説明

舗装路面の形状を三次元で測定する方法及び当該方法を実施するための装置

本発明は、少なくとも1本のタイヤを履いた車両が走行できる地面の三次元プロフィールを測定する方法に関する。本発明によれば、地面の要素領域に関する第1の地形学的測定を少なくとも1mmの精度で現場において実施し、その後、所与のタイヤのトレッドと要素領域との接触点を特定し、かかる接触点に関する少なくとも第2の地形学的測定を現場で実施して接触点のミクロ粗さの三次元表示をミクロンオーダの解像度で得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が走行できる舗装路面のプロフィール(形状)を三次元で測定する方法に関する。本発明は又、かかる方法を実施するための装置に関する。
【0002】
本発明は、かかる用途に限定されるものではないが、特に、自動車型の車両が装備するタイヤに関して提供される。
【背景技術】
【0003】
かかる車両が、通常アスファルト又はコンクリート型の舗装路面から成る道路上又は走行路上を走行しているとき、車両が装備しているタイヤのグリップ特性は、加速トルク及び制動トルクの伝達並びに車両の安定性に関して根本的に重要である。車両の「安定性」という用語は、特に、車両の経路の誘導又は維持を意味するものと理解されたい。
【0004】
例えば、アスファルトの層から成る舗装路面に対するタイヤのグリップは、本質的には、タイヤトレッドがアスファルトの凹凸(でこぼこ)上を滑り、かかる凹凸がタイヤトレッドのゴムコンパウンドの表面に食い込むことによりタイヤトレッドのゴムコンパウンドが凹む現象の結果である。変形するゴムコンパウンドのヒステリシス特性と関連したこの滑りにより誘発される凹み現象は、滑りに対抗した力をタイヤと舗装路面との間に生じさせ、その結果、タイヤが舗装路面をグリップする。
【0005】
このグリップ現象を考慮すると、車両が走行する舗装路面の表面の外観がグリップの量を決定する上で大きな役割を果たすことは、明白である。また、当業者に知られているように、舗装路面の粗さ又は舗装路面の凹凸の大きさは、舗装路面を構成する骨材の大きさ及び更にかかる骨材の表面仕上げを介してグリップ量に影響を及ぼす。「マクロ粗さ」という用語は、1ミリメートルのオーダの寸法に対応した骨材の大きさに関連して用いられ、「ミクロ粗さ」という用語は、1ミクロンオーダの寸法に対応したこれらの表面仕上げに関して用いられている。また、「メジアン粗さ」(又は中間粗さ)は、上述の2通りの寸法尺度相互間の中間の尺度、即ち、10ミクロンオーダほどの骨材の外観を表すものとして用いられている。
【0006】
したがって、タイヤを設計する際にこれらのパラメータを考慮に入れるために車両が走行しなければならない舗装路面の性状を把握しようとすることが通例である。この種の把握は、所与の舗装路面上を転動するタイヤの挙動を分析することが必要な場合に重要になる。
【0007】
かくして、タイヤを装備した車両が走行する舗装路面のプロフィールを推定する方法が知られている。かくして、マクロ粗さの観点で舗装路面が雨天の際に水を除去する能力を定める目的でプロフィールを特定するか、舗装路面に対するタイヤのグリップを突き止めることが意図されている場合にマクロ粗さとミクロ粗さの両方の観点でプロフィールを特定するかのいずれかを行おうとすることが通例である。
【0008】
特に、例えば、カーボン紙又は舗装路面上のインキの付着と関連した単純な紙を用いて押印を取ることから成る路上測定技術が知られている。かかる測定により、所与の舗装路面上におけるタイヤの接触領域を巨視的観点から求めることができる。しかしながら、かかる測定法は、特に不正確であり且つ再現性に乏しい。
【0009】
他の公知の測定技術は、例えば孔あけ技術により舗装路面のサンプルを採取し、その後実験室で測定を行うことから成る。したがって、実施される測定は、非常に正確な場合があり、1ミクロンオーダの尺度の測定を含む。かかる方法は、破壊的であるという欠点をもつ。というのは、かかる方法では、サンプルを採取することが必要だからである。舗装路面の表面のかかる分析は、有利には、舗装路面の統計学的表示を得るために幾つかのランダムに選択された点(箇所)で実施されるので、これら破壊的方法が引き起こす損傷に起因してかかる方法に対する関心の度合いが低いことは明らかである。
【0010】
上述の技術の中間に位置する測定技術は、舗装路面の型を取ることにより痕跡を取り、次にこの型又は対応物としての型を実験室で分析することから成る。型取りは、例えば、歯科用ペーストタイプの材料を用いて実施される場合がある。使用される材料は、舗装路面のプロフィールの分析を巨視的寸法に制限し、この舗装路面の微視的プロフィールは、型取り中に消えることが判明している。
【0011】
また、特に特許文献である米国特許出願公開第2003/0000097号明細書、米国特許第5790243号明細書及びスウェーデン国特許第527952号明細書から、道路の横方向巨視的プロフィール、特に、車両の通行により形成されるわだち掘れを突き止めるための多くの測定回数から成る二次元測定方法が知られている。これら測定技術を小さな尺度、特に、上述した1ミクロンオーダの尺度に移し替えるには、時間依存偏差、例えば熱膨張による影響に打ち勝つことが必要である。この理由としては、かかる方法を1ミクロンオーダの解像度で適用するには、多くの測定回数が必要であり、したがって、測定に必要な時間が非常に長くなり、その結果、かかる期間にわたり、所要の精度では許容できない測定のばらつきを生じさせるのに十分変化する環境上の物理的効果により精度が低下することが挙げられる。
【0012】
かくして、本発明者には、道路の形式の舗装路面のプロフィールを測定する方法であって、舗装路面を損傷させず、1ミクロンオーダの精度でかかる舗装路面を三次元で分析することができるようにする方法を提供する目的が与えられている。もう1つの目的は、信頼性があり且つ再現性のある測定方法を提供することにある。
【0013】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0000097号明細書
【特許文献2】米国特許第5790243号明細書
【特許文献3】スウェーデン国特許第527952号明細書
【発明の開示】
【0014】
これら目的は、本発明によれば、少なくとも1本のタイヤを装備した車両が走行できる舗装路面のプロフィールを三次元で測定する方法において、舗装路面の要素表面に関する第1の地形学的測定を現場において少なくとも1mmの精度で実施し、要素表面と所与のタイヤのトレッドとの接触点を特定し、接触点に関する少なくとも第2の地形学的測定を現場で実施して接触点のミクロ粗さの表示をミクロンオーダの解像度で得ることを特徴とする測定方法によって達成される。
【0015】
現場で測定を実施することは、オペレータが舗装路面に対して測定方法を直接実施することを意味し、かかる方法は、有利には、非破壊的である。
【0016】
かくして、本発明に従って舗装路面のプロフィールを三次元で測定する方法を提供した結果として、タイヤのトレッドが接触しがちな舗装路面、例えば石の最上部の三次元測定が得られる。
【0017】
種々の地形学的測定は、有利には、光学式であり、したがって、無接触方式の方法なので、測定される舗装路面を損傷させる恐れが生じない。
【0018】
舗装路面の要素表面(又は基本的表面)は、舗装路面の表面の一部であり、その寸法は、用いられる測定技術及びタイヤ/舗装路面インターフェイスに関して得られた経験に従って決定される。これは、当業者が、特に、上述の測定の目的に従って、舗装路面を表す有用な要素寸法(又は基本的寸法)を定めることができるからである。同様に、当業者であれば、問題の舗装路面の満足の行く平均的な統計学的表示を得るために測定目的上必要とされる要素表面の数を決定することになろう。
【0019】
本発明によれば、測定方法は、舗装路面の要素表面のプロフィール(形状)を少なくとも1ミリメートルの精度で測定することから成る第1のステップを有する。この種の測定尺度に関する光学測定技術、例えば干渉縞投射法は、当業者には知られている。かかる技術は、干渉縞投射システム及び観察カメラを利用し、これら両方は、コンピュータユニットに接続される。カメラは、舗装路面上に投射され、舗装路面のでこぼこにより変更された干渉縞パターンの変形具合を観察する。次に、変形したパターンをディジタル的に基準パターンと比較し、2つのパターン相互間の位相ずれを計算することにより、カメラに対する表面からの各測定点の距離を求めることが可能である。このように、当初2つの座標X,Yによって特定された測定点の第3の座標Zを求めることが可能である。また、測定される各点について幾つかの干渉縞パターンを連続的に投射することにより測定を改善することが可能である。かくして、これら測定により、舗装路面の測定された要素表面を適当なアルゴリズムの使用によりディジタル化することができる場合がある。
【0020】
問題のタイヤの特性、特に、タイヤの圧力及びそのトレッドの設計を知った上で、第2のステップは、タイヤトレッドと問題の要素表面との間の接触点を決定することから成る。
【0021】
接触点又はタイヤと舗装路面の要素表面との間の接触領域に関するこの決定は、有利には、第1のステップの実施中にディジタル化された要素表面から得られる。かくして、トレッドとの接触点は、有利には、舗装路面の要素表面をモデル化する計算アルゴリズムを用い、タイヤの1つ又は2つ以上の特性、例えば、タイヤの圧力、トレッドの弾性率、及びトレッドの溝付け形式を計算アルゴリズムに組み込むことによって特定される。
【0022】
この場合、種々の決定方法が利用可能である。
【0023】
第1の方法によれば、この表面は、第1のステップの実施中にディジタル化された舗装路面のプロフィールに対するトレッドのゴムコンパウンドの圧縮度を定めることから成る有限要素法により決定できる。疑いも無く、これは、最も正確な方法であるが、この方法は又、現場で実施するのが望ましい測定の状況を考慮すると非常に長く且つその結果扱いが難しい。
【0024】
正確さの度合いは低いが非常に迅速である第2の方法によれば、舗装路面と所与のタイヤのトレッドとの間の接触領域は、第1のステップの実施中に得られるディジタル化要素表面の出現点の割合によって定められる。実施した種々の実験の示すところによれば、タイヤの或る特定の特性又はかかる特性の推定に基づくこれら出現点の予想値及び第1のステップの結果により、満足の行く結果が得られる。かくして、乗用車の場合、特にトレッド設計及びタイヤの圧力に応じて、出現点のこの割合は、5〜20%であるように選択される。
【0025】
これ又第1の方法よりは正確さの度合いは低いが迅速である第3の方法は、第1のステップの実施中にディジタル化された舗装路面の凹凸に対して生じる所与のタイヤトレッドのゴムコンパウンドの凹み度を考慮することにより舗装道路と所与のタイヤのトレッドとの間の接触領域を定めることから成る。かくして、乗用車の場合、この凹み深さは、0.1〜0.6mmであるように選択される。
【0026】
第3のステップの実施の際、本発明は、接触点のミクロ粗さの表示を得るために接触点に関する1ミクロンオーダの解像度の第2の地形学的測定を実施する。この種の測定尺度に関する光学測定技術、例えば、結果的に測定表面の三次元表示が得られる白色干渉法は、当業者には知られている。かかる技術は、互いに干渉する2つの多色波面によって作られる干渉性ピークの検出に基づいている。接触点の表面は、白色光によって照明され、この白色光は、ビームスプリッタを用いて2つの部分に分割される。接触点の表面に差し向けられなかった部分は、基準表面に差し向けられる。これら部分の各々からの反射光は、組み合わされ、基準パターンがカメラによって記録される。強度は、2つのビーム相互間の光路差がゼロであるときに最大なので、基準表面は、変換され、画像が、一定間隔で撮像される。各点の強度の変化を分析することにより、XY座標が特定された一点のZ座標を求めることが可能である。他の三次元測定技術は、例えば、干渉縞投射法及び写真測量(又は、立体視)法である。コンフォーカル顕微鏡又はレーザ三角測量ツールを用いる二次元測定法を想定できる。かかる測定では、三次元で実施される測定の情報品質に近い情報品質を達成するためには、多数回の反復が必要である。ただし、一方において、測定センサを再位置決めする問題が解決されること、他方において、例えば熱膨張のような潜在的な偏差を生じさせる場合のある物理的現象の全てに気をつけることを条件とする。事実、この種の測定法は、1ミクロンの尺度で関連の測定結果を得るには利用できず、再位置決め及び物理的現象と関連した問題は、解決するのが事実上不可能である。
【0027】
本発明によれば、巨視的な形式の第1の測定結果、より正確に言えば、要素表面のディジタル表示の生成により、1ミクロンオーダの解像度の巨視的測定が必要な舗装路面とトレッドとの間の接触点を突き止めることができる。したがって、これら二段階測定により、より完全な情報が得られる。
【0028】
さらに、本発明の方法により、かなりの時間が節約される。というのは、後者のステップの測定は、表面全体に対して有用なゾーン寄りに位置していて、要素表面を表す表面に制限されるからである。
【0029】
第2の測定を実施するため、1ミクロンオーダの解像度での測定に必要な精度及び装置を変更する必要性により、第2の装置を第1の装置に対して較正することが必要である。これは、当業者には公知の任意の手段により実施でき、満たされるべき条件は、同一の基準系が両方の測定に用いられることである。
【0030】
上記において用いられた測定技術に関し、得られた結果及びこれらの精度は、完全に予期しないものであった。これは、1ミクロンオーダの精度による地形学的測定が、実験室で行われるのが通例だからであり、測定ツールは、耐震性コンクリートスラブ上に設置される。結果を考慮すると、本発明者の考えるところによれば、現場測定は、道路、走行路及びタイヤを装備した車両が走行する他の表面を覆うために作られる例えばアスファルト又はコンクリート型の舗装路面の性状に鑑みて、実現可能である。これら材料の性状は、各種振動を吸収するのに極めて十分であるように思われる。ただし、これら振動を引き起こす現象、例えば車両の通行は、数十mだけ測定ゾーンから遠ざかっていることを条件とする。
【0031】
しかしながら、測定は、有利には、環境条件から遮られた状態で実施され、したがって、例えば風、雨又は日光のような現象は、測定を妨害しないようになる。
【0032】
本発明は、有利には、少なくとも第3の測定を現場で実施して、接触点のメジアン粗さの三次元表示を10ミクロンオーダほどの解像度で得るという変形例を提供する。
【0033】
この測定尺度に関する光学測定技術、例えば、三次元表示をもたらす第1の測定のための干渉縞投射技術に類似した干渉縞投射技術は、当業者には知られている。第2の実施形態の場合と同様、他の三次元測定技術、例えば、写真測量(又は、立体視)法の利用が可能である。また、コンフォーカル顕微鏡又はレーザ三角測量ツールを用いる二次元測定法を計画できる。しかしながら、この測定の10ミクロンオーダほどの精度を得るには、第2の測定の場合に関して上述した条件と同一の条件が必要である。
【0034】
この第3の測定は、事実、寸法の観点では、最初に述べた2種類の測定に対して中間に位置する測定である。かくして、本発明によれば、第1の測定により、要素表面を石の存在及び石を分離する隙間によって定めることができ、かくして、舗装路面とタイヤトレッドとの接触点を得ることができる。第3の測定は、石のメジアン粗さ及び従ってこれらの形状を定めるが、第2の測定では、かかる石のミクロ粗さを1ミクロンオーダの解像度で求めることができる。
【0035】
第2の測定の場合と同様、第3の測定は、要素表面のディジタル化及び第1の測定を実施した後の接触領域の特定に基づいて実施される。これ又同様に、第3の測定は、接触点を知ることから恩恵を受けると共に関心のあるゾーンのみを測定し、かくしてこの第3の測定をできるだけ迅速に実施することができるようにするために、第1の測定の基準系で実施される。
【0036】
本発明の好ましい実施形態によれば、舗装路面の要素領域又は要素表面の面積は、少なくとも5cm2であり、有利には少なくとも10cm2である。この値以下では、実験の示すところによれば、得られる結果は、測定することが望ましい舗装路面をいつでも表しているわけではない。
【0037】
また、好ましくは、本発明によれば、接触点の第3の測定に対応した測定領域は、2mm2〜1cm2であり、有利には、4〜30mm2であり、この類似した面積範囲は、要素表面の統計学的表示を得る上で十分である。しかしながら、より代表的な統計学的結果を得るために幾つかの接触点に関して第3の測定を行うことが可能である。
【0038】
また、好ましくは、本発明によれば、接触点の第2の測定に対応した面積領域は、0.01〜2mm2であり、有利には、0.04〜1mm2である。この測定範囲は、特に、満足の行く解像度/精度の妥協点を見出す上で現在有用なツールによって定められる。
【0039】
本発明は又、少なくとも1本のタイヤを装備した車両が走行できる舗装路面のプロフィールを現場において三次元で測定する装置において、測定装置は、少なくとも1ミリメートルの精度で測定を行う第1の測定ツールと、少なくとも、1ミクロンオーダの精度で測定を行う第2の測定ツールとを有し、測定装置は、少なくとも1つのコンピュータを含み、測定装置は、環境条件からの保護を行う手段を含むことを特徴とする測定装置を提供する。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1の測定ツールは、干渉縞投射型のものである。
【0041】
また、好ましくは、第2の測定ツールは、白色干渉法型のものである。
【0042】
本発明の変形実施形態によれば、測定装置は、10ミクロンオーダほどの精度で測定を行う第3の光学測定ツール、例えば干渉縞投射型の測定ツールを有する。
【0043】
種々の光学測定ツールは、有利には、連続して設置され、同一の制御装置によって作動され、制御装置は、それ自体、コンピュータによって制御され、コンピュータは、特に第1のツールによって実施された測定に基づいて第2及び第3のツールを作動させる。
【0044】
上述したように、本発明者は、あらゆる予想に反して、かかるツール、特に、1ミクロンオーダの精度の光学測定ツールを用いると現場測定を実施できることを実証できた。しかしながら、大抵の場合、測定装置は、環境条件、例えば雨、風及び日光から測定装置を保護する保護手段を有することが非常に有用である。これは、特に1ミクロンオーダの精度の光学測定ツールが環境条件により測定中妨害されないようにすることが根本的に重要だからである。
【0045】
本発明の有利な一実施形態によれば、環境からの保護手段は、周囲沿い及び頂部が気密封止された織物、例えばテントである。しかしながら、かかる織物は、舗装路面に対する測定を可能にするようそのベースが開いており、したがって、底部を備えていないが、その周囲全体が舗装路面に気密的に結合される。
【0046】
測定装置のもう1つの利点は、測定を実施するのに必要なツールに起因して、測定装置を特に車で容易に運搬することができ、道路又は走行路への簡単な接近が可能になるということにある。また、コンパクトなツールは、航空機によって運搬可能であるという利点を有する。
【0047】
また、本発明の装置の使用法が簡単なので、迅速な測定を実施することができる。これは、これら測定を現場で直接実施するという実現可能性に寄与する。
【0048】
本発明の他の細部及び有利な特徴は、本発明の例示の実施形態についての説明から以下において明らかになろう。
【0049】
舗装路面がアスファルトで作られた道路のプロフィールを求めて乗用車のタイヤに関するグリップ及び摩耗結果を把握し、より正確に言えば、これら結果の専門的な鑑定を得ることができるようにする試験を行った。
【0050】
これら試験の目的は、実際には、所与の舗装路面上を転動しているときに得られた結果を解釈することであった。これら試験により、観察されたグリップ又は摩耗現象を良好に理解できる場合がある。かかる試験により、例えば、局所的に通常観察されるタイヤの可動状態とは局所的に異なるタイヤの可動状態を理解し又は説明することが可能になる。また、舗装路面に対して行われた測定により、この種の舗装路面上を転動するようになったタイヤの設計を最適化することができる場合がある。
【0051】
上述したように、本発明の舗装路面の分析は、幾つかのステップの状態で行われる。
【0052】
本発明によれば、第1のステップは、測定が行われる舗装路面の要素表面を識別又は特定することから成る。これら要素表面は、グリップ及び摩耗の観点において最も広いゾーンを表すものでなければならない。かくして、当業者は、要素表面の数、これらの寸法及びこれらの存在場所を定める。当業者は、タイヤ/舗装路面インターフェイスに関して得られた自分の経験に頼るであろうことは明らかである。
【0053】
以下に説明する測定及び分析の各々の実施中、例えばボトムレス形テントのような器具を測定装置の周りに配置する。その目的は、測定装置の使用を環境条件から保護することにある。
【0054】
このようにして定められた要素表面の各々に関し、観察カメラと関連した干渉縞投射システムを用いて第1の分析を実施する。試験の状況の範囲内で、これは、60cm2に等しい要素領域に関する測定を行うためのカメラ一式である。すでにXY座標により特定された一点のX座標を規定して1ミリメートルオーダの精度で分析された要素表面の地形学的特徴を得るために1/10ミリメートルごとに測定を実施する。要素表面を分析するのに要する時間は、約40秒である。
【0055】
これら測定に始まり、適当なソフトウェアを備えたコンピュータは、要素表面のディジタル表示をもたらす。この三次元ディジタル化表面を用いてこの表面とのタイヤトレッドの実際の接触領域を到底する。この実際の接触領域、より正確に言えば、所与のタイヤのトレッドと上述の要素表面の接触点を特定するため、0.3mmに等しいタイヤのトレッドの凹みを考慮する。かくして、ディジタル化表面のディジタル処理の結果として、1組の接触点が得られる。
【0056】
これら接触点に始まり、間接カメラと関連した干渉縞投射システムを用いて第2の分析を実施する。試験の状況の範囲内で、これは、10mm2の面積に対する測定を行うための第2の装置一式である。この装置は、接触点の選択に基づいて測定を行うために用いられる。測定は、接触点から選択された分析表面の地形学的特徴を得るために既にXY座標により特定された一点のZ座標を定めるために2ミクロンごとに測定を行う。試験の実施中、これら第2の測定を接触点から選択された約20個の表面について実施した。得られた結果により、10ミクロンオーダほどの精度で接触点から選択された表面の地形学的特徴又はプロフィールが得られた。選択された表面の各々を分析するのに要する時間は、約20秒である。
【0057】
特に第2の測定ツールを設置し、所与の基準系で特定された接触点の位置の関数として第2の測定ツールの初期位置を較正するために、第1の分析及びその測定を考慮に入れて第2の分析を実施する。これら作業は、制御装置によって行われ、制御装置は、それ自体コンピュータによって制御される。
【0058】
この場合も又接触点に始まって、白色干渉法システムを用いて第3の分析を実施する。この装置は、0.04mm2の面積上の接触点の選択に基づいて測定を行うために用いられる。測定は、接触点から選択された分析表面の地形学的特徴を得るために既にXY座標により特定された一点のZ座標を定めるために0.4ミクロンごとに測定を行う。試験の実施中、これら第3の測定を接触点から選択された約20個の表面について実施した。得られた結果により、1ミクロンオーダの精度で接触点から選択された表面の地形学的特徴又はプロフィールが得られた。選択された表面の各々を分析するのに要する時間は、約10分である。
【0059】
干渉計を用いた分析作業も又、コンピュータにより制御される同一の制御装置を用いて実施され、作業は、特に第1の分析中に実施された測定に基づいて実施される。
【0060】
舗装路面の特徴を把握することができる上述の作業の組み合わせは、2時間続く。
【0061】
タイヤ/舗装路面インターフェイスをモデル化するためのツールに組み込まれた状態の得られた結果は、タイヤが転動しているときに生じる或る特定のグリップ及び摩耗現象の良好な理解又は解釈を提供することができる。
【0062】
また、かくして上述した舗装路面の分析により、例えばレース上における競技の場合と同様、所与の形式の舗装路面上で転動するようなったタイヤの開発において先手を打つことができる。
【0063】
本発明を自動車用のタイヤに関して具体的に説明したが、本発明は、より一般的に、任意の形式のタイヤ、特に、オートバイ、航空機、ローリー等のためのタイヤに利用できる。本発明は又、より一般的に、この種の車両が走行できる任意形式の舗装路面に利用できる。路面は、特に、既に説明したアスファルト又はコンクリート形式の舗装路面又は以下の形式、即ち、排水用ビチューメン配合物、ビチューメンコンクリート、樹脂舗装路面等の舗装路面であるのが良い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本のタイヤを装備した車両が走行できる舗装路面の形状を三次元で測定する方法において、前記舗装路面の要素表面に関する第1の地形学的測定を現場において少なくとも1mmの精度で実施し、前記要素表面と所与のタイヤのトレッドとの接触点を特定し、前記接触点に関する少なくとも第2の地形学的測定を現場で実施して前記接触点のミクロ粗さの表示をミクロンオーダの解像度で得る、測定方法。
【請求項2】
前記トレッドとの接触点は、前記舗装路面の前記要素表面をモデル化する計算アルゴリズムを用い、前記タイヤの特性、例えば、前記タイヤの圧力、前記トレッドの弾性率、及び前記トレッドの溝付け形式を前記計算アルゴリズムに組み込むことによって特定される、請求項1記載の測定方法。
【請求項3】
少なくとも第3の測定を現場で実施して、前記接触点のメジアン粗さの三次元表示を10ミクロンオーダほどの解像度で得る、請求項1又は2記載の測定方法。
【請求項4】
前記舗装路面の前記要素表面の面積は、少なくとも5cm2である、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の測定方法。
【請求項5】
前記接触点の前記第3の測定に対応した測定面積は、2mm2〜1cm2である、請求項3又は4記載の測定方法。
【請求項6】
前記接触点の前記第2の測定に対応した測定面積は、0.01〜2mm2である、請求項1〜5のうちいずれか一に記載の測定方法。
【請求項7】
少なくとも1本のタイヤを装備した車両が走行できる舗装路面の形状を現場において三次元で測定する装置において、前記測定装置は、少なくとも1ミリメートルの精度で測定を行う第1の測定ツールと、少なくとも、1ミクロンオーダの精度で測定を行う第2の測定ツールとを有し、前記測定装置は、少なくとも1つのコンピュータを含み、前記測定装置は、環境条件からの保護を行う手段を含む、測定装置。
【請求項8】
前記第1の測定ツールは、干渉縞投射型のものである、請求項7記載の測定装置。
【請求項9】
前記第2の測定ツールは、白色干渉法型のものである、請求項7又は8記載の測定装置。
【請求項10】
前記測定装置は、10ミクロンオーダほどの精度で測定を行う第3の光学測定ツール、例えば前記干渉縞投射型の測定ツールを有する、請求項7〜9のうちいずれか一に記載の測定装置。

【公表番号】特表2009−520964(P2009−520964A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546378(P2008−546378)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069604
【国際公開番号】WO2007/071595
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(599105403)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (228)
【Fターム(参考)】