説明

自動分析装置

【課題】 試薬庫の蓋を測定動作中は開かないようにロックしておき、試薬容器の交換時にのみ測定動作を停止させないで、開くことができるようにする。
【解決手段】 試薬庫100の上面に開閉可能に蓋110を配置し、測定動作中はこの蓋を能動部120と受け部130によって閉じた状態に維持するロック機構を備え、各構成機器の動作を制御する分析装置制御部150によって、測定動作は継続させながら、分注機構の動作を停止させて、ロック機構による蓋のロック状態を一時的に解除できるようにした。
これにより、試薬容器の交換を測定動作は継続させながら、分注機構の動作を停止させて実施することができるので、自動分析装置を効率的に運用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料と試薬を反応させて試料の成分を分析する自動分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動分析装置は、血液や尿などの試料に試薬を混合して反応させ、その反応状態を光で調べることによって、試料の成分分析を自動的に行う装置である。この自動分析装置は、多数の試料について、同時に多数項目の成分分析を行えるため、病院や検査機関などにおいて広く利用されている。
【0003】
図5は、自動分析装置の要部である分析部の概略的な構成を示した斜視図であり、この図によって自動分析装置について説明する。
【0004】
図5に示すように、自動分析装置は、反応ディスク11、サンプルデスク12、第1試薬庫13、第2試薬庫14、試料分注機構15、第1試薬分注機構16、第2試薬分注機構17、第1攪拌機構18、第2攪拌機構19、洗浄ユニット20、測定ユニット22などを備え、図示しない分析装置制御部によって動作が制御されるものである。なお、オプションとして電極21も配置可能となっている。
【0005】
反応ディスク11は、円環状に形成されて周状に多数の反応容器10を収容しており、ある一定のサイクルで所定の角度だけ回転して停止する間欠的な回転動作を行う。この反応ディスク11の傍に、分析対象となる試料の入った試料容器12aを多数収容したサンプルデスク12が配置されている。第1試薬庫13は、試薬を収容した多数の試薬容器13aを格納しており、反応ディスク11の内側に同心状に配置され、同じく試薬を収容した多数の試薬容器14aを格納している第2試薬庫14は、反応ディスク11の近傍に所定間隔をおいて配置されている。
【0006】
反応ディスク11とサンプルデスク12の間に試料分注機構15が配置されている。この試料分注機構15は支柱15aを軸として、反応ディスク11とサンプルデスク12の間を、孤を描くように回転する。また、反応ディスク11の外周近傍に第1試薬分注機構16が配置され、反応ディスク11と第2試薬庫14の間に第2試薬分注機構17が配置されている。これら第1試薬分注機構16、第2試薬分注機構17もそれぞれ支柱16a、17aを軸として、反応ディスク11と第1試薬庫13の間、または反応ディスク11と第2試薬庫14の間を、孤を描くように回転する。さらに、反応ディスク11の外周近傍に、第1攪拌機構18、第2攪拌機構19、洗浄ユニット20、電極21が配置され、反応ディスク11の所定位置に測定ユニット22が配置されている。
【0007】
サンプルデスク12は円板状に形成され、その軸線を中心として回転することにより、試料容器12aの所望のものを試料分注機構15の吸引位置に移動させる。試料分注機構15は、針状のノズルを有し、所定の吸引位置で試料容器12a内の試料を吸引し、その後反応ディスク11側へ回転し、反応ディスク11に収容された所定の反応容器10内へ試料を吐出する。反応ディスク11はその軸線を中心に回転し、反応容器10を第1試薬分注機構16、第2試薬分注機構17の試薬吐出位置に移動させる。
【0008】
第1試薬庫13、第2試薬庫14とも円環状に形成されていて、その軸線を中心として回転するものであり、それぞれに格納している試薬容器13a、14aを第1試薬分注機構16、第2試薬分注機構17の吸入位置へ移動させる。第1試薬分注機構16、第2試薬分注機構17はそれぞれ針状のノズルを有しており、それぞれ第1試薬庫13、第2試薬庫14の所定の試薬容器13a、14aから試薬を吸引し、その試薬を反応ディスク11に収容されている所定の反応容器10へ所定量分注する。
【0009】
反応ディスク11の回転動作によって、反応容器10が第1攪拌位置、第2攪拌位置に達すると、第1攪拌機構18、第2攪拌機構19は、該当する反応容器10内に吐出されている試料と試薬との混合液を攪拌子で攪拌し、反応を促進させる。さらに、反応ディスク11の回転動作に伴い反応容器10が測定ユニット22の位置に達すると、測定ユニット22によって反応容器10内の混合液の成分が分析される。そして、分析終了後反応容器10内の混合液は廃棄され、その反応容器10内は洗浄ユニット20によって洗浄されて次の試料の分析に供せられる。
【0010】
ところで、試薬は、揮発性のもの、温度変化によって変性するものなど種々の性質をもっている。そのため試薬の収容された試薬容器を格納する第1試薬庫13、第2試薬庫14は、全体を冷却したり上面に蓋をしたりして、揮発による試薬の濃縮、温度変化による特性の劣化、揮発した試薬の他の試薬への溶け込み防止などを図っている(例えば、特許文献1参照。)。なお、試薬庫13、14の蓋には、試薬分注機構16、17により試薬容器13a、14aから試薬を吸引する吸入位置に貫通孔が形成されている。
【特許文献1】特開平8−160050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
自動分析装置の動作中は、試薬庫13、14を回転させて試薬容器13a、14aを移動したり、試薬分注機構16、17のノズルで、試薬容器13a、14a中の試薬を吸引するとともに反応容器10へ吐出する動作を繰り返したりしている。そのため、ユーザが不用意に試薬庫13、14の蓋を外そうとして試薬分注機構16、17に触れることのないように、従来の自動分析装置では、試薬庫13、14に動作中であることを表す警告としてランプを点灯したり、コンソールに動作中である旨のメッセージを表示したりしていた。
【0012】
しかしながら、試薬容器13a、14aが空になったり、中の試薬が不足したりした場合には、試薬容器13a、14aを交換するため、測定動作中にもかかわらずユーザが不用意に試薬庫13、14の蓋を開けてしまうことがある。この場合、蓋に試薬分注機構16、17のノズルが衝突してノズルを折ってしまうおそれがあり、また、試薬庫13、14が回転しているところに手を入れてユーザが怪我をする可能性も否定できない。このようなことから、従来は、動作中に試薬庫13、14の蓋が開けられると、測定動作を停止させるようにしていた。しかしながら測定動作を停止させると、それまでに反応容器10に分注された試料のデータ収集まで止まってしまうため、再度測定を行わなければならず、試料や試薬が無駄になるとともに、分析結果が出るまでに時間がかかってしまうという問題があった。
【0013】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、試料と試薬を反応させて前記試料の成分を分析する自動分析装置において、前記試料と試薬を反応させる反応容器を移動する反応ディスク部と、前記試薬を収容した複数個の試薬容器を格納する試薬庫と、この試薬庫に格納されている前記試薬容器から前記反応容器へ試薬を分注する分注機構と、前記試薬庫の上面に開閉可能に配置される蓋体と、この蓋体の閉じた状態を維持するためのロック機構と、前記各構成機器の動作を制御する制御装置とを具備することを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の自動分析装置において、前記ロック機構は、前記試薬庫側に設けた電気的に動作する可動部材に、前記蓋体側に設けた受け部材を係合させることによって、前記蓋体を閉じた状態に維持することを特徴とする。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1および請求項2のいずれか1項に記載の自動分析装置において、前記制御装置は、測定動作を継続させながら、前記分注機構の動作を停止させて、前記ロック機構による前記蓋体の閉じた状態を一時的に解除する機能を有することを特徴とする。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の自動分析装置において、前記蓋体の開閉状態を検出するセンサを備え、このセンサの検出信号を基にして、前記蓋体の開閉状態を表示する表示手段をさらに具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上記課題を解決するための手段の項にも示したとおり、本発明の特許請求の範囲に記載する各請求項の発明によれば、次のような効果を奏する。
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、試薬分注動作中には物理的に試薬庫の蓋を開けられないようにしたので、ユーザが誤って試薬庫の蓋を開けてしまい、測定動作を停止させて、それまでに反応容器に分注された試料のデータ収集を無効にして再度測定をし直さなければならなくするような従来の不都合が解消し、再測定による試料や試薬の無駄を排除し、分析結果が出るまでに時間をかけてしまうような不都合も解消できる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、簡便な機構によって確実に試薬庫の蓋を開けられないようにすることができる。また、測定動作中に必要に応じて蓋の開閉を制御することも容易である。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、試薬分注動作中には物理的に試薬庫の蓋を開けられないようにするとともに、ユーザが所定の操作をすることによって意識的に測定動作の一部を一時中断させた場合にのみ蓋を開けられるようにしたので、ユーザが誤って試薬庫の蓋を開けてしまい、全ての測定動作を停止させてしまうリスクを減らすことができる。よって例えば、試薬容器を交換するような必要が生じたときには、測定動作は継続させながら試薬の分注動作のみを停止させて、試薬容器を交換することが可能となり、自動分析装置を効率的に運用することができる。
【0022】
請求項4に記載の発明によれば、蓋の開閉状態を確実に検出することができ、かつその状態を表示するので、ユーザにとって使用し易い自動分析装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る自動分析装置の一実施例について、図1ないし図4を参照して詳細に説明する。
【0024】
先ず、本発明の狙いとしている点とその作用について簡単に説明する。
【0025】
すなわち、本発明の自動分析装置では、測定動作中は試薬庫の蓋を閉じた状態に維持するよう、物理的にロックをかけることにより、ユーザが誤って試薬庫の蓋を開くことができないようにする。ただし、測定動作中に試薬が無くなって、試薬容器を交換する必要が生じたときは、ユーザの指示によりロックを解除して試薬庫の蓋を開くことができるようにする。
【0026】
そして、測定動作の状態や試薬庫の状態を分析装置制御部のコンピュータで監視して、ユーザの指示によりロックを解除する場合には、反応ディスクの動作や測定ユニットによる測定動作を停止させることなく継続し、試薬分注機構による試薬の分注動作のみを停止させようとするものである。なお、ロック機構としては、例えばソレノイドの励磁により電気的にロック/解除を制御できるような機構を採用する。
【0027】
次に、本発明に係る自動分析装置の構成について説明するが、本発明に係る自動分析装置の分析部は、図5に示したものと同様に、反応ディスク11、サンプルデスク12、第1試薬庫13、第2試薬庫14、試料分注機構15、第1試薬分注機構16、第2試薬分注機構17、第1攪拌機構18、第2攪拌機構19、洗浄ユニット20、測定ユニット22などを備え、分析装置制御部(図5には示されていない)によって動作が制御されるものであり、オプションとして電極21も配置可能となっている。
【0028】
従って、このような基本的な構成の説明は省略して、前述した本発明の狙いとしている点を実現するための手段としての、試薬庫の蓋を閉じた状態に維持するための電気的に制御可能なロック機構について、先ず図1を参照して説明する。
【0029】
図1は、試薬庫100とその蓋110の外観を示した斜視図である。試薬庫100は、図5に示した第1試薬庫13および第2試薬庫14に相当するものであり、これらは円環状に形成されていて軸線を中心として回転するものである。そして、内部には図示を省略したが、分析項目に応じた試薬を収容した試薬容器が多数格納されている。また、試薬庫100の上面を塞ぐように蓋110が配置される。この蓋110は、試薬庫100に格納されている試薬の温度変化による特性の劣化防止、揮発防止、揮発した試薬の他の試薬への溶け込み防止などのために使用される。
【0030】
試薬庫100の側面に、ロック機構の能動部120が設けられ、この能動部120に係合される受け部130が蓋110に設けられている。また、蓋110の開閉状態を検知するセンサ140が試薬庫100に設けられている。このロック機構の能動部120は、後述する自動分析装置全体の動作を制御する分析装置制御部150(図3参照)からの信号によって操作され、センサ140の出力もその分析装置制御部150へ送られる。なお、蓋110には、図示しない試薬分注機構(図5に示した試薬分注機構16、17に相当する。)のノズルを挿入するための貫通孔111が所定の位置に穿設されている。
【0031】
ロック機構の一例が図2(a)、図2(b)に示されている。なお、図2(a)は、蓋110が試薬庫100に対して開放されている状態を示しており、この状態ではロック機構は作動しないようにする。一方、図2(b)は、蓋110が試薬庫100に対して閉じられている状態を示し、この状態でロック機構を作動させることによって、蓋110は閉じた状態に維持されることになる。また、この実施例では、ロック機構の能動部120として、ソレノイドを用いた場合を示しており、受け部130に形成されているコの字形の切り込み131に、能動部120(ソレノイド)の鉄心121を係合させることによって、蓋110を試薬庫100の上面を塞ぐようにロックするようになっている。
【0032】
次に、分析装置制御部150について、図3を参照して説明する。分析装置制御部150は、自動分析装置全体の動作を制御するものであり、測定動作制御部151、反応ディスク制御部152、試料分注機構制御部153、試薬分注機構制御部154、攪拌機構制御部155、洗浄ユニット制御部156、試薬庫制御部157、試薬庫カバーロック制御部158などを備えている。この分析装置制御部150は、操作部161と表示モニタ162とを備えたコンソール部160に接続されている。
【0033】
コンソール部160は、操作部161を介してユーザからの測定開始指示や測定停止指示、一時停止指示、試薬のバーコード読み取り指示などを受け付け、受け付けた指示を分析装置制御部150の測定動作制御部151へ伝達し、測定動作制御部151はその指示を実行する。すなわち、測定動作制御部151は、測定動作に必要な指示を反応ディスク制御部152、試料分注機構制御部153、試薬分注機構制御部154、攪拌機構制御部155、洗浄ユニット制御部156へ与えて、反応ディスクをはじめ測定動作に必要な試料分注機構、試薬分注機構、攪拌機構、洗浄ユニットなどの各種デバイスに測定動作を実行させる。
【0034】
さらに、試薬庫制御部157は、測定動作制御部151の指示に従って、試薬庫100を回転させ、試薬容器に表示されている試薬バーコードの読み取りを実行する。また、試薬庫制御部157には、センサ140からの蓋110の開閉状態を示す信号が供給される。試薬庫カバーロック制御部158は、試薬庫制御部157からの蓋110の開閉状況や試薬庫100の状況から判断して、能動部120と受け部130とによるロック機構へ動作信号を送り、蓋110の閉じた状態を維持したり解除したりする。
【0035】
なお、コンソール部160の表示モニタ162には、測定動作制御部151から送られる測定動作の状況、試薬庫100の状態、蓋110の開閉状況など各デバイスの動作状況を表示する。
【0036】
次に、本発明に係る自動分析装置における、測定動作の開始から測定動作終了までの動作の流れと、その間における試薬庫100の蓋110の制御について、図4に示したフローチャートを参照して説明する。
【0037】
コンソール部160の操作部161を介してユーザからの測定開始指示が分析装置制御部150に送られる(ST1)と、まず試薬庫100の蓋110が開いているかどうかを、センサ140の出力によってチェックする(ST2)。そして、蓋110が開いたままだった場合には、コンソール部160の表示モニタ162に、蓋110が開いている旨のエラーメッセージを表示し(ST3)、測定動作を中止する(ST4)。このときユーザは、蓋110を正しく閉じて、再度ST1から操作をやり直すことになる。ST2にて蓋110が閉じていると判断された場合には、ロック機構の能動部120にロック指示を送り、蓋110の閉じた状態を維持するようにロックをかけ(ST5)、測定動作が開始される。
【0038】
測定が始まるとまず、サンプルデスクに測定すべき試料が存在するかどうかをチェックする(ST6)。測定すべき試料が存在しない場合は、すでに反応ディスク上の反応容器に分注された試料が存在するかどうかをチェック(ST7)し、すでに反応容器に分注された試料があればそのデータ収集が完了するのを待つ(ST8)。データ収集が完了すると(ST9)、試薬庫100の蓋110のロックを解除して(ST10)、測定動作を終了する(ST11)。一方、ST7において、反応容器に分注された試料がないと判断された場合は、ST10へ進み蓋110のロックを解除する。
【0039】
さて、ST6において、サンプルデスクに測定すべき試料が存在すると判断した場合は、測定すべき試料が存在する間、試料・試薬の分注を繰り返し実行し(ST12)、試薬分注後は、試薬庫100内の使用していた試薬が空になったかをチェックする(ST13)。チェック結果、空でなければST6へ戻って動作を継続する。ST13において、試薬が空になったと判断したときは、ユーザに試薬が空になったことを、表示モニタ162にメッセージとして表示するなどして通知する(ST14)。ユーザに通知した後、測定動作制御部151の処理として、試薬が空になった項目はこの後、測定が指示されても測定をスキップするように内部処理が行われ(ST15)、ST6へ戻って動作を継続する。
【0040】
ST14において、試薬が空になったことの通知(表示)を受けて、ユーザが試薬容器を交換する場合は、まず操作部161から測定動作の一時中断指示を入力する(ST16)。この指示は測定動作制御部151へ伝達され、この指示を受けて測定動作制御部151は測定動作を一時中断させる(ST17)。さらに、試薬庫カバーロック制御部158からロック解除信号を能動部120へ送り、能動部120の鉄心121と受け部130との係合を解くことによって、試薬庫100の蓋110のロックを解除する。そして、ロックが解除されたことを表示モニタ162にメッセージとして表示するなどしてユーザへ通知する(ST18)。
【0041】
この通知を受けてユーザは、試薬庫100の蓋110を開き、試薬庫100内の試薬容器を新しいものに置き換える(ST19)。ユーザは試薬容器の交換を終えると、試薬庫100の蓋110を閉じて、操作部161から測定動作の再開を指示する(ST20)。これにより試薬庫制御部157は、センサ140の信号を基に蓋110が正しく閉じられているかどうかをチェックする(ST21)。そして、蓋110が閉じられていない場合は、表示モニタ162にメッセージとして表示するなどしてユーザへ通知する(ST22)。この通知に気付いてユーザが、正しく蓋110を閉じて、再度測定再開指示を出すまでこの通知は表示される。
【0042】
蓋110を正しく閉じ直して、再度操作部161から測定動作の再開を指示することにより(ST20)、ST21において蓋110が正しく閉じられていると判断されると、センサ140からの信号を受けて試薬庫カバーロック制御部158は、ロック機構の能動部120へ動作信号を送り、能動部120の鉄心121と受け部130とを係合させて、蓋110の閉じた状態を維持する(ST23)。これによって、ST6へ進んで測定動作が再開される。
【0043】
以上詳述したように本発明によれば、試薬分注動作中には物理的に試薬庫の蓋を開けられないようにし、ユーザが所定の操作をすることによって意識的に測定動作を一時中断させた場合にのみ蓋を開けられるようにすることで、ユーザが誤って試薬庫の蓋を開けてしまい、全ての測定動作を停止させてしまうリスクを排除することができる。よって例えば、試薬容器を交換するような必要が生じたときには、測定動作は継続させながら試薬の分注動作のみを停止させて、試薬容器を交換することが可能となり、自動分析装置を効率的に運用することができる。
【0044】
従来は、試薬分注動作中にユーザが誤って試薬庫の蓋を開けると、測定動作を停止させてしまい、それまでに反応容器に分注された試料のデータ収集が無効になって、再度測定をし直さなければならなかったが、本発明によればこのような不都合が解消し、再測定による試料や試薬の無駄を排除し、分析結果が出るまでに時間をかけてしまうような不都合も解消できる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る自動分析装置における試薬庫とその蓋の外観を示した斜視図である。
【図2】蓋を閉じた状態に維持するロック機構の一例を示した説明図である。
【図3】本発明に係る自動分析装置の制御系統を説明するために示した系統図である。
【図4】本発明に係る自動分析装置の動作の流れを説明するために示したフローチャートである。
【図5】一般に使用されている自動分析装置の分析部の概略構成を示した説明図である。
【符号の説明】
【0046】
100 試薬庫
110 蓋
120 能動部
130 受け部
140 センサ
150 分析装置制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料と試薬を反応させて前記試料の成分を分析する自動分析装置において、
前記試料と試薬を反応させる反応容器を移動する反応ディスク部と、
前記試薬を収容した複数個の試薬容器を格納する試薬庫と、
この試薬庫に格納されている前記試薬容器から前記反応容器へ試薬を分注する分注機構と、
前記試薬庫の上面に開閉可能に配置される蓋体と、
この蓋体の閉じた状態を維持するためのロック機構と、
前記各構成機器の動作を制御する制御装置と
を具備することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記試薬庫側に設けた電気的に動作する可動部材に、前記蓋体側に設けた受け部材を係合させることによって、前記蓋体を閉じた状態に維持することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記制御装置は、測定動作を継続させながら、前記分注機構の動作を停止させて、前記ロック機構による前記蓋体の閉じた状態を一時的に解除する機能を有することを特徴とする請求項1および請求項2のいずれか1項に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記蓋体の開閉状態を検出するセンサを備え、このセンサの検出信号を基にして、前記蓋体の開閉状態を表示する表示手段をさらに具備することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−216173(P2008−216173A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−56929(P2007−56929)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】