説明

縫製装置及び縫製システム

【課題】無線タグを情報の媒介として活用することにより、顧客の注文内容に沿った縫製対象への刺繍を確実かつ効率的に実行でき、また、縫製対象の選定から縫製対象への刺繍までを一括して一元的に管理することができる縫製装置及び縫製システムを提供する。
【解決手段】縫製対象となるTシャツFに設けられたTシャツ用無線タグTfと無線通信を行うためのミシンアンテナ23を有し、このミシンアンテナ23を介し、Tシャツ用無線タグTfに記憶された縫製パラメータ情報を取得し、この取得した縫製パラメータ情報に沿った縫製パラメータを用いて、TシャツFへ所定の刺繍を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顧客からの注文に応じ、縫製対象に対し顧客の所望する刺繍を行う縫製装置及び縫製システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、顧客からの注文に応じ、縫製対象を選定し、その選定した縫製対象に対し顧客の所望する刺繍を行い、刺繍済み製品を完成品として顧客へ販売する縫製システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この縫製システム(刺繍システム)では、顧客がウェブ上で縫製対象である衣服を選択し、衣服上の刺繍の箇所を特定すると共に刺繍パターンを選択すると、インターネットを介して対応する信号(刺繍パターン制御信号)が遠隔地の縫製装置(刺繍機械)に送信され、刺繍が実行されるようになっている。
【特許文献1】特開2001−314677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術の縫製システムでは、顧客がウェブ上で衣服、刺繍の箇所及びパターンの選択を行うだけで、縫製装置により注文に応じた刺繍が実行されるため、顧客による注文作業を効率的に行うことを可能としている。しかしながら、顧客から注文を受けた後、顧客が選択した通りの衣服が選定されているか、縫製装置において顧客が特定した箇所に顧客が選択したパターンが確実に刺繍されているか等を管理することについては何ら考慮されていなかった。このため、注文を容易に行うことはできても、その後実際に顧客の注文内容に沿った縫製対象への刺繍が縫製装置によって確実に行われるかどうかについては不確実性を有しており、縫製対象の選定から縫製対象への刺繍までを一括して一元的に管理することが望まれていた。
【0004】
本発明の目的は、無線タグを情報の媒介として活用することにより、顧客の注文内容に沿った縫製対象への刺繍を確実かつ効率的に実行でき、また、縫製対象の選定から縫製対象への刺繍までを一括して一元的に管理することができる縫製装置及び縫製システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1発明の縫製装置は、縫製対象に関連づけられた縫製対象用無線タグと無線通信を行うためのミシンアンテナと、前記ミシンアンテナを介し、前記縫製対象用無線タグに記憶された縫製関連情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段で取得した前記縫製関連情報に沿った縫製パラメータを用いて、前記縫製対象へ所定の刺繍を行う刺繍処理手段とを有することを特徴とする。
【0006】
本願第1発明の縫製装置は、顧客からの注文に応じ、縫製対象に対し顧客の所望する刺繍を行い、刺繍済み製品を完成するためのものである。
【0007】
縫製対象には、予め縫製対象用無線タグが(例えば直接取り付けられたり、ハンガーに取り付けられる等により)関連づけられている。そして、各縫製対象の縫製対象用無線タグには、顧客の注文(最終的にどのような製品を得たいか)内容に応じた縫製関連情報が書き込まれ、記憶されている。
【0008】
縫製装置での刺繍を行うために、顧客の注文に対応した縫製対象を操作者が探す(選定する)場合には、縫製対象用無線タグのタグ識別情報に基づき、例えば無線タグ通信装置でタグ識別情報を指定して無線通信を行うことで、容易かつ確実に見つけ出すことができる。
【0009】
縫製装置には情報取得手段が設けられており、上記縫製対象用無線タグの縫製関連情報を、ミシンアンテナを介して無線通信により取得することができる。そして、刺繍処理手段が、上記取得した縫製関連情報に沿った縫製パラメータを用いつつ縫製対象に刺繍を行う。これにより、顧客の注文内容に合致した態様で縫製対象に刺繍を行い、商品としての刺繍済み製品を完成させることができる。
以上説明したように、本願第1発明の縫製装置によれば、縫製対象用無線タグを情報の媒介として活用して、顧客の注文内容に沿った縫製対象への刺繍を確実かつ効率的に実行でき、また、縫製対象の選定から縫製対象への刺繍までを一括して一元的に管理することが可能となる。
【0010】
第2発明の縫製装置は、上記第1発明において、前記情報取得手段による前記縫製対象用無線タグからの前記縫製関連情報の取得が完了したら、これに応じて前記刺繍処理手段による前記縫製対象への刺繍が開始されるように、前記情報取得手段と前記刺繍処理手段とを連携して制御する連携制御手段を有することを特徴とする。
【0011】
これにより、縫製対象用無線タグからの縫製関連情報の読み取りが終了したら、(縫製指示等の特別な操作を操作者が行わなくても)自動的に縫製対象への刺繍が開始される。これにより、操作者の操作負担を低減することができる。また、この結果、操作者の手動に基づき刺繍開始する場合に操作者の手動操作忘れ等による刺繍動作不実行や空白時間の発生等の不都合を回避することができる。
【0012】
上記目的を達成するために、第3発明の縫製システムは、少なくとも1つの縫製対象に関連づけられた縫製対象用無線タグと、操作者が操作入力可能な操作端末と、前記操作端末と情報入出力可能に接続され、前記縫製対象用無線タグに対して情報読み取りを行うための無線タグ通信装置と、前記縫製対象に対して所定の刺繍を行う縫製装置と、前記操作端末及び前記縫製装置に対し情報入出力可能に接続されたサーバとを有する縫製システムであって、前記操作端末は、前記操作者により操作入力された前記縫製対象に対する注文情報に基づく縫製ジョブ情報を生成するジョブ情報生成手段と、前記注文情報に対応した、前記縫製装置での縫製パラメータ情報を生成するパラメータ情報生成手段とを備えており、前記サーバは、前記縫製対象の属性情報、前記縫製対象に対応する前記縫製対象用無線タグのタグ識別情報、及び前記注文情報に基づき前記縫製対象へ刺繍するための画像情報を対応づけて格納したデータベースと、前記操作端末の前記ジョブ情報生成手段で生成された前記縫製ジョブ情報に基づき前記データベースを検索し、対応する前記縫製対象の商品識別情報に対し前記縫製ジョブ情報を対応づけてジョブ識別情報を付与し、前記縫製パラメータ情報及び前記ジョブ識別情報のうち少なくとも前記ジョブ識別情報と前記商品識別情報とを、対応する前記縫製対象用無線タグのタグ識別情報ともに前記データベースに格納するジョブ登録手段とを備えており、前記無線タグ通信装置は、前記操作端末の前記パラメータ情報生成手段で生成された前記縫製パラメータ情報及び前記サーバの前記ジョブ登録手段で対応づけられた前記ジョブ識別情報のうち少なくとも前記ジョブ識別情報と、前記注文情報に対応した前記縫製対象に係わる前記縫製対象用無線タグの前記タグ識別情報とを取得する第1情報取得手段と、前記第1情報取得手段で取得した前記タグ識別情報を指定して探索用の無線通信を行い、前記指定された前記縫製対象用無線タグから情報読み取りを行う情報読み取り手段と、前記情報読み取り手段で情報読み取りを行った前記縫製対象用無線タグに対し、前記タグ識別情報に対応する、前記縫製パラメータ情報及び前記ジョブ識別情報のうち少なくとも前記ジョブ識別情報を書き込む情報書き込み手段とを備えており、前記縫製装置は、無線通信を介し、前記縫製対象用無線タグに記憶された、前記縫製パラメータ情報及び前記ジョブ識別情報のうち少なくとも前記ジョブ識別情報を取得する第2情報取得手段と、前記第2情報取得手段で取得した前記ジョブ識別情報に対応した、前記画像情報及び前記縫製パラメータ情報のうち少なくとも前記画像情報を、前記サーバより取得する画像取得手段と、前記第2情報取得手段又は前記画像取得手段で取得した前記縫製パラメータ情報に沿った縫製パラメータを用いて、前記画像取得手段で取得した前記画像情報を、前記縫製対象へ刺繍する刺繍処理手段とを有することを特徴とする。
【0013】
本願第3発明の縫製システムでは、顧客からの注文に応じ、縫製対象を選定し、その選定した縫製対象に対し顧客の所望する刺繍を行い、刺繍済み製品を完成品として顧客へ販売するものである。
【0014】
例えば倉庫などに用意された各縫製対象には、予め縫製対象用無線タグが(例えば直接取り付けられたり、ハンガーに取り付けられる等により)関連づけられている。そして、各縫製対象の属性情報と対応する縫製対象用無線タグの識別情報とが予め対応づけられ、サーバのデータベースに格納されている。
【0015】
顧客が来店すると、操作者(接客者)が顧客の注文(最終的にどのような製品を得たいか)を聞き、その注文内容を操作端末に入力する。すると、操作端末のジョブ情報生成手段が、操作者が操作入力した上記注文内容(注文情報)に応じて、例えば縫製対象へ刺繍する画像や縫製対象の属性情報等を含む縫製ジョブ情報を生成する。なお、操作端末にはパラメータ情報生成手段が設けられており、このパラメータ情報生成手段は上記注文情報に応じて縫製装置での縫製パラメータ情報を生成する(詳細は後述)。
【0016】
上記縫製ジョブ情報が生成されると、サーバのジョブ登録手段が当該縫製ジョブ情報に基づきデータベースを検索する。そして、ジョブ登録手段は、対応する(例えば属性情報が一致する)縫製対象の商品識別情報を抽出し、その抽出した商品識別情報を上記縫製ジョブ情報に対応づけ、ジョブ識別情報を付与する。さらに、ジョブ登録手段は、上記縫製パラメータ情報及びジョブ識別情報のうち少なくともジョブ識別情報と商品識別情報とを、縫製対象用無線タグのタグ識別情報と共にデータベースに格納(登録)する。なお、データベースには、例えば、ジョブ識別情報に対応した、縫製対象に刺繍する画像データ(顧客が縫製対象に刺繍したいと所望したもの)も併せて格納される。
【0017】
一方、本願第3発明においては、例えば倉庫などに用意された縫製対象から、顧客の注文情報に合致した縫製対象を見つけ出すために、縫製対象用無線タグと情報送受信可能な無線タグ通信装置が備えられている。顧客の注文に対応した縫製対象を操作者が探す場合には、上記のようにして登録され対応づけられたジョブ識別情報及びタグ識別情報に基づき、無線タグ通信装置の情報読み取り手段で、タグ識別情報を指定して探索用無線通信を行う。目的とする縫製対象用無線タグに対し情報読み取りに成功したら(=目的とする縫製対象用無線タグが見つかったら)、縫製装置での刺繍に用いるために、無線タグ通信装置の情報書き込み手段が、当該縫製対象用無線タグに対し、縫製パラメータ情報(操作端末のパラメータ情報生成手段で生成)とジョブ識別情報とのうち少なくともジョブ識別情報を書き込む。
【0018】
そして、最終的に縫製対象への刺繍を行う縫製装置には第2情報取得手段が設けられており、上記縫製対象用無線タグに記憶されたジョブ識別情報及び縫製パラメータのうち少なくともジョブ識別情報を、無線通信により取得する。一方、縫製装置の画像取得手段が、上記取得したジョブ識別情報をキーとしてサーバへアクセスし、対応する上記画像情報(ジョブ識別情報に対応づけてデータベースに格納)及び縫製パラメータ情報(ジョブ識別情報に対応づけてデータベースに格納)のうち少なくとも画像情報を取得する。その後、刺繍処理手段が、上記サーバより取得した画像情報を、上記縫製対象用無線タグ又はサーバより取得した縫製パラメータを用いつつ縫製対象に刺繍し、商品としての刺繍済み製品が完成する。
【0019】
以上説明したように、本願第3発明の縫製システムにおいては、縫製対象用無線タグやサーバのデータベースを情報の媒介として活用し、顧客の注文内容に沿った縫製対象の選定から縫製対象への刺繍までを一括して一元的に管理することができる。
【0020】
第4発明の縫製システムは、上記第3発明において、前記操作端末の前記パラメータ情報生成手段は、前記注文情報に基づき、前記縫製対象の素材情報を含む前記縫製パラメータ情報を生成することを特徴とする。
【0021】
これにより、顧客の注文内容に応じ、縫製対象の素材に適した縫製設定を確実に行い、その設定に応じた刺繍を縫製装置で行うことができる。
【0022】
第5発明の縫製システムは、上記第3又は第4発明において、情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を搬送するための搬送手段と、前記無線タグ回路素子と無線通信するための装置アンテナとを有し、前記搬送手段で搬送される前記タグ媒体に備えられた前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に前記ジョブ識別情報を書き込み、顧客用無線タグを作成する無線タグ作成装置を設けたことを特徴とする。
【0023】
サーバのジョブ登録手段でジョブ識別情報が生成されたら、そのジョブ識別情報を記憶した顧客用無線タグを作成する。これにより、顧客は、当該ジョブ識別情報に基づく(自己の所望の)刺繍済み製品が完成したとき、ジョブ識別情報を記憶させた顧客用無線タグを来店時に持参することで、その顧客用無線タグを引換券として用い、対応する刺繍済み製品を引き取ることが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、顧客の注文内容に沿った縫製対象への刺繍を確実かつ効率的に実行でき、また、縫製対象の選定から縫製対象への刺繍までを一括して一元的に管理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は、本実施形態の縫製システムの全体構成を表すシステム構成図である。
【0027】
図1において、縫製システムFSは、顧客からの注文に応じ、縫製対象である(刺繍前の)TシャツFを選定し、その選定したTシャツFに対し顧客の所望する刺繍を行い、刺繍済みTシャツを完成品として顧客へ販売するものである。この縫製システムFSは、縫製対象となる少なくとも1つのTシャツFに対しそれぞれ設けられ(本実施形態ではTシャツFに直接取り付けているが、TシャツFが掛けられるハンガーに設置してもよい)、所定の情報を記憶するIC回路部150と情報を送受信するタグアンテナ151とを備えた無線タグ回路素子To(後述の図9等参照)を有する少なくとも1つのTシャツ用無線タグTf(縫製対象用無線タグ)と、表示部101及び操作部102を備え、操作者が上記操作部102を介してTシャツに対する注文情報を操作入力可能な操作端末100(PC等)と、この操作端末100と端末間無線通信(Bluetooth等)により情報入出力可能に接続され、上記Tシャツ用無線タグTfに対して情報書き込み及び読み取りを行うことが可能なリーダ・ライタ200と、TシャツFに対して所定の刺繍を行う縫製装置300と、TシャツFの属性(サイズ、種類、色等。詳細は後述)とTシャツFに対応するTシャツ用無線タグTfのタグID(タグ識別情報)とを対応づけて格納した在庫データベース401(後述の図2参照)及びTシャツFへ刺繍するための画像データ(画像情報)を格納した画像データベース402(後述の図2参照)を有するサーバ400と、上記操作端末100の操作入力に基づき、顧客が完成した刺繍済みTシャツFを引き取る際に引換券として用いる顧客用無線タグTcを作成する無線タグ作成装置500とを有している。上記操作端末100、縫製装置300、サーバ400、及び無線タグ作成装置500は、有線あるいは無線のネットワークNW(LAN、無線LAN等)を介して情報入出力可能に接続されている。
【0028】
上記Tシャツ用無線タグTfは、この例ではTシャツの襟首部分に設けられている。これにより、TシャツFを刺繍枠(図示省略)に保持し、この刺繍枠を縫製装置300のキャリッジ4に設けられた枠取付台(図示省略)に装着した際に、キャリッジ4に設けたミシンアンテナ23(後述の図4及び図5参照)と近接させて無線通信を良好に行えるようになっている。なお、ミシンアンテナ23と無線通信を良好に行える位置であれば、Tシャツ用無線タグTfを上記襟首部分以外の箇所に設けてもよい。
【0029】
図2は、縫製システムFSのシステム全体の機能構成を概念的に表す機能ブロック図である。
【0030】
図2において、操作端末100は、各種操作画面や入力画面等の表示を行うための上記表示部101と、操作者が操作入力を行うための適宜のボタン、キー、マウス等により構成された上記操作部102と、上記縫製装置300、サーバ400、及び無線タグ作成装置500との間でネットワークNWを介して行われるネットワーク通信の制御を行うネットワーク通信制御部103と、上記リーダ・ライタ200との間で行われる端末間無線通信の制御を行う端末間通信制御部104と、上記表示部101、ネットワーク通信制御部103、及び端末間通信制御部104を含む操作端末100全体の動作を制御する制御回路105とを有する。
【0031】
リーダ・ライタ200(無線タグ通信装置)は、各種表示を行う表示部201と、各種操作入力を行う操作部202と、上記Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により信号の授受を行うリーダアンテナ203と、このリーダアンテナ203を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ無線通信によりアクセスすると共に、その無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路204と、上記操作端末100との間で行われる端末間無線通信の制御を行う端末間通信制御部205と、上記表示部201、高周波回路204、及び端末間通信制御部205を含むリーダ・ライタ200全体の制御を行う制御回路206とを有する。
【0032】
サーバ400は、上記在庫データベース401(データベース)及び画像データベース402と、上記操作端末100及び縫製装置300との間でネットワークNWを介して行われるネットワーク通信の制御を行うネットワーク通信制御部403と、上記データベース401,402と情報の出し入れ可能に接続され、サーバ400全体の制御を行う制御回路404とを有する。
【0033】
図3は、上記縫製装置300の全体構造を表す正面図であり、図4はその側面図、図5はその要部横断平面図である。なお、図3における紙面に向かって手前側方向、図4における左方向、及び図5における下方向が縫製装置300の前方向であり、図3における左右方向が縫製装置300の左右方向となる。
【0034】
これら図3乃至図5において、縫製装置300は、縫製対象となるTシャツFに対し顧客の所望する刺繍を行う多針式の刺繍ミシンである。なお、本実施形態では縫製対象をTシャツとしているが、Tシャツの他、ジャケットや靴下等の衣類や、ハンカチ、タオル、枕カバー、クッションカバー等の布製品を縫製対象としてもよい。この縫製装置300は、装置全体を支持する左右一対の脚部1と、その脚部1の後端部から立設された脚柱部2と、その脚柱部2の上部から前方に延びるアーム部3等とから構成され、床面上に設置した載置台上に載置されている。
【0035】
上記左右一対の脚部1の上側には、作業テーブル20が略水平方向に配設されている。この作業テーブル20には、左右方向中央部において、シリンダベッド6の幅寸法と同じ幅に切り欠いたスリット20aが形成され、作業テーブル20の上面とシリンダベッド6の前端部の上面に設けた針板6aの上面とが同一高さになっている。なお、作業テーブル20の材質は、無線通信を良好に行うために、金属以外の例えば樹脂であることが望ましい。
【0036】
脚部1の上側に左右方向向きのキャリッジ4が設けられ、キャリッジ4の内部には、X軸駆動モータ37(後述の図6参照)でキャリッジ4の前側に設けられた枠取付台(図示省略)を左右方向に駆動する左右駆動機構(図示省略)が設けられている。脚部1内には、Y軸駆動モータ39(後述の図6参照)でキャリッジ4を前後方向に駆動する前後駆動機構(図示省略)が設けられている。
【0037】
またキャリッジ4内の前方側には、TシャツFに設けられた上記Tシャツ用無線タグTfと無線通信を行うためのミシンアンテナ23が設けられている(図4及び図5参照)。これにより、前述したように、TシャツFを保持した刺繍枠をキャリッジ4に設けられた枠取付台に装着した際に、TシャツFに設けたTシャツ用無線タグTfから情報読み取りを行えるようになっている。
【0038】
縫製対象となるTシャツFは、上記刺繍枠(図示省略)に保持され、この刺繍枠が上記枠取付台(図示省略)に取付けられてセットされる。枠取付台は、左右駆動機構により左右方向へ移動駆動され、キャリッジ4は前後駆動機構により前後方向へ移動駆動される。このようにして、刺繍枠がキャリッジ4と同期して前後方向に移動し、枠取付台と共に左右方向に移動されて、TシャツFが布送りされる。
【0039】
アーム部3の前側には、針棒ケース5が装着され、脚柱部2にはシリンダベッド6が前方突出状に設けられている。針棒ケース5には6本の針棒(図示略)が装着されている。各針棒の下端部には、縫針12が装着され、また、針棒ケース5には各針棒の各々に対応して6本の天秤7が装着されている。針棒ケース5の上端部には、少し後方上側へ傾斜する合成樹脂製の糸調子台8が固定され、この糸調子台8には、各縫針12の各々に供給される上糸のための6つの糸調子器9が夫々設けられている。
【0040】
アーム部3の上側には糸立て台10が設けられ、この糸立て台10に、6個の糸駒を取付け可能な糸立て棒11が設けられ、各糸駒から延びる上糸(本実施形態では赤、青、黄、緑、橙、水色の6色の上糸)が対応する糸調子器9及び天秤7等に掛けられた後、針棒の下端に取付けられた縫針12にそれぞれ供給される。
【0041】
アーム部3の内部には、針棒変更モータ33(後述の図6参照)で駆動される針棒選択機構(図示省略)が設けられている。針棒ケース5は、針棒選択機構により糸調子台8と一体的に左右方向へ移動駆動され、6つの針棒と天秤7のうちの1つの針棒と天秤7とが駆動位置に択一的に選択される。
【0042】
ミシンモータ31(図6参照)が駆動されると、駆動位置の針棒及び天秤7が同期して上下駆動され、シリンダベッド6の前端部に設けられた回転釜(図示略)と協動して、シリンダベッド6の上側で刺繍枠に保持されるTシャツFに刺繍縫目が形成される。
【0043】
また、アーム部3の右側面には、タッチパネル式の操作パネル13が折り畳み式に設けられている。この操作パネル13には、図1に示すように、液晶ディスプレイ14が設けられると共に、この液晶ディスプレイ14の下側に、縫製の開始と停止を指示するスタート/ストップキー16と、縫製速度の加速を指示する加速キー17及び減速を指示する減速キー18が設けられている。
【0044】
図6は、上記縫製装置300の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【0045】
図6において、縫製装置300は、その電気的制御に係る構成として、制御回路25と、上記ミシンアンテナ23を介し上記Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ無線通信によりアクセスすると共に、その無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路92とを備えている。
【0046】
制御回路25は、CPU26とROM27とRAM28と、A/D変換器(A/D)29等を含むマイクロコンピュータで構成されている。この制御回路25には、操作パネル13と、ミシン主軸の回転位相信号を出力する回転位相検出器30と、ミシンモータ31のための駆動回路32と、針棒変更モータ33のための駆動回路34と、糸切りモータ35のための駆動回路36と、X軸駆動モータ37のための駆動回路38と、Y軸駆動モータ39のための駆動回路40とがそれぞれ接続されている。
【0047】
なお、上記ROM27には、縫製装置300の動作を制御して縫製を実行するための縫製制御プログラム等が格納されている。またRAM28には、刺繍を実行する際に、サーバ400からネットワークNWを介して受信した刺繍模様の画像データ等を格納するメモリ、その他CPU26で演算された演算結果を一次的に格納する各種のバッファ等が必要に応じて設けられている。
【0048】
また制御回路25は、操作端末100やサーバ400との間で上記ネットワークNWを介して行われるネットワーク通信の制御を行うためのネットワーク通信制御部90と、上記高周波回路92及びミシンアンテナ23を介し、Tシャツ用無線タグTfの上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150に記憶されたジョブ番号及び縫製パラメータ情報(詳細は後述)を取得するために行われるTシャツ用無線タグTfとの無線通信制御を行うための無線タグ通信制御部91とを有しており、それぞれが上記CPU26等とバス(図示省略)を介して接続されている。
【0049】
図7は、上記無線タグ作成装置500の機能構成を表す機能ブロック図である。
【0050】
図7において、無線タグ作成装置500は、上述したように顧客が完成した刺繍済みTシャツFを引き取る際に引換券として用いる顧客用無線タグTcを作成する機能を備えている。すなわち、無線タグ作成装置500は、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられたタグテープ503(タグ媒体)を巻回したタグテープロール504(本来は渦巻状であるが簡略化して同心円で図示している)又はこれを備えたカートリッジ(図示せず)を着脱可能なカートリッジホルダ506と、上記タグテープロール504から繰り出されたタグテープ503のうち各無線タグ回路素子Toに対応した領域に所定の印字を行う印字ヘッド505と、タグテープ503を搬送する搬送ローラ508(搬送手段)と、タグテープ503に備えられる無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行い無線タグ情報の書き込みを行う装置アンテナ501及び高周波回路502と、タグテープ503への印字及び無線タグ回路素子Toへの情報書き込みが終了したタグテープ503を所定の長さに切断して前述の顧客用無線タグTcとするカッタ507と、上記操作端末100との間でネットサークNWを介して行われるネートワーク通信の制御を行うネットワーク通信制御部509と、以上の高周波回路502,印字ヘッド505、カッタ507、搬送ローラ508、及びネットワーク通信制御部509等を含む無線タグ作成装置500全体の動作制御を行う制御回路510とを有する。
【0051】
図8は、上記リーダ・ライタ200の高周波回路204の詳細構成を表す機能ブロック図である。
【0052】
この図8において、高周波回路204は、上記リーダアンテナ203を介し上記Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報へアクセスするものであり、またリーダ・ライタ200の制御回路206はTシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すと共に無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするための各種コマンドを生成するものである。
【0053】
高周波回路204は、アンテナ203を介しTシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部142と、リーダアンテナ203により受信された無線タグ回路素子Toからの応答波を入力する受信部143と、送受分離器144とから構成される。
【0054】
送信部142は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスするための質問波を生成するブロックである。すなわち、送信部142は、周波数の基準信号を出力する水晶振動子145Aと、制御回路133の制御により水晶振動子145Aの出力を分周/遁倍して所定周波数の搬送波を発生させるPLL(Phase Locked Loop)145B、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)145Cと、上記制御回路206から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路133からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路146(振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路146により変調された変調波を増幅(この例では制御回路133からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)して所望の質問波を生成する可変送信アンプ147とを備えている。そして、上記発生される搬送波は、例えばUHF帯(又はマイクロ波帯、あるいは短波帯でもよい)の周波数を用いており、上記可変送信アンプ147の出力は、送受分離器144を介しリーダアンテナ203に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、質問波は上記のように変調した信号(変調波)に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
【0055】
受信部143は、リーダアンテナ203で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波とを乗算して復調するI相受信乗算回路148と、そのI相受信乗算回路148の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのI相バンドパスフィルタ149と、このI相バンドパスフィルタ149の出力を増幅するI相受信アンプ162と、このI相受信アンプ162の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するI相リミッタ163と、上記リーダアンテナ203で受信された無線タグ回路素子Toからの応答波と上記搬送波が移相器167により位相を90°遅らせた信号とを乗算するQ相受信乗算回路172と、そのQ相受信乗算回路172の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すためのQ相バンドパスフィルタ173と、このQ相バンドパスフィルタ173の出力を増幅するQ相受信アンプ175と、このQ相受信アンプ175の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換するQ相リミッタ176とを備えている。そして、上記I相リミッタ163から出力される信号「RXS−I」及びQ相リミッタ176から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路133に入力されて処理される。
【0056】
また、I相受信アンプ162及びQ相受信アンプ175の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路178にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路133に入力される。これにより、リーダ・ライタ200では、無線タグ回路素子Toとの通信時における当該無線タグ回路素子Toからの信号の受信強度を検出することが可能となっている。
【0057】
なお、以上では説明しなかったが、前述の縫製装置300の高周波回路92及び無線タグ作成装置500の高周波回路502についても、上記リーダ・ライタ200の高周波回路204と同様の構成を有している。
【0058】
図9は、上記Tシャツ用無線タグTf及び顧客用無線タグTc(タグテープ503)に備えられる無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表す機能ブロック図である。
【0059】
この図9において、無線タグ回路素子Toは、上述したようにリーダ・ライタ200のリーダアンテナ203(又は無線タグ作成装置500の装置アンテナ501)と非接触で信号の送受信を行う上記タグアンテナ151と、このタグアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
【0060】
IC回路部150は、タグアンテナ151により受信された質問波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された質問波のエネルギを蓄積し駆動電源とするための電源部153と、上記タグアンテナ151により受信された質問波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得るメモリ部155と、上記タグアンテナ151に接続された変復調部156と、上記メモリ部155、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介し上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
【0061】
変復調部156は、タグアンテナ151により受信された上記リーダ・ライタ200のリーダアンテナ203(又は無線タグ作成装置500の装置アンテナ501)からの質問波の復調を行い、また、上記制御部157からの返信信号を変調し、タグアンテナ151より応答波(タグIDを含む信号)として送信する。
【0062】
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出し、当該クロック成分の周波数に対応したクロックを制御部157に供給する。
【0063】
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、この返信信号を上記変復調部156により上記タグアンテナ151から返信する制御等の基本的な制御を実行する。
【0064】
以上のような構成である縫製システムFSにおいては、次のような手順で刺繍済みTシャツFが作成される。すなわち、顧客が来店すると、まず操作者(接客者。又は顧客自身でもよい)が顧客の注文を聞き、その注文内容に応じて操作端末100において注文情報(刺繍したい画像番号、Tシャツの属性、刺繍パラメータ等)を入力する。すると、操作端末100において縫製ジョブ情報(選択された画像番号や属性情報を含む)が生成され、操作端末100からネットワークNWを介してサーバ400に上記縫製ジョブ情報と共に縫製ジョブの登録要求が送信される。なお、上記注文情報とは顧客が操作端末100において直接入力する情報であり、上記縫製ジョブ情報とは、入力された注文情報に基づき操作端末100で生成される、操作端末100からサーバ400へ送信するための電文形式の情報である。サーバ400では、受信した属性情報に合致する(刺繍前の)TシャツFの在庫があるか否かが検索され、在庫がある場合には対応するジョブ番号を生成し、ジョブ番号、対応するTシャツFの商品番号、対応するTシャツ用無線タグTfのタグID、及び縫製ジョブ情報を在庫データベース401(又は画像データベース402でもよい)のジョブテーブルに登録する。そして、登録したジョブ番号及びタグIDが、サーバ400からネットワークNWを介して操作端末100に送信される。
【0065】
次に、上記サーバ400から受信したジョブ番号、タグID及び操作者が入力した縫製パラメータ情報が、操作端末100から端末間無線通信を介してリーダ・ライタ200に送信されると共に、上記ジョブ番号及び適宜の印字データが操作端末100からネットワークNWを介して無線タグ作成装置500に送信される。これにより、無線タグ作成装置500では、無線タグ回路素子Toにジョブ番号が書き込まれると共に上記印字データに基づいた適宜の印字が行われた顧客用無線タグTcが作成される。この顧客用無線タグTcは、顧客に渡される。一方、操作者は、リーダ・ライタ200を用いて、例えば倉庫などに在庫として用意された複数のTシャツFの中から顧客が入力した属性情報に合致するTシャツFを探索する。リーダ・ライタ200は、各TシャツFに設けられたTシャツ用無線タグTfに対し、無線通信を介して操作端末100から受信したタグIDを指定して情報読み取りを行い、情報読み取りの成否を判定して属性情報に合致するTシャツFを抽出すると共に、当該Tシャツ用無線タグTfに対しジョブ番号及び縫製パラメータ情報の書き込みを行う。
【0066】
操作者は、リーダ・ライタ200を用いて見つけ出したTシャツFを刺繍枠に保持し、この刺繍枠を縫製装置300のキャリッジ4に設けられた枠取付台に装着する。このとき、キャリッジ4に設けられたミシンアンテナ23を介して、TシャツFに設けられたTシャツ用無線タグTfからジョブ番号及び縫製パラメータ情報が読み取られる。この読み取られたジョブ番号が、縫製装置300からネットワークNWを介してサーバ400に送信されると、サーバ400は、ジョブ番号に対応する画像データを画像データベース402から読み出して、ネットワークNWを介して縫製装置300に送信する。縫製装置300では、Tシャツ用無線タグTfから取得した縫製パラメータ情報に基づき、上記サーバ400から受信した画像データの刺繍を実行する。以上により、刺繍済みTシャツFが完成する。なお、上記縫製装置300による刺繍は、操作者がTシャツFをキャリッジ4の枠取付台に装着した後、キャリッジ4を(自動又は手動操作により)所定の刺繍開始位置に移動させることにより実行されるようになっている。
【0067】
顧客が刺繍済みTシャツFを引き取る際には、リーダ・ライタ200(他のリーダを用いてもよい)を用いて、顧客が所持する顧客用無線タグTc及びTシャツFに設けられたTシャツ用無線タグTfから情報読み取りを行う。これにより、双方から読み取ったジョブ番号が一致した場合には、当該顧客の注文した刺繍済みTシャツFであるとみなし、刺繍済みTシャツFを引き渡す。
【0068】
次に、上記刺繍済みTシャツFの作成手順において、縫製システムFSの各装置によって実行される制御内容を、図10乃至図15を用いて説明する。
【0069】
図10は、操作端末100の制御回路105と、サーバ400の制御回路404によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【0070】
操作者(顧客又は受付者等)が、操作端末100において所望の刺繍済みTシャツFに対する注文情報の入力開始操作を行うと、ステップS5に示すように、操作端末100の制御回路105は、ネットワーク通信制御部103及びネットワークNWを介し、サーバ400に画像データのサムネイルリスト(多数の画像を一覧表示するために縮小された画像リスト)を要求する要求信号を送信する。
【0071】
上記要求信号を受信したサーバ400の制御回路404は、ステップS10に示すように、画像データベース402に格納された複数の画像データのサムネイルリストデータ(予め作成され記憶されている)を読み出し、ネットワーク通信制御部403及びネットワークNWを介して操作端末100に送信する。
【0072】
上記サムネイルリストデータを受信した操作端末100の制御回路105は、ステップS15に示すように、表示部101に表示信号を出力してサムネイルリストを表示する。
【0073】
その後、操作端末100の制御回路105は、ステップS20に示すように、操作者によりサムネイルリストの中から所望の画像が選択されたか否かを、操作部102からの入力信号に基づき判定する。画像が選択されるまで本ステップを繰り返し、画像が選択されたら判定が満たされてステップS25に移る。なおこのとき、制御回路105は、選択された画像を識別するための画像番号情報を生成する。
【0074】
ステップS25では、操作端末100の制御回路105は、表示部101にTシャツFの属性の選択入力画面を表示し、操作者がその画面に基づきTシャツFの属性を入力したか否かを操作部102からの入力信号に基づき判定する。本実施形態では、操作者は、TシャツFの属性として、Tシャツのサイズ(L、M、S等)、色、種類(長袖、半袖、フレンチ、タンクトップ、ラグラン等)等を選択入力するようになっている。なお、これら以外にも、例えば身頃(前身頃、後身頃)の長さ等を属性情報として入力するようにしてもよい。属性が入力されるまで本ステップを繰り返し、属性が入力されたら判定が満たされてステップS30に移る。なおこのとき、制御回路105は、入力された属性に対応する属性情報を生成する。
【0075】
ステップS30では、操作端末100の制御回路105は、表示部101に縫製パラメータの選択入力画面(後述の図11参照)を表示し、操作者がその画面に基づき縫製パラメータを入力したか否かを操作部102からの入力信号に基づき判定する。本実施形態では、操作者は、縫製パラメータとして、刺繍サイズ、Tシャツの生地(素材等)、刺繍位置等を選択入力するようになっている。縫製パラメータが入力されるまで本ステップを繰り返し、縫製パラメータが入力されたら判定が満たされてステップS35に移る。なおこのとき、制御回路105は、入力された縫製パラメータに対応する縫製パラメータ情報を生成する。
【0076】
ステップS35では、操作端末100の制御回路105は、上記ステップS20で生成した画像番号情報とステップS25で生成した属性情報から構成される縫製ジョブ情報を生成し、ネットワーク通信制御部103及びネットワークNWを介し、上記縫製ジョブ情報とこの縫製ジョブの登録を要求する要求信号をサーバ400に送信する。
【0077】
上記要求信号及び縫製ジョブ情報(画像番号情報及び属性情報)を受信したサーバ400の制御回路404は、ステップS40に示すように、受信した属性情報に合致するTシャツF(刺繍前のもの)を在庫データベース401の中から検索する。
【0078】
ステップS45では、サーバ400の制御回路404は、上記検索の結果、受信した属性情報に合致するTシャツFがあるか否かを判定する。なお、この判定には、例えば操作者が複数のTシャツFを注文する場合に、属性情報に合致するTシャツFが当該複数分あるか否かの判定も含まれる。在庫がない場合には、判定が満たされずにステップS50に移り、「在庫なし」を通知するための通知信号をネットワーク通信制御部403及びネットワークNWを介して操作端末100に送信する。
【0079】
上記通知信号を受信した操作端末100の制御回路105は、ステップS55に示すように、表示部101に表示信号を出力し、操作者が入力した属性に合致するTシャツFがない旨を知らせる表示(「在庫がありません」等)を行う。その後、本フローを終了する。
【0080】
一方、上記ステップS45において、サーバ400の制御回路404は、受信した属性情報に合致するTシャツFがあると判定した場合には、判定が満たされてステップS60に移り、当該注文に対応するジョブ番号(ジョブ識別情報)を生成する。そして、ステップS65で、上記属性に合致するTシャツFを識別するための商品番号(商品識別情報)に対し、操作端末100から受信した縫製ジョブ情報を対応づけて上記生成したジョブ番号を付与し、上記属性に合致するTシャツFに対応するタグID(前述したように、タグIDはTシャツFの属性情報と対応づけられて在庫データベース401に格納されている)と共に、在庫データベース401に格納されたジョブテーブルに登録する。
【0081】
その後、サーバ400の制御回路404は、ステップS70に示すように、上記登録したジョブ番号及びタグIDを、ネットワーク通信制御部403及びネットワークNWを介して操作端末100に送信する。これにより、サーバ400の制御回路404は、本フローを終了する。
【0082】
一方、サーバ400より上記ジョブ番号及びタグIDを受信した操作端末100の制御回路105は、ステップS75に示すように、受信したジョブ番号及びタグIDと、上記ステップS30で生成した縫製パラメータ情報とを、端末間無線通信を介してリーダ・ライタ200に送信する。
【0083】
また、操作端末100の制御回路105は、ステップS80及びステップS85に示すように、ネットワーク通信制御部103及びネットワークNWを介し、ジョブ番号及び対応する印字データ(例えば注文の順番を通し番号で表す注文番号等)と、顧客用無線タグTcの作成を要求する要求信号とを、無線タグ作成装置500に送信する。これにより、無線タグ作成装置500は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150にジョブ番号が書き込まれ、表面に上記印字データに対応する印字がなされた顧客用無線タグTcの作成を実行する(後述の図13参照)。
【0084】
ステップS90では、操作端末100の制御回路105は、顧客用無線タグTcの作成が終了したか否かを、無線タグ作成装置500から作成完了信号が入力されたか否かにより判定する。顧客用無線タグTcの作成が完了するまで本ステップを繰り返し、作成が完了すると判定が満たされて次のステップS95に移る。
【0085】
ステップS95では、操作端末100の制御回路105は、表示部101に表示信号を出力し、操作者(顧客)に対し刺繍済みTシャツFが完成するまで待つように依頼する表示(「待ち札(顧客用無線タグTc)を持って、完成までしばらくお待ちください」等)を行う。その後、本フローを終了する。
【0086】
上記において、ステップS35は、特許請求の範囲各項記載の操作者により操作入力された縫製対象に対する注文情報に基づく縫製ジョブ情報を生成するジョブ情報生成手段を構成する。またステップS65は、操作端末のジョブ情報生成手段で生成された縫製ジョブ情報に基づきデータベースを検索し、対応する縫製対象の商品識別情報に対し縫製ジョブ情報を対応づけてジョブ識別情報を付与し、商品識別情報及びジョブ識別情報を、対応する縫製対象用無線タグのタグ識別情報ともにデータベースに格納するジョブ登録手段を構成する。
【0087】
またステップS30は、注文情報に対応した、縫製装置での縫製パラメータ情報を生成するパラメータ情報生成手段を構成する。
【0088】
図11は、上記ステップS30で操作端末100の表示部101に表示される縫製パラメータの選択入力画面の一例を表す図である。
【0089】
この図11に示す例では、縫製パラメータの選択入力画面110において、ジョブコメント、刺繍サイズ、生地(素材、糸種類、表面加工の有無)、縫製位置等の設定が可能である。
【0090】
ジョブコメントの入力欄111には、操作者が操作部102を用いて任意の文字列を入力することが可能である。この入力されたジョブコメントは、縫製装置300でTシャツFに対し刺繍を行う際に、前述した操作パネル13の液晶ディスプレイ14に表示されるようになっている。
【0091】
刺繍サイズは、TシャツF上における刺繍領域の大きさであり、予め複数のサイズが設定されている。操作者は、刺繍サイズ入力欄112において、プルダウンメニューの中から所望のサイズを選択可能となっている。
【0092】
生地については、素材、糸種類、表面加工の有無について入力可能である。素材入力欄113では、操作者はプルダウンメニューの中から所望の素材(綿、ポリエステル、ポリウレタン等)を選択可能となっている。また糸種類入力欄114では、操作者はプルダウンメニューの中から所望の糸種類(糸の太さ、長綿・短綿等)を選択可能となっている。また表面加工(この例ではレジン加工)の有無について、チェックボックス115のチェックにより入力可能となっている。これらのパラメータに応じて、縫製装置300における縫製スピード等が変更されるようになっている。
【0093】
また、縫製位置については、縫製位置入力欄116において、操作者はプルダウンメニューの中から所望の位置(肩、袖、胸、裾等)を選択可能となっている。なお、ここでは特に示さなかったが、例えば首回りにネックレス状の刺繍を行う場合には、Tシャツの首の形状(丸、Vネック、フェイクレイヤー、ヘンリーネック、キーネック等)や丸首の場合のR(半径)、袖口回りに刺繍を行う場合には袖のR、その他ポケット・袖・裾の折返しの種類や縫目の始末等、さらに詳細なパラメータを入力できるようにしてもよい。
【0094】
以上の設定を行った上でOKボタン118が押されると、縫製パラメータの選択入力が完了するようになっている(すなわち前述の図10中ステップS30の判定が満たされる)。したがって、上記ステップS30において生成される縫製パラメータ情報には、上記ジョブコメント、刺繍サイズ、生地(素材、糸種類、表面加工の有無)、縫製位置等の設定情報が含まれる。
【0095】
図12は、上記ステップS65で、サーバ400の制御回路404によって在庫データベース401に登録されたジョブテーブルの一例を概念的に表す図である。
【0096】
この図12に示すように、ジョブテーブルは、ジョブ番号、タグID、TシャツFを識別するための商品番号、及び縫製ジョブ情報から構成されている。縫製ジョブ情報には、画像番号、TシャツFの属性情報であるサイズ、種類、色等の情報が含まれている。なお、縫製ジョブ情報に、上記以外の情報(例えば注文日時や、顧客を識別するための顧客番号、又は操作端末を識別するための操作端末番号等)を含めるようにしてもよい。
【0097】
図13は、上記ステップS80及びステップS85で操作端末100の制御回路105から送信された作成要求信号等を受信した無線タグ作成装置500により顧客用無線タグTcが作成される際に、無線タグ作成装置500の制御回路510によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0098】
まずステップS110では、制御回路510は、ネットワークNW及びネットワーク通信制御部509を介して操作端末100(の制御回路105)より顧客用無線タグTcの作成要求信号(印字データ及び書き込みデータを含む)を受信したか否かの判定を行う。操作端末100より作成要求信号を受信するまで本ステップを繰り返し、受信した場合には判定が満たされてステップS120に移る。
【0099】
ステップS120では、制御回路510は、上記ステップS110で操作端末100より受信した印字データに基づき、印字ヘッド505でタグテープ503の所定の印字領域に印字を行う。また、高周波回路502によりアクセス情報を生成して装置アンテナ501を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、IC回路部150へ上記書き込みデータ(ジョブ番号)の書き込みを行う。
【0100】
ステップS130では、制御回路510は、上記ステップS130で行った印字・情報書き込みが正常に終了したか否かの判定を行う。例えば情報書き込みが正常に終了したか否かの判定は、具体的には、高周波回路502により無線タグ回路素子ToのIC回路部150の内容を確認する確認信号に応じたアクセス情報を生成して、装置アンテナ501を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、それに対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号に基づき、上記書き込みデータの書き込みが正常に完了したか否かを判定することにより行う。印字・情報書き込みが正常に終了していない場合には、ステップS140に移る。そして、制御回路510は、ネットワーク通信制御部509及びネットワークNWを介して操作端末100の制御回路105に制御信号を送信し、表示部101にその旨の表示(例えば「印字が正常に終了しませんでした」「タグ書き込みが正常に終了しませんでした」等)を行わせるエラー処理を行う。その後、本フローを終了する。一方、印字・情報書き込みが正常に終了した場合には、ステップS150に移る。
【0101】
ステップS150では、制御回路510は、カッタ507でタグテープ503の切断を行う。これにより、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に書き込みデータ(ジョブ番号)が書き込まれると共に、印字領域に印字データに対応する印字が行われた顧客用無線タグTcが作成される。
【0102】
ステップS160では、制御回路510は、顧客用無線タグTcの作成が完了した旨を通知するための作成完了信号を、ネットワーク通信制御部509、ネットワークNWを介して操作端末100(の制御回路105)に送信する。そして、本フローを終了する。
【0103】
図14は、操作者がリーダ・ライタ200を用いてTシャツFを探索する際に、リーダ・ライタ200の制御回路206によって実行される制御手順を表すフローチャートである。なお、本フローは、操作者がリーダ・ライタ200の操作部202を介して探索開始指令を入力した際に開始される。
【0104】
ますステップS205において、制御回路206は、端末間通信制御部205に制御信号を出力し、上述したステップS75で操作端末100の制御回路105から送信されたジョブ番号、タグID、及び縫製パラメータ情報を、端末間無線通信を介して受信する。
【0105】
ステップS210において、制御回路206は、高周波回路204に制御信号を出力し、上記ステップS205で受信したタグIDを指定して該当する無線タグ回路素子Toのメモリ部157に記録されたデータを読み出す信号(この例ではReadコマンド信号)として、所定の変調を行った質問波をリーダアンテナ203を介して通信領域内に存在する無線タグ回路素子Toに送信する。
【0106】
ステップS220では、制御回路206は、上記Readコマンド信号に対応して通信領域内の無線タグ回路素子Toからリプライ信号が受信されたか否かを判定する。探索対象であるTシャツFでない場合には、リプライ信号を受信しないため、判定が満たされずに上記ステップS210に戻る。一方、探索対象のTシャツFである場合には、リプライ信号を受信するため、判定が満たされてステップS240に移る。
【0107】
ステップS240では、制御回路206は、表示部201に表示信号を出力し、操作者が入力した属性情報(前述の図10中ステップS25参照)に合致するTシャツFを検出したことを知らせる表示(例えば「縫製対象はこのTシャツです」等)を行う。
【0108】
ステップS250では、制御回路206は、高周波回路204に制御信号を出力し、上記ステップS205で受信したタグIDを指定して該当する無線タグ回路素子Toのメモリ部157に所望のデータ(ジョブ番号及び縫製パラメータ情報)を書き込む信号(この例ではWriteコマンド信号)として、所定の変調を行った質問波をリーダアンテナ203を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、情報を書き込む。
【0109】
その後、ステップS260において、制御回路206は、高周波回路204に制御信号を出力し、上記ステップS205で受信したタグIDを指定して該当する無線タグ回路素子Toのメモリ部157に記録されたデータを読み出す信号(この例ではReadコマンド信号)として所定の変調を行った質問波をリーダアンテナ203を介して情報書き込み対象の無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。その後ステップS270において、制御回路206は、上記Readコマンド信号に対応して書き込み対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をリーダアンテナ203を介して受信する。
【0110】
次に、ステップS280において、制御回路206は、上記受信したリプライ信号に基づき、当該無線タグ回路素子Toのメモリ部157内に記憶された情報を確認し、公知の誤り検出符号(CRC符号;Cyclic Redundancy Check等)を用いて、前述の送信した所定の情報(ジョブ番号及び縫製パラメータ情報)がメモリ部157に正常に記憶されたか否かを判定する。情報書き込みが不調に終わった場合には、判定が満たされずに先のステップS250に戻る。一方、情報書き込みが正常に終了した場合には、判定が満たされてステップS290に移る。
【0111】
ステップS290では、制御回路206は、表示部201に表示信号を出力し、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに対する情報書き込みが正常に終了したことを知らせる表示(例えば「書き込みは正常に終了しました」等)を行う。以上により、本フローを終了する。
【0112】
上記において、Tシャツ用無線タグTf(の無線タグ回路素子ToのIC回路部150のメモリ部157)に書き込まれ記憶されたジョブ番号及び縫製パラメータ情報が、特許請求の範囲各項記載の縫製対象用無線タグに記憶された縫製関連情報に相当する。また、上記ステップS205が、操作端末のパラメータ情報生成手段で生成された縫製パラメータ情報、サーバのジョブ登録手段で対応づけられたジョブ識別情報、及び注文情報に対応した縫製対象に係わる縫製対象用無線タグのタグ識別情報を取得する情報取得手段を構成する。
【0113】
また、ステップS210及びステップS220が、情報取得手段で取得したタグ識別情報を指定して探索用の無線通信を行い、指定された縫製対象用無線タグから情報読み取りを行う情報読み取り手段を構成し、ステップS250、ステップS260、ステップS270及びステップS280が、情報読み取り手段で情報読み取りを行った縫製対象用無線タグに対し、タグ識別情報に対応する、操作端末のパラメータ情報生成手段で生成された縫製パラメータ情報及びジョブ識別情報を書き込む情報書き込み手段を構成する。
【0114】
図15は、縫製装置300の制御回路25と、サーバ400の制御回路404によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【0115】
ステップS305では、制御回路25は、高周波回路92に制御信号を出力し、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに記憶されたタグIDを取得するための問い合わせ信号(この例ではタグID読取コマンド信号)として、所定の変調を行った質問波をミシンアンテナ23を介して通信領域内に存在する無線タグ回路素子Toに送信する。
【0116】
ステップS310では、制御回路25は、上記タグID読取コマンド信号に対応して通信領域内の無線タグ回路素子Toから受信したリプライ信号に基づき、タグIDが読み取れたか否かを判定する。操作者がTシャツFを刺繍枠に保持し、この刺繍枠を縫製装置300のキャリッジ4に設けられた枠取付台に装着していない場合には、リプライ信号を受信しないため、判定が満たさずに上記ステップS305に戻る。一方、操作者がTシャツFを保持した刺繍枠をキャリッジ4に設けられた枠取付台に装着した場合には、リプライ信号を受信するため、判定が満たされてステップS315に移る。
【0117】
ステップS315では、制御回路25は、上記読み取ったタグIDを指定して、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに記憶されたジョブ番号及び縫製パラメータ情報を読み取る。すなわち、読み取ったタグIDを指定してTシャツ用無線タグTfのメモリ部157に記録されたデータを読み出す信号(Readコマンド信号)として所定の変調を行った質問波をミシンアンテナ23を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。その後、信号に対応して読み取り対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をミシンアンテナ23を介して受信し、当該リプライ信号に基づきジョブ番号及び縫製パラメータ情報を取得する。
【0118】
ステップS320では、制御回路25は、上記取得したジョブ番号を、ネットワークNWを介してサーバ400に送信する。
【0119】
上記ジョブ番号を受信したサーバ400の制御回路404は、ステップS325に示すように、在庫データベース401に格納されたジョブテーブルを参照し、上記縫製装置300より受信したジョブ番号に対応する画像番号を読み出す(図12参照)。そして、当該画像番号に対応する画像データを、画像データベース402から読み出す。そして、ステップS330において、制御回路404は、上記画像データをネットワークNWを介して縫製装置300に送信する。
【0120】
サーバ400から上記画像データを受信した縫製装置300の制御回路25は、上記ステップS315で取得した縫製パラメータ情報に基づき縫製パラメータを設定し、TシャツFに対する画像データの刺繍を開始する。すなわち、制御回路25は、X軸駆動モータ37及びY軸駆動モータ39を駆動させることにより、TシャツFを保持した刺繍枠をキャリッジ4と同期させて前後方向に移動させると共に、枠取付台と共に左右方向に移動させて、TシャツFを布送りする。また同時に、制御回路25はミシンモータ31及び針棒変更モータ33を駆動させ、6色の上糸に対応する6つの針棒と天秤7のうちの1つの針棒と天秤7とを択一的に選択しつつ、駆動位置の針棒及び天秤7を同期して上下駆動させ、刺繍枠に保持されたTシャツFに画像データに対応した刺繍縫目を形成させる。なお、上記縫製装置300による刺繍は、前述したように、操作者がTシャツFをキャリッジ4の枠取付台に装着した後、キャリッジ4を(自動又は手動操作により)所定の刺繍開始位置に移動させることにより実行されるようになっている。
【0121】
ステップS340では、制御回路25は、TシャツFに対する刺繍が終了したか否かを判定する。刺繍が終了するまで本ステップを繰り返し、刺繍が終了したら判定が満たされて次のステップS345に移る。
【0122】
ステップS345では、制御回路25は、ジョブ番号及び刺繍が完了した旨を通知するための通知信号を、ネットワークNWを介してサーバ400に送信する。その後、ステップS350において、制御回路25は、キャリッジ4を脱着位置へ移動させる。これにより操作者は、キャリッジ4に設けられた枠取付台から刺繍枠を取り外し、当該刺繍枠から刺繍が完了した刺繍済みTシャツFを取外すことができる。そして、本フローを終了する。
【0123】
一方、縫製装置300よりジョブ番号及び上記刺繍完了通知信号を受信したサーバ400の制御回路404は、在庫データベース401に格納されたジョブテーブルを参照し、受信したジョブ番号に対応するタグIDを使用済みとする。さらにステップS360において、制御回路404は、ジョブテーブルから受信したジョブ番号に対応する縫製ジョブ情報を削除する。そして、本フローを終了する。
【0124】
上記において、ステップS315は、特許請求の範囲各項記載のミシンアンテナを介し、縫製対象用無線タグに記憶された縫製関連情報を取得する情報取得手段を構成すると共に、無線通信を介し、縫製対象用無線タグに記憶されたジョブ識別情報及び縫製パラメータ情報を取得する情報取得手段を構成する。またステップS335は、情報取得手段で取得した縫製関連情報に沿った縫製パラメータを用いて、縫製対象へ所定の刺繍を行う刺繍処理手段を構成すると共に、情報取得手段で取得した縫製パラメータ情報に沿った縫製パラメータを用いて、画像取得手段で取得した画像データを、縫製対象へ刺繍する刺繍処理手段を構成する。また、ステップS305、ステップS310、ステップS315及びステップS335は、情報取得手段による縫製対象用無線タグからの縫製関連情報の取得が完了したら、これに応じて刺繍処理手段による縫製対象への刺繍が開始されるように、情報取得手段と刺繍処理手段とを連携して制御する連携制御手段を構成する。
【0125】
また上記フローにおいて特に手順として図示はしなかったが、ステップS335の前に、サーバ400から送信された画像データを受信する手順が、情報取得手段で取得したジョブ識別情報に対応した、注文情報に基づき縫製対象へ刺繍するための画像データを、サーバより取得する画像取得手段を構成する。
【0126】
図16は、刺繍済みTシャツFを顧客に引き渡す際に、リーダ・ライタ200の制御回路206によって実行される制御手順を表すフローチャートである。なお、本フローは、操作者がリーダ・ライタ200の操作部202を介して引き渡し処理の開始指令を入力した際に開始される。
【0127】
ステップS410では、制御回路206は、高周波回路204に制御信号を出力し、顧客用無線タグTcの無線タグ回路素子Toに記憶されたタグIDを取得するための問い合わせ信号(この例ではタグID読取コマンド信号)として、所定の変調を行った質問波をリーダアンテナ203を介して通信領域内に存在する無線タグ回路素子Toに送信する。
【0128】
ステップS420では、制御回路206は、上記タグID読取コマンド信号に対応して通信領域内の無線タグ回路素子Toから受信したリプライ信号に基づき、タグIDが読み取れたか否かを判定する。正常に読み取れなかった場合には、判定が満たされずに上記ステップS410に戻る。正常に読み取れた場合には、判定が満たされてステップS430に移る。
【0129】
ステップS430では、制御回路206は、上記読み取ったタグIDを指定して、顧客用無線タグTcの無線タグ回路素子Toに記憶されたジョブ番号を読み取る。すなわち、読み取ったタグIDを指定して顧客用無線タグTcのメモリ部157に記録されたデータを読み出す信号(Readコマンド信号)として所定の変調を行った質問波をリーダアンテナ203を介して読み取り対象の無線タグ回路素子Toに送信し、返信を促す。その後、信号に対応して読み取り対象の無線タグ回路素子Toから送信されたリプライ信号をリーダアンテナ203を介して受信し、当該リプライ信号に基づきジョブ番号を取得する。
【0130】
ステップS440〜ステップS460では、制御回路206は、上記ステップS410〜ステップS430と同様の手順をTシャツ用無線タグTfに対して行う。すなわち、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに記憶されたタグIDを取得するための問い合わせ信号をリーダアンテナ203を介して送信し、これに対応して受信したリプライ信号に基づき、タグIDが読み取る。そして、読み取ったタグIDを指定して、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに記憶されたジョブ番号を読み取る。
【0131】
ステップS470では、制御回路206は、上記ステップS430及びステップS460において顧客用無線タグTc及びTシャツ用無線タグTfからそれぞれ読み取ったジョブ番号が一致するか否かを判定する。一致する場合には、判定が満たされてステップS480に移り、制御回路206は、表示部201に表示信号を出力して、ジョブ番号が一致した旨を知らせる表示(例えば「ご注文のTシャツです」等)を行う。そして、本フローを終了する。一方、上記ステップS470においてジョブ番号が一致しない場合には、判定が満たされずにステップS490に移り、制御回路206は、表示部201に表示信号を出力して、ジョブ番号が一致しない旨を知らせる表示(例えば「ご注文のTシャツではありません」等)を行う。そして、本フローを終了する。
【0132】
なお、以上ではリーダ・ライタ200を用いて顧客が所持する顧客用無線タグTc及びTシャツFに設けられたTシャツ用無線タグTfから情報読み取り及び照合を行うようにしたが、別途設けた引き渡し用のリーダで情報読み取り及び照合を行うようにしてもよい。
【0133】
以上説明した実施形態においては、各TシャツFに予めTシャツ用無線タグTfがそれぞれ設けられている。縫製装置300での刺繍を行うために、顧客の注文に対応したTシャツFを操作者が探す(選定する)場合には、Tシャツ用無線タグTfのタグIDに基づき、リーダ・ライタ200でタグIDを指定して無線通信を行うことで、容易かつ確実に見つけ出すことができる。またこのとき、リーダ・ライタ200で当該見つけ出したTシャツ用無線タグTfに対し、顧客の注文内容に応じた縫製パラメータ情報が書き込まれる。
【0134】
そして、縫製装置300は、TシャツFに設けられたTシャツ用無線タグTfとの間で無線通信を行うための、高周波回路92及びミシンアンテナ23等を備える。これにより、縫製装置300の制御回路25は、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに記憶された縫製パラメータ情報を、ミシンアンテナ23を介して無線通信により取得することができる。そして、この取得した縫製パラメータ情報に沿った縫製パラメータを用いつつTシャツFに刺繍を行う。これにより、顧客の注文内容に合致した態様(刺繍サイズ、位置等)でTシャツFに刺繍を行い、商品としての刺繍済みTシャツFを完成させることができる。このように、Tシャツ用無線タグTfを情報の媒介として活用して、顧客の注文内容に沿ったTシャツFへの刺繍を確実かつ効率的に実行でき、また、TシャツFの選定からTシャツFへの刺繍までを一括して一元的に管理することができる。
【0135】
また、本実施形態では特に、縫製装置300において、TシャツFに設けられたTシャツ用無線タグTfからの情報読み取りが完了したら、これに応じてTシャツFへの刺繍が開始される。これにより、Tシャツ用無線タグTfからの情報読み取りが終了したら、縫製指示等の特別な操作を操作者が行わなくても自動的にTシャツへの刺繍を開始することができる。したがって、操作者の操作負担を低減することができる。また、この結果、操作者の手動に基づき刺繍開始する場合に操作者の手動操作忘れ等による刺繍動作不実行や空白時間の発生等の不都合を回避することができる。
【0136】
また、本実施形態では特に、操作端末100の制御回路105によって生成される縫製パラメータ情報に、縫製対象となるTシャツFの素材情報が含まれる。これにより、顧客の注文内容に応じ、TシャツFの素材に適した縫製設定を確実に行い、その設定に応じた刺繍を縫製装置300で行うことができる。
【0137】
また、本実施形態では特に、サーバ400でジョブ番号が生成されたら、そのジョブ番号を操作端末100を介して無線タグ作成装置500に送信し、無線タグ作成装置500でジョブ番号を記憶した顧客用無線タグTcを作成する。これにより、顧客は、当該ジョブ番号に基づく自己の所望の刺繍済みTシャツFが完成したとき、ジョブ番号を記憶させた顧客用無線タグTcを来店時に持参することで、その顧客用無線タグTcを引換券として用い、対応する刺繍済みTシャツFを引き取ることができる。
【0138】
また、本実施形態では特に、上記刺繍済みTシャツFの引き取りの際に、リーダ・ライタ200で顧客用無線タグTcからジョブ番号を取得すると共に、Tシャツ用無線タグTfからジョブ番号を取得する。そして、それら2つのジョブ番号が照合され、ジョブ番号が互いに一致するかしないかに応じて、対応する報知(表示)を行う。これにより、顧客用無線タグTcを引換券として用い、正当な引き取り人にのみ確実に刺繍済みTシャツFを誤りなく引き渡すことができるので、信頼性の高い取引を実現することができる。
【0139】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0140】
(1)縫製パラメータをタグに書き込まない場合
上記実施形態においては、リーダ・ライタ200によりTシャツ用無線タグTfに対し縫製パラメータ情報の書き込みを行っておき、縫製時にTシャツ用無線タグTfから縫製パラメータ情報を読み取って縫製装置300で画像データの刺繍を実行するようにしたが、これに限られない。すなわち、縫製パラメータ情報についてはサーバ400の在庫データベース401に登録しておき、縫製時にTシャツ用無線タグTfから読み取ったジョブ番号に基づき在庫データベース401から縫製パラメータ情報を読み出して、縫製装置300で画像データの刺繍を実行するようにしてもよい。
【0141】
図17は、本変形例において、操作端末100の制御回路105と、サーバ400の制御回路404によって実行される制御内容を表すフローチャートであり、前述の図10に対応する図である。図10と同様の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0142】
ステップS5〜ステップS30は前述の図10と同様である。次のステップS35Aでは、操作端末100の制御回路105は、上記ステップS20で生成した画像番号情報とステップS25で生成した属性情報から構成される縫製ジョブ情報を生成し、ネットワーク通信制御部103及びネットワークNWを介し、上記縫製ジョブ情報とこの縫製ジョブの登録を要求する要求信号、及び上記ステップS30で生成した縫製パラメータ情報をサーバ400に送信する。
【0143】
ステップS40〜ステップS65は前述の図10と同様である。次のステップS67では、サーバ400の制御回路404は、ステップS65で関連付けてジョブテーブルに登録した商品番号、縫製ジョブ情報、ジョブ番号、及びタグIDに対し、上記操作端末100から受信した対応する縫製パラメータ情報を関連付け、在庫データベース401に格納されたジョブテーブルに登録する。
【0144】
ステップS70は前述の図10と同様であり、上記登録したジョブ番号及びタグIDを、ネットワーク通信制御部403及びネットワークNWを介して操作端末100に送信する。このジョブ番号及びタグIDを受信した操作端末100の制御回路105は、ステップS75Aに示すように、受信したジョブ番号及びタグIDを、端末間無線通信を介してリーダ・ライタ200に送信する。ここでは、上記実施形態と異なり、縫製パラメータ情報についてはリーダ・ライタ200に送信しない。
【0145】
その後のステップS80〜ステップS95は前述の図10と同様である。なお、上記において、ステップS65及びステップS67は、操作端末のジョブ情報生成手段で生成された縫製ジョブ情報に基づきデータベースを検索し、対応する縫製対象の商品識別情報に対し縫製ジョブ情報を対応づけてジョブ識別情報を付与し、縫製パラメータ情報及びジョブ識別情報のうち少なくともジョブ識別情報と商品識別情報とを、対応する縫製対象用無線タグのタグ識別情報ともにデータベースに格納するジョブ登録手段を構成する。
【0146】
図18は、上記ステップS65及びステップS67で、サーバ400の制御回路404によって在庫データベース401に登録されたジョブテーブルの一例を概念的に表す図であり、前述の図12に対応した図である。
【0147】
この図18に示すように、ジョブテーブルは、ジョブ番号、タグID、TシャツFを識別するための商品番号、縫製ジョブ情報、及び縫製パラメータ情報から構成されている。縫製パラメータ情報には、前述したようにジョブコメント、刺繍サイズ、生地(素材、糸種類、表面加工の有無)、縫製位置等の設定情報が含まれる。
【0148】
図19は、本変形例において、縫製装置300の制御回路80と、サーバ400の制御回路404によって実行される制御内容を表すフローチャートであり、前述の図15に対応する図である。図15と同様の手順には同符号を付し説明を省略する。
【0149】
ステップS305及びステップS310は前述の図15と同様であり、制御回路80は、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに対し問い合わせ信号を送信し、これに対応して無線タグ回路素子Toから受信したリプライ信号に基づき、タグIDが読み取れたか否かを判定する。タグIDを読み取るとステップS315Aに移る。
【0150】
ステップS315Aでは、制御回路80は、上記読み取ったタグIDを指定して、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに記憶されたジョブ番号を読み取る。なお、本変形例においては、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに記憶された上記ジョブ番号が、特許請求の範囲各項記載の縫製関連情報に相当する。
【0151】
ステップS320は前述の図15と同様であり、制御回路80は、上記取得したジョブ番号を、ネットワークNWを介してサーバ400に送信する。
【0152】
上記ジョブ番号を受信したサーバ400の制御回路404は、ステップS325Aに示すように、在庫データベース401に格納されたジョブテーブルを参照し、上記縫製装置300より受信したジョブ番号に対応する縫製パラメータ情報を読み出す。また、ジョブテーブルを参照してジョブ番号に対応する画像番号を読み出し、当該画像番号に対応する画像データを画像データベース402から読み出す。そして、ステップS330Aにおいて、制御回路404は、上記画像データ及び縫製パラメータ情報をネットワークNWを介して縫製装置300に送信する。
【0153】
これにより、サーバ400から上記画像データ及び縫製パラメータ情報を受信した縫製装置300の制御回路80は、ステップS335において、縫製パラメータ情報に基づき縫製パラメータを設定し、TシャツFに対する画像データの刺繍を開始する。その後のステップS340〜ステップS360は前述の図15と同様である。
【0154】
なお、上記において、ステップS315Aは、特許請求の範囲各項記載のミシンアンテナを介し、縫製対象用無線タグに記憶された縫製関連情報を取得する情報取得手段を構成すると共に、無線通信を介し、縫製対象用無線タグに記憶された、縫製パラメータ情報及びジョブ識別情報のうち少なくともジョブ識別情報を取得する第2情報取得手段を構成する。またステップS335は、情報取得手段で取得した縫製関連情報に沿った縫製パラメータを用いて、縫製対象へ所定の刺繍を行う刺繍処理手段を構成すると共に、第2情報取得手段又は画像取得手段で取得した縫製パラメータ情報に沿った縫製パラメータを用いて、画像取得手段で取得した画像情報を、縫製対象へ刺繍する刺繍処理手段を構成する。また、ステップS305、ステップS310、ステップS315A及びステップS335は、情報取得手段による縫製対象用無線タグからの縫製関連情報の取得が完了したら、これに応じて刺繍処理手段による縫製対象への刺繍が開始されるように、情報取得手段と刺繍処理手段とを連携して制御する連携制御手段を構成する。
【0155】
また上記フローにおいて特に手順として図示はしなかったが、ステップS335の前に、サーバ400から送信された画像データ及び縫製パラメータを受信する手順が、第2情報取得手段で取得したジョブ識別情報に対応した、画像情報及び縫製パラメータ情報のうち少なくとも画像情報を、サーバより取得する画像取得手段を構成する。
【0156】
以上説明した変形例によれば、上記実施形態と同様の効果が得られる上に、Tシャツ用無線タグTfのメモリ使用量を節減することができる。
【0157】
(2)その他
以上においては、Tシャツ用無線タグTfの無線タグ回路素子Toに、縫製パラメータ情報及びジョブ番号(縫製関連情報に相当)のうち少なくともジョブ番号を書き込むようにしたが、これら以外の情報を書き込むようにしてもよい。例えば、TシャツFの属性情報や、これに画像データを含めた縫製ジョブ情報等を書き込むようにしてもよい。また例えば、本実施形態では特に記載していないが、Tシャツ等の布帛に対して刺繍を行う際には刺繍後に熱処理や蒸気処理等の後工程を行う場合がある。このような工程に関する工程情報(前工程がある場合には前工程も含む)を含めるようにしてもよい。
【0158】
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【0159】
例えば、以上においては、無線タグ作成装置500で、顧客が刺繍済みTシャツFを引き取る際に引換券として用いる顧客用無線タグTcを作成する場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば顧客が自身を識別可能な識別情報が記憶されたICカード(例えばクレジットカード)等を所持している場合には、当該ICカード等の識別情報を用いて顧客を識別し、その結果に応じて刺繍済みTシャツFを引き渡すようにしてもよい。
【0160】
また、以上においては、無線タグ作成装置500において、印字及び無線タグ回路素子Toへのアクセス(上記実施形態では書き込み)の終了したタグテープ103をカッタ107で切断して顧客用無線タグTcを作成する場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ラベルに対応した所定の大きさに予め分離されたラベル台紙(いわゆるダイカットラベル)がロールから繰り出されるテープ上に連続配置されているような場合には、カッタ107で切断しなくても、テープが排出口から排出されてきた後にラベル台紙(アクセス済みの無線タグ回路素子Toが備えられかつ対応する印字がなされたもの)のみをテープから剥がして顧客用無線タグTcを作成しても良く、本発明はこのようなものに対しても適用できる。
【0161】
また、以上においては、顧客用無線タグTcの作成の際に、無線タグ回路素子ToのIC回路部150に無線タグ情報(ジョブ番号)の書き込みを行うと共に、印字ヘッド505によって所定の印字データに応じたその無線タグを識別するための印刷を行うようにしたが、これに限られない。この印刷は必ずしも行われなくともよく、無線タグ情報(ジョブ番号)の書き込みのみを行って顧客用無線タグTcを作成してもよい。
【0162】
なお、以上において、図2、図6、図7、図8、図9等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。また、図10、図13乃至図16等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0163】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0164】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】本実施形態の縫製システムの全体構成を表すシステム構成図である。
【図2】縫製システムのシステム全体の機能構成を概念的に表す機能ブロック図である。
【図3】縫製装置の全体構造を表す斜視図である。
【図4】縫製装置の全体構造を表す正面図である。
【図5】縫製装置の全体構造を表す側面図である。
【図6】縫製装置の電気的な構成を示す機能ブロック図である。
【図7】無線タグ作成装置の機能構成を表す機能ブロック図である。
【図8】リーダ・ライタの高周波回路の詳細構成を表す機能ブロック図である。
【図9】Tシャツ用無線タグ及び顧客用無線タグに備えられる無線タグ回路素子の機能的構成の一例を表す機能ブロック図である。
【図10】操作端末の制御回路と、サーバの制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図11】操作端末の表示部に表示される縫製パラメータの選択入力画面の一例を表す図である。
【図12】サーバの制御回路によって在庫データベースに登録されたジョブテーブルの一例を概念的に表す図である。
【図13】顧客用無線タグを作成する際に、無線タグ作成装置の制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図14】操作者がTシャツを探索する際に、リーダ・ライタの制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図15】縫製装置の制御回路と、サーバの制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図16】刺繍済みTシャツを顧客に引き渡す際に、リーダ・ライタの制御回路によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図17】縫製パラメータをタグに書き込まない変形例における、操作端末の制御回路と、サーバの制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【図18】縫製パラメータをタグに書き込まない変形例における、サーバの制御回路によって在庫データベースに登録されたジョブテーブルの一例を概念的に表す図である。
【図19】縫製パラメータをタグに書き込まない変形例における、縫製装置の制御回路と、サーバの制御回路によって実行される制御内容を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0166】
23 ミシンアンテナ
100 操作端末
150 IC回路部
151 タグアンテナ
200 リーダ・ライタ(無線タグ通信装置)
300 縫製装置
400 サーバ
401 在庫データベース(データベース)
500 無線タグ作成装置
501 装置アンテナ
503 タグテープ(タグ媒体)
508 搬送ローラ(搬送手段)
F Tシャツ(縫製対象)
FS 縫製システム
Tc 顧客用無線タグ
Tf Tシャツ用無線タグ(縫製対象用無線タグ)
To 無線タグ回路素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製対象に関連づけられた縫製対象用無線タグと無線通信を行うためのミシンアンテナと、
前記ミシンアンテナを介し、前記縫製対象用無線タグに記憶された縫製関連情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段で取得した前記縫製関連情報に沿った縫製パラメータを用いて、前記縫製対象へ所定の刺繍を行う刺繍処理手段と
を有することを特徴とする縫製装置。
【請求項2】
前記情報取得手段による前記縫製対象用無線タグからの前記縫製関連情報の取得が完了したら、これに応じて前記刺繍処理手段による前記縫製対象への刺繍が開始されるように、前記情報取得手段と前記刺繍処理手段とを連携して制御する連携制御手段を有する
ことを特徴とする請求項1記載の縫製装置。
【請求項3】
少なくとも1つの縫製対象に関連づけられた縫製対象用無線タグと、
操作者が操作入力可能な操作端末と、
前記操作端末と情報入出力可能に接続され、前記縫製対象用無線タグに対して情報読み取りを行うための無線タグ通信装置と、
前記縫製対象に対して所定の刺繍を行う縫製装置と、
前記操作端末及び前記縫製装置に対し情報入出力可能に接続されたサーバと
を有する縫製システムであって、
前記操作端末は、
前記操作者により操作入力された前記縫製対象に対する注文情報に基づく縫製ジョブ情報を生成するジョブ情報生成手段と、
前記注文情報に対応した、前記縫製装置での縫製パラメータ情報を生成するパラメータ情報生成手段とを備えており、
前記サーバは、
前記縫製対象の属性情報、前記縫製対象に対応する前記縫製対象用無線タグのタグ識別情報、及び前記注文情報に基づき前記縫製対象へ刺繍するための画像情報を対応づけて格納したデータベースと、
前記操作端末の前記ジョブ情報生成手段で生成された前記縫製ジョブ情報に基づき前記データベースを検索し、対応する前記縫製対象の商品識別情報に対し前記縫製ジョブ情報を対応づけてジョブ識別情報を付与し、前記縫製パラメータ情報及び前記ジョブ識別情報のうち少なくとも前記ジョブ識別情報と前記商品識別情報とを、対応する前記縫製対象用無線タグのタグ識別情報ともに前記データベースに格納するジョブ登録手段とを備えており、
前記無線タグ通信装置は、
前記操作端末の前記パラメータ情報生成手段で生成された前記縫製パラメータ情報及び前記サーバの前記ジョブ登録手段で対応づけられた前記ジョブ識別情報のうち少なくとも前記ジョブ識別情報と、前記注文情報に対応した前記縫製対象に係わる前記縫製対象用無線タグの前記タグ識別情報とを取得する第1情報取得手段と、
前記第1情報取得手段で取得した前記タグ識別情報を指定して探索用の無線通信を行い、前記指定された前記縫製対象用無線タグから情報読み取りを行う情報読み取り手段と、
前記情報読み取り手段で情報読み取りを行った前記縫製対象用無線タグに対し、前記タグ識別情報に対応する、前記縫製パラメータ情報及び前記ジョブ識別情報のうち少なくとも前記ジョブ識別情報を書き込む情報書き込み手段と
を備えており、
前記縫製装置は、
無線通信を介し、前記縫製対象用無線タグに記憶された、前記縫製パラメータ情報及び前記ジョブ識別情報のうち少なくとも前記ジョブ識別情報を取得する第2情報取得手段と、
前記第2情報取得手段で取得した前記ジョブ識別情報に対応した、前記画像情報及び前記縫製パラメータ情報のうち少なくとも前記画像情報を、前記サーバより取得する画像取得手段と、
前記第2情報取得手段又は前記画像取得手段で取得した前記縫製パラメータ情報に沿った縫製パラメータを用いて、前記画像取得手段で取得した前記画像情報を、前記縫製対象へ刺繍する刺繍処理手段と
を有することを特徴とする縫製システム。
【請求項4】
前記操作端末の前記パラメータ情報生成手段は、
前記注文情報に基づき、前記縫製対象の素材情報を含む前記縫製パラメータ情報を生成する
ことを特徴とする請求項3記載の縫製システム。
【請求項5】
情報を記憶するIC回路部と情報を送受信するタグアンテナとを備えた無線タグ回路素子を備えたタグ媒体を搬送するための搬送手段と、前記無線タグ回路素子と無線通信するための装置アンテナとを有し、前記搬送手段で搬送される前記タグ媒体に備えられた前記無線タグ回路素子の前記IC回路部に前記ジョブ識別情報を書き込み、顧客用無線タグを作成する無線タグ作成装置を設けた
ことを特徴とする請求項3又は請求項4記載の縫製システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−57720(P2010−57720A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226924(P2008−226924)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】