説明

自動車のシュラウド支持構造

【課題】 左右のフロントサイドフレームに左右のクラッシュカンを接続するために設けた左右のフランジ部材を有効に利用し、シュラウドの各サイド部の異なる2箇所をバンパーレインフォースメントとフランジ部材とに支持して、シュラウドの支持剛性を確実に高めることができる、自動車のシュラウド支持構造を提供する。
【解決手段】 左右のフランジ部材3に延出部46を夫々設け、バンパーレインフォースメント5にシュラウド6の対応するサイド部22の前面部からなる第1部位30を支持する第1支持部35と、フランジ部材3の延出部46からなり且つシュラウド6の対応するサイド部22の第1部位30以外の第2部位40を支持する第2支持部45を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車の車体前部にシュラウドを支持するシュラウド支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車において、ラジエータやコンデンサーを取付けるシュラウドが設けられ、このシュラウドはアッパ部とロア部と左右のサイド部とを有するロ状(矩形枠状)に形成されて、フロントバンパーの後側近くに配置され車体前部に支持されて取付けられている。車体前部には左右のフロントサイドフレームが設けられ、近年、これらフロントサイドフレームの前端部に、衝突エネルギーを吸収可能な左右のクラッシュカンを介して車幅方向に延びるバンパーレインフォースメントを連結する構造が主流である。
【0003】
シュラウドを車体前部に支持する構造として、特許文献1には、左右1対の車体締結部を設け、これら車体締結部をシュラウドの左右のサイド部に一体化すると共に、これら車体締結部を左右のフロントサイドフレームの前端部に締結した技術が開示され、特に、実施形態2では、車体締結部が、フロントサイドフレームの前端部に接続されるクラッシュカンの後端フランジ部を延長した部分で構成され、その後端フランジ部の延長部分とシュラウドのサイド部とが前後に配置されて、前後方向からボルトで締結されている。
【0004】
特許文献2には、左右のフロントサイドフレームの前端部に連結されたバンパーレインフォースメントに左右1対のステイを設け、これらステイにシュラウドの左右のサイド部を前後方向からネジで締結する技術が開示されている。ところで、前記のように、シュラウドにはラジエータやコンデンサーが取付けられ、これらの全重量は非常に大きくなるため、シュラウドを車体前部に確実に支持して取付ける必要があり、そのために、通常、シュラウドを車体前部に連結支持する複数のブラケット等の支持部材が別途必要となる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−240744号公報
【特許文献2】特開平7−172345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のように、シュラウドがある程度後方位置にある場合には、クラッシュカンの後端のフランジを内方側に延長させ、この延長部にシュラウドのサイド部の前面を支持させると共に、シュラウドのサイド部の側面上部に外方且つ後方に向けて延びるサイドステーを設け、このサイドステーをエプロンパネル等の車体側の部材に支持させることにより、シュラウドの各サイド部を異なる複数箇所で支持することが可能になる。
【0007】
一方、特許文献2のように、シュラウドをバンパーレインフォースメントの直後になる位前方に配置する場合、シュラウドのサイド部の前面はバンパーレインフォースメントに支持させることが可能であるものの、シュラウドのサイド部からエプロンパネル等の車体側の部材までの距離が長くなることから、シュラウドのサイド部の側面に前記特許文献1のようなサイドステーを設けて、支持剛性を確保した上で車体側の部材に支持させることは困難になる。特に、ヘッドランプが前後方向に長くなる車両においては、エプロンパネルの前端がかなり後方位置となるため、前記課題は一層顕著になる。
【0008】
本発明の目的は、シュラウドをバンパーレインフォースメントの後側近くに配置する車両において、シュラウドのサイド部の前面部をバンパーレインフォースメントに支持させると共に、左右のフロントサイドフレームに左右のクラッシュカンを接続するために設けた左右のフランジ部材を有効に利用し、そのフランジ部材の延長部にシュラウドのサイド部の前記前面部以外の所定の部位を支持させることにより、シュラウドの支持剛性を確実に高め、シュラウドを車体前部に確実に取付け、このシュラウドの取付けのために部品点数が増加することを抑え、シュラウドの車体前部への組付け性を改善することができる、自動車のシュラウド支持構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の自動車のシュラウド支持構造は、左右のフロントサイドフレームと、これらフロントサイドフレームに左右のフランジ部材を介して夫々接続され且つフロントサイドフレームから前方へ延びる左右のクラッシュカンと、これらクラッシュカンの前端部に連結された車幅方向に延びるバンパーレインフォースメントとを有する車体前部に、アッパ部とロア部と左右のサイド部とを有するロ状のシュラウドを支持する自動車のシュラウド支持構造において、前記左右のフランジ部材に延出部を夫々設け、前記バンパーレインフォースメントにシュラウドの対応するサイド部の前面部を支持する第1支持部と、前記フランジ部材の延出部からなり且つシュラウドの対応するサイド部の前記前面部以外の所定の部位を支持する第2支持部とを備えたことを特徴とする。
【0010】
車体前部には、左右のフロントサイドフレームと左右のクラッシュカンとバンパーレインフォースメントが設けられ、左右のフロントサイドフレームに左右のフランジ部材を介して左右のクラッシュカンが接続されて前方へ延び、これらクラッシュカンの前端部にバンパーレインフォースメントが連結され車幅方向に延びている。シュラウドはアッパ部とロア部と左右のサイド部とを有するロ状に構成されて、ラジエータやコンデンサーを取付け可能であり、特に、このシュラウドをバンパーレインフォースメントの後側近くに配置し車体前部に支持して取付ける場合に、本発明のシュラウド支持構造が有効になる。
【0011】
このシュラウド支持構造では、左右のフランジ部材に延出部が夫々設けられ、バンパーレインフォースメントの第1支持部に、シュラウドの対応するサイド部の前面部が支持され、フランジ部材の延出部からなる第2支持部に、シュラウドの対応するサイド部の前面部以外の所定の部位が支持されて、シュラウドが車体前部に取付けられる。フロントサイドフレームの前端部にフランジ部材を介してクラッシュカンが確実に接合され、このフランジ部材を有利に利用して、シュラウドの各サイド部の異なる2箇所がバンパーレインフォースメントとフランジ部材とに確実に支持されて、シュラウドの支持強度が高められ、シュラウドが車体前部に確実に取付けられる。
【0012】
ここで、請求項1の発明に次の構成を採用可能である。
前記所定の部位は、シュラウドの前記サイド部に側方へ突出するように設けた突出部を有し、前記第2支持部は、フランジ部材に対して前方又は後方へ延びる水平支持面を有する(請求項2)。前記前面部を第1支持部に前後方向から締結し、前記所定の部位を第2支持部に上下方向から締結する(請求項3)。前記第2支持部が第1支持部よりも上方に位置する(請求項4)。前記フランジ部材の延出部を、フランジ部材の上端部に設ける(請求項5)。
【0013】
前記所定の部位は、シュラウドに所定以上の後方向きの荷重が作用した場合に第2支持部から解除されるように構成する(請求項6)。前記バンパーレインフォースメントに、このバンパーレインフォースメントのうちクラッシュカンが接続される部位を補強する補強部材を設け、この補強部材に上下に所定距離離隔した1対の鉛直延出部であって前記第1支持部を構成する1対の鉛直延出部を設ける(請求項7)。前記補強部材がバンパーレインフォースメントの上壁及び下壁に接合される(請求項8)。
【0014】
前記バンパーレインフォースメントに、クラッシュカンの前端部を直接結合すると共に、このクラッシュカンに隣接するようにブラケットを設け、このブラケットに上下に所定距離離隔した1対の鉛直延出部であって前記第1支持部を構成する1対の鉛直延出部を設ける(請求項9)。前記ブラケットの車幅方向一端部に前方へ突出する突出片が形成され、シュラウドのサイド部に前記突出片と係合してシュラウドの車幅方向への移動を規制する規制部を設ける(請求項10)。前記シュラウドの第1部位の上側部分に前方へ突出する被係止部が形成され、この被係止部を上側の鉛直延出部の上端部で係止可能に構成する(請求項11)。前記第2支持部に位置決め穴が上下方向に形成され、前記所定の部位に前記位置決め穴に係合する下方突出状の位置決めピンを設ける(請求項12)。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の自動車のシュラウド支持構造によれば、左右のフロントサイドフレームに左右のクラッシュカンを左右のフランジ部材を介して確実に接続し、バンパーレインフォースメントの第1支持部に、シュラウドの対応するサイド部の前面部を支持すると共に、フランジ部材を有効に利用して、このフランジ部材に延出部を設け、この延出部からなる第2支持部に、シュラウドの対応するサイド部の前面部以外の所定の部位を支持することができる。つまり、シュラウドをバンパーレインフォースメントの後側近くに配置する場合に、部品点を増加させることなく、シュラウドの各サイド部の異なる2箇所を、バンパーレインフォースメントとフランジ部材に確実に支持してシュラウドの支持剛性を高め、シュラウドを車体前部に確実に取付けることが可能になる。
【0016】
請求項2の自動車のシュラウド支持構造によれば、前記所定の部位は、シュラウドのサイド部に側方へ突出するように設けた突出部を有し、第2支持部は、フランジ部材に対して前方又は後方へ延びる水平支持面を有するので、シュラウドを車体前部に組付ける際に、突出部を水平支持面に仮置きできるため、シュラウドの車体前部への組付け性を改善でき、また、前記所定の部位をフランジ部材に干渉させずに第2支持部に確実に取付け、しかも、第2支持部に前記所定の部位を載置した状態で支持できるため、シュラウドを含むラジエータやコンデンサーの大重量を支持する信頼性が高くなり、シュラウドの支持剛性が確実に高くなる。
【0017】
請求項3の自動車のシュラウド支持構造によれば、前記前面部を第1支持部に前後方向から締結し、前記所定の部位を第2支持部に上下方向から締結するので、シュラウドに作用する種々の方向からの力に対して、シュラウドの支持剛性を高めることができる。
【0018】
請求項4の自動車のシュラウド支持構造によれば、第2支持部が第1支持部よりも上方に位置するので、車両衝突時にシュラウドが前後方向に倒れることを防止でき、第1,第2支持部間の上下間隔を適度に大きくすることで、シュラウドの車体前部への取付けに支承をきたすことなく、前記の倒れ防止効果を高めることができる。
【0019】
請求項5の自動車のシュラウド支持構造によれば、フランジ部材の延出部を、フランジ部材の上端部に設けたので、延出部の延出長さを抑えることができ、フランジ部材の重量増加を抑えて、第1,第2支持部を上下に離隔させることができる。
【0020】
請求項6の自動車のシュラウド支持構造によれば、前記所定の部位は、シュラウドに所定以上の後方向きの荷重が作用した場合に第2支持部から解除されるように構成したので、車両衝突時、バンパーレインフォースメントが後退することでクラッシュカンが変形するが、前記所定の部位を第2支持部から解除させることで、バンパーレインフォースメントの後退を許容して、シュラウド等の損傷を極力防止すると共に、クラッシュカンが変形することによるエネルギー吸収機能を確実に発揮させることができる。
【0021】
請求項7の自動車のシュラウド支持構造によれば、バンパーレインフォースメントに、このバンパーレインフォースメントのうちクラッシュカンが接続される部位を補強する補強部材を設け、この補強部材に上下に所定距離離隔した1対の鉛直延出部であって第1支持部を構成する1対の鉛直延出部を設けたので、バンパーレインフォースメントの第1支持部にシュラウドの前面部を支持する支持剛性を確実に高くすることができ、また、バンパーレインフォースメントの剛性、バンパーレインフォースメントとクラッシュカンとの結合強度を高くすることができる。
【0022】
請求項8の自動車のシュラウド支持構造によれば、補強部材をバンパーレインフォースメントの上壁及び下壁に接合したので、バンパーレインフォースメントに補強部材を確実に取付けて、バンパーレインフォースメントの強度・剛性を確実に高めることができる。
【0023】
請求項9の自動車のシュラウド支持構造によれば、バンパーレインフォースメントに、クラッシュカンの前端部を直接結合すると共に、このクラッシュカンに隣接するようにブラケットを設け、このブラケットに上下に所定距離離隔した1対の鉛直延出部であって第1支持部を構成する1対の鉛直延出部を設けたので、クラッシュカンとバンパーレインフォースメントとの連結構造を簡単化できて、バンパーレインフォースメントの剛性を高くすることができ、車両衝突時にクラッシュカンを適度に潰れ易くして所期のエネルギー吸収機能を発揮させることができる。
【0024】
請求項10の自動車のシュラウド支持構造によれば、ブラケットの車幅方向一端部に前方へ突出する突出片を形成し、シュラウドのサイド部に突出片と係合してシュラウドの車幅方向への移動を規制する規制部を設けたので、車両衝突時にシュラウドが車幅方向へ移動した場合に、突出片が規制部に係合してシュラウドの車幅方向への移動を規制し、シュラウドが不要にクラッシュカンに衝突してクラッシュカンを潰すことを防止し、クラッシュカンのエネルギー吸収機能の低下防止を期待できる。
【0025】
請求項11の自動車のシュラウド支持構造によれば、シュラウドの第1部位の上側部分に前方へ突出する被係止部を形成し、この被係止部を上側の鉛直延出部の上端部で係止可能に構成したので、シュラウドを車体前部に組付ける際に、前記所定の部位を第2支持部に仮置きした場合に、上側の鉛直延出部の上端部で被係止部を係止し、シュラウドが前方倒れることを防止できるので、シュラウドの車体前部への組付け性を改善できる。
【0026】
請求項12の自動車のシュラウド支持構造によれば、第2支持部に位置決め穴を上下方向に形成し、前記所定の部位に位置決め穴に係合する下方突出状の位置決めピンを設けたので、シュラウドを車体前部に組付ける際に、前記所定の部位を第2支持部に仮置きした状態で、位置決めピンを位置決め穴に係合させて、シュラウドを位置決めできるため、シュラウドの車体前部への組付け性を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明の自動車のシュラウド支持構造は、左右のフロントサイドフレームと、これらフロントサイドフレームに左右のフランジ部材を介して夫々接続され且つフロントサイドフレームから前方へ延びる左右のクラッシュカンと、これらクラッシュカンの前端部に連結された車幅方向に延びるバンパーレインフォースメントとを有する車体前部に、アッパ部とロア部と左右のサイド部とを有するロ状のシュラウドを支持する構造であり、前記左右のフランジ部材に延出部を夫々設け、前記バンパーレインフォースメントにシュラウドの対応するサイド部の前面部を支持する第1支持部と、前記フランジ部材の延出部からなり且つシュラウドの対応するサイド部の前記前面部以外の所定の部位を支持する第2支持部とを備えたものである。
【実施例1】
【0028】
図1、図2に示すにように、自動車の車体前部1には、左右1対の前後方向に延びるフロントサイドフレーム2,2と、これらフロントサイドフレーム2,2の前端部に左右1対のフランジ部材3,3を介して夫々接続され且つフロントサイドフレーム2,2から前方へ延びる左右1対のクラッシュカン4,4と、これらクラッシュカン4,4の前端部に連結された車幅方向に延びるバンパーレインフォースメント5が設けられ、この車体前部1にロ状(矩形枠状)の合成樹脂製のシュラウド6が支持されて取付けられている。
【0029】
1対のフロントサイドフレーム2,2は前後方向に延びて車幅方向に所定間隔空けて配設され、フロントサイドフレーム2の前端部にフランジ2aが接合(溶接)され、クラッシュカン4の後端部にフランジ部材3が接合(溶接)され、フランジ2aとフランジ部材3がボルト・ナット3a(図1、図3参照)により結合され、クラッシュカン4の前端部にバンパーレインフォースメント5が補強部材12を介して結合されている。シュラウド6は正面視にてロ状となる鉛直姿勢で、1対のクラッシュカン4,4間においてバンパーレインフォースメント5の後側近く(エンジンルームの前端部)に配置されている。
【0030】
図1〜図7に示すように、フランジ部材3はクラッシュカン4の後端部に対して上下左右に張出す鉛直板状に形成され、各フランジ部材3に後述の第2支持部45が設けられている。クラッシュカン4は角筒状に形成され、車両衝突時にバンパーレインフォースメント5を介して前方から加わる衝突荷重により圧縮変形して潰れることで衝突エネルギーを吸収し、所期のエネルギー吸収機能を達成し得るサイズ、形状に構成されている。
【0031】
バンパーレインフォースメント5は、1対のフロントサイドフレーム2,2間の間隔よりも長い左右長を有し、その左右両端部分が1対のフロントサイドフレーム2,2よりも左右両側へ少し張出した状態で設けられている。バンパーレインフォースメント5は、車幅方向に長いベース板10及びクロージングプレート11を有し、このベース板10とクロージングプレート11が接合されて閉断面が形成され、ベース板10がクラッシュカン4の前端部に連結支持されている。尚、図示省略するが、クロージングプレート11の前側に発泡樹脂等からなる衝撃吸収体を設けてもよい。
【0032】
ベース板10は、前方が開放するように後壁10aと上壁10bと下壁10cとを有する縦断面コ字形状に形成され、上壁10bと下壁10cの前端部に、クロージングプレート11の上下両縁部が接合されている。バンパーレインフォースメント5には、そのベース板10のうち1対のクラッシュカン4,4が接続される部位を補強する1対の補強部材12,12が設けられ、各補強部材12に後述の第1支持部35が設けられている。
【0033】
補強部材12は、後板部13aと上板部13bと下板部13cとからなる、前方が開放状の縦断面コ字形状の補強主要部13を有し、この補強主要部13の上板部13b及び下板部13cがベース板10の上壁10b及び下壁10cに接合(溶接)され、更に、補強主要部13の後板部13aがベース板10の後壁10aに接合(溶接)されている。そして、この補強主要部13にクラッシュカン4の前端部が接合されている。
【0034】
図1、図8に示すように、シュラウド6はアッパ部20とロア部21と左右1対のサイド部22,22を有し、このシュラウド6に図示略のラジエータやコンデンサーが取付けられ、シュラウド6の各サイド部22に、バンパーレインフォースメント5の対応する補強部材12の第1支持部35に支持される第1部位30と、対応するフランジ部材3の第2支持部45に支持される第2部位40が設けられている。
【0035】
車体前部1にシュラウド6を支持するシュラウド支持構造について詳細に説明する。
図1〜図8に示すように、このシュラウド支持構造では、左右1対のフランジ部材3,3に延出部46,46が夫々設けられ、バンパーレインフォースメント5の各第1支持部35に、シュラウド6の対応するサイド部22の前面部からなる第1部位30が支持され、各フランジ部材3の延出部46からなる第2支持部45に、シュラウド6の対応するサイド部22の第1部位30以外の所定の部位に相当する第2部位40が支持されている。
【0036】
第1部位30は、シュラウド6のサイド部22の上下方向中央部分に設けられ、バンパーレインフォースメント5の上下長の約2倍程度の上下長を有すると共に、シュラウド6が車体前部1に取り付けられた状態でバンパーレインフォースメント5の上下両側へ張出した状態となり、この第1部位30に、縦長で且つ前方へ向く鉛直支持面31が形成され、鉛直支持面31に連なる上下1対のボルト穴32が形成されている。シュラウド6のサイド部22の第1部位30の上側部分には、前方へ突出する水平な庇状の被係止部30aが形成されている。
【0037】
一方、第1支持部35は、補強部材12に設けられた上下に所定距離離隔した上下1対の鉛直延出部36,36で構成され、各鉛直延出部36にボルト穴37が形成されている。補強部材12には、その補強主要部13から車体中心側へ張出す張出部38が一体形成され、その張出部38の上下両側部分が1対の鉛直延出部36,36に形成され、上側の鉛直延出部36の上端部ではシュラウド6の被係止部30aを下側から係止可能に構成されている。尚、張出部38はその車体中心側端部を前方へ屈曲して補強されている。
【0038】
第1部位30の鉛直支持面31が、第1支持部35の上下1対の鉛直延出部36,36の後面に面接触され、これらのボルト穴32,32,37,37が一致した状態で、ボルト穴32,32,37,37に上下1対のボルト39が前側から螺合されて、第1部位30が第1支持部35に前後方向から締結される。
【0039】
第2部位40は、シュラウド6のサイド部22の上端部分に設けられて第1部位30よりも上側に位置し、車体中心側と反対側の側方へ突出する突出部41を有する。突出部41の下面は水平面に形成され、この突出部41には、前方側から切欠き状のスリット42aを形成するフック部42が形成されている。突出部41の後端部とその後端部の内端から上側に連なる部分のサイド部22とに繋がる正面視3角形状の補強壁部41aが設けられ、この補強壁部41aにより突出部41が補強されている。
【0040】
一方、第2支持部45(延出部46)は、フランジ部材3の上端部に設けられて第1支持部35よりも上側に位置し、前方へ突出する突出支持部47を有する。突出支持部47には、その上面にフランジ部材3の本体に対して前方へ延びる水平支持面48が形成され、水平支持面48に連なるボルト穴49が形成されている。
【0041】
第2部位40の突出部41の下面が第2支持部45の水平支持面48に面接触されて、突出部41が突出支持部47に載置支持され、これらのフック部42のスリット42aとボルト穴49とが一致した状態で、これらのスリット42aとボルト穴49にボルト50が上側から挿通され、第2支持部45の突出支持部47の下面に予め溶着したナット51に螺合されて、第2部位40が第2支持部45に上下方向から締結される。
【0042】
フック部42のスリット42aは前方側から切欠き状に形成され、このフック部42はボルト50の頭部と突出支持部47を介してナット51により挟持された状態となることから、シュラウド6に所定以上の後方向きの荷重がバンパーレインフォースメント5を介して作用した場合に、ボルト50からフック部42が後側へ外れて、第2部位40が第2支持部45から解除されるように構成されている。
【0043】
ここで、シュラウド6を車体前部1に組付ける場合、シュラウド6にラジエータやコンデンサーを取付けた状態で、或いは、ラジエータやコンデンサーを取付ける前に、シュラウド6をエンジンルームの上側からエンジンルーム内に下降させ、シュラウド6の左右1対の第2部位40の突出部41を、左右1対のフランジ部材3の第2支持部45の突出支持部47の水平支持面48に載置して仮置きする。
【0044】
このとき、シュラウド6の左右1対の被係止部30aが左右1対の第1支持部35の上側の鉛直延出部36の上端部で係止されて、シュラウド6が水平姿勢に保持され、この状態で、シュラウド6を必要に応じて前後左右に移動させて車体前部1に対して正確に位置決めしてから、前記のように、第1部位30を第1支持部35に締結して支持し、第2部位40を第2支持部45に締結して支持し、必要であれば、その他の部位を適宜車体前部1に固定して、シュラウド6を車体前部1に取付ける。
【0045】
以上説明したシュラウド支持構造によれば次の効果を奏する。
左右のフロントサイドフレーム2に左右のクラッシュカン4を左右のフランジ部材3を介して確実に接続し、バンパーレインフォースメント5の第1支持部35に、シュラウド6の対応するサイド部22の第1部位30を支持すると共に、フランジ部材3を有効に利用して、このフランジ部材3に延出部46を設け、この延出部46からなる第2支持部45に、シュラウド6の対応するサイド部22の第1部位30以外の第2部位40を支持することができる。
【0046】
つまり、シュラウド6をバンパーレインフォースメント5の後側近くに配置する場合に、部品点を増加させることなく、シュラウド6の各サイド部22の異なる2箇所を、バンパーレインフォースメント5とフランジ部材3に確実に支持してシュラウド6の支持剛性を高め、シュラウド6を車体前部1に確実に取付けることが可能になる。
【0047】
第2部位40は、シュラウド6のサイド部22に側方へ突出するように設けた突出部41を有し、第2支持部45は、フランジ部材3に対して前方へ延びる水平支持面38を有するので、また、シュラウド6の第1部位30の上側部分に前方へ突出する被係止部30aを形成し、この被係止部30aを補強部材12の上側の鉛直延出部36の上端部で係止可能に構成したので、シュラウド6を車体前部1に組付ける際に、突出部41を水平支持面48に仮置きでき、そのとき、鉛直延出部36の上端部で被係止部30aを係止し、シュラウド6が前方倒れることを防止できるので、シュラウド6の車体前部1への組付け性を改善でき、第2部位40をフランジ部材3に干渉させずに第2支持部45に確実に取付け、第2支持部45に第2部位40を載置した状態で支持できるため、シュラウド6を含むラジエータやコンデンサーの大重量を支持する信頼性が高くなり、シュラウド6の支持剛性が確実に高くなる。
【0048】
第1部位30を第1支持部35に前後方向から締結し、第2部位40を第2支持部45に上下方向から締結するので、シュラウド6に作用する種々の方向からの力に対して、シュラウド6の支持剛性を高めることができる。第2支持部45が第1支持部35よりも上方に位置するので、車両衝突時にシュラウド6が前後方向に倒れることを防止でき、第1,第2支持部35,45間の上下間隔を適度に大きくすることで、シュラウド6の車体前部1への取付けに支承をきたすことなく、前記の倒れ防止効果を高めることができる。
【0049】
フランジ部材3の延出部46を、フランジ部材3の上端部に設けたので、延出部46の延出長さを抑えることができ、フランジ部材3の重量増加を抑えて、第1,第2支持部35,45を上下方向に離隔させることができる。第2部位40は、シュラウド6に所定以上の後方向きの荷重が作用した場合に第2支持部45から解除されるように構成したので、車両衝突時、バンパーレインフォースメント5が後退することでクラッシュカン4が変形するが、第2部位40を第2支持部45から解除させることで、バンパーレインフォースメント5の後退を許容して、シュラウド6等の損傷を極力防止すると共に、クラッシュカン4が変形することによるエネルギー吸収機能を確実に発揮させることができる。
【0050】
バンパーレインフォースメント5に、このバンパーレインフォースメント5のうちクラッシュカン4が接続される部位を補強する補強部材12を設け、この補強部材12に上下に所定距離離隔した1対の鉛直延出部36,36であって第1支持部35を構成する1対の鉛直延出部36,36を設けたので、バンパーレインフォースメント5の第1支持部35にシュラウド6の第1部位30を支持する支持剛性を確実に高くすることができ、また、バンパーレインフォースメント5の剛性、バンパーレインフォースメント5とクラッシュカン4との結合強度を高くすることができる。補強部材12をバンパーレインフォースメント5のベース板10の上壁10b及び下壁10cに接合したので、バンパーレインフォースメント5に補強部材12を確実に取付けて、バンパーレインフォースメント5の強度・剛性を確実に高めることができる。
【実施例2】
【0051】
実施例2のシュラウド支持構造は、実施例1のシュラウド支持構造を含む車体前部1を部分的に変更したものである。故に、基本的に実施例1と同じものには同一符号を付して説明を省略する。
【0052】
図9〜図14に示すように、実施例2の車体前部1Aにおいては、クラッシュカン4Aの後端部にフランジ部材3Aが接合(溶接)され、フランジ2aとフランジ部材3Aがボルト・ナット3Aaにより結合されている。クラッシュカン4Aの前端部がバンパーレインフォース5に直接接合され、そのために、クラッシュカン4Aの上壁と下壁の前端部に前方へ延びる延長部4Aaが形成され、その上下の延長部4Aaがバンパーレインフォースメント5のベース板10の上壁10b及び下壁10cに溶接されている。
【0053】
バンパーレインフォースメント5には、1対のクラッシュカン4A,4Aに夫々車幅方向中心側から隣接するように1対のブラケット12A,12Aが設けられ、各ブラケット12Aに後述の第1支持部35Aが設けられている。このブラケット12Aは、後板部13Aaと上板部13Abと下板部13Acとからなる、前方が開放状の縦断面コ字形状の取付部13Aを有し、この取付部13Aの上板部13Ab及び下板部13Acがベース板10の上壁10b及び下壁10cに接合(溶接)され、更に、取付部13Aの後板部13Aaがベース板10の後壁10aに接合(溶接)されている。
【0054】
フランジ部材3Aはクラッシュカン4Aの後端部に対して上下左右に張出す鉛直板状に形成され、各フランジ部材3Aに後述の第2支持部45Aが設けられている。シュラウド6Aは、実施例1のシュラウド6と略同様のアッパ部20とロア部21と1対のサイド部22,22を有する構造であり、各サイド部22に、バンパーレインフォースメント5の対応するブラケット12Aの第1支持部35Aに支持される第1部位30Aと、対応するフランジ部材3Aの第2支持部45Aに支持される第2部位40Aが設けられている。
【0055】
車体前部1Aにシュラウド6Aを支持するシュラウド支持構造においては、左右1対のフランジ部材3A,3Aに延出部46A,46Aが夫々設けられ、バンパーレインフォースメント5の各第1支持部35Aに、シュラウド6Aの対応するサイド部22の前面部からなる第1部位30Aが支持され、各フランジ部材3Aの延出部46Aからなる第2支持部45Aに、シュラウド6Aの対応するサイド部22の第1部位30A以外の所定の部位に相当する第2部位40Aが支持されている。
【0056】
第1部位30Aには、実施例1の第1部位30と同様の鉛直支持面31とボルト穴32が形成され、シュラウド6Aのサイド部22の第1部位30Aの上側部分には、前方へ突出する水平な庇状の被係止部30Aaが形成され、第1部位30Aの車幅方向中心側端部には、前方へ突出する規制部30Abが形成されている。
【0057】
一方、第1支持部35Aは、ブラケット12Aに設けられた上下に所定距離離隔した上下1対の鉛直延出部36A,36Aで構成され、各鉛直延出部36Aにボルト穴37が形成されている。ブラケット12Aには、その取付部13Aから車体中心側へ張出す張出部38Aが一体形成され、その張出部38Aの上下両側部分が1対の鉛直延出部36A,36Aに形成され、上側の鉛直延出部36Aの上端部ではシュラウド6Aの被係止部30Aaを下側から係止可能に構成されている。
【0058】
張出部38Aはその車体中心側端部を前方へ屈曲して補強され、その屈曲された部分で形成された前方へ突出する突出片38Aaに、シュラウド6Aのサイド部22の規制部30Abが係合して、シュラウド6Aの車幅方向への移動を規制するように構成されている。第1部位30Aの鉛直支持面31が、第1支持部35Aの上下1対の鉛直延出部36A,36Aの後面に面接触され、これらのボルト穴32,32,37,37が一致した状態で、ボルト穴32,32,37,37に上下1対のボルト39が前側から螺合されて、第1部位30Aが第1支持部35Aに前後方向から締結される。
【0059】
第2部位40Aは、実施例1の第2部位40と同様の、突出部41、補強壁部41a、フック42、スリット42aを有し、更に、突出部41のうちスリット42aよりも車幅方向外側部分に設けられた下方突出状の位置決めピン60を有する。ここで、左側の第2部位40Aの位置決めピン60よりも、右側の第2部位40Aの位置決めピン60の方が大径に形成されている。
【0060】
一方、第2支持部45A(延出部46A)は、フランジ部材3Aの上端部に設けられて第1支持部35Aよりも上側に位置し、フランジ部材3Aの上端部の略全幅部分から前方へ突出する突出支持部47Aを有する。突出支持部47Aには、その上面に水平支持面48Aが形成され、水平支持面48Aに連なるボルト穴49が形成され、第2部位40Aの位置決めピン60が係合する位置決め穴61上下方向に貫通状に形成されている。
【0061】
第2部位40Aの突出部41の下面が第2支持部45Aの水平支持面48Aに面接触されて、突出部41が突出支持部47Aに載置支持され、これらの位置決めピン60が位置決め穴61に係合し、フック部42のスリット42aとボルト穴49とが一致した状態で、これらのスリット42aとボルト穴49にボルト50が上側から挿通され、第2支持部45Aの突出支持部47Aの下面に予め溶着したナット51に螺合されて、第2部位40Aが第2支持部45Aに上下方向から締結される。
【0062】
ここで、シュラウド6Aを車体前部1Aに組付ける場合、シュラウド6Aにラジエータやコンデンサーを取付けた状態で、或いは、ラジエータやコンデンサーを取付ける前に、シュラウド6Aをエンジンルームの上側からエンジンルーム内に下降させ、シュラウド6Aの左右1対の第2部位40Aの突出部41を、左右1対のフランジ部材3Aの第2支持部45Aの突出支持部47Aの水平支持面48Aに載置して仮置きする。
【0063】
このとき、左右1対の第2部位40Aの位置決めピン60が、左右1対の第2支持部45Aの位置決め穴61に係合して、シュラウド6が位置決めされる。ここで、右側の大径の位置決めピン60は右側の位置決め穴61に密着状に係合し、左側の小径の位置決めピン60は左側の位置決め穴61に遊嵌状に係合するため、製作誤差、組付誤差を吸収して、シュラウド6Aを位置決めすることができる。
【0064】
更に、シュラウド6Aの左右1対の被係止部30Aaが左右1対の第1支持部35Aの上側の鉛直延出部36Aの上端部で係止されて、シュラウド6Aが水平姿勢に保持され、この状態で、前記のように、第1部位30Aを第1支持部35Aに締結して支持し、第2部位40Aを第2支持部45Aに締結して支持し、必要であれば、その他の部位を適宜車体前部1Aに固定して、シュラウド6Aを車体前部1Aに取付ける。
【0065】
以上説明したシュラウド支持構造によれば、バンパーレインフォースメント5に、クラッシュカン4Aの前端部を直接結合すると共に、このクラッシュカン4Aに隣接するようにブラケット12Aを設け、このブラケット12Aに上下に所定距離離隔した1対の鉛直延出部36Aであって第1支持部35Aを構成する1対の鉛直延出部36Aを設けたので、クラッシュカン4Aとバンパーレインフォースメント5との連結構造を簡単化できて、バンパーレインフォースメント5の剛性を高くすることができ、車両衝突時にクラッシュカン4Aを適度に潰れ易くして所期のエネルギー吸収機能を発揮させることができる。
【0066】
ブラケット12Aの車幅方向一端部に前方へ突出する突出片38Aaを形成し、シュラウド6Aのサイド部22に突出片38Aaと係合してシュラウド6Aの車幅方向への移動を規制する規制部30Abを設けたので、車両衝突時にシュラウド6Aが車幅方向へ移動した場合、突出片38Aaが規制部30Abに係合してシュラウド6Aの車幅方向への移動を規制し、シュラウド6Aが不要にクラッシュカン4Aに衝突してクラッシュカン4Aを潰すことを防止し、クラッシュカン4Aのエネルギー吸収機能の低下防止を期待できる。
【0067】
第2支持部45Aに位置決め穴61を上下方向に形成し、第2部位40Aに位置決め穴61に係合する下方突出状の位置決めピン60を設けたので、シュラウド6Aを車体前部1Aに組付ける際に、第2部位40Aを第2支持部45Aに仮置きした状態で、位置決めピン60を位置決め穴61に係合させて、シュラウド6Aを位置決めできるため、シュラウド6Aの車体前部1Aへの組付け性を改善できる。その他は基本的に実施例1と同様の作用・効果を奏する。
【0068】
尚、フランジ部材3,3Aの延出部46,46Aを、フランジ部材3,3Aの上端部以外の部位(例えば、フランジ2b)に設けてもよいし、水平支持面48,48Aがフランジ部材3,3Aに対して後方へ延びるように構成してもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を付加して実施可能であり、種々の自動車の車体前部にシュラウドを支持する構造に、本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例1の車体前部とシュラウドの斜視図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1の要部の拡大図である。
【図4】車体前部とシュラウド支持構造の要部の前側からの斜視図である。
【図5】車体前部とシュラウド支持構造の要部の後側からの斜視図である。
【図6】図3のVI−VI線断面図である。
【図7】図3のVII −VII 線断面図である。
【図8】シュラウドの斜視図である。
【図9】実施例2の車体前部とシュラウド支持構造の要部の横断面図である。
【図10】車体前部とシュラウド支持構造の要部の後側からの斜視図である。
【図11】シュラウドの左上半部分の後方からの斜視図である。
【図12】シュラウドの右上半部分の後方からの斜視図である。
【図13】シュラウド支持構造の左要部の縦断面図である。
【図14】シュラウド支持構造の右要部の縦断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1,1A 車体前部
2 フロントサイドフレーム
3,3A フランジ部材
4,4A クラッシュカン
5 バンパーレインフォースメント
6,6A シュラウド
10b 上壁
10c 下壁
12 補強部材
12A ブラケット
20 アッパ部
21 ロア部
22 サイド部
30,30A 第1部位
30Ab 規制部
35,35A 第1支持部
36,36A 鉛直延出部
38Aa 突出片
40,40A 第2部位
41 突出部
45,45A 第2支持部
46,46A 延出部
48,48A 水平支持面
60 位置決めピン
61 位置決め穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右のフロントサイドフレームと、これらフロントサイドフレームに左右のフランジ部材を介して夫々接続され且つフロントサイドフレームから前方へ延びる左右のクラッシュカンと、これらクラッシュカンの前端部に連結された車幅方向に延びるバンパーレインフォースメントとを有する車体前部に、アッパ部とロア部と左右のサイド部とを有するロ状のシュラウドを支持する自動車のシュラウド支持構造において、
前記左右のフランジ部材に延出部を夫々設け、
前記バンパーレインフォースメントにシュラウドの対応するサイド部の前面部を支持する第1支持部と、
前記フランジ部材の延出部からなり且つシュラウドの対応するサイド部の前記前面部以外の所定の部位を支持する第2支持部と、
を備えたことを特徴とする自動車のシュラウド支持構造。
【請求項2】
前記所定の部位は、シュラウドの前記サイド部に側方へ突出するように設けた突出部を有し、前記第2支持部は、フランジ部材に対して前方又は後方へ延びる水平支持面を有することを特徴とする請求項1に記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項3】
前記前面部を第1支持部に前後方向から締結し、前記所定の部位を第2支持部に上下方向から締結することを特徴とする請求項2に記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項4】
前記第2支持部が第1支持部よりも上方に位置することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項5】
前記フランジ部材の延出部を、フランジ部材の上端部に設けたことを特徴とする請求項4に記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項6】
前記所定の部位は、シュラウドに所定以上の後方向きの荷重が作用した場合に第2支持部から解除されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項7】
前記バンパーレインフォースメントに、このバンパーレインフォースメントのうちクラッシュカンが接続される部位を補強する補強部材を設け、この補強部材に上下に所定距離離隔した1対の鉛直延出部であって前記第1支持部を構成する1対の鉛直延出部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項8】
前記補強部材がバンパーレインフォースメントの上壁及び下壁に接合されたことを特徴とする請求項7に記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項9】
前記バンパーレインフォースメントに、クラッシュカンの前端部を直接結合すると共に、このクラッシュカンに隣接するようにブラケットを設け、このブラケットに上下に所定距離離隔した1対の鉛直延出部であって前記第1支持部を構成する1対の鉛直延出部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項10】
前記ブラケットの車幅方向一端部に前方へ突出する突出片が形成され、シュラウドのサイド部に前記突出片と係合してシュラウドの車幅方向への移動を規制する規制部を設けたことを特徴とする請求項9に記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項11】
前記シュラウドの第1部位の上側部分に前方へ突出する被係止部が形成され、この被係止部を上側の鉛直延出部の上端部で係止可能に構成したことを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の自動車のシュラウド支持構造。
【請求項12】
前記第2支持部に位置決め穴が上下方向に形成され、前記所定の部位に前記位置決め穴に係合する下方突出状の位置決めピンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の自動車のシュラウド支持構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−1563(P2007−1563A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−67827(P2006−67827)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】