説明

給電コネクタ、及び当該給電コネクタを有する静電チャック装置

【課題】 長時間真空下で装置を動作させる場合において真空状態を安定に維持することができ、大気と真空状態を交互に繰り返す作業時には空気の出入りを防止して給電コネクタと装置本体との接点部での真空放電を防止し、かつ均一な品質が得られる給電コネクタ、及び当該給電コネクタを有する静電チャック装置を提供する。
【解決手段】 導線31及び該導線31が先端で延出して露出するようにこれを被覆する被覆層32を有するリード線30を接続する給電コネクタ100であって、前記リード線30が挿入される挿入孔13が形成されたコネクタ本体10と、該コネクタ本体10に取り付けられて前記導線31と電気的に接続される給電ピン20とを具備し、前記被覆層32の端部ないし該端部から延出した導線31の一部が位置する場所に、樹脂60が充填される樹脂充填部12が形成されていることを特徴とする給電コネクタ100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給電コネクタ、及び当該給電コネクタを有する静電チャック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶用ガラス基板などの電子部品等を加工する作業の中には、真空中で行われるものがある。その真空中での作業時には、例えば、真空チャンバ内に、電子部品等に対して用いる装置を設置する。このような装置は、装置本体と、該装置本体に電気を供給するための給電コネクタを有する。この給電コネクタには、リード線が設けられており、このリード線は真空チャンバ外に引き出され、外部の電源に接続される。
前記装置としては、例えば静電チャック装置、蒸着装置、スパッタ装置、重合プロセス装置、ドライエッチング装置、化学蒸着(CVD)装置、表面改質装置等が挙げられる。
例えば静電チャック装置は、基盤及びその上に設けられた電極シートを有する装置本体と、この装置本体の電力端子に取り付けられた給電コネクタを有する。
作業時には、外部の直流高圧電源からリード線を通じて給電コネクタに電気を供給し、この給電コネクタを介して電極シートに通電する。これにより、該電極シートの上面に静電気力が生じる。そして、その静電気力により、電極シート上面に液晶用ガラス基板等が吸着固定されるようになっている。
【0003】
このような静電チャック装置等の真空中で使用される装置の装置本体に取り付けられる給電コネクタとしては、従来、例えば図6に示すようなものが提案されている。
図6の給電コネクタは、上方に開口した小径のピン孔41及びピン孔41に連通した大径の給電孔42が形成されたコネクタ本体43と、給電孔42の開口部を塞ぐように給電孔42内に挿入されたカップ44と、カップ44内に配置された給電ピン45と、一端が給電ピン45の終端部46に接し、かつ他端がカップ44の底部に接触した状態でカップ44内に配置され、給電ピン45の先端部47がコネクタ本体43上面のピン孔41から突出するように給電ピン45を上方に押し上げるバネ48とを具備して概略構成されるものである。
また、バネ48には、外部の直流高圧電源から伸び、カップ44の底部の孔49を通ってカップ44内に導かれたリード線24が、ハンダ等によって接続され、カップ44及びリード線24は、接着剤50によって、それぞれコネクタ本体43及びカップ44に固定されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−197726号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の給電コネクタにおいては、リード線24を構成する内部の導線と該導線を被覆している樹脂被覆層との間にわずかな隙間が存在する。そのため、長時間真空下で装置を動作させる場合において真空状態を安定に維持することができず、また、大気と真空状態を交互に繰り返す作業時においては、この隙間から空気が出入りして給電コネクタと装置本体との接点部で真空放電が起きるという問題がある。
【0005】
また、特許文献1に記載の給電コネクタは、カップ44が接着剤50によってコネクタ本体43に固定されているため、例えば静電チャックシートの貼り替え等の装置本体に対して作業を行う際に、リード線24が動くことによりコネクタ本体43から接着剤50が剥がれやすい。そして、この接着剤50が剥がれた所が、外部から進入してくる空気の通り道となり、空気が進入しやすくなってしまう。
さらに、前記カップ44を接着剤50によってコネクタ本体43に固定する操作は、人手によるものであるため、接着剤50の使用量にバラつきが生じやすく、均一な品質が得られない等の問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、長時間真空下で装置を動作させる場合において真空状態を安定に維持することができ、大気と真空状態を交互に繰り返す作業時には空気の出入りを防止して給電コネクタと装置本体との接点部での真空放電を防止し、かつ均一な品質が得られる給電コネクタ、及び当該給電コネクタを有する静電チャック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するべく検討を行った結果、以下の本発明の給電コネクタ、及び当該給電コネクタを有する静電チャック装置を発明するに至った。
本発明の第1の態様は、導線及び該導線が先端で延出して露出するようにこれを被覆する被覆層を有するリード線を接続する給電コネクタであって、前記リード線が挿入される挿入孔が形成されたコネクタ本体と、該コネクタ本体に取り付けられて前記導線と電気的に接続される給電ピンとを具備し、前記被覆層の端部ないし該端部から延出した導線の一部が位置する場所に、樹脂が充填される樹脂充填部が形成されていることを特徴とする給電コネクタである。
また、本発明において、前記挿入孔内で前記リード線にガスケットが設けられていることが好ましい。
また、本発明において、前記挿入孔は大径部とこれより内側の小径部とで形成され、前記ガスケットが大径部の内側端部に設けられていることが好ましい。
また、本発明において、前記給電ピンには、給電ピンの先端をコネクタ本体から突出させるバネ部材が巻き回されていることが好ましい。
本発明の第2の態様は、前記給電コネクタを有する静電チャック装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、長時間真空下で装置を動作させる場合において真空状態を安定に維持することができ、大気と真空状態を交互に繰り返す作業時には空気の出入りを防止して給電コネクタと装置本体との接点部での真空放電を防止し、かつ均一な品質が得られる給電コネクタ、及び当該給電コネクタを有する静電チャック装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の給電コネクタ、及び当該給電コネクタを有する静電チャック装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
≪給電コネクタ≫
図1は、リード線が接続された本発明の給電コネクタの一実施形態を示す側断面図である。図2は、図1の給電コネクタの給電面側を示す平面図である。なお、図1は、図2中のA−A線に沿う断面図である。
図1の給電コネクタ100は、導線31及び該導線31が先端で延出して露出するようにこれを被覆する被覆層32を有するリード線30を接続する給電コネクタ100であって、前記リード線30が挿入される挿入孔13が形成されたコネクタ本体10と、該コネクタ本体10に取り付けられて前記導線31と電気的に接続される給電ピン20とから概略構成されている。
【0011】
給電コネクタ100において、コネクタ本体10は直方体状で、その一面10a(給電面を示す。以下、便宜上上面ということがある。上面に対向する面を下面、これらに直交する面を側面という。)に開口する略直方体形状の凹部9を有しており、この凹部9は、仕切板14によって、給電ピン20が収められる給電ピン収納部11と樹脂充填部12とに仕切られている。
凹部9において、樹脂充填部12に対応する位置の底面9aは、給電ピン収納部11に対応する位置の底面9bよりもコネクタ本体10の下面10c側に配置されており、樹脂充填部12の深さは給電ピン収納部11の深さよりも深くなっている。なお、仕切板14には、図3に示す様に、後述する導線31を挿通するためのU字溝14aが設けられている。なお、仕切板が一体成形されたコネクタ本体を用いることもできる。
【0012】
そして、凹部9の開口部には、長方形板状の蓋体15がかぶせられている。
また、図2に示すように、コネクタ本体10の上面10aにおいて、蓋体15の周囲には溝16が設けられ、この溝16にOリング80が収められている。
さらに、コネクタ本体10の上面10aの四隅には、それぞれ挿通孔17が一つずつ設けられている。給電コネクタ100を給電対象とする装置本体に取り付ける際には、挿通孔17にボルト等が通される。そして、この取り付け部分は前記Oリング80によってシールされる。なお、Oリングは、給電対象とする装置本体側に設けてもよい。
【0013】
また、給電ピン20は、給電ピン収納部11に収められ、静電チャック装置等の給電対象の装置本体の電力端子に接続されるものである。
凹部9の開口部にかぶせられた蓋体15には、給電ピン収納部11に対応する範囲の中心付近に孔15aが設けられており、この孔15aから略円柱状の給電ピン20の先端が突出している。なお、給電ピン20には、その先端側にリング状のフランジ20aが設けられおり、このフランジ20aは蓋体15の内側に、蓋体15に接触する様に配置されている。これにより、孔15aから給電ピン20の先端が所定の長さだけ突出する様になっている。
給電ピン収納部11内において、フランジ20aの下方(給電ピン収納部11の底面9b側)の給電ピン20の周囲にはバネ部材23が巻き回されている。また、給電ピン収納部11の底面9b上には平板状の金属板25が配置され、給電ピン20の他端はこの金属板25に設けられた孔25aに挿入され、さらに、この給電ピン収納部11の底面9bに設けられた給電ピン20の外径に対応する大きさを有する凹部11aに挿入されて、この給電ピン20が支持されている。なお、給電ピン20と金属板25とは接触している。
そして、この給電ピン20は、バネ部材23によって上面10a(給電面)側に押し上げられる様に付勢され、給電ピン20の先端が、常に安定にコネクタ本体10から突出する様になっている。
【0014】
また、コネクタ本体10は、リード線30を挿入するための挿入孔13を有している。
この挿入孔13は、この例においては円柱状である。そして、この挿入孔13は、コネクタ本体10の側面10b(挿入口)に開口しており、その他端は樹脂充填部12の内壁12aに開口している。
挿入孔13は、コネクタ本体10の側面10b(挿入口)側の大径部13aと、これより内側(樹脂充填部12側)の小径部13bとから構成されている。
なお、大径部13aと小径部13bの中心軸は一致している。また、小径部13bの内径はリード線30の外径と略同一とされている。
一方、挿入孔13に挿入されているリード線30は、導線31及び該導線31が先端で延出して露出するようにこれを被覆する被覆層32を有する。
そして、リード線30は、大径部13aの内径と略同一の径を有し、孔18aが設けられたネジ18と、プラスチック等からなるリング35と、ゴム等の弾性体からなるガスケット34に順に通され、前記ネジ18が大径部13aの内壁に刻まれたネジ山13cに螺合されることにより、コネクタ本体10と一体化されている。
なお、挿入孔13内で、ガスケット34は、上述の様に前記リード線30に通され、大径部13aの内側端部に設けられている。これにより、リード線30の被覆層32の周囲がシールされるとともに、大径部13aから小径部13bへの空気の進入等の空気の出入りを防止することができ、さらにリード線30を固定することができる。
ガスケット34としては、Oリング等が好ましく用いられる。
【0015】
また、リード線30の被覆層32の端部ないし該端部から延出した導線31の一部が位置する場所には、樹脂60が充填された樹脂充填部12が配置されている。そして、この樹脂充填部12内には、樹脂60が充填されている。これにより、被覆層32の端部と該端部から延出した導線31とは、樹脂60によって一体に被覆されている。
その結果、被覆層32の端部において、導線31と被覆層32との間のわずかな隙間が樹脂60によって埋められる。これにより、給電コネクタ100を有する装置を真空チャンバ内に配置し、真空操作を行う際に、前記隙間から空気が進入する等の空気の出入りが防止されて真空状態を安定に維持することができ、給電コネクタ100と装置本体との接点部での真空放電を防止することができる。
また、一定の容積を有する樹脂充填部12内に樹脂60を充填するため、樹脂60を一定量、安定、かつ確実に充填することができる。これにより、樹脂60の充填量のバラつきを抑えることができ、均一な品質を得ることができる。
樹脂充填部12は、仕切板14によって給電ピン収納部11と仕切られ、かつ樹脂充填部12の内壁12aによって挿入孔13と仕切られているので、樹脂60を安定に充填することができる。そして、底面9a、仕切板14、内壁12aその他内壁に囲まれているので、樹脂60を安定に充填することができる。
また、樹脂充填部12は、少なくとも給電ピン収納部11と挿入孔13との間に形成され、被覆層32の端部ないし該端部から延出した導線31の一部を収納し、樹脂60を充填することができればよく、その形状、大きさ、形態は特に限定するものではない。
なお、本発明において「仕切られている」とは、給電ピン収納部11と樹脂充填部12、樹脂充填部12と挿入孔13との間が区切られていればよいものとする。例えば、蓋体15がかぶせられておらず、上面10a側が開口していてもよい。ただし、この例の様に、コネクタ本体10の下面10c側及び側面側は、底面9a及び樹脂充填部12を構成する内壁によって囲まれていることが、樹脂60を安定に充填するためには好ましい。
また、樹脂60の充填量は、樹脂充填部12の容積に対して2/3〜3/4程度の量とすることが好ましい。
【0016】
また、リード線30の先端30aを構成する導線31は、仕切板14のU字溝14aを通され、給電ピン収納部11に配置されている。
そして、この先端30aは、ハンダ70を用いて金属板25に接続されている。金属板25は給電ピン20と接触しているので、リード線30から電気を供給すると、先端30aを構成する導線31から金属板25を経て給電ピン20に電気が供給され、その先端から静電チャック等の装置本体に設けられた電力端子に電気が供給される。
なお、リード線30は、給電ピン20と電気的に接続されていればよく、導線31が、直接、給電ピン20とハンダ70等によって接続されていてもよい。ただし、上記の例の様に金属板25を用いると、作業性が向上し、接続部分の機械的強度も向上させることができる。
【0017】
この例において、コネクタ本体10の大きさは、約25×50×18(mm)である。
また、給電ピン収納部11の大きさは、約9×13.66×9.2(mm)であり、樹脂充填部12の大きさは、約9×3×11.2(mm)である。
大径部13aの内径は約10(mm)、長さは約12(mm)である。また、小径部13bの内径は約5(mm)、長さは約2.43(mm)である。
凹部11aの深さは、約5.5(mm)、径が約2.3(mm)である。
リード線30の外径は約5(mm)、導線31の外径は約2.5(mm)である。また、被覆層32の端部から延出した導線31の長さは約5(mm)である。
給電ピン20の大きさは、径が約2(mm)、長さが約15.5(mm)である。
フランジ20aの大きさは、径が約4(mm)、厚さが約1(mm)であり、給電ピン20の先端から約2.5(mm)の位置に設けられている。
【0018】
コネクタ本体10の材質は、特に限定はされないが、例えば、プラスチック、セラミック等が挙げられる。中でも、給電コネクタ100が軽量化されて静電チャック等の装置本体との着脱が容易となる点、及び加工のしやすさなどの点から、プラスチックが好適に用いられる。
このようなプラスチックとしては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルサルフォン等が挙げられる。中でも、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアセタール樹脂、フッ素系樹脂が好ましい。
蓋体15の材質としては、コネクタ本体10と同様のものを用いることができる。
【0019】
給電ピン20の材質としては、導電性材料からなるものであればよく、特に限定はされないが、例えば、銅、銅合金、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銀、金などが挙げられる。中でも、銅合金が好ましく、真鍮がより好ましい。
金属板25の材質としては、給電ピン20と同様のものを用いることができる。
バネ23の材質としては、金属製で、かつバネ弾性を有するものであればよく、中でもステンレス鋼(SUS)が好ましく用いられる。
【0020】
ガスケット34の材質としては、例えば、絶縁性弾性体、絶縁性プラスチック、セラミックス、ガラス、金属酸化物等が挙げられる。中でも、弾性変形によってリード線30の被覆層32の周囲及び大径部13aの内側端部とのシール性が良好なことから、絶縁性弾性体が好ましく、その中でも絶縁性ゴムがより好ましい。特に、電気絶縁性、耐熱性の点で、シリコーンゴムが好ましい。
【0021】
樹脂60としては、特に限定はされないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、オレフィン系共重合体、ポリフェニルエーテル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。中でも、エポキシ樹脂が好ましい。
【0022】
本発明の給電コネクタ100の組立て方法は、特に限定はされないが、例えば、図1に示すリード線30が接続された給電コネクタ100は、以下のように組み立てることができる。
まず、リード線30に、ネジ18とリング35とガスケット34とを順に通して、該リード線30をコネクタ本体10の側面10b(挿入口)より導入する。
次に、リード線30の先端30aを、金属板25に、ハンダ70により接続する。
次いで、コネクタ本体10の凹部9に仕切板14を設置して給電ピン収納部11と樹脂充填部12を形成しながら、該給電ピン収納部11の底面9bに、リード線30の先端30aがハンダ70付けされた上記金属板25を配置する。このとき、リード線30の被覆層32の端部ないし該端部から延出した導線31の一部が位置するように樹脂充填部12内に配置する。
その後、樹脂60を樹脂充填部12に充填する。これにより、導線31と被覆層32との間の隙間が樹脂60によって埋められる。
そして、ネジ18をネジ山13cに螺合し、リード線30をコネクタ本体10と一体化させる。これにより、リード線30が固定される。
次に、給電ピン20にバネ部材23を巻き回し、該給電ピン20のフランジ20aが設けられた先端とは反対の先端を金属板25に設けられた孔25aに挿入し、さらに給電ピン収納部11の底面9bに設けられた凹部11aに挿入して給電ピン20を支持する。
そして、蓋体15を、給電ピン収納部11に収めた給電ピン20のフランジ20aが設けられている側の先端が、蓋体15の中心付近にある孔15aを通じてコネクタ本体10から突出するように、給電ピン収納部11と樹脂充填部12の開口部分にかぶせる。
その後、溝16にOリング80を接着する。以上により、リード線30が接続された給電コネクタ100が完成する。
【0023】
≪静電チャック装置≫
本発明の静電チャック装置は、本発明の給電コネクタと静電チャック装置本体とを有するものである。
図4に、静電チャック装置本体の一実施形態例を示す。
静電チャック装置本体200としては、例えば前記給電コネクタ100を取り付けることができるものであれば特に限定されない。
この図の静電チャック装置本体200は、基盤95と、その上に設けられた電極シート90とを有している。
電極シート90は、樹脂シート中に設けられた導電層を有している。電極シート90には、側縁部に舌状の給電部91(電力端子)が形成され、該給電部91(電力端子)の中央付近には、導電層の露出部92が形成されている。また、給電部91(電力端子)の周縁付近には、給電コネクタ100を着脱可能に取り付けるためのボルト孔93が設けられている。
【0024】
本発明の静電チャック装置は、例えば図5に示すように、静電チャック装置本体200に、本発明の給電コネクタ100が取り付けられたものである。なお、図5中、給電コネクタ100にはリード線30が接続されている。
給電コネクタ100は、給電コネクタ100のコネクタ本体10の四隅に設けられた挿通孔17にボルトを通し、該ボルトを静電チャック装置本体200の給電部91(電力端子)に設けられたボルト孔93に螺合させることによって、静電チャック装置本体200に取り付けられる。
このとき、給電コネクタ100の給電面(図示略)から突出している給電ピン(図示略)の先端と、静電チャック装置本体200の導電層の露出部92とが接触する。これにより、外部の直流高圧電源等からリード線30を通じてコネクタ本体10に電気が供給され、該コネクタ本体10を介して静電チャック装置本体200に電気を供給することができる。
【0025】
本発明によれば、長時間真空下で装置を動作させる場合において真空状態を安定に維持することができ、大気と真空状態を交互に繰り返す作業時には空気の出入りを防止して給電コネクタ100と装置本体200との接点部での真空放電を防止し、かつ均一な品質が得られる給電コネクタ100、及び当該給電コネクタ100を有する静電チャック装置を提供することができる。
また、本発明によれば、樹脂60を充填する際、一定の容量を持つ樹脂充填部12に樹脂60を充填すればよいことから、樹脂60の充填量のバラつきを抑えることができるとともに、作業効率が向上する。
また、本発明の給電コネクタ100を有する静電チャック装置は、給電コネクタ100を容易に取り外すことが可能であり、故障等の際に、給電コネクタ100又は静電チャック装置本体200だけを交換することができる。
また、本発明は、静電チャック装置への利用に限定されず、蒸着装置、スパッタ装置、重合プロセス装置、ドライエッチング装置、化学蒸着(CVD)装置、表面改質装置等の真空中での作業時に用いられる装置にも利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】リード線が接続された本発明の給電コネクタの一実施形態を示す側断面図であり、図2中のA−A線に沿う断面図である。
【図2】図1の給電コネクタの給電面側を示す平面図である。
【図3】仕切板の一実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明における静電チャック装置本体の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】本発明の給電コネクタを有する静電チャック装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図6】従来の給電コネクタの一例を示す要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0027】
10 コネクタ本体
10a 給電面
11 給電ピン収納部
12 樹脂充填部
13 挿入孔
13a 大径部
13b 小径部
14 仕切板
14a U字溝
15 蓋体
17 挿通孔
18 ネジ
20 給電ピン
23 バネ部材
25 金属板
30 リード線
31 導線
32 被覆層
34 ガスケット
35 リング
60 樹脂
70 ハンダ
80 Oリング
90 電極シート
91 給電部
92 露出部
93 ボルト孔
95 基盤
100 給電コネクタ
200 静電チャック装置本体


【特許請求の範囲】
【請求項1】
導線及び該導線が先端で延出して露出するようにこれを被覆する被覆層を有するリード線を接続する給電コネクタであって、
前記リード線が挿入される挿入孔が形成されたコネクタ本体と、該コネクタ本体に取り付けられて前記導線と電気的に接続される給電ピンとを具備し、前記被覆層の端部ないし該端部から延出した導線の一部が位置する場所に、樹脂が充填される樹脂充填部が形成されていることを特徴とする給電コネクタ。
【請求項2】
前記挿入孔内で前記リード線にガスケットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給電コネクタ。
【請求項3】
前記挿入孔は大径部とこれより内側の小径部とで形成され、前記ガスケットが大径部の内側端部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の給電コネクタ。
【請求項4】
前記給電ピンには、給電ピンの先端をコネクタ本体から突出させるバネ部材が巻き回されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の給電コネクタ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の給電コネクタを有する静電チャック装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−73363(P2007−73363A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−259645(P2005−259645)
【出願日】平成17年9月7日(2005.9.7)
【出願人】(000153591)株式会社巴川製紙所 (457)
【Fターム(参考)】