用紙の下面が他の用紙と摩擦帯電することになる。そこで、当該用紙の下面を除電するように構成することにより、高い除電効果を発揮できる。
【0022】
上記の給紙装置において、前記除電部は、前記給紙部に蓄積されている用紙を取り出すための給紙ローラであることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、給紙ローラに電圧を印加するだけでよく、除電する部材を別途設ける必要がない。
【0024】
上記の給紙装置において、前記用紙の搬送方向で複数箇所に除電部を有し、各除電部への印加タイミングが異なることが好ましい。
【0025】
これにより、用紙に対する除電をムラなく行え、かつ用紙搬送動作又は用紙サイズに応じた適切な除電を行うことができる。
【0026】
上記の給紙装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記給紙部の用紙給紙方向下流側には、前記用紙を搬送するためのレジストローラ対が配置される。当該レジストローラ対は接地されるとともに、接地へと向かう電流を緩やかに流す。
【0027】
これにより、除電部による除電では用紙の電荷が完全に消失しなかった場合でも、接地されたレジストローラ対を用紙が通過することによって、残りの電荷を逃がすことができる。また、レジストローラ対を伝って地面へと向かう電流を緩やかに流すことにより、例えば当該レジストローラ対よりも下流側において用紙に電圧を印加する工程(画像形成工程など)がある場合であっても、当該工程に影響を与えることを防止できる。
【0028】
上記の給紙装置において、前記測定部は、用紙を蓄積する給紙カセット内に設けられていることが好ましい。
【0029】
このように、用紙が収容されている給紙カセット内で温度又は湿度を測定することにより、用紙の置かれた環境を正確に測定することができるので、印加電圧又は印加時間をより正確に決定可能である。
【0030】
本発明の別の観点によれば、上記の給紙装置と、当該給紙装置によって給紙された用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置が提供される。
【0031】
この画像形成装置は、低コストで、確実に重送を効果的に防止できる。しかも、静電気が除去された用紙に画像を形成することができるので、画像形成工程においてトナー飛散などの問題が発生することを防止することができる。
【0032】
上記の画像形成装置は、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記画像形成部には、給紙された用紙に画像を形成するために電圧が印加される。前記測定部は、前記画像形成部に印加される印加電圧及び印加時間の少なくとも何れか一方を調整するための測定部を兼ねている。
【0033】
即ち、画像形成プロセスにおいても、本発明の除電プロセスと同様に、印加電圧又は印加時間を温度又は湿度を測定する測定器を使用しているため、画像形成プロセスのために搭載されている測定器を除電プロセスに流用可能である。これにより、装置コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るコピーファクシミリ複合機の全体的な構成を示す斜視図。
【図2】複合機の正面断面図。
【図3】除電部近傍を拡大した正面断面図。
【図4】除電による重送防止の効果を示すグラフ。
【図5】温湿度補正値テーブルの内容を示す図。
【図6】連続給紙補正値テーブルの内容を示す図。
【図7】用紙種類補正値テーブルの内容を示す図。
【図8】ローラ回転速度補正値テーブルの内容を示す図。
【図9】別の実施形態の複合機において除電部近傍を拡大した正面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に、本発明の第1実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る画像形成装置としてのコピーファクシミリ複合機75の外観斜視図である。また図2は複合機75の本体内部の様子を示す正面断面図である。
【0036】
図1に示すコピーファクシミリ複合機75は、画像読取部76と、操作パネル77と、本体78と、を備えている。
【0037】
操作パネル77は、コピー部数及びファクシミリ送信先等をユーザが複合機75に対し指示するためのものである。また、操作パネル77には、ユーザが各種設定操作等を行うための操作キー77aと、各種メッセージ等を表示するための液晶ディスプレイ77bと、が配置されている。
【0038】
また図3に示すように、複合機75は制御部34を備えている。制御部34は、CPU、ROM、RAM等のハードウェアと、前記ROMに記憶されたプログラム等のソフトウェアと、から構成されている。そして、前記ハードウェアと前記ソフトウェアが協働して動作することにより、複合機75の各構成を制御するように構成されている。
【0039】
図2に示すように、画像読取部76は、スキャナユニット90、原稿台カバー83等を備えている。また、原稿台カバー83とスキャナユニット90との間には、読み取るべき原稿を載置するプラテンガラス82が設けられる。
【0040】
スキャナユニット90は、光源91と、反射ミラー92,93,94と、集光レンズ95と、電荷結合素子(CCD)96と、を備えている。光源91は、前記プラテンガラス82に対して光を照射する。原稿からの反射光は、反射ミラー92,93,94によって更に反射し、集光レンズ95によって収束して、CCD96の部分に結像する。CCD96は、この収束光を電気信号に変換して出力する。
【0041】
画像読取部76はいわゆるフラットヘッドスキャナとして機能させることができる。即ち、プラテンガラス82の上面に原稿を載置し、当該原稿を原稿台カバー83で押さえ付けた状態で、光源91及び反射ミラー92等を一定の速度で移動させることにより、プラテンガラス82上の原稿を走査して読み取ることができる。
【0042】
また図2に示すように、原稿台カバー83には自動原稿搬送装置(オートドキュメントフィーダ、ADF)84が配設されている。このADF84は、原稿台カバー83の上部に設けられた原稿トレイ85と、この原稿トレイの下方に設けられた排出トレイ86と、を備える。
【0043】
ADF84の内部には、原稿トレイ85と排出トレイ86とを繋ぐ湾曲状の原稿搬送経路87が構成されている。この原稿搬送経路87には、分離ローラ88及び複数の搬送ローラ89が配置されている。この構成で、原稿トレイ85に重ねてセットされた原稿は、1枚ずつ分離されて湾曲状の前記原稿搬送経路87に沿って搬送され、原稿読取位置を通過した後、排出トレイ86へ排出される。
【0044】
この構成により、画像読取部76をいわゆるADFスキャナとして機能させることができる。即ち、光源91及び反射ミラー92等をADF84の前記原稿読取位置まで移動した状態で静止させ、原稿搬送経路87を搬送される原稿を走査して読み取ることができる。
【0045】
画像読取部76で読み取られた原稿の画像は、後述の画像形成部11に送られて印刷され、又は、前記ファクシミリ送受信部によって他のファクシミリ装置へ通信回線を介して送信される。
【0046】
図2に示すように、本体78の下部には、給紙部32が配置されている。給紙部32は、給紙カセット79と、給紙ローラ21と、を有している。
【0047】
給紙カセット79は、複数枚の用紙(記録紙)100を積層して蓄積可能に構成されている。この給紙カセット79は装置正面側(図2の紙面手前側)に引出可能に構成されており、当該給紙カセット79を引き出した状態で、ユーザが用紙100を補給することができる。
【0048】
本体78の内部には、給紙カセット79から排紙トレイ80へ用紙を搬送するための搬送路24が形成されている。この搬送路24は、給紙カセット79の一端側から上方に向かって延びた後、一部湾曲しながら画像形成部11に至り、更に上方にある定着装置51を通過した後、水平方向に湾曲して排紙トレイ80上に至るように構成されている。
【0049】
給紙ローラ21は、給紙カセット79にセットされた用紙100の搬送方向下流側端部上方に配置されている。この給紙ローラ21の外周面はゴム等の弾性体から構成されている。また当該給紙ローラ21は、金属製の回転軸17に対して相対回転不能に取り付けられている。この回転軸17は、図略の駆動源によって図2の反時計回りに駆動可能になっている。これにより、給紙ローラ21が回転駆動される。
【0050】
給紙カセット79の底面には、フラッパ18が設けられている。給紙カセット79内に蓄積された用紙100は、このフラッパの上に載せられた状態となる。またこのフラッパ18は、図2の上向きに付勢されるように構成されている。これにより、給紙カセット79に収容された用紙100は、その上方に配置された給紙ローラ21に対して押し付けられる。この状態で給紙ローラ21を駆動することにより、給紙カセット79内に積層された用紙100のうち、上層の用紙がピックアップされる。
【0051】
また、給紙カセット79には、給紙ローラ21に対面するようにして、分離パッド31が設けられている。給紙ローラ21によってピックアップされた用紙は、分離パッド31と給紙ローラ21との間を通過する際に分離され、最上層の用紙のみが前記搬送路24に向けて給紙される。以上のように、複合機75が備える給紙部32によって、用紙100を一枚ずつ分離して給紙することができる。従って、複合機75は給紙装置としての機能を有しているということができる。
【0052】
前記給紙ローラ21からの用紙給紙方向下流側には、レジストローラ22と、これに対向して設けられた対向ローラと、からなるレジストローラ対23が配置されている。レジストローラ22および対向ローラは、それぞれ金属製の回転軸によって軸支されている。レジストローラ22は、図略の回転源によって回転駆動されるように構成されている。この構成で、給紙カセット79から給紙された用紙100は、このレジストローラ対23によって挟み込まれ、この状態でレジストローラ22が回転駆動されることにより、下流側の画像形成部11へ搬送される。
【0053】
画像形成部11は、図2に示すように、感光ドラム12の周囲に、帯電器13と、LEDヘッド14と、現像器15と、転写ローラ16と、を配置して構成されている。
【0054】
感光ドラム12は、表面に有機感光体による光導電膜が形成されるとともに、図示しない電動モータによって回転駆動されるように構成されている。帯電器13はブラシ帯電方式に構成され、この帯電器13によって感光ドラム12の表面が均一に、例えば負に帯電されるようになっている。
【0055】
露光器としてのLEDヘッド14は、前記帯電器13より下流側(感光ドラム12の回転方向の下流側をいう。以下、現像器15、及び転写ローラ16の説明において同じ。)に配置されており、発光ダイオード(LED)を用紙幅方向に多数並べて備えた構成となっている。そしてLEDヘッド14は、電話回線を介して受信したファクシミリ原稿の画像データ、又は、画像読取部76で読み取った画像データに対応して選択的に発光する。この結果、感光ドラム12の表面が選択的に露光され、露光部分の電荷エネルギーが消失することで静電潜像が形成される。
【0056】
現像器15は前記LEDヘッド14の下流側に配置されている。この現像器15は、非磁性一成分トナーを収容するトナー容器26を備えるとともに、トナーの撹拌のためにトナー容器26の内部で回転駆動される撹拌ブレード27を備えている。更に、現像器15は、トナー容器26の内部に配置される供給ローラ28と、この供給ローラ28に接触して配置される現像ローラ29と、この現像ローラ29の外周面に接触するように配置される規制ブレード30と、を備えている。
【0057】
この構成で、供給ローラ28と現像ローラ29とは、互いに周面を逆方向に擦るように回転駆動される。また、規制ブレード30の先端は、回転駆動される現像ローラ29の周面を擦ることになる。この結果、トナー容器26内のトナーは摩擦帯電され、現像ローラ29の表面に電位差によって付着する。現像ローラ29の表面のトナーは、規制ブレード30によって付着厚さが均一になるよう調整されるとともに、当該現像ローラ29の回転によって感光ドラム12側へ送られる。その後、感光ドラム12と現像ローラ29との近接部分において、感光ドラム12の前記LEDヘッド14による露光部に相当する部分においてのみ、現像ローラ29の表面のトナーが選択的に感光ドラム12の表面へ移動する。この結果、感光ドラム12の表面上にトナー像が形成される。
【0058】
転写ローラ16は、前記現像器15の下流側に配置されるとともに、感光ドラム12から搬送路24を挟んで反対側に配置されている。また、この転写ローラ16には電源からの所定の電圧が印加されている。従って、感光ドラム12の表面に形成されたトナー像は、感光ドラム12の回転によって転写ローラ16側へ近づくように移動し、その電界吸引力によって用紙100に転写される。トナー像が転写された用紙100は、感光ドラム12の回転によって、搬送路24の下流側の定着装置51へ送られる。
【0059】
なお、転写ローラ16に電圧を印加する際の最適な印加電圧及び最適な印加時間は、そのときの気温及び湿度によって異なる。そこで本実施形態の複合機75は、温度及び湿度を測定するための温湿度センサ(測定部)19を、給紙カセット79内に備えている。温湿度センサ19の検出値は、制御部34へ出力される。そして制御部34は、温湿度センサ19の検出値に基づいて、転写ローラ16に対する印加時間及び印加電圧の少なくとも何れか一方を適宜変更するように構成されている。これにより、温度及び湿度に左右されず最適な品質で画像を形成することができる。
【0060】
定着装置51は、回転駆動されるヒートローラ52と、このヒートローラ52に対向して配置されるプレスローラ53と、を備えている。このプレスローラ53は付勢バネによってヒートローラ52に対して押し付けられている。ヒートローラ52は例えばハロゲンランプ等の発熱体を有しており、当該発熱体に通電することによって当該ヒートローラ52の表面を均一に加熱することができる。
【0061】
この構成で、用紙100がヒートローラ52とプレスローラ53との間を通過することにより、高温のヒートローラ52の熱及びプレスローラ53による圧力によって、トナー像のトナーが融解して用紙に定着する。なお、定着装置51には、用紙100がヒートローラ52に貼り付いたまま周囲に巻き付くことを防止するための分離爪54が設けられている。
【0062】
図2に示すように、定着装置51より下流側には排紙ローラ25が設けられる。この構成で、定着装置51から送られてきた用紙100は、排紙ローラ25とそれに対向配置される従動ローラとの間でニップされて、前記排紙トレイ80上に排出される。
【0063】
次に、本発明に係る複合機75において、給紙部32から給紙される用紙100の静電気を除電するための構成について説明する。
【0064】
即ち、前述したように、給紙カセット79から最上層の用紙100を給紙する際に、当該最上層の用紙と、2枚目以降の用紙と、の間で摩擦により静電気が発生する。これにより、最上層の用紙と、2枚目以降の用紙と、をうまく分離することができず、複数枚の用紙が重なったまま給紙カセット79から引き出されてしまう「重送」という現象が発生することがある。
【0065】
そこで本実施形態の複合機75は、用紙100に帯電した静電気を除電するための除電部20を有している。
【0066】
本実施形態において、除電部20は除電布(除電ブラシ)として構成されている。この除電布(除電ブラシ)は、高い導電性を有する繊維状(または針状)の部材を多数並べて有しており、当該導電性繊維の先端からコロナ放電を行って対象物の静電気を除去する公知の構成である。また複合機75は、図3に示すように、除電部20に対して電圧を印加する電圧印加回路33を有している。この電圧印加回路33によって除電部20に印加する電圧(印加電圧)、及び電圧を印加する時間(印加時間)は、制御部34によって制御される。制御部34は、電圧印加回路33の印加電圧及び印加時間を制御することにより、用紙の静電気を除電するように構成されている。
【0067】
制御部34による静電気除去の制御について、簡単に説明する。制御部34は、給紙ローラ21の回転が開始されて用紙100の給紙が開始されると同時に、あるいはこれと前後して、電圧印加回路33を制御して除電部20に電圧を印加させる。これにより、除電部20の先端と用紙100との間にコロナ放電が発生して当該用紙100に電圧が印加され、当該用紙100に帯電した静電気を除電することができる。なお、電圧の印加は連続的に行っても良いし、所定の周期で断続的に行っても良い。
【0068】
除電部20に対する電圧の印加を開始してから所定の印加時間が経過した後で、制御部34は、電圧印加回路33を制御して除電部20に対する電圧の印加を停止させる。なお、制御部34は、遅くとも用紙100の搬送方向下流側の先端が転写ローラ16及び感光ドラム12に到達するまでには、除電部20への電圧の印加を停止させる(即ち、用紙100への画像の転写が始まるまでには電圧の印加を停止する)。用紙100が転写ローラ16及び感光ドラム12に接触した状態で当該用紙100に電圧をかけ続けると、用紙100へのトナー像の転写に悪影響を及ぼすおそれがあるためである。
【0069】
以上のように、除電部20に対する印加電圧及び印加時間を制御部34が適切に制御することにより、用紙100に帯電した静電気を除電して重送を防止できる。しかも用紙100の静電気を除去した状態で画像形成部11へと給紙できるので、画像形成部11においてトナー飛散などの問題が発生することを防止できる。
【0070】
次に、除電部20の配置位置について詳しく説明する。
【0071】
除電部20は、用紙100の除電を行うことができる位置であれば、任意の場所に配置することができる。しかし用紙100に蓄積した電荷を効果的に除電するという観点からは、除電部20の先端(除電布の導電性繊維の先端)を、給紙される用紙100の上面又は下面に近接又は接触させるように配置することが好ましいと考えられる。このように配置された除電部20に電圧を印加することにより、給紙される用紙100の上面又は下面との間でコロナ放電を発生させ、当該上面又は下面の除電を行うことができる。
【0072】
また、除電部20は、用紙に対して電圧を直接印加する配置に限らず、用紙に対して間接的に電圧を印加するように配置されていてもよい。例えば、除電部20の先端を、給紙ローラ21の表面に近接又は接触させるように配置し、当該給紙ローラ21表面の除電を行う構成が考えられる。除電された給紙ローラ21によって用紙100を給紙させることにより、当該用紙100を間接的に除電することができる。このように、用紙100に接触する部材に電圧を印加することにより、用紙100に対して間接的に電圧を印加できるので、当該用紙を間接的に除電することができる。
【0073】
以上のように、除電部20の配置位置については様々な構成を考えることができる。そこで本願発明者は、除電部20の配置位置による重送防止効果の違いを検証するための実験を行った。この実験では、給紙される用紙100の上面、給紙される用紙100の下面、及び給紙ローラ21の何れかを除電しつつ用紙100の給紙を実際に行い、重送の発生回数をカウントした。この結果を図4に示す。また、図4には、比較例として、除電を全く行わなかった場合の重送発生回数も示されている。なお、図4のグラフにおいて、横軸は発生回数であり、「重送」のグラフは重送の発生回数を、「重送JAM」のグラフは重送による紙詰まりの発生回数を、それぞれ示している。
【0074】
図4に示すように、何れの箇所を除電した場合であっても、除電を行わない場合に比べれば、重送及び重送JAMの発生回数が減少している。これにより、除電を行うことによる重送防止効果が確認された。また、用紙100の下面の除電を行った場合が特に重送防止効果が大きく、続いて給紙ローラ21の除電も効果的であることがわかる。
【0075】
用紙100下面の除電が特に効果的な理由は、本実施形態の複合機75の構成を用いて以下のように説明できる。即ち、本実施形態の複合機75においては、給紙カセット79に積層された用紙100の最上層の用紙を給紙するように構成されているので、給紙ローラ21によって繰り出された用紙100の下面は、下層の用紙の上面と擦れることにより摩擦帯電する。このため、帯電している側の面である下面を除電することにより、高い重送防止効果を発揮することができるのである。
【0076】
以上の考察及び実験結果に基づき、本実施形態の複合機75は以下のように構成されている。即ち、本実施形態の複合機75では、図3に示すように、用紙100の下面を除電するように除電部20を配置している。より具体的には、除電部20は、用紙搬送方向で分離パッド31のすぐ下流側に配置されている。そして除電部20は、搬送路24の下側において、その先端(導電性繊維の先端)を上に向け、当該先端を搬送路24に近接させるように配置されている。これにより、搬送路24に給紙される用紙100の下面側を除電することができる。前述のように、用紙100の下面を除電することにより、高い重送防止効果を得ることができる。
【0077】
また近年では、資源節約の観点から、片面に印刷済みの紙(裏紙)を再利用することが増えている。ところが、裏紙を給紙する際には特に重送が発生し易いという問題があった。これは、印刷に使われているトナーは一種の樹脂であり摩擦帯電し易いので、印刷済みの紙は白紙に比べて帯電し易いためである。このため、裏紙の重送を防止したいという要望が高まっている。
【0078】
本実施形態の複合機75は、給紙カセット79に積層された状態の用紙100の上側の面に画像を形成する構成である。従って、給紙カセット79に裏紙をセットする際には、白紙の面を上向き、印刷済みの面は下向きにセットすることになる。このように、摩擦帯電し易い印刷済みの面は、下向きにセットされる。そこで、本実施形態のように用紙の下面を除電する構成とすることにより、摩擦帯電し易い印刷済みの面の除電を行うことができる。このように、本実施形態の複合機75の構成によれば、裏紙を給紙する場合であっても、重送を効果的に防止することができる。
【0079】
なお、本実施形態の除電部20に採用されている除電布は、導電性繊維の長手方向と直交する方向に細長く構成されたテープ状(帯状)のタイプである。本実施形態において、除電部20は、そのテープの長手方向を、用紙100の幅方向(搬送方向に直交する方向)に沿わせて配置されている。即ち、除電布の導電性繊維が、用紙100の幅方向に沿って多数並ぶようにして配置されている。また、除電部20は、給紙カセット79にセット可能な最大サイズの用紙の幅方向全域に設置されている。除電部20をこのように配置することにより、用紙100を幅方向全域で均一に除電することができる。もっとも、除電部20を用紙100の幅方向の一部にのみ配置し、用紙100の一部のみ除電する構成であってもよい。この場合でも、ある程度の重送防止効果を得ることができる。
【0080】
次に、印加電圧を決定するための構成について詳しく説明する。
【0081】
即ち、以上で説明した除電部20による重送防止効果は、用紙100に対して適切な電圧を印加することで、はじめて適切に発揮することができる。しかし、用紙100の帯電量は状況によって変化するので、最適な重送防止効果を得るためには、除電部20への印加電圧又は印加時間を適宜調整しなければならない。この点、特許文献1に記載の電子写真プリンタは、用紙の帯電量を測定する測定器を備え、当該測定器の測定結果に応じて用紙に印加する電圧を決定する構成である。しかし前述のように、帯電量を測定する測定器は高価であるという問題があった
【0082】
本願発明者は、上記問題に関し鋭意研究を重ねた結果、用紙100の摩擦帯電量が周囲の温度及び湿度の影響を受けることに着目して、本願発明を完成させた。即ち、用紙100の帯電量は、周囲の温度及び湿度に基づいて推定することができるのである。従って、周囲の温度及び湿度に基づいて、用紙100に対して印加すべき電圧を決定することができる。
【0083】
そこで本実施形態の複合機75において、制御部34は、温湿度センサ19によって測定された温度及び湿度に基づいて、除電部20に対する印加電圧を決定するように構成されている。
【0084】
このように、測定された温度及び湿度に基づいて印加電圧を決定することにより、用紙100の帯電量に応じた除電を行うことができるので、重送を効果的に防止することができる。従って、用紙100の帯電量を直接測定する測定器が不要となる。また、帯電量を測定する測定器に比べて、温度及び湿度を測定する測定器(温湿度センサ19)は安価であるため、複合機75のコストの上昇を抑えることができる。
【0085】
なお、本実施形態の複合機75が備える温湿度センサ19は、もともと、転写ローラ16への印加電圧及び印加時間を決定するために設けられていたものである。即ち、本実施形態では、複合機75が予め有していた温湿度センサ19を流用しているので、除電部20への印加電圧を決定するためのセンサを新たに設けるコストがかからない。これにより、複合機75を安価に構成することが可能になる。
【0086】
次に、温度及び湿度に基づいて印加電圧を決定する方法について、具体的に説明する。
【0087】
本実施形態において、制御部34は、予め設定されている印加電圧初期値を、そのときの温度及び湿度に応じた補正値(温湿度補正値)によって補正することにより、除電部20に印加すべき電圧(印加電圧)を決定するように構成されている。具体的には、以下の式によって印加電圧を求めることができる。
印加電圧=印加電圧初期値+温湿度補正値
【0088】
温度及び湿度に応じた温湿度補正値は、実験によって予め求めておくことができる。例えば、温度及び湿度を様々に異ならせた環境で用紙100の給紙をする実験を行い、そのときの用紙100の帯電量を測定する。これにより、温度及び湿度に応じて用紙100の帯電量がどのように変化するかが分かるので、温度及び湿度に応じて印加電圧をどのように補正しなければならないかを求めることができる。
【0089】
本実施形態では、実験によって求めた温湿度補正値を、温湿度補正値テーブルとして制御部34に記憶しておく構成としている。この温湿度補正値テーブルは、温度と湿度をインデックスとする二次元テーブルとされており、例えば図5のように、温度と湿度に応じた温湿度補正値をデータとして記録している。なお、図5では、温湿度補正値テーブルのデータはA,B・・・等の符号で表されているが、実際には、テーブルの各データには温湿度補正値の具体的な数値が格納されている。このように、実験から得た温湿度補正値をテーブルに記憶しておけば、制御部34は、給紙時の温度及び湿度に基づいてテーブルを参照するという簡単な処理により、適切な温湿度補正値を取得することができる。
【0090】
なお前述のように、本実施形態の複合機75においては、温湿度センサ19は給紙カセット79内に設けられているので、用紙100が実際に置かれている環境(給紙カセット79内)の温度及び湿度を取得することができる。従って、温湿度センサ19によって検出した温度及び湿度に応じた温湿度補正値に基づいて印加電圧を決定することにより、精度の良い除電を行うことができる。
【0091】
また、用紙100の帯電量は、温度及び湿度以外にも、様々な要因によって変化する。そこで本実施形態の複合機75において、制御部34は、温度及び湿度に基づいて補正した印加電圧を、その他の要因に基づいて更に補正するように構成されている。以下、具体的に説明する。
【0092】
例えば、用紙100の帯電量は、給紙部32が連続して用紙100を繰り出した枚数によって変化する。これは、給紙動作によって発生した静電気が、給紙カセット79内に残存する用紙100にも蓄積されるためである。なお、以下の説明では、「給紙部32が連続して用紙100を繰り出した枚数」のことを「連続給紙枚数」と称する。連続給紙枚数は、用紙100を連続して給紙するたびにカウントアップされ、用紙100の給紙が一定時間中断又は停止されるとゼロに戻されるものとする。
【0093】
本実施形態において、制御部34は、連続給紙枚数に応じた補正値(連続給紙補正値)によって印加電圧を補正するように構成されている。連続給紙枚数に応じた連続給紙補正値は、実験によって予め求めておくことができる。例えば、用紙100を連続的に給紙する実験を行い、そのときの用紙100の帯電量を測定する。これにより、連続給紙枚数に応じて用紙100の帯電量がどのように変化するかが分かるので、連続給紙枚数に応じて印加電圧をどのように補正しなければならないかを求めることができる。
【0094】
本実施形態では、実験によって求めた連続給紙補正値を、連続給紙補正値テーブルとして制御部34に記憶しておく構成としている。この連続給紙補正値テーブルは、例えば図6のように、連続給紙枚数と、連続給紙補正値と、の関係を記憶したテーブルである。本願発明者の実験によれば、用紙100の帯電量は、連続給紙枚数が多くなるに従っていったん減少し、その後増加する傾向にあることがわかった。そこで連続給紙補正値も、図6に示すように、連続給紙枚数が多くなるに従っていったんマイナスとなり、その後プラスに転じるようになっている。このように、実験から得た連続給紙補正値をテーブルとして記憶しておけば、制御部34は、給紙時の連続給紙枚数に基づいてテーブルを参照するという簡単な処理により、適切な連続給紙補正値を取得することができる。
【0095】
なお本実施形態では、図6に示すように、連続給紙枚数が1枚のときの連続給紙補正値、連続給紙枚数が5枚のときの連続給紙補正値、連続給紙枚数が10枚のときの連続給紙補正値・・・というように、連続給紙枚数が所定枚数となったときの連続給紙補正値が、連続給紙補正値テーブルに記憶されている。制御部は、連続給紙枚数が前記所定枚数となるたびに、印加電圧の補正を行う。
【0096】
具体的説明すると以下の通りである。用紙100の給紙が開始されると、制御部34は、連続給紙枚数のカウントアップを開始するとともに、連続給紙枚数が1枚のときの連続給紙補正値を、連続給紙補正値テーブルから読み出す。そして制御部34は、読み出した連続給紙補正値を用いて、印加電圧の補正を行い、除電部20に電圧を印加して用紙100の除電を行う。制御部34は、連続給紙枚数が次の所定枚数(この場合は5枚)に達するまでの間は、直前に読み出した連続給紙補正値を用いて、用紙100の除電を行う。連続給紙枚数が次の所定枚数(この場合は5枚)に達すると、制御部34は、次の連続給紙補正値(この場合は、連続給紙枚数が5枚のときの連続給紙補正値)を、連続給紙補正値テーブルから読み出す。そして制御部34は、読み出した連続給紙補正値を用いて、印加電圧の補正を行い、除電部20に電圧を印加して用紙100の除電を行う。用紙100の連続給紙が中断まはた停止されたときには、制御部34は、連続給紙枚数をゼロに戻す。以上処理を繰り返すことにより、連続給紙枚数に応じた適切な電圧を、用紙100に印加することができる。
【0097】
また、用紙100の帯電量は、用紙の種類によっても異なる。そこで、本実施形態において制御部34は、用紙の種類に応じた補正値(用紙種類補正値)によって印加電圧を補正するように構成されている。ここで、用紙種類としては、例えば、「普通紙」「厚紙」「再生紙」「OHP」「薄紙」「光沢紙」などが挙げられる。
【0098】
用紙の種類に応じた用紙種類補正値は、実験によって予め求めておくことができる。例えば、用紙100の種類を異ならせて当該用紙100を給紙する実験を行い、そのときの用紙100の帯電量を測定する。これにより、用紙の種類に応じて帯電量がどのように変化するかが分かるので、用紙の種類に応じて印加電圧をどのように補正しなければならないかを求めることができる。
【0099】
本実施形態では、実験によって求めた用紙種類補正値を、用紙種類補正値テーブルとして制御部34に記憶しておく構成としている。この用紙種類補正値テーブルは、例えば図7のように、用紙の種類と、用紙種類補正値と、の関係を記憶したテーブルである。このように、実験から得た用紙種類補正値をテーブルとして記憶しておけば、制御部34は、用紙の種類に基づいてテーブルを参照するという簡単な処理により、正確な用紙種類補正値を取得することができる。
【0100】
また、用紙100の帯電量は、給紙ローラ21の回転速度(線速)によって異なる。そこで、本実施形態において制御部34は、給紙時における給紙ローラ21の回転速度に応じた補正値(ローラ回転速度補正値)によって印加電圧を補正するように構成されている。
【0101】
給紙ローラ21の回転速度に応じたローラ回転速度補正値は、実験によって予め求めておくことができる。例えば、給紙ローラ21の回転速度を異ならせて当該用紙100を給紙する実験を行い、そのときの用紙100の帯電量を測定する。これにより、給紙ローラ21の回転速度に応じて帯電量がどのように変化するかが分かるので、給紙ローラ21の回転速度に応じて印加電圧をどのように補正しなければならないかを求めることができる。
【0102】
本実施形態では、実験によって求めたローラ回転速度補正値を、ローラ回転速度補正値テーブルとして制御部34に記憶しておく構成としている。このローラ回転速度類補正値テーブルは、例えば図8のように、給紙ローラ21の回転速度と、ローラ回転速度補正値と、の関係を記憶したテーブルである。給紙ローラ21の回転速度が遅いほど、用紙100の帯電量は少なくなる。そこで、図8に示すように、ローラ回転速度が基準の速度よりも遅い場合には、ローラ速度補正値をマイナス側に大きくすることで、印加電圧を小さくするように補正する。このように、実験から得たローラ回転速度補正値をテーブルとして記憶しておけば、制御部34は、給紙ローラの回転速度に基づいてテーブルを参照するという簡単な処理により、正確なローラ回転速度補正値を取得することができる。
【0103】
以上をまとめると、除電部20に印加すべき印加電圧は、最終的に以下の式で求めることができる。
印加電圧=基本印加電圧+温湿度補正値+連続給紙補正値+用紙種類補正値+ローラ回転速度補正値
【0104】
制御部34が行う具体的な制御は、以下のとおりである。
【0105】
ユーザが操作パネル77を操作する等により所定の印刷指示(給紙指示)を行うと、所定の印刷開始指令信号が制御部34に入力される。制御部34は、印刷開始指令信号を受けると、温湿度センサ19の出力値に基づいて現在の温度と湿度を取得するとともに、取得した温度及び湿度に基づいて、温湿度補正値テーブルから温湿度補正値を取得する。
【0106】
また制御部34は、現在の連続給紙枚数に基づいて、連続給紙補正値テーブルから連続給紙補正値を取得する。
【0107】
また、上記ユーザによる印刷指示には、給紙部32の動作を指定する給紙設定が含まれている。この給紙設定には、給紙する用紙の種類を指定する項目が含まれる。例えばユーザは、操作パネル77を操作することにより、普通紙に印刷するか、光沢紙に印刷するか、などを選択することができるようになっている。制御部34は、ユーザから受けた印刷指示に係る給紙設定から、用紙種類を取得し、当該用紙種類に基づいて、用紙種類補正値テーブルから用紙種類補正値を取得する。
【0108】
また、給紙ローラ21の回転速度は、用紙の種類や、印刷品質などによって適宜変更される。制御部34は、用紙の種類及び印刷品質などに応じて最適な給紙ローラ21の回転速度を決定するとともに、当該回転速度に基づいて、ローラ回転速度補正値テーブルからローラ回転速度補正値を取得する。
【0109】
そして制御部34は、上記のようにして求めた温湿度補正値、連続給紙補正値、用紙種類補正値、及びローラ回転速度補正値によって印加電圧初期値を補正して、除電部20に印加すべき印加電圧を決定する。
【0110】
そして制御部34は、給紙ローラ21を駆動して用紙100の給紙を開始するのと同時に、又はこれと前後して、除電部20に対する電圧の印加を開始する。このとき、上記のように補正された印加電圧を除電部20に印加することにより、温度及び湿度、その他の要因によって変動する帯電量に応じた除電を行うことができるので、用紙100の重送を効果的に防止することができる。
【0111】
ところで、上記のように除電部20による除電を行っても、用紙100の帯電電圧を完全にゼロにすることができない場合もある。そこで、本実施形態の複合機75においては、給紙部32の下流側に配置されるレジストローラ対23は接地されている。これにより、用紙100がレジストローラ対23によって搬送されることで、当該用紙100に電荷が残っていたとしても、当該電荷をレジストローラ対23から逃がすことができる。
【0112】
なお、レジストローラ対23と、転写ローラ16と、の間に用紙100がまたがって搬送されるときに、トナー像が転写された用紙100の電荷がレジストローラ対23から流出してしまうと、当該用紙100に形成される画像品質に悪影響を及ぼすおそれがある。そこで、本実施形態の複合機75において、レジストローラ対23は、用紙100の電荷を接地へと緩やかに流すように構成されている。より具体的には、レジストローラ対23は、抵抗35を介して接地されている。このように構成することにより、トナー像が転写された用紙100の電荷がレジストローラ対23を介して流出してしまうことを抑止できる。
【0113】
以上で説明したように、本実施形態の複合機75は、給紙部32と、温湿度センサ19と、除電部20と、制御部34と、を備える。給紙部32は、用紙100を蓄積可能であるとともに、用紙100を給紙する。温湿度センサ19は、温度及び湿度を測定する。除電部20は、給紙部32から給紙される用紙100に電圧を印加することにより、前記用紙100の除電を行う。制御部34は、給紙部32によって用紙100を給紙させる際に、除電部20の印加電圧を、温湿度センサ19の測定結果に基づいて決定する。
【0114】
即ち、用紙100の帯電量は、周囲の温度及び湿度によって異なる。そこで上記のように、用紙100を除電する際の印加電圧を、温度及び湿度に基づいて決定することにより、摩擦帯電した用紙100を最適な条件で除電でき、用紙100の重送を効果的に防止できる。また、温度及び湿度を測定する温湿度センサ19は、用紙100の帯電量を直接測定する測定器に比べて安価なため、コストの上昇を抑えることができる。
【0115】
また本実施形態の複合機75において、制御部34は、温湿度センサ19の測定結果に対応する温湿度補正値を記録した温湿度補正値テーブルを有している。そして当該制御部34は、温湿度センサ19の測定結果に応じた温湿度補正値を温湿度補正値テーブルから取得するとともに、取得した温湿度補正値によって、印加電圧の初期値を補正する。
【0116】
このように、適切な補正値テーブルを予め設けておけば、そのときの温度及び湿度に応じて適切に除電を行うことが可能である。
【0117】
また本実施形態の複合機75において、制御部34は、連続給紙枚数に対応する連続給紙補正値を記録した連続給紙補正値テーブルを有している。そして当該制御部34は、前記連続給紙枚数に応じた連続給紙補正値を連続給紙補正値テーブルから取得するとともに、取得した連続給紙補正値によって、印加電圧の初期値を補正する。
【0118】
このように、連続給紙枚数によって変動する摩擦帯電量を考慮に入れて、印加電圧を決定することにより、より高精度な除電が可能である。
【0119】
また本実施形態の複合機75において、制御部34は、用紙の種類に対応する用紙種類補正値を記録した用紙種類補正値テーブルを有している。そして当該制御部34は、ユーザから受けた給紙指示に係る給紙設定から用紙の種類を取得し、前記用紙の種類に応じた用紙種類補正値を用紙種類補正値テーブルから取得するとともに、取得した用紙種類補正値によって、印加電圧の初期値を補正する。
【0120】
このように、用紙の種類によって変動する摩擦帯電量を考慮にいれて、印加電圧を決定することにより、より高精度な除電が可能である。
【0121】
また本実施形態の複合機75は、以下のように構成されている。即ち、前記給紙部32は、用紙100を繰り出すための給紙ローラ21を備える。また制御部34は、給紙ローラ21の回転速度に対応するローラ回転速度補正値を記録したローラ回転速度補正値テーブルを有している。そして当該制御部34は、給紙実行時における給紙ローラ21の回転速度に応じたローラ回転速度補正値をローラ回転速度補正値テーブルから取得するとともに、取得したローラ回転速度補正値によって、印加電圧の初期値を補正する。
【0122】
このように、給紙ローラの回転速度によって変動する摩擦帯電量を考慮にいれて、印加電圧を決定することにより、より高精度な除電が可能である。
【0123】
また本実施形態の複合機75において、給紙部32は、積層された用紙100を最上層から取り出して給紙するように構成され、除電部20は、給紙部32から給紙された用紙100の下面を除電するように構成されている。
【0124】
即ち、最上層の用紙100が給紙される際には、当該用紙100の下面が他の用紙と摩擦帯電することになる。そこで、当該用紙100の下面を除電するように構成することにより、高い除電効果を発揮できる。
【0125】
また本実施形態の複合機75は、以下のように構成されている。即ち、給紙部32の用紙給紙方向下流側には、用紙100を搬送するためのレジストローラ対23が配置される。当該レジストローラ対23は接地されるとともに、接地へと向かう電流を緩やかに流す。
【0126】
これにより、除電部20による除電では用紙100の電荷が完全に消失しなかった場合でも、接地されたレジストローラ対23を用紙が通過することによって、残りの電荷を逃がすことができる。また、レジストローラ対23を伝って地面へと向かう電流を緩やかに流すことによって、転写ローラ16による転写電圧を受けた用紙100上の電荷が、接地されるレジストローラ対23から流失してしまうことを抑止できる。
【0127】
また本実施形態の複合機75において、温湿度センサ19は、用紙100を蓄積する給紙カセット79内に設けられている。
【0128】
このように、用紙100が収容されている給紙カセット79内で温度及び湿度を測定することにより、用紙100の置かれた環境を正確に測定することができるので、より正確に印加電圧を決定可能である。
【0129】
また本実施形態の複合機75は、上記の構成によって給紙された用紙に画像を形成する画像形成部11を備えている。
【0130】
この複合機75は、低コストで、確実に重送を効果的に防止できる。しかも、静電気が除去された用紙100に画像を形成することができるので、画像形成工程においてトナー飛散などの問題が発生することを防止することができる。
【0131】
また本実施形態の複合機75は、以下のように構成されている。即ち、画像形成部11の転写ローラ16には、給紙された用紙100に画像を形成するために電圧が印加されている。温湿度センサ19は、転写ローラ16に印加する印加電圧及び印加時間を調整するための測定部を兼ねている。
【0132】
即ち、画像形成プロセスにおいても、除電プロセスと同様に、印加電圧又は印加時間を温度及び湿度を測定する温湿度センサ19を使用しているため、画像形成プロセスのために搭載されている温湿度センサ19を除電プロセスに流用可能である。これにより、装置コストを抑えることができる。
【0133】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記の実施形態と同一又は類似の構成については、要素名及び図面に同一の符号を付して説明を省略する。
【0134】
この本実施形態では、図9に示すように、用紙100の下面に加え、用紙100の上面、及び給紙ローラ21の除電も行うように構成されている。このように、除電部20を複数箇所に設け、複数箇所で除電を行っても良い。複数箇所で除電を行うことにより、用紙100をムラなく除電することができる。
【0135】
また本実施形態では図9に示すように、給紙ローラ21の回転軸17に対して電圧を印加する構成としている。この構成によれば、除電布などの追加の部材を配置せずに給紙ローラ21の除電を行うことができる。この構成の場合は、給紙ローラ21の回転軸17に対して直接電圧を印加して、当該給紙ローラ21によって用紙100の除電を行っているので、給紙ローラ21自体が除電部として機能していると言うことができる。もちろん、給紙ローラ21の表面に除電布を近接又は接触させて、当該除電布に電圧を印加することにより給紙ローラ21を除電する方法であっても良い。
【0136】
以上のように、給紙ローラ21の除電を行うことにより、当該給紙ローラ21に接触して給紙される用紙100を間接的に除電することができる。なお、給紙ローラ21は、用紙100を搬送する際に、当該用紙100と接触を繰り返すので、静電気が貯まり易い部材である。この点、本実施形態のように給紙ローラ21の除電を行うことで、給紙ローラ21自体に帯電した静電気も除電できる。このように、給紙ローラ21を除電する構成とすることにより、用紙100と給紙ローラ21自体の両方に帯電した静電気を除去することができる。
【0137】
また本実施形態では、図9に示すように、用紙100の上面を除電する除電部20を、用紙100の搬送方向で複数配置している。これにより、用紙100の除電を広範囲で効率良く行うことが可能になり、結果として必要な印加電圧も減少する。
【0138】
なお、用紙100の下面を除電する除電部20は、分離パッド31の近傍などの限られた位置にしか配置できないので、用紙100の下面を広範囲で効率良く除電することは難しい。この点、給紙カセット79に積層された用紙100の上方にはスペースが形成されているので、当該上面を除電するための除電部20を比較的自由に配置することができる。このように、用紙100の上面においては除電部20の配置の自由度が高いので、用紙100の除電を広範囲に除電したい場合には、除電部20を用紙100の上面側に配置することが好適である。ただし、配置の自由度が高いと言っても、少なくとも用紙100の搬送方向下流側の端部近傍には除電部20を配置することが好ましい。除電部20は、配置された位置よりも上流側を除電することはできないためである。
【0139】
以上のように除電部を複数設けた場合には、除電を行う位置によって印加電圧を異ならせることにより、より最適な除電を行うことができる。そこで本実施形態では、複数の除電部20それぞれに印加する電圧を決定する際の印加電圧初期値を、各除電部20で異ならせている。これにより、除電部20の位置に応じて、適切な電圧を印加して除電を行うことができる。
【0140】
また本実施形態の複合機75は、複数の除電部を有しているので、用紙の搬送方向の複数箇所で除電を行うことができる。そこで本実施形態では、各除電部に電圧を印加するタイミングを異ならせている。例えば、用紙100の搬送方向上流側の除電部から下流側の除電部に向けて、用紙100の搬送速度に応じて順番に電圧を印加していく。これにより、用紙100の搬送動作に応じた最適なタミングで除電を行うことができる。また、用紙100の搬送方向のサイズに応じて、前記タインミングを変化させるように構成すれば、用紙サイズに応じた適切な除電を行うことができる。
【0141】
以上で説明したように、本実施形態の複合機75において、給紙部32に蓄積されている用紙100を取り出すための給紙ローラ21は、除電部として機能する。
【0142】
この構成によれば、給紙ローラ21に電圧を印加するだけでよく、除電する部材を別途設ける必要がない。
【0143】
また本実施形態の複合機75は、用紙100の搬送方向で複数箇所に除電部を有し、各除電部への印加タイミングを異ならせている。
【0144】
これにより、用紙100に対する除電をムラなく行え、かつ用紙搬送動作及び用紙サイズに応じた適切な除電を行うことができる。
【0145】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0146】
本発明の構成は、画像形成装置の給紙装置に限らず、例えばADF付きのスキャナなど、積層された用紙を一枚ずつ分離して給紙する給紙装置全般に適用することができる。
【0147】
上記実施形態では、温度及び湿度に基づいて除電部に対する印加電圧を決定するとして説明したが、温度又は湿度の何れか一方のみに基づいて印加電圧を決定する構成であっても良い。
【0148】
また上記実施形態では、各種条件に応じて除電部に対する印加電圧を補正する構成としたが、これに代え、又はこれに加えて、各種条件に応じて印加時間(除電部に対して電圧を印加する時間)を補正するように構成しても良い。具体的には、制御部34に、印加時間の初期値である印加時間初期値を予め設定しておく。また、温度及び湿度などの条件に応じて、前記印加時間初期値を補正するための補正値を記憶したテーブルを、制御部34に記憶しておく。そして制御部34は、各種条件に応じた補正値をテーブルから取得し、印加時間初期値を補正値で補正して、除電部20に対して電圧を印加する時間を決定する。これにより、用紙100の帯電量に応じて印加時間を調整できるので、用紙の除電を適切に行うことができる。
【0149】
上記実施形態では、連続給紙枚数、用紙種類、給紙ローラ回転速度によって印加電圧を更に補正するものとしたが、当該補正処理の一部又は全部を省略しても良い。
【0150】
また上記説明では、印加電圧の初期値を補正するための補正値をテーブルに基づいて決定する構成としたが、補正値の決定方法はこれに限らない。例えば補正値を算出するための関数を制御部34に設定しておき、当該関数に基づいて補正値を算出するように構成することもできる。
【0151】
上記実施形態では、レジストローラ対23に抵抗35を繋ぐことにより、用紙100の電荷をレジストローラ対23を介して緩やかに流すとしたが、例えばレジストローラ自体を半導電性の素材で構成することにより、電荷を緩やかに流す構成としても良い。
【0152】
除電部20が用紙100を除電する手段は、除電布(除電ブラシ)に限らない。例えば、除電布に代えて、用紙100の幅方向に複数の除電針を並べ、当該除電針に電圧を印加することにより、当該除電針と用紙100の表面との間にコロナ放電を発生させて除電する構成としても良い。
【0153】
上記第2実施形態において、除電する部位に応じて印加電圧の初期値を変えるとして説明したが、これに変え、あるいはこれに加えて、除電する部位ごとに異なる補正値のテーブルを用意するように構成することもできる。このように補正値のテーブルを除電部位ごとに異ならせることで、部位に応じた適切な印加電圧で除電を行うことができる。
【符号の説明】
【0154】
19 温湿度センサ(測定部)
20 除電部
21 給紙ローラ
32 給紙部
34 制御部
75 複合機(給紙装置、画像形成装置)
100 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を蓄積可能であるとともに、当該用紙を給紙する給紙部と、
温度及び湿度の少なくとも何れか一方を測定する測定部と、
前記給紙部から給紙される用紙に電圧を印加することにより、前記用紙の除電を行う除電部と、
前記給紙部によって用紙を給紙させる際に、前記除電部の印加電圧及び印加時間の少なくとも何れか一方を、前記測定部の測定結果に基づいて決定する制御部と、
を備えることを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記制御部は、前記測定部の測定結果に対応する補正値を記録した補正値テーブルを有しており、
当該制御部は、前記測定部の測定結果に応じた補正値を前記補正値テーブルから取得するとともに、取得した前記補正値によって、前記印加電圧及び前記印加時間の少なくとも何れか一方の初期値を補正することを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の給紙装置であって、
前記制御部は、連続給紙枚数に対応する補正値を記録した連続給紙補正値テーブルを有しており、
当該制御部は、前記連続給紙枚数に応じた補正値を前記連続給紙補正値テーブルから取得するとともに、取得した前記補正値によって、前記印加電圧及び前記印加時間の少なくとも何れか一方の初期値を補正することを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の給紙装置であって、
前記制御部は、用紙の種類に対応する補正値を記録した用紙種類補正値テーブルを有しており、
当該制御部は、ユーザから受けた給紙指示に係る給紙設定から用紙の種類を取得し、前記用紙の種類に応じた補正値を前記用紙種類補正値テーブルから取得するとともに、取得した前記補正値によって、前記印加電圧及び前記印加時間の少なくとも何れか一方の初期値を補正することを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の給紙装置であって、
前記給紙部は、用紙を繰り出すための給紙ローラを備え、
前記制御部は、前記給紙ローラの回転速度に対応する補正値を記録したローラ回転速度補正値テーブルを有しており、
当該制御部は、給紙実行時における前記給紙ローラの回転速度に応じた補正値を前記ローラ回転速度補正値テーブルから取得するとともに、取得した前記補正値によって、前記印加電圧及び前記印加時間の少なくとも何れか一方の初期値を補正することを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の給紙装置であって、
前記給紙部は、積層された用紙を最上層から取り出して給紙するように構成され、
前記除電部は、前記給紙部から給紙された用紙の下面を除電することを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項1から6までの何れか一項に記載の給紙装置であって、
前記除電部は、前記給紙部に蓄積されている用紙を取り出すための給紙ローラであることを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項1から7までの何れか一項に記載の給紙装置であって、
上記の給紙装置において、前記用紙の搬送方向で複数箇所に除電部を有し、各除電部への印加タイミングが異なることを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
請求項1から8までの何れか一項に記載の給紙装置であって、
前記給紙部の用紙給紙方向下流側には、前記用紙を搬送するためのレジストローラ対が配置され、
当該レジストローラ対は接地されるとともに、接地へと向かう電流を緩やかに流すように構成されていることを特徴とする給紙装置。
【請求項10】
請求項1から9までの何れか一項に記載の給紙装置であって、
前記測定部は、用紙を蓄積する給紙カセット内に設けられていることを特徴とする給紙装置。
【請求項11】
請求項1から10までの何れか一項に記載の給紙装置と、
当該給紙装置によって給紙された用紙に画像を形成する画像形成部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成装置であって、
前記画像形成部には、給紙された用紙に画像を形成するために電圧が印加され、
前記測定部は、前記画像形成部に印加される印加電圧及び印加時間の少なくとも何れか一方を調整するための測定部を兼ねていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−250795(P2012−250795A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123689(P2011−123689)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】