説明

自動車用ウエザストリップ組付け治具及び組付け方法

【課題】ウエザストリップを簡単な治具で容易にフランジに取付けられる組付け治具と組付け方法を提供する。
【解決手段】自動車用ウエザストリップの組付け治具において、組付け治具20は、上辺フレーム26、車外側フレーム27と車内側フレーム30から構成されるコ字形のフレームを有する。車外側フレームの上部の内面に上部押えローラー23を設け、車外側フレームの下部には、フランジガイドローラー24とワーク送りローラー25を設ける。車内側フレームの先端部分には、ウエザストリップ10の車内側側壁12の先端に当接して車内側側壁を車内方向に撓ませる開口用ローラー31を設け、開口用ローラー31の後部に車内側側壁をフランジ側に押える側壁押えローラー34を設けたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ組付け治具及び組付け方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用ウエザストリップを自動車車体のフランジに組付ける組付け治具及びその組付け治具を使用した組付け方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車にはドア開口、トランクルーム開口等の開口部があり、それぞれの車体開口部周縁にウエザストリップが装着され、車体開口部周縁とドアやトランクリッド等の相手部材との間をシールしている。
これらのウエザストリップを車体開口部周縁に装着する場合は、ウエザストリップのトリム部の内部に車体開口部周縁のフランジを挿入させて装着している。
【0003】
例えば、図6に示すように、自動車のリヤトランクの開口部のシールは、リヤトランクのリッドの周囲に対応する、自動車車体の車体開口部周縁6の先端に設けられたフランジ7に、ウエザストリップ110を装着する。
このウエザストリップ110は、フランジ7に取付けるトリム部120とトランクリッド2の裏面に当接してその間をシールする中空状の中空シール部140から形成されている。
【0004】
トリム部120は、車外側側壁121、車内側側壁122、及び底壁123からなり、断面略U字形をなして形成され、フランジ7の保持を強化するために、トリム部120の内部には、板金のインサート129が埋設されている。
その断面略U字形の内部には車外側側壁121と車内側側壁122の内面から車外側フランジ保持リップ124、125と車内側フランジ保持リップ126、127がそれぞれ断面ハ字形にトリム部120の内部(底壁123側)に向かって延設されて、フランジ7を保持している。
【0005】
ウエザストリップ110をフランジ7に装着するには、リヤトランクの開口の周囲に設けられたフランジ7の先端を、トリム部120の内部に若干挿入させてウエザストリップ110を仮止めする。その後、トリム部120内にフランジ7を奥まで挿入するが、トリム部120の内部には板金のインサート129が埋設されているため、トリム部120の内部の奥までフランジ7を挿入するために、強い力が必要であった。
【0006】
このため、トリム部120の内部の奥まで挿入するために、中空シール部140の上部からエアハンマー等で多数の箇所をたたいて、フランジ7を挿入していたが、エアハンマー等で多数の箇所をたたいても、トリム部120が上下方向に凸凹に挿入され、均一にトリム部120の内部にフランジ7を挿入することが困難であり、手間もかかっていた。
【0007】
そのため、図7に示すように、ウエザストリップ110のトリム部120の開口部を予め開いてハ字形に形成し、フランジ7をトリム部120内に挿入し、その後、インサート129が埋設されたトリム部120の両側の側壁を一対のローラー151,151で挟んで、トリム部120の開口部を閉じて、トリム部120を取付けるものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この場合は、トリム部120の開口部を閉じるために大きな力を必要とし、電気モーター152やエアシリンダー153等を必要として、装置も大きくなり、取り扱いも困難であった。
【0008】
また、インサートを有しないウエザストリップ210において、図8に示すように、トリム部220に両面接着テープ218を取付け、両面接着テープ218をフランジ7に取付けるものもある(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この場合でも、両面接着テープ218をフランジ7に押圧するために一対のローラー251を必要とするとともに、両面接着テープが高価であった。
【特許文献1】特開2001−347976号公報
【特許文献2】特開平5−338567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、ウエザストリップを簡単な治具で容易にフランジに取付けられる組付け治具と組付け方法を提供することを目的とする。特に、ウエザストリップのトリム部にインサートを有しないウエザストリップに好適な組付け治具と組付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車用ウエザストリップを自動車車体のフランジに組付ける組付け治具において、
組付け治具は、上辺フレーム、車外側フレームと車内側フレームから構成されるコ字形のフレームを有し、
車外側フレームの上部の内面にウエザストリップの上部を押圧する上部押えローラーを設け、車外側フレームの下部には、フランジ又は自動車車体に当接するフランジガイドローラーとウエザストリップの車外側側壁に当接するワーク送りローラーを設け、車内側フレームの先端部分には、ウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して車内側側壁を車内方向に撓ませる開口用ローラーを設け、開口用ローラーの後部に車内側側壁をフランジ側に押える側壁押えローラーを設けたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ組付け治具である。
【0011】
請求項1の本発明では、組付け治具は、上辺フレーム、車外側フレームと車内側フレームから構成されるコ字形のフレームを有するため、フランジに仮止めされたウエザストリップを囲むように組付け治具を取付けることができ、ウエザストリップを保持しつつ組み付けて、安定して組付け治具をフランジに沿って移動させ、長尺状のウエザストリップを全長に亘り組付けすることができる。
【0012】
車外側フレームの上部の内面にウエザストリップの上部を押圧する上部押えローラーを設けたため、ウエザストリップをフランジに取付けるときに、ウエザストリップがフランジから浮き上がらずに車内側側壁を撓ませることができ、トリム部の奥まで均一にフランジを挿入することができる。
【0013】
車外側フレームの下部には、フランジ又は自動車車体に当接するフランジガイドローラーを設けたため、組付け治具の位置がフランジに対して安定して、フランジの所定位置に確実にウエザストリップを取付けることができる。
ウエザストリップの車外側側壁に当接するワーク送りローラーを設けたため、フランジに沿って組付け治具を移動させて、スムースに長尺のウエザストリップを組付けることができる。
【0014】
車内側フレームの先端部分には、ウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して車内側側壁を車内方向に撓ませる開口用ローラーを設けたため、ウエザストリップのトリム部の開口部を広げることができ、フランジをトリム部に挿入する力が小さくなり、確実に所定位置まで挿入することができる。
【0015】
開口用ローラーの後部に車内側側壁をフランジ側に押える側壁押えローラーを設けたため、フランジをトリム部に挿入した後に、車内側に撓んだ車内側側壁を元の形状に戻して、フランジに当接させて、トリム部で確実にフランジを把持することができる。
【0016】
請求項2の本発明は、上辺フレームは、L字形に形成されたメインフレームのメインフレーム上辺部で形成され、車外側フレームは、メインフレーム上辺部の車外側側端から下方に延設されるメインフレーム車外側部とメインフレーム車外側部の下端から上下方向に摺動自在に車外側フレーム下部で形成され、車内側フレームは、メインフレーム上辺部の車内側側端に、回動自在に取付けられて形成され、
上部押えローラーは、メインフレーム車外側部の内面にウエザストリップの上部を押圧するように取付けられた自動車用ウエザストリップ組付け治具である。
【0017】
請求項2の本発明では、上辺フレームは、L字形に形成されたメインフレームのメインフレーム上辺部で形成される。このため、上辺フレームと車外側フレームの上部は一体的に形成され、強固なフレームを形成して、ウエザストリップをフランジに確実に取付けることができる。
【0018】
車内側フレームは、メインフレーム上辺部の車外側側端から下方に延設されるメインフレーム車外側部とメインフレーム車外側部の下端から上下方向に摺動自在に車外側フレーム下部で形成される。このため、フランジの形状に沿って組付け治具を移動させて、フランジに対して所定位置に保つことができ、ウエザストリップをフランジに凹凸なく平滑に取付けることができる。
【0019】
車内側フレームは、メインフレーム上辺部の車内側側端に、回動自在に取付けられて形成されたため、フランジにウエザストリップを取付けた後に、組付け治具をフランジから容易に外すことができる。
上部押えローラーは、メインフレーム車外側部の内面にウエザストリップの上部を押圧するように取付けられたため、上部押えローラーが上辺フレームと一体的に、強固に組付け治具に取付けられて、ウエザストリップを強く押圧して、トリム部がフランジから浮き上がることなく、トリム部内にフランジを確実に挿入することができる。
【0020】
請求項3の本発明は、車内側フレームは、上下方向にスライド可能に形成された自動車用ウエザストリップ組付け治具である。
【0021】
請求項3の本発明では、車内側フレームは、上下方向にスライド可能に形成されたため、フランジにウエザストリップを取付けた後に、車内側フレームを下方にスライドさせて、開口用ローラーを車内側側壁の先端から外して、組付け治具をフランジから容易に外すことができる。
【0022】
請求項4の本発明は、ウエザストリップは、ウエザストリップのトリム部内にインサートが埋設されていない自動車用ウエザストリップ組付け治具である。
【0023】
請求項4の本発明では、ウエザストリップは、ウエザストリップのトリム部内にインサートが埋設されていないため、開口用ローラーで車内側側壁を車内側に容易に撓ませることができ、フランジへの組付けが容易であり、ウエザストリップを組付けた後は、車内側側壁をフランジに当接するようにもとの形状に戻すことが容易である。
【0024】
請求項5の本発明は、上辺フレーム、車外側フレームと車内側フレームから構成されるコ字形のフレームを有し、車外側フレームの上部の内面にウエザストリップの上部を押圧する上部押えローラーを設け、車外側フレームの下部には、フランジ又は自動車車体に当接するフランジガイドローラーとウエザストリップの車外側側壁に当接するワーク送りローラーを設け、車内側フレームの先端部分には、ウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して車内側側壁を車内方向に撓ませる開口用ローラーを設け、開口用ローラーの後部に車内側側壁をフランジ側に押える側壁押えローラーを設けた自動車用ウエザストリップ組付け治具を使用して、自動車車体のフランジに組付ける組付け方法であって、
ウエザストリップのトリム部をフランジの先端に若干挿入し、仮組付けをした後に、
フランジガイドローラーを車体又はフランジに当接させるとともに、開口用ローラーをウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して車内側側壁を車内方向に撓ませて、ウエザストリップのトリム部の開口部を開口させて、上部押えローラーをウエザストリップの上部に当接させ、ウエザストリップをフランジに押圧して、トリム部の内部にフランジを挿入しつつ組付け治具を、フランジ上を移動させ、その後、側壁押えローラーで開口した車内側側壁をフランジ方向に撓ませて、トリム部の開口部を閉じて、ウエザストリップをフランジに取付けた自動車用ウエザストリップの取付け方法である。
【0025】
請求項5の本発明では、ウエザストリップのトリム部をフランジの先端に若干挿入し、仮組付けをしたため、フランジに沿って、ウエザストリップを暫定的に配置することができ、組付け作業中はウエザストリップを保持して、組付け治具をフランジとウエザストリップに沿って容易に移動させて、組付けをすることができる。
【0026】
フランジガイドローラーを車体又はフランジに当接させたため、フランジに対して組付け治具の位置が安定して、フランジの所定位置に確実にウエザストリップを取付けることができる。
開口用ローラーをウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して車内側側壁を車内方向に撓ませて、ウエザストリップのトリム部の開口部を開口させたため、ウエザストリップのトリム部の開口部を広げることができ、フランジをトリム部に挿入する力が小さくなり、確実に所定位置まで挿入することができる。
【0027】
上部押えローラーをウエザストリップの上部に当接させ、ウエザストリップをフランジに押圧して、トリム部の内部にフランジを挿入しつつ組付け治具を、フランジ上を移動させた。このため、ウエザストリップをフランジに取付けるときに、トリム部の奥まで均一にフランジを挿入することができ、フランジに対してウエザストリップが浮き上がることなく、ウエザストリップを均一にフランジの所定位置に取付けることができる。
【0028】
ウエザストリップをフランジに取付けた後、側壁押えローラーで開口した車内側側壁をフランジ方向に撓ませて、トリム部の開口部を閉じて、ウエザストリップをフランジに取付けたため、トリム部の車内側側壁と車外側側壁がフランジを確実に挟持することができる。
【0029】
請求項6の本発明は、ウエザストリップをフランジに取付けたのちに、車内側フレームを下方にスライドさせ、開口用ローラーをトリム部から外した後、車内側フレームを回動させ、組付け治具をフランジから外した自動車用ウエザストリップの取付け方法である。
【0030】
請求項6の本発明では、ウエザストリップをフランジに取付けたのちに、車内側フレームを下方にスライドさせ、開口用ローラーをトリム部から外した後、車内側フレームを回動させ、組付け治具をフランジから外した。このため、トリム部の組付け状態に影響を与えることなく、開口用ローラーを車内側側壁から外すとともに、組付け治具をウエザストリップから容易に外すことができる。
【発明の効果】
【0031】
車外側フレームの下部には、フランジ又は自動車車体に当接するフランジガイドローラーを設けたため、組付け治具の位置が安定して、フランジの所定位置に確実にウエザストリップを取付けることができる。
車内側フレームの先端部分には、ウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して車内側側壁を車内方向に撓ませる開口用ローラーを設けたため、ウエザストリップのトリム部の開口部を広げることができ、フランジをトリム部に挿入する力が小さくなり、確実に所定位置まで挿入することができる。
側壁押えローラーを設けたため、フランジをトリム部に挿入した後に、車内側側壁を元の形状に戻して、トリム部で確実にフランジを把持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明の実施の形態を図1〜図5に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態を示すものであり、組付け治具20を使用して、ウエザストリップ10をフランジ7に取付ける状態の組付け治具20の正面図であり、図2は、組付け治具20の車内側フレーム30を下方にスライドさせた状態の正面図であり、図3は、組付け治具20の車内側フレーム30を回動させた状態の正面図である。
図4は、組付け治具20をフランジ7のコーナー部に取付けた状態の下方から見た斜視図であり、図5は、組付け治具20をフランジ7のコーナー部に取付けた状態の斜め上方から見た斜視図である。
【0033】
まず、本発明の実施に使用されるウエザストリップ10について説明する。本発明の組み付けに使用されるウエザストリップ10をリヤトランクに装着されるウエザストリップ10を例にとり説明するが、本発明は、バックドアウエザストリップ、自動車のドア開口部、ルーフ開口部等の広く自動車の開口部をシールするウエザストリップを組付ける場合に使用することができる。
【0034】
本発明の組み付けに使用されるウエザストリップ10は、図1〜図3に示すように、フランジ7に取付けるトリム部17とトランクリッド2に当接してシールする中空シール部16から形成される。
トリム部17は、車外側側壁11と、車内側側壁12と、底壁13からなる断面略コ字形をなしている。車外側側壁11、車内側側壁12と、底壁13の内部には、金属板等の骨片からなるインサートは埋設されていなく、ゴム又は熱可塑性エラストマーの硬質材で形成されているものが好ましい。
【0035】
車外側側壁11と底壁13は、コーナー部で連結され、コーナー部の外面は、車外側側壁と底壁のなす角度が、90度〜100度の角度をなすように形成されているものが好ましい。また、車内側側壁12と底壁13も同様に、コーナー部で連結され、コーナー部の外面は、車内側側壁と底壁のなす角度が、90度〜100度の角度をなすように形成されているものが好ましい。この場合は、それぞれのコーナー部の角度が直角又は鈍角で形成され、トリム部17の開口部が狭くなることがなく、車外側側壁11と車内側側壁12は平行か、あるいは若干開口側が開いているので、トリム部17をフランジ7に挿入することが容易である。
【0036】
底壁13と車外側側壁11のコーナー部の外面の角部及び底壁13と車内側側壁12のコーナー部の外面の角部の曲率半径は0.5mm以下で形成されているものが好ましい。この場合は、両コーナー部の剛性が向上し、車外側側壁11と車内側側壁12がコーナー部を中心にして開くことがなく、硬質材で形成された車外側側壁11と車内側側壁12がフランジ7を挟持する力が大きくなり、インサートを埋設しなくても、トリム部17がフランジ7から外れることがない。
【0037】
ウエザストリップ10の車外側側壁11、底壁13と車内側側壁12は、EPDMゴム又はオレフィン系熱可塑性エラストマーで形成することが好ましく、その硬度は、JIS硬度75度〜100度であるソリッド材で形成することが好ましい。この場合は、フランジ7が車体に沿って屈曲していてもその屈曲に追従することができる柔軟性と、フランジ7を保持する充分な剛性を有することができる。
【0038】
車外側側壁11の内面には、従来と同様に、開口側から順に第1車外側フランジ保持リップと第2車外側フランジ保持リップが断面略コ字形の内部に向けて斜め上の方向に形成されて、車内側側壁12の内面には第1車内側フランジ保持リップと第2車内側フランジ保持リップが同様に、断面略コ字形の内部に向けて斜め方向に形成されている。
このため、ウエザストリップ10をフランジ7に装着すると、フランジ7を車外側フランジ保持リップと車内側フランジ保持リップのそれぞれ2本で安定して保持することができる。
【0039】
次に、本発明の実施の形態である組付け治具20について説明する。
組付け治具20は、組付け治具20の上辺を構成する上辺フレーム、車外側フレーム27と車内側フレーム30から構成されるコ字形のフレームを有する。この3つのフレームにより、フランジ7に取付けるウエザストリップ10を囲むように組付け治具20をフランジ7に取付けることができ、安定して組付け治具20をフランジ7に沿って移動させることができる。
【0040】
上辺フレームは、L字形に形成されたメインフレーム21の一部で構成されることが好ましい。メインフレーム21は、上辺フレームを構成するメインフレーム上辺部26と、メインフレーム上辺部26の車外側側端から下方に延設され、車外側フレーム27の上部を構成するメインフレーム車外側部22から構成される。
この場合は、メインフレーム上辺部26と車外側フレーム27の上部のメインフレーム車外側部22は一体的に形成され、強固なフレームを形成して、ウエザストリップ10をフランジ7に確実に取付けることができる。
【0041】
車外側フレーム27の上部であるメインフレーム車外側部22の内面にウエザストリップ10の上部を押圧する上部押えローラー23を設けた。上部押えローラー23により、図1〜図3に示すように、ウエザストリップ10をフランジ7に取付けるときに、トリム部17の奥まで均一にフランジ7を挿入することができる。
【0042】
上部押えローラー23は、メインフレーム車外側部22の内面にウエザストリップ10の上部を押圧するように取付けられたため、メインフレーム車外側部22は上述のようにメインフレーム上辺部26と一体であり、上部押えローラー23が強固に組付け治具20に取付けられて、ウエザストリップ10を強く押圧して、トリム部17がフランジ7から浮き上がることなく、トリム部17内にフランジ7を確実に挿入することができる。
【0043】
車外側フレーム27の下部には、フランジ7又は自動車車体1に当接するフランジガイドローラー24を設けた。フランジガイドローラー24は、フランジ7又は自動車車体1に当接して、組付け治具20とフランジ7の先端の位置を一定に保つことにより、フランジ7の所定位置に確実にウエザストリップ10を取付けることができる。
【0044】
車外側フレーム27は、メインフレーム上辺部26の車外側側端から下方に延設されるメインフレーム車外側部22とメインフレーム車外側部22の下端から上下方向に摺動自在に車外側フレーム27の下部が形成される。このため、フランジ7の形状に合わせて組付け治具20を所定位置に保つことができ、ウエザストリップ10をフランジ7の所定位置に取付けることができる。
【0045】
車外側フレーム27の下部には、さらに、ウエザストリップ10の車外側側壁11の外面に当接するワーク送りローラー25を設けた。ワーク送りローラー25は、フランジ7に沿って取付けられた車外側側壁11の外面に当接することにより、フランジ7に沿って組付け治具20を移動させることができ、図5に示すように、フランジ7が曲がっていてもスムースに長尺のウエザストリップ10を組付けることができる。
【0046】
車内側フレーム30の先端部分には、ウエザストリップ10の車内側側壁12の先端に当接して、図1と図4に示すように、車内側側壁12を車内方向、即ち、開口部が開く方向に撓ませる開口用ローラー31が設けられている。開口用ローラー31は、ウエザストリップ10のトリム部17の開口部を広げることにより、フランジ7をトリム部17の内部に挿入する力が小さくなり、容易に、確実にフランジ7をトリム部17の所定位置まで挿入することができる。
【0047】
開口用ローラー31は、その先端が車内側フレーム30の先端部分から斜め上方に向けて取付けられている。このため、開口用ローラー31の先端は、車内側側壁12の先端に当接することが容易である。また、開口用ローラー31は、複数本取付けることができる。この場合は、車内側側壁12を所定の長さ分撓ませることができ、フランジ7の挿入作業が容易となる。
【0048】
車内側フレーム30の開口用ローラー31の後部に車内側側壁12をフランジ7側に押える側壁押えローラー34を設けた。開口用ローラー31で車内側側壁12を撓ませて、側壁押えローラー34によりフランジ7をトリム部17に挿入した後に、撓んで開いた車内側側壁12を元の形状に戻す。これにより、フランジ7に当接させて、トリム部17で確実にフランジ7を把持することができる。
【0049】
車内側フレーム30は、図2に示すように、車内側フレームスライド部32が車内側フレーム回動部33の部分で上下方向にスライド可能に形成されている。このため、ウエザストリップ10をフランジ7に取り付けた後は、車内側フレーム30を下方にスライドさせて、開口用ローラー31をトリム部17の車内側側壁12から外すことができる。
【0050】
さらにその後、図3に示すように、車内側フレーム30は、メインフレーム上辺部26の車内側側端に、回動自在に取付けられて形成されている。このため、車内側フレーム回動部33の先端部分を中心に横方向に回動させて、組付け治具20をフランジ7から容易に外すことができる。
【0051】
次に、組付け治具20を使用したウエザストリップ10の取付け方法について説明する。
ウエザストリップ10の取付け方法は、まず、ウエザストリップ10のトリム部17の開口部をフランジ7の先端に若干挿入し、仮組付けをする。これによって、ウエザストリップ10をフランジ7に組付け治具20を使用して組付ける間、フランジ7に仮に固定することができる。したがって、フランジ7に沿って、ウエザストリップ10を暫定的に配置することができ、組付け治具20をフランジ7とウエザストリップ10に沿って移動させても、ウエザストリップ10がフランジ7からずれることがなく、ウエザストリップ10のトリム部17をフランジ7へ容易に組付けをすることができる。
【0052】
次に図1に示すように、フランジガイドローラー24を自動車車体1又はフランジ7に当接さる。そして、上部押えローラー23をウエザストリップ10の中空シール部16に当接させて、ウエザストリップ10を下方に押圧する。このとき、車外側フレーム27の下部は上下方向にスライドできるため、上部押えローラー23が所定の位置に位置することができる。
【0053】
さらに、開口用ローラー31の先端をウエザストリップ10の車内側側壁12の先端に当接して車内側側壁12を車内方向、即ち、横方向外側に撓ませる。これにより、ウエザストリップ10のトリム部17の開口部を開口させることができたため、フランジ7をトリム部17の内部に挿入することが容易となり、トリム部17内に保持リップがあっても、挿入する力が小さくなり、フランジ7から浮き上がることなく、フランジ7を確実に所定位置まで挿入することができる。
【0054】
さらに、図4と図5に示すように、上部押えローラー23をウエザストリップ10の中空シール部16に当接させ、ウエザストリップ10をフランジ7に押圧して、トリム部17の内部にフランジ7を挿入しつつ組付け治具20を、フランジ7上を移動させる。このようにして、ウエザストリップ10を長手方向の端部から他の端部までコーナー部が有っても、フランジ7に取付けることができる。そして、トリム部17の奥まで、均一にフランジ7を挿入することができ、ウエザストリップ10をフランジ7に対して凹凸がなく均一にフランジ7の所定位置に取付けることができる。
【0055】
組付け治具20を、フランジ7上を移動させるときに、ウエザストリップ10のトリム部17をフランジ7に挿入した後、ワーク送りローラー25で開口した車内側側壁12をフランジ7方向に撓ませて、トリム部17の開口部を閉じる。これにより、ウエザストリップ10の車内側側壁12をフランジ7に当接させて、トリム部17がフランジ7を確実に挟持することができる。
【0056】
ウエザストリップ10の全体をフランジ7に取付けたのちに、組付け治具20の車内側フレーム30を下方にスライドさせ、開口用ローラー31をトリム部17の車内側側壁12から外した後、車内側フレーム30を回動させ、組付け治具20をフランジから外す。これにより、組付け治具20はトリム部17に接触することなく、トリム部17の組付け状態に影響を与えることなく、組付け治具20をウエザストリップ10から容易に外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態を示すもので、組付け治具を使用して、ウエザストリップをフランジに取付ける状態の組付け治具の正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示すもので、組付け治具の車内側フレームを下方にスライドさせた状態の正面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示すもので、組付け治具の車内側フレームを回動させた状態の正面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示すもので、組付け治具をフランジのコーナー部に取付けた状態の下方から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態を示すもので、組付け治具をフランジのコーナー部に取付けた状態の斜め上方から見た斜視図である。
【図6】従来のウエザストリップ取付け状態を示す断面図である。
【図7】従来のウエザストリップの組付け治具の断面図である。
【図8】従来の他のウエザストリップの組付け治具の断面図である。
【符号の説明】
【0058】
7 フランジ
10 ウエザストリップ
11 車外側側壁
12 車内側側壁
13 底壁
17 トリム部
20 組付け治具
21 メインフレーム
23 上部押えローラー
24 フランジガイドローラー
27 車外側フレーム
30 車内側フレーム
31 開口用ローラー
34 側壁押えローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ウエザストリップを自動車車体のフランジに組付ける組付け治具において、
該組付け治具は、上辺フレーム、車外側フレームと車内側フレームから構成されるコ字形のフレームを有し、
上記車外側フレームの上部の内面に上記ウエザストリップの上部を押圧する上部押えローラーを設け、上記車外側フレームの下部には、上記フランジ又は自動車車体に当接するフランジガイドローラーと上記ウエザストリップの車外側側壁に当接するワーク送りローラーを設け、上記車内側フレームの先端部分には、上記ウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して上記車内側側壁を車内方向に撓ませる開口用ローラーを設け、該開口用ローラーの後部に上記車内側側壁を上記フランジ側に押える側壁押えローラーを設けたことを特徴とする自動車用ウエザストリップ組付け治具。
【請求項2】
上記上辺フレームは、L字形に形成されたメインフレームのメインフレーム上辺部で形成され、上記車外側フレームは、上記メインフレーム上辺部の車外側側端から下方に延設されるメインフレーム車外側部と該メインフレーム車外側部の下端から上下方向に摺動自在に上記車外側フレーム下部で形成され、上記車内側フレームは、上記メインフレーム上辺部の車内側側端に、回動自在に取付けられて形成され、
上記上部押えローラーは、上記メインフレーム車外側部の内面に上記ウエザストリップの上部を押圧するように取付けられた請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ組付け治具。
【請求項3】
上記車内側フレームは、上下方向にスライド可能に形成された請求項1又は請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ組付け治具。
【請求項4】
上記ウエザストリップは、上記ウエザストリップのトリム部内にインサートが埋設されていない請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ組付け治具。
【請求項5】
上辺フレーム、車外側フレームと車内側フレームから構成されるコ字形のフレームを有し、上記車外側フレームの上部の内面にウエザストリップの上部を押圧する上部押えローラーを設け、上記車外側フレームの下部には、上記フランジ又は自動車車体に当接するフランジガイドローラーと上記ウエザストリップの車外側側壁に当接するワーク送りローラーを設け、上記車内側フレームの先端部分には、上記ウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して上記車内側側壁を車内方向に撓ませる開口用ローラーを設け、該開口用ローラーの後部に上記車内側側壁を上記フランジ側に押える側壁押えローラーを設けた自動車用ウエザストリップ組付け治具を使用して、自動車車体のフランジに組付ける組付け方法であって、
上記ウエザストリップのトリム部を上記フランジの先端に若干挿入し、仮組付けをした後に、
上記フランジガイドローラーを車体又はフランジに当接させるとともに、上記開口用ローラーを上記ウエザストリップの車内側側壁の先端に当接して上記車内側側壁を車内方向に撓ませて、上記ウエザストリップのトリム部の開口部を開口させて、上記上部押えローラーをウエザストリップの上部に当接させ、上記ウエザストリップを上記フランジに押圧して、上記トリム部の内部に上記フランジを挿入しつつ、組付け治具を、上記フランジ上を移動させ、その後、上記側壁押えローラーで開口した上記車内側側壁を上記フランジ方向に撓ませて、上記トリム部の開口部を閉じて、上記ウエザストリップを上記フランジに取付けた自動車用ウエザストリップの取付け方法。
【請求項6】
上記ウエザストリップを上記フランジに取付けたのちに、上記車内側フレームを下方にスライドさせ、上記開口用ローラーを上記トリム部から外した後、上記車内側フレームを回動させ、上記組付け治具を上記フランジから外した請求項5に記載の自動車用ウエザストリップの取付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−262772(P2009−262772A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−115165(P2008−115165)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】