説明

置換ベンゾカルコゲノアセン化合物

【課題】有機半導体活性層の薄膜を与え得る新規な化合物が求められている。
【解決手段】式(1)


(式中、Eはそれぞれ独立に、硫黄またはセレン原子を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基を表す。前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基の合計炭素数は9〜30であり、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基は、置換基を有していてもよい。前記の分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基の合計炭素数は7〜30であり、前記の分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
及びRの少なくとも一方は、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、前記の分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基である。)
で表される置換ベンゾカルコゲノアセン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換ベンゾカルコゲノアセン化合物等に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体デバイスの1種である有機トランジスタは、電子ペーパー、大画面フラットパネルディスプレイ等の素子として用いられる。このような有機トランジスタは、有機半導体活性層、基板、絶縁層、電極等の部材から構成されている。有機半導体活性層を与える化合物としては、特許文献1に、ペンタセンが記載されており、ペンタセンを真空蒸着して得られた薄膜を有機半導体活性層に用いることも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−85250号公報(実施例1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況下、有機半導体活性層の薄膜を与え得る新規な化合物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決するために、本発明者は鋭意検討した結果、以下の本発明に至った。
<1> 式(1)

(式中、Eはそれぞれ独立に、硫黄またはセレン原子を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基を表す。前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基の合計炭素数は9〜30であり、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基は、置換基を有していてもよい。前記の分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基の合計炭素数は7〜30であり、前記の分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
及びRの少なくとも一方は、分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基を表す。)
で表される置換ベンゾカルコゲノアセン化合物。
<2> 式(1)におけるEが、全て硫黄原子であることを特徴とする<1>記載の化合物。
<3> 式(1)におけるR及びRが、それぞれ独立に、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、水素原子であることを特徴とする<1>又は<2>記載の化合物。
<4> 式(1)におけるR及びRが、それぞれ独立に、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基であることを特徴とする<1>又は<2>記載の化合物。
【0006】
<5> 式(1)で表される化合物が、式(2)

(式中、E、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか記載の化合物。
<6>式(2)におけるEが、全て硫黄であることを特徴とする<5>記載の化合物。
<7> 式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、水素原子であることを特徴とする<5>又は<6>記載の化合物。
<8> 式(2)におけるR及びRが、いずれも前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基であることを特徴とする<5>又は<6>記載の化合物。
【0007】
<9> <1>〜<8>のいずれか記載の化合物を含有する薄膜。
<10> <1>〜<8>のいずれか記載の化合物からなる薄膜。
<11> <9>又は<10>記載の薄膜を含有する有機半導体デバイス。
<12> <9>又は<10>記載の薄膜を含有する有機トランジスタ。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、有機半導体活性層を与え得る新規な化合物が提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明における有機トランジスタの一つの態様を説明する断面図である。
【図2】本発明における有機トランジスタの一つの態様を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、式(1)

で表される置換ベンゾカルコゲノアセン化合物(以下、化合物(1)と記すことがある)である。
式(1)におけるEは、それぞれ独立に、硫黄またはセレン原子を表す。
【0011】
式(1)におけるR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、分岐状のアルキル基を有するアリール基(以下、分岐アルキル置換アリール基と記すことがある)、又は、分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基(以下、分岐アルキル置換ヘテロアリール基と記すことがある)を表す。
及びRの少なくとも一方は、分岐アルキル置換アリール基、又は、分岐アルキル置換ヘテロアリール基である。
分岐アルキル置換アリール基及び分岐アルキル置換ヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
分岐アルキル置換アリール基の合計炭素数は置換基を含めて9〜30であり、分岐アルキル置換ヘテロアリール基の合計炭素数は置換基を含めて7〜30である。
【0012】
分岐アルキル置換アリール基及び分岐アルキル置換ヘテロアリール基に含まれる分岐状のアルキル基としては、例えば、i−プロピル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、1−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、1−メチルヘキシル基、1−メチルヘプチル基、1−メチルオクチル基、1−メチルノニル基、1−メチルデシル基、1−メチルウンデシル基、1−メチルドデシル基、1−メチルトリデシル基、1−メチルテトラデシル基、1−メチルペンタデシル基、1−メチルヘキサデシル基、1−メチルヘプタデシル基、1−メチルオクタデシル基、1−メチルノナデシル基、1−メチルイコシル基、1−エチルプロピル基、1−エチルブチル基、1−エチルペンチル基、1−エチルヘキシル基、1−エチルヘプチル基、1−エチルオクチル基、1−エチルノニル基、1−エチルデシル基、1−エチルウンデシル基、1−エチルドデシル基、1−エチルトリデシル基、1−エチルテトラデシル基、1−エチルペンタデシル基、1−エチルヘキサデシル基、1−エチルヘプタデシル基、1−エチルオクタデシル基、1−エチルノナデシル基、1−エチルイコシル基、1−プロピルブチル基、1−プロピルペンチル基、1−プロピルヘキシル基、1−プロピルヘプチル基、1−プロピルオクチル基、1−プロピルノニル基、1−プロピルデシル基、1−プロピルウンデシル基、1−プロピルドデシル基、1−プロピルトリデシル基、1−プロピルテトラデシル基、1−プロピルペンタデシル基、1−プロピルヘキサデシル基、1−プロピルヘプタデシル基、1−プロピルオクタデシル基、1−プロピルノナデシル基、1−プロピルイコシル基、1−ブチルペンチル基、1−ブチルヘキシル基、1−ブチルヘプチル基、1−ブチルオクチル基、1−ブチルノニル基、1−ブチルデシル基、1−ブチルウンデシル基、1−ブチルドデシル基、1−ブチルトリデシル基、1−ブチルテトラデシル基、1−ブチルペンタデシル基、1−ブチルヘキサデシル基、1−ブチルヘプタデシル基、1−ブチルオクタデシル基、1−ブチルノナデシル基、1−ブチルイコシル基、1−ペンチルヘキシル基、1−ペンチルヘプチル基、1−ペンチルオクチル基、1−ペンチルノニル基、1−ペンチルデシル基、1−ペンチルウンデシル基、1−ペンチルドデシル基、1−ペンチルトリデシル基、1−ペンチルテトラデシル基、1−ペンチルペンタデシル基、1−ペンチルヘキサデシル基、1−ペンチルヘプタデシル基、1−ペンチルオクタデシル基、1−ペンチルノナデシル基、1−ペンチルイコシル基、1−ヘキシルヘプチル基、1−ヘキシルオクチル基、1−ヘキシルノニル基、1−ヘキシルデシル基、1−ヘキシルウンデシル基、1−ヘキシルドデシル基、1−ヘキシルトリデシル基、1−ヘキシルテトラデシル基、1−ヘキシルペンタデシル基、1−ヘキシルヘキサデシル基、1−ヘキシルヘプタデシル基、1−ヘキシルオクタデシル基、1−ヘキシルノナデシル基、1−ヘキシルイコシル基、
【0013】
2−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、2−メチルヘキシル基、2−メチルヘプチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルノニル基、2−メチルデシル基、2−メチルウンデシル基、2−メチルドデシル基、2−メチルトリデシル基、2−メチルテトラデシル基、2−メチルペンタデシル基、2−メチルヘキサデシル基、2−メチルヘプタデシル基、2−メチルオクタデシル基、2−メチルノナデシル基、2−メチルイコシル基、
2−エチルブチル基、2−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、2−エチルノニル基、2−エチルデシル基、2−エチルウンデシル基、2−エチルドデシル基、2−エチルトリデシル基、2−エチルテトラデシル基、2−エチルペンタデシル基、2−エチルヘキサデシル基、2−エチルヘプタデシル基、2−エチルオクタデシル基、2−エチルノナデシル基、2−エチルイコシル基、2−プロピルペンチル基、2−プロピルヘキシル基、2−プロピルヘプチル基、2−プロピルオクチル基、2−プロピルノニル基、2−プロピルデシル基、2−プロピルウンデシル基、2−プロピルドデシル基、2−プロピルトリデシル基、2−プロピルテトラデシル基、2−プロピルペンタデシル基、2−プロピルヘキサデシル基、2−プロピルヘプタデシル基、2−プロピルオクタデシル基、2−プロピルノナデシル基、2−プロピルイコシル基、
2−ブチルヘキシル基、2−ブチルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルノニル基、2−ブチルデシル基、2−ブチルウンデシル基、2−ブチルドデシル基、2−ブチルトリデシル基、2−ブチルテトラデシル基、2−ブチルペンタデシル基、2−ブチルヘキサデシル基、2−ブチルヘプタデシル基、2−ブチルオクタデシル基、2−ブチルノナデシル基、2−ブチルイコシル基、2−ペンチルヘプチル基、2−ペンチルオクチル基、2−ペンチルノニル基、2−ペンチルデシル基、2−ペンチルウンデシル基、2−ペンチルドデシル基、2−ペンチルトリデシル基、2−ペンチルテトラデシル基、2−ペンチルペンタデシル基、2−ペンチルヘキサデシル基、2−ペンチルヘプタデシル基、2−ペンチルオクタデシル基、2−ペンチルノナデシル基、2−ペンチルイコシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルノニル基、2−ヘキシルデシル基、2−ヘキシルウンデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−ヘキシルトリデシル基、2−ヘキシルテトラデシル基、2−ヘキシルペンタデシル基、2−ヘキシルヘキサデシル基、2−ヘキシルヘプタデシル基、2−ヘキシルオクタデシル基、2−ヘキシルノナデシル基、2−ヘキシルイコシル基、
【0014】
3−メチルブチル基、3−メチルペンチル基、3−メチルヘキシル基、3−メチルヘプチル基、3−メチルオクチル基、3−メチルノニル基、3−メチルデシル基、3−メチルウンデシル基、3−メチルドデシル基、3−メチルトリデシル基、3−メチルテトラデシル基、3−メチルペンタデシル基、3−メチルヘキサデシル基、3−メチルヘプタデシル基、3−メチルオクタデシル基、3−メチルノナデシル基、3−メチルイコシル基、3−エチルペンチル基、3−エチルヘキシル基、3−エチルヘプチル基、3−エチルオクチル基、3−エチルノニル基、3−エチルデシル基、3−エチルウンデシル基、3−エチルドデシル基、3−エチルトリデシル基、3−エチルテトラデシル基、3−エチルペンタデシル基、3−エチルヘキサデシル基、3−エチルヘプタデシル基、3−エチルオクタデシル基、3−エチルノナデシル基、3−エチルイコシル基、3−プロピルヘキシル基、3−プロピルヘプチル基、3−プロピルオクチル基、3−プロピルノニル基、3−プロピルデシル基、3−プロピルウンデシル基、3−プロピルドデシル基、3−プロピルトリデシル基、3−プロピルテトラデシル基、3−プロピルペンタデシル基、3−プロピルヘキサデシル基、3−プロピルヘプタデシル基、3−プロピルオクタデシル基、3−プロピルノナデシル基、3−プロピルイコシル基、3−ブチルヘプチル基、3−ブチルオクチル基、3−ブチルノニル基、3−ブチルデシル基、3−ブチルウンデシル基、3−ブチルドデシル基、3−ブチルトリデシル基、3−ブチルテトラデシル基、3−ブチルペンタデシル基、3−ブチルヘキサデシル基、3−ブチルヘプタデシル基、3−ブチルオクタデシル基、3−ブチルノナデシル基、3−ブチルイコシル基、3−ペンチルオクチル基、3−ペンチルノニル基、3−ペンチルデシル基、3−ペンチルウンデシル基、3−ペンチルドデシル基、3−ペンチルトリデシル基、3−ペンチルテトラデシル基、3−ペンチルペンタデシル基、3−ペンチルヘキサデシル基、3−ペンチルヘプタデシル基、3−ペンチルオクタデシル基、3−ペンチルノナデシル基、3−ペンチルイコシル基、3−ヘキシルノニル基、3−ヘキシルデシル基、3−ヘキシルウンデシル基、3−ヘキシルドデシル基、3−ヘキシルトリデシル基、3−ヘキシルテトラデシル基、3−ヘキシルペンタデシル基、3−ヘキシルヘキサデシル基、3−ヘキシルヘプタデシル基、3−ヘキシルオクタデシル基、3−ヘキシルノナデシル基、3−ヘキシルイコシル基、
【0015】
4−メチルペンチル基、4−メチルヘキシル基、4−メチルヘプチル基、4−メチルオクチル基、4−メチルノニル基、4−メチルデシル基、4−メチルウンデシル基、4−メチルドデシル基、4−メチルトリデシル基、4−メチルテトラデシル基、4−メチルペンタデシル基、4−メチルヘキサデシル基、4−メチルヘプタデシル基、4−メチルオクタデシル基、4−メチルノナデシル基、4−メチルイコシル基、4−エチルヘキシル基、4−エチルヘプチル基、4−エチルオクチル基、4−エチルノニル基、4−エチルデシル基、4−エチルウンデシル基、4−エチルドデシル基、4−エチルトリデシル基、4−エチルテトラデシル基、4−エチルペンタデシル基、4−エチルヘキサデシル基、4−エチルヘプタデシル基、4−エチルオクタデシル基、4−エチルノナデシル基、4−エチルイコシル基、4−プロピルヘプチル基、4−プロピルオクチル基、4−プロピルノニル基、4−プロピルデシル基、4−プロピルウンデシル基、4−プロピルドデシル基、4−プロピルトリデシル基、4−プロピルテトラデシル基、4−プロピルペンタデシル基、4−プロピルヘキサデシル基、4−プロピルヘプタデシル基、4−プロピルオクタデシル基、4−プロピルノナデシル基、4−プロピルイコシル基、4−ブチルオクチル基、4−ブチルノニル基、4−ブチルデシル基、4−ブチルウンデシル基、4−ブチルドデシル基、4−ブチルトリデシル基、4−ブチルテトラデシル基、4−ブチルペンタデシル基、4−ブチルヘキサデシル基、4−ブチルヘプタデシル基、4−ブチルオクタデシル基、4−ブチルノナデシル基、4−ブチルイコシル基、4−ペンチルノニル基、4−ペンチルデシル基、4−ペンチルウンデシル基、4−ペンチルドデシル基、4−ペンチルトリデシル基、4−ペンチルテトラデシル基、4−ペンチルペンタデシル基、4−ペンチルヘキサデシル基、4−ペンチルヘプタデシル基、4−ペンチルオクタデシル基、4−ペンチルノナデシル基、4−ペンチルイコシル基、4−ヘキシルデシル基、4−ヘキシルウンデシル基、4−ヘキシルドデシル基、4−ヘキシルトリデシル基、4−ヘキシルテトラデシル基、4−ヘキシルペンタデシル基、4−ヘキシルヘキサデシル基、4−ヘキシルヘプタデシル基、4−ヘキシルオクタデシル基、4−ヘキシルノナデシル基、4−ヘキシルイコシル基、
【0016】
5−メチルヘキシル基、5−メチルヘプチル基、5−メチルオクチル基、5−メチルノニル基、5−メチルデシル基、5−メチルウンデシル基、5−メチルドデシル基、5−メチルトリデシル基、5−メチルテトラデシル基、5−メチルペンタデシル基、5−メチルヘキサデシル基、5−メチルヘプタデシル基、5−メチルオクタデシル基、5−メチルノナデシル基、5−メチルイコシル基、5−エチルヘプチル基、5−エチルオクチル基、5−エチルノニル基、5−エチルデシル基、5−エチルウンデシル基、5−エチルドデシル基、5−エチルトリデシル基、5−エチルテトラデシル基、5−エチルペンタデシル基、5−エチルヘキサデシル基、5−エチルヘプタデシル基、5−エチルオクタデシル基、5−エチルノナデシル基、5−エチルイコシル基、5−プロピルオクチル基、5−プロピルノニル基、5−プロピルデシル基、5−プロピルウンデシル基、5−プロピルドデシル基、5−プロピルトリデシル基、5−プロピルテトラデシル基、5−プロピルペンタデシル基、5−プロピルヘキサデシル基、5−プロピルヘプタデシル基、5−プロピルオクタデシル基、5−プロピルノナデシル基、5−プロピルイコシル基、5−ブチルノニル基、5−ブチルデシル基、5−ブチルウンデシル基、5−ブチルドデシル基、5−ブチルトリデシル基、5−ブチルテトラデシル基、5−ブチルペンタデシル基、5−ブチルヘキサデシル基、5−ブチルヘプタデシル基、5−ブチルオクタデシル基、5−ブチルノナデシル基、5−ブチルイコシル基、5−ペンチルデシル基、5−ペンチルウンデシル基、5−ペンチルドデシル基、5−ペンチルトリデシル基、5−ペンチルテトラデシル基、5−ペンチルペンタデシル基、5−ペンチルヘキサデシル基、5−ペンチルヘプタデシル基、5−ペンチルオクタデシル基、5−ペンチルノナデシル基、5−ペンチルイコシル基、5−ヘキシルウンデシル基、5−ヘキシルドデシル基、5−ヘキシルトリデシル基、5−ヘキシルテトラデシル基、5−ヘキシルペンタデシル基、5−ヘキシルヘキサデシル基、5−ヘキシルヘプタデシル基、5−ヘキシルオクタデシル基、5−ヘキシルノナデシル基、5−ヘキシルイコシル基、
【0017】
6−メチルヘプチル基、6−メチルオクチル基、6−メチルノニル基、6−メチルデシル基、6−メチルウンデシル基、6−メチルドデシル基、6−メチルトリデシル基、6−メチルテトラデシル基、6−メチルペンタデシル基、6−メチルヘキサデシル基、6−メチルヘプタデシル基、6−メチルオクタデシル基、6−メチルノナデシル基、6−メチルイコシル基、6−エチルオクチル基、6−エチルノニル基、6−エチルデシル基、6−エチルウンデシル基、6−エチルドデシル基、6−エチルトリデシル基、6−エチルテトラデシル基、6−エチルペンタデシル基、6−エチルヘキサデシル基、6−エチルヘプタデシル基、6−エチルオクタデシル基、6−エチルノナデシル基、6−エチルイコシル基、
6−プロピルノニル基、6−プロピルデシル基、6−プロピルウンデシル基、6−プロピルドデシル基、6−プロピルトリデシル基、6−プロピルテトラデシル基、6−プロピルペンタデシル基、6−プロピルヘキサデシル基、6−プロピルヘプタデシル基、6−プロピルオクタデシル基、6−プロピルノナデシル基、6−プロピルイコシル基、6−ブチルデシル基、6−ブチルウンデシル基、6−ブチルドデシル基、6−ブチルトリデシル基、6−ブチルテトラデシル基、6−ブチルペンタデシル基、6−ブチルヘキサデシル基、6−ブチルヘプタデシル基、6−ブチルオクタデシル基、6−ブチルノナデシル基、6−ブチルイコシル基、6−ペンチルウンデシル基、6−ペンチルドデシル基、6−ペンチルトリデシル基、6−ペンチルテトラデシル基、6−ペンチルペンタデシル基、6−ペンチルヘキサデシル基、6−ペンチルヘプタデシル基、6−ペンチルオクタデシル基、6−ペンチルノナデシル基、6−ペンチルイコシル基、6−ヘキシルドデシル基、6−ヘキシルトリデシル基、6−ヘキシルテトラデシル基、6−ヘキシルペンタデシル基、6−ヘキシルヘキサデシル基、6−ヘキシルヘプタデシル基、6−ヘキシルオクタデシル基、6−ヘキシルノナデシル基、6−ヘキシルイコシル基、
【0018】
1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−メチル−1−プロピルペンチル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−ブチル−1−メチルペンチル基、1,2−ジメチルヘキシル基、1,3−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、2,3−ジメチルヘキシル基、2,4−ジメチルヘキシル基、2,5−ジメチルヘキシル基、3,4−ジメチルヘキシル基、3,5−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、2,2,4−トリメチルヘキシル基、2,4,4−トリメチルヘキシル基、1,2−ジメチルヘプチル基、1,3−ジメチルヘプチル基、1,4−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチルヘプチル基、1,6−ジメチルヘプチル基、2,3−ジメチルヘプチル基、2,4−ジメチルヘプチル基、2,5−ジメチルヘプチル基、2,6−ジメチルヘプチル基、3,4−ジメチルヘプチル基、3,5−ジメチルヘプチル基、3,6−ジメチルヘプチル基、4,5−ジメチルヘプチル基、4,6−ジメチルヘプチル基、2,2−ジメチルヘプチル基、2,2,4−トリメチルヘプチル基、2,4,4−トリメチルヘプチル基、1,2−ジメチルオクチル基、1,3−ジメチルオクチル基、1,4−ジメチルオクチル基、1,5−ジメチルオクチル基、1,6−ジメチルオクチル基、1,7−ジメチルオクチル基、2,3−ジメチルオクチル基、2,4−ジメチルオクチル基、2,5−ジメチルオクチル基、2,6−ジメチルオクチル基、2,7−ジメチルオクチル基、3,4−ジメチルオクチル基、3,5−ジメチルオクチル基、3,6−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基、4,5−ジメチルオクチル基、4,6−ジメチルオクチル基、5,6−ジメチルオクチル基、5,7−ジメチルオクチル基、2,2−ジメチルオクチル基、2,2,4−トリメチルオクチル基、2,4,4−トリメチルオクチル基等が挙げられる。
【0019】
分岐アルキル置換アリール基における「アリール基」としては、例えば、単環、二環又は三環のアリール基等を挙げることができ、具体的に、分岐状のアルキル基を有しないアリール基として表記すると、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基等が挙げられる。
【0020】
分岐アルキル置換ヘテロアリール基における「ヘテロアリール基」を、分岐状のアルキル基を有しないヘテロアリール基として表記すると、例えば、チエニル基、フリル基、チアゾリル基、チエノ[3,2−b]チエニル基、フロロ[3,2−b]フリル基、チエノ[3,2−b]フリル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾ[b]フリル基、ビスチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェニル基等が挙げられる。好ましくは、下記式で示される基(左からチエニル基、チエノ[3,2−b]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾ[b]フリル基、ビスチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェニル基)等が挙げられる。

【0021】
分岐アルキル置換アリール基及び分岐アルキル置換ヘテロアリール基に有していてもよい置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数4〜20のヘテロアリール基、炭素数5〜20のヘテロアラルキル基等を挙げることができる。上記に例示された置換基に含まれる水素原子がフッ素原子に置き換わった基も置換基として有していてもよい。
【0022】
化合物(1)に含まれるベンゾカルコゲノアセン骨格に結合されるR及びRの結合位置としては、対称な位置であることが好ましい。ここで、対称な位置とは、化合物(1)に含まれるベンゾカルコゲノアセン骨格の中心線(下記式

(式中、Eは前記と同じ意味を表す。)
の破線)に対して、線対称の位置関係を意味する。すなわち、化合物(1)のベンゾカルコゲノアセン骨格における対称な位置に結合したR及びRとは、Rがaの炭素原子に結合しRはa’の炭素原子に結合する場合、Rがbの炭素原子に結合しRはb’の炭素原子に結合する場合、Rがcの炭素原子に結合しRはc’の炭素原子に結合する場合、Rがdの炭素原子に結合しRはd’の炭素原子に結合する場合のいずれかのR及びRである。
【0023】
好ましくは、Rがbの炭素原子に結合しRはb’の炭素原子に結合する場合、すなわち、式(2)

(式中、E、R、及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物、または、Rがdの炭素原子に結合しRはd’の炭素原子に結合する場合、すなわち、式(3)

(式中、E、R、及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物を挙げることができる。
【0024】
本発明の化合物(1)の具体例としては、以下に例示する化合物が挙げられる。
【0025】
【表1】

波線は結合手を意味する。
【0026】
【表2】

波線は結合手を意味する。
【0027】
【表3】

波線は結合手を意味する。
【0028】
【表4】

波線は結合手を意味する。
【0029】
【表5】

波線は結合手を意味する。
【0030】
【表6】

波線は結合手を意味する。
【0031】
【表7】

波線は結合手を意味する。
【0032】
【表8】

波線は結合手を意味する
【0033】
【表9】

波線は結合手を意味する。
【0034】
【表10】

波線は結合手を意味する。
【0035】
【表11】

波線は結合手を意味する。
【0036】
【表12】

波線は結合手を意味する。
【0037】
【表13】

波線は結合手を意味する。
【0038】
【表14】

波線は結合手を意味する。
【0039】
【表15】

波線は結合手を意味する。
【0040】
【表16】

波線は結合手を意味する。
【0041】
【表17】

波線は結合手を意味する。
【0042】
【表18】

波線は結合手を意味する。
【0043】
【表19】

波線は結合手を意味する。
【0044】
【表20】

波線は結合手を意味する。
【0045】
【表21】

波線は結合手を意味する。
【0046】
【表22】


波線は結合手を意味する。
【0047】
【表23】

波線は結合手を意味する。
【0048】
【表24】

波線は結合手を意味する。
【0049】
【表25】

波線は結合手を意味する。
【0050】
【表26】

波線は結合手を意味する。
【0051】
【表27】

波線は結合手を意味する。
【0052】
【表28】

波線は結合手を意味する。
【0053】
【表29】

波線は結合手を意味する。
【0054】
化合物(1)としては、化合物(1)中にある3つのEが全て硫黄原子である化合物が好ましい。
とりわけ、表中の化合物番号が以下の化合物(1)が好ましい。
1、2、3、5、7、8、11、13、14、16、18、20、22、24、26、29、31、32、35、36、37、38、39、43、45、51、58、57、62、64、66、67、70、73、79、84、85、86、87、89、93、95、98、107、108、112、116、119、123、124、127、130、136、140、141、142、145、153、156、158、160、165、170、171、172、180、182、184、186、187、191、196、198、200、204、206、207、212、219、221、226、227、228、232、235、240、243、248、250、251、253、256、258、264、268、273、276、279、281、284、287、289、291、292、298、301、303、306、309、312、314、317、318、323、326、328、331、333、339、343、348、349、351、354、355、358、361、362、363、364、368、371
【0055】
より好ましくは、表中の化合物番号が以下の化合物(1)である。
2、7、8、13、16、18、20、24、26、29、31、35、36、37,38、39、43、45、58、64、67、84、85、86、87、89、93、107、108、112、116、119、123、124、140、141、142、145、153、156、158、170.171、172、180、186、187、191、196、198、200、204、206、207、212、219、221、226、228、235、243、251、256、258、264、268、276、281、284、289、291、301、306、314、318、326、331、349、351、362、364
【0056】
本発明の化合物(1)は、有機溶媒への溶解性に優れる傾向があることから、取扱いが容易な傾向があり、精製も容易な傾向がある。
また、化合物(1)を有機溶媒に溶解した溶解液は、塗布及び乾燥して薄膜を形成させることができる。
さらに、化合物(1)は、後述するように、高いキャリア移動度を示す薄膜を与えることが可能である。
【0057】
次に、化合物(1)の製造方法を説明する。
該製造方法としては、例えば、式(5−1)

(式中、R及びRは前記と同じ意味を表す。Xはハロゲン原子、好ましくは臭素原子を表す。)
で表されるジアセチレン化合物(以下、化合物(5−1)と記すことがある)を得、次いで、有機金属塩基を用いたハロゲン−メタル交換反応によりジメタル化した(以下、この反応を「本第1反応」という。)後、硫黄又はセレンを作用させることにより、式(4−1)

(式中、E、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表されるジカルコゲンイン化合物(化合物(4−1)と記すことがある)を得(以下、この反応を「本第2反応」という。)、
次いで、得られた化合物(4−1)と、ビスシクロオクタジエニル白金(Pt(COD))などの白金化合物又は銅粉末などの銅化合物と、を無溶媒で加熱する方法(以下、「第3−1反応」と記すことがある)、
また、同様にして得られる化合物(4−1)と、ビスシクロオクタジエニルニッケル(Ni(COD))などのニッケル化合物とホスフィン化合物とを、溶媒の存在下で加熱攪拌する方法(以下、「第3−2反応」と記すことがある)、
等を挙げることができる。
【0058】
本第1反応に用いられる有機金属塩基としては、例えば、メチルリチウム(MeLi)、n−ブチルリチウム(n−BuLi)、sec−ブチルリチウム(sec−BuLi)及びtert−ブチルリチウム(t−BuLi)などの有機リチウム化合物やアルキルグリニヤール化合物などの有機マグネシウム化合物類などを用いることができるが、ハロゲン−メタル交換反応の反応性が良好である点から、該有機金属塩基としては有機リチウム化合物が好ましく、例えば、ブチルリチウム(BuLi)が用いられ、さらに好ましくはt−BuLiが用いられる。
有機金属塩基の使用量としては、化合物(5−1)1モルに対し、例えば、4〜20モルの範囲を挙げることができ(化合物(5−1)に含まれるハロゲン原子1モルに対して2〜10モルの範囲)、好ましくは6〜14モルの範囲(化合物(5−1)に含まれるハロゲン原子1モルに対して3〜7モルの範囲)、さらに好ましくは7〜10モルの範囲(化合物(5−1)に含まれるハロゲン原子1モルに対して3.5〜5モルの範囲)が挙げられる。有機金属塩基の使用量が化合物(5−1)1モルに対し4モル以上であると、未反応の化合物(5−1)が低減されて、得られる化合物(4−1)の収率が向上する傾向がある。該使用量が、化合物(5−1)1モルに対し20モル以下であると、副反応の進行が抑制され、化合物(4−1)の精製が容易になる傾向がある。
【0059】
本第1反応及びそれに続く本第2反応は、溶媒の存在下で行なわれることが好ましい。
使用される溶媒としては、本第1反応及び本第2反応の進行を著しく妨げないものから選ばれ、例えば、ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン(THF)などのエーテル溶媒又はこれらから選ばれる2種以上の混合溶媒が挙げられる。好ましい溶媒はエーテル溶媒である。
【0060】
本第1反応は、例えば、−20℃以下、好ましくは−40℃以下、より好ましくは−60℃以下の反応温度で行なわれる。本第1反応の反応時間は使用する有機金属塩基や溶媒の種類、又は反応温度により調節できるが、10分から5時間程度の範囲である。
この本第1反応に続いて、硫黄又はセレンを反応混合物に添加して本第2反応を行なう。用いる硫黄(又はセレン)は固体のまま用いてもよいし、本第1反応に使用した溶媒に溶解又は懸濁させた溶液又は懸濁液で添加してもよい。硫黄(又はセレン)を加えた後、反応温度は本第1反応と同程度の温度のまま保持してもよいし、用いた溶媒の沸点以下の範囲であれば加温してもよい。好ましくは、反応温度0〜40℃の範囲に達するまで加温し、同範囲内の温度で保温する。反応時間は、例えば、30分から72時間の範囲を挙げることができる。
【0061】
本第2反応に用いられる硫黄又はセレンとしては、結晶状、粉末状、コロイド状の硫黄(又はセレン)などを用いることができる。硫黄(又はセレン)の使用量としては、化合物(5−1)1モルに対し、例えば、4〜20モルの範囲を挙げることができ、好ましくは6〜14モルの範囲、さらに好ましくは7〜10モルの範囲が挙げられる。硫黄(又はセレン)の使用量が4モル以上であると、化合物(4−1)の収率が向上する傾向があることから好ましく、20モル以下であると、副反応の進行が抑制され、化合物(4−1)の精製が容易になる傾向があることから好ましい。
【0062】
本第2反応終了後は、必要に応じて溶媒を濃縮し、得られた反応混合物に水酸化ナトリウム水溶液や水酸化カリウム水溶液などのアルカリ水溶液を加えた後、得られた化合物(4−1)を抽出する。抽出溶液は、本第1反応及び本第2反応で用いた溶媒が水に不溶である場合は、この溶媒を抽出溶媒としてそのまま用いることもできるが、好ましい抽出溶媒はジクロロメタン及びクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。有機相と水相とに分液させた後、水相を分離し、この水相にフェリシアン酸カリウムなどのヘキサシアノ鉄酸塩水溶液を加えて、この水相から化合物(4−1)を、前記抽出溶媒などの有機溶媒を用いて抽出する。このようにして得られた化合物(4−1)は、必要に応じて、カラムクロマトグラフィー、再結晶などの操作により、さらに精製してもよい。
【0063】
本第3−1反応では、化合物(4−1)1モルに対し、例えば、0.5〜20モル、好ましくは1〜10モル、さらに好ましくは2〜7モルの銅化合物又は白金化合物が用いられる。銅化合物としては、例えば、銅粉末などが挙げられ、白金化合物としては、例えば、ビスシクロオクタジエニル白金(Pt(COD))などが挙げられる。
本第3−1反応の反応温度は、例えば、150〜400℃の範囲を挙げることができ、好ましくは200〜370℃の範囲が挙げられる。本第3−1反応の反応時間は1時間以内であり、好ましくは30分以内である。反応終了後、室温まで冷却し、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの、化合物(1)を溶解し得る溶媒を用いて、不溶不純物を濾別し、濾液を濃縮した後、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶等の操作を行なうことで、化合物(1)が得られる。
【0064】
本第3−2反応において、用いられるニッケル化合物としては、ビスシクロオクタジエニルニッケル(Ni(COD))などの0価ニッケル化合物が好適である。本第3−2反応は、2価ニッケル化合物であるビスアセチルアセトナートニッケル(Ni(acac))などをジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの還元剤を作用させることにより、系中で0価ニッケル化合物を発生させてもよい。
ニッケル化合物の使用量としては、化合物(4−1)1モルに対し、例えば、0.5〜5モルの範囲を挙げることができ、好ましくは0.7〜3モルの範囲である。
【0065】
ホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリ−t−ブチルホスフィン、1,2−(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−(ジフェニルホスフィノ)ブタン及び1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンなどが挙げられ、トリフェニルホスフィンが好ましい。
ホスフィン化合物の使用量としては、ニッケル化合物1モルに対し、例えば、ホスフィン化合物が0.5〜20モルの範囲等を挙げることができ、好ましくは、0.7〜10モルの範囲が挙げられる。
【0066】
本第3−2反応に用いられる溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、ベンゼン、トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン及びクロロホルムなどのハロゲン化炭化水素溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種類で使用しても2種類以上の混合溶媒として使用してもよい。
該溶媒としては、芳香族炭化水素溶媒が好ましく、トルエンがより好ましい。
本第3−2反応の反応温度としては、例えば、10℃から溶媒の沸点以下の範囲を挙げることができる。
本第3−2反応の反応時間は反応温度にも拠るが、72時間以内が好ましい。
本第3−2反応の反応終了後、必要に応じて加熱しながら濾過を行って不溶不純物を除去した後、濾液を濃縮し、必要に応じてカラムクロマトグラフィー、再結晶などの精製操作を行なうことで目的化合物である化合物(1)を得ることができる。
【0067】
本第1反応に用いられる化合物(5−1)の具体例を次の表に例示する。
【0068】
【表30】

波線は結合手を意味する。
【0069】
【表31】

波線は結合手を意味する。
【0070】
【表32】

波線は結合手を意味する。
【0071】
【表33】

波線は結合手を意味する。
【0072】
【表34】

波線は結合手を意味する。
【0073】
【表35】

波線は結合手を意味する。
【0074】
【表36】

波線は結合手を意味する。
【0075】
【表37】

波線は結合手を意味する
【0076】
【表38】

波線は結合手を意味する。
【0077】
【表39】

波線は結合手を意味する。
【0078】
【表40】

波線は結合手を意味する。
【0079】
【表41】

波線は結合手を意味する。
【0080】
【表42】

波線は結合手を意味する。
【0081】
【表43】

波線は結合手を意味する。
【0082】
【表44】

波線は結合手を意味する。
【0083】
【表45】

波線は結合手を意味する。
【0084】
【表46】

波線は結合手を意味する。
【0085】
【表47】

波線は結合手を意味する。
【0086】
【表48】

波線は結合手を意味する。
【0087】
【表49】

波線は結合手を意味する。
【0088】
【表50】

波線は結合手を意味する。
【0089】
【表51】

波線は結合手を意味する。
【0090】
【表52】

波線は結合手を意味する。
【0091】
【表53】

波線は結合手を意味する。
【0092】
【表54】

波線は結合手を意味する。
【0093】
【表55】

波線は結合手を意味する。
【0094】
【表56】

波線は結合手を意味する。
【0095】
【表57】

波線は結合手を意味する。
【0096】
【表58】

波線は結合手を意味する。
【0097】
本第2反応によって得られる化合物(4−1)の具体例としては、以下が例示される。
【0098】
【表59】

波線は結合手を意味する。
【0099】
【表60】

波線は結合手を意味する。
【0100】
【表61】

波線は結合手を意味する。
【0101】
【表62】

波線は結合手を意味する。
【0102】
【表63】

波線は結合手を意味する。
【0103】
【表64】

波線は結合手を意味する。
【0104】
【表65】

波線は結合手を意味する。
【0105】
【表66】

波線は結合手を意味する
【0106】
【表67】

波線は結合手を意味する。
【0107】
【表68】

波線は結合手を意味する。
【0108】
【表69】

波線は結合手を意味する。
【0109】
【表70】

波線は結合手を意味する。
【0110】
【表71】

波線は結合手を意味する。
【0111】
【表72】

波線は結合手を意味する。
【0112】
【表73】

波線は結合手を意味する。
【0113】
【表74】

波線は結合手を意味する。
【0114】
【表75】

波線は結合手を意味する。
【0115】
【表76】

波線は結合手を意味する。
【0116】
【表77】

波線は結合手を意味する。
【0117】
【表78】

波線は結合手を意味する。
【0118】
【表79】

波線は結合手を意味する。
【0119】
【表80】

波線は結合手を意味する。
【0120】
【表81】

波線は結合手を意味する。
【0121】
【表82】

波線は結合手を意味する。
【0122】
【表83】

波線は結合手を意味する。
【0123】
【表84】

波線は結合手を意味する。
【0124】
【表85】

波線は結合手を意味する。
【0125】
【表86】

波線は結合手を意味する。
【0126】
【表87】

【0127】
本第1反応に用いられる化合物(5−1)の製造法の一例として、化合物(5−1)に含まれるR及びRが同一種の基(以下、Rと記すことがある)である場合の製造法としては、例えば、式(6−1)

(式中、Rは、R及びRと同じ意味を表し、Xはハロゲン原子、好ましくは臭素原子を表す。)
で表される化合物を用いて、いわゆる、グラーゼル反応(Glaser Reaction)、エグリントンカップリング(Eglinton Coupling)又はヘイカップリング(Hay Coupling、好ましくは、ヨウ化銅などの銅化合物を用いるヘイカップリング)によって調製することができる。
ヘイカップリングは、例えば、下記に示すように、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)及びヨウ化銅などの銅化合物の存在下で行うことができる。

式(6−1)の化合物は、例えば、置換基Rを有するアニリンをN−ブロモコハク酸イミド等でアミノ基のα位をブロモ化し、得られた化合物のアミノ基をザンドマイヤー反応(Sandmeyer Reaction)等でヨード基に変換し、得られたヨード基含有化合物のヨード基を薗頭クロスカップリング反応等のエチニル化反応でエチニル化する方法等が挙げられる。
【0128】
前記式(6−1)で示される化合物の具体例を次の表に例示する。
【0129】
【表88】

波線は結合手を意味する。
【0130】
【表89】

波線は結合手を意味する。
【0131】
【表90】

波線は結合手を意味する。
【0132】
【表91】

波線は結合手を意味する。
【0133】
【表92】

波線は結合手を意味する。
【0134】
【表93】

波線は結合手を意味する。
【0135】
【表94】

波線は結合手を意味する。
【0136】
【表95】

波線は結合手を意味する
【0137】
【表96】

波線は結合手を意味する。
【0138】
【表97】

波線は結合手を意味する。
【0139】
【表98】

波線は結合手を意味する。
【0140】
【表99】

波線は結合手を意味する。
【0141】
【表100】

波線は結合手を意味する。
【0142】
【表101】

波線は結合手を意味する。
【0143】
【表102】

波線は結合手を意味する。
【0144】
【表103】

波線は結合手を意味する。
【0145】
【表104】

波線は結合手を意味する。
【0146】
【表105】

波線は結合手を意味する。
【0147】
【表106】

波線は結合手を意味する。
【0148】
【表107】

波線は結合手を意味する。
【0149】
【表108】

波線は結合手を意味する。
【0150】
化合物(1)に含まれるR及びRが同一種の基または異種の基である場合の製造法としては、例えば、非特許文献1(Advanced Materials, 19, 3008-3011(2007))に記載の方法に準じて製造する方法を挙げることができる。すなわち、下記式に示すように、RまたはRを有するベンゾ[b]チオフェンを臭素で臭素化した後、得られた臭素化体にリチウムジイソプロピルアミド(LDA)を作用させ、次いで、塩化銅でカップリング反応させ、続いて、得られたカップリング体にブチルリチウム(BuLi)およびビス(フェニルスルフォニル)スルフィド((CSOS)を作用させて化合物(1)を製造する方法等である。

【0151】
本発明の化合物(1)は有機半導体活性層に使用し得る材料(以下、かかる材料を有機半導体材料と記すことがある)である。さらに、化合物(1)は有機溶媒に可溶な有機半導体材料である。化合物(1)を溶解する有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1’,2,2’−テトラクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒、例えばペンタン、ヘキサン、ペンタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒等を挙げることができる。好ましくは、トルエン、キシレン、o-ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ヘキサン等が挙げられる。有機溶媒は2種以上を混合溶媒にして用いることもできる。
化合物(1)を溶解した溶液における化合物(1)の濃度としては、例えば、0.001〜50質量%の範囲をあげることができ、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%等が挙げられる。
【0152】
次に、本発明の薄膜及び有機半導体デバイスについて説明する。
本発明の薄膜は、化合物(1)を含有する。該薄膜は高いキャリア移動度を示すことから、該薄膜を有機半導体活性層として有する有機半導体デバイスの材料として好適である。
また、本発明の有機半導体デバイスは、本発明の薄膜を含有するものである。本発明の有機半導体デバイスとしては、例えば、有機トラジスタ、電界発光素子、太陽電池等を挙げることができる。また、本発明の有機トランジスタは、例えば、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ、ICタグ、及びセンサ等に使用可能である。
【0153】
本発明の薄膜の形成方法としては、例えば、塗布成膜加工を挙げることができる。ここで、塗布成膜加工とは、前述したように、化合物(1)を溶媒に溶解し、得られた溶液を基板もしくは絶縁体層に塗布する工程を有する成膜加工を意味する。
塗布の方法としては、キャスティング法、ディップコート法、ダイコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スピンコート法、インクジェット法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、マイクロコンタクト印刷法などが挙げられる。これらの手法は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせてもよい。
【0154】
化合物(1)及び有機溶媒を含む溶液には、化合物(1)を単独で使用してもよいし、後述する薄膜(有機半導体活性層)のキャリア移動度を著しく損なわない範囲であれば、酸化防止剤、安定剤、化合物(1)とは異なる有機半導体材料、有機絶縁性材料などと混合してもよい。
化合物(1)とは異なる有機半導体材料としては、低分子材料でもよく、高分子材料でもよい。高分子材料は、高分子を架橋反応させたものであってもよい。好ましくは、高分子材料が挙げられる。具体例としては、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及びその誘導体、ポリフェニレン及びその誘導体、ポリフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリピロール及びその誘導体、ポリアニリン及びその誘導体、ポリトリアリールアミン及びその誘導体、ポリキノリン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、テトラセン及びその誘導体、ペンタセン及びその誘導体、フタロシアニン及びその誘導体などが挙げられる。本発明の薄膜において、化合物(1)とは異なる有機半導体材料と化合物(1)との合計100質量%に対する化合物(1)の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
【0155】
該有機絶縁性材料としては、低分子材料でもよい。高分子材料は、高分子を架橋反応がさせたものであってもよい。好ましくは、高分子材料が挙げられる。具体例としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリジメチルシロキサン、ナイロン、ポリイミド、環状オレフィンコポリマー、エポキシポリマー、セルロース、ポリオキシメチレン、ポリオレフィン系ポリマー、ポリビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、フッ素系ポリマー、生分解性プラスチック、フェノール系樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、及び各種ポリマーユニットを組み合わせたコポリマーなどが挙げられる。本発明の薄膜において、有機絶縁性材料と化合物(1)との合計100質量%に対する化合物(1)の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましい。
なお、該溶液組成物の調製は、溶媒に化合物(1)を、例えば、10〜200℃、好ましくは20〜150℃程度で溶解することで得ることができる。
【0156】
かくして得られる化合物(1)及び有機溶媒を含む溶液を、基板又は絶縁層に塗布して塗布膜を形成せしめた後、該塗布膜に含有されている溶媒を除去することで、基板上又は絶縁層上に薄膜が形成される。この有機溶媒の除去には自然乾燥処理、加熱処理、減圧処理、通風処理又はこれらを組み合わせた処理が採用されるが、操作が簡便である点で自然乾燥処理もしくは加熱処理が好ましい。この処理に係わる条件を簡単に記載すると、大気下で放置もしくはホットプレートで基板加熱(例えば、40〜250℃、好ましくは、50〜200℃)という条件が挙げられる。
【0157】
本発明の薄膜は、化合物(1)が溶媒に分散している分散液を用いて塗布成膜加工により薄膜を形成することもできる。この場合は、上述の塗布成膜加工において、溶液を該分散液に読み替えれば容易に実施可能である。この場合、溶媒は前記有機溶媒に加え、水であってもよい。
このように、本発明の薄膜は、上記の塗布成膜加工等の簡便な方法により形成することができる。
【0158】
本発明の薄膜を形成する方法の異なる例示として、化合物(1)を、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法、分子線エピタキシャル成長法などの真空プロセスに供して薄膜を形成する方法を挙げることができる。
【0159】
真空蒸着法による薄膜の形成方法は、化合物(1)、必要に応じて他の有機半導体材料をルツボや金属ボート中で真空下、加熱し、蒸発した化合物(1)等の有機半導体材料を基板もしくは絶縁体材料に蒸着させる方法である。蒸着時の真空度は、通常1×10−1Pa以下、好ましくは1×10−3Pa以下である。蒸着時の基板温度は通常0℃〜300℃、好ましくは20℃〜200℃である。蒸着速度は、例えば、0.001nm/sec〜10nm/secの範囲等を挙げることができ、好ましくは0.01nm/sec〜1nm/secの範囲である。
【0160】
上記塗布成膜加工又は上記真空プロセスにより得られる化合物(1)を含有する薄膜の膜厚は、たとえば有機トランジスタの素子構造により適宜調節することができるが、好ましくは1nm〜10μmであり、さらに好ましくは5nm〜1μmである。
【0161】
本発明の有機トランジスタとしては、例えば、有機電界効果トランジスタ(OFET)が挙げられる。
該有機電界効果トランジスタの構造は、通常、ソース電極及びドレイン電極が本発明の薄膜からなる有機半導体活性層に接して設けられており、さらに有機半導体活性層に接した絶縁層(誘電体層)を挟んでゲート電極が設けられていればよい。その素子構造としては、例えば、
(1)基板/ゲート電極/絶縁体層/ソース電極・ドレイン電極/有機半導体活性層 という構造、
(2)基板/ゲート電極/絶縁体層/有機半導体活性層/ソース電極・ドレイン電極 という構造(図1参照)
(3)基板/有機半導体活性層+ソース電極・ドレイン電極/絶縁体層/ゲート電極 という構造(図2参照)、
(4)基板/ソース電極(又はドレイン電極)/有機半導体活性層+絶縁体層+ゲート電極/ドレイン電極(又はソース電極)という構造などがあげられる。このとき、ソース電極,ドレイン電極, ゲート電極は、それぞれ複数設けてもよい。また、複数の有機半導体活性層を同一平面内に設けてもよいし、積層して設けてもよい。
【0162】
次に、本発明の有機トランジスタの他の構成成分に関し、具体例を挙げて説明する。
本発明における、有機トランジスタの作製において、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、酸化モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペースト及びカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、酸化モリブデン、インジウム、ITO、炭素が好ましい。又は、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体等も好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。これらの導電性材料は単独で使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。電極の膜厚は、材料によっても異なるが、好ましくは0.1nm〜10μmであり、さらに好ましくは0.5nm〜5μmであり、より好ましくは1nm〜3μmである。また、ゲート電極と基板を兼ねる場合は上記の膜厚より大きくてもよい。
【0163】
本発明の有機トランジスタに用いられるソース電極、ドレイン電極は、表面処理が施されていてもよい。本発明の薄膜(有機半導体活性層)と接触する電極表面に表面処理が施されていると、該薄膜を含む有機トランジスタのトランジスタ特性が向上する傾向があることから好ましい。表面処理としては、例えば、1−オクチルチオール、1−パーフルオロオクチルチオール、1−オクタデシルチオール、1−パーフルオロオクタデシルチオール等のチオール基を有する飽和炭化水素化合物、例えば、ベンゼンチオール、パーフルオロベンゼンチオール等のチオール基を有する芳香族化合物、例えば、チエニルチオール、パーフルオロチエニルチオール等のチオール基を有する複素環芳香族化合物等のチオール化合物をアルコールなどとともに溶液とし、上記電極を該溶液に浸漬処理するなどして上記電極の表面を修飾する方法等を挙げることができる。
【0164】
電極の形成方法としては、上記原料を用いて種々の方法で実施することができる。具体的には、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、熱転写法、印刷法、ゾルゲル法などが挙げられる。成膜時又は成膜後に、パターニングを必要に応じて行うことが好ましい。パターニングの方法としては、種々の方法を用いることができる。具体的には、フォトレジストのパターニングとエッチングを組み合わせたフォトリソグラフィー法などが挙げられる。また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、凸版印刷などの印刷法、マイクロコンタクトプリンティング法などのソフトリソグラフィーの手法なども挙げられる。これらの手法は単独で用いてもよいし、2種類以上を混合してパターニングを行うことも可能である。
【0165】
絶縁体層としては種々の絶縁膜を用いることができる。該絶縁膜の材料として、無機酸化物、無機窒化物、有機化合物等を挙げることができる。
無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられ、好ましくは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。無機窒化物としては、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。有機化合物としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合又は光カチオン重合して得られる光硬化性樹脂、アクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、シアノエチルプルランなどが挙げられ、好ましくは、ポリイミド、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコールが挙げられる。これらの絶縁体層の材料は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
絶縁体層の膜厚は、材料によっても異なるが、好ましくは0.1nm〜100μmであり、さらに好ましくは0.5nm〜50μmであり、より好ましくは5nm〜10μmである。
【0166】
絶縁体層の形成方法としては、上記原料を用いて種々の方法で実施することができる。
具体的には、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、キャスト、バーコート、ブレードコーティング、スクリーン印刷、オフセット印刷、インクジェット、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法、CVD法などのドライプロセス法が挙げられる。その他、ゾルゲル法やアルミニウム上のアルマイト、シリコンの熱酸化膜のように金属上に酸化物膜を形成する方法などが挙げられる。
【0167】
基板の材料としては、ガラス、紙、石英、セラミック、樹脂製シートなどが挙げられる。該樹脂製シートの材質としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)などが挙げられる。基板の厚さは、好ましくは1μm〜10mmであり、さらに好ましくは5μm〜5mmである。
【0168】
本発明の薄膜(以下、有機半導体活性層と記すことがある)と接触する絶縁体層や基板の部分において、絶縁体層や基板上に表面処理を行ってもよい。有機半導体活性層が積層される絶縁体層上に表面処理を行うことにより、有機トランジスタのトランジスタ特性を向上させることができる。表面処理としては、具体的には、ヘキサメチルジシラザン、オクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、フェネチルトリクロロシランなどによる疎水化処理、塩酸、硫酸、過酸化水素水などによる酸処理、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニアなどによるアルカリ処理、オゾン処理、フッ素化処理、酸素やアルゴンなどのプラズマ処理、ラングミュラー・ブロジェット膜の形成処理、その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理、機械的処理、コロナ放電などの電気的処理、繊維などを利用したラビング処理などが挙げられる。
【0169】
表面処理を行う方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法などが挙げられる。
【0170】
また、有機半導体活性層上に樹脂もしくは無機化合物からなる保護膜を設けてもよい。
保護膜の形成により、外気の影響を抑制してトランジスタの駆動を安定化することができる。
【0171】
本発明の薄膜は、化合物(1)を含有することから、高いキャリア移動度を示す。ゆえに、本発明の薄膜は、有機トランジスタにおける有機半導体活性層として有用であり、本発明の薄膜を含有する有機半導体活性層をもつ有機トランジスタは優れたトランジスタ特性を発現するものであり、有機半導体デバイスに有用なものとなる。
【実施例】
【0172】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
【0173】

【0174】
<製造例1:式Cで表される化合物(4−(2−ヘキシルデシル)アニリン)の合成>

還流管を具備した反応容器中に、切削片状のマグネシウム(0.96g、39.6mmol)とテトラヒドロフラン(5.5mL)とを混合し、該反応容器を窒素置換した後、室温(約25℃)にて、ジブロモエタン(約0.2mL)を加えた。さらに、テトラヒドロフラン(22mL)を加えたのち、1−ブロモ−2−ヘキシルデカン(10.1g、33.0mmol)を含むテトラヒドロフラン(6mL)溶液を滴下した。次に、反応容器内を加熱し、テトラヒドロフランを還流させ、還流下4時間、反応容器内を攪拌し、グリニャール試薬を調製した。
窒素雰囲気下の別の反応容器に、ZnClを1.0mol/Lの濃度で含有するジエチルエーテル溶液(シグマアルドリッチ(株)製、33.0mL、33.0mmol)に、室温にて、上記で得たグリニャール試薬を加え、2時間30分間攪拌し、グリニャール試薬のマクネシウムが亜鉛にトランスメタル化されたもの(以下、亜鉛試薬と記すことがある)を調製した。該亜鉛試薬をSynthesis、Vol.5,P.890,(2006)に準じて滴定したところ、0.204mol/Lであった。
窒素を流通させた反応容器に、4−ブロモアニリン(関東化学(株)製、3.37g、19.6mmol)、酢酸パラジウム(0.044g、0.20mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(0.16g、0.39mmol)及びテトラヒドロフラン(30mL)を混合し、得られた混合液に、室温下、該亜鉛試薬(96mL、19.6mmol)を滴下し、室温で13時間30分間攪拌した。得られた反応溶液に、塩化アンモニウム水溶液及びジエチルエーテルを加えて攪拌し、有機層と水層とに分液した。得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=8:1)によって精製することにより、式Cで表される化合物(4−(2−ヘキシルデシル)アニリン)を得た。(5.57g、17.5mmol、収率89%)
式Cで表される化合物のH−NMR(CDCl、δppm):6.92(d,J=8.1Hz,2H)、6.61(d,J=8.1Hz,2H)、3.53(s,2H)、2.41(d,J=7.0Hz,2H)、1.56−1.47(m、1H)、1.35−1.15(m、24H)、0.90−0.85(m、6H)
式Cで表される化合物のHRMS(EI):317.3071(M+).Calcd for C2239:317.3083.
【0175】
<製造例2:式Dで表される化合物(1−ヨード−4−(2−ヘキシルデシル)ベンゼン)の合成>

前項に準じて調製された4−(2−ヘキシルデシル)アニリン(8.0g、25.2mmol)とアセト二トリル176mLとの混合液に、室温下、塩酸(2M:176mL)を加えた後、−2〜0℃に冷却した。亜硫酸ナトリウム(2.26g、32.8mmol)水溶液(水25mL)を上記混合液に滴下し、さらに、−2〜0℃にて2時間攪拌した。得られた反応溶液にヨウ化カリウム(41.8g、251.9mmol)を加えた後、室温まで昇温し、室温下でさらに16時間攪拌した。その後、室温下、この反応溶液に、亜硫酸ナトリウム水溶液及び酢酸エチルを混合し、有機層と水層とに分液した。得られた有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラム(展開溶媒;ヘキサン)によって精製することにより、式Dで表される化合物(1−ヨード−4−(2−ヘキシルデシル)ベンゼン)を得た。(9.70g、22.6mmol、収率90%)
式Dで表される化合物のH−NMR(CDCl、δppm):7.57(d,J=8.1Hz,2H)、6.89(d,J=8.1Hz,2H)、2.46(d,J=7.0Hz,2H)、1.60−1.50(m、1H)、1.33−1.16(m、24H)、0.91−0.85(m、6H)
式Dで表される化合物のHRMS(EI):428.1901(M+).Calcd for C2237:428.1940.
【0176】
<製造例3:式Fで表される化合物(4−アミノ−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル)の合成>

前項で得られた式Dで表される化合物(1.0g、2.33mmol)、式Eで表される4−アミノフェニルボロン酸ピナコールエステル(東京化成工業(株)製、0.716g、3.27mmol)、2.0Mの炭酸カリウム水溶液(5.8mL)及びジオキサン(200mL)の混合液を30分間窒素バブリングした後、該混合液に、室温下、酢酸パラジウム(0.026g、0.116mmol)および2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(0.096g、0.234mmol)を加えた後、ジオキサンが還流するまで加熱し、さらに、6.5時間還流させた。その後、反応溶液を室温に冷却し、この反応溶液に、塩化アンモニウム水溶液及び酢酸エチルを混合し、有機層と水層とに分液した。得られた有機層を水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮物ををシリカゲルカラム(展開溶媒;クロロホルム)によって精製することにより、式Fで表される化合物(4−アミノ−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル)0.768g(1.95mmol、収率84%)を得た。
式Fで表される化合物のH−NMR(CDCl、δppm):7.44(d,J=8.1Hz,2H)、7.41(d,J=8.1Hz,2H)、7.16(d,J=8.1Hz,2H)、6.75(d,J=8.1Hz,2H)、3.69(s,2H)、2.53(d,J=6.8Hz,2H)、1.68−1.58(m、1H)、1.36−1.19(m,24H)、0.88(t,J=7.0Hz,6H)
式Fで表される化合物のHRMS(EI):393.3391(M+).Calcd for C2843:393.3396.
【0177】
<製造例4:式Gで表される化合物(4−アミノ−3−ブロモ−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル)の合成>

前項と同様に調製された式Fで表される化合物(4−アミノ−3−ブロモ−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル)5.30g(13.46mmol)、酢酸アンモニウム(0.104g、1.35mmol)及びアセト二トリル81mLの混合物を0℃に冷却し、N−ブロモコハク酸イミド(2.52g、14.1mmol)を加えた。次に、室温まで昇温した後、さらに2時間攪拌した。得られた反応溶液に、水及び酢酸エチルを混合し、有機層と水層とに分液した。得られた有機層を水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターにて濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルカラム(展開溶媒;ヘキサン:クロロホルム=1:1)によって精製することにより、4−アミノ−3−ブロモ−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニルを得た。(5.01g、10.6mmol、収率79%)
式Gで表される化合物のH−NMR(CDCl、δppm):7.66(d,J=1.8Hz,1H)、7.40(d,J=8.1Hz,2H)、7.35(dd,J=8.4Hz,2.1Hz,1H)、7.16(d,J=8.1Hz,2H)、6.82(d,J=8.4Hz,1H)、4.11(s,2H)、2.54(d,J=6.9Hz,2H)、1.68−1.58(m、1H)、1.34−1.18(m,24H)、0.88(t,J=6.9Hz,6H)
式Gで表される化合物のMS:471(M+).
【0178】
<製造例5:式Hで表される化合物(化合物H)の合成>

4−アミノ−3−ブロモ−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル(4.0g、8.5mmol)、アセト二トリル(59mL)及び塩酸水溶液(2M:59.3mL)を混合し、0℃まで冷却した。冷却された混合液に、亜硝酸ナトリウム(0.76g、11.0mmol)水溶液(水12mL)を滴下し、0〜1℃にて2時間攪拌し、続いて、同温度にてヨウ化カリウム(14.1g、84.6mmol)を加えた後、室温(約25℃)まで昇温させ、室温にて18時間攪拌した。室温下、得られた溶液を亜硫酸ナトリウム水溶液に注ぎ込み、酢酸エチルを加え、水および飽和食塩水により洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、エバポレーターにて濃縮することにより粗生成物を得た。これをシリカゲルカラム(展開溶媒;ヘキサン)によって精製することにより、3−ブロモ−4−ヨード−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル(化合物H、3.06g、5.24mmol、収率62%)を得た。
化合物Hの物性は以下のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δppm):7.88(d,J=8.4Hz,1H)、7.85(d,J=2.1Hz,1H)、7.44(d,J=8.1Hz,2H)、7.23−7.20(m,3H)、2.56(d,J=6.9Hz,2H)、1.67−1.59(m、1H)、1.32−1.21(m,24H)、0.88(t,J=6.9Hz,6H)
HRMS(EI):582.1348(M+).Calcd for C2840Br:582.1358.
【0179】
<製造例6:式Iで表される化合物(化合物I)の合成>

室温下、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.024g、0.034mmol)、ヨウ化銅(0.013g、0.07mmol)、3−ブロモ−4−ヨード−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル(化合物H、2.67g、4.58mmol)、トルエン(14mL)およびジイソプロピルアミン(14mL)の混合物を20分間窒素バブリングして脱気し、続いて、トリメチルシリルアセチレン(0.36g、3.7mmol)のジイソプロピルアミン(5mL)溶液を室温にて滴下し、室温にてさらに3時間攪拌した。得られた反応混合物をセライトでろ過し、得られた濾液をエバポレーターにより溶媒を留去し、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)により精製することにより3−ブロモ−4−エチニルトリメチルシリル−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニルを得た(化合物I 1.92g、3.47mmol、76%)。
化合物Jの物性は以下のとおり。
H−NMR(CDCl、δppm):7.82(d,J=1.2Hz,1H)、7.53(d,J=8.1Hz,1H)、7.48−7.45(m,3H)、7.21(d,J=7.8Hz,2H)、2.56(d,J=6.9Hz,2H)、1.68−1.59(m、1H)、1.34−1.21(m,24H)、0.90−0.85(m,6H)、0.29(s,9H)
HRMS(EI):552.2798(M+).Calcd for C3349BrSi:552.2787.
【0180】
<製造例7:式Jで表される化合物(化合物J)の合成>

窒素気流下、3−ブロモ−4−エチニルトリメチルシリル−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル(化合物I、2.43g、4.39mmol)をテトラヒドロフラン(12mL)およびメタノール(12mL)に溶解させた。得られた溶解液に、室温にて炭酸カリウム(0.061g、0.439mmol)を加え、さらに15時間30分攪拌した。得られた反応生成物からエバポレーターにより溶媒を留去し、粗生成物を得た。粗生成物に飽和塩化アンモニウム水溶液およびエーテルを加え、分液した。得られた有機層を水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、エバポレーターでエーテルを留去することにより、3−ブロモ−4−エチニル−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニルを得た(化合物J、2.11g、4.38mmol、収率99%)。
化合物Jの物性は以下のとおり。
H−NMR(CDCl、δppm):7.83(d,J=1.5Hz,1H)、7.57(d,J=8.1Hz,1H)、7.49(dd,J=7.8,1.8Hz,1H)、7.47(d,J=8.1Hz,2H)、7.22(d,J=8.1Hz,2H)、3.41(s、1H)、2.57(d,J=6.9Hz,2H)、1.67−1.59(m,1H)、1.31−1.21(m,24H)、0.88(t,J=6.9Hz,6H)
HRMS(EI):480.2385(M+).Calcd for C3041Br:480.2392.
【0181】
<製造例8:式Kで表される化合物(化合物K)の合成>

テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA、0.06mL、0.42mmol)、ヨウ化銅(0.04g、0.208mmol)及びアセトンを含む溶液(16mL)を室温にて、空気でバブリングし、バブリングしている該溶液に、3−ブロモ−4−エチニル−4’−(2−ヘキシルデシル)ビフェニル(化合物J、2.0g、4.2mmol)を含むアセトン溶液(2mL)を滴下した。続いて、室温にて空気バブリングしながら、さらに18時間攪拌した。得られた反応溶液からエバポレーターにて溶媒を留去し、得られた残渣に1M塩酸及びヘキサンを加えた。得られたヘキサン層を水および飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した後、ヘキサンを留去し粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて精製することで、式Kで表される化合物(化合物K)の白色粉末 1.85g(1.92mmol、収率93%)を得た。白色粉末の物性は以下のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δppm):7.85(d,J=1.5Hz,2H)、7.62(d,J=8.1Hz,2H)、7.52(dd,J=8.1,1.5Hz,2H)、7.48(d,J=8.1Hz,4H)、7.23(d,J=8.1Hz,4H)、2.57(d,J=6.9Hz,4H)、1.69−1.59(m、2H)、1.36−1.20(m,48H)、0.88(t,J=6.9Hz,12H)
HRMS(EI):958.4563(M+).Calcd for C6080Br:958.4627.
【0182】
<製造例9:式Lで表される化合物(化合物L)の合成>

窒素雰囲気下、製造例8で得られた化合物K(200mg、0.208mmol)及びテトラヒドロフラン(5mL)を混合し、−78℃まで冷却した。同温度にて得られた混合液にt−BuLiを1.59M含むペンタン溶液を0.58mL(t−BuLiとして0.916mmol)を滴下し、同温度にてさらに1時間攪拌し、続いて、硫黄粉末(29mg、0.916mmol)を加えた後、同温度にて5分間攪拌した。その後、緩やかに室温まで昇温しそのまま2時間攪拌した。別途、窒素バブリングした1M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)とKFe(CN)(0.41g、1.2mmol)とを、得られた反応溶液に加えて攪拌した後、分液し、得られた有機層をエバポレーターにより濃縮した。濃縮残渣を水および飽和食塩水で洗浄し、クロロホルムにより抽出、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレーターにより溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて精製することにより、式Lで表される化合物を91mg(化合物L、0.098mmol、47%)。
H−NMR(CDCl、δppm):8.05(d,J=1.2Hz,2H)、7.85(d,J=8.4Hz,2H)、7.72(dd,J=8.1,1.5Hz,2H)、7.59(d,J=8.4Hz,4H)、7.26(d,J=8.1Hz,4H)、2.59(d,J=6.9Hz,4H)、1.71−1.63(m,2H)、1.33−1.24(m,48H)、0.88(t,J=6.6Hz,12H)
HRMS(EI):928.5136(M+).Calcd for C6080:928.5143.
【0183】
<実施例1:式Mで表される化合物(化合物M)の合成>

窒素雰囲気下、化合物L(82mg、0.088mmol)、ビス(1、5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)(27mg、0.145mmol)およびトリフェニルホスフィン(51mg、0.19mmol)にトルエン(6ml)加え、室温にて1時間攪拌した。得られた反応溶液を120℃まで昇温し、同温度にて10時間攪拌した後、室温まで冷却し、冷却液をセライト濾過した。トルエンを用いてセライトを洗浄し、ろ液をエバポレーターにて濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン)にて精製することにより、式Mで表される化合物(化合物M、51mg、0.057mmol、65%)を得た。化合物Mの物性は以下のとおりであった。
H−NMR(CDCl、δppm):8.11(d,J=0.9Hz,2H)、7.93(d,J=8.4Hz,2H)、7.71(dd,J=8.4,1.5Hz,2H)、7.60(d,J=8.4Hz,4H)、7.26(d,J=8.4Hz,4H)、2.59(d,J=6.9Hz,4H)、1.71−1.62(m、2H)、1.33−1.21(m,48H)、0.90−0.86(m,12H)
HRMS(EI):896.5423(M+).Calcd for C6080:896.5422.
【0184】
<実施例2:薄膜及び該薄膜を有機半導体層とする有機トランジスタの製造例1>
実施例1で製造される化合物Mをo−キシレンに溶解して、化合物Mの濃度が0.3重量%の有機溶液を調製する。
フェネチルトリクロロシラン処理が行われているSiO熱酸化膜付きnドープシリコンウエハー上に、有機溶液を滴下してスピンコート法により化合物Mからなる薄膜を形成する。
続いて、ソース電極及びドレイン電極を形成するための金属マスクを有機半導体層の面に置き、膜厚40nmの金の層を真空蒸着により該有機半導体層上に成膜して、ソース電極及びドレイン電極を形成し、図2に示すような有機トランジスタを製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明によれば、新規な有機半導体材料が提供可能である。
【符号の説明】
【0186】
11 基板
12 ゲート電極
13 ゲート絶縁膜
14 ソース電極
15 ドレイン電極
16 有機半導体活性層
21 基板
22 ソース電極
23 ドレイン電極
24 ゲート絶縁膜
25 ゲート電極
26 有機半導体活性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)

(式中、Eはそれぞれ独立に、硫黄またはセレン原子を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水素原子、分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基を表す。前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基の合計炭素数は9〜30であり、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基は、置換基を有していてもよい。前記の分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基の合計炭素数は7〜30であり、前記の分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
及びRの少なくとも一方は、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、前記の分岐状のアルキル基を有するヘテロアリール基である。)
で表される置換ベンゾカルコゲノアセン化合物。
【請求項2】
式(1)におけるEが、全て硫黄原子であることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
式(1)におけるR及びRが、それぞれ独立に、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、水素原子であることを特徴とする請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
式(1)におけるR及びRが、それぞれ独立に、分岐状のアルキル基を有するアリール基であることを特徴とする請求項1又は2記載の化合物。
【請求項5】
式(1)で表される化合物が、式(2)

(式中、E、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
式(2)におけるEが、全て硫黄であることを特徴とする請求項5記載の化合物。
【請求項7】
式(2)におけるR及びRが、それぞれ独立に、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基、又は、水素原子であることを特徴とする請求項5又は6記載の化合物。
【請求項8】
式(2)におけるR及びRが、いずれも、前記の分岐状のアルキル基を有するアリール基であることを特徴とする請求項5又は6記載の化合物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか記載の化合物を含有する薄膜。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか記載の化合物からなる薄膜。
【請求項11】
請求項9又は10記載の薄膜を含有する有機半導体デバイス。
【請求項12】
請求項9又は10記載の薄膜を含有する有機トランジスタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−158581(P2012−158581A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65386(P2011−65386)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】