説明

航空機の少なくとも1つの車輪を制動するための航空機用液圧ブレーキ構造

【課題】漏れの程度が低下した新規なブレーキ構造を提案する。
【解決手段】車輪制動液圧アクチュエータを有するブレーキと、高圧流体の圧力源Alimと、標準制動液圧回路C1とを含む航空機液圧パーキング構造であって、前記標準制動液圧回路C1が、前記圧力源Alimに接続された供給ポートPと、戻りポートRと、前記アクチュエータに接続された利用ポートUとを有する圧力制御サーボバルブを少なくとも含み、前記ブレーキ構造が、前記圧力源Alimまたは低圧戻り回路CRのいずれかに選択的に接続された出口ポートPs1を有するパーキングブレーキバルブPkBVを含むパーキング液圧回路C2を更に含む、航空機液圧パーキング構造に関する。前記パーキングブレーキバルブPkBVの出口ポートPs1は、前記圧力制御サーボバルブの戻りポートRに接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機の少なくとも1つの車輪を制動するための航空機用液圧ブレーキ構造の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
図1に関して記載されている型の航空機車輪のためのブレーキ構造は、公知である。この従来技術の構造は、
− 車輪を制動するための少なくとも1つの液圧アクチュエータが設けられた少なくとも1つのブレーキと、
− 高圧の液圧流体を送出するようにされた少なくとも1つの圧力源Alimと、
− 標準制動液圧回路C1と、
を含む。
【0003】
この標準制動液圧回路C1は、
− 圧力源Alimに(直接的にまたは間接的に)接続された供給ポートPと、
− 戻りポートRと、
− 制動液圧アクチュエータに接続された利用ポートUと、
− 利用ポート内の圧力が圧力設定点に等しくなるように利用ポートUを供給ポートPおよび戻りポートRと結合するように命令されるようにされた移動スライドバルブと、
を含む少なくとも1つの圧力制御サーボバルブBCVを含む。
【0004】
図1のブレーキ構造は、圧力源Alimまたは前記高圧に対して低い圧力の戻り回路CRのいずれかに選択的に接続されるようにされた出口ポートPs1を有するパーキングブレーキバルブPkBVを含むパーキング液圧回路C2を更に含む。
【0005】
ここでは、パーキングブレーキバルブの出口とサーボバルブの出口とは、これらの出口が制動アクチュエータに接続しているシャトルバルブの入口を形成する。
【0006】
したがって、パーキング制動のためには、パーキングブレーキバルブを操作してその出口を供給源に接続することで十分である。高圧は、シャトルバルブの入口にこのように伝達され、制動アクチュエータに伝送される。
【0007】
戻り回路内の低圧流体の圧力は、典型的には5×10Pa(5bar)のオーダである。戻り回路CR内のこの正圧によって、戻り回路内にガスが発生するリスクを低下させることができる。供給源Alimからの高圧流体の圧力は、典型的には、2.06×10Pa(206bar)である。
【0008】
かかる従来技術のブレーキ構造の欠点は、戻り回路CRの方への液圧の漏れの形で喪失する、高圧源Alimの程度で生成された一部の液圧エネルギがあることである。
【0009】
特に、圧力源が利用できない標準制動(またはパーキング制動)フェーズの間、回路C1または回路C2は、アキュムレータによって加圧される。そして、回路C1の装置からの漏れのため、ブレーキを数回作動させた後、アキュムレータは最終的に空になり、もはや十分な程度の圧力を提供することができなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、漏れの程度が低下した新規なブレーキ構造を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、少なくとも1つの車輪を含む航空機用液圧ブレーキ構造であって、
− 車輪を制動するための少なくとも1つの液圧アクチュエータが設けられた少なくとも1つのブレーキと、
− 高圧の液圧流体を送出するようにされた少なくとも1つの圧力源と、
− 標準制動液圧回路と、
を含む構造が提案される。
【0012】
この標準制動液圧回路は、
− 圧力源に接続された供給ポートと、
− 戻りポートと、
− 制動液圧アクチュエータに接続した利用ポートと、
− 利用ポートと供給ポートまたは戻りポートのいずれかとを接続するように、可動であるように取り付けられたスライドバルブ等の分配手段と、
を含む、
− 少なくとも1つの圧力制御サーボバルブ、
を更に含む。
【0013】
前記ブレーキ構造は、圧力源または前記高圧に対して低い圧力の戻り回路のいずれかに選択的に接続されるようにされた出口ポートを有するパーキングブレーキバルブを含むパーキング液圧回路を更に含み、前記パーキングブレーキバルブの出口ポートは、前記圧力制御サーボバルブの戻りポートに接続される。
【0014】
本発明の構造のため、ブレーキ構造の全体の漏れ流量を減少させることができる。漏れ流量が減少する理由は、
− 本発明のブレーキ構造が含む漏れのおそれがある装備がより少ないこと(以下で示されるように、本発明の構造は、シャトルバルブを不要とすることができる。)、および、
− 本発明のブレーキ構造において、同じ液圧部品の3つのポートに互いに異なる圧力がかけられる状況(もはや3つのポートが同じ圧力でない場合、少なくとも3つのポートが設けられた部品上で漏れが生じる。)を減少させるように、3つのポートが設けられた液圧部品が優先度をもって接続されること、
である。
【0015】
特に、この構造において、圧力制御サーボバルブの供給ポート、利用ポートおよび戻りポートを同じ圧力にすることができる(これにより、戻りポートを通過する液圧流体の流量が減少する。)ので、漏れが減少する。従来技術の航空機ブレーキ構造内において、一般に、制動すべき車輪と同じ数のシャトルバルブ(すなわち、少なくとも8つの車輪および8つのシャトルバルブ)があると仮定すると、本発明のブレーキ構造は、漏れの減少に対して相応してさらに有益である。本発明の構造が8つの車輪を有する航空機において実装される場合、場合によっては8つのシャトルバルブを除去し、全体の漏れを大きく減少させることができる可能性がある。
【0016】
パーキングブレーキを作動させてパーキングブレーキバルブを介して液圧アクチュエータに加圧された流体を供給する場合、漏れの減少は、なおさら著しい。次いで、液圧流体源がパーキングブレーキバルブの出口ポートに接続され、これは、サーボバルブの戻りポートへのその接続のため、圧力制御サーボバルブの戻りバルブの程度の高圧を生成し、その部品が漏れるのを防止する。
【0017】
図1の従来技術のブレーキ構造と比較した本発明の他の効果は、標準制動回路またはパーキング制動回路を介してアクチュエータの供給を選択するためのシャトルバルブを必要とすることなく標準制動(標準回路のみを介する)およびパーキング制動(パーキング回路を介する)を行うことができるということであり、そのために重量の節減、ブレーキ系の一般的な信頼性に関する改善及び経済的節減がなされる。
【0018】
本発明の他の特徴および効果は、非限定的な例証により、そして添付の図面を参照して、以下で与えられる記載から明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、従来技術の航空機ブレーキ構造を示す。
【図2】図2は、本発明の航空機ブレーキ構造を示す。
【図3】図3は、図2に示されたものの変形例である、本発明の航空機ブレーキ構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
従来技術の航空機ブレーキ構造は、図1に示される。航空機は、車輪を含む着陸装置を含み、前記車輪の内の少なくとも1つの車輪1は、車軸回りに回転するように取り付けられる。
【0021】
車輪1を制動するため、少なくとも1つの液圧キャビティを備え、かつ、航空機の着陸装置の固定部に固着されたステーターディスクに対して車輪に固着されたロータディスクを押圧するようにされた制動液圧アクチュエータ2が使用される。
【0022】
効率的な制動のために、目的は、着陸または回転フェーズの間において制動トルクまたは制動力を調整することである。この目的のために、アクチュエータに送出される流体圧力の調整を可能にする圧力制御サーボバルブBCVが設けられた標準制動液圧回路C1が使用される。
【0023】
航空機を駐機する際、目的は、アクチュエータ2に送出される圧力または車輪1に印加される制動力を調整することなくブレーキをロックすることだけである。このために、標準制動液圧回路C1ではなく、パーキング制動液圧回路C2が使用されるが、前記パーキング制動液圧回路C2は、完全に開いているかまたは完全に閉じているこの回路C2のパーキングブレーキPkBVを介して制動アクチュエータ2を加圧する。
【0024】
パーキングおよび標準制動液圧回路C1、C2に、圧力源Alimによって高圧の液圧流体を送る。この液圧圧力源Alimは、高圧液圧流体供給源Shpと、チェックバルブ3が設けられたパイプを介して供給源Shpに接続された圧力を受ける液圧流体のアキュムレータAccとを含む。このバルブ3は、流体が供給源ShpからアキュムレータAccに通過することを可能にし、かつ液圧流体がアキュムレータAccから高圧液圧流体供給源Shpに通過することを防止する。
【0025】
この液圧供給源Shpの機能は、高圧の液圧流体を残りのブレーキ構造に供給することである。アキュムレータAccの機能は、高圧液圧供給源Shpが故障したかまたは機能しなくなった場合に、残りの構造にそれを供給するために供給源によって提供された多量の高圧の流体を蓄積することである。チェックバルブ3の機能は、特に前記高圧管路Shpにおいてパイプが破壊した場合、流体が液圧供給源Shpに戻ることを防止することである。
【0026】
圧力源Alimは、一方でアキュムレータAccに、他方で低圧の液圧流体を含む戻り回路CRに接続する圧力調整バルブPRVを更に含む。この圧力調整バルブPRVは、供給源Alim内の流体の圧力が所定の値を超える場合に、液圧流体が供給源から戻り回路に通過することを可能にするようにされている。圧力調整バルブPRVは、ブレーキ構造内の過剰な流体圧力を防止するための安全特性を構成する。液圧圧力源Alimは、アキュムレータAccからの出口における液圧流体圧力を測定するためのアキュムレータ圧力トランスデューサAPTを含み、この圧力は、標準制動回路C1およびパーキング制動回路C2に送出することができる最大供給圧力に相当する。
【0027】
従来技術の標準制動液圧回路C1は、(この場合には、アキュムレータAccの程度で)供給源Alimに接続された入口ポートPe2と、圧力制御サーボバルブBCVの供給ポートPに接続された出口ポートPs2とを有する流体入口制御バルブSOVを含む。
【0028】
この流体入口制御バルブSOVは、圧力制御サーボバルブBCVの戻りポートRに接続された戻りポートR2を更に含む。戻りポートRおよびR2は、互いに接続され、かつ専用のパイプ4を介して戻り回路CRに接続される。
【0029】
この流体入口制御バルブSOVは、標準制動液圧回路C1への供給構成、または標準制動液圧回路C1への供給を切り離す構成に、選択的に配置される。
【0030】
標準制動液圧回路C1に供給する構成において、
− 制御バルブSOVの、入口ポートPe2と出口ポートPs2との間の接続が許容され、かつ、
− 流体入口制御バルブSOVの、戻りポートR2と入口ポートPe2および出口ポートPs2との接続が許容されない。
【0031】
標準制動液圧回路C1への供給を切り離す構成において、
− 制御バルブSOVの、入口ポートPe2と出口ポートPs2との間の接続が許容されず、かつ、
− 流体入口制御バルブSOVの、戻りポートR2と出口ポートPs2のみとの接続が許容される。
【0032】
標準制動液圧回路C1の供給を切り離す構成において、液圧回路C1は、バルブSOVとサーボバルブBCVとの間のその部分の全体にわたって戻り回路につながる。
【0033】
パーキング制動回路C2のパーキングブレーキバルブPkBVは、この場合にはこのパーキングブレーキバルブPkBVの入口ポートPe1を介して圧力源Alimに、または前記高圧に対して低い圧力で戻り回路CRに選択的に接続されるようにされた出口ポートPs1を含む。この場合、戻り回路CRへのパーキングブレーキバルブPkBVの出口ポートPs1のこの接続は、バルブPkBVの戻りポートR1を介して行われる。
【0034】
制動アクチュエータ2の液圧供給は、アクチュエータ2に接続された出口と、パーキングブレーキバルブPkBVの出口ポートPs1とサーボバルブBCVの利用ポートUとに接続された2つの入口とを含むシャトルバルブ5を介して行われる。
【0035】
バルブ5は、より高い流体圧力でアクチュエータ2をバルブ5の入口に接続することによってアクチュエータ2に供給する。
【0036】
破片が滑走路から巻き上げられるかまたはタイヤが破裂した後に、シャトルバルブ5と制動アクチュエータ2との間で漏れが生じる可能性がある。
【0037】
かかる漏れの際に喪失する流体の量を減少させるため、前記構造は、シャトルバルブ5と制動アクチュエータ2との間に配置されたヒューズFを含む。このヒューズFは、漏れがヒューズFと制動アクチュエータ2との間で検出される場合に、流体がシャトルバルブ5から制動アクチュエータ2の方へ通過することを防止するようにされている。
【0038】
図2において表されたブレーキ構造は、既に図1を参照して関して記載されている圧力源Alimと同じ圧力源Alimを含む。この圧力源Alimもまた、図1の構造における場合と同様に低圧で戻り回路CRに接続される。
【0039】
本発明のこのブレーキ構造は、既に図1を参照して記載されているものと同一の様々な要素を含む。ここで、再度、
− 車輪1を制動するための少なくとも1つの液圧アクチュエータ2が設けられたブレーキと、
− 圧力制御サーボバルブBCV(図1のサーボバルブBCVと同一)と流体入口制御バルブSOV(図1のバルブSOVと同一)とが設けられた標準制動液圧回路(C1)と、
が確認される。
【0040】
本発明のブレーキ構造において使用されるサーボバルブBCVは、米国特許第3,856,047号明細書に開示されている型のサーボバルブであってよい。このサーボバルブによって、スライドバルブの動作を、
− 制動設定点、および、
− 利用ポートUの水準における液圧、
に応じて調整することが可能になる。
【0041】
また、本発明のブレーキ構造において、既に図1を参照して記載されているものと同一のパーキングブレーキバルブPkBVを含むパーキング液圧回路C2も再度確認される。
【0042】
本発明と図1の従来技術との間の主要な違いは、パーキングブレーキバルブPkBVの出口ポートPs1が圧力制御サーボバルブBCVの戻りポートRに接続されることである。
【0043】
サーボバルブBCVの戻りポートRが、低圧の戻り回路CRにもはや接続されず、パーキングブレーキバルブPkBVの出口ポートPs1に直接接続されると仮定すれば、図1のようにシャトルバルブ5を使用することは、もはや必要でない。したがって、図2のサーボバルブBCVの利用ポートUは、図1のものと同一のヒューズFおよび圧力センサPTが配置されたパイプ7によって制動アクチュエータ2に接続される。
【0044】
したがって、本発明のブレーキ構造によって、
− パーキングブレーキバルブPkBVを通過することなく圧力制御サーボバルブBCVを介して、即ち標準制動を作動させることにより、または、
− 制動バルブPkBVおよびサーボバルブBCVを介して、即ちパーキング制動を作動させることにより、
圧力を受ける液圧流体を制動アクチュエータ2に供給することが可能になる。
【0045】
次いで、サーボバルブBCVを位置決めして戻りポートRをその利用ポートUに接続することによって、供給源Alimが、パーキングブレーキバルブPkBVの連通ポートPs1およびPe1を介して、ならびにサーボバルブBCVの戻りポートRおよび利用ポートUを介して制動アクチュエータ2に接続される。その上、回路C2が流体入口制御バルブSOVの戻りポートR2に接続されるということは、パーキング制動が作動する際、ポートR2が、ポートPe2およびPs2と同じ圧力、この場合は高圧であることを意味する。
【0046】
上記のように、3つのポートが設けられた液圧要素(例えば、バルブSOVまたはサーボバルブBCV)からの漏れは、前記3つのポートの内の2つの間に圧力差があるとすぐに生じる。本発明の構造は、この型の状況が出現するリスクを低下させる。例えば、ポートRを介した圧力制御サーボバルブBCVからの漏れは、その3つのポートにおける圧力を等しくすることによって排除される。
【0047】
アキュムレータAccを含み、かつ戻り回路CRの方への流体の漏れを制限する本発明のブレーキ構造は、もはやいかなるシャトルバルブもないので質量および容積の節減を可能にし、また、アキュムレータのサイズを従来技術の構造と比較して減少させることができる(漏れを減少させ、貯蔵する必要がある流体が非常により少なくなる)ので、質量および容積の節減も可能になる。
【0048】
航空規格は、所定の時間の(一般に12時間の)液圧供給源Shpの停止後、ブレーキ構造が、液圧供給源Shpを使用せずに車輪1の制動を可能にするために、一定の回数を操作することができることを課している。その結果、アキュムレータAccは、この機能を提供するためにサイズが決めされ、それにより、戻り回路への漏れを制限することにより、従来技術と比較してサイズが減少したアキュムレータを用いて液圧供給源Shpが故障した場合に、この同じ制動機能を及ぼすことが可能になる。したがって、これによって、ブレーキ構造の制動能力に影響することなく貯蔵されるべき、圧力を受ける液圧流体の質量が減少する。
【0049】
最後に、流体入口制御バルブSOVの入口ポートPe2が供給源Alimに接続され(図1の通り)、その出口ポートPs2が圧力制御サーボバルブBCVの供給ポートPに接続されることが示される。対照的に、流体入口制御バルブSOVの戻りポートR2は、図1のように低圧の戻り回路CRにもはや直接接続されないが、それは、パーキングブレーキバルブPkBVの出口ポートPs1と、圧力制御サーボバルブBCVの戻りポートRとに接続される。
【0050】
したがって、流体入口制御バルブSOVの出口ポートPs2から低圧の戻り回路CRへの流体の戻りは、パーキングブレーキバルブPkBVの出口ポートPs1と圧力制御サーボバルブBCVの戻りポートRとを接続する場合と同じパイプを介して可能になる。
【0051】
本実施形態において、3つのポートを有する流体入口制御バルブSOVを含む場合、そのポートR2を、戻り回路CRに直接接続するのではなく、バルブPkBVの出口ポートPs1に接続することが必要である。ポートR2およびPs1のこの接続は、バルブPkBVを介して圧力を受ける流体をポートRに供給する際(即ち、パーキング制動の間)に、ポートR2から戻り回路の方へ流体が通過するリスクを防止する。ポートR2が戻り回路CRに直接接続される場合、圧力を受ける流体が、ポートR、次いでP、次いでPs2、次いでR2、次いでCRを介して、バルブPkBVのポートPs1から戻り回路へ通過する可能性があるので、かかるリスクが存在する。
【0052】
流体入口制御バルブSOVの出口Ps2のこの戻りは、それが戻り回路CRの低圧に向かう傾向があり、それによりブレーキが標準制動回路により偶然に作動することを防止するように、標準制動回路内の圧力を制限ことが必要とされるときには、有益である。
【0053】
なお、本発明は、図3に示される別の実施形態を含むことに留意されたい。図3の実施形態では、流体入口制御バルブSOVは、もはや、図2の通りの戻りポートR2を有する3ポートバルブではなく、このバルブSOVは、入口ポートPe2と出口ポートPs2とを有し、かつ戻りポートR2を含まない2ポートバルブである。バルブSOVの性質に関するこの違いを除けば、図3に示された実施形態のブレーキ構造は、図2を参照して記載されているものと同一である。
【0054】
図3の実施形態において、流体入口制御バルブSOVは、供給源Alimに接続された入口ポートPe2と、圧力制御サーボバルブBCVの供給ポートPに接続された出口ポートPs2とを有し、この流体入口制御バルブ(SOV)は、
− 制御バルブ(SOV)の入口ポート(Pe2)と出口ポート(Ps2)との間の接続が許容される、標準制動液圧回路に供給する構成、および、
− 制御バルブSOVの入口ポートPe2と出口ポートPs2との間の接続が許容されない、標準制動液圧回路の供給を切り離す構成、
を選択的に採用する。
【0055】
図2の実施形態のように、図3の実施形態によって、図1の構造からのシャトルバルブ5を不要とすることが可能になり、更に、
− パーキングブレーキバルブPkBVを通過することなく圧力制御サーボバルブBCVを介して、即ち標準制動を作動させることにより、または、
− 制動バルブPkBVおよびサーボバルブBCVを介して、即ちパーキング制動を作動させることにより、
圧力を受ける液圧流体を制動アクチュエータ2に供給することが可能になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの車輪を含む航空機用液圧ブレーキ構造であって、
前記構造が、
− 前記車輪を制動するための少なくとも1つの液圧アクチュエータが設けられた少なくとも1つのブレーキと、
− 高圧の液圧流体を送出するようにされた少なくとも1つの圧力源(Alim)と、
− 標準制動液圧回路(C1)と、
を含み、
前記標準制動液圧回路(C1)が、
− 少なくとも1つの圧力制御サーボバルブ(BCV)、
を含み、
前記少なくとも1つの圧力制御サーボバルブ(BCV)が、
− 前記圧力源(Alim)に接続された供給ポート(P)と、
− 戻りポート(R)と、
− 前記制動液圧アクチュエータに接続された利用ポート(U)と、
− 前記利用ポート(U)を前記供給ポート(P)または前記戻りポート(R)のいずれかと接続するように、可動であるように取り付けられた分配手段と、
を含み、
− 前記ブレーキ構造が、パーキング液圧回路(C2)を更に含み、
前記パーキング液圧回路(C2)が、
− 前記圧力源(Alim)または前記高圧に対して低い圧力の戻り回路(CR)のいずれかに選択的に接続されるようにされた出口ポート(Ps1)を有するパーキングブレーキバルブ(PkBV)、
を含む、
ブレーキ構造において、
前記パーキングブレーキバルブ(PkBV)の出口ポート(Ps1)が、前記圧力制御サーボバルブ(BCV)の戻りポート(R)に接続されることを特徴とする、
ブレーキ構造。
【請求項2】
前記圧力源(Alim)が、
前記低圧に対して高い圧力の液圧流体の供給源と、
アキュムレータであって、流体が前記圧力源(Alim)から前記アキュムレータの方へ通過することを可能にすると共に液圧流体が前記アキュムレータから前記圧力源(Alim)の方へ通過することを防止するチェックバルブが設けられたパイプによって一緒に接続された、圧力を受ける液圧流体のアキュムレータと、
を含む、
請求項1に記載のブレーキ構造。
【請求項3】
前記標準制動液圧回路が、前記供給源(Alim)に接続された入口ポート(Pe2)と前記圧力制御サーボバルブ(BCV)の供給ポート(P)に接続された出口ポート(Ps2)とを有する流体入口制御バルブ(SOV)を含み、
前記流体入口制御バルブ(SOV)が、前記パーキングブレーキバルブ(PkBV)の出口ポート(Ps1)と前記圧力制御サーボバルブ(BCV)の戻りポート(R)とに接続された戻りポート(R2)を更に含み、
この流体入口制御バルブ(SOV)が、
− 前記制御バルブ(SOV)の、入口ポート(Pe2)と出口ポート(Ps2)と間の接続が許容され、かつ、
− 前記流体入口制御バルブ(SOV)の戻りポート(R2)とその入口ポート(Pe2)および出口ポート(Ps2)との接続が許容されない、
− 前記標準制動液圧回路に供給する構成と、
− 前記制御バルブ(SOV)の、入口ポート(Pe2)と出口ポート(Ps2)と間の接続が許容されず、かつ、
− 前記流体入口制御バルブ(SOV)の戻りポート(R2)とその出口ポート(Ps2)のみとの接続が許容される、
− 標準制動液圧回路の供給を切り離す構成と、
を選択的に採用する、
請求項1に記載のブレーキ構造。
【請求項4】
前記標準制動液圧回路が、前記供給源(Alim)に接続された入口ポート(Pe2)と前記圧力制御サーボバルブ(BCV)の供給ポート(P)に接続された出口ポート(Ps2)とを有する流体入口制御バルブ(SOV)を含み、
この流体入口制御バルブ(SOV)が、
− 前記制御バルブ(SOV)の、入口バルブ(Pe2)と出口バルブ(Ps2)との間の接続が許容される、標準制動液圧回路に供給する構成と、
− 前記制御バルブ(SOV)の、入口ポート(Pe2)と出口ポート(Ps2)との間の接続が許容されない標準制動液圧回路の供給を切り離す構成と、
を選択的に採用する、
請求項1に記載のブレーキ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−183995(P2012−183995A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−45256(P2012−45256)
【出願日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【出願人】(511154180)メシエ−ブガッティ−ドウティ (26)
【Fターム(参考)】