説明

緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で得られる微生物培養物ならびにそれらを用いた製品

【課題】
化粧料、飲料、食品又は飼料等の原料として、あるいは、これら製品又は原料に添加することにより、メラニン生成抑制及びそれらの酸化による品質低下防止や、それらを利用する人又は動物の生体内に発生する活性酸素やフリーラジカルの発生を消去もしくは抑制する天然物由来の抗酸化能を有する微生物培養物の提供。また、それらを用いた化粧料、飲料、食品又は飼料の提供。
【解決手段】
ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより、得ることができる。また、化粧料、飲料、食品又は飼料等の原料として、あるいは、これら製品又は原料に添加する添加物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
化粧料、飲料、食品又は飼料等の原料として、あるいは、これら製品又は原料に添加することにより、メラニン生成抑制及びそれらの酸化による品質低下防止や、それらを利用する人又は動物の生体内に発生する活性酸素やフリーラジカルの発生を消去もしくは抑制する天然物由来の抗酸化能を有する微生物培養物であって、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物に関する。さらに、本発明はそれらを用いた化粧料、飲料、食品又は飼料に関する。
【背景技術】
【0002】
日焼け等による肌の色黒化、シミ、ソバカス等は、黒褐色無定形の色素であるメラニンの生成によるものと考えられている。そこで、化粧品には、メラニン生成抑制物質が添加されていることが多い。
【0003】
このような目的のために、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその配糖体等、動植物からの抽出物を成分とするメラニン抑制物質が知られている。
【0004】
また、昨今、悪性新生物(がん等)、脳血管疾患や糖尿病などの生活習慣病が死亡原因の上位を占めている。その生活習慣病を引き起こす大きな原因として、活性酸素やフリーラジカルがある。抗酸化物質には、化粧料、飲料、食品又は飼料などに添加し、品質低下の防止及び品質保持の目的で使用されるものと、生体内に発生する活性酸素やフリーラジカルの発生を消去もしくは抑制する目的で使用されるものとがある。
【0005】
化粧料、飲料、食品又は飼料などに含まれている油脂類が酸化されると、製品の色や風味が悪くなるばかりでなく、褐変や退色、栄養価の低下の原因になる。そこで、化粧料、飲料、食品又は飼料には、品質保持のために抗酸化物質が添加されていることが多い。
【0006】
このような目的のために、飲料、食品又は飼料などの分野で使用されている抗酸化物質としては、例えば、L−アスコルビン酸(ビタミンC、V.C)、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)、トコフェロール(ビタミンE、V.E)などの天然抗酸化物質やジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)などのフェノール系合成抗酸化物質が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、皮膚美白効果を有する化粧料(化粧水)としては、コウジ酸及びその誘導体、アスコルビン酸及びその誘導体、ハイドロキノン及びその配糖体等、動植物からの抽出物を成分とするものであったが、人体への悪影響や肌荒れ等の心配があった。また、充分に美白効果が得られるものではなかった。
【0008】
一方、日焼け等による肌の色黒化、シミ、ソバカス等は、黒褐色無定形の色素であるメラニンの生成によるものと考えられている。
このメラニンは表皮基底層に存在するメラノサイトと呼ばれる色素細胞内のメラノソームにおいて、チロシナーゼによってチロシンから各種メラニン中間代謝産物を経て、酸化重合して生成されると考えられている。
そして、紫外線等により生成された活性酸素がこの反応系を活性化させるためにメラニンが過剰に生成され、皮膚への色素沈着を促進していると考えられている。
【0009】
抗酸化物質のL−アスコルビン酸は、水に溶けやすく酸性で強い還元作用があるので良く利用されているが、油脂へは使用しにくく酸性(酸味)が食品の味をかえてしまうことから、果実加工品、漬物などに限られる。また、トコフェロールは油脂成分の不必要な酸化を防ぐのでこれも良く用いられているが、抗酸化能があまり高くないため他の抗酸化物質と併用する必要がある。
【0010】
一方、天然抗酸化物質は合成抗酸化物質と比較してその抗酸化能が劣るという欠点がある。しかし、合成抗酸化物質のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)やブチルヒドロキシアニソールは、抗酸化能が強いが遺伝子損傷、変異原性、染色体異常などによる発がん性を誘発する疑わしい食品添加剤とされ、安全性が疑問視されるようになってきた。
【0011】
化粧品としても、油脂類の酸化防止の為に天然抗酸化物質や合成抗酸化物質が用いられているが、皮膚への影響や肌荒れなどの原因とされ、安全性が疑問視されるようになってきた。
このようなことから、抗酸化能が強く、しかも、汎用性が高く、さらに、天然物由来の安全性の高い抗酸化物質の開発が望まれていた。
【0012】
天然の抗酸化物質としては、褐変物質、アミノ酸、糖アルコール、果糖、果皮、わさびやカテキンなどが報告されている。また、微生物培養物の抗酸化物質としては、乳酸菌の抽出物に抗酸化効果があることが示されてきている。
【0013】
これらの抗酸化物質は、従来、化粧料、飲料、食品又は飼料などに添加し、品質低下の防止及び品質保持の目的で使用されてきたが、生体内に発生する活性酸素やフリーラジカルを消去もしくは抑制することが明らかになり、生体内抗酸化能が強い天然抽出物の探索が行われるようになってきた。
【0014】
生体内酸化により発生する活性酸素には、一重項酸素、スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素の4種、また、フリーラジカルには、アルキルヒドロペルオキシド、ヒドロペルオキシルラジカルなど10種以上が知られている。抗酸化能は、一般的に1,1−ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル(DPPH)を用いたラジカル消去活性を測定することで判定できる。
【0015】
生体内酸化により生体への影響として、老化、生活習慣病及びがんが引き起こされると考えられている。老化は、運動機能や内臓の機能の低下、物忘れ、眼の白内障、皮膚のしわなど、病気とまではいかない衰えのほか、血管が衰えて動脈硬化などにかかりやすくなる。生活習慣病としては、特に関係が深いと考えられているのが動脈硬化と糖尿病で、他にも肝機能障害、リウマチ性関節炎など挙げられる。
【0016】
また、がんについては、酸化によってDNAを構成する物質を変質させて傷をつけ、別の細胞が再生される際に突然変異を起こす原因の一つとされている。このような疾患を防止する上で、生体内酸化を防止し、あるいは、抑制する抗酸化物質が注目され、機能性食品、特定保健用食品やサプリメントして研究開発されている。
【0017】
このような用途の抗酸化物質として、カロチノイド類(ベータカロチン、リコペン、フコキサンチン)、フェノール化合物類(フラボノイド、アントシアニン、カテキン)、含硫化物やベータ・ジケトン類などの植物由来、微生物培養物ではDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などがある。
【0018】
本発明の第一の目的は、このような天然抽出物であって安全性が高く、抗酸化能が強いメラニン生成抑制効果に優れ、皮膚美白効果が高い化粧料の提供及び様々な飲料、食品又は飼料など、汎用性が高く、製品本来の味や風味が維持でき、また、生体内抗酸化能にも効果のある緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、それらを用いた様々な化粧料、飲料、食品又は飼料を合わせて提供することにある。
【0019】
コーカサス地方が発祥の地と考えられている伝統的な乳酸菌と酵母の複合醗酵乳ケフィア(Kefir)は、そのスターターであるケフィア粒を牛乳にて培養することにより製造される。
本発明者は、天然物であるこのケフィア粒を化粧料、飲料、食品又は飼料などに利用した場合、人、動物にとって安全であることを見出し、さらに、様々な利用方法について鋭意研究を重ねてきた。そして、ケフィア粒を緑茶のエキスにて培養し、その微生物培養物から菌体を除去した培養液が優れた皮膚美白効果を有することを見出し、また、ケフィア粒に抗酸化能を有することを見出し、その培養液を化粧料として用いることにした(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−149442号公報
【0020】
また、ケフィア粒から分離された微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を培養することにより得られる微生物培養物ならびにそれらを用いた製品に関しても、すでに出願を済ませている。(特願2004−175969、出願日:平成16年6月14日)。
その他、ケフィア粒から分離された微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、ヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物ならびにそれらを用いた製品に関しても、すでに出願を済ませている。(特願2004−311983、出願日:平成16年10月27日)。
【0021】
そして、さらに研究を重ねた結果、ケフィア粒から分離された微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を、飲料、食品、化粧品又は飼料等の原料として、あるいは、これら製品又は原料に添加することにより、メラニン生成抑制効果及びそれらの酸化による品質低下防止や、それらを利用する人又は動物の生体内に発生する活性酸素やフリーラジカルの発生を消去もしくは抑制することを見出した。そして、この天然物由来の抗酸化能を有する微生物培養物であって、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を用いることにより、上記の目的を達成し得ることを見出した。さらに、本発明者はそれらを化粧料、飲料、食品又は飼料に添加することによって、メラニン生成抑制効果、抗酸化能を有する製品を開発するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、以下の構成からなる発明である。すなわち、
(1) ケフィア(Kefir)粒から分離された抗酸化能を有するラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物であって、メラニン生成抑制効果を有する微生物培養物に関するものである。
(2) ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物であって、抗酸化能を有する微生物培養物に関するものである。
(3) ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、メラニン生成抑制効果及び抗酸化作用を有する化粧料に関するものである。
(4) ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、抗酸化作用を有する飲料に関するものである。
(5) ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、抗酸化作用を有する食品に関するものである。
(6) ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、抗酸化作用を有する飼料に関するものである。
【0023】
ここに、「メラニン生成抑制効果」とは、紫外線や老化により皮膚に生じるシミ・ソバカスの原因物質であるメラニン色素の生成を抑制する効果をいう。
【0024】
ここに、「抗酸化能」とは、製品の品質を保持する抗酸化能力と、飲料、食品又は飼料を人、動物に投与した際に、生体内に発生する活性酸素やフリーラジカルを消去もしくは抑制する生体内酸化防止能力をいう。また、「微生物培養物」とは、ケフィア粒から分離された微生物群又は分離された微生物単独で、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる培養物をいう。
【発明の効果】
【0025】
請求項1記載の発明によれば、ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することによって得られる微生物培養物であって、メラニン生成抑制効果を有する微生物培養物を提供できる効果がある。そして、その培養物は毒性や副作用がなく安全であり、化粧料として利用できる。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物であって、抗酸化能を有する微生物培養物を提供できる効果がある。そして、その培養物は毒性や副作用がなく安全であり、化粧料、飲料、食品又は飼料等の原料、添加物として様々な分野で利用できる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、メラニン生成抑制効果及び抗酸化作用を有する化粧料を提供できる効果がある。
【0028】
請求項4〜6のいずれかに記載の発明によれば、ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、抗酸化作用を有する飲料、食品又は飼料を提供できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明の好ましい実施の形態について、詳細に説明する。
ケフィア粒から分離された微生物群には、菌株アセトバクター セレヴィシアエ(Acetobacter cerevisiae)SIID1719−2b、菌株グルコノバクター オキシダンス(Gluconobacter oxydans)SIID1719−3b、菌株ラクトバシラシー(Lactobacillaceae)科の新種であるラクトバシラス属(Lactobaccilus sp.)SIID1719−6b、菌株ピヒアメンブラニ ファシエンス(Pichiamembrani faciens)SIID1719−1y、菌株サッカロマイセス セレヴィシアエ(Saccharomyces cerevisiae)SIID1719−4y及び菌株ピヒアアノマラ(Pichia anomala)SIID1719−5yが存在している。
【0030】
ケフィア粒から分離された微生物群及び菌株ラクトバシラシー(Lactobacillaceae)科の新種であるラクトバシラス属(Lactobacillus sp.)SIID1719−6bを、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で単独培養することにより得られた微生物培養物が、メラニン生成抑制効果及び抗酸化能を有するか、以下菌株の評価試験を行った。その結果、微生物群及びラクトバシラス属(Lactobacillus sp.)SIID1719−6b単独でメラニン生成抑制効果及び抗酸化能を有していた。さらに、本発明では、ラクトバシラス属(Lactobacillus sp.)SIID1719−6bと安全性の確認できている微生物を共生し、同様の作用を示すものであれば、いずれも使用できる。
なお、ラクトバシラシー(Lactobacillaceae)科の新種であるラクトバシラス属(Lactobacillus sp.)SIID1719−6b(FERM AP−20062)は、すでに独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託済みである。
【0031】
代表例として、菌株ラクトバシラシー(Lactobacillaceae)科の新種であるラクトバシラス属(Lactobacillus sp.)SIID1719−6bの緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地での培養及び、メラニン生成抑制効果及び抗酸化評価試験方法を次のように実施した。
【0032】
(メラニン生成抑制効果試験)
先ず、B16mouse melanoma cellを2.0×105cell/wellとなるように細胞培養用wellに添加し、RPMI1640培地で培養した。24時間後にSIID1719−6bを緑茶、黒茶、ヨモギ抽出液が6.67:1.665:1.665の割合で調製した培地で48時間培養した培養物(B3溶液)を、B16mouse melanoma cellが良好な生育の確認された終濃度を全培養液の1/50となるように添加した。また、ポジティブコントロールとして、代表的なメラニン抑制物質であるコウジ酸を終濃度100μg/mlとなるように、ネガティブコントロールとして、蒸留水を10倍希釈となるように添加し、3日間培養した。次に、10%DMSO−1NNaOHを用いて細胞からメラニンを溶かし出し、470nmの吸光度を測定することでメラニンを定量した。各サンプルのメラニン生成抑制効果は、1/50B3溶液、コウジ酸で培養した細胞のメラニン量(S)と、蒸留水(C)で得られた細胞のメラニン量を比較することで求めた(次式(1)参照)。その結果を、図1のグラフにメラニン生成抑制効果として示す。
メラニン生成抑制効果で知られているコウジ酸よりも、B3溶液の全培養液の終濃度を1/50にした1/50B3溶液培地の方が、メラニン生成抑制効果が高まることが確認された。
【0033】
【数1】

【0034】
(抗酸化能試験)
抗酸化能試験は次のように実施した。
菌株ラクトバシラシー(Lactobacillaceae)科の新種であるラクトバシラス属(Lactobacillus sp.)SIID1719−6bを緑茶、黒茶、ヨモギ抽出液が6.67:1.665:1.665の割合で調製した培地で48時間培養し、この培養物(B3溶液)とコントロールとしてSIID1719−6bを添加していない培地のみ(B3培地)を終濃度0.2%となるように添加し、DPPHラジカル消去率を確認した。B3溶液の抗酸化能を、ブランクとして蒸留水を用いて比較した。
【0035】
先ず、96wellマイクロプレートの各wellに、199.6μlの0.1mM DPPH(50%エタノールに溶解)を添加する。次に、B3溶液、B3培地、ブランクの各0.4μlをそれぞれwellに添加(終濃度0.2%)して、ラジカル消去反応を開始させた。添加直後(0分)及び30分後のλ=517nmの吸光度をマイクロプレートリーダーで測定し、B3溶液、B3培地とブランクの吸光度より、ラジカル消去率を求めた。その結果を、図2のグラフに抗酸化能として示す。
B3培地と比較してB3溶液の抗酸化能がおおよそ3.2倍高かったことから、菌株を添加することにより高い抗酸化能が得られることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】メラニン生成抑制効果の比較を示すグラフである。
【図2】抗酸化能の比較を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケフィア(Kefir)粒から分離された抗酸化能を有するラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物であって、メラニン生成抑制効果を有する微生物培養物。
【請求項2】
ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物であって、抗酸化能を有する微生物培養物。
【請求項3】
ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、メラニン生成抑制効果及び抗酸化作用を有する化粧料。
【請求項4】
ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、抗酸化作用を有する飲料。
【請求項5】
ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae))に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、抗酸化作用を有する食品。
【請求項6】
ケフィア(Kefir)粒から分離されたラクトバシラシー(Lactobacillaceae)に属する新種の微生物とこの微生物あるいはそれを含む微生物群を、緑茶、黒茶及びヨモギ抽出液を主成分とする培地で培養することにより得られる微生物培養物を添加した、抗酸化作用を有する飼料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−271220(P2006−271220A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91624(P2005−91624)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(502394128)株式会社 米沢ビルシステムサービス (4)
【Fターム(参考)】