説明

自動車内装材用発泡シート

【課題】 本発明は、1000〜1600Hzの低周波数帯において優れた吸音性能を有する自動車内装材用発泡シートを提供する。
【解決手段】 本発明の自動車内装材用発泡シートAは、主として連続気泡から構成された連続気泡層11を含む熱可塑性樹脂発泡シート1の両面に熱可塑性樹脂シート2、2が積層一体化されてなり、上記熱可塑性樹脂シート2の表面2aから上記熱可塑性樹脂発泡シート1の連続気泡層11に達する穴部3が形成されている自動車内装材用発泡シートであって、上記熱可塑性樹脂シート2が無機充填材を10〜50重量%含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車天井材、ドア部材などの自動車内装材に用いられる自動車内装材用発泡シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から自動車内装材が種々、提案されており、このような自動車内装材としては、例えば、特許文献1に、主として連続気泡から構成された連続気泡層のみからなり且つ連続気泡率が50%以上である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの両面に変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートが積層一体化されてなり、上記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートの表面から変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート内に達する穴部が形成されている自動車内装材用発泡シートが提案されている。
【0003】
しかしながら、上記自動車内装材用発泡シートは、高周波数帯における吸音性に優れているものの、低周波数帯での吸音性が充分とはいえず、低周波数帯での吸音性が優れた自動車内装材が所望されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2005−88873号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、1000〜1600Hz程度の低周波数帯において優れた吸音性を有する自動車内装材用発泡シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の自動車内装材用発泡シートAは、主として連続気泡から構成された連続気泡層11を含む熱可塑性樹脂発泡シート1の両面に熱可塑性樹脂シート2が積層一体化されてなり、上記熱可塑性樹脂シート2の表面から上記熱可塑性樹脂発泡シート1の連続気泡層11に達する穴部3が形成されている自動車内装材用発泡シートであって、上記熱可塑性樹脂シート2が無機充填材を10〜50重量%含有することを特徴とする。
【0007】
上記熱可塑性樹脂発泡シート1を構成する熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−イタコン酸共重合体などの耐熱性ポリスチレン系樹脂;変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂などが挙げられ、耐熱性及び剛性に優れ、加工性及び製造が容易である点で変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましい。なお、熱可塑性樹脂は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
【0008】
上記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、特に限定されず、下記化1で表されるポリフェニレンエーテルとポリスチレン系樹脂との混合物、上記ポリフェニレンエーテルにスチレン系モノマーをグラフト共重合してなる変性ポリフェニレンエーテル、この変性ポリフェニレンエーテルとポリスチレン系樹脂との混合物、下記化2で表されるフェノール系モノマーとスチレン系モノマーとを銅(II) のアミン錯体などの触媒存在下で酸化重合させて得られるブロック共重合体、このブロック共重合体とポリスチレン系樹脂との混合物などが挙げられ、下記化1で表されるポリフェニレンエーテルとポリスチレン系樹脂との混合物が好ましい。なお、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂は単独で用いられても併用されてもよい。
【0009】
【化1】


(R1 、R2 は炭素数が1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示し、nは重合度を示す。)
【0010】
上記化1で表されるポリフェニレンエーテルとしては、例えば、ポリ(2、6−ジメチルフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2、6−ジエチルフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2、6−ジクロロフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2、6−ジブロモフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチルフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2−クロロ−6−メチルフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2−メチル−6−イソプロピルフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2、6−ジ−n−プロピルフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2−ブロモ−6−メチルフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2−クロロ−6−ブロモフェニレン−1、4−エーテル)、ポリ(2−クロロ−6−エチルフェニレン−1、4−エーテル)などが挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよく、又、上記重合度nは、通常、10〜5000のものが用いられる。
【0011】
【化2】


(R3 、R4 は炭素数が1〜4のアルキル基又はハロゲン原子を示す。)
【0012】
上記化2で表されるフェノール系モノマーとしては、例えば、2、6−ジメチルフェノール、2、6−ジエチルフェニノール、2、6−ジクロロフェノール、2、6−ジブロモフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2−クロロ−6−メチルフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2、6−ジ−n−プロピルフェノール、2−ブロモ−6−メチルフェノール、2−クロロ−6−ブロモフェノール、2−クロロ−6−エチルフェノールなどが挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
【0013】
そして、上記ポリフェニレンエーテル、上記変性ポリフェニレンエーテル又は上記ブロック共重合体に混合されるポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレンとこれと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体、ハイインパクトポリスチレンなどが挙げられ、ポリスチレンが好ましい。又、ポリスチレン系樹脂は、単独で用いられても併用されてもよい。
【0014】
なお、上記ビニルモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸若しくはその誘導体又は無水物、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアルキルアクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル化合物などが挙げられ、得られるポリスチレン系樹脂の耐熱性が優れていることから、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸が好ましい。又、ハイインパクトポリスチレンとしては、ポリスチレンや、上記スチレンとこれと共重合可能なビニルモノマーとの共重合体に、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体などのゴム成分を1〜20重量%添加してなるものが挙げられる。
【0015】
又、ポリフェニレンエーテルにグラフト共重合され或いはフェノール系モノマーとブロック共重合するスチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン;α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、p−t−ブチルスチレンなどのアルキル化スチレン;モノクロロスチレン、ジクロロスチレンなどのハロゲン化スチレンなどが挙げられる。
【0016】
そして、上記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、フェニレンエーテル成分が15〜60重量%で且つスチレン成分が85〜40重量%である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましく、フェニレンエーテル成分が20〜60重量%で且つスチレン成分が80〜40重量%である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂がより好ましく、フェニレンエーテル成分が25〜50重量%で且つスチレン成分が75〜50重量%である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が特に好ましい。なお、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂に上記ポリスチレン系樹脂を混合した場合には、上記フェニレンエーテル成分及び上記スチレン成分の含有量は、上記ポリスチレン系樹脂を含めた上での含有量をいう。
【0017】
これは、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂中のフェニレンエーテル成分は、少ないと、発泡シートの耐熱性が低下することがある一方、多いと、良質の発泡シートを得ることができないことがあるからである。
【0018】
そして、上記自動車内装材用発泡シートAの熱可塑性樹脂発泡シート1全体の連続気泡率、即ち、穴部3が形成されている熱可塑性樹脂発泡シート(以下、「穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート」という)1全体の連続気泡率は、低いと、自動車内装材用発泡シートの吸音性が低下する虞れがあるので、50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、一方、高いと、自動車内装材用発泡シートの機械的強度が低下する虞れがあるので、60〜90%が特に好ましく、60〜85%が最も好ましい。
【0019】
なお、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の連続気泡率は、ASTM D2856−87に準拠して測定されたものをいう。具体的には、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1から該発泡シート1の厚み方向の全長に亘って切り込むことによって一辺25mmの平面正方形状のシート状試験片を複数枚切り出し、この複数枚の試験片を厚み方向に全体の厚みが25mm程度となるように重ね合わせて積層体を形成する。
【0020】
次に、上記積層体の見掛け体積をノギスを用いて正確に測定した上で、空気比較式比重計を用いて1−1/2−1気圧法によって体積を測定し、下記式により連続気泡率を算出する。なお、1−1/2−1気圧法による積層体の体積は、例えば、東京サイエンス社から商品名「空気比較式比重計1000型」で市販されている空気比較式比重計を用いて測定することができる。又、積層体の見掛け体積には、積層体中に含まれる、後述する穴部3部分の体積は含まない。
連続気泡率(%)=100×(見掛け体積−空気比較式比重計による積層体の体積)/ 見掛け体積
【0021】
又、上記自動車内装材用発泡シートAにおける穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の平均気泡径は、小さいと、発泡シート1が柔らかくなって機械的強度が低下することがある一方、大きいと、発泡シート1の表面平滑性が低下したり脆くなったりすることがあるので、0.2〜1.3mmが好ましく、0.3〜1.0mmがより好ましい。なお、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の平均気泡径は、ASTM D2842−69の試験方法に準拠して測定されたものをいう。
【0022】
上記自動車内装材用発泡シートAにおける穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の密度は、小さいと、自動車内装材用発泡シートの機械的強度が低下することがある一方、大きいと、自動車内装材用発泡シートの可撓性が低下して曲げに対して破損するなどの問題を生じることがあるので、0.03〜0.30g/cm3 が好ましく、0.035〜0.20g/cm3 がより好ましい。なお、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の密度は、JIS K7222:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」に記載の方法に準拠して測定されたものをいう。
【0023】
又、上記自動車内装材用発泡シートAにおける穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の厚みは、薄いと、自動車内装材用発泡シートAを成形して得られる自動車内装材の厚みが薄くなり、自動車内装材の吸音性が低下することがある一方、厚いと、自動車内装材用発泡シートAの成形性が低下することがあるので、2〜10mmが好ましく、3〜8mmがより好ましい。
【0024】
そして、上記自動車内装材用発泡シートAにおける穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1は、主として連続気泡から構成された連続気泡層を有している。このような熱可塑性樹脂発泡シート1としては、(1)主として連続気泡から構成された連続気泡層のみからなり且つ全体の連続気泡率が好ましくは50%以上である発泡シートと、(2)主として連続気泡から構成された連続気泡層11の両面に主として独立気泡から構成された独立気泡層12、12が形成されてなり且つ全体の連続気泡率が好ましくは50%以上に形成されてなるものが挙げられる。
【0025】
上記(1)の発泡シート1、即ち、主として連続気泡から構成された連続気泡層のみからなり且つ全体の連続気泡率が好ましくは50%以上である、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1は、図1に示したように、主として独立気泡から構成された独立気泡層が存在せず、全体的に、主として連続気泡から構成された連続気泡層1Aから構成されてなるものである。なお、上記(1)の穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の両面全面には、非発泡層13、13、所謂、スキン層が形成されていてもよい。
【0026】
この穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1は、全体的に連続気泡から構成されていることから、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1は全体的に略均質なものとなっている。
【0027】
従って、自動車内装材用発泡シートを自動車内装材に成形加工するにあたって圧縮成形させる場合にあっても、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1は、その厚み方向に略均一に圧縮されながら所望形状に成形されることから、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の強度が部分的に低下するといったことはなく所定の強度を維持する。
【0028】
又、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の連続気泡層1Aは、主として連続気泡から構成されていればよく、全ての気泡が連続気泡である必要はないが、連続気泡層に含まれる気泡のうちの70%以上の気泡が連続気泡となっていること、即ち、連続気泡層1Aの連続気泡率が70%以上であることが好ましい。なお、連続気泡層1Aの連続気泡率は、上述の連続気泡率の測定方法によって測定されたものをいう。
【0029】
次に、上記(2)の熱可塑性樹脂発泡シート1、即ち、中央部に連続気泡から主として構成されてなる連続気泡層11を有していると共に、この連続気泡層11の両面に独立気泡から主として構成されてなる独立気泡層12、12が連続的に一体的に形成されてなり且つ全体の連続気泡率が好ましくは50%以上に形成されてなる、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1について説明する(図2参照)。なお、連続気泡層11と独立気泡層12とは、その界面において、明確な境界があるのではなく、連続気泡層11と独立気泡層12とが混在した状態となっている。上記独立気泡層12、12の表面全面には、非発泡層13、13、所謂、スキン層が形成されていてもよい。
【0030】
又、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の連続気泡層11は、主として連続気泡から構成されていればよく、全ての気泡が連続気泡である必要はないが、連続気泡層11に含まれる気泡のうちの80%以上の気泡が連続気泡となっていること、即ち、連続気泡層11の連続気泡率が80%以上であることが好ましい。なお、連続気泡層11の連続気泡率は、上述の連続気泡率の測定方法によって測定されたものをいう。
【0031】
同様に、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の独立気泡層12は、主として独立気泡から構成されていればよく、全ての気泡が独立気泡である必要はないが、独立気泡層12に含まれる気泡のうちの60%以上の気泡が独立気泡となっていること、即ち、独立気泡層12の独立気泡率が60%以上であることが好ましい。なお、独立気泡層12の独立気泡率は、100(%)から上述の連続気泡率の測定方法によって測定された連続気泡率及び樹脂の占める割合を引いて得られた値をいう。
【0032】
独立気泡率(%)=100×〔(空気比較式比重計による積層体の体積)
−(積層体の質量/樹脂の密度)〕/見掛け体積
【0033】
更に、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の各独立気泡層12の厚みは、厚いと、自動車内装材用発泡シートAの吸音性が低下することがあるので、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1全体の厚みの30%以下が好ましく、薄すぎると、自動車内装材用発泡シートAの空気遮断性が低下して車内側の空気が自動車内装材用発泡シートを通じて車外側に通気し、空気中に含まれた汚れが自動車内装材用発泡シートの表面に積層一体化した後述する表皮材5によって濾過された状態となって表皮材5の汚れが目立つといった問題点が発生したり或いは自動車内装材用発泡シートAの機械的強度が低下したりするので、2〜25%がより好ましい。なお、独立気泡層12の表面全面に非発泡層(スキン層)13が形成されている場合、「独立気泡層12の厚み」とは非発泡層13の厚みを含めた厚みをいう。
【0034】
ここで、本発明において、独立気泡とは、気泡壁によって全て囲まれて他の気泡と連通していない気泡のことをいう。一方、連続気泡とは、独立気泡以外の気泡の全てをいい、具体的には、気泡壁に貫通孔が形成されており、この貫通孔を通じて他の気泡と連通状態にある気泡をいう。
【0035】
又、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1において、主として連続気泡から構成されている連続気泡層と、主として独立気泡から構成されている独立気泡層の区別は下記の要領で決定される。
【0036】
先ず、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1から該発泡シート1の厚み方向の全長に亘って切り込むことによって一辺40mmの平面正方形状のシート状試験片を切り出す。
【0037】
一方、ビーカー中に蒸留水300g及び万年筆用の水性赤色インキ3cm3 を供給して赤色水溶液を作製し、この赤色水溶液中に試験片を金網で上方から押えることによって赤色水溶液中における上下方向の中央部にて完全に浸漬させた状態とする。なお、上記万年筆用の水性赤色インキとしては、例えば、パイロット社から商品名「パイロットインキ レッド」で市販されているものが挙げられる。
【0038】
しかる後、上記試験片を浸漬させた状態のビーカーを減圧器内に載置して内圧5.3×104 Paに30秒間に亘って減圧する。次に、減圧器内を常圧に戻した上で減圧器内から試験片を取り出し、吸水タオルで試験片の表面に付着している赤色水溶液を除去する。
【0039】
そして、発泡シート1から切り出した際における試験片の全ての切断面の表面を切除することによって、即ち、試験片から平面四方外周縁部を厚み方向の全長に亘って切除、つまり、四角枠状に厚み方向の全長に亘って切除することによって、一辺が38mmの平面正方形状の着色試験片を切り出す。次に、この着色試験片の各断面の着色状態をビデオマイクロスコープを用いて倍率50倍でもって観察し、着色部分を主として連続気泡からなる連続気泡層とする一方、非着色部分を主として独立気泡からなる独立気泡層とする。
【0040】
更に、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の独立気泡層12の厚みは下記の要領で測定される。即ち、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の任意の5箇所から上述と同様の要領で着色試験片を作製する。
【0041】
次に、各着色試験片の断面をビデオマイクロスコープを用いて倍率50倍でもって観察して、各着色試験片毎に独立気泡層12における最大厚み及び最小厚みを測定し、それら厚みの相加平均値を算出する。そして、各着色試験片毎に算出された相加平均値を相加平均したものを、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の独立気泡層12の厚みとする。なお、ビデオマイクロスコープは、例えば、スカラ株式会社から商品名「ビデオマイクロスコープ VMS−300」で市販されている。
【0042】
更に、上記自動車内装材用発泡シートAにおける穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の両面には、図1及び図2に示したように、熱可塑性樹脂シート2、2が積層一体化されている。
【0043】
上記熱可塑性樹脂シート2を構成している熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、上記ポリスチレン系樹脂、上記耐熱性ポリスチレン系樹脂;上記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリブチレンテレフタレートやポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂などが挙げられ、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、耐熱性ポリスチレン系樹脂が好ましい。
【0044】
上記変性ポリフェニレンエーテル系樹脂としては、上記発泡シート1を構成する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂と同様のものが用いられるが、フェニレンエーテル成分が10〜50重量%で且つスチレン成分が90〜50重量%である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が好ましく、フェニレンエーテル成分が10〜40重量%で且つスチレン成分が90〜60重量%である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂がより好ましく、フェニレンエーテル成分が10〜35重量%で且つスチレン成分が90〜65重量%である変性ポリフェニレンエーテル系樹脂が特に好ましい。なお、上記ポリフェニレンエーテル系樹脂に上記ポリスチレン系樹脂を混合した場合には、上記フェニレンエーテル成分及び上記スチレン成分の含有量は、上記ポリスチレン系樹脂を含めた上での含有量をいう。
【0045】
これは、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂中のフェニレンエーテル成分は、少ないと、熱可塑性樹脂シート2の耐熱性及び剛性が低下することがあり、又、多いと、溶融樹脂の流動性が低下して押出性が低下するからである。
【0046】
なお、上記熱可塑性樹脂シート2を構成する熱可塑性樹脂中に、自動車内装材用発泡シートAの回収品を混合させてもよく、この場合、熱可塑性樹脂100重量部に対して自動車内装材用発泡シートAの回収品100重量部以下が好ましい。これは、熱可塑性樹脂シート2中に自動車内装材用発泡シートAの回収品を多く混合し過ぎると、熱可塑性樹脂シート2の曲げ強度などの機械的強度が低下することがあるからである。
【0047】
更に、上記熱可塑性樹脂シート2を構成する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂のガラス転移温度Tgは、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1を構成する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂のガラス転移温度Tgよりも10〜40℃低いことが好ましい。
【0048】
これは下記の理由による。即ち、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の気泡膜は、その厚みが薄い分だけ、同一材料から構成された熱可塑性樹脂シート2と比較して少ない熱量で容易に溶融、変形し、発泡シート1の表面部の気泡が成形圧力によって圧壊される。
【0049】
一方、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の両面に積層一体化された熱可塑性樹脂シート2は、非発泡であることに加えて、発泡シート1の気泡膜に比べると非常に厚いことから、発泡シート1に比して形態保持性に優れている。
【0050】
そこで、熱可塑性樹脂シート2を構成する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂のガラス転移温度Tgを、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1を構成する変性ポリフェニレンエーテル系樹脂のガラス転移温度Tgよりも低くすることによって、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1を熱可塑性樹脂シート2よりも耐熱性に優れたものとし、自動車内装材用発泡シートAの成形時に発泡シート1の表面部の気泡が成形熱による加熱下、成形圧力によって圧壊されるのを防止して、所望厚みを有する成形品を得ることができるようにするためである。
【0051】
そして、熱可塑性樹脂シート2中には無機充填材が含有されている。この無機充填材としては、特に限定されず、例えば、ワラストナイト、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、シリカ、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、水酸化マグネシウム、ゼオライト、モリブデンなどが挙げられ、ワラストナイトが好ましい。
【0052】
このように、熱可塑性樹脂シート2に無機充填材、特に、ワラストナイトを含有させることによって、従来の自動車用内装材用発泡シートでは不充分であった1000〜1600Hz程度の低周波数帯における優れた吸音性を本発明の自動車内装材用発泡シートに付与することができる。
【0053】
熱可塑性樹脂シート2中における無機充填材の含有量は、少ないと、低周波数帯における吸音性の改善に効果がない一方、多いと、熱可塑性樹脂シートの製膜時における溶融伸びが低下して熱可塑性樹脂シートの厚みが厚くなり、自動車内装材用発泡シートの軽量性が低下し、或いは、自動車内装材用発泡シートの耐衝撃性が低下するので、熱可塑性樹脂シート中、10〜50重量%に限定され、15〜30重量%が好ましい。
【0054】
又、熱可塑性樹脂シート2中に着色剤を含有させてもよく、このような着色剤としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミ等の無機充填剤、シアニンブルー、シアニングリーン、ミロリブルー、スレンブルー、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、カドミウムオレンジ、弁柄、群青、フタロシアニンブルー等の顔料等が挙げられ、黒や灰色等の暗色を呈する着色剤が好ましく、カーボンブラックがより好ましい。
【0055】
更に、上記熱可塑性樹脂シート2中には、脆化を防止するために、ゴム成分を添加してもよく、このようなゴム成分としては、例えば、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等が挙げられ、ハイインパクトポリスチレンが好ましい。
【0056】
熱可塑性樹脂シート2中におけるゴム成分の含有量は、少ないと、熱可塑性樹脂シート2の脆化防止の効果が発現しないことがある一方、多いと、熱可塑性樹脂シート2の曲げ強度や剛性が低下することがあるので、熱可塑性樹脂100重量部に対して1〜20重量部が好ましい。
【0057】
そして、熱可塑性樹脂シート2、2は、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の両面に、好ましくは接着剤層を介在させることなく直接、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1を構成する熱可塑性樹脂と、熱可塑性樹脂シート2を構成する熱可塑性樹脂との間の熱融着によって強固に積層一体化されている。
【0058】
即ち、上記熱可塑性樹脂シート2と、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1とは、両者を構成する熱可塑性樹脂同士の熱融着によって強固に一体化しており、上記自動車内装材用発泡シートAをその熱可塑性樹脂シート2が、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1表面から剥離することなく複雑な形状に正確に且つ確実に成形することができる。
【0059】
更に、上記熱可塑性樹脂シート2の厚みは、薄いと、自動車内装材用発泡シートAの機械的強度が低下することがある一方、厚いと、自動車内装材用発泡シートAの成形性及び軽量性が低下することがあるので、50〜300μmが好ましく、70〜200μmがより好ましい。
【0060】
そして、図1及び図2に示したように、熱可塑性樹脂発泡シート1には、熱可塑性樹脂発泡シート1の表面に積層一体化された熱可塑性樹脂シート2の表面に開口する穴部3、3・・・が形成されており、このようにして自動車内装材用発泡シートAが構成されている。
【0061】
このように穴部3を多数、形成することによって、穴部3の開口側にて発生した音の振動エネルギーを穴部3を通じて発泡シート1内に円滑に誘導し、発泡シート1の連続気泡の気泡壁を振動させて音の振動エネルギーを熱エネルギーに変換して吸収し、自動車内装材用発泡シートAによる音の反射を効果的に防止し、自動車内装材用発泡シートAに優れた吸音性能を付与している。
【0062】
先ず、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1が、主として連続気泡から構成された連続気泡層1Aのみからなり且つ全体の連続気泡率が50%以上である場合、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の両面に熱可塑性樹脂シート2、2が積層一体化されており、上記穴部3は、熱可塑性樹脂発泡シート1の両面に積層一体化された熱可塑性樹脂シート2、2の表面に開口した状態で熱可塑性樹脂発泡シート1に該発泡シート内に達した状態に形成されておればよい。
【0063】
上記穴部3の深さは特に限定されないが、穴部3の深さは、浅いと、音の振動エネルギーが効率良く連続気泡層の連続気泡内に誘導されず、自動車内装材用発泡シートAの吸音性が低下することがある一方、深いと、発泡シート1に穴部3を形成する際に発泡シート1に誤って貫通孔を形成してしまう虞れや、自動車内装材用発泡シートAの機械的強度が低下することがあるので、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1の厚みの10〜95%であることが好ましく、30〜90%であることがより好ましい。
【0064】
次に、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1が、主として連続気泡から構成された連続気泡層11の両面に主として独立気泡から構成された独立気泡層12、12が形成されてなり且つ全体の連続気泡率が好ましくは50%以上に形成されてなる場合には、上記穴部3は、熱可塑性樹脂発泡シート1に積層一体化させた熱可塑性樹脂シート2の表面2aに開口した状態で、熱可塑性樹脂発泡シート1における一方の独立気泡層12a (及びスキン層13a )を貫通して発泡シート1の連続気泡層11に達していれば足り、熱可塑性樹脂発泡シート1の他方の独立気泡層12b に達していても達していなくてもよい。
【0065】
即ち、上記穴部3は、図2に示したように、その底部31が熱可塑性樹脂発泡シート1における連続気泡層11と独立気泡層12a との界面まで達した状態で形成されているか、或いは、図3に示したように、その底部31が熱可塑性樹脂発泡シート1の連続気泡層11の内部まで進入した状態、好ましくは、図4に示したように、底部31が熱可塑性樹脂発泡シート1における連続気泡層11と他方の独立気泡層12b との界面まで達した状態に形成されている。
【0066】
そして、音の振動エネルギーを穴部3を通じて発泡シート1の連続気泡層11内に円滑に誘導できる点で、穴部3の底部31が熱可塑性樹脂発泡シート1の連続気泡層11内部まで進入した状態に形成されていることが好ましく、穴部3の底部31が熱可塑性樹脂発泡シート1における連続気泡層11と他方の独立気泡層12b との界面まで達した状態に形成されていることがより好ましい。
【0067】
上記熱可塑性樹脂発泡シート1に形成されている穴部3の開口端形状は、音の振動エネルギーを発泡シート1の連続気泡内に誘導することができれば、特に限定されず、例えば、真円形、楕円形の他に、三角形、四角形などの多角形状が挙げられ、真円形が好ましい。
【0068】
又、上記穴部3における自動車内装材用発泡シートAの表面に沿った断面形状は、その深さ方向の全長に亘って変化することなく同一形状であっても、或いは、その深さ方向に変化してもよい。
【0069】
そして、上記穴部3の開口端面積は、小さいと、自動車内装材用発泡シートAの吸音性が低下することがある一方、大きいと、自動車内装材用発泡シートAの機械的強度が低下することがあるので、0.2〜40mm2 が好ましく、0.3〜30mm2 がより好ましい。
【0070】
更に、上記穴部3の形成形態としては、特に限定されないが、自動車内装材用発泡シートAの機械的強度が不均一となることがあるので、均一に形成されていることが好ましく、図5に示したように、熱可塑性樹脂シート2の表面2a上に描いた仮想格子4の交点41、41・・・の夫々に同一直径を有する開口端が真円形状の穴部3a、3a・・・をその中心31a 、31a を合致させた状態で形成すると共に、開口端が上記穴部3aと同一直径を有する真円形状の穴部3b、3b・・・をその中心31b 、31b が仮想格子4の正方形状枠部42の対角線の交点42a 、42a ・・・の夫々に合致した状態に形成することによって、複数個の穴部3、3(3a、3b)・・・を千鳥格子状に形成していることがより好ましい。なお、穴部3bを形成することなく、穴部3aのみを形成した場合であってもよい。
【0071】
又、自動車内装材用発泡シートAの表面に対する穴部3の総開口面積割合は、小さいと、自動車内装材用発泡シートAの吸音性が低下することがある一方、大きいと、自動車内装材用発泡シートAの機械的強度が低下することがあるので、2〜50%が好ましく、3〜50%がより好ましく、3〜40%が特に好ましい。
【0072】
ここで、自動車内装材用発泡シートAの表面に対する穴部3の総開口面積割合は下記の要領で測定されたものをいう。即ち、自動車内装材用発泡シートAの表面1a(3a)の任意の箇所に一辺10cmの平面正方形状の測定枠を定める。
【0073】
そして、この測定枠内に入っている穴部3の開口端面積の総和を求め、測定枠の面積に対する穴部3の開口端面積の総和の百分率を算出し、この百分率の値を、自動車内装材用発泡シートAの表面に対する穴部3の総開口面積割合とする。なお、穴部3の開口端の一部のみが測定枠内に入っている場合には、測定枠内に入っている穴部3の開口端部分の面積のみを対象とする。
【0074】
具体的には、図6に示したように、開口端が真円形状の穴部3が千鳥格子状に形成されている場合には、例えば、複数個の穴部3が入るように仮想格子4に沿って平面正方形状の測定枠43を定め、この測定枠43内に入っている穴部3の開口端面積の総和(斜線部分)を算出し、測定枠43の面積に対する穴部3の開口端面積の総和の百分率を算出すればよい。
【0075】
なお、自動車内装材用発泡シートを二次発泡させて成形品とする場合、二次発泡成形品における穴部3の開口端形状、開口端面積及び総開口面積割合が上述の条件を満たしていればよく、このような時、二次発泡させる前の自動車内装材用発泡シートの穴部3が上述の開口端形状、開口端面積及び総開口面積割合を必ずしも満たしている必要はない。
【0076】
次に、自動車内装材用発泡シートAの製造方法について説明する。先ず、穴部を形成する前の熱可塑性樹脂発泡シート(以下「未加工の熱可塑性樹脂発泡シート」という)の製造方法としては、従来から用いられている製造方法が用いられ、熱可塑性樹脂の押出発泡温度、押出機に取付けた金型温度又はこの金型から押出された直後の発泡シートの表面冷却度合いを調整することによって、所望の連続気泡率を有する、未加工の熱可塑性樹脂発泡シートを得ることができる。
【0077】
上記未加工の熱可塑性樹脂発泡シートの製造方法としては、具体的には、例えば、(1) 熱可塑性樹脂を押出機に供給して溶融混練すると共に押出機内に揮発性発泡剤を圧入した上で押出機に取り付けた金型から押出して発泡させる発泡シートの製造方法、(2) 予め熱可塑性樹脂に揮発性発泡剤を含浸させた上で押出機に供給して溶融混練し、押出機に取り付けた金型から押出して発泡させる発泡シートの製造方法等が挙げられる。
【0078】
上記揮発性発泡剤としては、従来から用いられているものであれば、特に限定されず、例えば、エタン、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、ペンタン、ジメチルエーテルなどの有機系発泡剤、二酸化炭素、水、チッソなどの無機系発泡剤が挙げられ、これらは単独で用いられても併用されてもよい。
【0079】
又、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1中に残留する残留発泡剤量が0.3〜4.0重量%となるように、上記揮発性発泡剤の種類や量を調整することが好ましい。これは、上記穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1中の残留発泡剤量が少ないと、良質な発泡シート1を得ることができず、又、多いと、発泡シート1の耐熱性及び寸法安定性が低下することがあるからである。
【0080】
そして、上記の如くして得られた未加工の熱可塑性樹脂発泡シート1の両面に熱可塑性樹脂シートを積層一体化する方法としては、例えば、(1) 未加工の熱可塑性樹脂発泡シートの両面に熱可塑性樹脂シートを重ね合わせ、熱ロールによって発泡シートの両面に上記シートを熱融着一体化させる方法、(2) 未加工の熱可塑性樹脂発泡シートの両面に、押出機から押出された直後の熱可塑性樹脂シートを積層し、このシートを未加工の熱可塑性樹脂発泡シートの表面に熱融着によって積層一体化する方法、(3) 共押出により未加工の熱可塑性樹脂発泡シートの両面に熱可塑性樹脂シートを積層一体化する方法等が挙げられる。
【0081】
このようにして得られた未加工の熱可塑性樹脂発泡シートに穴部3を形成して自動車内装材用発泡シートAを製造するのであるが、未加工の熱可塑性樹脂発泡シートに穴部3を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)両面に熱可塑性樹脂シートが積層一体化された、未加工の熱可塑性樹脂発泡シートを、所定間隔を存して回転軸が互いに平行となるように並設され且つ一方のロール表面に多数のピンが植設されてなる一対のロール間に供給し、ピンを未加工の熱可塑性樹脂発泡シートの片面から該発泡シートの連続気泡層11(1A)に達するように突き刺すことによって多数の穴部3、3・・・を形成する方法、(2)両面に熱可塑性樹脂シートが積層一体化された、未加工の熱可塑性樹脂発泡シートの片面に、多数のピンが植設されてなる平板を押圧し、ピンを未加工の熱可塑性樹脂発泡シートの片面から該発泡シートの連続気泡層11(1A)に達するように突き刺すことによって多数の穴部3、3・・・を形成する方法が挙げられる。
【0082】
又、上記自動車内装材用発泡シートAは、通常、その穴部3が開口している面上に、車内側に配設される表皮材5を接着剤層(図示せず)を介して積層一体化すると共に、その他面上に異音防止層6を積層一体化した(図7参照)上で熱成形により所望形状に成形されて自動車内装材として用いられる。
【0083】
なお、表皮材5と自動車内装材用発泡シートAとを積層一体化させる接着剤層は、音の振動エネルギーが連続気泡層に進入するのを接着剤層が阻害しないように、自動車内装材用発泡シートAの穴部3の上端開口部を閉塞しないようにするのが好ましい。
【0084】
従って、自動車内装材用発泡シートAの一面に接着剤層を介して表皮材5を積層一体化する要領としては、例えば、(1) 自動車内装材用発泡シートAの一面に、その穴部3の上端開口部を閉塞しないように、粉末状の接着剤を散布し、自動車内装材用発泡シートAの一面に表皮材5を積層させた後、自動車内装材用発泡シートAを接着剤の融点以上に加熱した上で、自動車内装材用発泡シートAと表皮材5とを押圧一体化させる方法、(2) 表皮材5における自動車内装材用発泡シートAに対向する面に粉末状の接着剤を散布し、表皮材5を接着剤の融点以上に加熱した上で両側から押圧して接着剤を表皮材5の表面に固着させる。しかる後、この表皮材5をその接着剤が固着された面を自動車内装材用発泡シートA側にして自動車内装材用発泡シートAの一面に積層させた後、自動車内装材用発泡シートAを接着剤が溶融する温度まで加熱し、自動車内装材用発泡シートAと表皮材5とを押圧一体化させる方法、(3) 自動車内装材用発泡シートAの一面にその穴部3の上端開口部を閉塞しないように接着剤を塗布し、この接着剤を介して自動車内装材用発泡シートAと表皮材5とを一体化させる方法、(4)接着剤で形成された通気性を有する不織布やウェブを介して表皮材を自動車内装材用発泡シートAの一面に積層した後、自動車内装材用発泡シートAを接着剤が溶融する温度まで加熱した上で、自動車内装材用発泡シートAと表皮材5とを押圧一体化させる方法などが挙げられる。
【0085】
上記表皮材5としては、不織布、織布、編布等が挙げられ、通気性を有していることが好ましい。なお、表皮材5に難燃性を付与するために難燃剤を含有させてもよい。
【0086】
そして、上記表皮材5を構成する繊維としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル等の合成繊維などが挙げられ、ポリエステル繊維が好ましく、耐熱性に優れている点でポリエチレンテレフタレート繊維がより好ましい。なお、上記表皮材5を構成する繊維は単独で用いられても併用されてもよい。
【0087】
上記接着剤層としては、上記表皮材5と自動車内装材用発泡シートAとを接着一体化させることができれば、特に限定されず、例えば、熱可塑性接着剤、ホットメルト接着剤、ゴム系接着剤、熱硬化性接着剤、モノマー反応型接着剤、無機系接着剤、天然素材系接着剤などが挙げられるが、容易に接着させることができる点からホットメルト接着剤が好ましい。
【0088】
なお、上記ホットメルト接着剤としては、例えば、ポリオレフィン系、変性ポリオレフィン系、ポリウレタン系、エチレン−酢酸ビニル共重合体系、ポリアミド系、ポリエステル系、熱可塑性エラストマー系、スチレン−ブタジエン共重合体系、スチレン−イソプレン共重合体系などの樹脂を成分としたものが挙げられ、これらは、単独で用いられても併用されてもよい。
【0089】
又、上記自動車内装材用発泡シートAの他面、即ち、穴部3が形成(開口)されていない面に異音防止層6が積層一体化されるが、この異音防止層6は、自動車の車体を構成する鋼板に自動車内装材用発泡シートAが摺接した際に発生する摩擦音を低減するためのものであり、ポリオレフィン系樹脂フィルムや不織布が好ましく用いられ、不織布がより好ましく用いられる。
【0090】
上記ポリオレフィン系樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系樹脂フィルムが挙げられ、耐熱性に優れており周囲の温度変化にかかわらず長期間に亘って安定的に摩擦音の発生を低減させることができる点で、無延伸のポリプロピレンフィルムが好ましい。なお、上記ポリオレフィン系樹脂フィルムは、通常、その厚みが10〜100μm、25〜35μmのものが好ましく用いられる。
【0091】
更に、上記異音防止層6に用いられる不織布を構成する繊維としては、特に限定されず、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維などの合成樹脂繊維などが挙げられる。
【0092】
最後に、図2〜4、7において、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1における連続気泡層11と独立気泡層12との界面、独立気泡層12と非発泡層(スキン層)13との界面に便宜上、理解し易いように境界線を記載したが、本発明の穴加工された熱可塑性樹脂発泡シート1における連続気泡層11と独立気泡層12との界面及び独立気泡層12と非発泡層(スキン層)13との界面には明確な境界線は存在していない。
【0093】
次に、上記自動車内装材用発泡シートAは、上述のように、その一面に表皮材5を積層一体化すると共に他面に異音防止層6を積層一体化した上で熱成形により所望形状に成形されて自動車内装材とされる。
【0094】
上記自動車内装材用発泡シートAの熱成形方法としては、従来から汎用の方法が用いられるが、例えば、自動車内装材用発泡シートAを加熱して二次発泡させた後、この二次発泡させた自動車内装材用発泡シートAを真空成形や圧空成形などの汎用の成形方法を用いて熱成形すればよい。
【0095】
なお、自動車内装材用発泡シートAを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tgは、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」に記載の方法に準拠して測定されたものをいい、具体的には、セイコー電子工業社から商品名「DSC200型」で市販されている示差走査熱量計を用いて昇温速度10℃/minの条件下にて測定することができる。
【0096】
なお、真空成形や圧空成形としては、例えば、プラグ成形、フリードローイング成形、プラグ・アンド・リッジ成形、マッチド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグアシストリバースドロー成形などが挙げられる。なお、上記成形方法においては温度調節可能な金型を用いることが好ましい。
【0097】
又、金型のクリアランスは、二次発泡させた自動車内装材用発泡シートAの初期厚みをTとした時、下記式1を満たすことが好ましく、下記式4を満たすことがより好ましい。
0.7T≦金型のクリアランス≦0.98T・・・式1
0.8T≦金型のクリアランス≦0.95T・・・式2
【0098】
これは、金型のクリアランスが、狭いと、自動車内装材用発泡シートAの全体の厚みに対する連続気泡層11の厚みの比率が低下して吸音性が低下することがある一方、広いと、正確な形状の自動車内装材を得ることができないことがあるからである。
【発明の効果】
【0099】
本発明の自動車内装材用発泡シートは、熱可塑性樹脂発泡シートの両面に熱可塑性樹脂シートを積層一体化してなるものに、その表面から連続気泡層に達する或いは連続気泡層内に達する穴部が形成されており、更に、熱可塑性樹脂シート中に所定量の無機充填材が含有されているので、音の振動エネルギーを穴部を通じて、穴加工された熱可塑性樹脂発泡シートの連続気泡層内に円滑に誘導し、連続気泡層を構成する連続気泡の気泡壁を振動させることによって振動エネルギーを熱エネルギーに変換して優れた吸音性を発揮し、特に、1000〜1600Hz程度の低周波数帯において優れた吸音性を発揮する。
【実施例】
【0100】
(実施例1)
ポリフェニレンエーテルとポリスチレン系樹脂との混合物(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製 商品名「NORYL PKN4752」、ポリフェニレンエーテル成分:70重量%、ポリスチレン系樹脂成分:30重量%)65重量部と、ポリスチレン(東洋スチレン社製 商品名「HRM−26」)35重量部とを混合してなる変性ポリフェニレンエーテル系樹脂(ポリフェニレンエーテル成分:45重量%、ポリスチレン系樹脂成分:55重量%)及びタルク0.75重量部を第一押出機に供給して溶融混練すると共に、第一押出機にイソブタン35重量%及びノルマルブタン65重量%からなる揮発性発泡剤3.9重量部を圧入して300℃で溶融混練した後、上記第一押出機の先端に接続した第二押出機に溶融樹脂を連続的に供給して樹脂温度が206℃となるように調整した上で、第二押出機の先端に取り付けたサーキュラー金型(温度:155℃)から円筒状に押出した。この円筒状発泡体をその押出方向に連続的に内外面間に亘って切断、展開して未加工の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートを得た。この未加工の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートは、主として連続気泡から構成された連続気泡層11の一面に、主として独立気泡から構成された独立気泡層12aが、連続気泡層11の他面に、主として独立気泡から構成された独立気泡層12bが形成されていた。
【0101】
一方、ポリフェニレンエーテルとポリスチレン系樹脂との混合物(SABICイノベーティブプラスチックスジャパン社製 商品名「NORYL PKN4752」、ポリフェニレンエーテル成分:70重量%、ポリスチレン系樹脂成分:30重量%)14.3重量部と、ポリスチレン(東洋スチレン社製 商品名「HRM−26」)9.6重量部と、ハイインパクトポリスチレン(東洋スチレン社製 商品名「E641N」)33.4重量部とを混合してなる変性ポリフェニレンエーテル系樹脂と、ワラストナイトのマスターバッチ(大日精化社製 商品名「PS−RM06N427」、ポリスチレン系樹脂:40重量%、ワラストナイト:60重量%)41.7重量部及び着色剤としてカーボンブラックのマスターバッチ(大日精化社製 商品名「PS−M SSC 98H822A」、カーボンブラック:40重量%、ポリスチレン:60重量%)1.0重量部を混合した混合樹脂組成物(ポリフェニレンエーテル成分:10重量%、スチレン系樹脂成分:62.6重量%、ワラストナイト:25重量%、ゴム成分:2重量%、カーボンブラック:0.4重量%)を二機の押出機にそれぞれ供給し、一方の押出機から押出された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートを上記未加工の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの一面に、他方の押出機から押出された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートを上記未加工の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの他面に積層し熱融着一体化させて、未加工の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの両面に、カーボンブラックで全面的に黒色に着色された厚みが85μmの変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シート(目付:100g/m2)を直接、熱融着によって積層一体化した。
【0102】
次に、一面に多数のピンが植設されてなる平板を用意し、この平板のピンを、上記未加工の変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの独立気泡層12a 側から突き刺して、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの片面にのみ、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートの表面2aから連続気泡層11内に達した開口端が平面真円形状の穴部3、即ち、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シート2の表面2aに開口し且つ底部31が連続気泡層11に位置する開口端が平面真円形状の穴部3を多数、形成して自動車内装材用発泡シートAを得た。
【0103】
なお、得られた自動車内装材用発泡シートAを構成している穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1は、その連続気泡層11の厚みが4.6mm、独立気泡層12aの厚みが0.6mm、独立気泡層12bの厚みが1.0mm、目付は285g/m2 であった。
【0104】
又、上記穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1は、その密度が0.046g/cm3 、全体の連続気泡率が78.4%、連続気泡層11中に含まれる連続気泡の割合が93.0%、独立気泡層12中に含まれる独立気泡の割合が85%、平均気泡径が0.54mmであった。
【0105】
更に、穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1の穴部3は、図5に示したように千鳥格子状に均一に形成されており、各穴部3の開口端面積は0.79mm2 、深さは4.7mm、自動車内装材用発泡シートAの表面に対する穴部3の総開口面積割合は8.31%、仮想格子4の正方形状枠部42の長さdは5.4mmであった。
【0106】
(実施例2)
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの製造時における発泡シートの引取速度を上昇させることによって、自動車内装材用発泡シートAの変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの目付が250g/m2となるように調整したこと、穴部3の開口端面積が1.13mm2となるようにしたこと以外は実施例1と同様にして自動車内装材用発泡シートAを得た。
【0107】
なお、得られた自動車内装材用発泡シートAを構成している穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1は、その連続気泡層11の厚みが4.0mm、独立気泡層12aの厚みが0.5mm、独立気泡層12bの厚みが0.9mm、目付は250g/m2 であった。
【0108】
又、上記穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1は、その密度が0.046g/cm3 、全体の連続気泡率が78.4%、連続気泡層11中に含まれる連続気泡の割合が93%、独立気泡層12中に含まれる独立気泡の割合が85%、平均気泡径が0.53mmであった。
【0109】
更に、穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1の穴部3は、図5に示したように千鳥格子状に均一に形成されており、各穴部3の開口端面積は1.13mm2 、深さは3.7mm、自動車内装材用発泡シートAの表面に対する穴部3の総開口面積割合は7.75%、仮想格子4の正方形状枠部42の長さdは5.4mmであった。
【0110】
(実施例3)
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートの目付が115g/m2となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして自動車内装材用発泡シートを得た。なお、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートの厚みは97μmであった。
【0111】
(比較例1)
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートを製造するにあたって、ポリスチレンを5.3重量部の代わりに47.0重量部とし、ワラストナイトのマスターバッチを用いなかったこと、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートの厚みが95μm(目付:100g/m2)となるように調整したこと以外は実施例1と同様にして自動車内装材用発泡シートを得た。
【0112】
(比較例2)
変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シートの目付が250g/m2となるように調整したこと、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートを製造するにあたって、ポリスチレンを5.3重量部の代わりに47.0重量部とし、ワラストナイトのマスターバッチを用いなかったこと、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートの厚みが95μm(目付:100g/m2)となるように調整したこと、穴部3の開口端面積が1.13mm2となるようにしたこと以外は実施例2と同様にして自動車内装材用発泡シートを得た。なお、変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートの厚みは95μmであった。
【0113】
なお、得られた自動車内装材用発泡シートAを構成している穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1は、その連続気泡層11の厚みが4.0mm、独立気泡層12aの厚みが0.5mm、独立気泡層12bの厚みが0.9mm、目付は250g/m2 であった。
【0114】
又、上記穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1は、その密度が0.046g/cm3 、全体の連続気泡率が78.4%、連続気泡層11中に含まれる連続気泡の割合が93%、独立気泡層12中に含まれる独立気泡の割合が85%、平均気泡径が0.53mmであった。
【0115】
更に、穴加工された変性ポリフェニレンエーテル系樹脂発泡シート1の穴部3は、図5に示したように千鳥格子状に均一に形成されており、各穴部3の開口端面積は1.13mm2 、深さは3.7mm、自動車内装材用発泡シートAの表面に対する穴部3の総開口面積割合は7.75%、仮想格子4の正方形状枠部42の長さdは5.4mmであった。
【0116】
以上の如くして得られた自動車内装材用発泡シートの吸音性について下記の要領で測定し、その結果を表1及び図8に示した。
【0117】
(吸音性)
自動車内装材用発泡シートAの吸音性を、ASTM E1050の垂直入射吸音率試験に準拠した伝達関数法により背後空気層なしの条件で穴部3の開口側から周波数500〜6300Hzの音波を自動車内装材用発泡シートAに入射させて垂直入射吸音率を測定した。なお、自動車内装材用発泡シートAの吸音性を表1及び図8に示した。
【0118】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の自動車内装材用発泡シートを示した模式縦端面図である。
【図2】本発明の自動車内装材用発泡シートの他の一例を示した模式縦端面図である。
【図3】本発明の自動車内装材用発泡シートの他の一例を示した模式縦端面図である。
【図4】本発明の自動車内装材用発泡シートの他の一例を示した模式縦端面図である。
【図5】穴部の形成態様の一例を示した平面図である。
【図6】穴部の形成態様の一例を示した平面図である。
【図7】本発明の自動車内装材用発泡シートの両面に表皮材及び異音防止材を積層一体化させた状態を示した模式縦端面図である。
【図8】自動車内装材用発泡シートの吸音性の結果を示したグラフである。
【符号の説明】
【0120】
1,1A 熱可塑性樹脂発泡シート
11 連続気泡層
12 独立気泡層
13 非発泡層(スキン層)
2 熱可塑性樹脂シート
3 穴部
5 表皮材
6 異音防止材
A 自動車内装材用発泡シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主として連続気泡から構成された連続気泡層を含む熱可塑性樹脂発泡シートの両面に熱可塑性樹脂シートが積層一体化されてなり、上記熱可塑性樹脂シートの表面から上記熱可塑性樹脂発泡シートの連続気泡層に達する穴部が形成されている自動車内装材用発泡シートであって、上記熱可塑性樹脂シートが無機充填材を10〜50重量%含有することを特徴とする自動車内装材用発泡シート。
【請求項2】
熱可塑性樹脂シートが変性ポリフェニレンエーテル系樹脂シートであることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装材用発泡シート。
【請求項3】
無機充填材がワラストナイトであることを特徴とする請求項1に記載の自動車内装材用発泡シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−227040(P2009−227040A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73529(P2008−73529)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】