説明

自動車の前部構造

【課題】カウルフロントメンバ側部の剛性を向上させつつ、共振に起因するカウルフロントメンバの振動を低減させる自動車の前部構造を提供する。
【解決手段】エンジンルーム1車室2とを仕切るダッシュパネル5と、ダッシュパネル5から前方に向けて延び、前部の両側部がサスペンションタワーに取付けられるカウルフロントメンバ11と、後端23aがフロントガラス9に支持され、前端がカウルフロントメンバ11前部に取付けられたカウルグリル23と、を備えたものであって、カウルフロントメンバ11の中央部近傍にダイナミックダンパ30を取付けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るダッシュパネルと、このダッシュパネルから前方に延びるカウルフロントメンバと、前端がカウルフロントメンバ前部に取付けられ、後端がフロントガラスに支持されたカウルグリルとを備えたような自動車の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述例の自動車の前部構造としては、特許文献1に開示された構造がある。
すなわち、エンジンルームとその後方の車室とを仕切るダッシュパネルを設け、このダッシュパネルから前方に向けて延びる、カウルフロントメンバを設けて、該カウルフロントメンバの前部の左右両側部をサスペンションタワーに取付ける一方、カウルグリルの後端をフロントガラスに支持させると共に、カウルグリルの前端を上述のカウルフロントメンバの前部に取付けた自動車の前部構造である。
【0003】
この従来構造によれば、車幅方向に延びるカウルフロントメンバの左右両側部をサスペンションタワーに取付けているので、車体剛性の向上を図ることができる利点がある。
【0004】
しかしながら、上述のカウルフロントメンバはその左右両側部がサスペンションタワーに取付けられているものの、該カウルフロントメンバの中間部前側下面は支持されていないので、次のような問題点が発生する。
【0005】
つまり、フロントサイドフレームの上面とサスペンションタワーとに跨ってエンジンマウントを設けた場合、車両走行時にエンジンの振動がエンジンマウントおよびサスペンションタワーを介してカウルフロントメンバに伝達される。カウルフロントメンバは上記構造により特定周波数で共振点をもっているので、このカウルフロントメンバが共振し、その振動がカウルパネルを介してフロントガラスに伝達されると共に、カウルグリルを介してフロントガラスに伝達され、このフロントガラスが振動する問題点があった。
【特許文献1】特開2006−182197号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、前部両側部がサスペンションタワーに取付けられたカウルフロントメンバの中央部近傍にダイナミックダンパを取付けることで、カウルフロントメンバ側部の剛性を向上させつつ、共振に起因するカウルフロントメンバの振動を低減させることができる自動車の前部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による自動車の前部構造は、エンジンルームとその後方の車室とを仕切るダッシュパネルと、該ダッシュパネルから前方に向けて延びると共に、前部の両側部がサスペンションタワーに取付けられるカウルフロントメンバと、後端がフロントガラスに支持されると共に、前端が上記カウルフロントメンバ前部に取付けられたカウルグリルと、を備えた自動車の前部構造であって、上記カウルフロントメンバの中央部近傍にダイナミックダンパを取付けたものである。
【0008】
上記構成によれば、カウルフロントメンバの前部の両側部はサスペンショタワーに取付けられているので、このカウルフロントメンバ側部の剛性向上を図ることができる。
【0009】
しかも、該カウルフロントメンバの中央部近傍にはダイナミックダンパを取付けたので、エンジン振動等が該カウルフロントメンバに伝達されて、特定周波数の共振点においてカウルフロントメンバが共振により振動しようとするのを、ダイナミックダンパの減衰作用にて低減させることができ、延いては、フロントガラスの振動をも低減させることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記カウルグリルは、前部に縦壁部を備え、該縦壁部の下端を上記カウルフロントメンバの前部に取付ける構造であって、上記ダイナミックダンパは上記カウルグリルの縦壁部より低い位置に配設されたものである。
【0011】
上記構成によれば、ダイナミックダンパを、カウルグリルの縦壁部よりも低位置に配設したので、歩行者保護に対する悪影響を防止することができる。
【0012】
つまり、車両が歩行者と軽衝突した時、車両が備えている既存の足払い部材にて歩行者の足を払って、当該歩行者の上体をボンネット乃至カウルグリルの上部に傾倒させるようになっており、歩行者の上体がボンネット乃至カウルグリル上部に傾倒すると、ボンネット及びカウルグリルは下方に変形し、特に歩行者の頭部によりカウルグリルが下方に変形移動した時、ダイナミックダンパの位置が上述のカウルグリルの縦壁部よりも低い位置に存在するので、歩行者保護に対する悪影響を防止することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記カウルグリルの縦壁部の下端と、上記カウルフロントメンバの前部とに、それぞれ水平フランジ部を形成して、両フランジ部がフランジ締結される構造であって、上記ダイナミックダンパをカウルフロントメンバの水平フランジ部に取付けたものである。
【0014】
上記構成によれば、カウルフロントメンバの水平フランジ部に対してダイナミックダンパを取付けるので、このダイナミックダンパの組付け性(特に、後付けによる組付け性)の向上を図ることができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記ダイナミックダンパが、取付けブラケットと、錘と、これら両者間に介在される弾性体と、から構成され、上記取付けブラケットが上記カウルフロントメンバの水平フランジ部に締結される平面部と、該平面部の後端から下方に延びて上記弾性体が固定される縦面部と、を備えたものである。
【0016】
上記構成によれば、取付けブランケットは平面部と縦面部とを備えており、この平面部をカウルフロントメンバの水平フランジ部に締結するので、ダイナミックダンパの組付け性向上を図ることができる。しかも、上述の縦面部は平面部の後端から下方に延びており、この平面部よりも下方位置の縦面部に弾性体を介して錘を設けるので、この錘を下方に配設することができて、歩行者保護に対する悪影響を確実に防止することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記カウルフロントメンバの前部に、前端が該カウルフロントメンバの水平フランジ部に接合されて後方に延びる横壁部と、該横壁部の後端から下方に延びると共に、上記カウルフロントメンバの横壁部に接合される縦壁部と、から構成され、上記カウルフロントメンバとの間で閉断面を形成するカウルフロントクロスメンバを備え、上記ダイナミックダンパを上記カウルフロントクロスメンバの横壁部に取付けたものである。
【0018】
上記構成によれば、カウルフロントメンバとカウルフロントクロスメンバとで、これら両者間に車幅方向に延びる閉断面を形成したので、カウルフロントメンバ前部の剛性向上を図ることができ、また、上記閉断面を形成するカウルフロントクロスメンバの横壁部に対して、上述のダイナミックダンパを取付けるので、該ダイナミックダンパ取付け部の形成が容易になると共に、ダイナミックダンパの取付け剛性の向上を図ることができる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、右ハンドル車両と左ハンドル車両の設定が可能な自動車において、上記カウルフロントメンバが右ハンドル車両と左ハンドル車両とで共通であり、ワイパを支持するワイパ支持ブラケットが右ハンドル車両と左ハンドル車両とで上記カウルフロントメンバの中央から車幅方向の一方側と他方側との何れか一方にずれた位置の取付け部に取付けられ、上記ダイナミックダンパは何れか他方の残った取付け部に上記取付けブラケットを介して取付けられるものである。
【0020】
上記構成によれば、ワイパ支持ブラケットの取付け部と、ダイナミックダンパの取付けブラケットの取付け部とを備えた右ハンドル車両と左ハンドル車両とで共通なカウルフロントメンバを加工すればよいので、右ハンドル車両と左ハンドル車両とでそれぞれ別々にカウルフロントメンバを加工する必要がなく、この結果、ダイナミックダンパ専用の取付け部の形成が不要となって、カウルフロントメンバの加工性向上を図ることができる。
【0021】
詳しくは、右ハンドル車両においては、カウルフロントメンバの中央から車幅方向の右側にずれた位置の取付け部にワイパ支持ブラケットを取付け、残った取付け部すなわち左側にずれた位置の取付け部にダイナミックダンパの取付けブラケットを取付ける。
【0022】
左ハンドル車両においては、カウルフロントメンバの中央から車幅方向の左側にずれた位置の取付け部にワイパ支持ブラケットを取付け、残った取付け部すなわち、右側にずれた位置の取付け部にダイナミックダンパの取付けブラケットを取付ける。
【0023】
このように構成することで、ダイナミックダンパ専用の取付け部の形成が不要となり、カウルフロントメンバの加工性が向上するものである。
【0024】
この発明の一実施態様においては、上記一方側の取付け部は左右に離間する一対の取付け孔で形成され、上記他方側の取付け部は上記一対の取付け孔の離間ピッチに等しい左右に離間する一対の取付け孔で形成され、上記ダイナミックダンパの取付けブラケットと、ワイパ支持ブラケットとの両者には上記一対の取付け孔の離間ピッチに等しい一対の取付け孔が形成されたものである。
【0025】
上記構成によれば、一方側の取付け部と、他方側の取付け部と、ダイナミックダンパ用の取付けブラケットと、ワイパ支持ブラケットとにそれぞれ形成される一対の取付け孔の離間ピッチを、それぞれ等しく形成したので、ダイナミックダンパの取付けブラケットとワイパ支持ブラケットとの取付け位置を選択するのみで、右ハンドル車両と左ハンドル車両とを容易に設定することができる。
【0026】
この発明の一実施態様においては、上記カウルフロントメンバ前部に接合され、該カウルフロントメンバとの間で車幅方向に延びる閉断面を形成するカウルフロントクロスメンバを備え、上記ダイナミックダンパを上記閉断面内に配設したものである。
【0027】
上記構成によれば、ダイナミックダンパを閉断面内に配設したので、歩行者保護に対する悪影響の確実な防止と、カウルボックスに配設される他の車両部品への悪影響(レイアウトの制約やサービス作業性の悪化など)を防止することができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、前部両側部がサスペンションタワーに取付けられたカウルフロントメンバの中央部近傍にダイナミックダンパを取付けたので、カウルフロントメンバ側部の剛性を向上させつつ、共振に起因するカウルフロントメンバの振動を低減させることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
カウルフロントメンバ側部の剛性を向上させつつ、共振に起因する該カウルフロントメンバの振動を低減させるという目的を、エンジンルームとその後方の車室とを仕切るダッシュパネルと、該ダッシュパネルから前方に向けて延びると共に、前部の両側部がサスペンションタワーに取付けられるカウルフロントメンバと、後端がフロントガラスに支持されると共に、前端が上記カウルフロントメンバ前部に取付けられたカウルグリルと、を備えた自動車の前部構造において、上記カウルフロントメンバの中央部近傍にダイナミックダンパを取付けるという構成にて実現した。
【実施例】
【0030】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図1は自動車の前部構造を示す斜視図、図2は図1の要部を拡大して示す斜視図、図3は図2のA−A線矢視断面図、図4は図2のB−B線矢視断面図、図5は図2のC−C線矢視断面図である。また、この実施例の自動車の前部構造は左右ほぼ対称に構成されている。
【0031】
図1〜図5において、エンジンルーム1とその後方の車室2とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル3を設け、図3に示すように、このダッシュロアパネル3の上端折曲部3aにはダッシュアッパパネル4を接合固定し、このダッシュアッパパネル4とダッシュロアパネル3の両者とで、ダッシュパネル5を構成している。
【0032】
図1〜図7(但し、図6はカウルボックスの斜視図、図7はカウルボックスの分解斜視図)に示すように、上述のダッシュアッパパネル4は車幅方向に延びるパネルであって、このダッシュアッパパネル4の車幅方向両端部を除く中間部は、図3、図7に示すように、下端折曲部4aと、縦壁部4bと、上端折曲部4cとを備えると共に、ダッシュアッパパネル4の車幅方向の左右両側部には、図4、図5、図7に示すように、上記格要素4a,4b,4cに加えて、上記下端折曲部4aからさらに前方に延びる延出部4dと、この延出部4dの前端から斜め前方かつ上方に延びる延長部4eと、を備えている。
図4、図5に示すように、上述のダッシュアッパパネル4の延長部4eは、サスペンションタワー10(以下単にサスタワーと省略する)の後壁部10aに接合固定されている。
【0033】
図3、図4、図5に示すように、ダッシュアッパパネル4の下端折曲部4aと、ダッシュアッパパネル4の上端折曲部4cとの間には断面略逆L字状で、かつ車幅方向に延びるカウルパネル6を接合固定し、このカウルパネル6とダッシュアッパパネル4との間には車幅方向に延びる閉断面7を形成している。
【0034】
また、上述のカウルパネル6のフロントガラス支持部6aには、差込みピン8および、接着剤(図示せず)を介してフロントガラス9の下端部を支持させている。
【0035】
図3に示すように、ダッシュロアパネル3から前方に向けて延びるカウルフロントメンバ11を設けている。このカウルフロントメンバ11は図3、図7に示すように、ダッシュロアパネル3の上端折曲部3aの対応部位から前方に向けて延びる横壁部11a(いわゆる底壁部)と、この横壁部11aの前端から上方に向けて延びる縦壁部11bと、この縦壁部11bの上端から前方に延びる水平フランジ部11cと、を一体に形成した車幅方向に延びるメンバであって、このカウルフロントメンバ11の前部の両側部すなわち、水平フランジ部11cの左右両側部は、図4、図5に示すように、補助部材12を介してサスタワー10に取付けられている。ここで、上述の補強部材12はサスタワー10の上壁部10bから後壁部10aに跨がって接合されたものである。
【0036】
図3に示すように、上述のカウルフロントメンバ11の前部には、断面略逆L字状で、かつ車幅方向に延びるカウルフロントクロスメンバ13を設け、上述のカウルフロントメンバ11と、このカウルフロントクロスメンバ13との間には、車幅方向に延びる閉断面14を形成している。
【0037】
このカウルフロントクロスメンバ13は、図3、図4、図5、図7に示すように、その前端が上述のカウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cに接合されて後方に延びる横壁部13aと、この横壁部13aの後端から下方に延びると共に、カウルフロントメンバ11の横壁部11aに接合される縦壁部13bとを備えている。この実施例では、カウルフロントクロスメンバ13の上述の縦壁部13b下端から後方に延びる接合フランジ部13bを一体形成し、この接合フランジ部13cを上述のカウルフロントメンバ11の横壁部11a上面に接合固定して、カウルフロントメンバ11と、カウルフロントクロスメンバ13との間に上述の閉断面14を形成している。
【0038】
図6、図7はカウルボックス15の斜視図であって、このカウルボックス15は、上述のダッシュアッパパネル4と、カウルパネル6と、カウルフロントメンバ11と、カウルフロントクロスメンバ13とを備えると共に、カウルボックス15の左右両側において、その前後両端を連結する左右のサイドブラケット16,16とを備えている。つまり、カウルボックス15は上記各要素4,6,11,13,16により、図6に示すように上方が開放された所謂オープンカウル構造の略樋形状のボックス体で構成されたものである。
【0039】
図4に示すように、ダッシュアッパパネル4の延出部4dと対応して、サスタワー10の後壁部10aには、補強部材17が設けられており、この補強部材17に対して、ボルト18、ナット19等の取付け部材を用いて、カウルフロントメンバ11とダッシュアッパパネル4とが、詳しくは、カウルフロントメンバ11の横壁部11aとダッシュアッパパネル4の延出部4dとが共締め固定されている。
【0040】
図6、図7で示したサイドブラッケット16の前端部16aは、サスタワー10の後壁部10aに位置するものであって、図5に示すように、上述の補強部材12に対して、ボルト20、ナット21等の取付け部材を用いて、カウルフロントクロスメンバ13の横壁部13aと、カウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cと、サイドブラケット16の前端部16aとが共締め固定されている。
【0041】
なお、図3、図4、に示すように、カウルフロントメンバ11の後端部下側と対向する部材(図3のカウルパネル6、図4のダッシュアッパパネル4の延出部4d参照)との間には、雨水等の侵入を防止するシール部材22が設けられている。
【0042】
ところで、図3、図4、図5に示すように、後端23aがフロントガラス9の下部と面に支持されると共に、前端が上述のカウルフロントメンバ11の前部に取付けられたカウルグリル23を設けている。
【0043】
このカウルグリル23は、オープンカウル構造のカウルボックス15の上方開口部を、外気導入可能に覆う合成樹脂製のグリルであって、このカウルグリル23は、その前部に縦壁部23bを備え、この縦壁部23bの下端をカウルフロントメンバ11の前部に取付けるように構成している。
【0044】
上述のカウルグリル23の縦壁部23bの下端には、該下端から、前方に延びる水平フランジ部23cが一体形成されており、図3に示すように、カウルフロントクロスメンバ11の横壁部13aを介して、カウルグリル23の水平フランジ部23cと、カウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cとの両者が、フランジ締結されている。この実施例では、上記各要素23c,13a,11cの三者がフランジ締結されている。
【0045】
一方、図1、図2、に示すように、サスタワー10の内側下部はフロントサイドフレーム24に接合固定されている。このフロントサイドフレーム24はエンジンルーム1の左右両サイドにおいて車両の前後方向に延びる車体剛性部材であって、左右一対のフロントサイドフレーム24の後端には、フロアパネルの下部に設けられたフロアフレーム(図示せず)が前後方向に連続するように配設される。
【0046】
また、図1に示すように、サスタワー10の外側上部にはエプロンレインフォースメント25が接合固定されている。
【0047】
さらに、図1、図2に示すように、上述のエプロンレインフォースメント25と前後方向に連結して、該エプロンレインフォースメント25と、ヒンジピラー26とを前後方向に連結するカウルサイドパネル27を設けている。
【0048】
このカウルサイドパネル27は、カウルサイドパネルアウタと、カウルサイドパネルインナとを接合固定して、前後方向に延びる閉断面を備えた車体剛性部材である。
【0049】
また、この実施例においては、図1に示すように、フロントサイドフレーム24の上面と、サスタワー10の車両前方側のホイールアーチ10cとの間に跨がって、エンジンマウント28を取付け、このエンジンマウント28を介して、エンジン(図示せず)をマウント支持すべく構成している。
【0050】
このように、フロントサイドフレーム24とサスタワー10との両者に跨がって、エンジンマウント28を取付けると、車両走行時において、エンジン振動が、エンジンマウント28、サスタワー10を介してカウルフロントメンバ11に伝達され、このカウルフロントメンバ11が特定周波数の共振点において共振し、振動するので、このような振動を減衰させる目的で、カウルフロントメンバ11の中央部近傍には、図1〜図3、図8に示すように、ダイナミックダンパ30を取付けている。
【0051】
図8は、カウルフロントメンバ11とカウルフロントクロスメンバ13とを組み合わせた状態において自動車の前部構造の要部を、車両後方かつ上方から見た状態で示す斜視図、図9は図8の要部の拡大斜視図、図10はダイナミックダンパ30の錘32を省略した状態で示す斜視図である。
【0052】
図3、図9、図10に示すように、上述のダイナミックダンパ30は、取付けブラケット31と、錘32とこれら両者31,32間に介在される左右一対の弾性体33,33とから構成されている。ここで、該弾性体33,33はラバー等により構成される。
【0053】
また、上述の取付けブラケット31は、カウルフロントクロスメンバ13の横壁部13aを介して、カウルフロントメンバ11の水平のフランジ部11cに締結される平面部31aと、この平面部31aの後端から下方に延びる縦面部31bと、この縦面部31bの左右の両端から後方に向けて一体に屈曲形成された左右一対の錘支持部31c,31cとを備え、この左右一対の錘支持部31c,31c間に上述の弾性体33,33を介して錘32を支持させたものである。
【0054】
さらに、図9、図10に示すように、上述の取付けブラケット31において、平面部31aと縦面部31bとのコーナ部の一部分には補強リブ34を一体形成して、該取付けブラケット31それ自体の剛性向上を図っている。
【0055】
しかも、上述のダイナミックダンパ30は、図3に示すようにカウルグリル23の縦壁部23bよりも低い位置に配設されている。
【0056】
すなわち、上述の取付けブラケット31の平面部31aを、ボルト35、ナット36等の取付け部材を用いて、カウルフロントクロスメンバ13の横壁部13aに取付け、この横壁部13aを介して、カウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cに取付け固定することにより、ダイナミックダンパ30の錘32が該水平フランジ部11cよりも低い位置となるように構成している。
【0057】
ところで、上述のカウルボックス15には、図1、図2に示すようにワイパ装置40が配設されている。このワイパ装置40は、ワイパモータ41と、左右のワイパリンク42,42と、左右のピボットアーム43,43と、左右のワイパピボット44,44と、左右のピボットホルダブラケット45,45と、連結フレーム46とを備えている。
【0058】
この実施例の自動車は右ハンドル車両と左ハンドル車両の設定が可能なものであって、図1、図2に示すように右ハンドル車両に設定する場合には、上述のワイパ装置40の右側のピボットホルダブラケット45を同側のサイドブラケット16に固定し、左側のピボットホルダブラケット45を、ワイパ装置40を支持するワイパ支持ブラケット47に固定する。
【0059】
図6、図7に示すように、カウルフロントメンバ11およびカウルフロントクロスメンバ13は、右ハンドル車両と左ハンドル車両とで共通して用いることができるように構成されており、上述のカウルフロントクロスメンバ13には、その車幅方向の中央から車幅方向の一方側と他方側とにずれた両位置に取付け部として左右に離間する一対の取付け孔50,50、および一対の取付け孔51,51がそれぞれ形成されている。
【0060】
上述の右方側にオフセットする一対の取付け孔50,50の離間ピッチと、左方側にオフセットする一対の取付け孔51,51の離間ピッチとは、互いに等しいピッチに形成されている。
【0061】
また、上述のダイナミックダンパ30における取付けブラケット31の平面部31aにも、左右に離間する一対の取付け孔52,52が形成され、上述のワイパ支持ブラケット47にも、左右に離間する一対の取付け孔53,53が形成されており、取付け孔52,52の離間ピッチ、および、取付け孔53,53の離間ピッチは、それぞれ上述の取付け孔50,50、取付け孔51,51の離間ピッチと等ピッチに形成されている。
【0062】
そして、図1、図2、に示すように右ハンドル車両に設定する場合は、ワイパ支持ブラケット47を図6、図7、に示す右方側の取付け孔50,50に対して、ボルト54、およびナット(図示せず)等の締結具を用いて取付け、ダイナミックダンパ30は残った取付け孔すなわち左方側の取付け孔51,51(図6、図7参照)に対して、ボルト35、ナット36等の締結具を用いて取付ける。
【0063】
一方、図11、図12に示すように左ハンドル車両に設定する場合には、ワイパ支持ブラケット47を図6、図7に示す左方側の取付け孔51,51に対して、ボルト54、およびナット(図示せず)等の締結具を用いて取付け、ダイナミックダンパ30は残った取付け孔すなわち右方側の取付け孔50,50(図6、図7参照)に対して、ボルト35、ナット36(図3参照)等の締結具を用いて取付ける。
【0064】
なお、図11、図12に示すように左ハンドル車両に設定する場合には、上述のワイパ装置40の左側のピボットホルダブラケット45を同側のサイドブラケット16に固定し、右側のピボットホルダブラケット45を、ワイパ装置40を支持するワイパ支持ブラケット47に固定すればよい。
【0065】
また、ワイパ支持ブラケット47の後部に対応して、図2、図6、図7、図12に示すように、カウルパネル6には、その車幅方向の中央から車幅方向の一方側と他方側とのずれた位置にそれぞれ取付け座6b,6cが形成されており、右ハンドル車両に設定する場合には、図2に示すように、ワイパ支持ブラケット47の後部を右側にオフセットする取付け座6bに固定し、左ハンドル車両に設定する場合には、図12に示すように、ワイパ支持ブラケット47の後部を左側にオフセットする取付け座6cに固定するものである。
【0066】
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示すものである。また、図11において、55はフロントピラーである。
【0067】
このように、上記実施例の自動車の前部構造は、エンジンルーム1とその後方の車室2とを仕切るダッシュパネル5と、該ダッシュパネル5から前方に向けて延びると共に、前部の両側図がサスタワー10に取付けられるカウルフロントメンバ11と、後端23aがフロントガラス9に支持されると共に、前端が上記カウルフロントメンバ11前部に取付けられたカウルグリル23と、を備えた自動車の前部構造があって、上記カウルフロントメンバ11の中央部近傍にダイナミックダンパ30を取付けたものである(図1、図3、図4参照)。
【0068】
この構成によれば、カウルフロントメンバ11の前部の両側部はサスタワー10に取付けられているので、このカウルフロントメンバ11側部の剛性向上を図ることができる。
【0069】
しかも、該カウルフロントメンバ11の中央部近傍にはダイナミックダンパ30を取付けたので、エンジン振動等が該カウルフロントメンバ11に伝達されて、特定周波数の共振点においてカウルフロントメンバ11が共振により振動しようとするのを、ダイナミックダンパ30の減衰作用にて低減させることができ、延いては、フロントガラス9の振動をも低減させることができる。
【0070】
また、上記カウルグリル23は、前部に縦壁部23bを備え、該縦壁部23bの下端を上記カウルフロントメンバ11の前部に取付ける構造であって、上記ダイナミックダンパ30は上記カウルグリル23の縦壁部23bより低い位置に配設されたものである(図3参照)。
【0071】
この構成によれば、ダイナミックダンパ30を、カウルグリル23の縦壁部23bよりも低位置に配設したので、歩行者保護に対する悪影響を防止することができる。
【0072】
つまり、車両が歩行者と軽衝突した時、車両が備えている既存の足払い部材にて歩行者の足を払って、当該歩行者の上体をボンネット乃至カウルグリル23の上部に傾倒させるようになっており、歩行者の上体がボンネット乃至カウルグリル23の上部に傾倒すると、ボンネットおよびカウルグリル23は下方に変形し、特に歩行者の頭部によりカウルグリル23が下方に変形移動した時、ダイナミックダンパ30の位置が上述のカウルグリル23の縦壁部23bよりも低い位置に存在するので、歩行者保護に対する悪影響を防止することができる。
【0073】
さらに、上記カウルグリル23の縦壁部23bの下端と、上記カウルフロントメンバ11の前部とにそれぞれ水平フランジ部23c,11cを形成して、両フランジ部23c,11cがフランジ締結される構造であって、上記ダイナミックダンパ30をカウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cに取付けたものである(図3参照)。
【0074】
この構成によれば、カウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cに対してダイナミックダンパ30を取付けるので、このダイナミックダンパ30の組付け性(特に、後付けによる組付け性)の向上を図ることができる。
【0075】
加えて、上記ダイナミックダンパ30が、取付けブラケット31と、錘32と、これら両者31,32間に介在される弾性体33と、から構成され、上記取付けブラケット31が上記カウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cに締結される平面部31aと、該平面部31aの後端から下方に延びて上記弾性体33が固定される縦面部31bと、を備えたものである(図3、図9参照)。
【0076】
この構成によれば、取付けブラケット31は平面部31aと縦面部31bとを備えており、この平面部31aをカウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cに締結するので、ダイナミックダンパ30の組付け性向上を図ることができる。しかも、上述の縦面部31bは平面部31aの後端から下方に延びており、この平面部31aよりも下方位置の縦面部31bに弾性体33を介して錘32を設けるので、この錘32を下方に配設することができて、歩行者保護に対する悪影響を確実に防止することができる。
【0077】
しかも、上記カウルフロントメンバ11の前部に、前端が該カウルフロントメンバ11の水平フランジ部11cに接合されて、後方に延びる横壁部13aと、該横壁部13aの後端から下方に延びると共に、上記カウルフロントメンバ11の横壁部11aに接合される縦壁部13bと、から構成され、上記カウルフロントメンバ11との間で閉断面14を形成するカウルフロントクロスメンバ13を備え、上記ダイナミックダンパ30を上記カウルフロントクロスメンバ13の横壁部13aに取付けたものである(図3参照)。
【0078】
この構成によれば、カウルフロントメンバ11とカウルフロントクロスメンバ13とで、これら両者11,13間に車幅方向に延びる閉断面14を形成したので、カウルフロントメンバ11前部の剛性向上を図ることができ、また、上記閉断面14を形成するカウルフロントメンバ13の横壁部13aに対して、上述のダイナミックダンパ30を取付けるので、該ダイナミックダンパ30取付け部の形成が容易になると共に、上記閉断面14により、ダイナミックダンパ30の取付け剛性の向上を図ることができる。
【0079】
また、右ハンドル車両と左ハンドル車両の設定が可能な自動車において、上記カウルフロントメンバ11が右ハンドル車両と左ハンドル車両とで共通であり、ワイパ(ワイパ装置40参照)を支持するワイパ支持ブラケット47が右ハンドル車両と左ハンドル車両とで上記カウルフロントメンバ11の中央から車幅方向の一方側と他方側との何れか一方にずれた位置の取付け部(取付け孔50,51の一方参照)に取付けられ、上記ダイナミックダンパ30は何れか他方の残った取付け部(取付け孔50,51の他方参照)に上記取付けブラケット31を介して取付けられるものである(図1、図11、図6参照)。
【0080】
この構成によれば、ワイパ支持ブラケット47の取付け部と、ダイナミックダンパ30の取付けブラケット31の取付け部とを備えた右ハンドル車両と左ハンドル車両とで共通なカウルフロントメンバ11を加工すればよいので、右ハンドル車両と左ハンドル車両とでそれぞれ別々にカウルフロントメンバ11を加工する必要がなく、この結果、ダイナミックダンパ30専用の取付け部の形成が不要となって、カウルフロントメンバ11の加工性向上を図ることができる。
【0081】
詳しくは、右ハンドル車両においては、図1に示すようにカウルフロントメンバ11の中央から車幅方向の右側にずれた位置の取付け部(取付け孔50参照)にワイパ支持ブラケット47を取付け、残った取付け部(取付け孔51参照)すなわち左側にずれた位置の取付け部(取付け孔51)にダイナミックダンパ30の取付けブラケット31を取付ける。
【0082】
左ハンドル車両においては、図11に示すようにカウルフロントメンバ11の中央から車幅方向の左側にずれた位置の取付け部(取付け孔51参照)にワイパ支持ブラケット47を取付け、残った取付け部(取付け孔50参照)すなわち、右側にずれた位置の取付け部(取付け孔50)にダイナミックダンパ30の取付けブラケット31取付ける。
【0083】
このように構成することで、ダイナミックダンパ30専用の取付け部の形成が不要となり、カウルフロントメンバ11の加工性が向上するものである。
【0084】
さらに、上記一方側の取付け部は左右に離間する一対の取付け孔50,50で形成され、上記他方側の取付け部は上記一対の取付け孔50,50の離間ピッチに等しい左右に離間する一対の取付け孔51,51で形成され、上記ダイナミックダンパ30の取付けブラケット31と、ワイパ支持ブラケット47との両者には上記一対の取付け孔50,50の離間ピッチに等しい一対の取付け孔52,52、53,53が形成されたものである(図7参照)。
【0085】
この構成によれば、一方側の取付け部と、他方側の取付け部と、ダイナミックダンパ30用の取付けブラケット31と、ワイパ支持のブラケット47とにそれぞれ形成される一対の取付け孔50,51,52,53の離間ピッチを、それぞれ等しく形成したので、ダイナミックダンパ30の取付けブラケット31とワイパ支持ブラケット47との取付け位置を選択するのみで、右ハンドル車両と左ハンドル車両とを容易に設定することができる。
【0086】
図13はダイナミックダンパ取付け構造の他の実施例を示し、図13に示すこの実施例においては、カウルフロントメンバ11とカウルフロントクロスメンバ13とを組付ける前に、カウルフロントクロスメンバ13の縦面部13bの前面に、ボルト35、ナット36等の取付け部材を用いて、ダイナミックダンパ30を取付けたものである。
【0087】
上述のダイナミックダンパ30は、取付けブラケット31と、錘32と、これら両者31,32間に介設される弾性体33とを備える一方、取付けブラケット31は、上下方向に指向する取付け片31dと、この取付け片31dの左右両端部から前方に向けて一体に屈曲形成された左右一対の錘支持片31e,31eとを有し、これら左右の錘支持片31e,31e間に、弾性体33,33を介して錘32を取付けたものであって、カウルフロントメンバ11とカウルフロントクロスメンバ13との組付け後においては、上記ダイナミックダンパ30が両者11,13間の閉断面14内に位置するように構成したものである。
【0088】
要するに、図13で示した実施例においては、上記カウルフロントメンバ11前部に接合され、該カウルフロントメンバ11との間で車幅方向に延びる閉断面14を形成するカウルフロントクロスメンバ13を備え、上記ダイナミックダンパ30を上記閉断面14内に配設したものである。
【0089】
この構成によれば、ダイナミックダンパ30を閉断面14内に配設したので、歩行者保護に対する悪影響の確実な防止と、カウルボックスに配設される他の車両部品への悪影響(レイアウトの制約やサービス作業性の悪化など)を防止することができる。
【0090】
また、取付けブラケット31の構造の簡素化を図ることもできる。なお、図13で示した実施例においても、その他の構成、作用、効果については先の実施例とほぼ同様であるから、図13において図3と同一の部分には、同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0091】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、この発明のサスペンションタワーは、実施例のサスタワー10に対応し、以下同様に、ワイパは、ワイパ装置40に対応し、カウルフロントメンバの一方側と他方側とに設けられた取付け部は、カウルフロントクロスメンバ13に設けられた取付け孔50,51に対応するも、この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の自動車の前部構造を示す斜視図
【図2】図1の要部拡大斜視図
【図3】図2のA−A線矢視断面図
【図4】図2のB−B線矢視断面図
【図5】図2のC−C線矢視断面図
【図6】カウルボックスの斜視図
【図7】カウルボックスの分解斜視図
【図8】カウルフロントメンバとカウルフロントクロスメンバとを組み合わせた状態の斜視図
【図9】図8の要部拡大斜視図
【図10】錘を省略して示すダイナミックダンパの斜視図
【図11】左ハンドル車両に設定する場合の斜視図
【図12】図11の要部拡大斜視図
【図13】ダイナミックダンパ取付け構造の他の実施例を示す側面図
【符号の説明】
【0093】
1…エンジンルーム
2…車室
5…ダッシュパネル
9…フロントガラス
10…サスタワー(サスペンションタワー)
11…カウルフロントメンバ
11a…横壁部
11c…水平フランジ部
13…カウルフロントクロスメンバ
13a…横壁部
13b…縦壁部
14…閉断面
23…カウルグリル
23a…後端
23b…縦壁部
23c…水平フランジ部
30…ダイナミックダンパ
31…取付けブラケット
31a…平面部
31b…縦面部
32…錘
33…弾性体
40…ワイパ装置(ワイパ)
47…ワイパ支持ブラケット
50,51…取付け孔(取付け部)
52,53…取付け孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームとその後方の車室とを仕切るダッシュパネルと、
該ダッシュパネルから前方に向けて延びると共に、全部の両側部がサスペンションタワーに取付けられるカウルフロントメンバと、
後端がフロントガラスに支持されると共に、前端が上記カウルフロントメンバ前部に取付けられたカウルグリルと、を備えた自動車の前部構造であって、
上記カウルフロントメンバの中央部近傍にダイナミックダンパを取付けたことを特徴とする
自動車の前部構造。
【請求項2】
上記カウルグリルは、前部に縦壁部を備え、該縦壁部の下端を上記カウルフロントメンバの前部に取付ける構造であって、
上記ダイナミックダンパは上記カウルグリルの縦壁部より低い位置に配設されたことを特徴とする
請求項1記載の自動車の前部構造。
【請求項3】
上記カウルグリルの縦壁部の下端と、上記カウルフロントメンバの前部とに、それぞれ水平フランジ部を形成して、両フランジ部がフランジ締結される構造であって、
上記ダイナミックダンパをカウルフロントメンバの水平フランジ部に取付けたことを特徴とする
請求項2記載の自動車の前部構造。
【請求項4】
上記ダイナミックダンパが、取付けブラケットと、錘と、これら両者間に介在される弾性体と、から構成され、
上記取付けブラケットが上記カウルフロントメンバの水平フランジ部に締結される平面部と、
該平面部の後端から下方に延びて上記弾性体が固定される縦面部と、を備えたことを特徴とする
請求項3記載の自動車の前部構造。
【請求項5】
上記カウルフロントメンバの前部に、前端が該カウルフロントメンバの水平フランジ部に接合されて後方に延びる横壁部、該横壁部の後端から下方に延びると共に、上記カウルフロントメンバの横壁部に接合される縦壁部と、から構成され、上記カウルフロントメンバとの間で閉断面を形成するカウルフロントクロスメンバを備え、
上記ダイナミックダンパを上記カウルフロントクロスメンバの横壁部に取付けたことを特徴とする
請求項3または4記載の自動車の前部構造。
【請求項6】
右ハンドル車両と左ハンドル車両の設定が可能な自動車において、
上記カウルフロントメンバが右ハンドル車両と左ハンドル車両とで共通であり、
ワイパを支持するワイパ支持ブラケットが右ハンドル車両と左ハンドル車両とで上記カウルフロントメンバの中央から車幅方向の一方側と他方側との何れか一方にずれた位置の取付け部に取付けられ、
上記ダイナミックダンパは何れか他方の残った取付け部に上記取付けブラケットを介して取付けられることを特徴とする
請求項4または5記載の自動車の前部構造。
【請求項7】
上記一方側の取付け部は左右に離間する一対の取付け孔で形成され、
上記他方側の取付け部は上記一対の取付け孔の離間ピッチに等しい左右に離間する一対の取付け孔で形成され、
上記ダイナミックダンパの取付けブラケットと、ワイパ支持ブラケットとの両者には上記一対の取付け孔の離間ピッチに等しい一対の取付け孔が形成された
請求項6記載の自動車の前部構造。
【請求項8】
上記カウルフロントメンバ前部に接合され、該カウルフロントメンバとの間で車幅方向に延びる閉断面を形成するカウルフロントクロスメンバを備え、
上記ダイナミックダンパを上記閉断面内に配設したことを特徴とする
請求項2記載の自動車の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−260331(P2008−260331A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102650(P2007−102650)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】