説明

繊維補強カーボン発熱体及びその発熱体が内蔵されたマットレス

【課題】本発明は、電気的抵抗により発熱されるように伝導性カーボンが被覆された網状の発熱体をベッドに内蔵し、発熱体の製造が容易で繊維糸の断線防止などの耐久性が優れて、ユーザーの選択により部分的に発熱できる発熱体が内蔵されたマットレスを提供する。
【解決手段】本発明は繊維補強カーボン発熱体100及びマットレス内部に繊維補強カーボン発熱体100を内蔵させ、発熱体100は、柔軟性繊維糸11を縦方向及び横方向の網状で織造し、強性合成樹脂糸12を縦方向または横方向から選択された一方の柔軟性繊維糸11と交互に織造すると同時に両側長辺及び中央に各々の多数の銅線32を共に織造して形成された網状の織造物を液状カーボンに含浸、乾燥させて、両側長辺部銅線32に各々プラス(+)端子31,51を、中央部銅線にマイナス(-)端子41を接続して、前記カーボンが被覆された織造物の上/下段に柔軟性を有するゲル状の合成樹脂を圧着または含浸させて被覆した物であり、このような発熱体は強性合成樹脂糸12により、網状の元の状態が維持され、柔軟性を有して発熱体が重なったり折れても柔軟性繊維糸11の断線がなく、耐久性が優れて、両側長辺のプラス(+)端子31,51に選択的に電気を印加して部分的に発熱できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的抵抗により発熱されるように、伝導性カーボンが被覆された網状の発熱体をベッドに内蔵し、発熱体の製造が容易で繊維糸の断線防止などの耐久性が優れて、またユーザーの選択により部分的に発熱できる発熱体が内蔵されたマットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マットレスやマットなどに内蔵された発熱体のうち、カーボンを素材として構成された発熱体は多数発明されて紹介され、例えば、大韓民国実用新案登録第0231389号の「健康マット」、大韓民国実用新案登録第0278864号の「ベッド用カーボン織造温熱マットレス」、大韓民国実用新案登録第258731号の「ベッド用電気マットレス」がある。
【0003】
前記の発明は、マットの構成には多少違いはあるものの、マット全体に対してカーボン糸、即ちカーボンで製造された糸を所定間隔を置いて配列したり、織造して電気を供給することによって発熱させる共通点を有する。
【0004】
しかし、カーボン糸はカーボンを主にして糸を製造するため、製造単価が非常に高い短所があり、カーボン糸を配列して織造することで構成された発熱体が重なったり、折れる場合、カーボン糸が簡単に断線されて発熱できない問題などの耐久性に問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、カーボン糸を用いる代わり、綿糸をカーボンと接着剤が混合されたカーボン混合剤に含浸、乾燥させて、カーボンがコーティングされた綿糸に電気を印加して抵抗線の役割をするようにし、これをPVCコーティングし、マットに適用させた技術が大韓民国実用新案登録第0195313号の「綿状発熱体を用いた温熱マット」に紹介されている。
【0006】
しかし、カーボンが被覆された綿糸の織造物をPVCコーティングする場合、織造物を元の状態(概略直四角形の網状)そのままに維持するのが難しい問題があった。
【0007】
即ち、織造物をコーティングするためには、織造物の一部に繊維糸が集中したり折れないように平らに広げなければならないが、綿糸は柔軟性を有するため、これを平らに広げる作業が複雑で、相当な時間がかかり、また平らに広がっていない状態でPVCコーティングする場合、発熱されない部分が生じたり、または綿糸が重なったり稠密に集中した部分から高熱が発生する問題が生じるため、マット全体に対して均一な温度分布が得られない難しい問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記のような問題を解決するため考案されたものであり、本発明の第1目的は、カーボンが被覆された織造物を網状の元の状態に維持し易くして、コーティング作業が容易で、マットレス全体に対して均一な温度分布ができ、発熱体全体面に対して任意に選択して部分加熱できるだけでなく、合成樹脂材による外部コーティングまたは圧着後にも柔軟性を持たせることによって、マットレスのクッション性の低下を防止することである。
【0009】
本発明の第2の目的は、カーボン発熱体をマットレスに適用することにおいて、ユーザーにより、選択的な部分発熱、即ちマットレスの面積に対し区画を分けてその区画に対して部分的に発熱が可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための本発明は、柔軟性繊維糸を縦方向及び横方向の網状で織造し、織造物が元の状態をそのまま維持できるように、強性合成樹脂糸を縦方向または横方向から選択された一方向の柔軟性繊維糸と交互に織造する。
【0011】
また、本発明は、織造物の両側長辺及び中央に各々の多数の銅線を共に織造し、前記両側長辺部銅線に各々プラス(+)端子を、中央部銅線にマイナス(-)端子を接続して、前記のプラス(+)電極に選択的に電源を印加する制御器を含む。
【0012】
また、本発明はカーボンが被覆された織造物を柔軟性を有するゲル状の合成樹脂に圧着させたり含浸させて合成樹脂を被覆させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、柔軟性繊維糸で織造された織造物の何れか一側では、強性合成樹脂糸が柔軟性繊維糸と共に交互に織造されたため、柔軟性繊維糸の織造し、最初の間隔をそのまま維持でき、ゲル状合成樹脂コーティング(圧着または含浸)作業が非常に容易であり、全体面積に対して均一な温度分布を達成でき、ゲル状合成樹脂被覆によって、発熱体が柔軟性を有するので、これをベッドのマットレスに内蔵してもスプリングのクッション性を低減させずにクッション性をそのまま維持できる。
【0014】
また、発熱体長辺に一組のプラス(+)電極部として設けて、中央電極部をマイナス(-)電極部として構成することによって、ユーザーの選択によりプラス(+)電極部に電源を印加すれば部分的な発熱ができるため、就寝者の好みにより発熱有無を選択できるだけでなく、また不要な電力消耗を防止できる。
【0015】
また、繊維布に玉粉末、黄土粉末、セラミック粉末、炭粉末などが添加される場合、発熱体の発熱によって遠赤外線またはマイナスイオンが多量放射されて、磁石の場合は磁場で血液循環を促進し、また銅線を設置する場合は発熱体から発生する有害電磁波を遮断する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の望ましい実施形態を添付図に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施形態による発熱体の全体平面図である。図1を参照して、本発明の発熱体100に対する構成を概略的に説明すると、前記発熱体100は柔軟性繊維糸を縦方向及び横方向の網状で、示したようにマットレス全面に内蔵できる適切な大きさで織造され、長さ方向の辺(以下、'長辺'という)に多数の銅線を織造した電極部(30、50)一組と、長さ方向の中央にも柔軟性繊維糸と一緒に銅線を織造した電極部40が形成されている。
【0017】
望ましい実施形態として、前記一組の長辺電極部30、50には、各々プラス(+)端子31、51が接続され、中央に位置した電極部40にはマイナス(-)端子41が接続され、前記プラス(+)端子31、51とマイナス(-)端子41は制御器70と電気的に接続されている。
【0018】
このように構成された発熱体100は、長辺の一側電極部30と中央電極部40の間に第1発熱部10が形成され、長辺の他側電極部50と中央電極部40の間に第2発熱部20が形成され、前記発熱体100全体面に柔軟性を有するゲル状の被覆層60が形成される。
【0019】
前記発熱体100は伝導性カーボンを素材として電気的に発熱されて、後述する図2及び図3を参照して、カーボンの構成と織造に関してより具体的に調べる。
【0020】
図2は図1のA-A部に沿って切断して示した断面図であり、図3は図1のB-B部に沿って切断して示した断面図である。
【0021】
図1及び図2を参照して、電極部30と第1発熱部10の一部の横方向断面構成を説明すると、第1発熱部10の柔軟性繊維糸11は柔軟性を有し、縦方向及び横方向の格子状で相互織造され、横方向の柔軟性繊維糸は電極部30で多数の銅線32と共に比較的稠密に織造され、このような織造方法で図示されていないその他の電極部40、50を構成でき、この時の織造は通常の織造手段を用いればよい。
【0022】
図1及び図3を参照して、第2発熱部20の縦方向断面構成を説明すると、前記柔軟性繊維糸11が縦方向及び横方向に相互網状で織造される。但し、図3に示したように横方向の柔軟性繊維糸11と強性合成樹脂糸12は交互に織造された。
【0023】
即ち、縦方向の柔軟性繊維糸に対して直交方向に柔軟性繊維糸、強性合成樹脂糸、柔軟性繊維糸、強性合成樹脂糸の順に交互に織造された。
【0024】
前記の強性合成樹脂糸12は柔軟性繊維糸に比べて強性を有して、強性合成樹脂糸12により柔軟性繊維糸の織造間隔維持し、また互いに絡まる現象を防止して、織造物の最初織造形態をそのまま維持できるため、従来の柔軟性繊維糸のみで織造された織造物に比べて、相対的に原形状態に復帰し易い。
【0025】
このような作用を有する強性合成樹脂糸は、発熱体の横方向の長さに対して全体的に構成されて、または製造者の選択により縦方向にも織造できる。
【0026】
以後、前記織造物を液状の伝導性カーボンに全体を含浸させて乾燥すると、柔軟性繊維糸11、強性合成樹脂糸12及び銅線32全体にカーボンがコーティングされたカーボン被覆層90が形成される。
【0027】
また、カーボン被覆層90が形成された織造物を、柔軟性を有するゲル状の合成樹脂、例えば、ゲル状のウレタン樹脂、ゲル状のPVC、ゲル状のPE、ゲル状のPETなどを熱で圧着・乾燥させたり、または織造物を前記多様なゲル状の合成樹脂に含浸させると、織造物全体に対して示したように柔軟性合成樹脂被覆層が形成される。
【0028】
この時、合成樹脂被覆層60を形成するための製造過程において、前記強性合成樹脂糸12は織造物を原形状態に維持させるため、コーティングや圧着作業のため広げる作業が容易で、また柔軟性繊維糸の織造時に生じたメッシュの大きさが一定に維持されるため、発熱時の発熱全体面積に対して均一な温度分布を維持でき、柔軟性を有する合成樹脂被覆層60が重なったり折れても内部の織造発熱体は断線されない。
【0029】
図4は本発明の実施形態による発熱体がマットレスに内蔵された状態を一部切開して示した斜視図である。
【0030】
図1及び図4を参照すると、前述したように、本発明の発熱体100は長辺にプラス(+)端子31、51が接続された電極部30、50で構成され、中央電極部40はマイナス(-)端子41が接続され、この端子への電源入力は制御器70で制御するように構成されている。
【0031】
従って、マイナス(-)端子41に持続的に電源が入力された状態で、何れか一側、例えばプラス(+)端子31にだけ電源を印加すると第1発熱部10だけ発熱して第2発熱部20では発熱しなくなり、逆にプラス(+)端子51にだけ電源を印加すると第2発熱部20だけ発熱するため、このような方法でユーザーが制御器70で制御すると選択的に部分発熱される。
【0032】
また、前記発熱体100をベッドに内蔵する場合、マットレスカバー82と発熱体との間に繊維布81を内蔵させて、繊維布81には人体に有益な遠赤外線を発する物質、例えば、玉(翡翠等)、黄土、セラミック、炭を粉末化して添加したり、または血液循環を助ける磁場を放出する磁石を数ケ所に装着し、或いはは発熱体から発生する有害電磁波を遮断するための網状の銅線を装着し、または選択的にマイナスイオンを発生させるトルマリン粉末や銀粉末を添加できる。
【0033】
公知されたように、銀、黄土、炭粉末の場合は、細菌やダニなどの棲息を防止でき、電気石と呼ばれるトルマリンはそれ自体微細電流を放出し、加熱により電流量が増加して、発熱体100で発熱する熱により、選択的に或いは混用された物質がより一層活発に作用する。
【0034】
図5は本発明の実施形態による発熱体が内蔵されたマットレスの断面図である。図5を参照すると、マットレスカバー82の下部に繊維布81、カーボン発熱体100、ラテックスパッド83、スプリング84及びメモリーフォームパッド85が順に積層されたことを示しており、示した順に限定されるのではなく、前記配置された構成要素は必要によって選択的に選ばれたり、積層順を変更できる。
【0035】
また、ラテックスパッド83は、ゴムの木から抽出した乳液を原料として作ったクッション素材であり、引張力と復原力が優秀で多孔性材質であるため、通気性が良い素材として知られている。
【0036】
また、メモリーフォームパッド85は、低炭性、高密度素材で衝撃の吸収力が優れているため、このような素材をマットレスの下に設置する場合、マットレスから発生する振動や衝撃などがマットレスの下部に伝達されることを防げる。
【0037】
以上、本発明の望ましい実施形態について示した図1乃至図5を参照して説明したが、前記実施形態に限定されるのではなく、本願発明が有する多くの機能の組合せ及び選択的な加減などの変更は無論、特許請求の範囲の技術思想を離脱しない範囲で多様に変更して実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態による発熱体の全体平面図である。
【図2】図1のA-A部に沿って切断して示した断面図である。
【図3】図1のB-B部に沿って切断して示した断面図である。
【図4】本発明の実施形態による発熱体がマットレスに内蔵された状態を一部切開して示した斜視図である。
【図5】本発明の実施形態による発熱体が内蔵されたマットレスの断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10 第1発熱部
11 柔軟性繊維糸
12 強性合成樹脂糸
20 第2発熱部
30、40、50 電極部
31、51 プラス(+)端子
41 マイナス(-)端子
60 ゲル状合成樹脂被覆層
70 制御器
90 カーボン被覆層
100 発熱体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的特性により発熱される発熱体において、
前記発熱体は柔軟性繊維糸が縦方向及び横方向の網状で織造形成され、
その表面に液状カーボンの含浸または噴射によってカーボン被覆層が形成され、
前記縦方向及び横方向のうち選択された何れか一方に柔軟性繊維糸が強性合成樹脂糸と順に交互に織造されたことを特徴とする繊維補強カーボン発熱体。
【請求項2】
前記発熱体の両辺に多数の銅線を共に織造した一組の電極部が形成され、
前記電極部に各々プラス(+)端子及びマイナス(-)端子が接続されて電源が印加されることを特徴とする請求項1に記載の繊維補強カーボン発熱体。
【請求項3】
電気的特性により発熱される発熱体において、
前記発熱体は柔軟性繊維糸が縦方向及び横方向の網状で織造構成され、
その表面に液状カーボンの含浸または噴射によりカーボン被覆層が形成され、
前記発熱体の両側の長辺及び中央に多数の銅線を共に織造して電極部を構成し、
前記一組の長辺電極部に各々プラス(+)端子が、前記中央電極部にはマイナス(-)端子が接続され、前記一組のプラス(+)端子に選択的に電源を印加する制御器を含むことを特徴とする繊維補強カーボン発熱体。
【請求項4】
前記発熱体の表面にゲル状の合成樹脂被覆層が形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維補強カーボン発熱体。
【請求項5】
前記ゲル状の合成樹脂は、ウレタン、PVC、PE、PETの中から選択され、
前記ゲル状の合成樹脂の被覆は、圧着・乾燥工程及び含浸・乾燥工程のうち、何れか一つの工程により行われることを特徴とする請求項4に記載の繊維補強カーボン発熱体。
【請求項6】
マットレスカバー内部に翡翠粉末、銀粉末、黄土粉末、セラミック粉末、炭粉末、磁石及び網状の銅線のうち、少なくとも一つ以上を備えた繊維布、及び
前記繊維布と連接する請求項1または請求項2による繊維補強カーボン発熱体、
を含むことを特徴とする繊維補強カーボン発熱体が内蔵されたマットレス。
【請求項7】
前記繊維補強カーボン発熱体下部のスプリングの上下部に各々ラテックスパッドまたはメモリーフォームパッドが選択的に或いは混用して設置されたことを特徴とする請求項6に記載の繊維補強カーボン発熱体が内蔵されたマットレス。
【請求項8】
前記繊維補強カーボン発熱体下部にラテックスパッドまたはメモリーフォームパッドが選択的に或いは混用されて積層されたことを特徴とする請求項6に記載の繊維補強カーボン発熱体が内蔵されたマットレス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−521198(P2008−521198A)
【公表日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−542893(P2007−542893)
【出願日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【国際出願番号】PCT/KR2005/003809
【国際公開番号】WO2006/054846
【国際公開日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(507160285)
【出願人】(507160252)
【Fターム(参考)】