説明

自動車のシート上の人の位置を識別するための装置及び方法

本発明はトランシーバ(9)を有し、このトランシーバ(9)は高周波信号を送信し、これらの高周波信号はシートにおけるリフレクタ(6)によって反射される。リフレクタ(6)の診断のために独自の診断リフレクタ(10)がシートの縁部側に配置されている。診断リフレクタ(10)は、通常はシート(2)上の人(1)によって遮蔽されないように配置されている。この場合、診断は人の識別と同時に実施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のシート上の人の位置の識別のための装置及び方法に関し、この結果、例えば事故の場合にエアバッグのトリガをこの位置に依存して制御する。
【0002】
公知の装置(US6199904B1)は高周波送信器及び高周波受信器を有するトランシーバを有する。この送信器は高周波放射を車両シートに送信し、この車両シートは反射表面を有する。この表面によって放射は反射され、受信器に伝送される。受信器は反射された信号を受信し、受信した信号の強度を評価する。人がシートに着席した場合には、信号は人体によって強く減衰され、この結果、この場合人がシートに存在していると即座に識別されうる。
【0003】
社内では、トランシーバとしてアクセスコントロール及び車両スタートシステムのトランシーバを使用することが提案された。これによって信号の伝搬時間に基づいてトランシーバとリフレクタとの間の距離がもとめられる。シートの姿勢及び位置の知識からこの場合リフレクタによって反射される信号はその他の制御信号から区別され、受信された信号の強度に基づいて確実に人がシートに着席したことが検出される。
【0004】
一般的にトランシーバは自動車の盗難防止システムのためのトランシーバは既に公知であり(DE19957536A1)、このトランシーバでは、(変調リフレクタとして使用される)符号発生器の位置がもとめられる。許可された位置及び正当な符号の場合にのみ、自動車への接近(アクセス)が許されるか又は発進ブロックが解除される。
【0005】
会社側ではリフレクタとしてバックスキャッタシステムを使用することも提案され、このバックスキャッタシステムでは反射される信号が符号によって変調される。このようなバックスキャッタは例えば公開公報DE19957557A1から公知である。この場合、バックスキャッタはOFW素子(表面弾性波)から成り、これらのOFW素子は内部に可変的に変調するリフレクタを有する。リフレクタによって信号には所定の場所における反射にために符号が付与され、返信される。
【0006】
自動車のシート上の人の位置の識別のための公知の装置では、人が車内シートに着席したか又は人がシートに前屈みで又は斜めに座っているのかが識別できないという欠点が存在する。受信される信号の強度だけが使用され、すなわち、放射が人体を貫通する際の減衰だけが利用される。多重に制御された又は反射された信号はそのようなものとして識別できない。受信された信号がシートから又は他の対象物から反射されるのかも区別できない。
【0007】
本発明の課題は、装置の精確な機能に関する診断も行われる、自動車のシート上の人の位置の識別のための装置及び方法を提供することである。
【0008】
上記課題は本発明によれば特許請求項1及び7の特徴部分記載の構成を有する自動車のシート上の人の位置の識別のための装置ならびに特許請求項9の特徴部分記載の構成を有する方法によって解決される。
【0009】
この場合、装置は高周波送信器を有し、この高周波送信器は車内客席空間に配置されており、高周波信号を送信する。1つ又は複数のリフレクタがそれぞれ車内シート内に配置されている。これらのリフレクタは受信した高周波信号を高周波受信器へと反射する。高周波受信器は信号の信号伝搬時間に基づいて及び/又は高周波信号に含まれる符号に基づいて、シートが占有されているかどうかを評価する。さらに、シート上に存在する人の精確な位置も識別される(前方に身を乗り出しているか又は脇の方に座っているか、どのくらいの時間その状態でいるのか)。
【0010】
装置の診断の目的のためにシート内には1つ又は複数の診断リフレクタが配置されている。診断リフレクタはこれらのリフレクタができるだけ人体によって遮蔽されないように各シートの縁部に配置されており、この結果、高周波信号が大きく減衰されずに診断リフレクタに到達し、高周波受信器へと戻る反射が大きく減衰されずに受信器に到達する。
【0011】
この装置は次のような利点を有する。すなわち、この装置は、診断リフレクタによって反射された信号が受信されるとノーマルなリフレクタのうちの1つが故障しているかどうかを自動的にかつ確実に識別する。よって、装置自体の簡単な診断が可能である。診断リフレクタは他のリフレクタと同じテクノロジで構成されうる。リフレクタに対しては、アダプテーション、キャリブレーション又は検定は必要ない。診断リフレクタは小さく、軽く、ロバストに構成されている。本発明の装置によってシート上の人が識別されるだけでなく、他の対象物がシート上に存在するか否かも識別される。
【0012】
リフレクタの代わりに、高周波送信器又は高周波受信器がシート内に配置されてもよい。この場合、高周波送信器と高周波受信器との間の単一方向性伝送が生じる。診断送信器又は診断受信器はこの場合同様にシート内に配置される。これらによって本発明の装置の診断が可能である。
【0013】
本発明の方法によって同時に診断もシート上の人の位置の識別の実施も可能である。診断によって本発明の装置がまだ正常に作動しているのかどうかが検出される。なぜなら、診断リフレクタ、診断送信器又は診断受信器によって常に診断信号が最終的には受信及び評価されなければならないからである。
【0014】
本発明の有利な実施形態は従属請求項から得られる。
【0015】
診断リフレクタはシートの縁部に配置されており、送信器とリフレクタと受信器との間に大きく減衰されないコネクションが存在し、さらに診断リフレクタはワイヤレスで又はワイヤ接続でリフレクタに接続されている。診断リフレクタは有利には背もたれの端面に、車両シートの腰を下ろす平面の端面に、又は、ヘッドレストの中の側面の方に配置されている。高周波信号を送信する高周波送信器の相応の位置決めの際に、診断リフレクタが縁部側にある場合には、この診断リフレクタまでの伝送路は車内シート上の人の体によっては遮蔽されないか又は一部分しか遮蔽されず、この結果、高周波信号は直接的にかつ減衰されずに高周波送信器から診断リフレクタへと送信され、そこから反射又は散乱によって返信されうる。
【0016】
リフレクタも診断リフレクタも高周波信号を符号によって変調して返信することができる。従って、どのリフレクタから受信された信号が由来するのかが一意的に識別されうる。信号伝搬時間に基づいて、リフレクタの実際の位置がもとめられる(実際の位置はとりわけシートの姿勢及びシート背もたれの傾斜に依存する)。さらに受信された信号が迂回路、すなわち多重反射による迂回路をその送信器からリフレクタを介して受信器までのパスにおいてとったかどうかが検査されうる。
【0017】
有利には、高周波送信器及び高周波受信器は一つの部材として、より詳しく言えばいわゆるトランシーバとして構成される。トランシーバは既存のアクセスコントロール及び車両スタートシステム(盗難防止システム)のためにも使用されうる。なぜなら、そこでも高周波信号が送信及び受信されならびに符号発生器の距離/位置が伝搬時間測定によってもとめられるからである。このような盗難防止システムはそのエレメントについて例えば公開公報DE19957536A1に記述されており、ここで明確に引き合いに出しておく。よって、このような盗難防止システムのより詳しい知識は当業者にとっては公知のものと前提する。
【0018】
診断リフレクタはスイッチを介して、例えばスイッチとして制御されるトランジスタを介して他のリフレクタと直列に又は並列に電気的に接続されている。従って、診断リフレクタはいつでも同時にリフレクタとともに又は診断モードにおいてのみ動作され、その結果、一般的に診断リフレクタによって返信された信号がトランシーバによって受信されるかどうかが識別される。
【0019】
診断リフレクタは高周波信号を大きく減衰されずに受信するので、比較的小さい放射がシートの方向にすなわち人の方向に送信されるように、診断の間の強度は送信の際に低減される。診断リフレクタが通常のリフレクタと直列に接続されているならば、ノーマル動作においても診断リフレクタに割り当て可能な信号が受信される場合には即座に装置が故障しているかどうかが識別される。
【0020】
診断リフレクタは、例えばシートの実際の瞬時の位置を決定するための測定地点としても使用される。もとめられた位置は次いで車両内の他のシステム、例えばエアバッグシステムに転送される。人のもとめられた位置は車内の快適性機能(ユーザ固有のシート調整、ミラーの調整など)を制御するための他の制御機器のためにも供給される。
【0021】
診断リフレクタは変調リフレクタとしても構成され、これによって受信された信号が例えばOFW素子(表面弾性波)によって符号によって変調されて返信される。高周波信号の変調される反射の他の方法も可能である。
【0022】
有利には、高周波受信器は、車内シート上の人の瞬時の位置をもとめ、この位置をエアバッグシステムに転送し、これによって事故の場合にはエアバッグのトリガを制御するために使用される。エアバッグシステムは人にとって安全の上で重要なシステムであるので、センサ及びリフレクタが正しく機能し、いつでも検査でき、ならびに、故障してはならないことが重要である。この安全性は診断リフレクタによる診断によって保証される。
【0023】
本発明の実施例を以下において概略的な図面に基づいて詳しく説明する。
【0024】
図1は本発明の装置を有する車内シート上にある位置を有する車内シートの側面図を示し、
図2は図1の装置を有する車内シートの平面図を示す。
【0025】
自動車のシート2上の人1の位置の識別のための装置(図1)は、腰を下ろす平面3、背もたれ4及びヘッドレスト5を有する車内シート2を有する。このシート2の中に、人1がシート2に着席した際に通常接触する領域にリフレクタ6が配置されている。中央コンソールの計器盤7、天井8及び/又はバックミラーには、高周波送信器及び高周波受信器を有するトランシーバ9が存在する。高周波送信器からは高周波信号が車内シート2の方向へと送信される。これらの信号はシート内のリフレクタ6によってダイレクトに又は符号により変調されて反射される。高周波受信器はこれらの信号を受信し、これらを受信強度、信号伝搬時間及び/又は信号に含まれる符号に基づいて評価する。
【0026】
人1又は場所をとる対象物がシート2上に存在するならば、これらは通常リフレクタ6を少なくとも部分的に遮蔽する。高周波送信器/高周波受信器及びリフレクタ6は、これらの間のダイレクトな伝送路が通常はシート2上の人1を貫通するように配置されている。高周波送信器により送信される高周波信号は、従って、人体を貫通し、この場合に減衰される。
【0027】
リフレクタ6により反射される信号も少なくとも部分的には人の体を貫通し、同様に減衰される。従って、これらの信号は強く減衰されて高周波受信器に到達する。強度、伝搬時間測定及び/又は反射された符号に基づいて、この場合、人1がシート2上に存在するかどうか及びどの位置にこの人1が存在するかが精確にもとめられる。符号及び/又は伝搬時間測定によって多重反射により受信器に到達した他の信号は評価において考慮されない。
【0028】
本発明の装置の自己診断を実施するために、シート2内に縁部側に診断リフレクタ10が配置される。これらの診断リフレクタ10はシート2の縁部の領域に配置され、より詳しく言えば車内シート2上にいる人1の人体が診断リフレクタ10をできるだけ遮蔽しない場所に、すなわち高周波送信/受信器と診断リフレクタ10との間の伝送路が人体を貫通せず、従って減衰されない場所に配置される。
【0029】
診断リフレクタ10は例えばシート2上に存在する人1の頸部領域又は下腿領域において各シート2の縁部側に配置されうる。従って、診断リフレクタ10は、例えば図2に図示されているように、背もたれ4の上部の角に又は腰を下ろす平面3の前部の外側の左右に又は腰を下ろす平面3の端面に配置される。これらの領域では通常は伝送路はシートの人の体によって「遮蔽」されない。
【0030】
有利には、2つの診断リフレクタ10を対称的にシート背もたれの角の左右に又はシートの腰を下ろす平面3の端面の左右に配置する。これによって、人1がシート2上で脇の方にずれて存在している場合でも、常に少なくとも1つの診断リフレクタ10が高周波信号によって照射される。
【0031】
診断リフレクタ10は例えばトランジスタとして構成されているスイッチ11を介してリフレクタ6に接続されている。ノーマル動作において診断リフレクタ10はスイッチオンされうる。これらの診断リフレクタ10は通常は高周波信号を減衰なしで受信し、これらによる反射も大きく減衰されずに高周波受信器に到達するので、一般的に相応の信号が受信されるかどうかが検出される。そうでない場合には、診断リフレクタ10を含めて全てのリフレクタ6が故障している可能性が高い。その理由としては、例えば電圧供給がシート2において中断されていること、又は、診断リフレクタ10を含めて全てのリフレクタ6が人1又は対象物によって完全に遮蔽されていることである。
【0032】
有利には、診断リフレクタ10をノーマルなリフレクタ6と同様に変調リフレクタ6、10として同じテクノロジで構成する。こうすると、リフレクタ6は受信した信号を10kHzの周波数によって変調して返信し、他方で診断リフレクタ10は信号を20kHzの周波数によって変調して返信することができる。
【0033】
各診断リフレクタ10が固有の符号を有することも可能であり、この符号がこの場合高周波受信器に返信される。これによって、これらの診断リフレクタ10のうちのどれによって信号が変調されて反射されたかが検出可能である。たとえその前に多重にリフレクタ6及び自動車内のその他の対象物によって反射された信号が受信されても、強度及び/又は信号伝搬時間及び/又は符号に基づいて信号が1つの診断リフレクタ10に一意的に割り当てられうる。
【0034】
リフレクタ6、10としてはいわゆるバックスキャッタが使用されうる。これらにおいてはパッシブバックスキャッタとセミパッシブバックスキャッタとセミアクティブバックスキャッタとアクティブバックスキャッタとが区別される。
【0035】
パッシブバックスキャッタは反射表面を有する。ε跳躍的変化(比誘電率εの跳躍的変化)又は導電率の変化によって波動インピーダンス(Feldwellenleitwiderstand)が跳躍的変化を有する。一定の後方散乱断面積が生じ、この結果、(ミラーのように)変調は行われない。
【0036】
セミパッシブバックスキャッタも同様に反射表面を有する。ただし(例えばスイッチングトランジスタによって)時間的に変化する後方散乱断面積が存在する。しかし、反射における信号増幅も信号発生も起こらない。
【0037】
セミアクティブバックスキャッタはセミパッシブバックスキャッタに類似するが、反射すべき信号の増幅を有する。
【0038】
アクティブバックスキャッタでは反射すべき信号がバックスキャッタにおいて発生される。このために、アクティブバックスキャッタは固有の発振器を有し、この発振器によって位相コヒーレントな信号を放射する。
【0039】
この本発明の装置によって、ノーマルなリフレクタ6が故障しているかどうかが自動的にかつ確実に識別される。診断リフレクタ10を常にスイッチオンすることができ、この結果、装置のノーマル動作と同時的な診断が行われる。診断のために時間窓も設けることもでき、この時間窓において診断だけが実施される。
【0040】
診断リフレクタ10はノーマルなリフレクタ6を介してエネルギを供給される。動作時には、受信された信号(符号、信号伝搬時間及び/又は強度)に基づいて、エラーがあるかどうかが識別される。シート2におけるリフレクタ6に停電によってエネルギが供給されない場合には、診断リフレクタ10によっても信号は反射されない。
【0041】
診断リフレクタ10は、座っている人1によってできるだけ遮蔽されない又は大きく遮蔽されないようにシート2上に又はシート2内に位置決めされる。このような診断リフレクタ10は単純に構成され、小さな寸法を有し、この結果、この診断リフレクタ10は各々任意の箇所に、有利には背もたれ4又は腰を下ろす平面3の端面領域に、ヘッドレスト5に又は車内シート2の縁部側に配置されうる。
【0042】
信号はトランシーバ9と診断リフレクタ10との間でダイレクトに往復伝送されるので、伝搬時間測定によってシート2の精確な位置が決定される。信号は人体を貫通する際には強く減衰されるので、人1の前方にずれた位置の識別のために回折効果が利用される。信号/放射の回折によって常に信号のごく僅かな一部分が少し減衰されてリフレクタ6に到達する。反射される信号の強度に基づいて人1の傾斜角度又は前方へずれがもとめられる。
【0043】
これらの位置情報は自動車内の他のシステムにも提供されうる。このような他のシステムは例えばエアバッグシステム、ユーザの個々の調整に合わせるシート位置調整システム、ミラー位置調整システム等々である。
【0044】
セミパッシブバックスキャッタが使用される場合、診断リフレクタ10を含むリフレクタ6によってほんの僅かな電流(1μAより小さい)しか消費されない。診断時間も非常に短く、例えばミリ秒領域である。これらの診断リフレクタ10によって、診断とノーマル動作すなわちシート2上の人1の位置の識別との同時動作が可能である。というのも、固有の符号又はリフレクタ6とトランシーバ9との間の(基準値として)予め定められた信号伝搬時間に基づいて、診断リフレクタ10により反射される高周波信号は一意的にそのようなものとして識別され、相応に評価に使用されるからである。
【0045】
有利には高周波信号は2.4GHzのキャリア周波数によって送信される。自明のことながら、高周波領域の他の周波数(433MHz又は868MHz)又はマイクロ波領域の他の周波数(24GHz)も使用でき、人間に無害な強度で送信される。
【0046】
高周波送信器及び高周波受信器は必ずしも1つの箇所又は共通なハウジング内に配置される必要はない。重要なことは、高周波受信器が反射された高周波信号を受信し、これを内部評価ユニットに転送し、この内部評価ユニットが次いで装置の診断又は車内シート2上の人1の位置の検出を行うことである。
【0047】
リフレクタ6の代わりに、着座位置の識別のために又は診断のために単一方向性伝送だけを使用することもできる。この場合、高周波送信器12か又は高周波受信器13かのいずれかがシート2内に存在し、対となるもう片方が車両側に配置され、ノーマルな場合には伝送路がシート2を占有している物体を貫通する。診断送信器又は診断受信器はこの場合、縁部側に配置され、伝送路はノーマルな場合にはフリーである。信号評価によってこれらの装置はリフレクタ6及び診断リフレクタ10を有する装置のように精確に機能する。
【0048】
診断とは例えば停電又はシート側のコンポーネントにおける断線のようなエラーの識別である。装置が申し分なく作動している場合にのみ、評価された結果が相応の制御目的のためにさらに別に使用される。
【0049】
本発明の装置においては、伝送される信号はシート2上の物体を貫通して減衰されて又は減衰されずに高周波送信器12から高周波受信器に(そして場合によってはリフレクタ6の影響を受けて)伝送され、伝送される信号内に含まれる符号及び/又は信号伝搬時間及び/又は場合によってはその信号強度に関して評価される。これによって人1又は場所をとるオブジェクトをシート2(有利には自動車の前の座席)上に識別することが可能である。シートの縁部側に配置されたエレメント(診断リフレクタ10又は高周波送信器12/高周波受信器13)を用いて、装置の診断が実施される。なぜなら、これらによって信号伝搬時間、符号又はこの高周波送信器から送信される信号の強度が診断なしの信号に比べて変化するからである。
【0050】
シート2内のリフレクタ6又は送信器又は受信器の位置は、(シート2上の人が識別されるために)トランシーバ9とリフレクタ6との間の乃至は送信器と受信器との間の高周波信号伝送路ができるだけシート2上に存在する人1の体によって遮蔽されるように選択される。これに対して、診断リフレクタ10は、高周波信号伝送路ができるかぎりフリーであるようにシート2内に位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の装置を有する車内シート上にある位置を有する車内シートの側面図を示す。
【図2】図1の装置を有する車内シートの平面図を示す。
【符号の説明】
【0052】
1 人
2 シート
3 シートの腰を下ろす平面
4 背もたれ
5 ヘッドレスト
6 リフレクタ
7 計器盤
8 天井
9 トランシーバ
10 診断リフレクタ
11 スイッチ
12 高周波送信器
13 高周波受信器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のシート上の人の位置を識別するための装置において、該装置は、
少なくとも1つの高周波送信器を有し、該高周波送信器は車内客席に配置されており、高周波信号を送信し、
1つ又は複数のリフレクタ(6)を有し、該リフレクタ(6)は車内シート(2)の中に配置されており、前記リフレクタ(6)は高周波信号を反射し、
1つ又は複数の診断リフレクタ(10)を有し、該診断リフレクタ(10)は前記リフレクタ(6)と前記装置の診断の目的のために接続可能であり、
高周波受信器を有し、該高周波受信器は高周波信号を受信し、送信と受信との間の信号伝搬時間から及び/又は受信された高周波信号に含まれる信号の符号から前記装置の診断を行う、自動車のシート上の人の位置を識別するための装置。
【請求項2】
診断リフレクタ(10)は、シート(2)の縁部に配置されており、送信器とリフレクタ(6)と受信器との間に大きく減衰されないコネクションが存在し、前記診断リフレクタ(10)はワイヤレスで又はワイヤ接続で接続されていることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
高周波送信器及び高周波受信器は共通のハウジング内に配置されており、トランシーバ(9)を形成し、該トランシーバ(9)は同時にアクセスコントロール及び車両スタートシステムのためのトランシーバ(9)を形成することを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項4】
診断リフレクタ(10)は背もたれ(4)の端面に、車両シート(2)の腰を下ろす平面(3)の端面に、又は、ヘッドレスト(5)の側面に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項5】
診断リフレクタ(10)は変調リフレクタ(6)であり、該変調リフレクタ(6)は受信した信号を符号によって変調して返信することを特徴とする、請求項1〜4のうちの1項記載の装置。
【請求項6】
受信器はエアバッグシステムの部分であり、これによってエアバッグのトリガは車内シート(2)上の人(1)の識別された位置に依存することを特徴とする、請求項1〜5のうちの1項記載の装置。
【請求項7】
自動車のシート上の人の位置を識別するための装置において、該装置は、
少なくとも1つの高周波送信器(12)及び少なくとも1つの高周波受信器(13)を有し、前記高周波送信器(12)は車内客席空間内に及び前記高周波受信器(13)はシート(2)内に又はその逆に配置されており、前記高周波送信器(12)は高周波信号を送信し、該高周波信号は前記高周波受信器(13)によって送信と受信との間の信号伝搬時間に関して及び/又は受信された高周波信号に含まれる信号の符号から評価され、
1つ又は複数の診断送信器又は受信器を有し、該診断送信器又は受信器は、前記装置の診断を行うために前記高周波送信器(12)又は高周波受信器(13)と接続されている、自動車のシート上の人の位置を識別するための装置。
【請求項8】
シート側の診断送信器又は診断受信器はシート(2)の縁部側に配置されており、大きく減衰されないダイレクトな通信コネクションが送信器と受信器との間に存在し、
さらに、高周波送信器(12)又は高周波受信器(13)は車両側に及び高周波送信器(12)又は高周波受信器(13)はシート側に配置されており、通信コネクションが人体によって減衰されることを特徴とする、請求項7記載の装置。
【請求項9】
自動車のシート上の人の位置を識別するための方法において、
高周波送信器によって信号が送信され、これらが直接的に又は間接的にリフレクタ(6)によって反射されて高周波受信器によって受信され、
受信された信号から信号伝搬時間及び/又は信号に含まれる符号及び/又は受信された強度に基づいてシート(2)上の人(1)が識別され、
信号伝搬時間、受信された信号強度及び/又は受信される符号化の検出及び評価による人の識別と同時に、シート側の高周波送信器、高周波受信器又はリフレクタ(6)の診断が行われる、自動車のシート上の人の位置を識別するための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2006−504975(P2006−504975A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552368(P2004−552368)
【出願日】平成15年10月17日(2003.10.17)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003454
【国際公開番号】WO2004/045913
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】