説明

自動アナライザにおいて反応キュベットを格納するためのマガジン

自動臨床アナライザで使用される複数の反応キュベットを解放自在に格納するマガジンであって、湾曲した前面、背面を有するほぼ矩形の保管セルと、保管セル内に設けた多数の保管シュートとを含み、各シュートが、内部に積み重ねた反応キュベットを保持するようなサイズとなっているマガジンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の生物流体、たとえば尿、血清、血漿、脳脊髄液などを自動的に分析するため装置に関する。特に、本発明は、セキュリティ機構を備え、分析装置において反応キュベットを解放自在に格納するための移動可能な閉鎖体を備えるマガジンを提供する。
【背景技術】
【0002】
患者の感染部、体液または膿瘍部のサンプルの分析測定によって患者の診断および治療に関連した種々タイプの検査を実施できる。このような患者サンプルは、代表的には、サンプル・バイアルに入れられ、バイアルから抽出され、特殊な反応キュベットまたは反応チューブ内で種々の試薬と混ぜ合わされ、培養されてから分析され、患者の治療の助けとする。代表的な臨床化学分析では、1つまたは2つの分析試薬を、別々の時刻に、既知の濃度を有する液体サンプルに添加し、このサンプルと試薬の組み合わせを混合して培養する。検査用測定、濁度または蛍光度または吸収度の読み取り等を行って終末点値または終末率値を確定し、この値から周知の較正技術を使用して被検物質量を決定できる。
【0003】
サンプルの化学的、免疫化学的、生物学的な検査のためには種々の公知の臨床アナライザが利用できるが、分析臨床技術は、今、分析レベルの向上を迫られている。報告価値のある結果当たりのコストを減らすよう臨床検査室への圧力が高まっていることにより、自動臨床アナライザの総コストパフォーマンスの向上が絶えず必要である。特に、サンプル分析は、どんな反応評価分析にとっても消耗品を減らしたりアナライザ処理量を高めたりするという観点から絶えず費用効果を高めることが要求されている。
【0004】
報告価値のある結果当たりのコストを減らすのに貢献する1つの要因は、頻繁な作業者介入を必要とすることなく反応キュベットにおいて数多くの反応評価分析を実施するという能力である。したがって、反応評価分析を実施するための反応キュベットを自動的に提供することができるように大量の反応キュベットを自動アナライザが保有することが重要である。特に、本発明は、アナライザ上に位置決めしたり、アナライザから取り出したりすることに関わらず、キュベットを確実に格納する特徴を有するキュベット・マガジンを提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主目的は、自動臨床アナライザで使用するために反応キュベットを格納し、移送し、目録記入するためのキュベット・マガジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このキュベット・マガジンは、複数の水平に配置した反応キュベットを保管するようなサイズとなっており、レール・タブ機構によってアナライザ内に整列して固定される多数の保管シュートを含む。キュベット・マガジンは、さらに、それがアナライザに取り付けられたときにはいつでも自動的に開いて反応キュベットがそこを通ってアナライザ上へ移動できる開口部を与えるようになっている閉鎖体を含む。この閉鎖体は、また、キュベット・マガジンがアナライザから取り出されるときはいつでも自動的に閉じてマガジン内に収容されている反応キュベットを固定するようにもなっている。アナライザは、代表的には、評価分析反応キュベットを保持するための、円周方向に段階的な移動を行う円形の回転可能な評価分析反応回転コンベヤを含む。この段階的な移動は静止停止時間を間に挟んでおり、この停止時間中に、洗浄ステーションが洗浄、乾燥作業を行って反応キュベットを清掃できる。この洗浄ステーションを有利に使用できるアナライザは、代表的には、複数の在来型の評価分析操作ステーションを有する。これらの評価分析操作ステーションのところには、センサ、試薬添加ステーション、混合ステーション、分離ステーション、測定ステーションなどのような個々の評価分析装置が設置されている。
【0007】
図1は、本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
図2は、図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
図3は、図1のアナライザで使用できる自動アリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
図4は、図1のアナライザで使用できるアリコート容器アレイの斜視図である。
図5は、図1のアナライザで使用できる代表的な反応キュベットの斜視図である。
図6は、本発明のキュベット・マガジンの概略正面図である。
図7は、摺動式ゲート閉鎖体を示している本発明のキュベット・マガジンの正面斜視図である。
図7Aは、ヒンジ止め式ゲート閉鎖体を示している本発明のキュベット・マガジンの正面斜視図である。
図8は、図7のキュベット・マガジンの背面斜視図である。
図9は、図6のキュベット・マガジンの頂面図である。
図10は、図6のキュベット・マガジンの底面図である。
図11は、排出位置にある図5の反応キュベットを示している図6のキュベット・マガジンの正面図である。
図12は、閉じた摺動ゲートと共に図7のキュベット・マガジンの足部を示す拡大正面図である。
図13は、摺動ゲートを取り出した図7のキュベット・マガジンの足部の拡大正面図である。
図14は、図12の摺動ゲートの斜視図である。
図15は、図6のキュベット・マガジンと共に使用するようになっているキュベット装填ステーションの概略頂面図である。
図16は、摺動ゲート閉鎖体と共に用いるのに適した、図1のアナライザのガイド・ポストの側面図である。
図17は、ヒンジ式ゲート閉鎖体と共に用いるのに適した、図1のアナライザのガイド・ポストの側面図である。
【0008】
図1は、図2と共に、本発明を有利に実行できる自動化学アナライザ10の諸要素を概略的に示している。このアナライザ10は、キュベット・ポート20を有する外側キュベット回転コンベヤ14と、容器ポート22を有する内側キュベット回転コンベヤ16とを支持している反応回転コンベヤ12を含む。外側キュベット回転コンベヤ14と内側キュベット回転コンベヤ16は開放溝18によって分離されている。キュベット・ポート20は、在来の臨床評価分析および免疫測定評価分析のための種々の試薬およびサンプル液を収容している複数の反応キュベット24を受け入れるようになっている。一方、容器ポート22は、超高感度発光免疫測定専用の試薬を収容している複数の反応容器25を受け入れるようになっている。反応回転コンベヤ12は、一定方向に段階的に移動するように回転可能である。この段階的移動は一定の停止時間によって分けてあり、この停止時間中、回転コンベヤ12は静止状態に保たれ、センサ、試薬添加ステーション、混合ステーションなどのようなコンピュータ制御式の評価分析操作装置13が、必要に応じて、キュベット24内に収容されている評価分析混合物に作用する。
【0009】
アナライザ10は、イリノイ州ディアフィールドのDade Behring Inc.の販売しているDimension(登録商標)臨床化学アナライザで使用されており、コンピュータ・ベースの電気機械制御プログラミングの分野で当業者によって広く使用されているような機械言語で書かれたコンピュータ・プログラムに基づいてコンピュータ15が実行するソフトウェアによって制御される。コンピュータ15は、アナライザ10内の種々の分析装置17によって行われる評価分析を実施するためのアプリケーション・ソフトウェア・プログラムも実行する。
【0010】
温度制御される試薬保管領域26、28が、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号09/949,132に記載されているように、複数の細長い多区画試薬カートリッジ30を格納しており、これらの試薬カートリッジは、所与の評価分析を実施する必要に応じてウェル32内に試薬を収容している。
【0011】
入力レーン34Aおよび出力レーン34Bを有する双方向装入・送出サンプル・チューブ移送システム36が、試験しようとしている検体液を収容し、サンプル・チューブ・ラック42内に装着された個々の装入サンプル・チューブ40を液体サンプル採取アーム44のサンプル採取円弧内へ移送する。サンプル・チューブ40に収容された検体液は、そこに記録されたバーコード記号を在来のバーコードリーダを用いて読み取ることによって識別され、項目の中でも特に患者の身元、実施されるべき検査、サンプルをアナライザ10内に保持することを望んでいるかどうか、その場合にどのくらいの期間保持したいのかという諸点を決定する。また、サンプル・チューブ・ラック42上にバーコード記号を設け、アナライザ10全体にわたって据え付けた多数のバーコードリーダを使用してサンプル・チューブ40およびサンプル・チューブ・ラック42の位置を確認、制御、追跡することも普通の実務である。
【0012】
サンプル採取アーム44は、回転可能シャフト48に装着された液体サンプル採取プローブ46を支持しており、サンプル採取アーム44の動きは、サンプル・チューブ移送システム36および図3に示すようなアリコート容器アレイ移送システム50を横切る円弧を描く。サンプル採取アーム44は、サンプル・チューブ40から液体サンプルを吸い込み、必要な評価分析を実施するのに必要なサンプルの量に応じて図4に示すようにアリコート容器アレイ52に設けた複数の容器52Vのうち1つまたはそれ以上にアリコート・サンプルを分配し、アナライザ10によって環境室38内に保持されるべきサンプル・アリコートを提供するように作動可能である。
【0013】
アリコート容器アレイ移送システム50は、アリコート容器アレイ保管・分配モジュール56と、反応回転コンベヤ12に接近して設置したサンプル吸引・分配アーム54の下方にある多数のアリコート容器アレイ・トラック57内でアリコート容器アレイ52を双方向に平行移動させるようになっている多数のリニア駆動モータ58とを含む。サンプル吸引・分配アーム54は、コンピュータ15によって制御され、制御した量のサンプルを、在来の液体プローブ54Pを使用して、トラック57内のサンプル採取位置に位置した個々の容器52Vから吸引し、次いで、液体プローブ54Pを分配位置に戻すようになっており、この分配位置において、適量の吸引サンプルをキュベット・ポート20にある1つまたはそれ以上のキュベット24に分配し、1つまたはそれ以上の被検物質についてアナライザ10が検査を行う。サンプルが反応キュベット24に分配された後、在来の移行手段が、必要に応じて、アリコート容器アレイ移送システム50、環境室38、廃棄領域(図示せず)間でアリコート容器アレイ52を移動させる。
【0014】
それぞれ一対の在来型液体試薬プローブ60P、62Pを含む多数の試薬吸引・分配アーム60、62が、独立して装着してあり、それぞれ、試薬保管領域26、28間で移動可能となっている。プローブ60P、62Pは、試薬添加位置で適切な試薬カートリッジ30にあるウェル32から指定評価分析を行うのに必要な試薬を吸引する在来の機構を含む。次いで、プローブ60P、62Pは、試薬が反応キュベット24に分配される試薬分配位置に動かされる。多数の試薬カートリッジ30が、試薬保管領域26、28内部の制御された環境条件で保管されている。高評価分析処理量を維持する際の主要な要因は、試
薬保管領域26、28内部の試薬カートリッジ30をプローブ60P、62Pによってアクセスできるように試薬添加位置まで迅速かつ正確に往復動させる能力である。
【0015】
反応キュベット装填ステーション61および反応容器装填ステーション63が、それぞれ、外側キュベット回転コンベヤ14および内側容器回転コンベヤ16に接近して設置してあり、たとえば摺動シュート65を使用して、後に説明するように反応キュベット24を横向きにキュベット・ポート20に装填し、また、反応容器25を容器ポート22に装填するようになっている。操作に当たって、評価分析を最終的に行った使用済みのキュベット24は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,360に開示されるように洗浄ステーション67で洗浄、乾燥させられる。本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/318,804に開示されているような理由のために他に命令されない限り、以降の評価分析が清掃された使用済みのキュベット24で行われる。キュベット取り出しステーション59が、再び装填ステーション61、63に示すような移動可能なロボットアーム65を使用してキュベット・ポート20から使用不可な反応キュベット24を取り出すようになっている。
【0016】
図5は、本発明の譲受人に譲渡された審査係属中の米国特許出願番号10/623,436に記載されているような反応キュベット24の外観等角図である。この反応キュベットは、内壁面に沿った液体ウィッキングを阻止する特徴を有する。その結果、反応キュベット24の外面上の望ましくない汚染物質の存在を最小限に抑え、洗浄ステーション67での洗浄効率を向上させる。図5に示す反応キュベット24は、2つの相互に対向した側壁72に対して直角で、これらの側壁を分離している相互に対向した前壁、後壁70を備えるほぼ矩形ボックス状の部分24として形成してもよい。湾曲した底面75によって閉ざされたほぼ矩形の下方部分74が開口部77を有する頂部開放部分76を支持している。キュベット24の対向している側部には一対の突出している出張り78が形成してあり、各出張りには自動取り扱いを容易にするラッチング・バルジ79が形成してある。ウィッキング防止フィレット80が滑らかな移行部として形成してあり、前後壁70と側壁72の交差部を効果的に融合させている。
【0017】
図5の反応キュベットは、代表的には、硬質プラスチック材料で成形してあって、本発明の一例としての図6に示すようなキュベット・マガジン80に自動的に装填される。キュベット・マガジン80は、上方部分81Uと下方部分81Lを有する湾曲した、ほぼ矩形の保管セル81(図7、8で最も良くわかる)を含む。下方部分81Lは、2対のレール83Rと、この下方部分81Lにおいて保管セル81の側部外面83Sに形成した2つの錠止タブ83Tとを有する一体整合・錠止バンド83を有する。レール83Rおよび錠止タブ83Tは、キュベット装填ステーション61内にあるそれぞれの整合した溝、くぼみ内でキュベット・マガジン82を垂直方向に整合させて錠止するために設けてある。反応キュベット24がキュベット・マガジン82から滑り出るのを防ぐようになっている可動閉鎖体が下方部分81Lに設けてある。一実施形態において、可動閉鎖体は、垂直方向に上向きに摺動可能なゲート84(図14)を含み、このゲートは、多数のゲート・リブ85(図13で最も良くわかる)を有し、これらのゲート・リブ85は、保管セル81の下方前部分81LF、2つの対向している側部81Sおよび底背部81BBにある対応する数の垂直方向開放スロット86内に配置してある。後に説明する目的に合わせてゲート24のリブのある内面には多数の斜角付きのゲート・ノッチ94も形成してある。下方前部分81LFには、垂直方向スロット86上方やや距離を置いたところに、保管セル81からやや突出してゲート・ストップ87が形成してあり、ゲート84の垂直方向変位を止めるようになっている(図7)。別の実施形態では、可動閉鎖体は、ヒンジばね106によってばね負荷されているヒンジ式のゲート104を含み、このゲート104は、反応キュベット24がキュベット・マガジン82から滑り出るのを防ぐ閉鎖位置から反応キュベット24がキュベット・マガジン82から排出され得る開放位置(図7A)まで外方へ摺動するようになっている。ヒンジ式のゲート104を使用する例においては、垂直スロット86およびゲート・ストップ87は不要である。キュベット・マガジン82をアナライザ10上に据え付けたとき、下方前部81LFに形成した傾斜路105がヒンジ式のゲート104を自動的に開く。ヒンジ式ゲート104をばね負荷して、キュベット・マガジン82をアナライザ10から取り出したときに自動的に閉じ、反応キュベット24がキュベット・マガジン82から滑り出るのを防ぐようにしてもよい。取り外し自在のキャップ80Cは、上方部分81Uにぴったりと嵌まってそれを閉ざし、反応キュベット24がキュベット・マガジン82から滑り出るのを防ぐようなサイズとなっている。
【0018】
図9のキュベット・マガジン82の頂面図でわかるように、キャップ80Cを取り出したとき、保管セル81は、シュート壁89によって囲まれた多数の隣り合った保管シュート88のところを除いて大部分中空である。各シュート壁89は、各保管シュート88の内部スペースから、そして、その中へ突出する2対の対向しているリブ90を有する。説明のために、反応キュベット24は、点線で示すように、保管シュート88内に配置され、2対の対向するリブ90によって水平向きに拘束され得る。キュベット・マガジン82の主目的は、各保管シュート88内に水平向きで積み重ねた複数の反応キュベット24を保持することにある。このことは、反応キュベット24の湾曲した底面75と頂部開放部分76との間に引いた線91がシュート壁89に対してほぼ平行となることを意味する。
【0019】
図10のキュベット・マガジン82の底面図でわかるように、保管セル81の側部81S上の2つのシュート壁89を除いて平らなパッド92が各シュート壁89の下端のところに形成してある。これら最後に述べたシュート壁89では、パッド90の約半分のサイズの平らな出張り93が突出し、それぞれ、2つの保管シュート88の内部スペース内へ延びている。ここで再び、反応キュベット24を点線で示すように保管シュート88内に配置したとき、平らなパッド92および平らな出張り93によって反応キュベット24が保管シュート88から抜け出るのを防ぐことができる。図面を簡略化する目的で、図9には、ただ1つの平らなパッド92とただ1つの平らな出張り93のみが点線で示してある。図7、8、11で最も良くわかるように、保管セル81の前後の湾曲した面81F、81Bは、キュベット・マガジン80の底まで延びていない。その結果、多数のキュベット排出開口部80Eが、シュート壁89間で前面81Fのところに形成される。図11は、反応キュベット24(点線で示す)を2つのシュート壁89、平らなパッド92、平らな出張り93間でどのようにして保持できるかを示しており、ならびに、反応キュベット24が前面81Fに形成した排出開口部80Eを通してキュベット・マガジン80からどのようにして自由に変位させられるまたは排出できるかを示している。
【0020】
図15は、キュベット装填器61を示しており、このキュベット装填器61は、間にキュベット・マガジン80を受け入れるように隔たった多数のガイド・ポスト96を有する円形の回転可能なタレット95を含み、ガイド・ポスト96は、ノッチ97と、ガイド・ポストの側面に形成してあり、キュベット・マガジン80の保管セル81にあるレール83R、錠止タブ83Tのそれぞれと相互錠止する寸法となっているインデント98とを有する。ガイド・ポスト96の側面には一対の高くなった垂直方向ランパート101(図16)も形成してあり、キュベット・マガジン80を間に挿入したときに摺動可能なゲート84を上向きに(点線に示すように)押しやるようになっている。場合により、付勢タブをタレット95に設け、キュベット・マガジン80を取り出すときに摺動可能なゲート84が閉まるのを助けるようにしてもよい。可動閉鎖体がヒンジ式のゲート104を含む実施形態においては、図17に点線で示すように、1つの傾斜路105をガイド・ポスト96の各側部に形成し、キュベット・マガジン80を間に挿入したときにヒンジ式のゲート104を(点線で示すように)外方へ押しやるようにしている。リニア・アクチュエータ99がタレット95内に配置してあり、このリニア・アクチュエータ99は、コンピュータ15によって制御され、保管シュート88内に格納されているキュベット24をキュベット・マガジン80から前面81Fのところにある排出開口部80Eを通して排出し、底部開放シュート100内に給送できる。この底部開放シュート100は、水平に格納されたキュベット24をその開放頂部76を上にして引力によって垂直向きに揺動させ、外側キュベット回転コンベヤ14にあるキュベット・ポート20に落下させるような寸法となっている。アナライザ10の操作に際して、作業者は、タレット95上に装填済みのキュベット・マガジン80を挿入し、摺動可能なゲート84を上向きに移動させるか、または、ヒンジ式のゲート104を外方へ揺動させるかする。その結果、外側回転コンベヤ14がシュート100下方を回転するにつれてキュベット24を保管シュート88から空のキュベット・ポート20内へ自由に給送できる。先に説明したように、ゲート84上のゲート・リブ85は、垂直方向スロット86内に配置してあってゲート84の垂直方向摺動移動を容易にする。錠止タブ83Tがインデント98にスナップ嵌合し、キュベット・マガジン80をタレット95上に固定する。部分的に空になったキュベット・マガジン80をタレット95から取り出す場合には、ゲート84を下方へ摺動させるか、ヒンジ式ゲート104を閉ざして保管シュート88の端部を覆ってキュベット24をその中に固定する。
【0021】
部分的に空になったキュベット・マガジン80をタレット95から取り出す場合には、タレット95の回転移動により、キュベット24をそこに作用している遠心力で外方へ移動させることができる。このような場合、キュベット24の突出部分がゲート84の垂直方向摺動移動と干渉することがある。このような干渉を防ぐために、斜角付きのゲート・ノッチ86をゲート24の内面に形成する。ゲート・ノッチ86は内方へ突出していて、キュベット・マガジン80をタレット95から取り出し、ゲート84が下降したとき、いかなるこのような突出キュベット24も保管シュート88内へ押し戻すようになっている。明らかに、閉鎖動作が外方へ移動したキュベット24をヒンジ式ゲート104それ自体によって、保管シュート88内へ自動的に押し戻すから、外方へ移動したキュベット24の状況がヒンジ式ゲート104の場合には問題となることはない。図15に示した構成要素の相対寸法は、必ずしも一定の比率であるというわけではなくて、説明のために誇張してある。
【0022】
臨床アナライザ内で使用するためにキュベット・マガジン80を組み立てるときの詳細は、この技術分野で普通に行われる作業であり、ここで説明する必要はないであろう。キュベット・マガジンが、記載したように都合よく、アナライザの動作を改善するように、アナライザ内で適切に整合、錠止されるという特徴ならびに内部にあるキュベットを排出したり、保持したりするように自動的に開閉するという特徴を含む本発明の教示が開示されていることだけで充分であろう。これらの理由により、本発明は、本明細書で明示し、説明した実施形態に限定されることがなく、特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明が有効に使用され得る自動アナライザの概略平面図である。
【図2】図1のアナライザの一部拡大概略平面図である。
【図3】図1のアナライザで使用できる自動アリコート容器アレイ保管・取り扱いユニットの斜視図である。
【図4】図1のアナライザで使用できるアリコート容器アレイの斜視図である。
【図5】図1のアナライザで使用できる代表的な反応キュベットの斜視図である。
【図6】本発明のキュベット・マガジンの概略正面図である。
【図7】摺動式ゲート閉鎖体を示している本発明のキュベット・マガジンの正面斜視図である。
【図7A】ヒンジ止め式ゲート閉鎖体を示している本発明のキュベット・マガジンの正面斜視図である。
【図8】図7のキュベット・マガジンの背面斜視図である。
【図9】図6のキュベット・マガジンの頂面図である。
【図10】図6のキュベット・マガジンの底面図である。
【図11】排出位置にある図5の反応キュベットを示している図6のキュベット・マガジンの正面図である。
【図12】閉じた摺動ゲートと共に図7のキュベット・マガジンの足部を示す拡大正面図である。
【図13】摺動ゲートを取り出した図7のキュベット・マガジンの足部の拡大正面図である。
【図14】図12の摺動ゲートの斜視図である。
【図15】図6のキュベット・マガジンと共に使用するようになっているキュベット装填ステーションの概略頂面図である。
【図16】摺動ゲート閉鎖体と共に用いるのに適した、図1のアナライザのガイド・ポストの側面図である。
【図17】ヒンジ式ゲート閉鎖体と共に用いるのに適した、図1のアナライザのガイド・ポストの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動臨床アナライザで使用される複数の反応キュベットを解放自在に格納するマガジンであって、頂部と底部の間に湾曲した前面、背面を有するほぼ矩形の保管セルと、この保管セル内に設けた多数の保管シュートとを含み、各シュートが、内部に積み重ねた反応キュベットを保持するようなサイズとなっており、保管シュートが、前面、背面および一対の対向するシュート壁によって構成してあり、各シュート壁が、そこから突出し、各保管シュートの内部に延びている2対の対向するリブを有する、上記マガジン。
【請求項2】
湾曲した前面、背面がマガジンの底まで延びておらず、その結果、シュート壁間でマガジンの前面のところに多数のキュベット排出開口部が形成される、請求項1記載のマガジン。
【請求項3】
各内部シュート壁の下端のところに保管シュートの内部スペース内に突出している保管シュートよりも小さい平らなパッドが形成してある、請求項1記載のマガジン。
【請求項4】
各外側シュート壁の下端のところに保管シュートからその内部スペース内に突出している保管シュートよりも小さい平らな出張りが形成してある、請求項1記載のマガジン。
【請求項5】
さらに、下方部分外面に形成した2対のレールと2つの錠止タブとを有する整合・錠止バンドを含む、請求項1記載のマガジン。
【請求項6】
さらに、マガジンの底に接近して設けたヒンジ式のゲートを含み、このゲートが湾曲した前面にあるヒンジばねによってばね負荷されており、このゲートが、反応キュベットがマガジンから滑り出るのを防ぐ閉鎖位置から反応キュベットをマガジンから排出させる開放位置まで外方へ揺動するようになっている、請求項1記載のマガジン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2007−536501(P2007−536501A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520341(P2006−520341)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022793
【国際公開番号】WO2005/009615
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500029718)デイド・ベーリング・インコーポレイテッド (20)
【氏名又は名称原語表記】DADE BEHRING INC.
【Fターム(参考)】