説明

自動車用のブレーキシステム、及び該ブレーキシステムを備えた自動車

本発明は、少なくとも1系統のブレーキシリンダ(2)を有し、該ブレーキシリンダ(2)を操作することによって自動車の少なくとも1つの車輪にブレーキ力を作用させることができる、自動車用のブレーキシステム(1)に関する。ブレーキシリンダ(2)は、設定ブレーキ検出手段(24)から連結解除された倍力シリンダ(8)と機械的に作用接続されており、該倍力シリンダ(8)は、設定ブレーキ検出手段(24)によって検出された運転者の要望に応じてブレーキシリンダ(2)を操作するために液圧式に制御可能である。本発明はさらにブレーキシステム(1)を有する自動車に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1系統のブレーキシリンダを有し、該ブレーキシリンダを操作することによって自動車の少なくとも1つの車輪にブレーキ力を作用させることができる、自動車用のブレーキシステムに関する。また本発明は、ブレーキシステムを有する自動車に関する。
【0002】
従来技術
冒頭に述べた形式のブレーキシステムは従来技術により公知である。例えば、ドイツ連邦共和国特許公開第102005039314号明細書には、ハイブリッド自動車のブレーキ操作時のエネルギーを回収するための方法及び装置について記載されている。このためにブレーキ装置が、ブレーキペダル上、及びブレーキシリンダを有するブレーキブースタ上に設けられていて、このブレーキブースタ上にブレーキオイルタンクが配置されている。ブレーキブースタは、運転者によってブレーキペダルに加えられたブレーキ力を増幅し、ブレーキ管路を介して車輪ブレーキに伝達されるブレーキ力を生ぜしめる。この公知の装置は、ハイブリッド車両特有の特徴、つまり回生ブレーキによるブレーキエネルギーの回収を考慮する。この場合、電動モータ、一般的に自動車の駆動モータが回生駆動される。これによって得られた電気エネルギーは、エネルギーアキュムレータに蓄えられる。ここで蓄えられたエネルギーは、必要であれば、例えば駆動モータを駆動するためにかつ/または自動車の車内電流源のために、再び呼び出される。回生によって自動車の電力損失は減少される。回生ブレーキは、自動車の従来の摩擦に基づくブレーキシステムに高い要求を課す。何故ならば、回生によるブレーキ作用は、複数の要因に基づいているからである。まず第1に、回生ブレーキは、(電気的に)フルチャージされているエネルギーアキュムレータにおいては利用できない。つまり、この場合には、全ブレーキトルクが従来のブレーキ、例えば摩擦ブレーキを介して車輪に加えられる、ということである。さらにまた、回生ブレーキシステムは、自動車が停止するまで、回生駆動される電動モータによってブレーキトルクを発生させることができない。従って、自動車の停止プロセスにおいては、従来のブレーキシステムは低い速度範囲内において回生ブレーキの中断されたブレーキ作用が、高いブレーキトルクによって補整される。また高い回生率を得るために、液圧ブレーキ力を回収する必要がある運転状態も生じる。例えば、ブレーキ作用を再び回生ブレーキに移行させるために、シフト動作後に、接続解除された発電機が、回生ブレーキとして再び接続されることによって、介入される。従って、全ブレーキトルク(従来のブレーキシステム及び回生ブレーキシステムによって共通に生ぜしめられる)をコンスタントに維持するために、従来の回生ブレーキの割合を減少させる必要がある。以上述べたプロセスは、修復(Verblenden)と称呼される。ブレーキシステムの設計においては、常に、回生ブレーキシステムによって制動停止距離に影響することがないようにする、という前提条件を考慮する必要がある。
【0003】
簡単なブレーキシステムにおいては、自動車の運転者は、遅延リレーの課題をこなす必要がある。つまり運転者は、例えばフルチャージされているエネルギーアキュムレータにおいて及び/又は低速において、ブレーキトルクをマニュアルで修正する必要がある。運転者は、回生ブレーキトルクが存在していないか又は利用可能である場合、従来のブレーキシステムを、所望の遅延が得られるようにペダルを介して修正する必要がある。特に回生ブレーキトルクが低い場合に、必要なペダル調整は、快適性の見地から最適には得られない。このようなブレーキシステムは、従来のブレーキシステムに対して追加的な費用を殆ど必要としないので、この解決策は費用の理由から最適である。より高い要求を満たすためには、例えばブレーキバイワイヤ・ブレーキシステム(例えばEHBシステム)が使用される。ブレーキバイワイヤ・ブレーキシステムにおいては、ブレーキペダルがその他のブレーキシステムから連結解除されている。このような連結解除によって、従来の回生ブレーキシステムのブレーキトルクの修復はほぼ任意に行われ、これに対して運転者による修復プロセスは気づかれることなく行われる。このような解決策は、快適性の観点から最適な解決策といえるが、コスト的に非常に高価である。
【0004】
発明の開示
これに対して、請求項1に記載した特徴を有するブレーキシステムは、コスト的に非常に安価に実現され得るにもの拘わらず、非常に高い回生率を得ることができる。また従来のブレーキシステムより成る構成部材を転用することもできる。これは、本発明によれば、ブレーキシリンダが、設定ブレーキ検出手段から連結解除された倍力シリンダと機械的に作用接続されており、該倍力シリンダが、設定ブレーキ検出手段によって検出された運転者の要望に応じてブレーキシリンダを操作するために液圧式に制御可能であることによって、得られる。この場合、ブレーキシステムのブレーキシリンダは、1系統式である。それによって、ブレーキ力は、ブレーキシリンダによって自動車の単数又は複数の車輪に伝達される。多系統のブレーキシリンダを設けることもできる。この場合、例えば自動車の前車軸の1系統及び後車軸の1系統又はそれぞれ1系統が、それぞれ前輪及び後輪に配属されている。この場合、ブレーキシリンダは、ブレーキ力を単数若しくは複数の車輪のために提供する。ブレーキシリンダ内に少なくとも1つのピストンが配置されており、該ピストンを介してブレーキ力が生ぜしめられる。このために、ブレーキシリンダ若しくは、該ブレーキシリンダ内に配置されたピストンが、倍力シリンダに機械的に作用接続されている。このことはつまり、ブレーキシリンダのピストンが、倍力シリンダのピストンに接続されている、ということである。それと同時に、ブレーキシリンダは、設定ブレーキ検出手段から機械的に連結解除されている。設定ブレーキ検出手段は、例えば自動車のブレーキペダルを有しているか、又はブレーキペダルに接続されている。ブレーキシリンダは、設定ブレーキ検出手段によって直接負荷されない。同様に、設定ブレーキ検出手段と倍力シリンダとは直接接続されていない。倍力シリンダはむしろ液圧(油圧)によって制御される。これは、設定ブレーキ検出手段によって検出される運転者の要望に応じて行われる。例えば発電機によって生ぜしめられる別のブレーキトルクが、液圧のブレーキ圧において考慮される。本発明によるブレーキシステムにおいては、従来技術により公知の従来のブレーキシステムより成る主要な構成部材を転用することができる。これらの構成部材は、例えばブレーキシリンダ又はESPユニット及び/又はABSユニットであってよい。本発明によるブレーキシステムの構成によって、自動車の運転者は、ブレーキシステムから完全に遮断され得る。つまり、設定ブレーキ検出手段に関する、ブレーキシステムの機械的なフィードバックはまったく行われない、ということである。しかしながら、このようなフィードバックは、後述されているように、簡単に実現することができる。本発明によるブレーキシステムは、ハイブリッド駆動装置を備えた自動車において設けられるだけではなく、従来の駆動装置を備えた自動車にも設けることができる。この場合、種々異なる利点が提供される。まず第1に、公知のブレーキシステムのすべてのフルに作動可能な圧力形成部材が、ほとんど騒音なしに、最大の動圧及び最高の圧力調整精度を提供することができる。同様に、例えばACC(Adaptive Cruise Control;適応型クルーズコントロール)システムのための遅延制御等の快適性機能が、自動車が停止するまで非常に良好に提供される。この場合、運転者がブレーキシステムから完全に遮断されることによって、運転者が設定ブレーキ検出手段(例えばブレーキペダルを含む)を介するフィードバック作用を感じることはない。倍力シリンダを操作するために必要なブレーキ圧が、例えばアキュムレータ内でポンプによって生ぜしめられるブレーキ圧を中間的に蓄えることによって、時間的に分離されて加圧されると、ブレーキシステムの操作は、遅延制御を騒音なしに行うことができる。本発明のブレーキシステムによって得られたダイナミズムは、すべてのACCのために用いられた機能例えばACCストップ・アンド・ゴー、駐車補助その他のための高い要求を満たすことができる。ハイブリッド駆動装置を備えた自動車はしばしば、車両プラットフォームの小さい部分だけを構成しているので、従来の駆動装置を有する自動車ブレーキシステムとハイブリッド変化実施例との十分な両立性が得られる。
【0005】
本発明の実施態様によれば、設定ブレーキ検出手段が、ブレーキペダルと作用接続されたセンサシリンダ及び/又はブレーキペダルの変位を検知するストロークセンサである。これによって、自動車の運転者は、ブレーキの要望をブレーキペダルを介してブレーキシステムに知らせることができる。ブレーキペダルの変位は、センサシリンダ又はストロークセンサによって確認される。
【0006】
本発明の実施態様によれば、倍力シリンダを制御するための液圧システムが設けられている。つまり、倍力シリンダの液圧制御は、液圧システムによって行われ、この液圧システム内で若しくはこの液圧システムによってブレーキ圧が形成される。
【0007】
本発明の別の実施態様によれば、液圧システムが、圧力を形成するためのポンプ及び/又は、圧力を蓄えるためのアキュムレータ、及び/又は圧力を測定するための圧力センサを有している。倍力シリンダを制御するために設けられた液圧システムは、つまりポンプ例えばハイブリッドポンプを有しており、このハイブリッドポンプは、液圧システム内でブレーキ圧を形成する。形成された圧力は、倍力シリンダを操作するために必要とされるまで、アキュムレータ内に中間的に蓄えられる。このような形式で、倍力シリンダの制御及び圧力の形成との時間的な分離が行われる。これによって、ブレーキシステムは、非常に静粛に、有利には殆ど騒音なしで作業することができる。何故ならば、運転者がブレーキを操作したいと要望すると、倍力シリンダを制御するために及びひいてはブレーキシリンダを操作するために、アキュムレータからの圧力が使用されるからである。有利な形式でさらに、圧力センサが設けられており、該圧力センサによって、運転者は、ポンプによって生ぜしめられた圧力及び/又はアキュムレータ内の圧力を感じることができる。これによって、圧力センサのデータに基づいて、ポンプ若しくはアキュムレータの制御及び/又は調整が行われる。例えば、液圧システム内の圧力は、少なくとも倍力シリンダの制御が行われない間は、常に一定に維持される。
【0008】
本発明の別の実施態様によれば、ブレーキ力シミュレーションユニットによって生ぜしめられたブレーキ力情報を運転者にフィードバックするためのセンサシリンダが設けられている。ブレーキペダルの変位がセンサシリンダ又はストロークセンサによって検出されるどうかに拘わらず、センサシリンダはブレーキ力情報を運転者にフィードバックすることができる。このような形式で、運転者に確実かつ明確にフィードバックすることができる。この情報は、例えば自動車の車輪に実際に加えられたブレーキトルク若しくはブレーキ力に比例しているか、又は任意の機能配分に従っている。センサシリンダによって運転者に伝達されるブレーキ力情報を生ぜしめるために、ブレーキ力シミュレーションユニットが設けられている。このブレーキ力シミュレーションユニットは、例えば圧力を生ぜしめるか、若しくは抵抗を生ぜしめ、この抵抗は、センサシリンダによって設定ブレーキ検出手段に伝達され、それによって運転者にブレーキ力情報を提供する。また、ブレーキ力シミュレーションユニットが、例えば調節回路を介して設定ブレーキ検出手段を直接制御するようにしてもよい。
【0009】
本発明の実施態様によれば、ポンプ及び/又はアキュムレータと倍力シリンダとの間に、倍力シリンダ内の圧力を加圧するために接続可能な加圧弁が設けられている。ポンプによって生ぜしめられた、又はアキュムレータ内に蓄えられた圧力は、加圧弁によって倍力シリンダに適切に伝達される。加圧弁が接続されると、流体は倍力シリンダ内に達するか、若しくは倍力シリンダ内で圧力が形成される。加圧弁が接続されないと、倍力シリンダはポンプ及び/又はアキュムレータから分離されるので、倍力シリンダ内の圧力はそれ以上加圧されなくなり、それによって一定に保たれ、かつ/または減圧される。加圧弁が接続されると、倍力シリンダを介してブレーキシリンダが操作され、ひいてはブレーキ力が自動車の少なくとも1つの車輪に加えられる。特に有利には、加圧弁は、アキュムレータと共に使用することができる。何故ならば、このような形式で、アキュムレータ内の圧力が十分である間は、ポンプの遮断が可能だからである。
【0010】
本発明の別の実施態様によれば、倍力シリンダ内の圧力を減圧するために接続可能な減圧弁が設けられている。倍力シリンダ内の圧力を加圧することができる加圧弁と同様に、減圧弁によって圧力は減圧される。減圧弁が接続されると、自動車の少なくとも1つの車輪に加えられるブレーキ力は減少される。これによって、減圧弁を介して、倍力シリンダ内の液圧が減圧され、流体は倍力シリンダから流れ出す。この際に、使用された液圧媒体は、有利な形式でアキュムレータ(圧力調整装置)及び/又はポンプに供給される。
【0011】
本発明の実施態様によれば、ブレーキ力シミュレーションユニットが、ばねによって負荷されたブレーキ力シミュレーションシリンダである。ブレーキ力シミュレーションシリンダは、設定ブレーキ検出手段の所望の特性を表すために用いられる。例えば、センサシリンダを操作すると、センサシリンダから体積がブレーキ力シミュレーションシリンダ内に移行せしめられる。これはばね力に抗して行われ、それによってセンサシリンダ(このセンサシリンダ内に形成される圧力によって)を介して、自動車の運転者にフィードバックされる。ブレーキ力シミュレーションシリンダは、その他の形式、例えば、燃料シミュレーションシリンダ内の圧力を制御若しくは調整する弁によって負荷されてもよい。つまり、例えば液圧力によって生ぜしめられる、燃料シミュレーションシリンダのばね作用だけが存在する。
【0012】
本発明の実施態様によれば、ブレーキ力シミュレーションユニットが、該ブレーキ力シミュレーションユニットをロックするための作動解除弁を有している。作動解除弁によって、ブレーキ力シミュレーションユニットがブレーキ力情報を発信することは阻止される。例えば、ブレーキ力シミュレーションシリンダはロックされる。この場合、その他の流体がセンサシリンダからブレーキ力シミュレーションシリンダ内に流入するか、若しくはブレーキ力シミュレーションシリンダから流出する。ブレーキ力シミュレーションユニットが所望の特性(ペダル力及び/又はペダルストローク)を表すことができるようにするために、作動解除弁は操作する必要がない。つまりブレーキ力シミュレーションユニットはロックされない。例えば作動解除弁は、ブレーキの要望が確認された時に開放される(つまり操作されない)か、又はその代わり自動車の点火システムの作動後に持続的に開放維持される。その他のプログラミングも考えられる。作動解除弁は、体積の改善(及びひいては特に運転者のためのブレーキ力情報の改善)のために役立ち、ブレーキシステムは作動停止している。何故ならば、この場合、(ブレーキ)液がブレーキ力シミュレーションユニット内に流入することがないからである。作動解除弁は、ブレーキシステムに欠陥があるか、又はブレーキシステムが作動停止している場合、ブレーキシミュレーションユニットをロックする。それに応じて、作動解除弁の無電流位置が設けられている。
【0013】
本発明の別の実施態様によれば、作動解除弁が、直接に又はブレーキ力シミュレーションユニットを介してセンサシリンダに作用接続されている。それによって、作動解除弁は、センサシリンダとブレーキ力シミュレーションユニットとの間に設けることができる。その代わり、ブレーキシミュレーションユニットを一方側でセンサシリンダに接続し、他方側で作動解除弁に接続することも可能である。ブレーキシミュレーションユニットを他方側で作動解除弁に接続する場合、ブレーキ力シミュレーションユニットは、運転者が設定ブレーキ検出手段を操作すると直ちに、一方側でセンサシリンダによって負荷される。それと同時に、作動解除弁は、他方側で、流体がブレーキ力シミュレーションユニットから流出するのを阻止する。このような形式で、ブレーキ力シミュレーションユニットは操作されない。つまりブレーキ力シミュレーションユニットはロックされている。
【0014】
本発明の別の実施態様によれば、液圧システムの圧力調整装置を介して、常に十分な量の流動媒体/液圧媒体がブレーキシステム内若しくは液圧システム内に存在することが確認される。圧力調整装置は、例えば液圧タンク若しくはブレーキ液タンクとして設けることができる。液圧システム内にポンプが存在する場合は、このポンプが、液圧流体を圧力調整装置から汲み出す。
【0015】
本発明の実施態様によれば、倍力シリンダがセンサシリンダに液圧式に及び/又は機械式に連結されている。つまり、倍力シリンダを加圧弁若しくは減圧弁だけで制御する必要はない。同様に、倍力シリンダはセンサシリンダに液圧式に連結されているので、設定ブレーキ検出手段を操作すると倍力シリンダが変位する。同様に、センサシリンダとの機械的な接続部も設けられている。機械的な接続部は、理想的な形式で液圧式の接続部に追加して設けられる。倍力シリンダにおけるセンサシリンダの機械的な連結を介して、液圧システム内の圧力が損失している場合でも、ブレーキシステムを操作することができる。この場合、運転者の要望は、センサシリンダから機械的に倍力シリンダに伝達される。この倍力シリンダ自体はブレーキシリンダと機械的に作用接続されている。液圧システムが故障した場合でも、ブレーキシリンダを運転者の要望に基づいて操作することができる。この場合、センサシリンダは操作後直ちに倍力シリンダと機械的に連結されるのではなく、まず遊び区分が存在しており、この遊び区分内でセンサシリンダを操作しても影響はない。この遊び区分は、ブレーキシステムの修復可能性を保証するために必要である。
【0016】
本発明の実施態様によれば、圧力センサがセンサシリンダに作用接続している。圧力センサによって、例えば設定ブレーキ検出手段を介して検出された運転者の要望が評価される。センサシリンダ内の圧力も検出される。
【0017】
本発明の実施態様によれば、アキュムレータが、液圧システムのその他の部材から連結解除するための連結解除弁を有している。連結解除弁を介してアキュムレータは完全に閉鎖される。このような形式でアキュムレータ内の圧力はそれ以上加圧されず、また減圧もされないこのような形式で、液圧システム内の圧力損失は、(例えば弁の)非気密性によって最小限にされる。アキュムレータ内の圧力が加圧されると直ちに、アキュムレータは連結解除弁を介して連結解除され、従って液圧システム全体において高い圧力が維持される必要はない。必要であれば、つまり設定ブレーキ検出手段によって運転者の要望が検出されると、アキュムレータは再び液圧システムに連結されるので、倍力シリンダは液圧式に操作される。同様に、アキュムレータ内で圧力がさらに加圧されるのを阻止することによって、アキュムレータ内の圧力を加圧するためのシステム内の圧力が失われることは阻止される。これによって、ポンプは、非常に短時間で液圧システム内に非常に高い圧力を形成することができる。この圧力は、倍力シリンダ内で加圧され、次いでそれによってブレーキシリンダを介して高いブレーキ力を、自動車の少なくとも1つの車輪に伝達することができる。このような形式で、例えば自動車の横転阻止機能のために必要な非常に高いブレーキ力が短時間で形成される。
【0018】
本発明の別の実施態様によれば、ブレーキシリンダが車輪のブレーキ装置と作用接続している。ブレーキ装置を介して、ブレーキシリンダの操作時にブレーキ力が自動車の車輪に伝達される。このブレーキ装置は、例えば所属の液圧シリンダを備えた車輪ブレーキキャリパであってよい。
【0019】
本発明の別の実施態様によれば、ブレーキシリンダとブレーキ装置との間に、少なくとも1つのモジュレーションユニット、特にABSユニット及び/又はESPユニットが設けられている。それによって、ブレーキ力を(ブレーキ装置によって)自動車の車輪に加えるために用いられる、ブレーキシリンダ内で加圧された圧力は、ブレーキ装置に達する前に、モジュレーションユニット内に伝達される。この圧力は、モジュレーションユニット内で変えられ、特に減少される。このような手段は、ABSシステム又はESPシステムにおいて自動車を安定化させるためにしばしば用いられる。モジュレーションユニットによって、例えば、自動車の走行中に車輪がロックされることは避けられる。この場合、自動車の複数の車輪がブレーキシステムによって制御されるようになっている場合、個別の車輪も制御することができる。
【0020】
本発明の別の実施態様によれば、自動車が、従来型又はその他のハイブリッド駆動装置を有している。このブレーキシステムは、従来型の又はハイブリッド駆動装置を有する自動車のためにも同じように用いることができる。
【0021】
本発明はさらに、以上の実施例に従って構成されたブレーキシステムを有する自動車に関する。自動車は、選択的に従来型の駆動装置又はハイブリッド駆動装置を備えていてよい。この自動車のブレーキシステムは、勿論、前記のような個別の特徴を有する変化実施例に従って構成することができる。
【0022】
本発明を、以下に図示の実施例を用いて詳しく説明する。本発明の図示の実施例のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ブレーキ力シミュレーションユニットをロックするための作動解除弁と、センサシリンダと増幅シリンダとを接続する接続弁とを有する、2系統ブレーキシリンダを備えたブレーキシステムの回路図である。
【図2】アキュムレータとの連結を解除する連結解除弁が設けられている、図1に示したブレーキシリンダの回路図である。
【図3】作動解除弁も接続弁も省かれているブレーキシステムの回路図である。
【図4】作動解除弁がセンサシリンダに直接作用接続されているブレーキシステムの回路図である。
【図5】1系統ブレーキシリンダだけが設けられているブレーキシステムの回路図である。
【図6】作動解除弁がブレーキ力シミュレーションユニットの手前に配置されているブレーキシステムの回路図である。
【0024】
図1は、第1のブレーキ回路3と第2のブレーキ回路4とを備えた2系統ブレーキシリンダ2を有するブレーキシステム1を示す。第1のブレーキ回路3は、ブレーキ管路5を介して、モジュレーションユニット6に接続されており、このモジュレーションユニット6は、例えばABS法又はESP法に従って、第1のブレーキ回路3内の圧力を調整する。モジュレーションユニット6のアウトプット側において、第1のブレーキ回路3は図示していないブレーキ装置に接続されている。第1のブレーキ回路3のブレーキ装置は、例えば、同様に図示していない自動車(該自動車にブレーキシステム1が設けられている)の図示していない前車軸の図示していない車輪に、ブレーキ力を作用させる。同様に、第2のブレーキ回路4は、ブレーキ管路7を介してモジュレーションユニット6に接続されていて、モジュレーションユニット6のアウトプット側にブレーキ装置が設けられており、該ブレーキ装置は、ブレーキ力を自動車の後車軸の車輪に作用させる。モジュレーションユニット6は、自動車の各車輪の圧力を調整する。ブレーキシステム1はさらに倍力シリンダ8を有しており、該倍力シリンダ8は、ブレーキシリンダ2に機械的に作用接続している。機械的な接続は、ロッド9を介して行われ、このロッド9は、倍力シリンダ8のピストン10をブレーキシリンダ2のピストン11に接続する。倍力シリンダ8内のピストン10が変位すると、シリンダ2内のピストン11も変位する。これによって、ブレーキシリンダ2のチャンバ12内のピストン11が移動すると、圧力が増圧され、増圧された圧力がブレーキ管路5を介してモジュレーションユニット6に供給される。チャンバ12内の圧力によって、第2のブレーキ回路4に配属された、ブレーキシリンダ2のその他のピストン13も移動せしめられる。これによって、別のチャンバ14内の圧力も増圧され、第2のブレーキ回路4のブレーキ管路7を介してモジュレーションユニット6に供給される。チャンバ12,14は、ピストン11及び13の変位していない状態で、管路15を介して、ブレーキオイルタンク17として構成された圧力調整装置16に流体接続している。ピストン1の変位を可能にするために、別の管路18が設けられており、この管路18は、ピストン11の、チャンバ12とは反対側でブレーキシリンダ2内に開口している。このような形式で、ブレーキオイルはブレーキオイルタンク17から、ピストン11の運動によって形成されるチャンバ内に達する。
【0025】
倍力シリンダ8は、液圧システム19を介して操作される。このために、倍力シリンダ8は、高圧管路20及び接続管路21に接続されている。接続管路21は、接続弁22を介して倍力シリンダ8とセンサシリンダ23との間で流体接続を形成する。センサシリンダ23は設定ブレーキ検出手段24として用いられ、ブレーキ動作に応じた運転者の要望を検出する。センサシリンダ23は、自動車の図示していないブレーキペダルに接続された機械的な接続部25を有している。
【0026】
この機械的な接続部25に、ストロークセンサ26が接続されており、このストロークセンサ26によって、ブレーキペダルの変位が検出される。選択的に又は付加的に、センサシリンダ23の変位は、圧力センサ27によって測定される。この圧力センサ27は、センサシリンダ23内のピストン28の変位によって得られる圧力を測定する。圧力センサ27は、有利には接続弁22とセンサシリンダ23との間の接続管路21内に設けられている。ストロークセンサ26又は圧力センサ27によって、矢印29によって示された、ブレーキペダルに作用するペダル踏み力を測定することができる。このペダル踏み力は、運転者の要望を表している。ピストン28の運動を可能にするために、センサシリンダ23は、低圧管路30と流体接続している。
【0027】
ブレーキシステム1はさらに、ブレーキ力シミュレーションユニット31を有しており、該ブレーキ力シミュレーションユニット31は、ブレーキ力シミュレーションシリンダ32として構成されている。ブレーキ力シミュレーションシリンダ32は一方側が、圧力センサ27と同様に、接続弁22とセンサシリンダ23との間で例えば接続管路21に接続されている。センサシリンダ23が操作されると、つまりピストン28が変位すると、液圧流体はセンサシリンダ23のチャンバ33からブレーキ調整シリンダ32内に押しやられる。それによって、ブレーキ調整シリンダ32内のピストン34は変位せしめられる。このピストン34に抗してばね35が作用する。ブレーキ力シミュレーションシリンダ32は、接続管路21とは反対側において、作動解除弁36を介して低圧管路30に接続されている。作動解除弁36によって、ブレーキ力シミュレーションシリンダ32がロックされる。作動解除弁36が閉鎖されている状態で、ピストン34は移動しない。作動解除弁36が開放している状態で、ブレーキ力シミュレーションユニット31によって、ペダルストローク/ペダル踏み力に関連したブレーキペダルの特性が調整される。この場合、圧力センサ27は、例えばブレーキ力シミュレーションユニット31の制御/調節のためにも使用される。高圧管路20には、ポンプ37及びアキュムレータ38によって加圧弁39を介して圧力が供給される。モータ40に接続された、例えば3つのピストンポンプより構成されたポンプ37は、液圧流体を低圧管路30から高圧管路20に供給する。ポンプ37の作動時にアキュムレータ38が完全に満たされていないと、アキュムレータ38内の圧力が加圧され、蓄えられる。ポンプ37によって供給された流体若しくはアキュムレータ38の圧力は、圧力センサ41によって測定される。圧力センサ41によって、ポンプ37若しくはモータ40は、少なくとも加圧弁39が閉じられている間、ポンプ37の後ろ若しくはアキュムレータ38内の圧力がほぼ一定の保たれるように、調整/制御される。
【0028】
加圧弁39が開放されると、流体は高圧管路20を通って倍力シリンダ8内に達し、それによってブレーキシリンダ2は操作され、自動車の少なくとも1つの車輪にブレーキ力が加えられる。高圧管路20と低圧管路30との間に減圧弁42が配置されている。この減圧弁42によって、高圧管路20若しくは倍力シリンダ8内の圧力が低下されるので、少なくとも1つの車輪のブレーキ力が低下される。ブレーキ力は、加圧弁39及び減圧弁42を介して制御可能若しくは調整可能である。
【0029】
モジュレーションユニット6として、有利には従来のESPモジュレーションシステムが使用される。有利な形式で、従来のABSモジュレーションシステム又はその他のブレーキ圧調整システムを使用してもよい。倍力シリンダ8内の圧力は、算出によって確認することができるが、センサによって圧力を測定することもできる。このために、別の圧力センサが設けられる。倍力シリンダ8内の圧力を加圧できるようにするために、接続弁22は閉鎖する必要がある。ストロークセンサ26若しくは圧力センサ27によってブレーキ力を検出した後で、運転者の要望、つまり運転者のブレーキ操作の要望が、計算若しくは算出される。運転者のブレーキ操作の要望に基づいて、加圧弁39及び減圧弁42によって、倍力シリンダ8内の圧力が調節される。
【0030】
図1に示した弁は、それぞれ1つの戻り位置を有している。該戻り位置は、例えば弁の無電流状態(弁が制御されない)において、液圧回路システム19が故障した場合に弁が占める位置である。この状態において、接続弁22は開放され、作動解除弁36は閉鎖され、加圧弁39並びに減圧弁42は閉鎖されている。このような形式で、液圧的な経路に沿って接続管路21を介してブレーキ力がセンサシリンダ23から倍力シリンダ8に伝達される。これが不可能とされるべき場合には、付加的に機械的な接続部43が設けられている。この場合、ピストン48に接続されたロッド44がプランジャ45を有していて、ピストン10に接続されたロッド46がプランジャ47を有している。燃料がセンサシリンダ23から液圧的な経路に沿って接続管路21を介して倍力シリンダ8に伝達されなければ、ピストン28の所定の変位位置において、プランジャ45とプランジャ47とが接続され、それによって、ピストン10及びひいてはピストン11も機械的な経路に沿って変位せしめられる。作動解除弁36は、戻り平面における需要スペースを改善するために、特にペダル感触を改善するために、つまりこの場合、運転者のためのブレーキ力情報を提供するために用いられる。閉じた作動解除弁36のために、より短いペダルストロークが可能である。しかしながら、作動解除弁36は、例えば費用の理由により省いてもよく、ペダル感触の改善は行わなくてもよい。付加的な圧力センサ50は、高圧管路20内の圧力若しくは加圧弁39の後ろの圧力を規定するために、任意に設けることができる。圧力センサ50は、以下に記載の実施例においても設けることができる。
【0031】
図1に示したブレーキシステム1の選択的な実施例は、図2に記載されている。このブレーキシステム1は、アキュムレータ38を高圧管路20から遮断することができる。つまり連結解除弁48の閉じた状態で、アキュムレータ38から圧力センサ41、ポンプ37及び加圧弁39に通じる流体接続はもはや存在しなくなる。連結解除弁48を閉鎖することによって、アキュムレータ38の弾性は失われる。つまり、アキュムレータ38内の圧力は、ポンプ37によってそれ以上高められることはない。このような形式で、ポンプ37は非常に短時間で高められた圧力を形成する。この高められた圧力は、加圧弁39を介して倍力シリンダ8に供給され、それによって、ブレーキシリンダが、高いブレーキ力を生ぜしめるために操作される。このような形式で、自動車の横転を阻止するための機能のために必要な非常に高いブレーキ力が、非常に短時間で形成される。弁の戻り位置は、図1を用いて記載したものに相当する。連結解除弁48は、故障の場合に、開放した、つまり流体が貫流する位置を占める。
【0032】
図3は、別の実施例を示す。図3では、図1に示したブレーキシステム1に対して接続弁22並びに作動解除弁36が省かれている。接続弁22を省いたことによって、センサシリンダ23と倍力シリンダ8との流体接続は省かれている。加圧弁39及び減圧弁42を介して倍力シリンダ8内に圧力が形成されない場合、センサシリンダ23と倍力シリンダ8とは、所定の空ストローク後にプランジャ45及び47を介して互いに機械的に接触し、それによって、ペダル力(矢印29)が機械的にブレーキシリンダ2に作用する。
【0033】
この場合、作動解除弁36を省いたことによって、ブレーキ力シミュレーションユニット31は連結解除(遮断)されることはない。従って、減圧弁42は、無電流状態で開放する弁として構成されており、つまり戻り位置が開放された状態である。図1に示した実施例とは異なり、弁は故障時には開放されている。これによって、自動車の運転者の制動の要望を切換えるために、運転者は、ブレーキ力シミュレーションユニット31の、ばね35によって負荷されたピストン34に抗する程度に高められた力をもたらす必要がある。図1に示した実施例に対して、この実施例の利点は、部品点数を減らすことができ、ひいてはコストを安価にすることができる、という点にある。
【0034】
図4に示した実施例は、図1に示した実施例に対して、接続弁22が省かれていて、作動解除弁36がセンサシリンダ23と直接流体接続している、という点で優れている。このことはつまり、作動解除弁36は、ブレーキ力シミュレーションシリンダ32の、センサシリンダ23と同じ側に接続されている、ということである。このような形式で、センサシリンダ23と倍力シリンダ8との間の流体接続は省かれる。加圧弁39及び減圧弁42を介して、倍力シリンダ8内に圧力が形成されない場合、図3に関連して前述した機構が働く、つまりプランジャ45がプランジャ47と接触し、それによってブレーキシリンダ2が操作される。減圧弁42は図3と同じであって、作動解除弁36は無電流状態で開放する弁として構成され、加圧弁39は無電流状態で閉鎖される。ブレーキ力シミュレーションシリンダ32の接続を変えることによって、図4に示した実施例では、ブレーキ力シミュレーションユニット31は連結解除される。これによって、運転者の制動の要望を切換えるために、運転者は、ブレーキ力シミュレーションシリンダ32内のピストンをばね35に抗して摺動させる程度に高められたペダル力をもたらす必要はない。図4に示した実施例は、図3の実施例と同様に、図1の実施例における解決策に対して、部品点数を減らすことができ、ひいてはコストを安価にすることができる。
【0035】
図5に示した実施例は、有利には1系統ブレーキシリンダ2だけが使用されている。つまり、ブレーキシリンダ2は、第1のブレーキ回路3だけを有している。第1のブレーキ回路3は、自動車の前車軸に接続されている。このために、ブレーキシリンダ2はブレーキ管路5を介してモジュレーションユニット6に接続されている。ブレーキ力を、自動車の後車軸の車輪に伝達するために、倍力シリンダからの圧力がブレーキ管路7を介して用いられる。このために、倍力シリンダ8と接続弁22との間にブレーキ管路7が接続されている。ブレーキ管路7は、ブレーキ管路5と同様にまずモジュレーションユニット6に通じていて、次いで車輪のブレーキ装置に通じている。図5における弁の故障時の戻り位置は、図1の実施例と同じである。ブレーキペダルつまり設定ブレーキ検出手段24を操作すると、センサシリンダ23のチャンバ33から体積が倍力シリンダ8のチャンバ49に移動せしめられ、次いで後車軸の車輪のブレーキ装置に移動せしめられる。この体積移動は、接続弁22が開放されていることによって、確実に行われる。この時に、ブレーキ力シミュレーションシリンダ32が体積を収容することはない。何故ならば、ブレーキ力シミュレーションシリンダ32は、二次側において閉じた作動解除弁36によって液圧的に保持されているからである。
【0036】
故障時に、例えばブレーキ力シミュレーションシリンダ32に漏れがある場合に、弁の前記戻り位置において圧力が形成されないことも考えられる。このような場合のために、所定の空ストローク後に、2つのロッド44,46が前記形式でプランジャ45及び47を介して機械的に接続され、ひいてはペダル力が機械的にブレーキシリンダ2に作用するように、センサシリンダ23と倍力シリンダ8との組み合わせが設定されている。この場合も、図1に示した解決策に対して、部品点数の減らすことができ、ひいてはコストを安価にすることができる、という利点が得られる。また、第2のブレーキ回路4が省かれたことにより、構造長さが短縮された、という利点も得られた。
【0037】
図6は、図1に示したブレーキ回路1の別の実施例を示す。この図6に示した実施例では、作動解除弁36がブレーキ力シミュレーションユニットの前に配置されている。弁の戻り位置は、図1に示した実施例に相当する。このようなブレーキシステム1の変化実施例によって、部品点数の削減、ひいてはコストの低減が得られる。
【符号の説明】
【0038】
1 ブレーキ回路、 2 ブレーキシリンダ、 3 第1のブレーキ回路、 4 第2のブレーキ回路、 5 ブレーキ管路、 6 モジュレーションユニット、 7 ブレーキ管路、 8 倍力シリンダ、 9 ロッド、 10 倍力シリンダ8のピストン、 11 ブレーキシリンダ2のピストン、 12 チャンバ、 13 ピストン、 14 チャンバ、 15 管路、 16 圧力調整装置、 17 ブレーキオイルタンク、 18 管路、 19 液圧システム、 20 高圧管路、 21 接続管路、 22 接続弁、 23 センサシリンダ、 24 設定ブレーキ検出手段、 25 接続部、 26 ストロークセンサ、 27 圧力センサ、 28 ピストン、 29 ペダル力(矢印)、 30 低圧管路、 31 ブレーキ力シミュレーションユニット、 32 ブレーキ力シミュレーションシリンダ、 33 チャンバ、 34 ピストン、 35 ばね、 36 作動解除弁、 37 ポンプ、 38 アキュムレータ、 39 加圧弁、 40 モータ、 42 減圧弁、 43 機械的な接続部、 44 ロッド、 45 プランジャ、 47 プランジャ、 48 連結解除弁、 49 チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1系統のブレーキシリンダ(2)を有し、該ブレーキシリンダ(2)を操作することによって自動車の少なくとも1つの車輪にブレーキ力を作用させることができる、自動車用のブレーキシステム(1)において、
ブレーキシリンダ(2)が、設定ブレーキ検出手段(24)から連結解除された倍力シリンダ(8)と機械的に作用接続されており、該倍力シリンダ(8)が、設定ブレーキ検出手段(24)によって検出された運転者の要望に応じてブレーキシリンダ(2)を操作するために液圧式に制御可能であることを特徴とする、自動車用のブレーキシステム(1)。
【請求項2】
前記設定ブレーキ検出手段(24)が、ブレーキペダルと作用接続されたセンサシリンダ(23)及び/又はブレーキペダルの変位を検知するストロークセンサ(26)である、請求項1記載のブレーキシステム。
【請求項3】
倍力シリンダ(8)を制御するための液圧システム(19)が設けられている、請求項1又は2記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記液圧システム(19)が、圧力を形成するためのポンプ(37)及び/又は、圧力を蓄えるためのアキュムレータ(38)、及び/又は圧力を測定するための圧力センサ(41)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項5】
ブレーキ力シミュレーションユニット(31)によって生ぜしめられたブレーキ力情報を運転者にフィードバックするためのセンサシリンダ(23)が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項6】
ポンプ(37)及び/又はアキュムレータ(38)と倍力シリンダ(8)との間に、倍力シリンダ(8)内の圧力を加圧するために接続可能な加圧弁(39)が設けられている、請求項1から5までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項7】
倍力シリンダ(8)内の圧力を減圧するために接続可能な減圧弁(42)が設けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項8】
ブレーキ力シミュレーションユニット(31)が、ばね(35)によって負荷されたブレーキ力シミュレーションシリンダ(32)である、請求項1から7までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項9】
ブレーキ力シミュレーションユニット(31)が、該ブレーキ力シミュレーションユニット(31)をロックするための作動解除弁(36)を有している、請求項1から8までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項10】
作動解除弁(36)が、直接に又はブレーキ力シミュレーションユニット(31)を介してセンサシリンダ(23)に作用接続されている、請求項1から9までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項11】
液圧システム(19)の圧力調整装置(16)が設けられている、請求項1から10までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項12】
倍力シリンダ(8)がセンサシリンダ(23)に液圧式に及び/又は機械式に連結されている、請求項1から11までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項13】
圧力センサ(27)がセンサシリンダ(23)に作用接続している、請求項1から12までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項14】
アキュムレータ(38)が、液圧システム(19)のその他の部材から連結解除するための連結解除弁(48)を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項15】
ブレーキシリンダ(2)が車輪のブレーキ装置と作用接続している、請求項1から14までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項16】
ブレーキシリンダ(2)とブレーキ装置との間に、少なくとも1つのモジュレーションユニット(6)、特にABSユニット及び/又はESPユニットが設けられている、請求項1から15までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項17】
自動車が、従来型の駆動装置又はハイブリッド駆動装置を有している、請求項1から16までのいずれか1項記載のブレーキシステム。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載のブレーキシステム(1)を有する自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−509801(P2012−509801A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536805(P2011−536805)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/063576
【国際公開番号】WO2010/057730
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】