説明

縫製データ処理装置、縫製データ処理装置を備えたミシン、縫製データ処理プログラム及び、縫製データ処理プログラムを記録した記録媒体

【課題】加工布のデザインを損なうことなく、多くの情報を記憶可能なICタグを加工布に取り付けることができる縫製データ処理装置を提供すること。
【解決手段】まず、ICタグの大きさ及び形状に基づき定められたICタグ領域を取得し(S10)、続いて、アップリケ模様データに基づき定められるアップリケ模様領域内にICタグ領域を包含させることができるか否かを判定する(S20)。包含させることができると判定された場合に、ICタグ領域がアップリケ模様領域内に配置されるように、アップリケ模様領域及びICタグ領域の配置位置を設定する(S20)。続いて、ICタグが布片に配置されるか否かに応じて(S60)、ICタグを配置する際の目印となるマーク縫製データが作成付加され(S70,S80)、ICタグを加工布に縫い付けるための止め縫付けデータが作成付加される(S90)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アップリケ模様データにより定められる大きさ及び形状を有する布片を加工布にミシンで縫い付けて、当該加工布に当該布片によるアップリケ模様を形成するための縫製データを処理する縫製データ処理装置、縫製データ処理装置を備えたミシン、縫製データ処理プログラム及び、縫製データ処理プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光学的に読み取り可能なマークを加工布に装着し、そのマークを利用して、加工布の製造、販売の際の商品管理に利用したり、加工布の品質を表示したりする技術が知られている。
【0003】
このマークは布地に直接印刷されたり、予めマークを印刷した紙や布を布地に貼り付けたりした場合には、取り扱いによっては、各種処理工程で使用される水や薬品等により布地からその一部又は全部が消失したり剥離したりするおそれがあった。そこで例えば、光学的に読み取り可能なマークを、加工布に縫製することで形成するミシンが提案されている(特許文献1参照)。このミシンにより縫製されたマークは、マークが加工布から消失、剥離、変形することを未然に防止することができる。
【特許文献1】特公平6−67422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術では、加工布に直接マークが縫製されるため、マークが加工布の外観やデザインに悪影響を及ぼすおそれがあった。また、縫製により形成されるマークに付加する情報量には限界があり、より多くの情報を加工布に保持させたいという要望があった。
【0005】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、加工布のデザインを損なうことなく、多くの情報を記憶可能なICタグを加工布に取り付けることができる縫製データ処理装置、縫製データ処理装置を備えたミシン、縫製データ処理プログラム及び、縫製データ処理プログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の縫製データ処理装置は、アップリケ模様データにより定められる大きさ及び形状を有する布片を、ミシンにより加工布に縫い付けて、当該加工布に当該布片によるアップリケ模様を形成するための縫製データを処理する縫製データ処理装置において、各種情報が記憶された情報記憶部を備えるICタグの大きさ及び形状に基づき定められた領域であるICタグ領域を取得するICタグ領域取得手段と、前記アップリケ模様データに基づき定められるアップリケ模様領域内に、前記ICタグ領域取得手段により取得された前記ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により包含させることができると判定された場合に、前記ICタグ領域が前記アップリケ模様領域内に配置されるように、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を設定する配置設定手段とを備えている。
【0007】
また、請求項2に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記判定手段は、前記縫製可能領域に、前記アップリケ模様及び前記ICタグ領域を配置する初期配置手段と、前記縫製可能領域に配置された前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域を相対的に異なる配置位置に再配置することを、所定条件となるまで繰り返す配置繰返手段と、前記初期配置手段又は前記配置繰返手段により前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域が配置された場合に、当該ICタグ領域が、当該アップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定する包含判定手段と、前記包含判定手段により、包含させることができると1度以上判定された場合に、前記縫製データに基づき定められるアップリケ模様領域内に、前記ICタグ領域取得手段により取得された前記ICタグ領域を包含させることができると判定する総合判定手段とを備えている。
【0008】
また、請求項3に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記ミシンの縫製可能領域内の前記ICタグの位置を表す情報である位置情報を取得する位置情報取得手段を備え、前記配置設定手段は、前記判定手段により包含させることができると判定された場合に、前記ICタグ領域が前記アップリケ模様領域内に配置されるように、かつ、前記ミシンの縫製可能領域内に設定される前記ICタグの配置位置を前記位置情報取得手段により取得された前記位置情報が表す配置位置に固定して、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域の配置位置を設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記アップリケ模様の輪郭を指定する輪郭指定手段と、少なくとも前記輪郭指定手段により指定された前記アップリケ模様の輪郭に基づき、前記アップリケ模様領域を定めるアップリケ模様領域決定手段とを備え、前記判定手段は、前記アップリケ模様決定手段により定められた前記アップリケ模様領域内に、前記ICタグ領域取得手段により取得された前記ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定し、前記判定手段により包含されると判定された場合に、前記輪郭指定手段により輪郭が指定された前記アップリケ模様を縫製するための前記縫製データを作成するアップリケ模様データ作成手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記判定手段により包含させることができると判定された場合に、前記アップリケ模様領域のうち、前記ICタグ領域を包含させることができる領域である包含可能領域を報知する第1報知手段と、前記第1報知手段により報知された前記包含可能領域の中から、前記ICタグ領域を配置する包含可能領域を選択する選択手段とを備え、前記配置設定手段は、前記選択手段により選択された前記包含可能領域内に前記ICタグ領域が配置されるよう、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を設定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明の縫製データ処理装置は、縫製可能なミシンで加工布にアップリケ模様を縫製するためのアップリケ模様データを処理する縫製データ処理装置において、アップリケ模様データにより定められる大きさ及び形状を有する布片を、ミシンにより加工布に縫い付けて、当該加工布に当該布片によるアップリケ模様を形成するための縫製データを処理する縫製データ処理装置において、各種情報が記憶された情報記憶部を備えるICタグの大きさ及び形状に基づき定められた領域であるICタグ領域を取得するICタグ領域取得手段と、前記縫製可能領域における、前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を指定する配置指定手段と、前記配置指定手段により指定された配置位置に配置された前記ICタグ領域が、前記配置指定手段により指定された配置位置に配置された前記アップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により包含されていると判定された場合に、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を、前記配置指定手段により指定された配置位置に設定する配置設定手段とを備えている。
【0012】
また、請求項7に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記ICタグの大きさ及び形状を少なくとも表す情報である形態情報を取得する形態情報取得手段を備え、前記ICタグ領域取得手段は、前記形態情報取得手段により取得された前記形態情報に基づき定められた前記ICタグ領域を取得することを特徴とする。
【0013】
また、請求項8に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記ICタグの大きさ及び形状を少なくとも表す情報である形態情報を入力する形態情報入力手段を備え、前記ICタグ領域取得手段は、前記形態情報入力手段により入力された前記形態情報に基づきを定められた前記ICタグ領域を取得することを特徴とする。
【0014】
また、請求項9に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記アップリケ模様の輪郭と、当該アップリケ模様を形成する前記布片を前記加工布に縫い付ける際の縫い代と、前記加工布及び前記布片の少なくともいずれか一方の縮み量とに基づき、前記アップリケ模様領域内に前記ICタグ領域を配置可能な安全領域を定める安全領域決定手段を備え、前記判定手段は、前記安全領域決定手段により定められた前記安全領域内に、前記ICタグ領域取得手段により取得された前記ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定し、前記配置設定手段は、前記判定手段により包含させることができると判定された場合に、前記ICタグ領域が前記安全領域内に配置されるように、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を設定することを特徴とする。
【0015】
また、請求項10に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記ICタグを前記配置設定手段により定められた配置位置に配置する際の目印となる縫目を前記加工布又は前記布片に形成するためのマーク縫製データを作成するマーク縫製データ作成手段を備えている。
【0016】
また、請求項11に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項10に記載の発明の構成に加え、前記アップリケ模様データは、前記布片の輪郭にあわせて縫目を形成するための輪郭データと、当該縫目に基づき裁断された前記布片を前記加工布上に配置する際の目印となる縫目を形成するための位置決めデータとを少なくとも含み、前記ICタグを前記布片上に配置する場合には、前記マーク縫製データ作成手段により作成された前記マーク縫製データを、前記輪郭データの直前又は直後に付加し、前記ICタグを前記加工布上に配置する場合には、前記マーク縫製データ作成手段により作成された前記マーク縫製データを、前記位置決めデータの直前又は直後に付加するデータ付加手段を備えている。
【0017】
また、請求項12に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1乃至11のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記配置設定手段により定められた配置位置に配置された前記ICタグを前記加工布に縫い付ける縫目を形成するための止め縫付け縫製データを作成する止め縫付け縫製データ作成手段を備えている。
【0018】
また、請求項13に係る発明の縫製データ処理装置は、請求項1乃至12のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記判定手段の判定結果及び前記配置設定手段により決定された配置の少なくともいずれか一方を報知する第2報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【0019】
また、請求項14に係る発明のミシンは、請求項1乃至13のいずれかに記載の縫製データ処理装置を備えている。
【0020】
また、請求項15に係る発明の縫製データ処理プログラムは、請求項1乃至13のいずれかに記載の縫製データ処理装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0021】
また、請求項16に係る発明の記録媒体は、請求項15に記載の縫製データ処理プログラムを記録したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明の縫製データ処理装置によれば、加工布に装着されるICタグ領域がアップリケ模様領域内に包含されるように、アップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置を定めることができる。このため、本発明の縫製データ処理装置が定めたアップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置に従えば、加工布に装着されるICタグを、アップリケ模様を形成する布片により覆い隠すことができ、加工布のデザインを損なうことなく、多くの情報を保持可能なICタグを加工布に装着させることができる。
【0023】
また、請求項2に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、縫製可能領域に配置されたアップリケ模様領域及びICタグ領域を相対的に異なる配置位置に再配置することを、所定条件となるまで繰り返して、その都度ICタグ領域が、アップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定し、包含させることができると1度以上判定された場合に、アップリケ模様データに基づき定められるアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を包含させることができると判定するようにしている。このため、ICタグ領域が、アップリケ模様領域内に包含されているか否かの判定を確実に行うことができる。
【0024】
また、請求項3に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、ICタグの加工布上の配置位置を少なくとも表す位置情報を取得し、加工布上のICタグの配置位置を固定した上で、加工布に装着されるICタグがアップリケ模様により覆われるように、アップリケ模様の配置を定めることができる。このため、本発明の縫製データ処理装置が定めたアップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置に従えば、ICタグの加工布上の配置位置がすでに定められている場合に、そのICタグの配置位置に適したアップリケ模様の配置位置を定めることができる。
【0025】
また、請求項4に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明の効果に加え、指定されたアップリケ模様の輪郭に基づきアップリケ模様領域を設定し、そのアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定するとともに、ICタグ領域を包含させることができると判定された場合に、指定された輪郭が指定されたアップリケ模様のアップリケ模様データを、アップリケ模様領域とICタグ領域とが重なる領域である重複領域内に、アップリケ模様を縫製する際の針落ち点が設けられないように作成するようにしている。このため、ICタグがアップリケ模様により覆い隠されるように、アップリケ模様データを新たに作成することができる。
【0026】
また、請求項5に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1乃至4のいずれかに記載の発明の効果に加え、第1報知手段により報知された包含可能領域の中からICタグ領域を配置する選択手段を設けているので、ICタグ領域の配置位置を報知された包含可能領域内の所望の位置に設定することができる。
【0027】
また、請求項6に係る発明の縫製データ処理装置によれば、縫製可能領域における、アップリケ模様領域及びICタグ領域を所望の配置位置に指定した場合に、そのアップリケ模様領域内にICタグ領域が包含されているか否かに基づき、アップリケ模様領域及びICタグ領域の配置位置を指定された配置位置に設定することができる。
【0028】
また、請求項7に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1乃至6のいずれかに記載の発明の効果に加え、加工布に装着されるICタグの大きさ及び形状を少なくとも表す形態情報を取得し、その形態情報に基づきICタグ領域を定めることができる。このため、ICタグがアップリケ模様により覆い隠されるように、アップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置を定める処理に用いるICタグ領域を適切に定めることができる。
【0029】
また、請求項8に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1乃至7のいずれかに記載の発明の効果に加え、加工布に装着されるICタグの大きさ及び形状を少なくとも表す形態情報を入力手段により入力し、その入力された形態情報に基づきICタグ領域を定めることができる。このため、ICタグがアップリケ模様により覆い隠されるように、アップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置を定める処理に用いるICタグ領域を、ユーザにより入力された形態情報に基づき適切に定めることができる。
【0030】
また、請求項9に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1乃至8のいずれかに記載の発明の効果に加え、ICタグが、アップリケ模様を形成する布片により覆い隠されるように、アップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置を定める処理に用いる安全領域を、アップリケ模様の輪郭と、この布片を加工布に縫い付ける際の縫い代と、加工布及び布片の少なくともいずれか一方の縮み量とを考慮して、適切に定めることができる。
【0031】
また、請求項10に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1乃至9のいずれかに記載の発明の効果に加え、ICタグの配置位置を加工布又は布片上に配置する際の目印となる縫目を形成するためのマーク縫製データを作成することができる。このため、本発明の縫製データ処理装置が定めたマーク縫製データに基づき加工布又は布片に縫製した縫目を目印に、縫製データ処理装置により設定された配置位置にICタグを容易に配置することができる。
【0032】
また、請求項11に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項10に記載の発明の効果に加え、ICタグが加工布上に配置されるか、布片上に配置されるかに応じて、マーク縫製データをアップリケ模様データの適切な位置に付加させることができる。
【0033】
また、請求項12に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1乃至11のいずれかに記載の発明の効果に加え、縫製データ処理装置が定めた適切な配置位置に配置されたICタグを加工布に縫い付ける縫目を形成するための止め縫付け縫製データを作成することができる。このため、ICタグを加工布上に確実に固定することができる。
【0034】
また、請求項13に係る発明の縫製データ処理装置によれば、請求項1乃至12のいずれかに記載の発明の効果に加え、ICタグ領域が包含される領域である包含可能領域が、アップリケ模様領域内に少なくとも1つ以上有るか否かの判定結果及びアップリケ模様領域並びにICタグ領域の配置位置の少なくともいずれか一方を報知する報知手段を備えているので、ICタグ領域が包含される領域である包含可能領域が、アップリケ模様領域内に少なくとも1つ以上有るか否かがこの報知手段により報知された場合には、包含可能領域の有無を知ることができる。一方、アップリケ模様領域並びにICタグ領域の配置位置が報知手段により報知された場合には、報知された配置位置に従い、ICタグを加工布又は布片上に配置し、ICタグを加工布に縫い付けられる布片にて覆い隠すことができる。
【0035】
また、請求項14に係る発明のミシンによれば、請求項1乃至13のいずれかに記載の縫製データ処理装置を備えたので、同装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0036】
また、請求項15に係る発明の縫製データ処理プログラムによれば、プログラムをコンピュータによって実行することにより、請求項1乃至13のいずれかに記載の縫製データ処理装置の各主処理手段の作用効果を得ることができる。
【0037】
また、請求項16に係る発明の記録媒体によれば、請求項15に記載のプログラムをコンピュータによって実行することにより、請求項15に記載の発明の作用効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明に係るミシンを適用した第1乃至第4の実施形態の縫製データ処理装置について、図面を参照して順に説明する。まず、第1の実施形態の縫製データ処理装置について説明する。第1の実施形態の縫製データ処理装置は、上下動する針に対して相対的に加工布を移動して加工布に縫目を形成するミシンと一体に設けられた場合の一例である。尚、縫製データ処理装置は、ミシンとは別体に設けるようにしてもよい。最初に、本実施形態に係るミシン1の物理的構成及び電気的構成を説明する。
【0039】
まず、ミシン1の物理的構成について、図1を参照して説明する。図1は、ミシン1の斜視図である。尚、図1において、紙面の手前側を前方、紙面の奥行き側を後方と言い、ミシンベッド11側を下にした場合の紙面の左右方向を左右方向と言う。
【0040】
図1に示すように、ミシン1は、左右方向に長いミシンベッド11と、ミシンベッド11の右端部から上方へ立設された脚柱部12と、脚柱部12の上端から図1における左方へ延びるアーム部13と、アーム部13の左先端部に設けられた頭部14とを有する。ミシンベッド11には、加工布(図示せず)を挟持する刺繍枠34が配置されている。この刺繍枠34は、刺繍枠移動機構36により装置固有のXY座標系に基づく任意の位置に移動するように構成されている。そして、刺繍枠移動機構36により加工布を自在に移動させながら針棒や釜機構(図示せず)を駆動させることにより、加工布に対して所定の縫目や所定の刺繍を形成する刺繍形成動作が実行される。
【0041】
また、頭部14には、縫針29が装着された針棒(図示せず)を上下方向に駆動させる針棒機構(図示せず)と、この針棒を左右方向に揺動させる針振り用パルスモータ80(図2参照)と、天秤機構(図示せず)とが設けられている。上述の刺繍枠移動機構36や針棒等は、アップリケ模様データに基づいて、ミシン1に内蔵されたマイクロコンピュータ等から構成される制御装置により制御される。また針棒近傍の頭部14の下面には、図1において図示しないが、刺繍枠34の内周35の内部の縫製可能領域内に配置されたICタグの大きさや形状を読み取り可能な画像読取センサ27(図2参照)が設けられている。この画像読取センサ27は、例えば、CCDセンサ又はCMOSセンサから構成される。
【0042】
また、脚柱部12の前面には、本発明の表示手段に相当し、縦長の長方形形状を有する液晶ディスプレイ15が設けられている。この液晶ディスプレイ15には、種々の模様、縫製作業に必要な各種の機能を実行させる機能名、さらには各種のメッセージ等が表示される。この液晶ディスプレイ15の前面には、複数の模様の模様名や各種の機能を実行させる機能名、送り量調整用パルスモータ78(図2参照)による加工布の送り量や針振り用パルスモータ80による針振り量等の各種設定画面における数値設定等の表示位置の各々に対応するようにタッチパネル26が設けられている。このため、これらの液晶ディスプレイ15に表示された画面の模様表示部や設定部に対応するタッチパネル26を、指や専用のタッチペンを用いて押圧操作することにより、縫製に供する模様の選択や機能の指示や数値設定等を実行することができる。
【0043】
また、脚柱部12の図1における右側面には、図1において図示しないが、メモリーカード等の外部記憶装置39を接続可能なコネクタ38(図2参照)も設けられている。このコネクタ38を介して、外部記憶装置39から各種縫製情報データや、各種プログラムをミシン1の内部に取り込んだり、ミシン1の外部に出力したりすることが可能である。
【0044】
次に、アーム部13の構成について説明する。アーム部13には、その上部側を開閉する開閉カバー16が取り付けられている。この開閉カバー16の内部には、縫針29に糸を供給する糸駒(図示せず)が収納され、この糸駒から延びる上糸は、図示しないが、頭部14に設けられた糸張力を調整する糸調子器及び糸取バネ、上下に往復駆動して上糸を引き上げる天秤等の複数の糸掛部を経由して、針棒に装着された縫針29に供給される。
【0045】
また、アーム部13には、ミシンモータ79(図2参照)により回転駆動され、アーム部13の長手方向に延設されるミシン主軸(図示せず)が設けられ、このミシン主軸の回転により針棒機構と天秤機構とが駆動される。
【0046】
このアーム部13の前面下部には、ミシンの運転を開始及び停止する、すなわち、縫製開始及び停止を指示する縫製開始・停止スイッチ21,加工布を通常とは逆方向である後方から前方へ送るための返し縫いスイッチ22,針棒の停止位置を上下に切り換える針上下スイッチ23,押え足30を昇降させる動作を指示する押え足昇降スイッチ24及び、天秤、糸調子器、糸取りバネに糸掛けを行うと共に、縫針29の目孔にも糸通しを行う自動糸掛開始を指示する自動糸掛開始スイッチ25等が設けられている。
【0047】
また、アーム部13の左先端部に設けられた頭部14には、前述の針棒、天秤、糸調子器、糸取バネの他、図示しないが、自動糸掛け装置、自動糸通し機構等が設けられている。また、針棒の後側には、昇降可能に支持された押え棒(図示せず)が配設され、この押え棒の下端部には、加工布を押圧するための押え足30が装着されている。
【0048】
次に、ミシン1の電気的構成について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、ミシン1の電気的構成を示す概念図である。図3は、RAM63の記憶領域を説明するための概念図である。図2に示すように、このミシン1の制御部60は、CPU61,ROM62,RAM63,EEPROM64,入力インターフェイス65,出力インターフェイス66,コネクタ38等で構成され、これらはバス67により相互に接続されている。そして、入力インターフェイス65には、前述の縫製開始・停止スイッチ21,返し縫いスイッチ22,針上下スイッチ23,押え足昇降スイッチ24,自動糸掛開始スイッチ25,タッチパネル26及び、画像読取センサ27等が接続されている。一方、出力インターフェイス66には、加工布の送り量を調整する送り量調整用パルスモータ78,ミシン主軸を回転駆動させるミシンモータ79,針棒(図示せず)を揺動駆動する針振り用パルスモータ80,前述の押え足昇降パルスモータ43,液晶ディスプレイ15,刺繍枠34をX軸方向に駆動させるX軸モータ81及び刺繍枠34をY軸方向に駆動させるY軸モータ82がそれぞれ駆動回路71乃至77を介して電気的に接続されている。以下、ミシン1の制御部60を構成する、CPU61,ROM62,RAM63について詳述する。
【0049】
CPU61は、ミシン1の主制御を司り、ROM62に記憶された縫製制御プログラムに従って、縫製を実行するための各種演算及び処理を実行する。また、ROM62に記憶された、縫製データ処理プログラムに従って、縫製可能領域内にICタグ領域及びアップリケ模様領域の配置位置を設定する。尚、ミシン操作プログラムはメモリーカード等の外部記憶装置に記憶されていてもよく、その場合は、当該プログラムをRAM63上に読み込んで実行する。
【0050】
ROM62は、各種の駆動機構を駆動制御するとともに、各種模様を選択する模様選択制御や各種の表示制御を含む縫製制御プログラムが記憶された縫製制御プログラム記憶領域に加えて、後述する本願特有のプログラムであり、縫製可能領域内にICタグ領域及びアップリケ模様領域の配置位置を設定する縫製データ処理プログラムが記憶された縫製データ処理プログラム記憶領域等が設けられている。尚、これらの各種の縫製情報データの一部又は全部は、EEPROM64に記憶されていてもよいし、外部記憶装置に記憶されているデータをミシン1に読み込んでもよい。
【0051】
RAM63は、任意に読み書き可能な記憶素子であり、ROM62から読み出された各種の縫製情報データや、EEPROM64から読み出された各種設定値、CPU61が演算処理した演算結果を収容する各種記憶領域が必要に応じて設けられている。このRAM63の記憶領域の詳細について、図3を参照して説明する。図3に示すように、ICタグの大きさ及び形状を含む形態情報を形状データとして記憶するICタグ形状記憶領域631,形状データに基づき定められたICタグ領域を記憶するICタグ領域記憶領域632が設けられている。また、アップリケ模様データを記憶するアップリケ模様データ記憶領域633,アップリケ模様データに基づき定められた安全領域を記憶する安全領域記憶領域634,後述する安全模様領域を順に読み出すためのカウンタである安全領域カウンタを記憶する安全領域カウンタ記憶領域635,ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置可能か否かを判断するためのフラグであるICタグ配置フラグを記憶するICタグ配置フラグ記憶領域636が設けられている。また、設定されたICタグ領域の配置を記憶するICタグ領域配置記憶領域637等が設けられている。
【0052】
以上のミシン1は、本発明の縫製データ処理装置としての機能を有するものである。次に、以上のように構成されたミシン1を使用して、縫製可能領域内にICタグ領域及びアップリケ模様領域の配置位置を設定する第1乃至第4の実施形態の処理手順について順に説明する。
【0053】
まず、第1の実施形態のミシン1により実行されるメイン処理について図4乃至図15を参照して説明する。具体例1として、図4に示すICタグを、図5乃至図7に示すアップリケ模様200により覆う場合について説明する。まず、具体例1のICタグ100及びアップリケ模様200について図4乃至図7を参照して説明する。図4は、具体例1に用いるICタグを説明するための説明図であり、図5は、具体例1のアップリケ模様200の仕上がりを説明するための説明図である。また図6は、具体例1のアップリケ模様200を縫製するための縫目を説明するための説明図であり、図7は、具体例1のアップリケ模様200を縫製するためのアップリケ模様データ300を説明するための説明図である。
【0054】
まず、本発明のICタグの一例として、具体例1のICタグ100について、図4を参照して説明する。このICタグ100は、特開平11−15377の図2に記載のICチップと同様な構成を有している。すなわち、ICタグ100は、図4に示すように、所定の厚みを有する矢印121で示す短辺の長さが約1cm,矢印122で示す長辺の長さが約3cmの横長の矩形の形状を有し、情報処理部101,通信制御部102,電力蓄積部103,情報記憶部104及び、アンテナ105が、PET等の撥水性の部材106により覆われて形成されている。ICタグ100が備える情報処理部101は、外部からの命令に応じて、情報記憶部104に記憶されているプログラムを稼動させ、データの加算等の演算を行うためのものである。また通信制御部102は、外部との間でデータ通信を行うためのものである。電力蓄積部103は、外部から供給された電力を一時的に蓄積しておき、情報処理部101の稼働に必要な電力を供給するためのものである。また情報記憶部104は、情報処理部101で使用する及び外部から入力されたデータを記憶するためのものである。またアンテナ105は、外部との通信を行う時の電波の送受信及び、外部からの電力供給を受けるためのものである。尚、本発明のICタグは、上述の具体例1に限定されず、各種情報が記憶された情報記憶部を備えるICタグを採用可能である。また、ICタグの大きさについては、通信電波の波長と通信可能距離によって決定されるアンテナ105の大きさに殆ど依存する。即ち、通信電波の波長が長くなる程、又通信可能距離が離れる程、アンテナ105の大きさが大きくなる。よって、ICタグの大きさについても、上記に記載の大きさに限定されるものではない。
【0055】
次に、具体例1に係るアップリケ模様200及びアップリケ模様200を縫製するためのアップリケ模様データ300について図5乃至図7を参照して説明する。図5に示すように、アップリケ模様200は、縦線と横線が交差する所謂チェック柄の布片202が星形に切り取られた模様である。このアップリケ模様200を縫製するためのアップリケ模様データ300は、図6及び図7に示すように、アップリケ用の布片を切断するための目印用縫目であるアップリケ切断用縫目206をアップリケ用布に形成する輪郭データ301と、ミシン1による縫製を中断することを指示する一時停止データ302と、切断された布片を布地に貼着するための位置決め用縫目であるアップリケ位置決め用縫目205を布地に形成する位置決めデータ303と、一時停止データ304と、布地に貼着された布片を加工布に取り付けるためのアップリケ取付用縫目204を形成する取付用縫目データ305と、布片を加工布にサテン縫いの縫目等により縫い付けするためのアップリケ本縫用縫目203を形成する本縫用縫目データ306とから構成されている。
【0056】
次に、ICタグ領域及びアップリケ模様領域の配置位置を縫製可能領域内に設定する第1の実施形態のメイン処理を図8乃至図15を参照して説明する。第1の実施形態では、縫製可能領域内に配置される際の相対的な座標で表されるアップリケ模様データに基づくアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を配置可能か否かを判断する。このとき、アップリケ模様領域内に設けられた安全領域内にICタグを配置可能と判断されれば、縫製可能領域内に、アップリケ模様領域及びICタグを配置可能と判断する。そして、アップリケ模様領域に対する相対的なICタグ領域の配置位置を設定するものとする。
【0057】
図8は、第1の実施形態のメイン処理を説明するためのフローチャートであり、図9は、図8に示すメイン処理により設定された安全領域213を説明するための説明図である。図10は、図8に示すメイン処理で実行されるICタグ配置処理を説明するためのフローチャートである。また図11は、図10に示すICタグ配置処理により配置位置が変更されたICタグ領域を説明するための説明図であり、図12は、ICタグを加工布に配置する際の目印となる縫目を形成するためのマーク縫製データを説明するための説明図である。また図13は、図8に示すメイン処理において、ICタグを布片に貼り付ける場合のマーク縫製データを付加する位置を説明するための説明図であり、図14は、図8に示すメイン処理において、ICタグを加工布に貼り付ける場合のマーク縫製データを付加する位置を説明するための説明図である。また図15は、ICタグを加工布に固定する際の縫目を形成するための止め縫付け縫製データを説明するための説明図である。尚、図8及び図10に示す各種処理を実行させるプログラムは、ROM62に記憶されており、図2に示すCPU61が実行する。また、図8及び図10に示す各種処理を実行するために必要な各種情報は、ROM62,EEPROM64又は外部記憶装置39から読み出され、RAM63の所定の記憶領域に記憶されているものとする。
【0058】
図8に示すメイン処理において、まず、ICタグ100の形状データが読み込まれ、RAM63のICタグ形状記憶領域631に記憶される(S5)。この処理はICタグ100の大きさ及び形状に基づきICタグ領域を定めるための処理である。例えば、ICタグ100の形状は、縫製データ処理装置としてのミシン1がICタグ100の形状を読み込むためのスキャナやセンサを備える場合には、それらの装置からICタグ100の形状データが取得され読み込まれる(S5)。第1の実施形態では、画像読取センサ27からICタグ100の大きさ及び形状を表す形態情報が形状データとして取得され、その形状データがRAM63のICタグ形状記憶領域631に記憶される(S5)。このとき、図4に示すICタグ100の形状として横長の長方形、ICタグ100の大きさとして、矢印121で示される短辺の長さと、矢印122で示される長辺の長さが取得されたものとする。このように画像読取センサ27から形状データを取得することにより、ICタグがアップリケ模様により覆い隠されるように、アップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置を定める処理に用いるICタグ領域を適切に定めることができる。
【0059】
続いて、S5において読み込まれたICタグの形状データに基づき、ICタグ領域が設定され、RAM63のICタグ領域記憶領域632に記憶される(S10)。この処理により、図4に示すICタグ100の輪郭の外周に、ICタグ100を加工布に縫い付けるための矢印123で示す縫い代を加えた領域がICタグ領域131として設定され、RAM63のICタグ領域記憶領域632に記憶される(S10)。尚、ICタグ100の輪郭の外周に加える縫い代の幅は任意に設定することができ、ICタグ100を加工布に縫い付けない場合等には、この縫い代を求めなくてもよい。
【0060】
次に、ROM62や外部記憶装置39等の記憶領域に記憶されたアップリケ模様データ300が読み込まれ、RAM63のアップリケ模様データ記憶領域633に記憶される(S15)。続いて、アップリケ模様データ記憶領域633が参照され、アップリケ模様データに基づき定められるアップリケ模様の輪郭と、そのアップリケ模様を形成する布片を加工布に縫い付ける際の縫い代と、加工布及び布片の縮み量とに基づき、アップリケ模様領域内にICタグ領域を配置可能な安全領域が定められる(S17)。この処理は、図6に示すアップリケ取付用縫目204及びアップリケ本縫用縫目203が形成される領域に、ICタグ領域が配置されないようにするための処理である。また、加工布及び布片の縮み量を考慮してICタグ領域を定めるための処理である。この処理により、図9に示すように、具体例1のアップリケ模様領域210内に安全領域213が定められたものとする(S17)。この安全領域213は、アップリケ本縫用縫目203の縫幅Wmmと、加工布及び布片の縮み量αmmとを加えた一定幅、アップリケ模様領域210の内側に設けられる。尚、以下の説明において、図9中斜線で示すアップリケ取付用縫目204及びアップリケ本縫用縫目203が形成される、輪郭211の内部と安全領域213との間の領域を、危険領域212と呼ぶ。
【0061】
続いて、アップリケ模様データ300に基づき定められるアップリケ模様領域の内部に設定された安全領域内にICタグ領域を配置するICタグ配置処理が実行される(S20)。このICタグ配置処理を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。
【0062】
図8のS17において設定される安全領域が複数に分割されている場合があるため、第1の実施形態では、S17において設定された安全領域を順に読み出し、各安全領域について、ICタグ領域を含ませることができるか否かを判断するようにしている。そこでまず、図10に示すICタグ配置処理において、図8のS17において設定された安全領域を順に読み出すための安全領域カウンタJが1にセットされ、安全領域カウンタ記憶領域635に記憶される(S21)。続いて、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置可能か否かを判断するためのICタグ配置フラグが、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置することができないことを示す0にセットされ、ICタグ配置フラグ記憶領域636に記憶される(S22)。続いて、安全領域記憶領域634及び安全領域カウンタ記憶領域635が参照され、J番目の安全領域が有るか否かが判断される(S23)。J番目の安全領域が無いと判断される場合には(S23:No)、全ての安全領域が読み出されたと判断されるため、続いてICタグ配置処理を終了し、図8に示すメイン処理に戻る。
【0063】
一方具体例1は、図9に示すように、アップリケ模様領域210は1つの安全領域213を備えているので、1番目の安全領域213があると判断され(S23:Yes)、続いて、ICタグ領域記憶領域632,安全領域記憶領域634及び安全領域カウンタ記憶領域635が参照され、J番目の安全領域内にICタグ領域が入るか否かが判断される(S24)。このS24の処理において、安全領域及びICタグ領域を相対的に異なる配置位置に再配置することを、所定条件例えば、全て配置の組み合わせを調べるまで繰り返して、その都度ICタグ領域が、アップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定する。そして、包含させることができると1度以上判定された場合に、J番目の安全領域内に、ICタグ領域を包含させることができると判定するようにしている。このように判定することで、ICタグ領域が、アップリケ模様領域内に包含されているか否かの判定を確実に行うことができる。尚、この所定条件は、任意に定めることができ、例えば、前述の全て配置の組み合わせを調べるまでの条件の他、包含させることができると1度以上判定された場合には処理を終了すると定めてもよい。
【0064】
S24において、ICタグ領域を含ませることができないと判断される場合には(S24:No)、続いて、次の安全領域読み出すために、安全領域カウンタJが1増加(インクリメント)され、安全領域カウンタ記憶領域635に記憶され(S25)、S22に戻り処理を繰り返す。一方、具体例1においては、図11に示すように、ICタグ領域131は、安全領域213に入ると判断されるので(S24:Yes)、続いて、図11に示すように、アップリケ模様200のアップリケ模様領域210に対するICタグ領域の相対的な配置が設定され、ICタグ領域配置記憶領域637に記憶される(S26)。前述のように、安全領域内にICタグを配置可能と判断されれば、縫製可能領域内に、アップリケ模様領域及びICタグを配置可能と判断するので、この処理において、アップリケ模様領域210の縫製可能領域内の配置が予め定まっていてもよいし、この処理によりアップリケ模様領域210の縫製可能領域内の配置を定めるようにしてもよい。また、アップリケ模様領域210に対するICタグ領域131の相対的な配置のみを定め、アップリケ模様領域210の縫製可能領域内の配置を定めず、ミシン1で縫製する際等の後の処理において、アップリケ模様領域210の縫製可能領域内の配置を定めるようにしてもよい。また、配置の設定方法は、ICタグ領域が配置される位置が分かる態様で設定されればよく、例えば、ICタグ領域の配置位置を縫製可能領域内の絶対位置により設定する場合、ICタグ領域の外形を表す座標を設定するようにしてもよいし、ICタグ領域の中心部の座標を設定するようにしてもよい。また、ICタグ領域の配置位置をアップリケ模様領域に対する相対的位置により設定する場合、アップリケ模様領域の所定の点からのICタグ領域の外形を表す相対的な座標を設定するようにしてもよいし、ICタグ領域の中心部の相対的な座標を設定するようにしてもよい。続いて、ICタグ配置フラグが、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置することができることを示す1にセットされ、ICタグ配置フラグ記憶領域636に記憶される(S27)。続いてICタグ配置処理を終了し、図8のメイン処理に戻る。
【0065】
図8のS20に続いて、ICタグ配置フラグ記憶領域636が参照され、ICタグ領域をアップリケ模様領域内の安全領域内に配置可能か否かが判断される(S55)。ICタグ配置フラグが0と記憶されている場合には、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に設定された安全領域内に配置できないと判断され(S55:No)、続いて、アップリケ模様領域内の安全領域内にICタグ領域を配置できない旨が、液晶ディスプレイ15に表示される(S95)。この処理により、ユーザは、ICタグ領域をアップリケ模様領域内の安全領域内に配置できないという判定結果を確認することができる。続いて、メイン処理を終了する。
【0066】
一方、具体例1のように、ICタグ配置フラグが1と記憶されている場合には、ICタグ領域をアップリケ模様領域210内に設定された安全領域213内に配置できると判断され(S55:Yes)、続いて、ICタグを布片に貼り付けるか否かが判断される(S60)。この処理は、ICタグをアップリケ模様にて覆い隠す場合、ICタグを布片に貼り付ける場合と、ICタグを布片が縫い付けられる加工布に配置する場合とが想定されるので、ICタグが布片と加工布のどちらに配置されるのかを確認するための処理である。ICタグを布片と加工布のどちらに配置するのかは、予め、ROM62やEEPROM64等に記憶させるようにしてもよいし、ユーザにその都度入力させるようにしてもよい。
【0067】
S60において、ICタグを布片に貼り付けると判断される場合には(S60:Yes)、続いて、ICタグを布片に配置する際の目印となる縫目を布片に形成するためのマーク縫製データが作成され、アップリケ模様データに付加される(S70)。このマーク縫製データは、ICタグを配置する際の目印となるものであればよく、例えば、ICタグの輪郭にあわせた縫目を形成するための縫製データであってもよいし、ICタグの中心を示す縫目を形成するための縫製データであってもよい。ただし、布片はアップリケ模様を形成するものであるため、マーク縫製データによる縫目がアップリケ模様の外観を損ねることのないように、ICタグを配置後に、目印となる縫目を形成した糸を簡単に取り除くことができるものであることが好ましい。具体例1において、そのマーク縫製データとして、例えば図12に示すように、ICタグ領域131の輪郭線の内部に交点を有する十字上の縫目501乃至504を形成するための縫製データが作成される。各縫目501乃至504の十字の交点は、ICタグ100の頂点が配置される場所をそれぞれ示している。各縫目501乃至504は、ICタグを布片に配置した後、簡単に取り除くことができるため、マーク縫製データによる縫目がアップリケ模様の外観を損ねることはない。このマーク縫製データは、図13に示すように、縫製順序が1番目の縫製データである輪郭データ301の矢印311で示す直前又は矢印312で示す直後に付加され、アップリケ模様データ記憶領域633に記憶される(S70)。このマーク縫製データを作成、付加することで、マーク縫製データに基づき加工布に縫製した縫目を目印に、設定された配置位置にICタグを容易に配置することができる。尚、ICタグが布片に貼り付けられる場合には、前述の通り、布片に縫目が形成されないことが好ましいので、ICタグを布片に縫い付けるための縫製データを作成する処理は行わない。
【0068】
一方S60において、ICタグを布片に貼り付けないと判断される場合には(S60:No)、続いて、ICタグを加工布の配置する際の目印となる縫目を加工布に形成するためのマーク縫製データが作成され、アップリケ模様データに付加される(S80)。このマーク縫製データは、S70と同様、ICタグを配置する際の目印となるものであればよい。加工布のアップリケ模様領域は、布片により覆い隠されるため、マーク縫製データによる縫目が残っていても、アップリケ模様の外観を損ねる虞がないので、ICタグが布片に貼り付けられる場合とは異なり、前述の図12に示す縫目501乃至504のように、目印となる縫目を形成した糸を簡単に取り除くことができるものでなくともよい。S80において作成されたマーク縫製データは、図14に示すように、縫製順序が3番目のデータである位置決めデータ303の矢印321で示す直前又は矢印322で示す直後に付加され、アップリケ模様データ記憶領域633に記憶される(S80)。このように、第1の実施形態では、ICタグが加工布上に配置されるか(S60:No)、布片上に配置されるか(S60:Yes)に応じて、マーク縫製データをアップリケ模様データの適切な位置に付加させることができる(S70,S80)。
【0069】
続いて、ICタグを加工布に縫い付けるための止め縫付け縫製データが作成され、アップリケ模様データに付加される(S90)。このICタグを加工布に縫い付けるための縫目は、ICタグを加工布に縫い付ける任意の縫目を採用可能である。具体例1においては、図15に示すように、ICタグ100を加工布に縫い付けるための図中白丸で示す針落ち点602のように、止め縫付け縫製データとして、ICタグ領域131の輪郭線上の各辺に針落ち点を有する縫製データが作成される。このように、針落ち点602を結ぶ糸601をICタグ100に対して斜めに渡してICタグ100を四方から糸601で覆うようにすることで、ICタグ100を確実に加工布に縫い付けることができる。このように作成された止め縫付け縫製データは、図14に示す取付用縫目データ305の直前に付加され、アップリケ模様データ記憶領域633に記憶される(S90)。
【0070】
S70又はS90に続いて、ICタグ領域及びアップリケ模様領域の配置位置が、液晶ディスプレイ15に表示される(S95)。ユーザは液晶ディスプレイ15に表示された配置位置を確認したり、その配置位置に従い、ICタグを加工布に配置したりすることができる。続いて、図8に示すメイン処理を終了する。
【0071】
以上詳述した第1の実施形態の縫製データ処理装置を備えるミシン1によれば、加工布に装着されるICタグ領域がアップリケ模様領域内に設定された安全領域に包含されるように、アップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置を定めることができる。このため、第1の実施形態の縫製データ処理装置を備えたミシン1が定めたアップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置に従えば、加工布に装着されるICタグをアップリケ模様にて覆い隠すことができ、加工布のデザインを損なうことなく、多くの情報を保持可能なICタグを加工布に装着させることができる。
【0072】
また安全領域を、アップリケ模様の輪郭と、この布片を加工布に縫い付ける際の縫い代と、加工布及び布片の縮み量とを考慮して定めているので、安全領域内に設定されたICタグ領域内に、アップリケ模様データに基づき形成されるアップリケ取付用縫目204及びアップリケ本縫用縫目203が形成されることを回避することができる。
【0073】
また、図10に示すS24において縫製可能領域に配置されたアップリケ模様領域及びICタグ領域を相対的に異なる配置位置に再配置することを、所定条件となるまで繰り返して、その都度ICタグ領域が、アップリケ模様領域内に設定された安全領域に包含されているか否かを判定している。そして、包含させることができると1度以上判定された場合に、アップリケ模様データに基づき定められるアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を包含させることができると判定するようにしている。このため、ICタグ領域が、アップリケ模様領域内に設定された安全領域に包含されるか否かの判定を確実に行うことができる。
【0074】
また画像読取センサ27により、加工布に装着されるICタグの大きさ及び形状を表す形態情報を外形データとして取得し、その外形データに基づきICタグ領域を定めることができる。このため、ICタグがアップリケ模様により覆い隠されるように、アップリケ模様領域とICタグ領域の配置位置を定める処理に用いるICタグ領域を適切に定めることができる。
【0075】
また、ICタグ100の配置位置を布片又は加工布に配置する際の目印となる縫目501乃至504を形成するためのマーク縫製データを作成し、ICタグが加工布上に配置されるか(S60:No)、布片上に配置されるか(S60:Yes)に応じて、マーク縫製データをアップリケ模様データの適切な位置に付加させることができる(S70,S80)。また、メイン処理において、ICタグが加工布に配置されると判断された場合には(S60:No)、さらにマーク縫製データにより形成された縫目501乃至504を目印として、適切な配置位置に配置されたICタグを加工布に縫い付ける縫目を形成するための止め縫付け縫製データを作成することができる。このため、ICタグを加工布上に確実に固定することができる。
【0076】
また、ICタグ領域が包含される領域が、アップリケ模様領域内に無い場合の判定結果及びアップリケ模様領域並びにICタグ領域の配置位置を報知する液晶ディスプレイ15を備えているので、ICタグ領域が包含される領域が、アップリケ模様領域内に無い場合の判定結果が液晶ディスプレイ15により報知された場合には、ICタグ領域が包含される領域の有無を知ることができる。一方、アップリケ模様領域及びICタグ領域の配置位置が液晶ディスプレイ15により報知された場合には、報知された配置位置に従い、ICタグを加工布又は布片に配置し、ICタグをアップリケ模様にて覆い隠すことができる。
【0077】
尚、第1の実施形態において、図8のS5において、ICタグの大きさ及び形状を少なくとも表す情報である形態情報を取得する、図2に示す画像読取センサ27は、本発明の形態情報取得手段に相当する。また図8のS10において、図2に示す画像読取センサ27により取得された形態情報としての形状データに基づきICタグ領域を設定し、RAM63のICタグ領域記憶領域632に記憶させる、図2に示すCPU61は、本発明のICタグ領域取得手段として機能する。図10のS24において、アップリケ模様領域内に設定された安全領域に対して、ICタグ領域を配置する、図2に示すCPU61は、本発明の初期配置手段として機能する。また、図10のS24において、アップリケ模様領域に設定された安全領域に対してICタグ領域の配置位置を相対的に異なる配置位置となるように再配置することを、所定条件となるまで繰り返す、図2に示すCPU61は、本発明の配置繰返手段として機能する。また図10のS24において、アップリケ模様領域及びICタグ領域が配置された場合に、配置されたICタグ領域が、配置されたアップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定する、図2に示すCPU61は、本発明の包含判定手段として機能する。また図10のS24において、包含させることができると1度以上判定された場合に、アップリケ模様領域内に設定された安全領域内に、ICタグ領域を包含させることができると判定する、図2に示すCPU61は、本発明の総合判定手段として機能する。上述の、初期配置手段と、配置繰返手段と、包含判定手段と、総合判定手段とを備える、図2に示すCPU61は、本発明の判定手段として機能する。ICタグがアップリケ模様領域内に設定された安全領域に入ると判断された場合に(S24:Yes),図10のS26において、ICタグ領域がアップリケ模様領域内に配置されるように、縫製可能領域内に配置されたアップリケ模様領域に対するICタグ領域の配置位置を設定する、図2に示すCPU61は、本発明の配置設定手段として機能する。
【0078】
また、図8のS70又はS80において、図10のS26において設定された配置位置にICタグを配置する際の目印となる縫目を加工布に形成するための縫製データであるマーク縫製データを作成する、図2に示すCPU61は、本発明のマーク縫製データ作成手段として機能する。また、ICタグを布片上に配置する場合には(S60:Yes)、S70において作成されたマーク縫製データを、輪郭データの直前又は直後に付加し(S70)、ICタグを加工布上に配置する場合には(S60:No)、S80において作成されたマーク縫製データを、位置決めデータの直前又は直後に付加する(S80)、図2に示すCPU61は、本発明のデータ付加手段として機能する。
【0079】
また図8のS90において、設定された配置位置に配置されたICタグを加工布に縫い付ける縫目を形成するための止め縫付け縫製データを作成する、図2に示すCPU61は、本発明の止め縫付け縫製データ作成手段として機能する。また、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置できないと判断される場合に(S55:No)、その旨を表示し、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置できると判断された場合に(S55:Yes)、設定されたICタグ領域及びアップリケ模様領域の配置を表示する、図2に示す液晶ディスプレイ15は、本発明の第2報知手段に相当する。
【0080】
尚、本発明は、以上詳述した第1の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【0081】
まず、第1の実施形態においては、縫製データ処理装置がミシン1と一体に設けられている場合について説明したが、これに限定されず、ミシンと別体に設けてもよい。また、第1の実施形態においては、1本の針棒にて縫製可能なミシン1に本発明を適用した場合について説明したが、複数の針棒を備える多針式ミシンに適用するようにしてもよい。
【0082】
また図8のS5において、第1の実施形態では、画像読取センサ27からICタグ100の大きさ及び形状を表す形態情報として形状データが取得され、その形状データがRAM63のICタグ形状記憶領域631に記憶されるようにしていたが(S5)、ICタグの形態情報の取得方法は、この方法に限定されない。例えば、ICタグ100の形状データがROM62や外部記憶装置39等に記憶されている場合には、S5においてそれらの記憶領域が参照され、ICタグ100の形状データが読み込まれ、RAM63のICタグ形状記憶領域631に記憶される(S5)。また、ICタグの形状データに基づき定められたICタグ領域がROM62や外部記憶装置39等に記憶されている場合には、S5においてそれらの記憶領域が参照され、ICタグ100のICタグ領域が読み込まれ、RAM63のICタグ領域記憶領域632に記憶されるようにし(S5)、続くS10の処理を省略するようにしてもよい。また例えば、ICタグの形状データが所定のIDとともにROM62や外部記憶装置39等に記憶され、ユーザからそのIDが指定された場合には、それらの記憶領域が参照され、指定されたIDに対応するICタグ100の形状データが読み込まれ、RAM63のICタグ形状記憶領域631に記憶される(S5)。尚、ICタグ100の形状データ、ICタグ領域、IDは、ROM62や外部記憶装置39に記憶されているのではなく、ミシン1をインターネットなどのネットワークと接続可能に構成し、ネットワーク上のサーバーに記憶されているものを読み込むようにしてもよい。
【0083】
また例えば、ICタグの形状がタッチパネル26を介して入力される場合には、入力された形状データが読み込まれ、RAM63のICタグ形状記憶領域631に記憶される(S5)。この場合、ICタグの大きさ及び形状を少なくとも表す情報である形態情報を形状データとして入力する、図2に示すタッチパネル26は、本発明の形態情報入力手段に相当し、図8のS10において、タッチパネル26により入力された形状データに基づきを定められたICタグ領域を設定し記憶させる、図2に示すCPU61は、本発明のICタグ領域取得手段として機能する。尚、形態情報入力手段として、タッチパネル26を用いる場合の他、ゲームコントローラ等の各種のスイッチ、トラックボールやジョイスティック等、ユーザとインターフェイスをとるものを採用可能である。
【0084】
また、第1の実施形態では、S17においてアップリケ模様内にアップリケ模様の輪郭と、この布片を加工布に縫い付ける際の縫い代と、加工布及び布片の縮み量とを考慮して安全領域を設定するようにしていたが、安全領域は布片を加工布に縫い付ける際の縫い代並びに加工布及び布片の縮み量のいずれか1つを考慮して定めるようにしてもよい。また、アップリケ模様を形成する布片が加工布に粘着剤や接着剤等で貼り付けられる場合等、安全領域を定める必要がない場合には、安全領域を定めず、アップリケ模様内にICタグ領域が入るように配置位置を定めるようにしてもよい。
【0085】
また第1の実施形態においては、S70又はS80において布片又は加工布にICタグを配置する際の目印となる縫目を形成するためのマーク縫製データを作成し、アップリケ模様データに付加するようにしていたが、例えば、S95において報知された配置位置に基づき、加工布にICタグを配置するようにするためこのような縫目を形成する必要がない場合等には、この処理を省略するようにしてもよい。
【0086】
また第1の実施形態においては、S95において加工布にICタグを縫い付けるための止め縫付け縫製データを作成し、アップリケ模様データに付加するようにしていたが、例えば、ICタグを加工布上に粘着剤や接着剤等で固定する場合等、加工布にICタグを縫い付ける必要がない場合には、この処理を省略するようにしてもよい。
【0087】
また第1の実施形態においては、ICタグを布片に配置する場合には、ICタグをS20で設定された位置の布片に貼り付け、ICタグを加工布に配置する場合には、ICタグをS20で設定された位置の加工布に縫い付けることを想定していたが、ICタグを設定された位置に配置されるようにすればよく、第1の実施形態の場合に限定されない。したがって、例えば、ICタグを入れる用のポケットを加工布上のアップリケ模様領域に縫い付けるようにしてもよいし、同様に、ICタグを入れる用のポケットを布片のアップリケ模様領域に貼り付けるようにしてもよい。その場合は、S70,S80の処理に代わって、ポケットの配置位置を示す縫目を形成する縫製データを作成したり、S90の処理に代わって、ポケットを加工布上に縫い付けるための縫製データを作成するようにしてもよい。
【0088】
また第1の実施形態においては、メイン処理のS95において、ICタグをアップリケ模様領域内に配置できないと判断される場合に(S55:No)、その旨を液晶ディスプレイ15に表示させ、ICタグをアップリケ模様領域内に配置できると判断された場合に(S55:Yes)、設定されたICタグ領域及びアップリケ模様領域の配置を液晶ディスプレイ15に表示させるようにしていたが、これらの情報を報知する必要がない場合には、この処理を省略するようにしてもよい。また第1の実施形態においては、第2報知手段として、液晶ディスプレイ15を用いていたが、これに限定されず、プラズマディスプレイ等の他の表示デバイスを採用してもよいし、スピーカー等の音声で報知する音声デバイスを採用するようにしてもよい。
【0089】
ところで、上記第1の実施形態においては、縫製可能領域内に配置される際の相対的な座標で表されるアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を配置可能か否かを判断し、アップリケ模様領域内にICタグ領域を配置可能と判断された場合に、縫製可能領域内に、アップリケ模様領域及びICタグ領域を配置可能と判断するようにしていたが、次に示す第2の実施形態のように加工布上にICタグが配置される位置を予め定めて、その位置に配置されたICタグをアップリケ模様により覆うことができるか否かを判断するようにしてもよい。以下、第2の実施形態のミシン1を使用して、加工布上にICタグが配置される位置を予め定め、その位置に配置されたICタグをアップリケ模様により覆うようにアップリケ模様領域を設定する処理を、第1の実施形態で例示した具体例1の場合を例に、図16乃至図19を参照して説明する。図16は、第2の実施形態のメイン処理を説明するためのフローチャートであり、図17は、図16に示すメイン処理で実行されるアップリケ模様データ配置処理を説明するためのフローチャートである。また図18は、図17に示すアップリケ模様データ配置処理により、縫製可能領域651外にアップリケ模様領域210が配置された場合を説明するための説明図であり、図19は、図17に示すアップリケ模様データ配置処理により、縫製可能領域651内にアップリケ模様領域210が配置された場合を説明するための説明図である。尚、図16及び図17に示す各種処理を実行させるプログラムは、ROM62に記憶されており、図2に示すCPU61が実行する。また、図16及び図17に示す各種処理を実行するために必要な各種情報は、ROM62,EEPROM64又は外部記憶装置39から読み出され、RAM63の所定の記憶領域に記憶されているものとする。
【0090】
第2の実施形態におけるミシンの物理的形態及び電気的形態は、RAM63の記憶領域を除き同様であるので、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態と構成の異なるRAM63の記憶領域について説明する。第2の実施形態のRAM63は、第1の実施形態のRAM63の記憶領域に加え、アップリケ模様領域の縫製可能領域内の配置を記憶するアップリケ模様領域配置記憶領域(図示せず)が設けられている。
【0091】
図16に示す第2の実施形態のメイン処理は、図8に示す第1の実施形態のメイン処理のS5,S20,S70及びS80の処理を行わず、S3及びS30の処理を行う点で、図8に示す第1の実施形態のメイン処理と異なる。第1の実施形態のメイン処理と共通する処理については説明を省略し、以下、図8に示す第1の実施形態のメイン処理において行われないS3及びS30について詳述する。
【0092】
まず図16のS3において、ICタグ100の形状データ及び加工布上の位置情報が読み込まれ、ICタグ100の形状データはRAM63のICタグ形状記憶領域631に、ICタグ100の加工布上の位置情報は、ICタグ領域配置記憶領域637に記憶される(S3)。この処理はICタグ100の大きさ及び形状に基づきICタグ領域を定めるとともに、加工布上のICタグの配置を取得するための処理である。第2の実施形態では、画像読取センサ27からICタグ100の大きさ及び形状を表す形態情報が形状データとして取得され、その形状データがRAM63のICタグ形状記憶領域631に記憶されるとともに(S3)、画像読取センサ27からICタグ100の加工布上の位置情報が取得され、ICタグ領域配置記憶領域637に記憶される(S3)。この処理により具体例1のICタグの配置位置は、図18に示す縫製可能領域651内のICタグ領域131のように取得されたものとする。
【0093】
次に図16のS30において実行されるアップリケ模様データ配置処理を、図17乃至図19を参照して説明する。図17に示すアップリケ模様データ配置処理は、図8に示すICタグ配置処理(S20)の代わりに行われる処理であり、ICタグ領域の配置位置を、S3において取得された位置情報が示す位置に固定して、縫製可能領域内にアップリケ模様領域を設定するための処理が行われる。
【0094】
図17に示すアップリケ模様データ配置処理において、まず、安全領域を順に読み出すための安全領域カウンタJが1にセットされ、安全領域カウンタ記憶領域635に記憶される(S31)。続いて、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置可能か否かを判断するためのICタグ配置フラグが、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置することができないことを示す0にセットされ、ICタグ配置フラグ記憶領域636に記憶される(S32)。続いて、アップリケ模様データ記憶領域633及び安全領域カウンタ記憶領域635が参照され、J番目の安全領域が有るか否かが判断される(S33)。J番目の安全領域が無いと判断される場合には(S33:No)、全ての安全領域について、ICタグ領域が入るか否かを判断したと判断し、アップリケ模様データ配置処理を終了させ、図16に示すメイン処理に戻る。
【0095】
一方、具体例1のアップリケ模様領域210のように、安全領域213を備えている場合には、1番目の安全領域が有ると判断され(S33:Yes)、続いて、ICタグ領域記憶領域632,安全領域記憶領域634及び安全領域カウンタ記憶領域635が参照され、J番目の安全領域内にICタグ領域が入るか否かが判断される(S34)。この処理において、ICタグ領域を固定した状態で、J番目の安全領域を相対的に異なる配置位置に再配置することを、所定条件例えば、全て配置の組み合わせを調べ終えるまで繰り返し、その都度ICタグ領域が、アップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定する。そして、包含されていると1度以上判定された場合に、アップリケ模様データに設定された安全領域内に、ICタグ領域を包含させることができると判定される。ICタグ領域をアップリケ模様領域内に設定された安全領域に含ませることができないと判断される場合には(S34:No)、続いて、次の安全領域読み出すために、安全領域カウンタJが1増加(インクリメント)され、安全領域カウンタ記憶領域635に記憶され(S35)、S32に戻り処理を繰り返す。
【0096】
一方、図18に示す具体例1のように配置されたICタグ領域131が、アップリケ模様領域210の安全領域213に入ると判断される場合には、1番目の安全領域213内に配置可能であると判断され(S34:Yes)、続いて、図18に示すように、アップリケ模様領域210の配置が設定され、アップリケ模様領域配置記憶領域(図示せず)に記憶される(S36)。続いて、ICタグ配置フラグが、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置することができることを示す1にセットされ、ICタグ配置フラグ記憶領域636に記憶される(S37)。
【0097】
続いて、アップリケ模様領域配置記憶領域(図示せず)が参照され、縫製可能領域内にアップリケ模様領域が入っているか否かが判断される(S40)。この処理は、縫製可能領域内にアップリケ模様領域を配置するための処理である。具体例1のアップリケ模様領域210が図18に示すように配置されている場合には、アップリケ模様領域210の一部が縫製可能領域651の外にはみ出しているので、アップリケ模様領域210が縫製可能領域651内に入らないと判断される(S40:No)。この場合には、アップリケ模様領域210の配置位置を変更する必要があるので、続いて、J番目の安全領域内においてICタグ領域の配置位置を変更することができるか否かが判断される(S39)。ICタグ領域の配置位置を変更できないと判断される場合には(S39:No)、次の安全領域読み出すために、安全領域カウンタJが1増加(インクリメント)され、安全領域カウンタ記憶領域635に記憶され(S35)、S32に戻り処理を繰り返す。
【0098】
一方、図18に示す具体例1においては、配置位置を変更できると判断され(S39:Yes)、例えば図19のように、ICタグ領域131が1番目の安全領域213内に入るように、アップリケ模様領域210の配置が図18とは別の位置に変更される(S36)。続いて、再度ICタグ配置フラグが、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に配置することができることを示す1にセットされ、ICタグ配置フラグ記憶領域636に記憶される(S37)。続いて、アップリケ模様領域配置記憶領域(図示せず)が参照され、図19に示す縫製可能領域651内にアップリケ模様領域210が入っていると判断される(S40:Yes)。この場合は、アップリケ模様領域210の設定をやり直す必要がないと判断されるので、続いてアップリケ模様データの配置処理を終了し、図16のメイン処理に戻る。
【0099】
以上詳述したように、第2の実施形態の縫製データ処理装置を備えるミシン1では、ICタグの加工布上の配置位置を固定した上で、縫製可能領域内にアップリケ模様領域を配置できるか否かを判断し、アップリケ模様領域を配置可する(S30)。尚、第2の実施形態では、ICタグの配置位置が決まっているため、第1の実施形態と異なり、図16に示すメイン処理において、ICタグを加工布上に配置する際の目印となる縫目を形成するためのマーク縫製データの作成、付加する処理(図8のS70又はS80)は行われない。
【0100】
以上詳述した第2の実施形態によれば、ICタグ100の加工布上の配置位置を表す位置情報を取得し、加工布上のICタグの配置位置を固定した上で、加工布に装着されるICタグ100がアップリケ模様200により覆われるように、アップリケ模様200の配置を定めることができる。このため、本発明の縫製データ処理装置が定めたアップリケ模様領域210とICタグ領域131の配置位置に従えば、ICタグの加工布上の配置位置がすでに定められている場合に、そのICタグの配置位置に適したアップリケ模様の配置位置を定めることができる。
【0101】
尚、図16のS3において、ミシン1の縫製可能領域内のICタグの位置を表す情報である位置情報を取得する、図2に示す画像読取センサ27は、本発明の位置情報取得手段に相当する。また図16のS10において、図2に示す画像読取センサ27により取得された形態情報としての形状データに基づきICタグ領域を設定し、RAM63のICタグ領域記憶領域632に記憶させる、図2に示すCPU61は、本発明のICタグ領域取得手段として機能する。図17のS34において、縫製可能領域に配置されたICタグ領域に対して、アップリケ模様領域を配置する、図2に示すCPU61は、本発明の初期配置手段として機能する。また、図17のS34において、縫製可能領域に配置されたICタグ領域に対してアップリケ模様領域の配置位置を相対的に異なる配置位置となるように再配置することを、所定条件となるまで繰り返す、図2に示すCPU61は、本発明の配置繰返手段として機能する。また図17のS34において、アップリケ模様領域及びICタグ領域が配置された場合に、配置されたアップリケ模様領域内に設定されている安全領域内にICタグ領域が包含されているか否かを判定する、図2に示すCPU61は、本発明の包含判定手段として機能する。また図17のS34において、包含されていると1度以上判定された場合に、アップリケ模様領域内に設定された安全領域内に、ICタグ領域を包含させることができると判定する、図2に示すCPU61は、本発明の総合判定手段として機能する。上述の、初期配置手段と、配置繰返手段と、包含判定手段と、総合判定手段とを備える、図2に示すCPU61は、本発明の判定手段として機能する。また図17のS36において、アップリケ模様領域内にICタグ領域を包含させることができると判定された場合に(S34:Yes)、ICタグ領域がアップリケ模様領域内に配置されるように、ミシン1の縫製可能領域内に設定されるICタグの配置位置を、画像読取センサ27により取得された位置情報が表す配置位置に固定して、ミシン1の縫製可能領域内にアップリケ模様領域の配置位置を設定する、図2に示すCPU61は、本発明の配置設定手段として機能する。
【0102】
尚、本発明は、以上詳述した第2の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、第2の実施形態においては、図16のS3において、ICタグの位置情報を画像読取センサ27により取得するようにしていたが、これに限定されず、例えば、ユーザによりICタグの位置情報を入力させるようにしてもよい。また、第2の実施形態では、ICタグを加工布に配置する際の目印となる縫目を形成するためのマーク縫製データを作成、付加処理を行わなかったが、位置情報を取得した後にICタグの配置がずれてしまった場合や、ICタグの位置情報を手入力した場合等、目印となる縫目を形成したい場合には、マーク縫製データを作成、付加処理を行うようにしてもよい。
【0103】
また第2の実施形態においては、図16のS3において、ICタグの位置情報を取得するようにし、ICタグ領域を位置情報により示される位置に固定して、アップリケ模様領域内にICタグ領域を配置させるようにしていたが、これに限定されず、ICタグ領域とアップリケ模様領域の位置情報を取得し、ICタグ領域及びアップリケ模様領域を位置情報により示される位置に固定して、アップリケ模様領域内にICタグ領域が含まれているかを判断するようにしてもよい。この場合、例えば、ICタグの位置情報とともに、アップリケ模様を配置させる際の位置情報をユーザにより入力させるようにし、ユーザにより指定された配置位置に配置さICタグ領域が、指定された配置位置に配置された前記アップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定し、包含されていると判定された場合に、ミシン1の縫製可能領域内にアップリケ模様領域及びICタグ領域の配置位置を、指定された配置位置に設定するようにしてもよい。この場合、縫製可能領域における、アップリケ模様領域及びICタグ領域の配置位置を指定する、図2に示すタッチパネル26は、本発明の配置指定手段として機能する。また、タッチパネル26により指定された配置位置に配置されたICタグ領域が、タッチパネル26により指定された配置位置に配置されたアップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定する、図2に示すCPU61は、本発明の判定手段として機能する。またタッチパネル26により指定された配置位置に配置されたICタグ領域が、タッチパネル26により指定された配置位置に配置されたアップリケ模様領域内に包含されていると判定された場合に、ミシン1の縫製可能領域内にアップリケ模様領域及びICタグ領域の配置位置を、タッチパネル26により指定された配置位置に設定する、図2に示すCPU61は、本発明の配置設定手段として機能する。尚、配置設定手段として、タッチパネル26を用いる場合の他、ゲームコントローラ等の各種のスイッチ、トラックボールやジョイスティック等、ユーザとインターフェイスをとるものを採用可能である。
【0104】
ところで、上記第1及び第2の実施形態においては、アップリケ模様領域内に、ICタグ領域を配置可能か否かを判断し、自動的にアップリケ模様領域及びICタグ領域を設定するようにしていたが、次に示す第3の実施形態のようにアップリケ模様領域内のどの位置にICタグ領域を配置させるのかを、ユーザに選択させるようにしてもよい。以下、第3の実施形態の縫製データ処理装置を備えるミシン1を使用して、アップリケ模様領域内のどの位置にICタグを配置するのかを、ユーザにより選択させて、縫製可能領域内にICタグ領域及びアップリケ模様領域を設定する処理を、図20乃至図25を参照して説明する。第3の実施形態の処理を説明するための具体例として、図20に示す瓢箪型のアップリケ模様領域600内にICタグ領域を設定する場合について説明する。図20は、具体例2のアップリケ模様領域600を説明するための説明図である。また、図21は、第3の実施形態のメイン処理を説明するためのフローチャートであり、図22は、図21に示すメイン処理で実行される安全領域候補検索処理を説明するためのフローチャートである。図23は、図21に示すメイン処理で実行されるICタグ配置位置選択処理を説明するためのフローチャートである。また図24は、図22に示す安全領域候補検索処理において決定された包含可能領域の候補を説明するための説明図であり、図25は、図23に示すICタグ配置位置選択処理において液晶ディスプレイ15に表示される画面800を説明するための説明図である。尚、図21乃至図23に示す各種処理を実行させるプログラムは、ROM62に記憶されており、図2に示すCPU61が実行する。また、図21乃至図23に示す各種処理を実行するために必要な各種情報は、ROM62,EEPROM64又は外部記憶装置39から読み出され、RAM63の所定の記憶領域に記憶されているものとする。
【0105】
第3の実施形態における縫製データ処理装置をミシン1の物理的形態及び電気的形態は、RAM63の記憶領域を除き同様であるので、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態と構成の異なるRAM63の記憶領域について説明する。第3の実施形態のRAM63は、図3に示す第1の実施形態のRAM63の記憶領域に加え、安全領域候補数を数えるための安全候補数カウンタを記憶する安全領域候補数カウンタ記憶領域(図示せず)、後述する包含可能領域を記憶する包含可能領域記憶領域(図示せず)が設けられている。
【0106】
まず、具体例2のアップリケ模様のアップリケ模様領域600について図20を参照して説明する。具体例2のアップリケ模様のアップリケ模様領域600は、瓢箪型の輪郭を有し、図21に示すS17の安全領域を設定する処理により、アップリケ模様領域600から危険領域605を除いた安全領域610,620が設定されている。このアップリケ模様の縫製データの構成は、図7に示す具体例1の場合と同様であるので説明を省略する。
【0107】
次に、第3の実施形態のメイン処理について、図20乃至図25を参照して説明する。図21に示す第3の実施形態のメイン処理は、図8に示す第1の実施形態のメイン処理のS20の処理を行わず、S45,S46及び、S48乃至S50の処理を行う点で、図8に示す第1の実施形態のメイン処理と異なる。第1の実施形態のメイン処理と共通する処理については説明を省略し、以下、図8に示す第1の実施形態のメイン処理において行われないS45,S46及び、S48乃至S50について詳述する。
【0108】
第3の実施形態のメイン処理においては、予め、アップリケ模様領域内に設定された安全領域のどの部分であれば、ICタグ領域を包含可能であるかを判断し、安全領域のうちICタグ領域を包含させることができる領域を包含可能領域として決定する。そして、それらの包含可能領域が液晶ディスプレイ15に表示され、ユーザはICタグ領域を配置させる候補となる包含可能領域の中から所望の包含可能領域を選択するようにしている。そこで、図21のメイン処理のS45において、まず、液晶ディスプレイ15にS17において設定された安全領域が表示される(S45)。この処理により、ユーザはS17において設定された安全領域を確認することができる。続いて、安全領域内にICタグ領域を配置させる領域の候補となる包含可能領域を決定する、安全領域候補検索処理が実行される(S46)。この安全領域候補検索処理を、図22のフローチャートを参照して説明する。
【0109】
図22に示す安全候補検索処理において、まず、図21のS17において設定された安全領域を順に読み出すための安全領域カウンタJが1にセットされ、安全領域カウンタ記憶領域635に記憶される(S461)。また、安全領域候補数を数えるための安全候補数カウンタKが0にセットされ、RAM63の安全領域候補数カウンタ記憶領域(図示せず)に記憶される(S461)。続いて、安全領域記憶領域634が参照され、安全領域の数が0であるか否かが判断される(S462)。安全領域の数が0である場合には、ICタグ領域を配置させる安全領域がないと判断され、続いて、安全領域候補検索処理を終了し、図21に示すメイン処理に戻る。
【0110】
一方、具体例2のように、安全領域が1以上あると判断される場合には(S462:No)、続いて、J番目の安全領域にICタグ領域が入るか否かが判断される。この処理は、例えば、図10のS24と同様の処理により判断される。J番目の安全領域にICタグ領域が入らないと判断される場合には(S463:No)、続いて、全ての安全領域が読み出されたかが判断される(S466)。
【0111】
一方S463において、具体例2では、1番目の安全領域にICタグ領域が入ると判断されたものとし(S463:Yes)、続いて、安全領域のうち、ICタグ領域を包含させることが可能な包含可能領域が安全領域候補として、RAM63の包含可能領域記憶領域(図示せず)に記憶される(S464)。この処理は例えば、アップリケ模様領域に対してICタグ領域を相対的に異なる配置位置に再配置することを、所定条件例えば、全ての配置の組み合わせを調べるまで繰り返して、その都度ICタグ領域が、アップリケ模様領域内に設定された安全領域内に包含されているか否かを判定する。そして、包含させることができると判断された場合に、そのICタグ領域とアップリケ模様領域とが重複する領域である重複領域を包含可能領域として、RAM63の包含可能領域記憶領域(図示せず)に記憶することにより、包含可能領域を決定する。この処理により、図24に示すように具体例1の安全領域610の内部に、包含可能領域630が決定され、RAM63の包含可能領域記憶領域(図示せず)に記憶されたものとする。続いて、安全候補数カウンタKが1増加(インクリメント)され、安全領域候補数カウンタ記憶領域(図示せず)に記憶される(S461)。
【0112】
続いてS466において、安全領域記憶領域S634と、安全領域カウンタ記憶領域635とが参照され、全ての安全領域が読み出されたかが判断される(S466)。この処理は、全ての安全領域について、ICタグ領域を包含させることができるかを調べ、安全領域候補を検索するための処理である。具体例2においては、図20に示すように安全領域が2つあり、2つめの安全領域620は読み出されていないと判断されるので(S466:No)、続いて、次の安全領域を読み出すために、安全領域カウンタJが1増加(インクリメント)され、安全領域カウンタ記憶領域635に記憶される(S461)。そしてS463に戻り処理を繰り返す。
【0113】
同様な処理により、具体例2の安全領域620の内部に包含可能領域640が決定され、RAM63の包含可能領域記憶領域(図示せず)に記憶され(S464)、Kが1増加(インクリメント)された2が、RAM63の安全領域候補数カウンタ記憶領域(図示せず)に記憶される(S465)。続いて、全ての安全領域を読み出したと判断され(S466:Yes)、以上の処理により、包含可能領域が決定されるとともに、ICタグ領域が入ると判断される安全領域の数である安全領域候補数が求められる。続いて安全領域候補検索処理を終了し、図21に示すメイン処理に戻る。
【0114】
図21のS46に続いて、RAM63の安全領域候補数カウンタ記憶領域(図示せず)が参照され、安全領域候補数が0よりも大きいか否かが判断される(S48)。安全領域候補数が0であると判断される場合には(S48:No)、アップリケ模様領域内に設定された安全領域内にICタグ領域を配置させることができないと判断され、その旨が、エラー表示として液晶ディスプレイ15に表示される(S49)。続いて、メイン処理を終了する。
【0115】
一方、具体例2では安全領域候補数が2であり、0よりも大きいと判断されるので(S48:Yes)、続いて、ICタグ配置位置選択処理が実行される。このICタグ配置位置選択処理を、図23に示すフローチャートを参照して説明する。図23のICタグ配置位置選択処理において、まず、図21のS46において決定された包含可能領域が、ICタグ領域を配置する際の候補として液晶ディスプレイ15に表示される(S151)。この処理により、具体例2の包含可能領域が図25に示す画面800のように表示されたものとする。この画面800において、ユーザは1又は2のボタンを選択することにより、ICタグ領域が配置される包含可能領域を指定することができる。
【0116】
続いてタッチパネル26により、ICタグ領域を配置する包含可能領域が選択入力されると(S152)、選択された包含可能領域が他の包含可能領域とは異なる態様で強調表示される(S153)。具体例1においては、包含可能領域630,640のうち、包含可能領域630を選択する「1」が入力されたものとし、液晶ディスプレイ15には、包含可能領域630を表す部分が、例えば、他の包含可能領域640とは異なる色で表示される(S153)。
【0117】
続いて、タッチパネル26により、S153において強調表示された包含可能領域内の、いずれかの位置にICタグ領域が配置されるよう、ICタグの配置位置が入力される(S154)。この処理は、S152において選択された安全領域内の所望の位置にICタグ領域を配置させるための処理である。続いて、S153において入力された位置にICタグ領域を配置した場合に、ICタグ領域は危険領域に入るか否かが判断される(S155)。この処理は、S154において、ユーザによりICタグ領域の配置位置を入力させるようにしているため、入力された配置位置によっては、ICタグ領域が危険領域に入る虞があり、危険領域に入る場合には(S155:Yes)、ICタグ領域の配置位置を再度入力させ、ICタグ領域の配置位置として、包含可能領域内のみを入力可能にするための処理である。
【0118】
S155において、ICタグ領域が危険領域に入らないと判断される場合には(S155:No)、続いて、ICタグ領域の配置位置の候補が強調表示される(S156)。この処理により例えば、S154において入力されたICタグ領域が他の領域とは異なる色で表示される。続いて、S154において入力された位置にICタグ領域を配置することを決定する指示が画面800のボタン801を押下することにより入力された場合には(S157:Yes)、S154において入力された包含領域内の指定された配置位置にICタグ領域の配置を定め、ICタグ領域配置記憶領域637に記憶される(S159)。続いて、ICタグ配置フラグが1にセットされ、ICタグ配置フラグ記憶領域636に記憶される(S160)。続いて、ICタグ配置位置選択処理を終了し、図21に示すメイン処理に戻る。
【0119】
一方S157において、S156において強調表示された包含可能領域内の指示された位置にICタグ領域を配置することを決定する指示が入力されず、代わりに候補番号を再入力する指示が画面800のボタン802を押下することにより入力された場合には(S157:No,S158:Yes)、S151に戻り処理を繰り返す。タッチパネル26により、S156において強調表示された包含可能領域内の指示された位置にICタグ領域を配置することを決定する指示が入力されず、候補番号を再入力する指示も入力されない場合には(S157:No,S158:No)、安全領域内にICタグ領域を配置しないと判断し、続いて、ICタグ配置フラグが、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に設定された安全領域内に配置することができないことを示す0にセットされ、ICタグ配置フラグ記憶領域636に記憶される(S161)。続いて、ICタグ配置位置選択処理を終了し、図21に示すメイン処理に戻る。
【0120】
以上詳述したように、第3の実施形態の縫製データ処理装置を備えるミシン1では、アップリケ模様領域のうちICタグ領域を内部に配置させることができる領域を包含可能領域として決定し、その包含可能領域の中から、ICタグ領域を配置させる領域を選択させる。そして、選択された包含可能領域内の指示された位置にICタグ領域が設定される。
【0121】
以上詳述したように、第3の実施形態の縫製データ処理装置を備えるミシン1によれば、液晶ディスプレイ15に表示された包含可能領域の中から、ICタグ領域を配置する位置を指示するタッチパネル26を設けているので、ICタグ領域の配置位置を報知された包含可能領域内の所望の位置に設定することができる。
【0122】
尚、図23のS151において、ICタグ領域をアップリケ模様領域内に包含させることができると判定された場合に(S48:Yes)、アップリケ模様領域のうち、ICタグ領域を包含させることができる領域である包含可能領域を表示する液晶ディスプレイは、本発明の第1報知手段に相当する。また図23のS152において、液晶ディスプレイ15に表示された包含可能領域の中から、ICタグ領域を配置する包含可能領域を選択する、図2に示すタッチパネル26は、本発明の選択手段に相当する。また図23のS159において、タッチパネル26により選択された包含可能領域内の指示された位置にICタグ領域が配置されるよう、ミシン1の縫製可能領域内にアップリケ模様領域及びICタグ領域の配置位置を設定する、図2に示すCPU61は、本発明の配配置設定手段として機能する。
【0123】
尚、本発明は、以上詳述した第3の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【0124】
また第3の実施形態においては、選択手段として、タッチパネル26を用いていたが、ゲームコントローラ等の各種のスイッチ、トラックボールやジョイスティック等、ユーザとインターフェイスをとるものを採用可能である。また第3の実施形態においては、第1報知手段として、液晶ディスプレイ15を用いていたが、これに限定されず、プラズマディスプレイ等の他の表示デバイスを採用してもよいし、スピーカー等の音声で報知する音声デバイスを採用するようにしてもよい。
【0125】
ところで、上記第1乃至3の実施形態においては、予め所定の記憶領域に記憶されたアップリケ模様データに基づきアップリケ模様領域を定め、そのアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を配置することができるかを判断するようにしていたが、次の第4の実施形態のように、指定された輪郭に基づきアップリケ模様領域を定め、そのアップリケ模様領域内にICタグ領域を配置することができるかを判断するようにし、そのアップリケ模様領域内にICタグ領域を配置することができると判断された場合に、指定されたアップリケ模様領域のアップリケ模様データを新たに作成するようにしてもよい。以下、第4の実施形態の縫製データ処理装置を備えるミシン1を使用して、指定された輪郭に基づきアップリケ模様領域を定めたアップリケ模様領域内にICタグ領域を配置することができると判断された場合に、指定されたアップリケ模様領域のアップリケ模様データを新たに作成する処理を、図26及び図27を参照して説明する。図26は、第4の実施形態のメイン処理を説明するためのフローチャートである。図27は、図26に示すメイン処理において指定されたアップリケ模様の輪郭910が表示された画面900を説明するための説明図である。尚、図26に示す各種処理を実行させるプログラムは、ROM62に記憶されており、図2に示すCPU61が実行する。また、図26に示す各種処理を実行するために必要な各種情報は、ROM62,EEPROM64又は外部記憶装置39から読み出され、RAM63の所定の記憶領域に記憶されているものとする。
【0126】
第4の実施形態における縫製データ処理装置をミシン1の物理的形態及び電気的形態は、RAM63の記憶領域を除き同様であるので、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略し、第1の実施形態と構成の異なるRAM63の記憶領域について説明する。第4の実施形態のRAM63は、図3に示す第1の実施形態のRAM63の記憶領域に加え、輪郭線データを記憶する輪郭線記憶領域(図示せず)、アップリケ模様領域を記憶するアップリケ模様領域記憶領域(図示せず)が設けられている。
【0127】
図26に示す第4の実施形態のメイン処理は、図8に示す第1の実施形態のメイン処理のS15の処理を行わず、S14,S16及びS59の処理を行う点で、図8に示す第1の実施形態のメイン処理と異なる。第1の実施形態のメイン処理と共通する処理については説明を省略し、以下、図8に示す第1の実施形態のメイン処理において行われないS14,S16及びS59について詳述する。
【0128】
第4の実施形態のメイン処理においては、ユーザにより指定された図形の輪郭に基づきアップリケ模様領域を定め、そのアップリケ模様領域に基づき安全領域を定める。そして、その安全領域内にICタグ領域を配置することができるかを判断し、その安全領域内にICタグ領域を配置することができると判断された場合に、指定された輪郭をアップリケ模様領域の輪郭とするアップリケ模様データを新たに作成するようにしている。そこで、図26のS14において、アップリケ模様の輪郭が入力され、アップリケ模様領域が指定されたか否かが判断される(S14)。この処理は、ユーザにより指定された図形の輪郭に基づきアップリケ模様領域を定めるための処理である。輪郭の入力方法としては、例えば、液晶ディスプレイ15に表示された縫製可能領域内に、タッチペン等を用いてアップリケ模様の輪郭を入力するようにしてもよい。また、ROM62や外部記憶装置39等に記憶され、ユーザにより指定された写真やイラスト等の画像から、輪郭線を抽出するようにしてもよい。また、画像読取センサ27から取得した、画像から、輪郭線を抽出するようにしてもよい。
【0129】
このS14において、輪郭線がユーザにより指定されず、アップリケ模様領域が指定されていないと判断される場合には(S14:No)、輪郭線が指定されるまで次の処理を行わない。一方、輪郭線がユーザにより指定され、アップリケ模様領域が指定されたと判断された場合には(S14:Yes)、その輪郭線を表す輪郭線データが、RAM63の輪郭線記憶領域(図示せず)に記憶され、続いて指定された輪郭線に基づき、輪郭線の内部の領域がアップリケ模様領域と設定され、RAM63のアップリケ模様領域記憶領域(図示せず)に記憶される(S16)。この処理において、具体例3として、図27に示すような星形の輪郭910が、タッチペンを用いて入力され、図6に示すアップリケ模様領域210のようにアップリケ模様領域が設定されたものとする。
【0130】
次にS59の処理について説明する。S59では、RAM63の輪郭線記憶領域(図示せず)及び、RAM63のアップリケ模様領域記憶領域(図示せず)が参照され、S14で入力された輪郭をアップリケ模様の輪郭とするアップリケ模様データが作成され、アップリケ模様データ記憶領域633に記憶される(S59)。アップリケ模様データ作成方法は、公知のアップリケ模様データ作成方法を採用でき、この処理により、具体例3のアップリケ模様データとして、例えば、前述の図8に示すアップリケ模様データが作成され、アップリケ模様データ記憶領域633に記憶される。
【0131】
以上詳述したように、第4の実施形態の縫製データ処理装置を備えるミシン1では、指定されたアップリケ模様の輪郭に基づきアップリケ模様領域を設定し、そのアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定するとともに、ICタグ領域を包含させることができると判定された場合に、指定された輪郭が指定されたアップリケ模様のアップリケ模様データを作成することができる。
【0132】
上記第4の実施形態の縫製データ処理装置を備えるミシン1によれば、指定されたアップリケ模様の輪郭に基づきアップリケ模様領域を設定し、そのアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定するとともに、ICタグ領域を包含させることができると判定された場合に、指定された輪郭が指定されたアップリケ模様のアップリケ模様データを作成するようにしている。このため、ICタグがアップリケ模様により覆い隠されるように、アップリケ模様データを新たに作成することができる。
【0133】
尚、アップリケ模様の輪郭を指定する、図2に示すタッチパネル26は、本発明の輪郭指定手段に相当する。また図26のS16において、S14において指定された輪郭線に基づき、輪郭線の内部の領域がアップリケ模様領域と設定する、図2に示すCPU61は、本発明のアップリケ模様領域決定手段として機能する。また図26のS20において、タッチパネル26により指定された輪郭の内部をアップリケ模様領域とし、そのアップリケ模様領域内に、ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定する、図2に示すCPU61は、本発明の判定手段として機能する。また、安全領域領域内に、ICタグ領域を包含させることができると判定された場合に(S55:Yes)、輪郭が指定されたアップリケ模様のアップリケ模様データを作成する(S59)、図2に示すCPU61は、本発明のアップリケ模様データ作成手段として機能する。
【0134】
尚、本発明は、以上詳述した第4の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。
【0135】
例えば、第4の実施形態においては、輪郭指定手段として、タッチパネル26を用いていたが、ゲームコントローラ等の各種のスイッチ、トラックボールやジョイスティック等、ユーザとインターフェイスをとるものを採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】ミシン1の斜視図である。
【図2】ミシン1の電気的構成を示す概念図である。
【図3】RAM63の記憶領域を説明するための概念図である。
【図4】具体例1に用いるICタグを説明するための説明図である。
【図5】具体例1のアップリケ模様200の仕上がりを説明するための説明図である。
【図6】具体例1のアップリケ模様200を縫製するための縫目を説明するための説明図である。
【図7】具体例1のアップリケ模様200を縫製するためのアップリケ模様データ300を説明するための説明図である。
【図8】第1の実施形態のメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】図8に示すメイン処理により設定された安全領域213を説明するための説明図である。
【図10】図8に示すメイン処理で実行されるICタグ配置処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】図10に示すICタグ配置処理により配置位置が変更されたICタグ領域を説明するための説明図である。
【図12】ICタグを加工布に配置する際の目印となる縫目を形成するためのマーク縫製データを説明するための説明図である。
【図13】図8に示すメイン処理において、ICタグを布片に貼り付ける場合のマーク縫製データを付加する位置を説明するための説明図である。
【図14】図8に示すメイン処理において、ICタグを加工布に貼り付ける場合のマーク縫製データを付加する位置を説明するための説明図である。
【図15】ICタグを加工布に固定する際の縫目を形成するための止め縫付け縫製データを説明するための説明図である。
【図16】第2の実施形態のメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図17】図16に示すメイン処理で実行されるアップリケ模様データ配置処理を説明するためのフローチャートである。
【図18】図17に示すアップリケ模様データ配置処理により、縫製可能領域651外にアップリケ模様領域210が配置された場合を説明するための説明図である。
【図19】図17に示すアップリケ模様データ配置処理により、縫製可能領域651内にアップリケ模様領域210が配置された場合を説明するための説明図である。
【図20】具体例2のアップリケ模様領域600を説明するための説明図である。
【図21】第3の実施形態のメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図22】図21に示すメイン処理で実行される安全領域候補検索処理を説明するためのフローチャートである。
【図23】図21に示すメイン処理で実行されるICタグ配置位置選択処理を説明するためのフローチャートである。
【図24】図22に示す安全領域候補検索処理において決定された包含可能領域の候補を説明するための説明図である。
【図25】図23に示すICタグ配置位置選択処理において液晶ディスプレイ15に表示される画面800を説明するための説明図である。
【図26】第4の実施形態のメイン処理を説明するためのフローチャートである。
【図27】、図26に示すメイン処理において指定されたアップリケ模様の輪郭910が表示された画面900を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0137】
1 ミシン
15 液晶ディスプレイ
26 タッチパネル
27 画像読取センサ
61 CPU
100 ICタグ
104 情報記憶部
131 ICタグ領域
200 アップリケ模様
202 布片
210,600 アップリケ模様領域
213,610,620 安全領域
630,640 包含可能領域
300 アップリケ模様データ
651 縫製可能領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アップリケ模様データにより定められる大きさ及び形状を有する布片を、ミシンにより加工布に縫い付けて、当該加工布に当該布片によるアップリケ模様を形成するための縫製データを処理する縫製データ処理装置において、
各種情報が記憶された情報記憶部を備えるICタグの大きさ及び形状に基づき定められた領域であるICタグ領域を取得するICタグ領域取得手段と、
前記アップリケ模様データに基づき定められるアップリケ模様領域内に、前記ICタグ領域取得手段により取得された前記ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により包含させることができると判定された場合に、前記ICタグ領域が前記アップリケ模様領域内に配置されるように、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を設定する配置設定手段と
を備えたことを特徴とする縫製データ処理装置。
【請求項2】
前記判定手段は、
前記縫製可能領域に、前記アップリケ模様及び前記ICタグ領域を配置する初期配置手段と、
前記縫製可能領域に配置された前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域を相対的に異なる配置位置に再配置することを、所定条件となるまで繰り返す配置繰返手段と、
前記初期配置手段又は前記配置繰返手段により前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域が配置された場合に、当該ICタグ領域が、当該アップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定する包含判定手段と、
前記包含判定手段により、包含させることができると1度以上判定された場合に、前記縫製データに基づき定められるアップリケ模様領域内に、前記ICタグ領域取得手段により取得された前記ICタグ領域を包含させることができると判定する総合判定手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の縫製データ処理装置。
【請求項3】
前記ミシンの縫製可能領域内の前記ICタグの位置を表す情報である位置情報を取得する位置情報取得手段を備え、
前記配置設定手段は、前記判定手段により包含させることができると判定された場合に、前記ICタグ領域が前記アップリケ模様領域内に配置されるように、かつ、前記ミシンの縫製可能領域内に設定される前記ICタグの配置位置を前記位置情報取得手段により取得された前記位置情報が表す配置位置に固定して、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域の配置位置を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の縫製データ処理装置。
【請求項4】
前記アップリケ模様の輪郭を指定する輪郭指定手段と、
少なくとも前記輪郭指定手段により指定された前記アップリケ模様の輪郭に基づき、前記アップリケ模様領域を定めるアップリケ模様領域決定手段と
を備え、
前記判定手段は、前記アップリケ模様決定手段により定められた前記アップリケ模様領域内に、前記ICタグ領域取得手段により取得された前記ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定し、
前記判定手段により包含されると判定された場合に、前記輪郭指定手段により輪郭が指定された前記アップリケ模様を縫製するための前記縫製データを作成するアップリケ模様データ作成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【請求項5】
前記判定手段により包含させることができると判定された場合に、前記アップリケ模様領域のうち、前記ICタグ領域を包含させることができる領域である包含可能領域を報知する第1報知手段と、
前記第1報知手段により報知された前記包含可能領域の中から、前記ICタグ領域を配置する包含可能領域を選択する選択手段と
を備え、
前記配置設定手段は、前記選択手段により選択された前記包含可能領域内に前記ICタグ領域が配置されるよう、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を設定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【請求項6】
アップリケ模様データにより定められる大きさ及び形状を有する布片を、ミシンにより加工布に縫い付けて、当該加工布に当該布片によるアップリケ模様を形成するための縫製データを処理する縫製データ処理装置において、
各種情報が記憶された情報記憶部を備えるICタグの大きさ及び形状に基づき定められた領域であるICタグ領域を取得するICタグ領域取得手段と、
前記縫製可能領域における、前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を指定する配置指定手段と、
前記配置指定手段により指定された配置位置に配置された前記ICタグ領域が、前記配置指定手段により指定された配置位置に配置された前記アップリケ模様領域内に包含されているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により包含されていると判定された場合に、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を、前記配置指定手段により指定された配置位置に設定する配置設定手段と
を備えたことを特徴とする縫製データ処理装置。
【請求項7】
前記ICタグの大きさ及び形状を少なくとも表す情報である形態情報を取得する形態情報取得手段を備え、
前記ICタグ領域取得手段は、前記形態情報取得手段により取得された前記形態情報に基づき定められた前記ICタグ領域を取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【請求項8】
前記ICタグの大きさ及び形状を少なくとも表す情報である形態情報を入力する形態情報入力手段を備え、
前記ICタグ領域取得手段は、前記形態情報入力手段により入力された前記形態情報に基づきを定められた前記ICタグ領域を取得することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【請求項9】
前記アップリケ模様の輪郭と、当該アップリケ模様を形成する前記布片を前記加工布に縫い付ける際の縫い代と、前記加工布及び前記布片の少なくともいずれか一方の縮み量とに基づき、前記アップリケ模様領域内に前記ICタグ領域を配置可能な安全領域を定める安全領域決定手段を備え、
前記判定手段は、前記安全領域決定手段により定められた前記安全領域内に、前記ICタグ領域取得手段により取得された前記ICタグ領域を包含させることができるか否かを判定し、
前記配置設定手段は、前記判定手段により包含させることができると判定された場合に、前記ICタグ領域が前記安全領域内に配置されるように、前記ミシンの縫製可能領域内に前記アップリケ模様領域及び前記ICタグ領域の配置位置を設定することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【請求項10】
前記ICタグを前記配置設定手段により定められた配置位置に配置する際の目印となる縫目を前記加工布又は前記布片に形成するためのマーク縫製データを作成するマーク縫製データ作成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【請求項11】
前記アップリケ模様データは、前記布片の輪郭にあわせて縫目を形成するための輪郭データと、当該縫目に基づき裁断された前記布片を前記加工布上に配置する際の目印となる縫目を形成するための位置決めデータとを少なくとも含み、
前記ICタグを前記布片上に配置する場合には、前記マーク縫製データ作成手段により作成された前記マーク縫製データを、前記輪郭データの直前又は直後に付加し、前記ICタグを前記加工布上に配置する場合には、前記マーク縫製データ作成手段により作成された前記マーク縫製データを、前記位置決めデータの直前又は直後に付加するデータ付加手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の縫製データ処理装置。
【請求項12】
前記配置設定手段により定められた配置位置に配置された前記ICタグを前記加工布に縫い付ける縫目を形成するための止め縫付け縫製データを作成する止め縫付け縫製データ作成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【請求項13】
前記判定手段の判定結果及び前記配置設定手段により決定された配置の少なくともいずれか一方を報知する第2報知手段を備えることを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の縫製データ処理装置。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれかに記載の縫製データ処理装置を備えたミシン。
【請求項15】
請求項1乃至13のいずれかに記載の縫製データ処理装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための縫製データ処理プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の縫製データ処理プログラムを記録した記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−79899(P2008−79899A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−264287(P2006−264287)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】