自動車用ウエザストリップ
【課題】インサートを有し、フランジの保持力が強く、製造が容易なウエザストリップを提供する。
【解決手段】トリム部20とシール部30を有するウエザストリップ10において、トリム部20は、車外側側壁21と車内側側壁22の内面からそれぞれ車外側保持リップ24と車内側保持リップ26が形成されるとともに、トリム部20の内部にインサート40が内部に埋設される。インサート40は、帯状金属板から多数の短冊部41を幅方向に並べるように、かつ短冊部41の両側の端部付近を長手方向に連結部42、43で連結した梯子状となるように形成される。短冊部と短冊部の間にはスリット44、45が形成され、連結部42の中心部分は、車外側保持リップ24の根元部24aと車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の側端側にずれて位置する。
【解決手段】トリム部20とシール部30を有するウエザストリップ10において、トリム部20は、車外側側壁21と車内側側壁22の内面からそれぞれ車外側保持リップ24と車内側保持リップ26が形成されるとともに、トリム部20の内部にインサート40が内部に埋設される。インサート40は、帯状金属板から多数の短冊部41を幅方向に並べるように、かつ短冊部41の両側の端部付近を長手方向に連結部42、43で連結した梯子状となるように形成される。短冊部と短冊部の間にはスリット44、45が形成され、連結部42の中心部分は、車外側保持リップ24の根元部24aと車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の側端側にずれて位置する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアやトランクリッド等の車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするために使用する、押出成形により成形された自動車用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用のウエザストリップ110は、図13に示すように、自動車の車体の開口部の周縁に設けられて、フランジ50に取付けられる取付基部としてのトリム部120と、扉体に当接して車体と扉体との間をシールする中空シール部130から構成されている。トリム部120は、車外側側壁121、車内側側壁122及び底壁123からなる断面略U字形をなし、トリム部120の内部には、トリム部120の把持力を大きくするため、帯状金属板にスリットを入れ圧延又は打ち抜き等して形成されたインサート140が埋設されている(例えば、特許文献1参照。)。車外側側壁211の内面からは、底壁123側から順に第1車外側保持リップ124と第2車外側保持リップ125が1本ずつ形成され、車内側側壁122の内面からは、底壁123側から順に第1車内側保持リップ126と第2車内側保持リップ127が1本ずつ形成されている。
【0003】
このインサート140は、図15に示すように、多数の短冊部141を幅方向に並べ、短冊部141の両側の端部付近を長手方向に連結部で連結した平面視で梯子状の形状である。そして、連結部は短冊部141の端部付近を圧延して形成され、インサート140の幅方向における幅が狭く破断させやすい第1連結部142と、幅が広く破断させにくく、短冊部141を2個ずつ連結する第2連結部143を有し、第1連結部142と短冊部141とで囲む第1スリット144と、第2連結部143と短冊部141とで囲む第2スリット145が形成されている。
【0004】
このインサート140は、長尺成形品の製造時、すなわち、押出成形機に移送され、ゴム状弾性体の被覆層を形成するときには、引取等の都合上、連結部は連結されたままの状態である。しかしながら、長尺成形品として使用するときには、フランジのコーナー部に沿って曲げて装着するとき等のために、トリム部120の可撓性を高めるように連結部を分離させている。
【0005】
このため、長尺成形品としての押出成形後のインサート140は、短冊部141が2個ずつ組合されて第1連結部142部位で破断、分離させ、破断後はトリム部120内で、2個ずつの短冊部141と、その2個ずつの短冊部141を連続する上下の第2連結部143と、第2スリット145とで構成されたインサート140として存在する。
【0006】
近年、地球環境の保護のため自動車の軽量化が求められているが、ウエザストリップ110においても、軽量化が必要であり、例えば、トリム部120の側壁の肉厚を減少させることも試みられている。また、インサート140を軽くするため、インサート140の肉厚を薄くして、連結部の圧延を大きくして、圧延部分の長さを長くすることも考えられている。
【0007】
このとき、トリム部120内にドアや車体開口部周縁に形成されたフランジ50が挿入されると、第1車外側保持リップ124、第2車外側保持リップ125及び第1車内側保持リップ126と第2車内側保持リップ127がそれぞれフランジ50を保持して、ウエザストリップ110を車輛(車体)に取付けている。特に、底壁123側の第1車外側保持リップ124と第1車内側保持リップ126がフランジ50を保持する力が強く、フランジ50の保持のため重要である。
【0008】
トリム部120において、インサート140の両側にはトリム部120を構成するゴム状弾性体の被覆層が形成されているが、このゴム状弾性体の被覆層は、インサート140の第1スリット144と第2スリット145とにおいて、両側が一体的に連結されてインサート140に対して固定されている。
【0009】
しかしながら、第1連結部142と第2連結部143の部分は、このゴム状弾性体の被覆層が一体的に連結されずに、両側に分離されている。特に、第2連結部143の部分は、長手方向においてその横にある第1連結部142の部分で被覆層の両側が一体的に連結されているが、第1連結部142の部分では、長手方向において、被覆層が両側に完全に分離されている。また、ウエザストリップ110の軽量化のため、被覆層の肉厚も薄くなり、圧延部である第1連結部142と第2連結部143の部分の長手方向の長さも長くなる。
【0010】
このため、図13と図14に示すように、第1車外側保持リップ124の根元部124aと第1車内側保持リップ126の根元部126aと対向するインサート140の部分が、第1連結部142と第2連結部143の部分である場合には、第1車外側保持リップ124の根元部124aと第1車内側保持リップ126の根元部126aがインサート140から離れて、第1車外側保持リップ124と第1車内側保持リップ126がフランジ50を保持する力が減少するため、トリム部120のフランジ50からの抜け荷重が低下することがあった。
【0011】
また、図16に示すように、インサート240の分離タイプではないが、トリム部220と中空シール部230を有するウエザストリップ210がある(例えば、特許文献2及び3参照。)。このウエザストリップ210では、トリム部220は、車外側側壁221、車内側側壁222及び底壁223からなる断面略U字形を形成し、車外側側壁221及び車内側側壁222の内面から車外側保持リップ224と車内側保持リップ226が延設されている。ウエザストリップ210の柔軟性のため、インサート240の連結部242は、車外側保持リップ224の根元部224aと車内側保持リップ226の根元部226aと対向する部分よりも底壁223側にある。
【0012】
このウエザストリップ210を成形するには、平板状のインサート240を被覆層と共に押出成形した後に、断面略U字形に曲げ加工するが、その時、インサート240の連結部242が、底壁223と、車外側側壁221及び車内側側壁222の曲げ部分と近接して、連結部242付近でインサート240が曲がってしまい、トリム部220が歪む場合がある。
【0013】
さらに、連結部242付近で車外側側壁221及び車内側側壁222の内壁が剥離して膨らんで、フランジ50の挿入が不十分になったり、トリム部220内にシーラや止水スポンジと挿入する場合に位置がずれて、フランジ50の先端との間のシール性が低下したりする場合がある。
また、インサート240の連結部242から短冊部241の先端までの長さが長くなり、トリム部220の被覆層を押出成形するときの、押出抵抗が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−231222号公報
【特許文献2】特開2008−265068号公報
【特許文献3】特開2002−200944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そのため、インサートを有し、フランジの保持力が強く、製造が容易な自動車用ウエザストリップを得ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部周縁又は開口部開閉部材に形成されたフランジを保持するトリム部と、トリム部と一体に形成され、相手部材に当接してシールするシール部を有するウエザストリップにおいて、
トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形に形成され、車外側側壁と車内側側壁の内面からそれぞれ車外側保持リップと車内側保持リップが形成されるとともに、トリム部の内部に帯状金属板を加工して形成されたインサートが内部に埋設され、
インサートは、帯状金属板から多数の短冊部を幅方向に並べるように、かつ短冊部の両側の端部付近を長手方向に連結部で連結した梯子状となるように形成されており、短冊部と短冊部の間にはスリットが形成され、連結部の中心部分は、車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置することを特徴とする自動車用ウエザストリップである。
【0017】
請求項1の本発明では、トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形に形成され、車外側側壁と車内側側壁の内面からそれぞれ車外側保持リップと車内側保持リップが形成されるとともに、トリム部の内部に帯状金属板を加工して形成されたインサートが内部に埋設される。このため、インサートにより車外側保持リップと車内側保持リップがフランジを保持する力が強くなり、トリム部の肉厚を薄くしても、フランジからトリム部が抜け出ることがない。
【0018】
インサートは、帯状金属板から多数の短冊部を幅方向に並べるように、かつ短冊部の両側の端部付近を長手方向に連結部で連結した梯子状となるように形成されており、短冊部と短冊部の間にはスリットが形成されている。このため、圧延と引張力で帯状金属板から歩留まり良くインサートを形成することが容易であり、スリットによりトリム部の被覆層とインサートとの固着をすることができる。
【0019】
連結部の中心部分は、車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する。このため、車外側保持リップと車内側保持リップの根元部をインサートのスリットが存在する位置に設けることができ、根元部がインサートから剥離することがなく、車外側保持リップと車内側保持リップがフランジを保持する力が低下することを防止できる。
【0020】
また、連結部の中心部分が短冊部の先端側に位置するため、平板状のインサートを被覆層と共に押出成形した後に、断面略U字形に曲げ加工するが、その時、連結部が曲げ部分から離れているため、連結部で曲がることがなく、断面略U字形が歪むことがない。
さらに、連結部付近で車外側側壁及び車内側側壁の内壁が剥離して膨らんで、フランジの挿入が不十分になったり、トリム部内にシーラや止水スポンジと挿入する場合に位置がずれたりすることがない。また、インサートの連結部から短冊部の先端までの長さが短いため、トリム部の被覆層を押出成形するときの、押出抵抗が小さく、押出成形が容易である。
【0021】
請求項2の本発明は、短冊部と短冊部の間にはスリットが形成され、スリットは、インサートの長手方向における幅の広い第1スリットと、第1スリットよりもインサートの長手方向における幅の狭い第2スリットが交互にインサートの長手方向に沿って形成され、第1スリットの部分でインサートがウエザストリップ成形後に分離されている自動車用ウエザストリップである。
【0022】
請求項2の本発明では、このため、幅の広い第1スリットにより単位長さあたりの短冊部の数を少なくすることができ、インサートの重量を低減でき、車輌の軽量化に貢献することができる。また、インサートを長尺成形品に埋設して押出成形後に、他の部位(短冊部)よりも薄肉で幅狭に形成された第1連結部のみで容易に分離することができ、短冊部を2個ずつ連結したままで分離させることができ、長尺成形品の柔軟性と、インサートの剛性を確保することができる。
【0023】
請求項3の本発明は、第1スリットの先端に形成されたインサートの幅方向における幅の狭い第1連結部と、第2スリットの先端に形成された第1連結部よりもインサートの幅方向における幅の広い第2連結部とが交互に上記インサートの長手方向に沿って形成され、ウエザストリップを成形後に、第1連結部が分離され、トリム部内で短冊部が2個ずつ組合わせて分離されている自動車用ウエザストリップである。
【0024】
請求項3の本発明では、第1スリットの先端に形成されたインサートの幅方向における幅の狭い第1連結部と、第2スリットの先端に形成された第1連結部よりもインサートの幅方向における幅の広い第2連結部とが交互に上記インサートの長手方向に沿って形成され、ウエザストリップを成形後に、第1連結部が分離されトリム部内で短冊部が2個ずつ組合わせて分離されている。このため、トリム部の柔軟性が増加して、車体開口部周縁や開口部開閉部材の曲面に沿ってウエザストリップを取付けることができるとともに、2個ずつ組合わせて短冊部の間のスリットによりトリム部の被覆層とインサートを固定することができ、トリム部の保持力が低下することを防止できる。
【0025】
請求項4の本発明は、トリム部は、車外側側壁の内面からは、底壁側から順に第1車外側保持リップと第2車外側保持リップが形成され、車内側側壁の内面からは、底壁側から順に第1車内側保持リップと第2車内側保持リップが形成され、第1連結部の中心部分が第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する自動車用ウエザストリップである。
【0026】
請求項4の本発明では、トリム部は、車外側側壁の内面からは、底壁側から順に第1車外側保持リップと第2車外側保持リップが形成され、車内側側壁の内面からは、底壁側から順に第1車内側保持リップと第2車内側保持リップが形成されている。このため、2本ずつの保持リップでフランジを安定して保持することができる。
【0027】
第1連結部の中心部分が第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する。このため、フランジ保持力の大きな第1車外側保持リップと第1車内側保持リップの根元部がインサートから剥離することがなく、フランジ保持力が低下することを防止できる。
【0028】
請求項5の本発明は、第1連結部の全体が第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する自動車用ウエザストリップである。
【0029】
請求項5の本発明では、第1連結部の全体が第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置するため、第1車外側保持リップと第1車内側保持リップの根元部がより強くインサートと固着され、トリム部がフランジを保持する力が低下することを防止できる。
【0030】
請求項6の本発明は、第1連結部と第2連結部の中心部は、いずれも第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する自動車用ウエザストリップである。
【0031】
請求項6の本発明では、第1連結部と第2連結部の中心部は、いずれも第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する。このため、第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部が第2連結部においても、より強くインサートと固着され、トリム部がフランジを保持する力が低下することを防止できる。
【0032】
請求項7の本発明は、連結部のスリットの先端に面する部分は円弧状に切欠かれた自動車用ウエザストリップである。
【0033】
請求項7の本発明では、連結部のスリットの先端に面する部分は円弧状に切欠かれたため、端末が三角形状に形成されたスリットと比べて、スリットの面積が大きくなり、インサートの両側の被覆層が固着される面積を増大させることができる。
【0034】
請求項8の本発明は、第1連結部における切れ込みの深さは、第1スリットの幅よりも同じか或いは大きく形成されている自動車用ウエザストリップである。
【0035】
請求項8の本発明では、第1連結部における切れ込みの深さは、第1スリットの幅よりも同じか或いは大きく形成されているため、第1連結部が分離しやすくなるとともに、インサートの両側の被覆層が固着される面積を増大させることができる。
【0036】
請求項9の本発明は、短冊部の先端の圧延部において、第1スリットの先端と短冊部の先端との間の圧延部は、第1スリットと第2スリットの先端のインサートの金属以外の部分の占める割合は5%以上である自動車用ウエザストリップである。
【0037】
請求項9の本発明では、短冊部の先端の圧延部において、第1スリットの先端と短冊部の先端との間の圧延部は、第1スリットと第2スリットの先端のインサートの金属以外の部分の占める割合は5%以上である。このため、インサートの両側の被覆層が固着される面積を増大させることができる。
【発明の効果】
【0038】
連結部の中心部分は、車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の側端側にずれて位置するため、車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部をインサートのスリットが存在する位置に設けることができ、インサートから剥離することがなく、車外側保持リップと車内側保持リップがフランジを保持する力が低下することを防止できる。
【0039】
また、連結部の中心部分が短冊部の先端側に位置するため、断面略U字形に曲げ加工する時、連結部が曲げ部分から離れているため、連結部で曲がることがなく、断面略U字形が歪になることがない。連結部付近で車外側側壁及び車内側側壁の内壁が剥離して膨らんで、フランジの挿入が不十分になったり、トリム部内にシーラや止水スポンジと挿入する場合に位置がずれたりすることがない。また、インサートの連結部から短冊部の先端までの長さが短いため、トリム部の被覆層を押出成形するときの、押出抵抗が小さく、押出成形が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの連結部での断面形状である。
【図2】本発明の第2の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの連結部での断面形状である。
【図3】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの短冊部での断面形状である。
【図4】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの分離後の一部平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの先端部分の一部拡大平面図である。
【図11】本発明の自動車用ウエザストリップの車内側側壁におけるインサートの連結部での拡大断面形状である。
【図12】本発明の実施の形態のウエザストリップを押出成形し、インサートを分離する工程の模式図である。
【図13】従来の自動車用ウエザストリップのインサートの連結部での断面形状である。
【図14】従来の自動車用ウエザストリップの車内側側壁におけるインサートの連結部での拡大断面形状である。
【図15】従来の自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図16】従来の他の自動車用ウエザストリップのインサートの連結部での断面形状である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の第1〜第5実施の形態を図1〜図12に基づき説明する。
まず、インサート40について説明し、次にウエザストリップ10について説明する。
本発明の第1の実施の形態のウエザストリップ10に使用されるインサート40の形状は、図4に示すように、帯状金属板から加工して形成されるものであって、多数の短冊部41を幅方向に並べるように、かつ、短冊部41の両側の先端付近を長手方向に連結部で連結した梯子状の形状に形成したものである。
【0042】
連結部は、後述する第1スリット44の先端に形成されたインサート40の幅方向における幅の狭い第1連結部42(図4におけるAの幅寸法)と、第2スリット45の側端に形成された隣接する第1連結部42よりインサート40の幅方向における幅の広い第2連結部43(図4におけるBの幅寸法)とが交互に形成されている。第1連結部42の幅(Aの幅寸法)は1.5〜3.0mmの間で設定することができ、本実施の形態では2.5mmである。第2連結部43の幅(Bの幅寸法)は2.5〜4.5mmの間で設定することができ、本実施の形態では3.0mmである。
【0043】
第1連結部42と第2連結部43のインサート40の幅方向における幅の比は、1:2〜2:3である。第2連結部43は、その幅が広く形成されているため、後述するインサート分離工程においては分離せずに、図5に示すように、幅の狭い第1連結部42のみを容易に分離させることができ、短冊部41を2個ずつ連結したままで分離させることができる。後述するように、インサート40の分離は、インサート40にウエザストリップ10を構成するゴム状弾性体からなる被覆層を形成した後に行われる。
【0044】
本実施の形態では、個々の短冊部41のインサート40の長手方向における幅(図4におけるDの幅寸法)は、2mmであり、インサート40の幅方向における長さ(図4におけるCの幅寸法)は約30mmである。短冊部41の肉厚は、0.30〜0.45mmの間で設定することができ、本実施の形態では0.35mmであり、従来の肉厚は0.50mm程度であるため、従来のインサートよりも薄肉であり、ウエザストリップ10を軽量化できる。なお、このDの幅寸法は、1.8mm〜3.2mmの間で設定することができる。また、このCの幅寸法は20mm〜50mmの間で設定することができる。
【0045】
インサート40は、短冊部41の肉厚が0.30〜0.45mmであり、第1連結部42と第2連結部43の肉厚が0.20〜0.35mmである。このため、インサート40の肉厚を従来よりも薄くすることができ、ウエザストリップ10を軽量化することができる。短冊部41の肉厚が0.30mm未満では、フランジの保持力が低下し、短冊部41の肉厚が0.45mmを超える場合には、インサート40の重量が増加して、ウエザストリップ10を充分に軽量化することができない。
【0046】
第1連結部42と第2連結部43の肉厚が0.20mm未満では、第1連結部42と第2連結部43の強度が低下して、第1連結部42と第2連結部43で屈曲する恐れがあり、第1連結部42と第2連結部43の肉厚が0.35mmを超える場合には、圧延が少なく、第1スリット44と第2スリット45の間隔を広げることができず、ウエザストリップ10を充分に軽量化することができない。
【0047】
短冊部41の両側の側端は、第1連結部42と第2連結部43で連結されているため、梯子状の形状のインサート40を押出成形機に供給して、ゴム状弾性材料とともに押出成形するときにそれぞれの短冊部41の先端押出抵抗が増加することがなく、スムースに押出成形機に供給することができ、押出成形を容易にすることができる。
【0048】
短冊部41と短冊部41の間にはスリットが形成されている。スリットは、インサート40の長手方向における幅の広い第1スリット44と、インサート40の長手方向における幅の狭い第2スリット45が交互に形成される。
第1スリット44の幅(図4におけるEの幅寸法)は約2.0mmであり、第2スリット45の幅(図4におけるFの幅寸法)は約0.75mmである。第1スリット44の幅は1.0mm〜2.5mmの間で設定され、第2スリット45の幅は0.50mm〜1.2mmの間で設定されている。
【0049】
このインサート40において、図10に第1連結部42と第2連結部43の部分の拡大図を示す。第1連結部42における切れ込みの深さ(I)と第1スリット44の幅(E)との関係は、切れ込みの深さ(I)の方が第1スリット44の幅(E)よりも同じか或いは大きく形成されている。第1の実施の形態では、切れ込みの深さ(I)は、2.6mm程度であり、第1スリット44の幅(E)は、2.0mmであり、1.0〜2.5mmの間に形成することができる。これにより、第1連結部42が分離しやすくなるとともに、被覆層が固着される面積をインサート40の場合よりも増大させることができる。なお、第1の実施の形態では、第2連結部43の切れ込みの深さ(K)は、0.8mmである。
【0050】
また、図10に示すように、第1連結部42と第2連結部43のスリット側の部分における面積(図10におけるXで示した斜線部分)の中のインサート40の金属以外の部分、即ち被覆層が占める部分の占める割合は5%以上とする。好ましくは、7%以上とすることがよく、さらに好ましくは、15%以上とすることが好ましい。これにより、被覆層が固着される面積を増大させることができる。第1の実施の形態のインサート40は、被覆層が占める部分の占める割合は15%以上である。
図10におけるXで示した斜線部分の面積は、隣接した第1連結部42と第1連結部42の間の距離(J)と切れ込みの深さ(I)を掛けたものである。ここで、J寸法は、次の式で表すことができる。
J=2×D+F+E
【0051】
なお、被覆層の占める部分の割合について、特に上限はないが、本実施の形態で挙げた寸法値から得られる最大値は20%程度である。インサート40の寸法を適宜変更することは可能であるが、図4及び図10に示す上記E、F、D、I、Kの各寸法の兼ね合いから、上限は30%程度が妥当である。また、本実施の形態で挙げた寸法値から得られる最小値は、7%程度であるが、寸法のバラツキを考慮すると、5%程度となり、最小限5%以上は必要である。
【0052】
次に、インサート40の製造方法について、説明する。
インサート40の製造は、まず長い帯状金属板にスリッターロールにより、帯状金属板の中央部を側端側の一部を残し、第1スリット44の長さに対応する幅方向に長い第1切断線と、第2スリット45の長さに対応する短い第2切断線を交互に入れる。そして、圧延ロールで、切断線が形成されていない部分を圧延するこれにより、インサート40の圧延部47を形成するとともに、第1切断線が広がり第1スリット44を形成し、第2切断線が広がり第2スリット45を形成する。さらに、第1スリット44の先端に第1連結部42が形成され、第2スリット45の先端に第2連結部43が形成される。
【0053】
このため、帯状金属板を加工するときに加工屑が発生せず、短冊部41と短冊部41の間に後述する第1スリット44と第2スリット45を形成することができる。また、連結部を他の部分(短冊部41の中央部分)よりも薄肉に形成することができる。また、これに加え引張力が付与されているので、第1連結部42を第2連結部43よりも幅狭に形成する。
【0054】
そのため、このインサート40をウエザストリップ10に埋設して押出成形後に、インサート分離工程において、薄肉で幅狭の第1連結部42のみを容易に分離させ、第2連結部43は分離させないようにすることができる。
幅の広い第1スリット44を形成したため、単位長さあたりの短冊部41の数を少なくすることができ、インサート40の重量を低減でき、車輌の軽量化に貢献することができる。
【0055】
なお、第1連結部42と第2連結部43及び短冊部41の第1連結部42と第2連結部43に対応する部分は、帯状金属板が長手方向に連続するように圧延と引張力が付与されて形成された圧延部47が形成されている。短冊部41において圧延部47の先端側には短冊部端部46が形成されている。
【0056】
次に、図1に基づいて本発明の第1の実施の形態のウエザストリップ10について説明する。図1はウエザストリップ10の断面図である。ウエザストリップ10は、自動車の車体開口部周縁等に形成されたフランジ50に取付けられる取付基部であるトリム部20と、中空シール部30とを有する。
【0057】
中空シール部30は、車外側側壁21の外面に一体的に形成されている。中空シール部30の先端には、リップ状に形成された頂部31が形成され、ドアやボンネットに当接したときにシール性を向上させることができる。中空シール部30の根元部32は、後述するトリム部20の底壁23に一体的に形成されている。
トリム部20は、ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂等のゴム状弾性材料のソリッド材又は微発泡材で形成され、中空シール部30は、ゴムや熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性材料のスポンジ材で構成されている。
【0058】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23から構成され、断面略U字形をなし、内部にインサート40が埋設され、車外側側壁21と車内側側壁22の内面からそれぞれ車外側保持リップと車内側保持リップが形成される。インサート40が埋設されているため、車外側保持リップと車内側保持リップがフランジ50を保持する力が強くなり、トリム部20の肉厚を薄くしても、フランジ50からトリム部20が抜け出ることがない。
【0059】
トリム部20の被覆層を含めた肉厚は、ソリッド材では、1.4〜1.7mm、発泡材では、1.7〜2.2mmにすることができる。このため、従来よりもトリム部20の肉厚を薄く形成し、ウエザストリップ10を軽量化することができる。トリム部20の肉厚について、ソリッド材では1.4mm未満、発泡材では1.7mm未満の場合、被覆層が薄くなりすぎて、インサート40を確実に被覆することができない場合があり、トリム部20の肉厚について、ソリッド材では1.7mmを超過、発泡材では2.2mmを超過する場合、被覆層が厚くなって、ウエザストリップ10を充分に軽量化することができない。
【0060】
車外側保持リップと車内側保持リップは、車外側側壁21の内面からは、底壁23側から順に第1車外側保持リップ24と第2車外側保持リップ25が1本ずつ形成され、車内側側壁22の内面からは、底壁23側から順に第1車内側保持リップ26と第2車内側保持リップ27が1本ずつ形成されることが好ましい。この場合には、第1車外側保持リップ24と第1車内側保持リップ26が対向して形成され、第2車外側保持リップ25と第2車内側保持リップ27が対向して形成される。そのため、それぞれ対向する保持リップでフランジ50を安定して保持することができる。
【0061】
図1と図11に示すように、車外側側壁21と車内側側壁22とに、それぞれ、2本ずつの保持リップを形成する場合には、第1連結部42の中心部分42a(図4、図10及び図11に示す幅Aの中心点)が第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の先端側である短冊部端部46側にずれて位置する。より詳細には、第1連結部42の中心部分42aは、第1車外側保持リップ24の根元部24aにおける開口側の下端24bと、第1車内側保持リップ26の根元部26aにおける開口側の下端26bよりも、短冊部41の先端側である短冊部端部46側にずれて位置する。(換言すれば、下端24bと下端26bは、中心部分42aよりも底壁23側にずれて位置する。)
【0062】
このため、第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aには、第1スリット44若しくはその先端部が位置することができ、第1スリット44を通して被覆層が固定される。なお、根元部24aは、第1車外側保持リップ24と車外側側壁21が接する第1車外側保持リップ24の根元部分をいい、根元部26aは、第1車内側保持リップ26と車内側側壁22が接する第1車内側保持リップ26の根元部分をいう。
【0063】
従って、トリム部20の奥側にありフランジ保持力を大きく設定したい第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aがインサート40から剥離することが抑制され、フランジ保持力が低下することを抑制できる。
なお、車外側保持リップと車内側保持リップが1本ずつのみ形成されている場合には、第1連結部42の中心部分42aがその根元部と対向する部分よりも短冊部41の側端側である短冊部端部46側にずれて位置する。
【0064】
また、フランジ保持力の低下を一層抑制するべく、第1車外側保持リップ24の根元部24aにおける下端24b(開口側)と、第1車内側保持リップ26の根元部26aにおける下端26b(開口側)は、図10及び図11に示される第1スリット44の端部Pよりも底壁23側にずれて位置することが望ましい。この態様は、後述する第2〜5の実施の形態におけるインサート40A、40B、40C、40D、を使用するウエザストリップ10に用いてもよい。
【0065】
なお、図3に示すように、トリム部20の短冊部41が存在する部分では、短冊部41は、第2車外側保持リップ25の根元部と第2車内側保持リップ27の根元部から車外側側壁21と車内側側壁22の先端方向まで埋設されている。このため、車外側側壁21と車内側側壁22に埋設されたインサート40のフランジ50の保持力を向上させることができる。
【0066】
車外側側壁21の先端には、第1車外側シールリップ28と第2車外側シールリップ28bが形成され、フランジ50を形成するアウターパネル51に当接してトリム部20内に雨水や埃が進入しないようにシールしている。車内側側壁22の先端には、車内側シールリップ29が形成され、フランジ50を形成するインナーパネル52に当接して車内に雨水や埃が進入しないようにシールしている。また、トリム部20の内部の底壁23の内面には、シーラ20aが封入されて、シーラ20aにフランジ50の先端が挿入され、シール性が向上している。
【0067】
次に、本発明の第2の実施の形態のウエザストリップ10について説明する。第2の実施の形態のウエザストリップ10は、第1の実施の形態のウエザストリップ10とは、使用されるインサート40Aが異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0068】
本発明の第2の実施の形態のウエザストリップ10に使用されるインサート40Aの形状は、図6に示すように、圧延部47が短冊部41の先端付近に形成されて、短冊部端部46がほとんどない。このため、第1連結部42、第2連結部43及び圧延部47が短冊部41の先端付近に形成される。
インサート40とインサート40Aの幅寸法Cが同じ場合には、短冊部41の幅や長さは、第1スリット44と第2スリット45の幅も第1の実施の形態と同様であるが、第1スリット44と第2スリット45の長さは、圧延部47が先端側にあるため、第1の実施の形態よりも長くなる。
【0069】
さらに、第1連結部42と第2連結部43の両方の中心部をいずれも第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の先端側にずれて位置させることができる。この場合は、第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aが第2連結部43においてもインサート40Aと固着され、トリム部20がフランジ50を保持する力の低下が抑制される。
【0070】
このため、図2に示すように、このインサート40Aが埋設されたトリム部20では、インサート40と比較して、第1連結部42が短冊部41の更に先端側に位置して、第1連結部42の全体が第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の先端側に更にずれて位置することができる。このため、第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aは、一層確実に被覆層と固着され、第1車外側保持リップ24と第1車内側保持リップ26がより強くフランジ50を保持して、トリム部20がフランジ50を保持する力の低下が抑制される。
【0071】
次に、本発明の第3の実施の形態のウエザストリップ10について、図7に基づき説明する。第3の実施の形態のウエザストリップ10は、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態のウエザストリップ10とは、使用されるインサート40Bが異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0072】
第3の実施の形態のインサート40Bは、第1連結部42と第2連結部43の先端の部分の短冊部端部46のインサート40Bの幅方向の寸法(図7におけるGの幅寸法)が短く形成されている。第3の実施の形態の短冊部端部46のGの幅寸法は、約0.75mmであり、1mm以下が好ましい。
短冊部41の長さ(図7におけるHの幅寸法)は、約15mmである。短冊部41のHの幅寸法は、13mm〜35mmの間で設定されている。なお、インサート40Bの幅方向の寸法(図7におけるCの寸法)は、30mmである。Cの寸法は、20〜50mmの間で設定することができる。
【0073】
このため、第1連結部42と第2連結部43は、確実に第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の先端側にずれて位置することができる。従って、第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aは、確実に被覆層と固着され、トリム部20がフランジ50を保持する力の低下が抑制される。さらに、第1スリット44と第2スリット45が長く形成されて、インサート40よりもインサート40Bの方が保持力の低下が少ない。
【0074】
また、短冊部41の先端に形成され、第1スリット44と第2スリット45が形成されている圧延部47のインサート40Bの幅方向の長さ(図7におけるBの寸法)は5.9mmである。圧延部47のBの幅寸法は、4.9mmであり、4mm〜7mmの間で設定されている。このため、圧延による長手方向の延び代を大きくすることができ、第1スリット44と第2スリット45の間の間隔を広くして、インサート40Bと被覆層を強固に固着することができる。
【0075】
次に、本発明の第4の実施の形態のウエザストリップ10について、図8に基づき説明する。第4の実施の形態のウエザストリップ10は、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態のウエザストリップ10とは、使用されるインサート40Cが異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0076】
第4の実施の形態のインサート40Cは、第1スリット44と第2スリット45の側端は円弧状に形成されている。この端末が円弧状に形成された第1スリット44と第2スリット45は、インサート40Cを形成する板金を打ち抜いて形成する。第1スリット44と第2スリット45の側端は円弧状に形成されたため、図8に示すI寸法及びK寸法が同じ場合に、インサート40の端末が三角形状に形成された第1スリット44と第2スリット45と比べて、第1スリット44と第2スリット45の面積が大きくなり、被覆層が固着される面積を増大させることができる。なお、円弧状に形成された第1スリット44と第2スリット45の先端に形成された第1連結部42と第2連結部43の部分を圧延して圧延部47を形成すると、第1連結部42が分離しやすくなる。
【0077】
次に、本発明の第5の実施の形態のウエザストリップ10について、図9に基づき説明する。第5の実施の形態のウエザストリップ10は、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態のウエザストリップ10とは、使用されるインサート40Dが異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0078】
第5の実施の形態のインサート40Dは、第3の実施の形態と比べて、圧延部47のインサート40Dの幅方向の長さ(図9におけるB寸法)が短く形成され、第1スリット44と第2スリット45の長さが大きく形成されている。
圧延部47のインサート40Dの幅方向の長さ(B)は、3.5mm程度である。このため、短冊部の長さ(図9におけるH寸法)は、約22mmである。短冊部41の長さは、15mm〜37mmの間で設定されている。このため、C寸法が同じインサート40と比較して、第1スリット44と第2スリット45の面積が大きくなり、被覆層が固着される面積を増大させることができる。
なお、インサート40Dの幅方向の長さ(図9におけるC寸法)、第1スリット44の幅(E)、第2スリット45の幅(F)、短冊部端部46のインサート40Bの幅方向の寸法(G)は、第3の実施の形態と同じである。
【0079】
次に、図12に基づき、上述の方法で製造されたインサート40、40A、40B、40C,40Dを使用した長尺成形品であるウエザストリップ10の製造方法について説明する。図12は、ウエザストリップ10の製造工程の模式図である。
上述のように製造されたインサート40、40A、40B、40C,40Dを、従来技術と同様に押出成形機1に送り、インサート40、40A、40B、40C,40Dに合成ゴム、熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性材料による被覆層を被覆させて、トリム部20や中空シール部30を形成し、ウエザストリップ10を成形する。その後、ゴムの場合には、加硫槽2に移送し、熱風やUHFにより加熱、加硫する。なお、トリム部20はソリッド材で形成し、中空シール部30はスポンジ材で形成することが好ましい。
【0080】
加硫した連続したウエザストリップ10は、引取機3により引取られたのち、インサート分離機4によりウエザストリップ10の可撓性を向上させるために、インサート40、40Aの第1連結部42のみを分離させる。インサート分離機4は、複数の上分離ロール4aと下分離ロール4bの間にウエザストリップ10をジグザグ状に通して、ウエザストリップ10を繰り返し折り曲げ、インサート40、40A、40B、40C,40Dの第1連結部42を疲労破断させて分離させるものである。
【0081】
インサート40、40A、40B、40C,40Dの第1連結部42が分離されたウエザストリップ10は、曲げ機5に移送され、上曲げロール5aと下曲げロール5bにより図7に示すように、トリム部20を断面略U字形に折り曲げる。折り曲げられたウエザストリップ10は、従来の技術で述べたと同様に、切断、端部型成形等の加工が行われ、ウエザストリップ10として製品となる。
【符号の説明】
【0082】
10 ウエザストリップ
20 トリム部
21 車外側側壁
22 車内側側壁
24 第1車外側保持リップ
24a、26a 根元部
26 第1車内側保持リップ
40、40A、40B、40C、40D インサート
31 短冊部
42 第1連結部
43 第2連結部
47 圧延部
50 フランジ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のドアやトランクリッド等の車体開口部開閉部材と車体開口部周縁との間をシールするために使用する、押出成形により成形された自動車用ウエザストリップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用のウエザストリップ110は、図13に示すように、自動車の車体の開口部の周縁に設けられて、フランジ50に取付けられる取付基部としてのトリム部120と、扉体に当接して車体と扉体との間をシールする中空シール部130から構成されている。トリム部120は、車外側側壁121、車内側側壁122及び底壁123からなる断面略U字形をなし、トリム部120の内部には、トリム部120の把持力を大きくするため、帯状金属板にスリットを入れ圧延又は打ち抜き等して形成されたインサート140が埋設されている(例えば、特許文献1参照。)。車外側側壁211の内面からは、底壁123側から順に第1車外側保持リップ124と第2車外側保持リップ125が1本ずつ形成され、車内側側壁122の内面からは、底壁123側から順に第1車内側保持リップ126と第2車内側保持リップ127が1本ずつ形成されている。
【0003】
このインサート140は、図15に示すように、多数の短冊部141を幅方向に並べ、短冊部141の両側の端部付近を長手方向に連結部で連結した平面視で梯子状の形状である。そして、連結部は短冊部141の端部付近を圧延して形成され、インサート140の幅方向における幅が狭く破断させやすい第1連結部142と、幅が広く破断させにくく、短冊部141を2個ずつ連結する第2連結部143を有し、第1連結部142と短冊部141とで囲む第1スリット144と、第2連結部143と短冊部141とで囲む第2スリット145が形成されている。
【0004】
このインサート140は、長尺成形品の製造時、すなわち、押出成形機に移送され、ゴム状弾性体の被覆層を形成するときには、引取等の都合上、連結部は連結されたままの状態である。しかしながら、長尺成形品として使用するときには、フランジのコーナー部に沿って曲げて装着するとき等のために、トリム部120の可撓性を高めるように連結部を分離させている。
【0005】
このため、長尺成形品としての押出成形後のインサート140は、短冊部141が2個ずつ組合されて第1連結部142部位で破断、分離させ、破断後はトリム部120内で、2個ずつの短冊部141と、その2個ずつの短冊部141を連続する上下の第2連結部143と、第2スリット145とで構成されたインサート140として存在する。
【0006】
近年、地球環境の保護のため自動車の軽量化が求められているが、ウエザストリップ110においても、軽量化が必要であり、例えば、トリム部120の側壁の肉厚を減少させることも試みられている。また、インサート140を軽くするため、インサート140の肉厚を薄くして、連結部の圧延を大きくして、圧延部分の長さを長くすることも考えられている。
【0007】
このとき、トリム部120内にドアや車体開口部周縁に形成されたフランジ50が挿入されると、第1車外側保持リップ124、第2車外側保持リップ125及び第1車内側保持リップ126と第2車内側保持リップ127がそれぞれフランジ50を保持して、ウエザストリップ110を車輛(車体)に取付けている。特に、底壁123側の第1車外側保持リップ124と第1車内側保持リップ126がフランジ50を保持する力が強く、フランジ50の保持のため重要である。
【0008】
トリム部120において、インサート140の両側にはトリム部120を構成するゴム状弾性体の被覆層が形成されているが、このゴム状弾性体の被覆層は、インサート140の第1スリット144と第2スリット145とにおいて、両側が一体的に連結されてインサート140に対して固定されている。
【0009】
しかしながら、第1連結部142と第2連結部143の部分は、このゴム状弾性体の被覆層が一体的に連結されずに、両側に分離されている。特に、第2連結部143の部分は、長手方向においてその横にある第1連結部142の部分で被覆層の両側が一体的に連結されているが、第1連結部142の部分では、長手方向において、被覆層が両側に完全に分離されている。また、ウエザストリップ110の軽量化のため、被覆層の肉厚も薄くなり、圧延部である第1連結部142と第2連結部143の部分の長手方向の長さも長くなる。
【0010】
このため、図13と図14に示すように、第1車外側保持リップ124の根元部124aと第1車内側保持リップ126の根元部126aと対向するインサート140の部分が、第1連結部142と第2連結部143の部分である場合には、第1車外側保持リップ124の根元部124aと第1車内側保持リップ126の根元部126aがインサート140から離れて、第1車外側保持リップ124と第1車内側保持リップ126がフランジ50を保持する力が減少するため、トリム部120のフランジ50からの抜け荷重が低下することがあった。
【0011】
また、図16に示すように、インサート240の分離タイプではないが、トリム部220と中空シール部230を有するウエザストリップ210がある(例えば、特許文献2及び3参照。)。このウエザストリップ210では、トリム部220は、車外側側壁221、車内側側壁222及び底壁223からなる断面略U字形を形成し、車外側側壁221及び車内側側壁222の内面から車外側保持リップ224と車内側保持リップ226が延設されている。ウエザストリップ210の柔軟性のため、インサート240の連結部242は、車外側保持リップ224の根元部224aと車内側保持リップ226の根元部226aと対向する部分よりも底壁223側にある。
【0012】
このウエザストリップ210を成形するには、平板状のインサート240を被覆層と共に押出成形した後に、断面略U字形に曲げ加工するが、その時、インサート240の連結部242が、底壁223と、車外側側壁221及び車内側側壁222の曲げ部分と近接して、連結部242付近でインサート240が曲がってしまい、トリム部220が歪む場合がある。
【0013】
さらに、連結部242付近で車外側側壁221及び車内側側壁222の内壁が剥離して膨らんで、フランジ50の挿入が不十分になったり、トリム部220内にシーラや止水スポンジと挿入する場合に位置がずれて、フランジ50の先端との間のシール性が低下したりする場合がある。
また、インサート240の連結部242から短冊部241の先端までの長さが長くなり、トリム部220の被覆層を押出成形するときの、押出抵抗が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2005−231222号公報
【特許文献2】特開2008−265068号公報
【特許文献3】特開2002−200944号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
そのため、インサートを有し、フランジの保持力が強く、製造が容易な自動車用ウエザストリップを得ることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、自動車の車体開口部周縁又は開口部開閉部材に形成されたフランジを保持するトリム部と、トリム部と一体に形成され、相手部材に当接してシールするシール部を有するウエザストリップにおいて、
トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形に形成され、車外側側壁と車内側側壁の内面からそれぞれ車外側保持リップと車内側保持リップが形成されるとともに、トリム部の内部に帯状金属板を加工して形成されたインサートが内部に埋設され、
インサートは、帯状金属板から多数の短冊部を幅方向に並べるように、かつ短冊部の両側の端部付近を長手方向に連結部で連結した梯子状となるように形成されており、短冊部と短冊部の間にはスリットが形成され、連結部の中心部分は、車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置することを特徴とする自動車用ウエザストリップである。
【0017】
請求項1の本発明では、トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形に形成され、車外側側壁と車内側側壁の内面からそれぞれ車外側保持リップと車内側保持リップが形成されるとともに、トリム部の内部に帯状金属板を加工して形成されたインサートが内部に埋設される。このため、インサートにより車外側保持リップと車内側保持リップがフランジを保持する力が強くなり、トリム部の肉厚を薄くしても、フランジからトリム部が抜け出ることがない。
【0018】
インサートは、帯状金属板から多数の短冊部を幅方向に並べるように、かつ短冊部の両側の端部付近を長手方向に連結部で連結した梯子状となるように形成されており、短冊部と短冊部の間にはスリットが形成されている。このため、圧延と引張力で帯状金属板から歩留まり良くインサートを形成することが容易であり、スリットによりトリム部の被覆層とインサートとの固着をすることができる。
【0019】
連結部の中心部分は、車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する。このため、車外側保持リップと車内側保持リップの根元部をインサートのスリットが存在する位置に設けることができ、根元部がインサートから剥離することがなく、車外側保持リップと車内側保持リップがフランジを保持する力が低下することを防止できる。
【0020】
また、連結部の中心部分が短冊部の先端側に位置するため、平板状のインサートを被覆層と共に押出成形した後に、断面略U字形に曲げ加工するが、その時、連結部が曲げ部分から離れているため、連結部で曲がることがなく、断面略U字形が歪むことがない。
さらに、連結部付近で車外側側壁及び車内側側壁の内壁が剥離して膨らんで、フランジの挿入が不十分になったり、トリム部内にシーラや止水スポンジと挿入する場合に位置がずれたりすることがない。また、インサートの連結部から短冊部の先端までの長さが短いため、トリム部の被覆層を押出成形するときの、押出抵抗が小さく、押出成形が容易である。
【0021】
請求項2の本発明は、短冊部と短冊部の間にはスリットが形成され、スリットは、インサートの長手方向における幅の広い第1スリットと、第1スリットよりもインサートの長手方向における幅の狭い第2スリットが交互にインサートの長手方向に沿って形成され、第1スリットの部分でインサートがウエザストリップ成形後に分離されている自動車用ウエザストリップである。
【0022】
請求項2の本発明では、このため、幅の広い第1スリットにより単位長さあたりの短冊部の数を少なくすることができ、インサートの重量を低減でき、車輌の軽量化に貢献することができる。また、インサートを長尺成形品に埋設して押出成形後に、他の部位(短冊部)よりも薄肉で幅狭に形成された第1連結部のみで容易に分離することができ、短冊部を2個ずつ連結したままで分離させることができ、長尺成形品の柔軟性と、インサートの剛性を確保することができる。
【0023】
請求項3の本発明は、第1スリットの先端に形成されたインサートの幅方向における幅の狭い第1連結部と、第2スリットの先端に形成された第1連結部よりもインサートの幅方向における幅の広い第2連結部とが交互に上記インサートの長手方向に沿って形成され、ウエザストリップを成形後に、第1連結部が分離され、トリム部内で短冊部が2個ずつ組合わせて分離されている自動車用ウエザストリップである。
【0024】
請求項3の本発明では、第1スリットの先端に形成されたインサートの幅方向における幅の狭い第1連結部と、第2スリットの先端に形成された第1連結部よりもインサートの幅方向における幅の広い第2連結部とが交互に上記インサートの長手方向に沿って形成され、ウエザストリップを成形後に、第1連結部が分離されトリム部内で短冊部が2個ずつ組合わせて分離されている。このため、トリム部の柔軟性が増加して、車体開口部周縁や開口部開閉部材の曲面に沿ってウエザストリップを取付けることができるとともに、2個ずつ組合わせて短冊部の間のスリットによりトリム部の被覆層とインサートを固定することができ、トリム部の保持力が低下することを防止できる。
【0025】
請求項4の本発明は、トリム部は、車外側側壁の内面からは、底壁側から順に第1車外側保持リップと第2車外側保持リップが形成され、車内側側壁の内面からは、底壁側から順に第1車内側保持リップと第2車内側保持リップが形成され、第1連結部の中心部分が第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する自動車用ウエザストリップである。
【0026】
請求項4の本発明では、トリム部は、車外側側壁の内面からは、底壁側から順に第1車外側保持リップと第2車外側保持リップが形成され、車内側側壁の内面からは、底壁側から順に第1車内側保持リップと第2車内側保持リップが形成されている。このため、2本ずつの保持リップでフランジを安定して保持することができる。
【0027】
第1連結部の中心部分が第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する。このため、フランジ保持力の大きな第1車外側保持リップと第1車内側保持リップの根元部がインサートから剥離することがなく、フランジ保持力が低下することを防止できる。
【0028】
請求項5の本発明は、第1連結部の全体が第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する自動車用ウエザストリップである。
【0029】
請求項5の本発明では、第1連結部の全体が第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置するため、第1車外側保持リップと第1車内側保持リップの根元部がより強くインサートと固着され、トリム部がフランジを保持する力が低下することを防止できる。
【0030】
請求項6の本発明は、第1連結部と第2連結部の中心部は、いずれも第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する自動車用ウエザストリップである。
【0031】
請求項6の本発明では、第1連結部と第2連結部の中心部は、いずれも第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の先端側にずれて位置する。このため、第1車外側保持リップの根元部及び第1車内側保持リップの根元部が第2連結部においても、より強くインサートと固着され、トリム部がフランジを保持する力が低下することを防止できる。
【0032】
請求項7の本発明は、連結部のスリットの先端に面する部分は円弧状に切欠かれた自動車用ウエザストリップである。
【0033】
請求項7の本発明では、連結部のスリットの先端に面する部分は円弧状に切欠かれたため、端末が三角形状に形成されたスリットと比べて、スリットの面積が大きくなり、インサートの両側の被覆層が固着される面積を増大させることができる。
【0034】
請求項8の本発明は、第1連結部における切れ込みの深さは、第1スリットの幅よりも同じか或いは大きく形成されている自動車用ウエザストリップである。
【0035】
請求項8の本発明では、第1連結部における切れ込みの深さは、第1スリットの幅よりも同じか或いは大きく形成されているため、第1連結部が分離しやすくなるとともに、インサートの両側の被覆層が固着される面積を増大させることができる。
【0036】
請求項9の本発明は、短冊部の先端の圧延部において、第1スリットの先端と短冊部の先端との間の圧延部は、第1スリットと第2スリットの先端のインサートの金属以外の部分の占める割合は5%以上である自動車用ウエザストリップである。
【0037】
請求項9の本発明では、短冊部の先端の圧延部において、第1スリットの先端と短冊部の先端との間の圧延部は、第1スリットと第2スリットの先端のインサートの金属以外の部分の占める割合は5%以上である。このため、インサートの両側の被覆層が固着される面積を増大させることができる。
【発明の効果】
【0038】
連結部の中心部分は、車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも短冊部の側端側にずれて位置するため、車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部をインサートのスリットが存在する位置に設けることができ、インサートから剥離することがなく、車外側保持リップと車内側保持リップがフランジを保持する力が低下することを防止できる。
【0039】
また、連結部の中心部分が短冊部の先端側に位置するため、断面略U字形に曲げ加工する時、連結部が曲げ部分から離れているため、連結部で曲がることがなく、断面略U字形が歪になることがない。連結部付近で車外側側壁及び車内側側壁の内壁が剥離して膨らんで、フランジの挿入が不十分になったり、トリム部内にシーラや止水スポンジと挿入する場合に位置がずれたりすることがない。また、インサートの連結部から短冊部の先端までの長さが短いため、トリム部の被覆層を押出成形するときの、押出抵抗が小さく、押出成形が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの連結部での断面形状である。
【図2】本発明の第2の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの連結部での断面形状である。
【図3】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの短冊部での断面形状である。
【図4】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの分離後の一部平面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図8】本発明の第4の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図9】本発明の第5の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態である自動車用ウエザストリップのインサートの先端部分の一部拡大平面図である。
【図11】本発明の自動車用ウエザストリップの車内側側壁におけるインサートの連結部での拡大断面形状である。
【図12】本発明の実施の形態のウエザストリップを押出成形し、インサートを分離する工程の模式図である。
【図13】従来の自動車用ウエザストリップのインサートの連結部での断面形状である。
【図14】従来の自動車用ウエザストリップの車内側側壁におけるインサートの連結部での拡大断面形状である。
【図15】従来の自動車用ウエザストリップのインサートの一部平面図である。
【図16】従来の他の自動車用ウエザストリップのインサートの連結部での断面形状である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の第1〜第5実施の形態を図1〜図12に基づき説明する。
まず、インサート40について説明し、次にウエザストリップ10について説明する。
本発明の第1の実施の形態のウエザストリップ10に使用されるインサート40の形状は、図4に示すように、帯状金属板から加工して形成されるものであって、多数の短冊部41を幅方向に並べるように、かつ、短冊部41の両側の先端付近を長手方向に連結部で連結した梯子状の形状に形成したものである。
【0042】
連結部は、後述する第1スリット44の先端に形成されたインサート40の幅方向における幅の狭い第1連結部42(図4におけるAの幅寸法)と、第2スリット45の側端に形成された隣接する第1連結部42よりインサート40の幅方向における幅の広い第2連結部43(図4におけるBの幅寸法)とが交互に形成されている。第1連結部42の幅(Aの幅寸法)は1.5〜3.0mmの間で設定することができ、本実施の形態では2.5mmである。第2連結部43の幅(Bの幅寸法)は2.5〜4.5mmの間で設定することができ、本実施の形態では3.0mmである。
【0043】
第1連結部42と第2連結部43のインサート40の幅方向における幅の比は、1:2〜2:3である。第2連結部43は、その幅が広く形成されているため、後述するインサート分離工程においては分離せずに、図5に示すように、幅の狭い第1連結部42のみを容易に分離させることができ、短冊部41を2個ずつ連結したままで分離させることができる。後述するように、インサート40の分離は、インサート40にウエザストリップ10を構成するゴム状弾性体からなる被覆層を形成した後に行われる。
【0044】
本実施の形態では、個々の短冊部41のインサート40の長手方向における幅(図4におけるDの幅寸法)は、2mmであり、インサート40の幅方向における長さ(図4におけるCの幅寸法)は約30mmである。短冊部41の肉厚は、0.30〜0.45mmの間で設定することができ、本実施の形態では0.35mmであり、従来の肉厚は0.50mm程度であるため、従来のインサートよりも薄肉であり、ウエザストリップ10を軽量化できる。なお、このDの幅寸法は、1.8mm〜3.2mmの間で設定することができる。また、このCの幅寸法は20mm〜50mmの間で設定することができる。
【0045】
インサート40は、短冊部41の肉厚が0.30〜0.45mmであり、第1連結部42と第2連結部43の肉厚が0.20〜0.35mmである。このため、インサート40の肉厚を従来よりも薄くすることができ、ウエザストリップ10を軽量化することができる。短冊部41の肉厚が0.30mm未満では、フランジの保持力が低下し、短冊部41の肉厚が0.45mmを超える場合には、インサート40の重量が増加して、ウエザストリップ10を充分に軽量化することができない。
【0046】
第1連結部42と第2連結部43の肉厚が0.20mm未満では、第1連結部42と第2連結部43の強度が低下して、第1連結部42と第2連結部43で屈曲する恐れがあり、第1連結部42と第2連結部43の肉厚が0.35mmを超える場合には、圧延が少なく、第1スリット44と第2スリット45の間隔を広げることができず、ウエザストリップ10を充分に軽量化することができない。
【0047】
短冊部41の両側の側端は、第1連結部42と第2連結部43で連結されているため、梯子状の形状のインサート40を押出成形機に供給して、ゴム状弾性材料とともに押出成形するときにそれぞれの短冊部41の先端押出抵抗が増加することがなく、スムースに押出成形機に供給することができ、押出成形を容易にすることができる。
【0048】
短冊部41と短冊部41の間にはスリットが形成されている。スリットは、インサート40の長手方向における幅の広い第1スリット44と、インサート40の長手方向における幅の狭い第2スリット45が交互に形成される。
第1スリット44の幅(図4におけるEの幅寸法)は約2.0mmであり、第2スリット45の幅(図4におけるFの幅寸法)は約0.75mmである。第1スリット44の幅は1.0mm〜2.5mmの間で設定され、第2スリット45の幅は0.50mm〜1.2mmの間で設定されている。
【0049】
このインサート40において、図10に第1連結部42と第2連結部43の部分の拡大図を示す。第1連結部42における切れ込みの深さ(I)と第1スリット44の幅(E)との関係は、切れ込みの深さ(I)の方が第1スリット44の幅(E)よりも同じか或いは大きく形成されている。第1の実施の形態では、切れ込みの深さ(I)は、2.6mm程度であり、第1スリット44の幅(E)は、2.0mmであり、1.0〜2.5mmの間に形成することができる。これにより、第1連結部42が分離しやすくなるとともに、被覆層が固着される面積をインサート40の場合よりも増大させることができる。なお、第1の実施の形態では、第2連結部43の切れ込みの深さ(K)は、0.8mmである。
【0050】
また、図10に示すように、第1連結部42と第2連結部43のスリット側の部分における面積(図10におけるXで示した斜線部分)の中のインサート40の金属以外の部分、即ち被覆層が占める部分の占める割合は5%以上とする。好ましくは、7%以上とすることがよく、さらに好ましくは、15%以上とすることが好ましい。これにより、被覆層が固着される面積を増大させることができる。第1の実施の形態のインサート40は、被覆層が占める部分の占める割合は15%以上である。
図10におけるXで示した斜線部分の面積は、隣接した第1連結部42と第1連結部42の間の距離(J)と切れ込みの深さ(I)を掛けたものである。ここで、J寸法は、次の式で表すことができる。
J=2×D+F+E
【0051】
なお、被覆層の占める部分の割合について、特に上限はないが、本実施の形態で挙げた寸法値から得られる最大値は20%程度である。インサート40の寸法を適宜変更することは可能であるが、図4及び図10に示す上記E、F、D、I、Kの各寸法の兼ね合いから、上限は30%程度が妥当である。また、本実施の形態で挙げた寸法値から得られる最小値は、7%程度であるが、寸法のバラツキを考慮すると、5%程度となり、最小限5%以上は必要である。
【0052】
次に、インサート40の製造方法について、説明する。
インサート40の製造は、まず長い帯状金属板にスリッターロールにより、帯状金属板の中央部を側端側の一部を残し、第1スリット44の長さに対応する幅方向に長い第1切断線と、第2スリット45の長さに対応する短い第2切断線を交互に入れる。そして、圧延ロールで、切断線が形成されていない部分を圧延するこれにより、インサート40の圧延部47を形成するとともに、第1切断線が広がり第1スリット44を形成し、第2切断線が広がり第2スリット45を形成する。さらに、第1スリット44の先端に第1連結部42が形成され、第2スリット45の先端に第2連結部43が形成される。
【0053】
このため、帯状金属板を加工するときに加工屑が発生せず、短冊部41と短冊部41の間に後述する第1スリット44と第2スリット45を形成することができる。また、連結部を他の部分(短冊部41の中央部分)よりも薄肉に形成することができる。また、これに加え引張力が付与されているので、第1連結部42を第2連結部43よりも幅狭に形成する。
【0054】
そのため、このインサート40をウエザストリップ10に埋設して押出成形後に、インサート分離工程において、薄肉で幅狭の第1連結部42のみを容易に分離させ、第2連結部43は分離させないようにすることができる。
幅の広い第1スリット44を形成したため、単位長さあたりの短冊部41の数を少なくすることができ、インサート40の重量を低減でき、車輌の軽量化に貢献することができる。
【0055】
なお、第1連結部42と第2連結部43及び短冊部41の第1連結部42と第2連結部43に対応する部分は、帯状金属板が長手方向に連続するように圧延と引張力が付与されて形成された圧延部47が形成されている。短冊部41において圧延部47の先端側には短冊部端部46が形成されている。
【0056】
次に、図1に基づいて本発明の第1の実施の形態のウエザストリップ10について説明する。図1はウエザストリップ10の断面図である。ウエザストリップ10は、自動車の車体開口部周縁等に形成されたフランジ50に取付けられる取付基部であるトリム部20と、中空シール部30とを有する。
【0057】
中空シール部30は、車外側側壁21の外面に一体的に形成されている。中空シール部30の先端には、リップ状に形成された頂部31が形成され、ドアやボンネットに当接したときにシール性を向上させることができる。中空シール部30の根元部32は、後述するトリム部20の底壁23に一体的に形成されている。
トリム部20は、ゴム、熱可塑性エラストマー、軟質合成樹脂等のゴム状弾性材料のソリッド材又は微発泡材で形成され、中空シール部30は、ゴムや熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性材料のスポンジ材で構成されている。
【0058】
トリム部20は、車外側側壁21、車内側側壁22と底壁23から構成され、断面略U字形をなし、内部にインサート40が埋設され、車外側側壁21と車内側側壁22の内面からそれぞれ車外側保持リップと車内側保持リップが形成される。インサート40が埋設されているため、車外側保持リップと車内側保持リップがフランジ50を保持する力が強くなり、トリム部20の肉厚を薄くしても、フランジ50からトリム部20が抜け出ることがない。
【0059】
トリム部20の被覆層を含めた肉厚は、ソリッド材では、1.4〜1.7mm、発泡材では、1.7〜2.2mmにすることができる。このため、従来よりもトリム部20の肉厚を薄く形成し、ウエザストリップ10を軽量化することができる。トリム部20の肉厚について、ソリッド材では1.4mm未満、発泡材では1.7mm未満の場合、被覆層が薄くなりすぎて、インサート40を確実に被覆することができない場合があり、トリム部20の肉厚について、ソリッド材では1.7mmを超過、発泡材では2.2mmを超過する場合、被覆層が厚くなって、ウエザストリップ10を充分に軽量化することができない。
【0060】
車外側保持リップと車内側保持リップは、車外側側壁21の内面からは、底壁23側から順に第1車外側保持リップ24と第2車外側保持リップ25が1本ずつ形成され、車内側側壁22の内面からは、底壁23側から順に第1車内側保持リップ26と第2車内側保持リップ27が1本ずつ形成されることが好ましい。この場合には、第1車外側保持リップ24と第1車内側保持リップ26が対向して形成され、第2車外側保持リップ25と第2車内側保持リップ27が対向して形成される。そのため、それぞれ対向する保持リップでフランジ50を安定して保持することができる。
【0061】
図1と図11に示すように、車外側側壁21と車内側側壁22とに、それぞれ、2本ずつの保持リップを形成する場合には、第1連結部42の中心部分42a(図4、図10及び図11に示す幅Aの中心点)が第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の先端側である短冊部端部46側にずれて位置する。より詳細には、第1連結部42の中心部分42aは、第1車外側保持リップ24の根元部24aにおける開口側の下端24bと、第1車内側保持リップ26の根元部26aにおける開口側の下端26bよりも、短冊部41の先端側である短冊部端部46側にずれて位置する。(換言すれば、下端24bと下端26bは、中心部分42aよりも底壁23側にずれて位置する。)
【0062】
このため、第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aには、第1スリット44若しくはその先端部が位置することができ、第1スリット44を通して被覆層が固定される。なお、根元部24aは、第1車外側保持リップ24と車外側側壁21が接する第1車外側保持リップ24の根元部分をいい、根元部26aは、第1車内側保持リップ26と車内側側壁22が接する第1車内側保持リップ26の根元部分をいう。
【0063】
従って、トリム部20の奥側にありフランジ保持力を大きく設定したい第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aがインサート40から剥離することが抑制され、フランジ保持力が低下することを抑制できる。
なお、車外側保持リップと車内側保持リップが1本ずつのみ形成されている場合には、第1連結部42の中心部分42aがその根元部と対向する部分よりも短冊部41の側端側である短冊部端部46側にずれて位置する。
【0064】
また、フランジ保持力の低下を一層抑制するべく、第1車外側保持リップ24の根元部24aにおける下端24b(開口側)と、第1車内側保持リップ26の根元部26aにおける下端26b(開口側)は、図10及び図11に示される第1スリット44の端部Pよりも底壁23側にずれて位置することが望ましい。この態様は、後述する第2〜5の実施の形態におけるインサート40A、40B、40C、40D、を使用するウエザストリップ10に用いてもよい。
【0065】
なお、図3に示すように、トリム部20の短冊部41が存在する部分では、短冊部41は、第2車外側保持リップ25の根元部と第2車内側保持リップ27の根元部から車外側側壁21と車内側側壁22の先端方向まで埋設されている。このため、車外側側壁21と車内側側壁22に埋設されたインサート40のフランジ50の保持力を向上させることができる。
【0066】
車外側側壁21の先端には、第1車外側シールリップ28と第2車外側シールリップ28bが形成され、フランジ50を形成するアウターパネル51に当接してトリム部20内に雨水や埃が進入しないようにシールしている。車内側側壁22の先端には、車内側シールリップ29が形成され、フランジ50を形成するインナーパネル52に当接して車内に雨水や埃が進入しないようにシールしている。また、トリム部20の内部の底壁23の内面には、シーラ20aが封入されて、シーラ20aにフランジ50の先端が挿入され、シール性が向上している。
【0067】
次に、本発明の第2の実施の形態のウエザストリップ10について説明する。第2の実施の形態のウエザストリップ10は、第1の実施の形態のウエザストリップ10とは、使用されるインサート40Aが異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0068】
本発明の第2の実施の形態のウエザストリップ10に使用されるインサート40Aの形状は、図6に示すように、圧延部47が短冊部41の先端付近に形成されて、短冊部端部46がほとんどない。このため、第1連結部42、第2連結部43及び圧延部47が短冊部41の先端付近に形成される。
インサート40とインサート40Aの幅寸法Cが同じ場合には、短冊部41の幅や長さは、第1スリット44と第2スリット45の幅も第1の実施の形態と同様であるが、第1スリット44と第2スリット45の長さは、圧延部47が先端側にあるため、第1の実施の形態よりも長くなる。
【0069】
さらに、第1連結部42と第2連結部43の両方の中心部をいずれも第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の先端側にずれて位置させることができる。この場合は、第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aが第2連結部43においてもインサート40Aと固着され、トリム部20がフランジ50を保持する力の低下が抑制される。
【0070】
このため、図2に示すように、このインサート40Aが埋設されたトリム部20では、インサート40と比較して、第1連結部42が短冊部41の更に先端側に位置して、第1連結部42の全体が第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の先端側に更にずれて位置することができる。このため、第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aは、一層確実に被覆層と固着され、第1車外側保持リップ24と第1車内側保持リップ26がより強くフランジ50を保持して、トリム部20がフランジ50を保持する力の低下が抑制される。
【0071】
次に、本発明の第3の実施の形態のウエザストリップ10について、図7に基づき説明する。第3の実施の形態のウエザストリップ10は、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態のウエザストリップ10とは、使用されるインサート40Bが異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0072】
第3の実施の形態のインサート40Bは、第1連結部42と第2連結部43の先端の部分の短冊部端部46のインサート40Bの幅方向の寸法(図7におけるGの幅寸法)が短く形成されている。第3の実施の形態の短冊部端部46のGの幅寸法は、約0.75mmであり、1mm以下が好ましい。
短冊部41の長さ(図7におけるHの幅寸法)は、約15mmである。短冊部41のHの幅寸法は、13mm〜35mmの間で設定されている。なお、インサート40Bの幅方向の寸法(図7におけるCの寸法)は、30mmである。Cの寸法は、20〜50mmの間で設定することができる。
【0073】
このため、第1連結部42と第2連結部43は、確実に第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aと対向する部分よりも短冊部41の先端側にずれて位置することができる。従って、第1車外側保持リップ24の根元部24aと第1車内側保持リップ26の根元部26aは、確実に被覆層と固着され、トリム部20がフランジ50を保持する力の低下が抑制される。さらに、第1スリット44と第2スリット45が長く形成されて、インサート40よりもインサート40Bの方が保持力の低下が少ない。
【0074】
また、短冊部41の先端に形成され、第1スリット44と第2スリット45が形成されている圧延部47のインサート40Bの幅方向の長さ(図7におけるBの寸法)は5.9mmである。圧延部47のBの幅寸法は、4.9mmであり、4mm〜7mmの間で設定されている。このため、圧延による長手方向の延び代を大きくすることができ、第1スリット44と第2スリット45の間の間隔を広くして、インサート40Bと被覆層を強固に固着することができる。
【0075】
次に、本発明の第4の実施の形態のウエザストリップ10について、図8に基づき説明する。第4の実施の形態のウエザストリップ10は、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態のウエザストリップ10とは、使用されるインサート40Cが異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0076】
第4の実施の形態のインサート40Cは、第1スリット44と第2スリット45の側端は円弧状に形成されている。この端末が円弧状に形成された第1スリット44と第2スリット45は、インサート40Cを形成する板金を打ち抜いて形成する。第1スリット44と第2スリット45の側端は円弧状に形成されたため、図8に示すI寸法及びK寸法が同じ場合に、インサート40の端末が三角形状に形成された第1スリット44と第2スリット45と比べて、第1スリット44と第2スリット45の面積が大きくなり、被覆層が固着される面積を増大させることができる。なお、円弧状に形成された第1スリット44と第2スリット45の先端に形成された第1連結部42と第2連結部43の部分を圧延して圧延部47を形成すると、第1連結部42が分離しやすくなる。
【0077】
次に、本発明の第5の実施の形態のウエザストリップ10について、図9に基づき説明する。第5の実施の形態のウエザストリップ10は、第2の実施の形態と同様に、第1の実施の形態のウエザストリップ10とは、使用されるインサート40Dが異なり、他の部分は同様であるため、異なる部分を説明し、同様な部分の説明は省略する。
【0078】
第5の実施の形態のインサート40Dは、第3の実施の形態と比べて、圧延部47のインサート40Dの幅方向の長さ(図9におけるB寸法)が短く形成され、第1スリット44と第2スリット45の長さが大きく形成されている。
圧延部47のインサート40Dの幅方向の長さ(B)は、3.5mm程度である。このため、短冊部の長さ(図9におけるH寸法)は、約22mmである。短冊部41の長さは、15mm〜37mmの間で設定されている。このため、C寸法が同じインサート40と比較して、第1スリット44と第2スリット45の面積が大きくなり、被覆層が固着される面積を増大させることができる。
なお、インサート40Dの幅方向の長さ(図9におけるC寸法)、第1スリット44の幅(E)、第2スリット45の幅(F)、短冊部端部46のインサート40Bの幅方向の寸法(G)は、第3の実施の形態と同じである。
【0079】
次に、図12に基づき、上述の方法で製造されたインサート40、40A、40B、40C,40Dを使用した長尺成形品であるウエザストリップ10の製造方法について説明する。図12は、ウエザストリップ10の製造工程の模式図である。
上述のように製造されたインサート40、40A、40B、40C,40Dを、従来技術と同様に押出成形機1に送り、インサート40、40A、40B、40C,40Dに合成ゴム、熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性材料による被覆層を被覆させて、トリム部20や中空シール部30を形成し、ウエザストリップ10を成形する。その後、ゴムの場合には、加硫槽2に移送し、熱風やUHFにより加熱、加硫する。なお、トリム部20はソリッド材で形成し、中空シール部30はスポンジ材で形成することが好ましい。
【0080】
加硫した連続したウエザストリップ10は、引取機3により引取られたのち、インサート分離機4によりウエザストリップ10の可撓性を向上させるために、インサート40、40Aの第1連結部42のみを分離させる。インサート分離機4は、複数の上分離ロール4aと下分離ロール4bの間にウエザストリップ10をジグザグ状に通して、ウエザストリップ10を繰り返し折り曲げ、インサート40、40A、40B、40C,40Dの第1連結部42を疲労破断させて分離させるものである。
【0081】
インサート40、40A、40B、40C,40Dの第1連結部42が分離されたウエザストリップ10は、曲げ機5に移送され、上曲げロール5aと下曲げロール5bにより図7に示すように、トリム部20を断面略U字形に折り曲げる。折り曲げられたウエザストリップ10は、従来の技術で述べたと同様に、切断、端部型成形等の加工が行われ、ウエザストリップ10として製品となる。
【符号の説明】
【0082】
10 ウエザストリップ
20 トリム部
21 車外側側壁
22 車内側側壁
24 第1車外側保持リップ
24a、26a 根元部
26 第1車内側保持リップ
40、40A、40B、40C、40D インサート
31 短冊部
42 第1連結部
43 第2連結部
47 圧延部
50 フランジ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の車体開口部周縁又は開口部開閉部材に形成されたフランジを保持するトリム部と、該トリム部と一体に形成され、相手部材に当接してシールするシール部を有するウエザストリップにおいて、
上記トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形に形成され、上記車外側側壁と車内側側壁の内面からそれぞれ車外側保持リップと車内側保持リップが形成されるとともに、上記トリム部の内部に帯状金属板を加工して形成されたインサートが内部に埋設され、
該インサートは、上記帯状金属板から多数の短冊部を幅方向に並べるように、かつ該短冊部の両側の端部付近を長手方向に連結部で連結した梯子状となるように形成されており、上記短冊部と短冊部の間にはスリットが形成され、上記連結部の中心部分は、上記車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも上記短冊部の先端側にずれて位置することを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記短冊部と短冊部の間にはスリットが形成され、該スリットは、上記インサートの長手方向における幅の広い第1スリットと、該第1スリットよりも上記インサートの長手方向における幅の狭い第2スリットが交互に上記インサートの長手方向に沿って形成され、上記第1スリットがウエザストリップ成形後に分離されている請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記第1スリットの先端に形成されたインサートの幅方向における幅の狭い第1連結部と、上記第2スリットの先端に形成された上記第1連結部よりもインサートの幅方向における幅の広い第2連結部とが交互に上記インサートの長手方向に沿って形成され、上記ウエザストリップを成形後に、上記第1連結部が分離され上記トリム部内で上記短冊部が2個ずつ組み合わせて分離されている請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記トリム部は、上記車外側側壁の内面からは、上記底壁側から順に第1車外側保持リップと第2車外側保持リップが形成され、上記車内側側壁の内面からは、上記底壁側から順に第1車内側保持リップと第2車内側保持リップが形成され、上記第1連結部の中心部分が上記第1車外側保持リップの根元部及び上記第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも上記短冊部の先端側にずれて位置する請求項3に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記第1連結部の全体が上記第1車外側保持リップの根元部及び上記第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも上記短冊部の先端側にずれて位置する請求項4に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項6】
上記第1連結部と第2連結部の中心部は、いずれも上記第1車外側保持リップの根元部及び上記第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも上記短冊部の先端側にずれて位置する請求項4又は請求項5に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項7】
上記連結部の上記スリットの先端に面する部分は円弧状に切欠かれた請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項8】
上記第1連結部における切れ込みの深さは、上記第1スリットの幅よりも同じか或いは大きく形成されている請求項3乃至請求項7のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項9】
上記短冊部の先端の圧延部において、上記第1スリットの先端と上記短冊部の先端との間の上記圧延部は、上記第1スリットと第2スリットの先端のインサートの金属以外の部分の占める割合は5%以上である請求項2乃至請求項8のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項1】
自動車の車体開口部周縁又は開口部開閉部材に形成されたフランジを保持するトリム部と、該トリム部と一体に形成され、相手部材に当接してシールするシール部を有するウエザストリップにおいて、
上記トリム部は、車外側側壁、車内側側壁及び底壁からなる断面略U字形に形成され、上記車外側側壁と車内側側壁の内面からそれぞれ車外側保持リップと車内側保持リップが形成されるとともに、上記トリム部の内部に帯状金属板を加工して形成されたインサートが内部に埋設され、
該インサートは、上記帯状金属板から多数の短冊部を幅方向に並べるように、かつ該短冊部の両側の端部付近を長手方向に連結部で連結した梯子状となるように形成されており、上記短冊部と短冊部の間にはスリットが形成され、上記連結部の中心部分は、上記車外側保持リップの根元部及び車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも上記短冊部の先端側にずれて位置することを特徴とする自動車用ウエザストリップ。
【請求項2】
上記短冊部と短冊部の間にはスリットが形成され、該スリットは、上記インサートの長手方向における幅の広い第1スリットと、該第1スリットよりも上記インサートの長手方向における幅の狭い第2スリットが交互に上記インサートの長手方向に沿って形成され、上記第1スリットがウエザストリップ成形後に分離されている請求項1に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項3】
上記第1スリットの先端に形成されたインサートの幅方向における幅の狭い第1連結部と、上記第2スリットの先端に形成された上記第1連結部よりもインサートの幅方向における幅の広い第2連結部とが交互に上記インサートの長手方向に沿って形成され、上記ウエザストリップを成形後に、上記第1連結部が分離され上記トリム部内で上記短冊部が2個ずつ組み合わせて分離されている請求項2に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項4】
上記トリム部は、上記車外側側壁の内面からは、上記底壁側から順に第1車外側保持リップと第2車外側保持リップが形成され、上記車内側側壁の内面からは、上記底壁側から順に第1車内側保持リップと第2車内側保持リップが形成され、上記第1連結部の中心部分が上記第1車外側保持リップの根元部及び上記第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも上記短冊部の先端側にずれて位置する請求項3に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項5】
上記第1連結部の全体が上記第1車外側保持リップの根元部及び上記第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも上記短冊部の先端側にずれて位置する請求項4に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項6】
上記第1連結部と第2連結部の中心部は、いずれも上記第1車外側保持リップの根元部及び上記第1車内側保持リップの根元部と対向する部分よりも上記短冊部の先端側にずれて位置する請求項4又は請求項5に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項7】
上記連結部の上記スリットの先端に面する部分は円弧状に切欠かれた請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項8】
上記第1連結部における切れ込みの深さは、上記第1スリットの幅よりも同じか或いは大きく形成されている請求項3乃至請求項7のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【請求項9】
上記短冊部の先端の圧延部において、上記第1スリットの先端と上記短冊部の先端との間の上記圧延部は、上記第1スリットと第2スリットの先端のインサートの金属以外の部分の占める割合は5%以上である請求項2乃至請求項8のいずれか1項に記載の自動車用ウエザストリップ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−91773(P2012−91773A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159113(P2011−159113)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】
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