説明

自動機械システムおよびその制御方法

【課題】ネットワークを介して有線通信又は無線通信でコントローラと教示装置を接続する自動機械システムにおいて、複数台のロボットの中から特定のロボットのコントローラと接続する場合には、複数台ロボットの配置図を教示装置上に表示することで、作業者が直感的に特定のロボットを選択することが可能な自動機械システムを提供する。
【解決手段】
1つ以上の駆動機構を備える複数の自動機械1と、前記自動機械を駆動制御するコントローラ2と、前記自動機械を操作する教示装置3と、を備えた自動機械システムにおいて、前記教示装置は、前記コントローラとネットワークを介して通信を行う通信部と、前記複数の自動機械の配置図を表示する表示部8と、接続対象とする自動機械を選択するための選択手段15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動機械のコントローラと教示装置を、有線通信又は無線通信を介して接続する自動機械システムおよびその制御方法に関する。
【0002】
自動機械やモータ、産業用ロボットを制御するシステムにおいては、当該自動機械やモータ、ロボットの作動を制御するための制御部を有するほか、教示作業時等に作業者が携帯する可搬式の教示操作部(ペンダントとも指称される)を有している。従来、教示操作部と制御部との情報伝送には、ツイストペア線や光ファイバ等を信号伝送路として使用し、教示操作部への電源供給線を含む複合ケーブル(以後、単にケーブルという)が用いられていた。
【0003】
一例として、特許文献1に記載された従来のロボットシステムの構成図を図12に示す。図において、201はロボット、202はロボット201の作動を制御するコントローラ、203は教示装置、204はコントローラ202と教示装置203との間で操作ボタンや非常停止等の情報を伝送するケーブルである。教示装置203の詳細図を図13に示す。図において、205は略T字型をなす筐体、206は作業者が把持するハンド部である。筐体205の操作面には、教示作業時に操作されるキーボード(ないしはキーシート)207と、教示データやロボット位置等の種々の情報を表示する液晶パネルからなるLCDディスプレイ208と、非常停止スイッチ209(非常停止操作手段に相当する)とが設けられている。また、筐体205にはケーブル204の一端が接続されている。
【0004】
作業者が非常停止スイッチ209を押下すると、ケーブル204を介して非常停止情報がコントローラ202に伝送され、コントローラ202はロボット201の図示しない駆動モータへの電力供給を遮断することでロボット201の動作を強制的に停止させる。これにより、万一の意図しない動作に対して確実にロボットを非常停止させることができる。
【0005】
以上述べた従来のロボットシステムでは、作業者は教示装置203を持ち運ぶ際に、太くて重いケーブルを引きずりながら教示作業を行う必要があり作業者にとって負担が大きく、また教示をする際の動作自由度も制約されるという問題があった。そのため、コントローラ202と教示装置203との間のケーブル204を無線化することが強く望まれていた。そこで、例えば、特許文献2には、ロボットの駆動モータへの電力供給を遮断してロボットを非常停止状態とするための非常停止操作手段を備えた教示装置が、ロボットを制御するためのコントローラと互いに無線で通信を行うように構成されたロボットシステムにおける、非常停止機能の実現手段について記載されている。
【0006】
一方で、1台の教示装置で複数のコントローラと有線通信又は無線通信で接続する場合には、作業者は教示装置がどのロボットに接続されているのか、どのロボットと接続可能であるかを直感的に認識することが難しいという問題があった。このような問題に対し、特許文献3及び特許文献4には、教示装置上に切り替えスイッチを設け、切り替えスイッチで選択されたロボットに搭載したLEDが点灯/点滅することで、作業者が選択したロボットを直感的に認識する手段について記載されている。
【0007】
また、特許文献5には、ネットワーク上で接続された機器を簡単に接続し操作する実現手段について記載されている。具体的には、機器操作装置は、無線あるいは有線のネットワークに接続される電子機器1乃至3から、現在の状態を表す状態情報を取得し、取得した状態情報が対応する電子機器1がコマンドテーブルに登録されていない場合、ネットワークを
介して、電子機器1から制御コマンド情報を取得し、状態情報とともに、コマンドテーブルに登録する。そして、機器操作装置は、コマンドテーブルに基づいて、電子機器1乃至3の機器名、状態情報、または制御コマンド情報をLCDに表示する。
【特許文献1】特開2000−280193号公報(第7頁、図1および図2)
【特許文献2】特開2004−148488号公報(第20頁、図1)
【特許文献3】特開平5−173627号公報(第8頁、図1)
【特許文献4】特開平5−127734号公報(第4頁、図1)
【特許文献5】特開2005−157792号公報(第21頁、図1および図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、コントローラと教示装置とをネットワークを介して有線通信又は無線通信で接続するシステムでは、例えば、多種類で数十台のロボットが密集して配置されている自動車のライン等で、作業者は特定のロボットに関して教示作業をする必要がある。その際に、数十台のロボットの中から作業者の目前にある特定のロボットのコントローラと教示装置を接続する必要があり、教示装置上に数十台のロボットに対応した切り替えスイッチを設けることは物理的に困難である。
【0009】
また、目前にあるロボットに関して予め設定された名称や番号を頼りに、教示装置上のLCDに表示された複数のロボットやコントローラの中から対応するものを選択する事も可能ではあるが、膨大な時間も必要となり、間違った機種を選択する可能性もある。最悪の場合、遠く離れたロボットのコントローラと接続してしまい、誤操作によってロボットや周辺機器に多大な損傷を与える可能性もある。
【0010】
また、接続しようとしているロボットと協調動作関係にあるロボットが、ライン上のどの位置に配置されているか等も直感的に認識する手段が無く、接続して教示装置上の切り替えスイッチを操作しないと認識できないという問題もある。
【0011】
また、無線通信の接続システムでは無線通信の接続可能な範囲が存在するが、作業者のいる位置と接続しようとしているロボットが接続可能であるかを直感的に認識する手段もないという問題もある。また、接続後に作業者が移動することで接続可能な範囲の外に出る可能性もあるが、作業者が直感的にその状態を認識する手段がないという問題もあった。最悪の場合、ロボット操作信号や非常停止情報がコントローラまで伝達されない状態になり、ロボット停止信号や非常停止スイッチ信号を送信できないため、ロボットを停止させることができず、ロボットや周辺機器に多大な損傷を与えるという問題があった。
【0012】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、ネットワークを介して有線通信又は無線通信でコントローラと教示装置を接続する自動機械システムにおいて、複数台のロボットの中から特定のロボットのコントローラと接続する場合には、複数台ロボットの配置図を教示装置上に表示することで、作業者が直感的に特定のロボットを選択することが可能な自動機械システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、上記問題点を解決するため、本発明は、次のように構成したのである。
【0014】
請求項1に記載の発明は、1つ以上の駆動機構を備える複数の自動機械と、前記自動機械を駆動制御するコントローラと、前記自動機械を操作する教示装置と、を備えた自動機械システムにおいて、前記教示装置は、前記コントローラとネットワークを介して通信を行う通信部と、前記複数の自動機械の配置図を表示する表示部と、接続対象とする自動機械を選択するための選択手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、前記コントローラは、前記教示装置との通信を行う通信部と、前記通信部にて受信した前記教示装置からの指令信号に基づいて前記自動機械を駆動する駆動部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項3に記載の発明は、前記配置図は2次元又は3次元で表示されることを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項4に記載の発明は、操作可能な自動機械について、前記配置図上に操作可能であることを示す所定の表示をすることを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項5に記載の発明は、前記配置図上に、操作対象とする自動機械の情報を表示することを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項6に記載の発明は、前記情報は、前記自動機械の設置されたライン名、セル名、前記自動機械の機種名またはコントローラ名であることを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、協調動作する自動機械について、前記配置図上に、協調動作をする自動機械であることを示す所定の表示をすることを特徴とするものである。
また、請求項8に記載の発明は、前記教示装置の位置を検出する位置検出手段を備え、前記配置図上に、前記教示装置の位置を表示することを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項9に記載の発明は、前記位置検出手段は、屋内GPSであることを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項10に記載の発明は、前記ネットワークは無線通信ネットワークであり、前記配置図上に、前記教示装置の操作可能範囲を表示することを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項11に記載の発明は、前記配置図は階層構造であり、広域の配置図上の特定部分を選択することで、選択された部分の詳細配置図を表示することを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項12に記載の発明は、前記自動機械はロボットであることを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項13に記載の発明は、前記自動機械は工作機械であることを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項14に記載の発明は、1つ以上の駆動機構を備える複数の自動機械と、前記自動機械を駆動制御するコントローラと、前記コントローラに無線接続されて前記自動機械を操作する教示装置と、を備えた自動機械システムにおいて、前記教示装置の画面上に前記ネットワーク上に接続された複数の前記コントローラと前記自動機械の配置図を表示し、前記配置図上の自動機械が選択されると、前記選択された自動機械のコントローラは前記教示装置と通信を行い、前記教示装置からの指令信号に基づいて前記自動機械を駆動することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0027】
請求項1、2に記載の発明によれば、教示装置で複数のコントローラの中から特定のコントローラ又は自動機械を選択する際に、教示装置上にコントローラ又は自動機械の配置図を表示して、配置図上からコントローラ又は自動機械を選択するため、作業者は単に目の前にあるコントローラ又は自動機械の名前(機種名)等からではなく、配置図やその他の情報(ライン名やセル名など)を元に、直感的にロボットを選択できるという効果がある。
【0028】
また、請求項3に記載の発明によれば、配置図を2次元又は3次元で表示するため、作業者は周りのコントローラ又は自動機械の配置状態と配置図内の配置状態を照らし合わすことで、直感的に自動機械を選択できるという効果がある。
【0029】
また、請求項4に記載の発明によれば、配置図に自動機械の操作の可否が表示されることにより、直感的にどの自動機械を操作可能/不可能であるか知ることができるという効果がある。
【0030】
また、請求項5、6に記載の発明によれば、配置図には詳細情報を表示することにより、隣接して同一機種が存在する場合などに、作業者は表示される詳細情報を選択する際の目安にできるという効果がある。
【0031】
また、請求項7に記載の発明によれば、配置図に同時に協調動作する自動機械が表示されることにより、作業者は直感的にどの自動機械が協調作業するか容易に知ることができるという効果がある。
【0032】
また、請求項8、9に記載の発明によれば、教示装置の位置を検出する手段を設け、前記配置図に教示装置位置を配置図上に表示することにより、作業者は直感的に配置図上の何処にいるかを容易に知ることができるという効果がある。
【0033】
また、請求項10に記載の発明によれば、ネットワークが無線通信の場合に、教示装置の操作可能範囲を配置図上に表示することにより、作業者は直感的に操作可能な範囲を容易に知ることができるという効果がある。
【0034】
また、請求項11に記載の発明によれば、配置図は階層構造であり、広域の配置図上の特定部分を選択することで選択された部分の詳細配置図を表示することにより、大まかな場所から詳細情報への段階を踏むことができ、最初から詳細配置図上から特定のコントローラ又は自動機械を探す必要が無くなるため、特定の自動機械を選択する時間を短縮することができるという効果がある。
【0035】
また、請求項12に記載の発明によれば、ロボットのシステムについて、上述の効果を得ることができる。
【0036】
また、請求項13に記載の発明によれば、工作機械のシステムについて、上述の効果を得ることができる。
【0037】
また、請求項14に記載の発明によれば、作業者は単に目の前にあるコントローラ又は自動機械の名前(機種名)等からではなく、配置図やその他の情報(ライン名やセル名など)を元に、直感的に自動機械を選択できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の方法の具体的実施例について、図に基づいて説明する。
【実施例1】
【0039】
図1は、本発明の第1実施例におけるロボット(自動機械)システムの構成図である。図において、101〜103はロボット、21〜23はロボット101〜103の作動を制御するコントローラ、31、32は教示装置、41はコントローラ21〜23と教示装置31、32との間で操作ボタンや非常停止等の情報を伝送する有線通信である。なお、ここでは、有線通信による教示装置とコントローラ間のネットワーク接続の例を記載したが、実施例2及び図3で示すように、教示装置とコントローラ間を無線通信42で接続することも可能である。
【0040】
教示装置31、32の詳細図を図2に示す。図2(a)は、有線通信接続する場合の教示装置の例である。5は略T字型をなす筐体、6は作業者が把持するハンド部である。筐体5の操作面には、教示作業時に作業者によって操作されるキーボード(ないしはキーシート)7と、教示データやロボット位置等の種々の情報を表示する液晶パネルからなるLCDディスプレイ(表示部)8と、非常停止スイッチ9(非常停止操作手段に相当する)とが設けられている。14は、LCDディスプレイ8の表示制御を行うための表示制御手段である。また、教示装置には、コントローラと通信接続するための教示装置通信部10と、教示装置通信部10に接続される有線通信接続手段でコントローラからの電源供給手段である接続ケーブル411が設けられている。
【0041】
同様に、図2(b)は、無線通信接続する場合の教示装置の例である。筐体5には接続ケーブル411の代わりに、無線通信42の送受信手段で教示装置通信部10に接続されるアンテナ13、コントローラ2から独立して電源を供給するためのバッテリ11、電源の供給を開始/停止するための電源スイッチ12が設けられている。
【0042】
コントローラ21〜23の詳細図を図3に示す。図において、211は教示装置31、32と有線通信するためのコントローラ通信部、212はロボット101〜103を駆動するための駆動部である。
【0043】
教示装置31とコントローラ21とが通信接続状態にある場合、作業者が教示装置31のキーボード7に割り当てられたロボット101の軸毎の誘導操作ボタンを押すことで、有線通信41を介して軸動作情報がコントローラ21に伝送され、駆動部212によりロボット101を動作させる。
【0044】
また、作業者が非常停止スイッチ9を押下すると、有線通信41を介して非常停止情報がコントローラ21に伝送され、駆動部212によりロボット101の動作を強制的に停止させる。これにより、万一の意図しない動作に対して確実にロボット101を非常停止させる。
【0045】
図4は、教示装置上の画面表示を示している。
【0046】
本発明においては、教示装置3のLCDディスプレイ8上に前記有線通信41のネットワーク上に接続された複数の前記コントローラ21〜23と前記ロボット(自動機械)101〜103の配置図を表示する。そして、表示された配置図中のコントローラ又は自動機械を選択する選択手段15を設けている。なお、本実施例においては、選択手段15はソフトウエア上のボタンである。
【0047】
複数台のロボットが導入された自動車組立ラインなどで教示作業を行う場合、作業者は1人で複数のロボットを担当する必要があり、教示装置とコントローラ間の通信接続を切り替えながら、教示対象を変更する。ここで、接続すべきコントローラ又はロボットを正しく選択するために、図4に示すように、有線通信41のネットワーク上に接続された全てのコントローラとロボットの位置を、CADデータ等を元に2次元又は3次元の図で作成し、LCDディスプレイ8上に表示する。作業者は、目前のロボットの周囲情報(ライン名、セル名、ロボット名、ロボット機種名、他のロボットと配置関係等)と配置図を見比べながら、操作対象となる接続すべきロボットを選択手段15により選択する。
【0048】
ここで、配置図上の選択手段15に、作業者が持っている教示装置31と接続可能(操作可能)であるか、既に接続中であるか、他の教示装置32と接続済みで教示装置31と接続不可(操作不可)であるかを表示する。
【0049】
本発明によれば、複数台のロボットの中から希望するロボットを選択する際に、同一機種のロボットが複数有って機種名や番号等の情報だけでは選択に迷う場合でも、2次元又は3次元に表示された配置図と作業者の目前の環境(他のロボットとの配置関係等)を照らし合わせて視覚的に判断することで、直感的に短時間で選択することができる。
【0050】
また、複数台のコントローラと教示装置間の接続状態を配置図上に表示することで、選択する情報を絞ることができ、より短時間で希望するロボットを選択することができる。
また、3次元表示について説明は省略するが、ロボットが上下に配置されたライン等では、2次元と3次元の表示を切り替えられるようにすることで、より作業者がロボットの配置を理解することが可能となる。
【実施例2】
【0051】
ロボットが複数台協調して動作する場合に、教示装置3のLCDディスプレイ8上の配置図にコントローラやロボットの配置位置を表示するだけは、作業者がどのロボットが協調関係にあるかを理解できないという問題がある。このような問題に対処したのが本発明の第2実施例である。
【0052】
図4に示す配置図上のロボット101の選択手段15を選択することで、図5に示すロボット101に関する詳細情報を表示させる。これには、LCDディスプレイ8上にタッチパネルを設けて、ロボット101上で選択する手段を別に設けることで実際に接続を開始する前に詳細情報を表示させても良い。この詳細表示には、機種名やコントローラ名の他に、動作プログラム名や操作担当者名や協調ロボットの情報を記載する。
【0053】
ここで、協調ロボットの部分を更に作業者が選択することで、図6中の実線で示すように、配置図上で選択したロボットと協調関係にあるロボットの配置を特別に表示する手段を設ける。
【0054】
本発明によれば、選択したロボットに関する詳細情報を表示させることで、作業者がより簡単にロボットを選択することが可能となり、協調相手の情報も直感的に認識することができる。
【実施例3】
【0055】
以上説明した実施例では、コントローラと教示装置間を有線通信接続する場合について述べた。ここでは、コントローラと教示装置間を無線通信接続するシステムと、無線接続特有の問題解決(接続可能範囲の提示)の方法について述べる。
【0056】
図7は、ロボットシステムの構成図である。本実施例においては、教示装置3とコントローラ2をネットワーク接続する有線通信41の代わりに無線通信42を使用する。コントローラ2にはそれぞれアンテナ421〜423を配置してコントローラ通信部211に接続される。
【0057】
図8は、教示装置の詳細図である。教示装置には、実施例1で述べたように、接続ケーブル411の代わりに、無線通信42の送受信手段で教示装置通信部10に接続されるアンテナ13、コントローラ2から独立して電源を供給するためのバッテリ11、電源の供給を開始/停止するための電源スイッチ12が設けられている。
【0058】
なお、図7では無線通信の形態を教示装置3とコントローラ2の個々の機器にアンテナを配置することでアドホックモードにしているが、コントローラ2側にアクセスポイントを設けて、アクセスポイントからコントローラ21〜23間を有線接続し、インフラストラクチャモードとしても何ら問題ない。
【0059】
このような無線通信接続するシステムの場合、無線通信の到達可能範囲には制限があるため、場合によっては作業者のいる位置からロボットを操作できないという問題が発生する。そのため、現在接続しているロボットが操作可能であるか、どの程度の範囲を作業者は移動できるのか、選択しようとしているロボットが無線通信で操作可能な範囲にあるのか等を認識する必要がある。
【0060】
そこで、図8に示すように、教示装置3上に教示装置の位置を特定する教示装置位置測定部16を設ける。具体的には複数個のレーザや電波を周辺に配置した屋内GPS(Global Positioning System)と呼ばれる位置同定システムを用い、工場内における教示装置の位置を求め、それをLCDディスプレイ8の配置図上に表示する。屋内GPSは同期した信号が複数個の周辺の受信装置に到達するまでの時間差で位置を特定するシステムである。なお、教示装置位置測定部16は教示装置3上に搭載する必要は無く、例えば教示装置3が出す無線通信の電波を複数のアンテナで受け、その時間差で位置を特定しても良い。
【0061】
さらに、図9に示すように、無線通信の電波強度を測定する手段を設け、無線通信として有効に接続可能な範囲18を特定した教示装置(すなわち作業者)位置と共に、LCDディスプレイ8の配置図上に表示する。このとき、特定のロボットを中心とした接続可能範囲を表示しても良い。
【0062】
本発明によれば、無線通信接続する場合に、教示装置位置を特定して、無線通信接続可能な範囲と共に配置図上に表示することで、作業者は配置図上のロボットと教示装置位置の位置関係からより直感的に短時間にロボットを選択することが可能になる。また、無線通信で現在接続しているロボットが操作可能か、どの程度の範囲を作業者は移動できるのか、選択しようとしているロボットが無線通信で操作可能な範囲にあるのか等を直感的に認識できる。
【実施例4】
【0063】
数百台のロボットが配置され、ラインも複数ある広大な工場の場合に、配置図上に一度に表示可能な情報は限られており、一枚の配置図上で見る位置を変えるだけでは、任意のロボットを選択する際に時間がかかるという問題がある。このような問題に対処したのが本発明の第4実施例である。
【0064】
本発明の第4実施例における教示装置上の画面表示を示している。図10に示すように、始めにLCDディスプレイ8上に工場全体の広域配置図を表示する。作業者は工場内での大よその位置やライン名やセル名などから、作業したいロボットのセル名を選択手段15により選択する。具体的には、例えばタッチパネル上のセル名を押すことで、そのセルを選択する。その結果、図4に示すような、より詳細な配置図に表示を切り替える。
【0065】
ライン数やセル数が多い場合には、図11に示すように、表示する段階をより詳細に階層構造にする。詳細表示から広域表示に画面表示を切り替える場合には、タッチパネル上に広域表示ボタンを設けても良い。
【0066】
本発明によれば、作業者がより少ない情報から選択する段階を踏むことでで、特定のロボットを簡単に選択することが可能となる。
【0067】
本発明は、溶接・塗装・組立等を用途とする産業用機器のネットワーク接続された操作装置において、産業用機器の配置図を操作装置上に表示することで、作業者が複数の産業用機器と複数の操作装置の中から視覚的に特定機器を選択して接続することが可能となる。
【0068】
なお、ロボットに限らず、工作機械等の任意の自動機械に適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の第1実施例におけるロボットシステムの構成図
【図2】本発明の第1実施例における教示装置の詳細図
【図3】本発明の第1実施例におけるコントローラの詳細図
【図4】本発明の第1実施例における教示装置上の画面表示
【図5】本発明の第2実施例における教示装置上の画面表示
【図6】本発明の第2実施例における教示装置上の画面表示
【図7】本発明の第3実施例におけるロボットシステムの構成図
【図8】本発明の第3実施例における教示装置の詳細図
【図9】本発明の第3実施例における教示装置上の画面表示
【図10】本発明の第4実施例における教示装置上の画面表示
【図11】本発明の第4実施例における画面表示の階層構造
【図12】従来のロボットシステムの構成図
【図13】従来の教示装置の詳細図
【符号の説明】
【0070】
1 ロボット(自動機械)
101〜103 ロボット1〜3
2 コントローラ
21〜23 コントローラ1〜3
3 教示装置
31、32 教示装置1〜2
4 ネットワーク接続
41 有線通信
411 接続ケーブル
42 無線通信
421〜423 アンテナ
5 筐体
6 ハンド部
7 キーボード
8 LCDディスプレイ(表示部)
9 非常停止スイッチ
10 教示装置通信部
11 バッテリ
12 電源スイッチ
13 アンテナ
14 表示制御手段
15 選択手段
16 教示装置位置特定部
17 教示装置位置
18 接続可能範囲
211 コントローラ通信部
212 駆動部
201 ロボット(自動機械)
202 制御部
203 教示装置
204 ケーブル
205 筐体
206 ハンド部
207 キーボード
208 LCDディスプレイ
209 非常停止スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の駆動機構を備える複数の自動機械と、前記自動機械を駆動制御するコントローラと、前記自動機械を操作する教示装置と、を備えた自動機械システムにおいて、
前記教示装置は、前記コントローラとネットワークを介して通信を行う通信部と、
前記複数の自動機械の配置図を表示する表示部と、
接続対象とする自動機械を選択するための選択手段と、を備えたことを特徴とする自動機械システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記教示装置との通信を行う通信部と、
前記通信部にて受信した前記教示装置からの指令信号に基づいて前記自動機械を駆動する駆動部と、を備えたことを特徴とする請求項1記載の自動機械システム。
【請求項3】
前記配置図は2次元又は3次元で表示されることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項4】
操作可能な自動機械について、前記配置図上に操作可能であることを示す所定の表示をすることを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項5】
前記配置図上に、操作対象とする自動機械の情報を表示することを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項6】
前記情報は、前記自動機械の設置されたライン名、セル名、前記自動機械の機種名またはコントローラ名であることを特徴とする請求項5記載の自動機械システム。
【請求項7】
協調動作する自動機械について、前記配置図上に、協調動作をする自動機械であることを示す所定の表示をすることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項8】
前記教示装置の位置を検出する位置検出手段を備え、
前記配置図上に、前記教示装置の位置を表示することを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項9】
前記位置検出手段は、屋内GPSであることを特徴とする請求項8記載の自動機械システム。
【請求項10】
前記ネットワークは無線通信ネットワークであり、
前記配置図上に、前記教示装置の操作可能範囲を表示することを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項11】
前記配置図は階層構造であり、広域の配置図上の特定部分を選択することで、選択された部分の詳細配置図を表示することを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項12】
前記自動機械はロボットであることを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項13】
前記自動機械は工作機械であることを特徴とする請求項1乃至11いずれかに記載の自動機械システム。
【請求項14】
1つ以上の駆動機構を備える複数の自動機械と、前記自動機械を駆動制御するコントローラと、前記コントローラに無線接続されて前記自動機械を操作する教示装置と、を備えた自動機械システムにおいて、
前記教示装置の画面上に前記ネットワーク上に接続された複数の前記コントローラと前記自動機械の配置図を表示し、
前記配置図上の自動機械が選択されると、前記選択された自動機械のコントローラは前記教示装置と通信を行い、
前記教示装置からの指令信号に基づいて前記自動機械を駆動することを特徴とする自動機械システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−197856(P2008−197856A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31466(P2007−31466)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】