説明

締結具付き樹脂板、その構造体、その締結具及びその製造方法

【課題】樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ構造の発泡樹脂金属積層板からなる樹脂板に関し、被締結部品に緩み無く締結して固定することができ、使用環境下での締結の緩みの発生を防止し、安定して継続的に被締結部品に固定することができるようにする。
【解決手段】締結具20は軸部21と、この軸部21から横方向に延びる第1片部22と、縦方向に延びる第2片部23と、中心部のボルト孔24とを有し、発泡樹脂金属積層板の締結具用孔に軸部21を挿入し、第2片部23を折り曲げて第1片部22との間で発泡樹脂金属積層板の孔縁部を挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車及び航空機等の構造材として使用され、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ構造の発泡樹脂金属積層板からなる本体に締結具を取り付けた締結具付き樹脂板と、その締結具付き樹脂板を使用した構造体と、その締結具と、この締結具付き樹脂板の製造方法に関し、特に、樹脂板に締結具を取り付ける手段の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡樹脂金属積層板は、加熱により発泡する樹脂の板材を、アルミニウム若しくはアルミニウム合金板又は鋼板等の2枚の金属板で挟み込んだ構造の積層板であり、軽量であると共に、金属板間に介在する発泡樹脂材の特性により、遮音性及び制震性能が優れたものである。このため、この発泡樹脂金属積層板は、例えば,航空機の機体又はトラックの荷台等の輸送機用の構造物として使用され(例えば、特許文献1)、又は、棚、床又は壁材等の建材として好適に使用されている(例えば、特許文献2)。なお、近時、樹脂を金型内に充填し、中子を引いて減圧にすることにより、発泡させた発泡樹脂板等も構造材として使用されている。
【0003】
図13はこの発泡樹脂金属積層板1の断面構造を示す。この図13に示すように、発泡樹脂金属積層板1は、発泡樹脂材2の表裏両面に、夫々アルミニウム若しくはアルミニウム合金板又は鋼板等の金属板3が積層されている。このような発泡樹脂材2を2枚の金属板3で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板1は、図15に示す被締結部品5に固定するために、図14に示すように、ポンチ12により孔8を形成する。この孔形成装置においては、円形の孔を有する上金型10と、同じく円形の孔を有する下金型11とがそれらの孔を整合させて上下に配置されており、上金型10と下金型11とが相互に接近移動して、発泡樹脂金属積層板1を圧縮するように押圧することができるようになっている。そして、上金型10の孔内に円柱状のポンチ12が挿入されており、上金型10と下金型11とで発泡樹脂金属積層板1を挟持した状態で、ポンチ12を下降させて、下金型11の孔内まで進入させることにより、発泡樹脂金属積層板1に孔8を形成する。なお、このポンチ12による打ち抜きで孔8を形成する方法が効率的であるが、発泡樹脂金属積層板1をドリル加工して孔8を形成することもできる。
【0004】
その後、図15に示すように、発泡樹脂金属積層板1を被締結部品5に重ね、ボルト6の螺棒部分6aを孔8に挿入し、螺棒部分6aにナット7を螺合する。そして、ナット7を締め付けることにより、発泡樹脂金属積層板1を被締結部品5に固定する。
【0005】
しかしながら、ナット7を締め付けると、発泡樹脂金属積層板1の発泡樹脂材2をつぶしながら、ナット7をボルト6に締結することになるので、ナット7を締め付けても、発泡樹脂材2がつぶれてしまい、十分な軸力を確保することができない。また、この発泡樹脂金属積層板1の使用環境において、熱サイクルを受けると、ナット7が緩んでしまうという問題点がある。
【0006】
このような問題点は、図16に示すように、発泡樹脂材2の孔8側の端縁に、ハトメ9を配置しても、解決できない。ボルト6にナット7を締結しようとしたときに、ナット7を締め付けることにより、ハトメ9が変形してしまい、十分なトルク及び軸力を得ることができない。
【0007】
そこで、この発泡樹脂金属積層板1を被締結部材5に取り付けた後に、ボルト7が緩むことを防止し、かつ加熱の際の発泡を阻害しないようにすることを目的とした発泡樹脂金属積層板1の取り付け方法が特許文献3及び4に開示されている。これらの従来技術は、硬質板とこの硬質板に一体に配設された発泡樹脂層を有する発泡樹脂積層板を被取付部材に取り付ける際に、ボルトの頭部とナットとの間に硬質板と被取付部材とを挟み込み、硬質板と被取付部材のみをボルト・ナットで締め付けるものである。即ち、これらの従来技術においては、硬質板と被取付部材とを、ボルト・ナットにより締結するので、発泡樹脂層の変形は発生せず、また、ボルト・ナットで締結しても、発泡樹脂層の発泡を阻害することはない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−47084号公報
【特許文献2】特開2008−200985号公報
【特許文献3】特開2007−130772号公報
【特許文献4】特開2007−176018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献3及び4の従来技術においては、発泡樹脂層は1枚の硬質板に一体的に配設されており、発泡樹脂層を2枚の金属板で挟み込んだ構造の発泡樹脂金属積層板ではない。よって、被取付部材に締結した状態で、発泡樹脂金属積層板は、発泡樹脂層が露出しており、発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板1を、発泡樹脂材を変形させることなく締結できる技術ではない。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ構造の発泡樹脂金属積層板からなる樹脂板に関し、被締結部品に緩み無く締結して固定することができ、使用環境下での締結の緩みの発生を防止し、安定して継続的に被締結部品に固定することができる締結具付き樹脂板、締結具付き樹脂板を含む構造体、樹脂板の締結具及び締結具付き樹脂板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る第1の締結具付き樹脂板は、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体と、前記本体に設けられた締結具配置用の締結具用孔と、前記締結具用孔に挿入された締結具とを有し、
前記締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を挿入するためのボルト孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出した後外方に折り曲げられて前記第1片部との間で前記本体を挟持する第2片部とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る第2の締結具付き樹脂板は、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体と、前記本体に設けられた締結具配置用の締結具用孔と、前記締結具用孔に挿入された締結具とを有し、
前記締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を螺合するためのボルト螺孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出した後外方に折り曲げられて前記第1片部との間で前記本体を挟持する第2片部とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係る第3の締結具付き樹脂板は、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体と、前記本体に設けられた締結具配置用の締結具用孔と、前記締結具用孔に挿入された締結具とを有し、
前記締結具は、基部と、この基部の中央部に前記本体の厚さ方向に延びるように設けられナットを螺合するための螺棒部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方又は下方に延出した後外方に折り曲げられて前記第1片部との間で前記本体を挟持する第2片部とを有することを特徴とする
【0014】
前記第1及び第2の締結具付き樹脂板においては、前記第1片部は、前記基部の周辺部の上下方向の下部又は上部に設けられているように構成することができる。また、前記第3の締結具付き樹脂板においては、前記第2片部は、前記基部から上方に延出し、外方に折り曲げられて前記本体を挟持した状態で、前記第1片部よりも前記螺棒部側に位置するか、又は前記基部から下方に延出し、外方に折り曲げられて前記本体を挟持した状態で、前記第1片部よりも前記螺棒部の反対側に位置するように構成することができる。
【0015】
本発明に係る第1の締結具付き樹脂板を含む構造体は、前記第1の発泡樹脂金属積層板と、ボルト挿通孔を有する被締結部品と、前記発泡樹脂金属積層板の前記ボルト孔と前記被締結部品の前記ボルト挿通孔に軸部が挿入され前記発泡樹脂金属積層板及び前記被締結部品を締結するボルト・ナットと、を有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る第2の締結具付き樹脂板を含む構造体は、前記第2の発泡樹脂金属積層板と、ボルト挿通孔を有する被締結部品と、前記被締結部品の前記ボルト挿通孔に軸部が挿入され前記発泡樹脂金属積層板の前記ボルト螺孔に前記軸部が螺合されて前記発泡樹脂金属積層板及び前記被締結部品を締結するボルトと、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る第3の締結具付き樹脂板を含む構造体は、前記第3の発泡樹脂金属積層板と、ボルト挿通孔を有する被締結部品と、前記発泡樹脂金属積層板の前記螺棒部を前記被締結部品の前記ボルト挿通孔に挿入した状態で前記螺棒部における外部に露出した部分に螺合して前記発泡樹脂金属積層板及び前記被締結部品を締結するナットと、を有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係る第1の樹脂板の締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を挿入するためのボルト孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出する第2片部とを有し、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に設けられた締結具用孔に前記軸部を挿入して前記第1片部と前記第2片部とにより前記本体を挟持するようにして前記本体に取り付けられるものであることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る第2の樹脂板の締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を螺合するためのボルト螺孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出する第2片部とを有し、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板の本体に設けられた締結具用孔に前記軸部を挿入して前記第1片部と前記第2片部とにより前記本体を挟持するようにして前記本体に取り付けられるものであることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る第3の樹脂板の締結具は、基部と、この基部の中央部に前記本体の厚さ方向に延びるように設けられナットを螺合するための螺棒部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方又は下方に延出する第2片部とを有し、発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板の本体に設けられた締結具用孔に前記軸部を挿入して前記第1片部と前記第2片部とにより前記本体を挟持するようにして前記本体に取り付けられるものであることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る第1の締結具付き樹脂板の製造方法は、
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に、締結具配置用の締結具用孔を形成する形成工程と、
前記締結具用孔に締結具を挿入する挿入工程と、
を有し、
前記締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を挿入するためのボルト孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出する第2片部とを有するものであり、
前記挿入工程の後に、上下のダイスで押圧することにより前記第2片部を外方に折り曲げて、前記第1片部との間で前記本体を挟持する曲げ工程を有することを特徴とする。
【0022】
本発明に係る第2の締結具付き樹脂板の製造方法は、
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に、締結具配置用の締結具用孔を形成する形成工程と、
前記締結具用孔に締結具を挿入する挿入工程と、
を有し、
前記締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を螺合するためのボルト螺孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出する第2片部とを有するものであり、
前記挿入工程の後に、上下のダイスで押圧することにより前記第2片部を外方に折り曲げて、前記第1片部との間で前記本体を挟持する曲げ工程を有することを特徴とする。
【0023】
本発明に係る第3の締結具付き樹脂板の製造方法は、
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に、締結具配置用の締結具用孔を形成する形成工程と、
前記締結具用孔に締結具を挿入する工程と、
を有し、
前記締結具は、基部と、この基部の中央部に前記本体の厚さ方向に延びるように設けられナットを螺合するための螺棒部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方又は下方に延出した後外方に折り曲げられて前記第1片部との間で前記本体を挟持する第2片部とを有するものであり、
前記挿入工程の後に、上下のダイスで押圧することにより前記第2片部を外方に折り曲げて、前記第1片部との間で前記本体を挟持する曲げ工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明においては、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂金属積層板からなる樹脂板を被締結部品にボルト・ナットにより締結するときに、このボルト・ナットは、被締結部品と基部とを挟んで、ナットをボルトの螺棒部に緊締することになる。つまり、ナットをボルトの螺棒部に螺合させて、ナットを締め付けても、ナットとボルトの頭部との間に存在するものは、被締結部品と基部だけであり、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂金属積層板からなる樹脂板は存在しないので、締結に際し、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂金属積層板からなる樹脂板が変形する(つぶれる)ことはない。また、ナットを締め付けても、十分に高い軸力を確保することができ、使用環境において、ナットが緩んでくることはない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る締結具を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る発泡樹脂金属積層板を含む構造体の製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る発泡樹脂金属積層板の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る発泡樹脂金属積層板の製造方法を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る発泡樹脂金属積層板の製造方法を示す断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る締結具を示す断面図である。
【図7】同じく第4実施形態に係る発泡樹脂金属積層板を含む構造体の断面図である。
【図8】(a)、(b)、(c)は、締結具の構造の差による効果を説明する図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る締結具を示す断面図である。
【図10】同じく図9の締結具を示す図であり、(a)は上から見た斜視図、(b)は下から見た斜視図である。
【図11】本発明の第6実施形態に係る締結具を示す断面図である。
【図12】同じく第6実施形態に係る発泡樹脂金属積層板を含む構造体の断面図である。
【図13】発泡樹脂金属積層板の構造を示す断面図である。
【図14】発泡樹脂金属積層板に孔をパンチにより形成する方法を示す断面図である。
【図15】従来の発泡樹脂金属積層板を被締結部品に取り付けた状態を示す断面図である。
【図16】同じく、従来の他の発泡樹脂金属積層板を被締結部品に取り付けた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る発泡樹脂金属積層板の締結具20を示す断面図、図2はこの発泡樹脂金属積層板を被締結部品30に締結する過程を示す断面図、図3はこの発泡樹脂金属積層板の製造方法を示す断面図である。なお、以下、本件発明に関し、樹脂板として発泡樹脂金属積層板を使用した場合の実施形態について説明するが、樹脂板として、被発泡の樹脂板、又は単層若しくは積層の発泡樹脂板を使用した場合も同様に本件発明を適用できる。発泡樹脂金属積層板1は、発泡樹脂材2を2枚の金属板3で挟み込んだ構造を有する本体と、この本体に取り付けられた締結具20とから構成されている。つまり、発泡樹脂金属積層板1の本体は、従来の発泡樹脂金属積層板と同様の構成を有する。本実施形態においては、この発泡樹脂金属積層板1に締結具20が取り付けられている点が従来と異なる。即ち、図2に示すように、この発泡樹脂金属積層板1には、締結具配置用の締結具用孔4が発泡樹脂金属積層板1の本体の厚さ方向に貫通するようにして形成されている。発泡樹脂材2は、加熱により発泡して、膨張すると共に、多数の空間を形成する。金属板3は、アルミニウム若しくはアルミニウム合金板又は鋼板であり、剛性を有する材料である。
【0027】
この締結具20の基部21は、基本的には円柱状をなしており、その厚さは、発泡樹脂金属積層板1の本体の厚さと同一又はそれ以上である。そして、基部21の中心には、その厚さ方向に貫通するボルト孔24が形成されている。このボルト孔24は、図2に示すように、被締結部品30に発泡樹脂金属積層板1を締結する際のボルト31の軸部32を挿入するためのものである。そして、基部21の周辺部には、基部21と一体的に設けられた第1片部22が、基部21から発泡樹脂金属積層板1本体の表面に平行の方向に延出するように形成されている。この第1片部22は、フランジ状に基部21の全周に設けられている。しかし、この第1片部22は必ずしも基部21の全周に設けられている必要はなく、帯状に2箇所以上に形成されているようなものでもよい。また、基部21の周辺部には、第2片部23も、基部21と一体的に設けられており、この第2片部23は、基部21から上方(発泡樹脂金属積層板1の本体の表面に垂直の方向)に延出するように形成されている。この第2片部23は、基部21の全周に設けられ、円筒状の形状を有する。この第2片部23は、図2に示すように、取付時には、外方に折り曲げられ、第2片部23と第1片部22との間で、発泡樹脂金属積層板1の本体を挟み込むことにより、締結具20を発泡樹脂金属積層板1の本体に固定するようになっている。なお、この第2片部23も基部21の全周に設けられている必要はなく、基部21の周囲に2箇所以上で帯状に形成されているようなものでもよい。
【0028】
このように構成された発泡樹脂金属積層板1は、図2に示すように、被締結部品30に締結されて、構造体となる。被締結部品30には、ボルト挿通孔33が形成されており、このボルト挿通孔33とボルト孔24とを整合させて、発泡樹脂金属積層板1を被締結部品30に対して配置し、ボルト31の螺棒部分、即ちボルト軸部32を、被締結部品30側からボルト挿通孔33とボルト孔24内に挿入し、締結具20から突き出たボルト軸部32の部分にナット(図示せず)を螺合させ、このナットを締め付けることにより、ボルト31の頭部32とナットとの間で、被締結部品30と締結具20の基部21とを緊締する。この場合に、発泡樹脂金属積層板1が取り付けられる被締結部品30は、自動車のアッパーバック、リアパーティションパネル又はドアモジュール基板等であり、金属製で剛性をもつ部分である。また、締結具20は、同様に金属製であり、特にその基部21は、発泡樹脂金属積層板1と同等以上の厚さを有するために剛性をもつ部分である。このため、これらの被締結部品30と基部21とを間に挟んで、ナットを締め付けた場合には、十分な軸力が確保されると共に、この緊締により発泡樹脂金属積層板1が変形することはない。よって、使用の環境下で、ナットが緩んでくることはない。
【0029】
次に、この発泡樹脂金属積層板1の製造方法として、締結具20を発泡樹脂金属積層板1の本体に固定する方法について説明する。図3はかしめ治具41,42を示す。上方のかしめ治具41は、その下面の中央に、締結具20のボルト孔24に進入する大きさの逆円錐台状の突起43が形成されており、この突起43を中心とする位置に、円筒状の小突起44が形成されている。この突起33は、かしめ治具41が下方に移動して締結具20に当接したときに、締結具20の第2片部23に当接して、これを外方に押圧し、第2片部23を外方に折り曲げる作用を有する。この突起44は円筒状を有するが、必ずしも円筒状に限らず、第2片部23を外方に向けて折り曲げ、第2片部23を発泡樹脂金属積層板1の本体の上面に向けて押圧できるものであればよい。
【0030】
下方のかしめ治具42は、その上面の中央に、締結具20のボルト孔24に進入する大きさの円錐台状の突起46が形成されている。
【0031】
このように構成されたかしめ治具41,42を使用して、締結具20を発泡樹脂金属積層板1の本体に固定する場合は、図1に示す締結具20を、発泡樹脂金属積層板1の本体の締結具用孔4に挿入し、この締結具20を下かしめ治具42が支持するように、かしめ治具42を上昇させる。このとき、下かしめ治具42の突起46を締結具20のボルト孔24内に挿入することにより、締結具20の位置決めをする。その後、上かしめ具41を下降させる。このとき、締結具20の第2片部23が上かしめ治具41の突起44の外面に当接し、上かしめ治具41の下降に伴い、第2片部23が突起44の外面に沿って変形し、第2片部23が上かしめ治具41により折り曲げ加工される。これにより、第1片部22と第2片部23とで、発泡樹脂金属積層板1の本体の締結具用孔4の周辺部を挟持することができる。このようにして、発泡樹脂金属積層板1に締結具20を取り付けることができる。
【0032】
そして、前述のように、図2に示すごとく、被締結部品30のボルト挿通孔33に、締結具20のボルト孔24を整合させて、発泡樹脂金属積層板1を被締結部品30に配置し、ボルト31の螺棒である軸部32をボルト挿通孔33及びボルト孔24に挿通し、ナット(図示せず)を軸部32に螺合させて締め付けることにより、頭部32とナットとの間で、被締結部品30及び発泡樹脂金属積層板1を緊締し、発泡樹脂金属積層板1を被締結部品30に締結することができる。これにより、ナットをボルトの螺棒部に螺合させて、ナットを締め付けても、ナットとボルトの頭部との間に存在するものは、被締結部品30と基部21だけであり、発泡樹脂材2は存在しないので、締結に際し、発泡樹脂材2が変形する(つぶれる)ことはない。また、ナットを締め付けても、十分に高い軸力を確保することができ、使用環境において、ナットが緩んでくることはない。
【0033】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図4は本発明の第2実施形態に係る締結具25と、それを使用した発泡樹脂金属積層板の製造方法を示す断面図である。本実施形態の締結具25は、締結具20と同様の構造の軸部21と、第1片部22と、第2片部23とを有するが、締結具25は、その軸部21の中央にその厚さ方向に貫通する螺孔26が形成されている点が、締結具20と異なる。この螺孔26は締結用のボルトの螺棒部分が螺合するものであり、図2に示すように被締結部品30に対してボルト31により締結具25を締結しようとしたときに、ボルト31の螺棒部である軸部32が螺孔26に螺合し、ボルト31の頭部32を回してボルト31を螺孔26に緊締することにより、発泡樹脂金属積層板1を被締結部品30に固定することができる。
【0034】
本実施形態の製造方法においては、発泡樹脂金属積層板1は、図7に示すように、孔8を形成すべき位置の近傍の部分をダイス10,11により押圧してポンチ12により打ち抜くことにより、締結具用孔8を形成したものである。そして、下かしめ具55は下かしめ具42と同様に突起56を有する。但し、下かしめ具55はその周縁部にも円輪状の突起57が形成されている。また、上かしめ具50は上かしめ具41と同様に中央に突起51が形成されており、更に突起51の周辺部に第2片部23を折り曲げるための突起53が形成されている。なお、突起57は位置決め用に形成される。突起56が螺孔26内に挿入されることにより、締結具25の位置決めが可能であるが、この締結具25の螺孔26には孔内面にネジが切られているので、位置決めしにくい場合があり、この突起56とは別に、締結具25の外縁でも位置決めすべく、下かしめ具55の縁部に突起57が形成されている。
【0035】
このように構成されたかしめ部により、締結具25の螺孔26内に突起56及び51が挿入されるようにして位置決めしつつ、かしめ具50,55を相互に接近する方向に移動させると、突起53により第2片部23が折れ曲がり、第1片部22との間で、発泡樹脂金属積層板1の締結具用孔の縁部を挟持する。
【0036】
本実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏するのに加え、締結具25が緊締用のナットを兼ねているので、必要部品が少なくなると共に、締結時に締結具側に手を回す必要がなく、締結作業が容易になるという効果がある。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図5は本発明の第3実施形態に係る締結具27と、それを使用した発泡樹脂金属積層板の製造方法を示す断面図である。本実施形態の締結具27は締結具20と同様の構造の基部21と、第1片部22と、第2片部23とを有する。本実施形態においては、基部21の中心部に孔又は螺孔が形成されているのではなく、第1片部22に垂直に延びる螺棒部28が形成されている。この螺棒部28はその周面にネジ29が形成されており、この螺棒部28が図2に示す被締結部品30のボルト挿通孔を挿通して被締結部品30の上方に突き出た状態で、この螺棒部28のネジ29にナットを螺合させてナットを締め付けることにより、締結具27を被締結部品30に締結することができる。
【0038】
本実施形態の製造方法においては、上かしめ具60はその中央に螺棒部28を挿通できる貫通孔62が形成されており、下面には、第2片部23を折り曲げ加工するための突起61が形成されている。また、下かしめ具65はその中央に位置合わせ用の小突起66が形成されており、この小突起66に対応する位置の螺棒部28の下面には、小突起66を嵌合する小凹部28aが形成されている。
【0039】
このように構成されたかしめ具60,65を使用し、下かしめ具65上に締結具27を載置し、上方から上かしめ具60を降下させると、突起61が第2片部23に当接して、この第2片部23を折れ曲げ加工し、第2片部23と第1片部22とで発泡樹脂金属積層板1の締結具用孔の縁部を挟持する。これにより、締結具27が発泡樹脂金属積層板1に固定される。
【0040】
本実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏するのに加え、締結具27が緊締用のボルトを兼ねているので、必要部品が少なくなると共に、締結時に締結具側に手を回す必要がなく、締結作業が容易になるという効果を奏する。
【0041】
次に、図6及び図7を参照して、本発明の第4実施形態について説明する。図6は本実施形態締結具を示し、図7はその発泡樹脂金属積層板を含む構造体を示す。本実施形態は、図5に示すボルト型締結具の変形例である。図6に示すように、締結具70は、螺棒部71と、螺棒部71の下端の基部74から水平方向に延出する第1片部72と、前記基部から下方に延出する第2片部73とを有する。そして、図7に示すように、第2片部72を外方に屈曲させることにより、この第2片部72と第1片部71との間で、発泡樹脂金属板1を挟持する。螺棒部71は被締結部品30に設けられた孔に挿通させて、この螺棒部71の先端を被締結部品30の上方に露出させ、この螺棒部71の先端にナット7を螺合することにより、第1片部72とナット7との間で、被締結部品30を締結する。これにより、発泡樹脂金属板1を被締結部品30に取り付けることができる。
【0042】
本実施形態においては、基部74から水平に延出する平坦な第1片部72が被締結部品30の表面に接触するので、双方の接触面積が大きい。図8(a)に示す締結具付き樹脂板を被締結部材30に締結する場合、この締結具は、図5に示す構造を有するので、折り曲げる第2片部23は、基部21に関し、第1片部22よりも螺棒部28側に位置する。このため、図8(a)に示すように、第2片部23は折れ曲がった状態で被締結部品30の下面に接触するが、この被締結部品30との接触面積は、図7及び図8(b)に示すように、第1片部72が被締結部品30に接触した場合よりも小さい。図7及び図8(b)に示す締結具は、基部74に関し、第2片部73は、第1片部72よりも螺棒部71の反対側に位置するので、被締結部品30の下面に接触するのは、水平方向に延びて折れ曲げる必要がない第1片部72であるため、その被締結部品30との接触面積が大きい。このため、締結後の締結部全体の剛性を高めることができる。
【0043】
また、第1片部72は折り曲げ変形しないので、図8(c)に示すように、第1片部72aの長さを長くする(第1片部72aを広くする)ことができる。このため、第1片部72aと被締結部品30との接触面積を更に一層高めることができ、締結部の剛性を更に一層高めることができる。
【0044】
図9は本発明の第5実施形態に係る締結具を示す断面図、図10(a)はその締結具を上から見た図、図10(b)は下から見た図である。本実施形態は、第1片部72を広い板状に成形し、この第1片部72の下面から、下方に延出するようにして複数個(図示例は2個)の円筒状の第2片部73を形成したものである。本実施形態は、発泡樹脂金属積層板1に2個の円形の孔を設け、この孔内に夫々第2片部73を装入し、図3と同様にして、第2片部73を夫々外側に折り曲げる。これにより、第2片部73が第1片部72との間で発泡樹脂金属積層板1を挟持し、第1片部72を被締結部品30の下面に重ねて螺棒部71にナット(図示せず)を螺合させて、このナットを緊締することにより、発泡樹脂金属積層板1を被締結部品30に取り付けることができる。本実施形態においては、複数個の第2片部73により発泡樹脂金属積層板1を固定するので、締結具による締結剛性が向上する。
【0045】
図11は本発明の第6実施形態に係る締結具を示す断面図であり、図12は同じく発泡樹脂金属積層板を含む構造体の断面図である。本実施形態は、図4に示す締結具の変形例である。図4に示す締結具25は、その基部21の上下方向の下部から水平方向に第1片部22が延びているのに対し、図11に示す締結具80は、その基部81の上下方向の上部から水平方向に第1片部82が延びている。なお、図11は基部81の中心部に螺孔が形成されているが、図1に示すように、基部21の中心部にボルト軸部の挿通用のボルト孔24が形成された締結具20に対しても適用することができる。
【0046】
このため、図12に示すように、第2片部83を外方に折り曲げ、第2片部83と第1片部82との間で発泡樹脂金属積層板1を挟持し、被締結部品30に設けた孔を挿通してボルト31を挿通して更にそのボルト軸部32を螺孔に螺合させて、このボルト31を緊締することにより、発泡樹脂金属積層板1を被締結部品30に取り付けることができる。図1に示すように、基部の中心部に螺孔が形成されていない場合、即ち、基部にボルト軸部の挿通用の孔が形成されている場合も、この孔にボルトを挿通し、基部から突出したボルト軸部先端にナットを螺合させることにより、締結具を固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、制震性能又は遮音性能等が優れた発泡樹脂材を、容易に且つ経時変化の緩みがなく、自動車又は航空機の構造材に取り付けることができ、これらの軽量化にも多大の貢献をなす。
【符号の説明】
【0048】
1:発泡樹脂金属積層板
2:発泡樹脂材
3:金属板
20、25,27、70,80:締結具
21、74,81:基部
22,72,82:第1片部
23、73,83:第2片部
24:ボルト孔
26:螺孔
28:螺棒部
29:ネジ
30:被締結部品
31:ボルト
32:ボルト軸部
41,50,60:上かしめ具
42,55,65:下かしめ具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体と、前記本体に設けられた締結具配置用の締結具用孔と、前記締結具用孔に挿入された締結具とを有し、
前記締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を挿入するためのボルト孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出した後外方に折り曲げられて前記第1片部との間で前記本体を挟持する第2片部とを有することを特徴とする締結具付き樹脂板。
【請求項2】
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体と、前記本体に設けられた締結具配置用の締結具用孔と、前記締結具用孔に挿入された締結具とを有し、
前記締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を螺合するためのボルト螺孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出した後外方に折り曲げられて前記第1片部との間で前記本体を挟持する第2片部とを有することを特徴とする締結具付き樹脂板。
【請求項3】
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体と、前記本体に設けられた締結具配置用の締結具用孔と、前記締結具用孔に挿入された締結具とを有し、
前記締結具は、基部と、この基部の中央部に前記本体の厚さ方向に延びるように設けられナットを螺合するための螺棒部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方又は下方に延出した後外方に折り曲げられて前記第1片部との間で前記本体を挟持する第2片部とを有することを特徴とする締結具付き樹脂板。
【請求項4】
前記第1片部は、前記基部の周辺部の上下方向の下部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の締結具付き樹脂板。
【請求項5】
前記第1片部は、前記基部の周辺部の上下方向の上部に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の締結具付き樹脂板。
【請求項6】
前記第2片部は、前記基部から上方に延出し、外方に折り曲げられて前記本体を挟持した状態で、前記第1片部よりも前記螺棒部側に位置することを特徴とする請求項3に記載の締結具付き樹脂板。
【請求項7】
前記第2片部は、前記基部から下方に延出し、外方に折り曲げられて前記本体を挟持した状態で、前記第1片部よりも前記螺棒部の反対側に位置することを特徴とする請求項3に記載の締結具付き樹脂板。
【請求項8】
前記請求項1に記載の締結具付き樹脂板と、ボルト挿通孔を有する被締結部品と、前記締結具付き樹脂板の前記ボルト孔と前記被締結部品の前記ボルト挿通孔に軸部が挿入され前記締結具付き樹脂板及び前記被締結部品を締結するボルト・ナットと、を有することを特徴とする締結具付き樹脂板を含む構造体。
【請求項9】
前記請求項2に記載の締結具付き樹脂板と、ボルト挿通孔を有する被締結部品と、前記被締結部品の前記ボルト挿通孔に軸部が挿入され前記締結具付き樹脂板の前記ボルト螺孔に前記軸部が螺合されて前記締結具付き樹脂板及び前記被締結部品を締結するボルトと、を有することを特徴とする締結具付き樹脂板を含む構造体。
【請求項10】
前記請求項3に記載の締結具付き樹脂板と、ボルト挿通孔を有する被締結部品と、前記締結具付き樹脂板の前記螺棒部を前記被締結部品の前記ボルト挿通孔に挿入した状態で前記螺棒部における外部に露出した部分に螺合して前記締結具付き樹脂板及び前記被締結部品を締結するナットと、を有することを特徴とする締結具付き樹脂板を含む構造体。
【請求項11】
基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を挿入するためのボルト孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出する第2片部とを有し、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に設けられた締結具用孔に前記軸部を挿入して前記第1片部と前記第2片部とにより前記本体を挟持するようにして前記本体に取り付けられるものであることを特徴とする樹脂板の締結具。
【請求項12】
基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を螺合するためのボルト螺孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出する第2片部とを有し、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に設けられた締結具用孔に前記軸部を挿入して前記第1片部と前記第2片部とにより前記本体を挟持するようにして前記本体に取り付けられるものであることを特徴とする樹脂板の締結具。
【請求項13】
基部と、この基部の中央部に前記本体の厚さ方向に延びるように設けられナットを螺合するための螺棒部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方又は下方に延出する第2片部とを有し、樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に設けられた締結具用孔に前記軸部を挿入して前記第1片部と前記第2片部とにより前記本体を挟持するようにして前記本体に取り付けられるものであることを特徴とする樹脂板の締結具。
【請求項14】
前記第1片部は、前記基部の周辺部の上下方向の下部に設けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載の樹脂板の締結具。
【請求項15】
前記第1片部は、前記基部の周辺部の上下方向の上部に設けられていることを特徴とする請求項11又は12に記載の樹脂板の締結具。
【請求項16】
前記第2片部は、前記基部から上方に延出し、外方に折り曲げられて前記本体を挟持した状態で、前記第1片部よりも前記螺棒部側に位置することを特徴とする請求項13に記載の樹脂板の締結具。
【請求項17】
前記第2片部は、前記基部から下方に延出し、外方に折り曲げられて前記本体を挟持した状態で、前記第1片部よりも前記螺棒部の反対側に位置することを特徴とする請求項13に記載の樹脂板の締結具。
【請求項18】
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に、締結具配置用の締結具用孔を形成する形成工程と、
前記締結具用孔に締結具を挿入する挿入工程と、
を有し、
前記締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を挿入するためのボルト孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出する第2片部とを有するものであり、
前記挿入工程の後に、上下のダイスで押圧することにより前記第2片部を外方に折り曲げて、前記第1片部との間で前記本体を挟持する曲げ工程を有することを特徴とする締結具付き樹脂板の製造方法。
【請求項19】
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に、締結具配置用の締結具用孔を形成する形成工程と、
前記締結具用孔に締結具を挿入する挿入工程と、
を有し、
前記締結具は、基部と、この基部をその厚さ方向に貫通するボルト軸部を螺合するためのボルト螺孔と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方に延出する第2片部とを有するものであり、
前記挿入工程の後に、上下のダイスで押圧することにより前記第2片部を外方に折り曲げて、前記第1片部との間で前記本体を挟持する曲げ工程を有することを特徴とする締結具付き樹脂板の製造方法。
【請求項20】
樹脂板、発泡樹脂板又は発泡樹脂材を2枚の金属板で挟み込んだ発泡樹脂金属積層板からなる本体に、締結具配置用の締結具用孔を形成する形成工程と、
前記締結具用孔に締結具を挿入する工程と、
を有し、
前記締結具は、基部と、この基部の中央部に前記本体の厚さ方向に延びるように設けられナットを螺合するための螺棒部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から前記本体の表面に平行の方向に延出する第1片部と、前記基部の周辺部に前記基部と一体的に設けられ前記基部から上方又は下方に延出した後外方に折り曲げられて前記第1片部との間で前記本体を挟持する第2片部とを有するものであり、
前記挿入工程の後に、上下のダイスで押圧することにより前記第2片部を外方に折り曲げて、前記第1片部との間で前記本体を挟持する曲げ工程を有することを特徴とする締結具付き樹脂板の製造方法。
【請求項21】
前記第1片部は、前記基部の周辺部の上下方向の下部に設けられていることを特徴とする請求項18又は19に記載の締結具付き樹脂板の製造方法。
【請求項22】
前記第1片部は、前記基部の周辺部の上下方向の上部に設けられていることを特徴とする請求項18又は19に記載の締結具付き樹脂板の製造方法。
【請求項23】
前記第2片部は、前記基部から上方に延出し、外方に折り曲げられて前記本体を挟持した状態で、前記第1片部よりも前記螺棒部側に位置することを特徴とする請求項20に記載の締結具付き樹脂板の製造方法。
【請求項24】
前記第2片部は、前記基部から下方に演出し、外方に折り曲げられて前記本体を挟持した状態で、前記第1片部よりも前記螺棒部の反対側に位置することを特徴とする請求項20に記載の締結具付き樹脂板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−37051(P2012−37051A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156516(P2011−156516)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】