説明

自動二輪車のブレーキ装置

【課題】還流式ABS装置を備えた自動二輪車のブレーキ装置において、小型軽量化及びコストダウンを図ることを目的とする。
【解決手段】還流式ABS装置100A及びバイワイヤ式ブレーキ装置100Bを備えた自動二輪車のブレーキ装置において、各ソレノイドバルブ31〜36、各液圧センサ38,39、アキュムレータ55、及びポンプ37で一体のユニットを構成すると共に、前記ストロークシミュレータ48を前記ユニットに対して別体に取り付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、還流式ABS装置を備えた自動二輪車のブレーキ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、還流式ABS装置を備えた自動二輪車において、前記ABS装置が有するポンプを用いて前後連動ブレーキシステムを構成したものがある(例えば、特許文献1,2参照。)。
【特許文献1】特許第3457190号公報
【特許文献2】特開2000−6779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記従来の技術において、前記ABS装置とマスターシリンダとの間にソレノイドバルブを設けてバイワイヤ式ブレーキ装置を構成することが検討されている。この場合、ブレーキ装置の小型軽量化のためにユニット化が望ましいが、一方で汎用性を高めてコストダウン効果が要求されている。
この発明は上記事情に鑑みてなされたもので、自己昇圧機能付き還流式ABS装置を備えた自動二輪車のブレーキ装置において、小型軽量化及びコストダウンを図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、キャリパ(例えば実施例の前後キャリパ13,18)とマスターシリンダ(例えば実施例の前後マスターシリンダ10,15)との間の液圧路を遮断するABS用ソレノイドバルブ(例えば実施例の第四,第六ソレノイドバルブ34,36)と、前記遮断時に前記キャリパの液圧を受容するアキュムレータ(例えば実施例のアキュムレータ55)と、該アキュムレータから液圧路にブレーキ液を還流させるポンプ(例えば実施例のポンプ37)とを有する還流式ABS装置(例えば実施例の還流式ABS装置100A)を備えると共に、前記マスターシリンダとABS装置との間の液圧路を遮断するバイワイヤ用ソレノイドバルブ(例えば実施例の第一,第二,第三,第五ソレノイドバルブ31,32,33,35)と、前記マスターシリンダの液圧を検出する第一液圧センサ(例えば実施例の第一液圧センサ38)と、前記キャリパの液圧を検出する第二液圧センサ(例えば実施例の第二液圧センサ39)と、前記バイワイヤ用ソレノイドバルブの作動時に前記マスターシリンダの液圧を受容するストロークシミュレータ(例えば実施例のストロークシミュレータ48)と、前記バイワイヤ用ソレノイドバルブ下流側かつ前記ABS装置上流側の液圧路に接続されるフルードリザーバ(例えば実施例の内ブレーキ液リザーバ49)とを有するバイワイヤ式ブレーキ装置(例えば実施例のバイワイヤ式ブレーキ装置100B)を備えた自動二輪車のブレーキ装置において、前記ABS用及びバイワイヤ用ソレノイドバルブ、前記第一及び第二液圧センサ、並びに前記アキュムレータ及びポンプで一体のユニットを構成すると共に、前記ストロークシミュレータを前記ユニットに対して別体に取り付けたことを特徴とする。
【0005】
請求項2に記載した発明は、前記フルードリザーバを前記ユニットに対して別体で取り付けたことを特徴とする。
【0006】
請求項3に記載した発明は、前後独立した入力回路を有し、前記バイワイヤ式ブレーキ装置を前輪ブレーキの入力回路に備えると共に、後輪ブレーキの入力回路の液圧を検出して前輪ブレーキを増力することを特徴とする。
【0007】
請求項4に記載した発明は、前記バイワイヤ式ブレーキ装置を前後輪ブレーキの入力回路に備えることを特徴とする。
【0008】
請求項5に記載した発明は、前記フルードリザーバを前記バイワイヤ用ソレノイドバルブとABS装置との間の液圧路に接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、大型若しくは小型、又はシングルディスク若しくはダブルディスク等、車種によって容量や設定の異なるストロークシミュレータをユニットと別体に設け、共用可能な構成部品のみを備えた一体のユニットを構成することで、ユニット自体を汎用性の高いものとし、コストの低減が可能となる。
【0010】
請求項2に記載した発明によれば、容量の異なるマスターシリンダに対して、これに対応したフルードリザーバを適宜選択することができるので、予め容量の大きな(すなわち余裕を持った)フルードリザーバをユニット内に設定する必要がなく、結果としてブレーキ装置の小型軽量化を達成することができる。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、後輪ブレーキ操作時のみ連動するブレーキ装置を安価に提供することができる。
【0012】
請求項4に記載した発明によれば、前後連動ブレーキシステムを提供することができる。
【0013】
請求項5に記載した発明によれば、液圧路をより簡略化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施例について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ車両における向きと同一とする。また、図中矢印FRは車両前方を、矢印LHは車両左方を、矢印UPは車両上方をそれぞれ示す。
【実施例1】
【0015】
図1に示す自動二輪車1において、前輪(車輪)2は左右フロントフォーク3の下端部に軸支され、該左右フロントフォーク3を主とする前輪懸架系4は車体フレーム5の前端部に操舵可能に枢支される。一方、後輪(車輪)6は左片持ち式のスイングアーム7の後端部に軸支され、該スイングアーム7を主とする後輪懸架系8は車体前後中間部で例えばエンジン5aの後端部に上下揺動可能に枢支される。
【0016】
前輪懸架系4の上端部には左右ハンドル9が取り付けられ、これらの内の右ハンドル9には、主に前輪ブレーキ用の液圧(油圧)を発生させるフロントマスターシリンダ10及びこれを作動させるブレーキレバー(前輪ブレーキ操作子)11が取り付けられる。前輪2のハブ部両側には左右フロントディスク12が取り付けられ、これらをそれぞれ挟圧して前輪制動力を発生させる左右フロントキャリパ(ホイールシリンダ)13が、左右フロントフォーク3の下部にそれぞれ取り付けられる。
【0017】
車体前後中間部下側には左右ステップ14が取り付けられ、これらの内の右ステップ14には、主に後輪ブレーキ用の液圧(油圧)を発生させるリアマスターシリンダ15及びこれを作動させるブレーキペダル(後輪ブレーキ操作子)16が取り付けられる。後輪6のハブ部左側にはリアディスク17が取り付けられ、これを挟圧して後輪制動力を発生させるリアキャリパ18(ホイールシリンダ)が、スイングアーム7の後端部下側に取り付けられる。
【0018】
ここで、自動二輪車1のブレーキ装置には、前後一方のブレーキ操作時にも前後キャリパを連動させて前後輪の制動力を発生させる前後連動ブレーキシステム(CBS;COMBINED BRAKE SYSTEM、以下、CBSということがある)、及び前後ブレーキ操作時における前後輪のスリップ状態に応じて前後キャリパを減圧させて前後輪のスリップ率を適切に制御するアンチロックブレーキシステム(ABS:ANTI LOCK BRAKE SYSTEM、以下、ABSということがある)が採用されている。
【0019】
自動二輪車1の車体略中央(例えば運転者用シート19の下方)には、上記ブレーキ装置の各制御を行うABSモジュレータ20が配設される。ABSモジュレータ20は、前後マスターシリンダ10,15で発生した液圧がそれぞれ前後入力配管21,23を介して入力されると共に、各制御を経て発生させた液圧を前後出力配管22,24を介して前後キャリパ13,18に供給し、これらに路面状況等に応じた適切な制動力を発生させる。ここで、比較的重量物であるABSモジュレータ20が車体略中央に配置されることで、自動二輪車1の重量マスの集中が図られると共に、前後出入力配管21〜24の管長のバランスも良好になる。
【0020】
図2に示すように、ABSモジュレータ20は、複数のソレノイドバルブ31〜36及びポンプ37等を有する液圧回路部25を一体のケーシング26内に形成し、かつ該液圧回路部25を駆動制御するECU(電子コントロールユニット)27をケーシング26外に一体的に取り付けてなる。
液圧回路部25は、互いに独立した前輪ブレーキ回路28及び後輪ブレーキ回路29を備え、これら各ブレーキ回路28,29及び前後出入力配管21〜24を介して、前後マスターシリンダ10,15と前後キャリパ13,18とがそれぞれ接続される。各ブレーキ回路28,29内には、ブレーキ液(ブレーキフルード)を圧送可能な前記ポンプ37がそれぞれ配置され、これら各ポンプ37が同一のモータ37aにより一体的に駆動可能とされる。なお、この実施例においては、各ブレーキ回路28,29の基本構成は同一とされる。
【0021】
前後入力配管21,23は、各ブレーキ回路28,29における第一液圧路41に接続される。第一液圧路41には、その内部の液圧すなわち前後マスターシリンダ10,15で発生した液圧を検出可能な第一液圧センサ38が設けられる。第一液圧路41は、その下流側(前後マスターシリンダ10,15と反対側)においてシミュレーション経路47と第二液圧路42とに分岐する。第二液圧路42は、さらに第三及び第四液圧路43,44に分岐すると共に、これら第三及び第四液圧路43,44はその下流側で再度合流して第五液圧路45となり、この第五液圧路45が前後出力配管22,24に接続される。第五液圧路45には、その内部の液圧すなわち前後キャリパ13,18に供給される液圧を検出可能な第二液圧センサ39が設けられる。
【0022】
ケーシング26内には、前後マスターシリンダ10,15近傍に設けられた外ブレーキ液リザーバ10a,15aとは別に、第二液圧路42の途中に接続される内ブレーキ液リザーバ49が設けられる。
内ブレーキ液リザーバ49は、例えば液室を形成するシリンダ内にピストンを摺動可能に収容してなる。前記ピストンは、スプリングにより前記液室の容量を増加させる側のストローク限度位置に付勢され、第二液圧路42が正圧状態にあるときは作動せず、第二液圧路42に所定の負圧が作用する際には液室の容量を減少させる側にストロークして該液室内のブレーキ液を第二液圧路42内に放出する。また、第二液圧路42が前記負圧作用状態から復帰した際には、前記ピストンが前記ストローク限度位置に戻りつつ第二液圧路42内のブレーキ液を液室内に吸引する。このような内ブレーキ液リザーバ49と前後キャリパ13,18との間で、ブレーキ液の流通が可能とされる。
【0023】
また、例えばケーシング26外には、外部配管47aを介してシミュレーション経路47の途中に接続されるストロークシミュレータ48が設けられる。
ストロークシミュレータ48は、液室を形成するシリンダ内にピストンを摺動可能に収容してなる。前記ピストンは、スプリングにより前記液室の容量を減少させる側のストローク限度位置に付勢され、前後マスターシリンダ10,15とストロークシミュレータ48とがほぼ一対一の連通状態にある場合には、前後マスターシリンダ10,15の作動に伴うブレーキ液吐出量(ブレーキ操作子の操作量)に応じて、所定の液圧を発生させつつ液室の容量を増加させる側にストロークして連通経路内のブレーキ液を受容する。また、前後マスターシリンダ10,15が前記作動状態から復帰した際には、前記ピストンが前記ストローク限度位置に戻りつつ液室内のブレーキ液を連通経路内に放出する。このようなストロークシミュレータ48により、前後マスターシリンダ10,15と前記連通状態にある場合には、ブレーキ操作量に応じた疑似的な液圧反力がブレーキ操作子に作用する。
【0024】
ケーシング26内には、前記ポンプ37を介在させたポンプ経路51が第三及び第四液圧路43,44間に渡って設けられる。ポンプ37は、前記モータ37aを駆動源として第四液圧路44側から第三液圧路43側に向けてブレーキ液(液圧)を送給可能とされる。このポンプ37(モータ37a)が、前記ECU27により駆動制御されている。ポンプ経路51におけるポンプ37上流側及び下流側には、前記送給方向を規定する逆止弁52,53がそれぞれ設けられる。また、前記送給方向下流側(第三液圧路43側)の逆止弁53のさらに下流側には、ブレーキ液の脈動を抑えるオリフィス54が設けられる。以下、第三及び第四液圧路43,44におけるポンプ経路51よりも上流側(第二液圧路42側、前後マスターシリンダ10,15側)を上流側第三及び第四液圧路43a,44a、下流側(第五液圧路45側、前後キャリパ13,18側)を下流側第三及び第四液圧路43b、44bということがある。
【0025】
下流側第四液圧路44bには、その内部の液圧を蓄圧可能なアキュムレータ55が設けられる。また、下流側第四液圧路44bにおけるアキュムレータ55よりも上流側には、第四液圧路44における上流側から下流側への液圧の移動を規制する逆止弁56が設けられる。
【0026】
第二液圧路42における内ブレーキ液リザーバ49と第一液圧路41との間には、非通電時には第二液圧路42を開通する一方、通電時には第二液圧路42を遮断する所謂常開型の第一ソレノイドバルブ31が設けられる。また、第二液圧路42には、第一ソレノイドバルブ31の上流側と下流側とを連通して前記下流側の液圧が所定値以上になったときにこれを前記上流側に戻す第一リリーフ経路31aが設けられる。
また、シミュレーション経路47には、非通電時には該シミュレーション経路47を遮断する一方、通電時にはシミュレーション経路47を開通する所謂常閉型の第二ソレノイドバルブ32が設けられる。
【0027】
以下同様に、上流側第三液圧路43aには、常開型の第三ソレノイドバルブ33が設けられ、下流側第三液圧路43bには、同じく常開型の第四ソレノイドバルブ34が設けられる。また、上流側第三液圧路43aには、第三ソレノイドバルブ33の上流側と下流側とを連通して前記上流側の液圧が所定値以上になったときにこれを前記下流側に戻す第二リリーフ経路33aが設けられ、下流側第三液圧路43bには、第四ソレノイドバルブ34の上流側と上流側とを連通して前記下流側の液圧が所定値以上になったときにこれを前記上流側に戻す第三リリーフ経路34aが設けられる。
また、上流側第四液圧路44aには、常閉型の第五ソレノイドバルブ35が設けられ、下流側第四液圧路44bには、同じく常閉型の第六ソレノイドバルブ36が設けられる。
【0028】
ここで、自動二輪車1のブレーキ装置は、第四,第六ソレノイドバルブ34,36、アキュムレータ55、及びポンプ37を主とする還流式ABS装置100Aを備えると共に、第一,第二,第三,第五ソレノイドバルブ31,32,33,35、第一液圧センサ38、第二液圧センサ39、ストロークシミュレータ48、及び内ブレーキ液リザーバ49を主とするバイワイヤ式ブレーキ装置100Bを備える。各ソレノイドバルブ31〜36、各液圧センサ38,39、アキュムレータ55、ポンプ37、及び内ブレーキ液リザーバ49は、ケーシング26内で一体のユニットとして構成されると共に、ストロークシミュレータ48は、ケーシング26外で前記ユニットに対して別体に取り付けられる。
【0029】
次に、上記ブレーキ装置の作用について説明する。
図2は、イグニッションOFF状態もしくはフェール状態において、各ソレノイドバルブ31〜36及びポンプ37(モータ37a)への電力供給が停止した非通電状態を示し、この状態において、第一、第三、及び第四ソレノイドバルブ31,33,34がそれぞれ液圧路を開通し、第二、第五、及び第六ソレノイドバルブ32,35,36がそれぞれ液圧路を遮断する。
【0030】
上記状態において、前後マスターシリンダ10,15で発生した液圧は、それぞれ前後入力配管21,23からABSモジュレータ20内の各ブレーキ回路28,29に導入され、開通状態にあるソレノイドバルブ側に導かれながら第一液圧路41、第二液圧路42、第三液圧路43、及び第五液圧路45を介して増減することなく出力された後、前後出力配管22,24を介して前後キャリパ13,18に直接的に供給される。このときのブレーキ液の流れを図中鎖線矢印で示す。
【0031】
またこのとき、内ブレーキ液リザーバ49は自身の液室を増加させる側のストローク限度状態にあり、前後マスターシリンダ10,15からの液圧を受容することはない。
このように、イグニッションOFF状態や電気系統の故障等によるフェール状態には、前後マスターシリンダ10,15と前後キャリパ13,18とを各ブレーキ回路28,29を介して連通させることで、前後マスターシリンダ10,15で発生した液圧を前後キャリパ13,18に直接的に供給することが可能である。
【0032】
一方、図3は、イグニッションON状態かつ例えばブレーキ操作によるブレーキスイッチON状態、さらにABS非作動状態(以下、通常ブレーキ状態という)を示し、この状態において、ECU27は第一、第二、第三、及び第五ソレノイドバルブ31,32,33,35を通電状態とし、第四及び第六ソレノイドバルブ34,36を非通電状態とする。したがって、第二、第四、及び第五ソレノイドバルブ32,34,35はそれぞれ液圧路を開通し、第一、第三、及び第六ソレノイドバルブ31,33,36はそれぞれ液圧路を遮断する。
【0033】
上記通常ブレーキ状態において、前後マスターシリンダ10,15で発生した液圧は、それぞれ前後入力配管21,23からABSモジュレータ20内の各ブレーキ回路28,29に導入された後、シミュレーション経路47を介してストロークシミュレータ48に導入される。このとき、ストロークシミュレータ48が作動することで、前後ブレーキ操作量に応じた疑似的な液圧反力がブレーキレバー11及びブレーキペダル16に作用し、これらブレーキ操作子の自然な操作感が演出される。この操作感は、第一ソレノイドバルブ31が第二液圧路42を遮断していることから、前後キャリパ13,18側の液圧の変化によらず安定したものとされる。
【0034】
また、上記通常ブレーキ状態においては、第一液圧センサ38が検出する第一液圧路41の液圧(前後マスターシリンダ10,15の液圧)に基づき、ECU27がポンプ37を駆動させ、第二液圧センサ39が検出する第五液圧路45の液圧(前後キャリパ13,18の液圧)が前記検出値と同等となるようにポンプ37を駆動制御する。これにより、上流側第四液圧路44a及び第二液圧路42内のブレーキ液がポンプ37に吸引されると共に、該ブレーキ液が下流側第四液圧路44b、第五液圧路45、及び前後出力配管22,24を介して前後キャリパ13,18に供給され、もって前後ブレーキが連動するCBS作動状態となる。このときのブレーキ液の流れを図中鎖線矢印で示す。
【0035】
またこのとき、ポンプ37の吸入上流側に位置することとなる内ブレーキ液リザーバ49は、第二液圧路42内に負圧が作用することで、自身の液室容量を減少させる側にストロークしてブレーキ液を第二液圧路42内に放出する。これにより、ポンプ37の駆動抵抗を抑えて必要に応じたブレーキ液を前後キャリパ13,18に供給することが可能となる。
【0036】
以上のように、この実施例におけるブレーキ装置は、通常ブレーキ時には前後マスターシリンダ10,15で発生した液圧が前後キャリパ13,18に直接的に供給されず、前後マスターシリンダ10,15で発生した液圧の検出値に基づき液圧発生装置であるポンプ37を作動させ、前記検出値に相当する液圧を前後キャリパ13,18に供給して前後輪の制動力を発生させる。すなわち、この実施例のブレーキ装置は、前後輪ブレーキ共に所謂バイワイヤ式として構成される。
【0037】
ここで、上記通常ブレーキ状態においては、ブレーキレバー11及びブレーキペダル16の一方のブレーキ操作子にのみブレーキ操作がなされた場合でも、これに対応する一方のマスターシリンダの液圧検出値に基づき、対応する一方のキャリパに液圧が供給される他、各ブレーキ回路28,29におけるポンプ37が連動することから、他方のキャリパにも液圧が供給される。すなわち、この実施例のブレーキ装置は、ポンプ37を液圧発生装置とした前後連動ブレーキシステムとして構成される。なお、上記状態からさらに他方のブレーキ操作子にブレーキ操作がなされた場合には、これに対応する他方のマスターシリンダの液圧検出値に基づき、必要に応じてポンプ37を割増駆動させ、対応する他方のキャリパへの供給液圧が高められる。
【0038】
また、上記通常ブレーキ状態においては、ブレーキ操作がなされない側のブレーキ回路でも第一ソレノイドバルブ31により第二液圧路42が遮断されるため、ポンプ37の駆動による圧力脈動がブレーキ操作子に伝わることがなく、ストロークシミュレータ48による良好なブレーキ操作感が得られる。同様に、上記状態からさらに他方のブレーキ操作子にブレーキ操作がなされた場合でも、前記圧力脈動が伝達されることなく良好なブレーキ操作感が維持される。
【0039】
そして、上記通常ブレーキ状態(CBS作動状態)から前後輪が所定のスリップ率を超えたと判断した場合には、ブレーキ装置がABS作動状態に移行する。
前後輪のスリップ率は、例えば前後輪の回転速度を検出する前後車輪速度センサ58,59の検出信号を基に、まずECU27が自動二輪車1の推定車速を求め、その推定車速の車輪速度換算値と実際の車輪速度との差に基づいて演算によって求める。このとき、前後輪のスリップ率が予め設定された閾値を超えた場合には、前後輪にスリップが発生したと判断してABSモジュレータ20の制御が開始する。ABSモジュレータ20は、各ソレノイドバルブ31〜36及びモータ37aの作動により前後キャリパ13,18への供給液圧の増減圧を繰り返し、前後輪のスリップ率が前記閾値以下に維持されるように制御する。
【0040】
図4は、前記通常ブレーキ状態からABSが作動を開始した状態を示し、本図に示すように、ABS作動状態においては、ECU27は第一、第二、第三、第四、及び第六ソレノイドバルブ31,32,33,34,36を通電状態とし、第五ソレノイドバルブ35を非通電状態する。したがって、第二及び第六ソレノイドバルブ32,36がそれぞれ液圧路を開通し、第一、第三,第四、及び第五ソレノイドバルブ31,33,34,35がそれぞれ液圧路を遮断する。
【0041】
上記ABS作動状態において、前後マスターシリンダ10,15で発生した液圧がそれぞれシミュレーション経路47に導入され、前後ブレーキ操作量に応じた疑似的な液圧反力がブレーキレバー11及びブレーキペダル16に作用することは前記通常ブレーキ状態と変わらないが、前後キャリパ13,18に供給された液圧の一部が下流側第四液圧路44bを介してアキュムレータ55に導入されることで、前後キャリパ13,18の液圧が減少して前後輪の制動力が弱められ、もって前後輪のスリップ率が低減される。
【0042】
アキュムレータ55に導入された液圧は、ポンプ37の駆動によりポンプ経路51から下流側第三液圧路43bに流入する。これにより前後輪のスリップ率が前記閾値以下になると、ECU27が各ソレノイドバルブ31〜36の通電状態を適宜切り替えてブレーキ装置が前記通常ブレーキ状態に再度切り替わる。このようにABS作動状態と通常ブレーキ状態とを短時間に繰り返しながら、ブレーキ液が下流側第三液圧路43bと下流側第四液圧路44bとを還流し、前後輪に制動力が付与されつつそのスリップ率が閾値以下に維持されるように制御される。
【0043】
ここで、上記ABS作動状態と通常ブレーキ状態(CBS作動状態)とが繰り返される際にも、各ブレーキ回路28,29における第二液圧路42が第一ソレノイドバルブ31により遮断され、前後マスターシリンダ10,15とポンプ37との連通が遮断されているため、ポンプ37により前後キャリパ13,18への供給液圧の増減がなされたり、各ブレーキ回路28,29の状態を切り替える際にも、その液圧反力がブレーキ操作子に伝達されず、ブレーキ操作フィーリングの向上が図られる。また、CBSとABSとでポンプ37を液圧発生装置として共用することで、構成の簡素化によるコスト及び重量低減が図られる。
【0044】
以上説明したように、上記実施例におけるブレーキ装置は、前後キャリパ13,18と前後マスターシリンダ10,15との間の液圧路を遮断する第四,第六ソレノイドバルブ34,36と、前記遮断時に前記各キャリパ13,18の液圧を受容するアキュムレータ55と、該アキュムレータ55から液圧路にブレーキ液を還流させるポンプ37とを有する還流式ABS装置100Aを備えると共に、前記各マスターシリンダ10,15とABS装置100Aとの間の液圧路を遮断する第一,第二,第三,第五ソレノイドバルブ31,32、33,35と、前記各マスターシリンダ10,15の液圧を検出する第一液圧センサ38と、前記各キャリパ13,18の液圧を検出する第二液圧センサ39と、前記第一,第二ソレノイドバルブ31,32の作動時に前記各マスターシリンダ10,15の液圧を受容するストロークシミュレータ48と、前記第一,第二ソレノイドバルブ31,32下流側かつ前記ABS装置100A上流側の液圧路に接続される内ブレーキ液リザーバ49とを有するバイワイヤ式ブレーキ装置100Bを備えたものであって、各ソレノイドバルブ31〜36、各液圧センサ38,39、アキュムレータ55、及びポンプ37は、ケーシング26内で一体のユニットを構成すると共に、前記ストロークシミュレータ48を前記ユニットに対して別体に取り付けたものである。
【0045】
この構成によれば、大型若しくは小型、又はシングルディスク若しくはダブルディスク等、車種によって容量や設定の異なるストロークシミュレータ48をユニットと別体に設け、共用可能な構成部品のみを備えた一体のユニットを構成することで、ユニット自体を汎用性の高いものとし、コストの低減が可能となる。
【0046】
また、上記ブレーキ装置においては、前記内ブレーキ液リザーバ49を前記ユニットに対して別体で取り付けたことで、容量の異なる各マスターシリンダ10,15に対して、これに対応した内ブレーキ液リザーバ49を適宜選択することができるので、予め容量の大きな(すなわち余裕を持った)内ブレーキ液リザーバ49をユニット内に設定する必要がなく、結果としてブレーキ装置の小型軽量化を達成することができる。
【0047】
さらに、上記ブレーキ装置においては、前記バイワイヤ式ブレーキ装置100Bを前後輪ブレーキの入力回路に備えることで、前後連動ブレーキシステムを提供することができる。
【0048】
しかも、上記ブレーキ装置においては、前記内ブレーキ液リザーバ49を前記第一,第二ソレノイドバルブ31,32とABS装置100Aとの間の液圧路に接続したことで、液圧路をより簡略化することができる。
【実施例2】
【0049】
次に、この発明の第二実施例について図5を参照して説明する。
この実施例は、前記第一実施例に対して、前記バイワイヤ装置100Bを前輪ブレーキの入力回路にのみ備える点で異なるもので、前記第一実施例と同一部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0050】
図5に示すように、ABSモジュレータ120の液圧回路部125は、互いに独立した前輪ブレーキ回路28及び後輪ブレーキ回路129を備える。
前輪ブレーキ回路28は、第一実施例のものと同一とされる。一方、後輪ブレーキ回路129は、後入力配管23が接続される第一液圧路41を備え、該第一液圧路41には、前記第一液圧センサ38が設けられる。第一液圧路41は、その下流側端が前記ポンプ経路51と下流側第三液圧路43bとの合流点に接続される。下流側第三液圧路43bは、その下流側で前記下流側第四液圧路44bと合流して前記第五液圧路45となる。第五液圧路45には、前記第二液圧センサ39が設けられる。すなわち、後輪ブレーキ回路129は、第一実施例のものに対し、前記第二液圧路42、上流側第三及び第四液圧路43a,44a、シミュレーション経路47、並びにこれらに設けられていたバルブやシミュレータ等は省略されている。
【0051】
次に、上記ブレーキ装置の作用について説明する。
図5は、各ソレノイドバルブ31〜36及びポンプ37への電力供給が停止した非通電状態を示し、この状態において、前輪ブレーキ回路28では、第一、第三、及び第四ソレノイドバルブ31,33,34がそれぞれ液圧路を開通し、第二、第五、及び第六ソレノイドバルブ32,35,36がそれぞれ液圧路を遮断する。一方、後輪ブレーキ回路129では、第四ソレノイドバルブ34が液圧路を開通し、第六ソレノイドバルブ36が液圧路を遮断する。
【0052】
上記状態において、フロントマスターシリンダ10で発生した液圧は、第一実施例と同様に増減することなく前キャリパ13に直接的に供給される。一方、リアマスターシリンダ15で発生した液圧は、後入力配管23からABSモジュレータ120内の後輪ブレーキ回路129に導入され、第一液圧路41、下流側第三液圧路43b、及び第五液圧路45を介して増減することなく出力された後、後出力配管24を介してリアキャリパ18に直接的に供給される。
【0053】
一方、前記通常ブレーキ状態において、ECU27は、前輪ブレーキ回路28では、第一実施例と同様に各ソレノイドバルブ31〜36の通電状態を制御する。一方、後輪ブレーキ回路129では、第四及び第六ソレノイドバルブ34,36を非通電状態のままとすることで、第四ソレノイドバルブ34は液圧路を開通し、第六ソレノイドバルブ36は液圧路を遮断した状態とする。
【0054】
上記通常ブレーキ状態において、前輪ブレーキ操作時には、前輪ブレーキ回路28では、フロントマスターシリンダ10で発生した液圧は、シミュレーション経路47を介してストロークシミュレータ48に導入される。また、第一液圧センサ38が検出する第一液圧路41の液圧(フロントマスターシリンダ10の液圧)に基づき、ECU27がポンプ37を駆動させ、第二液圧センサ39が検出する第五液圧路45の液圧(フロントキャリパ13の液圧)が前記検出値と同等となるように、内ブレーキ液リザーバ49のブレーキ液がフロントキャリパ13に供給される。
【0055】
すなわち、前輪ブレーキにおいては、フロントマスターシリンダ10で発生した液圧がフロントキャリパ13に直接的に供給されず、液圧発生装置であるポンプ37の作動により液圧をフロントキャリパ13に供給するバイワイヤ式として構成される。
【0056】
また、上記通常ブレーキ状態において、後輪ブレーキ操作時には、後輪ブレーキ回路129では、リアマスターシリンダ15で発生した液圧は、増減することなくリアキャリパ18に直接的に供給される。
このとき、前輪ブレーキ回路28においては、前記同様にフロントマスターシリンダ10とフロントキャリパ13との間が遮断されると共にポンプ37が作動し、リアマスターシリンダ15で発生した液圧に基づいてフロントキャリパ13に液圧を発生させる。すなわち、リアマスターシリンダで発生した液圧に基づいて前輪ブレーキに適正な制動力が配分される(CBS作動)。
【0057】
そして、上記通常ブレーキ状態(CBS作動状態)から前後輪が所定のスリップ率を超えた場合には、ブレーキ装置がABS作動状態に移行する。
ABS作動状態において、前輪ブレーキでは、第一実施例と同様にアキュムレータ55を用いてフロントキャリパ13の液圧が減少して前輪の制動力が弱められる。このABS作動状態と通常ブレーキ状態とを短時間に繰り返しながら、アキュムレータ55に導入された液圧が、ポンプ37の作動により下流側第三液圧路43bと下流側第四液圧路44bとを還流し、前輪に制動力が付与されつつそのスリップ率が閾値以下に維持されるよう制御される。このとき、前輪ブレーキがバイワイヤ式とされることで、運転者が手で操作するブレーキレバー11に対して、フロントキャリパ13への供給液圧の増減に伴う液圧反力が伝達されることはない。
【0058】
また、上記ABS作動時において、後輪ブレーキでは、第四及び第六ソレノイドバルブ34,36が通電状態となり、第四ソレノイドバルブ34は液圧路を遮断し、第六ソレノイドバルブ36は液圧路を開通した状態となる。これにより、リアマスターシリンダ15とリアキャリパ18との連通が遮断されると共に、リアキャリパ18に供給された液圧の一部がアキュムレータ55に導入されることで、リアキャリパ18の液圧が減少して後輪の制動力が弱められる。アキュムレータ55に導入された液圧は、ポンプ37の作動によりその吐出上流側(第一液圧路41側)に還流する。このABS作動状態と通常ブレーキ状態とを短時間に繰り返しながら、後輪に制動力が付与されつつそのスリップ率が閾値以下に維持されるよう制御される。
【0059】
以上説明したように、上記第二実施例におけるブレーキ装置は、前後独立した入力回路を有し、前記バイワイヤ式ブレーキ装置100Bを前輪ブレーキの入力回路に備えると共に、後輪ブレーキの入力回路の液圧を検出して前輪ブレーキを増力することことで、後輪ブレーキ操作時のみ連動するブレーキ装置を安価に提供することができる。また、システムの小型軽量化を図ることができる。
【0060】
なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、例えば第一実施例において、図6に示すABSモジュレータ220の液圧回路部225ように、各ソレノイドバルブ31〜36、各液圧センサ38,39、アキュムレータ55、及びポンプ37で一体のユニットとし、内ブレーキ液リザーバ49は前記ユニットと別体としてケーシング26外に取り付けるようにしてもよい。この構成によれば、容量の異なる各マスターシリンダ10,15に対して、これに対応した内ブレーキ液リザーバ49を適宜選択することができるので、予め容量の大きな(すなわち余裕を持った)内ブレーキ液リザーバ49を前記ユニット内に設定する必要がなく、結果としてブレーキ装置の小型軽量化を達成することができる。
【0061】
また、図7に示すABSモジュレータ320の液圧回路部325のように、内ブレーキ液リザーバ49をケーシング26外に取り付けると共に、該内ブレーキ液リザーバ49を第三ソレノイドバルブ33と第五ソレノイドバルブ35との間の液圧路に直接接続するようにしてもよい。この構成によれば、液圧路をより簡略化することができる。
【0062】
ここで、図8は、上記ABSモジュレータ220(又は320)を備えた自動二輪車101を示す。なお、自動二輪車101において、前記自動二輪車1の各部に対応する部分には同一符号を付してその説明を省略する。
本図に示すように、ABSモジュレータ220(又は320)は、車体略中央部(エンジン5aの後方かつスイングアーム7のピボット側端部の上方)に配置される。ABSモジュレータ220の直ぐ斜め後上方には、前記ECU27及び車載電源であるバッテリ127が近接配置される。また、ABSモジュレータ220の上方には、前記内ブレーキ液リザーバ49が配置される。
【0063】
内ブレーキ液リザーバ49は、シート19の下方(物品収納スペース等)かつサイドカバー19aの内方に位置し、シート19又はサイドカバー19aの着脱によりメンテナンス可能である。
また、内ブレーキ液リザーバ49は、ABSモジュレータ220よりも高い位置に配置されることで、エア抜き等の作業性が良好であり、かつ該内ブレーキ液リザーバ49として、キャップ式の樹脂容器内にダイヤフラムを内蔵してなる(すなわち上部が大気開放された)通常の(前記外ブレーキ液リザーバ15aと同様の)ブレーキリザーバタンクを流用することも可能である。
しかも、内ブレーキ液リザーバ49をABSモジュレータ220に対して一つのみ設ける(すなわち前後輪ブレーキ回路28,29で一つの内ブレーキ液リザーバ49を兼用する)構成とすることも可能であり、軽量化及びコスト低減を図ることが可能である。
【0064】
さらに、上記第二実施例において、後輪ブレーキ回路129にリアマスターシリンダ15又はリアキャリパ18の液圧を検出する各液圧センサ38,39を残しているが、これらを無くしてさらに液圧回路の簡素化を図るようにしてもよい。
【0065】
また、上記各実施例において、内ブレーキ液リザーバ49はピストン、シリンダ、及びスプリングで構成したものを例に説明したが、液室容量が可変する密閉された液溜めであれば形状及び構造は問わない。
さらに、第一ソレノイドバルブ31を、マスターシリンダ側の液圧路とストロークシミュレータ側の液圧路とを選択的に接続する流路切換え弁とし、第二ソレノイドバルブ32を廃止するようにしてもよい。
そして、上記実施例における構成はこの発明の一例であり、該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】この発明の実施例における自動二輪車の右側面図である。
【図2】上記自動二輪車のブレーキ装置の構成説明図である。
【図3】図2の第一作用説明図である。
【図4】図2の第二作用説明図である。
【図5】この発明の第二実施例におけるブレーキ装置の構成説明図である。
【図6】図2に示すブレーキ装置の第一応用例を示す構成説明図である。
【図7】図2に示すブレーキ装置の第二応用例を示す構成説明図である。
【図8】図6に示すブレーキ装置を備えた自動二輪車を斜め右後方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1 自動二輪車
10 フロントマスターシリンダ(マスターシリンダ)
13 フロントキャリパ(キャリパ)
15 リアマスターシリンダ(マスターシリンダ)
18 リアキャリパ(キャリパ)
20,120,220,320 ABSモジュレータ
28 前輪ブレーキ回路
29,129 後輪ブレーキ回路
34,36 第四,第六ソレノイドバルブ(ABS用ソレノイドバルブ)
31,32,33,35 第一,第二,第三,第五ソレノイドバルブ(バイワイヤ用ソレノイドバルブ)
37 ポンプ
38 第一液圧センサ
39 第二液圧センサ
48 ストロークシミュレータ
49 内ブレーキ液リザーバ(フルードリザーバ)
55 アキュムレータ
100A 還流式ABS装置
100B バイワイヤ式ブレーキ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリパとマスターシリンダとの間の液圧路を遮断するABS用ソレノイドバルブと、前記遮断時に前記キャリパの液圧を受容するアキュムレータと、該アキュムレータから液圧路にブレーキ液を還流させるポンプとを有する還流式ABS装置を備えると共に、
前記マスターシリンダとABS装置との間の液圧路を遮断するバイワイヤ用ソレノイドバルブと、前記マスターシリンダの液圧を検出する第一液圧センサと、前記キャリパの液圧を検出する第二液圧センサと、前記バイワイヤ用ソレノイドバルブの作動時に前記マスターシリンダの液圧を受容するストロークシミュレータと、前記バイワイヤ用ソレノイドバルブ下流側かつ前記ABS装置上流側の液圧路に接続されるフルードリザーバとを有するバイワイヤ式ブレーキ装置を備えた自動二輪車のブレーキ装置において、
前記ABS用及びバイワイヤ用ソレノイドバルブ、前記第一及び第二液圧センサ、並びに前記アキュムレータ及びポンプで一体のユニットを構成すると共に、前記ストロークシミュレータを前記ユニットに対して別体に取り付けたことを特徴とする自動二輪車のブレーキ装置。
【請求項2】
前記フルードリザーバを前記ユニットに対して別体で取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
【請求項3】
前後独立した入力回路を有し、前記バイワイヤ式ブレーキ装置を前輪ブレーキの入力回路に備えると共に、後輪ブレーキの入力回路の液圧を検出して前輪ブレーキを増力することを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
【請求項4】
前記バイワイヤ式ブレーキ装置を前後輪ブレーキの入力回路に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動二輪車のブレーキ装置。
【請求項5】
前記フルードリザーバを前記バイワイヤ用ソレノイドバルブとABS装置との間の液圧路に接続したことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の自動二輪車のブレーキ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−253931(P2007−253931A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13618(P2007−13618)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】