説明

自動車のボンネット前縁シール

【課題】外観の見栄えとシール性の両方に優れた自動車のボンネット前縁シールを提供する。
【解決手段】自動車のボンネット蓋1の先端部下面に取付けられ、ボンネット蓋1に組付けられる基部11と、ヘッドランプ2またはフロントグリル3の上面に弾接して、その間の隙間Gをシールする中空シール部12とで構成する。中空シール部12の前端部で、隙間Gを通して外から視覚される部分を、当該中空シール部12の他の部分である一般部12cよりも肉厚な厚肉部12aとする。また、厚肉部12aの直下に隣接して、一般部12cより肉薄のノッチ部12bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のボンネット蓋とヘッドランプまたは/およびフロントグリルとの間をシールするボンネット前縁シールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図1および図2を参照して説明する。自動車のボンネット蓋1の先端部下面には、当該ボンネット蓋1とヘッドランプ2またはフロントグリルとの間の隙間Gをシールするボンネット前縁シール20が取付けられている。このボンネット前縁シール20は、ボンネット蓋1に組付く部分である基部21と、ヘッドランプ2等に弾接する部分である中空シール部22とで構成されている。
【0003】
当該ボンネット前縁シール20は、シール性を確保するためのものであるが、デザイン性を考慮して、外から視覚させることも多い。しかし、ボンネット蓋1やボンネット前縁シール20等の建付け製造等にバラツキがあると、中空シール部22が隙間Gから外にはみ出して突出部22aを形成したり、また、その縦幅がその全長にわたって外から同一幅に視覚されないなど、外観の見栄えが悪化するといった問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした問題を解決するために中空シール部22とヘッドランプ2またはフロントグリル3とのラップ幅を小さく設定することが考えられるが、そうすると中空シール部22とヘッドランプ2等との弾接力が弱くなり、シール性が低下するといった新たな問題が発生する。
【0005】
本発明はこうした問題に鑑み創案されたもので、外観の見栄えとシール性の両方に優れた自動車のボンネット前縁シールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
図1および図3を参照して説明する。請求項1に記載の自動車のボンネット前縁シール10は、自動車のボンネット蓋1の先端部下面に取付けられ、前記ボンネット蓋1に組付けられる基部11と、ヘッドランプ2またはフロントグリル3の上面に弾接して、その間の隙間Gをシールする中空シール部12とからなるものであって、前記中空シール部12の前端部で、前記隙間Gを通して外から視覚される部分を、該中空シール部12の他の部分である一般部12cよりも肉厚な厚肉部12aとし、前記厚肉部12aの直下に隣接して、前記一般部12cより肉薄のノッチ部12bを形成してなるものである。
【0007】
請求項2に記載の自動車のボンネット前縁シール10は、自動車のボンネット蓋1の先端部下面に取付けられ、前記ボンネット蓋1に組付けられる基部11と、ヘッドランプ2またはフロントグリル3の上面に弾接して、その間の隙間Gをシールする中空シール部12とからなるものであって、前記中空シール部12の前端部で、前記隙間Gを通して外から視覚される部分を、該中空シール部12の他の部分である一般部12cよりも肉厚な厚肉部12aとし、前記厚肉部12aの直下に隣接して、前記一般部12cより肉薄のノッチ部12bを形成し、かつ、前記中空シール部12を略三角形状に形成し、その後端部分を前記ヘッドランプ2またはフロントグリル3に強く弾接させてなるものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の発明は、中空シール部12の前端部で、ボンネット蓋1とヘッドランプ2またはフロントグリル3との間の隙間Gを通して外から視覚される部分に厚肉部12aを形成したので、当該厚肉部12aは他の一般部12cよりも剛性が大きく弾性変形し難い。従って、大きく弾性変形して隙間Gからはみ出すといったことがなく、また、その縦幅が全長にわたって一定(同一幅)に視覚され、外観の見栄えに優れる。
【0009】
また、厚肉部12aの直下に隣接して、一般部12cより肉薄のノッチ部12bを形成しているので、このノッチ部12bを支点としてその後方の一般部12cが容易に弾性変形する。従って、厚肉部12aは弾性変形することなく、その原形を維持することができ、外観の見栄えがさらに向上する。
【0010】
また、ノッチ部12bより後方の一般部12cがヘッドランプ2等に弾接して、良好なシールを確保することができる。
【0011】
これにより、ボンネット蓋1やボンネット前縁シール10等に建付けや製造等のバラツキが生じても、外観の見栄えとシール性の両方に優れたボンネット前縁シール10を提供することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明と同様に、外観の見栄えとシール性に優れると共に、中空シール部12を略三角形状に形成し、その後端部分をヘッドランプ2またはフロントグリル3に強く弾接させているので、シール性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に係る自動車のボンネット前縁シール10の実施形態を、図1および図3に示す。これは、自動車のボンネット蓋1の先端部下面に取付けられるもので、ボンネット蓋1にクリップ13によって組付けられる基部11と、ヘッドランプ2の上面に弾接して、ボンネット蓋1とヘッドランプ2との間に存在する隙間Gをシールする中空シール部12とで構成される。
【0014】
そして、中空シール部12の前端部で、隙間Gを通して外から視覚される部分を、当該中空シール部12の他の部分である一般部12cよりも肉厚な厚肉部12aとしている。また、厚肉部12aの直下に隣接して、一般部12cより肉薄のノッチ部12bを形成している。さらに、中空シール部12を略三角形状に形成し、その後端部分をヘッドランプ2の上面に強く弾接させている。
【0015】
本実施形態に係る自動車のボンネット前縁シール10は、中空シール部12の前端部で、ボンネット蓋1とヘッドランプ2との間の隙間Gを通して外から視覚される部分を厚肉部12aとしたので、当該厚肉部12aは他の一般部12cよりも剛性が大きく弾性変形し難い。従って、このボンネット前縁シール10は、隙間Gからはみ出すことがなく、また、その縦幅が全長にわたって一定に視覚されるので外観の見栄えに優れる。
【0016】
また、厚肉部12aの直下に隣接して、一般部12cより肉薄のノッチ部12bを形成したので、当該ノッチ部12bを支点としてその後方の一般部12cが容易に弾性変形する。これにより、厚肉部12aはさらに弾性変形し難く、よって、外観の見栄えがより優れたものとなる。
【0017】
さらに、ノッチ部12bより後方の一般部12cがヘッドランプ2等に弾接して、良好なシールを確保することができる。特に、本実施形態では、中空シール部12を略三角形状に形成し、その後端部分をヘッドランプ2に強く弾接させるので、外観の見栄えを良好に維持することができると同時に良好なシール性を確保することができる。
【0018】
なお、本実施形態では、ボンネット前縁シール10の全体をスポンジゴムで形成し、また、厚肉部12aを一般部12cの約1.4倍、ノッチ部12bを一般部12cの約0.7倍に設定している。これにより、ボンネット蓋1やボンネット前縁シール10等に建付けや製造等のバラツキが生じても、厚肉部12aの弾性変形を抑えて外観の見栄えを良好に維持することができると共に、ノッチより後方の一般部12cのヘッドランプ2に対する弾接を十分なものとして、良好なシール性を確保することができる。
【0019】
なお、本発明に係るボンネット前縁シール10は、ボンネット蓋1とヘッドランプ2との間のみならず、ボンネット蓋1とフロントグリル3との間、あるいはボンネット蓋1とヘッドランプ2およびフロントグリル3との間の隙間Gをシールすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ボンネット前縁シールが取付けられる自動車を示す斜視図である。
【図2】従来例に係るボンネット前縁シールを示すもので、図1のZ−Z線断面図である。
【図3】本発明に係るボンネット前縁シールを示すもので、図1のZ−Z線断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 ボンネット蓋
2 ヘッドランプ
3 フロントグリル
10 ボンネット前縁シール
11 基部
12 中空シール部
12a 厚肉部
12b ノッチ部
12c 一般部
13 クリップ
20 ボンネット前縁シール
21 基部
22 中空シール部
22a 突出部
G 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車のボンネット蓋(1)の先端部下面に取付けられ,前記ボンネット蓋に組付けられる基部(11)と,ヘッドランプ(2)またはフロントグリル(3)の上面に弾接して,その間の隙間(G)をシールする中空シール部(12)とからなるボンネット前縁シールであって、前記中空シール部の前端部で,前記隙間を通して外から視覚される部分を,該中空シール部の他の部分である一般部(12c)よりも肉厚な厚肉部(12a)とし、前記厚肉部の直下に隣接して,前記一般部より肉薄のノッチ部(12b)を形成してなる自動車のボンネット前縁シール。
【請求項2】
自動車のボンネット蓋(1)の先端部下面に取付けられ,前記ボンネット蓋に組付けられる基部(11)と,ヘッドランプ(2)またはフロントグリル(3)の上面に弾接して,その間の隙間(G)をシールする中空シール部(12)とからなるボンネット前縁シールであって、前記中空シール部の前端部で,前記隙間を通して外から視覚される部分を,該中空シール部の他の部分である一般部(12c)よりも肉厚な厚肉部(12a)とし、前記厚肉部の直下に隣接して,前記一般部より肉薄のノッチ部(12b)を形成し、かつ,前記中空シール部を略三角形状に形成し,その後端部分を前記ヘッドランプまたはフロントグリルに強く弾接させてなる自動車のボンネット前縁シール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−224698(P2006−224698A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37369(P2005−37369)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】