説明

自動分析装置

【課題】小型化が可能な自動分析装置を提供すること。
【解決手段】反応容器6に分注された試薬と検体が反応した反応液の光学的特性を測定して検体を分析する自動分析装置1。所定の移動軌跡T上を移動し、試薬及び検体を分注すると共に、反応容器を洗浄する洗浄水を吐出する兼用プローブを有する分注装置7と、分注装置の動作を制御する制御部16とを備え、試薬を試薬容器2a,3aから吸引する試薬吸引位置Pr1,Pr2、試薬を反応容器へ吐出する試薬吐出位置Pg、検体を検体容器から吸引する検体吸引位置Ps、検体を反応容器へ吐出する検体吐出位置Pg、反応容器を洗浄する洗浄水を反応容器へ吐出する洗浄水吐出位置Pg及び兼用プローブの洗浄部9を兼用プローブの移動軌跡T上に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、試薬を試薬分注装置によって反応容器へ分注し、検体を検体分注装置によって反応容器へ分注しており、測定終了後の反応容器を容器洗浄装置の洗浄ノズルから洗浄液を吐出させて洗浄している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−93220号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、自動分析装置は、特許文献1の分析装置を含め、従来から省スペースの観点から小型化が求められているが、試薬分注、検体分注及び容器洗浄と多くの機能を必要とすることから小型化を図ることが難しかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化が可能な自動分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の自動分析装置は、反応容器に分注された試薬と検体が反応した反応液の光学的特性を測定して前記検体を分析する自動分析装置において、所定の移動軌跡上を移動し、前記試薬及び前記検体を分注すると共に、前記反応容器を洗浄する洗浄水を吐出する兼用プローブを有する分注装置と、前記分注装置の動作を制御する制御手段と、を備え、前記試薬を試薬容器から吸引する試薬吸引位置、前記試薬を前記反応容器へ吐出する試薬吐出位置、前記検体を検体容器から吸引する検体吸引位置、前記検体を前記反応容器へ吐出する検体吐出位置、前記反応容器を洗浄する洗浄水を前記反応容器へ吐出する洗浄水吐出位置及び前記兼用プローブの洗浄部を前記兼用プローブの移動軌跡上に配置したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記試薬容器の保冷庫は、前記反応容器のキュベットホイールに対して鉛直方向の位置が異なっていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記試薬容器の保冷庫は、前記キュベットホイールよりも鉛直方向下方に配置され、同一平面上に配置される第1試薬保冷庫と第2試薬保冷庫を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の自動分析装置は、上記の発明において、前記試薬容器の保冷庫は、前記試薬吸引位置に前記兼用プローブによる試薬吸引の際に前記キュベットホイールの位置へ前記試薬容器を上昇させる昇降手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の自動分析装置は、分注装置が、所定の移動軌跡上を移動し、試薬及び検体を分注すると共に、反応容器を洗浄する洗浄水を分注する兼用プローブを有し、試薬を試薬容器から吸引する試薬吸引位置、試薬を反応容器へ吐出する試薬吐出位置、検体を検体容器から吸引する検体吸引位置、検体を反応容器へ吐出する検体吐出位置、反応容器を洗浄する洗浄水を反応容器へ吐出する洗浄水吐出位置及び兼用プローブの洗浄部を兼用プローブの移動軌跡上に配置したので、試薬分注装置、検体分注装置及び反応容器の洗浄装置を1つにまとめることができ、装置を小型化することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の攪拌装置及び自動分析装置にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、本発明の自動分析装置で使用する分注装置、第1試薬保冷庫、第2試薬保冷庫3及び反応テーブルの配置を示す斜視図である。ここで、図示した各構成部分は、相互の位置関係を示すものであり、大きさを示すものではないので、相互の大きさも正確ではない。
【0012】
自動分析装置1は、図1に示すように、第1試薬保冷庫2、第2試薬保冷庫3、反応テーブル4、分注装置7、検体容器移送部10、攪拌部13、測光部14及び制御部16を備えている。
【0013】
第1試薬保冷庫2は、駆動手段に回転され、図1に示すように、保持した第1試薬の複数の試薬容器2aを周方向に搬送する。第2試薬保冷庫3は、第1試薬保冷庫2近傍に第1試薬保冷庫2と同一平面上に配置され、駆動手段に回転されて保持した第2試薬の複数の試薬容器3aを周方向に搬送する。
【0014】
反応テーブル4は、図1及び図2に示すように、第1試薬保冷庫2及び第2試薬保冷庫3の外縁部に一部が重なる状態で上方へ所定間隔を置いて配置されている。反応テーブル4は、内周が開放されたリング状に成形され、複数の反応容器6が周方向に沿って配列されている。反応テーブル4は、内周に内歯車4aが周方向に沿って設けられ、内歯車4aに噛合したギア5をステッピングモータ等の駆動手段によって回転させることにより正転或いは逆転されて反応容器6を周方向に搬送する。反応テーブル4は、半径方向に対向する壁に測光用の開口4b(図6参照)が形成され、例えば、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4回転し、四周期で(1周−1反応容器)回転する。
【0015】
反応容器6は、四角筒形状の容量が数nL〜数十μLと微量なキュベットであり、測光部14が出射する分析光に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器6は、反応テーブル4の内側に配置した分注装置7によって第1試薬保冷庫2や第2試薬保冷庫3の試薬容器2a,3aから試薬が分注され、或いは分注装置7の兼用ノズル7aから洗浄水が吐出される。
【0016】
分注装置7は、図1及び図2に示すように、アーム7aと兼用ノズル7bとを有しており、アーム7aは、反応テーブル4内側の第1試薬保冷庫2及び第2試薬保冷庫3の近傍に配置される支柱7cに支持されている。支柱7cは、アクチュエータ8によって昇降されると共に、軸廻りに回転され、兼用ノズル7bを移動させる。兼用ノズル7bは、図1に1点鎖線で示す軌跡T上を移動する。
【0017】
このとき、兼用ノズル7bは、支柱7cを中心とする円周となる軌跡T上の試薬吸引位置Pr1で第1試薬を吸引し、軌跡T上の試薬吸引位置Pr2で第2試薬を吸引すると共に、軌跡T上の検体サンプリング位置Psで検体を吸引し、軌跡T上の集合位置Pgにおいて試薬や検体を反応容器6へ吐出する。
【0018】
ここで、検体サンプリング位置Psは、検体を検体容器11aから吸引する位置であり、試薬吸引位置Pr1,Pr2は、試薬を試薬容器から吸引する位置である。また、集合位置Pgは、試薬を反応容器6へ吐出する試薬吐出位置,検体を反応容器6へ吐出する検体吐出位置,反応容器6を洗浄する洗浄水を反応容器6へ吐出する洗浄水吐出位置を兼ねている。
【0019】
また、反応テーブル4は、第1試薬保冷庫2及び第2試薬保冷庫3よりも上方に位置するので、アクチュエータ8は、試薬吸引位置Pr1や試薬吸引位置Pr2で試薬を吸引する場合には、反応容器6へ試薬や検体を吐出する場合に比べ、アーム7a、従って兼用ノズル7bの位置を反応テーブル4よりも下方へ引き下げる。
【0020】
一方、兼用ノズル7bは、軌測光終了後の反応容器6から反応液を吸引した後、洗浄水を吐出して反応容器6を洗浄する。このため、兼用ノズル7bの軌跡T上には、兼用ノズル7bを洗浄する洗浄槽9が配置されている。ここで、兼用ノズル7bは、衝突検知機能を備えており、反応テーブル4や反応容器6等との衝突を検知した場合には、アーム7aによる周方向への回動を停止すると共に、支柱7cがアーム7aを上昇させることによって損傷が回避される。
【0021】
検体容器移送部10は、図1に示すように、複数のラック11を矢印方向に沿って移送する移送手段であり、進行レーン10aと戻しレーン10bを有している。検体容器移送部10は、進行レーン10aに供給されるラック11を歩進させながら第2試薬保冷庫3の近傍へ移送した後、ガイド板10cとプッシャ10dとによってラック11を戻しレーン10bへ移動させ、検体サンプリング位置Psを通って回収位置Pcへ移送する。ラック11は、検体を収容した複数の検体容器11aを保持している。従って、検体容器移送部10は、検体サンプリング位置Psが兼用ノズル7bの軌跡T上となるように戻しレーン10bが配置されている。ここで、検体容器移送部10は、配置上、第2試薬保冷庫3と干渉しなければ、第1試薬保冷庫2及び第2試薬保冷庫3と上下方向の位置を同じにしてもよいし、第1試薬保冷庫2及び第2試薬保冷庫3よりも上方に配置してもよい。
【0022】
攪拌部13は、図1に示すように、反応テーブル4外周の第1試薬保冷庫2近傍に配置され、反応容器6に分注された検体と試薬とを含む液体試料を攪拌する。攪拌部13は、例えば、表面弾性波素子によって液体試料を非接触で攪拌する攪拌装置や、攪拌棒によって液体試料を攪拌する攪拌装置が使用される。
【0023】
測光部14は、図1に示すように、反応テーブル4外周の攪拌部13と集合位置Pgとの間に配置されている。測光部14は、試薬と検体とが反応した反応容器6内の反応液を光学的に測定するための分析光を出射し、反応容器6内の反応液を透過した分析光の光量に関する光信号を制御部16へ出力する。
【0024】
制御部16は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、図1に示すように自動分析装置1と接続され、自動分析装置1の各構成部の作動を制御すると共に、測光部14が出力した光信号に基づく反応液の吸光度から検体の成分濃度等を分析する。また、制御部16は、キーボード等の入力部17から入力される分析指令に基づいて自動分析装置1の各構成部の作動を制御しながら分析動作を実行させると共に、分析結果や警告情報の他、入力部17から入力される表示指令に基づく各種情報等をディスプレイパネル等の表示部18に表示する。
【0025】
以上のように構成される自動分析装置1は、制御部16の制御の下に作動し、回転する反応テーブル4によって集合位置Pgに搬送されてくる反応容器6に分注装置7によって検体及び試薬を分注する。次に、自動分析装置1は、検体及び試薬が分注された反応容器6を反応テーブル4によって攪拌部13へ搬送し、攪拌部13によって試薬と検体とを攪拌して反応させる。
【0026】
次いで、自動分析装置1は、再び反応テーブル4を回転させ、試薬と検体の反応液を保持した反応容器6に測光部14を通過させる。これにより、自動分析装置1は、反応容器6内の反応液を測光部14で測光し、反応液の吸光度をもとに制御部16によって成分濃度等を分析する。そして、自動分析装置1は、反応液の測光が終了した反応容器6を反応テーブル4によって集合位置Pgに搬送して洗浄した後、反応容器6を再度検体の分析に使用する。
【0027】
このとき、自動分析装置1は、制御部16による制御の下に、分注装置7によって検体及び試薬の分注と、反応容器6の洗浄を以下のようにして行う。ここで、自動分析装置1は、スイッチをオンした起動時、分注装置7の兼用ノズル7bは、洗浄槽9の位置に停止しているものとする。
【0028】
先ず、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって分注装置7の支柱7cを回動させ、兼用ノズル7bをアーム7aと共に洗浄槽9の位置から軌跡T上の試薬吸引位置Pr1へ移動する。次に、自動分析装置1は、アーム7aを下降し、図3に示すように、第1試薬保冷庫2の試薬容器2aから所定量の第1試薬を兼用ノズル7bに吸引する。
【0029】
次いで、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させた後、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを軌跡T上の集合位置Pgへ移動させる。この後、自動分析装置1は、回転する反応テーブル4によって搬送され、集合位置Pgに停止している反応容器6へ兼用ノズル7bを下降し、図4に示すように、兼用ノズル7bが吸引した第1試薬を反応容器6へ吐出する。このとき、反応テーブル4は、駆動手段によって回転するギア5によって回転される。
【0030】
第1試薬を吐出した後、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させ、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを洗浄槽9の直上へ移動する。その後、自動分析装置1は、兼用ノズル7bをアーム7aと共に洗浄槽9へ下降させ、兼用ノズル7bの内外に付着した第1試薬を洗浄水で洗浄する。
【0031】
そして、兼用ノズル7bの洗浄後、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させ、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを軌跡T上の検体サンプリング位置Psへ移動する。移動後、自動分析装置1は、兼用ノズル7bをアーム7aと共に下降し、図5に示すように、ラック11の検体サンプリング位置Psにある検体容器11aから所定量の検体を兼用ノズル7bに吸引する。
【0032】
検体の吸引後、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させ、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを軌跡T上の集合位置Pgへ移動させる。この後、自動分析装置1は、集合位置Pgに停止している反応容器6へ兼用ノズル7bを下降し、兼用ノズル7bが吸引した検体を反応容器6へ吐出する。
【0033】
次に、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させ、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを洗浄槽9の直上へ移動する。その後、自動分析装置1は、兼用ノズル7bをアーム7aと共に下降し、兼用ノズル7bの内外に付着した検体を兼用ノズル7bから吐出する洗浄水及び洗浄槽9から噴出する洗浄水によって洗浄する。このとき、自動分析装置1は、いわゆるキャリーオーバーを回避するため、試薬を洗浄する場合に比べて兼用ノズル7bが吐出する洗浄水の吐出量を増加させることにより、検体の洗浄効率を増加させてもよい。
【0034】
次いで、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させ、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを軌跡T上の試薬吸引位置Pr2へ移動する。移動後、自動分析装置1は、アーム7aを下降し、第2試薬保冷庫3の試薬容器3aから所定量の第2試薬を兼用ノズル7bに吸引する。
【0035】
第2試薬の吸引後、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させた後、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを軌跡T上の集合位置Pgへ移動させる。そして、自動分析装置1は、集合位置Pgに停止している反応容器6へ兼用ノズル7bを下降し、兼用ノズル7bが吸引した第2試薬を反応容器6へ吐出する。
【0036】
第2試薬の吐出後、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させた後、アーム7aを回動させて兼用ノズル7bを洗浄槽9へ移動し、兼用ノズル7bの内外に付着した第2試薬を洗浄水で洗浄する。このとき、自動分析装置1は、この作動と並行して反応テーブル4を回転し、第1試薬,検体及び第2試薬が分注された反応容器6を攪拌部13へ移動し、攪拌する。なお、第2試薬の洗浄後、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に洗浄槽9から上昇させておく。
【0037】
そして、攪拌部13での攪拌が終了すると、自動分析装置1は、反応テーブル4を回転させ、攪拌が終了した反応容器6を測光部14へ移動する。これにより、自動分析装置1は、試薬と検体とが反応した反応液が測光され、制御部16によって成分濃度等が分析される。
【0038】
このようにして、反応液の測光が終了した後、自動分析装置1は、反応テーブル4を回転して測光が終了した反応容器6を軌跡T上の集合位置Pgへ移動させると共に、アクチュエータ8によってアーム7aを回動して兼用ノズル7bを洗浄槽9の位置から軌跡T上の集合位置Pgへ移動させる。次に、自動分析装置1は、集合位置Pgに停止している反応容器6へ兼用ノズル7bを下降し、反応容器6内の反応液を吸引する。
【0039】
反応液の吸引後、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させた後、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを洗浄槽9へ移動する。そして、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に下降させ、吸引した反応液を洗浄槽9へ吐出した後、兼用ノズル7bの内外に付着した反応液を洗浄水で洗浄する。
【0040】
次いで、自動分析装置1は、アクチュエータ8によって兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させた後、アーム7aを回動して兼用ノズル7bを再度集合位置Pgの反応容器6へ戻し、兼用ノズル7bをアーム7aと共に下降させて洗浄水を洗浄槽9へ吐出し、洗浄水によって反応容器6内を洗浄する。その後、自動分析装置1は、兼用ノズル7bを更に下降させ、反応容器6内を洗浄した洗浄水を吸引する。洗浄水の吸引後、自動分析装置1は、兼用ノズル7bをアーム7aと共に上昇させて洗浄槽9へ移動し、吸引した洗浄水を洗浄槽9へ吐出し、兼用ノズル7bの内外を洗浄水で洗浄する。
【0041】
自動分析装置1は、この操作を複数回繰り返すことによって反応液を保持していた反応容器6内を洗浄する。このとき、自動分析装置1は、反応容器6の洗浄効率を増加させるため、兼用ノズル7bから反応容器6に吐出する洗浄水の吐出量を増加させてもよい。なお、内部の洗浄が終了した反応容器6は、再度検体の分析に使用されるが、反応テーブル4の回転によって集合位置Pgへ移動してくるまで待機状態となる。
【0042】
自動分析装置1は、このように兼用ノズル7bによって試薬と検体の分注並びに反応容器6の洗浄を行った後、反応テーブル4を回転して新たな反応容器6を集合位置Pgへ移動し、引き続く新たな分析を続行する。このため、自動分析装置1は、試薬分注装置、検体分注装置及び反応容器の洗浄装置を1つにまとめることができ、1本の兼用ノズル7bを有する分注装置7とアクチュエータ8を備えるだけでよい。このため、自動分析装置1は、試薬分注装置、検体分注装置及び反応容器の洗浄装置を備える従来の自動分析装置に比べて小型化することができる。
【0043】
(変形例1)
ここで、第1試薬保冷庫2及び第2試薬保冷庫3は、例えば、図6に示す第1試薬保冷庫2のように、底壁2bに開口2cを形成し、試薬容器2aを昇降装置12によって第1試薬保冷庫2から反応テーブル4の反応容器6と同じ高さまで上昇させるようにしてもよい。このとき、昇降装置12は、開口2に挿通自在な大きさを有する昇降台12aと、昇降台12aを支持する支柱12bと、支柱12bの側面に設けたラック12cと、ラック12cに噛合し、図示しないモータ等の駆動手段によって回転されるギア12dとを有している。
【0044】
(変形例2)
また、自動分析装置1で使用する分注装置は、図7に示す分注装置20のように構成してもよい。即ち、分注装置20は、アーム20aと兼用ノズル20bとを有しており、アーム20aは、支柱20cに支持されている。このとき、支柱20cは、回転アクチュエータ21に回転自在に支持され、回転アクチュエータ21は反応テーブル4を跨る門型フレーム22のビーム22a上に設置されている。そして、門型フレーム22は、ビーム22aの両側に配置されるそれぞれの脚22bが昇降アクチュエータ23によって昇降される。このとき、それぞれの脚22bを昇降させる昇降アクチュエータ23は、制御部16によって同期して作動するように制御される。
【0045】
ここで、回転アクチュエータ21としてはモータを、昇降アクチュエータ23としてはシリンダ等を使用することができる。
【0046】
なお、自動分析装置1は、第1試薬保冷庫2及び第2試薬保冷庫3の2つの試薬保冷庫を有するものについて説明したが、試薬保冷庫は1つであってもよく、自動分析装置1を1ユニットとして複数ユニット連結されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の自動分析装置で使用する分注装置、第1試薬保冷庫、第2試薬保冷庫3及び反応テーブルの配置を示す斜視図である。
【図3】分注装置によって第1試薬保冷庫の試薬容器から所定量の第1試薬を兼用ノズルに吸引する様子を示す斜視図である。
【図4】兼用ノズルが吸引した第1試薬を反応容器へ吐出する様子を示す斜視図である。
【図5】ラックの検体サンプリング位置にある検体容器から兼用ノズルが検体を吸引する様子を示す斜視図である。
【図6】試薬保冷庫内の試薬容器を昇降自在とした自動分析装置の変形例1を示す断面正面図である。
【図7】分注装置の兼用ノズルの昇降手段と回転手段を独立させた自動分析装置の変形例2を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 自動分析装置
2 第1試薬保冷庫
2a 試薬容器
3 第2試薬保冷庫
3a 試薬容器
4 反応テーブル
5 ギア
6 反応容器
7 分注装置
7b 兼用ノズル
8 アクチュエータ
10 検体容器移送部
11 ラック
11a 検体容器
12 昇降装置
13 攪拌部
14 測光部
16 制御部
17 入力部
18 表示部
20 分注装置
20b 兼用ノズル
21 回転アクチュエータ
22 門型フレーム
23 昇降アクチュエータ
Pr1,Pr2 試薬吸引位置
Pg 集合位置
Ps 検体サンプリング位置
T 軌跡

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応容器に分注された試薬と検体が反応した反応液の光学的特性を測定して前記検体を分析する自動分析装置において、
所定の移動軌跡上を移動し、前記試薬及び前記検体を分注すると共に、前記反応容器を洗浄する洗浄水を吐出する兼用プローブを有する分注装置と、
前記分注装置の動作を制御する制御手段と、
を備え、
前記試薬を試薬容器から吸引する試薬吸引位置、前記試薬を前記反応容器へ吐出する試薬吐出位置、前記検体を検体容器から吸引する検体吸引位置、前記検体を前記反応容器へ吐出する検体吐出位置、前記反応容器を洗浄する洗浄水を前記反応容器へ吐出する洗浄水吐出位置及び前記兼用プローブの洗浄部を前記兼用プローブの移動軌跡上に配置したことを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記試薬容器の保冷庫は、前記反応容器のキュベットホイールに対して鉛直方向の位置が異なっていることを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記試薬容器の保冷庫は、前記キュベットホイールよりも鉛直方向下方に配置され、同一平面上に配置される第1試薬保冷庫と第2試薬保冷庫を有することを特徴とする請求項2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記試薬容器の保冷庫は、前記試薬吸引位置に前記兼用プローブによる試薬吸引の際に前記キュベットホイールの位置へ前記試薬容器を上昇させる昇降手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の自動分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−53027(P2009−53027A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−219907(P2007−219907)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】