説明

能動型防振支持装置

【課題】車両のエンジンを支持し周期的な伸縮運動によりエンジンから車体に伝達される振動を抑制する能動型防振支持装置について、振動の抑制効果に優れ、かつ小型化することが可能な能動型防振支持装置を提供する。
【解決手段】導線が稠密に巻回され通電すると励磁するコイル46と、前記コイル46のの励磁/消磁に従い変位して前記伸縮運動を導く可動コア54と、を備え、巻回している前記導線の一層分厚みの自然数倍の段差幅m,nを有し前記内周面の開口方向に拡径するように前記導線が巻回している段差面62aとを、備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンを支持するとともに、周期的な伸縮運動により前記エンジンから車体に伝達される振動を抑制する能動型防振支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを車体に対して支持するとともに、このエンジンの振動状態に応じた電流をコイルに通電しアクチュエータを伸縮させて、エンジンから車体に向かう振動の伝達を抑制する能動型防振支持装置が、例えば特許文献1に開示されている。
この特許文献1に開示されている能動型防振支持装置は、装置の大型化を抑制しつつ伸縮運動の出力向上を目的とし、伸縮運動を導く可動コアに臨むコイルの内周面が開口方向に拡径する円錐面を備える構成となっている。
このように構成されることにより、コイルを大きくすることなく導線の巻数を増やすことができ、コイル電流から誘導される磁力線を増加させて、伸縮運動の出力の向上を図ることができる。
【特許文献1】特開2007−57074号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記したようにコイルの開口付近に円錐面を設ける場合、図4(a)に示すように、当該円錐面の近傍において巻回されるコイル配列の規則性が乱れてしまう。この場合、可動コアを貫く磁力線の密度が不均一になり、能動型防振支持装置の周期的な伸縮運動に乱れが生じ、車体への伝達振動の抑制効果が減少する問題がある。
また、図4(b)に示すように、コイル配列が不規則にならないように導線を稠密配置すると、当該円錐面の斜面の角度は30degの一定に限定されてしまう。この円錐面の傾斜角が30degであることは、前記した可動コアを貫く磁力線の増加を多く見込むことができないために、伸縮運動の出力向上が期待できない問題がある。
【0004】
本発明は、前記した問題を解決することを課題とし、周期的な伸縮運動の出力及び均一性を向上させることにより、エンジンから車体に伝達される振動の抑制効果に優れる能動型防振支持装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために本発明は、エンジンを支持するとともに伸縮運動により前記エンジンから車体に伝達される振動を抑制する能動型防振支持装置において、導線が稠密に巻回され通電すると励磁するコイルと、前記コイルの内周面を臨む位置に配置されこのコイルの励磁/消磁に従い変位して前記伸縮運動を導く可動コアと、を備え、巻回している前記導線の一層分厚みの自然数倍の段差幅を有し前記内周面が開口方向に拡径するように前記導線が巻回している段差面とを、備えることを特徴とする。
さらに、前記段差面は、前記導線が巻回する軸体と、前記コイルの両端面が保持されるフランジ板と、の連結部分に設けられ、これらが一体に樹脂成形されたコイルボビンを形成していることを特徴とする。
【0006】
このように発明が構成されることにより、コイルの内周面に開口方向へ拡径するように巻回されている導線は、配列が不規則にならないために、可動コアを貫く磁力線の密度が均一化する。さらにコイルの内周面の開口付近に傾斜角の大きな斜面を設定することができるために、可動コアを貫く磁力線の増加が見込め、伸縮運動の出力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、エンジンから車体に伝達される振動の抑制効果に優れ、かつ小型の能動型防振支持装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1に示すように、能動型防振支持装置Mは、軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、略円筒状の上部ハウジング11と、その下側に配置された略円筒状の下部ハウジング12と、下部ハウジング12内に収容されて上面が開放した略カップ状のアクチュエータケース13と、上部ハウジング11の上側に接続したダイヤフラム22と、上部ハウジング11内に格納された環状の第1弾性体支持リング14と、第1弾性体支持リング14の上側に接続した第1弾性体19と、アクチュエータケース13に収容された環状の第2弾性体支持リング15と、第2弾性体支持リング15の内周側に接続した第2弾性体27と、アクチュエータケース13に収容され第2弾性体支持リング15及び第2弾性体27の下方に配置された駆動部(アクチュエータ)41等から構成されている。
このように構成される能動型防振支持装置Mは、エンジンを支持するとともに、駆動部41の周期的な伸縮運動によりエンジンから車体に伝達される振動を抑制するものである。
【0009】
上部ハウジング11下端のフランジ部11aと、下部ハウジング12の上端のフランジ部12aとの間に、アクチュエータケース13の外周のフランジ部13aと、第1弾性体支持リング14の外周部14aと、アクチュエータケース13内の上部側に配置された環状断面が略コの字型で上下に外周部を有する第2弾性体支持リング15の上面外周部15aとが重ね合わされてカシメにより結合される。このとき、フランジ部12aとフランジ部13aとの間に環状の第1フローティングラバー16を介在させ、かつフランジ部13aの上面と第2弾性体支持リング15の上面外周部15a下面との間に環状の第2フローティングラバー17を介在させることで、アクチュエータケース13は、上部ハウジング11及び下部ハウジング12に対して上下方向に相対移動可能にフローティング支持される。
【0010】
第1弾性体支持リング14と、第1弾性体19の上面側に設けられた凹部内に配置された第1弾性体支持ボス18とは、厚肉のラバーで形成された第1弾性体19の下端及び上端で、加硫接着によって接合されている。更に、第1弾性体支持ボス18の上面にダイヤフラム支持ボス20がボルト21で固定されており、ダイヤフラム支持ボス20に内周部を加硫接着によって接合されたダイヤフラム22の外周部が、上部ハウジング11に加硫接着により接合されている。
ダイヤフラム支持ボス20の上面にはエンジン取付部(作用点)20aが一体に形成され、図示しないエンジンに固定される。また、下部ハウジング12の下端の車体取付部12bが図示しない車体フレームに固定される。
【0011】
上部ハウジング11の上端のフランジ部11bには、ストッパ部材23の下端のフランジ部23aがボルト24及びナット25で結合されており、ストッパ部材23の上部内面に取り付けたストッパラバー26に、ダイヤフラム支持ボス20の上面に突設したエンジン取付部20aが当接可能に対向する。
このような構造によって、能動型防振支持装置Mにエンジンから大きな荷重が入力したとき、エンジン取付部20aがストッパラバー26に当接することで、エンジンの過大な変位が抑制される。
【0012】
第2弾性体支持リング15の内周面には、膜状のラバーで形成された第2弾性体27の外周部が加硫接着により接合されており、第2弾性体27の中央部にその上部が埋め込まれるように可動部材28が加硫接着により接合される。
【0013】
そして、第2弾性体支持リング15の上面と第1弾性体支持リング14の下部との間に円板状の隔壁部材29が固定されており、第1弾性体支持リング14、第1弾性体19及び隔壁部材29により区画された第1液室30と、隔壁部材29及び第2弾性体27により区画された第2液室31とが、隔壁部材29の中央に開口している連通孔29aを介して相互に連通する。
【0014】
第2弾性体27の外周部27aは、第2弾性体支持リング15の下面と後記するヨーク44との間に挟持され、シール機能を有するようになっている。
また、第1弾性体支持リング14と上部ハウジング11との間に環状の連通路32が形成されている。連通路32は連通孔33を介して第1液室30に連通するとともに、環状の連通間隙34を介して、第1弾性体19とダイヤフラム22により区画された第3液室35に連通する。
【0015】
駆動部41は、主に透磁率が高い金属又は合金からなる固定コア42、コイル組立体43、ヨーク44、可動コア54等から構成されている。
【0016】
固定コア42は、下端部に受け座面のフランジ部を有する略円筒状で、円筒部の外周は円錐の周面形状をしている。
可動コア54は略円筒状で上端が内周方向に突き出てばね座54aを形成し、ばね座54aより下部の円筒部の内周は円錐の周面形状をしている。
【0017】
コイル組立体43は、固定コア42及びヨーク44間に配置され、コイル46と、このコイル46を保持するコイルボビン62と、コイル46の側周面を覆うコイルカバー47と、で構成される。
コイルカバー47は、コイル46を保持した状態のコイルボビン62を、合成樹脂でモールドしたものである。そして、このコイルカバー47と一体に形成されているコネクタ48は、下部ハウジング12及びアクチュエータケース13を貫通して外部に延出し、その開口端にはコイル46に給電する給電線が接続されている。
【0018】
ヨーク44は、フランジ付き円筒の形状となっており、この円筒部の内周面には、薄肉円筒状の軸受け部材51が上下方向に摺動自在に嵌合しており、この軸受け部材51の上端は径方向内向きにフランジ状に折り曲げられ、下端は径方向外向きにフランジ状に折り曲げられている。
軸受け部材51の下端とヨーク44の円筒部の下端との間には、セットばね52が圧縮状態で配置されており、このセットばね52の弾性力で軸受け部材51を下方に付勢して固定コア42の上面に押し付けている。
【0019】
軸受け部材51の内周面には、略円筒状の可動コア54が上下方向に摺動自在に嵌合する。更に、固定コア42及び可動コア54はそれぞれ対称軸L上の中心部が中空になっており、そこに前記した可動部材28の中心部(対称軸L上)に接続して下方に伸びる略円柱状のロッド55が挿通されている。ロッド55の下端部にはナット56が締結される。ナット56は、中心部に上端が開口した中空部を有し、その中空部にロッド55の下端側を収容している。ナット56の上端部は、その下方よりもやや外径が大きく、可動コア54に接している。
【0020】
また、可動コア54の上面と可動部材28の下面との間には、圧縮状態のセットばね58が配置され、このセットばね58の弾性力で可動コア54は下方に付勢され、可動コア54がナット56の上面に押し付けられて固定される。この状態で、可動コア54の円筒部の円錐の周面形状の内周面と、固定コア42の円錐の周面形状の外周面とが、円錐の周面状のギャップg1を介して対向している。
ロッド55に対し、ナット56は上下方向に位置を調整可能に締結されており、ゴム製のキャップ60で空間が閉塞されている。
【0021】
クランクパルスセンサSaは、エンジン内の図示しないクランクシャフトの1回転につき複数回、つまり、一定のクランクアングル毎に1回出力されるクランクパルスを検出するものである。
電子制御ユニット71は、クランクパルスセンサSaからクランクパルス信号及びカム角センサSbからのTDC信号に基づいてエンジンの振動状態を推定し、駆動部41に供給する通電を制御するものである。
【0022】
電子制御ユニット71からの通電制御により、コイル46は励磁され、可動コア54を吸引して可動部材28を下方側に移動させる。この可動部材28の移動に伴い、第2液室31を区画する第2弾性体27が下方に変形して第2液室31の容積が増加する。逆に、コイル46を消磁すると、第2弾性体27が自己の弾性により上方に変形し、可動部材28及び可動コア54が上昇し、第2液室31の容積が減少する。
【0023】
ここで、車両の走行中に低周波数(例えば、7〜20Hz)のエンジン、車体、サスペンションの連成系において車体の剛体振動とエンジン系の共振により発生する低周波振動であるエンジンシェイク振動が発生したとする。このとき、エンジンからダイヤフラム支持ボス20及び第1弾性体支持ボス18を介して入力される荷重で第1弾性体19が変形して第1液室30の容積が変化すると、連通路32を介して接続された第1液室30及び第3液室35の間で液体が流通する。
【0024】
この状態で、第1液室30の容積が拡大・縮小すると、それに応じて第3液室35の容積は縮小・拡大するが、この第3液室35の容積変化はダイヤフラム22の弾性変形により吸収される。このとき、連通路32の形状及び寸法、並びに第1弾性体19のばね定数は、前記エンジンシェイク振動の周波数領域で低ばね定数及び高減衰力を示すように設定されているため、エンジンから車体フレームに伝達される振動を効果的に低減することができる。
なお、前記エンジンシェイク振動の周波数領域では、エンジンが定常回転の場合は、駆動部41は駆動しない非作動状態に保たれる。
【0025】
前記エンジンシェイク振動よりも周波数の高い振動、すなわちエンジンの図示しないクランクシャフトの回転に起因するアイドル時の振動や、エンジンの気筒の一部を休止してエンジンを駆動する気筒休止運転時の振動が発生した場合、第1液室30及び第3液室35を接続する連通路32内の液体はスティック状態になって防振機能を発揮できなくなるため、能動型防振支持装置Mの駆動部41を駆動して防振機能を発揮させる。
【0026】
ちなみに、アイドル振動は、アイドル回転状態でフロア、シート及びステアリング・ホイールが低周波振動を起こすもので、ブルブル振動は4気筒エンジンで、例えば、20〜35Hz、6気筒エンジンで、例えば30〜50Hzであり、ユサユサ振動は5〜10H
zで燃焼不均一にて発生し、エンジンのロール振動が主な要因である。
【0027】
次に、図1と、図2に示される段差面62aの部分を拡大したコイルボビン62の断面図を参照しつつ、コイル組立体43の構成要素であるコイルボビン62及びこれに保持されるコイル46について詳細に説明する。
コイルボビン62は、中空円筒である軸体63の両端に、一対のフランジ板64が対向するように設けられ、対称軸L(図1参照)に対して実質的に軸対称な構造を有するものである。そして、このコイルボビン62の内周面は、軸体63に外接し、この軸体63の内周面を臨む位置に可動コア54(図1参照)が軸受け部材51を介して配置されている。
【0028】
このコイルボビン62における可動コア54の配置が片寄る側の開口には、円錐状のテーパ面62bが設けられている。このテーパ面62bは、軸体63の内周面からフランジ板64の外側面にわたる連続面を形成し、この連続面は、ヨーク44の円錐面44a(図3(a)参照)に密接する部分となる。
また、コイルボビン62の材質は、非磁性の例えば、樹脂成形されたものであるのが好適である。
【0029】
軸体63には、その軸周りに導線61が稠密に巻回している。ここで稠密とは、図2(a)に示されるコイル46の断面視において、軸周りに層状に構成される導線61が、対称軸L方向に半径分ずれながら積層している状態を指す。これにより、コイル46を環状に流れる電流密度を向上させることができる。
フランジ板64は、このように稠密に積層している導線61の両端を規定するもので、コイル46の両端面を保持することになる。
【0030】
テーパ面62bの反対面には、段差面62aが設けられている。この段差面62aのコイル46の径方向の段差幅nは、巻回している導線61の一層分厚みの自然数倍(図では2倍)となっている。さらに、この段差面62aの対称軸Lの斜め30度方向の段差幅mも、導線61の一層分厚みの自然数倍(図では2倍)となっている。
このように、段差面62aが構成されることにより、導線61は、その稠密性が損なわれることなく全周にわたって巻回されることになる。
さらに、段差幅m,nを任意に変更することにより、テーパ面62bの傾斜角θを30degよりも大きく設定し、かつ導線61を開口方向に拡径するように稠密に巻回することが可能になる。
【0031】
図2(b)は、他の実施形態を示したもので、導線の断面が正六角形を有している導線61´である点において、図2(a)の場合と相違する。この場合は、コイルボビン62に導線61´を巻回するときに、この導線61´に与える張力を高めに設定して、導線61´が互いに接する部分において塑性変形させたものである。これにより、導線61´の稠密度がさらに向上し、コイル46を環状に流れる電流密度をさらに向上させることができる。
図2(b)の場合、導線61´の一層分厚みを、図2(a)よりも薄くすることが可能であり、段差幅m,nの設定値は、導線61´の伸びも考慮して適宜設定されることになる。
【0032】
図3(a)は、通電により励磁したコイル46(図示略)が、その周囲に誘導する磁力線を示している。このコイル46の周囲に配置されている、固定コア42、アクチュエータケース13、ヨーク44、可動コア54は、鉄等の強磁性体で構成されているために、これらは、励磁したコイル46(図2参照)に磁化されて磁気回路が形成される。
ここで、ヨーク44の円錐面44aは、コイルボビン62のテーパ面62b(図2(a)参照)に密接する部分であるために、同じ傾斜角θが設定される(θ>30deg)。
なお、ヨーク44と可動コア54との境界が成すギャップg2部分には、軸受け部材51(図1参照)が配置されているが、図3においては記載を省略している。
【0033】
図3(b)は比較例であって、前記した図4(b)に示されるように段差面を用いずに導線を稠密配置させた場合(傾斜角θ=30deg)を示したものである。
ここで、図3(a)の実施例、及び図3(b)の比較例を対比すると、実施例では、(傾斜角θが大きいことに起因して、磁気回路の磁路長が短縮され、さらにヨーク44と可動コア54とが相対変位するギャップg2の近傍の磁力線の直交断面が拡大している。これにより、磁気回路の磁気抵抗が大幅に減少するために、誘導される磁力線が増加し、コイル46の励磁/消磁に従い可動コア54が変位することにより伸縮運動する能動型防振支持装置Mの出力が向上することになる。
【0034】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
例えば、実施形態では段差面62aは、非磁性体のコイルボビン62に設けられているものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、コイル46が磁気回路を形成する磁性部材(例えばヨーク44)に直接巻回されるものであれば、この磁性部材に段差面62aが設けられていてもよい。
また、実施形態では段差面62aは、能動型防振支持装置Mの天地方向の上側に拡径するように設けられていたが、下側に拡径するように設けられる場合もある。
さらに、段差面62aの段差幅m,nは、それぞれ導線61の一層分厚みの2倍のものを例示したが、傾斜角θを30deg以上に設定することができれば、一層分厚みの任意の自然数倍で設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る能動型防振支持装置の縦断面図である。
【図2】(a)は実施形態に係る能動型防振支持装置において、コイルを保持したコイルボビンの段差面部分の拡大断面図であり、(b)は他の実施例を示している。
【図3】(a)は実施形態に係る能動型防振支持装置において、ヨークの円錐面の傾斜角θを大きく(>30deg)設定した場合にコイルに誘導される磁力線を示す図であり、(b)は比較例として傾斜角θを30degに設定した場合にコイルに誘導される磁力線を示す図である。
【図4】(a)は従来例において、コイルの内周面の開口部分に所望する傾斜角θ(>30deg)の円錐面を設けると、当該円錐面の近傍のコイル配列の規則性が乱れる状態を示しており、(b)はそのようなコイル配列の規則性を求める場合は円錐面の傾斜角θは30degに限定されてしまうことを示している。
【符号の説明】
【0036】
41 駆動部
42 固定コア
43 コイル組立体
44 ヨーク
44a 円錐面
46 コイル
51 軸受け部材
54 可動コア
61 導線
62 コイルボビン
62a 段差面
L 対称軸
M 能動型防振支持装置
Sa クランクパルスセンサ
Sb カム角センサ
m 段差幅
n 段差幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを支持するとともに伸縮運動により前記エンジンから車体に伝達される振動を抑制する能動型防振支持装置において、
導線が稠密に巻回され通電すると励磁するコイルと、
前記コイルの内周面を臨む位置に配置されこのコイルの励磁/消磁に従い変位して前記伸縮運動を導く可動コアと、
巻回している前記導線の一層分厚みの自然数倍の段差幅を有し前記内周面の開口方向に拡径するように前記導線が巻回している段差面とを、備えることを特徴とする能動型防振支持装置。
【請求項2】
前記段差面は、前記導線が巻回する軸体と、前記コイルの両端面が保持されるフランジ板と、の連結部分に設けられ、これらが一体に樹脂成形されたコイルボビンを形成していることを特徴とする請求項1に記載の能動型防振支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−107000(P2010−107000A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281656(P2008−281656)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】