説明

自動作業システムにおける位置ズレ補正方法及び位置ズレ補正プログラム

【課題】位置決めロボットと作業ロボットとの協調作業の際に生じ得る位置ズレを検出して補正する。
【解決手段】アームの先端部位に保持ツール105及び慣性センサ106を具備する位置決めロボット100と、アームの先端部位に作業ツール205を具備する作業ロボット200と、ロボット制御装置300と、を有した自動作業システムにおいて、位置決めロボット100によりワークを保持した保持ツール105をワークの作業位置に応じた保持ツール105の位置決め基準位置P0に搬送して位置決めするとともに、作業ロボット200により当該ワークに対し所定の作業を行う際、ロボット制御装置300は、慣性センサ106の慣性力に基づいて保持ツール105の位置決め基準位置P0からの位置ズレ量ΔP1を検出し、検出した位置ズレ量ΔP1に基づいて保持ツール105の位置決め基準位置を位置ズレ前の位置P0に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決めロボットと作業ロボットとが協調作業を行う自動作業システムにおける位置ズレ補正方法及び位置ズレ補正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットは、ロボットアームの先端部位に各種のツールが取り付けられており、ロボットアームを構成する複数のアーム部材の各回転軸周りの回転を互いに独立して行い得るよう構成されている。つまり、産業用ロボットは、複数のアーム部材の各回転軸の回転位置の制御によりツールを所望の位置に所望の姿勢で停止させ、複数のアーム部材の各回転軸の角速度の制御によりツールを所望の経路に沿って所望の速度で移動させることができる。
【0003】
産業用ロボットは、溶接作業、塗装作業、バリとり作業又は磨き作業等の各種作業の自動化のために、幅広く利用されている。例えば、スポット溶接ライン工程では、多関節ロボット(位置決めロボット)とスポット溶接ガンロボット(作業ロボット)とが協調動作してスポット溶接を自動的に行うスポット溶接システムが提案されている。図5は、多関節ロボット及びスポット溶接ガンロボットそれぞれの構成を示した図である。
【0004】
図5に示すように、多関節ロボット8にはワーク掴みハンド(保持ツール)9が取り付けられており、ワーク掴みハンド9によってワーク(図示せず)を把持(保持)することによりハンドリング作業を行う。そして、多関節ロボット8が把持したワークの各溶接点をスポット溶接ガンロボット12が有するスポット溶接ガン11の溶接電極間に位置決めする。その後、電動サーボ機構によりスポット溶接ガン11が有する一方の溶接電極を加圧させることにより、ワークに対して溶接作業を行うようにしている。従って、スポット溶接ガン11を加圧させ、ワークに対して所望の溶接作業を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−330206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ワークの溶接点は、多関節ロボット8による位置決め動作によって、スポット溶接ガン11の溶接電極間に位置決めされるが、現実的にはその位置決めされた位置にズレが生じる場合がある。
【0007】
例えば、ワークと溶接電極との当接前では、多関節ロボット8、スポット溶接ガンロボット12それぞれの位置決め偏差に起因して溶接点の位置ズレが生じ得る。尚、位置決め偏差は、ティーチングの際の偏差、位置決め制御の際の偏差、各関節部のモータ軸のガタ、ロボット機差(オフラインティーチング時の各種パラメータが実機の値と相違する場合)が主な要因として想定される。
【0008】
さらに、ワークと溶接電極との当接後では、ワークにかかる荷重及び外力(スポット溶接ガン11の溶接電極の加圧力)に起因して、多関節ロボット8のたわみ(特に減速機部、アーム部のたわみ)、ワークのたわみ、スポット溶接ガンロボット12のたわみ、スポット溶接ガン11のアーム部(特に固定電極部)のたわみが発生し、溶接点の位置ズレが生じ得る。
【0009】
従来のスポット溶接システム等の自動作業システムでは、所定の作業の際に生じ得る作業位置のズレを検出する仕組みがなかった為、このような作業位置のズレを作業員が目視確認する必要があり、またこのような作業位置のズレが目視確認された場合に逐一マニュアル操作で位置補正を行っていた。従って、生産性や品質の低下等の弊害が生じるおそれがあった。
【0010】
そこで、本発明は、自動作業システムにおいて位置決めロボットと作業ロボットとの協調作業の際に生じ得る作業位置の位置ズレを簡素な仕組みで検出して補正することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、上記の課題を解決するための主たる本発明は、第1のロボットアームと当該第1のロボットアームの先端部位に設けられた保持ツールとを具備する位置決めロボットと、第2のロボットアームと当該第2のロボットアームの先端部位に設けられた作業ツールとを具備する作業ロボットと、前記第1のロボットアームの先端部位、前記第2のロボットアームの先端部位、又は前記位置決めロボットの保持ツールにより保持されるワークに設けられた慣性センサと、ロボット制御装置と、を有し、前記位置決めロボットが前記保持ツールにより保持した前記ワークを当該位置決めロボットの所定の目標位置である位置決め基準位置に搬送して位置決めするとともに、前記作業ロボットが当該作業ロボットの所定の目標位置である作業位置において前記ワークに対し所定の作業を行う自動作業システムにおける位置ズレ補正方法であって、前記ロボット制御装置は、前記位置決めロボットの動作を制御し、且つ前記作業ロボットが前記ワークに対し所定の作業を行う際、前記慣性センサにおいて検出される慣性力に基づいて、前記保持ツールの位置決め基準位置からの位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出工程と、検出した前記位置ズレ量に基づいて、前記保持ツールの位置決め基準位置を前記保持ツールの位置ズレ前の位置に補正する位置ズレ補正工程と、を遂行する、自動作業システムにおける位置ズレ補正方法である。
【0012】
このような工程を有することにより、位置決めロボットと作業ロボットとが協調してワークに所定の作業を行う際、当該ワークに荷重及び外力がかかることで当該ワークの作業位置が本来あるべき目標位置よりズレが生じる場合があるが、位置決めロボット側又は作業ロボット側に取り付けた慣性センサにおいて検出される慣性力を用いて、保持ツールの位置決め基準位置からの位置ズレ量を検出して、保持ツールの位置ズレを補正することができる。
【0013】
上記の課題を解決するためのその他の主たる本発明は、第1のロボットアームと当該第1のロボットアームの先端部位に設けられた保持ツールとを具備する位置決めロボットと、第2のロボットアームと当該第2のロボットアームの先端部位に設けられた作業ツールとを具備する作業ロボットと、前記第1のロボットアームの先端部位、前記第2のロボットアームの先端部位、又は前記位置決めロボットの保持ツールにより保持されるワークに設けられた慣性センサと、ロボット制御装置と、を有し、前記位置決めロボットが前記保持ツールにより保持した前記ワークを当該位置決めロボットの所定の目標位置である位置決め基準位置に搬送して位置決めするとともに、前記作業ロボットが当該作業ロボットの所定の目標位置である作業位置において前記ワークに対し所定の作業を行う自動作業システムにおける位置ズレ補正方法であって、前記ロボット制御装置は、前記作業ロボットの動作を制御し、且つ前記作業ロボットが前記ワークに対し所定の作業を行う際、前記慣性センサにおいて検出される慣性力に基づいて、前記作業位置からの位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出工程と、検出した前記位置ズレ量に基づいて、前記作業位置を位置ズレ後の位置に補正する位置ズレ補正工程と、を遂行する、自動作業システムにおける位置ズレ補正方法である。
【0014】
このような工程を有することにより、位置決めロボット側又は作業ロボット側に取り付けた慣性センサにおいて検出される慣性力を用いて、作業位置からの位置ズレ量を検出して、作業ロボットの作業位置の位置ズレを補正することができる。
【0015】
前記位置決めロボットを複数有することが好ましい。複数の位置決めロボットが協調してワークを目標位置に搬送するような自動作業システムの場合、複数の慣性センサにおいて検出される慣性力を用いることができるため、保持ツールの位置ズレ量の検出を高精度で行うことができる。
【0016】
前記慣性センサは、加速度センサであり、前記位置ズレ量検出工程は、前記加速度センサにより検出される並進方向又は回転方向の加速度に基づき前記保持ツールの位置決め基準位置から位置ズレ後の位置に至るまでの並進方向又は回転方向の位置ズレ量を検出する工程である、としてもよい。これにより、保持ツールが並進方向又は回転方向のみに移動する場合、保持ツールの位置ズレ量を上記の加速度センサによって容易に検出することができる。
【0017】
前記加速度センサは3次元方向それぞれの加速度を検出するセンサであり、前記位置ズレ量検出工程は、前記加速度センサにより検出される3次元方向それぞれの並進方向の加速度に基づき前記保持ツールの位置決め基準位置から位置ズレ後の位置に至るまでの3次元方向の位置ズレ量を検出する工程である、としてもよい。これにより、保持ツールが任意の方向に移動する場合、直交三次元座標系における保持ツールの位置ズレ量を容易に検出することができる。
【0018】
前記慣性センサは、角速度センサであり、前記位置ズレ量検出工程は、前記角速度センサにより検出される回転方向の角速度に基づき前記保持ツールの位置決め基準位置から位置ズレ後の位置に至るまでの回転方向の位置ズレ量を検出する工程である、としてもよい。これにより、保持ツールが任意の方向に移動する場合、直交三次元座標系における保持ツールの位置ズレ量を容易に検出することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、自動作業システムにおいて位置決めロボットと作業ロボットとの協調作業の際に生じ得る位置ズレを簡素な仕組みで検出して補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態1に係る自動作業システムの全体構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るロボット制御装置のブロック構成を示した図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る位置ズレ補正方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態3に係るロボット制御装置のブロック構成を示した図である。
【図5】スポット溶接システムにおける多関節ロボット及びスポット溶接ガンロボットそれぞれの構成を示した図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る自動作業システムの全体構成を示した図である。図1に示す自動作業システムは、位置決めロボット100と、作業ロボット200と、ロボット制御装置300と、により構成される。自動作業システムは、位置決めロボット100が所定のワークを作業ロボット200の所定の目標位置に搬送して位置決めするとともに、作業ロボット200がワークに対し所定の作業を行うという一連の工程を自動で遂行するシステムである。本自動作業システムの対象とする作業工程としては、例えば、スポット溶接工程、塗装工程、バリとり工程、研磨工程等が含まれる。
【0023】
位置決めロボット100は、その基台101が作業スペース下側の床面に設置される所謂床置き型の垂直多関節ロボットである。基台101にはアーム(以下、便宜上、アーム部材と呼ぶ)102a、102b、102c、102dが連設されており、また、基台101及びアーム部材102a〜102dは関節103a、103b、103c等を介して互いに相対回転可能となるよう連結されている。例えば、基台101とアーム部材102aとの連結部である関節(図示せず)により、基台101及びアーム部材102aはそれらの軸心に直交する軸の回りに相対的に回動(旋回)される。また、関節103aは、アーム部材102aとアーム部材102bとをそれらの軸心の回りに相対的に回動させ、関節103bは、アーム部材102bとアーム部材102cとをそれらの軸心の回りに相対的に回動させ、関節103cは、アーム部材102cとアーム部材102dとをそれらの軸心の回りに相対的に回動させる。以下、このように関節によって互いに連接されたアーム部材群を、ロボットアームと定義する。ここでは、関節103a〜103cによって互いに連接されたアーム部材群102a〜102dがロボットアーム110(第1のロボットアーム)を構成している。
【0024】
関節103aには、それを駆動するためのサーボモータ(図示せず)及びそのサーボモータの主軸に連結したエンコーダ(位置検出器)を具備したアクチュエータ104aが設置される。アクチュエータ104aのサーボモータが動作することで、関節103aにおいて許容される回転軸周りの回転が行われる。また、アクチュエータ104aのエンコーダは、自身と連結したアクチュエータ104aのサーボモータの基準位置(基準角)からの回転角(以下、エンコーダ値θaという。)を検出している。このエンコーダ値θaは、関節部104aの制御上の現在位置に対応している。関節103aと同様に、関節103bにはサーボモータ及びエンコーダを具備したアクチュエータ104bが設置され、関節103cにはサーボモータ及びエンコーダを具備したアクチュエータ104cが設置される。
【0025】
アーム部材102dの先端部位(ロボットアーム110の先端部位)には、各種作業用の保持ツール105が着脱可能に取り付けられている。保持ツール105には、例えば、搬送作業用の把持ツール又は吸着ツールが含まれる。尚、保持ツール105は、アーム102dの先端部位に取り付けられた場合、アーム102dに対して相対変位しないものとする。また、アーム102dの先端部位には慣性センサ106が取り付けられている。尚、アーム102dの先端部位に保持ツール105が常時取り付けられる場合、慣性センサ106を保持ツール105に取り付けてもよい。若しくは、慣性センサ106は、位置決めロボット100の保持ツール105により保持されるワークに設けられてもよい。
【0026】
慣性センサ106は、物体(この場合、保持ツール105)の動きから生じる慣性力を電気信号として検出するセンサである。慣性センサ106には、加速度センサ、角速度センサ等が含まれる。加速度センサの代表例としては、セラミックケース内部で中空状態に保持されるマスによって圧電素子に慣性力が印加されたとき、この圧電素子に発生する電荷を電気信号として取り出すというメカニズムが用いられている。尚、保持ツール105の並進方向又は回転方向の加速度のみを検出する場合には1軸型の加速度センサが用いられ、保持ツール105の3軸(直交三次元座標系のX軸、Y軸、Z軸)方向それぞれの加速度を検出する場合には3軸型の加速度センサが用いられる。角速度センサの代表例としては、圧電素子に電圧を印加して振動させた状態でさらに回転運動に伴う角速度を加えたとき、所謂コリオリの力によって発生する圧電素子の歪みを電気信号として取り出すというメカニズムが用いられている。
【0027】
また、慣性センサ106に指向性があるのであれば、慣性センサ106において最も感度の良い方向が、位置決めロボット100と作業ロボット200とによる実際の協調作業に際して良くたわむ方向に設定される。
【0028】
作業ロボット200は、位置決めロボット100と同様に、その基台201が作業スペース下側の床面に設置される所謂床置き型の垂直多関節ロボットである。基台201にはアーム(以下、便宜上、アーム部材と呼ぶ)202a、202b、202c、202dが連設されており、また、基台201及びアーム部材202a〜202dは関節203a、203b、203c等を介して互いに相対回転可能となるよう連結している。例えば、基台201とアーム部材202aとの連結部である関節(図示せず)により、基台201及びアーム202aはそれらの軸心に直交する軸の回りに相対的に回動(旋回)させる。また、関節203aは、アーム部材202aとアーム部材202bとをそれらの軸心の回りに相対的に回動させ、関節203bは、アーム部材202bとアーム部材202cとをそれらの軸心の回りに相対的に回動させ、関節203cは、アーム部材202cとアーム部材202dとをそれらの軸心の回りに相対的に回動させる。このように関節203a〜203cによって互いに連接されたアーム部材群202a〜202dによってロボットアーム210(第2のロボットアーム)が構成されている。
【0029】
関節203aには、それを駆動するためのサーボモータ(図示せず)及びそのサーボモータの主軸に連結したエンコーダ(位置検出器)を具備したアクチュエータ204aが設置される。アクチュエータ204aのサーボモータが動作することで、関節203aにおいて許容される回転軸周りの回転が行われる。また、アクチュエータ204aのエンコーダは、自身と連結したアクチュエータ204aのサーボモータの基準位置(基準角)からの回転角(以下、エンコーダ値θbという。)を検出している。このエンコーダ値θbは、関節部203aの制御上の現在位置に対応している。関節203aと同様に、関節203bにはサーボモータ及びエンコーダを具備したアクチュエータ204bが設置され、関節203cにはサーボモータ及びエンコーダを具備したアクチュエータ204cが設置される。
【0030】
アーム部材202d(ロボットアーム210の先端部位)の先端部位には、各種作業用の作業ツール205が着脱可能に取り付けられる。作業ツール205には、例えば、溶接作業用のスポット溶接ガンや溶接トーチ、バリ取り・研磨作業用のバレル研磨機、ブラシ研磨機、エアーブラスト研磨機等が含まれる。尚、作業ツール205は、アーム部材202dの先端部位に取り付けられた場合、アーム部材202dに対して相対変位しないものとする。
【0031】
ロボット制御装置300は、本自動作業システムが対象とする作業工程に応じて位置決めロボット100及び作業ロボット200双方の動作を制御する制御装置である。具体的には、ロボット制御装置300は、位置決めロボット100の各アクチュエータ104a〜104cが具備するサーボモータのサーボ制御及び作業ロボット200の各アクチュエータ204a〜204dが具備するサーボモータのサーボ制御により、位置決めロボット100の保持ツール105及び作業ロボット200の作業ツール205を任意の位置及び姿勢に任意の経路に沿って移動させる。さらに、ロボット制御装置300は、位置決めロボット100の保持ツール105におけるワークの保持と、作業ロボット200の作業ツール205によるワークに対する作業と、を制御する。尚、ロボット制御装置300は、位置決めロボット100のみを制御対象とするロボット制御装置と、作業ロボット200のみを制御対象とするロボット制御装置と、により構成してもよい。
【0032】
ロボット制御装置300は、位置決めロボット100の基台101又は作業ロボット200の基台201の一方に配置されるが、位置決めロボット100及び作業ロボット200と遠隔に配置されていてもよい。また、位置決めロボット100及び作業ロボット200と物理的に着脱可能な形態で接続されてもよい。さらに、ロボット制御装置300は、ティーチペンダント等の外部装置(図示せず)と接続可能である。オペレータは、この外部装置を利用することで、例えばティーチモード(ロボットの移動終了位置(目標位置)を教示するモード)及びチェックモード(ティーチモードに基づくロボットの移動をチェックするモード)の実行開始指令の入力、ティーチモードの実行中における位置決めロボット100又は作業ロボット200のマニュアル操作、ティーチモードの実行中における移動開始位置(初期位置)及び移動終了位置(目標終了位置)の入力等を行うことができる。
【0033】
図2は、図1に示した自動作業システムにおいて特にロボット制御装置300の機能上の構成を示した機能ブロック図である。図2に示すように、ロボット制御装置300は、位置ズレ量検出部301と、目標位置補正部302と、位置・速度サーボ制御部303と、アンプ304と、位置・速度サーボ制御部305と、アンプ306と、を有する。尚、位置ズレ量検出部301、目標位置補正部302、位置・速度サーボ制御部303は、ロボット制御装置300のCPU(図示せず)が実行するプログラム(ソフトウェア)によって機能ブロックとして実現される。もちろん、これらの機能ブロックを電気回路等のハードウェアによって実現してもよい。
【0034】
位置ズレ量検出部301は、位置決めロボット100が保持ツール105を作業ロボット200の所定の位置決め基準位置Pnに搬送して位置決めした後、慣性センサ106の慣性力Q(加速度又は角速度を示す)に基づいて、所定の作業の際における外力による保持ツール105の位置決め基準位置Pnからの位置ズレ量ΔP1を検出する。この位置ズレ量ΔP1は、位置決めした状態における保持ツール105の制御上の現在位置(位置決め基準位置Pn)と実際の位置P1とのズレを表す。位置ズレ量検出部301には、保持ツール105が位置決め基準位置Pnに位置決めされたことを示す停止信号Sが入力されており、位置ズレ量検出部301は、この停止信号Sが入力されたタイミングで位置ズレ量ΔP1の検出を開始する。慣性力Qに基づく保持ツール105の位置ズレ量ΔP1は、慣性力Qが加速度を示す場合、慣性力Qを2階積分して保持ツール105の移動量を得ることにより検出される。また、慣性力Qが角速度を示す場合、慣性力Qを1階積分することで検出される。この場合の位置ズレ量ΔP1は、位置決めした状態における保持ツール105の制御上の現在角度と実際の角度(以下、実角度という)とのズレ(角度変化量)を表す。なお、位置ズレ量検出部301は、停止信号Sが入力されない場合には、位置ズレ量ΔP1として0を出力する。
【0035】
この位置ズレ量ΔP1は、主として、位置決めロボット100によって保持ツール105を位置決めした後、作業ロボット200によって保持ツール105が保持する所定のワークに対し所定の作業が行われる際に、保持ツール105又は保持ツール105が保持するワークに対し荷重及び外力がかかって生じた位置ズレの度合いを表している。保持ツール105にかかる荷重及び外力としては、例えば、図5に示すようなスポット溶接システムの場合、スポット溶接ガンの一方の溶接電極の加圧力が相当する。
【0036】
目標位置補正部302は、上記の外部装置より指示された保持ツール105の搬送先となる目標位置P0(位置決め基準位置Pn)を、位置ズレ量検出部301において検出された保持ツール105の位置ズレ量ΔP1を見込んだ補正目標位置P0’に補正する。具体的には、「目標位置P0(位置決め基準位置Pn)+位置ズレ量ΔP1」を演算して、これを補正目標位置P0’として出力する。なお、位置ズレ量検出部301に停止信号Sが入力されない場合には、位置ズレ量ΔP1は0であるので、目標位置補正部302は、目標位置P0(位置決め基準位置Pn)を補正せずにそのまま補正目標位置P0’として出力する。
【0037】
位置・速度サーボ制御部303は、目標位置補正部302から出力される補正目標位置P0’と、位置決めロボット100の各アクチュエータ104a〜104cが具備するエンコーダにおいて検出されたエンコーダ値θ1と、が入力され、位置決めロボット100の各アクチュエータ104a〜104cが具備するサーボモータの操作量の指令値を出力する。具体的には、位置・速度サーボ制御部303は、次式に示すように補正目標位置P0’とエンコーダ値θ1との差e1、つまり保持ツール105の位置ズレ量ΔP1を考慮に入れた保持ツール105の位置偏差e1を算定するとともに、この位置偏差e1を所定のゲインで増幅した信号を出力する。この動作は所謂比例動作と呼ばれる。
【0038】
e1=P0’−θ1=(P0+ΔP1)−θ1・・・(式1)
さらに、位置・速度サーボ制御部303は、位置ズレ量ΔP1の一次微分とエンコーダ値θ1の一次微分との差v1、つまり保持ツール105の位置ズレ量を考慮に入れた保持ツール105の速度偏差v1を算定するとともに、この速度偏差v1に所定のゲインで増幅した信号を出力する。この動作は所謂微分動作と呼ばれる。
【0039】
v1=dP0’/dt−dθ1/dt=(dP0/dt+dΔP1/dt)−dθ1/dt・・・(式2)
尚、位置・速度サーボ制御部303は、上記の比例動作及び微分動作の他に、所謂積分動作を同時に行うようにしてもよい。
【0040】
アンプ304は、位置・速度サーボ制御部303から出力される信号を増幅し、これを位置決めロボット100の各アクチュエータ104a〜104cが具備するサーボモータに対し、当該サーボモータの操作量に応じた駆動電流指令として出力する。この駆動電流指令に応じて当該サーボモータが回転し、保持ツール105が補正目標位置P0’となるようにフィードバック制御される。
【0041】
位置・速度サーボ制御部305は、外部装置から指示された目標位置P2と、作業ロボット200の各アクチュエータ204a〜204cが具備するエンコーダにおいて検出されたエンコーダ値θ2と、が入力され、作業ロボット200の各アクチュエータ204a〜204cが具備するサーボモータの操作量の指令値を出力する。具体的には、位置・速度サーボ制御部305は、作業ツール205の目標位置P2とエンコーダ値θ2との差である位置偏差e2を算定するとともに、この位置偏差e2に所定のゲインで増幅した信号を出力する。この動作は所謂比例動作と呼ばれる。
【0042】
e2=P2−θ2・・・(式3)
さらに、位置・速度サーボ制御部305は、作業ツール205の目標位置P2の一次微分とエンコーダ値θ2の一次微分との差である速度偏差v2を算定するとともに、この速度偏差v2に所定のゲインで増幅した信号を出力する。この動作は所謂微分動作と呼ばれる。
【0043】
v2=dP2/dt−dθ2/dt・・・(式4)
尚、位置・速度サーボ制御部305は、上記の比例動作及び微分動作の他に、所謂積分動作を同時に行うようにしてもよい。
【0044】
アンプ306は、位置・速度サーボ制御部305から出力される信号を増幅し、これを作業ロボット200の各アクチュエータ204a〜204cが具備するサーボモータに対し、当該サーボモータの操作量に応じた駆動電流指令として出力する。この駆動電流指令に応じて当該サーボモータが回転し、作業ツール205が目標位置P2となるようにフィードバック制御される。
【0045】
図3は、ロボット制御装置300による作業位置の位置ズレ補正方法の流れを説明するためのフローチャートである。
【0046】
ロボット制御装置300は、初期位置に設定された位置決めロボット100が停止中の間(S300:YES)、慣性センサ106のオフセット調整を行う(S301)。後述のとおり位置ズレ量ΔP1を検出する場合、慣性センサ106のオフセット量を取り除くことで検出精度の向上、ひいては位置ズレ補正精度の向上を図るためである。
【0047】
つぎに、ロボット制御装置300は、慣性センサ106のオフセット調整後、位置決めロボット100の保持ツール105により保持したワークを、外部装置より指示された作業ロボット200の作業ツール205における目標位置P0である位置決め基準位置Pn(位置決めロボット100側が認識する協調作業位置)に搬送して位置決めする(S300:NO、S302:NO)。そして、ロボット制御装置300は、ワークを保持した保持ツール105が位置決め基準位置Pnに到達したとき(S302:YES)、位置ズレ量検出部301において慣性センサ106で検出される慣性力Qに基づいたワークの位置ズレ量ΔP1の検出処理を開始する(S303)。なお、正確には、ロボット制御装置300は、ワークが位置決め基準位置Pnに到達し、且つ停止信号Sが入力されたとき、保持ツール105の移動量の検出処理を開始する。
【0048】
つぎに、ロボット制御装置300は、位置決めロボット100と作業ロボット200とによる協調作業(例えば、ワークに対するスポット溶接)の動作を制御する(S304)。なお、協調作業の際に、上記のとおりワークに対し荷重及び外力がかかり、目標位置P0に応じた位置決め基準位置Pnに位置決めされたワークが動く場合がある。そこで、ロボット制御装置300は、位置ズレ量検出部301においてワークが位置決め基準位置Pnから移動した位置ズレ量ΔP1を検出するとともに(S305)、目標位置補正部302において外部装置から指定された保持ツール105の搬送先となる目標位置P0に応じた位置決め基準位置Pnを、位置ズレ量検出部301において検出された保持ツール105の位置ズレ量ΔP1を見込んだ補正目標位置P0’に補正する。そして、ロボット制御装置300は、補正目標位置P0’に基づいて、位置ズレ量ΔP1がなくなるように、位置・速度サーボ制御部303により位置決めロボット100の各アクチュエータ204a〜204cが具備するサーボモータを駆動制御する。この結果、保持ツール105の実際の位置P1が、位置ズレ量ΔP1がなくなるように位置ズレ前の位置P0に補正される(S306)。尚、位置決めロボット100の保持ツール105がワークを保持した後、保持ツール105は重力方向に荷重を受ける。そこで、保持ツール105を目標位置に搬送する前に、保持ツール105の位置を補正してもよい。
【0049】
上記のとおり、実施の形態1では、位置決めロボット100と作業ロボット200とが協調してワークに所定の作業を行う際、当該ワークに荷重及び外力がかかることで当該ワークを保持した保持ツール105が本来あるべき所定の目標位置P0である位置決め基準位置Pnから移動する場合、このときの位置ズレ量ΔP1を検出して、保持ツール105の位置ズレを補正することができる。また、位置決めロボット100側でワークを保持している点に着眼し、位置ズレ補正を行うために位置決めロボット100側のみに慣性センサ106が取り付けられ、この慣性センサ106において検出された慣性力Qのみを利用するという簡素な構成を採用することができる。さらに、既存の自動作業システムでは、位置決めロボット100の保持ツール105のサーボ制御及び作業ロボット200の作業ツール205のサーボ制御のための構成を元々備えている。このため、上記の位置ズレ量ΔP1を用いた位置ズレ補正を、既存の自動作業システムの構成を流用して実現することができる。
【0050】
<実施の形態2>
実施の形態1では、位置決めロボット100のロボットアーム110の先端部位に慣性センサ106が取り付けられ、この慣性センサ106において検出された慣性力Qに基づいて、保持ツール105が保持するワークの位置決め基準位置Pnからの位置ズレ量ΔP1が検出されるとともに当該位置ズレ量ΔP1を用いて位置ズレ補正が行われるようにした。これにより、位置ズレ量ΔP1を用いた位置ズレ補正処理が位置決めロボット100側で完結するため、その位置ズレ補正処理に必要な構成を簡素化することができる。
【0051】
一方、実施の形態2では、位置決めロボット100のロボットアーム110の先端部位に慣性センサ106が取り付けられ、この慣性センサ106において検出された慣性力Qに基づいて、ワークの作業位置に応じた作業ツール205の目標位置P2である位置決め基準位置Pm(作業ロボット200側が認識する協調作業位置)が、保持ツール105の位置決め基準位置Pnから位置ズレ量ΔP1分ずれた後の実際の位置に補正される。つまり、実施の形態2では、実施の形態1とは異なり、作業位置の位置ズレ補正に際し、位置決めロボット100の保持ツール105を動かすのではなく、作業ロボット200の作業ツール205を動かすことにしている。尚、この際、ワークのたわみ量をあらかじめ教示点ごとに登録しておき、これらのたわみ量の情報を考慮に入れることも可能である。
【0052】
この結果として、実施の形態2では、位置決めロボット100と作業ロボット200との協調作業の際にワークにかかる荷重及び外力によって生じる位置ズレのみならず、実施の形態1では考慮されずにいたワークのたわみまでをも考慮に入れて補正することができる。
【0053】
また、位置決めロボット100が複数台必要となる自動作業システムの場合、つまり、複数台の位置決めロボット100が協調してワークを作業ロボット200の位置決め基準位置Pnに搬送するような自動作業システムの場合、保持ツール105の位置ズレ量を検出するための情報として、複数台の位置決めロボット100それぞれの慣性センサ106において検出される慣性力Qを利用することができ、保持ツール105の位置ズレ量を高精度に検出することが可能となる。
【0054】
<実施の形態3>
図4は、本発明の実施の形態3に係る自動作業システムの全体構成として特にロボット制御装置300のブロック構成を示した図である。図1、図2に示した実施の形態1の構成と相違する点は、主として、位置決めロボット100のロボットアーム110の先端部位の慣性センサ106が取り外され、作業ロボット200のロボットアーム210の先端部位に慣性センサ206が取り付けられた点と、ロボット制御装置300において位置決めロボット100を制御対象とするサーボ制御系から位置ズレ量検出部301及び目標位置補正部302が省略され、作業ロボット200を制御対象とするサーボ制御系側に位置ズレ量検出部307及び目標位置補正部308が追加された点である。
【0055】
慣性センサ206は、慣性センサ106と同様に、加速度センサ又は角速度センサ等を用いることができ、作業ツール205の加速度、角速度等を検出する。また、慣性センサ206に指向性がある場合、慣性センサ206において最も感度の良い方向が、位置決めロボット100と作業ロボット200とによる実際の協調作業において良く変位する方向に設定される。
【0056】
位置ズレ量検出部307は、外部装置により指示された目標位置P2に作業ツール205が位置決めされた後、慣性センサ206の慣性力Q(加速度又は角速度を示す)に基づいて、作業ツール205の目標位置P2に応じた位置決め基準位置Pmからの位置ズレ量ΔP3を検出する。この位置ズレ量ΔP3は、目標位置P2に位置決めした状態における作業ツール205の制御上の現在位置(位置決め基準位置Pm)と実際の位置P3とのズレを表す。また、慣性力Qに応じた作業ツール205の位置ズレ量ΔP3は、慣性力Qが加速度を示す場合、慣性力Qを2階積分して得られる。また、慣性力Qが角速度を示す場合、慣性力Qを1階積分することで得られる。
【0057】
目標位置補正部308は、上記の外部装置より指示されたワークの作業位置に応じた作業ツール205における目標位置P2(位置決め基準位置Pm)を、位置ズレ量検出部307において検出された作業ツール205の位置ズレ量ΔP3を見込んだ補正目標位置P2’に補正する。具体的には、「目標位置P2(位置決め基準位置Pm)+位置ズレ量ΔP3」を演算して、これを補正目標位置P2’として出力する。なお、位置ズレ量検出部307に停止信号Sが入力されない場合には、位置ズレ量ΔP3は0であるので、目標位置補正部308は、目標位置P2を補正せずにそのまま補正目標位置P2’として出力する。
【0058】
上記のとおり、実施の形態3では、作業ロボット200のロボットアーム210の先端部位に慣性センサ206が取り付けられ、この慣性センサ206において検出された慣性力Qに基づいて、ワークの作業位置に応じた作業ツール205の目標位置P2である位置決め基準位置Pmからの位置ズレ量ΔP3を用いて位置ズレ補正するようにした。これにより、作業ツール205のたわみまでをも考慮に入れた補正を行うことが可能となる。特に、スポット溶接システムの場合、スポット溶接ガンの固定電極側のガンアームはガン加圧力によってたわみ易いため、固定電極に慣性センサ206を取り付けるようにすれば、作業ツール205の位置ズレ量ΔP3を用いた位置ズレ補正と併せて、ガンアームのたわみについても補正することができる。
【0059】
<実施の形態4>
上記の実施の形態3では、作業ロボット200のロボットアーム210の先端部位に慣性センサ206が取り付けられ、この慣性センサ206において検出された慣性力Qに基づいて、作業ツール105の位置決め基準位置Pmからの位置ズレ量ΔP3が検出されるとともに当該位置ズレ量ΔP3を用いて位置ズレ補正が行われるようにした。
【0060】
一方、実施の形態4では、作業ロボット200のロボットアーム210の先端部位に慣性センサ206を取り付け、この慣性センサ206において検出された慣性力Qに基づいて、位置決めロボット100の保持ツール105の実際の位置P1を作業ツール205の実際の位置P3に補正する。つまり、実施の形態4では、実施の形態3とは異なり、位置ズレ量ΔP2の補正に際して、作業ロボット200の作業ツール205を動かすのではなく、位置決めロボット100の保持ツール105を動かすことにしている。これにより、また、位置決めロボット100が複数台必要となる自動作業システムの場合、つまり、複数台の位置決めロボット100が協調してワークを作業ロボット200の所定の目標位置P0に応じた位置決め基準位置Pnに搬送するような自動作業システムの場合、複数台の位置決めロボット100それぞれの保持ツール105の位置ズレ量を補正するに際して、作業ロボット200側に1個の慣性センサ206を取り付けるだけで済み、複数台の位置決めロボット100それぞれに慣性センサ106を設ける必要がなくなる。このため、自動作業システムを低コストで実現することが可能となる。
【0061】
<実施の形態5>
上記の実施形態1〜4では、位置決めロボット100のロボットアーム110又は作業ロボット200のロボットアーム210の一方の先端部位に慣性センサ(106又は206)を取り付けるようにしてシステム構築コストの低減を図っている。一方、実施の形態5では、位置決めロボット100のロボットアーム110及び作業ロボット200のロボットアーム210それぞれの先端部位に慣性センサ(106、206)が取り付けられ、協調作業の際に生じ得る作業位置の位置ズレ量を、位置決めロボット100と作業ロボット200との間で按分(例えば位置ズレ量の1/2を双方で分担)する。そして位置決めロボット100及び作業ロボット200の双方の動作により位置ズレ補正する。これにより、極め細やかな位置ズレ補正が可能となり、また位置決めロボット100及び作業ロボット200それぞれの処理負担を軽減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、位置決めロボットと作業ロボットとの協調作業の際に生じ得る位置ズレを簡素な仕組みで検出して補正できるという優れた作用効果を奏し、協調作業の際に位置決めロボットの保持ツールや作業ロボットの作業ツールに荷重及び外力がかかる自動作業システムに利用すると有益である。
【符号の説明】
【0063】
100 位置決めロボット
101 基台
102a〜102d アーム部材
103a〜103c 関節
104a〜104c アクチュエータ
105 保持ツール
106 慣性センサ
110 ロボットアーム
200 作業ロボット
201 基台
202a〜202d アーム部材
203a〜203c 関節
204a〜204c アクチュエータ
205 作業ツール
206 慣性センサ
210 ロボットアーム
300 ロボット制御装置
301、307 位置ズレ量検出部
302、308 目標位置補正部
303、305 位置・速度サーボ制御部
304、306 アンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のロボットアームと当該第1のロボットアームの先端部位に設けられた保持ツールとを具備する位置決めロボットと、第2のロボットアームと当該第2のロボットアームの先端部位に設けられた作業ツールとを具備する作業ロボットと、前記第1のロボットアームの先端部位、前記第2のロボットアームの先端部位、又は前記位置決めロボットの保持ツールにより保持されるワークに設けられた慣性センサと、ロボット制御装置と、を有し、前記位置決めロボットが前記保持ツールにより保持した前記ワークを当該位置決めロボットの所定の目標位置である位置決め基準位置に搬送して位置決めするとともに、前記作業ロボットが当該作業ロボットの所定の目標位置である作業位置において前記ワークに対し所定の作業を行う自動作業システムにおける位置ズレ補正方法であって、
前記ロボット制御装置は、
前記位置決めロボットの動作を制御し、
且つ前記作業ロボットが前記ワークに対し所定の作業を行う際、前記慣性センサにおいて検出される慣性力に基づいて、前記保持ツールの位置決め基準位置からの位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出工程と、検出した前記位置ズレ量に基づいて、前記保持ツールの位置決め基準位置を前記保持ツールの位置ズレ前の位置に補正する位置ズレ補正工程と、を遂行する、
自動作業システムにおける位置ズレ補正方法。
【請求項2】
第1のロボットアームと当該第1のロボットアームの先端部位に設けられた保持ツールとを具備する位置決めロボットと、第2のロボットアームと当該第2のロボットアームの先端部位に設けられた作業ツールとを具備する作業ロボットと、前記第1のロボットアームの先端部位、前記第2のロボットアームの先端部位、又は前記位置決めロボットの保持ツールにより保持されるワークに設けられた慣性センサと、ロボット制御装置と、を有し、前記位置決めロボットが前記保持ツールにより保持した前記ワークを当該位置決めロボットの所定の目標位置である位置決め基準位置に搬送して位置決めするとともに、前記作業ロボットが当該作業ロボットの所定の目標位置である作業位置において前記ワークに対し所定の作業を行う自動作業システムにおける位置ズレ補正方法であって、
前記ロボット制御装置は、
前記作業ロボットの動作を制御し、
且つ前記作業ロボットが前記ワークに対し所定の作業を行う際、前記慣性センサにおいて検出される慣性力に基づいて、前記作業位置からの位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出工程と、検出した前記位置ズレ量に基づいて、前記作業位置を位置ズレ後の位置に補正する位置ズレ補正工程と、
を遂行する、自動作業システムにおける位置ズレ補正方法。
【請求項3】
前記位置決めロボットを複数有する、請求項1又は2に記載の自動作業システムにおける位置ズレ補正方法。
【請求項4】
前記慣性センサは、加速度センサであり、
前記位置ズレ量検出工程は、前記加速度センサにより検出される並進方向又は回転方向の加速度に基づき前記保持ツールの位置決め基準位置から位置ズレ後の位置に至るまでの並進方向又は回転方向の位置ズレ量を検出する工程である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動作業システムにおける位置ズレ補正方法。
【請求項5】
前記加速度センサは3次元方向それぞれの加速度を検出するセンサであり、
前記位置ズレ量検出工程は、前記加速度センサにより検出される3次元方向それぞれの並進方向の加速度に基づき前記保持ツールの位置決め基準位置から位置ズレ後の位置に至るまでの3次元方向の位置ズレ量を検出する工程である、
請求項4に記載の自動作業システムにおける位置ズレ補正方法。
【請求項6】
前記慣性センサは、角速度センサであり、
前記位置ズレ量検出工程は、
前記角速度センサにより検出される回転方向の角速度に基づき前記保持ツールの位置決め基準位置から位置ズレ後の位置に至るまでの回転方向の位置ズレ量を検出する工程である、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動作業システムにおける位置ズレ補正方法。
【請求項7】
第1のロボットアームと当該第1のロボットアームの先端部位に設けられた保持ツールとを具備する位置決めロボットと、第2のロボットアームと当該第2のロボットアームの先端部位に設けられた作業ツールとを具備する作業ロボットと、前記第1のロボットアームの先端部位、前記第2のロボットアームの先端部位、又は前記位置決めロボットの保持ツールにより保持されるワークに設けられた慣性センサと、コンピュータと、を有し、前記位置決めロボットが前記保持ツールにより保持した前記ワークを当該位置決めロボットの所定の目標位置である位置決め基準位置に搬送して位置決めするとともに、前記作業ロボットが当該作業ロボットの所定の目標位置である作業位置において前記ワークに対し所定の作業を行う自動作業システムにおける位置ズレ補正プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記位置決めロボットの動作を制御させ、
且つ前記作業ロボットが前記ワークに対し所定の作業を行う際、前記慣性センサにおいて検出される慣性力に基づいて、前記保持ツールの位置決め基準位置からの位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出工程と、検出した前記位置ズレ量に基づいて、前記保持ツールの位置決め基準位置を前記保持ツールの位置ズレ前の位置に補正する位置ズレ補正工程と、を遂行させる、
自動作業システムにおける位置ズレ補正プログラム。
【請求項8】
第1のロボットアームと当該第1のロボットアームの先端部位に設けられた保持ツールとを具備する位置決めロボットと、第2のロボットアームと当該第2のロボットアームの先端部位に設けられた作業ツールとを具備する作業ロボットと、前記第1のロボットアームの先端部位、前記第2のロボットアームの先端部位、又は前記位置決めロボットの保持ツールにより保持されるワークに設けられた慣性センサと、コンピュータと、を有し、前記位置決めロボットが前記保持ツールにより保持した前記ワークを当該位置決めロボットの所定の目標位置である位置決め基準位置に搬送して位置決めするとともに、前記作業ロボットが当該作業ロボットの所定の目標位置である作業位置において前記ワークに対し所定の作業を行う自動作業システムにおける位置ズレ補正プログラムであって、
前記コンピュータに、
前記作業ロボットの動作を制御させ、
且つ前記作業ロボットが前記ワークに対し所定の作業を行う際、前記慣性センサにおいて検出される慣性力に基づいて、前記作業位置からの位置ズレ量を検出する位置ズレ量検出工程と、検出した前記位置ズレ量に基づいて、前記作業位置を位置ズレ後の位置に補正する位置ズレ補正工程と、を遂行させる、
自動作業システムにおける位置ズレ補正プログラム。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−274396(P2010−274396A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131981(P2009−131981)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】