説明

線形状物検出装置、及び該線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法

【課題】線形状物の反射光を取り込んで作成した画像データから背景の影響を受けずに線形状物のみを正確に検出する線形状物検出装置を提供する。
【解決手段】照明12の光源により線形状物11に照明光(入射光i)が照射され、線形状物11で反射された反射光jをカメラ13で取り込んで画像データvdが生成される。画像データvdは、濃淡値で表した濃淡画像データveとして濃淡画像データ記憶部15に記憶され、濃淡画像データveに基づいて濃淡プロファイル作成部16で濃淡プロファイルvpが作成され、濃淡プロファイルvpに基づいて、線形状物検出部17で線形状物11の特徴vcを持つ部分が線形状物11として検出される。線形状物11は、検出結果結合部18で結合され、線形状物11が軌跡として検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、線形状物検出装置、及び該線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法に係り、たとえば、半導体部品の製造工程において線形状のボンディングワイヤを光学的に検出する場合などに用いて好適な線形状物検出装置、及び該線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体部品のうち、特に、半導体チップとインナリードとがボンディングワイヤを介して接続される半導体部品では、その製造工程で線形状のボンディングワイヤの状態を検査する必要がある。このため、ボンディングワイヤを光学的に検出する装置が製作されているが、同装置では、ボンディングワイヤの画像の最も焦点が合う位置にボンディングワイヤの一部があり、かつ焦点が合う位置で濃淡値が大きいことが利用されて検出される。
【0003】
この種の関連する技術としては、たとえば、特許文献1に記載されたワイヤ検査装置がある。
このワイヤ検査装置では、リング照明及び同軸落斜照明によりボンディングワイヤに光が照射され、真上に設置された撮像手段で反射光が濃淡画像として撮像される。この場合、たとえば図15に示すように、ボンディングワイヤ1により半導体チップ1aとインナリード1bとが接続された状態で、xy座標を変えずに撮像手段をz方向に移動させることにより、同ボンディングワイヤ1の画像が複数枚取得される。次に、異なる高さで取得された複数枚の画像の濃淡値が加算され、図16(A)に示すような加算結果に対し、図16(B)に示すボンディングワイヤを横切る方向の断面において加算値が最大となる位置が検出される。そして、断面を移動させて同様の検出が行われ、加算最大値の軌跡が作成される。次に、図17(A)に示すように、加算最大値の軌跡に対して所定の幅をもたせた範囲内を検索領域とする。各高さで取得した画像において検索範囲内で濃淡値が最大となる位置を、その高さにおける線形状物の検出点とする。各々の高さの画像における検出点をつなぎ合わせることにより、図17(B)に示すように、線形状物の軌跡が求められる。
【0004】
このワイヤ検査装置では、撮像手段をz方向に移動させて取得した複数枚の画像は、それぞれボンディングワイヤの異なった箇所で焦点が合い、焦点が合った箇所で濃淡値が大きくなるという特徴がある。従って、複数枚画像の濃淡値を加算し、ボンディングワイヤを横切る方向の断面において加算値が最大となる位置は、ほぼボンディングワイヤの位置となる。この位置からある幅をもたせた検索領域を設定し、各画像における検索領域内での濃淡最大値がボンディングワイヤの位置となる。
【0005】
また、特許文献2に記載された電子部品のリード幅検出位置決定装置では、電子部品の画像データに基づいて当該電子部品のリード幅を検出する処理がリードの付け根(又は先端)から当該リードの長さ方向に所定の走査ピッチで繰り返されることにより、当該リードの付け根から先端までの各走査位置のリード幅検出値を連ねたプロファイルが作成される。この後、各走査位置のリード幅検出値の差分が連続して所定の閾値以内であるか否かが判定され、これらの差分が連続して閾値以内である区間が、リード幅検出値が連続してほぼ一定となるリード幅安定区間として検出される。この後、リード幅安定区間の中央の位置がリード幅検出位置として決定される。
【0006】
また、特許文献3に記載された部品位置認識装置では、電子部品の濃淡画像が部品画像記憶手段に格納される。リード位置演算手段により、上記部品画像記憶手段内における、電子部品画像の少なくとも2つのリードのそれぞれ全体画像を別々に含むように設定された複数の領域内の画像データに基づいて、各領域内のリードの位置が求められる。部品位置算出手段により、上記リード位置演算手段により求められた各領域内のリードの位置に基づいて、電子部品の位置が求められる。
【0007】
また、特許文献4に記載されたボンディングワイヤの認識方法では、ワイヤの明るさの状態に応じたいくつかのプロファイルデータが、予めパターンデータとしてパターン記憶部に記憶されている。そして、カメラにより実際に撮像されたワイヤのプロファイルデータが画像処理部により求められ、このプロファイルデータと上記各パターンデータとの相関値が、相関関数演算部によりそれぞれ算出される。こうして、各パターンデータ毎に求められた相関値のうち、最も高い相関値を示したときのパターンデータのX座標の中心座標が、その地点におけるワイヤの中心位置として、位置検出部にて検出される。
【特許文献1】特開平06−102024号公報(要約書、図4、図5、図8)
【特許文献2】特開2007−142039号公報(要約書、図5)
【特許文献3】特開平08−172300号公報(要約書、図1)
【特許文献4】特開平09−061133号公報(要約書、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記各文献に記載された技術では、次のような問題点があった。
すなわち、特許文献1に記載されたワイヤ検査装置では、線形状物の下側の素材が金属などの反射率の大きい材質である場合や、検出対象の線形状物付近に線形状物以外の物体が存在する場合、複数画像の加算グラフの断面における最大値が線形状物に対応する値と一致しないことがあり、線形状物が正確に検出されないという問題点がある。
【0009】
また、特許文献2に記載されたリード幅検出位置決定装置は、背景の影響を考慮したものではないので、上記の問題点は、改善されない。
【0010】
また、特許文献3記載された部品位置認識装置では、上記特許文献2と同様に、背景の影響が考慮されていないので、上記の問題点は、改善されない。
【0011】
特許文献4記載されたボンディングワイヤの認識方法では、位置検出部でワイヤの中心位置が検出されるが、上記特許文献2と同様に、背景の影響が考慮されていないので、上記の問題点は、改善されない。
【0012】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、線形状物を含む画像から背景の影響を受けずに線形状物のみを正確に検出することができる線形状物検出装置、及び該線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、この発明の第1の構成は、検査対象物の画像データから線形状物を検出する線形状物検出装置に係り、前記検査対象物に照明光を照射し、反射光を取り込んで画像データを生成すると共に該画像データを濃淡値で表した濃淡画像データを生成し、該濃淡画像データに基づいて作成された濃淡プロファイルに基づいて、前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出する構成とされていることを特徴としている。
【0014】
この発明の第2の構成は、検査対象物の画像データから線形状物を検出する線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法に係り、前記検査対象物に照明光を照射し、反射光を取り込んで画像データを生成すると共に該画像データを濃淡値で表した濃淡画像データを生成し、該濃淡画像データに基づいて作成された濃淡プロファイルに基づいて、前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
この発明の構成によれば、検査対象物に照明光が照射され、反射光が取り込まれて画像データが生成されると共に同画像データを濃淡値で表した濃淡画像データが生成され、同濃淡画像データに基づいて作成された濃淡プロファイルに基づいて、上記検査対象物の特徴が検出されるので、背景に影響されずに線形状物のみを正確に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
検査対象物に照明光を照射するための光源と、同検査対象物による反射光を取り込んで画像データを生成する撮像手段と、同撮像手段で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データとして記憶する濃淡画像データ記憶手段と、同濃淡画像データ記憶手段で記憶されている前記濃淡画像データに基づいて濃淡プロファイルを作成する濃淡プロファイル作成手段と、同濃淡プロファイル作成手段で作成された前記濃淡プロファイルの特徴が、前記光源と前記撮像手段の配置に応じて決定されることを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて、同検査対象物の特徴を検出することにより、線形状物を検出する線形状物検出手段とを備えてなる線形状物検出装置、及び同線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法を提供する。
【0017】
また、この発明では、前記線形状物検出手段が、前記撮像手段と前記検査対象物を結ぶ軸に対し前記照明が対称に配置される構成において、前記濃淡プロファイルの線形状物の特徴を有する区間内で対称性を持つことを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出する構成とされている。
【0018】
また、この発明では、前記線形状物検出手段は、前記検査対象物に対する入射光と前記反射光との軸がほぼ一致するような構成において、断面形状がほぼ円である線形状物を検査対象物としたときに、前記濃淡プロファイルの線形状物の特徴を有する区間内で対称性を持ち、かつ濃淡値が区間の中央で大きく区間の両端で小さくなることを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出する構成とされている。
【0019】
また、この発明では、前記濃淡プロファイル作成手段は、前記濃淡画像データ中の一次元方向の位置と濃淡値の関係をプロットすることで前記濃淡プロファイルを作成する構成とされている。
【0020】
また、この発明では、前記濃淡プロファイル作成手段は、前記濃淡画像データの一部又は全部を所定の平面上の一方向に投影し、投影後の位置と該位置での投影値との関係をプロットすることで前記濃淡プロファイルを作成する構成とされている。
【0021】
また、この発明では、線形状物検出手段は、濃淡プロファイルにおける線形状物の径に基づいて、当該線形状物の特徴を有する区間の長さを算出する構成とされている。
【0022】
また、この発明では、線形状物検出手段は、濃淡プロファイルにおける線形状物の径に基づいて算出される長さの区間で当該線形状物を検出し、前記区間内の点が対称となる対称中心点を線形状物の一部とする構成とされている。
【0023】
また、この発明では、線形状物検出手段は、濃淡プロファイルを微分して微分プロファイルを作成すると共に、同微分プロファイルにおける線形状物の径に基づいて算出される長さの区間で対称性を検出し、この対称の中心点を線形状物の一部とする構成とされている。
【0024】
また、この発明では、線形状物検出手段は、線形状物の特徴を表す部分を含む基準プロファイルが設けられ、濃淡プロファイル、又は同濃淡プロファイルを微分して得られる微分プロファイルのいずれか一方又は両方を取得し、取得されたプロファイルと基準プロファイルとの一致度が高くなる区間を検出し、この区間内の点を線形状物の一部とする構成とされている。
【実施例1】
【0025】
図1は、この発明の第1の実施例である線形状物検出装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
この例の線形状物検出装置は、同図に示すように、線形状物11を検出するための装置であり、照明12と、カメラ13と、ハーフミラー14と、濃淡画像記憶部15と、濃淡プロファイル作成部16と、線形状物検出部17と、検出結果結合部18とから構成されている。線形状物11は、たとえば、半導体部品中の半導体チップとインナリードとを接続するためのボンディングワイヤである。照明12は、たとえばLED(Light Emitting Diode、発光ダイオード)やハロゲンランプなどを光源として構成され、線形状物11に照明光を照射するためのものである。
【0026】
ハーフミラー14は、照明12の出射光を反射して線形状物11に入射光iを照射すると共に、反射光jを通過させてカメラ13へ送出する。特に、この実施例では、照明12及びハーフミラー14により、線形状物11に対する入射光iと反射光jとの軸がほぼ一致するように構成されている。カメラ13は、線形状物11で反射された反射光jを取り込んで画像データvdを生成する。濃淡画像記憶部15は、たとえば、RAM(Random Access Memory)などで構成され、カメラ13で生成された画像データvdを濃淡値で表した濃淡画像データveとして記憶する。
【0027】
濃淡プロファイル作成部16は、濃淡画像記憶部15で記憶されている濃淡画像データveに基づいて濃淡プロファイルvpを作成する。線形状物検出部17は、濃淡プロファイル作成部16で作成された濃淡プロファイルvpに基づいて、線形状物11の座標vcを検出結果として出力する。特に、この実施例では、線形状物検出部17は、線形状物11の径に基づいて算出された当該線形状物11の特徴を有する区間から線形状物11を検出する。検出結果結合部18は、複数のプロファイルの各々において、線形状物検出部17を使用して検出された線形状物11を結合することにより、線形状物11を軌跡として検出する。
【0028】
濃淡プロファイルの形状は、照明12とカメラ13の位置関係により決定される。特に、たとえば、照明12とカメラ13がほぼ同軸となるような配置、また、たとえば、カメラ13と線形状物11を結ぶ線を対称軸とし、軸に対してほぼ対称となるような複数個の照明12の配置により、対称性を持つ濃淡プロファイルが得られる。
【0029】
図2は、線形状物11への光の入射と線形状物からの反射をほぼ同軸とした場合の光の反射の状態及び濃淡プロファイルとの関係を説明する図、図3は、図1の線形状物検出装置の動作を説明するフローチャート、図4は、濃淡プロファイルの作成例を説明する図、図5は、濃淡画像から濃淡プロファイルを作成するための領域の切り出しについて説明する図、図6は、切り出した画像と濃淡プロファイルとの関係、及び線形状物11の検出を説明する図、図7は、線形状物11の特徴を表す範囲について説明する図、及び、図8が、線形状物11を検出する動作を説明するフローチャートである。
これらの図を参照して、この例の線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法の処理内容について説明する。
この線形状物検出装置では、照明12の光源により線形状物11に照明光(入射光i)が照射され(照射処理)、線形状物11で反射された反射光jをカメラ13で取り込んで画像データvdが生成される(撮像処理)。撮像処理で生成された画像データvdは、濃淡値で表した濃淡画像データveとして濃淡画像データ記憶部15に記憶され(濃淡画像データ記憶処理)、この濃淡画像データ記憶処理で記憶されている濃淡画像データveに基づいて濃淡プロファイル作成部16で濃淡プロファイルvpが作成される(濃淡プロファイル作成処理)。そして、濃淡プロファイル作成処理で作成された濃淡プロファイルvpに基づいて、線形状物検出部17で線形状物11の特徴を検出することにより、線形状物11が検出される(線形状物検出処理)。また、上記線形状物検出処理では、線形状物11の径に基づいて、当該線形状物11の特徴を有する区間の長さが算出される。
【0030】
すなわち、図3に示すように、まず、照明12からハーフミラー14を経て線形状物11に入射光iが照射され(ステップA1)、反射光jが画像としてカメラ13に取り込まれる(ステップA2)。ここで、光の反射には、正反射及び拡散反射がある。正反射は、入射光に対し、入射面と垂直な軸に関して対称となる方向へ反射する光であり、また、拡散反射は、さまざまな角度に反射する光である。たとえば、金属は、正反射の性質が強い素材である。図2に示すように、真上から照射した光は、線形状物11の表面への入射角度が0度に近い面では0度に近い角度で強い正反射光としてカメラ13に届き、拡散反射成分も、ごく僅かであるがカメラ13に届く。一方、線形状物11の側面部分のように、0度から大きく外れた角度で入射した光のうち、正反射光はカメラ13側には反射せず、ごく僅かな拡散反射光だけがカメラ13に届く。このため、たとえば線形状物11への光の入射と線形状物からの反射をほぼ同軸とした場合、得られる濃淡画像は、線形状物11の中央部分では明るく、側面部分では暗いという特徴がある。なお、この特徴は、入射光と反射光が完全に同軸の場合でも、また照明とカメラを近接して設置する等で入射光と反射光の角度が多少異なる場合でも得られる。また、金属に限らず正反射成分の強い素材では同様の性質がある。
【0031】
線形状物11から反射された光(反射光j)はカメラ13の受光素子で受光され、画像データvdに変換される。画像データvdは、濃淡画像記憶部15で濃淡画像データveとして記憶される。ここで、画像は複数の画素からなり、各座標における画素の濃淡値は、受光素子内の各座標で受けた光量と対応する。画素の明るさは、濃淡値を視覚的に表示したものである。たとえば、0〜255の濃淡値で表される画像では、線形状物11からの光の反射が強い箇所では、255に近い濃淡値となり、白く表示される。一方、線形状物11からの光の反射が少ない箇所では、0に近い濃淡値となり、黒く表示される。
【0032】
濃淡プロファイル作成部16では、濃淡画像記憶部15で記憶されている濃淡画像データveに基づいて濃淡プロファイルvpが作成される(ステップA3,A4)。濃淡プロファイルは、画像中の一次元方向の座標における濃淡値を表したものであり、たとえば、図2に示すように、横軸に座標、及び縦軸に濃淡値がプロットされたグラフである。この場合、たとえば、図4(a)中の領域Pのように、画像中における幅1画素の濃淡から濃淡プロファイルが作成される。また、ノイズの影響を軽減するために投影を行っても良く、たとえば、図4(a)中の領域Qのように、画像中の幅n画素の領域を設定する。そして、領域Qを拡大した図4(b)に示された濃淡値を幅方向に投影して投影値を計算し、この投影値を幅で割ることで、図4(c)に示す幅1画素の濃淡画像を作成し、濃淡プロファイルを作成しても良い。
【0033】
また、濃淡プロファイル作成の際、画像中における線形状物11のおよその位置が分かる場合は、たとえば図5(a)に示すように、線形状物11と交差する方向の濃淡プロファイルを作成する。一方、画像中の線形状物11の位置が不明な場合は、たとえば図5(b)に示すように、濃淡プロファイルの長さが取り込み画像の一辺と一致するように適当数切り出し、さらに、図5(c)に示すように、他方の辺と一致するように適当数切り出す。これらの複数の濃淡プロファイルに線形状物11の特徴が含まれている場合、線形状物11が検出される。
【0034】
線形状物11の濃淡プロファイルは、たとえば図6に示すようになり、濃淡プロファイルのうちの線形状物11の特徴を表す部分は、範囲bであり、線形状物11の中央aを軸として範囲b内で左右対称であるという特徴がある。また、画像ぼけの影響により濃淡の境界が鮮明でないケースを考慮し、範囲bより広めの範囲を線形状物11の特徴を表す範囲としても良い。実際の線形状物11の検出では、図7に示すように、線形状物11とプロファイルとが直交しないことが多い。線形状物11の特徴を示す範囲は、線形状物11の直径Rと、あらかじめ決められた値k、上記濃淡変化が落ち着くまでに要する距離αを用いて、たとえば(kR+α)と表される。また、線形状物11とプロファイルとのなす角θを用いると、たとえば、(R/sinθ+α)と表しても良い。
【0035】
また、線形状物11の検出では、線形状物11の特徴を示す範囲の一部を用いても良く、従って、線形状物11を検出する範囲を決定するための線形状物11の径から算出される値は、たとえば(kR+α)以下の数値、また、たとえば(R/sinθ+α)以下の数値となる。また、線形状物11とプロファイルとのなす角θが不明な場合は、たとえば、線形状物11の径から算出される値を、線形状物11の直径R程度に設定する。このとき、θ=90°の場合は、線形状物11の特徴が、線形状物11を検出する範囲にほぼ含まれる。また、θ=45°の場合は、線形状物11を示す特徴の1/√2程度が上記範囲内に含まれる。θ<45°の場合は、上記範囲内に含まれる線形状物11を示す特徴が少なくなるため、先のプロファイルと直交する方向に新たにプロファイルを設定し、新たなプロファイルと線形状物11とのなす角が45°≦θ’≦90°となるように設定する。以上の設定で、全ての角度で線形状物11が検出される。
【0036】
濃淡プロファイルに基づいて線形状物11を検出する場合(ステップA5)、図8に示すように、極大位置検出位置(初めは、極大位置検出初期位置、ステップB1)から、極大位置検出(ステップB2)が行われ、極大値の場合は対称性判定(ステップB3)が行われる。対称性がある場合は、線形状物11と判断され、極大値中央の座標が保存される(ステップB4)。極大位置検出終了位置に達していない場合(ステップB5)、極大値検出位置をインクリメントし(ステップB6)、次の位置での極大位置検出を行う(ステップB2)。極大位置検出終了位置に達した場合(ステップB5)、線形状物11の検出を終了する。また、上記対称性判定(ステップB3)では、上記図6に示すように、検出した極大値の中央aが、線形状物11の径から算出される値で決定した長さ範囲bの中央となるようにする。そして、範囲b内の中央より左側の濃淡値の合計と中央より右側の濃淡値の合計との差があらかじめ設定した閾値より小さくなることを、線形状物11の検出条件とする。
【0037】
実際のケースにおいては、例えば線形状物11の表面状態や、照明12とカメラ13の配置により、濃淡プロファイルの対称性に多少の歪みを生じていることが多い。このような場合においても、ステップB3における閾値を適切に設定することにより、背景の影響を受けずに、安定した線形状物11の検出が可能である。
【0038】
そして、図3中の線形状物検出終了の判定(ステップA6)では、あらかじめ指定した画像切り出し数に達していなければ、濃淡プロファイル作成位置のインクリメント(ステップA7)を行い、次の位置で濃淡プロファイルを作成し(ステップA4)、検出作業を行う。濃淡プロファイル数が指定した数に達した場合は、線形状物11の検出を終了する(ステップA6)。
【0039】
濃淡プロファイルから線形状物11が検出できれば、元の濃淡画像上に線形状物11が存在することが確認できたことになる。加えて、必要に応じて検出点に処理を加えることで、様々な情報を得ることができる。たとえば、プロファイル上の検出点の座標から、元の濃淡画像における線形状物11の位置を確認することができる。1本の濃淡プロファイルにおいて複数の検出点がある場合は、そのライン上における線形状物11の間隔が計測される。これらの検出点で高さを計測することで、隣接する線形状物11の同ライン上の高さを比較することもできる。
【0040】
複数のプロファイルから複数の検出点を得た場合は、検出点同士の距離や検出点の並びの直線性や曲線性を用いてグループ化を行い、画像上の1本の線形状物11の2次元的な軌跡を把握することができる。複数の線形状物11が存在する場合は、隣接間隔の最短を計測することも可能であり、また高さを計測することで、線形状物11の3次元的な軌跡を取得できる。
【0041】
以上のように、この第1の実施例では、照明12の光源により線形状物11に照明光(入射光i)が照射され、線形状物11で反射された反射光jをカメラ13で取り込んで画像データvdが生成され、画像データvdは、濃淡値で表した濃淡画像データveとして濃淡画像データ記憶部15に記憶され、濃淡画像データveに基づいて濃淡プロファイル作成部16で濃淡プロファイルvpが作成され、濃淡プロファイルvpに基づいて、線形状物検出部17で線形状物11の特徴が検出されるので、背景の影響を受けずに線形状物11が正確に検出される。
【実施例2】
【0042】
この発明の第2の実施例である線形状物検出装置では、第1の実施例を示す図1中の線形状物検出部17に替えて、異なる機能を有する図示しない線形状物検出部17Aが設けられている。
線形状物検出部17Aは、濃淡プロファイルvp中に線形状物11の径に基づいて算出される長さの区間を設定し、区間を移動させながら、区間中央が区間内の濃淡プロファイルvpの対称中心となるような区間の箇所を検出する。対称性が検出された場合、対称中心点を線形状物11とする。他は、図1と同様の構成である。
【0043】
図9は、第1の実施例を示す図3中のステップA5に代えて行われる線形状物検出処理を説明するフローチャート、及び、図10が、切り出した画像と濃淡プロファイルとの関係及び線形状物11の検出を説明する図である。
これらの図を参照して、この例の線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法の処理内容について説明する。
この線形状物検出装置では、第1の実施例を示す図3中の線形状物検出処理(ステップA5)に代えて、濃淡プロファイルvpにおける線形状物11の径に基づいて算出される長さの区間で同線形状物11が検出され、上記区間内の点が対称となる対称中心点が線形状物11とされる(線形状物検出処理)。
【0044】
すなわち、図9に示すように、対称性検出位置(初めは、対称性検出初期位置、ステップC1)で対称性判定が行われる(ステップC2)。対称性がある場合は線形状物11と判断され、濃淡値の極大値中央の座標が保存される(ステップC3)。対称性検出終了位置に達していない場合(ステップC4)、検出位置をインクリメントし(ステップC5)、次の位置で対称性判定が行われる(ステップC2)。このステップC2では、図10に示すように、線形状物11の径から算出される値に基づいて範囲bを決定し、この範囲b内の中央より左側の領域の濃淡値の合計と右側の領域の濃淡値の合計との差分を計算する。そして、範囲bを移動させながら、同様の計算を行い、上記濃淡値の合計の差分があらかじめ設定した閾値より小さくなる箇所での範囲b’を、線形状物11が存在する範囲の候補とする。この範囲b’内で濃淡値の極大値を有するものを、線形状物11と判断する。この実施例においても、閾値を適切に設定することにより、対称性に多少の歪みを持つ濃淡プロファイルvpからの線形状物11検出が可能である。
【0045】
以上のように、この第2の実施例では、第1の実施例とは異なる線形状物検出部17Aにより、第1の実施例と同様の利点がある。
【実施例3】
【0046】
この発明の第3の実施例である線形状物検出装置では、第1の実施例を示す図1中の線形状物検出部17に代えて、異なる機能を有する図示しない線形状物検出部17Bが設けられている。
線形状物検出部17Bは、検査対象物に対する入射光と前記反射光との軸がほぼ一致する構成のとき、断面がほぼ円形状である線形状物11の濃淡プロファイルvpにおける線形状物11の特徴を有する区間内の濃淡値が、図2のように中央で大きく両端で小さくなる特徴を利用し、その区間の中央を線形状物11として検出する。他は、図1と同様の構成である。
【0047】
この実施例における線形状物の検出方法としては、濃淡プロファイルvpにおける線形状物11の特徴を有する区間内において、たとえば、区間内の中央付近のあらかじめ決められた範囲内の濃淡値の平均A、区間内の一端付近のあらかじめ決められた範囲内の濃淡値の平均B、区間内のもう一端付近のあらかじめ決められた範囲内の濃淡値の平均Cを計算したときに、平均Bと平均Cの差があらかじめ決められた範囲内であり、かつ平均Bまたは平均C、あるいは両方がAよりも小さいことを用いて線形状物11を判断する。
また、たとえば、区間内の中央付近のあらかじめ決められた範囲内の濃淡値の平均A、区間内の一端付近のあらかじめ決められた範囲内の濃淡値の平均B、区間内のもう一端付近のあらかじめ決められた範囲内の濃淡値の平均Cを計算したときに、平均Bと平均Cの比があらかじめ決められた範囲内であり、かつ平均Bまたは平均Cあるいは両方が平均Aよりも小さいことを用いて線形状物11を判断する。
また、たとえば、区間内における、中央付近のあらかじめ決められた位置における濃淡値と片端付近のあらかじめ決められた位置における濃淡値との差D、および中央付近のあらかじめ決められた位置における濃淡値ともう一端付近のあらかじめ決められた位置における濃淡値との差Eを計算し、差Dと差Eの差があらかじめ決められた範囲内となることを用いて線形状物11を判断する。
また、たとえば、区間内における、中央付近のあらかじめ決められた位置における濃淡値と片端付近のあらかじめ決められた位置における濃淡値との差D、および中央付近のあらかじめ決められた位置における濃淡値ともう一端付近のあらかじめ決められた位置における濃淡値との差Eを計算し、差Dと差Eの比があらかじめ決められた範囲内となることを用いて線形状物11を判断する。
また、たとえば、区間内の濃淡最大値が区間内の中央付近のあらかじめ決められた範囲内の位置にあり、かつ区間内のそれぞれの端付近であらかじめ決められた2点における濃淡値の差または比があらかじめ決められた範囲内にあることを用いて線形状物11を判断する。
【0048】
以上のように、この第3の実施例では、第1の実施例とは異なる線形状物検出部17Bにより、第1の実施例と同様の利点がある。
【実施例4】
【0049】
この発明の第4の実施例である線形状物検出装置では、第1の実施例を示す図1中の線形状物検出部17に代えて、異なる機能を有する図示しない線形状物検出部17Cが設けられている。
線形状物検出部17Cは、濃淡プロファイルvpを微分して微分プロファイルを作成すると共に、同微分プロファイルにおける線形状物11の径に基づいて算出される長さの区間で対称性を検出し、この対称の中心点を線形状物11とする。他は、図1と同様の構成である。
【0050】
図11は、第1の実施例を示す図3中のステップA5に代えて行われる線形状物検出処理を説明するフローチャート、図12は、切り出した画像と濃淡プロファイル及び微分プロファイルとの関係を説明する図、及び図13が、微分プロファイルの対称性の判定を説明する図である。
これらの図を参照して、この例の線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法の処理内容について説明する。
この線形状物検出装置では、第1の実施例を示す図3中の線形状物検出処理(ステップA5)に代えて、濃淡プロファイルvpを微分して微分プロファイルが作成されると共に、同微分プロファイルにおける線形状物11の径に基づいて算出される長さの区間で対称性が検出され、この対称の中心点が線形状物11とされる(線形状物検出処理)。
【0051】
すなわち、図11に示すように、濃淡プロファイルvpを微分して微分プロファイルが作成される(ステップD1)。この微分プロファイルを作成する場合、濃淡プロファイルvpにおける隣接画素の濃淡差を微分値としてプロットする方法があり、また、濃淡プロファイルvpにおいてあらかじめ設定された画素数だけ離れた2点における濃淡値の差を微分値とする方法もある。濃淡プロファイルvpの線形状物11の部分では、濃淡値の変化が数画素に亘って単調増加又は単調減少になり、その変化に要する画素数に規則性がある場合があるため、線形状物11の部分の微分値を強調することにより、突飛なノイズや線形状物11以外の要素を強調しにくい微分プロファイルが作成される。線形状物11の微分プロファイルのうち、線形状物11の特徴を表す部分は、図12に示すように、範囲b(又は、ぼけの影響を考慮した範囲bより広めの範囲でも良い)であり、範囲b内では、線形状物11の中央が対称の中心となる。
【0052】
微分プロファイルから線形状物11を検出する場合、微分プロファイルにおける極大位置検出位置(初めは、極大位置検出初期位置、ステップD2)で極大位置検出を行う(ステップD3)。極大位置が検出された場合、この極大位置を範囲の一端とする線形状物11の径から算出される値で決定した範囲を設定し、この範囲内で極小位置の検出を行う(ステップD5)。このステップD5で検出された極小値と上記ステップD3で検出された極大値との対称性判定(ステップD6)により、対称性があると判断された場合に線形状物11と判定し、対称の中心を線形状物11の検出位置として座標を保存する(ステップD7)。そして、極小位置の検出終了を判定し(ステップD8)、必要に応じて検出位置をインクリメントしてステップD5に戻り(ステップD9)、この後、極大位置の検出終了を判定し(ステップD10)、必要に応じて検出位置をインクリメントしてステップD3に戻り(ステップD11)、同様の処理が行われて線形状物11の検出が終了する。
【0053】
上記対称性判定(ステップD6)では、図13に示すように、ステップD3で検出された極大値a、線形状物11の径から算出される値で決定した極小値検出範囲bを設定し、ステップD5にて範囲b内で極小値mが検出される。そして、極大値と極小値との比を計算し、この比の絶対値があらかじめ設定した閾値(1に近い値)の範囲内であれば、線形状物11と判定される。また、この対称性判定(ステップD6)の他の方法としては、ステップD3で検出された極大値aと、ステップD5で検出された極小値mとを比較し、それぞれの絶対値の差があらかじめ指定した閾値よりも小さくなることを利用する方法など、点対称性を検出する方法が使用できる。本実施例においても、閾値を適切に設定することにより、対称性に多少の歪みを持つ微分プロファイルからの線形状物11検出が可能である。
【0054】
以上のように、この第4の実施例では、第1の実施例とは異なる線形状物検出部17Bにより、第1の実施例と同様の利点がある。
【実施例5】
【0055】
この発明の第5の実施例である線形状物検出装置では、第1の実施例を示す図1中の線形状物検出部17に代えて、異なる機能を有する図示しない線形状物検出部17Dが設けられている。
線形状物検出部17Dは、線形状物11の特徴を表す部分を含む基準プロファイルを有し、取得されたプロファイル(たとえば、実施例2と同様の濃淡プロファイルvp、又は実施例3と同様の微分プロファイルのいずれか一方、又は両方)と上記基準プロファイルとの一致度が高くなる区間を検出し、この区間内の点を線形状物11とする。他は、図1と同様の構成である。この実施例では、取得されるプロファイルが、照明とカメラの位置関係で決まることを利用するため、プロファイルの形状によらず線形状物の検出が可能である。
【0056】
図14は、第1の実施例を示す図3中のステップA5に代えて行われる線形状物検出処理を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この例の線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法の処理内容について説明する。
この線形状物検出装置では、第1の実施例を示す図3中の線形状物検出処理(ステップA5)に代えて、濃淡プロファイル、又は同濃淡プロファイルを微分して得られる微分プロファイルのいずれか一方又は両方が取得され、取得されたプロファイルと基準プロファイルとの一致度が高くなる区間が検出され、この区間内の点が線形状物11とされる(線形状物検出処理)。
【0057】
すなわち、図14に示すように、プロファイル比較位置(初めは、プロファイル比較初期位置、ステップE1)で、たとえば正規相関法などの一般に知られているパターンマッチングの手法により、基本プロファイルとの一致度合の算出が行われる(ステップE2)。そして、一致度合の算出が行われるときの座標が保存される(ステップE3)。一致度の比較の結果、一致の度合が高い場合に線形状物11と判断される。比較終了位置に達していない場合(ステップE4)、比較位置をインクリメントしてステップE2に戻り(ステップE5)、次の位置でのパターンマッチングによる比較が行われ、同様の処理が行われて線形状物11の検出が終了する。
【0058】
以上のように、この第5の実施例では、第1の実施例とは異なる線形状物検出部17Cにより、第1の実施例と同様の利点がある。
【0059】
以上、この発明の実施例を図面により詳述してきたが、具体的な構成は同実施例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。
たとえば、図1の線形状物検出装置では、ハーフミラー14を用いずに、カメラ13の隣に同軸照明を配置し、線形状物11に上方から光を照射するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0060】
この発明は、ボンディングワイヤの検査装置に限らず、線形状物を検査する装置全般に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の第1の実施例である線形状物検出装置の要部の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】線形状物11からの光の反射の状態及び濃淡プロファイルとの関係を説明する図である。
【図3】図1の線形状物検出装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】濃淡プロファイルの作成例を説明する図である。
【図5】濃淡画像から濃淡プロファイルを作成するための領域の切り出しについて説明する図である。
【図6】切り出した画像と濃淡プロファイルとの関係、及び線形状物11の検出を説明する図である。
【図7】線形状物11の特徴を表す範囲について説明する図である。
【図8】線形状物11を検出する動作を説明するフローチャートである。
【図9】線形状物検出処理を説明するフローチャートである。
【図10】切り出した画像と濃淡プロファイルとの関係及び線形状物11の検出を説明する図である。
【図11】線形状物検出処理を説明するフローチャートである。
【図12】切り出した画像と濃淡プロファイル及び微分プロファイルとの関係を説明する図である。
【図13】微分プロファイルの対称性の判定を説明する図である。
【図14】線形状物検出処理を説明するフローチャートである。
【図15】特許文献1に記載されたワイヤ検査装置で行われる処理を説明する図である。
【図16】特許文献1に記載されたワイヤ検査装置で行われる処理を説明する図である。
【図17】特許文献1に記載されたワイヤ検査装置で行われる処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0062】
11 線形状物(検査対象物)
12 照明(光源の一部)
13 カメラ(撮像手段)
14 ハーフミラー(光源の一部)
15 濃淡画像記憶部(濃淡画像データ記憶手段)
16 濃淡プロファイル作成部(濃淡プロファイル作成手段)
17 線形状物検出部(線形状物検出手段の一部)
18 検出結果結合部(線形状物検出手段の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物の画像データから線形状物を検出する線形状物検出装置であって、
前記検査対象物に照明光を照射するための光源と、
前記検査対象物による反射光を取り込んで画像データを生成する撮像手段と、
該撮像手段で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データとして記憶する濃淡画像データ記憶手段と、
該濃淡画像データ記憶手段で記憶されている前記濃淡画像データに基づいて濃淡プロファイルを作成する濃淡プロファイル作成手段と、
該濃淡プロファイル作成手段で作成された前記濃淡プロファイルの特徴が、前記光源と前記撮像手段の配置に応じて決定されることを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出する線形状物検出手段とを備えてなることを特徴とする線形状物検出装置。
【請求項2】
前記線形状物検出手段は、
前記撮像手段と前記検査対象物を結ぶ軸に対し前記照明が対称に配置される構成において、前記濃淡プロファイルの線形状物の特徴を有する区間内で対称性を持つことを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出する構成とされていることを特徴とする請求項1に記載の線形状物検出装置。
【請求項3】
前記線形状物検出手段は、
前記検査対象物に対する入射光と前記反射光との軸がほぼ一致するような構成において、断面形状がほぼ円である線形状物を検査対象物としたときに、前記濃淡プロファイルの線形状物の特徴を有する区間内で対称性を持ち、かつ濃淡値が区間の中央で大きく区間の両端で小さくなることを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出する構成とされていることを特徴とする請求項1又は2記載の線形状物検出装置。
【請求項4】
前記濃淡プロファイル作成手段は、
前記濃淡画像データ中の一次元方向の位置と濃淡値の関係をプロットすることで前記濃淡プロファイルを作成する構成とされていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の線形状物検出装置。
【請求項5】
前記濃淡プロファイル作成手段は、
前記濃淡画像データの一部又は全部を所定の平面上の一方向に投影し、投影後の位置と該位置での投影値との関係をプロットすることで前記濃淡プロファイルを作成する構成とされていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の線形状物検出装置。
【請求項6】
前記線形状物検出手段は、
前記濃淡プロファイルにおける前記線形状物の径に基づいて、当該線形状物の特徴を有する区間の長さを算出する構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の線形状物検出装置。
【請求項7】
前記線形状物検出手段は、
前記濃淡プロファイルにおける前記線形状物の径に基づいて算出される長さの区間で当該線形状物を検出し、前記区間内の点が対称となる対称中心点を前記線形状物の一部とする構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の線形状物検出装置。
【請求項8】
前記線形状物検出手段は、
前記濃淡プロファイルを微分して微分プロファイルを作成すると共に、該微分プロファイルにおける前記線形状物の径に基づいて算出される長さの区間で対称性を検出し、この対称の中心点を前記線形状物の一部とする構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の線形状物検出装置。
【請求項9】
前記線形状物検出手段は、
前記線形状物の特徴を表す部分を含む基準プロファイルが設けられ、
前記濃淡プロファイル、又は該濃淡プロファイルを微分して得られる微分プロファイルのいずれか一方又は両方を取得し、取得されたプロファイルと前記基準プロファイルとの一致度が高くなる区間を検出し、この区間内の点を前記線形状物の一部とする構成とされていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の線形状物検出装置。
【請求項10】
検査対象物の画像データから線形状物を検出する線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法であって、
前記検査対象物に照明光を照射し、該照明光とほぼ同軸の反射光を取り込んで画像データを生成すると共に該画像データを濃淡値で表した濃淡画像データを生成し、該濃淡画像データに基づいて作成された濃淡プロファイルに基づいて、前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出することを特徴とする線形状物検出方法。
【請求項11】
検査対象物の画像データから線形状物を検出する線形状物検出装置に用いられる線形状物検出方法であって、
光源により前記検査対象物に照明光を照射する照射処理と、
前記検査対象物による反射光を取り込んで画像データを生成する撮像処理と、
該撮像処理で生成された前記画像データを濃淡値で表した濃淡画像データとして記憶する濃淡画像データ記憶処理と、
該濃淡画像データ記憶処理で記憶されている前記濃淡画像データに基づいて濃淡プロファイルを作成する濃淡プロファイル作成処理と、
該濃淡プロファイル作成手段で作成された前記濃淡プロファイルの特徴が、前記光源と前記撮像手段の配置に応じて決定されることを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出する線形状物検出処理とを行うことを特徴とする線形状物検出方法。
【請求項12】
前記線形状物検出処理では、
前記撮像手段と前記検査対象物を結ぶ軸に対し前記照明が対称に配置される構成において、前記濃淡プロファイルの線形状物の特徴を有する区間内で対称性を持つことを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出することを特徴とする請求項11記載の線形状物検出方法。
【請求項13】
前記線形状物検出処理では、
前記検査対象物に対する入射光と前記反射光との軸がほぼ一致するような構成において、断面形状がほぼ円である線形状物を検査対象物としたときに、前記濃淡プロファイルの線形状物の特徴を有する区間内で対称性を持ち、かつ濃淡値が区間の中央で大きく区間の両端で小さくなることを利用して、前記濃淡プロファイルに基づいて前記検査対象物の特徴を検出することにより、前記線形状物を検出することを特徴とする請求項11又は12記載の線形状物検出方法。
【請求項14】
前記濃淡プロファイル作成処理では、
前記濃淡画像データ中の一次元方向の位置と濃淡値の関係をプロットすることで前記濃淡プロファイルを作成することを特徴とする請求項11、12又は13記載の線形状物検出方法。
【請求項15】
前記濃淡プロファイル作成処理では、
前記濃淡画像データの一部又は全部を所定の平面上の一方向に投影し、投影後の位置と該位置での投影値との関係をプロットすることで前記濃淡プロファイルを作成することを特徴とする請求項11、12又は13記載の線形状物検出方法。
【請求項16】
前記線形状物検出処理では、
前記濃淡プロファイルにおける前記線形状物の径に基づいて、当該線形状物の特徴を有する区間の長さを算出することを特徴とする請求項11、12、13、14又は15記載の線形状物検出方法。
【請求項17】
前記線形状物検出処理では、
前記濃淡プロファイルにおける前記線形状物の径に基づいて算出される長さの区間で当該線形状物を検出し、前記区間内の点が対称となる対称中心点を前記線形状物の一部とすることを特徴とする請求項11、12、13、14、15又は16記載の線形状物検出方法。
【請求項18】
前記線形状物検出処理では、
前記濃淡プロファイルを微分して微分プロファイルを作成すると共に、該微分プロファイルにおける前記線形状物の径に基づいて算出される長さの区間で対称性を検出し、この対称の中心点を前記線形状物の一部とすることを特徴とする請求項11、12、13、14、15又は16記載の線形状物検出方法。
【請求項19】
前記線形状物の特徴を表す部分を含む基準プロファイルを設けておき、
前記線形状物検出処理では、
前記濃淡プロファイル、又は該濃淡プロファイルを微分して得られる微分プロファイルのいずれか一方又は両方を取得し、取得されたプロファイルと前記基準プロファイルとの一致度が高くなる区間を検出し、この区間内の点を前記線形状物の一部とすることを特徴とする請求項11、12、13、14、15又は16記載の線形状物検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−222676(P2009−222676A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−70145(P2008−70145)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】